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特許7597257異常通知システム、異常通知システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】異常通知システム、異常通知システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20241203BHJP
   B66B 1/14 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B66B3/00 P
B66B3/00 R
B66B1/14 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024027619
(22)【出願日】2024-02-27
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】北川 新也
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-008696(JP,A)
【文献】特開2007-137650(JP,A)
【文献】特開2024-006974(JP,A)
【文献】特許第7168103(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-3/02
B66B 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行可能な情報処理装置がエレベータのかごに乗車しているか否かを示す乗車情報を取得する乗車情報取得部と、
前記情報処理装置が送信する所定の送信情報を受信するように構成された、前記エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置における前記送信情報の受信有無、および前記乗車情報に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定部と、
前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータ制御装置から異常発生通知を出力させる出力制御部と、を備え
前記送信情報は、前記かごの戸開状態を保持する指示である第1戸開保持指令、および前記情報処理装置が前記かごへ乗車したことを示す乗車完了通知を含み、
前記異常判定部は、
前記情報処理装置が乗車可能な前記かごが前記情報処理装置の出発階に到着した時点から第1所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第1戸開保持指令を含む前記送信情報を受信したか否か、
第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記乗車完了通知を含む前記送信情報を受信したか否か、および、
前記乗車情報、
に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する、
異常通知システム。
【請求項2】
前記異常判定部は、
前記第1所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第1戸開保持指令を受信せず、かつ、前記第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記乗車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごに乗車していることを示している場合、前記情報処理装置に第1の異常が生じていると判定する、
請求項に記載の異常通知システム。
【請求項3】
前記異常判定部は、
前記第1所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第1戸開保持指令を受信せず、かつ、前記第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記乗車完了通知を受信し、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごに乗車していることを示している場合、前記情報処理装置に第2の異常が生じていると判定する、
請求項に記載の異常通知システム。
【請求項4】
前記異常判定部は、
前記第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第1戸開保持指令を受信し、かつ、前記第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記乗車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごに乗車していることを示している場合、前記情報処理装置に第3の異常が生じていると判定する、
請求項に記載の異常通知システム。
【請求項5】
前記異常判定部は、
前記第1所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第1戸開保持指令を受信し、かつ、前記第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記乗車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごに乗車していないことを示している場合、前記情報処理装置に第4の異常が生じていると判定する、
請求項に記載の異常通知システム。
【請求項6】
自律走行可能な情報処理装置がエレベータのかごに乗車しているか否かを示す乗車情報を取得する乗車情報取得部と、
前記情報処理装置が送信する所定の送信情報を受信するように構成された、前記エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置における前記送信情報の受信有無、および前記乗車情報に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定部と、
前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータ制御装置から異常発生通知を出力させる出力制御部と、を備え
前記送信情報は、前記かごの戸開状態を保持する指示である第2戸開保持指令、および前記情報処理装置が乗車している前記かごから降車したことを示す降車完了通知を含み、
前記異常判定部は、
前記情報処理装置が乗車している前記かごが前記情報処理装置の行先階に到着した時点から第3所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第2戸開保持指令を含む前記送信情報を受信したか否か、
第4所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記降車完了通知を含む前記送信情報を受信したか否か、および、
前記乗車情報、
に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する、
異常通知システム。
【請求項7】
前記異常判定部は、
前記第3所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第2戸開保持指令を受信せず、かつ、前記第4所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記降車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごから降車していることを示している場合、前記情報処理装置に第5の異常が生じていると判定する、
請求項に記載の異常通知システム。
【請求項8】
前記異常判定部は、
前記第3所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第2戸開保持指令を受信せず、かつ、前記第4所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記降車完了通知を受信し、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごから降車していることを示している場合、前記情報処理装置に第6の異常が生じていると判定する、
請求項に記載の異常通知システム。
【請求項9】
前記異常判定部は、
前記第3所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第2戸開保持指令を受信し、かつ、前記第4所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記降車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごから降車していることを示している場合、前記情報処理装置に第7の異常が生じていると判定する、
請求項に記載の異常通知システム。
【請求項10】
前記異常判定部は、
前記第3所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第2戸開保持指令を受信し、かつ、前記第4所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記降車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごから降車していないことを示している場合、前記情報処理装置に第8の異常が生じていると判定する、
請求項に記載の異常通知システム。
【請求項11】
前記乗車情報は、前記かごに設けられた荷重センサによって計測された、前記かごに乗車している乗車物の総重量を示す計測データにおける変化を示す情報、および、前記かごの内部を撮像した画像を解析した解析結果、の少なくともいずれかである、
請求項1または6に記載の異常通知システム。
【請求項12】
1または複数のコンピュータによって実行される異常通知システムの制御方法であって、
自律走行可能な情報処理装置がエレベータのかごに乗車しているか否かを示す乗車情報を取得する乗車情報取得ステップと、
前記情報処理装置が送信する所定の送信情報を受信するように構成された、エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置における前記送信情報の受信有無、および前記乗車情報に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定ステップと、
前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータ制御装置から異常発生通知を出力させる出力制御ステップと、
を含み、
前記送信情報は、前記かごの戸開状態を保持する指示である第1戸開保持指令、および前記情報処理装置が前記かごへ乗車したことを示す乗車完了通知を含み、
前記異常判定ステップにおいて、
前記情報処理装置が乗車可能な前記かごが前記情報処理装置の出発階に到着した時点から第1所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第1戸開保持指令を含む前記送信情報を受信したか否か、
第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記乗車完了通知を含む前記送信情報を受信したか否か、および、
前記乗車情報、
に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する、
異常通知システムの制御方法。
【請求項13】
1または複数のコンピュータによって実行される異常通知システムの制御方法であって、
自律走行可能な情報処理装置がエレベータのかごに乗車しているか否かを示す乗車情報を取得する乗車情報取得ステップと、
前記情報処理装置が送信する所定の送信情報を受信するように構成された、エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置における前記送信情報の受信有無、および前記乗車情報に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定ステップと、
前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータ制御装置から異常発生通知を出力させる出力制御ステップと、
を含み、
前記送信情報は、前記かごの戸開状態を保持する指示である第2戸開保持指令、および前記情報処理装置が乗車している前記かごから降車したことを示す降車完了通知を含み、
前記異常判定ステップにおいて、
前記情報処理装置が乗車している前記かごが前記情報処理装置の行先階に到着した時点から第3所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第2戸開保持指令を含む前記送信情報を受信したか否か、
第4所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記降車完了通知を含む前記送信情報を受信したか否か、および、
前記乗車情報、
に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する、
異常通知システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常通知システムおよび異常通知システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律走行するロボットにエレベータを利用させる場合に、ロボットの生じた異常をエレベータが判定する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、かご内で異常が発生し動作できなくなった自律移動体から受信した異常情報に基づいて異常を判定し、自律移動体を回収する回収階へのエレベータの運行を制御するエレベータシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-195257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自律走行可能な情報処理装置(ロボット)において異常が生じた場合、情報処理装置が自機の異常を検知し適切な対応(例えば、異常発生および救援要請などの発報)を行うことが常に可能であるとは限らない。なぜなら、情報処理装置に生じた異常によって、情報処理装置の自機の異常を検知する機能、および、異常発生および救援要請を発報する機能などが失われている場合があるからである。このような場合、情報処理装置に異常が生じたことの把握が遅れる可能性がある。
【0006】
エレベータを利用するとき、情報処理装置はエレベータの動作を制御するエレベータ制御装置に対して、戸開保持指令、乗車完了信号、および降車完了信号などの送信情報を適宜送信する。情報処理装置がエレベータに乗車する動作または降車する動作を開始するとき、当該情報処理装置はエレベータ制御装置に戸開保持指令を送信する。また、情報処理装置がエレベータのかごへの乗車が完了したとき、またはエレベータのかごからの降車が完了したとき、当該情報処理装置はエレベータ制御装置に乗車完了信号または降車完了信号を送信する。
【0007】
例えば、戸開保持指令が情報処理装置から送信されない場合、エレベータの扉と乗降中の情報処理装置とが衝突する可能性がある。例えば、乗車完了信号または降車完了信号が情報処理装置から送信されない場合、エレベータの戸開時間が不必要に長くなり、エレベータの運行効率が低下する可能性がある。それゆえ、情報処理装置が送信情報を正しく送信できない状態である旨の情報は、遅滞なく管理者等に通知されることが望ましい。
【0008】
本発明の一態様は、エレベータを利用する情報処理装置に生じた異常を遅滞なく管理者等に通知することができる異常通知システムなどを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る異常通知システムは、自律走行可能な情報処理装置がエレベータのかごに乗車しているか否かを示す乗車情報を取得する乗車情報取得部と、前記情報処理装置が送信する所定の送信情報を受信するように構成された、前記エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置における前記送信情報の受信有無、および前記乗車情報に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定部と、前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータ制御装置から異常発生通知を出力させる出力制御部と、を備える。
【0010】
また、本発明の一態様に係る異常通知システムの制御方法は、1または複数のコンピュータによって実行される異常通知システムの制御方法であって、自律走行可能な情報処理装置がエレベータのかごに乗車しているか否かを示す乗車情報を取得する乗車情報取得ステップと、前記情報処理装置が送信する所定の送信情報を受信するように構成された、前記エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置における前記送信情報の受信有無、および前記乗車情報に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定ステップと、前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータ制御装置から異常発生通知を出力させる出力制御ステップと、を含む。
【0011】
本発明の各態様に係る異常通知システムは、1または複数のコンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記異常通知システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記異常通知システムをコンピュータにて実現させる異常通知システムの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、エレベータを利用する情報処理装置に生じた異常を遅滞なく管理者等に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る異常通知システムの構成を示すブロック図である。
図2】エレベータ情報の一例を示す図である。
図3】乗場呼び情報の一例を示す図である。
図4】かご呼び情報の一例を示す図である。
図5】ロボット呼び情報の一例を示す図である。
図6】エレベータのかごに乗車する情報処理装置とエレベータ制御装置とが行う処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図7図6に示す処理Aの流れの一例を示す図である。
図8図6に示す処理Bの流れの一例を示す図である。
図9図6に示す処理Cの流れの一例を示す図である。
図10】エレベータのかごから降車する情報処理装置とエレベータ制御装置とが行う処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図11図10に示す処理Dの流れの一例を示す図である。
図12図10に示す処理Eの流れの一例を示す図である。
図13図10に示す処理Fの流れの一例を示す図である。
図14】エレベータのかごから降車する情報処理装置とエレベータ制御装置とが行う処理の流れの別の一例を示すシーケンス図である。
図15】エレベータのかごから降車する情報処理装置とエレベータ制御装置とが行う処理の流れの他の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0015】
<異常通知システム100の構成>
まず、異常通知システム100の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る異常通知システム100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、異常通知システム100は、エレベータ2、エレベータ2の動作を制御するエレベータ制御装置1、および自律走行可能な情報処理装置3を備える。なお、情報処理装置3は、ロボットとも称される。
【0016】
異常通知システム100において、情報処理装置3は、エレベータ制御装置1に対して所定の送信情報を送信する。所定の送信情報としては、戸開保持指令、乗車完了信号、および降車完了信号などが挙げられる。また、情報処理装置3は、エレベータ制御装置1に対して、利用要求開始および呼び登録依頼を送信する。エレベータ制御装置1は、情報処理装置3が送信する所定の送信情報を受信した場合、エレベータ2の運転モードを通常運転からロボット専用運転モードに切り替えてもよい。ロボット専用運転モードでエレベータ2を運転している間、エレベータ制御装置1は、利用者からの呼び登録依頼を受け付けない。
【0017】
エレベータ制御装置1は、情報処理装置3がエレベータのかごに乗車しているか否かを示す乗車情報を取得する。また、エレベータ制御装置1は、情報処理装置3からの送信情報の受信をできているか否か、および乗車情報に基づいて、情報処理装置3に異常が生じているか否かを判定する。そしてエレベータ制御装置1は、情報処理装置3に異常が生じている場合、その旨を示す異常発生通知を出力する。異常発生通知は、例えば管理者等が使用するコンピュータなどの外部装置(図示せず)に提供される。これにより、エレベータ2を利用する情報処理装置3に生じた異常を遅滞なく管理者等に通知することができる。
【0018】
続いて、エレベータ2、エレベータ制御装置1、および情報処理装置3について説明する。
【0019】
<エレベータ2>
図1に示すように、エレベータ2は、かご21、扉22、荷重センサ23、およびカメラ24を備える。また、エレベータ2は、例えば各階床の乗場に、利用者が乗場呼びを登録するための操作盤(不図示)を備える。また、エレベータ2は、かご21内に、利用者がかご呼びを登録するための操作盤(不図示)を備える。
【0020】
かご21は、エレベータ制御装置1のかご制御部117の制御に基づき動作し、階床間を移動する。扉22は、エレベータ制御装置1の扉制御部116の制御に従って開閉する。なお、かご21の扉22の開閉に連動して、乗場の扉も開閉する。
【0021】
荷重センサ23は、かご21の荷重を計測する。荷重センサ23による計測データは、即時的にエレベータ制御装置1に送信される。情報処理装置3がかご21に乗車しているか否かは、例えば、荷重センサ23からから受信した計測データにおいて、情報処理装置3の乗降に由来する荷重の変化があったか否かで判定され得る。
【0022】
カメラ24は、かご21内を撮像可能なデジタルカメラであってもよい。カメラ24によって撮像されたかご画像は、即時的にエレベータ制御装置1に送信される。情報処理装置3がかご21に乗車しているか否かは、例えば、カメラ24から受信したかご画像に情報処理装置3が写っているか否かで判定され得る。カメラ24がデジタルビデオである場合、かご画像はかご21内を撮像した動画であってもよい。
【0023】
<エレベータ制御装置1>
エレベータ制御装置1は、利用者および情報処理装置3からの呼びを受け付け、受け付けた呼びに応じてエレベータ2の動作を制御する。また、エレベータ制御装置1は、荷重センサ23から取得した計測データ、およびカメラ24から取得したかご画像に基づいて情報処理装置3がエレベータのかごに乗車しているか否かを示す乗車情報を取得する。また、エレベータ制御装置1は、情報処理装置3から所定の送信情報を受信する。
【0024】
エレベータ制御装置1は、乗車情報、および情報処理装置3からの所定の送信情報を受信したか否かに基づいて、情報処理装置3に異常が生じているか否かを判定する。ここで、所定の送信情報は、エレベータ制御装置1が情報処理装置3から受信するように構成された任意の情報であってもよい。例えば、送信情報は、エレベータ2の扉22の開閉制御に対応付けられている情報であってもよく、典型的には、戸開保持指令、乗車完了信号、および降車完了信号などであってもよい。
【0025】
図1に示すように、エレベータ制御装置1は、制御部11、記憶部12、および入出力インターフェース13を備える。入出力インターフェース13は、エレベータ制御装置1と、情報処理装置3、エレベータ2、および管理者端末装置(図示せず)との間で通信を行うための通信モジュールである。
【0026】
[記憶部12]
記憶部12は、エレベータ制御装置1が利用する各種情報を記憶している。記憶部12は、エレベータ情報121、呼び登録情報122、および乗車情報123を記憶している。
【0027】
図2は、エレベータ情報121の一例を示す図である。エレベータ情報121は、エレベータ2の運行状態に関する情報である。エレベータ情報121には、かご21の現在の位置を示す現在階、かご21の現在の移動方向、およびエレベータ2の現在の運転モードを示す情報が含まれる。図2に示す例では、かご21の移動方向が上方階床への移動方向であることを上向き矢印「↑」で示している。
【0028】
エレベータ2の運転モードには、通常運転モードとロボット専用運転モードとが存在する。通常運転モードは、利用者からの乗場呼びおよびかご呼びと、情報処理装置3からの乗場行先階呼びを受け付け可能な状態でエレベータ2を運行させる運転モードである。ロボット専用運転モードは、情報処理装置3からの呼びが登録された場合における運転モードであり、利用者からの乗場呼びおよびかご呼びを受け付けず、情報処理装置3のみがエレベータ2を利用可能な状態でエレベータ2を運行させる。
【0029】
呼び登録情報122は、利用者および情報処理装置3による呼びに関する情報である。呼び登録情報122には、乗場呼び情報124、かご呼び情報125、およびロボット呼び情報126が含まれる。
【0030】
図3は、乗場呼び情報124の一例を示す図である。乗場呼び情報124は、利用者による乗場呼びに関する情報である。図3に示すように、乗場呼び情報124には、乗場呼びが行われた階床(乗場呼び階)、すなわち利用者の出発階、および乗場呼びによって指定された移動方向を示す情報が含まれる。
【0031】
図4は、かご呼び情報125の一例を示す図である。かご呼び情報125は、利用者によるかご呼びに関する情報である。図4に示すように、かご呼び情報125には、利用者の行先階(かご呼び階)を示す情報が含まれる。
【0032】
図5は、ロボット呼び情報126の一例を示す図である。ロボット呼び情報126は、情報処理装置3による乗場行先階呼びに関する情報である。ロボット呼び情報126には、情報処理装置3の出発階および行先階を示す情報が含まれる。図5には、一例として、1階から乗車して3階で降車する情報処理装置3からの乗場行先階呼びが登録されているロボット呼び情報126を示している。
【0033】
[制御部11]
制御部11は、エレベータ制御装置1において行われる各処理を実行する。図1に示すように、制御部11は、乗車情報取得部111、異常判定部112、出力制御部113、第1受付部114、第2受付部115、扉制御部116、かご制御部117、および切替部118を備える。
【0034】
(乗車情報取得部111)
乗車情報取得部111は、乗車情報を取得する。ここで、乗車情報は、下記(a)および(b)の少なくともいずれかであってもよい。
(a)かご21に設けられた荷重センサ23によって計測された、かご21に乗車している乗車物の総重量を示す計測データにおける変化を示す情報。
(b)かご21の内部を撮像したかご画像を解析した解析結果。
【0035】
例えば、乗車情報取得部111は、荷重センサ23によって計測された計測データ自体、およびかご画像自体を取得する構成であってもよい。例えば、乗車情報取得部111が荷重センサ23から計測データを取得する場合、乗車情報取得部111は、取得した計測データにおける時間変化を解析することによって乗車情報を取得(抽出)してもよい。例えば、乗車情報取得部111がカメラ24からかご画像を取得する場合、乗車情報取得部111は、取得したかご画像を解析することによって乗車情報を取得(抽出)してもよい。あるいは、荷重センサ23からの計測データ、およびカメラ24からのかご画像の少なくともいずれかを取得して解析する解析装置(図示せず)から出力される乗車情報を、乗車情報取得部111が取得する構成であってもよい。
【0036】
(異常判定部112)
異常判定部112は、情報処理装置3が送信する所定の送信情報をエレベータ制御装置1が受信したか否か、および乗車情報取得部111によって取得された乗車情報に基づいて、情報処理装置3に異常が生じているか否かを判定する。なお、送信情報が、エレベータ2の扉22の開閉制御に対応付けられている情報である場合、異常判定部112は、送信信号の受信有無に関する情報を扉制御部116から取得してもよい。
【0037】
送信情報がエレベータ乗車時の情報処理装置3から送信される戸開保持指令(第1戸開保持指令)および乗車完了報告を含む場合、異常判定部112は、下記(i)、(ii)、および乗車情報、に基づいて、情報処理装置3に異常が生じているか否かを判定してもよい。
(i)情報処理装置3が乗車可能なかご21が情報処理装置3の出発階に到着した時点から第1所定時間内にエレベータ制御装置1が第1戸開保持指令を含む送信情報を受信したか否か。
(ii)第2所定時間内にエレベータ制御装置1が乗車完了通知を含む送信情報を受信したか否か。
【0038】
異常判定部112は、例えば、情報処理装置3に下記に示す第1の異常~第4の異常のうちのいずれかが生じていると判定可能であってもよい。
(第1の異常)戸開保持指令の受信無し、乗車完了信号の受信無し、かつ乗車情報は乗車していることを示している。情報処理装置3の通信系に異常が生じている。
(第2の異常)戸開保持指令の受信無し、乗車完了信号の受信有り、かつ乗車情報は乗車していることを示している。情報処理装置3の戸開保持指令を送信する機能に異常が生じている。
(第3の異常)戸開保持指令の受信有り、乗車完了信号の受信無し、かつ乗車情報は乗車していることを示している。情報処理装置3の乗車完了信号を送信する機能に異常が生じている。
(第4の異常)戸開保持指令の受信有り、乗車完了信号の受信無し、かつ乗車情報は乗車していないことを示している。情報処理装置3の動作制御部312および動作部32のいずれかに異常(バッテリー不足なども含まれる)が生じている。
【0039】
また、送信情報がエレベータ降車時の情報処理装置3から送信される戸開保持指令(第2戸開保持指令)および降車完了報告を含む場合、異常判定部112は、下記(iii)、(iv)、および乗車情報、に基づいて、情報処理装置3に異常が生じているか否かを判定してもよい。
(iii)情報処理装置3が乗車しているかご21が情報処理装置3の行先階に到着した時点から第3所定時間内にエレベータ制御装置1が第2戸開保持指令を含む送信情報を受信したか否か。
(iv)第4所定時間内にエレベータ制御装置1が降車完了通知を含む送信情報を受信したか否か。
【0040】
異常判定部112は、例えば、情報処理装置3に下記に示す第5の異常~第8の異常うちのいずれかが生じていると判定可能であってもよい。
(第5の異常)戸開保持指令の受信無し、降車完了通知の受信無し、かつ乗車情報は降車していることを示している。情報処理装置3の通信系に異常が生じている。
(第6の異常)戸開保持指令の受信無し、降車完了通知の受信有り、かつ、乗車情報は降車していることを示している。情報処理装置3の戸開保持指令を送信する機能に異常が生じている。
(第7の異常)戸開保持指令の受信有り、降車完了通知の受信無し、かつ乗車情報は降車していることを示している。情報処理装置3の降車完了信号を送信する機能に異常が生じている。
(第8の異常)戸開保持指令の受信有り、降車完了通知の受信無し、かつ乗車情報は降車していないことを示している。情報処理装置3の動作制御部312および動作部32のいずれかに異常(バッテリー不足なども含まれる)が生じている。
【0041】
異常判定部112が行う処理については、後に図6図15を用いて説明する。
【0042】
なお、異常判定部112は、情報処理装置3に第1の異常~第8の異常とは異なる異常が生じていると判定可能であってもよい。例えば、異常判定部112は、戸開保持指令の受信有り、乗車完了信号または降車完了通知の受信有り、かつ乗車情報は乗車または降車していないことを示している場合、情報処理装置3に異常が生じていると判定してもよい。この場合、情報処理装置3は、実際にはかご21への乗車した、またはかご21からの降車を完了できていないにも関わらず、乗車完了信号または降車完了通知を送信している。そのため、上述の場合には、情報処理装置3の通信系には異常が生じていないものの、乗降を検知する機能に異常が生じており、情報処理装置3がかご21に乗車した、またはかご21から降車したと誤認識したことが考えられる。
【0043】
(出力制御部113)
出力制御部113は、情報処理装置3に異常が生じている場合、情報処理装置3に生じている異常が第1の異常~第8の異常のうちのいずれであるかを示す異常発生通知を、入出力インターフェースを介して外部装置(例えば、管理者端末装置)へと出力する。
【0044】
(第1受付部114)
第1受付部114は、情報処理装置3からの利用要求を受け付ける。利用要求は、エレベータ2を利用する必要が生じた場合に情報処理装置3によって生成され、エレベータ制御装置1に送信される。
【0045】
(第2受付部115)
第2受付部115は、利用者および情報処理装置3からの呼び登録依頼を受け付ける。なお、利用者からの呼び登録依頼は、エレベータ2の乗場またはかご21内に設けられている操作盤(不図示)を用いて行われ得る。利用者からの呼び登録依頼を受け付けた場合、第2受付部115は、利用者の出発階および移動方向、または利用者の行先階を記憶部12の呼び登録情報122に記憶し、利用者の乗場呼びまたはかご呼びを登録する。情報処理装置3からの呼び登録依頼を受け付けた場合、第2受付部115は、記憶部12のロボット呼び情報126に情報処理装置3の出発階および行先階を記憶し、情報処理装置3の乗場行先階呼びを登録する。また、情報処理装置3の乗場行先階呼びを登録した場合、第2受付部115は、ロボット専用運転の開始を指示する信号を切替部118に出力する。
【0046】
(扉制御部116)
扉制御部116は、かご21の扉22の開閉を制御する。かご21がいずれかの階床に到着すると、扉制御部116は、かご制御部117からかご21が停止したことを示す情報を取得する。当該情報を取得すると、扉制御部116は、戸開を指示する信号をエレベータ2の扉22に送信する。これにより、かご21の扉22が開き、かご21の扉22に連動して乗場の扉も開く。また、扉制御部116は、戸開から所定時間後(例えば、戸開が完了してから20秒後)に、戸閉を指示する信号を扉22に送信する。これにより、かご21の扉22および乗場の扉が閉じる。
【0047】
扉制御部116は、扉22が開いている期間中に、乗場またはかご21内の開閉ボタン等が操作された場合、操作内容に応じて戸開時間を延長、または短縮する。
【0048】
扉制御部116は、記憶部12のエレベータ情報121を参照し、エレベータ2がロボット専用運転モードで運行している場合、かご21の停止階を示す情報および戸開したことを示す情報を、情報処理装置3に送信する。また、扉制御部116は、エレベータ2がロボット専用運転モードで運行している場合において、扉22が開いている期間中に、情報処理装置3から戸開保持指令を受信すると、扉22の戸開状態を保持する。
【0049】
扉制御部116は、情報処理装置3から戸開保持指令を受信した後、当該情報処理装置3から所定時間(第2所定時間)以内に乗車完了信号を受信した場合、戸閉を指示する信号を扉22に送信する。扉制御部116が情報処理装置3から戸開保持指令を受信した後、当該情報処理装置3から所定時間(第2所定時間)以内に乗車完了信号を受信した場合は、情報処理装置3がかご21への乗車を正常に完了した状況であると考えられる。したがって、扉制御部116は、乗車完了信号を受信した後に戸閉を指示することで、情報処理装置3がかご21への乗車を完了した後、速やかに扉22を閉鎖させることができる。
【0050】
扉制御部116は、情報処理装置3から戸開保持指令を受信した後、当該情報処理装置3から所定時間(第4所定時間)以内に降車完了信号を受信した場合、戸閉を指示する信号を扉22に送信する。扉制御部116が情報処理装置3から戸開保持指令を受信した後、当該情報処理装置3から所定時間(第4所定時間)以内に降車完了信号を受信した場合は、情報処理装置3がかご21からの降車を正常に完了した状況であると考えられる。したがって、扉制御部116は、降車完了信号を受信した後に戸閉を指示することで、情報処理装置3がかご21からの降車を完了した後、速やかに扉22を閉鎖させることができる。
【0051】
また、扉制御部116は、情報処理装置3がかご21に乗車している場合には、エレベータ2のロボット専用運転モードが継続されている状態のまま戸閉を指示してもよい。具体的には、扉制御部116は、情報処理装置3がかご21に乗車している場合には、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部118に出力せずに、扉22に戸閉を指示する。
【0052】
また、扉制御部116は、情報処理装置3がかご21に乗車していない場合には、ロボット専用運転を終了させる。具体的には、扉制御部116は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部118に出力し、戸閉を指示する信号を扉22に送信する。
【0053】
例えば、情報処理装置3の出発階において、情報処理装置3がかご21に乗車しない場合、扉制御部116は、切替部118にロボット専用運転の終了を指示する信号を出力する。また、情報処理装置3の行先階において、戸開後に情報処理装置3がかご21から降車した場合、扉制御部116は、切替部118にロボット専用運転の終了を指示する信号を出力する。
【0054】
(かご制御部117)
かご制御部117は、登録済みの乗場呼び、かご呼び、および情報処理装置3による乗場行先階呼びに基づき、かご21を移動させる。かご21が情報処理装置3の出発階に到着すると、かご制御部117は、かご21の停止階を示す情報を扉制御部116に出力する。
【0055】
かご制御部117は、呼び登録情報122に記録されている利用者および情報処理装置3の出発階および行先階、並びにエレベータ2の運転モードに基づき、かご21の行先階を決定する。
【0056】
例えば、エレベータ2の運転モードが通常運転モードである場合、かご制御部117は、乗場呼び情報124およびかご呼び情報125を参照してかご21の行先階を決定し、決定した階床に移動することを指示する信号をかご21に送信する。これにより、エレベータ2のかご21は、利用者の乗場呼びおよびかご呼びに基づく行先階に移動する。
【0057】
また、エレベータ2の運転モードがロボット専用運転モードである場合、かご制御部117は、ロボット呼び情報126を参照してかご21の行先階を決定し、決定した階床に移動することを指示する信号をかご21に送信する。これにより、エレベータ2のかご21は、情報処理装置3の乗場行先階呼びに基づく出発階および行先階に移動する。
【0058】
なお、ロボット専用運転を開始した場合、かご制御部117は、エレベータ2を登録済みのかご呼びに応答させてから、情報処理装置3の出発階への移動を指示してもよい。これにより、情報処理装置3を乗車させる前に、ロボット専用運転が開始したときにかご21に乗車していた利用者を降車させることができる。また、ロボット専用運転が開始した場合、かご制御部117は、登録済みの乗場呼びを削除してもよいし、ロボット専用運転が終了した後に登録済みの乗場呼びにエレベータ2を応答させてもよい。
【0059】
(切替部118)
切替部118は、エレベータ2の運転モードを切り替える。例えば、情報処理装置3の呼びがロボット呼び情報126に登録された場合、第2受付部115は、ロボット専用運転の開始を指示する信号を切替部118に出力する。当該信号を受信した切替部118は、エレベータ情報121に記憶されているエレベータ2の運転モードを通常運転モードからロボット専用運転モードに切り替える。これにより、エレベータ2のロボット専用運転が開始される。
【0060】
また、切替部118は、扉制御部116からロボット専用運転の開始または終了を指示する信号を取得すると、記憶部12に記憶されているエレベータ2の運転モードをロボット専用運転モードから通常運転モードに切り替える。これにより、エレベータ2の運転モードが切り替わる。
【0061】
<情報処理装置3>
情報処理装置3は、自律走行可能な装置であり、エレベータ2を利用して階床間を移動可能である。なお、図1には1台の情報処理装置3のみが図示されているが、異常通知システム100には複数台の情報処理装置3が含まれていてもよい。
【0062】
図1に示すように、情報処理装置3は、制御部31および動作部32を備える。制御部31は、情報処理装置3において行われる処理を実行する。制御部31は、利用要求送信部311、動作制御部312、戸開保持指令送信部313、乗車完了報告送信部314、および降車完了報告送信部315を備える。動作部32は、動作制御部312の制御に従って動作し、情報処理装置3を所望の場所に移動させる。
【0063】
(利用要求送信部311)
情報処理装置3にエレベータ2を利用する必要が生じた場合、利用要求送信部311は、エレベータ制御装置1に利用要求を送信する。また、利用要求送信部311は、エレベータ制御装置1に呼び登録依頼を出力する。呼び登録依頼には、情報処理装置3の出発階および行先階を示す情報が含まれる。
【0064】
(動作制御部312)
動作制御部312は、動作部32を動作させ、情報処理装置3を所望の位置に移動させる。例えば、動作制御部312は、呼び登録依頼を行ったエレベータ2の動作状態に応じて動作部32を動作させる。動作制御部312は、エレベータ制御装置1から、乗場行先階呼びの登録が完了したことを示す情報を受信すると、動作部32を動作させる。これにより、情報処理装置3は乗場に移動し、エレベータ2を待機する。
【0065】
また、エレベータ2を待機している状態において、エレベータ制御装置1から、戸開したことを示す情報を受信した場合、動作制御部312は、情報処理装置3が現在位置する階床と、かご21が停止している階床と、が一致するか否かを判定する。その後、動作制御部312が動作部32を動作させることで、情報処理装置3はかご21に乗車する。
【0066】
また、情報処理装置3がかご21に乗車中である場合において、エレベータ制御装置1から、戸開したことを示す情報を受信した場合、動作制御部312は、情報処理装置3の行先階と、かご21が停止している階床と、が一致するか否かを判定する。その後、動作制御部312が動作部32を動作させることで、情報処理装置3はかご21から降車する。
(戸開保持指令送信部313)
情報処理装置3が現在位置する階床と、かご21が停止している階床と、が一致する場合、戸開保持指令送信部313は、エレベータ制御装置1に戸開保持指令(第1戸開保持指令)を送信する。また、情報処理装置3の行先階と、かご21が停止している階床と、が一致する場合、動作制御部312は、エレベータ制御装置1に戸開保持指令(第2戸開保持指令)を送信する。
(乗車完了報告送信部314)
乗車完了報告送信部314は、情報処理装置3のかご21への乗車動作が完了した後、エレベータ制御装置1に乗車完了信号を送信する。
(降車完了報告送信部315)
降車完了報告送信部315は、情報処理装置3のかご21からの降車動作が完了した後、エレベータ制御装置1に降車完了信号を送信する。
【0067】
<乗車時の処理>
図6は、エレベータ2のかご21に乗車する情報処理装置とエレベータ制御装置とが行う処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0068】
情報処理装置3がエレベータ2を利用する必要が生じた場合、利用要求送信部311は利用要求を生成し(S11)、エレベータ制御装置1に送信する。エレベータ制御装置1の第1受付部114は、利用要求を受け付けると(S21)、利用要求の受付完了通知を情報処理装置3に送信する。
【0069】
利用要求送信部311は、エレベータ制御装置1から受付完了通知を受信すると、呼び登録依頼を生成し(S12)、エレベータ制御装置1に対して出力する(S13)。呼び登録依頼には、情報処理装置3の出発階および行先階を示す情報が含まれる。
【0070】
第2受付部115は、情報処理装置3から呼び登録依頼を受信すると、情報処理装置3の呼び登録を受け付け(S22)、情報処理装置3の出発階および行先階を示す情報をロボット呼び情報126に記憶する。情報処理装置3による呼びの登録が完了すると、第2受付部115は、ロボット専用運転の開始を指示する信号を切替部118に出力する。切替部118は当該信号を取得すると、エレベータ情報121に記憶されているエレベータ2の運転モードをロボット専用運転モードに切り替える。これにより、ロボット専用運転が開始される(S23)。ここで、第2受付部115は、呼び登録が完了したことを示す情報を情報処理装置3に送信してもよい。エレベータ制御装置1によって呼び登録依頼が受け付けられた情報処理装置3の動作制御部312は、当該情報を受信すると、動作部32を動作させ、情報処理装置3を出発階の乗場に移動させる。
【0071】
ロボット専用運転が開始されると、かご制御部117は、ロボット呼び情報126を参照し、情報処理装置3の出発階にかご21を移動させる。なお、かご制御部117は、情報処理装置3の出発階にかご21を移動させる前に、かご呼び情報125を参照し、利用者のかご呼びによって指定された階床にかご21を移動させてもよい。かご21が情報処理装置3の出発階に到着すると、かご制御部117は、かご21の停止階を示す情報を扉制御部116に出力し、当該情報に基づいて、扉制御部116は、扉22に戸開を指示する(S24)。そして、かご制御部117は、情報処理装置3にかご21が停止したことを示す情報およびかご21が停止した階床を示す情報を送信する。一方、扉制御部116は、戸開後の経過時間の計測を開始する(S25)。
【0072】
情報処理装置3の動作制御部312は、かご21が停止したことを示す情報およびかご21が停止した階床を示す情報を受信すると、情報処理装置3の現在階とかご停止階が同じであるか否かを判定する(S14)。情報処理装置3の現在階とかご停止階が同じでない場合(S16でNO)、動作制御部312は、ステップS16でYESになるまで同じ処理を繰り返す。
【0073】
情報処理装置3の現在階とかご停止階が同じである場合(S14でYES)、すなわち情報処理装置3の出発階でかご21が停止して戸開した場合、動作制御部312は、動作部32を動作させる。これにより、情報処理装置3はかご21への乗車動作を開始する(S15)。情報処理装置3がかご21への乗車動作を開始すると、戸開保持指令送信部313は、戸開保持指令をエレベータ制御装置1に送信する。
【0074】
ステップS25の後、扉制御部116は、戸開から所定時間が経過したか否かを判定する(S26)。
【0075】
戸開から所定時間(第1所定時間)が経過した場合(S26でYES)、エレベータ制御装置1は、図7に示す処理Aを行う。処理Aについては、後に説明する。
【0076】
一方、戸開から所定時間が経過していない場合(S26でNO)、扉制御部116は、戸開保持指令を受信したか否かを判定する(S27)。戸開保持指令を受信した場合(S27でYES)、扉制御部116は、扉22の戸開状態を保持させる。また、扉制御部116は、乗車完了信号を受信したか否かを判定する(S28)。乗車完了信号を受信していない場合(S28でNO)、扉制御部116は、戸開から所定時間(第2所定時間)が経過するまで(S29にてYESになるまで)ステップS28の処理を繰り返す。
【0077】
情報処理装置3のかご21への乗車動作が完了すると(S16)、乗車完了報告送信部314は、エレベータ制御装置1に乗車完了信号を送信する。
【0078】
扉制御部116が乗車完了信号を受信すると(S28でYES)、エレベータ制御装置1は図8に示す処理Bを行う。一方、扉制御部116が乗車完了信号を受信しないまま(S28でNO)、戸開から所定時間が経過した場合(S29でYES)、エレベータ制御装置1は図9に示す処理Cを行う。
【0079】
扉制御部116が戸開保持指令を受信していない状態(S27でNO)において、乗車完了信号を受信した場合(S30でYES)であって、かつ、乗車情報に基づいて情報処理装置3の乗車が確認された場合、異常判定部112は、情報処理装置3に生じた異常が第2の異常であると判定する(S31:乗車情報取得ステップ、異常判定ステップ)。第2の異常は、情報処理装置3の戸開保持指令を送信する機能に生じた異常を意図している。そして、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信する(S32:出力制御ステップ)。その後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S33)。戸閉後、かご制御部117はかご21を移動させる。
【0080】
扉制御部116が戸開保持指令および乗車完了信号を受信しない場合(S27およびS30でNO)、エレベータ制御装置1は再度ステップS26の処理を行う。
【0081】
(処理A)
図7は、図6に示す処理Aの流れの一例を示すシーケンス図である。
【0082】
戸開から所定時間(第1所定時間)が経過した場合(図6のS26でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の乗車が確認された場合(S34でYES:乗車情報取得ステップ)、異常判定部112は、情報処理装置3に生じた異常が第1の異常であると判定する(S35:異常判定ステップ)。第1の異常は、情報処理装置3の通信系に生じた異常を意図している。そして、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信する(S36:出力制御ステップ)。その後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S33)。戸閉後、かご制御部117はかご21を移動させる。
【0083】
一方、戸開から所定時間(第1所定時間)が経過した場合(図6のS26でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の乗車が確認されなかった場合(S34でNO:乗車情報取得ステップ)、扉制御部116は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部118に出力する。切替部118は、当該信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S37)。ロボット専用運転が終了した後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S33)。
【0084】
(処理B)
図8は、図6に示す処理Bの流れの一例を示すシーケンス図である。
【0085】
扉制御部116が戸開保持指令および乗車完了信号を受信した場合(図6のS28でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の乗車が確認された場合(S38でYES:乗車情報取得ステップ)、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S33)。ステップS38でYESの場合とは、情報処理装置3に異常が発生しておらず、情報処理装置3が正常にかご21内に乗車した状況である。戸閉後、かご制御部117はかご21を移動させる。
【0086】
一方、扉制御部116が戸開保持指令および乗車完了信号を受信した場合(図6のS28でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の乗車が確認されなかった場合(S38でNO:乗車情報取得ステップ)、扉制御部116は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部118に出力する。切替部118は、当該信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S39)。ロボット専用運転が終了した後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S33)。ステップS38でNOの場合とは、例えば、情報処理装置3が、実際にはかご21内に乗車していないものの、かご21内に乗車したと誤認識した場合などが考えられる。この場合、異常判定部112は、情報処理装置3の乗車状態を検知する機能に異常が発生していると判定してもよい。また、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信してもよい。
【0087】
(処理C)
図9は、図6に示す処理Cの流れの一例を示すシーケンス図である。
【0088】
扉制御部116が乗車完了信号を受信しないまま(S28でNO)、戸開から所定時間(第2所定時間)が経過した場合(S29でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の乗車が確認された場合(S40でYES:乗車情報取得ステップ)、異常判定部112は情報処理装置3に生じた異常が第3の異常であると判定する(S41:異常判定ステップ)。第3の異常は、情報処理装置3の乗車完了信号を送信する機能に生じている異常を意図している。そして、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信する(S42:出力制御ステップ)。その後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S33)。戸閉後、かご制御部117はかご21を移動させる。
【0089】
一方、扉制御部116が乗車完了信号を受信しないまま(S28でNO)、戸開から所定時間(第2所定時間)が経過した場合(S29でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の乗車が確認されなかった場合(S40でNO:乗車情報取得ステップ)、異常判定部112は情報処理装置3に生じた異常が第4の異常であると判定する(S43:異常判定ステップ)。第4の異常は、情報処理装置3の動作制御部312および動作部32のいずれかに生じた異常を意図している。そして、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信する(S44:出力制御ステップ)。その後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S33)。戸閉後、かご制御部117はかご21を移動させる。
【0090】
このように、異常通知システム100は、エレベータ2のかご21に乗車する情報処理装置に生じている異常を判定することができる。また、異常通知システム100は、エレベータ2のかご21に乗車する情報処理装置3からの送信情報をエレベータ制御装置1が受信できたか否か、および、乗車情報に基づいて、情報処理装置3に異常が生じている異常が第1の異常~第4の異常のうちのいずれであるかを特定することも可能である。そして、情報処理装置3に異常が生じている場合、異常通知システム100は、エレベータ2から情報処理装置3に異常が発生した旨を通知する異常発生通知を出力する。これにより、異常通知システム100は、エレベータ2を利用する情報処理装置3にどのような異常が発生したかを判定した上で、情報処理装置3に異常が生じた旨を遅滞なく管理者等に通知することができる。情報処理装置3が自機の異常を検知したり、救援要請を発報したりすることができなくなっていても、異常通知システム100は、エレベータ2を利用する情報処理装置3における異常の発生を検知し、異常発生通知を出力することができる。
【0091】
<降車時の処理1>
乗車時において情報処理装置3に第1の異常から第3の異常のいずれかが生じていても、当該情報処理装置3はかご21に乗車して移動することが可能である。図10は、エレベータ2のかご21から降車する情報処理装置3とエレベータ制御装置1とが行う処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0092】
かご21がいずれかの階床に停止すると、扉制御部116は、扉22に戸開を指示し(S61)、戸開したことを示す情報およびかご21の停止階を示す情報を情報処理装置3に送信する。また、扉制御部116は、戸開してからの経過時間の計測を開始する(S62)。
【0093】
情報処理装置3の動作制御部312は、かご21に乗車している状態において、戸開したことを示す情報およびかご21の停止階を示す情報を受信すると、情報処理装置3の行先階とかご21の停止階が同じであるか否かを判定する(S51)。情報処理装置3の行先階とかご21の停止階が同じでない場合(S51でNO)、ステップS51でYESになるまで同じ処理を繰り返す。
【0094】
情報処理装置3の行先階とかご21の停止階が同じである場合(S51でYES)、動作制御部312は動作部32を制御し、降車動作を開始する(S52)。また、戸開保持指令送信部313は、戸開保持指令をエレベータ制御装置1に送信する。
【0095】
ステップS62の後、扉制御部116は、戸開から所定時間が経過したか否かを判定する(S63)。
【0096】
戸開から所定時間(第3所定時間)が経過した場合(S63でYES)、エレベータ制御装置1は、図11に示す処理Dを行う。処理Dについては、後に説明する。
【0097】
一方、戸開から所定時間(第3所定時間)が経過していない場合(S63でNO)、扉制御部116は、戸開保持指令を受信したか否かを判定する(S64)。戸開保持指令を受信した場合(S64でYES)、扉制御部116は、扉22の戸開状態を保持させる。また、扉制御部116は、降車完了信号を受信したか否かを判定する(S65)。降車完了信号を受信していない場合(S65でNO)、扉制御部116は、戸開から所定時間(第4所定時間)が経過するまで(S66にてYESになるまで)ステップS65の処理を繰り返す。
【0098】
扉制御部116が降車完了信号を受信すると(S65でYES)、エレベータ制御装置1は図12に示す処理Eを行う。一方、扉制御部116が降車完了信号を受信しないまま(S65でNO)、戸開から所定時間(第4所定時間)が経過した場合(S66でYES)、エレベータ制御装置1は図13に示す処理Fを行う。
【0099】
扉制御部116が戸開保持指令を受信していない状態(S64でNO)において、降車完了信号を受信した場合(S67でYES)であって、かつ、乗車情報に基づいて情報処理装置3の降車が確認された場合、異常判定部112は、情報処理装置3に生じた異常が第6の異常であると判定する(S68:乗車情報取得ステップ、異常判定ステップ)。第6の異常は、情報処理装置3の戸開保持指令を送信する機能に生じた異常を意図している。なお、情報処理装置3がかご21に乗車するときに既に、情報処理装置3に生じた異常が第2の異常であると判定されていてもよい。かご21に乗車するときの情報処理装置3に第2の異常が生じていなかった場合、かご21に乗車後に第6の異常が新たに発生したことを意味する。そして、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信する(S69:出力制御ステップ)。その後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S71)。戸閉後、かご制御部117はかご21を移動させる。
【0100】
扉制御部116が戸開保持指令および降車完了信号を受信しない場合(S64およびS67でNO)、エレベータ制御装置1は再度ステップS63の処理を行う。
【0101】
(処理D)
図11は、図10に示す処理Dの流れの一例を示すシーケンス図である。
【0102】
戸開から所定時間(第3所定時間)が経過した場合(図10のS63でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の降車が確認された場合(S72でYES:乗車情報取得ステップ)、異常判定部112は、情報処理装置3に生じた異常が第5の異常であると判定する(S73:異常判定ステップ)。第5の異常は、情報処理装置3の通信系に生じた異常を意図している。なお、情報処理装置3がかご21に乗車するときに既に、情報処理装置3に生じた異常が第1の異常であると判定されていてもよい。かご21に乗車するときの情報処理装置3に第1の異常が生じていなかった場合、かご21に乗車後に第5の異常が新たに発生したことを意味する。そして、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信する(S74:出力制御ステップ)。その後、扉制御部116は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部118に出力する。切替部118は、当該信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S70)。ロボット専用運転が終了した後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S71)。
【0103】
一方、戸開から所定時間(第3所定時間)が経過した場合(図10のS63でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の降車が確認されなかった場合(S72でNO:乗車情報取得ステップ)、異常判定部112は、情報処理装置3に生じた異常が第8の異常であると判定する(S75:異常判定ステップ)。第8の異常は、情報処理装置3の動作制御部312および動作部32のいずれかに生じた異常を意図している。この第8の異常は、情報処理装置3がかご21に乗車できていることから、かご21に乗車した後に発生した異常である。そして、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信する(S76:出力制御ステップ)。その後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S71)。戸閉後、かご制御部117はかご21を移動させる。
【0104】
(処理E)
図12は、図10に示す処理Eの流れの一例を示すシーケンス図である。
【0105】
扉制御部116が戸開保持指令および降車完了信号を受信した場合(図10のS65でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の降車が確認された場合(S77でYES:乗車情報取得ステップ)、扉制御部116は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部118に出力する。切替部118は、当該信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S70)。ロボット専用運転が終了した後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S71)。ステップS77でYESの場合とは、情報処理装置3に異常が発生しておらず、情報処理装置3が正常にかご21内から降車した状況である。
【0106】
一方、扉制御部116が戸開保持指令および降車完了信号を受信した場合(図10のS65でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の降車が確認されなかった場合(S77でNO:乗車情報取得ステップ)、異常判定部112は情報処理装置3に異常が生じていると判定する(S80:異常判定ステップ)。そして、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信する(S81:出力制御ステップ)。その後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S71)。戸閉後、かご制御部117はかご21を移動させる。ステップS77でNOの場合とは、例えば、情報処理装置3が、実際にはかご21から降車していないものの、かご21から降車したと誤認識した場合などが考えられる。この場合、異常判定部112は、情報処理装置3の乗車状態を検知する機能に異常が発生していると判定してもよい。
【0107】
(処理F)
図13は、図10に示す処理Fの流れの一例を示すシーケンス図である。
【0108】
扉制御部116が降車完了信号を受信しないまま(S65でNO)、戸開から所定時間(第4所定時間)が経過した場合(S66でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の降車が確認された場合(S82でYES:乗車情報取得ステップ)、異常判定部112は情報処理装置3に生じた異常が第7の異常であると判定する(S83:異常判定ステップ)。第7の異常は、情報処理装置3の降車完了信号を送信する機能に生じている異常を意図している。そして、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信する(S84:出力制御ステップ)。その後、扉制御部116は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部118に出力する。切替部118は、当該信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S70)。ロボット専用運転が終了した後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S71)。
【0109】
一方、扉制御部116が降車完了信号を受信しないまま(S65でNO)、戸開から所定時間(第4所定時間)が経過した場合(S66でYES)であって、乗車情報に基づいて情報処理装置3の降車が確認されなかった場合(S82でNO:乗車情報取得ステップ)、異常判定部112は情報処理装置3に生じた異常が第8の異常であると判定する(S85:異常判定ステップ)。この第8の異常は、情報処理装置3がかご21に乗車できていることから、かご21に乗車した後に発生した異常である。そして、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信する(S86:出力制御ステップ)。その後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S71)。戸閉後、かご制御部117はかご21を移動させる。
【0110】
このように、異常通知システム100は、エレベータ2から降車する情報処理装置に生じている異常を判定することもできる。また、異常通知システム100は、エレベータ2から降車する情報処理装置3からの送信情報をエレベータ制御装置1が受信できたか否か、および、乗車情報に基づいて、情報処理装置3に異常が生じている異常が第5の異常~第8の異常のうちのいずれであるかを特定することも可能である。そして、情報処理装置3に異常が生じている場合、異常通知システム100は、エレベータ2から情報処理装置3に異常が発生した旨を通知する異常発生通知を出力する。
【0111】
これにより、異常通知システム100は、エレベータ2を利用する情報処理装置3にどのような異常が発生したかを判定した上で、情報処理装置3に異常が生じた旨を遅滞なく管理者等に通知することができる。情報処理装置3が自機の異常を検知したり、救援要請を発報したりすることができなくなっていても、異常通知システム100は、エレベータ2を利用する情報処理装置3における異常の発生を検知し、異常発生通知を出力することができる。
【0112】
<降車時の処理2>
情報処理装置3がかご21に乗車している場合、情報処理装置3に第4の異常は生じていない。しかし、かご21に乗車後、情報処理装置3にバッテリー不足が生じて第8の異常が生じる可能性が考えられる。そのため、情報処理装置3がかご21から降車するときには、第8の異常が生じている旨の異常発生通知の送信は省略されないことが好ましい。
【0113】
一方、情報処理装置3に第1の異常または第2の異常が生じていれば、情報処理装置3がかご21に乗車するときにその旨の異常発生通知は送信済である。それゆえ、情報処理装置3がかご21から降車するときに、第5の異常または第6の異常が生じている旨の異常発生通知の送信は省略可能である。
【0114】
このように、図10図13に示す、降車時において情報処理装置3に生じた異常を判定する処理の一部を省略してもよい。このような降車時の処理について、図14および図15を用いて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0115】
図14は、エレベータ2のかご21から降車する情報処理装置3とエレベータ制御装置1とが行う処理の流れの別の一例を示すシーケンス図である。
【0116】
かご21がいずれかの階床に停止すると、扉制御部116は、扉22に戸開を指示し(S61)、戸開したことを示す情報およびかご21の停止階を示す情報を情報処理装置3に送信する。また、扉制御部116は、戸開してからの経過時間の計測を開始する(S62)。
【0117】
ステップS62の後、扉制御部116は、降車完了信号を受信したか否かを判定する(S65)。降車完了信号を受信していない場合(S65でNO)、扉制御部116は、戸開から所定時間(第4所定時間)が経過するまで(S66にてYESになるまで)ステップS65の処理を繰り返す。
【0118】
扉制御部116が降車完了信号を受信すると(S65でYES)、エレベータ制御装置1は図12に示す処理Eを行う。一方、扉制御部116が降車完了信号を受信しないまま(S65でNO)、戸開から所定時間(第4所定時間)が経過した場合(S66でYES)は、エレベータ制御装置1は図13に示す処理Fを行う。
【0119】
これにより、かご21に乗車できている情報処理装置3に生じている異常を効率的に判定することができる。
【0120】
<降車時の処理3>
図15は、エレベータ2のかご21から降車する情報処理装置3とエレベータ制御装置1とが行う処理の流れの他の一例を示すシーケンス図である。
【0121】
情報処理装置3に第3の異常が生じていれば、情報処理装置3がかご21に乗車するときにその旨の異常発生通知は送信済である。また、情報処理装置3に第3の異常が生じていれば、第7の異常も生じている可能性が高い。それゆえ、情報処理装置3がかご21から降車するときに、第7の異常が生じている旨の異常発生通知の送信は省略可能である。そこで、図15に示すシーケンス図では、第7の異常と判定する処理および異常発生通知を送信する処理が省略されている。
【0122】
乗車情報に基づいて情報処理装置3の降車が確認された場合(S82でYES)、扉制御部116は、ロボット専用運転の終了を指示する信号を切替部118に出力する。切替部118は、当該信号を取得すると、ロボット専用運転を終了させる(S70)。ロボット専用運転が終了した後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S71)。
【0123】
一方、乗車情報に基づいて情報処理装置3の降車が確認されなかった場合(S82でNO)、異常判定部112は情報処理装置3に生じた異常が第8の異常であると判定する(S85)。そして、出力制御部113は、管理者端末装置などの外部装置に異常発生通知を送信する(S86)。その後、扉制御部116は扉22に戸閉を指示する(S71)。戸閉後、かご制御部117はかご21を移動させる。
【0124】
これにより、かご21に乗車できている情報処理装置3に生じている異常をさらに効率的に判定することができる。
【0125】
〔ソフトウェアによる実現例〕
異常通知システム100(以下、「システム」と呼ぶ)の機能は、当該システムとして1または複数のコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該システムの各制御ブロック(特に制御部11に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0126】
この場合、上記システムは、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0127】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記システムが備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記システムに供給されてもよい。
【0128】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0129】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0130】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る異常通知システムは、自律走行可能な情報処理装置がエレベータのかごに乗車しているか否かを示す乗車情報を取得する乗車情報取得部と、前記情報処理装置が送信する所定の送信情報を受信するように構成された、前記エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置における前記送信情報の受信有無、および前記乗車情報に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定部と、前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータ制御装置から異常発生通知を出力させる通知制御部と、を備える。
【0131】
本発明の態様2に係る異常通知システムは、前記態様1において、前記乗車情報は、前記かごに設けられた荷重センサによって計測された、前記かごに乗車している乗車物の総重量を示す計測データにおける変化を示す情報、および、前記かごの内部を撮像した画像を解析した解析結果、の少なくともいずれかであってもよい。
【0132】
本発明の態様3に係る異常通知システムは、前記態様1または2において、前記送信情報は、前記かごの戸開状態を保持する指示である第1戸開保持指令、および前記情報処理装置が前記かごへ乗車したことを示す乗車完了通知を含み、前記異常判定部は、前記情報処理装置が乗車可能な前記かごが前記情報処理装置の出発階に到着した時点から第1所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第1戸開保持指令を含む前記送信情報を受信したか否か、第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記乗車完了通知を含む前記送信情報を受信したか否か、および、前記乗車情報、に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定してもよい。
【0133】
本発明の態様4に係る異常通知システムは、前記態様3において、前記異常判定部は、前記第1所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第1戸開保持指令を受信せず、かつ、前記第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記乗車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごに乗車していることを示している場合、前記情報処理装置に第1の異常が生じていると判定してもよい。
【0134】
本発明の態様5に係る異常通知システムは、前記態様3において、前記異常判定部は、前記第1所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第1戸開保持指令を受信せず、かつ、前記第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記乗車完了通知を受信し、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごに乗車していることを示している場合、前記情報処理装置に第2の異常が生じていると判定してもよい。
【0135】
本発明の態様6に係る異常通知システムは、前記態様3において、前記異常判定部は、前記第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第1戸開保持指令を受信し、かつ、前記第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記乗車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごに乗車していることを示している場合、前記情報処理装置に第3の異常が生じていると判定してもよい。
【0136】
本発明の態様7に係る異常通知システムは、前記態様3において、前記異常判定部は、前記第1所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第1戸開保持指令を受信し、かつ、前記第2所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記乗車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごに乗車していないことを示している場合、前記情報処理装置に第4の異常が生じていると判定してもよい。
【0137】
本発明の態様8に係る異常通知システムは、前記態様1から7のいずれかにおいて、前記送信情報は、前記かごの戸開状態を保持する指示である第2戸開保持指令、および前記情報処理装置が乗車している前記かごから降車したことを示す降車完了通知を含み、前記異常判定部は、前記情報処理装置が乗車している前記かごが前記情報処理装置の行先階に到着した時点から第3所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第2戸開保持指令を含む前記送信情報を受信したか否か、第4所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記降車完了通知を含む前記送信情報を受信したか否か、および、前記乗車情報、に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定してもよい。
【0138】
本発明の態様9に係る異常通知システムは、前記態様8において、前記異常判定部は、前記第3所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第2戸開保持指令を受信せず、かつ、前記第4所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記降車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごから降車していることを示している場合、前記情報処理装置に第5の異常が生じていると判定してもよい。
【0139】
本発明の態様10に係る異常通知システムは、前記態様8において、前記異常判定部は、前記第3所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第2戸開保持指令を受信せず、かつ、前記第4所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記降車完了通知を受信し、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごから降車していることを示している場合、前記情報処理装置に第6の異常が生じていると判定してもよい。
【0140】
本発明の態様11に係る異常通知システムは、前記態様8において、前記異常判定部は、前記第3所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第2戸開保持指令を受信し、かつ、前記第4所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記降車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごから降車していることを示している場合、前記情報処理装置に第7の異常が生じていると判定してもよい。
【0141】
本発明の態様12に係る異常通知システムは、前記態様8において、前記異常判定部は、前記第3所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記第2戸開保持指令を受信し、かつ、前記第4所定時間内に前記エレベータ制御装置が前記降車完了通知を受信せず、かつ、前記乗車情報が前記情報処理装置が前記かごから降車していないことを示している場合、前記情報処理装置に第8の異常が生じていると判定してもよい。
【0142】
本発明の態様1に係る異常通知システムの制御方法は、1または複数のコンピュータによって実行される異常通知システムの制御方法であって、自律走行可能な情報処理装置がエレベータのかごに乗車しているか否かを示す乗車情報を取得する乗車情報取得ステップと、前記情報処理装置が送信する所定の送信情報を受信するように構成された、前記エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置における前記送信情報の受信有無、および前記乗車情報に基づいて、前記情報処理装置に異常が生じているか否かを判定する異常判定ステップと、前記情報処理装置に異常が生じている場合、前記エレベータ制御装置から異常発生通知を出力させる出力制御ステップと、を含む。
【0143】
1 エレベータ制御装置
2 エレベータ
3 情報処理装置
21 かご
22 扉
100 異常通知システム
111 乗車情報取得部
112 異常判例部
113 出力制御部
S31、S34、S38、S40、S68、S72、S77、S82 乗車情報取得ステップ
S31、S35、S41、S43、S68、S73、S75、S78、S80、S83、S85 異常判定ステップ
S32、S36、S42、S44、S69、S74、S76、S79、S81、S84、S86 出力制御ステップ
【要約】
【課題】エレベータを利用する情報処理装置に生じた異常を遅滞なく管理者等に通知する
【解決手段】異常通知システム(100)は、自律走行可能な情報処理装置(3)がエレベータ(2)のかご(21)に乗車しているか否かを示す乗車情報を取得する乗車情報取得部(111)と、情報処理装置(3)が送信する所定の送信情報を受信するように構成された、エレベータの動作を制御するエレベータ制御装置(1)における送信情報の受信有無、および乗車情報に基づいて、情報処理装置(3)に異常が生じているか否かを判定する異常判定部(112)と、情報処理装置(3)に異常が生じている場合、エレベータ制御装置(1)から異常発生通知を出力させる出力制御部(113)と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15