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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/04 20060101AFI20241203BHJP
   F16K 11/074 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
F16K3/04 Z
F16K11/074 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023566125
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2022038746
(87)【国際公開番号】W WO2023105933
(87)【国際公開日】2023-06-15
【審査請求日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2021198457
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 博史
(72)【発明者】
【氏名】内田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】松田 三起夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲平
(72)【発明者】
【氏名】樋口 彰
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/49542(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110657268(CN,A)
【文献】特開2020-12553(JP,A)
【文献】中国実用新案第207621401(CN,U)
【文献】中国実用新案第210440601(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/04
F16K 11/074
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ装置であって、
内部に流体が流通するハウジング(11)と、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングに対し相対回転不能に設けられ、流体が通過する流路孔(121、122、123、124)が形成された流路孔形成部(12)と、
前記ハウジング内において前記流路孔形成部に対し所定軸心(Cv)の軸方向(Da)の一方側に配置され、前記流路孔形成部に対して摺動しながら前記所定軸心まわりに回転する回転子(16)と、
前記回転子に対し前記軸方向の前記一方側に設けられ、流体が導入される圧力室(24a)を有する差圧装置(24)とを備え、
前記ハウジング内には、前記回転子に対し前記軸方向の前記一方側に設けられた一方側空間(11a)と、前記流路孔形成部に対し前記軸方向の前記一方側とは反対側の他方側に設けられ前記流路孔に連通する他方側空間(11b、11c、11d、11e)とが形成され、
前記回転子は、該回転子の回転に伴って、前記一方側空間に対する前記流路孔の開度を増減し、
前記差圧装置は、少なくとも前記他方側空間内の圧力の方が前記一方側空間内の圧力(P2)よりも高い場合に、前記圧力室内の圧力(P1)と前記一方側空間内の圧力との差圧によって前記回転子を前記流路孔形成部へ押し付ける押圧力を発生し、
前記圧力室内の圧力が前記一方側空間内の圧力に対して大きくなるほど、前記押圧力は大きくなる、バルブ装置。
【請求項2】
前記他方側空間と前記圧力室とを連通させる連通路(17a)が設けられている、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記ハウジング内に配置され、前記流路孔形成部および前記回転子に対する前記軸方向の前記一方側から前記他方側へ前記所定軸心に沿って延伸し、前記圧力室内へ露出した圧力室露出部(173)を有するシャフト(17)を備え、
前記シャフトの内部には、前記他方側空間と前記圧力室とを連通させる連通路(17a)が形成され、
該連通路は、前記シャフトの内部で前記流路孔形成部および前記回転子に対する前記軸方向の前記一方側から前記他方側へ延伸し、前記圧力室に対し前記圧力室露出部にて開口している、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記差圧装置は、前記シャフトを介して前記ハウジングに対し前記所定軸心まわりに回転可能に支持され、前記所定軸心まわりに前記回転子と共に回転する、請求項3に記載のバルブ装置。
【請求項5】
第1逆止弁部(321)と第2逆止弁部(322)とを備え、
前記ハウジング内には前記他方側空間が複数形成され、
複数の前記他方側空間は第1他方側空間(11b)と第2他方側空間(11c)とを含み、
前記流路孔形成部には、複数の前記他方側空間のそれぞれに対応するように前記流路孔が複数形成され、
前記連通路は、前記第1他方側空間と前記第2他方側空間とのそれぞれに接続され、
前記第1逆止弁部は、前記第1他方側空間から前記連通路への流体流れを許容する一方で、前記連通路から前記第1他方側空間への流体流れを阻止し、
前記第2逆止弁部は、前記第2他方側空間から前記連通路への流体流れを許容する一方で、前記連通路から前記第2他方側空間への流体流れを阻止する、請求項2ないし4のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記圧力室内の圧力の方が前記一方側空間内の圧力よりも高い場合に前記圧力室から前記一方側空間への流体の漏れを許容する漏れ通路(182c)が設けられている、請求項5に記載のバルブ装置。
【請求項7】
前記ハウジング内には前記他方側空間が複数形成され、
複数の前記他方側空間は、第1他方側空間(11b)と、該第1他方側空間に対し前記所定軸心の周方向(Dc)の一方側に配置された第2他方側空間(11c)とを含み、
前記流路孔形成部には、複数の前記他方側空間のそれぞれに対応するように前記流路孔が複数形成され、
前記シャフトは、前記所定軸心まわりに前記回転子と一体回転し、
複数の前記他方側空間のうち最も高圧になる空間を最高圧空間とした場合、該最高圧空間は、前記回転子が前記周方向の前記一方側へ回転することに伴って前記第1他方側空間から前記第2他方側空間へ切り替わり、
前記連通路は、前記第1他方側空間が前記最高圧空間になっているときには前記第1他方側空間に連通し、前記第2他方側空間が前記最高圧空間になっているときには前記第2他方側空間に連通する、請求項3または4に記載のバルブ装置。
【請求項8】
前記シャフトは、前記流路孔形成部よりも前記軸方向の前記他方側に位置するシャフト他方部(172)を有し、
前記ハウジングには、複数の前記他方側空間に対し前記所定軸心の径方向(Dr)の内側に配置され前記シャフト他方部が挿入された挿入穴(11f)と、前記第1他方側空間と前記挿入穴とをつなぐ第1連結孔(116a)と、前記第2他方側空間と前記挿入穴とをつなぐ第2連結孔(116b)とが形成され、
前記連通路は、前記シャフト他方部に形成され該シャフト他方部の外周面(172a)で開口した側面孔(172b)を含み、
前記第1他方側空間が前記最高圧空間になっているときには前記第1連結孔と前記側面孔とが連通し、
前記第2他方側空間が前記最高圧空間になっているときには前記第2連結孔と前記側面孔とが連通する、請求項7に記載のバルブ装置。
【請求項9】
前記第1他方側空間は、複数の前記流路孔のうち前記第1他方側空間に連通する第1流路孔(121)が全閉にされることによって、前記最高圧空間になり、
前記第2他方側空間は、複数の前記流路孔のうち前記第2他方側空間に連通する第2流路孔(122)が全閉にされることによって、前記最高圧空間になる、請求項7に記載のバルブ装置。
【請求項10】
前記ハウジングの外部に配置されたポンプ(71)の吐出側と前記圧力室とを連通させる連通路(17a)が設けられている、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項11】
ポンプ(71)によって流体が循環する流体回路(70)の一部を構成するバルブ装置であって、
前記流体回路では、前記ポンプの吐出側は前記他方側空間に接続可能になっており、
前記ポンプの吐出側と前記圧力室とを連通させる連通路(17a)が設けられている、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項12】
前記差圧装置は、前記圧力室に対し前記軸方向の前記他方側に設けられ前記圧力室と前記一方側空間とを隔てるダイヤフラム(241)と、前記回転子を前記軸方向の前記他方側へ押す押圧部(242、201)とを有し、
前記シャフトは前記ダイヤフラムを貫通して延伸し、
前記ダイヤフラムは、前記軸方向に移動可能に設けられ前記押圧部に連結された可動端部(241b)を有し、
前記圧力室内の圧力は、前記押圧部を前記軸方向の前記他方側へ押すように作用する、請求項3または4に記載のバルブ装置。
【請求項13】
前記軸方向に圧縮変形させられた状態で設置され、該圧縮変形に対する反発力によって前記回転子を前記軸方向の前記他方側へ押す弾性体(22)を備え、
前記弾性体は、前記圧力室内に配置され、前記押圧部を介して前記回転子を押す、請求項12に記載のバルブ装置。
【請求項14】
前記軸方向に圧縮変形させられた状態で設置され、該圧縮変形に対する反発力によって前記回転子を前記軸方向の前記他方側へ押す弾性体(22)を備える、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は、2021年12月7日に出願された日本特許出願番号2021-198457号に基づくもので、ここにその記載内容が参照により組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、流体が流通するバルブ装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
この種のバルブ装置として、例えば特許文献1に記載されたバルブ装置が知られている。この特許文献1に記載されたバルブ装置は、ハウジング内の流路に配置され互いに積層された駆動ディスクと固定ディスクとを備えている。そして、駆動ディスクは、固定ディスクに対し摺動しながら所定軸心まわりに回転する。特許文献1のバルブ装置では、その駆動ディスクの回転位置に応じて、開口ポートが切り替わり、ハウジング内の流路が切り替わる。
また、特許文献1のバルブ装置では、駆動ディスクは押付けバネによって固定ディスクへ押圧されている。これにより、駆動ディスクと固定ディスクとの間がシールされている。すなわち、駆動ディスクと固定ディスクとの互いの接触面に一定の面圧が与えられ、これにより、駆動ディスクと固定ディスクとの間からの流体の漏れが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第2917619号明細書
【発明の概要】
【0005】
近年、バルブ装置に対する高機能化の要求から、従来は無かった次のようなことが必要とされるようになってきた。すなわち、バルブ装置において、駆動ディスク側から固定ディスク側への流体の流れを順方向の流れとした場合、バルブ装置が属するシステムのモードによっては、固定ディスク側から駆動ディスク側への流体の流れである逆方向の流れも想定する必要が生じてきた。
【0006】
その逆方向の流れでは、ハウジング内の流路において固定ディスク側の流体圧力の方が駆動ディスク側の流体圧力よりも高くなり、駆動ディスクを固定ディスクから浮き上がらせる流体圧力である逆圧が生じる。その逆圧は、例えば、大流量時や、駆動ディスクが流路を遮断した全閉時に大きくなる。
【0007】
そして、その逆圧により駆動ディスクを浮き上がらせる力が押付けバネの荷重を上回ると、駆動ディスクが固定ディスクから浮き上がり、駆動ディスクと固定ディスクとの間に隙間が生じる。その結果、駆動ディスクと固定ディスクとの間で流体の漏れが発生し、バルブ装置の機能が損なわれる事態になる。
【0008】
このような事態を防止するために押付けバネの荷重を逆圧を加味して増やす方法も考えられるが、その押付けバネの荷重は一定荷重であるので、例えば逆圧が生じていない場合には必要以上の大きさになる。そして、その押付けバネの荷重が大きいと、駆動ディスクと固定ディスクとの摩擦に起因した摩擦トルクが増大する。そのため、押付けバネの荷重を逆圧を加味して増やす方法は、駆動ディスクを回転させるアクチュエータの駆動力を大きくする必要を生じ、延いては、大幅なコストアップにつながる。発明者らの詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。
【0009】
本開示は上記点に鑑みて、駆動ディスクと固定ディスクとの摩擦トルクが過剰に大きくなることを抑えつつ、駆動ディスクが固定ディスクから浮き上がることを防止することが可能なバルブ装置を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の1つの観点によれば、バルブ装置は、
内部に流体が流通するハウジングと、
ハウジング内に配置され、ハウジングに対し相対回転不能に設けられ、流体が通過する流路孔が形成された流路孔形成部と、
ハウジング内において流路孔形成部に対し所定軸心の軸方向の一方側に配置され、流路孔形成部に対して摺動しながら所定軸心まわりに回転する回転子と、
回転子に対し軸方向の一方側に設けられ、流体が導入される圧力室を有する差圧装置とを備え、
ハウジング内には、回転子に対し軸方向の一方側に設けられた一方側空間と、流路孔形成部に対し軸方向の一方側とは反対側の他方側に設けられ流路孔に連通する他方側空間とが形成され、
回転子は、その回転子の回転に伴って、一方側空間に対する流路孔の開度を増減し、
差圧装置は、少なくとも他方側空間内の圧力の方が一方側空間内の圧力よりも高い場合に、圧力室内の圧力と一方側空間内の圧力との差圧によって回転子を流路孔形成部へ押し付ける押圧力を発生し、
圧力室内の圧力が一方側空間内の圧力に対して大きくなるほど、押圧力は大きくなる。
【0011】
このようにすれば、他方側空間内の圧力の方が一方側空間内の圧力よりも高い場合には、回転子を流路孔形成部から浮き上がらせる流体圧力である逆圧が生じるが、その逆圧に対抗して、差圧装置は、回転子を流路孔形成部へ押し付ける。そして、圧力室内の圧力が一方側空間内の圧力に対して大きくなるほど差圧装置の押圧力は大きくなるので、逆圧の大きさに応じて差圧装置の押圧力が加減される。従って、回転子と流路孔形成部との摩擦トルクが過剰に大きくなることを抑えつつ、回転子が流路孔形成部から浮き上がることを防止することが可能である。
【0012】
ここで、回転子は上記駆動ディスクに対応し、流路孔形成部は上記固定ディスクに対応する。
また、上記した差圧装置が押圧力を発生する場合における上記「少なくとも」という語は、他方側空間内の圧力の方が一方側空間内の圧力よりも高い場合以外の場合にも差圧装置が上記押圧力を発生することがあってもよいということを意味する。そして、その「少なくとも」という語は、他方側空間内の圧力の方が一方側空間内の圧力よりも高い場合に差圧装置が上記押圧力を常に発生するということにバルブ装置の構成を限定するわけではない。
【0013】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態においてバルブ装置を模式的に示した図であって、そのバルブ装置のバルブ軸心を含む断面を示した縦断面図である。
図2】第1実施形態において、図1のII-II断面を示した断面図である。
図3】第1実施形態においてバルブ装置が有する固定子を単体で示した図であって、図1の矢印IIIの方向視で示した矢視図である。
図4】第1実施形態においてバルブ装置が有する回転子とレバーとを示した図であって、図1の矢印IIIの方向視で示した矢視図である。
図5】第1実施形態においてバルブ装置が有するシャフトとシャフトボディとレバーとを示した図であって、図1の矢印Vの方向視で示した矢視図である。
図6図5のVI方向の矢視図である。
図7】第1実施形態において図4のVII-VII断面を示した断面図である。
図8】第1実施形態において図1のVIII部分を拡大して示した部分拡大図である。
図9図1の縦断面図から差圧装置とその周辺とを抜粋した図であって、圧力室内の圧力が一方側空間内の圧力よりも低くなった場合の差圧装置の状態を(a)に示し、圧力室内の圧力が一方側空間内の圧力よりも高くなった場合の差圧装置の状態を(b)に示した図である。
図10】第2実施形態において、バルブ装置を模式的に示した縦断面図であって、図1に相当する図である。
図11】第2実施形態において図10のXI部分を拡大して示した部分拡大図である。
図12】第2実施形態において、図10および図11のXII-XII断面を示した断面図であって、図2に相当する図である。
図13】第2実施形態のバルブ装置が有する逆止弁体を単体で示した斜視図である。
図14】第3実施形態において、バルブ装置を模式的に示した縦断面図であって、図1に相当する図である。
図15A】第3実施形態において図13のXVA-XVA断面を示した断面図であって、固定子の第1流路孔が回転子によって全閉にされた状態を示した図である。
図15B】第3実施形態において図13のXVB-XVB断面を示した断面図であって、回転子が図15Aと同じ回転位置にある状態を示した図である。
図16】第3実施形態において回転子を単体で示した斜視図である。
図17A】第3実施形態において、図13のXVA-XVA断面を示し図15Aに相当する断面図であって、回転子が図15Aの回転位置からバルブ周方向の一方側へ回転し、固定子の第1、第2流路孔が回転子によって開かれた状態を示した図である。
図17B】第3実施形態において、図13のXVB-XVB断面を示し図15Bに相当する断面図であって、回転子が図17Aと同じ回転位置にある状態を示した図である。
図18A】第3実施形態において、図13のXVA-XVA断面を示し図15Aに相当する断面図であって、回転子が図17Aの回転位置からバルブ周方向の一方側へ回転し、固定子の第2流路孔が回転子によって全閉にされた状態を示した図である。
図18B】第3実施形態において、図13のXVB-XVB断面を示し図15Bに相当する断面図であって、回転子が図18Aと同じ回転位置にある状態を示した図である。
図19】第4実施形態において、バルブ装置を模式的に示した縦断面図であって、図1に相当する図である。
図20】第4実施形態において、バルブ装置を含む熱媒体回路の概略構成を示した回路図である。
図21】第5実施形態において、バルブ装置を模式的に示した縦断面図であって、図1に相当する図である。
図22】第6実施形態において、バルブ装置を模式的に示した縦断面図であって、図1に相当する図である。
図23】第7実施形態において、バルブ装置を模式的に示した縦断面図であって、図1に相当する図である。
図24】第8実施形態において、バルブ装置を模式的に示した縦断面図であって、図1に相当する図である。
図25】第2実施形態の変形例である第1変形例において、バルブ装置が有する逆止弁体を単体で示した斜視図であって、図13に相当する図である。
図26】第2実施形態の変形例である第2変形例において、バルブ装置が有する逆止弁体を単体で示した斜視図であって、図13に相当する図である。
図27】第2実施形態の変形例である第3変形例において、バルブ装置が有する逆止弁体を単体で示した斜視図であって、図13に相当する図である。
図28】第2実施形態の変形例である第4変形例において、バルブ装置が有する逆止弁体を単体で示した斜視図であって、図13に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態のバルブ装置10は、例えばハイブリッド車両などに搭載される車両用の熱媒体制御バルブである。図1図2に示すバルブ装置10は、走行用動力源、ラジエータ、電池冷却用の熱交換器、および空調用の熱交換器であるヒータコア等に熱媒体をポンプによって循環させる熱媒体回路の一部を構成する。従って、バルブ装置10には、その熱媒体回路に循環する熱媒体が流通する。
【0017】
そして、バルブ装置10は、その熱媒体回路のうちバルブ装置10を介した流通経路における熱媒体の流量を増減することができ、その流通経路の切替えや遮断をすることもできる。なお、バルブ装置10に流通する熱媒体は液体の流体であり、その熱媒体としては、例えばエチレングリコールを含む冷却水などが用いられる。
【0018】
具体的には、図1図2に示すように、バルブ装置10は、所定軸心としてのバルブ軸心Cvまわりに略円盤状の回転子16が回転することでバルブ開閉作動を行うディスクバルブである。本実施形態のバルブ装置10は、5つのポート部110、111、112、113、114を有する多方弁である。
【0019】
なお、本実施形態の説明では、バルブ軸心Cvの軸方向をバルブ軸方向Daとも称し、バルブ軸心Cvの径方向をバルブ径方向Drとも称し、バルブ軸心Cvを中心とした周方向をバルブ周方向Dcとも称する。
【0020】
バルブ装置10は、ハウジング11、固定子12、アクチュエータ14、回転子16、シャフト17、シャフトボディ18、レバー20、押付けバネ22、差圧装置24、固定部品28、およびガスケット30などを備えている。
【0021】
ハウジング11はバルブ装置10の外殻を構成しており、ハウジング11の内部には熱媒体が流通する。ハウジング11は、回転しない非回転部材であり、例えば樹脂製である。ハウジング11は、そのハウジング11の内部に、固定子12、回転子16、シャフト17、シャフトボディ18、レバー20、押付けバネ22、および差圧装置24を収容している。
【0022】
ハウジング11は、一方側ポート通路110aが形成された一方側ポート部110と、第1他方側ポート通路111aが形成された第1他方側ポート部111と、第2他方側ポート通路112aが形成された第2他方側ポート部112とを有している。また、ハウジング11は、第3他方側ポート通路113aが形成された第3他方側ポート部113と、第4他方側ポート通路114aが形成された第4他方側ポート部114とを有している。
【0023】
5つのポート部110、111、112、113、114はそれぞれ、筒状に形成されている。また、一方側ポート通路110aは、第1~第4他方側ポート通路111a、112a、113a、114aに対しバルブ軸方向Daの一方側に配置されている。例えば、一方側ポート部110、第1~第3他方側ポート部111、112、113はそれぞれ、バルブ径方向Drの外側へ突き出た形状を成し、第4他方側ポート部114は、バルブ軸方向Daの一方側とは反対側の他方側へ突き出た形状を成している。なお、本実施形態の説明では、第1~第4他方側ポート通路111a、112a、113a、114aを第1~第4他方側ポート通路111a~114aと記載する場合がある。
【0024】
ハウジング11の内部には、上記した複数のポート通路110a、111a、112a、113a、114aのほか、互いに仕切られ熱媒体が流通する複数の空間11a、11b、11c、11d、11eも形成されている。具体的には、一方側空間11aと第1他方側空間11bと第2他方側空間11cと第3他方側空間11dと第4他方側空間11eとがそれぞれハウジング11の内部に形成されている。また、固定子12と回転子16は一方側空間11aと第1~第4他方側空間11b、11c、11d、11eのそれぞれとの間を仕切っている。その一方側空間11aは、第1~第4他方側空間11b、11c、11d、11eに対し、固定子12と回転子16とを挟んでバルブ軸方向Daの一方側に配置されている。なお、本実施形態の説明では、第1~第4他方側空間11b、11c、11d、11eを第1~第4他方側空間11b~11eと記載する場合がある。
【0025】
一方側空間11aは一方側ポート通路110aに連通し、第1他方側空間11bは第1他方側ポート通路111aに連通し、第2他方側空間11cは第2他方側ポート通路112aに連通している。また、第3他方側空間11dは第3他方側ポート通路113aに連通し、第4他方側空間11eは第4他方側ポート通路114aに連通している。なお、本実施形態では、第3他方側空間11dが本開示の他方側空間に対応する。
【0026】
第1~第4他方側空間11b~11eは、ハウジング11が有する仕切壁で隔てられると共に、バルブ周方向Dcに並んで配置されている。すなわち、第2他方側空間11cは第1他方側空間11bに対しバルブ周方向Dcの一方側に隣接して配置され、第3他方側空間11dは第2他方側空間11cに対しバルブ周方向Dcの一方側に隣接して配置されている。そして、第4他方側空間11eは第3他方側空間11dに対しバルブ周方向Dcの一方側に隣接して配置され、第1他方側空間11bは第4他方側空間11eに対しバルブ周方向Dcの一方側に隣接して配置されている。
【0027】
また、ハウジング11には、シャフト17が挿入されるシャフト挿入穴11fが形成されている。このシャフト挿入穴11fは、バルブ軸方向Daの他方側を穴底とした止まり穴であり、バルブ軸心Cvを中心線としてバルブ軸方向Daに延伸している。シャフト挿入穴11fは、シャフト挿入穴11fのうちシャフト17が占める部分から更にバルブ軸方向Daの他方側へ延びている。すなわち、シャフト挿入穴11fは、そのシャフト挿入穴11fに挿入されたシャフト17に対しバルブ軸方向Daの他方側に位置する他方側部分11gを含んでいる。
【0028】
また、シャフト挿入穴11fは、固定子12に対しバルブ軸方向Daの他方側に配置され、且つ、第1~第4他方側空間11b~11eに対しバルブ径方向Drの内側に配置されている。ハウジング11は、シャフト17がこのシャフト挿入穴11fに挿入されることで、シャフト17を回転可能に支持する。
【0029】
図1図3に示すように、固定子12は、例えばバルブ軸心Cvを中心線とした略円盤状に形成されており、高い摺動性能を得るためにセラミックで構成されている。固定子12は、例えば不図示の凹部と凸部との係合などによりハウジング11に対し相対回転不能とされて、ハウジング11内に設置されている。固定子12は、固定ディスクとも称される。
【0030】
固定子12は、ハウジング11内で熱媒体が通過する第1~第4流路孔121、122、123、124が形成された流路孔形成部として設けられている。第1~第4流路孔121、122、123、124はそれぞれ、固定子12をバルブ軸方向Daに貫通した貫通孔として形成されている。なお、本実施形態の説明では、第1~第4流路孔121、122、123、124を第1~第4流路孔121~124と記載する場合がある。
【0031】
ここで、ハウジング11の第1~第4他方側空間11b~11eは、固定子12に対しバルブ軸方向Daの他方側に設けられている。そして、固定子12の第1~第4流路孔121~124は、第1~第4他方側空間11b~11eのそれぞれに一対一で対応するものである。
【0032】
従って、第1他方側空間11bはその第1他方側空間11bのうちバルブ軸方向Daの一方側の端で固定子12の第1流路孔121に対して接続し、第1流路孔121に連通している。また、第2他方側空間11cはその第2他方側空間11cのうちバルブ軸方向Daの一方側の端で固定子12の第2流路孔122に対して接続し、第2流路孔122に連通している。また、第3他方側空間11dはその第3他方側空間11dのうちバルブ軸方向Daの一方側の端で固定子12の第3流路孔123に対して接続し、第3流路孔123に連通している。また、第4他方側空間11eはその第4他方側空間11eのうちバルブ軸方向Daの一方側の端で固定子12の第4流路孔124に対して接続し、第4流路孔124に連通している。
【0033】
そして、固定子12の第1~第4流路孔121~124は、第1~第4他方側空間11b~11eと同様に、バルブ周方向Dcに並んで配置されている。すなわち、第2流路孔122は第1流路孔121に対しバルブ周方向Dcの一方側に隣接して配置され、第3流路孔123は第2流路孔122に対しバルブ周方向Dcの一方側に隣接して配置されている。そして、第4流路孔124は第3流路孔123に対しバルブ周方向Dcの一方側に隣接して配置され、第1流路孔121は第4流路孔124に対しバルブ周方向Dcの一方側に隣接して配置されている。
【0034】
また、固定子12には、シャフト17が挿通される挿通孔12aが形成されている。この挿通孔12aは、固定子12をバルブ軸方向Daに貫通し、バルブ軸心Cvを中心線として形成され、第1~第4流路孔121~124に対しバルブ径方向Drの内側に配置されている。
【0035】
図1図4に示すように、回転子16は、例えばバルブ軸心Cvを中心線とした略円盤状に形成されており、高い摺動性能を得るためにセラミックで構成されている。また、回転子16は、バルブ軸心Cvまわりに回転可能に設けられている。すなわち、回転子16は、ハウジング11および固定子12に対して相対的にバルブ軸心Cvまわりに回転可能とされている。回転子16は、駆動ディスクとも称される。
【0036】
回転子16は、ハウジング11内において固定子12に対しバルブ軸方向Daの一方側に配置されている。詳細には、回転子16は、固定子12に対しバルブ軸方向Daの一方側に積層され、固定子12に対して接触している。そのため、回転子16は回転する場合、固定子12に対して摺動しながらバルブ軸心Cvまわりに回転する。
【0037】
また、ハウジング11の一方側空間11aは、回転子16に対しバルブ軸方向Daの一方側に設けられている。
【0038】
回転子16は、バルブ軸心Cvまわりに回転する回転弁体である。回転子16には、その回転子16を貫通した貫通通路としての開度調整孔161と、折返し通路としての相互連通溝162とが形成されている。その開度調整孔161は、回転子16をバルブ軸方向Daに貫通した貫通孔である。
【0039】
また、相互連通溝162は、バルブ軸方向Daの一方側を溝底としバルブ軸方向Daの他方側に開口した溝である。その相互連通溝162は、開度調整孔161からバルブ周方向Dcに離れて配置され、バルブ軸心Cvを中心として円弧状に延びている。
【0040】
回転子16は、その回転子16の回転に伴って、一方側空間11aに対する第1~第4流路孔121~124の開度をそれぞれ増減する。例えば、回転子16は、第1流路孔121に対するバルブ軸方向Daの一方側に開度調整孔161を重ね、その第1流路孔121に対する開度調整孔161の重なり量を増やすことで一方側空間11aに対する第1流路孔121の開度を大きくする。一方側空間11aに対する第2~第4流路孔122、123、124の開度についてもこれと同様である。すなわち、回転子16は、その回転子16の回転位置に応じて、第1~第4流路孔121~124を選択的に、開度調整孔161を介して一方側空間11aへ連通させる。
【0041】
なお、一方側空間11aに対する第1流路孔121の開度とは、第1流路孔121が一方側空間11aに対して開かれている度合いであり、第1流路孔121の全開を100%、全閉を0%として表される。第1流路孔121の全開とは、一方側空間11aに対する第1流路孔121の開度が最大にされた状態である。一方、第1流路孔121の全閉とは、第1流路孔121に対するバルブ軸方向Daの一方側で第1流路孔121の全体が回転子16に塞がれている状態である。この全閉の状態では、一方側空間11aと第1他方側空間11bとの間の熱媒体の流通が遮断される。一方側空間11aに対する第2~第4流路孔122、123、124の開度についてもこれと同様である。確認的に述べるが、第1~第4流路孔121~124のうち相互連通溝162を介して互いに連通する一対の流路孔は、一方側空間11aに対して隔てられるが全閉ではない。
【0042】
また、回転子16は、第1~第4流路孔121~124のうちの1つである連通流路孔を、一方側空間11aから遮断しつつその連通流路孔に隣接する流路孔へ相互連通溝162を介して連通させ、その連通流路孔を回転子16の回転に伴って切り替える。第1流路孔121がその連通流路孔に該当する例では、回転子16は、第1流路孔121および第2流路孔122に対しバルブ軸方向Daの一方側に相互連通溝162を重ねることにより、第1流路孔121と第2流路孔122とを相互連通溝162を介して連通させる。或いは、回転子16は、第1流路孔121および第4流路孔124に対しバルブ軸方向Daの一方側に相互連通溝162を重ねることにより、第1流路孔121と第4流路孔124とを相互連通溝162を介して連通させる。第2~第4流路孔122~124が連通流路孔に該当する場合についてもこれと同様である。
【0043】
また、回転子16には、シャフト17が挿通される挿通孔16aが形成されている。この挿通孔16aは、バルブ軸心Cvを中心線として形成され、回転子16をバルブ軸方向Daに貫通している。そして、挿通孔16aは、開度調整孔161と相互連通溝162とに対しバルブ径方向Drの内側に配置されている。
【0044】
アクチュエータ14は、回転子16を回転させる駆動源であり、不図示のモータと減速機とを有している。そのモータは、例えば外部の電子制御装置によって制御されるステッピングモータであり、モータの回転は、減速機で減速されて回転子16へ伝達される。
【0045】
図1図5に示すように、シャフトボディ18は、アクチュエータ14から出力される駆動力を回転子16へ伝達するための動力伝達軸である。シャフトボディ18は、軸部181と、軸部181に対しバルブ軸方向Daの他方側に配置された筒部182とを有している。その軸部181と筒部182は一体構成になっている。
【0046】
シャフトボディ18の軸部181は、バルブ軸心Cvを中心線としてバルブ軸方向Daに延伸し、ハウジング11に対し軸受19を介して回転可能に支持されている。シャフトボディ18の筒部182は、軸部181に対して拡径しており、バルブ軸方向Daの一方側に筒底を有しバルブ軸方向Daの他方側に開口した円筒状を成している。このシャフトボディ18の筒部182のうちの大部分は、ハウジング11の一方側空間11a内に配置されている。
【0047】
また、シャフトボディ18の軸部181には、シャフト17が嵌入され固定されるシャフト嵌入穴181aが形成されている。このシャフト嵌入穴181aは、バルブ軸方向Daの一方側を穴底とし筒部182の筒底で開口した止まり穴であり、バルブ軸心Cvを中心線としてバルブ軸方向Daに延伸している。なお、本実施形態の筒部182の筒底は、バルブ軸方向Daに段差を有する二段構成になっている。
【0048】
シャフト17は、バルブ軸心Cvを中心線とした心棒であり、回転子16とシャフトボディ18とをバルブ軸心Cvまわりに回転可能に支持するためのものである。シャフト17は、固定子12および回転子16に対するバルブ軸方向Daの一方側から他方側へバルブ軸心Cvに沿って延伸している。詳細には、シャフト17は、回転子16の挿通孔16aと固定子12の挿通孔12aとを通って回転子16と固定子12とをバルブ軸方向Daへ貫通している。なお、それぞれの挿通孔12a、16aの穴壁面とシャフト17との間には僅かな径方向隙間が形成されている。
【0049】
また、シャフト17は、シャフト一方部171とシャフト他方部172とを有している。シャフト一方部171は、シャフト17のうちバルブ軸方向Daの一方側の端部を含み、シャフトボディ18の筒部182に対しバルブ軸方向Daの一方側に位置している。そして、シャフト一方部171は、シャフト嵌入穴181aに嵌入された状態でシャフトボディ18に固定されている。これにより、シャフト17はシャフトボディ18と一体回転する。
【0050】
一方、シャフト他方部172は、シャフト17のうちバルブ軸方向Daの他方側の端部を含み、固定子12よりもバルブ軸方向Daの他方側に位置している。そして、シャフト他方部172は、ハウジング11のシャフト挿入穴11fに挿入され、これにより、ハウジング11に対し相対回転可能に支持されている。
【0051】
従って、シャフト17とシャフトボディ18は、バルブ軸方向Daの一方側では軸受19によって回転可能に支持され、バルブ軸方向Daの他方側ではシャフト挿入穴11fの穴壁面によって回転可能に支持されている。
【0052】
また、固定子12の挿通孔12a内において、固定子12とシャフト17との間にOリング26が設けられている。このOリング26により、一方側空間11aとシャフト挿入穴11fとの間での熱媒体の流通が阻止されている。
【0053】
図1図4図6に示すように、レバー20は、シャフトボディ18の回転を回転子16へ伝達すると共に、押付けバネ22のうちバルブ軸方向Daの他方側の端部222がバルブ径方向Drへ位置ズレすることを防止する。レバー20は、ハウジング11の一方側空間11a内に収容され、回転子16に対しバルブ軸方向Daの一方側に配置されている。
【0054】
具体的に、レバー20は、バルブ軸心Cvを中心線として形成されたレバー中央部201と、レバー中央部201からバルブ径方向Drの外側へ延伸した一対のアーム部202とを有している。このレバー中央部201と一対のアーム部202は、回転子16に対しバルブ軸方向Daの一方側から当接している。
【0055】
レバー中央部201には、バルブ軸心Cvを中心線としてレバー中央部201をバルブ軸方向Daに貫通した挿通孔201aが形成されている。この挿通孔201aにはシャフト17が挿通されている。すなわち、シャフト17は、レバー中央部201の挿通孔201aを通ってレバー中央部201をバルブ軸方向Daへ貫通している。なお、レバー中央部201の挿通孔201aの穴壁面とシャフト17との間には僅かな径方向隙間が形成されている。
【0056】
また、レバー中央部201には、挿通孔201aに対しバルブ径方向Drの外側に設けられたバネ支持溝201bも形成されている。このバネ支持溝201bは、バルブ軸心Cvを中心として円環状に延び、バルブ軸方向Daの他方側を溝底としバルブ軸方向Daの一方側に開口している。このバネ支持溝201bには、押付けバネ22のうちバルブ軸方向Daの他方側の端部222が挿入されている。
【0057】
図4図7に示すように、一対のアーム部202はそれぞれ、バルブ径方向Drの外側に配置されたアーム先端部202aと、そのアーム先端部202aからバルブ軸方向Daの他方側へ突き出た先端突起部202bとを有している。
【0058】
シャフトボディ18の筒部182には、その筒部182のうちバルブ軸方向Daの他方側の端縁に設けられた一対の嵌合溝182aが形成されている。この一対の嵌合溝182aは、バルブ軸心Cvを中心としてバルブ径方向Drに対称配置されている。そして、一対の嵌合溝182aには、アーム先端部202aがそれぞれ嵌め入れられている。これにより、シャフトボディ18とレバー20は相対回転不能になっている。
【0059】
なお、バルブ軸方向Daにおいて嵌合溝182aの深さは、アーム先端部202aのうち嵌合溝182aに嵌め入れられた部分の幅よりも大きくされているので、嵌合溝182aの底面とアーム先端部202aとの間には僅かな軸方向隙間182bが形成されている。この軸方向隙間182bにより、回転子16とシャフトボディ18との間の相対位置関係に拘わる各部品のバルブ軸方向Daの寸法誤差を吸収することができる。また、レバー20と回転子16はバルブ軸方向Daの他方側へ押付けバネ22によって常に付勢されているので、上記の軸方向隙間182bに起因したレバー20および回転子16のバルブ軸方向Daへのガタツキは防止されている。
【0060】
また、回転子16は、バルブ軸方向Daの一方側に設けられバルブ軸方向Daの一方側に向いた回転子一方面163を有し、その回転子一方面163には、バルブ軸方向Daの他方側へ凹んだ一対の嵌合凹部163a(図4図7図16参照)が形成されている。この一対の嵌合凹部163aは、バルブ軸心Cvを中心としてバルブ径方向Drに対称配置されている。そして、一対の嵌合凹部163aには、レバー20の先端突起部202bがそれぞれ嵌め入れられている。
【0061】
これにより、回転子16とレバー20は相対回転不能になっている。すなわち、レバー20と、シャフトボディ18と、そのシャフトボディ18に固定されたシャフト17は、バルブ軸心Cvまわりに回転子16と一体回転する。
【0062】
図1図8に示すように、押付けバネ22と差圧装置24は、回転子16を固定子12へ押し付ける押圧装置であり、回転子16に対しバルブ軸方向Daの一方側に設けられている。本実施形態では、回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力の伝達経路において押付けバネ22と差圧装置24は直列に連結されており、差圧装置24は押付けバネ22を介して回転子16をバルブ軸方向Daに押す。
【0063】
また、固定子12は、バルブ軸方向Daの他方側に設けられバルブ軸方向Daの他方側に向いた固定子他面125を有している。その固定子他面125とハウジング11のうちその固定子他面125に対向する部位との間に、ガスケット30が設けられている。このガスケット30は弾性材料で構成されている。
【0064】
ガスケット30は、固定子他面125における第1~第4流路孔121~124の開口をそれぞれ囲みその第1~第4流路孔121~124の開口を互いに隔てるように配されている。そして、押付けバネ22または差圧装置24によって固定子12がハウジング11に対してバルブ軸方向Daへ押し付けられることにより、ガスケット30はハウジング11と固定子12とに密着し、ハウジング11と固定子12との間をシールする。
【0065】
押付けバネ22は、バルブ軸方向Daに圧縮変形させられた状態でハウジング11の一方側空間11a内に設置された圧縮コイルバネである。すなわち、押付けバネ22は、弾性変形可能な弾性体である。押付けバネ22は、バルブ軸方向Daに圧縮変形させられた状態になっているので、その圧縮変形に対する反発力を常に発生している。押付けバネ22は、バルブ軸心Cvを中心線としてバルブ軸方向Daに延伸したコイル状を成している。
【0066】
押付けバネ22は、バルブ軸方向Daの一方側の端部221である一端部221と、バルブ軸方向Daの他方側の端部222である他端部222とを有している。押付けバネ22は差圧装置24の押圧部242とレバー中央部201との間に配置され、押付けバネ22の一端部221は差圧装置24の押圧部242に当接すると共に、押付けバネ22の他端部222はレバー中央部201に当接する。この配置により、押付けバネ22は、その押付けバネ22の圧縮変形に対する反発力によって、レバー20を介して回転子16をバルブ軸方向Daの他方側(言い換えると、固定子12側)へ押す。また、押付けバネ22の内側にはシャフト17が挿通されている。
【0067】
差圧装置24は、熱媒体が導入される圧力室24aを有している。差圧装置24は、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧(言い換えると、圧力差)によって、回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力を発生する。
【0068】
具体的に、差圧装置24は、シャフトボディ18の筒部182の内側に配置されたダイヤフラム241と押圧部242とを有している。また、差圧装置24の圧力室24aは筒部182の内側に形成されている。詳細には、圧力室24aは、ダイヤフラム241と、押圧部242と、シャフトボディ18の筒部182のうちの一部分とに囲まれるように形成されている。この圧力室24aは背圧室とも称される。
【0069】
ダイヤフラム241は、可撓性を備えた膜状物であり、例えば、薄板状の金属薄板、樹脂、またはゴムなどで構成されている。ダイヤフラム241は、バルブ軸心Cvを中心としてバルブ径方向Drに拡がる略円盤状に形成され、ダイヤフラム241の中心には、バルブ軸方向Daに貫通した貫通孔が形成されている。シャフト17は、このダイヤフラム241の貫通孔内を通り、ダイヤフラム241を貫通して延伸している。
【0070】
ダイヤフラム241は、バルブ径方向Drの外側に設けられた外周端部241aと、バルブ径方向Drの内側に設けられた内周端部241bとを有している。その外周端部241aは、シャフトボディ18の筒部182の内側に嵌め込まれた固定部品28によってその筒部182に対して固定されている。つまり、差圧装置24は、シャフトボディ18に固定されたシャフト17を介してハウジング11に対しバルブ軸心Cvまわりに回転可能に支持され、バルブ軸心Cvまわりに回転子16と共に一体回転する。なお、ダイヤフラム241の外周端部241aと筒部182との間は気密になっている。
【0071】
また、ダイヤフラム241の内周端部241bは差圧装置24の押圧部242に固定されている。このダイヤフラム241の内周端部241bと押圧部242との間は気密になっている。
【0072】
差圧装置24の押圧部242は、シャフト17が挿入されたブッシュであり、差圧装置24のうち、回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押す部分を構成している。詳細には、押圧部242と回転子16との間には押付けバネ22とレバー中央部201とが介在しているので、押圧部242は、その押付けバネ22とレバー中央部201とを介して回転子16を押すことになる。
【0073】
押圧部242の内側にはバルブ軸方向Daに貫通した押圧部貫通孔242aが形成されており、その押圧部貫通孔242aにはシャフト17が挿入されている。押圧部242はシャフト17に対しバルブ軸方向Daに移動可能である。すなわち、その押圧部242に連結されたダイヤフラム241の内周端部241bは、バルブ軸方向Daに移動可能に設けられた可動端部になっている。
【0074】
また、押圧部242とシャフト17との間は、気密、または、熱媒体の漏れが圧力室24a内の圧力P1に影響しない程度の略気密になっている。また、押圧部242は、バルブ軸方向Daの一方側の移動端では、例えばシャフトボディ18に設けられた不図示のストッパに当たって止まる。
【0075】
ダイヤフラム241と押圧部242は、差圧装置24の圧力室24aに対しバルブ軸方向Daの他方側に設けられ、圧力室24aと一方側空間11aとを隔てている。すなわち、ダイヤフラム241と押圧部242は、圧力室24aに面し、その圧力室24a側に対する反対側では一方側空間11aに面している。そのため、圧力室24a内の圧力P1は、押圧部242をバルブ軸方向Daの他方側へ押すように作用し、逆に、一方側空間11a内の圧力P2は、押圧部242をバルブ軸方向Daの一方側へ押すように作用する。
【0076】
本実施形態では、ダイヤフラム241と押圧部242とが有する圧力室24a側の受圧面積と、ダイヤフラム241と押圧部242とが有する一方側空間11a側の受圧面積は同じである。従って、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2とが「P1>P2」の関係になっている場合には、差圧装置24は、回転子16をそれらの圧力P1、P2の差圧によって固定子12へ押し付ける押圧力を発生させる。その一方で、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2とが「P1≦P2」の関係になっている場合には、差圧装置24は、回転子16をそれらの圧力P1、P2の差圧によって固定子12へ押し付ける押圧力を発生させない。
【0077】
なお、上記の圧力室24a側の受圧面積とは、ダイヤフラム241と押圧部242とのうち圧力室24aに面する領域をバルブ軸方向Daに垂直な仮想の平面に対しバルブ軸方向Daに沿って投影して得られる面積である。そして、上記の一方側空間11a側の受圧面積とは、ダイヤフラム241と押圧部242とのうち一方側空間11aに面する領域をバルブ軸方向Daに垂直な仮想の平面に対しバルブ軸方向Daに沿って投影して得られる面積である。
【0078】
また、上記したようにダイヤフラム241と押圧部242は圧力室24aに面するが、シャフトボディ18の筒部182のうちの一部も圧力室24aに面している。従って、その筒部182のうち圧力室24aに面する部分は、シャフトボディ18の一部を構成すると共に、差圧装置24の一部も構成している。
【0079】
図1図8に示すように、シャフト17は、差圧装置24の押圧部242とシャフト一方部171との間で圧力室24a内をバルブ軸方向Daに貫通している。従って、シャフト17は、圧力室24a内へ露出した圧力室露出部173を有している。
【0080】
また、シャフト17の内部には、第3他方側空間11dと圧力室24aとを連通させる連通路17aが形成されている。この連通路17aはバルブ軸方向Daに延伸している。連通路17aは、バルブ軸方向Daの一方側に配置された一端部17bと、バルブ軸方向Daの他方側に配置された他端部17cとを有している。そして、連通路17aは、シャフト17の内部で、固定子12および回転子16に対するバルブ軸方向Daの一方側から他方側へ延伸している。
【0081】
連通路17aは、一端部17bでバルブ径方向Drへ曲がっており、シャフト17のうち圧力室露出部173でバルブ径方向Drの外側を向いて開口している。これにより、連通路17aは、一端部17bにて圧力室24aに連通している。
【0082】
また、連通路17aの他端部17cは、シャフト17のうちバルブ軸方向Daの他方側の端部でバルブ軸方向Daの他方側を向いて開口している。これにより、連通路17aは、他端部17cにてシャフト挿入穴11fに連通している。そして、ハウジング11には、シャフト挿入穴11fと第3他方側空間11dとの間を貫通する連結孔11jが形成されており、この連結孔11jは、シャフト挿入穴11fの他方側部分11gと第3他方側空間11dとをつなぎ、互いを連通させている。そのため、連通路17aの他端部17cは、シャフト挿入穴11fの他方側部分11gと連結孔11jとを介して第3他方側空間11dに連通している。
【0083】
このように、圧力室24aは、シャフト17の連通路17a、シャフト挿入穴11fの他方側部分11g、連結孔11jを順に経て第3他方側空間11dに連通している。すなわち、シャフト17の連通路17aが第3他方側空間11dと圧力室24aとを連通させるので、圧力室24a内の圧力P1は第3他方側空間11d内の圧力と同じになる。従って、第3他方側空間11d内の圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも高い場合には、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2は「P1>P2」の関係になる。この場合、差圧装置24は、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧によって回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力を発生する。そして、その押圧力は、圧力室24a内の圧力P1が一方側空間11a内の圧力P2に対して大きくなるほど大きくなる。
【0084】
これに対し、第3他方側空間11d内の圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも低い場合には、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2は「P1<P2」の関係になる。そして、第3他方側空間11d内の圧力と一方側空間11a内の圧力P2とが同じ場合には、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2は「P1=P2」の関係になる。これらの場合には、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧は差圧装置24の押圧部242をバルブ軸方向Daの他方側へ付勢しない。別言すると、差圧装置24は、回転子16をその差圧によって固定子12へ押し付ける押圧力を発生しない。
【0085】
例えば、熱媒体回路のポンプの吐出側が一方側ポート通路110aに接続され、固定子12の第3流路孔123が全閉とされている場合には、第3他方側空間11d内の圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも低くなる。また、熱媒体回路のポンプの吐出側が一方側ポート通路110aに接続され、一方側空間11aから第3他方側空間11dへ熱媒体が流れる場合にも、第3他方側空間11d内の圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも低くなる。これらの場合には、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2は「P1<P2」になる。従って、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧は差圧装置24の押圧部242をバルブ軸方向Daの他方側へ付勢しない。その結果、その押圧部242は、押付けバネ22の弾性力によって、図9の(a)に示すように、バルブ軸方向Daの一方側の移動端にまで移動する。
【0086】
その一方で、例えば、熱媒体回路のポンプの吐出側が第3他方側ポート通路113aに接続され、固定子12の第3流路孔123が全閉とされている場合には、第3他方側空間11d内の圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも高くなる。また、熱媒体回路のポンプの吐出側が第3他方側ポート通路113aに接続され、第3他方側空間11dから一方側空間11aへ熱媒体が流れる場合にも、第3他方側空間11d内の圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも高くなる。これらの場合には、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2は「P1>P2」になる。
【0087】
その結果、差圧装置24の押圧部242は、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧によってバルブ軸方向Daの他方側へ押され、図9の(b)に示すように、バルブ軸方向Daの一方側の移動端からバルブ軸方向Daの他方側へと移動する。これにより、差圧装置24は、回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力を発生する。
【0088】
以上のように構成されたバルブ装置10では、図1に示すように、アクチュエータ14の駆動力は先ずシャフトボディ18に伝達され、そのシャフトボディ18から、レバー20、回転子16の順に伝達される。そして、そのアクチュエータ14の駆動力により、そのシャフトボディ18と回転子16とシャフト17とレバー20と押付けバネ22と差圧装置24と固定部品28とがバルブ軸心Cvまわりに一体回転する。
【0089】
例えば、回転子16が回転すると、その回転子16の回転に伴って、第1~第4他方側空間11b~11eのうち回転子16の開度調整孔161を介して一方側空間11aへ連通する他方側空間が切り替わる。また、回転子16の回転に伴って、第1~第4他方側空間11b~11eのうち回転子16の相互連通溝162を介して互いに連通する一対の他方側空間も切り替わる。
【0090】
本実施形態では、熱媒体の順方向流れと熱媒体の逆方向流れとがそれぞれ生じうる。その熱媒体の順方向流れとは、一方側ポート通路110aから複数の他方側ポート通路111a、112a、113a、114aの何れかへの熱媒体の流れである。また、熱媒体の逆方向流れとは、複数の他方側ポート通路111a、112a、113a、114aの何れかから一方側ポート通路110aへの熱媒体の流れである。
【0091】
例えば、一方側ポート通路110aと第3他方側ポート通路113aとの間で熱媒体が流通する例について説明すると、熱媒体の順方向流れと逆方向流れとの何れも生じうる。そして、その熱媒体の順方向流れと逆方向流れとの何れの場合でも、回転子16の回転位置に応じて、一方側空間11aに対する固定子12の第3流路孔123の開度が増減され、その第3流路孔123は全閉にも全開にもなり得る。このことは、一方側ポート通路110aと第1、第2、第4他方側ポート通路111a、112a、114aの各々との間で熱媒体が流通する例に関しても同様である。
【0092】
上述したように、本実施形態によれば、図1図8に示すように、第3他方側空間11dの圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも高い場合に、差圧装置24は次のように動作する。すなわち、その場合、差圧装置24は、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧によって回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力を発生する。そして、その押圧力は、圧力室24a内の圧力P1が一方側空間11a内の圧力P2に対して大きくなるほど大きくなる。言い換えると、圧力室24a内の圧力P1が一方側空間11a内の圧力P2以上で且つ圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧が大きくなるほど、上記押圧力は大きくなる。
【0093】
ここで、第3他方側空間11d内の圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも高い場合には、回転子16を固定子12から浮き上がらせる流体圧力である逆圧が生じ、その回転子16を浮き上がらせる力はその逆圧に比例する。これに対し、本実施形態では、その逆圧に対抗して、差圧装置24は、押付けバネ22とレバー20とを介し回転子16を固定子12へ押し付ける。そして、圧力室24a内の圧力P1が一方側空間11a内の圧力P2に対して大きくなるほど差圧装置24の押圧力は大きくなるので、逆圧の大きさに応じて差圧装置24の押圧力が加減される。例えば、逆圧が生じていなければ差圧装置24の押圧力は最小になる。
【0094】
従って、一方側空間11aと第3他方側空間11dとの間での熱媒体の順方向流れと逆方向流れとのそれぞれにおいて、回転子16と固定子12との摩擦トルクが過剰に大きくなることを抑えることが可能である。そして、その摩擦トルクが過剰に大きくなることを抑えながら、回転子16が固定子12から浮き上がることを防止することが可能である。
【0095】
例えば、逆圧が発生した場合に回転子16を固定子12から浮上させようとする浮上荷重と差圧装置24の押圧力とが釣り合うように、ダイヤフラム241と押圧部242とが有する一方側空間11a側および圧力室24a側の受圧面積が設計されていてもよい。そのようにすれば、回転子16の浮上を抑えるための差圧装置24の押圧力が逆圧の大きさに比例して過不足無い大きさになる。そのため、熱媒体の順方向流れ時でも逆方向流れ時でも、回転子16を固定子12へ押し付ける押付力は大きく変化することなく、回転子16を回転させる駆動トルクも大きく変化することがない。
【0096】
(1)また、本実施形態によれば、第3他方側空間11dと圧力室24aとを連通させる連通路17aが設けられている。そのため、第3他方側空間11d内の圧力に起因して回転子16を固定子12から浮き上がらせる逆圧が作用している場合に、差圧装置24によって回転子16を固定子12へ押し付けることができる。従って、その逆圧に起因した回転子16の浮き上がりを抑制できる。そして、例えば熱媒体の順方向流れの場合など、その逆圧が生じていない場合には、差圧装置24の押圧力が最小になるので、回転子16を回転させる駆動トルクの低減を図ることが可能である。
【0097】
(2)また、本実施形態によれば、第3他方側空間11dと圧力室24aとを連通させる連通路17aは、シャフト17の内部に形成されている。従って、例えばその連通路17aをハウジング11の外部に設置された外部配管に設ける場合と比較して、バルブ装置10をコンパクトに構成することが可能である。
【0098】
(3)また、本実施形態によれば、差圧装置24は、シャフト17を介してハウジング11に対しバルブ軸心Cvまわりに回転可能に支持され、バルブ軸心Cvまわりに回転子16と共に回転する。従って、差圧装置24の押圧部242と回転子16との間にバルブ周方向Dcへの摺動を生じさせることなく、差圧装置24の押圧部242で回転子16を固定子12へ押し付けることが可能である。また、押圧部242と回転子16との間にバルブ周方向Dcへの摺動が無いので、その摺動による摩擦に起因したトルクの増加も生じない。
【0099】
(4)また、本実施形態によれば、差圧装置24のダイヤフラム241は、差圧装置24の圧力室24aに対しバルブ軸方向Daの他方側に設けられ、圧力室24aと一方側空間11aとを隔てている。また、ダイヤフラム241は、バルブ軸方向Daに移動可能に設けられ差圧装置24の押圧部242に連結された可動端部としての内周端部241bを有している。圧力室24a内の圧力P1は、押圧部242をバルブ軸方向Daの他方側へ押すように作用し、その押圧部242は、回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押す。
【0100】
従って、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧によって回転子16を固定子12へ押し付ける構成が要する占有体積を、ダイヤフラム241を用いることで小さくすることが可能である。
【0101】
(5)また、本実施形態によれば、弾性体である押付けバネ22は、バルブ軸方向Daに圧縮変形させられた状態で設置され、その圧縮変形に対する反発力によって回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押す。従って、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧に拘わらず、回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力を常に発生させておくことが可能である。
【0102】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
【0103】
図10図13に示すように、本実施形態のバルブ装置10は逆止弁体32を備えている。その逆止弁体32は、シャフト挿入穴11fのうち他方側部分11gに収容されている。逆止弁体32は、例えば金属製または樹脂製である。逆止弁体32は、弾力性を備えた薄肉厚の板材から構成され、その板材がバルブ軸心Cvを中心として湾曲させられることによって円筒状に形成されている。また、逆止弁体32は、その逆止弁体32の拡径しようとする弾性により、シャフト挿入穴11fのうち他方側部分11gの周壁面に対しその全周にわたって密着している。すなわち、逆止弁体32は、その他方側部分11gの周壁面に沿って薄肉厚の板材が1回転程度巻かれた単純な巻き板形状を成している。
【0104】
また、本実施形態のハウジング11には、第1実施形態の連結孔11j(図1参照)に替えて、第1連結孔115aと第2連結孔115bと第3連結孔115cと第4連結孔115dとが形成されている。第1連結孔115aは、シャフト挿入穴11fの他方側部分11gと第1他方側空間11bとの間をバルブ径方向Drに貫通し、その他方側部分11gと第1他方側空間11bとを逆止弁体32を介して連通させる。第2連結孔115bは、シャフト挿入穴11fの他方側部分11gと第2他方側空間11cとの間をバルブ径方向Drに貫通し、その他方側部分11gと第2他方側空間11cとを逆止弁体32を介して連通させる。
【0105】
第3連結孔115cは、シャフト挿入穴11fの他方側部分11gと第3他方側空間11dとの間をバルブ径方向Drに貫通し、その他方側部分11gと第3他方側空間11dとを逆止弁体32を介して連通させる。第4連結孔115dは、シャフト挿入穴11fの他方側部分11gと第4他方側空間11eとの間をバルブ径方向Drに貫通し、その他方側部分11gと第4他方側空間11eとを逆止弁体32を介して連通させる。なお、第3連結孔115cは、第1実施形態の連結孔11jと同じである。
【0106】
このように第1~第4連結孔115a、115b、115c、115dが設けられているので、シャフト17の連通路17aは、逆止弁体32を介して第1~第4他方側空間11b~11eのそれぞれに接続される。本実施形態の説明では、第1~第4連結孔115a、115b、115c、115dを第1~第4連結孔115a~115dと記載する場合がある。
【0107】
なお、第1~第4連結孔115a~115dのうちバルブ周方向Dcに隣り合った連結孔同士は、バルブ軸方向Daに互い違いになるように配置されている。例えば、第1連結孔115aと第3連結孔115cは、第2連結孔115bと第4連結孔115dとに対しバルブ軸方向Daの他方側へずれて配置されている。そして、バルブ軸方向Daにおける第1連結孔115aの位置は第3連結孔115cの位置と同じであり、バルブ軸方向Daにおける第2連結孔115bの位置は第4連結孔115dの位置と同じである。
【0108】
また、逆止弁体32は、その逆止弁体32のうち第1連結孔115aの開口を覆う部分を第1逆止弁部321として有し、第2連結孔115bの開口を覆う部分を第2逆止弁部322として有している。また、逆止弁体32は、その逆止弁体32のうち第3連結孔115cの開口を覆う部分を第3逆止弁部323として有し、第4連結孔115dの開口を覆う部分を第4逆止弁部324として有している。
【0109】
例えば第1逆止弁部321の作動について説明すると、第1他方側空間11bから連通路17aへの熱媒体流れに対しては、第1逆止弁部321は変形してシャフト挿入穴11fの周壁面から浮き上がり、そのシャフト挿入穴11fの周壁面との間に隙間を生じる。そのため、その隙間を通じて熱媒体が流通可能になるので、第1逆止弁部321は、第1他方側空間11bから連通路17aへの熱媒体流れを許容する。
【0110】
その一方で、連通路17aから第1他方側空間11bへの熱媒体流れに対しては、第1逆止弁部321はシャフト挿入穴11f内の圧力によりシャフト挿入穴11fの周壁面に押し付けられ、その周壁面に密着する。そのため、第1逆止弁部321は、連通路17aから第1他方側空間11bへの熱媒体流れを阻止する。
【0111】
そして、第2~第4逆止弁部322、323、324の作動も、上記した第1逆止弁部321の作動と同様である。従って、第2逆止弁部322は、第2他方側空間11cから連通路17aへの熱媒体流れを許容する一方で、連通路17aから第2他方側空間11cへの熱媒体流れを阻止する。また、第3逆止弁部323は、第3他方側空間11dから連通路17aへの熱媒体流れを許容する一方で、連通路17aから第3他方側空間11dへの熱媒体流れを阻止する。また、第4逆止弁部324は、第4他方側空間11eから連通路17aへの熱媒体流れを許容する一方で、連通路17aから第4他方側空間11eへの熱媒体流れを阻止する。
【0112】
ここで、例えば第1~第4他方側空間11b~11eのうち第1他方側空間11b内が最も高圧になり、上記逆圧が生じた場合を想定する。その場合、第1逆止弁部321の作動により、第1他方側空間11bから連通路17aへの熱媒体流れは許容されるので、シャフト挿入穴11f内の圧力および圧力室24a内の圧力P1は第1他方側空間11b内の圧力と同じになる。その一方で、第2~第4他方側空間11c、11d、11e内の圧力は何れもシャフト挿入穴11f内の圧力よりも低くなるので、第2~第4逆止弁部322、323、324はそれぞれシャフト挿入穴11fの周壁面に密着し第2~第4連結孔115b、115c、115dを塞ぐ。従って、第1他方側空間11bからシャフト挿入穴11fへ流入した熱媒体が第2~第4他方側空間11c、11d、11eの何れかへ流れることは抑止される。
【0113】
このことは、第1~第4他方側空間11b~11eのうち第2~第4他方側空間11c、11d、11e内の何れかが最も高圧になり、上記逆圧が生じた場合についても同様である。
【0114】
図10に示すように、シャフトボディ18の筒部182には、圧力室24aからハウジング11の一方側空間11aへ延びる減圧孔182cが形成されている。この減圧孔182cは、圧力室24a内の圧力P1の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも高い場合に圧力室24aから一方側空間11aへの熱媒体の漏れを許容する漏れ通路として設けられている。
【0115】
この減圧孔182cの流路断面は非常に小さくなっている。具体的には、減圧孔182cは、第1~第4他方側空間11b~11eのそれぞれと圧力室24aとをつなぐ熱媒体の流通経路の何れに対しても、流路抵抗が大きくなるように形成されている。そのため、上記逆圧が生じた場合に、第1~第4他方側空間11b~11e内の熱媒体の圧力のうちその逆圧を生じさせる熱媒体の圧力が圧力室24aへ導入されその圧力室24a内の圧力P1が上昇することを、減圧孔182cは邪魔するものではない。
【0116】
(1)上述したように、本実施形態によれば、バルブ装置10は、第1~第4逆止弁部321、322、323、324を備えている。そして、第1逆止弁部321は、第1他方側空間11bから連通路17aへの熱媒体流れを許容する一方で、連通路17aから第1他方側空間11bへの熱媒体流れを阻止する。第2~第4他方側空間11c、11d、11eに対する第2~第4逆止弁部322、323、324のそれぞれの作動も、その第1逆止弁部321の作動と同様である。
【0117】
従って、第1~第4他方側空間11b~11eの何れからも熱媒体の圧力を差圧装置24の圧力室24aへ導くことが可能である。すなわち、第1~第4他方側空間11b~11e内の何れの圧力に起因して上記逆圧が発生する場合にも、差圧装置24が回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力を発生させることが可能である。そして、シャフト挿入穴11fを介して第1~第4他方側空間11b~11eが相互に連通することを防止することが可能である。
【0118】
(2)また、本実施形態によれば、シャフトボディ18の減圧孔182cは、圧力室24a内の圧力P1の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも高い場合に圧力室24aから一方側空間11aへの熱媒体の漏れを許容する漏れ通路として設けられている。
【0119】
ここで、逆止弁体32が設けられているので、圧力室24a内の圧力P1は、連通路17aを経て第1~第4他方側空間11b~11eの何れかへ抜けることはない。従って、仮に減圧孔182cが無い場合を想定すると、その場合、第1~第4他方側空間11b~11eの何れかから熱媒体が導入されることで上昇した圧力室24a内の圧力P1は、その上昇した圧力のまま保持されることになる。このことを防止するために減圧孔182cは設けられている。
【0120】
すなわち、上記逆圧が回転子16に対し一旦作用した後に作用しなくなり、一方側空間11a内の圧力P2よりも高い圧力が圧力室24aに導入されなくなった場合に、圧力室24aから減圧孔182cを介して一方側空間11aへ熱媒体を排出することできる。要するに、上記逆圧が回転子16に作用しなくなった場合には、圧力室24aを速やかに減圧し、差圧装置24が回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力を弱めることが可能である。
【0121】
また、本実施形態によれば、第1~第4逆止弁部321、322、323、324は、1つの巻き板からなる逆止弁体32に含まれている。そのため、第1~第4連結孔115a~115dの各々に対して別々の部品からなる逆止弁部を設ける必要がない。
【0122】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0123】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0124】
図14図15Bに示すように、本実施形態のハウジング11には、第1実施形態の連結孔11j(図1参照)に替えて、第1連結孔116aと第2連結孔116bと第3連結孔116cと第4連結孔116dとが形成されている。第1連結孔116aは、シャフト挿入穴11fと第1他方側空間11bとの間をバルブ径方向Drに貫通し、そのシャフト挿入穴11fと第1他方側空間11bとを連通させる。第2連結孔116bは、シャフト挿入穴11fと第2他方側空間11cとの間をバルブ径方向Drに貫通し、そのシャフト挿入穴11fと第2他方側空間11cとを連通させる。本実施形態においてシャフト挿入穴11fは本開示の挿入穴に対応する。
【0125】
第3連結孔116cは、シャフト挿入穴11fと第3他方側空間11dとの間をバルブ径方向Drに貫通し、そのシャフト挿入穴11fと第3他方側空間11dとを連通させる。第4連結孔116dは、シャフト挿入穴11fと第4他方側空間11eとの間をバルブ径方向Drに貫通し、そのシャフト挿入穴11fと第4他方側空間11eとを連通させる。第1~第4連結孔116a、116b、116c、116dは、バルブ軸方向Daの位置が互いに同じになるように配置されている。本実施形態の説明では、第1~第4連結孔116a、116b、116c、116dを第1~第4連結孔116a~116dと記載する場合がある。
【0126】
また、本実施形態では、シャフト17はシャフト挿入穴11fの略全長にわたって挿入されているので、シャフト挿入穴11fの他方側部分11g(図1参照)は極めて小さくなっている。本実施形態の第1~第4連結孔116a~116dは、シャフト挿入穴11fのうちシャフト17が占めるバルブ軸方向Daの範囲内に開口している。言い換えると、第1~第4連結孔116a~116dは、シャフト他方部172に対しバルブ径方向Drの外側に重なるように配置されている。
【0127】
なお、本実施形態でも第1実施形態と同様にシャフト他方部172はハウジング11に対し相対回転可能である。但し、本実施形態では、シャフト他方部172とシャフト挿入穴11fの周壁面との間は、気密、または、熱媒体の漏れを無視できる程度の略気密になっている。
【0128】
本実施形態では、図15A図16に示すように、回転子16は、バルブ軸心Cvを中心とした角度範囲であって開度調整孔161および相互連通溝162が設けられていない全閉角度範囲Acを有している。回転子16のうちこの全閉角度範囲Acの部分が、例えば固定子12の第1流路孔121の開口全体を覆うことで第1流路孔121は全閉になる。そして、第2~第4流路孔122、123、124の全閉に関してもこれと同様である。この全閉角度範囲Acに関しては、前述の第1実施形態でも同様である。
【0129】
図14図15Bに示すように、本実施形態のシャフト他方部172には、第1実施形態とは異なり、そのシャフト他方部172の外周面172aで開口した側面孔172bが形成されている。この側面孔172bは連通路17aに含まれ、その連通路17aのうちバルブ軸方向Daの他方側に位置する端部となっている。
【0130】
詳細に言うと、シャフト他方部172の外周面172aでは、シャフト他方部172の側面孔172bが、回転子16の全閉角度範囲Ac内の所定位置にて開口している。そして、その所定位置は、固定子12の第1流路孔121が全閉になっているときには第1連結孔116aと側面孔172bとが連通し、且つ、第2流路孔122が全閉になっているときには第2連結孔116bと側面孔172bとが連通するように定められている。なお、シャフト17と回転子16は一体回転するので、シャフト17が回転しても、シャフト他方部172の側面孔172bと回転子16の全閉角度範囲Acとの相対的な位置関係が変化することはない。
【0131】
従って、例えば図15A図15Bに示すように、第1流路孔121の回転子16側の開口全体が回転子16の全閉角度範囲Ac内に入ると、その第1流路孔121は回転子16によって全閉にされる。このとき、第1連結孔116aの開口とシャフト他方部172の側面孔172bの開口は相対向し、その側面孔172bは、第1~第4連結孔116a~116dのうち第1連結孔116aだけに択一的に連通する。これにより、第1~第4他方側空間11b~11eの互いの連通が遮断された状態で、第1他方側空間11b内の圧力が圧力室24aへ導入される。なお、図15Bは、回転子16が図15Aに示された回転位置にあるときの側面孔172bの向き(言い換えると、シャフト17の向き)を示している。
【0132】
そして、図15A図15Bに示された状態から回転子16がバルブ周方向Dcの一方側へ少し回転すると、回転子16とシャフト17は、図17A図17Bに示された状態になる。なお、図17Bは、回転子16が図17Aに示された回転位置にあるときの側面孔172bの向きを示している。
【0133】
この図17A図17Bに示された状態では、固定子12の第1、第2流路孔121、122は何れも全閉にはなっていない。そして、シャフト他方部172の側面孔172bは、バルブ周方向Dcで第1連結孔116aと第2連結孔116bとの間に位置し、第1~第4連結孔116a~116dの何れにも連通していない。
【0134】
更に、図17A図17Bに示された状態から回転子16がバルブ周方向Dcの一方側へ少し回転すると、回転子16とシャフト17は、図18A図18Bに示された状態になる。この図18A図18Bに示された状態では、第2流路孔122の回転子16側の開口全体が回転子16の全閉角度範囲Ac内に入るので、その第2流路孔122は回転子16によって全閉にされる。このとき、第2連結孔116bの開口とシャフト他方部172の側面孔172bの開口は相対向し、その側面孔172bは、第1~第4連結孔116a~116dのうち第2連結孔116bだけに択一的に連通する。これにより、第1~第4他方側空間11b~11eの互いの連通が遮断された状態で、第2他方側空間11c内の圧力が圧力室24aへ導入される。なお、図18Bは、回転子16が図18Aに示された回転位置にあるときの側面孔172bの向きを示している。
【0135】
ここで、本実施形態のバルブ装置10が含まれる熱媒体回路で熱媒体を循環させるポンプの吸込側が一方側ポート通路110aに接続されている場合を想定する。そして、そのポンプの吐出側が、第1~第4他方側ポート通路111a~114aのうち回転子16の相互連通溝162を介して連通させられた一対の他方側ポート通路の一方を除く全ての他方側ポート通路に接続されている場合を想定する。
【0136】
この場合、図15A図15Bに示された状態では、第1~第4他方側空間11b~11eのうち、第2~第4他方側空間11c、11d、11eでは熱媒体の流れが生じているが、第1他方側空間11bでは熱媒体の逆方向流れが回転子16に塞き止められている。流体の流れが生じている流路では、上記熱媒体回路に含まれる熱交換器や配管を通過するときに圧力損失が生じるため、バルブ装置10に流体が到達した時点で流体の圧力は降下している。しかしながら、塞ぎ止められている流路においては流体の流れが生じていないため、その流体の圧力は降下せず、ポンプの吐出圧力がそのままバルブ装置10に作用する。従って、第1他方側空間11bは、第1~第4他方側空間11b~11eのうち最も高圧になる最高圧空間になっている。すなわち、第1他方側空間11bは、固定子12の第1流路孔121が全閉にされることによって最高圧空間になる。そして、図15Bに示すように、シャフト17の連通路17aは、第1他方側空間11bが最高圧空間になっているときには第1他方側空間11bに連通する。
【0137】
また、図18A図18Bに示された状態では、第1~第4他方側空間11b~11eのうち、第1、第3、第4他方側空間11b、11d、11eでは熱媒体の流れが生じているが、第2他方側空間11cでは熱媒体の逆方向流れが回転子16に塞き止められている。従って、第2他方側空間11cは上記の最高圧空間になっている。すなわち、第2他方側空間11cは、固定子12の第2流路孔122が全閉にされることによって最高圧空間になる。そして、図18Bに示すように、シャフト17の連通路17aは、第2他方側空間11cが最高圧空間になっているときには第2他方側空間11cに連通する。
【0138】
このように、最高圧空間は、回転子16がバルブ周方向Dcの一方側へ回転することに伴って第1他方側空間11bから第2他方側空間11cへ切り替わる。また、逆に、回転子16がバルブ周方向Dcの他方側へ回転することに伴って、その最高圧空間は、第2他方側空間11cから第1他方側空間11bへ切り替わる。
【0139】
なお、図15A図15Bに示された状態では、第1~第4他方側空間11b~11e内の圧力は何れも上記逆圧として回転子16に作用するが、最高圧空間である第1他方側空間11b内の圧力が最も大きい逆圧になる。また、図18A図18Bに示された状態でも、第1~第4他方側空間11b~11e内の圧力は何れも上記逆圧として回転子16に作用するが、この場合は、最高圧空間である第2他方側空間11c内の圧力が最も大きい逆圧になる。
【0140】
また、本実施形態では、固定子12の第3流路孔123はその開口全体が回転子16の全閉角度範囲Acの部分によって覆われ全閉になる場合がある。その場合、シャフト他方部172の側面孔172bは、第1~第4連結孔116a~116dのうち第3連結孔116cだけに連通する。これと同様に、第4流路孔124はその開口全体が回転子16の全閉角度範囲Acの部分によって覆われ全閉になる場合があり、その場合、シャフト他方部172の側面孔172bは、第1~第4連結孔116a~116dのうち第4連結孔116dだけに連通する。
【0141】
(1)図15A図15B図18A図18Bに示すように、本実施形態によれば、上記逆圧が回転子16に作用する場合、第1~第4他方側空間11b~11eのうち最も高圧になる空間である最高圧空間は、例えば次のように切り替わる。すなわち、その最高圧空間は、回転子16がバルブ周方向Dcの一方側へ回転することに伴って第1他方側空間11bから第2他方側空間11cへ切り替わる。そして、シャフト17の連通路17aは、第1他方側空間11bが最高圧空間になっているときには第1他方側空間11bに連通し、第2他方側空間11cが最高圧空間になっているときには第2他方側空間11cに連通する。
【0142】
従って、第1、第2他方側空間11b、11cの何れからも熱媒体の圧力を差圧装置24の圧力室24aへ導くことが可能である。そして、第1、第2他方側空間11b、11cの何れが最高圧空間になっても、その最高圧空間内の圧力を差圧装置24の圧力室24aへ導くことができる。すなわち、圧力室24a内の圧力P1により回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力を、最も大きい上記逆圧に応じた大きさで発生させることが可能である。
【0143】
また、本実施形態によれば、回転子16の回転位置に応じて、第1他方側空間11bが最高圧空間になっているときにはハウジング11の第1連結孔116aとシャフト他方部172の側面孔172bとが連通する。そして、第2他方側空間11cが最高圧空間になっているときにはハウジング11の第2連結孔116bとシャフト他方部172の側面孔172bとが連通する。
【0144】
従って、シャフト挿入穴11fを介して第1~第4他方側空間11b~11eが相互に連通することを防止しながら、シャフト17の連通路17aを第1~第4他方側空間11b~11eのうちの最高圧空間に連通させることが可能である。そして、例えば第2実施形態の逆止弁体32(図11参照)のような部品を追加することなく、第1~第4他方側空間11b~11eの相互の連通を防止しながら、上記逆圧を圧力室24aへ導くことが可能である。
【0145】
また、本実施形態によれば、第1他方側空間11bは、固定子12の第1~第4流路孔121~124のうち第1流路孔121が全閉にされることによって最高圧空間になる。そして、第2他方側空間11cは、固定子12の第2流路孔122が全閉にされることによって最高圧空間になる。
【0146】
ここで、固定子12の第1、第2流路孔121、122のうち何れが全閉になるかは、回転子16の回転位置と回転子16の開口形状(例えば、開度調整孔161および相互連通溝162の配置)とに応じて定まる。そして、回転子16とシャフト17はバルブ軸心Cvまわりに一体回転するので、シャフト他方部172の側面孔172bも回転子16と一体回転する。
【0147】
従って、シャフト17の連通路17aが連通する先が最高圧空間になるように、回転子16の上記開口形状に応じて、連通路17aの開口向き(具体的には、側面孔172bの向き)を容易に定めることが可能である。
【0148】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0149】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0150】
図19図20に示すように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、バルブ装置10は、熱媒体が循環する熱媒体回路70の一部を構成する。この熱媒体回路70は本開示の流体回路に対応する。この熱媒体回路70はポンプ71を含んでおり、そのポンプ71は、バルブ装置10の外部、すなわちバルブ装置10のハウジング11の外部に配置されている。
【0151】
そして、熱媒体回路70では、ポンプ71の吐出口711から熱媒体が吐出され、その吐出された熱媒体は熱媒体回路70を循環してから、ポンプ71の吸込口712へと吸い込まれる。
【0152】
また、本実施形態の熱媒体回路70では、ポンプ71の吐出側は、熱媒体回路70の一部を構成する中間回路701を介してバルブ装置10の第1~第4他方側ポート通路111a~114aのそれぞれに接続可能となっている。その中間回路701は、例えば複数の熱交換器および配管などから構成されている。そして、ポンプ71の吐出側は、中間回路701の回路構成に応じて、第1~第4他方側ポート通路111a~114aの何れかに接続される場合もあれば、第1~第4他方側ポート通路111a~114aの全部に接続される場合もある。本実施形態では、バルブ装置10の一方側ポート通路110aは、ポンプ71の吸込側に接続されている。
【0153】
また、バルブ装置10のハウジング11には、シャフト挿入穴11fの他方側部分11gからハウジング11の外部へ貫通した外部連通孔11kが形成されている。この外部連通孔11kには、ポンプ71の吐出口711が熱媒体回路70の配管を介して接続されている。そして、ハウジング11の内部では外部連通孔11kは、シャフト挿入穴11fの他方側部分11g、シャフト17の連通路17aを順に介して差圧装置24の圧力室24aへ連通している。従って、本実施形態のシャフト17の連通路17aは、ポンプ71の吐出側と差圧装置24の圧力室24aとを連通させる。
【0154】
なお、本実施形態では、ハウジング11に第1実施形態の連結孔11j(図1参照)は形成されていない。従って、シャフト挿入穴11fは、第1~第4他方側空間11b~11eの何れにも連通しない。
【0155】
(1)ここで、第1~第4他方側空間11b~11eの何れかから回転子16へ上記逆圧が作用する場合、その逆圧の発生源は、熱媒体回路70のポンプ71である。そして、上述したように、本実施形態によれば、シャフト17の連通路17aは、ハウジング11の外部に配置されたポンプ71の吐出側と差圧装置24の圧力室24aとを連通させる。
【0156】
従って、第1~第4他方側空間11b~11eのどの他方側空間から上記逆圧が発生したとしても、その逆圧の元であるポンプ71の吐出側と圧力室24aとが連通しているので、その逆圧に応じた押圧力で回転子16を固定子12へ押し付けることが可能である。
【0157】
そのため、本実施形態では、前述の第2実施形態のように逆止弁体32(図11参照)を用いたり、第3実施形態のようにシャフト他方部172の側面孔172b(図15B参照)で連通路17aの接続先を切り替えたりする必要がない。
【0158】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0159】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第4実施形態と異なる点を主として説明する。
【0160】
図21に示すように、熱媒体回路70のポンプ71がバルブ装置10と一体構成になっている。従って、ポンプ71の吐出口711をバルブ装置10の外部連通孔11kに接続するための配管が不要である。
【0161】
以上説明したことを除き、本実施形態は第4実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第4実施形態と共通の構成から奏される効果を第4実施形態と同様に得ることができる。
【0162】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0163】
図22に示すように、本実施形態では、ハウジング11に第1実施形態の連結孔11j(図1参照)は形成されていない。その替わりに、本実施形態のバルブ装置10は、ハウジング11の外部に設けられた外付け配管34を備えている。本実施形態では、連結孔11j(図1参照)が無いので、シャフト挿入穴11fは、第1~第4他方側空間11b~11eの何れにも連通しない。
【0164】
また、本実施形態では、シャフト17の連通路17aは、圧力室24aに連通しているが、その圧力室24aからバルブ軸方向Daの他方側へではなく一方側へ延伸している。そして、連通路17aは、バルブ軸方向Daの他方側の端部で圧力室24aに連通し、シャフト17のうちバルブ軸方向Daの一方側の端面で開口している。
【0165】
そのため、本実施形態の連通路17aはシャフト挿入穴11fに連通していないので、第3他方側空間11dには連通していない。その一方で、連通路17aは、外付け配管34内に形成された外部通路34aを介して第1他方側ポート通路111aに連通している。従って、本実施形態では、第3他方側空間11dではなく第1他方側空間11bが本開示の他方側空間に対応する。そして、第1他方側空間11b内の圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも高い場合に、差圧装置24は、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧によって回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力を発生する。
【0166】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0167】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0168】
図23に示すように、本実施形態のバルブ装置10では、図8に示される押圧部242は設けられていない。その替わりに、バルブ装置10の一部を構成する差圧装置24は、レバー中央部201を、回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押す押圧部として備えている。従って、レバー中央部201はレバー20の一部であり、差圧装置24の一部でもある。
【0169】
なお、第1実施形態の押圧部242が本実施形態では設けられていないので、例えば、押付けバネ22の一端部221(図8参照)はシャフトボディ18に当接し、その一端部221の位置が保持されている。
【0170】
具体的に、本実施形態のレバー20は、第1実施形態と同様にレバー中央部201と一対のアーム部202とを有している。従って、本実施形態でも第1実施形態と同様に、アクチュエータ14の駆動力は先ずシャフトボディ18に伝達され、そのシャフトボディ18から、レバー20、回転子16の順に伝達される。
【0171】
但し、本実施形態のレバー20のうちレバー中央部201は、バネ支持溝201b(図4参照)に対するバルブ径方向Drの外側の部位からバルブ軸方向Daの一方側へ円筒状に延びた中央円筒部201cを有している。この中央円筒部201cは、押付けバネ22に対しバルブ径方向Drの外側に配置されている。そして、中央円筒部201cは、バルブ軸方向Daの一方側に設けられた一端部201dを有している。
【0172】
また、ダイヤフラム241の内周端部241b(図8参照)はその中央円筒部201cの一端部201dに固定されている。このダイヤフラム241の内周端部241bと中央円筒部201cの一端部201dとの間は気密に構成されている。このように中央円筒部201cはダイヤフラム241に連結されているので、差圧装置24の圧力室24aの一部を形成する。
【0173】
本実施形態の押付けバネ22は差圧装置24の圧力室24a内に配置されている。そして、その押付けバネ22は、レバー中央部201を介して回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押す。
【0174】
また、本実施形態のレバー中央部201とシャフト17との関係はバルブ軸方向Daに相対移動可能となっている。但し、本実施形態では第1実施形態とは異なり、レバー中央部201の挿通孔201aの周壁面はシャフト17に接触しており、その挿通孔201aの周壁面とシャフト17との間は、気密、または、熱媒体の漏れを無視できる程度の略気密になっている。
【0175】
(1)上述したように、本実施形態によれば、押付けバネ22は差圧装置24の圧力室24a内に配置されており、レバー中央部201を介して回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押す。従って、回転子16を固定子12へ押し付ける押付けバネ22を設けた上で、差圧装置24が回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押す際に、押付けバネ22を介さずに回転子16を押すことができる。
【0176】
これにより、差圧装置24が回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押すように作動しても、押圧部としてのレバー中央部201は殆ど変位しない。すなわち、圧力室24a内の圧力P1(図8参照)と一方側空間11a内の圧力P2との差圧が変動しても、ダイヤフラム241は殆ど変形しない。そのため、差圧装置24が押付けバネ22を介して回転子16を押す構成と比較して、ダイヤフラム241の耐久性を向上させることが可能である。
【0177】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0178】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第6実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
【0179】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0180】
図24に示すように、本実施形態のバルブ装置10では、レバー中央部201に挿通孔201aは形成されているが、バネ支持溝201b(図1参照)は形成されていない。その替わりに、本実施形態の差圧装置24の押圧部242は、バネ支持溝243aが形成されたバネ支持部243と、筒状部244とを有している。
【0181】
なお、本実施形態では、レバー20は、バネ支持溝201bが設けられていないことを除き、第1実施形態と同様にレバー中央部201と一対のアーム部202とを有している。従って、本実施形態でも第1実施形態と同様に、アクチュエータ14の駆動力は先ずシャフトボディ18に伝達され、そのシャフトボディ18から、レバー20、回転子16の順に伝達される。
【0182】
本実施形態のバネ支持部243は、レバー中央部201に対しバルブ軸方向Daの一方側に配置され、レバー中央部201にバルブ軸方向Daの一方側から当接している。従って、このバネ支持部243を含む押圧部242は、押付けバネ22を介さずに、レバー中央部201を介して回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押す。
【0183】
また、バネ支持部243の内側には第1実施形態と同様の押圧部貫通孔242aが形成されており、その押圧部貫通孔242aにはシャフト17が挿入されている。バネ支持部243は、その押圧部貫通孔242aに挿入されたシャフト17に対しバルブ軸方向Daに移動可能である。本実施形態の押圧部貫通孔242aにおける気密性は第1実施形態と同様であり、バネ支持部243とシャフト17との間は、気密または略気密になっている。
【0184】
本実施形態のバネ支持溝243aは、第1実施形態のバネ支持溝201bと同様に、バルブ軸心Cvを中心として円環状に延び、バルブ軸方向Daの他方側を溝底としバルブ軸方向Daの一方側に開口している。そして、バネ支持溝243aには、押付けバネ22の他端部222が挿入されている。
【0185】
筒状部244は、バネ支持部243のうちバネ支持溝243aに対するバルブ径方向Drの外側の部位からバルブ軸方向Daの一方側へ延設されており、バルブ軸心Cvを中心とした円筒状に形成されている。この筒状部244は、押付けバネ22に対しバルブ径方向Drの外側に配置されている。そして、筒状部244は、バルブ軸方向Daの一方側に設けられた一端部244aを有している。
【0186】
また、ダイヤフラム241の内周端部241b(図8参照)はその筒状部244の一端部244aに固定されている。このダイヤフラム241の内周端部241bと筒状部244の一端部244aとの間は気密に構成されている。
【0187】
本実施形態の押付けバネ22は差圧装置24の圧力室24a内に配置されている。その押付けバネ22の一端部221(図8参照)は、例えばシャフトボディ18に当接し、その一端部221の位置が保持されている。そして、押付けバネ22の他端部222は、バネ支持溝243a内でバネ支持部243に当接している。従って、押付けバネ22は、バネ支持部243とレバー中央部201とを介して回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押す。
【0188】
なお、本実施形態の差圧装置24の押圧部242は、押付けバネ22によってレバー中央部201へ常に押し付けられている。従って、本実施形態では第1実施形態と異なり、バルブ軸方向Daの一方側への移動における押圧部242の移動端を定める不図示のストッパは設けられていない。
【0189】
(1)上述したように、本実施形態によれば、押付けバネ22は差圧装置24の圧力室24a内に配置されており、押圧部242が有するバネ支持部243を介して回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押す。従って、第7実施形態と同様に、回転子16を固定子12へ押し付ける押付けバネ22を設けた上で、差圧装置24が回転子16をバルブ軸方向Daの他方側へ押す際に、押付けバネ22を介さずに回転子16を押すことができる。
【0190】
これにより、本実施形態でも第7実施形態と同様に、圧力室24a内の圧力P1(図8参照)と一方側空間11a内の圧力P2との差圧が変動しても、ダイヤフラム241は殆ど変形しない。そのため、差圧装置24が押付けバネ22を介して回転子16を押す構成と比較して、ダイヤフラム241の耐久性を向上させることが可能である。
【0191】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0192】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2~第6実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
【0193】
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態では、例えば図1図2に示すように、バルブ装置10は、5つのポート部110、111、112、113、114を有する五方弁であるが、二方弁、または六方弁であってもよい。例えばバルブ装置10が二方弁であれば、本実施形態のハウジング11に形成された複数の他方側空間11b~11eに相当する空間は1つになる。
【0194】
(2)上述の第1実施形態では、図1図4に示すように、回転子16には、1つの開度調整孔161と1つの相互連通溝162とが形成されているが、その開度調整孔161や相互連通溝162からなる流路パターンは種々想定される。例えば、回転子16には、開度調整孔161に替えて、V字状の切欠きが形成されていてもよい。或るいは、回転子16には、相互連通溝162は形成されておらず、開度調整孔161だけが形成されていてもよい。
【0195】
(3)上述の第2実施形態では、図10に示すように、シャフトボディ18に減圧孔182cが形成されているが、これは一例である。その減圧孔182cは、ハウジング11の一方側空間11aと圧力室24aとを隔てる部分であればどこに設けられてもよい。また、差圧装置24の押圧部242とシャフト17との間で熱媒体が僅かに漏れるのであれば、その押圧部242とシャフト17との間で熱媒体が漏れる部分を減圧孔182cとして機能させてもよい。
【0196】
(4)上述の第2実施形態では、図11図13に示すように、逆止弁体32は、その他方側部分11gの周壁面に沿って1枚の薄板材が1回転程度巻かれた単純な巻き板形状を成しているが、これは一例である。例えば、図25に示すように、逆止弁体32は、図13の巻き板がバルブ軸方向Daに二分割され、一方側巻き板32aと、その一方側巻き板32aに対しバルブ軸方向Daの他方側に配置された他方側巻き板32bとから構成されていてもよい。この場合、第2逆止弁部322と第4逆止弁部324は一方側巻き板32aに含まれ、第1逆止弁部321と第3逆止弁部323は他方側巻き板32bに含まれる。
【0197】
また、逆止弁体32は、図26に示すように、1枚の薄板材が1回転を超えて渦巻き状に巻かれた巻き板によって構成されていてもよい。
【0198】
また、逆止弁体32は、図27に示すように、1回転程度巻かれた巻き板が部分的に切り抜かれ、第1~第4逆止弁部321、322、323、324がそれぞれリード弁形状を成すように形成されてもよい。なお、図27では、逆止弁体32の形状を判りやすく表示するために、逆止弁体32の外周面のうち、切り抜かれていない部分にはドット状のハッチングを付し、切り抜き部分にはドット状のハッチングを付していない。
【0199】
また、逆止弁体32は、金属製または樹脂製の薄板材からなる巻き板ではなく、図28に示すように、ゴム製であってもよい。図28の逆止弁体32でも、第1~第4逆止弁部321、322、323、324はそれぞれリード弁形状を成している。
【0200】
(5)上述の第4実施形態では、図20に示すように、バルブ装置10の一方側ポート通路110aは常にポンプ71の吸込側に接続されているが、これは一例である。例えば、中間回路701が図20とは異なっており、ポンプ71の吐出側が、バルブ装置10の第1~第4他方側ポート通路111a~114aだけでなく一方側ポート通路110aにも選択的に接続可能になっていてもよい。その場合において、ポンプ71の吐出側が一方側ポート通路110aに接続された場合には、第1~第4他方側ポート通路111a~114aの何れかがポンプ71の吸込側に接続される。
【0201】
ここで、ポンプ71の吐出側が一方側ポート通路110aにも接続されうる上記の構成でも、上述の第4実施形態と同様に、ポンプ71の吐出側は、図19に示す外部連通孔11kに常時接続され、ポンプ71の吐出圧が常に圧力室24aへ導かれることになる。すなわち、バルブ装置10で熱媒体の順方向流れが生じている場合も逆方向流れが生じている場合も、ポンプ71の吐出圧が圧力室24aへ導かれることになる。そのため、例えば、ポンプ71の吐出側が一方側ポート通路110aに接続され、バルブ装置10で熱媒体の順方向流れが生じている場合に、差圧装置24が回転子16を固定子12へ不必要に押し付けることが懸念される。
【0202】
しかしながら、ポンプ71の吐出圧が一方側ポート通路110aにかかった場合、図8に示された一方側空間11a内の圧力P2も圧力室24a内の圧力P1も同じように、ポンプ71の吐出圧へと上昇する。そのため、一方側空間11aと圧力室24aとの間に圧力差が生じないので、回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力は、圧力室24a内の圧力P1に起因して発生することはない。すなわち、熱媒体の順方向流れが生じている場合に、差圧装置24は回転子16を押しすぎることはない。
【0203】
(6)上述の第4実施形態では、図20に示すように、熱媒体回路70に含まれるポンプ71は1つであるが、これは一例である。例えば、その図20に示すポンプ71とは別に、吐出圧が一定でポート通路110a、111a、112a、113a、114aの何れにも吐出側が接続されない独立ポンプが設けられていることも想定できる。
【0204】
また、この場合、バルブ装置10で熱媒体の順方向流れが生じている場合に、独立ポンプの吐出圧は、圧力室24a内の圧力P1の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも多少高くなるように設定されていても差し支えない。
【0205】
なぜなら、この場合にも、一方側空間11a内の圧力P2は、熱媒体の逆方向流れの場合には順方向流れの場合に比して低くなり、差圧装置24が回転子16を押す押圧力は、逆方向流れの場合の方が順方向流れの場合よりも大きくなるからである。すなわち、第4実施形態と同様に、回転子16に作用する上記逆圧の大きさに応じて差圧装置24の押圧力が加減されるからである。
【0206】
従って、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧によって差圧装置24が回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力は、熱媒体の順方向流れの場合に零になる必要はない。別言すると、その差圧装置24の押圧力は、一方側空間11a内の圧力P2の方が第1~第4他方側空間11b~11e内の何れの圧力に対しても高い場合にも零になる必要はない。
【0207】
要するに、少なくとも第1~第4他方側空間11b~11e内の何れかの圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも高い場合に、その差圧装置24の押圧力が発生すればよい。その「少なくとも」という語は、第1~第4他方側空間11b~11e内の何れかの圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも高い場合以外の場合にも、その差圧装置24の押圧力が発生することがあってもよいということを意味する。そして、その「少なくとも」という語は、第1~第4他方側空間11b~11e内の何れかの圧力の方が一方側空間11a内の圧力P2よりも高い場合にその差圧装置24の押圧力が常に発生するということに差圧装置24の構成を限定するわけではない。
【0208】
(7)上述の各実施形態において、バルブ装置10内を通過する流体は熱媒体であるが、その流体は熱媒体以外の流体であってもよい。また、バルブ装置10内を通過する流体は、液体ではなく気体であってもよい。
【0209】
(8)上述の各実施形態において、バルブ装置10は、例えばハイブリッド車両などに搭載されるが、バルブ装置10の用途は車両用に限定されるものではない。
【0210】
(9)上述の各実施形態では、例えば図1に示すように、バルブ装置10は、回転子16を回転駆動するためにアクチュエータ14を備えているが、これは一例である。例えばバルブ装置10はアクチュエータ14を備えておらず、バルブ装置10の外部に設けられた外部駆動源によって回転子16は回転させられても差し支えない。
【0211】
(10)上述の各実施形態では、図1に示す回転子16と固定子12は何れもセラミックで構成されているが、例えば、その回転子16と固定子12との一方または両方が、高い摺動性能を備えた樹脂で構成されていてもよい。
【0212】
(11)上述の各実施形態では、図1に示すようにハウジング11と固定子12は別々の部品として構成されているが、これは一例である。例えば、ハウジング11と固定子12は、それらを全て含む1つの成形部品として構成されていても差し支えない。
【0213】
(12)上述の各実施形態では、図8に示すように、差圧装置24は、回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力を、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2との差圧に応じた大きさにするために、ダイヤフラム241を有している。しかしながら、これは一例である。例えば、差圧装置24がダイヤフラム241に替えてピストン機構を備え、そのピストン機構を利用して、回転子16を固定子12へ押し付ける押圧力を上記差圧に応じた大きさにすることも想定できる。
【0214】
(13)上述の第1実施形態では、図1に示すように、第3他方側空間11dと圧力室24aとを連通させる連通路17aはシャフト17の内部に形成されているが、これは一例である。例えば、その連通路17aは、シャフト17を通らずに圧力室24aに接続されていても差し支えない。
【0215】
(14)上述の第1実施形態では、図8に示すように、圧力室24a内の圧力P1と一方側空間11a内の圧力P2とが「P1>P2」の関係になっている場合には、差圧装置24は、回転子16をそれらの圧力P1、P2の差圧によって固定子12へ押し付ける押圧力を発生させる。しかしながら、これは一例である。例えば、零よりも大きい所定値Pxが規定されており、差圧装置24は、上記圧力P1、P2が「P1>P2+Px」の関係になっていることを条件に上記押圧力を発生させてもよい。
【0216】
(15)上述の各実施形態では、例えば図1に示すように、回転子16を固定子12へ押し付ける押圧装置として、押付けバネ22と差圧装置24とが設けられているが、これは一例である。例えば、差圧装置24は設けられているが、押付けバネ22は設けられていないことも想定できる。
【0217】
(16)なお、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
【0218】
また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0219】
(本開示の特徴)
[第1の観点]
バルブ装置であって、
内部に流体が流通するハウジング(11)と、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングに対し相対回転不能に設けられ、流体が通過する流路孔(121、122、123、124)が形成された流路孔形成部(12)と、
前記ハウジング内において前記流路孔形成部に対し所定軸心(Cv)の軸方向(Da)の一方側に配置され、前記流路孔形成部に対して摺動しながら前記所定軸心まわりに回転する回転子(16)と、
前記回転子に対し前記軸方向の前記一方側に設けられ、流体が導入される圧力室(24a)を有する差圧装置(24)とを備え、
前記ハウジング内には、前記回転子に対し前記軸方向の前記一方側に設けられた一方側空間(11a)と、前記流路孔形成部に対し前記軸方向の前記一方側とは反対側の他方側に設けられ前記流路孔に連通する他方側空間(11b、11c、11d、11e)とが形成され、
前記回転子は、該回転子の回転に伴って、前記一方側空間に対する前記流路孔の開度を増減し、
前記差圧装置は、少なくとも前記他方側空間内の圧力の方が前記一方側空間内の圧力(P2)よりも高い場合に、前記圧力室内の圧力(P1)と前記一方側空間内の圧力との差圧によって前記回転子を前記流路孔形成部へ押し付ける押圧力を発生し、
前記圧力室内の圧力が前記一方側空間内の圧力に対して大きくなるほど、前記押圧力は大きくなる、バルブ装置。
[第2の観点]
前記他方側空間と前記圧力室とを連通させる連通路(17a)が設けられている、第1の観点に記載のバルブ装置。
[第3の観点]
前記ハウジング内に配置され、前記流路孔形成部および前記回転子に対する前記軸方向の前記一方側から前記他方側へ前記所定軸心に沿って延伸し、前記圧力室内へ露出した圧力室露出部(173)を有するシャフト(17)を備え、
前記シャフトの内部には、前記他方側空間と前記圧力室とを連通させる連通路(17a)が形成され、
該連通路は、前記シャフトの内部で前記流路孔形成部および前記回転子に対する前記軸方向の前記一方側から前記他方側へ延伸し、前記圧力室に対し前記圧力室露出部にて開口している、第1の観点に記載のバルブ装置。
[第4の観点]
前記差圧装置は、前記シャフトを介して前記ハウジングに対し前記所定軸心まわりに回転可能に支持され、前記所定軸心まわりに前記回転子と共に回転する、第3の観点に記載のバルブ装置。
[第5の観点]
第1逆止弁部(321)と第2逆止弁部(322)とを備え、
前記ハウジング内には前記他方側空間が複数形成され、
複数の前記他方側空間は第1他方側空間(11b)と第2他方側空間(11c)とを含み、
前記流路孔形成部には、複数の前記他方側空間のそれぞれに対応するように前記流路孔が複数形成され、
前記連通路は、前記第1他方側空間と前記第2他方側空間とのそれぞれに接続され、
前記第1逆止弁部は、前記第1他方側空間から前記連通路への流体流れを許容する一方で、前記連通路から前記第1他方側空間への流体流れを阻止し、
前記第2逆止弁部は、前記第2他方側空間から前記連通路への流体流れを許容する一方で、前記連通路から前記第2他方側空間への流体流れを阻止する、第2ないし第4の観点のいずれか1つに記載のバルブ装置。
[第6の観点]
前記圧力室内の圧力の方が前記一方側空間内の圧力よりも高い場合に前記圧力室から前記一方側空間への流体の漏れを許容する漏れ通路(182c)が設けられている、第5の観点に記載のバルブ装置。
[第7の観点]
前記ハウジング内には前記他方側空間が複数形成され、
複数の前記他方側空間は、第1他方側空間(11b)と、該第1他方側空間に対し前記所定軸心の周方向(Dc)の一方側に配置された第2他方側空間(11c)とを含み、
前記流路孔形成部には、複数の前記他方側空間のそれぞれに対応するように前記流路孔が複数形成され、
前記シャフトは、前記所定軸心まわりに前記回転子と一体回転し、
複数の前記他方側空間のうち最も高圧になる空間を最高圧空間とした場合、該最高圧空間は、前記回転子が前記周方向の前記一方側へ回転することに伴って前記第1他方側空間から前記第2他方側空間へ切り替わり、
前記連通路は、前記第1他方側空間が前記最高圧空間になっているときには前記第1他方側空間に連通し、前記第2他方側空間が前記最高圧空間になっているときには前記第2他方側空間に連通する、第3または第4の観点に記載のバルブ装置。
[第8の観点]
前記シャフトは、前記流路孔形成部よりも前記軸方向の前記他方側に位置するシャフト他方部(172)を有し、
前記ハウジングには、複数の前記他方側空間に対し前記所定軸心の径方向(Dr)の内側に配置され前記シャフト他方部が挿入された挿入穴(11f)と、前記第1他方側空間と前記挿入穴とをつなぐ第1連結孔(116a)と、前記第2他方側空間と前記挿入穴とをつなぐ第2連結孔(116b)とが形成され、
前記連通路は、前記シャフト他方部に形成され該シャフト他方部の外周面(172a)で開口した側面孔(172b)を含み、
前記第1他方側空間が前記最高圧空間になっているときには前記第1連結孔と前記側面孔とが連通し、
前記第2他方側空間が前記最高圧空間になっているときには前記第2連結孔と前記側面孔とが連通する、第7の観点に記載のバルブ装置。
[第9の観点]
前記第1他方側空間は、複数の前記流路孔のうち前記第1他方側空間に連通する第1流路孔(121)が全閉にされることによって、前記最高圧空間になり、
前記第2他方側空間は、複数の前記流路孔のうち前記第2他方側空間に連通する第2流路孔(122)が全閉にされることによって、前記最高圧空間になる、第7または第8の観点に記載のバルブ装置。
[第10の観点]
前記ハウジングの外部に配置されたポンプ(71)の吐出側と前記圧力室とを連通させる連通路(17a)が設けられている、第1の観点に記載のバルブ装置。
[第11の観点]
ポンプ(71)によって流体が循環する流体回路(70)の一部を構成するバルブ装置であって、
前記流体回路では、前記ポンプの吐出側は前記他方側空間に接続可能になっており、
前記ポンプの吐出側と前記圧力室とを連通させる連通路(17a)が設けられている、第1の観点に記載のバルブ装置。
[第12の観点]
前記差圧装置は、前記圧力室に対し前記軸方向の前記他方側に設けられ前記圧力室と前記一方側空間とを隔てるダイヤフラム(241)と、前記回転子を前記軸方向の前記他方側へ押す押圧部(242、201)とを有し、
前記シャフトは前記ダイヤフラムを貫通して延伸し、
前記ダイヤフラムは、前記軸方向に移動可能に設けられ前記押圧部に連結された可動端部(241b)を有し、
前記圧力室内の圧力は、前記押圧部を前記軸方向の前記他方側へ押すように作用する、第3または第4の観点に記載のバルブ装置。
[第13の観点]
前記軸方向に圧縮変形させられた状態で設置され、該圧縮変形に対する反発力によって前記回転子を前記軸方向の前記他方側へ押す弾性体(22)を備え、
前記弾性体は、前記圧力室内に配置され、前記押圧部を介して前記回転子を押す、第12の観点に記載のバルブ装置。
[第14の観点]
前記軸方向に圧縮変形させられた状態で設置され、該圧縮変形に対する反発力によって前記回転子を前記軸方向の前記他方側へ押す弾性体(22)を備える、第1ないし第12の観点のいずれか1つに記載のバルブ装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19
図20
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図28