(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】給水用コンセントの半完成品
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20241203BHJP
E03C 1/02 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
E03C1/042 E
E03C1/02
(21)【出願番号】P 2023129020
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2019216003の分割
【原出願日】2019-11-29
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】杉島 公彦
(72)【発明者】
【氏名】堀 敬太
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-339413(JP,A)
【文献】登録実用新案第3076080(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁の開口部に取り付けられ、前記壁の裏側に配置された給水部材から水を受けて前記壁の表側へ水を導出するために用いられる給水用コンセントであって、
前記給水部材が接続される受水側継手部と、前記壁の表側に配置された機器等への給水ホースが接続される送水側継手部と、前記受水側継手部と前記送水側継手部との間を開閉可能な弁部とを備えた水栓と、
前記壁の表側に配置されるとともに前記弁部に取り付けられ、当該弁部を操作するための操作部材と、
前記壁の裏側に配置されて前記水栓を支持する支持部材と、
前記壁の表側に配置されて前記開口部を覆う化粧プレートと、
前記水栓に取り付けられて前記操作部材と前記化粧プレートとの間で前記水栓を覆う化粧カバーと
を備えた給水用コンセントにおいて、
前記化粧プレート及び前記操作部材が取り外された半完成状態の前記給水用コンセントに対して、前記化粧カバーを覆うようにして保護カバーが取り付けられた前記給水用コンセントの半完成品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁の開口部に取り付けられ、壁の裏側に配置された給水部材から水を受けて壁の表側へ水を導出するために用いられる給水用コンセントの半完成品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の給水用コンセント(水道用コンセント)は、壁の裏側に配置された水栓本体と、壁の表側に配置されて水栓本体を覆う化粧プレートとを備えている。化粧プレートと壁との間には、スペーサが配置されている。スペーサは、壁の厚みが小さい場合に1枚又は重ねた複数枚が配置され、化粧プレートと壁との隙間を埋める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規な給水用コンセントの半完成品を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、壁の開口部に取り付けられ、前記壁の裏側に配置された給水部材から水を受けて前記壁の表側へ水を導出するために用いられる給水用コンセントであって、前記給水部材が接続される受水側継手部と、前記壁の表側に配置された機器等への給水ホースが接続される送水側継手部と、前記受水側継手部と前記送水側継手部との間を開閉可能な弁部とを備えた水栓と、前記壁の表側に配置されるとともに前記弁部に取り付けられ、当該弁部を操作するための操作部材と、前記壁の裏側に配置されて前記水栓を支持する支持部材と、前記壁の表側に配置されて前記開口部を覆う化粧プレートと、前記水栓に取り付けられて前記操作部材と前記化粧プレートとの間で前記水栓を覆う化粧カバーとを備えた給水用コンセントにおいて、前記化粧プレート及び前記操作部材が取り外された半完成状態の前記給水用コンセントに対して、前記化粧カバーを覆うようにして保護カバーが取り付けられた前記給水用コンセントの半完成品である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】壁に取り付けられた給水用コンセントの正面図。
【
図2】給水用コンセントの右側面図であり壁を破断して示す図。
【
図3】給水用コンセントの底面図であり壁を破断して示す図。
【
図5】給水用コンセントの平面図であり壁を破断して示す図。
【
図8】
図7に対応する図であり全閉状態の水栓を示す図。
【
図9】化粧プレート及び支持部材を取り出して示す分解斜視図。
【
図10】水栓、ハンドル、化粧カバー及び支持部材を取り出して示す分解斜視図。
【
図13】給水用コンセントの取付手順を示す右側面図。
【
図14】給水用コンセントの取付手順を示す斜視図。
【
図15】給水用コンセントの取付手順を示す右側面図。
【
図16】厚い壁に取り付けられた給水用コンセントの右側面図。
【
図17】給水用コンセントのメンテナンス手順を示す右側面図。
【
図18】給水用コンセントのメンテナンス手順を示す右側面図。
【
図19】給水用コンセントのメンテナンス手順を示す右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の給水用コンセントを具体化した一実施形態について説明する。
なお、
図1における紙面の表裏方向を給水用コンセント21の前後方向とし、同じく紙面の左右方向を給水用コンセント21の左右方向とし、同じく紙面の上下方向を給水用コンセント21の上下方向として説明する。したがって、
図1以外の図面において、紙面上での方向が、以下の説明における表記の方向と一致しないことがある。
【0008】
図1~
図5に示すように、建物において、機器としての洗濯機(図示しない)が設置された部屋の壁11には、開口部12が壁11の前後方向に貫設されている。開口部12は正面視で正円形状をなしており、例えば正面視で四角形状をなす場合と比較して、ホルソー等によって簡単に施工できる。
【0009】
図2~
図4に示すように、建物において壁11の後方側には、上下方向に延びる柱13が配置されている。柱13は、開口部12の左方側近傍を通されている。壁11の後方側には、給水部材としての給水パイプ15が敷設されている。給水パイプ15は、例えば架橋ポリエチレンやポリブテン等の合成樹脂製である。給水パイプ15は、開口部12よりも下方側つまり部屋の床側から開口部12にまで、上下方向に延在されている。
【0010】
図1に示すように、壁11の前方側には、洗濯機へとつながる給水ホース16が配置されている。給水ホース16の端部には、周知の構成を備えるホース側カプラ17が取り付けられている。
【0011】
図6に示すように、壁11の開口部12には、給水用コンセント21が取り付けられている。給水用コンセント21は、給水パイプ15から受けた水を壁11の前方側へと導出し、ひいては給水ホース16(
図1参照)を介して洗濯機へと供給する。
【0012】
図7に示すように、給水用コンセント21は、洗濯機への導水の主体となる水栓22を備えている。水栓22は弁部31Aを備えている。弁部31Aは、概略円柱状をなす合成樹脂製の弁ハウジング41を備えている。弁ハウジング41において前方側の端部内には、スピンドル室42が設けられている。スピンドル室42は、弁ハウジング41の軸線Lに沿う方向へと延びる有底円筒状をなしている。スピンドル室42において前方側の端部の内周面には、雌ねじ42aが設けられている。
【0013】
弁ハウジング41において後方側の端部内には、流入通路43が設けられている。流入通路43は、弁ハウジング41の軸線Lに沿う方向へと延在されている。流入通路43の出口43aは、スピンドル室42において後方側の端面に設けられている。スピンドル室42において出口43aの周囲には、弁座42bが設けられている。
【0014】
図11に示すように、弁ハウジング41において後方側の端部の外周面には、四角板状をなすフランジ44が一体に設けられている。フランジ44の四隅には、それぞれねじ孔44aが設けられている。フランジ44において右方側の縁には、位置決め凹部44bが設けられている。
【0015】
フランジ44において後方側の面には、円筒状の内筒部45が一体に突設されている。内筒部45は、軸線Lに沿う方向へと延在されている。内筒部45の外周面には、収容溝45aが設けられている。収容溝45aは、軸線Lを中心とした円環状をなしている。収容溝45aにはシールリング46が収容されている。流入通路43の入口43bは、内筒部45において後方側の端面に設けられている。
【0016】
弁ハウジング41において後方側の端部の外周面には、左右一対の第1係合突起41aと、第1係合突起41aよりも下方側に左右一対の第2係合突起41bとが、それぞれ設けられている。なお、第1係合突起41a及び第2係合突起41bとも、右方側のもののみが図示されている。
【0017】
水栓22は受水側継手部32を備えている。受水側継手部32は、弁ハウジング41とは別体の継手本体51を備えている。継手本体51は合成樹脂製であって、直角に屈曲した所謂エルボである。継手本体51において当該屈曲に関する径方向の外側には、上方の端部側から下方の端部側へと延びるリブ51aが湾曲して設けられている。
【0018】
継手本体51内には継手内通路52が設けられている。継手本体51において弁ハウジング41に対向する上方側の端部には、外筒部53が設けられている。継手内通路52の出口52aは、外筒部53において前方側の面に設けられている。
【0019】
図6に示すように、継手本体51において床側に向く下方側の端部には、ロックリング54a等を備えた周知のワンタッチ継手54が設けられている。継手内通路52の入口を兼ねるワンタッチ継手54には、給水パイプ15が接続されている。
【0020】
図11に示すように、外筒部53において前方側の端縁の外周面には、四角板状をなすフランジ55が一体に設けられている。フランジ55は、弁ハウジング41のフランジ44と比較して、上下方向の幅はほぼ同じでかつ左右方向の幅は広い。フランジ55の四隅には、第1ねじ孔55aがそれぞれ設けられている。フランジ55の四隅付近において、対応する第1ねじ孔55aよりも左右方向の内側には、第2ねじ孔55bがそれぞれ設けられている。フランジ55において前方側の面には、継手内通路52の出口52aの右方側に、位置決め凸部55cが設けられている。
【0021】
図12に示すように、フランジ55の後方側の面において、各第2ねじ孔55b(
図11参照)に対応する位置には、ポケット55dがそれぞれ設けられている。
【0022】
図7に示すように、弁部31Aの内筒部45は、受水側継手部32の外筒部53に挿入されている。外筒部53に内筒部45が挿入された状態において、内筒部45の外周面と外筒部53の内周面との間、換言すれば継手内通路52と流入通路43との接続部分は、シールリング46によって水密が確保されている。外筒部53に内筒部45が挿入された状態において、弁部31Aのフランジ44と受水側継手部32のフランジ55とが前後方向で重合されている。
【0023】
図10及び
図11に示すように、フランジ44とフランジ55とが重合された状態において、フランジ44のねじ孔44aの位置とフランジ55の第2ねじ孔55bの位置とが、上下方向及び左右方向に関して一致されている。フランジ44とフランジ55とが重合された状態において、フランジ44の位置決め凹部44bの位置とフランジ55の位置決め凸部55cの位置とが上下方向及び左右方向に関して一致され、位置決め凹部44bと位置決め凸部55cとが嵌合されている。
【0024】
フランジ44とフランジ55とが重合された状態において、ねじ孔44aから第2ねじ孔55bにかけて通されたねじ56と、フランジ55のポケット55d(
図12参照)に回動不能に保持されたナット57との螺合によって、弁部31Aと受水側継手部32とが相互に固定されている。
【0025】
なお、ワンタッチ継手54の開口が上方を向いた状態、換言すればワンタッチ継手54の開口が部屋の天井を向いた状態で、受水側継手部32と弁部31Aとを固定しようとしても、フランジ44の位置決め凹部44bの位置とフランジ55の位置決め凸部55cの位置とは、左右方向に関して一致しない。したがって、位置決め凹部44bと位置決め凸部55cとを嵌合できず、フランジ44とフランジ55とを重合できなくて、弁部31Aと受水側継手部32との接続は不可能である。
【0026】
このような場合、フランジ55から位置決め凸部55cを除去すれば、受水側継手部32は、弁部31Aに対して接続する際の方向性が上下方向に関して無くなり、応急処置的な対応は可能である。しかし、フランジ55から位置決め凸部55cを除去すると、弁部31Aと受水側継手部32との間に、軸線Lを中心として相対回動する方向の応力が作用された場合、当該応力を位置決め凹部44bと位置決め凸部55cとの嵌合部分で負担できないため、ねじ孔44aや第2ねじ孔55bやねじ56等の負荷が大きくなる。
【0027】
このような問題を解決するには、
図20及び
図21に示す構成の弁部31Bを用いればよい。弁部31Bと
図11に示す弁部31Aとの相違点は、フランジ44における位置決め凹部44bの位置のみであり、その他の構成は同じである。すなわち、弁部31Bの位置決め凹部44bは、フランジ44の後方側の面において、左方側の縁に設けられている。
【0028】
したがって、ワンタッチ継手54の開口が上方を向いた状態、換言すればワンタッチ継手54の開口が部屋の天井を向いた状態で、フランジ44の位置決め凹部44bの位置とフランジ55の位置決め凸部55cの位置とが上下方向及び左右方向に関して一致され、受水側継手部32と弁部31Bとを接続できる。よって、給水パイプ115が、開口部12よりも上方側つまり部屋の天井側から開口部12にまで上下方向に延在されている場合において、弁部31Bは好適に対応できる。
【0029】
さて、
図7に示すように、水栓22は送水側継手部33を備えている。弁ハウジング41において前方側の端部の下方には、送水側継手部33を構成する円筒状の突出部61が、弁ハウジング41と一体に設けられている。突出部61は、前方側に向かって斜め下方に傾斜されている。突出部61の外周面には、雄ねじ61aが設けられている。
【0030】
突出部61内には流出通路62が設けられている。流出通路62には、周知の構造を備えた逆止弁63が収容されている。スピンドル室42の内周面において弁座42b付近の下方には、流出通路62の入口62aが設けられている。突出部61において下方側の端面には、流出通路62の出口62bが設けられている。
【0031】
突出部61の雄ねじ61aには、送水側継手部33を構成するストップカプラ64が、雌ねじ64aを介して着脱可能に取り付けられている。ストップカプラ64は周知の構造を備えるものであって、ホース側カプラ17(
図1参照)の着脱が容易であるとともに、意図しないホース側カプラ17の外れに対する緊急止水機能を備えている。
【0032】
弁部31Aは、円柱状をなす合成樹脂製のスピンドル47を備えている。スピンドル47において前方側の端部の外周面には、雄ねじ47aが設けられている。スピンドル47において前方側の端面には、連結凹部47bが設けられている。連結凹部47bの内周面には、軸線Lに沿って延在する連結凹条47cが設けられている。図示しないが、連結凹条47cは、軸線Lの周りに間隔をおいて複数が設けられている。スピンドル47において後方側の端部の外周面には、収容溝47dが設けられている。収容溝47dは、軸線Lを中心とした円環状をなしている。収容溝47dにはシールリング48が収容されている。
【0033】
スピンドル47において後方側の端面には、ねじ穴47eが設けられている。弁体としてのパッキン49は、ねじ穴47eに螺入されたタッピングねじ50によって、スピンドル47に対して取り付けられている。スピンドル47は、パッキン49が弁座42bに対向するようにして、スピンドル室42に収容されている。スピンドル47において後方側の端部の外周面と、スピンドル室42の内周面との間は、シールリング48によって水密が確保されている。
【0034】
スピンドル47がスピンドル室42に収容された状態において、スピンドル47の雄ねじ47aとスピンドル室42の雌ねじ42aとが螺合されている。雄ねじ47aと雌ねじ42aとの螺合によって、スピンドル47はスピンドル室42に対して螺進が可能である。したがって、スピンドル47は、弁ハウジング35の軸線Lを中心として回動されるのと同時に、スピンドル室42に対して軸線Lに沿って前後方向へと移動される。
【0035】
スピンドル47の前後方向への移動によって、パッキン49が、弁座42bから離間した全開位置(
図7の状態)と、弁座42bに当接した全閉位置(
図8の状態)との間で変位される。
図7に示すように、全開位置にあるパッキン49は、流入通路43の出口43aを最大に開放して、出口43aと流出通路62の入口62aとの間の水路を全開状態にする。
図8に示すように、全閉位置にあるパッキン49は、流入通路43の出口43aを閉塞して、出口43aと流出通路62の入口62aとの間の水路を全閉状態にする。
【0036】
図2~
図5に示すように、給水用コンセント21は、柱13において水栓22を支持する合成樹脂製の支持部材23を備えている。
図9に示すように、支持部材23は、後方側に位置する矩形の背板71と、背板71の前方側の面において左方側の縁及び右方側の縁にそれぞれに設けられた側壁72と、背板71の前方側の面において上方側に設けられた上方壁73とを一体に備えている。背板71と両側壁72と上方壁73とで囲まれた収容空間74には、下方側から上方側に向かうにつれて前方側へと湾曲する係合溝74aが設けられている。
【0037】
各側壁72には、鉛直材用ねじ孔72aと水平材用ねじ孔72bとがそれぞれ設けられている。背板71には、背面材用ねじ孔71aが設けられている。
図2~
図5に示すように、柱13に対しては、左方の側壁72が備える鉛直材用ねじ孔72aが対応されている。つまり、当該鉛直材用ねじ孔72aに挿通されたビス(図示しない)を介して、支持部材23が柱13に対して取り付けられている。
【0038】
なお、図示しないが、柱の位置が右方の側壁72側であれば、右方の側壁72が備える鉛直材用ねじ孔72aを利用して、支持部材23が当該柱に対して取り付けられる。また、柱が水平方向に延在するものであれば、両側壁72が備える水平材用ねじ孔72bを利用して、支持部材23が当該柱に対して取り付けられる。さらに、柱が支持部材23の後方側を通されるものであれば、背板71が備える背面材用ねじ孔71aを利用して、支持部材23が当該柱に対して取り付けられる。
【0039】
図9に示すように、各側壁72において前方側の端面には、上下一対の第1ねじ孔72cがそれぞれ設けられている。各側壁72において前方側の端面には、上下一対の第2ねじ孔72dがそれぞれ設けられている。各側壁72において一対の第2ねじ孔72dは、上方側の第1ねじ孔72cと下方側の第1ねじ孔72cとの間に配置されている。
【0040】
各側壁72において前方側の端面には、第1ねじ孔72cや第2ねじ孔72dよりも縁側に、前方側へと延びる係合壁72eがそれぞれ設けられている。各係合壁72eにおいて、他方の係合壁72eとは反対側に位置する側面には、係合突起72fがそれぞれ設けられている(右方側の係合突起72fのみ図示)。各側壁72において前方側の端面には、上方側の第2ねじ孔72dと下方側の第2ねじ孔72dとの間に、上下方向に延びるスリット72gが設けられている。
【0041】
図6に示すように、水栓22の受水側継手部32は、支持部材23の収容空間74に収容されている。受水側継手部32が収容空間74に収容された状態において、受水側継手部32のフランジ55が、支持部材23の各側壁72に対して前方側の端面で重合されている。
【0042】
図10に示すように、フランジ55と各側壁72とが重合された状態においては、フランジ55の第1ねじ孔55aの位置と対応する側壁72の第2ねじ孔72dの位置とが、上下方向及び左右方向に関して一致されている。そして、第1ねじ孔55a及び第2ねじ孔72dを通されたタッピングねじ75によって、水栓22が支持部材23に対して固定されている。
【0043】
図7に示すように、受水側継手部32が収容空間74に収容された状態において、受水側継手部32のリブ51aは収容空間74の係合溝74aに挿入されている。したがって、例えば水栓22に対して応力が作用された場合に、当該応力がリブ51aを介して係合溝74aでも受けられるため、タッピングねじ75(
図10参照)に作用する応力を軽減できる。また、タッピングねじ75を螺入する前の状態においても、水栓22を支持部材23に対して位置決めできるため、タッピングねじ75の螺入作業を安定して行い得る。
【0044】
図14に示すように、柱13に固定された支持部材23は、正面視において、第1ねじ孔72c、第2ねじ孔72d(
図10参照)、係合壁72e及びスリット72g(
図10参照)等が、壁11の開口部12内に位置されている。支持部材23に固定された水栓22は、正面視において、弁ハウジング41(
図10参照)、フランジ44及びフランジ55等が、壁11の開口部12内に位置されている。
【0045】
また、
図6に示すように、支持部材23に固定された水栓22は、弁部31Aにおいてスピンドル47側の部分と、送水側継手部33とが、開口部12を介して壁11よりも前方側へ突出されている。
【0046】
図2に示すように、給水用コンセント21は、壁11の前方側に配置されて開口部12を覆う化粧プレート24を備えている。
図9に示すように、化粧プレート24は、矩形板状をなす合成樹脂製のベース81を備えている。ベース81には透孔81aが設けられている。透孔81aは、ベース81の上方側の縁付近から下方側の縁付近にかけて、中央で一旦円孔状に幅が広くなる長孔状に延在されている。
【0047】
ベース81において透孔81aの左方側及び右方側には、それぞれ一対のねじ孔81bが設けられている。ベース81の後方側の面において、透孔81aの左方側及び右方側には、矩形板状をなす取付片81cがそれぞれ設けられている。ベース81において左方側及び右方側の縁付近には、それぞれ係合孔81dが設けられている。
【0048】
ベース81は、壁11において前方側の面に重合されて、開口部12の一部を覆っている。ベース81が壁11に重合された状態において、ベース81の取付片81cは、開口部12を介して支持部材23の対応するスリット72gに挿入されている。ベース81が壁11に重合された状態において、ベース81のねじ孔81bの位置と、支持部材23の対応する第1ねじ孔72cの位置とが、上下方向及び左右方向に関して一致されている。そして、ねじ孔81bから第1ねじ孔72cへと通された長尺のねじ82によって、ベース81と支持部材23とが壁11を介して固定されている。
【0049】
化粧プレート24は、合成樹脂製の装飾部材83を備えている。装飾部材83は、ベース81よりも若干大きい矩形板状をなしている。装飾部材83には挿通孔83aが設けられている。挿通孔83aは、装飾部材83の中央で円孔状をなしているとともに、下方側の縁付近にかけて長孔状に延在され、全体として正面視で鍵穴形状をなしている。装飾部材83において後方側の面には、挿通孔83aの内縁に沿ってリブ83bが設けられている。装飾部材83において後方側の面には、左方側及び右方側の縁付近に、先端が手鉤状をなす係合片83cがそれぞれ設けられている。
【0050】
図1に示すように、装飾部材83において前方側の面には、挿通孔83aの左方側に、水栓22の全開状態を示すシンボル83dが描かれている。装飾部材83において前方側の面には、挿通孔83aの右方側に、水栓22の全閉状態を示すシンボル83eが描かれている。
【0051】
図7に示すように、装飾部材83は、ベース81に重合されてベース81の前方側の面全体を覆っている。
図9に示すように、装飾部材83は、係合片83cがベース81の係合孔81dに対してスナップ係合することで、ベース81に対して着脱可能に固定されている。
【0052】
図7に示すように、装飾部材83がベース81に対して固定された状態において、装飾部材83のリブ83bは、ベース81の透孔81aに入り込んでいる。したがって、装飾部材83の挿通孔83aを正面視した場合において、ベース81の透孔81aの内縁は、リブ83bで隠されて見え難くなっている。つまり、リブ83bは、装飾部材83による装飾性を高める。
【0053】
支持部材23に対して化粧プレート24が取り付けられた状態では、水栓22において弁部31Aのスピンドル47側の部分と、送水側継手部33とが、挿通孔83aを介して化粧プレート24よりも前方に突出されている。
【0054】
なお、ベース81の透孔81aが、中央付近から上方側の縁付近にまで設けられているのは、透孔81aを上下方向に関して対称形状とするためである。したがって、ベース81は、支持部材23に対する方向性が上下方向に関して無くなっている。
【0055】
図7及び
図10に示すように、給水用コンセント21は、水栓22に取り付けられて水栓22を覆う化粧カバー26を備えている。化粧カバー26は、弁ハウジング41に取り付けられたメインカバー91を備えている。メインカバー91は、軸線Lを中心とした円筒状をなす本体部92と、本体部92の下方に突設された矩形状部93とを備えている。矩形状部93は、本体部92との間で内空間が連通されているとともに下方側及び後方側に開口されている。本体部92は、主として弁部31Aを覆う。矩形状部93は、主として送水側継手部33の突出部61を覆う。
【0056】
本体部92において前方側の端部には、前方に開口(94a)する小径部94が設けられている。小径部94において開口94a内には、軸線Lを中心とした円環状にフランジ94bが設けられている。フランジ94bにおいて前方側の面には、周方向に所定長さだけ延びる規制突起94cが設けられている。
【0057】
図10に示すように、本体部92において後方側の端部には、左右一対の係合孔92aが設けられている(右方側の係合孔92aのみを図示)。各係合孔92aに対して、弁ハウジング41の対応する第1係合突起41aがスナップ係合することで、メインカバー91が弁ハウジング41に対して着脱可能に固定されている。
【0058】
化粧カバー26はサブカバー95を備えている。サブカバー95は、メインカバー91の矩形状部93において、下方側の開口を覆う。サブカバー95において上方側の端面には、先端が手鉤状をなす係合突起95aが、左右一対設けられている。係合突起95aが弁ハウジング41の第2係合突起41bに対してスナップ係合することで、サブカバー95が弁ハウジング41に対して着脱可能に固定されている。サブカバー95は、突出部61の全ては覆わず、雄ねじ61a及び出口62bは露出させる。
【0059】
図7に示すように、弁部31Aは、円盤状をなす合成樹脂製のノンライジングプレート27を備えている。ノンライジングプレート27は、化粧カバー26内において、メインカバー91のフランジ94bと水栓22の弁ハウジング41との間に配置されている。ノンライジングプレート27において後方側の面には、連結凸部27aが設けられている。連結凸部27aの外周面には、軸線Lに沿って延在する連結凸条27bが設けられている。図示しないが、連結凸条27bは、軸線Lの周りに複数が設けられている。
【0060】
ノンライジングプレート27の連結凸部27aは、スピンドル47の連結凹部47bに挿入されている。ノンライジングプレート27の連結凸条27bは、スピンドル47の連結凹条47cに挿入されている。
【0061】
したがって、ノンライジングプレート27が軸線Lを中心として回動されると、連結凸条27b及び連結凹条47cを介して、スピンドル47も同じ方向へと回動される。しかし、連結凹条47cと連結凸条27bとは、軸線Lに沿う方向への相対移動が可能であるため、スピンドル47の軸線Lに沿う方向への移動にノンライジングプレート27は追従しない。このような構造は「ノンライジング機構」と呼ばれている。
【0062】
図10に示すように、ノンライジングプレート27において前方側の面には、一部が離間した枠状をなすリブ27cが設けられている。ノンライジングプレート27の中心には、ねじ孔27dが設けられている。
【0063】
図7に示すように、ノンライジングプレート27は、前方側の面においてリブ27cよりも外周側の部分が、メインカバー91のフランジ94bに対して当接することで、連結凸部27aがスピンドル47の連結凹部47bから抜け出すことが抑制されている。ノンライジングプレート27のリブ27c及びねじ孔27dは、正面視において、メインカバー91の小径部94の開口94a内に位置されている。
【0064】
図7及び
図10に示すように、給水用コンセント21は、水栓22を操作するための操作部材としてのハンドル25を備えている。ハンドル25は合成樹脂製である。ハンドル25は、有蓋円筒状をなす本体97と、本体97の外周面に突設されたレバー部98とを備えている。本体97において蓋裏面の中央には、連結凸部97aが設けられている。連結凸部97aは、外周の一部が径方向に突出した形状をなしている。本体97において蓋裏面の外周には、規制凸部97bが設けられている。本体97の中心には、ねじ孔97cが設けられている。本体97の前方側の端面においてねじ孔97cの開口には、収容凹部97dが設けられている。収容凹部97dには、キャップ99が着脱可能に圧入されている。
【0065】
ハンドル25は、化粧カバー26の小径部94に本体97が外嵌された状態で配置されている。ハンドル25の連結凸部97aは、径方向に突出した部分がノンライジングプレート27のリブ27cの途切れた部分に入り込むように、リブ27cに対して挿入されている。ハンドル25のねじ孔97cに挿通されたねじ100は、ノンライジングプレート27のねじ孔27dを介してスピンドル47のねじ穴47eに螺入されている。なお、ねじ100の頭は、収容凹部97dに収容されているとともにキャップ99によって隠されている。
【0066】
ハンドル25が軸線Lを中心として回動されると、連結凸部97a及びリブ27cを介してノンライジングプレート27も同じ方向に回動される。ノンライジングプレート27が回動されると、スピンドル47も同じ方向に回動され、パッキン49が全開位置と全閉位置との間で変位される。所定範囲を超えるようなハンドル25の回動は、規制凸部97bが化粧カバー26の規制突起94cに対して、周方向における何れか一方の端面に当接することで規制される。
【0067】
次に、壁11の開口部12に対する給水用コンセント21の取付工程について説明する。
【0068】
図13は、柱13が設置済みでかつ壁11が取り付けられる前の状態を示している。給水用コンセント21は、
図2に示す完成状態から、化粧プレート24、ハンドル25及びストップカプラ64が取り外された半完成状態となっている(以下「給水用コンセント(半完成)21」とする)。給水用コンセント(半完成)21は、柱13に対して固定されている。給水用コンセント(半完成)21には、給水パイプ15が接続されている。
【0069】
給水用コンセント(半完成)21に対しては、化粧カバー26を覆うようにして保護カバー101が取り付けられている。保護カバー101は、工場出荷の段階から給水用コンセント(半完成)21に対して取り付けられている。保護カバー101は、給水用コンセント(半完成)21の運搬時や保管時や施工時等において、給水用コンセント(半完成)21が何かと衝突した際に、化粧カバー26等を直接的な衝撃から保護する。
【0070】
保護カバー101は有蓋円筒状をなしている。保護カバー101は、前方側に向かうにつれて外径が小さくなるテーパー状をなしている。テーパー状をなす保護カバー101は、複数を重ねて保管し易い。保護カバー101の最大外径は、壁11の開口部12の内径よりも小さい。
【0071】
図14に示すように、保護カバー101の外周面には、軸線Lに沿って延びる係合凹部101aが設けられている。したがって、
図13に示すように、保護カバー101の内周面において、係合凹部101aの裏側に対応する位置には、係合凸部101bが設けられている。係合凹部101aは、作業者が保護カバー101を把持し易くする。係合凸部101bは、複数の保護カバー101を重ねる際に他の保護カバー101の係合凹部101aに収容されて、複数の保護カバー101の相互間における周方向の向きを揃え易くする。
【0072】
係合凹部101a及び係合凸部101bは、周方向に間隔をおいて複数(本実施形態においては4つ)が設けられている。各係合凹部101aにおいて後方側の端縁には、蓋部101cが設けられている。蓋部101cは、対応する係合凹部101aの後方側への開口を塞ぐ。
【0073】
図14に示すように、保護カバー101において後方側の端面には、係合壁102が後方側に向かって突設されている。係合壁102は、係合凹部101aに対して周方向へずれた位置に、上下一対及び左右一対が配置されている(上方側及び右方側の係合壁102のみ図示)。左右一対の係合壁102には、係合孔102aがそれぞれ設けられている。
【0074】
保護カバー101は、左右一対の係合壁102の間に支持部材23の一対の係合壁72eが位置するようにして、支持部材23に対して取り付けられている。保護カバー101において、各係合壁102の係合孔102aには、支持部材23の対応する係合壁72eの係合突起72fがそれぞれスナップ係合されている。係合壁102と係合壁72eとのスナップ係合によって、保護カバー101が支持部材23に対して着脱可能に固定されている。第1ねじ孔72cの前方側は、保護カバー101の蓋部101cによって覆われている。蓋部101cは、第1ねじ孔72cの汚損等を防止する。
【0075】
図13に示すように、給水用コンセント(半完成)21が柱13に対して取り付けられるとともに、給水用コンセント(半完成)21に対して給水パイプ15が接続された後、開口部12が設けられた壁11が取り付けられる。壁11を取り付ける際には、開口部12における後方側の開口から、保護カバー101の前方側の端部が挿入される。壁11が取り付けられた状態では、保護カバー101が開口部12を挿通された状態となり、保護カバー101の前方側の端部は、開口部12の前方側の開口から前方へと突出された状態となる。
【0076】
図14に示すように、壁11が取り付けられた後、給水用コンセント(半完成)21から保護カバー101が取り外される。保護カバー10の取り外しは、保護カバー101の係合壁102と支持部材23の係合壁72eとのスナップ係合を解除することで行われる。前述したように、保護カバー101の最大外径は、壁11の開口部12の内径よりも小さい。したがって、当該径差によって生じる隙間を利用することで、保護カバー101と支持部材23とのスナップ係合を解除する作業を、開口部12の前方側から容易に行い得る。また、当該径差によって、スナップ係合が解除された保護カバー101を、開口部12から壁11の前方側へと容易に取り出し得る。
【0077】
図15に示すように、保護カバー101が取り外された給水用コンセント(半完成)21には、ベース81及び装飾部材83の順で、壁11の前方側より化粧プレート24が取り付けられる。化粧プレート24が取り付けられた給水用コンセント(半完成)21は、弁部31Aにおいてノンライジングプレート27側の部分と、送水側継手部33とが、それらを覆う化粧カバー26の一部とともに、挿通孔83aを介して化粧プレート24よりも前方に突出されている(
図2参照)。
【0078】
ここで、
図2に示すように、壁11の厚さは比較的小さい。したがって、支持部材23と化粧プレート24との前後方向での間隔は狭くなっており、化粧カバー26における化粧プレート24から前方側への突出量は大きい。しかし、化粧カバー26は、壁11の前後方向へと長く、化粧カバー26の後端部は化粧プレート24の挿通孔83a内に収まっている。よって、挿通孔83aを正面視した場合において、弁部31Aの弁ハウジング41等は、化粧カバー26で隠れて見え難くなっており、化粧カバー26による装飾性は保たれている。
【0079】
図2及び
図15に示すように、化粧プレート24が取り付けられた給水用コンセント(半完成)21には、ハンドル25及びストップカプラ64が、壁11の前方側より取り付けられ、よって給水用コンセント21が完成される。
【0080】
次に、開口部12に取り付けられた状態にある給水用コンセント21のメンテナンスについて説明する。
【0081】
当該メンテナンスの例としては、スピンドル交換作用と弁部交換作業とが挙げられる。スピンドル交換作業は、弁部31Aと受水側継手部32とが相互に固定された状態のままで、弁部31Aからスピンドル47が取り外されることで行われる。弁部交換作業は、弁部31Aが受水側継手部32から取り外されることで行われる。
【0082】
図17に示すように、スピンドル交換作業及び弁部交換作業とも、前述した給水用コンセント21の取付工程とは逆の手順で、ハンドル25及びストップカプラ64が取り外されるとともに、化粧プレート24においては装飾部材83がベース81から取り外される。装飾部材83が取り外されたベース81は、透孔81aの内縁とメインカバー91の外周面との隙間が前方側に露出された状態となる。
【0083】
透孔81aの内縁とメインカバー91の外周面との隙間を利用して、壁11の前方側から、弁ハウジング41とメインカバー91とのスナップ係合を解除する作業が行われる。弁ハウジング41とのスナップ係合が解除されたメインカバー91は、ベース81の透孔81aから壁11の前方側へと取り外される。メインカバー91が取り外されることで、ノンライジングプレート27における前方側のほぼ全体が露出された状態となる。
【0084】
この状態から、スピンドル交換作業を行う場合には、
図18に示すように、ノンライジングプレート27がスピンドル47から取り外されるとともに、スピンドル47が弁ハウジング41からパッキン49とともに取り外される。取り外されたスピンドル47は、新品のパッキン49が取り付けられたものに変更され、弁ハウジング41に対して取り付けられた後、ノンライジングプレート27が取り付けられる。
【0085】
また、弁部交換作業を行う場合には、
図19に示すように、透孔81aの内縁と弁ハウジング41の外周面との隙間を利用して、壁11の前方側からねじ56を取り外す作業が行われる。ねじ56が取り外されることで、弁部31Aと受水側継手部32(
図11参照)との固定が解除される。受水側継手部32との固定が解除された弁部31Aは、サブカバー95とともに、ベース81の透孔81aから壁11の前方側へと取り出される。取り出された弁部31Aは、ノンライジングプレート27及びサブカバー95が取り外されるとともに新たなものと交換され、ノンライジングプレート27及びサブカバー95が再度取り付けられた後、受水側継手部32に対して取り付けられる。
【0086】
前述したスピンドル交換作業又は弁部交換作業が終了した後には、逆の手順で、メインカバー91、装飾部材83、ハンドル25及びストップカプラ64がそれぞれ取り付けられる。
【0087】
次に、壁11よりも厚さが大きな壁111の開口部112に取り付けられた給水用コンセント21について説明する。
【0088】
図16に示すように、壁111の開口部112に取り付けられた給水用コンセント21は、支持部材23と化粧プレート24との前後方向への間隔が広くなっており、化粧プレート24から前方側への化粧カバー26の突出量は小さい。したがって、化粧カバー26における後方側の端部は、化粧プレート24の挿通孔83aから後方側へと大きく突出されており、当然ながら、挿通孔83aを正面視した場合において、弁部31A(
図10参照)の弁ハウジング41等は、化粧カバー26で隠れてより一層見え難くなっている。
【0089】
つまり、
図2及び
図16に示すように、化粧プレート24と、化粧カバー26が取り付けられた水栓22とは、壁11,111の厚さに応じて、壁11,111の前後方向へ所定範囲において相対位置の調整が可能である。また、当該所定範囲の何れの調整位置においても、ハンドル25と化粧プレート24との間で水栓22を覆い得るように、化粧カバー26は、壁11,111の前後方向へと長く設けられて、挿通孔83aから壁11,111の前方側への突出量を変更可能となっている。
【0090】
よって、本実施形態の給水用コンセント21によれば、従来技術のような、壁11,111の厚みを把握する面倒、壁11,111の厚みに応じてスペーサの有無や枚数を選択する面倒、及び化粧プレート24と壁11,111との間にスペーサを配置する面倒がなく、壁11,111の厚みが異なる場合の対応が容易となる。
【0091】
なお、
図1、
図2、
図9、
図10及び
図16に示すように、化粧カバー26において、前記所定範囲で化粧プレート24の挿通孔83aに対応する部分の外形は、挿通孔83aの鍵穴形状に沿った同じく鍵穴形状が、軸線Lに沿う方向に延在されたものとなっている。
【0092】
したがって、
図2及び
図16に示すように、前記所定範囲の何れの調整位置においても、化粧プレート24の挿通孔83aの内縁と、化粧カバー26において挿通孔83a内に位置する部分との隙間を一定にできる。よって、壁11,111の厚みが異なる場合においても、当該隙間付近の見栄えを一定に維持できる。
【0093】
「別例」
上記実施形態は次のように変更することも可能である。
○化粧プレート24を、支持部材23ではなく、壁11,111に対して直接的に固定すること。
【0094】
○支持部材23を、柱13ではなく、壁11,111に対して直接的に固定すること。
【0095】
○化粧プレート24と支持部材23とで壁11,111を挟み込むことで、給水用コンセント21を開口部12に取り付けること。
【0096】
○化粧プレート24からベース81を削除して、装飾部材83を支持部材23に対して直接的に固定すること。
【0097】
○化粧プレート24のベース81を円盤状とすること。
【0098】
○化粧プレート24(ベース81及び装飾部材83)を円盤状とすること。
【0099】
○化粧カバー26のメインカバー91を角筒状とすること。
【0100】
○化粧カバー26において、メインカバー91とサブカバー95とを一体とすること。
【0101】
○ノンライジングプレート27を削除して、ハンドル25とスピンドル47とを直接的に連結すること。
【0102】
○弁部31A,31Bをボールバルブとすること。
【0103】
○弁部31A,31Bを電磁弁等の電気的駆動弁とすること。
【0104】
「付記」
上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)壁の開口部に取り付けられ、前記壁の裏側に配置された給水部材から水を受けて前記壁の表側へ水を導出するために用いられる給水用コンセントであって、
前記給水部材が接続される受水側継手部と、前記壁の表側に配置された機器等への給水ホースが接続される送水側継手部と、前記受水側継手部と前記送水側継手部との間を開閉可能な弁部とを備えた水栓と、
前記壁の表側に配置されるとともに前記弁部に取り付けられ、当該弁部を操作するための操作部材と、
前記壁の裏側に配置されて前記水栓を支持する支持部材と、
前記壁の表側に配置されて前記開口部を覆う化粧プレートと、
前記水栓に取り付けられて前記操作部材と前記化粧プレートとの間で前記水栓を覆う化粧カバーと
を備え、
前記化粧プレートには挿通孔が設けられ、当該挿通孔には前記化粧カバーが取り付けられた前記水栓が挿通され、前記化粧プレートと前記化粧カバーが取り付けられた前記水栓とは、前記壁の厚さに応じて当該壁の表裏方向へ所定範囲において相対位置の調整が可能であって、当該所定範囲の何れの調整位置においても前記操作部材と前記化粧プレートとの間で前記水栓を覆い得るように、前記化粧カバーは、前記表裏方向へと長く設けられて、前記挿通孔から前記壁の表側への突出量を変更可能となっている給水用コンセント。
【0105】
(ロ)前記化粧カバーにおいて前記所定範囲で前記挿通孔に対応する部分の外形は、前記挿通孔の内縁の形状に沿った形状をなしている技術的思想(イ)に記載の給水用コンセント。
【符号の説明】
【0106】
11…壁、12…開口部、15…給水部材としての給水パイプ、16…給水ホース、21…給水用コンセント、22…水栓、23…支持部材、24…化粧プレート、25…操作部材としてのハンドル、26…化粧カバー、31A,31B…弁部、32…受水側継手部、33…送水側継手部、83a…化粧プレートの挿通孔、111…壁。