(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】液体アンモニア相変化冷却式ハイブリッドパワー熱管理システム
(51)【国際特許分類】
F02M 21/02 20060101AFI20241203BHJP
F02M 25/00 20060101ALI20241203BHJP
F01P 3/20 20060101ALI20241203BHJP
F02B 43/02 20060101ALI20241203BHJP
F02M 37/04 20060101ALI20241203BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20241203BHJP
F02M 43/04 20060101ALI20241203BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20241203BHJP
H01M 8/0606 20160101ALI20241203BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
F02M21/02 F
F02M25/00 F
F01P3/20 A
F02B43/02
F02M37/04 B
F02M37/00 341Z
F02M43/04
H01M8/04 Z
H01M8/0606
F25B1/00 396R
(21)【出願番号】P 2022156815
(22)【出願日】2022-09-29
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】202111374434.4
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520409578
【氏名又は名称】哈爾濱工程大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】范 立云
(72)【発明者】
【氏名】魏 云鵬
(72)【発明者】
【氏名】毛 運濤
(72)【発明者】
【氏名】許 菁
(72)【発明者】
【氏名】呉 岳霖
(72)【発明者】
【氏名】張 瀚文
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113202638(CN,A)
【文献】特開2008-232026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0164407(US,A1)
【文献】特開2018-013090(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112628030(CN,A)
【文献】特開平07-253254(JP,A)
【文献】特開平10-131811(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113202637(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107035586(CN,A)
【文献】米国特許第05499615(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 21/00
F02M 25/00
F01P 3/20
F02M 37/00
F02M 43/00
F02B 43/00
H01M 1/08
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジェクター、液体アンモニア水素供給システム、液体アンモニアコモンレールパイプ、燃料コモンレールパイプ、燃料タンクを含み、前記液体アンモニア水素供給システムは、液体アンモニア貯蔵タンク、アンモニアポンプシステム、分流システム及びアンモニア送出入システムを含み、前記燃料コモンレールパイプは前記燃料タンクと前記インジェクターの一方向燃料注入口にそれぞれ接続され、前記液体アンモニアコモンレールパイプは、前記アンモニア送出入システムと前記インジェクターの一方向アンモニア注入口にそれぞれ接続され、前記アンモニア送出入システム内にはアンモニア注入パイプとアンモニアリターンパイプが配置され、前記アンモニアポンプシステムは液体アンモニア貯蔵分流器、低圧ポンプ、高圧ポンプを含み、前記分流システムは貯蔵タンク、アンモニア注入制御弁、第1の安全弁及びアンモニアリターン制御弁を含み、前記液体アンモニア貯蔵タンクの排出口は、順次に前記低圧ポンプ、前記高圧ポンプ、前記液体アンモニア貯蔵分流器、前記貯蔵タンク及び前記アンモニア注入制御弁に接続され、前記アンモニア注入制御弁は前記アンモニア注入パイプを介して前記液体アンモニアコモンレールパイプに接続され、前記液体アンモニア貯蔵タンクの注入口は、順次に前記アンモニアリターン制御弁、前記第1の安全弁に接続され、前記第1の安全弁は前記アンモニアリターンパイプを介して前記インジェクターに接続され、前記液体アンモニア貯蔵タンクは、水素貯蔵タンク及び窒素貯蔵タンクにそれぞれ接続されており、
前記インジェクターは、インジェクター本体、液体アンモニア噴射部、ディーゼル噴射部を含み、前記液体アンモニア噴射部及び前記ディーゼル噴射部は前記インジェクター本体内にそれぞれ位置し、前記液体アンモニア噴射部は上から下に設定された増圧モジュール、第1の圧力蓄積共振フロー制限モジュール、超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータ、相変化制御可能な超噴霧化ノズルモジュールを含み、前記ディーゼル噴射部は上から下に設定された第2の圧力蓄積共振フロー制限モジュール、補助増圧モジュール、圧力平衡式電磁制御アクチュエータ、ニードルバルブ偏心自己調整ノズルを含み、
前記増圧モジュールには、増圧磁気ヨーク、増圧主/補助磁極、メイン増圧ピストン、増圧アーマチュア、増圧リミットブロック、増圧ダブルシールバルブステム、増圧上バルブステムシート、増圧下バルブステムシートが含まれ、前記増圧アーマチュアは前記増圧ダブルシールバルブステムの頂部にスリーブし、前記増圧磁気ヨークと前記増圧アーマチュアの間に増圧リターンスプリングが設置され、前記増圧リターンスプリングの外側に前記増圧主/補助磁極が設置され、前記増圧主/補助磁極にはコイルが巻かれ、前記増圧ダブルシールバルブステムの中部は前記増圧上バルブステムシートの中に位置し、前記増圧ダブルシールバルブステムの下部は前記増圧下バルブステムシートの中に位置し、前記増圧ダブルシールバルブステムの中部には、増圧バルブステムリターンスプリングがスリーブされ、前記増圧ダブルシールバルブステムの中部と底部の間に増圧ダブルシール突起が設置され、前記増圧ダブルシールバルブステムと対応する前記増圧上バルブステムシート及び前記増圧下バルブステムシートの面には、いずれもシール面が設置され、前記メイン増圧ピストンは前記増圧下バルブステムシートの下方に位置し、前記メイン増圧ピストンの外部にはメイン増圧ピストンリターンスプリングがスリーブされ、前記増圧上バルブステムシート内には連通するアンモニアリターンチャンネルが設置され、前記増圧下バルブステムシート内にはアンモニア注入チャンネル及びミドルパイプラインが設置され、前記増圧下バルブステムシート内の前記増圧ダブルシール突起が配置されている空間は前記ミドルパイプラインに連通されている空間であることを特徴とする液体アンモニア相変化冷却式のハイブリッドエンジン用のハイブリッド熱管理システム。
【請求項2】
前記第1の圧力蓄積共振フロー制限モジュールは、共振ブロック、ミドルブロック、菱形シールブロック、フロー制限ピストン、及び蓄圧バルブシートを含み、前記メイン増圧ピストンの下方の前記インジェクター本体内に蓄圧空洞が設置され、前記蓄圧空洞の側壁に一方向アンモニア注入口が取り付けられ、前記インジェクター本体の上に液冷管入口が配置され、前記液冷管入口は前記蓄圧空洞に連通し、前記蓄圧空洞の下方に順次に前記共振ブロック、前記ミドルブロック、前記菱形シールブロック、前記蓄圧バルブシートが設置され、前記蓄圧バルブシート内に前記フロー制限ピストンが設置され、前記ミドルブロック内にミドルブロックリターンスプリングが設置され、前記ミドルブロックの底部にはアンモニア注入孔及び共振ブロックアンモニア注入経路オリフィス孔がそれぞれ設置され、前記菱形シールブロックは前記フロー制限ピストンの上に位置し、前記フロー制限ピストン内にはミドル孔が設置され、前記フロー制限ピストンの下方にはフロー制限ピストンリターンスプリングが設置され、前記フロー制限ピストンリターンスプリングの下方に貯蔵空洞が設置されることを特徴とする請求項1に記載の液体アンモニア相変化冷却式のハイブリッドエンジン用のハイブリッド熱管理システム。
【請求項3】
前記超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータは、超磁気ヒステリシス主/補助磁極、磁気ヒステリシスシート、超磁気ヒステリシス上バルブステム、超磁気ヒステリシス下端円錐弁、超磁気ヒステリシスポペットバルブが含まれ、前記超磁気ヒステリシス主/補助磁極内にコイルが巻かれ、前記超磁気ヒステリシス主/補助磁極の貫通孔内には超磁気ヒステリシス材料が設置され、前記超磁気ヒステリシス材料の下方には順次に前記磁気ヒステリシスシート、前記超磁気ヒステリシス上バルブステム、前記超磁気ヒステリシス下端円錐弁、前記超磁気ヒステリシスポペットバルブが設置され、前記超磁気ヒステリシスポペットバルブは前記超磁気ヒステリシスポペットバルブの空洞内に位置し、前記超磁気ヒステリシスポペットバルブの下方には超磁気ヒステリシスポペットバルブリターンスプリングが設置され、前記超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータが配置されている前記インジェクター本体内には燃料リターン経路、燃料注入経路が設置され、前記燃料リターン経路は前記超磁気ヒステリシスポペットバルブの空洞に連通し、前記超磁気ヒステリシス下端円錐弁の外部の前記超磁気ヒステリシス下端円錐弁のシェル内には超磁気ヒステリシス円錐弁燃料注入孔が設置され、前記超磁気ヒステリシス円錐弁燃料注入孔は前記燃料注入経路に連通することを特徴とする請求項1に記載の液体アンモニア相変化冷却式のハイブリッドエンジン用のハイブリッド熱管理システム。
【請求項4】
前記相変化制御可能な超噴霧化ノズルモジュールには、超噴霧化ノズル本体、超噴霧化バルブシート、静的漏れのないシリンダー、超噴霧化ニードルバルブ本体、超噴霧化制御弁が含まれ、前記超噴霧化バルブシートは前記超噴霧化ノズル本体内に位置し、前記静的漏れのないシリンダーと前記超噴霧化ニードルバルブ本体は前記超噴霧化バルブシート内に位置し、前記超噴霧化ニードルバルブ本体のヘッド部は前記静的漏れのないシリンダー内に位置し、前記超噴霧化ニードルバルブ本体の中部と前記静的漏れのないシリンダーの間には超噴霧化ニードルバルブ本体リターンスプリングが設置され、前記静的漏れのないシリンダー、前記超噴霧化ニードルバルブ本体と前記超噴霧化バルブシートの間にはアンモニア貯蔵空洞が形成され、前記超噴霧化バルブシートと前記超噴霧化ノズル本体の間に液冷作動媒体注入口パイプライン及び液冷作動媒体排出口パイプラインが形成され、前記超噴霧化ニードルバルブ本体の底部と前記超噴霧化バルブシートの底部は超噴霧化ジェットフローチャンネルを形成し、前記アンモニア貯蔵空洞と貯蔵空洞は接続され、前記超噴霧化ニードルバルブ本体の頂端とその上方の前記インジェクター本体の間に超噴霧化制御空洞が形成されることを特徴とする請求項1に記載の液体アンモニア相変化冷却式のハイブリッドエンジン用のハイブリッド熱管理システム。
【請求項5】
インジェクター、液体アンモニア水素供給システム、液体アンモニアコモンレールパイプ、燃料コモンレールパイプ、燃料タンクを含み、前記液体アンモニア水素供給システムは、液体アンモニア貯蔵タンク、アンモニアポンプシステム、分流システム及びアンモニア送出入システムを含み、前記燃料コモンレールパイプは前記燃料タンクと前記インジェクターの一方向燃料注入口にそれぞれ接続され、前記液体アンモニアコモンレールパイプは、前記アンモニア送出入システムと前記インジェクターの一方向アンモニア注入口にそれぞれ接続され、前記アンモニア送出入システム内にはアンモニア注入パイプとアンモニアリターンパイプが配置され、前記アンモニアポンプシステムは液体アンモニア貯蔵分流器、低圧ポンプ、高圧ポンプを含み、前記分流システムは貯蔵タンク、アンモニア注入制御弁、第1の安全弁及びアンモニアリターン制御弁を含み、前記液体アンモニア貯蔵タンクの排出口は、順次に前記低圧ポンプ、前記高圧ポンプ、前記液体アンモニア貯蔵分流器、前記貯蔵タンク及び前記アンモニア注入制御弁に接続され、前記アンモニア注入制御弁は前記アンモニア注入パイプを介して前記液体アンモニアコモンレールパイプに接続され、前記液体アンモニア貯蔵タンクの注入口は、順次に前記アンモニアリターン制御弁、前記第1の安全弁に接続され、前記第1の安全弁は前記アンモニアリターンパイプを介して前記インジェクターに接続され、前記液体アンモニア貯蔵タンクは、水素貯蔵タンク及び窒素貯蔵タンクにそれぞれ接続されており、
さらに水素燃料電池システムを含み、前記水素燃料電池システムは、スタックアノード、スタックカソード、水素給気口、窒素注入口、及び空気給気口を含み、前記水素貯蔵タンクは前記水素給気口に接続され、前記窒素貯蔵タンクは前記窒素注入口に接続され、前記水素給気口と前記窒素注入口は合流させた後に水素フィルタ、第1の遮断弁、高圧ガス噴射弁、エジェクタポンプと水素循環ポンプを通過して前記スタックアノードに供給し、前記スタックアノードの排気ガスは水分離器を通過し、排水弁と排気弁からそれぞれ排出され;空気はエアフィルタ、エア圧縮機、第1のインタークーラー、加湿器、及び第2の遮断弁を通過して前記スタックカソードに供給されることを特徴とする液体アンモニア相変化冷却式のハイブリッドエンジン用のハイブリッド熱管理システム。
【請求項6】
インジェクター、液体アンモニア水素供給システム、液体アンモニアコモンレールパイプ、燃料コモンレールパイプ、燃料タンクを含み、前記液体アンモニア水素供給システムは、液体アンモニア貯蔵タンク、アンモニアポンプシステム、分流システム及びアンモニア送出入システムを含み、前記燃料コモンレールパイプは前記燃料タンクと前記インジェクターの一方向燃料注入口にそれぞれ接続され、前記液体アンモニアコモンレールパイプは、前記アンモニア送出入システムと前記インジェクターの一方向アンモニア注入口にそれぞれ接続され、前記アンモニア送出入システム内にはアンモニア注入パイプとアンモニアリターンパイプが配置され、前記アンモニアポンプシステムは液体アンモニア貯蔵分流器、低圧ポンプ、高圧ポンプを含み、前記分流システムは貯蔵タンク、アンモニア注入制御弁、第1の安全弁及びアンモニアリターン制御弁を含み、前記液体アンモニア貯蔵タンクの排出口は、順次に前記低圧ポンプ、前記高圧ポンプ、前記液体アンモニア貯蔵分流器、前記貯蔵タンク及び前記アンモニア注入制御弁に接続され、前記アンモニア注入制御弁は前記アンモニア注入パイプを介して前記液体アンモニアコモンレールパイプに接続され、前記液体アンモニア貯蔵タンクの注入口は、順次に前記アンモニアリターン制御弁、前記第1の安全弁に接続され、前記第1の安全弁は前記アンモニアリターンパイプを介して前記インジェクターに接続され、前記液体アンモニア貯蔵タンクは、水素貯蔵タンク及び窒素貯蔵タンクにそれぞれ接続されており、
さらに
前記インジェクターを冷却するための冷却システムを含み、水タンク、第1のラジエータ、第1の脱イオン器、第1のヒーター、第2のインタークーラー、及び第1の冷却接続口を含み、前記第1のラジエータ、前記第1の脱イオン器、前記第1のヒーター、前記第2のインタークーラー、及び前記第1の冷却接続口は、並列に接続されて、第1の冷却ユニットを形成し、前記水タンクは前記第1の冷却ユニットに接続され、前記第1の冷却接続口は冷却水排出口に接続され、前記第1の冷却ユニットは排水弁を介して排出口に接続され;第2の冷却ユニットは前記第1の冷却ユニットと対称的に設置され、前記第2の冷却ユニットは、第2のラジエータ、第2の脱イオン器、第2のヒーター、第3のインタークーラー、及び第2の冷却接続口を含み、前記第2の冷却ユニットの配置方式は、前記第1の冷却ユニットと同じで対称的であることを特徴とする液体アンモニア相変化冷却式のハイブリッドエンジン用のハイブリッド熱管理システム。
【請求項7】
インジェクター、液体アンモニア水素供給システム、液体アンモニアコモンレールパイプ、燃料コモンレールパイプ、燃料タンクを含み、前記液体アンモニア水素供給システムは、液体アンモニア貯蔵タンク、アンモニアポンプシステム、分流システム及びアンモニア送出入システムを含み、前記燃料コモンレールパイプは前記燃料タンクと前記インジェクターの一方向燃料注入口にそれぞれ接続され、前記液体アンモニアコモンレールパイプは、前記アンモニア送出入システムと前記インジェクターの一方向アンモニア注入口にそれぞれ接続され、前記アンモニア送出入システム内にはアンモニア注入パイプとアンモニアリターンパイプが配置され、前記アンモニアポンプシステムは液体アンモニア貯蔵分流器、低圧ポンプ、高圧ポンプを含み、前記分流システムは貯蔵タンク、アンモニア注入制御弁、第1の安全弁及びアンモニアリターン制御弁を含み、前記液体アンモニア貯蔵タンクの排出口は、順次に前記低圧ポンプ、前記高圧ポンプ、前記液体アンモニア貯蔵分流器、前記貯蔵タンク及び前記アンモニア注入制御弁に接続され、前記アンモニア注入制御弁は前記アンモニア注入パイプを介して前記液体アンモニアコモンレールパイプに接続され、前記液体アンモニア貯蔵タンクの注入口は、順次に前記アンモニアリターン制御弁、前記第1の安全弁に接続され、前記第1の安全弁は前記アンモニアリターンパイプを介して前記インジェクターに接続され、前記液体アンモニア貯蔵タンクは、水素貯蔵タンク及び窒素貯蔵タンクにそれぞれ接続されており、
さらに複動ヒートポンプを含み、前記複動ヒートポンプは、液体アンモニア入口、三方弁、低出力圧縮機、高出力圧縮機、冷却熱交換器、加熱熱交換器、第3のラジエータを含み、前記液体アンモニア貯蔵タンクは、前記液体アンモニア入口に接続され、前記液体アンモニア入口は、前記三方弁に接続され、前記低出力圧縮機の排出口からの高圧蒸気は、前記第3のラジエータに注入され、前記高圧蒸気が凝縮した後、第1の電子膨張弁、第2の電子膨張弁を通って前記冷却熱交換器に入り、前記低出力圧縮機に戻り;前記高出力圧縮機からの高圧蒸気は、前記加熱熱交換器に入り凝縮して熱を放出し、一方向チェックバルブと前記第1の電子膨張弁を通って膨張弁が配置されている分岐に入り、前記膨張弁が配置されている分岐の液体作動媒体は気態作動媒体に蒸発し、且つ前記高出力圧縮機に戻ることを特徴とする液体アンモニア相変化冷却式のハイブリッドエンジン用のハイブリッド熱管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関し、具体的にはハイブリッドエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶のグリーンと低炭素化の背景で、船の開発は変革とアップグレードの重要な時期に入り、将来の船は、動力に高度なフレキシビリティが必要とされ、動力のフレキシビリティには、構成がフレキシビリティである動力装置が含まれ、燃料供給、噴射システムのフレキシビリティと燃料貯蔵、はしけでの運び、補給のフレキシビリティが含まれる。船舶の発展においては、動力の多様性、燃料の多様性は避けられない傾向であるため、船用の低炭素化クリーン燃料供給及び噴射システムの研究開発は、現在及び将来の技術開発ニーズを満たし、技術革新、製品競争力、及び企業の影響力を向上させるための重要な手段である。典型的な低炭素化燃料の1つであるアンモニアは、水素燃料に比べ、エネルギー貯蔵量がより多く、貯蔵と輸送が容易で、サプライチェーンが成熟しており、主要な低炭素エネルギー源の1つである。
【0003】
新しい代替燃料としては、アンモニア燃料などは、低粘度、低引火点(液体燃料)、低炭素、低排出という共通の特徴を備えているため、既存の機器、特に燃料供給及び噴射システムは、新しい燃料のニーズを満たすために、非常に大規模な技術的アップグレードと改造を実行する必要がある。同時に、注目すべきことは、エンジンの燃焼排出量の観点からは、新しい代替燃料は非常に大きな排出削減の潜在性があるが、燃料のライフサイクル全体の観点からは、既存の代替燃料はグリーン再生可能エネルギーの問題を解決する必要があり、エネルギー産業チェーン全体の変革をもたらした。現在、世界にはまだ成熟したアンモニア燃料動力装置がなく、ディーゼルエンジンから改善されたアンモニア燃料エンジンには、体積効率が低く、燃焼効果が低く、熱効率とエネルギー利用率が低いなどの問題があるため、普及と応用が制限されている。
【0004】
これに対して、本発明は、ディーゼル点火の燃焼モードを採用し、アンモニア燃料が高圧下で液体の形態でシリンダー内に噴射されるように、アンモニア燃料噴射システムを設計し、エンジン動作の圧縮比を改善して、熱効率を効果的に向上させる。従来の発明特許と比較して、本発明は、液体アンモニア相変化原理に基づいて複動ヒートポンプモジュールを革新的に設計し、第一に、低温状態でのエンジンの冷間始動の問題を効果的に解決でき、第二に、圧縮機の消費電力を削減し、余熱の利用を実現し、エネルギーの利用率を向上させる。同時に、本発明は、実用的なアンモニア燃料の適用経路を提供して、一のアンモニアが動力装置の燃料、冷却システムの冷媒、排気後処理モジュールの還元剤の三つの用途に使用される。エンジン排出性能を向上させることは、動力性と経済性を確保しながら、炭素排出量の最大削減に向けて徐々に進んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低温状態でのエンジンの冷間始動の問題を効果的に解決でき、圧縮機の消費電力を削減し、余熱の利用を実現し、エネルギーの利用率を向上させる液体アンモニア相変化冷却式ハイブリッド熱管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、以下のようにして達成される。
本発明の液体アンモニア相変化冷却式ハイブリッド熱管理システムは、インジェクター、液体アンモニア水素供給システム、液体アンモニアコモンレールパイプ、燃料コモンレールパイプ、燃料タンクを含み、液体アンモニア水素供給システムは、液体アンモニア貯蔵タンク、アンモニアポンプシステム、分流システム及びアンモニア送出入システムを含み、燃料コモンレールパイプは燃料タンクとインジェクターの一方向燃料注入口にそれぞれ接続され、液体アンモニアコモンレールパイプは、アンモニア送出入システムとインジェクターの一方向アンモニア注入口にそれぞれ接続され、アンモニア送出入システム内にはアンモニア注入パイプとアンモニアリターンパイプが配置され、アンモニアポンプシステムは液体アンモニア貯蔵分流器、低圧ポンプ、高圧ポンプを含み、分流システムは貯蔵タンク、アンモニア注入制御弁、安全弁、及びアンモニア排出制御弁を含み、液体アンモニア貯蔵タンクの排出口は、順次に低圧ポンプ、高圧ポンプ、液体アンモニア貯蔵分流器、貯蔵タンク及びアンモニア注入制御弁に接続され、アンモニア注入制御弁はアンモニア注入パイプを介して液体アンモニアコモンレールパイプに接続され、液体アンモニア貯蔵タンクの注入口は、順次にアンモニアリターン制御弁、安全弁に接続され、安全弁はアンモニアリターンパイプを介してインジェクターに接続され、液体アンモニア貯蔵タンクは、水素貯蔵タンク及び窒素貯蔵タンクにそれぞれ接続されていることを特徴とする。
【0007】
本発明は更に以下を含む:
1、前記インジェクターには、インジェクター本体、液体アンモニア噴射部、ディーゼル噴射部を含み、液体アンモニア噴射部とディーゼル噴射部はインジェクター本体内にそれぞれ位置し、液体アンモニア噴射部は上から下に設定された増圧モジュール、第1の圧力蓄積共振フロー制限モジュール、超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータ、相変化制御可能な超噴霧化ノズルモジュールを含み、ディーゼル噴射部は上から下に設定された第2の圧力蓄積共振フロー制限モジュール、補助増圧モジュール、圧力平衡式電磁制御アクチュエータ、ニードルバルブ偏心自己調整ノズルを含む。
【0008】
2、前記増圧モジュールには、増圧磁気ヨーク、増圧主/補助磁極、メイン増圧ピストン、増圧アーマチュア、増圧リミットブロック、増圧ダブルシールバルブステム、増圧上バルブステムシート、増圧下バルブステムシートが含まれ、増圧アーマチュアは増圧ダブルシールバルブステムの上部にスリーブし、増圧磁気ヨークと増圧アーマチュアの間に増圧リターンスプリングが設置され、増圧リターンスプリングの外側に増圧主/補助磁極が設置され、増圧主/補助磁極にはコイルが巻かれ、増圧ダブルシールバルブステムの中部は増圧上バルブステムシートの中に位置し、増圧ダブルシールバルブステムの下部は増圧下バルブステムシートの中に位置し、増圧ダブルシールバルブステムの中部には、増圧バルブステムリターンスプリングがスリーブされ、増圧ダブルシールバルブステムの中部と底部の間に増圧ダブルシール突起が設置され、増圧ダブルシールバルブステムと対応する増圧上バルブステムシート及び増圧下バルブステムシートの面には、いずれもシール面が設置され、メイン増圧ピストンは増圧下バルブステムシート下方に位置し、メイン増圧ピストンの外部にはメイン増圧ピストンリターンスプリングがスリーブされ、増圧上バルブステムシート内には連通するアンモニアリターンチャンネルが設置され、増圧下バルブステムシート内にはアンモニア注入チャンネル及びミドルパイプラインが設置され、増圧下バルブステムシート内の増圧ダブルシール突起が配置されている空間はミドルパイプラインに連通されている空間である。
【0009】
3、前記第1の圧力蓄積共振フロー制限モジュールは、共振ブロック、ミドルブロック、菱形シールブロック、フロー制限ピストン、及び圧力蓄積バルブシートを含み、メイン増圧ピストンの下方のインジェクター本体内に蓄圧空洞が設置され、蓄圧空洞の側壁に一方向アンモニア注入口が取り付けられ、インジェクター本体の上に液冷管入口が配置され、液冷管入口は蓄圧空洞に連通し、蓄圧空洞の下方に順次に共振ブロック、ミドルブロック、菱形シールブロック、蓄圧バルブシートが設置され、蓄圧バルブシート内にフロー制限ピストンが設置され、ミドルブロック内にミドルブロックリターンスプリングが設置され、ミドルブロックの底部にはアンモニア注入孔及び共振ブロックアンモニア注入経路オリフィス孔がそれぞれ設置され、菱形シールブロックはフロー制限ピストンの上に位置し、フロー制限ピストン内にはミドル孔が設置され、フロー制限ピストンの下方にはフロー制限ピストンリターンスプリングが設置され、フロー制限ピストンリターンスプリングの下方に貯蔵空洞が設置される。
【0010】
4、前記共振ブロック内には、第1のアンモニア注入経路、第2のアンモニア注入経路、第1のアンモニア注入空洞、第2のアンモニア注入空洞、第1のアンモニア排出流路、第2のアンモニア排出流路をそれぞれ設置し、第1のアンモニア注入空洞は第1のアンモニア注入経路及び第1のアンモニア排出流路にそれぞれ連通し、第2のアンモニア注入空洞は第2のアンモニア注入経路及び第2のアンモニア排出流路にそれぞれ連通し、第1のアンモニア注入空洞と第2のアンモニア注入空洞は連通孔を介して接続され、第1のアンモニア注入空洞は第1のアンモニアオリフィス孔を介して第1のアンモニア注入経路に連通し、第1のアンモニア注入空洞は第2のアンモニアオリフィス孔を介して蓄圧空洞に連通し、第1のアンモニア注入経路と第2のアンモニア注入経路は蓄圧空洞に連通する。
【0011】
5、前記超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータは、超磁気ヒステリシス主/補助磁極、磁気ヒステリシスシート、超磁気ヒステリシス上バルブステム、超磁気ヒステリシス下端円錐弁、超磁気ヒステリシスポペットバルブが含まれ、超磁気ヒステリシス主/補助磁極内にコイルが巻かれ、超磁気ヒステリシス主/補助磁極の貫通孔内には超磁気ヒステリシス材料が設置され、超磁気ヒステリシス材料の下方には順次に磁気ヒステリシスシート、超磁気ヒステリシス上バルブステム、超磁気ヒステリシス下端円錐弁、超磁気ヒステリシスポペットバルブが設置され、超磁気ヒステリシスポペットバルブは超磁気ヒステリシスポペットバルブ空洞内に位置し、超磁気ヒステリシスポペットバルブの下方には超磁気ヒステリシスポペットバルブリターンスプリングが設置され、超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータが配置されているインジェクター本体内には燃料リターン経路、燃料注入経路が設置され、燃料リターン経路は超磁気ヒステリシスポペットバルブ空洞に連通し、超磁気ヒステリシス下端円錐弁外部の超磁気ヒステリシス下端円錐弁のシェル内には超磁気ヒステリシス円錐弁燃料注入孔が設置され、超磁気ヒステリシス円錐弁燃料注入孔は燃料注入経路に連通する。
【0012】
6、前記相変化制御可能な超噴霧化ノズルモジュールには、超噴霧化ノズル本体、超噴霧化バルブシート、静的漏れのないシリンダー、超噴霧化ニードルバルブ本体、超噴霧化制御弁が含まれ、超噴霧化バルブシートは超噴霧化ノズル本体内に位置し、静的漏れのないシリンダーと超噴霧化ニードルバルブ本体は超噴霧化バルブシート内に位置し、超噴霧化ニードルバルブ本体のヘッド部は静的漏れのないシリンダー内に位置し、超噴霧化ニードルバルブ本体の中部と静的漏れのないシリンダーの間には超噴霧化ニードルバルブ本体リターンスプリングが設置され、静的漏れのないシリンダー、超噴霧化ニードルバルブ本体と超噴霧化バルブシートの間にはアンモニア貯蔵空洞が形成され、超噴霧化バルブシートと超噴霧化ノズル本体の間に液冷作動媒体注入口パイプライン及び液冷作動媒体排出口パイプラインが形成され、超噴霧化ニードルバルブ本体の底部と超噴霧化バルブシートの底部は超噴霧化ジェットフローチャンネルを形成し、アンモニア貯蔵空洞と貯蔵空洞は接続され、超噴霧化ニードルバルブ本体の頂端とその上方のインジェクター本体の間に超噴霧化制御空洞が形成される。
【0013】
7、第2の圧力蓄積共振フロー制限モジュールの構造と第1の圧力蓄積共振フロー制限モジュールは同じであり、並列にインジェクター本体内に設置される。
【0014】
8、前記補助増圧モジュールには、補助増圧磁気ヨーク、補助増圧主/補助磁極、補助増圧ピストン、補助増圧アーマチュア、補助増圧リミットブロック、補助増圧ダブルシールバルブステム、補助増圧上バルブステムシート、補助増圧下バルブステムシートが含まれ、補助増圧アーマチュアは補助増圧ダブルシールバルブステムの上部にスリーブし、補助増圧磁気ヨークと補助増圧アーマチュアの間に補助増圧リターンスプリングが設置され、補助増圧リターンスプリングの外側に補助増圧主/補助磁極が設置され、補助増圧主/補助磁極にはコイルが巻かれ、補助増圧ダブルシールバルブステムの中部は補助増圧上バルブステムシートの中に位置し、補助増圧ダブルシールバルブステムの下部は補助増圧下バルブステムシートの中に位置し、補助増圧ダブルシールバルブステムの中部には、補助増圧バルブステムリターンスプリングがスリーブされ、補助増圧ダブルシールバルブステムの中部と底部の間に補助増圧ダブルシール突起が設置され、補助増圧ダブルシールバルブステムと対応する補助増圧上バルブステムシート及び補助増圧下バルブステムシートの面には、いずれもシール面が設置され、補助増圧ピストンは補助増圧下バルブステムシート下方に位置し、補助増圧ピストンの外部には補助増圧ピストンリターンスプリングがスリーブされ、補助増圧上バルブステムシート内にはリターンパイプラインが設置され、下バルブステムシート内には補助増圧燃料流路及び補助増圧連通チャンネルが設置され、補助増圧燃料流路は燃料注入チャンネルと補助増圧ダブルシール突起の下方にそれぞれ連通し、増圧ダブルシール突起が設置されている空間は連通空間であり、補助増圧連通チャンネルは連通空間と補助増圧ピストンの上方にそれぞれ連通し、燃料注入チャンネルにはシーリングボールが設置され、燃料シーリングボールの下方にシーリングボールリターンスプリングが設置され、補助増圧ピストンの下方は増圧燃料パイプラインであり、増圧燃料パイプラインはシーリングボールリターンスプリングの下方の燃料注入チャンネルに連通する。
【0015】
9、前記圧力平衡式電磁制御アクチュエータは、圧力制御式主/補助磁極、圧力制御式アーマチュア、バランスバルブステムを含み、バランスバルブステムの上部は圧力制御式主/補助磁極内に設置され、バランスバルブステムの下部は圧力制御式アーマチュア内に位置し、圧力制御式アーマチュアは圧力制御式主/補助磁極の下方に位置し、圧力制御式アーマチュアとバランスバルブステムの下方には圧力制御式燃料リターン孔の上セクションと圧力制御式燃料リターン孔の下セクションが設置され、圧力制御式燃料リターン孔の上セクションと圧力制御式燃料リターン孔の下セクションは圧力制御式燃料リターンオリフィス孔を介して連通され、圧力制御式燃料リターン孔下セクションは圧力制御式燃料注入オリフィス孔を介して燃料注入パイプラインに連通する。
【0016】
10、前記ニードルバルブ偏心自己調整ノズルは、偏心自己調整ミドルブロック、偏心自己調整ニードルバルブ本体、偏心自己調整ニードルバルブ本体シェル、偏心自己調整バルブブロック、偏心自己調整ノズル本体を含み、偏心自己調整ニードルバルブ本体は偏心自己調整ニードルバルブ本体シェル内に位置し、偏心自己調整ニードルバルブ本体は偏心自己調整ノズル本体内に位置し、圧力制御式燃料リターン孔下セクションは偏心自己調整ミドルブロック内に位置し、偏心自己調整ミドルブロック下端は偏心自己調整バルブブロックに接続され、偏心自己調整ニードルバルブ本体の頂部は偏心自己調整バルブブロック内に位置し、偏心自己調整ニードルバルブ本体、偏心自己調整バルブブロック及び偏心自己調整ミドルブロックの間には偏心自己調整制御空洞を形成し、偏心自己調整制御空洞は圧力制御式燃料リターン孔下セクションに連通し、偏心自己調整ニードルバルブ本体中部には偏心自己調整ニードルバルブ本体突起が設置され、偏心自己調整ニードルバルブ本体突起の上方に偏心自己調整ニードルバルブ本体リターンスプリングがスリーブされ、偏心自己調整ニードルバルブ本体は偏心構造であり、その一部はその外部にある偏心自己調整ニードルバルブ本体シェルの内壁に貼り付ける。
【0017】
11、さらに水素燃料電池システムを含み、水素燃料電池システムは、スタックアノード、スタックカソード、水素給気口、窒素注入口、及び空気給気口を含み、水素貯蔵タンクは水素給気口に接続され、窒素貯蔵タンクは窒素注入口に接続され、水素給気口と窒素注入口は合流させた後に水素フィルタ、第1の遮断弁、高圧ガス噴射弁、ジェットポンプと水素循環ポンプを通過してスタックアノードに供給し、スタックアノードの排気ガスは水分離器を通過し、それぞれ排水弁と排気弁を通って排出され;空気はエアフィルタ、エア圧縮機、第1のインタークーラー、加湿器、及び第2の遮断弁を通過してスタックカソードに供給される。
【0018】
12、さらに冷却システムを含み、水タンク、第1の2ラジエータ、第1の脱イオン器、第1のヒーター、第2のインタークーラー、及び第1の冷却接続口を含み、第1のラジエータ、第1の脱イオン器、第1のヒーター、第2のインタークーラー、及び第1の冷却接続口は、並列に接続されて、第1の冷却ユニットを形成し、水タンクは第1の冷却ユニットに接続され、冷却接続口は冷却水排出口に接続され、第1の冷却ユニットは排水弁を介して排出口に接続され;第2の冷却ユニットは第1の冷却ユニットと対称的に設置され、第2の冷却ユニットは、第2のラジエータ、第2の脱イオン器、第2のヒーター、第3のインタークーラー、及び第2の冷却接続口を含み、第2の冷却ユニットの配置は、第1の冷却ユニットと同じで対称的である。
【0019】
13、さらに複動ヒートポンプを含み、前記複動ヒートポンプは、液体アンモニア入口、三方弁、低出力圧縮機、高出力圧縮機、冷却熱交換器、加熱熱交換器、第3のラジエータを含み、液体アンモニア貯蔵タンクは、液体アンモニア入口に接続され、液体アンモニア入口は、三方弁に接続され、低出力圧縮機の排出口からの高圧蒸気は、第3のラジエータに通され、高圧蒸気が凝縮した後、第1の電子膨張弁、第2の電子膨張弁を通って冷却熱交換器に入り、低出力圧縮機に戻り;高出力圧縮機からの高圧蒸気は、熱交換器に入り凝縮して熱を放出し、一方向チェックバルブと第1の電子膨張弁を通って膨張弁が配置されている分岐に入り、膨張弁が配置されている分岐の液体作動媒体は気態作動媒体に蒸発し、且つ高出力圧縮機に戻る。
【0020】
14、さらに液体アンモニア-ディーゼルデュアル燃料シリンダーを含み、液体アンモニア-ディーゼルデュアル燃料シリンダーは、シリンダー体、ピストン、クランク、給気管、排気管を含み、シリンダー体の上方に給気管、排気管及びインジェクターがそれぞれ設置され、シリンダー体内にはピストンが設置され、ピストンの下方にはクランクが接続され、給気管とシリンダー体の接合部分は給気口であり、給気口に給気バルブステムを設置し、給気バルブステムには給気バルブステムリターンスプリングがスリーブされ、排気管とシリンダー体の接合部分は排気口であり、排気口に排気バルブステムが設置され、排気バルブステムには排気バルブステムリターンスプリングがスリーブされ、給気管に水素給気口が設置され、水素給気口と給気口の間に空気給気口が設置され、水素給気口と空気給気口との間に安全弁が設置されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の利点は、以下の通りである。
1、本発明は、液体アンモニア-ディーゼル燃料の一体化の設計により、設置スペースを節約し、ディーゼル供給は、アンモニア燃料インジェクターとディーゼル燃料インジェクターの噴射を同時に制御し、ディーゼル燃料インジェクターと過給機に燃料のブーストを提供し;
2、超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータ構造を使用して、アンモニア燃料噴射の正確な制御を確保した。圧力平衡式電磁制御アクチュエータと超噴霧化ノズルモジュールのフィットによってシリンダー内に噴射し、シリンダーへのアンモニア燃料の大流量及び高圧液体噴射を実現して、完全燃焼を実現し;
3、噴射過程を熱管理設計と組み合わせて、圧力と温度との両方から調整し、アンモニア燃料の相転移を制御し;
4、複数バルブの協調制御の形を使用して液体アンモニア噴射過程のサイクル及び可変を実現し、噴射量と噴射タイミングをより正確かつフレキシビリティにし;
5、共振ブロックを使用してシステム内の圧力変動を調整し、圧力波変動の位相を変えることにより、変動周波数、及びピークと谷の対応関係を調整して圧力波カプリング過程の可制御性が実現される。同時に、フローリミッターが設計されて、異常噴射の発生を防止し;
6、バランスバルブ制御方式を使用して、全体が高圧燃料に浸されているため、バランス力の作用により、より高いコモンレール圧力(250MPa)を実現できて、バルブ部品全体の質量を減らし、電磁力のニーズを減らしながら、制御応答を高めた。従って、より小さなサイズの電磁弁とアーマチュアのフィット及び少ないスプリングプリロードのみが必要であることになっている。同時に、使用されるバランスバルブステムは高さによる衝撃を直接受けないため、従来のボールバルブのキャビテーション現象(hole-corrosion effect)を防ぎ、システムの信頼性を高め;
7、ミドルブロックと自己調整バルブブロックの組み合わせる設計は、一方では従来の静的ブロック漏れのない問題を解決し、他方では、自己調整バルブブロックの設計により、ニードルバルブの偏心によって引き起こされる摩耗及び漏れの問題を防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】液体アンモニア-ディーゼルデュアル燃料シリンダーの概略図である。
【
図6】複動ヒートポンプと余熱利用システムの概略図である。
【
図7】液体アンモニア-ディーゼルデュアル燃料一体型インジェクターの全体構造概略図である。
【
図9】圧力蓄積空洞熱管理モジュールの構造概略図である。
【
図11】超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータの構造概略図である。
【
図12】相変化制御可能な超噴霧化ノズルモジュールの構造概略図である。
【
図14】圧力平衡式電磁制御アクチュエータの構造概略図である。
【
図15】ニードルバルブ偏心自己調整ノズルモジュール構造概略図である。
【
図16】相変化制御可能な超噴霧化ノズルモジュールの三次元断面の構造概略図である。
【
図17】相変化制御可能な超噴霧化ノズルモジュールの三次元全体構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面と併せて例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
図1~17と組み合わせると、
図1は、本発明の全体構造概略図であり、液体アンモニア相変化冷却式ハイブリッド熱管理システムは、燃料供給システム、液体アンモニア及び水素供給システム、液体アンモニア-ディーゼルデュアル燃料シリンダー、液体アンモニア-ディーゼルデュアル燃料インジェクター8、水素燃料電池供給システム27、冷却システム28及び複動ヒートポンプ26及び余熱利用システム29を含む。燃料供給システムには、燃料タンク7、フィルタ6、高圧燃料ポンプ及びモーター4、燃料コモンレールパイプ11、フローリミッター12、高圧燃料パイプ3及び13、インジェクター8が含まれ、コモンレールパイプ11の右端は高圧燃料ポンプ4にそれぞれ接続され、フィルタ6は燃料タンク7に連通し、フローリミッター12は高圧燃料パイプ13を介してインジェクター入口14に連通される。
【0024】
図2は、液体アンモニアと水素供給システムの概略図であり、液体アンモニア貯蔵タンク24、水素貯蔵タンク25、窒素貯蔵タンク23、アンモニアポンプシステム22、分流システム21、アンモニア送出入システム20、アンモニア注入パイプ17、アンモニアリターンパイプ18、液体アンモニアコモンレールパイプ1、アンモニア漏れ検排出口10、高圧アンモニアパイプ2、液体アンモニアインジェクター8を含む。アンモニアポンプシステム22は、低圧ポンプとモーター30、高圧ポンプとモーター31、オーバーフローバルブ32、安全弁33、温度コントローラー34、液体アンモニア貯蔵分流器35、貯蔵タンク36、制御弁37、アンモニア注入口38、アンモニアリターン口39、制御ブロック40、安全弁41、制御弁42から構成される。
【0025】
図3は、液体アンモニア-ディーゼルデュアル燃料シリンダーの概略図であり、主に、クランク45、ピストン16、シリンダー46、給気口15、給気バルブステム44、給気口バルブステムスプリング43、排気口9、排気バルブステム47、排気バルブステムスプリング48、水素ガス注入口51、安全弁50、給気49を含む。
【0026】
図4は、水素燃料電池供給システムの概略図であり、主に、水素給気口52、窒素パージ入口53、水素フィルタ54、圧力センサー55、遮断弁56、高圧ガス噴射弁57、ジェットポンプ及び水素循環ポンプ58、過圧弁59、空気排気ガス取り入れ60、66、スタックアノード61、排出口62、水分離器63、排水弁64、排気弁65、空気給気口67、エアフィルタ68、センサー69、エアコンプレッサー70、インタークーラー71、加湿器72、遮断弁73、バイパス弁74、スタックカソード75、センサー76、遮断弁77、排出口78、水分離器79、オリフィスバルブ80、81、陽極の過剰な水素82、サイレンサー83、排出口84を含む。
【0027】
図5は、冷却システムの概略図であり、主に、水タンク85、冷却水ポンプ86、100、温度センサー87、101、冷却接続口88、102、温度圧力センサー89、103、インタークーラー90、104、ヒーター92、106、三方弁93、107、脱イオン器94、108、センサー95、109、ラジエータ96、110、ドレンバルブ97、111、排出口91、98、105、冷却水排出口99、112を含む。
【0028】
図6は、複動ヒートポンプと余熱利用システムの概略図であり、主に、液体アンモニア入口113、ヒーター114、三方弁115、ラジエータ116、センサー117、電磁方向切換弁118、気態作動媒体119、フィルタ120、低出力コンプレッサー121、センサー122、冷却熱交換器123、センサー124、電子膨張弁125、高出力圧縮機126、センサー127、加熱熱交換器128、一方向チェックバルブ129、電子膨張弁130、脱イオン器131、アンモニアドレインバルブ132、廃棄作動媒体133、膨張弁134、液体作動媒体135を含む。
【0029】
図7は、液体アンモニア-ディーゼルデュアル燃料一体型インジェクター概略図であり、主に、一方向アンモニア注入口136、増圧モジュール137、圧力蓄積共振フロー制限モジュール138、142、超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータ139、相変化制御可能な超噴霧化ノズルモジュール140、一方向燃料注入口141、補助増圧モジュール143、圧力平衡式電磁制御アクチュエータ144、ニードルバルブ偏心自己調整ノズル145、液体アンモニア熱管理モジュール146、147を含む。シリンダー内へのアンモニア燃料の大流量及び高圧液体噴射を実現し、完全燃焼を実現する。同時に、噴射プロセスを熱管理設計と組み合わせて、圧力と温度との両方から調整し、アンモニア燃料の相転移を制御する。ダブルバルブ制御の形を使用して液体アンモニア噴射過程におけるサイクル及び可変を実現し、噴射量と噴射タイミングをより正確かつフレキシビリティにする。
【0030】
図8は、インジェクター増圧モジュールの詳細な概略図であり、増圧モジュールには、磁気ヨーク148、リターンスプリング149、主/補助磁極150、コイル151、アンモニアリターンチャンネル152、増圧ピストン上表面153、ミドル空洞154、増圧ピストンリターンスプリング155、アーマチュア156、リミットブロック157、バルブステムリターンスプリング159、ダブルシールバルブステム158、アンモニア注入チャンネル160、ミドルパイプライン161、及び増圧ピストン下表面162から構成される。本モジュールは、二つの制御方法を採用できて、一つは液体アンモニアで液体アンモニアをブーストする方式で、もう一つは、ディーゼルでアンモニアをブーストする方式である。
【0031】
図9は、圧力蓄積共振フロー制限モジュールの概略図であり、主に、蓄圧空洞163、液冷管入口164、共振ブロック165、ミドルブロック166、リターンスプリング167、アンモニア注入孔168、菱形シールブロック169、フロー制限ピストン170、アンモニア注入路171、貯蔵空洞172、共振ブロックアンモニア注入経路173、ミドル空洞174、共振ブロックアンモニア注入経路オリフィス孔175、バルブシート176、ミドル孔177及びリターンスプリング178を含み、当該モジュールは、アンモニア燃料の安定性を確保し、共振ブロックを使用してシステム内の圧力変動を調整すると同時に、フローリミッターを設計して異常な噴射の発生を防ぐ。
【0032】
図10は、共振ブロックの概略図であり、主に、第1のアンモニア注入経路179、第1のアンモニア注入オリフィス孔180、第2のアンモニア注入オリフィス孔181、第1のアンモニア注入空洞182、第1のアンモニア排出流路183、第2のアンモニア注入経路184、第2のアンモニア注入空洞185、連通孔186及び第2のアンモニア排出流路187。
【0033】
図11は、超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータの概略図であり、主に、主/補助磁極188、コイル189、磁気ヒステリシスシート190、上バルブステム191、リターンスプリング192、バルブステムミドル空洞193、バッファー空洞194、燃料送出入孔195、リターンスプリング196、超磁気ヒステリシス材料197、リミットブロック198、燃料注入経路199、燃料リターン経路200、下端円錐弁201、ポペットバルブ202、及び燃料リターン経路203を含む。
【0034】
図12は、相変化制御可能な超噴霧化ノズルモジュールの概略図であり、主に、アンモニア注入パイプライン204、アンモニア貯蔵空洞205、静的漏れのないシリンダー206、リターンスプリング207、ガスケット208、液冷作動媒体注入口パイプライン209、バルブシート210、制御空洞211、制御弁ステム上端面212、液冷作動媒体排出口パイプライン213、ニードルバルブ本体214、ニードルバルブシール面215、ジェットフローチャンネル216及びノズル本体217から構成される。
【0035】
図13は、補助増圧モジュールの概略図であり、主に、主/補助磁極218、コイル219、燃料注入チャンネル220、ミドルパイプライン221、シーリングボール222、リターンスプリング223、増圧燃料パイプライン224、増圧ピストン下表面225、バルブステムリターンスプリング226、アーマチュア227、燃料リターンパイプライン228、ダブルシールバルブステム229、増圧ピストン上表面230、ミドル空洞231、増圧ピストンリターンスプリング232から構成される。
【0036】
図14は、圧力平衡式電磁制御アクチュエータの概略図であり、主に、燃料注入パイプ233、主/補助磁極234、コイル235、アーマチュア237、燃料注入パイプライン(燃料注入パイプ233及び236、238)、リターンスプリング239、240、バランスバルブステム241、燃料注入経路242、燃料リターンオリフィス孔243、燃料注入オリフィス孔244を含む。
【0037】
図15は、ニードルバルブの偏心自己調整ノズルの概略図であり、主に、ミドルブロック245、燃料タンク246、自己調整バルブブロック247、ニードルバルブスプリング248、ニードルバルブ下端面249、ジェットホール250、制御空洞251、制御弁ステム上端面252、ニードルバルブ本体253、ノズル本体254、ニードルバルブシール面255及びノズルシート面256から構成される。
【0038】
図16と
図17は、設計された超噴霧化ノズルであり、全体の設計は内部円錐構造を採用して、多層シーリングを実現する。同時に、ほぼ100個のジェットホールが噴射するので、構造的な観点から、燃料の十分な噴霧化が保証される。燃料と空気を完全に融合させて、完全に燃焼させる。
【0039】
液体アンモニア貯蔵タンク24には、貯蔵されているシステムの燃料について、高圧低温貯蔵法を採用して、アンモニア燃料が安定した液体であることを保証する。同時に、燃料供給の初期段階では、貯蔵された液体アンモニアをアンモニアガスに変換し、次に精製されたアンモニアガスを使用して燃焼に必要な水素とシステムのパージに必要な窒素を調製する水素と窒素の準備モジュールを設置する。そして、水素貯蔵タンク25及び窒素貯蔵タンク23にそれぞれ貯蔵される。液体アンモニア貯蔵タンク24の中に貯蔵された液体アンモニアは、まずアンモニアポンプシステム22を通過し、液体アンモニアは、供給及び燃焼の要件を満たすために、低圧ポンプ及び高圧ポンプによってブーストされる。その中で、低圧ループと高圧ループには、それぞれオーバーフローバルブ32と安全弁33が設置される。低圧ループにオーバーフローバルブ32を配置して輸送圧力を制御し、圧力が高すぎる場合、過剰の液体アンモニアは、オーバーフローバルブ32を通って液体アンモニア貯蔵タンク24の中に戻る。高圧ループ内に安全弁33を設置して高圧燃料輸送圧力を制御し、能動制御により輸出圧力を調整し、過剰な液体アンモニアは安全弁33を通って液体アンモニア貯蔵タンク24の中に戻る。相変化しやすい燃料である液体アンモニアについては、熱管理モジュールを設定する必要があり、温度コントローラー34は、液体アンモニアの輸出温度を調整するのに使用され、圧力と温度の両方によってアンモニア燃料の位相状態を制御する。次に、燃料は液体アンモニア貯蔵分流器35に入り、二重弁及び二重空洞の総合的な制御により燃料の安定した供給が確保され、その後貯蔵タンク36及び制御弁37を介してアンモニア注入口38に供給されて、さらに、液体アンモニアコモンレールパイプ1に導入される。システム内の液体アンモニアコモンレールパイプ1は、液体アンモニアの大気への漏出を防ぐために2層構造を採用している。同時に、コモンレールパイプのポートにアンモニアガス漏れ検知センサーを設置して、タイムリーなシステムフィードバックを提供する。液体アンモニアコモンレールパイプ1内の液体アンモニアは、二重層高圧アンモニアパイプ2を介して液体アンモニアインジェクター8に供給され、インジェクター内の電磁弁によって制御され、その後、シリンダー内に噴射する。
【0040】
燃料タンク7は、システムで点火に使われるディーゼル燃料を貯蔵し、高圧燃料ポンプ4は、燃料タンク7から燃料を吸い込み、高圧燃料ポンプ4と燃料タンク7との間にフィルタ6が設けられ、燃料はフィルタ6によって濾過される。次に、燃料はコモンレールパイプ11に輸送され、コモンレールパイプ11には、複数の動作油排出口が設けられ、各動作油排出口は、いずれも高圧燃料パイプ13を介してインジェクター入口14と連通し、インジェクター内の電磁弁によって制御され、その後、シリンダー内に噴射する。
【0041】
液体アンモニア燃料は、一方向アンモニア注入口136を通って蓄圧空洞163の中に入り、一方向アンモニア注入口136は、一方向バルブとして機能する。液体アンモニアの供給圧力が一方向バルブのスプリングプリロードよりも大きい場合、円錐弁はスプリング力を克服して開き、液体アンモニアが蓄圧空洞内に供給される。一方向アンモニア注入口136の圧力が低い場合、円錐弁は再び閉じられ、システム内の液体アンモニアのシールの役割を果たす。燃料は蓄圧空洞163に入った後、共振ブロック165を通って下方へ供給される。共振ブロック165は、3つのパイプラインである第1のアンモニア注入経路179、第2のアンモニア注入オリフィス孔181及び第2のアンモニア注入経路184から構成される。
燃料はそれぞれ3本のパイプラインからフロー制限器内に注入し、第1のアンモニア注入経路179がメイン流路であり、真ん中は第1のアンモニア注入オリフィス孔180を通って流れて、液体アンモニアの流れにウェーブフィルタリングを機能し、次に、第1のアンモニア注入空洞182の中に流れ込む。第2のアンモニア注入経路184は副流路であり、中央にオリフィス孔は設置されず、第2のアンモニア注入空洞185及び第2のアンモニア排出流路187を通過した後、直接にフロー制限器に流れ込む。第2のアンモニア注入オリフィス孔181及び連通孔186は、レゾナンスを実現するための主要な構造であり、圧力波変動の位相を変えることにより、変動周波数、及びピークと谷の間の対応関係を調整して圧力波カプリング過程の可制御性が実現される。特に増圧モードでは、システムの安定性が保証される。フロー制限バルブアセンブリは蓄圧空洞163を介してインジェクター本体の内部に配置される。ミドルブロック166は、全体的なフロー制限バルブアセンブリのリミッタとして機能するだけでなく、リターンスプリング167とフィットして、一方では、リターンスプリング167のスプリングシートとして機能し、他方では、フロー制限ピストンの最大変位を制限する。ダンピングスプリングとボールバルブのリターンスプリングのスプリングプリロードの作用により、菱形シールブロック169とフロー制限ピストン170の下端面と支持制御するバルブシート176の上端面はフィットする。バルブシート176は、リターンスプリングのスプリング力の作用により底部に押し付けられ、その上部可変断面のところに菱形シールブロックの着座面が形成される。液体アンモニアは、共振ブロックからミドル空洞174の中に注入し、アンモニア注入孔168と共振ブロックアンモニア注入経路オリフィス孔175をそれぞれ通じてフロー制限バルブの中に流れ込む。そして、菱形シールブロック169中のアンモニア注入孔168を通ってミドル空洞174に供給され、油圧の作用下で、液体アンモニアの供給とともに、菱形シールブロック169は、スプリング力を克服し下方向へ移動する。燃料供給量が限界値よりも高い場合、菱形シールブロック169は、バルブシート176とフィットして、シールを実現し、燃料供給を切断し、シリンダープルを防止する。燃料供給が遮断されると、菱形シールブロック169は、スプリング力よって迅速にリセットされる。
【0042】
ディーゼルは、一方向燃料注入口141を通って圧力蓄積共振フロー制限モジュール142に入り、さらに下方向へ供給され、補助増圧モジュール143の中に入り、入った加圧した燃料は一方向バルブのシーリングボール222、リターンスプリング223を介して超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータ139、圧力平衡式電磁制御アクチュエータ144及びニードルバルブ偏心自己調整ノズル145にディーゼル燃料をそれぞれ供給し、アンモニア燃料インジェクターとディーゼル燃料インジェクターの噴射をそれぞれ制御し、ディーゼル燃料インジェクターに燃料を供給する。
【0043】
フロー制限器を通過した液体アンモニアは、アンモニア注入路からアンモニア貯蔵空洞の中に供給され、超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータと超噴霧化ノズルモジュールによりシリンダー内に噴出される。本発明では、燃料インジェクター制御の精度を確保するために、サーボ燃料としてディーゼルを使用し、制御空洞内の圧力レベルを調整することによって、ニードルバルブの上下にかかる力を変えることで、噴射タイミングを制御する。高圧ディーゼル油は、燃料注入経路199から電磁アクチュエータに注入し、通電されていない場合、リターンスプリング192、196のスプリングプリロードの作用下で、ポペットバルブ202は密閉状態にあるので、電磁アクチュエータパイプラインは燃料リターンパイプラインから切断されている。下端円錐弁201は、開通状態にあり、ディーゼルは、燃料注入経路199から下端円錐弁201の流路を通って制御空洞211へ供給される。その中で、燃料送出入孔195とバッファー空洞194により、バッファー空洞が存在することは、制御弁での燃料圧力の変動を減少し、一方で、高圧接触面の構造圧力差によって、漏れ燃料の収集を実現する。燃料は下方へ流れて制御空洞211の中に流れ込んで、静的漏れのないシリンダー206及びニードルバルブシール面215によってシールされ、制御空洞内の圧力を調整することでニードルバルブ上下に受ける圧力の差を変化させて、燃料噴射の高精度制御を実現する。
【0044】
本発明において、ディーゼルインジェクターは、バランスバルブの制御モードを採用し、バランスバルブステムは、アーマチュアによって押し付けされる。全体が高圧燃料に浸されているため、バランス力の作用により、より高いコモンレール圧力(250MPa)を実現できて、バルブ部品全体の質量を減らし、電磁力の需要を減らしながら、制御応答を高めた。従って、より小さなサイズの電磁弁とアーマチュアのフィット及び少ないスプリングプリロードのみが必要である。同時に、使用されるバランスバルブステムは高さの衝撃を直接に受けないため、従来のボールバルブのキャビテーション現象を防ぎ、システムの信頼性を高める。高圧ディーゼルは、燃料注入経路242及び燃料注入オリフィス孔244から制御空洞251の中に注入し、通電されていない場合、リターンスプリング240のスプリングプリロードの作用を受けて、アーマチュア237とバランスバルブステム241は密閉状態にあるので、電磁アクチュエータパイプラインは燃料リターンパイプラインから切り離される。ディーゼルは、燃料注入経路242から燃料注入オリフィス孔244流路を通って制御空洞251へ供給される。燃料リターン空洞の存在は、制御弁での燃料圧力の変動を減少させる。燃料は下方へ流れて制御空洞251の中に流れ込んで、制御空洞はミドルブロック245、自己調整バルブブロック247と制御弁ステム上端面252の三つの部分の組み合わせによって形成され、密封を実現する。制御空洞内の圧力を調整することでニードルバルブ上下が受ける圧力差を変化して、燃料噴射の高精度制御を実現する。ミドルブロック245と自己調整バルブブロック247の組み合わせ設計は、従来の静的ブロック漏れのない問題を解決し、一方で、自己調整バルブブロックの設計はニードルバルブの偏心によって引き起こされる摩耗及び漏れの問題を防ぐ。本発明におけるメイン及び補助の増圧モジュールの動作原理は類似しており、メイン増圧モジュールを例にとると、特定の噴射プロセスにおける増圧モジュールの動作原理は次のとおりである。
非増圧モードを使用して動作する場合、増圧制御弁部分は通電されず、この時の増圧ピストンの各作用面への均衡した圧力により、アーマチュア156とダブルシールバルブステム158は、リターンスプリング149及び増圧ピストンリターンスプリング155のスプリングプリロードの作用下で、圧縮された状態にあり、アンモニア注入チャンネル160は密封される。この時、増圧モジュールには燃料が供給されていなく、増圧ピストンはスプリングプリロードの作用によりリセット状態にあり、増圧機能はない。したがって、システム内のアンモニア燃料は、一方向アンモニア注入口136を通過した後、蓄圧空洞163の中に貯蔵され、共振ブロック165を通ってフロー制限バルブ内に注入する。液体アンモニアに対する共振ブロック165のオリフィス作用により、フロー制限ピストン170内のミドル孔177と蓄圧空洞163内の燃料圧力が増加して、遷移油燃料空洞内の圧力と差圧が形成されているため、フロー制限ピストン170と菱形シールブロック169は全体として下方向へ変位して噴射圧力をある程度補償する。フロー制限バルブを通過した液体アンモニアは、アンモニア注入パイプからアンモニア貯蔵空洞205の中に供給される。燃料噴射制御中、圧力平衡式電磁制御アクチュエータに通電すると、磁場の影響を受けて、アーマチュア237は、リターンスプリング239、240のスプリングプリロードを克服して、上方向へ移動して、燃料リターンチャンネルを開き、制御空洞251と低圧油漏れ孔は連通し、制御空洞251内の燃料は低圧油漏れ孔を通って低圧空洞内に流れ戻る。制御空洞251内の圧力とニードルバルブスプリング248の弾力によって形成される合力が、燃料タンク246内の上方向への液圧力より小さい場合、ニードルバルブ本体253が上方向へ持ち上げられて、ジェットホールが開かれ、インジェクターは燃料を噴霧開始する。燃料噴射制御弁一部が電源オフになった場合、磁場の影響を受けなくなり、スプリングプリロードの作用下でアーマチュア237は、下方向へ移動し、燃料リターン経路を再シールする。同時に、バランスバルブステム241は、シールを実現するために下方向へ移動するように駆動される。制御空洞251は燃料注入オリフィス孔244によって圧力を再構築し、制御空洞251内の圧力とニードルバルブスプリング248の弾力によって形成される合力が、燃料タンク246内の上方向への液圧力より大きい場合、ニードルバルブ本体253は再着席し、インジェクターは噴射を停止する。インジェクターが動作を停止する場合、液体アンモニアがミドル孔177を流れることにつれて、フロー制限ピストン170上下表面の圧力差は徐々に減少し、リターンスプリングの作用下で、フロー制限ピストン170と菱形シールブロック169は全体として初期位置に戻る。
【0045】
増圧モードで動作する場合、増圧制御弁は部分的に通電され、コイル151は通電され、主/補助磁極150は電磁力を形成し、アーマチュア156は引き付けられて上方向へ移動し、同時にダブルシールバルブステム158は上方向へ移動するように駆動され、同時に、アンモニア注入チャンネル160を開き、アンモニアリターンチャンネルを閉じる。液体アンモニアは、増圧ピストン上表面153に蓄積して、上表面にかかる力を増大させ、上下の圧力差はスプリング力を克服して、増圧ピストンを下方向へ移動させる。下方蓄圧空洞内の容積が圧縮されて、圧力が上昇する。増圧モジュールと圧力平衡式電磁制御アクチュエータは、二つの制御方法を採用できて、一つは液体アンモニアで液体アンモニアを増圧させる方式で、もう一つは、ディーゼルで液体アンモニアを増圧させる方式である。増圧モジュールでは、ミドル空洞154は、ブースト燃料漏れ収集空洞として機能し、同時に燃油は液体アンモニアに対するシールとして機能する。増圧済みの液体アンモニアは、共振ブロック165を通ってフロー制限バルブ内に注入する。フロー制限バルブを通過したアンモニア注入路171からアンモニア貯蔵空洞205の中に供給される。圧力平衡式電磁制御アクチュエータ144に通電すると、磁場の影響を受けて、アーマチュア237はリターンスプリング240のスプリングプリロードを克服して、上方向へ移動して、燃料リターンチャンネルが開かれ、制御空洞251と低圧油漏れ孔が連通して、制御空洞251内の燃料は低圧油漏れ孔を通って低圧空洞内に流れ戻る。制御空洞251内の圧力とニードルバルブスプリング248の弾力によって形成される合力が、燃料タンク246内の上方向への液圧力より小さい場合、ニードルバルブ本体253が上方向へ持ち上げられて、ジェットホールが開かれ、インジェクターは燃料の噴出を開始する。燃料噴射制御弁一部が電源オフになった場合、磁場の影響を受けなくなり、スプリングプリロードの作用下でアーマチュア237は、下方向へ移動し、燃料リターン経路を再シールする。同時に、バランスバルブステム241は、駆動されて下方向へ移動して、シールを実現する。制御空洞251は燃料注入オリフィス孔244によって圧力を再構築し、制御空洞251内の圧力とニードルバルブスプリング248の弾力によって形成される合力が、燃料タンク246内の上方向への液圧力より大きい場合、ニードルバルブ本体253は再着席し、インジェクターは噴射を停止する。
【0046】
圧力蓄積共振フロー制限モジュール138と超噴霧化ノズルモジュール140に冷媒の注入口と排出口を含む熱管理モジュールを設計する。液体アンモニアの位相状態を温度と圧力の両方から総合的に制御することで、噴射プロセスでの液体アンモニアの位相状態の制御可能を実現する。
【0047】
アンモニアと水素は水素燃料電池システムに供給され、水素は水素給気口52に供給され、窒素パージ入口53から水素フィルタ54を通して濾過され、流動圧力は圧力センサー55によって監視され、圧力要求が満たされると、遮断弁56は、圧力要求が満たされたときに開き、圧力が高くなりすぎると遮断弁56は閉じる。次に、高圧ガス噴射弁57とジェットポンプ及び水素循環ポンプ58によってスタックアノード61が供給される。スタックアノード61の排気ガスは水分離器63、排水弁64、排気弁65を通って外側に排出される。空気は空気給気口67を介してエアフィルタ68を通って濾過され、流動圧力は圧力センサー69によって監視され、エアコンプレッサー70、インタークーラー71、及び加湿器72を通って加圧及び物性調整を行った後、遮断弁73に送られて、次にスタックカソード75に供給される。余分な空気はバイパス弁74によって供給され、加湿器72を通ったスタックカソード75排気とともに外部に排出され、オリフィスバルブ80、81、陽極の過剰な水素82を集め、サイレンサー83を通り流れ、排出口84を介して排出される。
【0048】
システムにおける燃料電池及びデュアル燃料噴射システムの冷却ニーズは、冷却システム28によって実現され、本発明では、水タンク内の冷却水はエチレングリコール溶液であり、水タンクの壁に熱交換フィンを追加し、システムに蓄えられた液体アンモニア貯蔵タンク24の分岐によって相変化されて、沸騰熱交換を実現し、水槽内の溶液を初期冷却する。アンモニア燃料を冷却剤として機能し、冷却水ポンプ86、100のパワーを大幅に削減する。冷却されたエチレングリコール溶液は、冷却水ポンプ86、100を通って二次冷却して、システムの冷却要件を満たし、インタークーラー90、104は給気温度を下げ、脱イオン器94、108によって溶液中のイオンを除去して純粋な水を得る。溶液の温度はヒーター92、106によって調整され、処理された冷却水は、熱機関及び燃料電池の冷却ニーズを実現するために、冷却水排出口99、112をそれぞれ通過する。同時に、2つの並列回経路の形を採用して、異なる部品のニーズに応じてパワーと冷却能力を調整できる。
【0049】
液体アンモニアは、液体アンモニア入口113からヒーター114を通って三方弁115の中に入り、三方弁115は、ステアリング弁として機能する。低出力コンプレッサー121が作動する場合、コンプレッサーから排出された高圧蒸気は、フィルタ120及びセンサー117を通ってラジエータに入り、作動媒体は凝縮した後、電子膨張弁130、125に入り、センサー124を通って冷却熱交換器123に入り、そこで蒸発し熱を吸収することで冷却の効果が得られ、その後センサー122を介して低出力圧縮機に戻る。
【0050】
加熱モードに切り替えると、システムは動力システムピストンとインジェクター関連部品の熱を放散する。作動媒体は、高出力圧縮機126によって高圧蒸気から排出され、センサー127を通って加熱熱交換器128に入って凝縮及び熱放出し、次に、一方向チェックバルブ129及び電子膨張弁130を介して、膨張弁134が配置されている分岐に入り、熱交換器と連通し、液体作動媒体135はピストン部分からの熱を蒸発及び吸収した後、気態作動媒体119は一方向チェックバルブを通って高出力圧縮機126に戻り、加熱サイクルが実施され、ピストン構成要素が冷却される。
【0051】
システムはまた、空気源加熱モードを実現でき、作動媒体は、高出力圧縮機126によって高圧蒸気で排出され、凝縮及び熱放出のためにセンサー127を通って加熱熱交換器128に入り、次に、一方向チェックバルブ129及び電子膨張弁130を介して、ラジエータ116に入り、作動媒体はラジエータ116で熱を蒸発及び吸収した後、センサー117及び電磁方向切換弁118を介して高出力圧縮機に戻り、空気源加熱サイクルを実現する。
【0052】
上記の説明から、本発明は、動力装置の燃料供給、冷却システムの冷媒、及び燃料電池の水素供給源の3つのアンモニアの用途を実現していることが分かる。液体アンモニア-ディーゼルデュアル燃料の一体化の設計により、設置スペースを節約し、ディーゼル供給は、アンモニア燃料インジェクターとディーゼル燃料インジェクターの噴射を同時に制御し、ディーゼルインジェクターに燃料を供給する。液体アンモニア相変化冷却原理に基づいて複動ヒートポンプモジュールを革新的に設計し、第一に、低温状態でのエンジンの冷間始動の問題を効果的に解決でき、第二に、圧縮機の消費電力を削減し、余熱の利用を実現し、エネルギーの利用率を向上させる。同時に、噴射過程を熱管理設計と組み合わせて、圧力と温度の両方から調整し、アンモニア燃料の相転移を制御する。複数バルブの協調制御の形を使用して液体アンモニア噴射過程のサイクル及び可変を実現し、噴射量と噴射タイミングをより正確かつフレキシビリティにする。本発明は、メイン及び補助増圧モジュールを採用することができ、ブーストモードでは、燃料噴射の噴射圧力と噴射スピードは増圧モードの影響を受けて、サイクル間の制御噴射可能を実現できる。超磁気ヒステリシス電磁制御アクチュエータ構造を使用して、アンモニア燃料噴射の正確な制御を確保した。バランスバルブ制御方式を使用して、全体が高圧燃料に浸されているため、バランス力の作用により、より高いコモンレール圧力(250MPa)を実現できて、バルブ部品全体の質量を減らし、電磁力のニーズを減らし、制御応答を高めた。従って、より小さなサイズの電磁弁とアーマチュアのフィット及び少ないスプリングプリロードのみが必要となっている。同時に、使用されるバランスバルブステムは高さによる衝撃を直接に受けないため、従来のボールバルブのキャビテーション現象を防ぎ、システムの信頼性を高める。ミドルブロックと自己調整バルブブロックの組み合わせ設計は、一方では従来の静的ブロック漏れのない問題を解決し、他方では、自己調整バルブブロックの設計はニードルバルブの偏心によって引き起こされる摩耗及び漏れの問題を防ぐ。