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特許7597293ナノセルロースフィルムを活用したタバコラッパー
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  • 特許-ナノセルロースフィルムを活用したタバコラッパー 図1
  • 特許-ナノセルロースフィルムを活用したタバコラッパー 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】ナノセルロースフィルムを活用したタバコラッパー
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
A24D1/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023519118
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2022019007
(87)【国際公開番号】W WO2023128319
(87)【国際公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】10-2021-0192486
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、スンミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ドンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、イクジャン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-527337(JP,A)
【文献】特表2021-520778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0305455(US,A1)
【文献】国際公開第2020/090860(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノセルロースフィルムを含む、タバコラッパーであって、
前記ナノセルロースフィルムは、結晶化度が80%以上のナノセルロースを含み、
前記ナノセルロースフィルムの厚さは、5から150μmである、タバコラッパー
【請求項2】
前記ナノセルロースフィルムは、セルロースナノ繊維及びセルロースナノ結晶のうち1つ以上のナノセルロースを含む、請求項1記載のタバコラッパー。
【請求項3】
前記タバコラッパーは、充填剤及び助燃剤の少なくとも1つ以上を含む、請求項1記載のタバコラッパー。
【請求項4】
前記充填剤は、炭酸カルシウムであり、前記助燃剤は、クエン酸Na又はクエン酸Kである、請求項に記載のタバコラッパー。
【請求項5】
タバコ媒質部、フィルター部及び請求項1に記載のタバコラッパーを含む喫煙物品
【請求項6】
前記タバコラッパーは、タバコ媒質部ラッパー又は喫煙物品全体を包むラッパーである、請求項に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記フィルター部は、保湿剤又は香りを担持したカプセルを含む、請求項又はに記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記喫煙物品は、燃焼型シガレット又は非燃焼加熱式シガレットである、請求項又はに記載の喫煙物品。
【請求項9】
請求項1に記載のタバコラッパーの製造方法であって、
1)木材パルプを漂白するステップと、
2)前記漂白された木材パルプのセルロースを含む流体を高圧で衝突させてナノ粒子化させるステップと、
3)前記ナノ粒子化した流体を塗布及び乾燥してナノセルロースフィルムを得るステップと、
を含み、
前記ステップ3)は、ドロップキャスティング、ロールコーティング、ナイフコーティング及びバーコーティングからなる群より選ばれる1つ以上の方法を用いる、タバコラッパーの製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載のタバコラッパーの製造方法であって、
a)木材パルプを漂白するステップと、
b)前記漂白された木材パルプのセルロースを含む流体を物理的に分散させるステップと、
c)硫酸又は2,2,6,6-tetramethyl-1-piperidinyloxy(TEMPO)を処理してナノ粒子分散液を得るステップと、
d)前記ナノ粒子分散液を塗布及び乾燥してナノセルロースフィルムを得るステップと、
を含み、
前記ステップd)は、ドロップキャスティング、ロールコーティング、ナイフコーティング及びバーコーティングからなる群より選ばれる1つ以上の方法を用いる、タバコラッパーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノセルロースフィルムを活用したタバコラッパー及びこれを含むタバコ物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、タバコは、双子葉植物目ナス科の多年生草木を指すが、最近では、タバコの葉をシガレットペーパーで包み、一側にフィルター部が構成され、喫煙を目的として製造された製品を通称することもある。このようなタバコは、世界的に数千種に至り、多様な模様や形態でもって市場に出回っている。
【0003】
シガレットは、タバコロッド及び少なくとも1つのフィルターからなる。また、シガレットは、紙巻きタバコペーパー(ラッパー)によって包み込まれる。現在使用されている紙巻きタバコペーパーは、セルロースを除くリグニン、ヘミセルロースなど様々な成分が混在されている。
【0004】
伝統型シガレット及び/又は電子タバコで使用される紙巻きタバコペーパーは、その素材の特殊性及びセルロース以外の他の多くの成分(特に、リグニン、ヘミセルロースなど)が混在されることによって、喫煙時に「紙臭」と呼ばれる不快臭が発生して消費者にとって不快な認識を与え、電子タバコに使用されるエアロゾル生成物品(タバコスティック)もまた、加熱過程で煤が生じるだけでなく、「蒸す臭い」が発生し、紙臭と共に消費者にとって不快感を誘発する。
【0005】
しかし、このような紙巻きタバコペーパーの作製過程のうち、木材パルプの漂白過程で前記成分を完全に除去して純粋なセルロースのみを得ることは難しく、またセルロースは結晶構造と非晶質構造が混在された状態で存在し、結晶度が非常に低いため、他の高分子フィルムに対して低い引張強度を有するという問題が生じる。
【0006】
このため、紙巻きタバコペーパーによって発生する紙臭を下げ、喫煙者の不快感を下げる研究が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに、上記のような既存技術の問題点及び/又は限界点を克服するために、本発明は、ナノセルロースフィルムを活用したタバコラッパー及びこれを含むタバコ物品を提供することを目的とする。
【0008】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、上記で言及した課題に制限されず、言及されない他の課題は、以下の記載から当技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例によると、ナノセルロースフィルムを含む、タバコラッパーを提供する。
【0010】
一態様によると、タバコ媒質部、フィルター部及びラッパーを含む喫煙物品であって、
【0011】
前記ラッパーは、ナノセルロースフィルムを含むラッパーであることを特徴とする、喫煙物品を提供する。
【0012】
本発明の他の態様によると、ナノセルロースフィルムを含むタバコラッパーの製造方法であって、
1)木材パルプを漂白するステップ;
2)前記漂白された木材パルプのセルロースを含む流体を高圧で衝突させてナノ粒子化させるステップ;及び
3)前記ナノ粒子化した流体を塗布及び乾燥してナノセルロースフィルムを得るステップ;
を含むことを特徴とする、タバコラッパーの製造方法を提供する。
【0013】
本発明の他の態様によると、ナノセルロースフィルムを含むタバコラッパーの製造方法であって、
a)木材パルプを漂白するステップ;
b)前記漂白された木材パルプのセルロースを含む流体を物理的に分散させるステップ;
c)硫酸又は2,2,6,6-tetramethyl-1-piperidinyloxy(TEMPO)を処理してナノ粒子分散液を得るステップ;及び
d)前記ナノ粒子分散液を塗布及び乾燥してナノセルロースフィルムを得るステップ;
を含むことを特徴とする、タバコラッパーの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によるナノセルロースフィルムを活用したタバコラッパーは、伝統型シガレットにおいて紙特有の紙臭を低減させ得るだけでなく、電子タバコにおいては、フィルムの高い耐熱性によって、加熱時の煤を防止して不快臭を低減させ得る。
【0015】
また、紙と同一の原材料(木材、草木など)から得ることができ、成分もまた紙と同一のセルロースとして生分解性を有するので、エコ(eco)性を維持すると共に、セルロースのナノ粒子化による、強い引張強度及び高い耐熱性などの新しい特性を有し得るという効果がある。
【0016】
本発明の効果は、上記の効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能な全ての効果を含むと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】伝統型シガレットに本発明の一実施例によるナノセルロースフィルムを含むラッパーを使用して既存のシガレットペーパーを代替して使用したことを示す図である。
図2】既存の電子タバコのエアロゾル生成物品(タバコスティック)の最終外皮に、本発明の一実施例によるナノセルロースフィルムを含むラッパーを使用したことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して実施例を詳細に説明する。しかし、実施例には様々な変更が加えられるので、特許出願の権利範囲はこれらの実施例によって制限又は限定されるものではない。実施例に対する全ての変更、均等物ないし代替物は、権利範囲に含まれると理解されるべきである。
【0019】
実施例で使用された用語は、単に説明を目的として使用されたものであり、限定しようとする意図として解釈されるべきではない。単数の表現は、文脈上明らかに他に意味がない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、本明細書に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないことを理解されたい。
【0020】
別途の定義がない限り、技術的又は科学的な用語を含み、ここで使用される全ての用語は、実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使用される辞書で定義されているような用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味と解釈されない。
【0021】
なお、添付図面を参照して説明するにあたって、図面符号にかかわらず同一の構成要素には同一の参照符号を付し、これに対する重複する説明は省略する。実施例を説明するにあたって、関連した公知技術についての具体的な説明が実施例の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0022】
また、実施例の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって該当構成要素の本質や順番又は順序などが限定されない。
【0023】
いずれかの実施例に含まれる構成要素と、共通的な機能を含む構成要素は、他の実施例で同一の名称を使用して説明する。反対の記載がない限り、いずれか1つの実施例に記載の説明は他の実施例にも適用されることができ、重複する範囲で具体的な説明は省略する。
【0024】
明細書全体において、「喫煙物品」は、タバコ(シガレット)、シガなどのように、エアロゾルを発生させ得る物を意味することができる。喫煙物品は、エアロゾル生成物質又はエアロゾル形成基質を含んでもよい。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻草、再構成タバコなどのタバコ原料に基づく固体物質を含んでもよい。喫煙物質は揮発性化合物を含んでもよい。
【0025】
また、明細書全体において、「上流」又は「上流方向」は、喫煙物品を吸煙するユーザの口部から離れる方向を意味し、「下流」又は「下流方向」は、喫煙物品を吸煙するユーザの口部から近づく方向を意味する。例えば、図1に示す喫煙物品において、刻草部003は、フィルター部002の上流又は上流方向に位置する。
【0026】
さらに、本発明における「エアロゾル生成システム」は、ユーザの口を通じてユーザの肺に直接吸入可能なエアロゾルを発生させるためにエアロゾル発生基材を用いてエアロゾルを発生させる装置を意味することができる。エアロゾル生成システムは直接的な燃焼ではなく、電気エネルギーで間接加熱する非燃焼式タバコ物品であって、非燃焼式タバコ物品には加熱式と非加熱式タバコ物品が存在し、加熱式タバコ物品の場合、電気エネルギーを通じて加熱された周りの空気を吸い込んでエアロゾルを発生させ、このようなエアロゾルがユーザに吸入された後、放出される方式によって喫煙が行われるようにする物品であってもよい。この他にも、様々なタイプのエアロゾル発生装置をさらに含んでもよく、本開示の範囲は上述した例に限定されるものではない。
【0027】
本発明の一実施例によると、ナノセルロースフィルムを含む、タバコラッパーを提供する。
【0028】
本発明の一実施例によるタバコラッパーに含まれるナノセルロースフィルムは、高いセルロース含量と非晶質部分がなく、ほぼ純粋なセルロース結晶構造を成しているため、紙のようなセルロース素材にもかかわらず、異なる物理的特性を有し、結晶構造間の強い水素結合によって、強い引張強度及び高い耐熱性を示す。
【0029】
また、ナノセルロースは最大90%を越える純粋な結晶粒子からなるため、これで作られたフィルムが既存のシガレットペーパーを代替する場合、紙臭の発生源が除去された状態であるので、紙臭によって発生する不快臭を低減することができる。
【0030】
さらに、電子タバコで使用される場合、ナノ粒子間の強い結合と結晶構造によって熱に対する耐熱性がより強く、既存の紙よりもさらに強い熱に対する耐久性を有するので、素材の炭化現象を防ぎ、蒸す臭いを低減させ得る長所がある。
【0031】
一方、本発明の一実施例によるタバコラッパーを構成するナノセルロースフィルムは、5~150μmの厚さを有してもよく、好ましくは10~100μm、より好ましくは10~50μmであってもよい。前記ナノセルロースフィルムが上述した数値範囲を有することで、喫煙物品の形態維持を効果的にすることができ、特にタバコ媒質部(刻草部)の漏れなどを防止することができる。なお、タバコラッパーが、図2のように、喫煙物品の全体を包む場合には、保湿剤などの液状成分が外部に漏れることを低減し得る。
【0032】
また、前記ナノセルロースフィルムは、セルロースナノ繊維及びセルロースナノ結晶のうち1つ以上のナノセルロースを含むものであってもよく、前記セルロースナノ繊維又はセルロースナノ結晶が各々単独でナノセルロースフィルムで用いられる場合、各結晶化度は80%以上に該当し得る。
【0033】
結晶化度が上記範囲未満の場合には、既存木材パルプなどの状態でナノセルロース化へうまく進まず、セルロースのナノ粒子形成がうまく行われていないことを意味し、このような場合には、高い引張強度、ナノ粒子間の強い結合、又は整列性などのナノセルロースの固有特性を示しにしいと見ることができる。
【0034】
さらに、前記ナノセルロースフィルムが含まれるタバコラッパーは、別途の添加剤を含んでもよく、前記添加剤は、充填剤及び助燃剤の少なくとも1つ以上を含んでもよい。
【0035】
前記充填剤は、白色度や不透明度を増進させ、気孔度を調節し、肌触りと印刷適性を向上させるだけでなく、さらに紙臭を減少させる機能を有する。このような機能を有する前記充填剤の一例としては、炭酸カルシウム(CaCO)が挙げられる。
【0036】
また、前記助燃剤は、燃焼を促進、又は燃焼を抑制する機能を有するものであって、その例では、クエン酸Na又はクエン酸Kなどが挙げられる。
【0037】
このような前記充填剤及び助燃剤を同時に含むことによって、シガレットの喫味感、燃焼性、消火性、及びシガレットの製造作業性が確保できる効果がある。
【0038】
本発明の他の実施例によると、タバコ媒質部、フィルター部及びラッパーを含む喫煙物品であって、
【0039】
前記ラッパーは、ナノセルロースフィルムを含むラッパーであることを特徴とする、喫煙物品を提供する。
【0040】
前記タバコ媒質部は、通常、葉タバコのようにニコチンを含むタバコ物質を含み、バインダーやその他の添加剤、香味剤などの賦形剤をさらに含んでもよく、一例として、本発明のタバコ媒質部に含まれるタバコ媒質は、タバコ物質及び賦形剤などを含む顆粒の形態で製造できる。
【0041】
本発明において、タバコ物質は、エアロゾルを生成する物質であって、タバコ葉片、タバコ茎、タバコ処理中に発生したタバコ粉塵及び/又はタバコ葉の葉片ストリップであり得る。タバコ葉は、黄色種、バーリー(Burley)種、オリエント種、シガ葉及びトーストのうち選ばれる少なくとも1つ以上であってもよいが、これらに制限されない。
【0042】
一方、前記フィルター部は、内部に香りを担持したカプセルを含んでもよく、さらに保湿剤などを含んでもよい。
【0043】
併せて、本発明の一実施例による喫煙物品のラッパーは、タバコ媒質部ラッパー、フィルター部ラッパー、チッピングラッパーなどを含んでもよく、伝統型シガレット及び電子タバコの喫煙過程で発生する紙臭や蒸す臭いを効果的に減少させ得る側面で、前記ナノセルロースフィルムを含むラッパーは、タバコ媒質部ラッパー又は喫煙物品全体を包むラッパーであるのが好ましい。
【0044】
また、上述したように、本発明の一実施例による喫煙物品は、伝統型シガレット又は電子タバコのスティックとして活用される点で、燃焼型又は非燃焼加熱式シガレットに該当できる。
【0045】
以下、本発明の一実施例によるタバコラッパーの製造方法について記述する。
【0046】
本発明のナノセルロースを含むタバコラッパーは、下記1)~3)ステップの物理的方法、又は下記a)~d)ステップの化学的方法を含むことによって、製造できる:
1)木材パルプを漂白するステップ;
2)前記漂白された木材パルプのセルロースを含む流体を高圧で衝突させてナノ粒子化させるステップ;及び
3)前記ナノ粒子化した流体を塗布及び乾燥してナノセルロースフィルムを得るステップ;
【0047】
a)木材パルプを漂白するステップ;
b)前記漂白された木材パルプのセルロースを含む流体を物理的に分散させるステップ;
c)硫酸又は2,2,6,6-tetramethyl-1-piperidinyloxy(TEMPO)を処理してナノ粒子分散液を得るステップ;及び
d)前記ナノ粒子分散液を塗布及び乾燥してナノセルロースフィルムを得るステップ;
【0048】
一般的に、バルクしたセルロース塊が主となる木材パルプの場合、漂白過程を経ることによって、脱色と共に含まれているリグニン、マンノース、キシロースなどヘミセルロースと共に混在されている成分が一部低減されるが、これらを完全に除去することはできない。しかし、ナノセルロースの場合、上記ステップ1)~3)又はステップa)~d)で記述したように、漂白だけでなく、ナノ粒子化させる過程で純粋なセルロース結晶を除く非晶質セルロース部分、リグニン、ヘミセルロースなど他の混在された成分がほとんど除去される。このようにセルロースを主成分とすることは、紙巻きタバコペーパーと変わらないが、他の混在された成分が除去されたナノセルロースで作られたフィルムは、引張強度と生分解性を有することになる。
【0049】
一方、上記ステップ2)、又はステップb)及びc)を進めることによって、セルロースの大きさをナノ粒子のような小さい大きさで物理的、又は化学的に粉碎することができ、上記ステップ3)又はステップd)におけるナノセルロースは、一般的な高分子フィルムの製造方式と同様に適用可能である。
【0050】
前記高分子フィルムの製造方式の例としては、ドロップキャスティング(drop casting)、ロールコーティング(roll coating)、ナイフコーティング及びバー(bar)コーティングからなる群より選ばれる1つ以上の方法を用いるものであってもよく、上記の例は、代表的な例に過ぎず、素材分散液を広い面積に薄く塗布した後、乾燥過程を経てナノ粒子間結合を形成して形態を維持できる方法であれば、これに限定されるものではない。
【0051】
一方、前記ナノセルロース分散液は、水溶性で製造可能であるため、他の有機溶媒が使用される石油系高分子とは異なり、作業時に安全性とエコ性を同時に持つことができる長所があり、このように製造されたナノセルロースフィルムは、既存のシガレットペーパーの製造に使用される幅と長さに裁断されたロールが製造されると、シガレット及び電子タバコ喫煙物品の製造工程に容易に適用可能である。
【0052】
以上のように、実施例がたとえ限定された図面によって説明されたが、当技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記に基づいて様々な技術的修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が、説明された方法と異なる順序で実行、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が、説明された方法とは異なる形態で結合又は組み合わされる、又は他の構成要素あるいは均等物によって代替又は置換されても、適切な結果が達成できる。
【0053】
したがって、他の実施形態、他の実施例及び特許請求の範囲と均等なものも後述する特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0054】
001:ナノセルロースフィルム
002、004、005:フィルター部
003:タバコ媒質部(刻草部)
図1
図2