IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社CRI・ミドルウェアの特許一覧

特許7597358情報処理装置、情報提供システム、方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報提供システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/015 20230101AFI20241203BHJP
【FI】
G06Q30/015
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020189603
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078726
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】304012596
【氏名又は名称】株式会社CRI・ミドルウェア
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】押見 正雄
(72)【発明者】
【氏名】幅 朝徳
(72)【発明者】
【氏名】花房 宏通
(72)【発明者】
【氏名】小澤 慶
(72)【発明者】
【氏名】野口 道雄
(72)【発明者】
【氏名】山形 祐也
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋介
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特許第4322301(JP,B1)
【文献】CRI・ミドルウェア,CRI、ウィズコロナ下におけるイベントのDXを支援!オンライン展示会 に革命を起こすプラットフォームの提供を開始 ~2020年11月開催の「ET&IoT Digital 2020」での採用決定~[online],2020年08月28日,[令和6年7月8日検索], インターネット<URL : https://www.cri-mw.co.jp/news/newsrelease/795/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の提供を支援する情報処理装置であって、
情報を提供する各提供者もしくは情報の提供を受ける各ユーザまたはそれらの両方により登録された情報に関する登録情報と、前記各提供者が提供する情報の記憶場所を示すアドレス情報とを記憶する記憶手段と、
ユーザの端末からの情報の提供要求を受信する受信手段と、
設定された条件に従い、前記記憶手段に記憶された前記登録情報を用いて、前記ユーザの端末に表示させる情報の順序を抽選して決定する決定手段と、
決定された前記順序と前記記憶手段に記憶された前記各情報のアドレス情報とを前記ユーザの端末に送信する送信手段と
を含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記条件に関連する前記登録情報を用いて各情報の表示確率を計算し、乱数を発生させ、前記乱数と前記各情報の表示確率とに基づき、抽選を行う、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記登録情報は、前記各提供者が提供する情報の枠数を含み、
前記決定手段は、前記枠数の順として設定された前記条件に従い、前記登録情報を用いて、前記各提供者が提供する情報の前記順序を抽選して決定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記登録情報は、各提供者が提供する情報に対して設定された複数の分野に関する情報と、各ユーザが興味を有する複数の分野に関する情報とを含み、
前記決定手段は、ユーザが興味を有する順として設定された前記条件に従い、前記提供要求に含まれるユーザ情報と前記登録情報とを用いて、前記各提供者が提供する情報の前記順序を抽選して決定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記登録情報は、各提供者が提供する情報に対して設定された複数の分野に関する情報と、各ユーザが閲覧した情報の閲覧履歴とを含み、
前記決定手段は、ユーザの興味を有する順として設定された前記条件に従い、前記提供要求に含まれるユーザ情報と前記登録情報とを用いて、前記ユーザ情報を有するユーザの前記閲覧履歴から該ユーザが興味を有する分野を類推し、類推した前記分野から前記各提供者が提供する情報の前記順序を抽選して決定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記登録情報は、前記各提供者の属性情報を含み、
前記決定手段は、指定された属性を有する提供者を優先するとの前記条件に従い、前記登録情報を用いて、前記各提供者が提供する情報の前記順序を抽選して決定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記登録情報は、各提供者が提供する情報に対して設定された複数の分野に関する情報と、各ユーザが興味を有する複数の分野に関する情報と、前記各提供者が情報を提供する規模に関する情報とを含み、
前記決定手段は、ユーザの興味を有する順で、かつ前記各提供者の規模の順として設定された前記条件に従い、前記提供要求に含まれるユーザ情報と前記登録情報とを用いて、前記各提供者が提供する情報の前記順序を抽選して決定する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ユーザが選択した前記条件を設定する設定手段を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置と、ユーザの端末と、情報を提供する各提供者が管理する管理装置とを含む、情報提供システム。
【請求項10】
前記端末は、該端末の画面に表示された1の提供者の情報に埋め込まれたアドレス情報を使用して、該1の提供者が提供する他の情報の取得要求を送信する端末送信手段を含む、請求項に記載の情報提供システム。
【請求項11】
前記端末は、ユーザの操作情報を受け付ける入力受付手段と、前記入力受付手段が受け付けた前記操作情報に基づき、該端末の画面に表示されていない情報の取得を要求するか否かを判断する判断手段を含む、請求項10に記載の情報提供システム。
【請求項12】
前記端末送信手段により要求した情報を受信する端末受信手段を含み、
前記判断手段は、前記入力受付手段が受け付けた前記操作情報に基づき、要求した情報の受信途中で前記端末の画面から消えるか否かを判断し、消えると判断した場合、前記端末受信手段に対し、前記受信途中の情報の受信を中止するように指示する、請求項11に記載の情報提供システム。
【請求項13】
前記各提供者が提供する情報は、階層構造を有するデータであり、
最下位の階層のデータを除く各階層のデータは、該各階層より1段下の階層のデータの記憶場所を示すアドレス情報を含む、請求項12のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項14】
前記各提供者が提供する情報は、複数の静止画から構成される動画の動画データを含み、前記動画データは、各静止画において指定される2以上の領域の各々に対して該各提供者が提供する2以上の他のデータの記憶場所を示すアドレス情報のそれぞれが割り当てられる、請求項13に記載の情報提供システム。
【請求項15】
前記各提供者が提供する情報は、製品を水平方向へ360度回転させる際に、所定の角度回転するたびに撮影した複数の静止画データから構成される動画データを含み、
前記端末受信手段は、撮影順に得られた前記複数の静止画データを、前記ユーザが前記水平方向の左右のいずれの方向へ操作しても、回転させた製品の画像が表示されるように順序を変えて受信する、請求項12に記載の情報提供システム。
【請求項16】
前記各提供者が提供する情報は、複数の静止画から構成される動画の動画データを含み、
前記端末は、各静止画に、文字情報を追加した透明なレイヤを重ね合わせて、該文字情報を含む前記動画データを作成する合成手段を含む、請求項15のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項17】
前記各提供者が提供する情報は、複数の静止画データと、文字列データとを含み、
前記合成手段は、テンプレートを使用して、前記複数の静止画データと前記文字列データとを組み合わせ、文字列を含む動画データを構成する、請求項16に記載の情報提供システム。
【請求項18】
前記各提供者が提供する情報は、全天球画像データを含み、
前記入力受付手段が受け付けた操作情報に応じて、前記端末の画面に全天球画像の一部の画像領域のデータを表示する際に、前記画像領域の輝度を補正する補正手段を含む、請求項11に記載の情報提供システム。
【請求項19】
情報の提供を支援する情報処理装置により実行される方法であって、
前記情報処理装置は、情報を提供する各提供者もしくは情報の提供を受ける各ユーザまたはそれらの両方により登録された情報に関する登録情報と、前記各提供者が提供する情報の記憶場所を示すアドレス情報とを記憶する記憶手段を含み、
前記方法は、
ユーザの端末からの情報の提供要求を受信するステップと、
設定された条件に従い、前記記憶手段に記憶された前記登録情報を用いて前記ユーザの端末に表示させる情報の順序を抽選して決定するステップと、
決定された前記順序と前記記憶手段に記憶された前記各情報のアドレス情報とを前記ユーザの端末に送信するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
情報の提供を支援する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
ユーザの端末からの情報の提供要求を受信するステップと、
設定された条件に従い、情報を提供する各提供者もしくは情報の提供を受ける各ユーザまたはそれらの両方により登録された情報に関する登録情報と前記各提供者が提供する情報とを記憶する記憶手段に記憶された該登録情報を用いて前記ユーザの端末に表示させる情報の順序を抽選して決定するステップと、
決定された前記順序と前記記憶手段に記憶された前記各情報のアドレス情報とを前記ユーザの端末に送信するステップと
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報の提供を支援する情報処理装置、情報提供システム、方法および情報の提供を支援する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業等は、製品等を展示会に出展し、出展した製品等について商談を行い、市場動向(ニーズ)等の情報収集や情報交換を行っている。近年、通信技術の進歩により、インターネット上で製品等を出展し、商談や情報交換等を行うことが可能なデジタル展示会システムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-290963号公報
【文献】特開2016-201125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、出展企業一覧をアイウエオ順に表示するのみで、入場者が、企業名を選択し、入場者登録を行い、選択した企業のサイトへ入場しなければ、出展製品等を閲覧することができない。
【0005】
一方、特許文献2に記載のシステムは、仮想空間にユーザの分身としてのアバターを表示させ、アバターの移動させることにより、特定の企業等を選択し、入場者登録を行わなくても、展示を見ることができる。
【0006】
しかしながら、入場者が興味のある製品等を出展する2以上の企業等のブースが距離的に離れた場所にある場合、アバターを移動させる手間と時間を要する。また、出展企業等においては、ブースの設置場所に影響し、多くの製品等を出展したとしても、多くの入場者に閲覧されない場合がある。このため、最適な順序で情報を提供することを可能にする装置、システム、方法、プログラムの提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、情報の提供を支援する情報処理装置であって、
情報を提供する各提供者もしくは情報の提供を受ける各ユーザまたはそれらの両方により登録された情報に関する登録情報と、各提供者が提供する情報の記憶場所を示すアドレス情報とを記憶する記憶手段と、
ユーザの端末からの情報の提供要求を受信する受信手段と、
設定された条件に従い、記憶手段に記憶された登録情報を用いてユーザの端末に表示させる情報の順序を抽選して決定する決定手段と、
決定された順序と記憶手段に記憶された各情報のアドレス情報とをユーザの端末に送信する送信手段と
を含む、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、最適な順序で情報を提供することを可能にする装置、システム、方法、プログラムの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報提供システムの構成例を示した図。
図2】情報提供システムを構成する情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した図。
図3】情報処理装置の機能構成の一例を示した図。
図4】情報処理システムにより実行される処理の一例を示したフローチャート。
図5】情報処理システムにより実行される処理の第1の例を説明する図。
図6】抽選方法について説明する図。
図7】ユーザの端末に表示されるタブについて説明する図。
図8】情報処理システムにより実行される処理の第2の例を説明する図。
図9】各提供者が提供する情報の一例を示した図。
図10】ユーザの端末に表示させる表示データの順序を決定する処理について説明する図。
図11】情報提供システムを構成する端末のハードウェア構成の一例を示した図。
図12】端末の機能構成の一例を示した図。
図13】ユーザによる端末の操作と、端末が表示データを要求するタイミングについて説明する図。
図14】階層構造を有する表示データの一例を示した図。
図15】選択された領域に応じて画像を遷移させる処理について説明する図。
図16】360度回転させて撮影した画像データを表示させる方法について説明する図。
図17】動画データにテキストデータを合成して表示させる方法について説明する図。
図18】複数の静止画データとテキストデータとを組み合わせ、テキストを含む動画データを構成する方法について説明する図。
図19】全天球撮像装置により撮影された画像データの輝度調整について説明する図。
図20】商談ページについて説明する図。
図21】情報の提供者が閲覧中のユーザを特定する方法について説明する図。
図22】ユーザの閲覧時間について説明する図。
図23】商談ページへの遷移を促す画面を例示した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、情報提供システムの構成例を示した図である。情報提供システムは、少なくとも、情報の提供を支援する情報処理装置10を含む。情報処理装置10は、情報の提供者が提供する情報を登録し、管理する。ここでは、情報処理装置10が、提供者が提供する情報を登録し、管理するものとして説明するが、情報処理装置10とは別の機器を設け、当該別の機器により提供者が提供する情報を登録し、管理してもよい。以下、情報提供システムを、製品の情報を提供し、商談等を行うためのデジタル展示会システムとして説明するが、提供する情報は、製品に限定されるものではなく、サービスやソリューション等であってもよい。また、情報の提供者は、製品の情報を提供する企業等に限定されるものではなく、サークル活動の情報を提供するサークル等のグループであってもよい。
【0011】
情報処理装置10は、インターネット等のネットワーク11を介して各提供者(以下、出展者とする。)が使用するPC12と接続され、4G、5G、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信を利用して、またはケーブル等の有線によりユーザの端末13と接続される。なお、端末13は、無線により接続する場合、アクセスポイント14を介してネットワーク11に接続する。
【0012】
情報処理装置10は、展示会に入場するユーザ(以下、入場者とする。)の端末13に対し、入場者の情報の入力画面や、入場者に対する質問(アンケート)画面等を提供する。端末13は、入場者が入力した情報を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10は、入場者の情報を管理する入場者データベース(入場者DB)を有し、入場者の認証処理を実行する。なお、入場者の認証処理は、別途設けられる認証サーバが実行してもよい。
【0013】
また、情報処理装置10は、各出展者のPC12と通信を行い、出展者の情報や、出展者が提供する基本情報の表示データや出展する製品等の表示データの記憶場所を示すアドレス情報(例えば、URL(Uniform Resource Locator))等の出展者の登録情報を取得する。情報処理装置10は、取得した出展者の登録情報を管理する出展者データベース(出展者DB)を有する。情報処理装置10は、設定された条件に従い、入場者DBに登録された入場者の登録情報もしくは出展者DBに登録された出展者の登録情報またはその両方を用いて、どの出展者の表示データをどのような順序で表示させるかを抽選して決定し、端末13へ決定した順序とURL等を送信する。情報処理装置10が端末13へ送信する情報としては、上記の順序とURLのほか、出展者名等が挙げられる。
【0014】
情報処理装置10は、各出展者のPC12と通信を行い、出展者が提供する情報として、出展者を紹介する表示データ、出展者のブース(製品一覧)を表示する表示データ、各製品の詳細を表示する表示データを取得する。情報処理装置10は、取得した表示データを登録し、管理する画像データベース(画像DB)を有する。情報処理装置10は、端末13からのURLに基づく表示データの取得要求を受けて、画像DBで管理する表示データの中から、要求された表示データを探し、端末13へ送信する。表示データを送信する場合、表示データは、符号化(エンコード)して送信することができる。
【0015】
端末13は、情報処理装置10から受信した表示データを表示するためのブラウザを実装する。端末13は、情報処理装置10から受信した順序とURLとに基づき、情報処理装置10の画像DBで管理される表示データを要求し、画像DBから表示データを取得する。端末13は、画面サイズが決まっており、各表示データの表示サイズも、例えば大、中、小と決められているため、一度に表示可能な数の表示データが決まる。このため、端末13は、上記の順序で並べて表示可能な数の表示データを、URLを使用してそれらの表示データを管理する情報処理装置10に対して要求し、情報処理装置10の画像DBから各表示データを取得し、上記の順序で画面上に並べて表示する。これにより、端末13には、表示データが最適化された表示順で表示される。なお、表示データがエンコードされている場合、復号(デコード)し、エンコード前のデータに戻すことができる。
【0016】
入場者は、端末13の画面に自身の指を押し当てつつ長い距離滑らせる操作(スワイプ)を行うことで、端末13は、表示されていない次の順序、さらにはその次の順序の表示データを、URLを使用して情報処理装置10に対して要求し、情報処理装置10の画像DBから取得して表示する。
【0017】
出展者を紹介する表示データは、出展者の製品やサービスの特徴等を視覚化したロゴ、会社名、キャッチフレーズ等を表示するデータであり、会社イメージを表す動画等のデータである。出展者のブースを表示する表示データは、出展者が出展する製品一覧を表示するデータである。これらの表示データは、静止画データやテキストデータであってもよいが、動画データとすることができる。動画データは、複数のコマの静止画データから構成される。各製品の詳細を表示する表示データは、動画データであってもよいが、静止画データやテキストデータとすることができる。
【0018】
入場者がスワイプを行い、次の順序の表示データを要求する場合、動画データでは読み込むまでに時間を要することから、次の順序の表示データを表示するまでに時間がかかる。これでは、スムーズな表示を実現することができない。
【0019】
そこで、端末13から最初のURLに基づく要求を受けたとき、情報処理装置10は、要求されたURLに基づく動画データだけではなく、全出展者の動画データの1コマ目のみを送信する。ここでは、1コマ目のみとしたが、これに限られるものではなく、全出展者の動画データの数コマ分を送信してもよい。情報処理装置10は、スワイプにより表示データの取得要求を受けたときに、残りのコマのデータを送信することができる。
【0020】
端末13の画面には、表示データが順に並び、入場者が指でスワイプを行うことにより決められた順で、まだ表示されていない表示データが表示される。決められた順に並ぶ表示データは、一度に全ての表示データが表示されるものではなく、順序が遅い表示データは、スワイプにより時間的に遅れて表示されることから、時系列に表示データを表示するものということができる。ここでは、この表示をタイムライン表示と呼ぶ。
【0021】
表示データは、他の表示データのURLが埋め込まれ、入場者が表示データ上の画面を指先で短く触れる操作(タップ)することにより、当該他の表示データへ遷移させることができる。例えば、タイムライン表示される表示データが、各出展者を紹介する画像が並ぶ出展者一覧を表示する表示データである場合、1つの出展者の画像をタップすることにより、その出展者のブースの画像(製品一覧の画像)へ遷移させることができる。ブースの画像は、会社の事業内容、従業員数、住所、電話番号、メールアドレス等の情報、その会社が出展する各製品を紹介する画像を含むことができる。
【0022】
入場者は、システムを利用するにあたって、事前に、端末13を使用して入場者の情報を登録する。入場者の情報は、システムの利用を開始するための認証情報(ログイン情報)である。ログイン情報は、入場者を識別するための識別情報(ID)とパスワードである。なお、ログイン情報は、IC(Integrated Circuit)カード等から読み取る読取装置を介して入力されてもよいし、指紋や静脈パターン等の生体情報であってもよい。
【0023】
情報処理装置10は、ログイン情報を登録する際、必要に応じて、端末13へアンケート画面を提供する。アンケート画面は、入場者が興味のある分野等を調査するための質問事項が含まれる。入場者は、アンケート画面にあるアンケートに回答し、回答を情報処理装置10へ送信する。アンケートには、入場者の役職、部門等の情報を入力する欄が含まれていてもよい。情報処理装置10は、ログイン情報と回答とを関連付け、入場者DBに格納する。
【0024】
出展者も、事前に、PC12を使用して情報処理装置10に出展者の情報を登録する。出展者の情報は、企業名、製品の分野等を示す属性情報、表示データの表示枠(パネル)の数等を含む。また、出展者は、提供する情報としての表示データのURLも登録する。実際の展示会では、ブースの規模により目立つ度合いが異なる。ブースの規模は、展示する製品の数によって変わり、出展料も変わってくる。この展示する製品の数に相当するものが、上記のパネル数である。したがって、パネル数に応じて、表示順を決定することで、お金をかけてブースを大きくした企業を優先的に先に表示させ、目立つようにすることができる。
【0025】
ところで、いずれの出展者も、自社の表示データを先に見てもらいたいことから、早い順番を希望する。資金を有する出展者は、資金により表示順を早い順番(上位)を確保しようとする。これでは、資金が乏しい出展者が不利になる。一方、完全に抽選にしてしまうと、多くの資金を拠出してまで出展しようというインセンティブが働かなくなる。そこで、資金を多く拠出したパネル数が多い出展者は、上位に表示される確率が高く、パネル数が少ない出展者は、上位に表示される確率が低くなるように、表示順を抽選して決定する。
【0026】
図1に示す例では、情報処理装置10が入場者DB、出展者DB、画像DBの全てを備えるものとして説明したが、情報処理装置10が全てのDBを備えていなくてもよく、別途設けられるサーバ等が1以上のDBを備えていてもよい。
【0027】
PC12や端末13の数は、いかなる数であってもよい。ネットワーク11も、1つのネットワークに限定されるものではなく、ルータやプロキシサーバ等の中継装置により接続された2以上のネットワークから構成されたものであってもよい。また、ネットワーク11は、有線ネットワークであってもよいし、無線ネットワークであってもよい。
【0028】
ここでは、パネル数に応じて、表示順を抽選して決定しているが、これに限られるものではなく、システムの管理者や入場者がその他の条件により表示順を抽選し、または抽選なしに一定の基準で決定してもよい。
【0029】
例えば、入場者が回答したアンケートから得られる興味のある分野に基づき、入場者が興味のある順という条件に従って、表示順を抽選して決定してもよい。この場合、入場者が過去に閲覧した表示データの閲覧履歴から、入場者が興味のある分野を類推し、類推した分野に基づき、表示順を抽選して決定してもよい。
【0030】
また、管理者(展示会の主催者)は、賞(アワード)を受賞した出展者を優先するという条件や、入場者が少ない出展者を優先するという条件や、出展者の人気順という条件に従って、出展者の登録情報に基づき、表示順を抽選して決定してもよい。これらは一例であるので、これらの条件に限定されるものではない。条件に応じて、各DBに登録する登録情報を決定することができる。
【0031】
なお、これらの条件は、管理者や入場者に対して選択可能とされていてもよい。管理者や入場者は、これらの条件を選択することにより、選択した条件に基づき、表示順を抽選して決定することができる。出展者は、出展費用を支払って出展しているため、入場者の条件のみで表示順を決定することは望ましくなく、出展者の条件(パネル数順など)と組み合わせて表示順を決定することが望ましい。
【0032】
図2は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示した図である。情報処理装置10は、一般的なコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)20と、ROM(Read Only Memory)21と、RAM(Random Access Memory)22と、HDD(Hard Disk Drive)23と、入出力I/F24と、通信I/F25と、バス26と、入力装置27と、表示装置28とを備える。ここでは、HDD23を用いているが、HDD23に代えて、SSD(Solid State Drive)等を用いてもよい。情報処理装置10は、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ、メディアI/F、マイク、スピーカ等を備えていてもよい。ここでは、情報処理装置10が、入出力I/F24、入力装置27、表示装置28を備えるものとして説明するが、これらは必要に応じて備えることができる。
【0033】
CPU20は、情報処理装置10全体の動作を制御する。ROM21は、CPU20の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM22は、CPU20の作業領域を提供する。HDD23は、各種のプログラムやデータを記憶する。
【0034】
入出力I/F24は、入力装置27や表示装置28を接続するためのインターフェースである。入力装置27は、マウスやキーボード等の各種の指示、文字や数字等を入力する装置である。表示装置28は、ディスプレイ等のカーソル、ポインタ、メニュー、文字や数字、画像等を表示する装置である。
【0035】
通信I/F25は、ネットワーク11を利用してデータを通信するためのインターフェースである。バス26は、CPU20等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0036】
図3は、情報処理装置10の機能構成の一例を示したブロック図である。情報処理装置10が備える各機能は、CPU20等の処理回路により実現することができる。なお、処理回路は、プログラムにより各機能を実行するようにプログラミングされたプロセッサ、各機能を実行するように設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含むものとする。
【0037】
情報処理装置10は、記憶部30と、受信部31と、設定部32と、決定部33と、送信部34と、認証部35と、取得部36とを含む。情報処理装置10は、その他の機能部を備えていてもよい。なお、各DBや認証サーバが別途設けられる場合、情報処理装置10は、記憶部30および認証部35は備えていなくてもよい。
【0038】
記憶部30は、入場者DBを構成し、入場者の登録情報として、入場者のID、パスワード、氏名、勤務する企業の企業名、アンケートの回答等を関連付けて記憶する。入場者の登録情報は、企業名のほか、職種、役職等を含んでいてもよい。回答は、入場者が興味のある分野を示す興味タグ等を含む。興味タグは、PRタグと同様、文字列とされ、例えば「5G」、「IoT(Internet of Things)」、「AI(Artificial Intelligence)」等である。
【0039】
記憶部30は、出展者DBを構成し、出展者の登録情報として、企業名やID等の各出展者の情報と、各出展者が出展する製品等の情報の属性を示すPR(Public Relations)タグ等の属性情報と、各出展者が出展する製品を紹介する表示データのパネル数とを関連付けて記憶する。また、記憶部30は、各出展者を紹介する表示データに埋め込まれたURLやブースを表示する表示データに埋め込まれたURLを記憶する。ここでは、記憶部30が入場者DBと出展者DBの2つのDBを含むものとして説明するが、入場者DBを第1の記憶部とし、出展者DBを第2の記憶部として、記憶部を2つに分けた構成であってもよい。PRタグは、製品等の属性を示す文字列で、例えば「5G」、「IoT」、「AI」、「抵抗」、「音声」、「圧縮」、「動画」等である。
【0040】
記憶部30は、画像DBを含むことができ、各表示データを記憶する。なお、記憶部30を3つに分け、入場者DBを第1の記憶部とし、出展者DBを第2の記憶部とし、画像DBを第3の記憶部としてもよい。
【0041】
受信部31は、入場者の端末13と通信を行い、端末13から送信される、登録する入場者の情報やアンケートの回答、システムを利用する際に入力したログイン情報、システムの利用を終了する場合に入力したログオフ情報等を受信する。受信部31は、各出展者のPC12とも通信を行い、各出展者のPC12から送信される、登録する出展者の情報や表示データ等を受信する。
【0042】
認証部35は、入場者が入力したログイン情報の受信に応答して、記憶部30に事前に登録されたID、パスワードと比較し、入場者の認証を行う。認証部35は、入力されたログイン情報に含まれるID、パスワードが、記憶部30に登録されたID、パスワードに一致する場合、認証成功となり、システムの利用を開始させる。一方、一致しない場合は、認証失敗となり、システムの利用はできない。
【0043】
取得部36は、認証部35において認証が成功した場合、記憶部30からパネル数、URL等を取得する。また、取得部36は、必要に応じて、入場者のIDに関連付けられた興味タグやPRタグを取得する。
【0044】
設定部32は、表示順を決定するための条件を設定する。条件は、入場者が興味のある順、パネル数順、賞を受賞した企業順、入場する入場者が少ない順、出展者の人気順等であり、これらの条件を2以上組み合わせたものであってもよい。
【0045】
設定部32は、システムの管理者が上記の条件のいずれかを選択したことを受け付けて設定してもよいし、入場者が上記の条件のいずれかを選択したことを受け付けて設定してもよい。このため、設定部32は、管理者や入場者に上記の条件を設定させるための画面を提供することができる。
【0046】
決定部33は、設定部32に設定された条件に従い、記憶部30に記憶された入場者もしくは出展者またはその両方の登録情報に基づき、端末13に表示させる表示データの順序を抽選して決定する。
【0047】
送信部34は、決定部33が決定した順序とURL等を端末13へ送信する。このとき、送信部34は、企業名もしくは製品名とURLとを含むパネルのデータを、決定した順序とともに送信してもよい。
【0048】
端末13は、情報処理装置10から順序とURL等を受信すると、表示可能な表示データの数を、画面の大きさと表示データのサイズとに基づいて決定し、上記の順序と決定した数とに基づき、表示させる表示データを決定し、URLを使用して決定した表示データを取得する。端末13は、例えば2つの表示データしか表示できない場合、決定した順序の1番目と2番目の表示データのみを取得する。表示データが動画データの場合、画面の大きさやサイズに関係なく、最初に全出展者を紹介する表示データの1コマ目のデータも取得する。
【0049】
端末13は、入場者がスワイプを行うと、受信した順序に従って、既に取得した1コマ目のデータを表示し、URLを使用して2コマ目以降のデータを要求する。端末13は、受信した順序に従って1コマ目のデータを表示した際、入場者のスワイプの速度が速く、画面から消えてしまった場合、画面から消えた表示データの2コマ目以降のデータは要求せず、その表示データの取得を飛ばす。
【0050】
また、端末13は、スワイプにより表示される表示データを予測し、受信した順序に従って、表示が予測される表示データの2コマ目以降のデータを要求してもよい。要求する表示データは、ページのレイアウト構成等により変わり、上下方向の一方向にのみスクロールさせる場合はスクロール方向の表示データでよいが、左右方向や奥行き方向にスクロールさせている場合は左右方向や奥行き方向の表示データとなる。
【0051】
端末13は、入場者が表示データの1つに対してタップを行うと、タップされた表示データに埋め込まれたURLを使用して表示データを要求する。端末13が要求する表示データは、タップにより選択された会社のブース(製品一覧)を表示する表示データである。
【0052】
ブースを表示する表示データも、各出展者を紹介する表示データと同様、各製品を紹介するデータが順に並ぶデータである。このため、各製品を紹介するデータの表示順を抽選して決定し、決定した表示順に従って表示させることができる。表示順の決定方法は、各出展者を紹介する表示データの表示順と同様であり、各製品のパネル数に基づき、決定することができる。
【0053】
図4は、情報処理システムにより実行される処理の一例を示したフローチャートである。情報処理システムによる処理は、入場者がログイン画面を要求し、ログイン画面にログイン情報を入力し、端末13から情報処理装置10へ送信したことを受けて、ステップ100から開始する。ここでは、出展者のパネル数順に表示データを表示させる処理について説明する。
【0054】
ステップ101では、受信部31が端末13からログイン情報を受信する。認証部35が認証処理を実行する。ここでは、ログインが成功したものとして説明する。別途認証サーバが設けられる場合は、ログインした入場者の情報、例えばIDを受信する。情報処理装置10は、受信したIDを基に、表示データを送信すべき端末13を特定し、特定した端末13へ表示データを送信する。また、情報処理装置10は、受信したIDを基に、興味タグ等の情報を取得する。
【0055】
ステップ102では、取得部36が、記憶部30からパネル数、表示データのURLを取得する。
【0056】
ステップ103では、決定部33が、設定された条件に従い、登録情報として取得したパネル数に基づき、各出展者を紹介する表示データの、端末13に表示させる順序を抽選して決定する。ステップ104では、送信部34が、決定した順序と表示データのURL等を端末13へ送信する。これにより、端末13は、画面に出展者一覧を表示させる。
【0057】
ステップ105では、受信部31がログオフ情報を受信したかを判断する。ログオフ情報を受信していない場合は、ステップ106へ進み、受信部31が、端末13からURLに基づく表示データの取得要求を受信したかを判断する。表示データの取得要求を受信していない場合、ステップ105へ戻り、受信した場合、ステップ107へ進む。
【0058】
ステップ107では、取得部36が、各製品のパネル数と、要求された出展者のブースを表示する表示データ(ブースページ)と、ブースページ内に表示する各製品を紹介する表示データのURLとを取得する。ステップ108では、決定部33が、各製品のパネル数に基づき、各製品を紹介する表示データの、端末13に表示させる順序を抽選して決定する。ステップ109では、送信部34が、取得部36により取得されたブースページの表示データと各製品を紹介する表示データのURLと決定した順序を端末13へ送信する。
【0059】
ステップ110では、出展者のブースページから退場したかを判断する。ブースページに表示される退場ボタン等を押下することにより、そのブースページから退場することができる。戻った場合、ステップ105へ戻り、戻っていない場合、ステップ111へ進み、受信部31が、端末13からURLに基づく表示データの取得要求を受信したかを判断する。受信した場合、ステップ112へ進み、取得部36が、要求された製品の詳細な表示データを取得する。ステップ113では、送信部34が、取得部36により取得された表示データを端末13へ送信する。ステップ114では、出展者のブースページに戻ったかを判断する。戻らない場合は、ステップ114の判断処理を繰り返す。一方、戻った場合は、ステップ110へ戻る。
【0060】
ステップ105で、ログオフ情報を受信していない場合、ステップ115へ進み、処理を終了する。
【0061】
以下、情報処理システムにより実行される処理を、具体的な例を挙げて詳細に説明する。なお、これらの処理も、条件として、出展者のパネル数順が設定されているものとして説明する。
【0062】
図5は、情報処理システムにより実行される処理の第1の例を説明する図である。図5に示すシステムは、記憶部30を構成する入場者DB16、出展者DB17、画像DB18と、記憶部30以外の機能部を含む情報処理部19とから構成されている。入場者は、ログイン後、自身が所持する端末13から情報処理部19に対し、IDとデフォルトで設定されているタブ40の情報とを含む画面の取得要求を送信する。タブ情報は、入場者が設定する表示順を決定するための条件を設定する情報である。この例では、デフォルトの設定として、出展者の総パネル数の順という条件が設定されている。
【0063】
情報処理部19は、端末13からの要求を受けて、タブ情報を確認し、必要に応じて、要求に含まれるIDに基づき、入場者の情報を入場者DB16から取得する。入場者DB16には、入場者が入場者の情報として、事前にID、パスワード、氏名、会社名等が登録されている。また、入場者DB16には、入場者の情報を登録する際にアンケートを行い、アンケートの回答から得られる興味タグも登録されている。この例では、条件が、出展者の総パネル数の順であり、入場者の情報は必要としないため、IDに基づき、入場者の情報を取得する処理は行われない。
【0064】
情報処理部19は、タブ情報に基づき、出展者DB17から各出展者の会社全体のパネル数(総パネル数)、会社一覧に表示する、各出展者を紹介する表示データのURLを取得する。
【0065】
情報処理部19は、タブ情報に従い、各出展者のパネル数に基づき、各出展者を紹介する表示データの表示順を抽選して決定する。これにより、パネル数が多い企業ほど、高確率で上位に表示させることができる一方で、パネル数が少ない企業にとっても、上位に表示される可能性があるため、より公平な、最適化された表示順となる。
【0066】
図6は、抽選方法の一例を説明する図である。出展者A~Hが存在し、出展者A~Cがパネル数20、出展者D~Fがパネル数10、出展者G、Hがパネル数5とする。出展者とパネル数は、テーブルにより管理される。出展者は、パネル数の多い順に並べられ、番号が割り振られる。なお、同じパネル数の場合、例えば先に出展を希望した出展者から順に番号が割り振られる。表示確率は、同じパネル数の場合、同じ確率となるので、割り振られた番号により抽選に影響が出ることはない。
【0067】
例えば、パネル数の2乗を重みとする。すると、出展者A~Cは、重みが400、出展者D~Fは、重みが100、出展者G、Hは、重みが25となる。これらの重みを考慮した表示確率を計算すると、出展者A~Cの表示確率は25.81%、出展者D~Fの表示確率は6.45%、出展者G、Hの表示確率は1.61%となる。ここでは重みをパネル数の2乗としたが、重みはパネル数の2乗に限定されるものではない。
【0068】
決定部33は、0から100までのいずれかの値をとる乱数を発生させる。乱数は、例えば関数を用いて発生させることができる。決定部33は、発生させた乱数の値と、番号1の出展者Aの表示確率の値とを比較する。発生させた乱数の値が、例えば45である場合、番号1の出展者Aの表示確率の値25.81(%)と比較する。決定部33は、乱数の値の方が大きい場合、番号2の出展者Bの表示確率の値を、出展者Aの表示確率の値に加算する。すなわち、決定部33は、乱数の値と、その番号の表示確率の値まで加算してきた表示確率の値の累積値とを比較する。決定部33は、乱数の値45と、出展者A、Bの表示確率の値の累積値51.62(%)とを比較し、乱数の値以下であることから、出展者Bを抽選の当選者として決定する。すなわち、出展者Bを表示順の1位として決定する。
【0069】
決定された出展者Bを除き、表示確率を再計算する。すると、出展者A、Cの表示確率は34.78%、出展者D~Fの表示確率は8.70%、出展者G、Hの表示確率は2.17%となる。決定部33は、再び乱数を発生させ、発生させた乱数の値と、番号1の出展者Aの表示確率の値とを比較する。発生させた乱数の値が、例えば60である場合、番号1の出展者Aの表示確率の値34.78(%)と比較する。決定部33は、乱数の値の方が大きい場合、番号2の出展者Cの表示確率の値を、出展者Aの表示確率の値に加算する。決定部33は、乱数の値60と、出展者A、Cの表示確率の値の累積値69.57(%)とを比較し、乱数の値以下であることから、出展者Cを抽選の当選者として決定する。すなわち、出展者Cを表示順の2位として決定する。
【0070】
同様にして、残りの出展者A、D~Hについて、表示確率を再計算し、乱数を発生させながら、表示順の3位以降の順序を決定していく。
【0071】
再び図5を参照して、情報処理部19は、端末13へ決定した表示順と表示データのURLを送信する。端末13は、情報処理部19から取得した表示順に基づき、URLを使用して表示させるべき表示データを画像DB18からダウンロードし、画面上に表示させる。図5に示す例では、P社、Q社、…の順で出展者一覧の動画データが並ぶように決定され、動画データの表示サイズや画面のサイズ等から表示可能なデータ数が2つであるため、端末13は、P社、Q社の動画データを要求する。このとき、端末13は、P社、Q社の動画データとともに、他の全出展者の動画データのうちの1コマ目のデータもダウンロードする。このため、入場者がスワイプを行うと、決定された順序で出展者を紹介する動画の1コマ目のデータを表示させ、1コマ目のデータを表示させている間に、2コマ目以降のデータを取得することで、表示の遅れを減少させ、スムーズな動画の自動再生を実現することができる。
【0072】
端末13に表示される画面には、動画データのほか、表示される動画データの上部に表示順を決定するための条件を設定する複数のタブ40が表示される。入場者は、タブ40を選択することで、タブ情報に応じた表示順で表示データを表示させることができる。
【0073】
図7は、端末13に表示されるタブ40について説明する図である。図7に示す例では、「標準」、「製品」、「技術分野」、「テーマ別」という4つのタブ40が設けられている。この例では、タブ40が4つとされているが、4つに限定されるものではなく、2つ、もしくは3つ、または5つ以上であってもよい。
【0074】
「標準」を選択すると、パネル数の多い会社が高確率で上位に表示される。「標準」は、デフォルトとして設定される。「製品」を選択すると、パネル数の多い製品が高確率で上位に表示される。
【0075】
「技術分野」を選択すると、入場者の興味タグに合う、パネル数の多い会社が高確率で上位に表示される。「テーマ別」を選択すると、入場者の興味タグに合う製品が高確率で上位に表示される。
【0076】
この例では、入場者にタブ40を選択させているが、タブ40を設けず、システムの管理者が任意に設定してもよい。なお、タブ40に表示される名称は、標準、製品、技術分野、テーマ別に限定されるものではなく、他の名称であってもよい。
【0077】
図8は、情報処理システムにより実行される処理の第2の例を説明する図である。図8に示す例は、タブ40において「技術分野」を選択した場合の処理である。ログイン後、すぐにデフォルトで設定された「標準」により画面表示されるため、「標準」以外のタブ40を選択する場合、「標準」により画面表示された後となる。入場者は、自身が所持する端末13から情報処理部19に対し、IDと選択したタブ40の情報を含む画面の取得要求を送信する。
【0078】
情報処理部19は、端末13からの要求を受けて、タブ情報を確認し、要求に含まれるIDに基づき、入場者DBから興味タグを取得する。また、情報処理部19は、タブ情報に基づき、出展者DB17から各出展者の総パネル数、PRタグ、各出展者を紹介する表示データのURLを取得する。
【0079】
情報処理部19は、興味タグ、PRタグ、総パネル数に基づき、各出展者を紹介する表示データの表示順を抽選して決定する。抽選方法については既に説明したので、ここではその説明を省略する。
【0080】
情報処理部19は、端末13へ決定した表示順と表示データのURL等を送信する。端末13は、情報処理部19から取得した表示順に基づき、URLを使用して表示させるべき表示データを画像DB18からダウンロードし、画面上に表示させる。このとき、端末13は、全出展者を紹介する動画データの1コマ目のデータもダウンロードする。
【0081】
情報処理部19は、表示データの表示順を決定するために、出展者の総パネル数のほか、特定のタグを有する製品についてのパネル数を用いてもよいし、製品についてのパネル数を用いてもよい。
【0082】
図9を参照して、パネルについて説明する。出展者Aは、5つのパネルを有し、出展者Bは、4つのパネルを有している。すなわち、出展者Aは、総パネル数が5で、出展者Bは、総パネル数が4である。各パネルには、タグと、製品を表示する表示データとが関連付けられる。パネルは、1つずつ別の製品を関連付ける必要はなく、出展者Bのように、同一製品で複数のパネルをもつことができる。
【0083】
総パネル数を用いて表示順を抽選して決定する場合、出展者Aの総パネル数が5、出展者Bの総パネル数が4であるから、表示確率が高い順に並べると、出展者A、出展者Bの順となる。このため、表示順を抽選して決定する場合、出展者Aが高確率で出展者Bより上位になるように決定される。IoTタグを有する製品についてのパネル数を用いて表示順を抽選して決定する場合、出展者AはIoTタグを有する製品のパネルが製品「あ」、「い」の2つであり、出展者BはIoTタグを有する製品のパネルが製品「か」、「き」、「き」、「き」の4つである。このため、表示確率が高い順に並べると、出展者B、出展者Aの順となる。このため、表示順を抽選して決定する場合、出展者Bが高確率で出展者Aより上位になるように決定される。
【0084】
製品は、タグが同一であっても、同一製品とは限らない。例えば、製品「い」と製品「き」が同一製品であり、その製品についてのパネル数を用いて表示順を決定する場合、出展者Aは1つであり、出展者Bは3つである。表示確率が高い順に並べると、出展者B、出展者Aの順となる。このため、表示順を抽選して決定する場合、出展者Bが高確率で出展者Aより上位になるように決定される。
【0085】
これまでは、パネル数に基づく表示順について説明してきた。図10を参照して、興味タグに基づく表示順についても説明しておく。出展者A~E、O~Sは、各業種の企業で、PRタグとして各タグを有している。入場者1が、業種を属性として「車メーカ」を登録し、職種として「開発」を登録したとする。また、入場者1が、アンケートの回答として、興味のある分野に「動画」、「ナビ」、「液晶パネル」、「デザイン」を回答し、それが興味タグとして登録されたとする。
【0086】
興味タグに基づき、共通するタグを有する出展者を特定すると、興味タグの「動画」、「ナビ」、「液晶パネル」、「デザイン」の少なくとも1つに一致する、もしくはその文字列を含むタグを共有のタグとして有する出展者B、D、E、Qが、興味タグに合う企業とし、その表示データが特定される。
【0087】
入場者は、一般的に、自分が最も興味のある分野を先に選択する。このことから、入場者は、「動画」、「ナビ」、「液晶パネル」、「デザイン」の順に興味を有しているものと推測される。このため、「動画」、「ナビ」、「液晶パネル」、「デザイン」の順に重みを設定する。重みは、係数として予め設定される。例えば、1番目に選択された「動画」は係数20、2番目の「ナビ」は係数10、3番目の「液晶パネル」は係数5、4番目の「デザイン」は係数2とすることができる。なお、ここに示した係数は一例であり、これらの係数に限定されるものではない。
【0088】
タグ「動画」をもつ出展者はEであり、タグ「ナビ」を含むタグを有する出展者はDである。タグ「液晶パネル」をもつ出展者はBであり、タグ「デザイン」を含むタグを有する出展者はQである。したがって、重みは、「動画」、「ナビ」、「液晶パネル」、「デザイン」の順であるため、表示確率は、E社、D社、B社、Q社の順に高くなる。抽選を行うと、表示順は、高確率でE社、D社、B社、Q社の順と決定される。
【0089】
入場者2が、業種を属性として「家電メーカ」を登録し、職種として「仕入れ担当」を登録したとする。また、入場者2が、アンケートの回答として、興味のある分野に「LED(Light Emitting Diode)」、「抵抗」、「スイッチ」、「プラスチック」、「調達システム」を回答し、それが興味タグとして登録されたとする。
【0090】
興味タグに基づき、共通するタグを有する出展者を特定すると、興味タグの「LED」、「抵抗」、「スイッチ」、「プラスチック」、「調達システム」の少なくとも1つに一致する、もしくはその文字列を含むタグを有する出展者A、C、O、Pが、興味タグに合う企業として特定される。
【0091】
入場者は、一般的に、自分が最も興味のある分野を先に選択する。このことから、入場者は、「LED」、「抵抗」、「スイッチ」、「プラスチック」、「調達システム」の順に興味を有しているものと推測される。このため、「LED」、「抵抗」、「スイッチ」、「プラスチック」、「調達システム」の順に重みを設定する。
【0092】
タグ「LED」をもつ出展者はAとPである。出展者Aは、興味タグのうち、「LED」のみが共通する。一方、出展者Pは、興味タグのうち、「LED」に加え、「抵抗」も共通する。このため、共通するタグの数が多い出展者Pのほうが、表示確率が高くなる。
【0093】
タグ「スイッチ」を有する出展者はおらず、その次のタグ「プラスチック」をもつ出展者はOであり、さらに次のタグ「調達システム」を有する出展者はCである。したがって、表示確率は、P社、A社、O社、C社の順となり、抽選を行うと、表示順は、高確率でP社、A社、O社、C社の順と決定される。
【0094】
これまで、出展者一覧を表示する表示データや製品一覧を表示する表示データの表示順を最適にする仕組みについて説明してきたが、入場者が情報の提供を受ける場合、あるいは出展者が情報を提供する場合においても、表示データの表示順に加えて、端末13上で表示データが快適に表示されることが望ましい。次に、表示データを快適に表示する仕組みについて説明する。
【0095】
端末13は、表示データを快適に表示するための機能を、例えばアプリケーション等のインストールにより実装する。情報提供システムは、情報処理装置10に加え、ユーザの端末13を含んで構成される。図11は、端末13のハードウェア構成の一例を示した図である。
【0096】
端末13は、例えばスマートフォン等とされ、CPU50と、ROM51と、RAM52と、EEPROM53と、撮像素子I/F54と、撮像素子55と、各種センサ56と、表示部57と、入力部58と、通信回路59と、音入出力I/F60と、マイク61と、スピーカ62とを含む。
【0097】
CPU50は、端末13全体の動作を制御する。ROM51は、CPU50の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM52は、CPU50に対して作業領域を提供する。EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)53は、各種のプログラムやデータ等を記憶する。撮像素子I/F54は、撮像素子55の駆動を制御する。撮像素子55は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサや、CCD(Charge Coupled Device)センサ等で、CPU50の制御の下で、被写体を撮像し、画像データを出力する。
【0098】
各種センサ56は、加速度センサ、方位センサ、GPS(Global Positioning System)センサ等であり、端末13に作用する加速度、端末13の頂部が向く方位、端末13の位置等を計測する。表示部57は、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescent)ディスプレイ等とされ、撮像した被写体の画像データ、ログイン画面等の各種の画面を表示する。入力部58は、タッチパネルとされ、表示部57上における入場者の操作や入力を受け付ける。
【0099】
通信回路59は、4Gや5Gを使用した遠距離通信、WiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)を使用した近距離通信を行う。音入出力I/F60は、音入力装置としてのマイク61、音出力装置としてのスピーカ62を制御する。
【0100】
図12は、端末13の機能構成の一例を示した図である。端末13は、アプリケーションがインストールされて、CPU50を各機能部として機能させる。機能部は、記憶部70と、受信部71と、送信部72と、入力受付部73と、判断部74と、合成部75と、補正部76とを含む。
【0101】
記憶部70は、受信した表示順、URL、表示データ、各種の設定データ等を記憶する。受信部71は、情報処理装置10から入力画面、表示順、URL、表示データを受信する。送信部72は、情報処理装置10に対して入力画面の取得要求、ログイン情報、URLに基づく表示データの取得要求を送信する。
【0102】
入力受付部73は、入場者のスワイプやタップ等の操作や、入場者の登録情報等の情報の入力を受け付ける。判断部74は、入力受付部73が受け付けた操作情報に基づき、表示データを取得するか否か、どの表示データを取得するか等を判断する。合成部75は、表示データとしての動画データに対し、テキストや静止画データ等を、テンプレートを使用して合成し、表示部57に表示させる。補正部76は、表示データの輝度等を補正する。
【0103】
端末13が備える上記の各機能部により実現される具体的な機能について、以下に詳細に説明する。入場者は、スワイプを行うことにより、決定された表示順に従って表示データを端末13の画面上に表示させることができる。図13を参照して、入場者による端末13の操作と、表示データの取得を要求するタイミングについて説明する。表示データを動画データとして説明する。
【0104】
図13(a)に示すように、画面に2つの動画A、Bを表示させる場合、端末13は、動画AのデータのURLを使用して動画Aのデータの取得を要求し、動画Aのデータのダウンロードが完了した後、動画BのデータのURLを使用して動画Bのデータの取得を要求する。しかしながら、この方法では、動画Bが遅れて表示されることとなるため、実際の展示会では同時に見えるはずの複数のブースが遅れて次々に現れることになり、実際の展示会にいるような臨場感を得ることはできない。
【0105】
そこで、端末13の送信部72は、先に全出展者の動画の1コマ目のデータを取得し、続いて動画Aのデータ(2コマ目以降のデータ)をダウンロードし、動画Aを再生している間に、動画Bのデータ(2コマ目以降のデータ)の取得を要求する。これにより、端末13は、動画Aのダウンロードおよび再生と並行して動画Bのダウンロードおよび再生を開始させることができる。画面上に表示されるべき2つの動画がほぼ同時に表示されるため、実際の展示会にいるような臨場感を得ることができる。
【0106】
図13(a)では、動画Bの一部が画面から消えているが、入力受付部73が受け付けた操作情報に基づき、判断部74が、動画Bを表示させた場合にどの程度の面積が表示されるかを計算し、計算結果に応じて、動画Bのデータの取得を要求するか否かを判断することができる。面積は、動画の表示領域の面積である。
【0107】
入場者は、動画Bのデータの取得を要求するか否かを判断する面積の割合の閾値(例えば、50%等)を設定することができる。閾値は、記憶部70に記憶され、デフォルトとして予め任意の値が設定されていてもよい。例えば、閾値として50%を設定した場合、計算結果が50%以上である場合に、動画Bのデータの取得を要求し、情報処理装置10からダウンロードして動画Bのデータの再生を開始させることができる。
【0108】
図13(b)は、入場者がスワイプを行った場合の画面を例示した図である。入場者が画面の下側から上側へ向けてスワイプを行うと、操作情報に基づき、動画Aが画面上から消え、動画Bが画面の上方へ移動し、動画Cが新たに現れる。
【0109】
動画Aは、ダウンロードとともに再生が開始されるため、ダウンロード中にスワイプが行われた場合でも、ダウンロードが継続されることになる。端末13は、記憶部70として使用されるキャッシュメモリを備え、ダウンロードしたデータをキャッシュメモリに蓄積し、キャッシュメモリに蓄積したデータを使用して表示部57に動画を表示させる。ダウンロードが継続されると、キャッシュメモリへのデータの蓄積も継続する。
【0110】
そこで、判断部74は、入力受付部73が受け付けた操作情報に基づき、動画Aが画面上から消えるか否かを判断し、消える場合、受信部71に対して動画Aのデータの受信を停止するように指示する。端末13は、さらに消去部を備え、動画Aのデータのダウンロードが停止した場合、消去部が、キャッシュメモリに蓄積した動画Aのデータを消去する。
【0111】
一方、判断部74は、入力受付部73が受け付けた操作情報に基づき、表示順が次の順番である動画Cのデータの取得を要求するか否かを判断する。動画Cのデータの取得を要求するか否かは、動画Cを表示させた場合に上記の閾値以上となる面積が表示されるか否かにより判断することができる。動画Cのデータの取得を要求すると判断した場合、送信部72が、動画CのデータのURLを使用して情報処理装置10に動画Cのデータ(2コマ目以降のデータ)の取得を要求し、受信部71が、情報処理装置10から動画Cのデータをダウンロードする。動画Cのデータは、キャッシュメモリに蓄積され、その後、再生される。
【0112】
入場者は、端末13の画面上でスワイプを行い、興味のある会社の動画を見つけると、自動再生される動画上でタップを行い、その会社の製品ブースのページへ移動し、その会社が出展する製品の動画等を見ることができる。最初に表示される出展者一覧に含まれる各会社を紹介する動画データには、その会社の製品ブースのページへ遷移するためのURLが埋め込まれており、入場者のタップによりURLが送信され、URLで示される記憶場所に記憶されているデータがダウンロードされ、再生される。
【0113】
会社が出展する製品は、全てが同じ区分の製品群とは限らない。例えば、家具販売では、台所、居間、子供部屋等の部屋によって販売する家具が異なる。このような場合、全ての製品を並べて表示すると、その数が多くなりすぎ、入場者にとっても、所望する製品の動画を探すため、何度もスワイプを行わなくてはならない。
【0114】
そこで、図14に示すように、表示データは、情報処理装置10において階層構造により管理することができる。第1階層は、最上位のルートノードであり、各会社を紹介する動画や静止画のデータである。第1階層のデータは、第2階層のデータの格納場所を示すURLが埋め込まれている。
【0115】
第2階層は、ルートノードから枝分かれた第1階層より1段下の階層であり、製品一覧に表示する、その会社が出展する各製品群を紹介する動画や静止画のデータである。製品群は、上記の家具を一例として挙げると、食器棚・調理台、ダイニングリビング家具、子供部屋家具等である。第2階層のデータは、第3階層のデータの格納場所を示すURLが埋め込まれている。
【0116】
第3階層は、第2階層から枝分かれした第2階層より1段下の階層である。図14に示す例では、第3階層は、最下位の階層であり、第2階層の各製品群に含まれる製品の動画や静止画のデータである。製品は、上記のダイニングリビング家具を一例として挙げると、テレビ台、ダイニングテーブル、ソファ等である。
【0117】
このような階層構造でデータを管理することで、入場者は、スワイプを繰り返さなくても、所望する製品の動画や静止画を探し、その動画や静止画を見ることができる。
【0118】
階層構造は、下位の階層へ複数の枝分かれした構造である。例えば、第1階層の1つのデータから第2階層の3つのデータに分岐する場合、分岐の条件を定めなければならない。例えば、第1階層のデータが表す画像の表示領域に応じて、各データに分岐させることができる。
【0119】
図15を参照して、分岐の条件として、画像の表示領域を用いる例について説明する。P社のダイニングリビング家具を紹介するページの表示データが、図15(a)に示すようなダイニングリビングを撮影した画像データとする。図15(a)の画像を拡大すると、図15(b)のような画像となる。画像は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。
【0120】
なお、画像が動画であり、1つの映像として記録されている場合、このような表示領域により分岐させることはできない。映像内の個々の要素を判別することができないからである。しかしながら、複数の静止画から構成される動画の各静止画を保持する場合、各静止画からは個々の要素を判別することが可能であるため、動画を構成する各静止画を保持する場合は、このような表示領域による分岐が可能となる。
【0121】
画像は、破線で示す3つの表示領域A~Cに区分される。領域Aは、窓、カーテンの画像を含む。領域Bは、ダイニングテーブルの画像を含む。領域Cは、ソファセットの画像を含む。領域Aには、窓、カーテンを紹介するページの画像データのURLが埋め込まれる。領域Bには、ダイニングテーブルを紹介するページの画像データのURLが埋め込まれる。領域Cには、ソファセットを紹介するページの画像データのURLが埋め込まれる。
【0122】
したがって、ダイニングリビング家具を紹介する画像の領域A内の任意の位置をタップし、領域Aを選択することで、埋め込まれたURLにより窓、カーテンを紹介するページの画像データを表示させることができる。同様にして、領域Bを選択することで、ダイニングテーブルを紹介するページの画像データを表示させることができる。また、領域Cを選択することで、ソファセットを紹介するページの画像データを表示させることができる。
【0123】
表示させる画像データが動画データである場合、動画データは、図16(a)に示すようなターンテーブル80上に製品81を載せ、動画撮影が可能なビデオカメラ82を所定の位置に配置し、ターンテーブル80を回転させ、製品81の周りを一周するように撮影した動画データであってもよい。
【0124】
図16(a)に示す例では、製品81として眼鏡をターンテーブル80上に載せ、ターンテーブル80を時計回りに回転させ、360度動画を撮影している。
【0125】
図16(b)は、一周を360コマの動画で撮影した場合の各コマの画像を例示した図である。コマは、画像を記録する単位であり、この例では、製品81である眼鏡を360度回転する間に360の画像を記録し、1から359の画像を示している。なお、360番目の画像は、1番目の画像と同様であるため、ここでは省略している。
【0126】
図16(c)は、端末13において動画をスワイプ表示させる例を示した図である。スワイプ表示は、スワイプにより製品81の周りを操作方向へ回転させ、回転させる各位置での製品81の画像を表示させるものである。したがって、入場者が画面に向かって右方向へスワイプを行うと、右方向に製品81が回転し、左方向にスワイプを行うと、左方向に製品81が回転する。
【0127】
スワイプ表示は、入場者が右方向、左方向のいずれの方向にスワイプ操作を行うか分からないため、情報処理装置10から端末13のキャッシュメモリへの360コマの全ての読み込みが終わらないと、任意の方向へ回転させることができない。任意の方向のコマがまだ読み込まれていないからである。ちなみに、全てのコマを読み込む時間は、1秒から数秒である。
【0128】
そこで、360コマの全てを読み込む前にスワイプによる回転を可能にするため、動画のコマを間引いて読み込む方法を採用する。この方法を詳細に説明すると、1コマ目から359コマ目まで読み込む場合、1コマ目から順に読み込むのではなく、1コマ目を読み込んだ後、1コマ目と359コマ目の中間の180コマ目を次に読み込み、さらに次に、1コマ目と180コマ目の中間の90コマ目、その次に、180コマ目と359コマ目の中間の270コマ目のように、最初は粗く、次第に細かくなるように間引いて読み込んでいく。まとめると、1コマ目、180コマ目、90コマ目、270コマ目、45コマ目、225コマ目、135コマ目、315コマ目、・・・、の順に読み込んでいく。
【0129】
このような間引き読み込みを行うことで、いずれの方向にも、読み込まれたコマが存在し、粗いながらも、再生可能となるため、いずれの方向へも回転させることができる。当初は、粗く間引き読み込みをしているので、粗い回転となる。具体的に説明すると、1コマ目、180コマ目、90コマ目、270コマ目しか読み込まれていない状況では、1コマ目から順に表示させる方向へ回転させると、それぞれの間のコマが読み込まれていないので、1コマ目、90コマ目、180コマ目、270コマ目の順に回転し、再生されることになる。しばらくすると、既に読み込まれたコマ間のコマも読み込まれていくので、滑らかな回転となる。
【0130】
各製品を紹介する表示データや各製品の詳細を表示する表示データの画像には、技術的な説明等の文字情報を追加することができる。図17を参照して、動画に文字情報を追加する方法について説明する。動画は、コマ毎の静止画から構成され、文字情報を各コマの静止画に追加することができる。しかしながら、各コマの静止画のそれぞれに文字情報を追加するのは、編集ソフト等を使用して文字を挿入する必要があるため、手間がかかる。また、別の文字情報を追加したい場合、編集前のデータから編集ソフトを使用して文字の挿入作業を再度行う必要がある。このため、編集前のデータを複数用意する必要がある。
【0131】
そこで、動画に透明な仮想シート(レイヤ)を持たせるように構成する。これにより、透明なレイヤの任意の位置に任意の文字情報を追加し、元の動画(各コマの静止画像)90に文字情報を追加した透明なレイヤ91を重ね合わせることにより、手間をかけることなく、元の動画90に文字情報を追加した動画92を作成することができる。具体的には、合成部75は、情報処理装置10から送信された文字情報および該文字情報を追加する位置の情報を取得し、取得した文字情報をレイヤの任意の位置に追加し、元の動画90に合成する。
【0132】
文字情報を変更したい場合は、重ね合わせたレイヤ91を取り除き、別の文字情報を追加した新たな透明なレイヤ93を元の動画90に重ね合わせることにより、別の文字情報に変更した動画94を得ることができる。このようにして、図17に示すように、開発者と購買者という異なる商談相手に対し、文字情報を変えて商談を行うことができ、余分な動画データを用意する必要がなくなる。
【0133】
図17を参照して動画に文字情報を追加する方法について説明したが、複数の静止画やテキストを組み合せ、動画化して表示させることも可能である。このとき、動画を組み合わせてもよい。この場合、図18に示すように、動画の素材DB100と、合成する静止画の素材DB101と、合成するテキストの素材DB102と、各素材を合成する際に使用する雛形(テンプレート)を格納するDB103とを使用する。これらのDBは、情報処理装置10が備えていてもよいし、情報処理装置10とは別に設けられていてもよい。なお、合成する素材は、静止画やテキストに限定されるものではなく、音等を合成させてもよい。
【0134】
端末13の送信部72は、ログイン時に、情報処理装置10へIDを送信し、受信部71が表示順とURLとを受信して取得する。その際、受信部71は、氏名、興味タグ等も受信して取得する。送信部72がURLを使用して表示データの取得要求を送信すると、受信部71が表示データを構成するために必要な複数の静止画、テキスト、テンプレートを各DBから受信して取得する。取得要求は、興味タグを含むことができ、興味タグに合う静止画やテキスト、テンプレートを取得することができる。合成部75は、受信部71が取得したテンプレートを使用して、複数の静止画、テキスト、氏名等を組み合わせ、動画化する。
【0135】
例えば、出展者を選択し、製品一覧のページへ遷移する際、DB101の製品ブースのページを構成する動画データに、DB101の複数の静止画とDB103のテンプレートを用い、取得した氏名と、素材DB102のテキストデータとを追加し、「〇〇様、ご入場ありがとうございます。」等の文字情報を追加した動画データを表示させることができる。これにより、実際に展示会へ行き、挨拶を交わしているような臨場感を与えることができる。
【0136】
また、入場者の興味をひくように、DB103のテンプレートを用い、素材DB101、102から取得した静止画像やテキストをアニメーションのように動かすことも可能である。静止画像やテキストをアニメーションのように動かす技術は、良く知られた技術であるため、ここでは詳述しない。
【0137】
上記では、360度動画について説明したが、全天球撮像装置(全天球カメラ)により360度を撮影した静止画像(全天球画像)の中の任意の方向の画像領域を、スワイプにより表示させることも可能である。これにより、入場者は、スワイプにより見る方向を変えることができ、例えば、製品を見比べることができる。
【0138】
全天球カメラは、全天球カメラを中心として一度に360度の全方向を撮影する。このため、照明の位置や窓の有無等により、撮影された画像には、明るい箇所と暗い箇所が出来てしまう。すると、明るい部分が真っ白になる白飛びや、暗い部分が真っ黒になる黒つぶれ等が発生し、製品の形状やデザイン等が認識できないケースが発生する。
【0139】
そこで、図19に示すように、輝度に一定の範囲を設け、その範囲より高い輝度を有する領域Aについては、補正部76が、その範囲に入るように輝度を下げ、その範囲より低い輝度を有する領域Bについては、その範囲に入るように輝度を上げる補正を行う。
【0140】
輝度の補正は、例えば画像を構成する各画素の輝度値に対し、変換式を適用し、輝度値を変換することにより行うことができる。なお、この補正方法は一例であるため、この方法に限定されるものではない。
【0141】
製品一覧を表示するための各製品を紹介する表示データは、上記で説明した出展者一覧を表示するための各出展者を紹介する表示データと同様、図20(a)に示すように、製品を紹介する表示データを並べたタイムライン形式で表示させることができる。製品を紹介する表示データも、パネル数が関連付けられ、また、PRタグが付与されているため、パネル数もしくは興味タグまたはその両方に基づき、表示順を抽選して決定し、決定した表示順で表示させることができる。
【0142】
決定した表示順で製品を紹介する表示データが並ぶ製品一覧のページには、問い合わせ/商談ボタン110を表示させることができ、入場者が問い合わせ/商談ボタン110をタップして押下することで、図20(b)に示す商談ページ111を表示させることができる。商談ページ111では、電話、チャット、Web会議等の手段を用いて、担当者との間でテキストや音声等により商談を行うことができる。図20(b)に示す例では、チャットにより商談を行っている。また、商談ページ111では、予め作成した名刺情報を互いにメッセージに添付して送信し、名刺情報を交換することができる。さらに、商談終了時に、PC12から端末13へ任意にアンケートを送付することも可能である。
【0143】
次に、図21を参照して、出展する会社の担当者が、その会社のブースに入場している入場者を特定する方法について説明する。入場者は、タイムライン形式で表示された出展者一覧に含まれる、会社を紹介する表示データの1つをタップして選択すると、選択した表示データに埋め込まれたURLに基づき、その会社のブースページのデータがダウンロードされ、端末13にその会社の製品を紹介する表示データがタイムライン表示される。ここでは、製品を紹介する表示データをタイムライン表示するものとして説明するが、タイムライン表示に限定されるものではない。端末13は、入場者が会社を紹介する表示データの1つを選択した際、URLを使用して入場者IDを含む表示データの取得要求を送信する。
【0144】
情報処理装置10は、端末13から表示データの取得要求を受信すると、取得要求に含まれる入場者IDを取得する。また、情報処理装置10は、要求された表示データを提供する出展者IDも取得する。情報処理装置10は、取得した入場者IDに基づき、入場者DBを参照し、入場者の氏名等を特定し、取得した出展者IDに基づき、出展者DBを参照し、入場者が入場した出展者のブースを特定する。このとき、情報処理装置10は、入場者の役職、部門、興味タグ等を取得してもよい。情報処理装置10は、入場者IDと、入場者の氏名等と、入場者が入場した出展者のブース名等と、入場した時刻とを関連付け、履歴情報として記憶する。
【0145】
また、入場者が端末13を操作し、再び出展者一覧のページに戻った場合、情報処理装置10は、入場者IDとともに出展者一覧のページに戻った旨の通知を受け、その会社のブースから退場したことを検出する。情報処理装置10は、入場者IDと、入場者の氏名等と、入場者が退場した出展者のブース名等と、退場した時刻とを関連付け、履歴情報として記憶する。
【0146】
情報処理装置10は、入場者の氏名等を特定し、その入場者が入場した出展者のブースを特定した後、その出展者が所有するPC12等に、入場した入場者の氏名等を通知する。また、情報処理装置10は、入場者の氏名等を特定し、その入場者が退場した出展者のブースを特定した後、その出展者が所有するPC12に、退場した入場者の氏名等を通知する。このような通知を受けることにより、各会社の担当者は、自身の会社のブースへどのユーザがいつ入場し、いつ退場したかを検知することができる。また、履歴情報として情報処理装置10に記録されているため、どの時間帯にどれくらいのユーザが入場し、どの程度の時間滞在したか等の情報を得ることができる。また、出展者は、PC12の管理画面から、入場者の状況を把握でき、入場者の滞在時間が長い場合、管理画面にある「声かけ」ボタンを押下(クリック)することにより、入場者の端末13の画面に「ご質問はありませんか?」等のポップアップを表示させることができる。
【0147】
図22を参照して、会社のブースへ入場した入場者がどの表示データをどれだけの時間閲覧しているかを検出する方法について説明する。入場者は、自身が所持する端末13に対し、スワイプを行って操作を開始し、閲覧したい製品等を探す。入場者がスワイプを行っている間は、端末13にそれまでに表示されていない製品を紹介する表示データを次々に表示させなければならないことから、端末13は、情報処理装置10に対し、URLに基づき、入場者IDを含む表示データの取得要求を送信する。このため、情報処理装置10は、端末13から表示データの取得要求を受けて、該当する表示データを端末13へ送信する。
【0148】
一方、入場者が熱心に1つの表示データを閲覧しているときは、入場者は端末13に対してスワイプを行わない。すなわち、端末13は、表示データの取得要求を送信しない。このため、情報処理装置10も、端末13へは表示データを送信しない。入場者は、閲覧が終了すると、再び操作を開始する。したがって、端末13は、表示データの取得要求の送信を開始する。これを受けて、情報処理装置10も、端末13への表示データを開始する。情報処理装置10は、端末13からの表示データの取得要求の受信が停止し、表示データの取得要求の受信が再開されるまでの時間を、表示データを閲覧している時間として検出することができる。
【0149】
入場者が閲覧している表示データは、端末13に表示されている表示データであり、停止する直前の取得要求に基づき、情報処理装置10が送信した表示データである。
【0150】
このようにして、各入場者が閲覧した表示データと閲覧時間とを取得することができることから、情報処理装置10は、入場者ID等と関連付けて、これらの情報を閲覧履歴として記録することができる。
【0151】
入場者の閲覧時間が長いほど、その製品に対して興味があることを示す。このため、閲覧時間に閾値を設け、閲覧時間が閾値を超えた場合、情報処理装置10は、入場者の情報とともに閲覧している表示データを、その表示データを提供する会社の担当者が所有するPC12へ通知することができる。入場者の情報は、入場者の端末13と直接やりとりを可能にするための入場者ID等の情報である。これにより、特定の製品に対して熱心に閲覧している入場者に対し、その製品を出展している会社の担当者から、質問等があるかを尋ねる通知を送付することができる。
【0152】
通知は、例えば最前面に飛び出すように現れるポップアップにより行うことができる。また、通知ではなく、図23に示すような商談を催促するポップアップ112を表示させ、商談ページへの遷移を促してもよい。
【0153】
閲覧履歴は、時系列で入場者の行動をトレースするものである。したがって、閲覧履歴に基づき、ビジネスマッチングの可能性の高い傾向を分析し、商談に応じる可能性が高い入場者の情報を出展者に提供し、入場者に対しては商談ページへの遷移を促すことができる。このようにして、商談を希望する入場者と出展者とを適切に結び付けることができる。
【0154】
情報提供システムは、上記で説明した機能以外の機能を備えることができる。例えば、スポンサーからの広告を表示させる機能、セミナー動画を視聴する機能、アンケートを取り、製品表示を変更するアンケート機能等である。
【0155】
以上に説明してきたように、本発明の装置、システム、方法、プログラムを提供することで、入場者や出展者にとって最適な順序で情報を提供することができる。
【0156】
これまで本発明の装置、システム、方法、プログラムについて図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0157】
10…情報処理装置
11…ネットワーク
12…PC
13…端末
14…アクセスポイント
20…CPU
21…ROM
22…RAM
23…HDD
24…入出力I/F
25…通信I/F
26…バス
27…入力装置
28…表示装置
30…記憶部
31…受信部
32…抽出部
33…決定部
34…送信部
35…認証部
36…取得部
37…処理部
40…タブ
50…CPU
51…ROM
52…RAM
53…EEPROM
54…撮像素子I/F
55…撮像素子
56…各種センサ
57…表示部
58…入力部
59…通信回路
60…音入出力I/F
61…マイク
62…スピーカ
70…記憶部
71…受信部
72…送信部
73…入力受付部
74…判断部
75…合成部
76…補正部
80…ターンテーブル
81…製品
82…ビデオカメラ
90、92、94…動画
91、93…レイヤ
100~102…素材DB
103…DB
110…問い合わせ/商談ボタン
111…商談ページ
112…ポップアップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23