(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】梱包部材
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20241203BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B65D81/05 200
B65D5/50 B
(21)【出願番号】P 2023551127
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2023001293
(87)【国際公開番号】W WO2023145561
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2022010080
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 明成
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3006478(JP,U)
【文献】特開2009-173320(JP,A)
【文献】実開昭48-10828(JP,U)
【文献】実開昭60-105320(JP,U)
【文献】特開2004-106897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05
B65D 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の段ボールシートを折り曲げることによって形成される収容領域を有する梱包部材であって、
矩形状の底部と、
前記底部の周縁から折り曲げられて上方に立設し、前記収容領域の側面を形成する壁部と、を備え、
前記壁部は、
前記収容領域を挟んで第1方向に対向配置され、角筒状に内側に折り曲げられた一対の第1壁部と、
前記収容領域を挟んで前記第1方向と直交する第2方向に対向配置される一対の第2壁部と、
一対の前記第1壁部のそれぞれの前記第2方向の両側端縁から前記第1方向に向かって折り曲げられる一対の保持部と、を有し、
一対の前記保持部は、
前記第2壁部の内側面に対向配置される対向部分と、
前記第1壁部との接続側とは反対側が前記第2方向に向かってさらに折り曲げられた差込片と、を有し、
前記第2壁部は、壁部スリットを有し、
前記差込片を、前記壁部スリットに差し込むことにより、前記第1壁部および前記第2壁部は、起立状態で保持される、梱包部材。
【請求項2】
前記差込片は、前記壁部スリットに差し込まれた状態で、前記収容領域の内側から外側に突出する、請求項1に記載の梱包部材。
【請求項3】
前記対向部分は、前記収容領域に収容された被梱包物と接触する位置に配置される、請求項2に記載の梱包部材。
【請求項4】
一対の前記第1壁部は、それぞれ、前記第2方向の両側端縁に一対の前記保持部を有し、
一対の前記第2壁部は、それぞれ、前記壁部スリットを有し、
一対の前記保持部のそれぞれの前記差込片は、対向する前記壁部スリットに差し込まれる、請求項1に記載の梱包部材。
【請求項5】
一対の前記第1壁部のうち一方の上端部に連結され、前記第1方向に向かって折り曲げられる蓋部をさらに備え、
一対の前記第1壁部のうち他方の上端部は、前記蓋部の上方に突出する第1上側突出片を有し、
前記蓋部は、前記第1上側突出片が差し込まれる蓋部スリットを有し、
前記第1上側突出片が前記蓋部スリットに差し込まれることにより、前記蓋部が前記収容領域の少なくとも一部を上方から塞いだ状態で保持される、請求項1に記載の梱包部材。
【請求項6】
一対の前記第1壁部のうち一方の上端部は、前記蓋部の上方に突出する第2上側突出片を有し、
前記第1上側突出片および第2上側突出片は、上方から衝撃が加わった場合、潰れることにより前記衝撃を緩衝する、請求項5に記載の梱包部材。
【請求項7】
一対の前記第1壁部は、前記底部から切り起されて前記底部よりも下方に突出する一対の下側突出片を有し、
一対の前記下側突出片は、下方から衝撃が加わった場合、潰れることにより前記衝撃を緩衝する、請求項1に記載の梱包部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボールシートで構成された梱包部材が知られている。このような梱包部材は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の梱包部材は、段ボールシートからなるパーツを複数備える。そして、特許文献1の梱包部材は、複数のパーツを組み合わせることによって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、梱包部材を組み立てるとき、複数のパーツをそれぞれ、適切な相手パーツに組み付けていかなければならず、作業性が悪い。また、梱包部材を分解して廃棄するとき、複数のパーツをそれぞれ、相手パーツから取り外していかなければならず、作業性が悪い。さらに、梱包部材を分解すると複数のパーツに分かれるので、複数のパーツをまとめるなどの作業を行わなければならず、廃棄処理が大変となる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、組み立ておよび分解(廃棄処理)の作業性を向上させることが可能な梱包部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一局面による梱包部材は、単一の段ボールシートを折り曲げることによって形成される収容領域を有する梱包部材であって、矩形状の底部と、底部の周縁から折り曲げられて上方に立設し、収容領域の側面を形成する壁部と、を備える。壁部は、収容領域を挟んで第1方向に対向配置され、角筒状に内側に折り曲げられた一対の第1壁部と、収容領域を挟んで第1方向と直交する第2方向に対向配置される一対の第2壁部と、一対の第1壁部のそれぞれの第2方向の両側端縁から第1方向に向かって折り曲げられる一対の保持部と、を有する。一対の保持部は、第2壁部の内側面に対向配置される対向部分と、第1壁部との接続側とは反対側が第2方向に向かってさらに折り曲げられた差込片と、を有する。第2壁部は、壁部スリットを有する。差込片を、壁部スリットに差し込むことにより、第1壁部および第2壁部は、起立状態で保持される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成では、梱包部材の組み立ておよび分解(廃棄処理)の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1の梱包部材に被梱包物が収容された状態の斜視図である。
【
図3】一実施形態による梱包部材を上方から見た場合の平面図である。
【
図5】一実施形態による梱包部材の横壁部およびその周辺の斜視図である。
【
図6】一実施形態による梱包部材の保持部およびその周辺の斜視図である。
【
図8】一実施形態による梱包部材の展開図(段ボールシートの平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図7を参照し、本実施形態の梱包部材100について説明する。以下の説明では、図中のX方向を左右方向と定義し、Y方向を前後方向と定義し、Z方向を上下方向と定義する。Y方向(前後方向)は「第1方向」に相当し、X方向(左右方向)は「第2方向」に対向する。
【0011】
また、X方向のうち、+X側を左と定義し、-X側を右と定義する。Y方向のうち、+Y側を前と定義し、-Y側を後と定義する。Z方向のうち、+Z側を上と定義し、-Z方向を下と定義する。
【0012】
<梱包部材の概略構成>
本実施形態の梱包部材100は、
図1~
図3に示すように、被梱包物1000(
図2参照)が収容される収容領域10を有する。
図2では、被梱包物1000にドット柄を付す。収容領域10は、上方から見て、左右方向を長手方向とする矩形状(略矩形状を含む)である。ただし、これに限定されない。収容領域10は、上方から見て、前後方向を長手方向とする矩形状であってもよい。また、収容領域10は、上方から見て、正方形状であってもよい。
【0013】
梱包部材100は、単一の段ボールシート110(
図8参照)からなる。すなわち、収容領域10は、単一の段ボールシート110を折り曲げることによって形成される。詳細は後述する。
【0014】
梱包部材100は、矩形状の底部1を備える。底部1の上面に被梱包物1000が載置される。すなわち、底部1は、被梱包物1000を下方から覆う。収容領域10に被梱包物1000が収容された状態では、底部1によって被梱包物1000の下面が保護される。
【0015】
また、梱包部材100は、壁部2を備える。壁部2は、底部1の周縁から延ばされ、底部1から上方に垂直(略垂直を含む)に立設する。壁部2は、段ボールシート110(
図8参照)のうち底部1の周縁から折り曲げられることによって上方に立設した部分である。壁部2は、起立状態で保持され、それにより、収容領域10の側面を形成する。言い換えると、壁部2は、上方から見て、収容領域10を囲む。収容領域10に被梱包物1000が収容された状態では、壁部2によって被梱包物1000の側面が保護される。
【0016】
収容領域10に被梱包物1000が収容された状態では、壁部2の内側面(収容領域10を区画する面)に被梱包物1000が接触する。これにより、収容領域10の内側での被梱包物1000の位置ずれ(がたつき)が抑制される。なお、壁部2の内側面と被梱包物1000との間に隙間が生じる場合には、当該隙間に緩衝材(図示せず)などが挿入されることにより、当該隙間が埋められてもよい。
【0017】
壁部2は、収容領域10を挟んで前後方向(「第1方向」に相当)に対向配置される一対の壁部210を有する。以下の説明では、壁部2の前側と後側とを区別する必要がある場合、前側の壁部2に符号211を付して前壁部211(
図3参照)と称し、後側の壁部2に符号212を付して後壁部212(
図3参照)と称する。一対の壁部210(すなわち、前壁部211および後壁部212)は「第1壁部」に相当する。
【0018】
また、壁部2は、収容領域10を挟んで左右方向(「第2方向」に相当)に対向配置される一対の壁部220を有する。左側の壁部220および右側の壁部220の各構造は互いに同じである。以下の説明では、左右の壁部220を横壁部220と称する。一対の壁部220(すなわち、横壁部220)は「第2壁部」に相当する。
【0019】
まず、前壁部211および後壁部212について説明する。
【0020】
前壁部211および後壁部212は、上方から見て、左右方向に平行(略平行を含む)に延びる。被梱包物1000が収容領域10に収容された状態では、前壁部211および後壁部212は、被梱包物1000を前後方向に挟む。
【0021】
前壁部211および後壁部212は、角筒状に内側に折り曲げられることにより、
図4に示すような構造を有する。前壁部211および後壁部212の各構成は、基本的には互いに同じである。このため、以下、前壁部211の図示を省略して説明する。
【0022】
前壁部211は、外壁210aおよび内壁210bを有する。外壁210aは、内壁210bよりも収容領域10に対して外側に位置する部分であり、内壁210bは、収容領域10を区画する部分である。後壁部212も同様に、外壁210aおよび内壁210bを有する。外壁210aの下端は、底部1に繋がる。底部1と外壁210aとの境界が折り曲げられることにより、外壁210aが底部1から上方に立設した状態となる。
【0023】
外壁210aの上端は、上端部210cを介して、内壁210bの上端に繋がる。上端部210cは、外壁210aに対して垂直(略垂直を含む)に折り曲げられる。内壁210bは、上端部210cに対して垂直(略垂直)に折り曲げられることにより、下方に向かって延び、底部1に接触する。これにより、内壁210bは、外壁210aと前後方向に間隔を隔てて対向し、かつ、底部1から上方に立設した状態となる。内壁210bの下端は、下端部210dに繋がる。下端部210dは、外壁210aに向かって延びるように内壁210bに対して垂直(略垂直を含む)に折り曲げられる。なお、
図4では図面を見易くするため、下端部210dと下端部210dに接触する部分とを離間して図示する。
【0024】
前壁部211または後壁部212に対して収容領域10の外側から内側への衝撃が加わった場合には、まず、上端部210cおよび下端部210dがそれぞれ潰れる。これにより、被梱包物1000への衝撃が緩衝される。すなわち、上端部210cおよび下端部210dは、それぞれ、角筒状に内側に折り曲げられることにより、緩衝材として機能する。
【0025】
また、前壁部211および後壁部212は、それぞれ、上方に突出する上側突出片210e(
図1~
図3参照)を有する。上側突出片210eは、上端部210cよりも上方に突出する。前壁部211の上側突出片210eは、左右方向の略中央に配置される。後壁部212の上側突出片210eも同様に、左右方向の略中央に配置される。
【0026】
梱包部材100の上方から衝撃が加わった場合には、まず、上側突出片210eに衝撃が加わることにより、上側突出片210eが潰れる。これにより、被梱包物1000への衝撃が緩衝される。すなわち、上側突出片210eは、上方からの衝撃を緩衝する緩衝材として機能する。
【0027】
前壁部211および後壁部212は、それぞれ、下側突出片210f(
図1および
図2参照)を有する。
図1および
図2では、後壁部212の下側突出片210fは図示されていないが、後壁部212にも下側突出片210fが設けられる。前壁部211の下側突出片210fは、左側および右側に1つずつ配置される。後壁部212の下側突出片210fも同様に、左側および右側に1つずつ配置される。
【0028】
下側突出片210fは、外壁210aのうち下端の一部を他の部分よりも下方に突出させた部分である。具体的には、下側突出片210fは、底部1から切り起されて底部1の下面よりも下方に突出する。
【0029】
これにより、梱包部材100の下方から衝撃が加わった場合、たとえば、梱包部材100の落下時に底部1が下向きであった場合には、まず、下側突出片210fに衝撃が加わることにより、下側突出片210fが潰れる。その結果、被梱包物1000への衝撃が緩衝される。すなわち、下側突出片210fは、下方からの衝撃を緩衝する緩衝材として機能する。
【0030】
次に、一対の横壁部220について説明する。
【0031】
一対の横壁部220は、上方から見て、前後方向に平行(略平行を含む)に延びる。被梱包物1000が収容領域10に収容された状態では、一対の横壁部220は、被梱包物1000を左右方向に挟む。
【0032】
横壁部220およびその周辺は、
図5に示すような構造を有する。
図5には、底部1の一部および横壁部220のみを図示し、他の部分を不図示とする。
【0033】
横壁部220の下端は、底部1に繋がる。底部1と横壁部220との境界が折り曲げられることにより、横壁部220が底部1から上方に立設した状態となる。また、横壁部220は、舌片220aを有する。舌片220aは、横壁部220の上端部が左右方向の外側に向けて垂直(略垂直を含む)に折り曲げられることによって形成される。前壁部211および後壁部212は、外壁210aと内壁210bとを有する2重構造であるが、横壁部220は、単層構造である。
【0034】
なお、前壁部211および後壁部212のそれぞれの左右方向の端部は、横壁部220の基部(舌片220a以外の部分)よりも、収容領域10の内側から外側に向かう方向に突出する。これにより、梱包部材100に対して左右方向から衝撃が加わった場合には、前壁部211および後壁部212のそれぞれの左右方向の端部が潰れ、被梱包物1000への衝撃が緩衝される。すなわち、前壁部211および後壁部212のそれぞれの左右方向の端部は、緩衝材として機能する。
【0035】
<壁部の保持>
壁部2は、底部1から上方に立設した状態(すなわち、起立状態)で保持される。言い換えると、壁部2は、傾倒しないように保持される。壁部2は、傾倒を抑制するため、保持部230を有する。保持部230は、前壁部211の左側および右側の各端部に1つずつ設けられる。また、保持部230は、後壁部212の左側および右側の各端部に1つずつ設けられる。
【0036】
前壁部211の保持部230は、上下方向に延びる折れ線に沿って前壁部211から後方に向かって垂直(略垂直を含む)に折り曲げられた部分である。後壁部212の保持部230は、上下方向に延びる折れ線に沿って後壁部212から前方に向かって垂直(略垂直を含む)に折り曲げられた部分である。
【0037】
以下、
図6および
図7を参照し、保持部230について詳細に説明する。前壁部211および後壁部212の各保持部230の構成は、互いに同じである。このため、前壁部211の保持部230については、詳細図を省略して説明する。なお、
図7では、舌片220aの一部を省略する。また、図面を見易くするため、保持部230の対向部分230aと横壁部220とを左右方向に離間して図示するが、実際には互いに接触する。
【0038】
保持部230は、内壁210bの左右方向の端縁に繋がる。保持部230は、内壁210bの左右方向の両側端縁から延び、内壁210bの両側端縁から前後方向に垂直(略垂直を含む)に折り曲げられることにより、前後方向に延びる。言い換えると、保持部230は、横壁部220の内側面に対向配置される対向部分230aを有する。対向部分230aは、収容領域10の内側に配置される。具体的には、対向部分230aは、収容領域10に収容される被梱包物1000と接触する位置に配置される。したがって、被梱包物1000が収容領域10に収容された状態では、被梱包物1000と対向部分230aとが左右方向に接触する(
図2参照)。
【0039】
ここで、横壁部220は、壁部スリット221を有する。壁部スリット221は、左右方向(段ボールシート110のうち横壁部220を成す部分の板厚方向)に貫通する。また、壁部スリット221は、上下方向に長い長孔であり、横壁部220のうち前後方向の略中央に形成される(
図5参照)。
【0040】
保持部230は、壁部210との接続側とは反対側が左右方向に向かってさらに折り曲げられた部分を差込片231として有する。具体的には、差込片231は、保持部230の対向部分230aが左右方向の外側に向かって垂直(略垂直を含む)に折り曲げられることによって形成される。差込片231は、壁部スリット221に差し込まれる。
【0041】
なお、保持部230の対向部分230aは、収容領域10の内側に配置される。したがって、差込片231は、壁部スリット221に対し、収容領域10の内側から差し込まれる。そして、差込片231は、壁部スリット221に差し込まれることにより、収容領域10の内側から外側に突出する。言い換えると、差込片231は、横壁部220の外面(左右方向の外側を向く面)よりも左右方向の外側に突出する。差込片231の左右方向の先端位置は、前壁部211および後壁部212のそれぞれの左右方向の端部の先端位置と同じ(略同じを含む)である。
【0042】
保持部230の対向部分230aは、収容領域10の内側において、被梱包物1000に接触することにより、収容領域10の内側から外側に向かって押圧される。このため、差込片231は、収容領域10の内側から外側に突出した状態で保持される。
【0043】
その結果、梱包部材100に対して左右方向から衝撃が加わった場合には、差込片231は、前壁部211および後壁部212のそれぞれの左右方向の端部と共に潰れる。これにより、被梱包物1000への衝撃が緩衝される。すなわち、差込片231は、前壁部211および後壁部212のそれぞれの左右方向の端部と共に、左右方向からの衝撃を緩衝する緩衝材として機能する。
【0044】
また、一対の保持部230のそれぞれの差込片231は、対向する壁部スリット221に差し込まれる。具体的には、左側にある横壁部220の壁部スリット221には、前壁部211および後壁部212のそれぞれの左側に設けられた保持部230の差込片231が挿入される。右側にある横壁部220の壁部スリット221には、前壁部211および後壁部212のそれぞれの右側に設けられた保持部230の差込片231が挿入される。すなわち、左右方向の同側にある2つの保持部230のそれぞれの差込片231は、重ねられることによって1つにまとめられ、同一の壁部スリット221に差し込まれる。
【0045】
差込片231が壁部スリット221に差し込まれることにより、前壁部211および後壁部212が収容領域10の外側に傾倒することを抑制できる。また、一対の横壁部220が収容領域10の外側に傾倒することを抑制できる。すなわち、差込片231を壁部スリット221に差し込むことにより、前壁部211および後壁部212がそれぞれ起立状態で保持され、一対の横壁部220がそれぞれ起立状態で保持される。
【0046】
<蓋部の保持>
梱包部材100は、
図1~
図3に示すように、蓋部3を備える。蓋部3は、壁部2から延ばされる。そして、蓋部3は、収容領域10の一部を上方から覆う。たとえば、蓋部3は、収容領域10の左右方向の略中央部を上方から覆う。被梱包物1000が収容領域10に収容された状態では、蓋部3は、被梱包物1000の一部(左右方向の略中央部)を上方から覆う。
【0047】
たとえば、蓋部3は、後壁部212の上端部210cに繋がり、後壁部212の上端部210cから延ばされる。ただし、これに限定されない。蓋部3は、前壁部211の上端部210cに繋がり、前壁部211の上端部210cから延ばされてもよい。後壁部212の上端部210cに蓋部3が繋がる構成では、後壁部212が「一対の第1壁部のうち一方」に相当し、前壁部211が「一対の第1壁部のうち他方」に相当する。また、前壁部211の上側突出片210eが「第1上側突出片」に相当し、後壁部212の上側突出片210eが「第2上側突出片」に相当する。
図1~
図3および
図8では、前壁部211の上側突出片210eに符号2101eを付し、後壁部212の上側突出片210eに符号2102eを付して区別する。
【0048】
蓋部3は、後壁部212の上端部210cとの接続部分を支点とし、当該接続部分とは反対側の先端部分を上下に振るように回動可能である。言い換えると、蓋部3は、収容領域10の開口の一部を閉塞する方向および開放する方向に回動可能である。具体的には、後壁部212の上端部210cと蓋部3との境界が折り曲げられており、その折り曲げ角度を調整することにより、収容領域10の開口の一部を蓋部3で閉塞したり開放したりできる。
【0049】
ここで、蓋部3は、蓋部スリット31を有する。蓋部スリット31は、段ボールシート110のうち蓋部3を成す部分を板厚方向に貫通する。収容領域10の一部を上方から蓋部3で覆った状態では、蓋部スリット31は蓋部3を上下方向に貫通する。
【0050】
また、収容領域10の一部を上方から蓋部3で覆った状態では、蓋部3は、後壁部212の上端部210cから延ばされ、折り曲げられることにより、前壁部211の上端部210cに達する。具体的には、蓋部3のうち後壁部212との接続側とは反対側の先端部分が前壁部211の上端部210cに達する。ここで、蓋部スリット31は、蓋部3の先端部分に形成される。これにより、蓋部3の先端部分が前壁部211の上端部210cに達した状態では、蓋部スリット31に前壁部211の上側突出片210e(すなわち、第1上側突出片2101e)が挿入される。
【0051】
前壁部211の上側突出片210e(すなわち、第1上側突出片2101e)を蓋部スリット31に挿入することにより、蓋部3が収容領域10の一部を上方から覆った状態で保持される。言い換えると、蓋部3は、収容領域10の上側開口の一部を塞ぐ。
【0052】
収容領域10の上側開口は、収容領域10への被梱包物1000の出し入れ口となる。すなわち、収容領域10への被梱包物1000の収容後、収容領域10の上側開口の一部が蓋部3によって塞がれる。これにより、収容領域10の上側開口から被梱包物1000が飛び出ることを抑制できる。
【0053】
なお、上方から見て、蓋部3は、収容領域10のうち左右方向の略中央部だけを塞ぎ、他の部分は塞がない。すなわち、当該他の部分は露出される。これにより、収容領域10の上側開口から被梱包物1000が飛び出ることを抑制しつつ、収容領域10の内側状態(被梱包物1000の状態)を容易に確認できる。
【0054】
<梱包部材の組み立て>
梱包部材100の展開図を
図8に示す。梱包部材100は、
図8に示す段ボールシート110を折り曲げることによって形成される。
図8では、底部1の上面(被梱包物1000の載置面であり収容領域10の底面)を上向きに図示する。また、
図8において、太い実線は切り線であり、破線は谷折り線であり、一点鎖線は山折り線である。
【0055】
図8に示す段ボールシート110を折り曲げ、壁部スリット221に差込片231を差し込むことにより、組み立てが完了する。すなわち、複数のパーツを組み合わせる必要はなく、接着剤などの接合部材も不要である。また、梱包部材100を廃棄するときには、収容領域10から被梱包物1000を取り出した後、壁部スリット221から差込片231を抜き取るだけで、梱包部材100をシート状に展開できる。
【0056】
本実施形態では、上記のように、梱包部材100の壁部2は、一対の壁部210(前壁部211および後壁部212)のそれぞれの左右方向の両側端縁から延ばされて前後方向に向かって折り曲げられる一対の保持部230を有する。すなわち、前壁部211は、左右方向の両側端縁から前後方向に折り曲げられる一対の保持部230を有し、同様に、後壁部212は、左右方向の両側端縁から前後方向に折り曲げられる一対の保持部230を有する。一対の保持部230は、横壁部220の内側面と左右方向に対向配置される対向部分230aを有する。さらに、一対の保持部230は、壁部210との接続側とは反対側が左右方向の外側に向かってさらに折り曲げられた部分を差込片231として有する。また、横壁部220は、左右方向に貫通する壁部スリット221を有する。そして、差込片231は、壁部スリット221に差し込まれる。これにより、前壁部211および後壁部212は、底部1から立設した状態で保持される。また、横壁部220も同様に、底部1から立設した状態で保持される。
【0057】
この構成では、単一の段ボールシート110を谷折り線および山折り線に沿って折り曲げた後、差込片231を壁部スリット221に差し込むだけで、前壁部211および後壁部212を底部1から立設した状態で保持でき、横壁部220を底部1から立設した状態で保持できる。すなわち、複数のパーツを組み合わせなくても(単一のパーツだけで)、容易に、収容領域10を有する梱包部材100を得ることができる。
【0058】
また、梱包部材100を廃棄処理するとき、壁部スリット221から差込片231を抜き取るだけで、梱包部材100をシート状に展開できる。このとき、梱包部材100は、複数のパーツに分解されない。このため、廃棄処理の対象を分別したり1つにまとめたりする作業は不要である。
【0059】
これらの結果、梱包部材100の組み立ておよび分解(廃棄処理)の作業性を向上させることができる。また、梱包部材100は単一部材(段ボールシート110)で構成されるので、梱包部材100のコストダウンに繋がる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、差込片231は、壁部スリット221に差し込まれることにより、収容領域10の内側から外側に突出する。具体的には、差込片231は、横壁部220の外面(収容領域10を向く面とは反対側の面)よりも左右方向の外側に突出する。これにより、差込片231を緩衝材として機能させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、保持部230の対向部分230aは、収容領域10に収容される被梱包物1000と接触する位置に配置される。これにより、差込片231が左右方向の内側に位置ずれして壁部スリット221から抜けることを抑制できる。すなわち、収容領域10に被梱包物1000が収容された状態では、梱包部材100が展開されることを抑制できる(梱包部材100が意図せず展開されることはない)。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、左右方向の同側にある2つの保持部230のそれぞれの差込片231は、同一の壁部スリット221に差し込まれる。これにより、壁部スリット221の加工箇所を削減できる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、蓋部3は、上側突出片210e(すなわち、第1上側突出片2101e)が蓋部スリット31に差し込まれることにより、収容領域10の上方から見た場合の左右方向の略中央部を上方から塞いだ状態で保持される。これにより、蓋部3が意図せず開くことを抑制できる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、上側突出片210eは、前壁部211および後壁部212の両方に設けられる。前壁部211の上側突出片210e(すなわち、第1上側突出片2101e)および後壁部212の上側突出片210e(すなわち、第2上側突出片2102e)は、それぞれ、上方から衝撃が加わった場合に潰れることにより、当該衝撃を緩衝する緩衝材として機能する。すなわち、蓋部スリット31に差し込まれる上側突出片210e(すなわち、第1上側突出片2101e)は、蓋部3が動かないように保持する保持部としても機能するし、緩衝材としても機能する。この構成では、蓋部3の保持部を別途形成する必要がないので、梱包部材100の構造が複雑化することを抑制できる。
【0065】
また、本実施形態では、上記のように、前壁部211および後壁部212は、それぞれ、底部1よりも下方に突出する下側突出片210fを有する。前壁部211および後壁部212のそれぞれの下側突出片210fは、底部1から切り起されて底部1よりも下方に突出する。前壁部211および後壁部212のそれぞれの下側突出片210fは、下方から衝撃が加わった場合に潰れることにより、当該衝撃を緩衝する。これにより、別パーツを準備しなくても、容易に、下方からの衝撃を緩衝する緩衝材を得ることができる。
【0066】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。