(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】ウォーターサーバー、その給水方法、プログラム、記録媒体および制御装置
(51)【国際特許分類】
B67D 3/00 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
B67D3/00 H
(21)【出願番号】P 2021131986
(22)【出願日】2021-08-13
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】小野 喜之
(72)【発明者】
【氏名】勝部 泉
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 亜沙美
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-138764(JP,A)
【文献】特開2014-181045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動スイッチと、
交流給電時、該交流給電により直流出力を生じ、かつ、その停電時、前記起動スイッチの操作を受けて電池給電を保持し、該電池給電により電池出力を生じ、該電池給電時、電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する電源部と、
冷水スイッチまたは温水スイッチの操作により注水動作を行う注水動作部と、
前記起動スイッチの起動開始から注水動作を監視し、継続する一定時間に注水動作がない場合、少なくとも前記一定時間の経過後
に前記電池給電解除信号を出力し、前記一定時間の経過前に前記注水動作がある場合、前記注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力する制御部と、
を備える、ウォーターサーバー。
【請求項2】
前記電源部は、
前記起動スイッチの操作を受けて前記電池給電を保持する電池給電保持部と、
前記電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する電池給電解除部と、
を備える、請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記制御部は、前記起動開始から経過時間を計測し、この経過時間に対して前記一定時間を表す閾値が設定され、該閾値内に前記注水動作がなければ、前記経過時間が前記閾値に到達した後に前記電池給電解除信号を出力し、前記経過時間が前記閾値に到達した時点で注水動作中であれば、該注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力する、請求項1または請求項2に記載のウォーターサーバー。
【請求項4】
前記制御部は、前記注水動作の終了から経過時間を計測し、この経過時間に対して前記一定時間を表す閾値が設定され、該閾値内に前記注水動作がなければ、前記経過時間が前記閾値に到達後に前記給電解除信号を出力し、前記経過時間が前記閾値に到達した時点で注水動作中であれば、該給水動作の終了後に前記給電解除信号を出力する、請求項1または請求項2に記載のウォーターサーバー。
【請求項5】
前記制御部は、前記注水動作の終了時点で前記閾値を解除し、該解除時点で前記起動スイッチを操作することなく新たな閾値を設定する、請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載のウォーターサーバー。
【請求項6】
さらに、冷水タンクの貯留水の温度を検出する温度センサーと、
少なくとも冷水表示または注水可能表示を提示する情報提示部と、
を備え、前記制御部は、前記貯留水の検出温度が所定温度以下であれば、前記情報提示部に冷水表示を提示するとともに注水を許可し、前記貯留水が前記所定温度を超えた場合には、前記冷水表示を解除するとともに注水を禁止する、請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載のウォーターサーバー。
【請求項7】
さらに、前記制御部は、前記電池給電時において、温水ヒーターへの給電を停止し、前記情報提示部に、温水表示に代わる注水可能表示を提示させる、請求項6に記載のウォーターサーバー。
【請求項8】
電源部が、交流給電時、該交流給電を受けて直流出力を生じ、その停電時、起動スイッチの操作を受けて電池給電を保持し、該電池給電により電池出力を生じる工程と、
制御部が、前記起動スイッチの起動開始から注水動作を監視し、継続する一定時間に注水動作がない場合、少なくとも前記一定時間の経過後
に電池給電解除信号を出力し、前記一定時間の経過前に前記注水動作がある場合、前記注水動作の終了後に
前記電池給電解除信号を出力する工程と、
前記電源部が、前記制御部から前記電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する工程と、
を含む、ウォーターサーバーの給水方法。
【請求項9】
電池により給電する工程と、
電池給電保持部が、前記起動スイッチの操作を受けて前記電池給電を保持する工程と、
電池給電解除部が、前記電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する工程と、
注水動作部が冷水スイッチまたは温水スイッチの操作により注水動作を行う工程と、
前記制御部が、前記起動スイッチの起動開始から注水動作を監視し、継続する一定時間に注水動作がない場合、少なくとも前記一定時間の経過後
に前記電池給電解除信号を出力し、前記一定時間の経過前に前記注水動作がある場合、前記注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力する工程と、
を含む、請求項8に記載のウォーターサーバーの給水方法。
【請求項10】
前記制御部が、前記起動開始から経過時間を計測し、または注水動作の終了から経過時間を計測し、該経過時間に対して前記一定時間を表す閾値が設定され、前記注水動作がなければ、前記経過時間が前記閾値に到達後に前記給電解除信号を出力し、前記経過時間が前記閾値に到達した時点で注水動作中であれば、該注水動作の終了後に前記給電解除信号を出力する工程を含む、請求項8または請求項9に記載のウォーターサーバーの給水方法。
【請求項11】
前記制御部が、前記注水動作の終了時点で前記閾値を解除し、該解除時点で前記起動スイッチを操作することなく新たな閾値を設定する工程を含む、請求項8ないし請求項10の何れかの請求項に記載のウォーターサーバーの給水方法。
【請求項12】
さらに、温度センサーが、冷水タンクの貯留水の温度を検出する工程と、
情報提示部が、少なくとも冷水表示または注水可能表示を提示する工程と、
前記制御部が、前記貯留水の検出温度が所定温度以下であれば、前記情報提示部に冷水表示を提示するとともに注水を許可し、前記貯留水が前記所定温度を超えた場合には、前記冷水表示を解除するとともに注水を禁止する工程と、
を含む、請求項8ないし請求項11の何れかの請求項に記載のウォーターサーバーの給水方法。
【請求項13】
さらに、前記制御部が、前記電池給電時、温水ヒーターへの給電を停止し、情報提示部に、温水表示に代わる注水可能表示を提示させる工程を含む、請求項8ないし請求項12の何れかの請求項に記載のウォーターサーバーの給水方法。
【請求項14】
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
交流給電時、該交流給電を受けて直流出力を生じ、その停電時、起動スイッチの操作を受けて電池給電を保持し、該電池給電により電池出力を生じさせる機能と、
冷水スイッチまたは温水スイッチの操作により注水動作部に注水動作を行わせる機能と、
前記起動スイッチの起動開始から注水動作を監視し、継続する一定時間に注水動作がない場合、少なくとも前記一定時間の経過後
に電池給電解除信号を出力し、前記一定時間の経過前に前記注水動作がある場合、前記注水動作の終了後に
前記電池給電解除信号を出力させる機能と、
前記電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除させる機能と、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
さらに、前記起動開始から経過時間を計測し、または注水動作の終了から経過時間を計測し、該経過時間に対して前記一定時間を表す閾値が設定され、前記注水動作がなければ、前記経過時間が前記閾値に到達した後に前記電池給電解除信号を出力し、前記経過時間が前記閾値に到達した時点で注水動作中であれば、該注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力させる機能を前記コンピュータに実行させるための請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
前記注水動作の終了時点で前記閾値を解除し、該解除時点で前記起動スイッチを操作することなく新たな閾値を設定する機能を前記コンピュータに実行させるための請求項14または請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
さらに、冷水タンクの貯留水の温度を検出する温度センサーから温度情報を取得する機能と、
少なくとも冷水表示または注水可能表示を情報提示部に提示させる機能と、
前記貯留水の検出温度が所定温度以下であれば、前記情報提示部に冷水表示を提示するとともに注水を許可し、前記貯留水が前記所定温度を超えた場合には、前記冷水表示を解除するとともに注水を禁止する機能と、
を前記コンピュータに実行させるための請求項14ないし請求項16の何れかの請求項に記載のプログラム。
【請求項18】
さらに、前記電池給電時、温水ヒーターへの給電を停止し、情報提示部に、温水表示に代わる注水可能表示を提示させる機能を前記コンピュータに実行させるための請求項14ないし請求項17の何れかの請求項に記載のプログラム。
【請求項19】
請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載のウォーターサーバーの制御情報、または請求項14ないし請求項18の何れかの請求項に記載のプログラムを格納した記録媒体。
【請求項20】
起動スイッチと、
交流給電時、該交流給電により直流出力を生じ、かつ、その停電時、前記起動スイッチの操作を受けて電池給電を保持し、該電池給電により電池出力を生じ、該電池給電時、電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する電源部と、
冷水スイッチまたは温水スイッチの操作により注水動作を行う注水動作部と、
前記起動スイッチの起動開始から注水動作を監視し、継続する一定時間に注水動作がない場合、少なくとも前記一定時間の経過後
に前記電池給電解除信号を出力し、前記一定時間の経過前に前記注水動作がある場合、前記注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力する制御部と、
を備える、ウォーターサーバーの制御装置。
【請求項21】
さらに、前記電源部が、
前記起動スイッチの操作を受けて前記電池給電を保持する電池給電保持部と、
前記電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する電池給電解除部と、
を備える、請求項20に記載のウォーターサーバーの制御装置。
【請求項22】
前記制御部は、前記起動開始から経過時間を計測し、または注水動作の終了から経過時間を計測し、該経過時間に対して前記一定時間を表す閾値が設定され、前記注水動作がなければ、前記経過時間が前記閾値に到達した後に前記電池給電解除信号を出力し、前記経過時間が前記閾値に到達した時点で注水動作中であれば、該注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力する、請求項20または請求項21に記載のウォーターサーバーの制御装置。
【請求項23】
前記制御部は、前記注水動作の終了時点で前記閾値を解除し、該解除時点で前記起動スイッチを操作することなく新たな閾値を設定する、請求項20ないし請求項22の何れかの請求項に記載のウォーターサーバーの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交流給電の停電時、交流給電以外の給電たとえば、電池給電で注水が可能なウォーターサーバーの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ウォーターサーバーは給水から温水や冷水を生成し、温水は温水タンクに溜められ、冷水は冷水タンクに溜められている。温水は温水ヒーターの加熱で生成され、冷水は冷却装置の冷却によって生成される。これらには交流給電が用いられている。
【0003】
このウォーターサーバーに関し、停電時、冷却装置の動作を停止させ、電動ポンプがバッテリによって駆動可能にした災害対応型のウォーターサーバーが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウォーターサーバーの給電にバッテリを用いた場合、災害に備えて常にバッテリの充電を管理することが必要であるし、災害時、冷却装置の動作を停止させたとしても、電動ポンプの給電にバッテリを用いることはその消耗が問題である。バッテリが消耗すると、その充電が困難になり、ウォーターサーバーが使用できないという事態も想定しなければならない。
【0006】
停電時、停電前の交流給電において、ウォーターサーバーには温水や冷水が生成され、温水は温水タンクに、また、冷水は冷水タンクに蓄積されている。このため、停電直後では、温水や冷水を適温で使用可能である。たとえば、冬場の停電では温水タンクの温水は貴重な資源であり、また、夏場の停電では冷水タンクの冷水も貴重な資源である。
【0007】
斯かる課題に対し、本開示の発明者らは身近な電池による給電を可能にし、ウォーターサーバー内からの注水を可能にするとともに、電池の消耗を抑制すれば、災害時などにも活用可能な利便性のよいウォーターサーバーを実現できるとの知見を得た。
【0008】
そこで、本開示の目的は上記課題および上記知見に鑑み、交流給電または電池給電による注水性能を高めるとともに、電池の消耗を抑制したウォーターサーバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示のウォーターサーバーの一側面によれば、起動スイッチと、交流給電時、該交流給電により直流出力を生じ、かつ、その停電時、前記起動スイッチの操作を受けて電池給電を保持し、該電池給電により電池出力を生じ、該電池給電時、電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する電源部と、冷水スイッチまたは温水スイッチの操作により注水動作を行う注水動作部と、前記起動スイッチの起動開始から注水動作を監視し、継続する一定時間に注水動作がない場合、少なくとも前記一定時間の経過後に前記電池給電解除信号を出力し、前記一定時間の経過前に前記注水動作がある場合、前記注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力する制御部とを備える。
【0010】
このウォーターサーバーにおいて、前記電源部は、前記起動スイッチの操作を受けて前記電池給電を保持する電池給電保持部と、前記電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する電池給電解除部とを備えてもよい。
【0011】
このウォーターサーバーにおいて、前記制御部は、前記起動開始から経過時間を計測し、この経過時間に対して前記一定時間を表す閾値が設定され、該閾値内に前記注水動作がなければ、前記経過時間が前記閾値に到達した後に前記電池給電解除信号を出力し、前記経過時間が前記閾値に到達した時点で注水動作中であれば、該注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力してもよい。
【0012】
このウォーターサーバーにおいて、前記制御部は、前記注水動作の終了から経過時間を計測し、この経過時間に対して前記一定時間を表す閾値が設定され、該閾値内に前記注水動作がなければ、前記経過時間が前記閾値に到達後に前記給電解除信号を出力し、前記経過時間が前記閾値に到達した時点で注水動作中であれば、該給水動作の終了後に前記給電解除信号を出力してもよい。
【0013】
このウォーターサーバーにおいて、前記制御部は、前記注水動作の終了時点で前記閾値を解除し、該解除時点で前記起動スイッチを操作することなく新たな閾値を設定してもよい。
【0014】
このウォーターサーバーにおいて、さらに、冷水タンクの貯留水の温度を検出する温度センサーと、少なくとも冷水表示または注水可能表示を提示する情報提示部とを備え、前記制御部は、前記貯留水の検出温度が所定温度以下であれば、前記情報提示部に冷水表示を提示するとともに注水を許可し、前記貯留水が前記所定温度を超えた場合には、前記冷水表示を解除するとともに注水を禁止してもよい。
【0015】
このウォーターサーバーにおいて、前記制御部は、前記電池給電時において、温水ヒーターへの給電を停止し、前記情報提示部に、温水表示に代わる注水可能表示を提示させてもよい。
【0016】
上記目的を達成するため、本開示のウォーターサーバーの給水方法の一側面によれば、電源部が、交流給電時、該交流給電を受けて直流出力を生じ、その停電時、起動スイッチの操作を受けて電池給電を保持し、該電池給電により電池出力を生じる工程と、制御部が、前記起動スイッチの起動開始から注水動作を監視し、継続する一定時間に注水動作がない場合、少なくとも前記一定時間の経過後に電池給電解除信号を出力し、前記一定時間の経過前に前記注水動作がある場合、前記注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力する工程と、前記電源部が、前記制御部から前記電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する工程と含む。
【0017】
このウォーターサーバーの給水方法において、電池により給電する工程と、電池給電保持部が、前記起動スイッチの操作を受けて前記電池給電を保持する工程と、電池給電解除部が、前記電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する工程と、注水動作部が冷水スイッチまたは温水スイッチの操作により注水動作を行う工程と、前記制御部が、前記起動スイッチの起動開始から注水動作を監視し、継続する一定時間に注水動作がない場合、少なくとも前記一定時間の経過後に前記電池給電解除信号を出力し、前記一定時間の経過前に前記注水動作がある場合、前記注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力する工程と含んでよい。
【0018】
このウォーターサーバーの給水方法において、前記制御部が、前記起動開始から経過時間を計測し、または注水動作の終了から経過時間を計測し、該経過時間に対して前記一定時間を表す閾値が設定され、前記注水動作がなければ、前記経過時間が前記閾値に到達後に前記給電解除信号を出力し、前記経過時間が前記閾値に到達した時点で注水動作中であれば、該注水動作の終了後に前記給電解除信号を出力する工程を含んでもよい。
【0019】
このウォーターサーバーの給水方法において、前記制御部が、前記注水動作の終了時点で前記閾値を解除し、該解除時点で前記起動スイッチを操作することなく新たな閾値を設定する工程を含んでもよい。
【0020】
このウォーターサーバーの給水方法において、さらに、温度センサーが、冷水タンクの貯留水の温度を検出する工程と、情報提示部が、少なくとも冷水表示または注水可能表示を提示する工程と、前記制御部が、前記貯留水の検出温度が所定温度以下であれば、前記情報提示部に冷水表示を提示するとともに注水を許可し、前記貯留水が前記所定温度を超えた場合には、前記冷水表示を解除するとともに注水を禁止する工程とを含んでもよい。
【0021】
このウォーターサーバーの給水方法において、さらに、前記制御部が、前記電池給電時、温水ヒーターへの給電を停止し、情報提示部に、温水表示に代わる注水可能表示を提示させる工程を含んでもよい。
【0022】
上記目的を達成するため、本開示のプログラムの一側面によれば、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、交流給電時、該交流給電を受けて直流出力を生じ、その停電時、起動スイッチの操作を受けて電池給電を保持し、該電池給電により電池出力を生じさせる機能と、冷水スイッチまたは温水スイッチの操作により注水動作部に注水動作を行わせる機能と、前記起動スイッチの起動開始から注水動作を監視し、継続する一定時間に注水動作がない場合、少なくとも前記一定時間の経過後に電池給電解除信号を出力し、前記一定時間の経過前に前記注水動作がある場合、前記注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力させる機能と、前記電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除させる機能とを前記コンピュータに実行させる。
【0023】
このプログラムにおいて、さらに、前記起動開始から経過時間を計測し、または注水動作の終了から経過時間を計測し、該経過時間に対して前記一定時間を表す閾値が設定され、前記注水動作がなければ、前記経過時間が前記閾値に到達した後に前記電池給電解除信号を出力し、前記経過時間が前記閾値に到達した時点で注水動作中であれば、該注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力させる機能を前記コンピュータに実行させてもよい。
【0024】
このプログラムにおいて、前記注水動作の終了時点で前記閾値を解除し、該解除時点で前記起動スイッチを操作することなく新たな閾値を設定する機能を前記コンピュータに実行させてもよい。
【0025】
このプログラムにおいて、さらに、冷水タンクの貯留水の温度を検出する温度センサーから温度情報を取得する機能と、少なくとも冷水表示または注水可能表示を情報提示部に提示させる機能と、前記貯留水の検出温度が所定温度以下であれば、前記情報提示部に冷水表示を提示するとともに注水を許可し、前記貯留水が前記所定温度を超えた場合には、前記冷水表示を解除するとともに注水を禁止する機能とを前記コンピュータに実行させてもよい。
【0026】
このプログラムにおいて、さらに、前記電池給電時、温水ヒーターへの給電を停止し、情報提示部に、温水表示に代わる注水可能表示を提示させる機能を前記コンピュータに実行させてもよい。
【0027】
上記目的を達成するため、本開示の記録媒体の一側面によれば、前記ウォーターサーバーの制御情報、または前記プログラムの何れかを格納した記録媒体である。
【0028】
上記目的を達成するため、本開示のウォーターサーバーの制御装置の一側面によれば、起動スイッチと、交流給電時、該交流給電により直流出力を生じ、かつ、その停電時、前記起動スイッチの操作を受けて電池給電を保持し、該電池給電により電池出力を生じ、該電池給電時、電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する電源部と、冷水スイッチまたは温水スイッチの操作により注水動作を行う注水動作部と、前記起動スイッチの起動開始から注水動作を監視し、継続する一定時間に注水動作がない場合、少なくとも前記一定時間の経過後に前記電池給電解除信号を出力し、前記一定時間の経過前に前記注水動作がある場合、前記注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力する制御部とを備える。
【0029】
このウォーターサーバーの制御装置において、前記電源部が、前記起動スイッチの操作を受けて前記電池給電を保持する電池給電保持部と、前記電池給電解除信号を受けて前記電池給電を解除する電池給電解除部とを備えてもよい。
【0030】
このウォーターサーバーの制御装置において、前記制御部は、前記起動開始から経過時間を計測し、または注水動作の終了から経過時間を計測し、該経過時間に対して前記一定時間を表す閾値が設定され、前記注水動作がなければ、前記経過時間が前記閾値に到達した後に前記電池給電解除信号を出力し、前記経過時間が前記閾値に到達した時点で注水動作中であれば、該注水動作の終了後に前記電池給電解除信号を出力してもよい。
【0031】
このウォーターサーバーの制御装置において、前記制御部は、前記注水動作の終了時点で前記閾値を解除し、該解除時点で前記起動スイッチを操作することなく新たな閾値を設定してもよい。
【発明の効果】
【0032】
本開示によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 交流給電の停電時、電池給電でウォーターサーバーを動作させて温水タンクまたは冷水タンクから注水できるので、ウォーターサーバーの利便性を向上させるとともに、注水の自由度を高めることができる。
【0033】
(2) 天候不良などの停電だけでなく、電源系統のメンテナンスなどによる停電、またはコンセントの無い場所へのウォーターサーバーの移動による給電停止によっても、電池給電でウォーターサーバーを活用できる。
【0034】
(3) 電池給電時、継続した一定時間に注水動作がなければ、電池給電を解除するので、ウォーターサーバーの注水動作機能を優先しつつ、給電時間を短縮して電池の消耗を抑制し、電池寿命を引き延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第一の実施の形態に係るウォーターサーバーを示す図である。
【
図2】
図2のAは制御部の制御機能を示す図であり、
図2のBはモード切替えを示す図である。
【
図3】第一の実施の形態に係る給電制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】第一の実施の形態に係る給電制御の他の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】経過時間、閾値および注水動作の関係を示す図である。
【
図6】第二の実施の形態に係るウォーターサーバーの前面部から見て示す斜視図である。
【
図7】ウォーターサーバーの背面部から見て示す斜視図である。
【
図8】ウォーターサーバーの制御システムを示す図である。
【
図9】ウォーターサーバーの機能部を示す図である。
【
図10】
図10のAは原水の供給機構を示す図であり、
図10のBは温水タンクへの原水の供給機構を示す図である。
【
図12】第二の実施の形態に係る給電制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】ボタン操作と動作パターンを示す図である。
【
図14】冷水温度の切替えを示すフローチャートである。
【
図16】通常モードおよび停電モードの表示パターンを示す図である。
【
図17】実施例1に係る交流検出部の一例を示す図である。
【
図18】実施例2に係る電源部の一例を示す図である。
【
図19】実施例3に係る電源部および電磁弁駆動部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔第一の実施の形態〕
図1は、第一の実施の形態に係るウォーターサーバー2を示している。
図1に示す構成は一例であり、本開示が斯かる構成に限定されない。
【0037】
このウォーターサーバー2は、電源部4を備え、交流給電時に通常動作(以下「通常モード」と称する)、交流給電の停電時(以下、単に「停電時」と称する)、電池6の給電による動作(以下「停電モード」と称する)が可能である。この電源部4は本開示の電源装置の一例である。通常モードには、交流給電に基づき、温水生成およびその注水、冷水生成およびその注水を含む全ての動作が含まれる。これに対し、停電モードには電池給電に基づき、電池6の消耗を抑えつつ、少なくとも冷水などの注水が可能な動作が含まれる。
【0038】
電源部4は、電池6および交流源8の双方からの給電が可能である。電池6はたとえば、8本の単三電池の直列回路によれば、出力電圧=12〔V〕が得られる。交流源8はたとえば、AC100〔V〕の商用交流電源である。
【0039】
起動ボタン10は停電時、電池給電による起動のための起動スイッチの一例である。電源部4は、直流安定化部12、交流検出部14、電池給電保持部16、電池給電解除部18を備えている。
【0040】
交流給電時、交流給電で直流安定化部12が動作し、直流安定化出力を生じる。この直流安定化部12は全波整流回路、平滑回路、安定化回路などを備え、交流の全波整流、その平滑および安定化により、直流安定化出力を生成する。したがって、交流給電時、電源部4が直流安定化部12によって直流安定化電源を構成し、この直流安定化出力が制御部20に供給される。このとき、通常モードとなる。
【0041】
交流検出部14は、交流源8からの給電の有無を検出し、この検出出力が制御部20に加えられる。この交流検出出力は、休止状態から通常モードへの給電切替え制御、交流給電時、起動ボタン10の無効化などの制御に用いられる。
【0042】
電池給電保持部16は、交流源8の停電後、休止状態から起動ボタン10で起動を開始し、電池給電を保持する。この電池給電が保持されているとき、停電モードとなる。これに対し、電池給電解除部18は、制御部20から電池給電解除信号Soffを受けて電池給電を解除する。停電時、起動ボタン10による起動開始前および電池給電の解除後、電源部4および制御部20は休止状態となる。
【0043】
制御部20は電源部4を含んで本開示の制御装置の一例である。この制御部20は、たとえば、コンピュータで構成される。交流給電時、直流安定化部12からの直流出力を受け、通常モードを実行する。交流源8の停電時、起動ボタン10の起動開始から電池給電による直流出力を電源部4から受け、停電モードを実行する。
この停電モードでは、制御部20が起動ボタン10の起動開始からの経過時間Mtを監視し、この経過時間Mtが閾値Mthたとえば、60〔秒〕に到達した後に電池給電解除信号Soffを出力する。この場合、経過時間Mtが閾値Mthに到達した時点で注水動作中であれば、ウォーターサーバー2の注水機能を優先するため、経過時間Mtの計測を停止しまたは経過時間Mtをリセットし、注水動作が終了した後に電池給電解除信号Soffを出力させて電池給電を解除させる。
【0044】
この停電モードの解除後、電池6に給電能力があれば、起動ボタン10の再操作により停電モードを繰り返し実行させることができる。
【0045】
このようにウォーターサーバー2には一部の動作を休止させる停電時休止部21が存在する。この停電時休止部21は停電モードにおいて、電池給電に対する負荷を低減するための手段である。この停電時休止部21には直流安定化部12、交流検出部14、冷却装置や温水ヒーターなどの大電流負荷22が含まれる。したがって、停電モードでは、停電時休止部21を除く、制御部20とともに注水や情報提示を含む必要最小限の負荷を以て注水や情報提示などを可能にし、電池6の消耗を抑制する。
【0046】
そして、このウォーターサーバー2では電磁弁部24、情報提示部25および操作部26は電源部4から直流安定化出力または電池給電出力を受け、制御部20の制御により動作し、通常モードまたは停電モードに対応した動作が可能である。電磁弁部24は、注水動作部の一例である。この電磁弁部24は制御部20の制御により、通常モードで温水または冷水の注水のための開弁、停電モードで注水のための開弁が可能である。情報提示部25は通常モードまたは停電モードに対応した情報提示が可能である。操作部26は通常モードまたは停電モードに対応した操作が可能である。
【0047】
<制御部20の制御機能>
図2のAは、制御部20の制御機能の一例を示している。制御部20の制御には、通常モードの制御20-1、停電の判定20―2、停電モードの起動制御20-3、経過時間Mtの閾値Mthの設定20-4、経過時間Mtの監視20-5、注水動作の監視20-6、停電モードの解除制御20-7、情報提示の制御20-8などが含まれる。
【0048】
通常モードの制御20-1: 制御部20は、交流源8の給電時、ウォーターサーバー2の全システムに給電するための給電制御を実行する。制御部20は交流検出部14の交流検出出力を取得し、交流源8からの給電状態を認識する。交流源8の給電時、直流安定化部12、制御部20および大電流負荷22に給電される。このとき、起動ボタン10および電池給電保持部16は無効化されるので、電池給電解除部18の電池給電解除状態が維持される。
【0049】
停電の判定20―2: 制御部20は交流検出部14から検出出力情報を取得し、交流源8の停電を判定する。停電時、制御部20に対する給電が解除される結果、起動ボタン10および電池給電保持部16の無効化も解除される。
【0050】
停電モードの起動制御20-3: 交流源8の停電時、起動ボタン10が操作された時点から電池給電保持部16が電池給電を保持し、この停電モードに移行する。これにより、制御部20は起動ボタン10の操作を契機に停電モードに移行する。つまり、起動ボタン10の操作に基づき、電源部4は電池給電により電池出力を生じ、制御部20は電池給電によって動作する。このとき、停電時休止部21は休止状態に移行し、通常モードと異なり、停電モードでは電池6の消耗が抑制される。
【0051】
経過時間Mtの閾値Mthの設定20-4: 制御部20は起動ボタン10の起動開始から経過時間Mtを計測する。この経過時間Mtに対し、注水動作が行われない一定時間に相当する閾値Mthが設定される。この閾値Mthの設定には起動開始からの閾値Mthの設定、注水動作の終了時からの閾値Mthの設定が含まれる。
【0052】
経過時間Mtの監視20-5: 制御部20は経過時間Mtを監視し、この経過時間Mtが閾値Mthに到達するか否かを監視する。
【0053】
注水動作の監視20-6: 制御部20は電磁弁部24の動作情報を取得し、注水動作を監視する。
【0054】
停電モードの解除制御20-7: 制御部20は、停電モード中に交流源8が復旧した場合、停電モードの解除制御を実行する。
【0055】
情報提示の制御20-8: 制御部20は、通常モードまたは停電モードにおいて、注水動作に関する情報を情報提示部25に提示する。
【0056】
<モード切替え>
図2のBは、ウォーターサーバー2のモード切替えの一例を示している。
交流源8の給電時、交流検出部14が交流を検出しているとき、制御部20は通常モードを優先し、起動ボタン10による起動は生じない。
【0057】
交流源8の停電時、制御部20は通常モードから停電モードへの移行を許可し、起動ボタン10による起動操作を受け付ける。起動ボタン10が操作されると、電源部4および制御部20は休止状態から停電モードに移行する。この停電モードは、起動後、電池給電解除信号Soffの出力前の動作モードであり、電池給電モードである。
【0058】
電池給電解除信号Soffによる電池給電を解除した後、電源部4および制御部20は起動ボタン10の操作前の停電モード解除状態に移行する。
【0059】
交流源8の給電時または停電からの復旧時において、交流検出部14の交流検出に基づき、制御部20は電池給電解除部18の電池給電解除機能により、電池給電を解除状態に維持する。
【0060】
制御部20は、注水動作を監視し、この注水動作が終了した後、経過時間Mtが閾値Mth以内であっても電池給電解除信号Soffを出力し、停電モード解除状態に移行させる。
【0061】
そして、給電制御では上記制御機能を実現するたとえば、処理手順1-1(
図3)、処理手順1-2(
図4)などの処理が実行可能である。
【0062】
<給電制御の処理手順1-1>
図3は、給電制御の処理手順1-1の一例を示している。この給電制御は本開示の給水方法またはそのプログラムの一例である。Sは工程、Sに付した番号は工程順の一例を示しているが、本開示はこれに限定されない。
【0063】
この給電制御には、交流検出工程(S101)、交流給電制御工程(S102)、通常モード制御工程(S103)、停電モード解除工程(S104)、起動工程(S105)、停電モード制御工程(S106)、経過時間の監視工程(S107)、注水動作監視工程(S108)などの処理が含まれる。
【0064】
交流検出部14が交流の給電の有無を検出し(S101)、交流給電時(S101のYES)、交流給電によるウォーターサーバー2の給電制御を実行し(S102)、通常モードでの制御が行われる(S103)。
【0065】
交流源8の停電時(S101のNO)、起動ボタン10の操作があれば(S105のYES)、この操作が電池給電の契機となる。起動ボタン10の操作がなければ(S105のNO)、S101に戻る。この場合、停電モード解除状態が維持される。
【0066】
起動ボタン10による起動操作を契機に、停電モードとなり(S106)、電池給電の経過時間Mtの監視中(S107)、注水動作の監視が行われ(S108)、この経過時間Mtが閾値Mth以内であれば(S107のYES)、停電モード(電池給電)が維持される(S106)。
【0067】
経過時間Mtが閾値Mthを超えても(S107のNO)、注水動作があれば(S108のNO)、注水動作が終了するまで停電モード(電池給電)が維持される(S106)。そして、注水動作が終了した後(S108のYES)、制御部20が電池給電解除信号Soffを出力し、電池給電が解除される。
【0068】
<給電制御の処理手順1-2>
図4は、給電制御の処理手順1-2の一例を示している。この給電制御は本開示の給水方法またはそのプログラムの一例である。Sは工程、Sに付した番号は工程順の一例を示しているが、本開示はこれに限定されない。
【0069】
この給電制御には、交流検出工程(S111)、交流給電制御工程(S112)、通常モード制御工程(S113)、停電モード解除工程(S114)、起動工程(S115)、停電モード制御工程(S116)、注水動作の監視工程(S117)、経過時間Mtの計測工程(S118)、経過時間Mtの監視工程(S119)、経過時間Mtの初期化工程(S120)、注水動作終了の監視工程(S121)などの処理が含まれる。
【0070】
交流検出部14が交流の給電の有無を検出し(S111)、交流給電時(S111のYES)、交流給電によるウォーターサーバー2の給電制御を実行し(S112)、通常モードでの制御が行われる(S113)。
【0071】
交流源8の停電時(S111のNO)、起動ボタン10の操作があれば(S115のYES)、この操作が電池給電の契機となる。起動ボタン10の操作がなければ(S115のNO)、S111に戻る。
【0072】
起動ボタン10による起動操作があったとき(S115のYES)、停電モードとなり(S116)、注水動作の監視として注水動作が無しかを判定する(S117)。注水動作が無ければ(S117のYES)、電池給電の経過時間Mtの計測を行う(S118)。経過時間Mtの監視として経過時間Mtが閾値Mth以内であるかを判定する(S119)。経過時間Mtが閾値Mth以内であれば(S119のYES)、停電モード(電池給電)が維持される(S116)。
【0073】
注水動作があれば(S117のNO)、経過時間Mtの計測を停止し、計測した経過時間Mtをクリア(Mt=0)する(S120)。注水動作の終了監視として、注水動作が終了したかを判定する(S121)。注水動作が終了すれば(S121のYES)、停電モード(電池給電)が維持される(S116)。注水動作が継続していれば(S121のNO)、注水動作が終了したかの監視を継続する。
【0074】
電池給電の経過時間Mtが閾値Mthを超えたとき(S119のNO)、電池給電(停電モード)が解除され(S114)、S111に戻る。つまり、電池給電解除信号Soffが出力されて電池給電が解除される。
【0075】
<経過時間Mt、閾値Mthおよび注水動作の関係>
図5は、経過時間Mt、閾値Mthおよび注水動作の関係を示している。
図5のAに示すように、時点t0はたとえば、起動時点である。この時点t0から時点t2までの時間が閾値Mthである。
図5のBに示すように、電池給電の経過時間Mtが閾値Mthに到達前の時点t1で注水が開始された場合、経過時間Mtが閾値Mthに到達しても、注水動作を停止しない限り、その注水動作が維持される。この例では、閾値Mthを超える時点t3まで注水動作が継続している。つまり、経過時間Mtが閾値Mthに到達する前に注水が生じた場合、この注水が継続する限り、電池給電解除信号Soffが出力されない。この場合、注水動作によって閾値Mthが破線で示すように実質的に延長されることになる。
【0076】
図5のCに示すように、時点t10は起動時点である。この時点t10から時点t12までの時間が閾値Mthである。
図5のDに示すように、電池給電の経過時間Mtが閾値Mthに到達前の時点t11で注水が開始され、時点t13まで注水動作が継続している。
【0077】
この場合、注水動作の開始時点t11で経過時間Mtがクリア(Mt=0)され、この開始時点t11で閾値Mthも解除される。つまり、先の閾値Mthは、時点t12まで継続すべきところ、時点t11で解除される結果、閾値Mthの時間が短くなる。
【0078】
そして、時点t13で注水動作が終了すると、この時点t13が新たな経過時間Mtの計測の再開時点となる。この時点t13で新たな閾値Mthとして、時点t13から時点t14までの閾値Mthが設定される。つまり、先の閾値Mthは時点t11で解除されても、次の注水動作の準備として新たに閾値Mthが設定される。
【0079】
このように、先の閾値Mthの解除の後、閾値Mthを更新するので、注水後の再注水の待機期間を自動で設定でき、起動ボタン10の再操作を省くことができる。
【0080】
<第一の実施の形態の効果>
この第一の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 停電時、起動ボタン10の操作で電池給電を開始して、ウォーターサーバー2を起動させることができる。
【0081】
(2) 停電時には停電時休止部21が休止するので、電池6の消耗が抑えられる。
【0082】
(3) 電池給電モードで電磁弁部24の動作が可能であり、電池給電による電磁弁部24の動作により注水が可能である。
【0083】
(4) 天候不良などの停電だけでなく、電源系統のメンテナンスなどによる停電、またはコンセントの無い場所へのウォーターサーバー2の移動による給電停止であっても、電池給電でウォーターサーバー2を利用できる。
【0084】
(5) 電池給電時、起動開始から経過時間Mtを監視し、電池給電は一定時間だけ保持するので、電池6の消耗を抑制し、電池寿命を引き延ばすことができる。
【0085】
(6) 電池給電時、起動開始から経過時間Mtが閾値Mthを超えた時点で注水動作中であれば、停電モードが維持されるので、注水動作を注水終了まで継続できる。
【0086】
(7) 電池給電時、制御部20が注水動作のない状態(無操作状態)の経過時間Mtを監視し、この経過時間Mtに対して設定された閾値Mth(継続した一定時間)に注水動作がなければ、電池給電が解除されるので、電池6の消耗を抑制でき、電池寿命(電池6の使用時間)を延長できる。
【0087】
〔第二の実施の形態〕
図6は、第二の実施の形態に係るウォーターサーバー2の前面部を示している。
図6に示す構成は一例であり、本開示が斯かる構成に限定されない。
【0088】
このウォーターサーバー2はたとえば、直方体状のサーバー筐体28を備え、このサーバー筐体28には水容器載置部29、操作パネル部30、温水・冷水注水カバー部32、注水受け部34が設置されている。
【0089】
温水・冷水注水カバー部32には冷水注水または注水に用いられる注水口36と、注湯または注水に用いられる注湯口38とが設置されている。注水受け部34には排水部40が設けられている。
【0090】
<ウォーターサーバー2の背面部>
図7は、ウォーターサーバー2の背面部を示している。
図7に示す構成は一例であり、本開示が斯かる構成に限定されない。
サーバー筐体28の背面部には上部パネル42に電池ボックス44-1、44-2が設置され、上部パネル42の下側に放熱カバー46、その下側に冷却装置カバー48が設置されている。各電池ボックス44-1、44-2には4本の乾電池が収納される。
【0091】
<ウォーターサーバー2の制御システム>
図8は、ウォーターサーバー2の制御システムの一例を示している。
図8に示す構成は一例であり、本開示が斯かる構成に限定されない。
図8において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0092】
このシステムでは、交流源8の給電時、直流安定化部12の直流安定化出力が絶縁ダイオード50-1を介して制御部20に供給される。停電モード時、電池給電保持部16の出力が絶縁ダイオード50-2を介して制御部20に供給される。各絶縁ダイオード50-1、50-2は各出力間を電気的に分離し、各出力間の干渉を防止する。
【0093】
制御部20はコンピュータによって構成され、プロセッサ52を備えている。このプロセッサ52は、記憶部54にあるOS(Operating System)、給電制御プログラム、ウォーターサーバー2の機能制御プログラムなどを実行する。
【0094】
記憶部54は本開示の記録媒体の一例であり、ROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)などの記憶素子を備える。ROMにはOS、制御プログラム、ウォーターサーバー2の制御情報などを格納する。RAMは情報処理のワークエリアを構成する。
【0095】
入出力部(I/O)56はプロセッサ52の制御により、制御出力や情報入力に用いられる。タイマー58は、プロセッサ52の制御により起動ボタン10の押下からの経過時間Mtなどを計測し、この計測情報がI/O56からプロセッサ52に取り込まれる。
【0096】
停電時休止部21に含まれる大電流負荷22には冷却装置60、温水ヒーター62、図示しない熱動弁などが含まれる。冷却装置60は駆動部61を備え、交流給電によって駆動し、制御部20で制御される。温水ヒーター62は通電切替えのためのスイッチ部63を備え、交流給電によって発熱し、スイッチ部63が制御部20によって制御される。
【0097】
電磁弁部24には一例として冷水電磁弁64、温水電磁弁65が含まれる。各電磁弁64、65は電磁弁駆動部66によって駆動し、この電磁弁駆動部66にはI/O56から駆動出力が提供される。
【0098】
情報提示部25には一例として、冷水ランプ68、弱冷ランプ70、温水ランプ72、高温ランプ74、省エネランプ75、ロックランプ76などが含まれる。各ランプ68、70、72、74、75、76はランプ駆動部78によって駆動し、このランプ駆動部78はI/O56から駆動出力を受ける。
【0099】
操作部26には冷水ボタン79、温水ボタン80、省エネボタン82、ロック・解除ボタン84などが含まれる。各ボタン79、80、82、84は操作によって開閉するスイッチの一例である。各ボタン79、80、82、84からのスイッチ入力はプロセッサ52の制御によりI/O56に取り込まれる。
【0100】
センサー部86には冷水温度センサー87、温水温度センサー88などが含まれる。冷水温度センサー87はプロセッサ52の制御により冷水の温度を検出し、温水温度センサー88はプロセッサ52の制御により温水の温度を検出する。各検出情報はプロセッサ52の制御によりI/O56に取り込まれる。
【0101】
<ウォーターサーバー2の機能部>
図9は、ウォーターサーバー2の機能部を示している。
図9に示す構成は一例であり、本開示が斯かる構成に限定されるものではない。
図9において、
図6、
図7および
図8と同一部分には同一符号を付してある。
【0102】
このウォーターサーバー2はサーバー筐体28を備え、このサーバー筐体28上に交換可能な水容器100を設置し、この水容器100から原水Wを供給して冷水タンク102で冷水CWを生成し、温水タンク104で温水HWを生成する。
【0103】
冷水タンク102は、サーバー筐体28の中間部に設置され、温水タンク104は冷水タンク102の下側に設置され、温水タンク104の下側に冷却装置60が設置されている。冷却装置60は冷水タンク102を冷却し、原水Wから冷水CWを生成させる。
【0104】
水容器100の給水ノズル部106はサーバー筐体28の頂部開口108から冷水タンク102の上部に配置される。
【0105】
冷水タンク102は水容器100からの原水Wの供給を規制する弁機構110を備えている。この弁機構110は給水ノズル部106を開閉する開閉弁112を備え、この開閉弁112が開閉アーム部114の中途に取り付けられ、この開閉アーム部114の先端には冷水タンク102内の冷水CWから浮力を受けるフロート部116が取り付けられている。
【0106】
冷水タンク102には冷却装置60の蒸発器118が設置されている。この蒸発器118は、冷却装置60により冷却された冷媒を循環させ、この冷媒と原水Wとの熱交換によって原水Wを冷却し、冷水タンク102に冷水CWを生成させる。この冷水タンク102には冷水温度センサー87が設置され、冷水温度センサー87の検出出力が制御部20に提供され、制御部20が冷水CWの温度情報を取得する。
【0107】
冷水タンク102には原水Wと冷水CWとを分離する分離プレート120が設置されている。この分離プレート120は、原水Wを受け止める窪み部122を備えるとともに、この窪み部122の中央開口部から温水タンク104内に延びる給水管124を備えている。温水タンク104には、原水Wが分離プレート120の窪み部122および給水管124を通して導かれる。
【0108】
温水タンク104には加熱装置として温水ヒーター62が設置されている。この温水ヒーター62は、制御部20に制御されて発熱する。原水Wが温水ヒーター62の発熱で加熱され、原水Wから温水HWを生成させる。
【0109】
この温水タンク104には温水温度センサー88が設置されている。温水温度センサー88の検出出力が制御部20に提供され、制御部20が温水HWの温度情報を取得する。
【0110】
この温水タンク104の頂部と冷水タンク102の底部の間にはバイパス管126が接続され、洗浄時、このバイパス管126を通して温水タンク104からの温水HWを冷水タンク102に循環させることが可能である。このバイパス管126には制御部20で制御されるバイパス弁128が設置されている。
【0111】
冷水タンク102の底部には注水管130が接続され、温水タンク104の頂部には注湯管132が接続されている。注水管130には冷水電磁弁64が設置され、注湯管132には温水電磁弁65が設置されている。冷水電磁弁64は冷水ボタン79によって開弁可能であり、温水電磁弁65は温水ボタン80によって開弁可能である。
【0112】
<水容器100からの原水Wの供給機構>
図10のAは、原水Wの供給状態を示している。水容器100が設置されると、水容器100の原水Wが重力を受けて冷水タンク102側に流れ込む。
【0113】
この原水Wは、
図10のAに示すように、弁機構110の開閉弁112を押し下げる。開閉弁112を通過した原水Wは、分離プレート120の窪み部122に落下し、給水管124の給水孔134の周囲に開口された複数の通水孔136から冷水タンク102に流れ込み、一部の原水Wは給水孔134から給水管124を通して温水タンク104に流れ込む。
【0114】
図10のBは、温水タンク104に対する原水Wの供給機構を示している。冷水タンク102の水位が
図10のBに示すように、分離プレート120に達すると、通水孔136が原水Wで塞がれる。これにより、原水Wは分離プレート120の給水管124を通して一気に温水タンク104に導かれる。
【0115】
温水タンク104が満水状態になると、冷水タンク102の給水が支配的となり、冷水タンク102の水位が上昇する。この水位上昇によりフロート部116が浮力を受けて弁機構110の開閉弁112が上昇し、開閉弁112によって給水ノズル部106が閉じられ、原水Wの供給が停止される。
【0116】
そして、冷水タンク102の水位は、水容器100から原水Wの給水がある限り、この原水Wの給水を受けて上限水位に維持される。
【0117】
<操作パネル部30>
図11は、操作パネル部30の前面パネル面を示している。
図11において、
図8と同一部分には同一符号を付してある。
【0118】
冷水ランプ68、弱冷ランプ70、温水ランプ72、高温ランプ74、省エネランプ75およびロックランプ76は情報提示部25の一例である。冷水ランプ68は、冷水注水が可能な場合に点灯する。弱冷ランプ70は、弱冷注水が可能な場合に点灯する。温水ランプ72は、注湯が可能な場合に点灯する。高温ランプ74は、高温注湯が可能な場合に点灯する。省エネランプ75は、省エネモードで点灯し、その解除で消灯する。ロックランプ76は、ロック時に点灯し、その解除時に消灯する。
【0119】
冷水ボタン79、温水ボタン80、省エネボタン82およびロック・解除ボタン84は、操作部26の一例である。冷水ボタン79は、短押しまたは長押しが可能であり、通常モードでの冷水注水、停電モードでの注水に用いる。温水ボタン80は、短押しまたは長押しが可能であり、通常モードでの注湯、停電モードでの注水に用いる。
【0120】
省エネボタン82は通常モードにおいて、省エネモードを開始させる際に操作する。ロック・解除ボタン84は、短押しまたは長押しが可能であり、通常モードでロックまたはロック解除の際に用いる。停電モードでは省エネボタン82の長押しは受け付けない。
【0121】
<給電制御の処理手順>
図12は、給電制御の処理手順を示している。この給電制御には、交流検出工程(S201)、電源部4の制御工程(S202)、通常モード制御工程(S203)、電池給電解除信号Soffの出力工程(S204)、電池給電の解除工程(S205)、起動工程(S206)、停電モードの制御工程(S207)、温水ボタン80の押下工程(S208)、冷水ボタン79の押下工程(S209)、経過時間Mtの計測工程(S210)、経過時間Mtの監視工程(S211)、経過時間Mtの初期化工程(S212、S216)、温水電磁弁65の開弁工程(S213)、温水ボタン80の解除工程(S214)、温水電磁弁65の閉弁工程(S215)、冷水電磁弁64の開弁工程(S217)、冷水ボタン79の解除工程(S218)、冷水電磁弁64の閉弁工程(S219)などの処理が含まれる。
【0122】
交流検出部14が交流の給電の有無を検出し(S201)、交流給電時(S201のYES)、電源部4から直流安定化部12、制御部20、冷却装置60、温水ヒーター62などの大電流負荷22(
図1)に対する給電制御を実行する(S202)。この給電制御において、通常モードでの制御が行われる(S203)。
【0123】
この通常モードでは、制御部20から電池給電解除信号Soffが出力され(S204)、電池給電が解除状態に制御される(S205)。このとき、冷水温度や温水温度の温度制御が実行されており、冷水や温水の温度が最適化される。
【0124】
この通常モードでは、冷水ボタン79が押下されたとき、冷水電磁弁64を開状態に動作させ、注水口36からの冷水注水を実行させる。停電モードでは冷水ボタン79が押下されたとき、同様に冷水電磁弁64を開状態に動作させ、注水口36からの注水を実行させる。また、温水ボタン80が押下されたとき、温水電磁弁65を開状態に動作させ、注湯口38からの注湯を実行させる。停電モードでは、温水ボタン80が押下されたとき、同様に温水電磁弁65を開状態に動作させ、注湯口38からの注水を実行させる。
【0125】
交流源8の停電時(S201のNO)、起動ボタン10の操作があれば(S206のYES)、この操作が電池給電の契機となる。起動ボタン10の操作がなければ(S206のNO)、S201に戻る。
【0126】
起動ボタン10による起動操作があったとき(S206のYES)、停電モード制御となり(S207)、温水ボタン80、冷水ボタン79の押下を監視する(S208、S209)。温水ボタン80または冷水ボタン79の押下がなければ(S208のNO、S209のNO)、経過時間Mtを計測する(S210)。経過時間Mtが閾値Mth以内であれば(S211のYES)、停電モード制御が維持される(S207)。経過時間Mtが閾値Mthを超えたとき(S211のNO)、S204に移行する。
【0127】
経過時間Mtの計測中において、温水ボタン80が操作されてONすれば(S208のYES)、経過時間Mtの計測が停止され、経過時間Mtがクリア(Mt=0)され(S212)、制御部20の制御により温水電磁弁65が開弁する(S213)。この開弁は温水ボタン80が押下されている限り維持され、停電モードでは、温水タンク104の貯留水が注湯口38から注水される。そして、温水ボタン80がOFFされれば(S214のYES)、制御部20の制御により温水電磁弁65が閉弁する(S215)。このとき、注湯口38からの注湯が停止される。
【0128】
経過時間Mtの計測中において、冷水ボタン79が操作されてONすれば(S209のYES)、経過時間Mtの計測が停止され、経過時間Mtがクリア(Mt=0)され(S216)、制御部20の制御により冷水電磁弁64が開弁する(S217)。この開弁は冷水ボタン79が押下されている限り維持され、停電モードでは、冷水タンク102の貯留水が注水口36から注水される。そして、冷水ボタン79がOFFされれば(S218のYES)、制御部20の制御により冷水電磁弁64が閉弁する(S219)。このとき、注水口36からの注水が停止される。
【0129】
したがって、制御部20は、起動開始から経過時間Mtを計測し、この経過時間Mtに対して継続した一定時間を表す閾値Mthが設定され、この閾値Mth内に注水動作がなければ、経過時間Mtが閾値Mthに到達した後に電池給電解除信号Soffを出力し、経過時間Mtが閾値Mthに到達した時点で注水動作中であれば、この注水動作の終了後に電源部4に対して電池給電解除信号Soffを出力する。
【0130】
また、制御部20は、注水動作の終了から経過時間Mtを計測し、この経過時間Mtに対して継続した一定時間を表す閾値Mthが設定され、この閾値Mth内に注水動作がなければ、経過時間Mtが閾値Mthに到達した後に電池給電解除信号Soffを出力し、経過時間Mtが閾値Mthに到達した時点で注水動作中であれば、この注水動作の終了後に電源部4に対して電池給電解除信号Soffを出力する。
【0131】
<ボタン操作と動作パターン>
図13は、ボタン操作と動作パターンの一覧を示している。このボタン操作にはロック・解除ボタン84、冷水ボタン79、温水ボタン80、省エネボタン82の他、電源差し込みなどの単一操作、組合せ操作などのボタン操作形態が用いられる。動作パターンには冷水注水、冷水温度の切替え、注湯、温水温度の切替え、ロック解除・ロック、排水などが含まれ、これらの何れかが選択可能である。
【0132】
操作Aは、ロック・解除ボタン84の短押しと冷水ボタン79の連続押しの順番押し操作である。「短押し」とは短時間の押下であり、「連続押し」は継続した押下を表し、この押下時間は所望の注水量を充足するための任意の時間である。ロック・解除ボタン84を短押しにてロックを解除した後、冷水ボタン79を任意の時間だけ連続押しする。この操作Aにおいて、通常モードでは冷水注水が可能である。停電モードでは注水が可能であるが、冷水温度が閾値温度以上たとえば、40〔℃〕の場合には注水不可である。
【0133】
操作Bは、冷水ボタン79の長押しの操作による冷水温度の切替えのための操作である。「長押し」とは切替えのための押下時間である。冷水温度の切替えは、冷水温度と弱冷水温度の切替えである。
【0134】
この操作Bでは、
図14に示すように、停電モードであるかを判断し(S301)、停電モードであれば(S301のYES)、この処理を終了し、冷水温度の切替えは受け付けない。通常モードであれば(S301のNO)、冷水ボタン79の長押しかを判断する(S302)。冷水ボタン79の長押しであれば(S302のYES)、冷水温度の切替えが可能である(S303)。長押しでなければ(S302のNO)、冷水温度の切替えは受け付けられない。
【0135】
操作Cは、ロック・解除ボタン84の短押しと温水ボタン80の連続押しの順番押し操作である。ロック・解除ボタン84を短押しにてロックを解除した後、温水ボタン80を任意の時間だけ連続押しする。この操作Cにおいて、通常モードでは注湯が可能であり、停電モードでは注水が可能である。
【0136】
この操作Cにおいて、停電モードでは、
図15に示すように、ロック・解除ボタン84の短押しかを判断し(S401)、ロック・解除ボタン84の短押しであれば(S401のYES)、温水ボタン80がONかを判断する(S402)。温水ボタン80がONであれば(S402のYES)、制御部20の制御により、温水電磁弁65を開弁する(S403)。これにより、温水タンク104からの注水が可能となる。この開弁状態は制御部20によって監視され、温水ボタン80がOFFかを判断する(S404)。温水ボタン80がOFFであれば(S402のNO)、温水電磁弁65を閉弁し、注水を停止する。
【0137】
操作Dは、温水ボタン80の長押しの操作による温水温度の切替えのための操作である。この操作は通常モードで実行され、停電モードでは受け付けない。
【0138】
操作Eは、温水ボタン80の長押しの操作による温水ヒーター62のON切替えのための操作である。この操作は通常モードで実行され、停電モードでは受け付けない。
【0139】
操作Fおよび操作Gは、ロック・解除ボタン84の短押しの操作によるロック解除およびロックの切替えである。この操作は通常モードおよび停電モードの双方で可能である。
【0140】
操作Hおよび操作Iは、ロック・解除ボタン84の長押しの操作によるチャイルドロックおよびチャイルドロック解除の切替えである。この操作は通常モードおよび停電モードの双方で可能である。
【0141】
操作Jおよび操作Kは、省エネボタン82の短押しの操作による省エネ運転および省エネ運転解除の切替えである。この操作は通常モードで可能であり、停電モードでは受け付けない。
【0142】
操作Lおよび操作Mは、省エネボタン82の長押しの操作による省エネ繰り返し設定および省エネ設定解除の切替えである。この操作は通常モードで可能であるが、停電モードでは受け付けない。
【0143】
操作Nは、冷水ボタン79および温水ボタン80の同時長押しによる高温循環開始の操作である。この操作は通常モードで可能であり、停電モードでは受け付けない。
【0144】
操作Oおよび操作Pは、ロック・解除ボタン84および冷水ボタン79の同時長押しの操作による自動チャイルドロックおよび自動チャイルドロック解除の切替えである。この操作は通常モードおよび停電モードの双方で可能である。
【0145】
操作Qは、ロック・解除ボタン84を押しながら電源差し込みを行うことによるロック解除の変更操作である。ロック解除が短押しから長押しに変更になる。この操作は通常モードで可能であり、停電モードでは受け付けない。
【0146】
操作Rは、ロック・解除ボタン84および省エネボタン82の同時長押しによる排水のための操作である。この操作は通常モードで可能であり、停電モードでは受け付けない。
【0147】
<通常モードおよび停電モードの表示パターン>
図16のAは、通常モードおよび停電モードの表示パターンを示している。通常モードまたは停電モードの情報表示には冷水ランプ68、弱冷ランプ70、温水ランプ72、高温ランプ74、省エネランプ75、ロックランプ76などが用いられる。
【0148】
通常モードでは、冷水ランプ68の点灯により冷水表示、弱冷ランプ70の点灯により弱冷表示、温水ランプ72の点灯により温水表示、高温ランプ74の点灯により高温表示、省エネランプ75の点灯により省エネ表示の何れかを提示する。また、ロックランプ76は点灯形態によりロック解除表示またはロック表示を提示する。
【0149】
停電モードでは、冷水ランプ68、温水ランプ72およびロックランプ76が用いられる。冷水ランプ68および温水ランプ72は制御部20の制御によって点灯形態が選択され、注水可能であるとき、注水可能表示を提示する。
【0150】
停電モードにおいて、冷水ランプ68の注水可能表示はたとえば、
図16のBに示すように、冷水として適温の場合には緑色点灯となり、適温でない場合は橙色点灯となる。また、温水ランプ72の注水可能表示はたとえば、
図16のCに示すように、初期状態と異なり緑色点滅となる。また、ロックランプ76は停電モードにおいても用いられ、制御部20の制御により、たとえば、
図16のDに示すように、ロック時:消灯、ロック解除中:緑点滅、チャイルドロック中:緑色点灯により、ロック表示またはロック解除表示を提示する。
【0151】
<停電モードにおける注水制御および注水表示の制御>
注水制御および注水表示の制御には、温度検出工程、情報提示工程、注水制御工程などが含まれる。これらの機能は制御部20の情報処理を媒介として実行される。
【0152】
温度検出工程では、制御部20が、冷水タンク102の貯留水の温度を検出する冷水温度センサー87から温度情報を取得する。
【0153】
情報提示工程では、制御部20の制御により情報提示部25が少なくとも冷水表示または注水可能表示を提示する。
【0154】
注水制御工程では、貯留水の検出温度が所定温度以下であれば、情報提示部25に冷水表示を提示するとともに制御部20が注水を許可し、貯留水が所定温度を超えた場合には、冷水表示を解除するとともに注水を禁止する。
【0155】
さらに、停電モードでは、制御部20の制御により温水ヒーター62への給電を停止し、情報提示部25に、温水表示に代わる注水可能表示を提示させてもよい。
【0156】
<第二の実施の形態の効果>
第二の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 停電時、冷水ボタン79の連続押しにより、冷水タンク102の貯留水を注水でき、また、温水ボタン80の連続押しにより、温水タンク104の貯留水を注水することができる。残留水が停電直後であれば、冷水または温水を注水できる。
【0157】
(2) 停電時から時間が経過すれば、冷水タンク102の貯留水は需要に応じて水容器100の原水温度と同等となり、また、温水タンク104の貯留水も同等となる。しかし、温水タンク104からの注水を禁止し、常温水と温水の混同を防止できる。
【0158】
(3) 停電モードでは注水における表示を通常モードと異ならせ、停電時での注水状態を表す情報を提示するので、ウォーターサーバー2の利便性を高めることができる。
【0159】
(4) 電池出力で注水が可能であり、それに対応した情報提示が可能であるから、災害時などの異常事態だけでなく、日常においても、利便性の高いウォーターサーバー2として活用することが可能である。
【実施例1】
【0160】
図17は、実施例1に係る交流検出部14の一例を示している。
図17において、
図1、
図8と同一部分には同一符号を付してある。
【0161】
この交流検出部14は、交流源8の交流電圧の周期的な電圧変化から給電中か停電かを検出する。この交流検出部14に備える全波整流部138は、交流源8からの交流の全波整流により、全波整流電圧を出力する。この全波整流電圧は、半周期ごとに電圧レベルが変化する。
【0162】
この全波整流電圧は抵抗140、142で調整された電流が発光素子146に流れて発光する。この発光は、全波整流電圧の電圧レベルによって変化する。つまり、周期的に発光する。
【0163】
フォトカプラ144の受光素子148は発光素子146からの断続する光を受け、ON/OFFを繰り返す。受光素子148のコレクタには信号用電源150からの印加電圧が抵抗152を介して加えられているから、信号用電源150の印加電圧をピークにしたパルス信号が得られる。このパルス信号が交流検出信号であり、抵抗154を介して制御部20に加えられる。つまり、この交流検出信号が解除されたとき、交流源8の停電を表す。
【0164】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) このような交流検出部14によれば、交流源8の給電時または停電時を瞬時に検出できる。
【0165】
(2) この交流検出信号を用いることにより、停電から給電が復帰したとき、制御部20が電池給電解除信号Soffを発生し、電池給電を解除し、電源部4を通常モードに制御することができる。
【実施例2】
【0166】
図18は、実施例2に係る電源部4の一例を示している。
図18において、
図1、
図8と同一部分には同一符号を付してある。
【0167】
電源部4は、電池給電保持部16および電池給電解除部18を備え、電池給電保持部16は起動ボタン10により電池給電を保持し、電池給電解除部18は制御部20からの電池給電解除信号Soffにより電池給電を解除する。
【0168】
<電池給電の保持>
電池給電保持部16は自己保持型のリレー156およびトランジスタ158、160からなるスイッチ回路を備えている。ダイオード165は逆起電力吸収素子の一例である。交流源8の停電時、起動ボタン10が押下によって閉じられると、電池6から電池電圧がリレー156のリレーコイル162に加えられ、リレー156の接点164が閉じられるため、トランジスタ158、160がON状態となる。つまり、停電モードの開始である。
【0169】
トランジスタ158、160のON状態により、リレーコイル162が磁化される。接点164が閉じ、起動ボタン10がOFFに移行しても、閉じられた接点164を通して電池6から電池電圧がリレーコイル162に加えられ、リレーコイル162の磁化が保持される。したがって、電池給電が保持され、直流安定化電圧に代わる電池電圧が絶縁ダイオード50-2を通して制御部20に加えられる。
【0170】
<電池給電の解除>
電池給電解除部18は、トランジスタ166からなるスイッチ回路を備えている。トランジスタ166は制御部20の電池給電解除信号Soffの出力前、OFF状態に維持される。つまり、電池給電解除信号Soffが出力されると、トランジスタ166がON状態となり、抵抗168にトランジスタ166の導通電流が流れる。この結果、トランジスタ158のベースが低電位に移行し、トランジスタ158、160が共にOFF状態となるので、電池給電保持部16の電池給電保持が解除される。
【0171】
<実施例2の効果>
この実施例2によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 電池給電の保持およびその解除を低消費電力で実行することができる。
【0172】
(2) 電池給電解除部18はトランジスタ166を備え、電池給電保持部16のトランジスタ158、160を利用できるので、回路構成の簡略化を図ることができる。
【実施例3】
【0173】
図19は、実施例3に係る電源部4、電磁弁駆動部66の一例を示している。
図19において、
図1、
図8と同一部分には同一符号を付してある。
【0174】
停電モードにおいて、電池給電保持部16の電池給電保持に基づく電池出力が電源部4から電磁弁駆動部66に加えられる。電磁弁駆動部66には、冷水電磁弁64を駆動するためのトランジスタ電磁弁駆動回路170が設置されているとともに、温水電磁弁65を駆動するためのトランジスタ電磁弁駆動回路172が設置されている。
【0175】
トランジスタ電磁弁駆動回路170、172は制御部20と同様に、電源部4からの電池出力によって駆動可能であり、同様に、冷水電磁弁64および温水電磁弁65も同様の電池出力によって駆動可能である。
【0176】
<実施例3の効果>
この実施例3によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 停電モードの電池給電によってトランジスタ電磁弁駆動回路170、172および冷水電磁弁64、温水電磁弁65が電池出力で駆動できる。
【0177】
(2) 電池6で駆動可能であるため、停電モードの消費電力を抑制できる。
【実施例4】
【0178】
図20は、実施例4に係る電源部4を示している。上記実施の形態および実施例では電池給電解除部18による制御部20からの電池給電解除信号Soffで電池給電を解除しているが、それに加え手動で電池給電を解除する電池給電解除部174を備えてもよい。
【0179】
この電池給電解除部174は、常閉接点176を備え、この常閉接点176を接点164に直列に設置する。停電モードにおいて、接点164が閉じているとき、つまり、電池給電保持の状態において、手動で常閉接点176をOFF状態にすれば、同様に、電池給電を解除することができる。
【0180】
<実施例4の効果>
この実施例4によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 手動で任意に電池給電の保持を解除できる。
【0181】
(2) 緊急時などに電池給電の保持を解除できる利便性の高いウォーターサーバー2を構成することができる。
【0182】
<他の実施の形態>
(1) 上記実施の形態では、
図5のAないしDに動作パターンを示しているが、本開示はこの動作パターンに限定されない。たとえば、注水動作の終了時点で経過時間Mtの計測を終了し、その際に閾値Mthも解除し、この時点で新たな閾値Mthを設定するとともに注水動作のない経過時間Mtの計測を開始してもよい。斯かる構成によれば、注水動作のない経過時間Mtの継続による電池6の消耗を回避できるとともに、起動ボタン10の繰り返し操作の煩わしさを回避できる。
【0183】
(2) 上記実施の形態において、電池6が8本の単三電池の直列回路を以て12〔V〕を実現しているが、8本を超える多数の電池の直並列回路を以て12〔V〕を実現してもよい。また、電池電圧は12〔V〕に限定されない。
【0184】
(3) 電池6には、繰り返し充電可能な蓄電池を用いてもよく、電源部4に交流給電時に蓄電池を充電する充電回路を備えてもよい。
【0185】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施の形態等について説明した。本開示は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本開示は、交流給電時の通常モードでの冷水または温水の注水の他、停電時、電池給電時の停電モードにおいて、注水が可能であり、災害時などに有効活用可能な利便性の高いウォーターサーバーを提供することができる。
【符号の説明】
【0187】
2 ウォーターサーバー
4 電源部
6 電池
8 交流源
10 起動ボタン
12 直流安定化部
14 交流検出部
16 電池給電保持部
18 電池給電解除部
20 制御部
21 停電時休止部
22 大電流負荷
24 電磁弁部
25 情報提示部
26 操作部
28 サーバー筐体
29 水容器載置部
30 操作パネル部
32 温水・冷水注水カバー部
34 注水受け部
36 注水口
38 注湯口
40 排水部
42 上部パネル
44-1、44-2 電池ボックス
46 放熱カバー
48 冷却装置カバー
50-1、50-2 絶縁ダイオード
52 プロセッサ
54 記憶部
56 I/O
58 タイマー
60 冷却装置
61 駆動部
62 温水ヒーター
63 スイッチ部
64 冷水電磁弁
65 温水電磁弁
66 電磁弁駆動部
68 冷水ランプ
70 弱冷ランプ
72 温水ランプ
74 高温ランプ
75 省エネランプ
76 ロックランプ
78 ランプ駆動部
79 冷水ボタン
80 温水ボタン
82 省エネボタン
84 ロック・解除ボタン
86 センサー部
87 冷水温度センサー
88 温水温度センサー
90 電源制御部
92 停電モード制御部
94 冷水制御部
96 温水制御部
98 情報提示制御部
100 水容器
102 冷水タンク
104 温水タンク
106 給水ノズル部
108 頂部開口
110 弁機構
112 開閉弁
114 開閉アーム部
116 フロート部
118 蒸発器
120 分離プレート
122 窪み部
124 給水管
126 バイパス管
128 バイパス弁
130 注水管
132 注湯管
134 給水孔
136 通水孔
138 全波整流部
140、142 抵抗
144 フォトカプラ
146 発光素子
148 受光素子
150 信号用電源
152、154 抵抗
156 リレー
158、160 トランジスタ
162 リレーコイル
164 接点
165 ダイオード
166 トランジスタ
168 抵抗
170、172 トランジスタ電磁弁駆動回路
174 電池給電解除部
176 常閉接点