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特許7597220電子部品の製造システム、電子部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】電子部品の製造システム、電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20241203BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20241203BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H01G13/00 331C
H01G13/00 361Z
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2023529564
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 JP2022012065
(87)【国際公開番号】W WO2022270052
(87)【国際公開日】2022-12-29
【審査請求日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】P 2021103417
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】入江 常雅
(72)【発明者】
【氏名】三上 和宏
(72)【発明者】
【氏名】酒井 哲生
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-316156(JP,A)
【文献】特開2014-003145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製造工程を実施して電子部品を製造する電子部品の製造システムであって、
前記複数の製造工程それぞれに対応する異なる処理を前記電子部品に実行する複数の製造設備と、
前記製造設備に前記電子部品を配送する配送機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
複数の電子部品をロットとして登録し、
前記製造設備によって処理された前記ロットの評価結果を示す評価情報を取得し、
前記評価情報に基づき、前記ロットを配送すべき製造設備を決定し、
決定された製造設備に前記ロットを配送する指示信号を、前記配送機構に出力する、電子部品の製造システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記評価情報に基づき、前記ロットを、同一の製造設備に繰り返し配送するための指示信号を、前記配送機構に出力する、請求項1に記載の電子部品の製造システム。
【請求項3】
前記配送機構は、AGVである、請求項1または請求項2に記載の電子部品の製造システム。
【請求項4】
前記制御部は、
登録された前記ロットのロット識別情報に基づいて、ロットのステータス情報を生成し、
生成された前記ロットのステータス情報に基づいて、登録された前記ロットを、所定の製造設備に配送する指示信号を、前記配送機構に出力する、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子部品の製造システム。
【請求項5】
複数の電子部品を収容する配送箱をさらに備え、
1つの前記ロットとして登録された複数の電子部品は、1つ以上の前記配送箱に収容され、
1つの前記配送箱に収容された複数の電子部品は、同じロットの電子部品であり、
前記配送箱は、識別情報を保持する識別情報保持媒体を有し、
前記識別情報は、前記ロット識別情報を含む、または前記ロット識別情報と紐づけられる、請求項に記載の電子部品の製造システム。
【請求項6】
1つのロットとして登録された複数の電子部品は、複数の前記配送箱に分配して収容され、
前記制御部は、複数の配送箱に分配されて収容された、1つのロットを構成する電子部品を、同一の製造設備に配送するための指示信号を、前記配送機構に出力する、請求項に記載の電子部品の製造システム。
【請求項7】
前記配送機構は、AGVであり、1台の前記AGVは、1つの配送箱を配送する、請求項または請求項に記載の電子部品の製造システム。
【請求項8】
前記電子部品は、チップ状の積層セラミック電子部品であり、
1つの前記配送箱に収容されるチップ状の積層セラミック電子部品の数量が、1000個以上である、請求項のいずれか1項に記載の電子部品の製造システム。
【請求項9】
前記識別情報保持媒体は、RFIDタグである、請求項のいずれか1項に記載の電子部品の製造システム。
【請求項10】
前記制御部は、
製造設備の状態を示す製造設備情報を取得し、
前記ロットのステータス情報と、前記製造設備情報とに基づき、登録された前記ロットを、所定の製造設備に配送する指示信号を、前記配送機構に出力する、請求項5~9のいずれか1項に記載の電子部品の製造システム。
【請求項11】
前記製造設備情報は、前記製造設備のトラブル情報を含む、請求項10に記載の電子部品の製造システム。
【請求項12】
前記制御部は、
前記識別情報の読み取り情報に基づいて、前記ロットのロケーション情報を取得し、
前記ロットのステータス情報と、前記ロットのロケーション情報とに基づき、登録された前記ロットを、所定の製造設備に配送する指示信号を、前記配送機構に出力する、請求項~11のいずれか1項に記載の電子部品の製造システム。
【請求項13】
前記制御部は、
製造設備の状態を示す製造設備情報を取得し、
前記ロットのステータス情報と、前記ロットのロケーション情報と、前記製造設備情報とに基づき、登録された前記ロットを、所定の製造設備に配送する指示信号を、前記配送機構に出力する、請求項12に記載の電子部品の製造システム。
【請求項14】
複数のロットの電子部品を、前記配送箱に収容された状態で保管する保管棚をさらに有し、
前記制御部は、
前記ロットのステータス情報に基づいて、前記保管棚に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択し、
選択されたロットを、前記保管棚から、所定の製造設備に配送する指示信号を、前記配送機構に出力する、請求項~13のいずれか1項に記載の電子部品の製造システム。
【請求項15】
前記制御部は、
製造設備の状態を示す製造設備情報を取得し、
前記ロットのステータス情報と、前記製造設備情報とに基づき、前記保管棚に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択し、
選択されたロットを、前記保管棚から、所定の製造設備に配送する指示信号を、前記配送機構に出力する、請求項14に記載の電子部品の製造システム。
【請求項16】
前記制御部は、
前記識別情報の読み取り情報に基づいて、前記ロットのロケーション情報を取得し、
前記ロットのステータス情報と、前記ロットのロケーション情報とに基づき、前記保管棚に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択し、
選択されたロットを、前記保管棚から、所定の製造設備に配送する指示信号を、前記配送機構に出力する、請求項14または請求項15に記載の電子部品の製造システム。
【請求項17】
複数のロットの電子部品を、前記配送箱に収容された状態で保管する保管棚をさらに有し、
前記制御部は、
製造設備の状態を示す製造設備情報を取得し、
前記ロットのステータス情報と、前記製造設備情報に基づき、登録された前記ロットを、所定の製造設備から前記保管棚に配送するか、あるいは所定の製造設備から別の製造設備に配送するかを決定する、請求項~14のいずれか1項に記載の電子部品の製造システム。
【請求項18】
前記電子部品は、積層セラミック電子部品であり、
前記複数の製造設備は、誘電体シートと導電性ペーストを含んで構成される積層ブロックを所定のサイズの積層チップにカットするカット設備と、前記積層チップを焼成して積層体を作製する焼成設備と、前記積層体の所定の位置に外部電極の下地電極層の材料を塗布する塗布設備と、塗布された下地電極層の材料を焼き付ける焼き付け設備と、前記下地電極層の外表面側にめっき層を形成するめっき設備と、前記積層体に前記下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の特性を検査する特性検査設備と、前記積層体に前記下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の外観選別検査を行う外観選別検査設備のうち、少なくとも4つ以上の製造設備を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の電子部品の製造システム。
【請求項19】
複数の製造工程を実施して電子部品を製造する電子部品の製造システムであって、
前記複数の製造工程それぞれに対応する異なる処理を前記電子部品に実行する複数の製造設備と、
前記製造設備に前記電子部品を配送する配送機構と、
制御部と、を備え、
前記電子部品は、積層セラミック電子部品であり、
前記複数の製造設備は、誘電体シートと導電性ペーストを含んで構成される積層ブロックを所定のサイズの積層チップにカットするカット設備と、前記積層チップを焼成して積層体を作製する焼成設備と、前記積層体の所定の位置に外部電極の下地電極層の材料を塗布する塗布設備と、塗布された下地電極層の材料を焼き付ける焼き付け設備と、前記下地電極層の外表面側にめっき層を形成するめっき設備と、前記積層体に前記下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の特性を検査する特性検査設備と、前記積層体に前記下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の外観選別検査を行う外観選別検査設備のうち、少なくとも前記特性検査設備または外観選別検査設備を含む4つ以上の製造設備を含み、
前記制御部は、
複数の電子部品をロットとして登録し、
前記製造設備によって処理された前記ロットの評価結果を示す評価情報を取得し、
前記評価情報に基づき、前記ロットを、前記特性検査設備または外観選別検査設備に複数回配送するための指示信号を、前記配送機構に出力する、電子部品の製造システム。
【請求項20】
前記制御部は、
登録された前記ロットのロット識別情報に基づいて、ロットのステータス情報を生成し、
生成された前記ロットのステータス情報に基づいて、登録された前記ロットを、所定の製造設備に配送する指示信号を、前記配送機構に出力する、請求項19に記載の電子部品の製造システム。
【請求項21】
複数の異なる製造工程を行う複数の製造設備を用いて電子部品を製造する電子部品の製造方法であって、
複数の電子部品をロットとして登録する登録工程と、
前記製造設備によって処理された前記ロットの評価結果を示す評価情報を取得する評価情報取得工程と、
前記評価情報に基づき、前記ロットを配送すべき製造設備を決定し、決定された製造設備に前記ロットを配送する配送工程と、を含む電子部品の製造方法。
【請求項22】
複数の異なる製造工程を行う複数の製造設備を用いて電子部品を製造する電子部品の製造方法であって、
前記電子部品は、積層セラミック電子部品であり、
前記複数の製造設備は、誘電体シートと導電性ペーストを含んで構成される積層ブロックを所定のサイズの積層チップにカットするカット設備と、前記積層チップを焼成して積層体を作製する焼成設備と、前記積層体の所定の位置に外部電極の下地電極層の材料を塗布する塗布設備と、塗布された下地電極層の材料を焼き付ける焼き付け設備と、前記下地電極層の外表面側にめっき層を形成するめっき設備と、前記積層体に前記下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の特性を検査する特性検査設備と、前記積層体に前記下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の外観選別検査を行う外観選別検査設備のうち、少なくとも前記特性検査設備または外観選別検査設備を含む4つ以上の製造設備を含み、
複数の電子部品をロットとして登録する登録工程と、
前記製造設備によって処理された前記ロットの評価結果を示す評価情報を取得する評価情報取得工程と、
前記評価情報に基づき、前記ロットを、前記特性検査設備または外観選別検査設備に複数回配送する配送工程と、を含む電子部品の製造方法。
【請求項23】
登録された前記ロットの情報と、前記製造設備で実施された処理を示す処理情報とを紐づけて、ロットのステータス情報を生成する生成工程と、
前記ロットのステータス情報に基づいて、登録された前記ロットを、所定の製造設備に配送する配送工程と、を含む、請求項21または請求項22に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動搬送装置が知られている。例えば、特許文献1には、バーコードが付与されたウエハキャリヤを保持した状態で、バーコードを読み取れるバーコードリーダを内蔵した自動搬送装置が開示されている。また、特許文献1には、ストッカーおよび洗浄装置の動作を制御する制御情報とAGVのウエハキャリヤ追跡情報などが予めホストコンピューターシステムに入力されていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-216216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自動搬送装置によれば、ウエハキャリヤの搬送中、その現在位置情報を把握することができる。しかしながら、特許文献1の自動搬送装置は、ウエハキャリヤの現在の位置情報と、ウエハキャリヤの追跡情報による位置とのずれを低減することができるものの、製造対象物に対する処理状況に応じた製造対象物の効率的な配送を行うことができなかった。
【0005】
本発明の目的は、電子部品に対する処理状況に応じた電子部品の効率的な配送を行うことが可能な電子部品の製造システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子部品の製造システムは、複数の製造工程を実施して電子部品を製造する電子部品の製造システムであって、前記複数の製造工程それぞれに対応する異なる処理を前記電子部品に実行する複数の製造設備と、前記製造設備に前記電子部品を配送する配送機構と、制御部と、を備え、前記制御部は、複数の電子部品をロットとして登録し、登録された前記ロットのロット識別情報に基づいて、ロットのステータス情報を生成し、生成された前記ロットのステータス情報に基づいて、登録されたロットを、所定の製造設備に配送する指示信号を、前記配送機構に出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子部品の処理状況に応じた電子部品の効率的な配送を行うことが可能な電子部品の製造システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の電子部品の製造システムの概要を、模式的に示す図である。
図2】製造システムによって製造される電子部品の外観斜視図である。
図3】複数の電子部品を収容する配送箱の外観斜視図である。
図4】製造設備の概要を、模式的に示す図である。
図5】配送箱を搭載した無人搬送車の外観斜視図である。
図6】上記実施形態の制御部のブロック図である。
図7】上記実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態に係る電子部品の製造システム1について説明する。図1は、本実施形態の電子部品の製造システム1の概要を、模式的に示す図である。図2は、製造システム1によって製造される電子部品10の外観斜視図である。図3は、複数の電子部品10を収容する配送箱40の外観斜視図である。図4は、製造設備20の概要を、模式的に示す図である。図5は、配送箱40を載置した無人搬送車31の外観斜視図である。
【0010】
電子部品の製造システム1は、例えば積層セラミック電子部品等の電子部品10を製造する製造システムである。電子部品10は、チップ型電子部品であってもよい。例えば図2に示されるような、略直方体形状、または略立方体形状のチップ状の積層セラミック電子部品であってもよい。
【0011】
製造システム1は、複数の製造工程を実施して電子部品10を製造する。製造システム1は、複数の製造設備20と、製造設備に電子部品を配送する配送機構30と、制御部100と、を備える。また、本実施形態の製造システム1は、複数の電子部品10を収容する配送箱40と、複数の電子部品10が収容された配送箱40を保管する保管棚50と、を有する。
【0012】
まず、本実施形態の製造システム1によって製造される電子部品10について説明する。電子部品10は、例えば、図2に示されるような積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品である。例えば、本実施形態の積層セラミック電子部品は、積層された複数のセラミック層および複数の内部導体層を含み、高さ方向Tに相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、高さ方向Tに直交する幅方向Wに相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、高さ方向Tおよび幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を有する積層体11を有する。また、本実施形態の積層セラミック電子部品は、積層体11の第1の端面LS1側に配置され、内部導体層に接続された第1の外部電極12と、積層体11の第2の端面LS2側に配置され、内部導体層に接続された第2の外部電極13と、を有する。
【0013】
積層体11と、第1の外部電極12および第2の外部電極13を含む積層セラミック電子部品の長さ方向の寸法をL寸法とすると、L寸法は、0.1mm以上10mm以下であってもよい。また、積層セラミック電子部品の高さ方向の寸法をT寸法とすると、T寸法は、0.05mm以上10mm以下であってもよい。また、積層セラミック電子部品の幅方向の寸法をW寸法とすると、W寸法は、0.1mm以上10mm以下であってもよい。すなわち、電子部品10の最大寸法は10mm以下であってもよい。但し、これに限らない。
【0014】
電子部品10は、配送箱40に収容された状態で、配送機構30によって配送される。また、電子部品10は、配送箱40に収容された状態で、保管棚50に保管される。
【0015】
図3に示すように、配送箱40は、箱本体41と、識別情報を保持する識別情報保持媒体42を有する。
【0016】
配送箱40の箱本体41内に収容されている複数の電子部品10は、全て同じロットの電子部品10である。1つの配送箱40に収容されているチップ状の積層セラミック電子部品の数量は、1000個以上である場合も含んでよい。積層ブロックを所定のサイズの積層チップにカットするカット工程以降において、多数の電子部品10は、配送箱40内にランダムな状態で収容されている。なお、電子部品10となるワーク、すなわち製造工程中のワークも含め、ここでは、電子部品10と呼ぶこととする。なお、配送箱40は、上部の開口部に不図示の蓋体が設けられていてもよい。
【0017】
1つのロットを構成する複数の電子部品10は、1つ以上の配送箱に収容される。すなわち、1つのロットを構成する複数の電子部品10は、そのチップサイズおよび数量に応じて、1つの配送箱のみに収容されることもあるし、複数の配送箱に分配されて収容されることもある。なお、同じロットの電子部品10は、同じ品種の電子部品10である。よって、同じロットの電子部品10は、同じ製造工程により製造される。なお、1つの配送箱に収容されている複数の電子部品10は、全て同じロットの電子部品である。基本的には、同じロットの電子部品10には、各製造設備20において、同じ処理が実行される。したがって、1つの配送箱に収容された複数の電子部品10は、各製造設備20において、同じ処理が実行される。
【0018】
識別情報保持媒体42は、例えばRFIDタグであってもよい。識別情報保持媒体42は、識別情報を保持している。
【0019】
識別情報保持媒体42に保持されている識別情報は、電子部品のロット識別情報を直接的に含んでいてもよい。あるいは、識別情報は、電子部品のロット識別情報と紐づけられる識別情報であってもよい。
【0020】
例えば、識別情報は、電子部品のロット識別情報が紐づけられている、各配送箱40に付与された配送箱IDであってもよい。この場合は、例えば、配送箱40内に電子部品10を収容する収容工程の際に、配送箱IDと、電子部品のロット識別情報とが紐付けられてもよい。これにより、その後の工程において、配送箱IDに基づいて、配送箱40に収容されている電子部品10のロット識別情報が判別される。この識別情報の紐付け作業は、例えば、後述の制御部100が行ってもよい。
【0021】
なお、識別情報保持媒体42はRFIDタグに限らない。例えば、識別情報保持媒体42は、バーコードまたは二次元コード、あるいはARマーカであってもよい。
【0022】
後述の各製造設備20、配送機構30および保管棚50は、識別情報保持媒体42に保持されている識別情報を読み取るための識別情報取得手段を有していることが好ましい。識別情報取得手段は、識別情報保持媒体42の種類に応じて適切に選択される。例えば、識別情報保持媒体42がRFIDタグの場合は、識別情報取得手段は、ハンディタイプのRFIDリーダ/ライタや、据え置きタイプのRFIDアンテナ等のRFIDリーダであってもよい。識別情報保持媒体42がバーコードまたは二次元コード、あるいはARマーカである場合は、識別情報取得手段として、これらに対応するリーダが用いられる。これにより、識別情報は、高速かつ正確に読み取られる。
【0023】
製造システム1は、複数の製造設備20を有する。複数の製造設備20はそれぞれ、電子部品10に異なる処理を実行する。
【0024】
例えば、電子部品10として、積層セラミックコンデンサ等の積層セラミック電子部品が製造される場合、完成までに、非常に多くの製造工程が実施される。製造システム1は、複数の製造工程それぞれに対応する、複数の製造設備20を有する。複数の製造設備20はそれぞれ、複数の製造工程それぞれに対応する、異なる処理を電子部品10に実行する。
【0025】
例えば、複数の製造設備20は、誘電体シートと導電性ペーストを含んで構成される積層ブロックを所定のサイズの積層チップにカットするカット設備20Aと、積層チップを焼成して積層体を作製する焼成設備20Bと、積層体の所定の位置に外部電極の下地電極層の材料を塗布する塗布設備20Cと、塗布された下地電極層の材料を焼き付ける焼き付け設備20Dと、下地電極層の外表面側にめっき層を形成するめっき設備20Eと、積層体に下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の特性を検査する特性検査設備20Fと、積層体に下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の外観選別検査を行う外観選別検査設備20Gと、を含む。
【0026】
なお、複数の製造設備20は、上記以外の製造設備を含んでいてもよい。例えば積層体の表面を研磨するバレル研磨設備等を含んでいてもよい。製造システム1としては、これらの複数の製造設備20のうち、少なくとも4つ以上の製造設備20を含んで構成されていてもよい。他に誘電体シートを作製する設備であったり、当該誘電体シートを作製するための誘電体スラリーを作製する設備であったり、誘電体シートに導電性ペースを印刷して、内部電極を印刷する設備であったり、誘電体シートを積層して積層体を作製する製造設備を含んでいてよい。
【0027】
ここで、各製造設備20が実行する処理は、電子部品10の製造工程全体における、1つの製造工程に対応する処理である。例えば、カット工程を行うカット設備20Aが実行する処理は、誘電体シートと導電性ペーストを含んで構成される積層ブロックを所定のサイズの積層チップにカットするカット処理である。焼成工程を行う焼成設備20Bが実行する処理は、積層チップを焼成する焼成処理である。塗布工程を行う塗布設備20Cが実行する処理は、積層体の所定の位置に外部電極の下地電極層の材料を塗布する塗布処理である。焼き付け工程を行う焼き付け設備20Dが実行する処理は、塗布された下地電極層の材料を焼き付ける焼き付け処理である。めっき工程を行うめっき設備20Eが実行する処理は、下地電極層の外表面側にめっき層を形成するめっき処理である。特性検査工程を行う特性検査設備20Fが実行する処理は、積層体に下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の特性を検査する特性検査処理である。外観選別検査工程を行う外観選別検査設備が実行する処理は、積層体に下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の外観選別検査処理である。誘電体シートを作製する設備が実行する処理は、誘電体シートを作製する処理である。誘電体スラリーを作製する設備が実行する処理は、誘電体スラリーを作製する処理である。内部電極を印刷する設備が実行する処理は、誘電体シートに導電性ペーストを印刷して、内部電極を印刷する処理である。積層体を作製する製造設備が実行する処理は、誘電体シートを積層して積層体を作製する処理である。
【0028】
なお、電子部品10の品種によっては、一部の製造工程がパスされることもある。また、電子部品10の品種によっては、標準的な製造工程の途中に追加の製造工程が入ることもある。
【0029】
図1には、同じ種類の処理を実行する製造設備20が、それぞれ1台ずつ示されているが、同じ種類の処理を実行する製造設備20は、複数台存在していてもよい。例えば、焼成工程を行う焼成設備20Bは、1台であってもよいし、2台以上存在していてもよい。この場合、1台目を1号機、2台目を2号機と呼ぶこととする。同じ種類の処理を実行する製造設備20の台数は、製造システム1全体の生産量の規模や、製造設備20ごとのリードタイム等によって設定される。
【0030】
図4は、1つの製造設備20の概要を、模式的に示す図である。各製造設備20は、搬入部21と、処理部22と、搬出部23と、を有する。また、各製造設備20は、第1の識別情報取得手段24を有する。
【0031】
搬入部21は、後述の配送機構30により配送された電子部品10が製造設備20に搬入される部分である。なお電子部品10は、後述の仕掛棚25に配送された後、搬入部21に配送されてもよい。電子部品10は、配送箱40に収容された状態で、搬入部21に配送される。
【0032】
製造設備20は、第1の識別情報取得手段24を有する。第1の識別情報取得手段24は、搬入部21またはその近傍に設けられていることが好ましい。第1の識別情報取得手段24は、製造設備20に搬入された電子部品10のロットのロット識別情報、またはロット識別情報と紐づけられる識別情報を取得する。第1の識別情報取得手段24は、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された識別情報を読み取るリーダであることが好ましい。例えば、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42がRFIDタグの場合は、第1の識別情報取得手段24は、RFIDアンテナであってもよい。RFIDタグとRFIDアンテナの組み合わせであれば、RFIDアンテナは、電子部品10が収容された配送箱40が、搬入部21に近づく際に、あるいは搬入部21を通過する際に、識別情報保持媒体42に保持された識別情報を自動的に取得することができる。なお、第1の識別情報取得手段24は、ロット識別情報、またはロット識別情報と紐づけられる識別情報を入力可能な入力部であってもよい。
【0033】
処理部22は、電子部品10に所定の処理を実行する部分である。例えば、焼成設備20Bの処理部は、誘電体シートと導電性ペーストを含んで構成される積層チップを焼成する焼成処理を実行する。処理部22においては、通常、電子部品10は、配送箱40から取り出された状態で処理が実行される。
【0034】
搬出部23は、処理部22によって処理された電子部品10が搬出される部分である。処理部22で処理された電子部品10は、配送箱40に再び収容されてもよいが別の配送箱に収容されて搬出されてもいい。ただし、搬出された後、配送箱40に再び収容されることが好ましい。このとき、電子部品10は、不図示の電子部品収容機構により、搬入時の配送箱40と同じ配送箱40に収容されることが好ましい。これにより、配送箱40と、配送箱40内に収容された電子部品10のロットとの対応関係が継続する。よって、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42への識別情報の書き換え作業や、識別情報の再登録作業等が不要となる。
【0035】
なお、各製造設備20には、仕掛棚25および完了棚26が設けられていることが好ましい。あるいは、同じ種類の処理を行う複数台の製造設備に対して、共通で使用される仕掛棚25および完了棚26が併設されていてもよい。なお、仕掛棚25および完了棚26は、共用の棚であってもよい。仕掛棚25および完了棚26は、配送箱40に収容されている電子部品10を、一時的に保管する。
【0036】
仕掛棚25には、製造設備20でこれから処理される処理前の電子部品10が、後述の配送機構30により搬入される。仕掛棚25は、製造設備20により処理される前の電子部品10を配送箱40に収容された状態で一時的に保管する。仕掛棚25に一時的に保管された処理前の電子部品10は、その後、搬入部21に搬入される。仕掛棚25から搬入部21までの搬送は、無人搬送車または無人搬送ロボット等の配送機構によって行われてもよい。
【0037】
製造設備20によって処理された処理済みの電子部品10は、製造設備20の搬出部23から搬出されて、完了棚26に配置される。搬出部23から完了棚26までの搬送は、無人搬送車または無人搬送ロボット等の配送機構によって行われてもよい。完了棚26は、製造設備20により処理された後の処理済み電子部品10を配送箱40に収容された状態で一時的に保管する。その後、完了棚に一時的に保管された処理済みの電子部品10は、後述の配送機構30により、搬出される。
【0038】
配送機構30は、製造設備20に電子部品10を配送する。また、配送機構30は、保管棚50に電子部品10を配送する。配送機構30は、例えばAGV(Automatic Guided Vehicle)を含む。AGVは、無人搬送車31であってもよい。また、配送機構30は、無人搬送ロボットを含んでいてもよい。配送機構30は、無人配送機構であることが好ましい。
【0039】
図5は、配送機構30としての無人搬送車31の外観斜視図である。無人搬送車31は、例えば、工場床面に敷設された走行磁気テープなどの不図示の誘導ラインに従って、自動的に走行する。
【0040】
無人搬送車31は、車体本体32と、車体本体32の上部に設けられ、電子部品10を搭載可能な荷台33と、車体本体32に設けられた車輪34と、第2の識別情報取得手段35と、を有する。また、図示は省略するが、無人搬送車31は、走行磁気テープを検知する磁気検知センサと、走行制御部とを有する。走行制御部は、制御部100から無線で発信される制御信号と、磁気検知センサからの検出信号に基づいて、走行制御を行う。
【0041】
配送機構30としての無人搬送車31は、製造設備20に電子部品10を搬送する。より詳細には、無人搬送車31は、電子部品10が収容された配送箱40を、後述の保管棚50の出庫部53から、製造設備20の搬入部21または製造設備20に設けられた仕掛棚25に搬送する。
【0042】
配送機構30としての無人搬送車31は、後述の保管棚50に電子部品10を搬送する。より詳細には、無人搬送車31は、電子部品10が収容された配送箱40を、製造設備20の搬出部23または製造設備20に設けられた完了棚26から、保管棚50の入庫部51に搬送する。
【0043】
なお、配送機構30としての無人搬送車31は、電子部品10が収容された配送箱40を、製造設備20から、別の製造設備20に搬送することができるように構成されていてもよい。すなわち、無人搬送車31は、電子部品10が収容された配送箱40を、製造設備20の搬出部23または製造設備20に設けられた完了棚26から、別の製造設備20の搬入部21または別の製造設備20に設けられた仕掛棚25に搬送できるように構成されていてもよい。
【0044】
また、配送機構30は、製造設備20の搬出部23または製造設備20に設けられた完了棚26から、同じ製造設備20の搬入部21または同じ製造設備20に設けられた仕掛棚25に再度搬送することができるように構成されていてもよい。
【0045】
第2の識別情報取得手段35は、無人搬送車31に搭載される配送箱40に収容されている電子部品10のロットのロット識別情報、またはロット識別情報と紐づけられる識別情報を取得する。第2の識別情報取得手段35は、配送箱40が無人搬送車31の荷台33に搭載された際に、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された識別情報を読み取ることが可能な位置に配置されていることが好ましい。第2の識別情報取得手段35は、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された情報を読み取るリーダであることが好ましい。例えば、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42がRFIDタグの場合は、第2の識別情報取得手段35は、RFIDアンテナであってもよい。RFIDタグとRFIDアンテナの組み合わせであれば、RFIDアンテナが、電子部品10が収容された配送箱40が無人搬送車31の荷台33に搭載された際に、識別情報保持媒体42に保持された識別情報を自動的に取得することができる。
【0046】
好ましくは、1台の無人搬送車31は、1つの配送箱40を配送する。すなわち、無人搬送車31は、最大で1つの配送箱40のみを搭載できる荷台33を備えていてもよい。なお、1つの配送箱40は、1000個以上の電子部品が収容可能であってもよい。これにより、非常に多数の電子部品10が、最小の配送単位により、効率的に配送される。また、1つの配送箱40と1台の無人搬送車31とが1対1の関係となるため、制御の複雑化が低減される。また、配送箱40の識別情報保持媒体42と、無人搬送車31の第2の識別情報取得手段35との関係も1対1となるため、第2の識別情報取得手段35による識別情報の読み取りミスが発生しにくい。
【0047】
保管棚50は、複数のロットの電子部品10を、配送箱40に収容された状態で保管する。保管棚50は、例えば自動倉庫である。
【0048】
保管棚50は、入庫部51と、保管エリア52と、出庫部53と、を備える。また、保管棚50は、第3の識別情報取得手段54と、第4の識別情報取得手段55と、を有する。
【0049】
入庫部51は、配送機構30により配送された電子部品10が入庫する部分である。電子部品10は、配送箱40に収容された状態で、入庫部51から入庫する。入庫部51は、不図示の入庫用のコンベア等を備える。コンベアは、入庫部51から入庫した配送箱40を、保管エリア52に搬送する。
【0050】
保管エリア52は、複数のロットの電子部品10を、配送箱40に収容された状態で保管する。保管エリア52は、複数段の棚により構成されている。保管エリア52は、不図示のコンベア、スタッカクレーン、ピッククレーン等の自動搬送機構を備える。保管エリア内のロケーションは、アドレス情報により管理されている。入庫時に識別情報が取得された配送箱40は、制御部100の制御信号に基づき、アドレス情報の付与された指定のロケーションに搬送される。搬送された配送箱40は、指定のロケーションに保管される。一方、出庫する際には、入庫時の識別情報と紐づく情報、例えば電子部品のロット番号が指定されることにより、出庫する配送箱40が指定される。指定された配送箱40は、アドレス情報に基づき、指定のロケーションから搬出される。
【0051】
出庫部53は、電子部品10を、保管棚50から出庫する部分である。保管エリア52で保管されていた電子部品10は、配送箱40に収容された状態のまま搬出され、出庫される。出庫部53は、不図示の出庫用のコンベア等を備える。コンベアは、配送箱40を、保管エリア52から保管棚50の外に搬送する。
【0052】
保管棚50は、第3の識別情報取得手段54を有する。第3の識別情報取得手段54は、入庫部51の近傍に設けられていることが好ましい。第3の識別情報取得手段54は、保管棚50に搬入された電子部品10のロットのロット識別情報、またはロット識別情報と紐づけられる識別情報を取得する。第3の識別情報取得手段54は、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された情報を読み取るリーダであることが好ましい。例えば、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42がRFIDタグの場合は、第3の識別情報取得手段54は、RFIDアンテナであってもよい。RFIDタグとRFIDアンテナの組み合わせであれば、RFIDアンテナは、電子部品10が収容された配送箱40が、入庫部51に近づく際に、あるいは入庫部51を通過する際に、識別情報保持媒体42に保持された識別情報を自動的に取得することができる。なお、第3の識別情報取得手段54は、ロット識別情報、またはロット識別情報と紐づけられる識別情報を入力可能な入力部であってもよい。
【0053】
保管棚50は、第4の識別情報取得手段55を有する。第4の識別情報取得手段55は、出庫部53の近傍に設けられていることが好ましい。第4の識別情報取得手段55は、保管棚50から搬出される電子部品10のロットのロット識別情報、またはロット識別情報と紐づけられる識別情報を取得する。第4の識別情報取得手段55は、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された情報を読み取るリーダであることが好ましい。例えば、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42がRFIDタグの場合は、第4の識別情報取得手段55は、RFIDアンテナであってもよい。RFIDタグとRFIDアンテナの組み合わせであれば、RFIDアンテナは、電子部品10が収容された配送箱40が、出庫部53に近づく際に、あるいは出庫部53を通過する際に、識別情報保持媒体42に保持された識別情報を自動的に取得することができる。なお、第4の識別情報取得手段55は、ロット識別情報、またはロット識別情報と紐づけられる識別情報を入力可能な入力部であってもよい。
【0054】
図6は、本実施形態の制御部100のブロック図である。
【0055】
制御部100は、ロット登録部110と、ロット判別部120と、処理情報取得部130と、ロットのステータス情報生成部140と、設備情報取得部150と、ロケーション情報取得部160と、評価情報取得部170と、配送先決定部180と、ロット選択部190と、指示信号出力部200と、記憶部210と、を有する。
【0056】
なお、制御部100は、サーバであってもよい。また、制御部100は、上述のように複数の機能ブロックにより構成されているが、各機能ブロックは必ずしも物理的に分かれている必要は無く、1つのCPUが、複数の機能ブロックの機能を実現してもよい。また、制御部100は、制御対象部の配置等を考慮して、2つ以上に場所に分かれて配置されていてもよい。例えば、ロット登録部110およびロットのステータス情報生成部140がサーバに設けられている一方、ロット判別部120が各製造設備20や保管棚50等の制御部に設けられていてもよい。また、1つの機能ブロックが2つ以上の場所に分かれて、分散制御されていてもよい。なお、記憶部210は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または着脱可能なメモリカード等の記録媒体で構成される。記録媒体としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible media)が挙げられる。なお、制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサを含んで構成される。制御部100の各種機能は、例えば記憶部210に格納されたプログラム(アプリケーション)を実行することで実現される。プログラム(アプリケーション)は、ネットワークを介して提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(computer readable storage medium)に記録されて提供されてもよい。なお、制御部100の各機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0057】
ロット登録部110は、複数の電子部品を所定のロットとして登録する。ロット登録部110は、例えば、同一の品種Aの電子部品のうち、前工程において同一の製造工程で製造された1番目のロットの電子部品群を、ロット番号A001のロットとして登録する。また、ロット登録部110は、例えば、同一の品種Aの電子部品のうち、前工程において同一の製造工程で製造された2番目のロットの電子部品群を、ロット番号A002のロットとして登録する。ここで、ロット番号A001およびロット番号A002は、登録されたロットのロット識別情報となる。この登録作業は、オペレータの入力により、あるいは上位システムの制御等により行われてもよい。なお、1つのロット番号、例えば、ロット番号A001のロットとして登録された複数の電子部品10は、1つまたは複数の配送箱40に収容される。
【0058】
ロット登録部110によるロット登録後は、ロット識別情報としてのロット番号がプライマリーキーとして設定され、これに様々な情報が紐づけられてもよい。すなわち、ロット識別情報をプライマリーキーとしたデータベースが形成されてもよい。但し、ロット識別情報以外の情報をプライマリーキーとして設定してもよい。なお、このようなデータベース等の情報は、記憶部210に記憶される。
【0059】
ロット登録部110におけるロット登録作業に対応して、配送箱40の識別情報保持媒体42に、ロット識別情報を保持させる作業が行われてもよい。例えば、識別情報保持媒体42がRFIDタグである場合、RFIDリーダ/ライタを用いて、ロット識別情報を直接的に含む識別情報がRFIDタグに書き込まれてもよい。例えば、識別情報保持媒体42がバーコードである場合、ロット識別情報を直接的に含む識別情報を有するバーコードが配送箱40に貼り付けられてもよい。
【0060】
なお、配送箱40の識別情報保持媒体42に保持されている識別情報は、電子部品のロット識別情報と紐づけられる識別情報であってもよい。例えば、各配送箱40に識別情報保持媒体42に配送箱IDが保持されている場合、配送箱40内に電子部品10を収容する収容工程の際に、配送箱IDと、電子部品のロット識別情報とが紐づけられてもよい。これにより、その後の工程において、配送箱IDに基づいて、配送箱40に収容されている電子部品のロット識別情報が判別される。
【0061】
なお、ロット登録部110によって登録されたロットは、基本的には、投入運行表に基づいて、各製造設備20に投入されていく。投入運行表は、生産工程を流れる電子部品10の品種、電子部品10の数量、各製造設備20の台数等に応じて、当初の段階において最適化されている。投入運行表は、製造システム1の全体の状況に応じて、必要に応じて書き換えられる。投入運行表は、記憶部210に保存される。投入運行表およびステータスに基づきロットに対して行われる次の処理が決定される。
【0062】
ロット判別部120は、識別情報取得手段が取得した識別情報に基づいて、配送箱40内に収容されている電子部品10のロットのロット番号を判別する。例えば、各製造設備20の第1の識別情報取得手段24は、電子部品10のロットが搬入される際に、配送箱40の識別情報保持媒体42に保持されている識別情報を取得する。そして、ロット判別部120は、第1の識別情報取得手段24が読み取った識別情報に基づいて、配送箱40内に収容されている電子部品10のロットのロット番号を判別する。なお、ロット判別部120は、第2の識別情報取得手段35、第3の識別情報取得手段54、第4の識別情報取得手段55それぞれが取得した配送箱40の識別情報に基づいて、これらの識別情報取得手段が識別情報を取得した配送箱40内に収容されている電子部品10のロットのロット番号を判別する。
【0063】
処理情報取得部130は、製造設備20に搬入されたロットに対して、各製造設備20が実行した処理を示す処理情報を取得する。例えば、カット設備20Aが、ロット番号A001のロットに対してカット処理を実行した場合、処理情報取得部130は、ロット番号A001のロットに対してカット処理が実行されたことを示す処理情報を取得する。また、焼成設備20Bが、ロット番号A001のロットに対して焼成処理を実行した場合、処理情報取得部130は、ロット番号A001のロットに対して焼成処理が実行されたことを示す処理情報を取得する。また、塗布設備20Cが、ロット番号A001のロットに対して塗布処理を実行した場合、処理情報取得部130は、ロット番号A001のロットに対して塗布工程が実行されたことを示す処理情報を取得する。なお、製造設備20に搬入されたロットのロット番号は、上述のロット判別部120によって判別される。各製造設備20に搬入されたロットのロット番号と、各製造設備20が処理を実行したことを示す情報は、各製造設備20内の制御部で紐づけられ、各製造設備20内で処理情報として生成されてもよい。
【0064】
ロットのステータス情報生成部140は、登録されたロットのロット識別情報と、この登録されたロットに対して実行された処理を示す処理情報とを紐づけて、ロットのステータス情報を生成する。例えば、ステータス情報生成部140は、登録されたロットのロット番号A001と、このロット番号A001のロットに対して実行された処理情報とを紐づける。
【0065】
例えば、ロット番号A001のロットがロット登録部110によって登録されており、さらに、処理情報取得部130が、ロット番号A001のロットに対してカット設備20Aによるカット処理が実行されたことを示す処理情報と、ロット番号A001のロットに対して焼成設備20Bによる焼成処理が実行されたことを示す処理情報と、ロット番号A001のロットに対して塗布設備20Cによる塗布処理が実行されたことを示す処理情報と、を取得している場合について説明する。この場合、ステータス情報生成部140は、ロットのステータス情報として、ロット番号A001のロットが、カット設備20Aによるカット処理と、焼成設備20Bによる焼成処理と、塗布設備20Cによる塗布処理と、が実行されたことを示す情報、すなわち、カット工程、焼成工程および塗布工程が終了していることを示す情報を生成する。このように、ロットのステータス情報は、ロット登録部110によって登録されたロットが、どの製造工程まで完了しているのかを示す情報、すなわち、どの製造設備20による処理が実行されたのかを示す情報を含む。ロットのステータス情報は、ロットの加工経歴情報を含む。
【0066】
なお、このロットのステータス情報は、登録されている所定のロットを、次にどの製造工程に投入するべきであるかを示す情報、すなわち、どの製造設備20に投入するべきであるかを示す情報であるともいえる。
【0067】
例えば、ロットのステータス情報として、ロット登録部110によって登録されているロット番号A001のロットが、カット工程、焼成工程および塗布工程が終了していることを示す情報が生成された場合について考える。この場合、このロットのステータス情報は、ロット番号A001のロットを、焼き付け設備20Dに投入すべきであること示す情報であるといえる。言い換えると、このロットのステータス情報は、ロット番号A001のロットを、焼き付け設備20Dに投入可能状態であることを示す情報であるといえる。
【0068】
指示信号出力部200は、生成されたロットのステータス情報に基づいて、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。例えば、ロットのステータス情報が、ロット番号A001のロットが、ロット工程が焼成工程および塗布工程が終了していることを示す情報である場合、指示信号出力部200は、ロット番号A001のロットを、焼き付け設備20Dに配送する指示信号を、配送機構30に出力する。なお、この処理は、計画されていたロット投入のタイミング、あるいは任意のタイミングで行われてもよい。
【0069】
前述のとおり、ロット登録部110によって登録されたロットは、基本的には、投入運行表に基づいて、各製造設備20に投入されていく。しかしながら、トラブル等の発生により、ロットが予定どおり適切に処理されていない場合もある。本実施形態によれば、投入運行表の情報と、ロットのステータス情報に基づいて、登録されているロットを、適切な製造設備20に配送することができる。
【0070】
なお、1つのロットを構成する電子部品10が、複数の配送箱40に分配されて収容されている場合、指示信号出力部200は、1つのロットを構成する電子部品10を同一の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力してもよい。これにより、1つのロットを構成する電子部品10が複数の配送箱40に分配されて収容されている場合であっても、1つのロットを構成する電子部品10は、同一の製造設備20によって処理される。よって、ロット内の加工経歴を揃えることができる。なお、この場合、A001-1、A001-2といった形で、ロット番号に枝番が付されてもよい。
【0071】
なお、この場合、指示信号出力部200は、1つのロットを構成する配送箱40の数量に応じて、その数量に応じた台数の無人搬送車31に対して、指示信号を出力する。例えば、1つのロットを構成する配送箱40の数量が2個である場合、2台の無人搬送車31に対して、該当する配送箱40を同一の製造設備20に配送するための指示信号を出力する。
【0072】
本実施形態の制御部100はさらに、設備情報取得部150を有していてもよい。設備情報取得部150は、各製造設備20の状態を示す製造設備情報を取得する。ここで、製造設備情報は、製造設備のトラブル情報を含んでいてもよい。また、製造設備情報は、製造設備20がロット処理中であることを示す情報や、製造設備20によるロット処理が終了したことを示す情報や、製造設備20がロット待ちの設備スタンバイ状態であることを示す情報等を含んでいてもよい。製造設備情報は、製造設備が利用可能状態であるか否かを示す情報を含んでいてもよい。
【0073】
指示信号出力部200は、ロットのステータス情報と、製造設備情報とに基づき、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力してもよい。
【0074】
例えば、1号機と2号機の2台の塗布設備20Cが存在しているケースについて説明する。一例として、ステータス情報生成部140が、ロット番号A001のロットが、カット工程および焼成工程が終了していることを示す情報を生成したとする。さらに、設備情報取得部150が、製造設備情報として、例えば、塗布設備20Cの1号機が異常状態にあることを示すトラブル情報を取得したとする。この場合、指示信号出力部200は、ロット番号A001のロットを、利用可能状態にある塗布設備20Cの2号機に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、効率的な配送を行うことができる。
【0075】
このように、制御部100は、ロットのステータス情報と、製造設備情報とを紐づけて管理する。より詳細には、制御部100は、利用可能状態である製造設備20と、投入可能状態にあるロットを紐づけて、紐づけられたロットを、紐づけられた製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。
【0076】
本実施形態の制御部100はさらに、ロケーション情報取得部160を有していてもよい。ロケーション情報取得部160は、配送箱40の識別情報保持媒体42に保持された識別情報の読み取り情報に基づいて、ロットの位置情報としてのロットのロケーション情報を取得する。具体的には、第1の識別情報取得手段24、第2の識別情報取得手段35、第3の識別情報取得手段54、第4の識別情報取得手段55等の、製造システム1内に配置された取得手段によって読み取られた、配送箱40の識別情報保持媒体42に保持された識別情報に基づいて、ロケーション情報取得部160は、ロットのロケーション情報を取得する。
【0077】
各製造設備20に設けられている第1の識別情報取得手段24は、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された識別情報を読み取る。ロケーション情報取得部160は、この識別情報の読み取り情報に基づいて、ロットのロケーション情報を取得する。具体的には、ロット判別部120が、第1の識別情報取得手段24が取得した識別情報に基づいて、配送箱40内に収容されている電子部品10のロットのロット番号を判別する。そして、ロケーション情報取得部160は、判別されたロットが、識別情報の読み取りを行った製造設備20のところに存在するという情報を、ロットのロケーション情報として取得する。
【0078】
例えば、塗布設備20Cの2号機に設けられている第1の識別情報取得手段24が、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された識別情報を読み取る。この読み取られた識別情報より、配送箱40内に収容されている電子部品10のロットが、例えばロット番号A001のロットであると判別される。この場合、ロケーション情報取得部160は、ロット番号A001のロットが、塗布設備20Cの2号機のところに存在するという情報を、ロットのロケーション情報として取得する。
【0079】
配送機構30としての無人搬送車31に設けられている第2の識別情報取得手段35は、配送箱40が無人搬送車31の荷台33に搭載された際に、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された識別情報を読み取る。ロケーション情報取得部160は、この識別情報の読み取り情報に基づいて、ロットのロケーション情報を取得する。具体的には、ロット判別部120が、第2の識別情報取得手段35が取得した識別情報に基づいて、配送箱40内に収容されている電子部品10のロットを判別する。そして、ロケーション情報取得部160は、判別されたロットが、無人搬送車31に搭載されているという情報を、ロットのロケーション情報として取得する。
【0080】
例えば、無人搬送車31の第2の識別情報取得手段35が、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された識別情報を読み取る。この読み取られた識別情報より、配送箱40内に収容されている電子部品10のロットが、例えばロット番号A001のロットであると判別される。この場合、ロケーション情報取得部160は、ロット番号A001のロットが、この無人搬送車31に搭載されているという情報を、ロットのロケーション情報として取得する。
【0081】
なお、無人搬送車31の移動に伴って、無人搬送車31の移動情報が取得されている場合は、ロットのロケーション情報として、ロットの移動情報を取得することができる。第2の識別情報取得手段35により、無人搬送車31に所定のロット、例えばロット番号A001のロットが搭載されている判定されている間、ロット番号A001のロットの移動情報は、無人搬送車31の移動情報と一致する。これにより、移動中のロットのリアルタイム位置情報や、ロットの移動軌跡情報を含む、より詳細なロットのロケーション情報を取得することができる。
【0082】
保管棚50の入庫部51に設けられている第3の識別情報取得手段54は、配送箱40の入庫時に、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された識別情報を読み取る。ロケーション情報取得部160は、この識別情報の読み取り情報に基づいて、ロットのロケーション情報を取得する。具体的には、ロット判別部120が、第3の識別情報取得手段54が取得した識別情報に基づいて、配送箱40内に収容されている電子部品10のロットを判別する。そして、ロケーション情報取得部160は、判別されたロットが、現在、保管棚50の入庫部51のところに存在し、この後、保管エリア52に配置されるという情報を、ロットのロケーション情報として取得する。
【0083】
例えば、第3の識別情報取得手段54が、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された識別情報を読み取る。この読み取られた識別情報より、配送箱40内に収容されている電子部品10のロットが、例えばロット番号A001のロットであると判別される。この場合、ロケーション情報取得部160は、ロット番号A001のロットが、現在、保管棚50の入庫部51のところに存在し、この後、保管エリア52に配置されるという情報を、ロットのロケーション情報として取得する。
【0084】
保管棚50の出庫部53に設けられている第4の識別情報取得手段55は、配送箱40の出庫時に、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された識別情報を読み取る。ロケーション情報取得部160は、この識別情報の読み取り情報に基づいて、ロットのロケーション情報を取得する。具体的には、ロット判別部120が、第4の識別情報取得手段55が取得した識別情報に基づいて、配送箱40内に収容されている電子部品10のロットを判別する。そして、ロケーション情報取得部160は、判別されたロットが、現在、保管棚50の出庫部53のところに存在し、この後、保管エリア52の外に出るという情報を、ロットのロケーション情報として取得する。
【0085】
例えば、第4の識別情報取得手段55が、配送箱40に設けられた識別情報保持媒体42に保持された識別情報を読み取る。この読み取られた識別情報より、配送箱40内に収容されている電子部品10のロットが、例えばロット番号A001のロットであると判別される。この場合、ロケーション情報取得部160は、ロット番号A001のロットが、現在、保管棚50の出庫部53のところに存在し、この後、保管エリア52の外に出るという情報を、ロットのロケーション情報として取得する。
【0086】
なお、識別情報取得手段は、製造システム1の他の位置に配置されていてもよい。この場合、ロケーション情報取得部160は、この識別情報取得手段の配置位置に対応する位置に、識別情報取得手段によって読み取られた識別情報に基づいて把握されるロットが存在しているという情報を、ロットのロケーション情報として取得する。
【0087】
指示信号出力部200は、ロットのステータス情報と、ロットのロケーション情報とに基づき、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力してもよい。
【0088】
例えば、ロットのステータス情報として、ロット番号A001のロットおよびロット番号A002のロットがそれぞれ、カット工程、焼成工程および塗布工程が終了したことを示す情報が生成されている場合について説明する。このとき、ロットのロケーション情報として、ロット番号A001のロットが、まだ塗布設備20Cに留まっているという情報が取得されたとする。一方、ロットのロケーション情報として、ロット番号A002が、保管棚50の保管エリア52に配置されているという情報が取得されたとする。この場合、指示信号出力部200は、保管棚50で配送待ちの状態にあるロット番号A002のロットを、焼き付け設備20Dに配送する指示信号を、配送機構に出力する。これにより、効率的な配送を行うことができる。
【0089】
なお、指示信号出力部200は、ロットのステータス情報と、ロットのロケーション情報と、前記製造設備情報とに基づき、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力してもよい。
【0090】
例えば、ロットのステータス情報として、ロット番号A001のロットおよびロット番号A002のロットがそれぞれ、カット工程、焼成工程および塗布工程が終了したことを示す情報が生成されているとする。このとき、ロットのロケーション情報として、ロット番号A001のロットが、まだ塗布設備20Cに留まっているという情報が取得されたとする。一方、ロットのロケーション情報として、ロット番号A002が、保管棚50の保管エリア52に配置されるという情報が取得されたとする。さらに、製造設備情報として、1号機と2号機の2台の焼き付け設備20Dのうち、1号機の焼き付け設備20Dが異常状態にあることを示すトラブル情報を取得したとする。この場合、指示信号出力部200は、保管棚50で配送待ちの状態にあるロット番号A002のロットを、利用可能状態にある焼き付け設備20Dの2号機に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、効率的な配送を行うことができる。
【0091】
なお、指示信号を出力する上で、配送先決定部180は、ロットのステータス情報に基づいて、さらに必要に応じて、製造設備情報や、ロットのロケーション情報に基づいて、登録されたロットの配送先を決定する。
【0092】
なお、配送先決定部180は、ロットのステータス情報と、製造設備情報とに基づき、登録されたロットを、所定の製造設備20から保管棚50に配送するか、あるいは所定の製造設備20から別の製造設備20に配送するかを決定してもよい。この場合、指示信号出力部200は、その決定内容に基づき、登録されたロットを、保管棚50または別の製造設備20に配送させる指示信号を、配送機構30に出力する。なお、無人搬送車31が、保管棚50を介さずに製造設備間を直接往来できる場合に、この制御は採用できる。
【0093】
例えば、ステータス情報生成部140が、ロットのステータス情報として、ロット番号A001のロットに対して塗布設備20Cによる塗布処理が実行されたことを示す処理情報を取得したタイミングで、設備情報取得部150は、焼き付け設備20Dの製造設備情報を取得する。
【0094】
このとき、設備情報取得部150が、製造設備情報として、焼き付け設備20Dがロット処理中であることを示す情報を取得したとする。この場合、配送先決定部180は、ロット番号A001のロットを、塗布設備20Cから、保管棚50に配送することを決定する。この場合、指示信号出力部200は、ロット番号A001のロットを、塗布設備20Cから、保管棚50に配送するための指示信号を、配送機構30に出力する。
【0095】
一方、設備情報取得部150が、製造設備情報として、焼き付け設備20Dがロット待ちの設備スタンバイ状態であることを示す情報を取得したとする。この場合、配送先決定部180は、ロット番号A001のロットを、塗布設備20Cから、焼き付け設備20Dに直接配送することを決定する。この場合、指示信号出力部200は、ロット番号A001のロットを、塗布設備20Cから、焼き付け設備20Dに直接配送するための指示信号を、配送機構30に出力する。
【0096】
なお、設備情報取得部150が、製造設備情報として、焼き付け設備20Dが異常状態にあることを示すトラブル情報を取得したとする。この場合、配送先決定部180は、ロット番号A001のロットを、塗布設備20Cから、保管棚50に配送することを決定する。この場合、指示信号出力部200は、ロット番号A001のロットを、塗布設備20Cから、保管棚50に配送するための指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、効率的な配送を行うことができる。
【0097】
ロット選択部190は、ロットのステータス情報に基づいて、保管棚50に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択する。指示信号出力部200は、ロット選択部190により選択されたロットを、保管棚50から、所定の製造設備20に配送させる指示信号を、配送機構30に出力する。
【0098】
例えば、ロット番号A001のロットおよびロット番号A002のロットが、保管棚50に保管された状態にあるとする。そして、ロットのステータス情報として、ロット番号A001のロットが、カット工程および焼成工程は終了しているものの、塗布工程は終了していないことを示す情報が生成されているとする。一方、ロットのステータス情報として、ロット番号A002のロットが、カット工程、焼成工程および塗布工程が終了したことを示す情報が生成されているとする。この状況において、投入運行表に基づき、品種Aのロットを、焼き付け設備20Dに投入しようとしたとき、ロット選択部190は、保管棚50に保管されている複数のロットの中から、焼き付け工程に投入可能状態であるロット番号A002のロットを選択する。指示信号出力部200は、ロット選択部190により選択されたロット番号A002のロットを、保管棚50から、焼き付け設備20Dに配送させる指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、効率的な配送を行うことができる。
【0099】
ロット選択部190は、ロットのステータス情報と、製造設備情報とに基づいて、保管棚50に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択してもよい。
【0100】
例えば、ロット番号A001のロットおよびロット番号A002のロットが、保管棚50に保管された状態にあるとする。そして、ロットのステータス情報として、ロット番号A001のロットが、カット工程および焼成工程は終了しているものの、塗布工程は終了していないことを示す情報が生成されているとする。一方、ロットのステータス情報として、ロット番号A002のロットが、カット工程、焼成工程および塗布工程が終了したことを示す情報が生成されているとする。そして、設備情報取得部150が、製造設備情報として、塗布設備20Cが、異常状態にあることを示すトラブル情報を取得したとする。一方、設備情報取得部150が、製造設備情報として、焼き付け設備20Dがロット待ちの設備スタンバイ状態であることを示す情報を取得したとする。この場合、ロット選択部190は、保管棚50に保管されている複数のロットの中から、焼き付け工程に投入可能状態であるロット番号A002のロットを選択する。指示信号出力部200は、ロット選択部190により選択されたロット番号A002のロットを、保管棚50から、焼き付け設備20Dに配送させる指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、効率的な配送を行うことができる。
【0101】
なお、ロット選択部190は、ロットのステータス情報と、ロットのロケーション情報とに基づいて、保管棚50に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択してもよい。すなわち、ロットのロケーション情報に基づき、保管棚50に保管されているロットを判断した上で、保管棚50に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択してもよい。
【0102】
前述のとおり、ロット登録部110によって登録されたロットは、基本的には、投入運行表に基づいて、各製造設備20に投入されていく。しかしながら、トラブル等の発生により、予定どおりにロットを配送できない場合もある。また、製造システム1の全体的な状況により、より効率的なロットの配送が実現できる状況が生じる場合がある。本実施形態によれば、投入運行表の情報と、ロットのステータス情報とに基づいて、さらに必要に応じて、製造設備情報や、ロットのロケーション情報に基づいて、適切なロットを選択し、選択したロットを、適切な配送先に効率的に配送することができる。
【0103】
本実施形態の制御部100はさらに、評価情報取得部170を有していてもよい。
【0104】
評価情報取得部170は、製造設備20によって処理されたロットの評価結果を示す評価情報を取得する。具体的には、評価情報取得部170は、各製造設備20に設けられた各種のセンサ等の検知結果に基づき、処理されたロットの評価結果を示す評価情報として、ロット内の加工不良数等の情報を取得する。例えば、カット設備20Aにおける、ロット内のカット不良発生数の情報を取得する。
【0105】
配送先決定部180は、評価情報取得部170が取得したロットの評価情報に基づき、そのロットを配送すべき製造設備20を決定する。例えば、カット設備20Aにおける、ロット内カット不良発生数が所定数よりも多い場合、配送先決定部180は、そのロットを、外観選別検査設備20Gに複数回繰り返し搬送することを決定する。あるいは、配送先決定部180は、そのロットを、特性検査設備20Fに複数回繰り返し搬送することを決定してもよい。
【0106】
指示信号出力部200は、ロットの評価情報に基づき、そのロットを、配送先決定部180によって決定された製造設備20に配送するための指示信号を、配送機構30に出力する。例えば、カット設備20Aにおける、ロット内カット不良発生数が所定値よりも多い場合、指示信号出力部200は、そのロットを、外観選別検査設備20Gに複数回繰り返し搬送するための指示信号を、配送機構30に出力する。あるいは、指示信号出力部200は、そのロットを、特性検査設備20Fに複数回繰り返し搬送するための指示信号を、配送機構30に出力してもよい。なお、外観選別検査設備20Gまたは特性検査設備20Fに至るまでの製造工程においては、通常の製造工程の順序でロットが搬送されるように、指示信号出力部200は、配送機構30に対する指示信号を出力してもよい。
【0107】
このように、指示信号出力部200は、ロットの評価情報に基づき、そのロットを、同一の製造設備20に繰り返し配送する指示信号を、配送機構30に出力することができる。これにより、要注意と判断されたロットについては、より綿密に検査を行うことができる。
【0108】
なお、配送先決定部180は、製造設備20によって検出されたロット内の不良数が多いほど、そのロットが特性検査設備20Fまたは外観選別検査設備20Gといった検査設備に搬送される回数が多くなるように、繰り返し搬送回数を決定してもよい。
【0109】
以下、本実施形態のフローについて説明する。図7は、本実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。
【0110】
ステップS11の登録工程において、ロット登録部110が、複数の電子部品を所定のロットとして登録する。例えば、ロット登録部110は、同一の品種Aの電子部品のうち、前工程において同一の製造工程で製造された1番目のロットの電子部品群を、ロット番号A001のロットとして登録する。
【0111】
ステップS12の処理情報取得工程において、ロット判別部120は、製造設備20に電子部品10のロットが搬入される際に、識別情報取得手段が取得する識別情報に基づいて、配送箱40内に収容されている電子部品10のロットのロット番号を判別する。そして、処理情報取得部130は、製造設備20に搬入されたロットに対して、各製造設備20が実行した処理を示す処理情報を取得する。例えば、カット設備20Aが、ロット番号A001のロットに対してカット処理を実行した場合、処理情報取得部130は、ロット番号A001のロットに対してカット処理が実行されたことを示す処理情報を取得する。また、焼成設備20Bが、ロット番号A001のロットに対して焼成処理を実行した場合、処理情報取得部130は、ロット番号A001のロットに対して焼成処理が実行されたことを示す処理情報を取得する。また、塗布設備20Cが、ロット番号A001のロットに対して塗布処理を実行した場合、処理情報取得部130は、ロット番号A001のロットに対して塗布工程が実行されたことを示す処理情報を取得する。
【0112】
ステップS13の生成工程において、ステータス情報生成部140は、登録されたロットのロット識別情報と、この登録されたロットに対して実行された処理を示す処理情報とを紐づけて、ロットのステータス情報を生成する。例えば、ロット番号A001のロットがロット登録部110によって登録されており、さらに、処理情報取得部130が、ロット番号A001のロットに対してカット設備20Aによるカット処理が実行されたことを示す処理情報と、ロット番号A001のロットに対して焼成設備20Bによる焼成処理が実行されたことを示す処理情報と、ロット番号A001のロットに対して塗布設備20Cによる塗布処理が実行されたことを示す処理情報と、を取得している場合について説明する。この場合、ステータス情報生成部140は、ロットのステータス情報として、ロット番号A001のロットが、カット工程、焼成工程および塗布工程が終了していることを示す情報を生成する。
【0113】
ステップS14の指示信号出力工程において、指示信号出力部200は、生成されたロットのステータス情報に基づいて、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。例えば、ロットのステータス情報が、ロット番号A001のロットがカット工程、焼成工程および塗布工程が終了していることを示す情報である場合、指示信号出力部200は、ロット番号A001のロットを、焼き付け設備20Dに配送する指示信号を、配送機構30に出力する。なお、この処理は、計画されていたロット投入のタイミング、あるいは任意のタイミングで行われる。
【0114】
なお、配送される所定のロットは、ロット選択部190により選択されてもよい。この場合、ロット選択部190は、ロットのステータス情報等に基づいて、保管棚50に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択する。なお、ロット選択部190は、ロットのステータス情報と、製造設備情報とに基づき、保管棚50に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択してもよい。指示信号出力部200は、ロット選択部190により選択されたロットを、保管棚50から、所定の製造設備20に配送させる指示信号を、配送機構30に出力する。
【0115】
ステップS15の配送工程において、配送機構30は、指示信号出力部200から出力された指示信号を受信し、この指示信号に基づき、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する。例えば、配送機構30は、保管棚50に保管されていたロット番号A001のロットを、焼き付け設備20Dに配送する。
【0116】
なお、制御部100が、設備情報取得部150を有している場合、ステップS14において、指示信号出力部200は、ステップS13で生成したロットのステータス情報と、設備情報取得部150が取得した製造設備情報に基づいて、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力してもよい。
【0117】
なお、制御部100が、ロケーション情報取得部160を有している場合、ステップS14において、指示信号出力部200は、ステップS13で生成したロットのステータス情報と、ロケーション情報取得部160が取得したロットのロケーション情報に基づいて、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力してもよい。
【0118】
また、ステップS14において、指示信号出力部200は、ロットのステータス情報と、製造設備情報と、ロットのロケーション情報に基づいて、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力してもよい。
【0119】
なお、製造設備20に位置しているロットに配送指示する場合においては、ステップS14において、配送先決定部180は、ロットのステータス情報と、製造設備情報に基づき、登録されたロットを、所定の製造設備20から保管棚50に配送するか、あるいは所定の製造設備20から別の製造設備20に配送するかを決定してもよい。そして、指示信号出力部200は、その決定内容に基づき、登録されたロットを、保管棚50または別の製造設備20に配送させる指示信号を、配送機構30に出力してもよい。
【0120】
なお、制御部100が、評価情報取得部170を有している場合、ステップS14において、配送先決定部180は、評価情報取得部170が取得したロットの評価情報に基づき、そのロットを配送すべき製造設備20を決定してもよい。そして、指示信号出力部200は、そのロットを、配送先決定部180が決定した配送先に配送する指示信号を、配送機構30に出力してもよい。
【0121】
このように、本実施形態の電子部品10の製造方法は、複数の異なる製造工程を行う複数の製造設備20を用いて電子部品10を製造する電子部品10の製造方法であり、複数の電子部品10をロットとして登録する登録工程と、登録されたロットの情報と、製造設備20で実施された処理を示す処理情報とを紐づけて、ロットのステータス情報を生成する生成工程と、ロットのステータス情報に基づいて、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する配送工程と、を含んでいる。
【0122】
なお、本開示は、特に、積層セラミック電子部品の製造システムにおいて特に有効である。このような製造システム1の場合、電子部品10の完成までに、非常に多くの製造工程が実施される。よって、多数の製造設備20が存在する。また、多数の製造設備20が離れて配置されていることも多い。また、製造される電子部品10の品種も多いことから、製造設備20に対して、各品種に対応するための段取りを行うことがある。この場合、製造設備20が一時的に停止する。また、指示待ちのロットが多数存在する場合もある。よって、ロットや製造設備20等の全体的な状況により、予定どおりにロットを配送できない場合も多く存在する。また、ロットや製造設備20等の全体的な状況により、より効率的なロットの配送が実現できる状況が生じる場合がある。本実施形態の製造システム1によれば、電子部品10の処理状況に応じた電子部品10の効率的な配送を行うことができる。また、ロットや製造設備20等の全体的な状況に応じた電子部品10の効率的な配送を行うことができる。また、小型の積層セラミック電子部品を対象とするシステムであれば、配送箱40に同一ロットの多数の電子部品10を収容できるため、配送箱単位で、システム全体の状況に応じて、効率的に配送を行うことができる。
【0123】
なお、本実施形態においては、処理対象となる電子部品10は積層セラミックコンデンサに限らず、例えば、圧電部品、サーミスタ、インダクタ、抵抗等のチップ状の電子部品や、その他の電子部品であってもよい。
【0124】
本実施形態の電子部品の製造システム1によれば、以下の効果を奏する。
【0125】
(1)本実施形態の電子部品の製造システム1は、複数の製造工程を実施して電子部品10を製造する電子部品の製造システム1であって、複数の製造工程それぞれに対応する異なる処理を電子部品10に実行する複数の製造設備20と、製造設備20に電子部品10を配送する配送機構30と、制御部100と、を備え、制御部100は、複数の電子部品10をロットとして登録し、登録されたロットのロット識別情報に基づいて、ロットのステータス情報を生成し、生成されたロットのステータス情報に基づいて、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、電子部品10の処理状況に応じたロットの効率的な配送を行うことができる。また、制御部100は、登録されたロットのロット識別情報と、製造設備20で実行された処理を示す処理情報を紐づけて、ロットのステータス情報を生成することが好ましい。これにより、より効率的に、電子部品10の処理状況に応じたロットの配送を行うことができる。
【0126】
(2)本実施形態の制御部100は、製造設備20の状態を示す製造設備情報を取得し、ロットのステータス情報と、製造設備情報とに基づき、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、製造設備の状態も踏まえて、より効率的に、ロットの配送を行うことができる。
【0127】
(3)本実施形態の電子部品の製造システム1において、製造設備情報は、製造設備20のトラブル情報を含む。これにより、製造設備20のトラブル情報も加味して、より効率的に、ロットの配送を行うことができる。
【0128】
(4)本実施形態の制御部100は、製造設備20によって処理されたロットの評価結果を示す評価情報を取得し、評価情報に基づき、ロットを配送すべき製造設備20を決定し、決定された製造設備20にロットを配送する指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、ロットの評価結果に対応して、より適切なロットの配送を行うことができる。
【0129】
(5)本実施形態の制御部100は、評価情報に基づき、ロットを、同一の製造設備20に繰り返し配送するための指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、ロットの評価結果に対応して、より適切なロットの配送を行うことができる。
【0130】
(6)本実施形態の配送機構30は、AGVである。これにより、より効率的に、ロットの配送を行うことができる。
【0131】
(7)本実施形態の製造システム1は、複数の電子部品10を収容する配送箱40をさらに備え、1つのロットとして登録された複数の電子部品10は、1つ以上の配送箱40に収容され、1つの配送箱40に収容された複数の電子部品10は、同じロットの電子部品10であり、配送箱40は、識別情報を保持する識別情報保持媒体42を有し、識別情報は、ロット識別情報を含む、またはロット識別情報と紐づけられる。これにより、配送箱40を用いて、より効率的に、ロットの配送を行うことができる。
【0132】
(8)本実施形態の製造システム1において、1つのロットとして登録された複数の電子部品10は、複数の配送箱40に分配して収容され、制御部100は、複数の配送箱40に分配されて収容された、1つのロットを構成する電子部品10を、同一の製造設備20に配送するための指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、ロット内の電子部品10の加工経歴を揃えながら、効率的にロットの配送を行うことができる。
【0133】
(9)本実施形態の配送機構は、AGVであり、1台のAGVは、1つの配送箱40を配送する。これにより、電子部品群が、最小の配送単位により、効率的に配送される。また、1つの配送箱40と1台のAGVとが1対1の関係となるため、制御の複雑化が低減される。
【0134】
(10)本実施形態の電子部品の製造システム1において、電子部品10は、チップ状の積層セラミック電子部品であり、1つの配送箱40に収容されるチップ状の積層セラミック電子部品の数量が、1000個以上である。これにより、非常に多数の電子部品10が、最小の配送単位により、効率的に配送される。
【0135】
(11)本実施形態の識別情報保持媒体42は、RFIDタグである。これにより、識別情報の取得が容易となる。
【0136】
(12)本実施形態の制御部100は、識別情報の読み取り情報に基づいて、ロットのロケーション情報を取得し、ロットのステータス情報と、ロットのロケーション情報とに基づき、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、ロットのロケーション情報も踏まえて、より効率的に、ロットの配送を行うことができる。
【0137】
(13)本実施形態の制御部100は、製造設備20の状態を示す製造設備情報を取得し、ロットのステータス情報と、ロットのロケーション情報と、製造設備情報とに基づき、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、ロットのロケーション情報および製造設備情報も踏まえて、より効率的に、ロットの配送を行うことができる。
【0138】
(14)本実施形態の電子部品の製造システム1は、複数のロットの電子部品10を、配送箱40に収容された状態で保管する保管棚50をさらに有し、制御部100は、ロットのステータス情報に基づいて、保管棚50に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択し、選択されたロットを、保管棚50から、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、適切にロットが選択され、より効率的に、ロットの配送を行うことができる。
【0139】
(15)本実施形態の制御部100は、製造設備20の状態を示す製造設備情報を取得し、ロットのステータス情報と、製造設備情報とに基づき、保管棚50に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択し、選択されたロットを、保管棚50から、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、製造設備情報も踏まえて、より適切にロットが選択され、より効率的に、ロットの配送を行うことができる。
【0140】
(16)本実施形態の制御部100は、識別情報の読み取り情報に基づいて、ロットのロケーション情報を取得し、ロットのステータス情報と、ロットのロケーション情報とに基づき、保管棚50に保管されている複数のロットの中から、所定のロットを選択し、選択されたロットを、保管棚50から、所定の製造設備20に配送する指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、ロットのロケーション情報も踏まえて、より適切にロットが選択され、より効率的に、ロットの配送を行うことができる。
【0141】
(17)本実施形態の電子部品の製造システム1は、複数のロットの電子部品10を、配送箱40に収容された状態で保管する保管棚50をさらに有し、制御部100は、製造設備20の状態を示す製造設備情報を取得し、ロットのステータス情報と、製造設備情報に基づき、登録されたロットを、所定の製造設備20から保管棚50に配送するか、あるいは所定の製造設備20から別の製造設備20に配送するかを決定する。これにより、製造設備情報も踏まえて、より効率的に、ロットの配送を行うことができる。
【0142】
(18)本実施形態の電子部品の製造システム1において、電子部品10は、積層セラミック電子部品であり、複数の製造設備20は、誘電体シートと導電性ペーストを含んで構成される積層ブロックを所定のサイズの積層チップにカットするカット設備20Aと、積層チップを焼成して積層体を作製する焼成設備20Bと、積層体の所定の位置に外部電極の下地電極層の材料を塗布する塗布設備20Cと、塗布された下地電極層の材料を焼き付ける焼き付け設備20Dと、下地電極層の外表面側にめっき層を形成するめっき設備20Eと、積層体に下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の特性を検査する特性検査設備20Fと、積層体に下地電極層およびめっき層を含む外部電極が形成された積層セラミック電子部品の外観選別検査を行う外観選別検査設備20Gを含み、少なくとも4つ以上の製造設備20を含む。このように、複数の製造設備20を有する積層セラミック電子部品の製造システムにおいても、本実施形態の効果を得ることができる。
【0143】
(19)本実施形態の制御部100は、製造設備20によって処理されたロットの評価結果を示す評価情報を取得し、評価情報に基づき、ロットを、特性検査設備20Fまたは外観選別検査設備20Gに複数回配送するための指示信号を、配送機構30に出力する。これにより、要注意のロットに対して、綿密に検査を行うことができる。
【0144】
(20)本実施形態の電子部品の製造方法は、複数の異なる製造工程を行う複数の製造設備20を用いて電子部品10を製造する電子部品の製造方法であって、複数の電子部品10をロットとして登録する登録工程と、登録されたロットの情報と、製造設備20で実施された処理を示す処理情報とを紐づけて、ロットのステータス情報を生成する生成工程と、記ロットのステータス情報に基づいて、登録されたロットを、所定の製造設備20に配送する配送工程と、を含む。これにより、電子部品10の処理状況に応じたロットの効率的な配送を行うことができる。
【0145】
本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、上記実施形態において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【符号の説明】
【0146】
1 電子部品の製造システム
10 電子部品
20 製造設備
20A カット設備
20B 焼成設備
20C 塗布設備
20D 焼き付け設備
20E めっき設備
20F 特性検査設備
20G 外観選別検査設備
24 第1の識別情報取得手段
30 配送機構
31 無人搬送車
35 第2の識別情報取得手段
40 配送箱
42 識別情報保持媒体
50 保管棚
54 第3の識別情報取得手段
55 第4の識別情報取得手段
100 制御部
110 ロット登録部
120 ロット判別部
130 処理情報取得部
140 ステータス情報生成部
150 設備情報取得部
160 ロケーション情報取得部
170 評価情報取得部
180 配送先決定部
190 ロット選択部
200 指示信号出力部
210 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7