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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】物品ホルダ
(51)【国際特許分類】
   B25H 3/00 20060101AFI20241203BHJP
   A62B 35/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B25H3/00 Z
A62B35/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019193002
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2021065972
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-10-20
【審判番号】
【審判請求日】2024-09-03
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000149930
【氏名又は名称】株式会社谷沢製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】青柳 千尋
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】本庄 亮太郎
【審判官】田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-176378号公報
【文献】登録実用新案第3073107号公報
【文献】特開2017-154213号公報
【文献】特開2019-180846号公報
【文献】特開2021-62452号公報
【文献】米国特許出願公開第2012/0168472号明細書
【文献】特開2016-77572号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H3/00
A62B35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の両肩に夫々掛け回される一対の肩ベルトを備えるハーネス型安全帯に取り付けることによって物品を携帯可能とする物品ホルダであって、
携帯する物品を保持する物品保持部材と、該物品保持部材を着脱自在に連結して前記肩ベルトに固定されるホルダ本体と、前記安全帯から延びる命綱の先端に設けられているフックを掛けるためのフック用掛止部材とを備える物品ホルダにおいて、
前記フック用掛止部材は、前記フック用掛止部材を前記ホルダ本体へ取り付けるための取り付け部と、該取り付け部に設けられて該肩ベルトの横方向の外方に露出するフック掛け部とを備えることを特徴とする物品ホルダ。
【請求項2】
前記ホルダ本体は、前記肩ベルトを介して前記ホルダ本体に嵌着する固定ベースにより前記肩ベルトに固定され、
前記固定ベースは、前記肩ベルトに当接するベース側当接部と、該ベース側当接部の両側から突出する同一形状の一対の爪部とを備え、
前記ホルダ本体は、前記肩ベルトに当接する本体側当接部と、前記各爪部に対応する位置に形成されて夫々の前記爪部が嵌合する一対の嵌合孔とを備えることを特徴とする請求項1記載の物品ホルダ。
【請求項3】
前記フック用掛止部材の前記取り付け部は、前記ホルダ本体の外周に係合する形状に形成されており、
前記フック用掛止部材は、前記取り付け部を前記ホルダ本体の外周に係合させることにより、前記ホルダ本体に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の物品ホルダ。
【請求項4】
前記フック用掛止部材の前記取り付け部は、前記ホルダ本体の上下位置で前記肩ベルトが挿通する一対のベルト挿通部を備えることを特徴とする請求項3記載の物品ホルダ。
【請求項5】
前記フック用掛止部材は、前記取り付け部が前記固定ベースと一体に形成され、前記フック掛け部が一方の前記爪部の外方に連設されていることを特徴とする請求項2記載の物品ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者の両肩に夫々掛け回される一対の肩ベルトを備えるハーネス型安全帯に取り付けることによって物品を携帯可能とする物品ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工具等の物品や小物を作業者が装着している安全帯等のベルトに保持する物品ホルダが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものは、工具等の物品を着脱可能に保持する物品保持部を有するホルダ本体と、ホルダ本体に形成された第1開口部及び第2開口部に差し込まれてホルダ本体に係合保持される差し込み部材とを備えている。
【0004】
ホルダ本体をベルトの外側面に当接し、差し込み部材をホルダ本体に差し込むと、ホルダ本体と差し込み部材との間にベルトが挟み込まれ、ホルダ本体がベルトに固定される。
【0005】
ところで、安全帯は命綱を連結して備え、命綱の先端にはフックが設けられている。命綱を使用していないときには、命綱のフックをベルト等に一時的に掛止しておく必要がある。
【0006】
上記従来のホルダ本体の下側にはリング部が設けられている。リング部には、他の物品ホルダや他の物品等を吊り下げることができるようになっている。そこで、命綱を使用していないときには、命綱のフックをホルダ本体の下側のリング部に掛止しておくことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-176378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、物品保持部の下側に設けられているリング部に命綱のフックを掛けようとすると、物品保持部が邪魔になって付け外しが円滑に行えない。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、安全帯から延びる命綱の先端に設けられているフックを、作業の邪魔にならない位置に掛止しておくことができ、しかも、命綱のフックの付け外しが円滑に行える物品ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、装着者の両肩に夫々掛け回される一対の肩ベルトを備えるハーネス型安全帯に取り付けることによって物品を携帯可能とする物品ホルダであって、携帯する物品を保持する物品保持部材と、該物品保持部材を着脱自在に連結して前記肩ベルトに固定されるホルダ本体と、前記安全帯から延びる命綱の先端に設けられているフックを掛けるためのフック用掛止部材とを備える物品ホルダにおいて、前記フック用掛止部材は、前記フック用掛止部材を前記ホルダ本体へ取り付けるための取り付け部と、該取り付け部に設けられて該肩ベルトの横方向の外方に露出するフック掛け部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、物品ホルダをハーネス型安全帯の肩ベルトに取り付けたとき、ホルダ本体に取り付けたフック用掛止部材のフック掛け部が、肩ベルトの横方向の外方に露出する。これにより、フック掛け部に命綱のフックを掛けるときにホルダ本体や物品保持部材が邪魔になることがなく、フック掛け部への命綱のフックの付け外しを円滑に行うことができる。
【0012】
また、本発明において、前記ホルダ本体は、前記肩ベルトを介して前記ホルダ本体に嵌着する固定ベースにより前記肩ベルトに固定され、前記固定ベースは、前記肩ベルトに当接するベース側当接部と、該ベース側当接部の両側から突出する同一形状の一対の爪部とを備え、前記ホルダ本体は、前記肩ベルトに当接する本体側当接部と、前記各爪部に対応する位置に形成されて夫々の前記爪部が嵌合する一対の嵌合孔とを備えることを特徴とする。
【0013】
これによれば、固定ベースの一対の爪部を夫々ホルダ本体の一対の嵌合孔に嵌合させるだけで、固定ベースをホルダ本体に容易に連結することができる。そして、このとき、肩ベルトが固定ベースとホルダ本体とに挟み込まれ、肩ベルトへのホルダ本体の固定が強固に維持される。これにより、ホルダ本体に取り付けたフック用掛止部材を肩ベルトに対して強固に固定することができる。
【0014】
また、本発明のフック用係止部材の具体的態様の1つとして、前記フック用掛止部材の前記取り付け部は、前記ホルダ本体の外周に係合する形状に形成されており、前記フック用掛止部材は、前記取り付け部を前記ホルダ本体の外周に係合させることにより、前記ホルダ本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
取り付け部がホルダ本体の外周に係合することにより、ホルダ本体とフック用係止部材とを一体的に構成することができる。更に、ホルダ本体の外周形状とそれに対応する取り付け部の内周形状とを左右対称形状としておくことで、フック用係止部材をホルダ本体に対して時計回り又は反時計回りに回転させて、例えば、右側に位置していたフック掛け部を左側に位置させることができる。これにより、左右の肩ベルトの何れであっても、当該肩ベルトの左右位置に合わせて、所望の方向にフック掛け部を露出させることができる。
【0016】
しかも、万一、フック用係止部材が損傷しても、その影響がホルダ本体に波及することはなく、肩ベルトに対するホルダ本体の強固な固定状態を維持することができる。
【0017】
このとき、更に、前記フック用掛止部材の前記取り付け部は、前記ホルダ本体の上下位置で前記肩ベルトが挿通する一対のベルト挿通部を備えることが好ましい。
【0018】
ベルト挿通部に肩ベルトを通すことにより、ホルダ本体に対するフック用掛止部材の取り付け部の取り付け状態を一層強固とすることができる。
【0019】
また、本発明のフック用係止部材の他の態様として、前記フック用掛止部材は、前記取り付け部が前記固定ベースと一体に形成され、前記フック掛け部が一方の前記爪部の外方に連設されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、例えば、同一形状の2つの爪部を固定ベースのベース側当接部の左右側に位置するように形成しておくことにより、右側に位置する爪部の外方にフック掛け部が連設されている場合には、固定ベースを回転させて左右の爪部の位置を入れ替えるだけで、右側に位置していたフック掛け部を左側に位置させることができる。これにより、左右の肩ベルトの何れであっても、当該肩ベルトの左右位置に合わせて、所望の方向にフック掛け部を露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態の物品ホルダを示す斜視図。
図2】肩ベルトに取り付けた第1実施形態の物品ホルダの要部の正面図。
図3】肩ベルトに取り付けた第1実施形態の物品ホルダの要部の背面図。
図4】第1実施形態のホルダ本体の背面図。
図5】第1実施形態の物品ホルダの分解斜視図。
図6】第1実施形態のフック掛け部の露出方向を変更した物品ホルダの正面図。
図7】本発明の第2実施形態の物品ホルダを示す斜視図。
図8】肩ベルトに取り付けた第2実施形態の物品ホルダの要部の正面図。
図9】第2実施形態のホルダ本体の背面図。
図10】第2実施形態の物品ホルダの分解斜視図。
図11】第2実施形態のフック掛け部の露出方向を変更した物品ホルダの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
先ず、本発明の第1実施形態について図1図6を参照して説明する。図1は、第1実施形態の物品ホルダ1の外観を示している。物品ホルダ1は、ホルダ本体2と、物品保持部材3と、フック用掛止部材4とを備えている。
【0023】
ホルダ本体2は、図2及び図3に示すように、上下方向に延びる平板帯状の肩ベルト5に取り付けられる。肩ベルト5は、図外のハーネス型安全帯に設けられているもので、装着者の両肩の夫々に掛け回すために左右で一対設けられている。なお、図2及び図3は、物品保持部材3を取り外した状態の物品ホルダ1を示している。
【0024】
ホルダ本体2の背面側には、図4に示すように、上部規制当接部6と下部規制当接部7とが設けられている。上部規制当接部6と下部規制当接部7とは肩ベルト5を通すことによってホルダ本体2の上下の縁で肩ベルト5をその厚み方向にわずかに屈曲させ、これによって、肩ベルト5に対するホルダ本体2の上下方向の滑り動きを規制する。また、ホルダ本体2の背面側には、後述する固定ベース8(図3及び図5参照)が嵌着されている。
【0025】
物品保持部材3は、図5に示すように、ホルダ本体2から分離自在となっている。物品保持部材3は、物品(図示省略)の背面側に固着させる固着部9と、固着部9と一体に形成されてホルダ本体2の上部開口10に挿着する挿着部11とを備えている。物品保持部材3が保持する物品としては、筆記具等の小物を収容するポーチ(小物入れ)やスマートフォンに取り付けるケースやその他道具類等を挙げることができる。
【0026】
物品保持部材3は、ホルダ本体2の上部開口10への挿入が挿着部11によって案内される。固着部9の下部における挿着部11の両側には、夫々挿着部11から空隙を存して、弾発的に撓む一対のアーム部12が設けられている。各アーム部12の先端には、係合部13が一体に設けられている。係合部13は、ホルダ本体2の係合孔14に内側から係合し、係合孔14から露出する係合部13を係合孔14の外側から押圧することにより、係合孔14への係合が解除される。
【0027】
フック用掛止部材4は、ホルダ本体2への取り付け部15と、取り付け部15に一体に設けられたフック掛け部16とを備えている。
【0028】
取り付け部15は、ホルダ本体2の外周に係合する形状とされており、具体的には、図2及び図5に示すように、正面視略長方形状のホルダ本体2に対応して、ホルダ本体2の外周を包囲する略長方形で環状に形成されている。なお、ホルダ本体2の正面視輪郭形状は左右対称となっており、それに対応する取り付け部15もその内周形状が左右対称となっている。
【0029】
フック掛け部16は、命綱のフックを掛けることができる大きさに形成され、図5に示すように、取り付け部15の一側縁に設けられて、肩ベルト5の横方向の外方に露出する。
【0030】
更に、フック用掛止部材4には、上下で一対のベルト挿通部17が設けられている。ベルト挿通部17には肩ベルト5が挿通される。これにより、フック用掛止部材4とホルダ本体2とは、肩ベルト5に対して一体的な固定状態が形成される。
【0031】
固定ベース8は、肩ベルト5に当接する横長板状のベース側当接部18を備えている。ベース側当接部18の両側の夫々には、同一形状(左右対称形状)の一対の爪部19がホルダ本体2の背面の対向面となる側に突出して形成されている。
【0032】
図4に示すように、ホルダ本体2の背面には、肩ベルト5に当接して固定ベース8のベース側当接部18との間で肩ベルト5を挟持する本体側当接部20が設けられている。
【0033】
また、図4及び図5に示すように、ホルダ本体2の両側部分には、一対の嵌合孔21が形成されている。この嵌合孔21は、夫々、固定ベース8の爪部19に対応する位置に形成されており、一対の爪部19の何れであっても嵌合することができる形状とされている。
【0034】
物品ホルダ1を肩ベルト5に取り付けるときには、先ず、ホルダ本体2を肩ベルト5の表面側に位置させると共に、その背面側の上部規制当接部6と下部規制当接部7とに肩ベルト5を通す。
【0035】
次いで、固定ベース8の爪部19を夫々ホルダ本体2の背面側の嵌合孔21に嵌合する。これにより、ホルダ本体2の本体側当接部20と固定ベース8のベース側当接部18とで肩ベルト5が挟持され、肩ベルト5にホルダ本体2が固定された状態となる。
【0036】
続いて、ホルダ本体2の裏面側(固定ベース8の取り付けられている側)からフック用掛止部材4の取り付け部15を係合させる。更に、上下一対のベルト挿通部17に肩ベルト5を通し、ホルダ本体2に取り付けた状態とする。
【0037】
フック用掛止部材4の取り付け部15がホルダ本体2に取り付けられることにより、フック用掛止部材4のフック掛け部16は、図2に示すように、肩ベルト5の横方向の外方に露出する。
【0038】
そして、例えば、安全帯の装着者の右肩に掛け回された肩ベルト5に物品ホルダ1を取り付けたときには、図2に示すように、フック掛け部16が肩ベルト5の外方で装着者の右腕側に露出するようにフック用掛止部材4を取り付けることができる。肩ベルト5の外方にフック用掛止部材4が露出することにより、フック掛け部16にフックを掛けるときには周囲への干渉が少なく、フック掛け部16への命綱のフックの付け外しを円滑に行うことができる。
【0039】
また、フック用掛止部材4が左右対称の長方形状であることにより、ホルダ本体2への取り付け方向を容易に変更することができる。そして、フック用掛止部材4は、ホルダ本体2への取り付け方向を左右反転(時計回り又は反時計回りに回転)させることで、肩ベルト5に対する(ホルダ本体2に対する)フック掛け部16の露出方向を変更することができる。
【0040】
例えば、安全帯の装着者の左肩に掛け回された肩ベルト5に物品ホルダ1を取り付けたときには、フック用掛止部材4においては、図6に示すように、フック掛け部16が左腕側に露出するように、取り付け部15をホルダ本体2に取り付ければよい。これによっても、フック掛け部16にフックを掛けるときに周囲への干渉を少なくして、フック掛け部16への命綱のフックの付け外しを円滑に行うことができる。
【0041】
更にまた、第1実施形態の物品ホルダ1は、図5に示すように、フック用掛止部材4がホルダ本体2と別体に形成されている。これにより、万一、フック用掛止部材4が損傷して肩ベルト5から脱落しても、ホルダ本体2はその影響を受けることなく、肩ベルト5への固定状態が維持される。
【0042】
更に、フック用掛止部材4は、ホルダ本体2と別体に形成されているものの、取り付け部15がホルダ本体2の外周に係合し、ベルト挿通部17を通る肩ベルト5が確実にフック用掛止部材4を支持するので、フック用掛止部材4とホルダ本体2とて一体的な構造が形成され、比較的高い強度で肩ベルト5に固定される。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態について図7図11を参照して説明する。図7は、第2実施形態の物品ホルダ100の外観を示している。物品ホルダ100は、ホルダ本体101と、物品保持部材102と、リング部103とを備えている。更に、ホルダ本体101の一側方には、後述するフック用掛止部材104のフック掛け部105が設けられている。
【0044】
ホルダ本体101は、図8に示すように、上下方向に延びる平板帯状の肩ベルト106に取り付けられる。前述した第1実施形態と同様に、肩ベルト106は、図外のハーネス型安全帯が備えるもので、装着者の両肩の夫々に掛け回すために左右で一対設けられている。なお、図8は、物品保持部材102を取り外した状態の第2実施形態の物品ホルダ100を示している。
【0045】
第2実施形態のホルダ本体101の背面側には、図9に示すように、上部規制当接部107と下部規制当接部108とが設けられている。上部規制当接部107と下部規制当接部108とは肩ベルト106を通すことによってホルダ本体101の上下の縁で肩ベルト106をその厚み方向にわずかに屈曲させ、これによって、肩ベルト106に対するホルダ本体101の上下方向の滑り動きを規制する。
【0046】
ホルダ本体101の背面側には、後述する固定ベース109(図10参照)が嵌着されている。
【0047】
物品保持部材102は、図10に示すように、ホルダ本体2から分離自在となっている。物品保持部材102は、物品の背面側に固着させる固着部110と、固着部110と一体に形成されてホルダ本体101の上部開口111に挿着する挿着部112とを備えている。物品保持部材102が保持する物品としては、筆記具等の小物を収容するポーチ(小物入れ)やスマートフォンに取り付けるケースやその他道具類等を挙げることができる。なお、リング部103は、比較的軽く小さな他の物品等を吊り下げるために設けられている。
【0048】
物品保持部材102における挿着部112の両側には、弾発的に撓むアーム部113と、アーム部113の先端に一体に形成された係合部114とが設けられている。係合部114は、ホルダ本体101の係合孔115に内側から係合し、係合孔115から露出する係合部114を係合孔115の外側から押圧することにより、係合孔115への係合が解除される。
【0049】
フック用掛止部材104は、フック掛け部105を備え、フック掛け部105には図示しない命綱の先端に設けられているフックが掛けられる。よって、フック用掛止部材104のフック掛け部105は、命綱のフックを掛けることができる大きさに形成されている。フック掛け部105は、図10に示すように、固定ベース109の一側縁(後述の爪部117よりも外方にある)に連設されている。即ち、第2実施形態においては、フック用掛止部材104が、固定ベース109とフック掛け部105とによって構成されている。よって、固定ベース109は、フック用掛止部材104の取り付け部として機能する。
【0050】
固定ベース109は、肩ベルト106に当接する横長板状のベース側当接部116を備えている。ベース側当接部116の両側の夫々には、同一形状(左右対称形状)の一対の爪部117がホルダ本体101の背面の対向面となる側に突出して形成されている。
【0051】
図9に示すように、ホルダ本体101の背面には、肩ベルト106に当接して固定ベース109のベース側当接部116との間で肩ベルト106を挟持する本体側当接部118が設けられている。
【0052】
また、図9及び図10に示すように、ホルダ本体101の両側部分には、一対の嵌合孔119が形成されている。この嵌合孔119は、夫々、固定ベース109の爪部117に対応する位置に形成されており、一対の爪部117の何れであっても嵌合することができる形状とされている。
【0053】
物品ホルダ100を肩ベルト106に取り付けるときには、先ず、ホルダ本体101を肩ベルト106の表面側に位置させると共に、その背面側の上部規制当接部107と下部規制当接部108とに肩ベルト106を通す。
【0054】
次いで、固定ベース109の爪部117を夫々ホルダ本体101の背面側の嵌合孔119に嵌合する。これにより、ホルダ本体101の本体側当接部118と固定ベース109のベース側当接部116とで肩ベルト106が挟持され、図8に示すように、肩ベルト106にホルダ本体101が固定された状態となる。
【0055】
そして、フック用掛止部材104のフック掛け部105は、固定ベース109の一側縁に連設されていることにより、図8に示すように、肩ベルト106の横方向の外方に露出する。例えば、具体的には、安全帯の装着者の右肩に掛け回された肩ベルト106に物品ホルダ100を取り付けたときには、フック掛け部105は肩ベルト106の外方で装着者の右腕側に露出する。このように、肩ベルト106の外方にフック掛け部105が露出することにより、フック掛け部105にフックを掛けるときには周囲への干渉が少なく、フック掛け部105への命綱のフックの付け外しを円滑に行うことができる。
【0056】
また、固定ベース109の両爪部117は、互いに同一形状(左右対称形状)であることにより、固定ベース109の取り付け方向を容易に左右反転させることができる。そして、フック用掛止部材104は、ホルダ本体101への固定ベース109の取り付け方向を左右反転させることで、肩ベルト106に対する(ホルダ本体2に対する)露出方向を変更することができる。
【0057】
例えば、具体的には、安全帯の装着者の左肩に掛け回された肩ベルト106に物品ホルダ100を取り付けたときには、図11に示すように、フック掛け部105が左腕側に露出するように、固定ベース109を嵌着させればよい。これによっても、フック掛け部105にフックを掛けるときに周囲への干渉を少なくして、フック掛け部105への命綱のフックの付け外しを円滑に行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
1,100…物品ホルダ、2,101…ホルダ本体、3,102…物品保持部材、4,104…フック用掛止部材、5,106…肩ベルト、8…固定ベース、15…取り付け部、16,105…フック掛け部、17…ベルト挿通部、18,116…ベース側当接部、19,117…爪部、20,118…本体側当接部、21,119…嵌合孔、109…固定ベース(取り付け部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11