(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】ヘアコンディショニング組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20241203BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20241203BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241203BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20241203BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241203BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20241203BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A61K8/92
A61Q5/12
A61K8/34
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/891
A61K8/41
(21)【出願番号】P 2020204205
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 怜
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094265(JP,A)
【文献】特開2008-266344(JP,A)
【文献】国際公開第2020/230691(WO,A1)
【文献】特開2018-154604(JP,A)
【文献】特開2018-158904(JP,A)
【文献】特開2013-116859(JP,A)
【文献】特開2014-231489(JP,A)
【文献】特開2009-286774(JP,A)
【文献】特開2018-199633(JP,A)
【文献】特開2003-212734(JP,A)
【文献】特許第6698918(JP,B1)
【文献】特開2020-196675(JP,A)
【文献】特開2010-105993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性界面活性剤0.5~4重量%と炭素数16~22の高級アルコールを、重量比(炭素数16~22の高級アルコール)/(カチオン性界面活性剤)=1~3で含有し、
下記成分(A)~(E):
(A)シリコーン油を除く25℃で液状の油
(B)カチオン化グアーガム
(C)ポリクオタニウム-48 0.5~3重量%
(D)25℃における動粘度が10,000mm
2/s以上でありアミノ基を有しない高重合シリコーン
(E)25℃における動粘度が500mm
2/s以下でありアミノ基を有しない低粘度シリコーン
を含有し、成分(D)と成分(E)の重量比(E)/(D)の値が1.5~2.1であり、かつアミノ基を有するシリコーンを含有しないことを特徴とするヘアコンディショニング組成物
【請求項2】
成分(A)シリコーン油を除く25℃で液状の油の含有量が0.05~4重量%である請求項1に記載のヘアコンディショニング組成物
【請求項3】
成分(B)カチオン化グアーガムの含有量が0.05~2重量%である請求項1、又は2に記載のヘアコンディショニング組成物
【請求項4】
成分(D)25℃における動粘度が10,000mm
2/s以上でありアミノ基を有しない高重合シリコーンと(E)25℃における動粘度が500mm
2/s以下でありアミノ基を有しない低粘度シリコーンの総含有量が2~5重量%である請求項1~3のいずれか一項記載のヘアコンディショニング組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ変性シリコーンを含有しなくても指滑りやしっとり感が良好で、毛髪のコンディショニング効果を損なうことなく、毛髪にハリコシ感を与えることができるヘアコンディショニング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘアスタイルの多様化に伴い、消費者は毛髪における所望の外見を得るために、ヘアカラーやパーマ処理などを定期的に行うようになった。しかし、ヘアカラーやパーマ処理を行うと、薬剤によって毛髪表面の脂質層が失われ、指滑りの悪化やきしみ感、まとまりが悪くなるなどの現象が起きたり、さらには毛髪内部の間充物質が流出し、毛髪のハリコシ感が低下するなどの問題が生じる場合がある。
【0003】
加えて、日々のブラッシングやコーミングによってもキューティクルが削られ、摩擦が大きくなるため、パサつきや滑りの悪さが現れる。さらには、加齢等による毛髪のハリコシ感低下も問題となることがしばしばある。そのため、ヘアリンスやヘアコンディショニング組成物には、滑らかさ、しっとり感等のより高いコンディショニング効果のみならず、ハリコシ感を与えることが求められるようになってきた。
【0004】
そこで近年、しっとり感や柔らかさ、指滑り等の感触付与に優れたアミノ変性シリコーンを含有するヘアコンディショニング組成物が増えてきた。アミノ変性シリコーンはカチオン化したアミノ基を有しているため、ジメチコンと比較すると毛髪への吸着力が高く、長期的なコンディショニング効果を期待できる。
【0005】
一方、アミノ変性シリコーンを過剰に使用するとべたつきやぬるつきを感じやすくなったり、髪との親和性やコーティング力が高いためにカラー剤の色が入りにくい、パーマがかかりにくいなどの欠点もある。また、長期的に定期使用すると毛髪が重くなりハリコシ感を感じにくくなるといった問題もある。
【0006】
これまでに、毛髪にハリコシ感を付与することのできる技術が開示されているが(特許文献1)、しっとり感を改善するものではなく、また、アミノ変性シリコーンを含有しているため、長期的に使用した場合においてハリコシ感を感じにくくなる可能性がある。他にも、毛髪にしっとり感を付与することのできる技術が開示されているが(特許文献2)、ハリコシ感を改善するものではなく、これにおいてもアミノ変性シリコーンを含有するため、長期使用におけるハリコシ感の低下が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-23478
【文献】特開2020-125257
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、アミノ変性シリコーンを含有しなくても指滑りやしっとり感が良好で、毛髪のコンディショニング効果を損なうことなく、毛髪にハリコシ感を与えることができるヘアコンディショニング組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
カチオン性界面活性剤0.5~4重量%と炭素数16~22の高級アルコールを、重量比(炭素数16~22の高級アルコール)/(カチオン性界面活性剤)=1~3で含有し、
下記成分(A)~(E):
(A)シリコーン油を除く25℃で液状の油
(B)カチオン化グアーガム
(C)ポリクオタニウム-48 0.5~3重量%
(D)25℃における動粘度が10,000mm2/s以上でありアミノ基を有しない高重合シリコーン
(E)25℃における動粘度が500mm2/s以下でありアミノ基を有しない低粘度シリコーン
を含有し、成分(D)と成分(E)の重量比(E)/(D)の値が1.5~2.1であり、かつアミノ基を有するシリコーンを含有しないことを特徴とするヘアコンディショニング組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、成分(A)シリコーン油を除く25℃で液状の油の含有量が0.05~4重量%であるヘアコンディショニング組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、成分(B)カチオン化グアーガムの含有量が0.05~2重量%であるヘアコンディショニング組成物を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、成分(D)25℃における動粘度が10,000mm2/s以上でありアミノ基を有しない高重合シリコーンと(E)25℃における動粘度が500mm2/s以下でありアミノ基を有しない低粘度シリコーンの総含有量が2~5重量%であるヘアコンディショニング組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のヘアコンディショニング組成物は、アミノ変性シリコーンを含有しなくても指滑りやしっとり感が良好で、毛髪のコンディショニング効果を損なうことなく、毛髪にハリコシ感を与えられることに優れている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、通常よく使われるヘアコンディショニング組成物であって、カチオン性界面活性剤0.5~4重量%と炭素数16~22の高級アルコールを、重量比(炭素数16~22の高級アルコール)/(カチオン性界面活性剤)=1~3の範囲において検討したものである。
【0015】
本発明における成分(A)シリコーン油を除く25℃で液状の油剤としては、例えば、流動パラフィン、水添ポリイソブテン、スクワラン等の炭化水素油、オリーブ油、マカデミアナッツ油等のトリグリセリド、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル等のエステル油、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の分岐又は不飽和高級アルコールが挙げられる。なお、これらの液状油は、1種でも2種以上含有しても良く、中でもしっとり感と経時安定性の面から、流動パラフィンや水添ポリイソブテン、スクワラン等の炭化水素油が好ましい。また、本発明における液状とは25℃で流動性を有するものとする。
【0016】
成分(A)の含有量は、特に限定されないが、ヘアコンディショニング組成物全体に対して0.05~4重量%が好ましい。
【0017】
本発明に用いる成分(B)カチオン化グアーガムとしては、例えばグアーガムを4級アンモニウム化したグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドが挙げられる。市販品として、例えば「ラボールガム CG-M」(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)等が挙げられる。
【0018】
成分(B)カチオン化グアーガムの含有量は、特に限定されないが、ヘアコンディショニング組成物全体に対して0.05~2重量%が好ましい。
【0019】
本発明における成分(C)ポリクオタニウム-48はメタクリル酸エチルベタイン、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルとメタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロリドからなる4級アンモニウム塩の重合体である。市販品としては「プラスサイズ L-450W」(互応化学工業株式会社製)等が挙げられる。(ポリクオタニウム-48:40%)
【0020】
成分(C)ポリクオタニウム-48の含有量は、0.5~3重量%が好ましく、より好ましくは1~2重量%である。含有量が0.5重量%未満であると、十分なハリコシ感を得ることができないため好ましくない。一方で3重量%を超えると、ハリコシ感ではなくべたつきや不快なきしみ感として感じられることがあり、滑らかな感触が得られにくくなる場合がある。
【0021】
本発明における成分(D)25℃における動粘度が10,000mm2/s以上でありアミノ基を有しない高重合シリコーン(以下、高重合シリコーンと記す)としては、アミノ基を有しない高重合ジメチコン、アミノ基を有しない高重合ジメチコノール、及びモノマーの一部にジメチコンを有するポリマーからなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。市販品としては、「シリコーン KF96H/10万CS」(信越化学工業株式会社製)や、「シリコーン KF96H/100万CS」(信越化学工業株式会社製)、「BELSIL GB 5150」(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)(高重合メチルポリシロキサン:20%)等が挙げられる。中でも指滑りの面から25℃における動粘度は50,000~300,000mm2/sが好ましい。なお、本発明の動粘度は、JIS K2283の試験方法で測定したものとする。
【0022】
本発明における成分(E)25℃における動粘度が500mm2/s以下である低粘度シリコーン(以下、低粘度シリコーンと記す)としては、アミノ基を有していない低粘度ジメチコンや低粘度メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。市販品としては、「SH200 C Fluid 30CS」(ダウ・東レ株式会社製)や「シリコーン KF-50-100CS」(信越化学工業株式会社製)、「SH200 C Fluid 350CS」(ダウ・東レ株式会社製)等が挙げられる。中でもしっとり感の面から25℃における動粘度は200~400mm2/sが好ましい。
【0023】
成分(D)と成分(E)の重量比(E)/(D)の値は1.5~2.1が好ましく、より好ましくは1.7~1.9である。(E)/(D)の値が1.5未満であると、十分なしっとり感を得られない場合があるため好ましくない。一方で2.1を超えると、べたつきを感じる場合があるため好ましくない。
【0024】
本発明における成分(D)と成分(E)の総含有量は、特に限定されないが、ヘアコンディショニング組成物全体に対して2~5重量%が好ましく、より好ましくは3~4重量%である。
【0025】
本発明には、本発明の効果を損なわない範囲内で、化粧品、医薬部外品、医薬品又は食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、キレート剤、皮膜剤等の成分を含有することができる。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。尚、含有量については特記しない限りすべて重量%を表す。
【0027】
下記の表1~3に挙げた組成を有するヘアコンディショニング組成物を調製し、15名の女性専門パネルに各ヘアコンディショニング組成物を使用してもらい、乾燥後の「指滑り」、「ハリコシ感」、「きしみのなさ」、「べたつき」「しっとり感」の項目に関して評価した。尚、評価基準は下記の通りである。
「指滑り」
(評価基準)
15名の女性専門パネルにより乾燥後の毛髪の指滑りについて、「良い」「悪い」の2段階で判定を行い、下記の基準に従って評価した。
◎:指滑りが良好であると評価した人が12名以上。
○:指滑りが良好であると評価した人が8~11名。
△:指滑りが良好であると評価した人が4~7名。
×:指滑りが良好であると評価した人が3名以下。
「ハリコシ感」
(評価基準)
15名の女性専門パネルにより乾燥後の毛髪のハリコシ感について、「ある」「ない」の2段階で判定を行い、下記の基準に従って評価した。
◎:ハリコシ感があると評価した人が12名以上。
○:ハリコシ感があると評価した人が8~11名。
△:ハリコシ感があると評価した人が4~7名。
×:ハリコシ感があると評価した人が3名以下。
「きしみのなさ」
(評価基準)
15名の女性専門パネルにより乾燥後の毛髪のきしみ感について、「ある」「ない」の2段階で判定を行い、下記の基準に従って評価した。
◎:きしみ感がないと評価した人が12名以上。
○:きしみ感がないと評価した人が8~11名。
△:きしみ感がないと評価した人が4~7名。
×:きしみ感がないと評価した人が3名以下。
「べたつき」
(評価基準)
15名の女性専門パネルにより乾燥後の毛髪のべたつき感について、「ある」「ない」の2段階で判定を行い、下記の基準に従って評価した。
◎:乾燥後のべたつき感がないと評価した人が12名以上。
○:乾燥後のべたつき感がないと評価した人が8~11名。
△:乾燥後のべたつき感がないと評価した人が4~7名。
×:乾燥後のべたつき感がないと評価した人が3名以下。
「しっとり感」
(評価基準)
15名の女性専門パネルにより乾燥後の毛髪のしっとり感について、「ある」「ない」の2段階で判定を行い、下記の基準に従って評価した。
◎:しっとり感があると評価した人が12名以上。
○:しっとり感があると評価した人が8~11名。
△:しっとり感があると評価した人が4~7名。
×:しっとり感があると評価した人が3名以下。
【0028】
(製造方法)
カチオン性界面活性剤、炭素数16~22の高級アルコール、成分(A)シリコーン油を除く25℃で液状の油を加熱溶解したところへ、80℃に加熱した成分(B)カチオン化グアーガムを含む水相を加えて乳化した後、成分(C)ポリクオタニウム-48、(D)高重合シリコーン、(E)低粘度シリコーンを加えてホモミキサーにて分散を行った。その後、冷却してヘアコンディショニング組成物を得た。
【0029】
【表1】
※1 カチナールSTC 70ET(東邦化学工業株式会社製)
※2 セチルアルコール NX(高級アルコール工業株式会社製)
※3 流パラ#70(Sonneborn社製)
※4 NIKKOL マカデミアンナッツ油(日光ケミカルズ株式会社製)
※5 ラボールガム CG-M(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)
※6 プラスサイズ L-450W(互応化学工業株式会社製)(ポリクオタニウム-48:40%)
※7 シリコーン KF96H/10万CS(信越化学工業株式会社製)
※8 SH200 C Fluid 350CS(ダウ・東レ株式会社製)
【0030】
表1の実施例1~9に示したように、成分(A)シリコーン油を除く25℃で液状の油を含有した場合、全ての項目において満足する結果が得られた。また、(A)シリコーン油を除く25℃で液状の油を0.05~4重量%含有した場合、特に優れた結果が得られた。一方で、比較例1に示したように、(A)シリコーン油を除く25℃で液状の油を含有しなかった場合、指滑りやきしみのなさ、しっとり感の項目において満足する結果が得られなかった。また、比較例2に示したように、シリコーン油を除く25℃で液状の油の代わりにワセリンを用いた場合、指滑りやべたつきの項目において満足する結果が得られなかった。
【0031】
【表2】
※9 レオガードGP(ライオン株式会社製)
※10 メトローズ 65SH 4000(信越アステック株式会社製)
※11 Merquat 2001 Polymer(日本ルーブリゾール株式会社製)
【0032】
表2の実施例10~17に示したように、成分(B)カチオン化グアーガムを含有した場合と、(C)ポリクオタニウム-48を0.5~3重量%含有した場合、すべての項目において満足する結果が得られた。また、(B)カチオン化グアーガムを0.05~2重量%含有した場合や、(C)ポリクオタニウム-48を1~2重量%含有した場合、特に優れた結果が得られた。一方で、比較例3、4に示したように、(B)カチオン化グアーガムの代わりにポリクオタニウム-10やヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた場合、指滑りやきしみのなさの項目において満足する結果が得られなかった。また、比較例5に示したように、(C)ポリクオタニウム-48を0.5重量%未満含有した場合、ハリコシ感の項目において満足する結果が得られず、比較例6に示したように、3重量%を超えて含有した場合、指滑りやきしみのなさ、べたつきの項目において満足する結果が得られなかった。また、比較例7に示したように、(C)ポリクオタニウム-48の代わりにポリクオタニウム-47を用いた場合、ハリコシ感やべたつきの項目において満足する結果が得られなかった。
【0033】
【表3】
※12 シリコーン KF96H-100万CS(信越化学工業株式会社製)
※13 シリコーン KF96-5000CS(信越化学工業株式会社製)
※14 SH200 C Fluid 30CS(ダウ・東レ株式会社製)
※15 シリコーン KF96-1000CS(信越化学工業株式会社製)
【0034】
表3の実施例18~29に示したように、成分(D)高重合シリコーンと成分(E)低粘度シリコーンの重量比(E)/(D)の値が1.5~2.1の場合、全ての項目において満足する結果が得られた。また、動粘度が50,000~300,000mm2/sである高重合シリコーンと動粘度が200~400mm2/sの低粘度シリコーンを(E)/(D)の値が1.7~1.9であるように含有した場合、特に優れた結果が得られた。一方で、比較例8に示したように、(E)/(D)の値が2.1より大きい場合、指滑りやべたつきの項目において満足する結果が得られず、比較例9に示したように、(E)/(D)の値が1.5より小さい場合、ハリコシ感やしっとり感の項目において満足する結果が得られなかった。また、比較例10に示したように、動粘度5,000mm2/sである高重合シリコーンを含有した場合、指滑りやきしみのなさの項目において満足する結果が得られず、比較例11に示したように、動粘度1,000mm2/sである低粘度シリコーンを含有した場合、しっとり感の項目において満足する結果が得られなかった。
【0035】
次に、本発明のその他の実施例を示す。いずれにおいても、同様の評価項目において満足する結果が得られた。
【0036】
(実施例30:ヘアコンディショニング組成物1)
(成分) (重量%)
(1)ステアルトリモニウムクロリド※1 1.5
(2)ベヘントリモニウムクロリド※16 1.0
(3)ベヘニルアルコール※17 5.0
(4)スクワラン 3.0
(5)グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド※5 0.1
(6)1,3-ブチレングリコール 5.0
(7)ポリクオタニウム-48※6 2.0
(8)高重合シリコーン※7 1.2
(9)低粘度シリコーン※8 2.1
(10)香料 適 量
(11)精製水 残 余
※16 NIKKOL CA-2580(日光ケミカルズ株式会社製)
※17 ベヘニルアルコール(高級アルコール工業株式会社製)
(製造方法)
成分(1)~(4)を加熱溶解したところに、加熱した成分(5)、(6)、(11)を含む水相を加えて乳化した後、成分(7)~(9)を加えてホモミキサーにて分散し、冷却中に成分(10)を加えることでヘアコンディショニング組成物1を得た。
【0037】
(実施例31:ヘアコンディショニング組成物2)
(成分) (重量%)
(1)ベヘントリモニウムクロリド※16 3.0
(2)セチルアルコール※2 4.0
(3)水添ポリイソブテン 1.0
(4)ミネラルオイル※3 1.0
(5)グリセリン 4.0
(6)グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド※5 0.8
(7)ポリクオタニウム-48※6 2.0
(8)高重合シリコーン※7 1.2
(9)低粘度シリコーン※8 2.1
(10)香料 適 量
(11)フェノキシエタノール 適 量
(12)精製水 残 余
(製造方法)
成分(1)~(4)を加熱溶解したところに、加熱した成分(5)、(6)、(12)を含む水相を加えて乳化した後、成分(7)~(9)を加えてホモミキサーにて分散し、冷却中に成分(10)、(11)を加えることでヘアコンディショニング組成物2を得た。
【0038】
(実施例32:ヘアコンディショニング組成物3)
(成分) (重量%)
(1)ステアルトリモニウムクロリド※1 3.0
(2)ステアリルアルコール※18 4.0
(3)ベヘニルアルコール※17 2.0
(4)ミネラルオイル 3.0
(5)グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド※5 0.1
(6)グリセリン 3.0
(7)1,2-ペンタンジオール 2.0
(8)ポリクオタニウム-48※6 2.0
(9)高重合シリコーン※7 1.2
(10)低粘度シリコーン※8 2.1
(11)香料 適 量
(12)精製水 残 余
※18 ステアリルアルコール NX(高級アルコール工業株式会社製)
(製造方法)
成分(1)~(4)を加熱溶解したところに、加熱した成分(5)~(7)と成分(12)を含む水相を加えて乳化した後、成分(8)~(10)を加えてホモミキサーにて分散し、冷却中に成分(11)を加えることでヘアコンディショニング組成物3を得た。
【0039】
(実施例33:ヘアコンディショニング組成物4)
(成分) (重量%)
(1)ステアルトリモニウムクロリド※1 1.5
(2)ベヘントリモニウムクロリド※16 1.5
(3)ベヘニルアルコール※17 1.0
(4)セチルアルコール※2 4.0
(5)ミネラルオイル※3 1.0
(6)水添ポリイソブテン 1.0
(7)スクワラン 1.0
(8)グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド※5 0.3
(9)グリセリン 5.0
(10)1,3-ブチレングリコール 2.0
(11)メチルパラベン 適 量
(12)ポリクオタニウム-48※6 2.0
(13)高重合シリコーン※7 0.6
(14)高重合シリコーン※19 0.6
(15)低粘度シリコーン※8 0.6
(16)低粘度シリコーン※14 1.5
(17)香料 適 量
(18)精製水 残 余
※19 BELSIL GB 5150(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)(高重合メチルポリシロキサン:20%)
(製造方法)
成分(1)~(7)を加熱溶解したところに、加熱した成分(8)~(11)と成分(16)を含む水相を加えて乳化した後、成分(12)~(16)を加えてホモミキサーにて分散し、冷却中に成分(17)を加えることでヘアコンディショニング組成物4を得た。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、アミノ変性シリコーンを含有しなくても指滑りやしっとり感が良好で、毛髪のコンディショニング効果を損なうことなく、毛髪にハリコシ感を与えることができるヘアコンディショニング組成物を提供することができる。