(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】重要性指標と情報重要性レベルに基づいたCPM生成制御を備えた協調型高度道路交通システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
G08G1/09 H
(21)【出願番号】P 2024516721
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(86)【国際出願番号】 JP2022037751
(87)【国際公開番号】W WO2023063274
(87)【国際公開日】2023-04-20
【審査請求日】2024-03-14
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】ラインミュラー ティム
(72)【発明者】
【氏名】ミッタル プラチ
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139392(JP,A)
【文献】国際公開第2014/198325(WO,A1)
【文献】古川 魁斗,車両の相対的な位置関係に応じた分散型センサ情報配信制御手法の評価 Evaluation of a Distributed Sensing Data Dissemination Method based on Relative Vehicle Positions,情報処理学会 研究報告 高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS) 2019-ITS-076 [online] ,日本,情報処理学会,2019年02月21日,1~8頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいて、V2Xメッセージを生成する方法であって、
集団認知メッセージ(CPM)内の個々のオブジェクトに基づいて集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を決定すること、
集団認知メッセージ全体の重要性指標はCSIと言及され、集団認知メッセージはCPMと言及され、
受信したすべての集団認知メッセージ(CPMs)のCSI値に基づいて、チャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算すること、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて、少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定すること、及び、
前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいて、V2Xメッセージを生成すること、を含
み、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて決定される前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールは、暗黙的なレートベースのルールを含み、
前記暗黙的なレートベースのルールに関して、前記方法は、CSIが情報重要性レベル(ISL)よりも高い場合にCPMを送信するか、又はCSIに拘わらず、メッセージ生成タイマが期限切れになったことに応じて、CPMを送信するように構成される、方法。
【請求項2】
車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいて、V2Xメッセージを生成する方法であって、
集団認知メッセージ(CPM)内の個々のオブジェクトに基づいて集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を決定すること、
集団認知メッセージ全体の重要性指標はCSIと言及され、集団認知メッセージはCPMと言及され、
受信したすべての集団認知メッセージ(CPMs)のCSI値に基づいて、チャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算すること、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて、少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定すること、及び、
前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいて、V2Xメッセージを生成すること、を含
み、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて決定される前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールは、優先度ベースのルールを含み、
前記優先度ベースのルールに関して、前記方法は、メッセージ全体のCSIが情報重要性レベル(ISL)を超えるように、それぞれの重要性指標(OSIs)を持つ検出されたオブジェクトを含めることによってCPMを作成するように構成される、方法。
【請求項3】
車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいて、V2Xメッセージを生成する方法であって、
集団認知メッセージ(CPM)内の個々のオブジェクトに基づいて集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を決定すること、
集団認知メッセージ全体の重要性指標はCSIと言及され、集団認知メッセージはCPMと言及され、
受信したすべての集団認知メッセージ(CPMs)のCSI値に基づいて、チャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算すること、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて、少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定すること、及び、
前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいて、V2Xメッセージを生成すること、を含
み、
情報重要性レベル(ISL)の計算は、所定の時間間隔内で受信されたすべてのCPMsのCSI値を平均することにより、受信されたすべてのCPMのCSI値からチャネル上のローカル情報重要性レベル(ISL_L_0)を、ローカルゼロポップ値として決定することを含む、方法。
【請求項4】
情報重要性レベル(ISL)に基づいて決定される前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールは、メッセージの生成レート及び/又は構成を規定し、暗黙的なレートベースのルール、明示的なレートベースのルール、優先度ベースのルール、時間差レートベースのルール、及びそのようなルールの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記明示的なレートベースのルールに関して、前記方法は、CSI、チャネル情報重要性レベル(ISL)、及びチャネルの輻輳レベルに基づいて決定される生成レートで、CPMを送信するように構成される、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記時間差レートベースのルールに関して、前記方法は、それぞれのCSIs、チャネル情報重要性レベル(ISL)、及びチャネルの輻輳レベルに基づいて決定されるそれぞれの生成レートで、CPMsの多重ストリームを作成するように構成される、請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
前記時間差レートベースのルールに関して、前記方法は、異なる通信チャネル及び/又は異なる通信媒体上でV2Xメッセージを送受信するように構成される、請求項
4に記載の方法。
【請求項8】
オブジェクトの重要性指標(OSI)を決定することは、
それぞれの高度道路交通システムステーション(ITS-S)に設けられる少なくとも1つのセンサの視野(FOV)内に存在する、又は、ステーションの通信範囲内に存在するものとして、別の高度道路交通システムステーション(ITS-S)から受信した共有メッセージに含まれる、複数のオブジェクトを検出すること、
前記少なくとも1つのセンサ及び/又は前記共有メッセージから、検出された各オブジェクトのオブジェクトデータを取得すること、及び
前記オブジェクトデータに基づいて、検出された各オブジェクトのオブジェクト重要性指標(OSI)を計算すること、を含む請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
CSIの決定は、
計算されたオブジェクト重要性指標に従って、オブジェクトをCPMに充填すること、及び、
オブジェクトで充填された各CPMのCSIを計算すること、を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1及び第2のホップ情報重要性レベル(ISL_L_1、ISL_L_2)が計算され、
第1のホップ情報重要性レベル(ISL_L_1)は、ローカル情報重要性レベル(ISL_L_0)から、所定の時間間隔内でシングルホップ範囲にて計算された最も高い受信値であり、及び、
第2のホップ情報重要性レベル(ISL_L_2)は、第1のホップ情報重要性レベル(ISL_L_1)から、所定の時間間隔内で2ホップ範囲にて計算された最も高い受信値である、請求項
3に記載の方法。
【請求項11】
グローバル情報重要性レベル(ISL_G)は、ISL_G=max(ISL_L_0、ISL_L_1、ISL_L_2)として決定される、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
高度道路交通システムステーション(ITS-S)は、車両又は路側ユニット(RSU)である、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
無線通信はV2Xダイレクト通信である、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成する協調型高度道路交通システムであって、
オブジェクトの重要性指標(OSI)及び/又は集団認知メッセージ(CPM)内の個々のオブジェクトに基づく集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を計算するように構成される計算ユニットと、
集団認知メッセージ全体の重要性指標はCSIと言及され、集団認知メッセージはCPMと言及され、
計算ユニットは、さらに、受信されたすべてのCPMsのCSI値に基づいてチャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算するように構成され、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定するように構成される決定ユニットと、及び、
少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいてV2Xメッセージを生成するように構成される生成ユニットと、を備え
、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて決定される前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールは、暗黙的なレートベースのルールを含み、
前記暗黙的なレートベースのルールは、CSIが情報重要性レベル(ISL)よりも高い場合にCPMを送信するか、又はCSIに拘わらず、メッセージ生成タイマが期限切れになったことに応じて、CPMを送信するように構成される、協調型高度道路交通システム。
【請求項15】
車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成する協調型高度道路交通システムであって、
オブジェクトの重要性指標(OSI)及び/又は集団認知メッセージ(CPM)内の個々のオブジェクトに基づく集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を計算するように構成される計算ユニットと、
集団認知メッセージ全体の重要性指標はCSIと言及され、集団認知メッセージはCPMと言及され、
計算ユニットは、さらに、受信されたすべてのCPMsのCSI値に基づいてチャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算するように構成され、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定するように構成される決定ユニットと、及び、
少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいてV2Xメッセージを生成するように構成される生成ユニットと、を備
え、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて決定される前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールは、優先度ベースのルールを含み、
前記優先度ベースのルールは、メッセージ全体のCSIが情報重要性レベル(ISL)を超えるように、それぞれの重要性指標(OSIs)を持つ検出されたオブジェクトを含めることによってCPMを作成するように構成される、協調型高度道路交通システム。
【請求項16】
車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成する協調型高度道路交通システムであって、
オブジェクトの重要性指標(OSI)及び/又は集団認知メッセージ(CPM)内の個々のオブジェクトに基づく集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を計算するように構成される計算ユニットと、
集団認知メッセージ全体の重要性指標はCSIと言及され、集団認知メッセージはCPMと言及され、
計算ユニットは、さらに、受信されたすべてのCPMsのCSI値に基づいてチャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算するように構成され、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定するように構成される決定ユニットと、及び、
少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいてV2Xメッセージを生成するように構成される生成ユニットと、を備
え、
情報重要性レベル(ISL)の計算は、所定の時間間隔内で受信されたすべてのCPMsのCSI値を平均することにより、受信されたすべてのCPMsのCSI値からチャネル上のローカル情報重要性レベル(ISL_L_0)を、ローカルゼロポップ値として決定することを含む、協調型高度道路交通システム。
【請求項17】
車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成するコンピュータ実行システムであって、
プロセッサによる実行時に、プロセッサに、
オブジェクトの重要性指標(OSI)及び/又は集団認知メッセージ(CPM)内の個々のオブジェクトに基づく集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を決定すること、
集団認知メッセージ全体の重要性指標はCSIと言及され、集団認知メッセージはCPMと言及され、
受信されたすべてのCPMsのCSI値に基づいてチャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算すること、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定すること、及び、
前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいてV2Xメッセージを生成すること、を実行させる命令を記憶するメモリを備え
、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて決定される前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールは、暗黙的なレートベースのルールを含み、
前記暗黙的なレートベースのルールは、CSIが情報重要性レベル(ISL)よりも高い場合にCPMを送信するか、又はCSIに拘わらず、メッセージ生成タイマが期限切れになったことに応じて、CPMを送信するように構成される、コンピュータ実行システム。
【請求項18】
車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成するコンピュータ実行システムであって、
プロセッサによる実行時に、プロセッサに、
オブジェクトの重要性指標(OSI)及び/又は集団認知メッセージ(CPM)内の個々のオブジェクトに基づく集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を決定すること、
集団認知メッセージ全体の重要性指標はCSIと言及され、集団認知メッセージはCPMと言及され、
受信されたすべてのCPMsのCSI値に基づいてチャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算すること、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定すること、及び、
前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいてV2Xメッセージを生成すること、を実行させる命令を記憶するメモリを備
え、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて決定される前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールは、優先度ベースのルールを含み、
前記優先度ベースのルールは、メッセージ全体のCSIが情報重要性レベル(ISL)を超えるように、それぞれの重要性指標(OSIs)を持つ検出されたオブジェクトを含めることによってCPMを作成するように構成される、コンピュータ実行システム。
【請求項19】
車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成するコンピュータ実行システムであって、
プロセッサによる実行時に、プロセッサに、
オブジェクトの重要性指標(OSI)及び/又は集団認知メッセージ(CPM)内の個々のオブジェクトに基づく集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を決定すること、
集団認知メッセージ全体の重要性指標はCSIと言及され、集団認知メッセージはCPMと言及され、
受信されたすべてのCPMsのCSI値に基づいてチャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算すること、
情報重要性レベル(ISL)に基づいて少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定すること、及び、
前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいてV2Xメッセージを生成すること、を実行させる命令を記憶するメモリを備
え、
情報重要性レベル(ISL)の計算は、所定の時間間隔内で受信されたすべてのCPMsのCSI値を平均することにより、受信されたすべてのCPMsのCSI値からチャネル上のローカル情報重要性レベル(ISL_L_0)を、ローカルゼロポップ値として決定することを含む、コンピュータ実行システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年10月12日に出願された欧州特許出願第EP21202064.8号の利益を主張する。上記出願の全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成することに関する。
【背景技術】
【0003】
既知の協調型高度道路交通システム(C-ITS)は、車両対X、つまり車両対すべて(V2X)(ダイレクト)として知られる、(ダイレクト)無線通信を使用して相互に情報を交換するステーション(例えば、車両及び/又は路側ユニット)から構成される。
【0004】
V2Xは、車両対車両(V2V)、車両対インフラ(V2I)、車両対ネットワーク(V2N)及び車両対歩行者(V2P)の形式での、道路利用者間の相互の交通ネットワーク電子通信の総称である。無線通信は、IEEE 802.11 WLAN規格(802.11p拡張、及び、例えば、その欧州プロファイル ITS-G5)に基づくことができ、特にWLAN-V2Xと呼ばれる。あるいは、無線通信は、特に、セルラーV2X、C-V2X、又はサイドリンクと呼ばれる3GPP規格に基づくこともできる。例えば、V2Xでは、安全及び交通メッセージ、緊急及びサービスデータ、料金請求、並びにナビゲーションのほか、インターネット及びデータベースのコンテンツが交換される。V2Xの目的には、早期の段階でドライバーに重要な状況及び危険な状況を通知すること、周囲に対する車両の認識を向上させること、車両の運転者支援システムをサポートすること、協調型自動モビリティをサポートすること、それにより、交通安全を向上させ、交通の流れを最適化することが含まれる。
【0005】
C-ITSにおけるITSステーション(ITS-Ss)は、CAMs(協調認識メッセージ(CAMs))を共有して、自身の位置、キネマティック、その他のデータを相互に通知する。ITSステーションは、DENM(分散型環境通知メッセージ)を使用して、急ブレーキや道路上の障害物などの専用イベントについて相互に通知する。
【0006】
別のV2Xメッセージは、ITS-Sの車載センサによって交通環境内で検出される視野(FOVs)、空きスペース、及びオブジェクトなどの、車載センサに関する情報を含む、集団認知メッセージ(CPM)である。
図1は、それぞれ所定の視野を有するセンサ1~6を備えた車両の車両セットアップの一例を示す。例示的なオブジェクトが車両の近くに描かれている。
【0007】
CPMsは定期的に送信され、1つ以上の検出されたオブジェクト、視野、及び、例えばレーダやカメラなどのような車両搭載センサの他の特性に関する情報を含む。CPMsは、CPSを中心とする視点で、ETSI ITSスタックとCPSを示す
図2に示されるように、ETSI ITSスタックのファシリティ層内の集団認知サービス(CPS)によって作成される。CPMsは、CPSのCPM生成ルールに従って作成され、送信される。CPSの現在の機能は
図3に示されており、以下の
図4に関連してさらに参照される。
【0008】
C-ITSでは、輻輳チャネルを処理するために、分散輻輳制御(DCC)の概念が採用される。DCCは、ETSI ITSスタックのすべての層で動作する。
【0009】
これまで参照した技術分野にて、文献DE102015105784A1は、交通弱者を検出し保護するための分散システムにおいて、交通弱者に関するオブジェクト情報を送信すること、及び、オブジェクトのキネマティック、新規性、他者による検出可能性などに基づいて、この情報の送信を制御することを開示する。
【0010】
さらに、文献EP3462754A1は、CPMにおける重複を避けるために2つのオブジェクトが同じかどうかを検出するように構成されたV2X通信の装置及び方法を提示する。
【0011】
また、文献WO2021/040352A1は、サイドリンクを支援するための無線通信システムにおいて、デバイスがCPMを送受信する方法、及び、そのためのデバイスを開示する。この方法では、ITS-Sによって認知されたオブジェクトが、別のITS-Sによって既に送信されているかどうかを検出し、それに基づいて、そのようなオブジェクトの送信が回避される。
【0012】
最後に、ETSI TS 102636-4-2 V1.4.1(2021-02)(GeoNetworking;パート4: ポイント・ツー・ポイント及びポイント・ツー・マルチポイント通信のための地理的アドレッシングとフォワーディング;サブパート2:ITS-G5のメディア依存機能)は、ITS-G5のGeoNetworkingにおけるチャネルビジーレシオ(CBR)の概念を記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】DE102015105784A1
【文献】EP3462754A1
【文献】WO2021/040352A1
【発明の概要】
【0014】
本開示は、車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成する方法を提供する。方法は、集団認知メッセージ(CPM)内の個々のオブジェクトに基づいて、集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を決定すること、集団認知メッセージ全体の重要性指標はCSIと言及され、集団認知メッセージはCPMと言及され、受信したすべての集団認知メッセージ(CPMs)のCSI値に基づいて、チャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算すること、情報重要性レベル(ISL)に基づいて少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定すること、及び、前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいて、V2Xメッセージを生成すること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、詳細な説明及び添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【
図1】
図1は、車両がそれぞれ所定の視野を有するセンサを搭載し、車両の近傍に例示的な環境オブジェクトが配置された場合の車両のセットアップ例を示す。
【
図2】
図2は、CPS中心の視点でのETSI ITSスタックとCPSを示す。
【
図3】
図3は、現在のETSI規格で規定される
図2のCPSの機能を示す。
【
図4】
図4は、CPMに導入された有意性指標の概念によるCPS機能の変化を
図3と対比して示す図である。
【
図5】
図5は、一般的な概要として、本明細書で説明するような追加が、現在のETSI CPMフォーマットに適切に織り込まれる場所を示す。
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施形態に係る、CPMに導入される重要性指標SIの概念、重要性指標レベルISLの概念、及びSI/ISLに基づくCPM生成制御を含む、ETSI ITSスタックの層において、ITS-Sで実行されるCPM送信とDCCの連動を示す。
【
図6B】
図6Bは、本開示の実施形態に係る、CPMに導入される重要性指標SIの概念、重要性指標レベルISLの概念、及びSI/ISLに基づくCPM生成制御を含む、ETSI ITSスタックの層において、ITS-Sで実行されるCPM送信とDCCの連動を示す。
【
図7】
図7は、オブジェクトの重要性がキネマティック及び単一の車両に基づいて決定される実施形態における例示的な車両セットアップを示す。
【
図8】
図8は、オブジェクトの重要性がオブジェクトのオクルージョン及び2台の車両に基づいて決定される実施形態における別の例示的な車両セットアップを示す。
【
図9】
図9は、オブジェクトの重要性が(部分的に)FOV外側との判断と2台の車両に基づいて決定される実施形態における別の例示的な車両セットアップを示す。
【
図10】
図10は、第2車両のAPRエリアに基づいて、第1車両に対するオブジェクトの重要性が決定される実施形態における別の例示的な車両セットアップを示す。
【
図11】
図11は、CPMsに導入された重要性指標の概念内のプロセスの例示的なフローチャートを示す。
【0016】
本明細書に記載される図面は、説明のみを目的としており、いかなる形でも本開示の範囲を限定することを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示を説明する前に、関連技術における技術的課題について説明する。
【0018】
CPMは、多数の検出されたオブジェクトを含むことができ、それは、比較的大きなCPMサイズを招き、その結果、送信レートが低い場合でも、CPMsを送信すると、V2X無線チャネルの輻輳が発生する可能性がある。輻輳V2X無線チャネルにおいて、DCCがすべてのITS-Sにて(ETSI ITSスタックの様々な層で)実行される。DCCは、輻輳のレベルに応じて、ITS-Sのための特定のチャネル容量を決定する。ITS-Ssによって生成されたすべてのメッセージの合計が、前述の容量を超える場合、DCCアクセス層機能(DCC_ACC)は、パケットを無差別に、つまりパケットの内容やその中の情報の重要性についてまったく考慮せずにドロップする。特に、CPMの場合、これは重要な情報(例えば、ITS-Sの安全性と高い関連性を持つオブジェクト)を含むパケットがドロップされる可能性があることを意味する。DCCによるチャネル容量の決定は、CPMsのためのITS-Sのチャネルバジェットを制限するが、ITS-Sは、チャネル上にあるCPMsの数や、他のステーションからのCPM情報と比較して自身のCPM情報の重要性を判断することはできない。現在のところ、ITS-Sがチャネル上のCPMsの重要性レベルに応じてCPMsの生成を適合させるために比較するメカニズムは存在しない。
【0019】
【0020】
本開示の目的は、チャネル上のCPMsの重要性レベルに応じてCPMsの生成を適合させ、特にCPMのために、輻輳V2X無線チャネルにおいて、重要な情報を含むパケットが安全に送信され、ドロップされることから防ぐことを保証することが可能な方法、協調型高度道路交通システム、及びコンピュータ実行システムを提供することにある。
【0021】
本開示の発明者らは、無線通信チャネルを利用するC-ITSにおけるステーションの間で協調型高度道路交通システムにおける情報を交換する方法を利用する、オブジェクトとCPM重要性値の概念を考案した。情報の交換は、車載センサ及び/又は交通環境内の前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含むCPMを送信、受信、処理及び/又は破棄することを含む。この方法は、それぞれのステーションに設けられた少なくとも1つのセンサのFOV内に存在する、又は、ステーションの近傍に存在するものとして別のステーションから受信した共有メッセージに含まれる複数のオブジェクトを検出すること、前記少なくとも1つのセンサ及び/又は前記共有メッセージから、検出された各々のオブジェクトのオブジェクトデータを取得すること、各オブジェクトのオブジェクトデータをCPMに充填すること、オブジェクトのオブジェクトデータが充填された各CPMについて集団認知メッセージ重要性指標(CSI;CPM_SIとも言及される)を計算すること、前記無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースを決定すること、及び、最も高いCSIを有するCPMから、利用可能なチャネルリソースに従って、各CPMsを送信すること、を含む。この方法において、オブジェクトのオブジェクトデータをCPMに充填することは、非限定的な例として、前記オブジェクトデータに基づいて、検出されたオブジェクトごとのオブジェクト重要性指標(OSI)の計算に基づくものであり、計算されたオブジェクト重要性指標に応じてオブジェクトのオブジェクトデータをCPMに充填する。次に、CPM内のすべてのオブジェクトのOSIの平均を取ることによってCSIが計算される。この概念により、(OSI及びCSIパラメータを使用して)個々のCPM内の情報の重要性を評価することができるが、チャネル上で利用可能なすべてのCPM情報について一度に評価することはできないため、CPM情報の重要性の観点からシステム全体を俯瞰する視点が欠けている。
【0022】
本開示の発明者らはさらに、高度道路交通システムステーション(ITS-S)に設けられた少なくとも1つのセンサのFOV内で検出される、又は、ITS-Sの通信範囲に存在するものとして別のITS-Sから受信した共有メッセージに含まれるオブジェクトのオブジェクトデータで充填された各CPMのCSI値を計算すること、受信したすべてのCPMについてのCSI値に基づいて、チャネル上のISLを計算すること、及び、計算したISLを他のITS-Sと共有すること、を含む、車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む複数のCPMsを送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用するC-ITSにおいて、集団認知メッセージ(CPM)情報重要性レベル(ISL)を計算する方法を利用する、CPM重要度値の概念を考案した。CPM情報重要性レベルの概念は、より具体的には、特定の時間内のチャネル上のすべてのCPMの平均重要度を表す、ISLと呼ばれる情報重要性レベル指標を計算することを提案する。また、グローバルISLと呼ばれる2ホップ範囲について、この指標を導出することも提案する。
【0023】
本開示は、上記の目的と、CPM重要度値及びCPM情報重要度値の概念を基礎とし、さらに発展させたものであり、ITS-Sがチャネル上のCPMsの重要性レベルに応じてCPMsの生成を適合させるメカニズムを提供する。このようなメカニズムには、例えば、自身のCPMsの重要性が別のステーションのCPMsの重要性よりも低い場合、ITS-Sの自身のCPMsのレートを下げることが含まれ得る。
【0024】
本開示の第1の態様によれば、車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成する方法が提供される。この方法は、CPM内の個々のオブジェクトに基づいて集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を決定すること、受信したすべてのCPMsのCSI値に基づいて、チャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算すること、情報重要性レベル(ISL)に基づいて少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定すること、及び、前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいて、V2Xメッセージを生成すること、を含む。CSIは、OSI自体に直接基づくことなく、個々のオブジェクトに基づいて計算され得ることに留意されたい。ただし、CSIを計算するためにOSIを反映させたり、OSIが決定されて参照されたりすることは可能である。
【0025】
輻輳チャネルの場合、上述の第1の態様によれば、チャネル上のグローバルISL(ISL_G)に基づいて、すべてのITS-SでのCPM生成及び送信を適合させるように構成されたCPM生成の分散管理が用いられる。例えば、1つのITS-Sが非常に重要性の高いCPMsを送信している場合、他のITS-Ssは、CPMsの生成を制御するために(少なくとも、構成及び繰り返しレートに関するルールを含む)、情報重要性レベルISLを使用することによって、より多くの帯域幅を解放するように、CPM生成(構成、タイミング、レート)及び/又は送信を調整するように構成される。
【0026】
第1の態様に従属する、本開示の第2の態様によれば、情報重要性レベル(ISL)に基づいて決定される前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールは、メッセージの生成レート及び/又は構成を規定し、暗黙的なレートベースのルール、明示的なレートベースのルール、優先度ベースのルール、時間差レートベースのルール、及びそのようなルールの組み合わせの少なくとも1つを含む。本明細書で使用される「暗黙的なレートベース」とは、ルールが、メッセージ生成レートを直接調整するのではなく、例えば、特定の基準が満たされるまでメッセージの生成を延期することによって間接的に調整すること意味し、基準は時間の経過とともに満たされることが判明する。「明示的なレートベース」とは」、ルールがメッセージの生成レートを直接的に決定することを意味する。「優先順位ベース」とは、ルールが、含まれる情報の重要性を考慮してメッセージを作成し、重要性の低い情報を除外することを意味する。「時間差レート」とは、異なる繰り返しレートで異なるメッセージを作成することを意味する。
【0027】
第2の態様に従属する、本開示の第3の態様によれば、前記暗黙的なレートベースのルールに関して、前記方法は、その重要性指標(CSI)がISLよりも高い場合にCPMを送信するか、又はCSIに拘わらず、メッセージ生成タイマが期限切れになった場合に、CPMを送信するように構成される。
【0028】
第2の態様に従属する、本開示の第4の態様によれば、前記明示的なレートベースのルールに関して、前記方法は、CSI、チャネル情報重要性レベル(ISL)、及びチャネルの輻輳レベルに基づいて決定される生成レートで、CPMを送信するように構成される。
【0029】
第2の態様に従属する、本開示の第5の態様によれば、前記優先度ベースのルールに関して、前記方法は、メッセージ全体の重要性指標(CSI)がISLを超えるように、それぞれのOSIを持つ検出されたオブジェクトを含めることによってCPMを作成するように構成される。
【0030】
第2の態様に従属する、本開示の第6の態様によれば、前記時間差レートベースのルールに関して、前記方法は、それぞれのCSIs、チャネル情報重要性レベル(ISL)、及びチャネルの輻輳レベルに基づいて決定されるそれぞれの生成レートで、CPMsの多重ストリームを作成するように構成される。
【0031】
第2の態様に従属する、本開示の第7の態様によれば、前記時間差レートベースのルールに関して、前記方法は、異なる通信チャネル及び/又は異なる通信媒体上でV2Xメッセージを送受信するように構成される。
【0032】
第1から第7の態様のいずれかに従属する、本開示の第8の態様によれば、オブジェクトの重要性指標(OSI)を決定することは、それぞれの高度道路交通システムステーション(ITS-S)に設けられる少なくとも1つのセンサの視野(FOV)内に存在する、又は、ステーションの通信範囲内に存在するものとして、別の高度道路交通システムステーション(ITS-S)から受信した共有メッセージに含まれる、複数のオブジェクトを検出すること、前記少なくとも1つのセンサ及び/又は前記共有メッセージから、検出された各オブジェクトのオブジェクトデータを取得すること、及び、前記オブジェクトデータに基づいて、検出された各オブジェクトのオブジェクト重要性指標(OSI)を計算すること、を含む。
【0033】
第8の態様に従属する、本開示の第9の態様によれば、集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を決定することは、計算されたオブジェクト重要性指標に従って、オブジェクトを集団認知メッセージ(CPM)に充填すること、及び、オブジェクトで充填された各集団認知メッセージ(CPM)の集団認知メッセージ重要性指標(CSI)を計算することを含む。
【0034】
第1から第9の態様のいずれかに従属する、本開示の第10の態様によれば、情報重要性レベル(ISL)の計算は、所定の時間間隔内で受信されたすべてのCPMsのCSI値を平均することにより、受信されたすべてのCPMsのCSI値からチャネル上のローカル情報重要性レベル(ISL_L_0)を、ローカルゼロポップ値として決定することを含む。
【0035】
第10の態様に従属する、本開示の第11の態様によれば、第1及び第2のホップ情報重要性レベル(ISL_L_1、ISL_L2)が計算され、第1のホップ情報重要性レベル(ISL_L_1)は、ローカル情報重要性レベル(ISL_L_0)から、所定の時間間隔内でシングルホップ範囲にて計算された最も高い受信値であり、及び、第2のホップ情報重要性レベル(ISL_L_2)は、第1のホップ情報重要性レベル(ISL_L_1)から、所定の時間間隔内で2ホップ範囲にて計算された最も高い受信値である。
【0036】
第11の態様に従属する、本開示の第12の態様によれば、グローバル情報重要性レベル(ISL_G)が、ISL_G=max(ISL_L_0、ISL_L_1、ISL_L_2)として決定される。
【0037】
第1から第12の態様のいずれかに従属する、本開示の第13の態様によれば、ITS-Sは、車両又は路側ユニット(RSU)である。
【0038】
第1から第13の態様のいずれかに従属する、本開示の第14の態様によれば、無線通信は車両対X(V2X)ダイレクト通信である。
【0039】
本開示の第15の態様によれば、車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成する協調型高度道路交通システムが提供される。協調型高度道路交通システムは、オブジェクトの重要性指標(OSI)及び/又はCPM内の個々のオブジェクトに基づく集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を計算するとともに、受信されたすべてのCPMsのCSI値に基づいてチャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算するように構成される計算ユニットと、情報重要性レベル(ISL)に基づいて少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定するように構成される決定ユニットと、及び、少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいてV2Xメッセージを生成するように構成される生成ユニットと、を備える。
【0040】
本開示の第16の態様によれば、車載センサ及び/又は交通環境内で前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む、複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成するコンピュータ実行システムが提供される。コンピュータ実行システムは、プロセッサによる実行時に、プロセッサに、オブジェクトの重要性指標(OSI)及び/又はCPM内の個々のオブジェクトに基づく集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を決定すること、受信されたすべてのCPMsのCSI値に基づいてチャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算すること、情報重要性レベル(ISL)に基づいて少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定すること、及び、前記少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいてV2Xメッセージを生成すること、を実行させる命令を記憶するメモリを備える。
【0041】
上記の第2から第14の態様は、本開示の第15及び第16の態様によるシステムにも同様に適用できることが理解されよう。
【0042】
本開示は、有利にも、重要性判定のための追加パラメータ(例えば、検出信頼度、位置の不一致)の考慮、(例えば、VRUだけでなく)あらゆる種類のオブジェクトの考慮、(例えば、車両だけでなく)あらゆる種類のITS-Sの考慮、エリア認知要求(APR)の考慮、重要性パラメータ自体の送信、(オブジェクトごとの1つのメッセージ、又は検出されたすべてのオブジェクトを1つのメッセージへの集約とは異なる)オブジェクトの選択的な集約、及び特定のV2Xメッセージ(CPM)の考慮を提供するように設計される。
【0043】
上記の概念において、処理能力が限られている場合には、少なくとも、高いCSIを有する受信されたCPMsが最初に処理されるような構成が好ましいことが理解されよう。
【0044】
さらに理解されるように、限定される訳ではないが、上記の文脈において、ITS-Ssは、前述の態様が適用可能な、交通環境における車両及び/又は路側ユニットを少なくとも含む。
【0045】
冒頭で述べたように、V2Xは、車両対車両(V2V)、車両対インフラ(V2I)、車両対ネットワーク(V2N)及び車両対歩行者(V2P)の形式での、道路利用者間の相互の交通ネットワーク電子通信の総称である。無線通信は、IEEE 802.11 WLAN規格(802.11p拡張、及び、例えば、その欧州プロファイル ITS-G5)に基づくことができ、特にWLAN-V2Xと呼ばれる。あるいは、無線通信は、特に、セルラーV2X、C-V2X、又はサイドリンクと呼ばれる3GPP規格に基づくこともできる。例えば、V2Xでは、安全及び交通メッセージ、緊急及びサービスデータ、料金請求、並びにナビゲーションのほか、インターネット及びデータベースのコンテンツが交換される。V2Xの目的には、早期の段階でドライバーに重要な状況及び危険な状況を通知すること、周囲に対する車両の認識を向上させること、車両の運転者支援システムをサポートすること、協調型自動モビリティをサポートすること、それにより、交通安全を向上させ、交通の流れを最適化することが含まれる。
【0046】
ITS用の2つの択一的なアクセスレイヤテクノロジが、それぞれ、電気電子学会(IEEE)と第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によって定義されている。
【0047】
1番目のアプローチは、しばしば専用狭域通信(DSRC)と呼ばれ、IEEE 802.11pとして規格化された無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)テクノロジを使用して、車両のアドホック接続をサポートし、これは、欧州規格ETSI ITS-G5の基礎となっている。2番目のアプローチは、LTE-V2X又はサイドリンクとしても知られる、ロングタームエボリューション(LTE)に基づく、3GPPによる提案である、セルラーベースV2X(C-V2X)である。
【0048】
これに関連して、道路交通における協調認識とは、道路利用者と路側インフラが、互いの位置、ダイナミクス、属性について情報を知らされることを意味する。道路利用者とは、自動車、トラック、オートバイ、自転車、さらには歩行者、並びに道路標識、信号機、遮断機、ゲートを含む路側インフラ設備など、交通の安全及び制御において役割を果たす道路上又は近傍の、あらゆる種類の利用者である。ETSI TR 102638に記載されているように、相互の認識は、多くのユースケースを伴う、いくつかの交通安全及び交通効率化アプリケーションの基礎となっている。これは、車両から車両(V2V)だけでなく、V2Xネットワークと呼ばれ、高度道路交通システム(ITS)の一部である、無線ネットワークに基づくV2I、I2V、又はX2Xなど、インフラから任意の道路利用者への、道路利用者間での情報の定期的なブロードキャストによって実現される。
【0049】
協調的な安全性と交通効率のアプリケーションでは、近傍の道路利用者の存在と行動を含む状況認識を利用できるようにするため、高度道路交通システム(ITS)のサブシステム(道路利用者、路側ユニットなど)と、それらのITS-ステーション(ITS-Ss)を必要とする。車両サブシステムと路側サブシステムは、それぞれの認知センサから、及び周囲の他のITS-Ssとの通信を通じて、状況認識を利用できるようにする。CA基本サービスEN302637-2は、ITS-Sが、EN302637-2に従って協調認識メッセージ(CAMs)を送信することで、自身が関連するサブシステムの位置、ダイナミクス、及び属性を他のステーションに通知する方法を指定する欧州規格(EN)である。
【0050】
協調認知サービス(CPサービス又はCPS)は、CA基本サービスを補完する。CPS仕様は、ITS-Sが、ローカル認知センサによって検出された、近隣の道路利用者、他のオブジェクト、及び空きスペースの位置、ダイナミクス、及び属性を他のステーションに通知する方法を定義する。CPSにより、ITSサブシステムは、レーダやカメラなどのローカル認知センサによって検出された他の道路利用者や障害物に関する情報を共有できるようになる。その意味において、CPSは、ITSサブシステムが認識したオブジェクトに関する情報をサブシステムの個々の知識ベースに相互に提供することで、ITSサブシステム間の認識を高めることを目的としている。
【0051】
協調認知メッセージ(CPM)により、散在するITSサブシステムにより検出されるオブジェクトに関する情報を共有することができる。メッセージは、散在しているITSサブシステム、その認知能力、及び検出されたオブジェクトに関する情報で構成される。このため、メッセージは、散在するITSサブシステムの参照フレーム内で検出されたオブジェクトを記述するための一般的なデータ要素を提供する。CPMは、動的道路環境の変化を報告することに焦点を当てつつ、結果として生じるチャネル負荷を軽減するために、適応的なメッセージ生成レートで周期的に送信される。
【0052】
特に、ETSI技術仕様草案ETSI TS103324は、現在、V0.2.22草案(2021-05)の形式で、V2Xネットワークに参加しているITS-Sによって送信されるCPMsの仕様と、CPMsを送信するためのトリガ条件を持つCPSの仕様に焦点を当てている。
【0053】
本明細書で使用される、CPSの文脈におけるオブジェクトは、センサの認知範囲内で物理的に検出されたオブジェクトの状態空間表現として定義され、オブジェクトリストは、同じタイムスタンプに時間的に揃えられたオブジェクトの集合として定義され、集団認知(CP)サービスは、CPMを生成し、受信し、及び処理するためのITS-Sファシリティ層における機能として定義され、集団認知メッセージ(CPM)はCPサービスPDU(プロトコルデータユニット)として定義され、集団認知メッセージ(CPM)データは、部分的又は完全なCPMペイロードとして定義され、集団認知(CPM)プロトコルは、CPM送受信の動作のためのITSファシリティ層プロトコルとして定義され、ITSステーションは、ITSステーション参照アーキテクチャによって指定される機能エンティティとして定義され、オブジェクト信頼度は、検出されたオブジェクトが実際に存在する、つまりセンサによって以前に検出され、継続的に検出されているとの信頼度の定量化として定義され、路側ITSステーションは、路側ITSサブシステムのITSステーションとして定義され、センサ測定は、検出されたオブジェクトの状態空間表現を生成する動作原理に基づくセンサの動作として定義され、状態空間表現は、距離、速度、オブジェクトの寸法などの状態変数からなる、検出されたオブジェクトの数学的記述として定義され、そして、車両ITSステーションは、車両ITSサブシステム内のITSステーションとして定義される。ITS-S内のCPU(s)は、アプリケーション層、ファシリティ層、並びに、ネットワーク及びトランスポート層の、それぞれの層の機能を実行する。
【0054】
図2は、ファシリティ層内の他の層及びエンティティとの論理インターフェースとともに、ITS-Sアーキテクチャ内の集団認知(CP)サービスをより詳細に示す。CPSは、ITS-S-Sアーキテクチャのファシリティ層エンティティである。CPSは、ファシリティ層の他のエンティティ及びITSアプリケーションとインターフェース接続し、CPM生成のための、及びさらなる処理のために受信したCPMコンテンツを転送するための関連情報を収集する。
【0055】
CPMを生成するためのデータ収集のエンティティは、デバイスデータプロバイダ(DDP)、位置及び時間管理(POTI)、及びローカルダイナミックマップ(LDM)である。車両のITSサブシステムの場合、DDPは車載ネットワークに接続され、車両の状態情報を提供する。路側ITSサブシステムの場合、DDPは支柱やガントリなどの路側インフラに取り付けられたセンサに接続される。POTIエンティティは、ITS-Sの位置と時刻情報を提供する。LDMは、ITS-Sのデータベースであり、車載センサデータに加えて、CAMやCPMなどのメッセージから受信したデータで更新されるように構成される。ITSアプリケーションは、さらなる処理のためにLDMから情報を取得する。また、CPSは、サービスアナウンスメント(SA)サービスとインターフェース接続し、CPMを生成し、使用される通信技術に関する詳細を提供するためのITS-Sの能力を示す。
【0056】
現在のチャネル使用率に関連するメッセージ発信固有の情報が、DCC-FAC(ファシリティ層の分散型輻輳制御)エンティティ、及びDCC-Crossエンティティ(管理プレーンに位置し、
図2には示されていない)とインターフェース接続することによって受信される。CPSは、他のITS-SとCPMの交換のために、NF-SAP(ネットワーキングファシリティ層インターフェース用のSAP)を介してネットワーキング及びトランスポート層(N&T)とインターフェース接続し、CPM送信とCPM受信のためのセキュリティサービスにアクセスするために、SF-SAP(セキュリティファシリティ層インターフェース用のSAP)を介してセキュリティエンティティとインターフェース接続し、MF-SAP(マネジメントファシリティ層インターフェース用のSAP)を介してマネジメントエンティティとインターフェース接続し、そして、受信されたCPMデータがアプリケーショに直接提供される場合に備えて、FA-SAP(ファシリティアプリケーション層インターフェース用のSAP)を介してアプリケーション層とインターフェース接続する。SAPはサービスアクセスポイントの略であり、SAはサービスアナウンスメントの略であることに留意されたい。
【0057】
図3に示すように、それぞれのITS-SにおけるCPS機能には、DCCからの入力(例えば、利用可能なチャネルリソースに関する情報を含む)、車載センサからの入力(例えば、センサ特性、FOV、オブジェクト、空きスペースに関する情報を含む)、(それぞれのITS-Sの外部からの、例えば1つ以上の他のITS-Sからの)CAMs及びCPMsに基づく、CPM送信管理、CPM受信管理、CPM符号化及びCPM復号が含まれる。
【0058】
図4は、本実施形態に係るCPS機能の変更を
図3と対比して示す。変更は、
図4において下線付きの太字斜体で示されており、以下でより詳細に参照される。
【0059】
図5は、ETSI CPMフォーマットの現在の状態を示し、本開示がこのフォーマットのどこに組み込まれるかを特定する。CPSサービスを指定するための現在のETSIの開発は、ETSI TS 103324のCPS仕様のベースラインとして、CPMフォーマットとCPM生成ルールを記述するテクニカルレポートに記載されている。
【0060】
図5に示すように、CPMメッセージには、ITS(高度道路交通システム)PDU(プロトコルデータユニット)ヘッダと、管理コンテナ、ステーションデータコンテナ、複数のセンサ情報コンテナ(SICs)、及び複数の認知オブジェクトコンテナ(POCs)の4種類のコンテナが含まれている。
【0061】
ITS PDUヘッダには、プロトコルバージョン、メッセージID、及びステーションIDのようなデータ要素が含まれる。管理コンテナは必須であり、送信車両に関する基本情報(車両の位置など)を提供する。位置情報は、検出されたオブジェクトを参照するために受信者によって使用される。ステーションデータコンテナはオプションであり、送信車両に関する追加情報(例えば、速度、進行方向、又は加速度)を含む。さらに、CPMには、送信車両に組み込まれたセンサの能力を記述するために、最大で128個のSICを含めることができる。最後に、POCsは、検出されたオブジェクトに関する情報(例えば検出されたオブジェクトと送信車両の間の距離など)、オブジェクトの速度と寸法、及びこれらの測定が行われた時刻を提供する。単一のCPMには最大で128個のPOCsを含めることができる。
【0062】
CPM生成ルールは、車両がCPMをいつ生成して送信する必要があるか、及びCPMに含めるべき情報を定義する。現在のETSI CPM生成ルールでは、車両は、新しいCPMを生成して送信する必要があるかどうかを所定の間隔でチェックする必要があると定められている。デフォルトでは、所定の間隔は100msに設定されるが、100ms~1000msの範囲で100msの任意の倍数にすることができる。新しいオブジェクトが検出された場合、又は、最後にデータがCPMに含まれてから、車両の絶対位置が所定の量、例えば4mを超えて変化した場合、又は、最後にデータがCPMに含まれてから、車両の絶対速度が所定の値、例えば0.5m/sを超えて変化した場合、又は、最後に検出されたオブジェクトがCPMに含まれたのが、所定の時間期間、例えば1秒以上前である場合、所定の間隔ごとに、車両は新しいCPMを生成する必要がある。車両は、新しいCPMに、新しく検出されたすべてのオブジェクトと、前述の条件の少なくとも1つを満たすオブジェクトを含める。検出されたオブジェクトが前述の条件のいずれも満たさなかった場合でさえ、それでも車両はCPMを毎秒生成する。車載センサに関する情報は、CPMに1秒あたり1回だけ含まれる。
【0063】
図5によれば、さらに示されように、CPMsに導入された重要性指標の概念は、管理コンテナ(CSI(「CPM-SI」)とマークされたボックスを参照)にて、POCs(インデックス1~128のOSI(「O-SI」)とマークされたボックスを参照)にて、及び、オプションで新しいAPRコンテナ1~nを追加することにより、
図5の右側参照、懸案のETSI CPMフォーマットに織り込むことができ、並びに、CPM重要性指標(CSI)を使用して計算され、本実施形態及び本開示に従って他のITS-Ssと共有される、チャネル上の情報重要性レベル(ISL)は、管理コンテナ(ISL_L_0及びISL_L_1とマークされたボックスを参照)にて、このフォーマットに織り込むことができる。
【0064】
上記の文脈において、
図6A及び6Bは、本実施形態によるCPMsに導入される重要性指標の概念を含む、ETSI ITSスタックの層におけるITS-S内のCPM送信とDCCの連携を示している。
【0065】
図6Aによれば、例えば、V2Xチャネルの輻輳を想定している間、CPSは自身のセンサからのデータ(及び、他のITS-SsのCAMs/CPMs)を受信し、事前定義された CPM生成ルールに従って、CPMを作成する。
図6Aはまた、参照により本明細書に組み入れられる、例えば、ETSIテクニカルレポート103562V2.1.1(2019-12)cf.4.3.4.2の「認知オブジェクトコンテナ包含管理」に説明されているように、繰り返しレート及びコンテンツに関する例示的なCPM生成ルールを示している。例示的なCPM生成ルールが以下に示される。
【0066】
繰り返しレート:
T_GenCpmMin≦T_GenCpm≦T_GenCpmMax
ここで、T_GenCpmMin=100ミリ秒であり、T_GenCpmMax=1000ミリ秒である。
コンテンツ:
1.割り当てられた最も信頼性の高いオブジェクトクラスが、人又は動物のクラスのいずれにも対応しない場合:
a.最後のCPM生成イベントの後に、オブジェクトは最初に認知システムによって検出される。
b.オブジェクトの基準点の現在の推定位置と、CPMに最後に含まれたこのオブジェクトの基準点の推定位置との間のユークリッド絶対距離が4mを超える。
c.オブジェクトの基準点の現在の推定対地速度と、CPMに最後に含まれたこのオブジェクトの基準点の推定絶対速度との差が0.5m/sを超える。
d.オブジェクトの基準点の現在の推定対地速度のベクトルの方向と、CPMに最後に含まれたこのオブジェクトの基準点の対地速度のベクトルの推定方向との差が4度を超える。
e.オブジェクトが最後にCPMに含まれてからの経過時間がT_GenCpmMaxを超える。
2.割り当てられた最も信頼性の高いオブジェクトクラスが、人又は動物のクラスに対応する場合:
a.最後のCPM生成イベントの後に、新しいオブジェクト(人又は動物のクラス)が検出される。
b.過去500ミリ秒以内にCPMに含まれていない、人又は動物のクラスのオブジェクトがオブジェクトリストに少なくとも1つ含まれている場合、人又は動物のクラスのすべてのオブジェクトが現在生成されているCPMに含まれる必要がある。
【0067】
次に、作成されたCPMはネットワーク層を介してスタックを通過してアクセス層に達し、アクセス層は現在のチャネル負荷に応じて、CPMを送信又はドロップする。
【0068】
図6Bは、CSIの概念、ISLの概念、さらに本開示によるSI/ISLに基づくCPM生成制御が、
図6Aに示されるプロセスと連結する場所を示す。
【0069】
CPSが、センサから、及び/又は、他のITS-SsのCAMs/CPMsからデータを受信した後に、チャネル上のISL(情報重要性レベルとも呼ばれる、情報重要性重み)のISL_L_0が、受信したCPMsのCSIsに基づいて決定され、第1及び第2レベルホップISL_L_1、ISL_L_2が決定され、そして、グローバルISL(ISL_G)が、ISL_G=max(ISL_L_0、ISL_L_1、ISL_L_2)として決定され、ISL_L_=及びISL_L_1が、CPM管理コンテナに追加される。次に、検出されたオブジェクトのSI(オブジェクト重要性指標、OSI)が計算され、選択されたCPM生成ルールが適用され、CPMがOSIに従って、オブジェクトのオブジェクトデータで充填され、そしてCPMのSIが計算される。次いで、CPSはCPMを生成し、そこでは、CPMサイズ及びレートは、DCCからのチャネル輻輳情報に基づいて適応される。CPMは、ネットワーク層を介してアクセス層までスタックを通過し、アクセス層は現在のチャネル負荷(アクセス層DCC機能 DCC-ACC)に応じてCPMを送信するか、又はドロップする。
【0070】
本実施形態によれば、
図6Bで選択されるITS-SごとのCPM生成ルール(選択肢)には、少なくとも以下のルールA~Dが含まれる。
【0071】
CSIが現在のISL_Gよりも高い場合に限り、CPMが時間T_GenCpmに生成される、暗黙的なレートベースのルールA。最大時間間隔(T_GenCpmMax)が経過すると、CSIに拘わらずCPMが作成される。CPMの送信が遅延すると、オブジェクトの「最終更新からの時間」が増加し、従って、OSI(s)が増加することに留意されたい。
【0072】
DCC状態、ISL_G、及び、事前定義された数式又はルックアップテーブルを使用して、ある時点で生成されるべきCPMのCSIに基づいて、最適な生成レート(及び対応するT_GenCpm)が計算される、明示的なレートベースのルールB。
【0073】
CPMの充電が最大重要性オブジェクトで開始され、CSIがISL_Gを下回るまで続く、つまり、低いOSIオブジェクトをCPMに取り込ませず、時間T_GenCPMでそれを送信しないことによって、CSIがISL_Gより高く保たれる、優先度ベースのルールC。
【0074】
DCC状態、ISL_G、及び、事前定義された数式又はルックアップテーブルを使用して、ある時点で生成されるべきCPMのCSIに基づいて計算される、高い頻度で高CSIを持つ1つと、低い頻度で低CSIを持つ1つの、2つ(又はそれ以上)のCPMsが作成され、送信される、時間差レートベースのルールD。このように、最も重要なオブジェクト(高OSI)が即座に、かつより頻繁に送信され、他のオブジェクトは、最小レートのため、後で送信される。
【0075】
ルールDの例には、優先度ベースのルール(すなわち、CSI>ISL_G)に従ってイ番目のCPMを作成し、それを(1/T_GenCpm-1)Hzのレートで送信し、残りのすべてのオブジェクトを用いて2番目のCPMを作成し、それを1Hzのレートで送信することが含まれる。
【0076】
本明細書で使用される「暗黙的なレートベース」とは、ルールがメッセージ生成レートを直接調整するのではなく、間接的に、例えば特定の基準が満たされるまでメッセージの生成を延期することによって、間接的に、メッセージ生成レートを調整することを意味し、この基準は時間の経過とともに満たされることが判明するものである。「明示的なレートベース」とは、ルールがメッセージの生成レートを直接的に決定することを意味する。「優先度ベース」とは、ルールが、重要性の低い情報を除外し、含まれるべき情報の重要性を考慮してメッセージを作成することを意味する。「時間差レート」とは、異なる繰り返しレートで異なるメッセージを作成することを意味する。
【0077】
さらに、異なるCSIsを持つCPMsは、異なる無線チャネル(MCOコンセプト-マルチチャネル動作)又は異なる通信媒体で送信することもできる。
【0078】
ここでの例には、優先度ベースのルール(CSI>ISL_G)に従って1番目のCPMを作成し、それを制御チャネル(CCH)で(1/T_GenCpm-1)Hzのレートで送信し、残りのすべてのオブジェクトを用いて2番目のCPMを作成し、それをサービスチャネル(SCH1)で1Hzのレートで送信すること、又は、優先度ベースのルール(すなわち、CSI>ISL_G)に従って1番目のCPMを作成し、それを制御チャネル(CCH)で(1/T_GenCpm-1)Hzのレートで送信し、残りのすべてのオブジェクトを用いて2番目のCPMを作成し、それをクラウド又はモバイルエッジベースのサービスプロバイダ(処理及び他のITS-Ssへの再配布用)へセルラーネットワーク経由で1Hzのレートで送信すること、が含まれる。
【0079】
上記の点において、パラメータT_GenCPMは、連続するCPM生成イベント間の経過時間の現在有効な上限を表す。
【0080】
本開示は、複数の態様に基づいており、複数の態様を有しており、その概要を以下に示す。
【0081】
図3によると、CPM送信管理、CPM受信管理、CPM符号化及びCPM復号を含むCPS機能の文脈内で、既存のCPS機能は、重要性指標(SI)を組み込むことによって拡張及び/又は適応される。
【0082】
重要な情報の損失を回避する役割を果たすSIの組み込みと付随して、CPMの重要性は、組み込むオブジェクト情報の重要性指標(SI)に基づいており、CPSが(現在のV2Xチャネル負荷に応じて)適応的にCPM内に(例えば、安全性の観点から)最も重要なオブジェクトだけを含むようにする。
【0083】
ここで、(自身の)ホストITS-S以外の他のITS-Ssが、オブジェクト情報の受信を所望するエリアの要求であるエリア認知要求(APR)を送信することにより、ホストITS-SのSI計算に影響を与える可能性があると考えられる。さらに、オンデマンドのCPM送信など、C-ITSシステム内の他のアプリケーションも同じように考えられる。
【0084】
好ましくは、SIは、検出されたオブジェクトについてホストITS-Sで取得されたデータに基づいてCPSによって計算され、そのようなデータには、キネマティック、新規性、最後の更新からの経過時間、分類、検出の信頼度、及び/又は他のITS-Ssのニーズの少なくとも1つが含まれる。
【0085】
本明細書で使用される場合、キネマティックには、限定されないが、位置、速度、及び加速度のうちの少なくとも1つが含まれ、すなわち、オブジェクトが1人以上の道路利用者にとって安全上の障害となる可能性を示すのに適したパラメータが含まれる。例えば、ある車両がゆっくりと移動し、別の車両が素早く移動している場合、速い方の車両が安全上の障害となる可能性が高いと判定され、そして、安全上の障害となる可能性が高いほど、その重要性はより高くなる。
【0086】
本明細書で使用される場合、新規性とは、これまでに検出されていなかったオブジェクトを意味する。新規なオブジェクトは重要性が高くなる。最後の更新からの経過時間は、所定の期間報告されていなかったオブジェクトに関連する。経過時間が長くなるほど、その重要性が高くなる。分類は通常、オブジェクトのタイプを参照し、交通弱者(VRUs)などのより「価値」の高いオブジェクトを考慮する。そして、このような価値の高いオブジェクトを含むクラスほど重要性がより高いと判断される。検出の信頼度(値)も同様に、信頼度(値)が高いほどその重要性が高くなる。
【0087】
他のITS-Ssのニーズに関しては、特に1人以上の道路利用者(付近、衝突経路など)に関する、キネマティック(例えば、位置、速度、加速度)を持つオブジェクトが、オブジェクトの重要性を決定する際に考慮されることが好ましい。
図7は、車両のITS-Sが第1のオブジェクト(オブジェクト1)と第2のオブジェクト(オブジェクト2)を検出したとき、第1のオブジェクトとの衝突経路の可能性があり、第2のオブジェクトとはないため、第1のオブジェクトが第2のオブジェクトよりも重要であるとみなされる図示の例を示している。
【0088】
また、他のITS-Ssのニーズに関して、近隣のITS-Sによって検出することが困難又は不可能なオブジェクト、例えば、他の既知のオブジェクトの位置に基づいて部分的又は完全に隠された隠蔽オブジェクト、及び既知の近隣車両のセンサのFOVsも、オブジェクトの重要性を決定する際に考慮されることが好ましい。
図8は、第1及び第2の車両、並びに第1及び第2のオブジェクトを含む交通環境において、第2の車両のセンサのFOVに対して、第1のオブジェクトが第2のオブジェクトによって隠されているので、第1の車両(車両1)によって第1のオブジェクト(オブジェクト1)が第2のオブジェクト(オブジェクト2)よりも重要であるとみなされる図示の例を示す。
【0089】
さらに、検出が困難又は不可能なオブジェクトには、近隣のITS-SのセンサのFOVの境界上又は完全に外側にあるオブジェクト、及びホストITS-Sよりも低い信頼度で他のITS-Ssによって検出されたオブジェクトが含まれるが、これらに限定されない。
図9は、第1及び第2の車両、並びに第1及び第2のオブジェクトを含む交通環境において、第1のオブジェクトは第2の車両(車両2)のFOVの完全に外部にあるので、第1の車両(車両1)によって第1のオブジェクト(オブジェクト1)が第2のオブジェクト(オブジェクト2)よりも重要であるとみなされる図示の例を示す。
【0090】
また、他のITS-Ssのニーズに関して、CAM内の位置が別のITS-Sのセンサによって検出された位置と異なる車両ITS-Sタイプのオブジェクトを含む、異なるITS-S間で検出された位置が異なるオブジェクトが、オブジェクトの重要性を決定する際に考慮されることが好ましい。
【0091】
さらに、他のITS-Ssのニーズに関して、ホストITS-Sによって検出されたオブジェクトが位置するエリアの他のITS-Ssによるいくつかのエリア認知要求(APRs)が、オブジェクトの重要性を決定する際に考慮されることが好ましい。ここで、非限定的な例として、このエリアに対する要求は、近隣のITS-Sによって明示的に送信されてもよく、及び/又は、要求は、送信側ITS-Sがオブジェクト情報の受信を所望するエリアを示すことができるCPM内のオプションのコンテナの一部であってもよい。
図10は、第1及び第2の車両、第1及び第2のオブジェクト、並びに例えば建物を含む交通環境において、第1のオブジェクトが第2の車両(車両2)のエリア認知要求(APR)に属するため、第1の車両(車両1)によって第1のオブジェクト(オブジェクト1)が第2のオブジェクト(オブジェクト2)よりも重要とみなされる図示の例を示す。
【0092】
図11は、CPSにおいて重要性指標(SI)を計算し、送信するための例示的なプロセスの例示的なフローチャートを示す。
【0093】
ステップ110では、各ステーションに設けられた少なくとも1つのセンサの視野(FOV)内に存在する、又は、ステーションの近くに存在するものとして他のステーションから受信した共有メッセージに含まれる複数のオブジェクトが検出される。
【0094】
次に、ステップ120において、CAMsを介して検出されたオブジェクトを含む、前記少なくとも1つのセンサ及び/又は前記共有メッセージから、検出された各オブジェクトのオブジェクトデータ(キネマティック及び軌跡、該当する場合)が取得される。
【0095】
共有メッセージには、他のITS-SsからのFOVs及び/又はAPRsを含む、他のITS-Ssから取得されたCPMが含まれることに留意されたい。さらに、処理能力が限られており、他のITS-Ssから取得したCPMsがCSIを含む場合、高いCSI(又はCPM-SI)のCPMsが最初に処理されるように構成することが好ましいことに留意されたい。
【0096】
次のステップ130では、検出された各オブジェクトのOSIが、オブジェクトデータに基づいて計算される。ここでの計算は、上述した様々な要素に基づいて行われる。非限定的な例として、単純な計算モデルには、SI値を取得するために、さまざまな要素の値を加算し、結果を1~10に正規化することが含まれる。
【0097】
次に、ステップ140では、CPMが、計算されたOSIに従ってオブジェクトのオブジェクトデータで充填され、上述のCPM生成ルールA~Dのうちの少なくとも1つが適用されCPMが生成される。非限定的な例として、単純な充填モデルが、CPMサイズに関するCPM構築ルールが許す限り、最も重要なオブジェクトで充填を開始し、より重要性の低いオブジェクトでそれぞれ継続する。言い換えれば、このステップは各CPMのCSIを計算して設定する。非限定的な単純なモデルの例には、その中のすべてのオブジェクトのOSIsの平均を取ることが含まれる。OSIとCSIはどちらも、例えば1から10までの値を持つ整数型パラメータであり得ることに留意されたい。明確化のため、CSIはCPM-SIの短縮形であり、同義的に CPM-SIと呼ばれる場合がある。
【0098】
ステップ130及び140に示すように、OSIを計算し、そのOSIに従ってオブジェクトのオブジェクトデータをCPMに充填することは、CSIを計算する例示的な手法であることに留意されたい。CSIを計算する他の方法も考えられ、本明細書で変形例として開示される方法は、CPMsの優先度を決定する方法に制限を課さない。
【0099】
次に、ステップ150において、オブジェクトのオブジェクトデータが充填された各CPMのCSIが計算される。
【0100】
続くステップ160は、無線通信チャネルの利用可能なチャネルリソースを決定する。
【0101】
最後に、ステップ170で、最も高いCSIを持つCPMから始まるCPMsが、利用可能なチャネルリソースに従って送信される。好ましくは、チャネルが混雑している場合、(DCCエンティティによって決定される)利用可能なチャネルリソースが使い果たされるまで、最も高いCSIから始めるCPMsが送信される。
【0102】
このプロセスにおいて、CSIのおかげで、最も高いCSIを持つCPMから始まるCPMsが、利用可能なチャネルリソースに従って送信される。従って、CSIは、重要なCPMsが破棄される可能性を低減する。
【0103】
本開示の一実施形態によれば、上述したCPMのCPM重要性指標(CSI)の概念は、チャネル上の「情報重要性レベル(ISL)」を計算し、それを他のITS-Ssと共有するために使用される。
【0104】
より詳細には、チャネル上のローカルISL ISL_L_0が計算される。ISL_L_0 は、1つの時間間隔内で受信したCPMsのCSIsに基づくインデックスである。非限定的な例として、時間間隔は1秒のデフォルト値を有する場合があり、ISL_L_0を計算するための最も単純なモデルは、前記1つの所定の時間間隔内で受信したすべてのCPMsのCSI値を平均化することに存在し得る。
【0105】
計算されたISL値は、2バイトでCPMの管理コンテナ内に含まれることが好ましい。ここで、計算されたISL値を含めるための例示的なモデルは、ローカルに計算されたISL、すなわち「レベル0ホップ」、前記1つの時間間隔(デフォルトの長さ1秒、値1-16、サイズ1バイト)のISL_L_0を送信すること、1つの時間間隔(デフォルトの長さ1秒)で受信したISL_L_0の最大値を計算し、そして、この「レベル1ホップ」、ISL_L_1(値1~16、サイズ1バイト)を送信すること、及び、1つの時間間隔内で受信したISL_L_1の最大値を計算し、そして、この「レベル2ホップ」ISL_L_2を送信しないことを含む。この時点で、グローバルISL(ISL_G)が、ISL_G=max(ISL_L_0、ISL_L_1、ISL_L_2)として計算される。
【0106】
本明細書で使用される「ゼロホップ」には、ITS-Sの方向又は直接無線通信範囲内のすべてのITS-Ssが含まれる。同様に、「1ホップ」には、ゼロホップITS-Ssの無線通信範囲にあるすべてのITS-Ssが追加で含まれ、そして、「2ホップ」には、ゼロホップITS-Ss及び1ホップITS-Ssの無線通信範囲にあるすべてのITS-Ssが追加で含まれる。
【0107】
上述したように、本開示は、近隣のITS-SsへのISLsの送信及び近隣のITS-SsからのISLsの受信に基づいて、マルチホップ、又は少なくとも2ホップのISL決定を実現する。ここで、自ITS-Sの観点から、計算されたローカルISLは、ISL_L_0ホップとして近隣のITS-Sに配布され、ISL_L_1ホップは、指定された時間間隔内で近隣のITS-Sから受信した最大のISL_R_0ホップ値であり、そして、ISL_L_2ホップは、指定された時間間隔内で近隣のITS-Sから受信した最大のISL_R_1ホップ値である。
【0108】
本明細書で使用されるR及びLホップ値は、ISLが決定されるIST-S間のマルチホップ送受信環境に由来する。R及びLは、特定のITS-Sの観点から、どこえ、どこからを指定する。
【0109】
さらに説明すると、IST-Ss間のマルチホップ送受信環境において、例えば、L_0ホップは、(自ITS-Sにて)ローカルで計算された値であり、それは、自ITS-Sから近隣のITS-Sに、R_0ホップとして配布され、つまり、L_0ホップは、自ITS-Sから近隣のITS-Sへの配布時にR_0ホップとなり、受信側の近隣のITS-SにてL_1ホップとなる。同様に、他のITS-Sは、そのL_0ホップをR_0ホップとして配布し、それは自ステーションでL_1ホップになる。L_1ホップの場合、例えば、他のITS-Ssから受信したL_0の最大値が、自ITS-Sから近隣のITS-SへR_1ホップとして配布され、それは、受信側の近隣ITS-SでL_2ホップになる、などである。
【0110】
上記の文脈において、マルチホップ送受信アプローチは、ETSI技術仕様ETSI TS 102636-4-2 V1.2.1 (2020-04)、第5.3章「グローバルチャネルビジーレシオCBR_Gの計算」に記載されている、グローバルチャネルビジーレシオCBR_Gの計算に関連しており、それは、本開示によるISL計算のより完全な理解のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
CBR_Gを計算するには、T_Trigごとに以下のステップが実行される。T_Trigの値は、GeoNetworkingプロトコル定数itsGNCBRGTriggerIntervalに等しい。トリガ間隔T_Trig内で、すべてのITS-Sは、ランダムな時間オフセットで開始する。
CBR_L_1_Hop(0)及びCBR_L_2_Hop(0)の値は0に初期化される。
注記:時間オフセットにより、すべてのITS-Ssが同時にCBR_Gの計算をトリガすることが防止される。
ステップ1:CBR_R_0_Hop(i)の平均を計算する。すなわち、
【数1】
ここで、CBR_R_0_Hop(i)はT_cbrより古くなく、n
0は古くない(T_Cbrより古くない)CBR_R_0_Hopエントリの総数である。
ステップ2:
【数2】
ステップ3:CBR_R_1_Hop(i)の平均を計算する。すなわち、
【数3】
ここで、CBR_R_1_Hop(i)はT_Cbrより古くなく、n
0は古くない(T_Cbrより古くない)CBR_R_1_Hopエントリの総数である。
ステップ4:
【数4】
ステップ5:グローバルチャネルビジーレシオCBR_Gを計算する。
【数5】
ここで、nはn番目のトリガ間隔T_trigに対応する。
CBR_G値は、DCC_NETエンティティからDCC_CROSS_Netエンティティ(5.4節を参照)に渡され、ETIS TS 102687[4]で指定されているように、アクセス層で実行されるDCCアルゴリズムに入力される。
【0112】
本明細書で説明されるSI/ISLに基づくCPM生成制御の技術的効果は、搬送チャネルの場合にCPM生成の分散管理が採用され、他のITS-SsがそれぞれのCPMの生成及び/又は送信を調整するようにして、すべてのITS-SでのCPM生成と送信を適応させ、1つのITS-Sが非常に重要性の高いCPMsを送信している場合に、より多くの帯域幅を解放する。これには、V2X無線チャネル負荷のさらなる削減も含まれる。ITS-Sのチャネルバジェットは、輻輳のレベルに応じてDCCによって決定されるチャネル容量によって制限されるので、自身の情報が他のステーションからの情報と比較してどの程度重要であるかを判断することができるITS-Sは、CPMの優先順位付けを最適化し、冗長な情報を軽減し、CPMサイズを削減し、特に(潜在的にまたは実際に)輻輳V2X無線チャネルに関する容量を解放し、関連性の高いオブジェクトに関する重要な情報を含むパケットがドロップされることを上手く防ぐことができる。
【0113】
本開示は、その好ましい一実施形態を用いて説明された。しかしながら、本開示は、具体的に説明された実施形態に限定されることなく、記載され請求された主題の範囲から逸脱しない範囲で、追加の態様、構成、及び変更を含み、かつカバーすることができることが理解されよう。
【0114】
このような追加の態様、構成、及び変更には、例えば、通信チャネル上の情報の重要性に基づいてV2Xメッセージを生成するための方法、コンピュータプログラム、及び装置が含まれ得る。重要性は、オブジェクトの重要性指標(OSI)及び/又はCPM全体の重要性指標(CSI)によって示され得る。重要性は、情報重要性レベル(ISL)によってチャネル全体について示され得る。「生成ルール」によって決定される上記V2Xメッセージの生成には、少なくともメッセージの構成と繰り返しレートが含まれる。
【0115】
このような追加の態様、構成、および変更には、例えば、ISLに基づいてメッセージ生成ルールを決定するための方法、コンピュータプログラム、及び装置が含まれ得る。ルールには、例えば、暗黙的なレートベースのルール、明示的なレートベースのルール、優先度ベースのルール、時間差レートベースのルール、及びそれらの組み合わせが含まれる場合がある。
【0116】
このような追加の態様、構成、及び変更には、例えば、ローカルの「ゼロホップ」値とシングルホップ範囲を使用して、送信されるV2Xメッセージの重要性に基づいて、V2Xメッセージの一部として、通信チャネルのISLを、符号化及び復号し、送信及び受信するための方法、コンピュータプログラム、及び装置がさらに含まれてもよい。
【0117】
さらに別の態様、構成、および変更は、例えば、送信側のITS-Sのセンサによっては一部のみしか又は全く検出されない地理的エリアに関する情報、及び/又は、送信側のITS-Sにとっての上記エリアの重要性を含むITSメッセージ又はITSメッセージの一部を構成し、送信し、受信し、及び復号するための方法、コンピュータプログラム、及び装置、及び/又は、SIと利用可能なチャネルリソースに基づいてCPMの送信を決定するための方法、コンピュータプログラム、及び装置に関連し得る。
【0118】
概して、本開示の実施形態は、ハードウェア又は専用回路、ソフトウェア、ロジック、またはそれらの任意の組み合わせで実施され得る。例えば、いくつかの態様はハードウェアで実施されることができ、他の態様は、コントローラ、マイクロプロセッサ又は他のコンピューティングデバイスによって実行され得るファームウェア又はソフトウェアで実施されることができるが、本開示はそれらに限定されない。本開示の様々な態様は、ブロック図、フローチャート、または他の図表示を使用して図示および説明され得るが、本明細書に記載されたブロック、装置、システム、技術又は方法は、非限定的な例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路又はロジック、汎用ハードウェア又はコントローラ、あるいは他のコンピューティングデバイス、もしくはそれらの組み合わせによって実施されえる。
【0119】
本開示の実施形態は、プロセッサエンティティなどのシステムエンティティのデータプロセッサによって実行可能なコンピュータソフトウェアによって、又はハードウェアによって、もしくはソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実施され得る。さらにこれに関連して、図に示される論理フローの任意のブロックは、プログラムステップ、相互接続された論理回路、ブロック及び機能、あるいはプログラムステップと論理回路、ブロックと機能の組み合わせを表し得ることに留意されたい。ソフトウェアは、メモリチップやプロセッサ内に実装されるメモリブロックなどの物理媒体、ハードディスクやフロッピーディスクなどの磁気媒体、及び例えばDVDやそのデータ変種のCDなどの光学媒体に保存することができる。
【0120】
メモリは、ローカルの技術環境に適した任意のタイプであってもよく、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイス及びシステム、光メモリデバイス及びシステム、固定メモリ及びリムーバブルメモリなどの任意の適切なデータストレージ技術を使用して実現され得る。データプロセッサは、ローカルの技術環境に適した任意のタイプであってもよく、非限定的な例として、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ゲートレベル回路、およびマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサの1つ以上を含むことができる。
【0121】
本開示の実施形態は、集積回路モジュールなどのさまざまなコンポーネントで実施することができる。集積回路の設計は、概して高度に自動化されたプロセスである。論理レベル設計を、エッチングして半導体基板上に形成されるように準備された半導体回路設計に変換するための、複雑で強力なソフトウェアツールが利用可能である。
【0122】
電子設計自動化(EDA)プログラムとツールは、十分に確立された設計ルールと事前に保存された設計モジュールのライブラリを使用して、半導体チップ上の導体の配線とコンポーネントの位置を自動的に決定する。半導体回路の設計が完了すると、その結果得られた設計は、標準化された電子フォーマットで半導体製造施設又は製造のための「ファブ」に送信され得る。
【0123】
これまでの説明は、例示的かつ非限定的な例として、本開示の例示的な実施形態の完全かつ有益な説明を提供した。しかしながら、添付の図面及び添付の特許請求の範囲と併せて読めば、上記の説明を考慮して、関連技術の当業者には様々な変更及び適応が明らかになるであろう。本開示の教示のそのような及び同様の変更はすべて、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲内に含まれることが理解されよう。
【0124】
上述したように、本開示では、車載センサ及び/又は交通環境内の前記車載センサによって検出されるオブジェクトに関する情報を含む複数の集団認知メッセージ(CPMs)を送信、受信、処理、及び/又は破棄するために無線通信チャネルを使用する、協調型高度道路交通システム(C-ITS)において、通信チャネル上の情報の重要性に基づき、V2Xメッセージを生成するための方法、協調型高度道路交通システム、及びコンピュータ実行システムは、オブジェクトの重要性指標(OSI)及び/又はCPM内の個々のオブジェクトに基づく集団認知メッセージ全体の重要性指標(CSI)を決定すること、受信したすべてのCPMのCSI値に基づいてチャネル上の情報重要性レベル(ISL)を計算すること、情報重要性レベル(ISL)に基づいて少なくとも1つのメッセージ生成ルールを決定すること、及び少なくとも1つのメッセージ生成ルールに基づいてV2Xメッセージを生成すること、を備える。