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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】半導体素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/768 20060101AFI20241203BHJP
   H01L 23/532 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H01L21/90 M
H01L21/90 N
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019129364
(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公開番号】P2020017722
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-01-27
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】10-2018-0085690
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲じゅん▼寛
(72)【発明者】
【氏名】朴 在花
(72)【発明者】
【氏名】安 商燻
【合議体】
【審判長】恩田 春香
【審判官】大橋 達也
【審判官】緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-332426号公報
【文献】特開2011-233746号公報
【文献】特開2004-80017号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768, 21/3205
H01L 23/532
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられ、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む第1の金属間絶縁膜であり、当該第1の金属間絶縁膜は、炭素及び水素を含むシリコン酸化物(SiCOH)を含み、且つ10~50%の炭素成分を含む、第1の金属間絶縁膜と、
前記第1の金属間絶縁膜上に設けられ、前記第1の金属間絶縁膜よりも高い誘電率を有する酸化物を含む第1のブロッキング膜であり、当該第1のブロッキング膜は、前記第1の金属間絶縁膜からの水素のアウトガシングを抑制するように構成され、当該第1のブロッキング膜は炭素を含まない第1のブロッキング膜と、
前記第1の金属間絶縁膜及び前記第1のブロッキング膜を貫通する金属配線と、
前記金属配線及び前記第1のブロッキング膜の上に設けられた第2のブロッキング膜であり、当該第2のブロッキング膜は、前記第1のブロッキング膜より、前記第1の金属間絶縁膜からの水素のアウトガシングを遮断する特性に優れ、当該第2のブロッキング膜は、炭素を含まない窒化物を含む第2のブロッキング膜と
を含む半導体素子。
【請求項2】
前記第1の金属間絶縁膜の厚さは、前記第1のブロッキング膜の厚さよりも厚い請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
前記第1のブロッキング膜は、シリコン酸化物(SiO2)を含む請求項1に記載の半導体素子。
【請求項4】
前記第1のブロッキング膜は、TEOSをソースとして用いて形成されたシリコン酸化物(SiO2)を含む請求項に記載の半導体素子。
【請求項5】
前記第1のブロッキング膜は、誘電率が3.9~4.5の絶縁物質を含む請求項1に記載の半導体素子。
【請求項6】
前記第2のブロッキング膜は、前記第1のブロッキング膜よりも高い誘電率を有する絶縁物質を含む請求項1に記載の半導体素子。
【請求項7】
前記第2のブロッキング膜は、炭素を含まないシリコン窒化物を含む請求項1に記載の半導体素子。
【請求項8】
前記金属配線は、銅を含む請求項1に記載の半導体素子。
【請求項9】
前記金属配線は、コンタクトプラグと、前記コンタクトプラグの上面に設けられる金属パターンとを含み、前記第1のブロッキング膜は、前記金属パターンの上部側壁と接する請求項1に記載の半導体素子。
【請求項10】
更に、前記第2のブロッキング膜上に設けられ、前記第1の金属間絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の金属間絶縁膜と、
前記第2の金属間絶縁膜及び前記第2のブロッキング膜を貫通して、前記金属配線と接触するビアコンタクトとを含む請求項1に記載の半導体素子。
【請求項11】
前記ビアコンタクトは、前記金属配線と異なる金属物質を含む請求項10に記載の半導体素子。
【請求項12】
更に、前記ビアコンタクト上の、前記金属配線と異なる金属物質を含む上部金属パターンと、
前記上部金属パターンを覆う上部層間絶縁膜とを含む請求項10に記載の半導体素子。
【請求項13】
更に、前記基板及び前記第1の金属間絶縁膜の間に、
シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む下部金属間絶縁膜と、
前記下部金属間絶縁膜を貫通する下部金属配線を含む下部配線構造物とが含められ、
前記基板上において、前記下部配線構造物は、1層から構成されるか、複数の下部配線構造物が多層に積層される請求項1に記載の半導体素子。
【請求項14】
前記下部配線構造物の間に介在するように、前記下部金属間絶縁膜及び前記下部金属配線上に、シリコン炭素窒化物を含むエッチング阻止膜が設けられる請求項13に記載の半導体素子。
【請求項15】
前記下部配線構造物の間の部位のうち、少なくとも1つの部位において、
前記下部金属間絶縁膜上に、前記第1の金属間絶縁膜よりも高い誘電率を有する酸化物を含む下部第1のブロッキング膜と、
前記下部金属配線及び前記下部第1のブロッキング膜の上面と直接接触し、窒化物を含む下部第2のブロッキング膜とが設けられる請求項13に記載の半導体素子。
【請求項16】
基板上に、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む下部金属間絶縁膜、及び前記下部金属間絶縁膜を貫通し、金属を含む下部金属配線を含む下部配線構造物と、
前記下部配線構造物上に設けられ、シリコン酸化物よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む第1の金属間絶縁膜と、
前記第1の金属間絶縁膜を貫通する金属配線と、
前記第1の金属間絶縁膜及び前記金属配線上に設けられ、前記第1の金属間絶縁膜よりも高い誘電率を有する第1のブロッキング膜、及び前記第1のブロッキング膜よりも高い誘電率を有する第2のブロッキング膜を含むブロッキング膜構造物と、
前記第2のブロッキング膜上に設けられ、前記第1の金属間絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の金属間絶縁膜と、
前記第2の金属間絶縁膜及び前記第2のブロッキング膜を貫通して、前記金属配線と接触するビアコンタクトとを含み、
前記第1の金属間絶縁膜は、炭素及び水素を含むシリコン酸化物(SiCOH)を含み、且つ10~50%の炭素成分を含み、
前記第1のブロッキング膜は、前記第1の金属間絶縁膜からの水素のアウトガシングを抑制するように構成され、前記第1のブロッキング膜は、炭素を含まない酸化物を含み、
前記第2のブロッキング膜は、前記第1のブロッキング膜より、前記第1の金属間絶縁膜からの水素のアウトガシングを遮断する特性に優れ、前記第2のブロッキング膜は、炭素を含まない窒化物を含む、
半導体素子。
【請求項17】
前記第1のブロッキング膜は、シリコン酸化物を含む請求項16に記載の半導体素子。
【請求項18】
前記第2のブロッキング膜は、炭素を含まないシリコン窒化物を含む請求項16に記載の半導体素子。
【請求項19】
前記下部配線構造物は、1層から構成されるか、複数の下部配線構造物が多層に積層される請求項16に記載の半導体素子。
【請求項20】
前記下部配線構造物の間に介在するように、前記下部金属間絶縁膜及び前記下部金属配線上に、シリコン炭素窒化物を含むエッチング阻止膜が設けられる請求項19に記載の半導体素子。
【請求項21】
基板上の、トランジスタを含む下部構造物と、
前記下部構造物上に設けられ、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む第1の金属間絶縁膜と、
前記第1の金属間絶縁膜を貫通する金属配線と、
前記第1の金属間絶縁膜及び前記金属配線上に設けられ、前記第1の金属間絶縁膜よりも高い誘電率を有する第1のブロッキング膜、及び前記第1のブロッキング膜よりも高い誘電率を有する第2のブロッキング膜を含むブロッキング膜構造物と、
前記ブロッキング膜構造物上に設けられる第2の金属間絶縁膜と、
前記第2の金属間絶縁膜及び前記第2のブロッキング膜を貫通して、前記金属配線と接触するビアコンタクトと、
前記ビアコンタクト上に設けられる上部金属パターンと、
前記上部金属パターンを覆う上部層間絶縁膜とを含み、
前記第1の金属間絶縁膜は、炭素及び水素を含むシリコン酸化物(SiCOH)を含み、且つ10~50%の炭素成分を含み、
前記第1のブロッキング膜は、前記第1の金属間絶縁膜からの水素のアウトガシングを抑制するように構成され、前記第1のブロッキング膜は、炭素を含まない酸化物を含み、
前記第2のブロッキング膜は、前記第1のブロッキング膜より、前記第1の金属間絶縁膜からの水素のアウトガシングを遮断する特性に優れ、前記第2のブロッキング膜は、炭素を含まない窒化物を含む、
半導体素子。
【請求項22】
前記上部金属パターンは、前記金属配線と異なる金属物質を含む請求項21に記載の半導体素子。
【請求項23】
前記上部層間絶縁膜は、水素を含むシリコン酸化物を含み、前記基板の表面へ水素を供給するための膜として設けられる請求項21に記載の半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子に関する。より詳しくは、本発明は、配線構造を有する半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の金属配線間の層間絶縁膜は、寄生キャパシタンスを減らすために、低誘電膜からなる。前記低誘電膜に含まれる一部の物質は、高温工程の実行中にアウトガシング(outgassing)されることがあり、このために半導体素子に不良が生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、優れた特性を有する半導体素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記課題を達成するための実施形態例による半導体素子は、基板上に設けられ、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む第1の金属間絶縁膜が設けられる。前記第1の金属間絶縁膜上に、前記第1の金属間絶縁膜よりも高い誘電率を有する酸化物を含む第1のブロッキング膜が設けられる。前記第1の金属間絶縁膜及び前記第1のブロッキング膜を貫通する金属配線が設けられる。そして、前記金属配線及び前記第1のブロッキング膜の上面上に、窒化物を含む第2のブロッキング膜が設けられる。
【0005】
また、本発明の上記課題を達成するための実施形態例による半導体素子は、基板上に、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む下部金属間絶縁膜、及び前記下部金属間絶縁膜を貫通し、金属を含む下部金属配線を含む下部配線構造物が設けられる。前記下部配線構造物上に、シリコン酸化物よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む第1の金属間絶縁膜が設けられる。前記第1の金属間絶縁膜を貫通する金属配線が設けられる。前記第1の金属間絶縁膜及び前記金属配線上に設けられ、前記第1の金属間絶縁膜よりも高い誘電率を有する第1のブロッキング膜、及び前記第1のブロッキング膜よりも高い誘電率を有する第2のブロッキング膜を含むブロッキング膜構造物が設けられる。前記第2のブロッキング膜上に設けられ、前記第1の金属間絶縁膜よりも高い誘電率を有する第2の金属間絶縁膜が設けられる。そして、前記第2の金属間絶縁膜及び前記第2のブロッキング膜を貫通して、前記金属配線と接触するビアコンタクトが設けられる。
【0006】
更に、本発明の上記課題を達成するための実施形態例による半導体素子は、基板上にトランジスタを含む下部構造物が設けられる。前記下部構造物上に、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む第1の金属間絶縁膜が設けられる。前記第1の金属間絶縁膜を貫通する金属配線が設けられる。前記第1の金属間絶縁膜及び前記金属配線上に、前記第1の金属間絶縁膜よりも高い誘電率を有する第1のブロッキング膜、及び前記第1のブロッキング膜よりも高い誘電率を有する第2のブロッキング膜を含むブロッキング膜構造物が設けられる。前記ブロッキング膜構造物上に第2の金属間絶縁膜が設けられる。前記第2の金属間絶縁膜及び前記第2のブロッキング膜を貫通して、前記金属配線と接触するビアコンタクトが設けられる。前記ビアコンタクト上に上部金属パターンが設けられる。前記上部金属パターンを覆う上部層間絶縁膜が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明による半導体素子は、前記第1及び第2のブロッキング膜が設けられることによって、低誘電膜に含まれる物質のアウトガシングが抑制される。故に、当該半導体素子は、優れた特性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。
図2図2は、本発明による半導体素子製造方法のステップを説明するための断面図である。
図3図3は、本発明による半導体素子製造方法のステップを説明するための断面図である。
図4図4は、本発明による半導体素子製造方法のステップを説明するための断面図である。
図5図5は、本発明による半導体素子製造方法のステップを説明するための断面図である。
図6図6は、本発明による半導体素子製造方法のステップを説明するための断面図である。
図7図7は、本発明による半導体素子製造方法のステップを説明するための断面図である。
図8図8は、本発明による半導体素子製造方法のステップを説明するための断面図である。
図9図9は、本発明による半導体素子製造方法のステップを説明するための断面図である。
図10図10は、本発明による半導体素子製造方法のステップを説明するための断面図である。
図11図11は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。
図12図12は、本発明による半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
図13図13は、本発明による半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
図14図14は、本発明による半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
図15図15は、本発明による半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
図16図16は、本発明による半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
図17図17は、本発明による半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
図18図18は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。
図19図19は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。
図20図20は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。
図21図21は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態例について、詳述することにする。
【0010】
図1は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。図1に示しているように、当該半導体素子は、基板100上に形成された下部構造物105と、前記下部構造物105上に設けられる第1の金属間絶縁膜108と、第1の配線123と、第1のブロッキング膜110aと、第2のブロッキング膜124と、第2の金属間絶縁膜126と、ビアコンタクト130と、第2の配線132とを含む。
【0011】
基板100は、シリコン、ゲルマニウム、シリコン-ゲルマニウム、または、GaP、GaAs、GaSbなどのようなIII-V族化合物を含む。また、基板100は、SOI(Silicon-On-Insulator)基板、又はGOI(Germanium-On-Insulator)基板であってもよい。
【0012】
下部構造物105は、基板100上に形成され、例えば、トランジスタ、キャパシタ、抵抗、下部配線104、及び下部層間絶縁膜102などを含む。
【0013】
下部構造物105上には、BEOLの配線構造が設けられる。
【0014】
第1の金属間絶縁膜108は、下部構造物105上に形成され、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む。シリコン酸化物は、3.9~4.5の誘電率を有する。第1の金属間絶縁膜108は、3.5以下の誘電率を有し、例えば、2.0~3.5の誘電率を有する。また、第1の金属間絶縁膜108は、炭素及び水素を含むシリコン酸化物(SiCOH)である。更に、第1の金属間絶縁膜108には、10~50%の炭素を含む。また、他の例として、第1の金属間絶縁膜108は、フッ素がドープされたシリコン酸化物(F-SiO2)、多孔性シリコン酸化物である。
【0015】
下部構造物105と第1の金属間絶縁膜108の間には、下部絶縁膜(図示せず)が更に含まれ得る。前記下部絶縁膜は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、又は、SiCNである。
【0016】
第1の金属間絶縁膜108上には、第1のブロッキング膜110aが設けられる。第1のブロッキング膜110aは、第1の金属間絶縁膜108よりも高い誘電率を有する酸化物を含む。第1のブロッキング膜110aは、誘電率が3.9~4.5のシリコン酸化物を含む。また、第1のブロッキング膜110aは、TEOS(Tetraethyl orthosilicate)をソースとして用いて形成されるシリコン酸化物を含む。
【0017】
第1のブロッキング膜110aは、第1の金属間絶縁膜108よりも膜の密度及び強度が高い。故に、第1のブロッキング膜110aは、第1の金属間絶縁膜108から一部のガスが出るか、又は、第1の金属間絶縁膜108内へガスが流入されることを遮断することができる。すなわち、第1のブロッキング膜110aは、第1の金属間絶縁膜108から、ガス、例えば、水素(H2)、水蒸気(H2O)、フッ素、塩素などがアウトガシングされることを抑制することができる。また、第1のブロッキング膜110aは、第1の金属間絶縁膜108に水素又は水蒸気などが流入されることを防止するために設けられる。
【0018】
また、第1のブロッキング膜110aは、第1の金属間絶縁膜108と第2のブロッキング膜124を容易に接着させる接着膜として働く。
【0019】
第1のブロッキング膜110aは、炭素(C)を含まない。炭素を含有する炭化膜は、シリコン窒化物(SiN)に比べて、誘電率(k)が低く、炭素含量が高い。炭化膜は、シリコン窒化膜に比べて密度が低いため、前記第1の金属間絶縁膜からアウトガシングされる物質を通過させることになる。例えば、SiCN、SiCOの場合、前記第1の金属間絶縁膜からの水素のアウトガシングを遮断し難いので、第1のブロッキング膜110aとして不適合である。
【0020】
第1の配線123は、第1の金属間絶縁膜108及び第1のブロッキング膜110aを貫通して、下部構造物105の一部と接触する。
【0021】
また、第1の配線123は、コンタクトプラグ120及び導電ライン122を含む。コンタクトプラグ120は、下部構造物105の一部と接触し、導電ライン122は、コンタクトプラグ120の上面と接し、且つ、一方向に延在する。図示してはいないが、コンタクトプラグ120は、複数個設けられ、導電ライン122は、複数のコンタクトプラグ120と接し、且つ、基板100の上面に平行な一方向に延在する形状を有する。
【0022】
コンタクトプラグ120及び導電ライン122は、第1の抵抗を有する第1の金属を含む。前記第1の金属は、銅を含む。また、コンタクトプラグ120及び導電ライン122は、第1のバリアパターン116a及び金属パターン118aを含む。第1のバリアパターン116aは、金属パターン118aの表面上に形成され、チタン、チタン窒化物、タンタル、タンタル窒化物を含む。
【0023】
このように、第1の金属を含む第1の配線123の間には、低誘電物質を含む第1の金属間絶縁膜108が設けられる。故に、第1の配線123によって発生する寄生キャパシタンスが減少することになる。
【0024】
第1の配線123及び第1のブロッキング膜110aの上面は、同一の平面上に位置する。故に、第1の配線123の上部側壁には、第1のブロッキング膜110aが設けられる。第1のブロッキング膜110aは、導電ライン122の上部側壁と接触する。
【0025】
第1の金属間絶縁膜108及び第1のブロッキング膜110aを貫通して、第1の配線123が設けられるので、第1の配線123の高さは、第1の金属間絶縁膜108及び第1のブロッキング膜110aの厚さの和と同一である。そのため、第1のブロッキング膜110aが厚いと、第1の金属間絶縁膜108の厚さが相対的に薄くなって、第1の配線123間の寄生キャパシタンスが増加する。第1の金属間絶縁膜108の厚さは、第1のブロッキング膜110aの厚さよりも厚い。第1のブロッキング膜110aの厚さは、第1の金属間絶縁膜108及び第1のブロッキング膜110aの厚さの和の20%より小さい。また、第1のブロッキング膜110aは、第1の金属間絶縁膜108からのアウトガシングを遮断するために、100Åより厚いことが望ましい。
【0026】
第2のブロッキング膜124は、第1の配線123及び第1のブロッキング膜110aの上面を覆う。
【0027】
第2のブロッキング膜124は、第1の金属間絶縁膜108から、ガス、例えば、水素(H2)、水蒸気(H2O)、フッ素、塩素などがアウトガシングされることを抑制するためのメインブロッキング膜として働く。すなわち、第2のブロッキング膜124は、第1のブロッキング膜110aより、水素又は水蒸気のアウトガシングを遮断する特性がより優れている。また、第2のブロッキング膜124は、エッチング阻止膜、及び第1の配線123の拡散防止膜として働く。
【0028】
第2のブロッキング膜124は、第1のブロッキング膜110aよりも高い誘電率を有する窒化物を含む。具体的に、第2のブロッキング膜124は、誘電率が6以上の物質を含む。例えば、第2のブロッキング膜124は、シリコン窒化物(SiN)を含む。
【0029】
また、第2のブロッキング膜124は、炭素(C)を含まない。炭化膜は、シリコン窒化膜に比べて密度が低いため、第1の金属間絶縁膜108からアウトガシングされる物質を容易に通過させる。故に、第2のブロッキング膜124として不適合である。
【0030】
第2の金属間絶縁膜126は、BEOLの配線構造の最上部に位置するビアコンタクト130の間に設けられる層間絶縁膜である。また、第2の金属間絶縁膜126は、その下部に位置する金属間絶縁膜108よりも高い誘電率を有する。第2の金属間絶縁膜126は、第2のブロッキング膜124よりも低い誘電率を有する。
【0031】
すなわち、第2の金属間絶縁膜126は、第1の金属間絶縁膜108よりも高い誘電率を有する酸化物を含む。第2の金属間絶縁膜126は、誘電率が3.9~4.5のシリコン酸化物を含む。一例として、第2の金属間絶縁膜126は、TEOSをソースで用いて形成されるシリコン酸化物を含む。故に、第2の金属間絶縁膜126は、第1の金属間絶縁膜108よりも高いエッチング耐性、密度、及び結合強度を有することができる。
【0032】
ビアコンタクト130は、第2の金属間絶縁膜126及び第2のブロッキング膜124を貫通して、第1の配線123の上面と接触する。
【0033】
ビアコンタクト130は、BEOLの配線構造において、最上部に位置するコンタクトプラグである。ビアコンタクト130は、第1の金属と異なる第2の金属を含む。前記第2の金属は、前記第1の抵抗よりも高い第2の抵抗を有する。前記第2の金属は、前記第1の金属よりも高い温度で形成される物質を含む。例えば、前記第2の金属は、300℃よりも高い温度で形成される物質を含むことができる。前記第2の金属は、タングステンを含む。
【0034】
また、ビアコンタクト130は、第2のバリア膜130a及び金属プラグ130bを含む。金属プラグ130bは、タングステンを含み、第2のバリア膜130aは、タングステン窒化物を含む。
【0035】
第2の配線132は、ビアコンタクト130及び第2の金属間絶縁膜126上に設けられる。第2の配線132は、ビアコンタクト130の上面と接触し、且つ、一方向に延在する形状を有する。第2の配線132は、BEOLの配線構造の最上部に位置する。
【0036】
また、第2の配線132は、前記第2の抵抗よりも低い第3抵抗を有する第3金属を含む。最上部に形成される第2の配線132は、酸化による腐食を抑制する金属物質を含むことが望ましい。
【0037】
前記第3金属は、アルミニウムを含む。アルミニウムの場合、表面が酸化すると、酸化アルミニウムが下部のアルミニウムの酸化皮膜剤として働く。しかし、銅の場合、酸化し易くなるので、最上部に形成される配線としては、不適合である。
【0038】
図示していないが、第2の配線132を覆う上部層間絶縁膜が設けられる。前記上部層間絶縁膜は、シリコン酸化物を含む。前記上部層間絶縁膜は、水素を含むシリコン酸化物を含み得る。
【0039】
当該半導体素子において、BEOLの配線構造の最上部に位置する低誘電膜、すなわち、第1の金属間絶縁膜108上には、第1及び第2のブロッキング膜110a、124が設けられる。すなわち、BEOLの配線構造の最上部に位置する銅配線、すなわち、第1の配線123の上部側壁には、第1のブロッキング膜110aが設けられ、前記銅配線の上面及び第1のブロッキング膜110a上には、第2のブロッキング膜124が設けられる。故に、第1及び第2のブロッキング膜110a、124によって、前記低誘電膜から発生するアウトガシングを防止することができる。
【0040】
図2乃至図10は、本発明による半導体素子製造方法のステップを説明するための断面図である。
【0041】
図2に示しているように、基板100上に、下部構造物105を形成する。下部構造物105上に、第1の金属間絶縁膜108を形成する。第1の金属間絶縁膜108上に、仮の第1のブロッキング膜110を形成する。
【0042】
下部構造物105は、例えば、トランジスタ、キャパシタ、抵抗、下部配線104、及び下部層間絶縁膜102などを含む。
【0043】
図示してはいないが、前記下部構造物上に、下部絶縁膜を形成してもよい。前記下部絶縁膜は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、又は、SiCNを含む。
【0044】
第1の金属間絶縁膜108は、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を堆積させて形成する。また、第1の金属間絶縁膜108は、炭素及び水素を含むシリコン酸化物(SiCOH)とし得る。例えば、第1の金属間絶縁膜108には、10~50%の炭素を含む。他の例として、第1の金属間絶縁膜108は、フッ素がドープされたシリコン酸化物(F-SiO2)、多孔性シリコン酸化物である。
【0045】
仮の第1のブロッキング膜110は、第1の金属間絶縁膜108よりも高い誘電率を有する酸化物を用いて形成することができる。仮の第1のブロッキング膜110は、誘電率が3.9~4.5のシリコン酸化物で形成される。仮の第1のブロッキング膜110は、目標の第1のブロッキング膜よりも厚く形成することができる。また、仮の第1のブロッキング膜110は、TEOSを蒸着ソースとして用いる化学気相成長法で形成することができる。
【0046】
仮の第1のブロッキング膜110は、水素又は水蒸気のようなガスが、第1の金属間絶縁膜108に出入することを防ぐために設けられる。仮の第1のブロッキング膜110は、炭素(C)を含まない。
【0047】
図3に示しているように、仮の第1のブロッキング膜110上に、第1のエッチングマスク(図示せず)を形成した後、仮の第1のブロッキング膜110及び第1の金属間絶縁膜108を順にエッチングする。それにより、仮の第1のブロッキング膜110及び第1の金属間絶縁膜108を貫通する第1のコンタクトホール112が形成される。第1のコンタクトホール112は、前記下部構造物に含まれる導電性膜、例えば、下部配線104の上面を露出するように形成される。この後、第1のコンタクトホール112を満たす犠牲膜(図示せず)を形成する。
【0048】
仮の第1のブロッキング膜110及び犠牲膜上に、第2のエッチングマスク(図示せず)を形成した後、仮の第1のブロッキング膜110及び第1の金属間絶縁膜108の上部をエッチングして、第1のトレンチ114を形成する。第1のトレンチ114は、基板100上面に平行な一方向に延在するように形成される。第1のトレンチ114と第1のコンタクトホール112は、互いに連通している。図示してはいないが、第1のコンタクトホール112は、複数個形成され、第1のトレンチ114は、それら複数の第1のコンタクトホール112と連通して延在している。
【0049】
第1のトレンチ114及び第1のコンタクトホール112を形成する手順は、互い逆でもよい。
【0050】
前記エッチング工程を行うことにおいて、前記エッチング工程で用いられるフッ素又は塩素のようなエッチングガスが、第1の金属間絶縁膜108内に流入されることがある。
【0051】
図4に示しているように、仮の第1のブロッキング膜110、第1のトレンチ114、及び第1のコンタクトホール112の側壁及び底面に沿って、第1のバリア膜116を形成する。第1のバリア膜116上に、第1のトレンチ114及び第1のコンタクトホール112を完全に満たす第1の金属膜118を形成する。
【0052】
第1のバリア膜116は、チタン、チタン窒化物、タンタル、タンタル窒化物を含む。 第1の金属膜118は、第1の抵抗を有する金属を含む。第1の金属膜118は、300℃よりも低い温度で形成される。例えば、第1の金属膜118は、銅を含む。前記銅は、シード膜(図示せず)を形成した後、電気めっき工程により形成される。また、前記電気めっき工程後に、別の熱処理工程をさらに行うことができる。
【0053】
第1のバリア膜116及び第1の金属膜118は、300℃よりも低い温度で形成されるので、第1のバリア膜116及び第1の金属膜118を形成する工程では、第1の金属間絶縁膜108からのアウトガシングがほとんど発生しない。故に、第1のバリア膜116及び第1の金属膜118は、第1のトレンチ114及び第1のコンタクトホール112内に、ボイドの発生なく形成される。
【0054】
図5に示しているように、第1の金属膜118及び第1のバリア膜116を平坦化することで、第1のバリアパターン116a及び金属パターン118aを形成する。それにより、第1のコンタクトホール112及び第1のトレンチ114内に、コンタクトプラグ120及び導電ライン122を含む第1の配線123が形成される。前記平坦化工程は、化学機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing: CMP)工程、及び/又はエッチバック工程によって行われる。
【0055】
前記平坦化工程により、仮の第1のブロッキング膜110の上部が所定の厚さだけ除去されることで、第1のブロッキング膜110aを形成することができる。前記平坦化工程において、第1の金属間絶縁膜108の上面は、露出していない。故に、第1の配線123の上部側壁には、第1のブロッキング膜110aが形成される。第1のブロッキング膜110a及び第1の配線123の上面は、互いに同一平面に位置する。
【0056】
第1のブロッキング膜110aの厚さは、第1の金属間絶縁膜108及び第1のブロッキング膜110aの厚さの和の20%よりも小さい。また、第1のブロッキング膜110aは、第1の金属間絶縁膜108からの水素のアウトガシングを遮断するために、100Åよりも厚いことが望ましい。第1のブロッキング膜110aは、この後に形成される第2のブロッキング膜と第1の金属間絶縁膜108の間に介在して、前記第2のブロッキング膜と第1の金属間絶縁膜108を接着させる接着膜として働く。
【0057】
図6に示しているように、第1のブロッキング膜110a及び第1の配線123上に、第2のブロッキング膜124を形成する。第2のブロッキング膜124上に、第2の金属間絶縁膜126を形成する。
【0058】
第2のブロッキング膜124は、水素又は水蒸気のようなガスが、第1の金属間絶縁膜108に出入することを防ぐためのメインブロッキング膜として働く。第2のブロッキング膜124は、第1のブロッキング膜110aよりも高い誘電率を有するシリコン窒化物からなる。一方、第2のブロッキング膜124は、炭素(C)を含まない。
【0059】
第2の金属間絶縁膜126は、第1の金属間絶縁膜108よりも高い誘電率を有する酸化物を用いて形成される。また、第2の金属間絶縁膜126は、誘電率が3.9~4.5のシリコン酸化物を堆積させて形成される。例えば、第2の金属間絶縁膜126は、TEOSを蒸着ソースとして用いる化学気相成長法で形成する。
【0060】
図7及び図8に示しているように、第2の金属間絶縁膜126及び第2のブロッキング膜124の一部を順次エッチングすることで、第1の配線123の上面を露出するビアホール128を形成する。
【0061】
図7に示しているように、ビアホール128の下部側壁には、第2のブロッキング膜124が露出し、ビアホール128の底面には、第1の配線123の上面が露出する。
【0062】
図8に示しているように、ビアホール128は、ミスアラインされて、第1の配線123の縁から一部ずれて形成されることがある。この場合、ビアホール128の下部側壁には、第2のブロッキング膜124が露出し、ビアホール128の底面には、第1のブロッキング膜110a及び第1の配線123の上面が露出する。
【0063】
しかし、ビアホール128の下部には、第1の金属間絶縁膜108が露出していない。故に、後工程において、第1の金属間絶縁膜108に含まれる物質が、第1及び第2のブロッキング膜110a、124によって遮断されて、アウトガシングされない。
【0064】
図9に示しているように、ビアホール128の表面及び第2の金属間絶縁膜126上に、第2のバリア膜129aを形成する。第2のバリア膜129a上に、ビアホール128の内部を満たす第2の金属膜129bを形成する。第2の金属膜129bは、金属パターン118aと異なる金属物質を含む。
【0065】
第2のバリア膜129a及び第2の金属膜129bは、第1の配線123を形成するための温度よりも高い温度で形成することができる。具体的に、第2のバリア膜129a及び第2の金属膜129bは、300℃よりも高い温度で形成される。第2の金属膜129bは、前記第1の抵抗よりも高い第2の抵抗を有する。例えば、第2のバリア膜129aは、タングステン窒化物を含み、第2の金属膜129bは、タングステンを含む。前記タングステン窒化物及びタングステンは、化学気相成長法、原子層成長法、物理気相成長法などで形成する。
【0066】
第2のバリア膜129a及び第2の金属膜129bが、300℃よりも高い温度で形成されるので、第2のバリア膜129a及び第2の金属膜129bを形成するに際して、第1の金属間絶縁膜108の物質の結合が切れて、アウトガシングされることがある。例えば、第1の金属間絶縁膜108から、水素のアウトガシングが発生し得る。
【0067】
ビアホール128を介してアウトガシングされる場合、第2のバリア膜129a及び第2の金属膜129bを形成するための蒸着ソースガスが、ビアホール128内へ達することを妨げて、第2のバリア膜129a及び第2の金属膜129bが正常に形成され難くなる。
【0068】
しかし、第1の金属間絶縁膜108の上部には、第1及び第2のブロッキング膜110a、124が設けられ、ビアホール128の下部に第1の金属間絶縁膜108が露出しない。故に、第1の金属間絶縁膜108内の物質(例えば、水素、水蒸気(H2O)、フッ素、塩素など)が、ビアホール128を介してアウトガシングされることを抑制することができる。そのため、第2のバリア膜129a及び第2の金属膜129bは、ビアホール128内を、ボイドの発生なく、満たすことができる。
【0069】
図10に示しているように、第2の金属間絶縁膜126の上面が露出するように、第2の金属膜129b及び第2のバリア膜129aを平坦化する。それにより、ビアホール128内に、第2のバリアパターン130a及び金属プラグ130bを含むビアコンタクト130が形成される。前記平坦化工程は、化学機械的研磨工程及び/又はエッチバック工程を含む。
【0070】
ビアコンタクト130及び第2の金属間絶縁膜136上に、第3金属膜を形成し、前記第3金属膜をパターニングして、第2の配線132を形成する。前記第3金属膜は、アルミニウム膜を含む。第2の配線132は、BEOLの配線構造において、最上部に位置する。
【0071】
図示していないが、第2の配線132を覆う上部層間絶縁膜が設けられる。前記上部層間絶縁膜は、シリコン酸化物を含む。前記上部層間絶縁膜内には、水素を含み、水素を供給するための膜として働く。
【0072】
図11は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。図11に示している半導体素子において、BEOLの配線構造は、多層の銅配線を含む。
【0073】
図11に示しているように、当該半導体素子は、基板200上に設けられる下部構造物202、204a、204b、205a、205bと、前記下部構造物上に設けられる第1の金属間絶縁膜208と、第1の金属配線210と、第1のエッチング阻止膜212と、第2の金属間絶縁膜214と、第2の金属配線220と、第2のエッチング阻止膜222と、第3の金属間絶縁膜224と、第3の金属配線230と、第1のブロッキング膜232aと、第2のブロッキング膜234と、第4の金属間絶縁膜236と、ビアコンタクト240と、上部配線242とを含む。また、前記下部構造物と第1の金属間絶縁膜208の間には、下部絶縁膜206が設けられる。上部配線242を覆う上部層間絶縁膜244及び保護膜246が更に設けられる。
【0074】
下部構造物202、204a、204b、205a、205bは、メモリ素子のセルを形成するためのfront-end-of-line(FEOL)工程により、基板200上に形成される。前記下部構造物は、DRAMを構成するメモリセル及び周辺回路を含む。例えば、前記下部構造物は、トランジスタ202、キャパシタ、抵抗、下部配線205a、205b、及び下部層間絶縁膜204a、204bなどを含む。前記下部構造物の最上部面には、下部層間絶縁膜204b及び下部配線205bが露出している。下部層間絶縁膜204bは、誘電率が3.9~4.5のシリコン酸化物を含む。
【0075】
前記下部構造物上に、BEOLの配線構造が設けられる。
【0076】
前記下部構造物上に、下部絶縁膜206が設けられる。下部絶縁膜206は、BEOLの最下部配線の下部側壁に位置する。下部絶縁膜206は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、又は、SiCNを含む。
【0077】
下部絶縁膜206上に、第1の金属間絶縁膜208が設けられる。また、第1の金属間絶縁膜208及び下部絶縁膜206を貫通する第1の金属配線210が設けられる。
【0078】
第1の金属間絶縁膜208は、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む。また、第1の金属間絶縁膜208は、炭素及び水素を含むシリコン酸化物(SiCOH)である。他の例として、第1の金属間絶縁膜208は、フッ素がドープされたシリコン酸化物(F-SiO2)、多孔性シリコン酸化物である。
【0079】
第1の金属間絶縁膜208及び下部絶縁膜206には、トレンチが含まれる。第1の金属配線210は、前記トレンチ内に位置する。前記トレンチは、一方向に延在する形状を有する。
【0080】
第1の金属配線210は、第1のバリアパターン210a及び第1の金属パターン210bを含む。第1の金属配線210は、前記下部構造物の下部配線205bと接触する。第1のバリアパターン210aは、チタン、チタン窒化物、タンタル、タンタル窒化物を含む。第1の金属パターン210bは、銅を含む。
【0081】
第1の金属配線210及び第1の金属間絶縁膜208上に、第1のエッチング阻止膜212及び第2の金属間絶縁膜214が設けられる。
【0082】
第1のエッチング阻止膜212は、第1の金属間絶縁膜208と直接接触するので、第1の金属間絶縁膜208と容易に接着する物質からなる。第1のエッチング阻止膜212は、SiCN膜を含む。しかし、シリコン窒化物は、第1の金属間絶縁膜208との接着性が良くないため、これらを直接接着し難い。そのため、第1のエッチング阻止膜212の物質として、シリコン窒化物は不適合である。
【0083】
第2の金属間絶縁膜214は、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む。また、第2の金属間絶縁膜214は、第1の金属間絶縁膜208と同一の物質を含む。
【0084】
第2の金属間絶縁膜214及び第1のエッチング阻止膜212を貫通する第2の金属配線220が設けられる。第2の金属配線220は、第1の金属配線210と電気的に連結されている。
【0085】
第2の金属配線220は、コンタクトプラグ及び金属パターンを含む。前記コンタクトプラグは、第1の金属配線210と接触し、前記金属パターンは、前記コンタクトプラグの上面と接して延在される。第2の金属配線220は、第2のバリアパターン220a及び第2の金属パターン220bを含む。第2のバリアパターン220aは、チタン、チタン窒化物、タンタル、タンタル窒化物を含む。第2の金属パターン220bは、銅を含む。
【0086】
また、第2の金属配線220は、図1における第1の配線と実質的に同一の構成を有する。但し、第2の金属配線220の下部の両側壁は、第1のエッチング阻止膜212と接触する。また、第2の金属配線220の上部の両側には、第1のブロッキング膜が設けられていない。
【0087】
このように、第1及び第2の金属配線210、220間に形成される第1のエッチング阻止膜212は、SiCN膜を含む。第1のエッチング阻止膜212を貫通して形成される第2の金属配線220が、300℃よりも低い温度で形成される銅を含むので、第2の金属配線220を形成する工程において、第1及び第2の金属間絶縁膜208、214からのアウトガシングが殆ど発生しない。故に、第1のエッチング阻止膜212を、シリコン窒化物よりも低い誘電率を有するSiCN膜として用いることが可能である。
【0088】
第2の金属配線220及び第2の金属間絶縁膜214上に、第2のエッチング阻止膜222及び第3の金属間絶縁膜224が設けられる。第3の金属間絶縁膜224上には、第1のブロッキング膜232aが設けられる。
【0089】
第2のエッチング阻止膜222は、SiCNを含む。
【0090】
第3の金属間絶縁膜224は、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む。第1のブロッキング膜232aは、誘電率が3.9~4.5のシリコン酸化物を含む。第1のブロッキング膜232aは、炭素を含まない。第1のブロッキング膜232aは、図1で説明した第1のブロッキング膜と同一である。
【0091】
第1のブロッキング膜232a、第3の金属間絶縁膜224、及び第2のエッチング阻止膜222を貫通する第3の金属配線230が設けられる。第3の金属配線230は、コンタクトプラグ及び金属パターンを含む。第3の金属配線230は、第3のバリア膜230a及び第3の金属パターン230b含む。第3のバリア膜230aは、チタン、チタン窒化物、タンタル、タンタル窒化物を含む。第3の金属パターン230bは、銅を含む。すなわち、第3の金属配線230は、第2の金属配線220と実質的に同一の構造を有する。但し、第3の金属配線230の上部の両側には、第1のブロッキング膜232aが設けられる。
【0092】
第3の金属配線230は、銅を含む配線のうち、最上部に位置する配線であり、第3の金属間絶縁膜224は、BEOLの配線構造において、最上部に位置する低誘電膜である。すなわち、第1のブロッキング膜232aは、BEOLの配線構造において最上部に位置する低誘電膜の上面に設けられる。
【0093】
前記において、BEOLの配線構造は3層に積層された銅配線を含むことと説明したが、前記銅配線の積層数は、これに限定されるものではない。例えば、第3の金属配線230及び第3の金属間絶縁膜224上に、エッチング阻止膜、低誘電物質を含む金属間絶縁膜、及び銅を含む金属配線を更に積層することができる。この場合、第1のブロッキング膜232aは、前記第3の金属間絶縁膜上に形成されず、最上部の低誘電膜の上面上に形成される。
【0094】
第2のブロッキング膜234は、第3の金属配線230及び第1のブロッキング膜232aの上面を覆う。第2のブロッキング膜234は、シリコン窒化物を含む。第2のブロッキング膜234は、炭素を含まない。第2のブロッキング膜234は、図1で説明した第2のブロッキング膜と同一である。
【0095】
当該半導体素子において、第3の金属配線230の上部側壁は、第1のブロッキング膜232aによって覆われており、第3の金属配線230の上面は、第2のブロッキング膜234によって覆われている。第1及び第2のブロッキング膜232a、234は、第3の金属間絶縁膜224からのアウトガシングを防止することができる。
【0096】
第4の金属間絶縁膜236は、第2のブロッキング膜234上に設けられる。第4の金属間絶縁膜236は、第3の金属間絶縁膜224よりも高く、第2のブロッキング膜234よりも低い誘電率を有する。第4の金属間絶縁膜236は、第3の金属間絶縁膜224よりも高いエッチング耐性及び結合強度を有する。第4の金属間絶縁膜236は、第3の金属間絶縁膜224よりも高い誘電率を有する酸化物を含む。 具体的に、第4の金属間絶縁膜236は、誘電率が3.9~4.5のシリコン酸化物を含む。第4の金属間絶縁膜236は、TEOSをソースとして用いて形成されるシリコン酸化物を含む。
【0097】
ビアコンタクト240は、BEOLの配線構造において、最上部に位置するコンタクトプラグである。ビアコンタクト240は、第4の金属間絶縁膜236及び第2のブロッキング膜234を貫通して、第3の金属配線230の上面と接触する。ビアコンタクト240は、図1で説明したことと同一である。
【0098】
このように、BEOLの配線構造の最上部に位置するビアコンタクト240の間には、下部の低誘電膜よりも高い誘電率を有する第4の金属間絶縁膜236が設けられる。故に、半導体素子の信頼性を高めることができる。
【0099】
上部配線242は、ビアコンタクト240及び第4の金属間絶縁膜236上に設けられる。上部配線242は、ビアコンタクト240と電気的に連結される金属パターンである。上部配線242は、図1の第2の配線と同一である。
【0100】
上部配線242を覆う上部層間絶縁膜244が設けられる。上部層間絶縁膜244は、シリコン酸化物を含む。上部層間絶縁膜244内には、水素を含む。例えば、上部層間絶縁膜244は、HDP-CVD工程により形成されるシリコン酸化物を含む。上部層間絶縁膜244は、基板100の表面に水素を供給するための膜として働く。
【0101】
上部層間絶縁膜244上には、保護膜246が設けられる。保護膜246は、シリコン窒化物を含む。
【0102】
第1及び第2のブロッキング膜232a、234は、前記第1~第3の金属配線及び前記上部配線を介して、基板100の表面に水素を供給する工程を行うことに当たり、第3の金属間絶縁膜224内に水蒸気又は水素が流入されることを防止することができる。故に、水蒸気又は水素の流入による第3の金属間絶縁膜224の損傷が抑制されて、当該半導体素子は、優れた特性を有することができる。
【0103】
図12図17は、本発明による半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。
【0104】
当該半導体素子は、図11における半導体素子であって、図2図10で説明した工程と同様な工程で製造することができる。そこで、製造方法については、簡単に説明する。
【0105】
図12に示しているように、基板100上に、下部構造物202、204a、204b、205a、205bを形成する。例えば、前記下部構造物は、トランジスタ202、キャパシタ、抵抗、下部配線205a、205b、及び下部層間絶縁膜204a、204bなどを含む。前記下部構造物は、メモリ素子のセルを形成するためのfront-end-of-line(FEOL)工程により形成する。
【0106】
前記下部構造物上に、下部絶縁膜206を形成する。下部絶縁膜206は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、又は、SiCNを含む。
【0107】
下部絶縁膜206上に、第1の金属間絶縁膜208を形成する。第1の金属間絶縁膜208は、シリコン酸化物(SiO2)よりも低い誘電率を有する低誘電物質からなる。
【0108】
第1の金属間絶縁膜208及び下部絶縁膜206の一部をエッチングして、第1のトレンチを形成する。前記第1のトレンチの底面には、前記下部構造物に含まれる下部配線205bが露出する。
【0109】
第1のトレンチの内に、第1の金属配線210を形成する。具体的に、前記第1のトレンチ及び第1の金属間絶縁膜208の上面に、第1のバリア膜を形成し、前記第1のバリア膜上に、前記第1のトレンチを満たすように、第1の金属膜を形成する。この後、第1の金属間絶縁膜208の上面が露出するように、前記第1のバリア膜及び第1の金属膜を平坦化することで、第1の金属配線210が形成される。故に、第1の金属配線210は、第1のバリアパターン210a及び第1の金属パターン210bを含む。
【0110】
図13に示しているように、第1の金属配線210及び第1の金属間絶縁膜208上に、第1のエッチング阻止膜212及び第2の金属間絶縁膜214を形成する。第1のエッチング阻止膜212は、SiCNを含む。第1のエッチング阻止膜212は、化学気相成長法又は原子層成長法により形成する。第2の金属間絶縁膜214は、シリコン酸化物よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む。
【0111】
第2の金属間絶縁膜214及び第1のエッチング阻止膜212を貫通して、第1の金属配線210と電気的に連結される第2の金属配線220を形成する。
【0112】
具体的に、第2の金属間絶縁膜214の一部をエッチングして、第2のコンタクトホール及び第2のトレンチを形成することができる。第2のコンタクトホール及び第2のトレンチの内部を満たす第2の金属配線220を形成する。第2の金属配線220は、第2のバリアパターン220a及び第2の金属パターン220bを含む。第2の金属配線220を形成する工程は、図3~5で説明した第1の配線を形成することと実質的に同一である。但し、第2の金属間絶縁膜214上には、第1のブロッキング膜が設けられていない。
【0113】
図14に示しているように、第2の金属配線220及び第2の金属間絶縁膜214上に、第2のエッチング阻止膜222、第3の金属間絶縁膜224、及び仮の第1のブロッキング膜232を形成する。第2のエッチング阻止膜222は、SiCNを含む。第3の金属間絶縁膜224は、シリコン酸化物よりも低い誘電率を有する低誘電物質を含む。仮の第1のブロッキング膜232は、第3の金属間絶縁膜224よりも高い誘電率を有するシリコン酸化物からなる。第3の金属間絶縁膜224を形成する工程は、図2で説明した第1の金属間絶縁膜を形成することと同一である。仮の第1のブロッキング膜232を形成する工程は、図2で説明した仮の第1のブロッキング膜を形成することと同一である。
【0114】
図15に示しているように、仮の第1のブロッキング膜232、第3の金属間絶縁膜224、及び第2のエッチング阻止膜222を貫通する第3の金属配線230を形成する。第3の金属配線230は、第3のバリアパターン230a及び第3の金属パターン230bを含む。第3の金属配線230を形成する工程は、図3図5で説明した第1の配線を形成することと実質的に同一である。前記工程を行うと、仮の第1のブロッキング膜232の厚さが更に減少して、第1のブロッキング膜232aが形成される。
【0115】
図16に示しているように、第1のブロッキング膜232a及び第3の金属配線230上に、第2のブロッキング膜234を形成する。第2のブロッキング膜234上に、第4の金属間絶縁膜236を形成する。第2のブロッキング膜234は、シリコン窒化物を含む。第4の金属間絶縁膜236は、第3の金属間絶縁膜224よりも高い誘電率を有するシリコン酸化物からなる。
【0116】
第4の金属間絶縁膜236及び第2のブロッキング膜234を貫通して、第3の金属配線230と電気的に連結されるビアコンタクト240を形成する。ビアコンタクト240は、第4のバリアパターン240a及び第4の金属パターン240bを含む。ビアコンタクト240及び第4の金属間絶縁膜236上に、上部配線242を形成する。
【0117】
第2のブロッキング膜234、第4の金属間絶縁膜236、ビアコンタクト240、及び上部配線242を形成する工程は、図6図10で説明したことと実質的に同一である。
【0118】
図17に示しているように、上部配線242を覆う上部層間絶縁膜244を形成する。 上部層間絶縁膜244は、水素を含むシリコン酸化物を含む。上部層間絶縁膜244は、HDP(high density plasma)-CVD工程により形成されるシリコン酸化膜である。
【0119】
上部層間絶縁膜244上には、保護膜246を形成する。保護膜246は、シリコン窒化物を含む。
【0120】
保護膜246が形成された基板200を熱処理する。熱処理工程を行うと、上部層間絶縁膜244内に含まれる水素が、第1~第3の金属配線210、220、230、及び上部配線242を介して、基板200の表面部位まで流入される。基板200の表面部位に流入される水素は、基板100の表面又はゲート絶縁膜内のトラップサイト又はダングリングボンドを除去することができる。故に、基板200上に形成されるトランジスタ202の電気的特性を向上させる。
【0121】
ところが、前記熱処理工程を行うに際して、低誘電物質を含む第3の金属間絶縁膜224に、水素又は水蒸気が容易に流入されることがある。特に、第3の金属間絶縁膜224は、前記上部層間絶縁膜を形成する工程において、プラズマによるダメージが発生し易くなる。これにより、第3の金属間絶縁膜224は、容易に吸湿される。
【0122】
しかし、第1及び第2のブロッキング膜232a、234が、第3の金属間絶縁膜224内に水素又は水蒸気が流入されることを実効的に防止することができる。そのため、第3の金属間絶縁膜224内への水素又は水蒸気の流入による不良を抑制することができる。
【0123】
図18は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。図18における半導体素子は、BEOLの配線構造において、最上部の低誘電膜の上部だけでなく、その下に位置する低誘電膜の少なくとも1つの上部に、前記第1及び第2のブロッキング膜と同一構造の下部ブロッキング膜が設けられる。前記下部ブロッキング膜は、エッチング阻止膜の役割も果たすので、別のエッチング阻止膜は形成されない。図18における当該半導体素子は、ブロッキング膜を除くと、図11における半導体素子と同一である。
【0124】
図18に示しているように、当該半導体素子は、基板100上に形成された下部構造物と、第1の金属間絶縁膜208と、第1の金属配線210と、第1の下部ブロッキング膜216と、第2の下部ブロッキング膜218と、第2の金属間絶縁膜214と、第2の金属配線220と、第1のエッチング阻止膜222と、第3の金属間絶縁膜224と、第3の金属配線230と、第1のブロッキング膜232aと、第2のブロッキング膜234と、第4の金属間絶縁膜236と、ビアコンタクト240と、上部配線242とを含む。また、前記下部構造物上には、下部絶縁膜206が設けられる。上部配線242を覆う上部層間絶縁膜244及び保護膜246が更に設けられる。
【0125】
第1の下部ブロッキング膜216及び第2の下部ブロッキング膜218は、最上部の銅配線よりも下に位置する銅配線の少なくとも1つの銅配線上に設けられる。
【0126】
第1の下部ブロッキング膜216は、第1の金属間絶縁膜208上に設けられる。第1の下部ブロッキング膜216は、第1の金属配線210の上部側壁に設けられる。第1の下部ブロッキング膜216は、図1で説明した第1のブロッキング膜と同一の物質を含む。第1の下部ブロッキング膜216は、誘電率が3.9~4.5のシリコン酸化物を含む。
【0127】
第1の金属配線210は、第1の下部ブロッキング膜216、第1の金属間絶縁膜209、下部絶縁膜206を貫通して、前記下部構造物の一部と接触する。
【0128】
第2の下部ブロッキング膜218は、第1の金属配線210、及び第1の下部ブロッキング膜216上に形成される。第2の下部ブロッキング膜218は、図1で説明した第2のブロッキング膜と同一の物質を含む。第2の下部ブロッキング膜218は、第1の下部ブロッキング膜216よりも高い誘電率を有するシリコン窒化物からなる。
【0129】
図18に示しているように、第1の下部ブロッキング膜216及び第2の下部ブロッキング膜218は、第1の金属配線210の上部に設けられる。しかし、これとは他の例として、第1の下部ブロッキング膜216及び第2の下部ブロッキング膜218は、第2の金属配線220の上部に設けられる。
【0130】
第1及び第2のブロッキング膜232a、234は、最上部の低誘電膜上に形成される。すなわち、第1及び第2のブロッキング膜232a、234は、最上部の銅配線の上部に形成される。第1及び第2のブロッキング膜232a、234は、図1及び図11で説明した第1及び第2のブロッキング膜とそれぞれ同一である。
【0131】
図19は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。図19における半導体素子は、BEOLの配線構造において、全ての低誘電膜上に、前記第1及び第2のブロッキング膜と同一構造のブロッキング膜が設けられる。すなわち、全ての銅配線の上部に、第1及び第2のブロッキング膜が積層されたブロッキング構造物が設けられる。前記ブロッキング膜は、エッチング阻止膜の役割も果たすので、別のエッチング阻止膜は形成されない。図19における当該半導体素子は、前記ブロッキング膜を除くと、図11における半導体素子と同一である。
【0132】
図19に示しているように、当該半導体素子は、基板100上に形成された下部構造物と、第1の金属間絶縁膜208と、第1の金属配線210と、第1の下部ブロッキング膜216と、第2の下部ブロッキング膜218と、第2の金属間絶縁膜214と、第2の金属配線220と、第3の下部ブロッキング膜226と、第4の下部ブロッキング膜228と、第3の金属間絶縁膜224と、第3の金属配線230と、第1のブロッキング膜232aと、第2のブロッキング膜234と、第4の金属間絶縁膜236と、ビアコンタクト240と、上部配線242とを含む。また、前記下部構造物上には、下部絶縁膜206が設けられる。上部配線242を覆う上部層間絶縁膜244及び保護膜246が設けられる。
【0133】
第1及び第3の下部ブロッキング膜216、226及び第1のブロッキング膜は、図1で説明した第1のブロッキング膜と同一の物質を含む。
【0134】
第2及び第4の下部ブロッキング膜218、228及び第2のブロッキング膜は、図1で説明した第2のブロッキング膜と同一の物質を含む。
【0135】
図20は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。図20における半導体素子は、BEOLの配線構造において、第1及び第2のブロッキング膜の位置を除くと、図11における半導体素子と同一である。
【0136】
図20に示しているように、当該半導体素子は、基板200上に設けられる下部構造物と、前記下部構造物上に設けられる第1の金属間絶縁膜208と、第1の金属配線210と、第1のエッチング阻止膜212と、第2の金属間絶縁膜214と、第2の金属配線220と、第2のエッチング阻止膜222と、第3の金属間絶縁膜224と、第3の金属配線230と、第1のブロッキング膜233と、第2のブロッキング膜235と、第4の金属間絶縁膜236と、ビアコンタクト240と、上部配線242とを含む。また、前記下部構造物と第1の金属間絶縁膜208の間には、下部絶縁膜206が設けられる。上部配線242を覆う上部層間絶縁膜244及び保護膜246が設けられる。
【0137】
第1のブロッキング膜233は、第3の金属間絶縁膜224及び第3の金属配線230の上面を覆うように設けられる。第2のブロッキング膜235は、第1のブロッキング膜233上に設けられる。すなわち、第1のブロッキング膜233は、第3の金属配線の上部側壁には位置しない。
【0138】
第1のブロッキング膜233は、図1で説明した第1のブロッキング膜と同一の物質を含む。第2のブロッキング膜235は、図1で説明した第2のブロッキング膜と同一の物質を含む。このように、最上部の低誘電膜、すなわち、第3の金属間絶縁膜224上には、少なくとも2層のブロッキング膜が積層される。
【0139】
図21は、本発明による半導体素子を説明するための断面図である。図21における半導体素子は、BEOLの配線構造において、第1の下部ブロッキング膜及び第2の下部ブロッキング膜を更に含むことを除くと、図20における半導体素子と同一である。
【0140】
当該半導体素子は、BEOLの配線構造において、最上部の低誘電膜の上部だけでなく、その下に位置する低誘電膜の少なくとも1つの上部に、前記第1及び第2のブロッキング膜と同一構造の下部ブロッキング膜が設けられる。前記下部ブロッキング膜は、エッチング阻止膜の役割も果たすので、別のエッチング阻止膜は、形成されない。
【0141】
図21に示しているように、当該半導体素子は、基板100上に形成された下部構造物と、第1の金属間絶縁膜208と、第1の金属配線210と、第1のエッチング阻止膜212と、第2の金属間絶縁膜214と、第2の金属配線220と、第1の下部ブロッキング膜225と、第2の下部ブロッキング膜227と、第3の金属間絶縁膜224と、第3の金属配線230と、第1のブロッキング膜233と、第2のブロッキング膜235と、第4の金属間絶縁膜236と、ビアコンタクト240と、上部配線242とを含む。また、前記下部構造物上には、下部絶縁膜206が設けられる。上部配線242を覆う上部層間絶縁膜244及び保護膜246が設けられる。
【0142】
第1及び第2の下部ブロッキング膜225、227は、最上部の銅配線の下に位置する銅配線の少なくとも1つの銅配線上部に設けられる。
【0143】
第1の下部ブロッキング膜225は、第2の金属間絶縁膜214及び第2の金属配線220の上面を覆うように設けられる。第2の下部ブロッキング膜227は、第1の下部ブロッキング膜225上に設けられる。
【0144】
第1の下部ブロッキング膜225は、図1で説明した第1のブロッキング膜と同一の物質を含む。第2の下部ブロッキング膜227は、図1で説明した第2のブロッキング膜と同一の物質を含む。
【0145】
図21に示しているように、第1の下部ブロッキング膜225及び第2の下部ブロッキング膜227は、第2の金属配線220上に設けられる。しかし、これとは他の例として、第1の下部ブロッキング膜225及び第2の下部ブロッキング膜227は、第1の金属配線210の上部に設けられる。
【0146】
当該半導体素子は、DRAM装置、SRAM装置などのような揮発性メモリ装置や、フラッシュメモリ装置、PRAM装置、MRAM装置、RRAM(登録商標)装置などのような不揮発性メモリ装置のメモリ周辺回路領域、又は、セル領域に用いられる配線構造にも適用可能である。
【0147】
以上では、本発明の実施形態例を参照して説明したが、該当技術の分野における熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更できることを理解されるだろう。
【符号の説明】
【0148】
100 基板
105 下部構造物
108 第1の金属間絶縁膜
123 第1の配線
110a、232a 第1のブロッキング膜
124、234 第2のブロッキング膜
126 第2の金属間絶縁膜
130、240 ビアコンタクト
132 第2の配線
120 コンタクトプラグ
122 導電ライン
208 第1の金属間絶縁膜
210 第1の金属配線
212 第1のエッチング阻止膜
214 第2の金属間絶縁膜
220 第2の金属配線
222 第2のエッチング阻止膜
224 第3の金属間絶縁膜
230 第3の金属配線
236 第4の金属間絶縁膜
242 上部配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21