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特許7597212リチウムイオン二次電池負極添加剤及びそれを含むリチウムイオン二次電池負極スラリー並びにリチウムイオン二次電池
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  • 特許-リチウムイオン二次電池負極添加剤及びそれを含むリチウムイオン二次電池負極スラリー並びにリチウムイオン二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池負極添加剤及びそれを含むリチウムイオン二次電池負極スラリー並びにリチウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20241203BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20241203BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20241203BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H01M4/62 Z
H01M4/13
H01M4/587
H01M4/38 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023519074
(86)(22)【出願日】2021-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2021119864
(87)【国際公開番号】W WO2022063169
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】202011032268.5
(32)【優先日】2020-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周 燕
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲麗▼
(72)【発明者】
【氏名】李 于利
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/065883(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/118834(WO,A1)
【文献】特開2010-113870(JP,A)
【文献】特開2006-310232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13-62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアスパラギン酸塩と、水とを含み、
リチウムイオン二次電池負極添加剤中における前記ポリアスパラギン酸塩の含有量は、40wt%から50wt%の範囲内であり、且つ、リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、リチウムイオン二次電池負極添加剤中における前記ポリアスパラギン酸塩の不溶物の量は、15wt%未満である、
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池負極添加剤。
【請求項2】
前記ポリアスパラギン酸塩は、ポリアスパラギン酸カリウム、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ポリアスパラギン酸バリウム中のいずれか1種、又はその任意の組み合わせから選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池負極添加剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池負極添加剤、負極活物質及び導電剤を含み、
前記負極活物質の総重量に基づいて、前記リチウムイオン二次電池負極添加剤中における前記ポリアスパラギン酸塩の量は、0.05wt%から3wt%の範囲内である、
ことを特徴とするリチウムイオン二次電池負極スラリー。
【請求項4】
さらに、粘着剤及び増粘剤を含む、
ことを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン二次電池負極スラリー。
【請求項5】
前記負極活物質の総重量に基づいて、前記リチウムイオン二次電池負極添加剤中における前記ポリアスパラギン酸塩の量は、0.05wt%から0.5wt%の範囲内である、
ことを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン二次電池負極スラリー。
【請求項6】
85重量部から95重量部の前記負極活物質、1重量部から5重量部の前記粘着剤、1重量部から5重量部の前記増粘剤、1重量部から5重量部の前記導電剤、及び前記ポリアスパラギン酸塩の量が前記負極活物質の総重量の0.05wt%から3wt%になるように、所定量の前記ポリアスパラギン酸塩を含む、
ことを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン二次電池負極スラリー。
【請求項7】
前記負極活物質は、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機ポリマー焼成体、炭素繊維、活性炭、及びシリコンベース材料含有黒鉛とシリコンベース材料を含む、
ことを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン二次電池負極スラリー。
【請求項8】
正極シートと、負極シートと、セパレータと、を含むリチウムイオン二次電池であって、
前記負極シート上に請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池負極スラリーが塗布されている、ことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池の分野に関し、具体的には、リチウムイオン二次電池負極添加剤及びそれを含む負極スラリー並びにリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子技術の継続的な更新に伴い、電子機器のエネルギー供給を支える電池デバイスに対するニーズも高まっている。現在、より多くの電力を蓄え、高い電力を出力できる電池が求められている。従来の鉛蓄電池やニッケル水素電池などは、新型電子製品に対するニーズを満たすことができなくなっている。そのため、リチウム電池が注目されている。リチウム電池の開発過程では、その容量や性能が比較的効果的に向上している。
【0003】
従来技術中のリチウム電池は、リチウム金属電池とリチウムイオン電池の2種類に分類される。リチウム金属電池は、負極としてリチウム金属又はリチウム合金を用いており、その危険性がより大きいため、日常生活における電子機器にはほとんど使用されていない。リチウムイオン電池は、金属状態のリチウムを含まず、通常はリチウム合金金属酸化物を正極材料として、黒鉛を負極材料として使用することが多い。しかし、一般的に使用されるリチウムイオン二次電池には、まだ多くのデメリットがある。従来技術では、リチウムイオン二次電池の電気化学性能、特にサイクル維持率と放電效率はまだ思うように行かない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、従来技術中のリチウムイオン二次電池の電気化学性能が不十分であるという問題を解決するために、リチウムイオン二次電池負極添加剤及びそれを含む負極スラリーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を実現するために、本発明に係る一形態によれば、ポリアスパラギン酸塩と、水とを含むリチウムイオン二次電池負極添加剤を提供する。
【0006】
さらに、上記リチウムイオン二次電池負極添加剤において、ポリアスパラギン酸塩は、ポリアスパラギン酸カリウム、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ポリアスパラギン酸バリウム中のいずれか1種、又はその任意の組み合わせから選択される。
【0007】
さらに、上記リチウムイオン二次電池負極添加剤において、リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の含有量は、40wt%から50wt%の範囲内であり、且つ、リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の不溶物の量は、30wt%未満である。
【0008】
さらに、上記リチウムイオン二次電池負極添加剤において、リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の不溶物の量は、15wt%未満である。
【0009】
本発明の他の一形態によれば、本発明に係る負極添加剤、負極活物質及び導電剤を含むリチウムイオン二次電池負極スラリーを提供する。
【0010】
さらに、上記リチウムイオン二次電池負極スラリーにおいて、リチウムイオン二次電池負極スラリーは、負極添加剤、負極活物質、粘着剤、増粘剤及び導電剤を含む。
【0011】
さらに、上記リチウムイオン二次電池負極スラリーにおいて、負極活物質総重量に基づいて、前記リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の量は、0.05wt%から3wt%の範囲内である。
【0012】
さらに、上記リチウムイオン二次電池負極スラリーにおいて、負極活物質総重量に基づいて、前記リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の量は、0.05wt%から0.5wt%の範囲内である。
【0013】
さらに、上記リチウムイオン二次電池負極スラリーにおいて、85重量部から95重量部の負極活物質、1重量部から5重量部の粘着剤、1重量部から5重量部の増粘剤、1重量部から5重量部の導電剤、及びポリアスパラギン酸塩の量が負極活物質の総重量の0.05wt%から3wt%になるように、所定量のポリアスパラギン酸塩を含む。
【0014】
さらに、上記リチウムイオン二次電池負極スラリーにおいて、負極活物質は、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機ポリマー焼成体、炭素繊維、活性炭、及びシリコンベース材料含有黒鉛とシリコンベース材料を含む。
【0015】
本発明のさらなる一形態によれば、正極シート、負極シート、及びセパレータを含むリチウムイオン二次電池であって、負極シート上に本発明に係るリチウムイオン二次電池負極スラリーが塗布されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のリチウムイオン二次電池負極添加剤、リチウムイオン二次電池負極スラリー及び負極シート上に本発明に係るリチウムイオン二次電池負極スラリーが塗布されているリチウムイオン二次電池によって、リチウムイオン二次電池の電気化学性能、特に放電容量、充放電效率及び常温と低温での容量維持率を改善する効果が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の一部を構成する明細書の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために用いられ、本発明の概略的な実施例及びその説明は、本発明を説明するために用いられ、本発明の不当な制限を構成するものではない。図面は下記の通りである。
図1】本発明に係る実施例1~3及び比較例1の水性媒体における分散状況を示す。
図2】本発明に係る実施例4~6及び比較例2の水性媒体における分散状況を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
説明すべきものとして、本発明中の実施例及び実施例中の特征は、互いに矛盾なく組み合わせることが可能である。以下、添付図面を参照して、実施例と結合して本発明を詳細に説明する。
【0019】
背景技術に説明されるように、従来技術中のリチウムイオン二次電池の負極添加剤は、通常、分散剤を添加することにより、スラリーに、調製過程中の良好な分散性を示させることができる。しかし、分散剤の添加により、電池の電気化学性能、特にサイクル維持率や放電效率が不利に低下する。従来技術に存在する問題に対して、本発明の典型的な実施形態によれば、ポリアスパラギン酸塩と、水とを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池負極添加剤を提供する。
【0020】
従来技術中のリチウムイオン二次電池添加剤とは異なり、本発明の添加剤には、分散剤としてポリアスパラギン酸塩を使用する。ポリアスパラギン酸塩は、複数のアミノ酸分子がペプチド結合によって結合された水溶性高分子塩である。ポリアスパラギン酸塩の構造には、親水性のカルボキシル基、カルボニル基、アミノ基の基が多く含まれているため、ポリアスパラギン酸塩は、親水性と親油性の両方の特性を発揮して分散剤としての効果を発揮することができる。驚くべきことに、ポリアスパラギン酸塩をリチウムイオン二次電池の負極スラリーに添加した後、負極活物質を水性スラリーに良好に分散させることができる。
【0021】
以下の方法によって負極添加剤を含む負極電極シートを調製する。水性媒体に負極活物質と導電剤を均一に混合し、次に増粘剤を加えて攪拌する。その後、本発明のポリアスパラギン酸塩と水を含むリチウムイオン二次電池負極添加剤を加えて攪拌し続け、最後に粘着剤を加えて均一に攪拌し、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを一定時間静置し、次に得られた負極スラリーを金属箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得る。
【0022】
負極シートを調製する工程において、本発明の負極添加剤が添加されるため、負極活物質が水性媒体に均一に分散することができ、それによって良好な分散性を有する負極スラリーを形成することができる。負極スラリーが均一な分散性を持っているため、金属箔上に塗布した後、負極スラリー中の負極活物質は導電剤と均一に金属箔上に分布している。得られた負極シートを使用する場合、リチウムイオン二次電池の電気化学性能が良好に改善される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、ポリアスパラギン酸塩は、ポリアスパラギン酸カリウム、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ポリアスパラギン酸バリウム中の1種、又はその任意の組み合わせから選択される。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、ポリアスパラギン酸塩は、ポリアスパラギン酸カリウム、ポリアスパラギン酸ナトリウム中の1種、又はその組み合わせから選択される。
【0024】
本発明のいくつかのさらなる実施形態によれば、リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の含有量は、40wt%から50wt%の範囲内であり、且つ、リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、ポリアスパラギン酸塩の不溶物の量は、30wt%未満である。さらなる好ましい実施形態において、リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、ポリアスパラギン酸塩の不溶物の量は、15wt%未満である。
【0025】
得られたリチウムイオン二次電池負極添加剤の懸濁液中におけるポリアスパラギン酸塩の不溶物含有量(%不溶物)は、以下の方法で得られる。所定重量のポリアスパラギン酸塩(Wポリアスパラギン酸塩)を秤量し、一定重量の脱イオン水(W水)を秤量し、混合して負極添加剤を獲得し、得られた負極添加剤懸濁液をろ過して得られた固形物が一定重量になるまでに乾燥し、得られた乾燥固形物の重量(W固形物)を秤量し、以下の計算により算出する。
%不溶物=(W固形物/(Wポリアスパラギン酸塩+W水))*100%。
【0026】
リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の含有量が40wt%未満であると、ポリアスパラギン酸塩の含有量が不十分であるため、分散効果を有効に実現することができない。リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の含有量が50wt%を超えると、過剰なポリアスパラギン酸塩は、電池の導電性に悪影響を及ぼす。
【0027】
リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の不溶物の量が30wt%を超えると、ポリアスパラギン酸塩の水溶性が明らかに不十分であり、有効の分散効果を実現することができない。本発明の異なる実施形態において、リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の不溶物の量は、25wt%未満、20wt%未満、15wt%未満、10wt%未満、7wt%未満、6wt%未満、5wt%未満、4wt%未満、3wt%未満、又は2wt%未満である。
【0028】
本発明の異なる実施形態において、リチウムイオン二次電池負極添加剤において、ポリアスパラギン酸塩の含有量とポリアスパラギン酸塩の不溶物の量は、ポリアスパラギン酸塩の含有量が42wt%超であり、且つ前記リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、ポリアスパラギン酸塩の不溶物の量が25wt%未満であってもよく、ポリアスパラギン酸塩の含有量が45wt%超であり、且つ前記リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、ポリアスパラギン酸塩の不溶物の量が20wt%未満であることであってもよく、ポリアスパラギン酸塩の含有量が47wt%超であり、且つ前記リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、ポリアスパラギン酸塩の不溶物の量が15wt%未満であってもよく、ポリアスパラギン酸塩の含有量が42wt%超であり、且つ前記リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、ポリアスパラギン酸塩の不溶物の量が10wt%未満であってもよく、ポリアスパラギン酸塩の含有量が40wt%超であり、且つ前記リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、ポリアスパラギン酸塩の不溶物の量が5wt%未満であってもよく、ポリアスパラギン酸塩の含有量が46wt%超であり、且つ前記リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、ポリアスパラギン酸塩の不溶物の量が3wt%未満であってもよく、或いは、ポリアスパラギン酸塩の含有量が40wt%超であり、且つ前記リチウムイオン二次電池負極添加剤の総重量に基づいて、ポリアスパラギン酸塩の不溶物の量が2wt%未満であってもよい。
【0029】
本発明の他の典型的な実施形態によれば、本発明の負極添加剤、負極活物質及び導電剤を含むリチウムイオン二次電池負極スラリーを提供し、ここで、負極添加剤は、ポリアスパラギン酸塩と、水とを含む。
【0030】
本発明の好ましい実施形態において、リチウムイオン二次電池負極スラリーは、本出願の負極添加剤、負極活物質、粘着剤、増粘剤及び導電剤を含み、ここで、負極添加剤は、ポリアスパラギン酸塩と、水とを含む。本実施形態において、負極スラリーを調製する時、負極活物質、導電剤と増粘剤の混合スラリー中に、同時にポリアスパラギン酸塩と水を含有する負極添加剤を添加し、最後に粘着剤を加えて均一に攪拌し、負極スラリーを得る。
【0031】
本発明に係るさらなる好ましい実施形態によれば、正極シート、負極シート、及びセパレータを含むリチウムイオン二次電池であって、負極シート上に本発明に係るリチウムイオン二次電池負極スラリーが塗布されているリチウムイオン二次電池を提供する。
【0032】
ポリアスパラギン酸塩は分散剤として分散性作用を示するため、本発明の負極スラリー中には、互いに促進し合い、スラリーにより優れた分散性を示させることができる。なお、ポリアスパラギン酸塩は長鎖ポリマーであるため、スラリーを乾燥して負極シートを得る過程で絡み合い現象が発生し、スラリーの金属箔への接着効果が増加する。金属箔上に塗布した後、均一な分散性を有するため、本発明の負極スラリー中の導電剤は金属箔上に均一に分布する。本発明で得られた負極シートを使用した場合、リチウムイオン二次電池の電気化学性能が良好に改善される。
【0033】
上記実施形態において、ポリアスパラギン酸塩は、ポリアスパラギン酸カリウム、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ポリアスパラギン酸バリウム中の1種、又は任意の組み合わせから選択される。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、ポリアスパラギン酸塩は、ポリアスパラギン酸カリウム、ポリアスパラギン酸ナトリウム中の1種、又はその組み合わせから選択される。
【0034】
いくつかの実施形態において、負極活物質総重量に基づいて、リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の量は、0.05wt%からw3wt%の範囲内である。リチウムイオン二次電池の負極スラリーは、通常、負極活物質、粘着剤、増粘剤及び導電剤からなり、且つ本発明で使用されるポリアスパラギン酸塩は負極活物質を有効に分散させるために用いられるため、発明者らは、大量の実験を行った結果、上記添加量の範囲で、負極活物質を負極スラリーに均一に分散させ、他の成分(粘着剤、増粘剤及び導電剤等)の効果に悪影響を及ぼさないことが見出した。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の添加量は、異なる組み合わせに対して、その下限が、負極活物質の総重量の0.05wt%、0.06wt%、0.07wt%、0.1wt%、0.15wt%、0.2wt%、0.25wt%、0.5wt%、0.75wt%、1wt%、1.25wt%、1.5wt%、1.75wt%、2wt%、2.25wt%、2.5wt%、2.75wt%の範囲内であってもよく、且つリチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の添加量の上限が、負極活物質の総重量の2.5wt%、2.6wt%、2.7wt%、2.8wt%、2.9wt%、3wt%の範囲内であってもよい。
【0036】
具体的には、リチウムイオン二次電池負極添加剤中におけるポリアスパラギン酸塩の添加量は、負極活物質の総重量の0.05wt%から3wt%、0.06wt%から3wt%、0.07wt%から3wt%、0.08wt%から3wt%、0.09wt%から3wt%、0.1wt%から3wt%、0.15wt%から3wt%、0.2wt%から3wt%、0.25wt%から3wt%、0.3wt%から3wt%、0.5wt%から3wt%、0.75wt%から3wt%、1wt%から3wt%、1wt%から2wt%、1.25wt%から3wt%、1.5wt%から3wt%、1.75wt%から3wt%、2wt%から3wt%、2.25wt%から3wt%、2.5wt%から3wt%、2.75wt%から3wt%、0.05wt%から0.3wt%、0.06wt%から0.3wt%、0.07wt%から0.3wt%、0.08wt%から0.3wt%、0.09wt%から0.3wt%、0.1wt%から0.3wt%、0.3wt%から0.5wt%、0.3wt%から0.6wt%、0.3wt%から0.7wt%、0.3wt%から0.8wt%、0.3wt%から0.9wt%、0.3wt%から1.0wt%の範囲内であってもよい。
【0037】
上記実施形態において、好ましくは、リチウムイオン二次電池負極スラリーは、85重量部から95重量部の負極活物質、1重量部から5重量部の粘着剤、1重量部から5重量部の増粘剤、1重量部から5重量部の導電剤、及びポリアスパラギン酸塩の量が負極活物質の総重量の0.05wt%から5wt%になるように、所定量のポリアスパラギン酸塩を含む。上記数値範囲内であれば、本発明の負極スラリーを最適な配合比率で調製することができ、形成される負極スラリーは良好な分散性を示すことができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の負極スラリーに含まれる負極活物質は、シリコンベース材料含有黒鉛を含む。負極活物質には、負極活物質として、リチウムを吸蔵・放出可能な1種又は複種の負極材料が含まれる。リチウムを吸蔵・放出可能な負極材料の例として、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機ポリマー焼成体、炭素繊維、活性炭、ケイ素-酸素系材料、ケイ素-炭素系材料(例えば、シリコンベース材料含有黒鉛)、又はケイ素合金などの炭素材料及びシリコンベース材料が例示される。これらの材料では、コークスとしては、ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスなどが例示される。有機ポリマー焼成体は、フェノール樹脂やフラン樹脂などのポリマー材料を適当な温度で焙焼し、炭化することで得られる。いくつかの有機ポリマー焼成体には、難黒鉛化性炭素と易黒鉛化性炭素に分類されるものがある。好ましくは、シリコンベース材料含有黒鉛である。
【実施例
【0039】
以下、本発明を具体的な実施例と結合してさらに詳細に説明するが、これら実施例は本発明の請求の範囲を限定するものとして理解されるものでない。
【0040】
以下の実施例1~6及び比較例1~2により、本出願のリチウムイオン二次電池負極添加剤の電極活物質への分散効果を観察し、図1図2にそれぞれカメラで撮影した実施例1~3と比較例1(図1)、及び実施例4~6と比較例2(図2)の見かけ分散状況を示す。
【0041】
実施例1
1)リチウムイオン二次電池負極添加剤の調製:40gのポリアスパラギン酸ナトリウムを取り、60gの水に攪拌しながら加え、リチウムイオン二次電池負極添加剤の懸濁液を作製した。測定したところ、そのポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物含有量が1%であった。それにより、そのポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量が40%で、ポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物含有量が1%であるリチウムイオン二次電池負極添加剤を作製した。
2)リチウムイオン二次電池負極スラリーの調製:ステップ1)で作製したポリアスパラギン酸ナトリウムを含むリチウムイオン二次電池負極添加剤0.15g(ポリアスパラギン酸ナトリウム0.06gを含有する。)を取り、攪拌して15gの水に加え、次に3gの黒鉛活物質をリチウムイオン二次電池負極添加剤の水溶液に加え、底部の黒鉛活物質が撹拌されて懸濁液を形成するまで攪拌して、懸濁液を30分間静置した後、分散現象を観察した。
【0042】
実施例2
1)リチウムイオン二次電池負極添加剤の調製:40gのポリアスパラギン酸カリウムを取り、60gの水に攪拌しながら加え、リチウムイオン二次電池負極添加剤の懸濁液を作製した。測定したところ、そのポリアスパラギン酸カリウムの不溶物含有量が2%であった。それにより、そのポリアスパラギン酸カリウムの含有量が40%で、ポリアスパラギン酸カリウムの不溶物含有量が2%であるリチウムイオン二次電池負極添加剤を作製した。
2)リチウムイオン二次電池負極スラリーの調製:ステップ1)で作製したポリアスパラギン酸カリウムを含むリチウムイオン二次電池負極添加剤0.15g(ポリアスパラギン酸カリウム0.06gを含有する。)を取り、攪拌して15gの水に加え、次に3g黒鉛活物質をリチウムイオン二次電池負極添加剤の水溶液に加え、底部の黒鉛活物質が撹拌されて懸濁液を形成するまで攪拌して、懸濁液を30分間静置した後、分散現象を観察した。
【0043】
実施例3
1)リチウムイオン二次電池負極添加剤の調製:20gのポリアスパラギン酸カリウム及20gのポリアスパラギン酸ナトリウムを取り、60gの水に攪拌しながら加え、リチウムイオン二次電池負極添加剤の懸濁液を作製した。測定したところ、そのポリアスパラギン酸塩の不溶物含有量が2%であった。それにより、そのポリアスパラギン酸塩の含有量が40%で、ポリアスパラギン酸カリウム塩の不溶物含有量が2%であるリチウムイオン二次電池負極添加剤を作製した。
2)リチウムイオン二次電池負極スラリーの調製:ステップ1)で作製したポリアスパラギン酸塩を含むリチウムイオン二次電池負極添加剤0.15g(ポリアスパラギン酸塩0.06gを含有する。)を取り、攪拌して15gの水に加え、次に3g黒鉛活物質をリチウムイオン二次電池負極添加剤の水溶液に加え、底部の黒鉛活物質が撹拌されて懸濁液を形成するまで攪拌し続けて、懸濁液を30分間静置した後、分散現象を観察した。
【0044】
比較例1
3gの黒鉛活物質を直接に15gの水に加え、底部の黒鉛活物質が撹拌されて懸濁液を形成するまで攪拌して、30分間静置した後、分散現象を観察した。
【0045】
実施例4
1)リチウムイオン二次電池負極添加剤の調製:40gのポリアスパラギン酸ナトリウムを取り、60gの水に攪拌しながら加え、リチウムイオン二次電池負極添加剤の懸濁液を作製した。測定したところ、そのポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物含有量が1%であった。それにより、そのポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量が40%で、ポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物含有量が1%であるリチウムイオン二次電池負極添加剤を作製した。
2)リチウムイオン二次電池負極スラリーの調製:ステップ1)で作製したポリアスパラギン酸ナトリウムを含むリチウムイオン二次電池負極添加剤0.15g(ポリアスパラギン酸ナトリウム0.06gを含有する。)を取り、攪拌して15gの水に加え、次に3g一酸化ケイ素材料をリチウムイオン二次電池負極添加剤の水溶液に加え、底部の一酸化ケイ素材料が撹拌されて懸濁液を形成するまで攪拌し続けて、懸濁液を30分間静置した後、分散現象を観察した。
【0046】
実施例5
1)リチウムイオン二次電池負極添加剤の調製:40gのポリアスパラギン酸カリウムを取り、60gの水に攪拌しながら加え、リチウムイオン二次電池負極添加剤の懸濁液を作製した。測定したところ、そのポリアスパラギン酸カリウムの不溶物含有量が2%であった。それにより、そのポリアスパラギン酸カリウムの含有量が40%で、ポリアスパラギン酸カリウムの不溶物含有量が2%であるリチウムイオン二次電池負極添加剤を作製した。
2)リチウムイオン二次電池負極スラリーの調製:ステップ1)で作製したポリアスパラギン酸カリウムを含むリチウムイオン二次電池負極添加剤0.15g(ポリアスパラギン酸カリウム0.06gを含有する。)を取り、攪拌して15gの水に加え、次に3g一酸化ケイ素材料をリチウムイオン二次電池負極添加剤の水溶液に加え、底部の一酸化ケイ素材料が撹拌されて懸濁液を形成するまで攪拌し続けて、懸濁液を30分間静置した後、分散現象を観察した。
【0047】
実施例6
1)リチウムイオン二次電池負極添加剤の調製:20gのポリアスパラギン酸カリウム及び20gのポリアスパラギン酸ナトリウムを取り、60gの水に攪拌しながら加え、リチウムイオン二次電池負極添加剤の懸濁液を作製した。測定したところ、そのポリアスパラギン酸塩の不溶物含有量が2%であった。それにより、そのポリアスパラギン酸塩の含有量が40%で、ポリアスパラギン酸塩の不溶物含有量が2%であるリチウムイオン二次電池負極添加剤を作製した。
2)リチウムイオン二次電池負極スラリーの調製:ステップ1)で作製したポリアスパラギン酸塩を含むリチウムイオン二次電池負極添加剤0.15g(ポリアスパラギン酸塩0.06gを含有する)を取り、攪拌して15gの水に加え、次に3gの一酸化ケイ素活物質をリチウムイオン二次電池負極添加剤の水溶液に加え、底部の黒鉛活物質が撹拌されて懸濁液を形成するまで攪拌し続けて、懸濁液を30分間静置した後、分散現象を観察した。
【0048】
比較例2
3gの一酸化ケイ素材料を直接に15gの水に加え、底部の一酸化ケイ素材料が撹拌されて懸濁液を形成するまで攪拌して、30分間静置した後、分散現象を観察した。
【0049】
本発明の実施例1~6及び比較例1~2の電極活物質の水における分散の実験結果は、それぞれ図1図2を参照し、ここで、図1には実施例1~3及び比較例1の電極活物質の水における分散の実験結果を示し、図2には実施例4~6及び比較例2の電極活物質の水における分散の実験結果を示す。
【0050】
上記実施例と比較例から分かるように、それぞれポリアスパラギン酸カリウム及び/又はポリアスパラギン酸ナトリウムを添加してリチウムイオン二次電池負極添加剤を調製した本発明実施例1~6において、電極活物質が溶媒中に良好に分散して懸濁液を形成した。一方、いずれの添加剤も添加しなかった比較例1~2の負極活物質は、溶媒の表面に懸濁しており、且つ比較例1の結果から明らかなように、黒鉛活物質は、大量に凝集しており、比較例2でも一酸化ケイ素の負極活物質が水性溶媒の表面に比較的多く凝集している。したがって、本発明の添加剤を使用した場合、ポリアスパラギン酸カリウム又はポリアスパラギン酸ナトリウムなどから選択されるポリアスパラギン酸塩が、電極活物質又は他の負極に添加必要な物質の水性溶媒における表面張力を効果的に低下させることができるため、それらの電極スラリー中の分散に寄与し、最後に調製された電極材料中に、例えば、電極活物質、導電剤、バインダーなどの各種物質を電極材料に均一に分散させることができる。
【0051】
以下の実施例と比較例により、ポリアスパラギン酸塩を使用してリチウムイオン二次電池負極添加剤を調製した後、さらに調製したリチウムイオン二次電池負極スラリーをリチウムイオン二次電池負極シートに塗布し、乾燥してリチウムイオン二次電池負極シートを得て、電池性能を改善させることを示した。
【0052】
実施例7
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、次に5.58gの以下で得られたポリアスパラギン酸ナトリウムを含む脱イオン水溶液/懸濁液(負極添加剤)を加え、ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの添加量が2.79g(活物質の総重量に基づいて3wt%)であり、(ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量が50%であり、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物の量が5%である。)、30分間攪拌し続け、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0053】
実施例8
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、次に0.1175gの以下で得られたポリアスパラギン酸ナトリウムを含む脱イオン水溶液/懸濁液(負極添加剤)を加え、ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの添加量が0.047g(活物質の総重量に基づいて0.05wt%)であり、(ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量が40%であり、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物の量が2%である。)、30分間攪拌し続け、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0054】
実施例9
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、次に0.558gの以下で得られたポリアスパラギン酸ナトリウムを含む脱イオン水溶液/懸濁液(負極添加剤)を加え、ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの添加量が0.279g(活物質の総重量に基づいて0.3wt%)であり、(ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量が50%であり、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物の量が1%である。)、30分間攪拌し続け、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0055】
実施例10
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、次に1.1625gの以下で得られたポリアスパラギン酸ナトリウムを含む脱イオン水溶液/懸濁液(負極添加剤)を加え、ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの添加量が0.465g(活物質の総重量に基づいて0.5wt%)であり、(ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量が40%であり、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物の量が3%である。)、30分間攪拌し続け、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0056】
比較例3
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0057】
比較例4
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、次に11.625gの以下で得られたポリアスパラギン酸ナトリウムを含む脱イオン水溶液/懸濁液(負極添加剤)を加え、ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの添加量が4.65g(活物質の総重量に基づいて5wt%)であり、(ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量が40%であり、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物の量が1%である。)、30分間攪拌し続け、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0058】
実施例11
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、次に5.58gの以下で得られたポリアスパラギン酸カリウムを含む脱イオン水溶液/懸濁液(負極添加剤)を加え、ここで、ポリアスパラギン酸カリウムの添加量が2.79g(活物質の総重量に基づいて3wt%)であり、(ここで、ポリアスパラギン酸カリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸カリウムの含有量が50%であり、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸カリウムの不溶物の量が5%である。)、30分間攪拌し続け、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0059】
実施例12
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、次に0.1175gの以下で得られたポリアスパラギン酸カリウムを含む脱イオン水溶液/懸濁液(負極添加剤)を加え、ここで、ポリアスパラギン酸カリウムの添加量が0.047g(活物質の総重量に基づいて0.05wt%)であり、(ここで、ポリアスパラギン酸カリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸カリウムの含有量が40%であり、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸カリウムの不溶物の量が2%である。)、30分間攪拌し続け、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0060】
実施例13
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、次に0.558gの以下で得られたポリアスパラギン酸カリウムを含む脱イオン水溶液/懸濁液(負極添加剤)を加え、ここで、ポリアスパラギン酸カリウムの添加量が0.279g(活物質の総重量に基づいて0.3wt%)であり、(ここで、ポリアスパラギン酸カリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸カリウムの含有量が50%であり、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸カリウムの不溶物の量が1%である。)、30分間攪拌し続け、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0061】
比較例5
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、次に1.116gの以下で得られたポリアスパラギン酸ナトリウムを含む脱イオン水溶液/懸濁液(負極添加剤)を加え、ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの添加量が0.279g(活物質の総重量に基づいて0.3wt%)であり、(ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量が25%であり、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物の量が40%である。)、30分間攪拌し続け、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0062】
実施例14:
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、次に3.4875gの以下で得られたポリアスパラギン酸ナトリウムを含む脱イオン水溶液/懸濁液(負極添加剤)を加え、ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの添加量が1.395g(活物質の総重量に基づいて1.5wt%)であり、(ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量が40%であり、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物の量が1%である。)、30分間攪拌し続け、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0063】
実施例15:
1)負極シートの調製:93gのシリコンベース材料含有黒鉛(負極活物質)及び1.5gの導電剤Super-pを秤量して均一に混合し、2gの増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)を加え、脱イオン水を加えて15分間攪拌し、次に5.8125gの以下で得られたポリアスパラギン酸ナトリウムを含む脱イオン水溶液/懸濁液(負極添加剤)を加え、ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの添加量が2.325g(活物質の総重量に基づいて2.5wt%)であり、(ここで、ポリアスパラギン酸ナトリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量が40%であり、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物の量が1%である。)、30分間攪拌し続け、最後に3.5gの粘着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)を加えて30分間攪拌し続け、負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを1時間静置した後、得られたスラリーを銅箔上に塗布し、80℃で乾燥して負極シートを得た。
2)電池の組み立て及び試験:得られた負極シートを温度100℃、真空度-90kPaの真空オーブンに置いて乾燥した。5時間乾燥した後に、負極シートを真空オーブンから取り出し、負極板が冷却された後に切断、ロールプレス、ダイカットなどの後続処理を行った。
次に、負極シートと正極シートとを一緒に組み立ててボタン型ハーフセルを形成し、該実験電池にLiPF6 濃度1.08mol/kgの電解液を注入した。それぞれ25℃で初回容量と效率試験を行い、次に10℃で電流0.5Cの低温容量試験、放電電流3Cの放電倍率性能試験、及び電流1Cの常温サイクル性能試験を行った。実験結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
上記表1から分かるように、リチウムイオン二次電池負極添加剤としてポリアスパラギン酸塩を使用し、且つ脱イオン水溶液/懸濁液中に適量のポリアスパラギン酸塩が添加され、水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸塩の不溶物の量が適切であり、それによってさらにリチウムイオン二次電池負極スラリーを調製した場合、リチウムイオン二次電池は、いずれも優れた電気化学性能を示し、ここで、実施例9と実施例13は最も優れた電気化学性能を示す。比較例3との比較から、リチウムイオン二次電池負極添加剤としてポリアスパラギン酸塩を添加した実施例7~10の二次電池の結果は、いずれも比較例3の結果よりも、特に室温と低温での容量維持率の点で優れていることがわかる。
【0066】
また、比較例4では、リチウムイオン二次電池負極添加剤として過剰なポリアスパラギン酸ナトリウム(活物質に基づいて5%である。)を添加し、本発明のポリアスパラギン酸ナトリウムの活物質の総重量に基づいて0.05wt%から3wt%の範囲より高いため、その電気化学性能が不利に低下していることがわかる。そして、比較例4の電気化学性能は、例えば、放電容量、充放電効率及び常温と低温での容量維持率について、比較例3(ポリアスパラギン酸塩を添加しない)に比べて不利に低下している。特に放電倍率では、実施例13の半分程度しかない。
【0067】
また、比較例5のリチウムイオン二次電池負極添加剤では、ポリアスパラギン酸ナトリウムの脱イオン水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量が25%であり、本発明のポリアスパラギン酸ナトリウムの含有量である40wt%から50wt%の範囲より低く、且つ水溶液/懸濁液中のポリアスパラギン酸ナトリウムの不溶物の量が40%であり、本発明の30wt%未満の範囲より高いため、比較例5のリチウムイオン二次電池は、実施例13と比較して、明らかな電気性能の低下を示し、特に放電倍率は実施例13の半分程度しかなく、且つポリアスパラギン酸塩を添加しない比較例3と比較しても電気性能が明らかに劣ることがわかる。
【0068】
以上の説明は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者にとって様々な変更や変形が可能である。本発明の精神および原理の範囲内で行われた如何なる変更、等価置換、改良などは、全て本発明の保護範囲に含まれるものとする。
図1
図2