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  • 特許-物体を保持する手段を備えるパッケージ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】物体を保持する手段を備えるパッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/10 20060101AFI20241203BHJP
   B65D 81/02 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B65D25/10
B65D81/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022531492
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2020082779
(87)【国際公開番号】W WO2021105004
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】1913469
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519104318
【氏名又は名称】ピーエー コット エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン リムーザン
(72)【発明者】
【氏名】ドニ ムーラン
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-101744(JP,U)
【文献】特開2002-223981(JP,A)
【文献】登録実用新案第3081534(JP,U)
【文献】国際公開第2012/003878(WO,A1)
【文献】特開平07-179227(JP,A)
【文献】特開2004-189306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/10
B65D 81/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(O)を運送するためのパッケージ(1)であって、
底部(21)と、前記底部(21)に対して垂直な周縁部(22)とによって定められた収容空間を有する箱(2)と、
前記箱(2)を閉じる位置を占めることができる蓋(3)と、
前記収容空間内に収容されたトレー(26)であって、それが前記底部(21)に近接して位置する休止位置と、それが前記底部(21)から離されて前記物体(O)を前記蓋(3)に押し付けて維持する作動位置との間で前記底部(21)に対して可動なトレー(26)と、
前記トレー(26)をそれの作動位置に戻す、戻し手段(27)と、を備え、
前記パッケージは折り畳み式であり、前記蓋(3)は、前記箱(2)を閉じた場合、運送される前記物体の盗難を防ぐように、前記箱(2)内に収容された前記物体(O)を取り出すためのどの取り出し口も閉じ、前記戻し手段(27)は、
クロスブレース(272)であって、それが前記トレー(26)と前記底部(21)との間で押しつぶされて平らになる扁平位置と、それが前記底部(21)に対して前記トレー(26)を押し戻す展開位置との間で可動であるクロスブレース(272)と、
前記クロスブレース(272)に固定され、前記クロスブレース(272)をそれの扁平位置からそれの展開位置に置く傾向にある戻し部材(271)と、を備えることを特徴とする、パッケージ(1)。
【請求項2】
前記クロスブレース(272)は、互いに対して可動に繋がれた第1アーム(273)と第2アーム(274)を備え、それぞれのアーム(273、274)は、前記トレー(26)に対して可動に繋がれた第1端部(2731、2741)と、前記底部(21)に沿って可動な第2端部(2732、2742)とを備え、前記戻し部材(271)は、前記第1アーム(273)の前記第2端部(2732)又は前記第2アーム(274)の前記第2端部(2742)を前記箱()に接続して、前記第1アーム(273)の前記第2端部(2732)を前記第2アーム(274)の前記第2端部(2742)に近づける弾性材(277)の形で現れることを特徴とする、請求項1に記載のパッケージ(1)。
【請求項3】
前記弾性材(277)と前記箱(2)との接続部は、前記弾性材(277)が接続されたアーム(273、274)の前記第1端部(2731、2741)の垂直上方に位置することを特徴とする、請求項2に記載のパッケージ(1)。
【請求項4】
それぞれ、一方でアーム(273、274)に、他方で前記箱(2)の前記底部(21)に接続された2つの弾性材(277a、277b)を備えることを特徴とする、請求項2又は3に記載のパッケージ(1)。
【請求項5】
前記クロスブレース(272)は、互いに対して可動に繋がれた第1アーム(273)と第2アーム(274)を備え、それぞれのアーム(273、274)は、前記トレー(26)に対して可動に繋がれた第1端部(2731、2741)と、前記底部(21)に沿って可動な第2端部(2732。2742)と、を備え、前記戻し部材(271)は、前記第1アーム(273)の前記第2端部(2732)を前記第2アーム(274)の前記第2端部(2742)に接続して、それらを互いに近づける弾性材(277c)の形で現れることを特徴とする、請求項1に記載のパッケージ(1)。
【請求項6】
前記クロスブレース(272)は互いに対して可動に繋がれた第1アーム(273)と第2アーム(274)を備え、前記戻し部材(271)は前記第1アーム(273)及び前記第2アーム(274)に固定されたねじりばね(276)であり、前記ねじりばね(276)は前記クロスブレース(272)をそれの展開位置に置くように前記第2アーム(274)に対して前記第1アーム(273)を回転させる傾向にあることを特徴とする、請求項1に記載のパッケージ(1)。
【請求項7】
2つのねじりばね(276)を備えることを特徴とする、請求項6に記載のパッケージ(1)。
【請求項8】
前記箱()は、前記底部(21)に対する移動においてアーム(273、274)をガイドするための溝(28)を備えることを特徴とする、請求項1から7の何れかに記載のパッケージ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は物流の分野である。
【0002】
より正確に、本発明は、パッケージ又は物流輸送手段、即ちパッケージによって2つの目的地の間で物体を発送するための容器に関する。
【背景技術】
【0003】
非常に信頼できる方法で物体を安全に運送するための、箱又はカートンのようなパッケージが知られている。
【0004】
一般に、パッケージは、運送される物体が収容される収容空間を一緒に定める底部及び周縁部を有する箱を備える。
【0005】
また、パッケージは箱に対して可動な蓋を備える。これらの蓋は、特に、蓋が箱の収容空間を塞ぐ閉位置を取り得る。
【0006】
運送される物体を保護できるように、特定のパッケージは運送される物体を箱内で保持する手段を備える。
【0007】
箱及び蓋に統合された発泡パネルの形を取る保持手段が知られている。発泡パネルは必要に応じて箱に適用され得る。換言すれば、発泡パネルはそれらの存在が必要な場合に限り箱に統合され得る。
【0008】
より正確に、発泡パネルは、箱の底部に、ことによるとその周縁部に、及び蓋に統合される。
【0009】
そして、運送される物体は、発泡体に接触し、少なくとも底部の発泡体及び蓋の発泡体によって留められるように、収容空間に挿入される。
【0010】
この型の保持手段は、その厚さ、換言すれば、それが箱の収容空間で占める容積、及びこの型の使い捨て製品の廃棄物の管理を重大な欠点として示す。
【0011】
実際、発泡体は箱の収容空間の大部分を占める。しかし、発泡体は、弾力性を有し、変形可能な保持手段を形成し、運送される物体の外形にそれ自体を効果的に合わせ、従ってそれを固定する。
【0012】
しかし、物体のサイズに応じて、幾つかのパッケージが用意されなければならない。
【0013】
例えば、かさばった物体と小さなサイズの物体に対して、同じ箱を使用することはできない。
【0014】
小さなサイズの物体の場合、大きなサイズの物体に適した箱又はパッケージを使用すれば、発泡体は小さなサイズの物体と接触して適切に変形することはなく、従って小さな物体は損傷の危険を伴って箱の収容空間内で移動し得る。
【0015】
反対に、小さなサイズの物体を収容することを意図された箱の収容空間に大きなサイズの物体を挿入すれば、パッケージは収容空間における十分な空間の不足のために使用に適さなくなり得、従って蓋は箱の収容空間を実際に塞ぐように適切に閉じられ得ない。その結果、物体は実際に保護されない。加えて、それはパッケージを運送する人に見え、そのことは物体の盗難の危険に繋がり得る。
【0016】
その結果、運送者又は梱包専門業者は、運送される物体のサイズに応じていろいろなサイズのパッケージを持たなければならない。
【0017】
その上、パッケージを「平らにされた」収容又は保管状態に折り畳めるとしても、発泡体があることで、パッケージは不使用時にかさばる。
【0018】
実際、パッケージを折り畳むことで、その不使用時の容積を最適化できる。しかし、その装置を折り畳む際に発泡体を圧縮することは、運送される物体を保護するための発泡体の有効性を害し得る。発泡体が圧縮されると、それは、その弾力性を失い、減圧時に適切に膨張しないかもしれない。これは、発泡体の圧縮時間が長いほど、いっそう当てはまる。
【0019】
従って、この弾力性の喪失を避けるために、発泡体の過度な圧縮を避ける必要がある。その結果、パッケージの不使用時の容積を部分的にしか下げられない。
【0020】
それ故、作動形態にある若しくは部分的に折り畳まれた、又は分離されたパッケージの保管は、大きな敷地を有することを必要とする。実際、発泡体は、いろいろなサイズのパッケージについて、箱から分離される。それ故、これは、概して最終消費者に請求される高い保管費用を意味する。
【0021】
別の公知の技術によれば、保持手段はプラスチック製のエンベロープの形で現れ、その中に、運送される物体を滑り込ませる。それから、エンベロープは変形され、その壁は運送される物体に接触してそれをその位置に固定する。
【0022】
第1の型によれば、エンベロープは箱の底部に統合され得、それらの変形は、例えば、材料を収縮させるように加熱し、それが物体と接触して固くなることで実現され得る。
【0023】
この解決策の1つの欠点は、加熱によってエンベロープの変形を実現する場合、この技術は特定の加熱装置の使用を必要とするので、だれでもエンベロープの変形を実現できるわけではないという事実にある。
【0024】
実際、例えば熱ヒーターのような加熱手段が使用されなければならず、それは特別な訓練を要するだろうから、専門業者しかエンベロープを変形し得ない。
【0025】
その上、エンベロープが箱の底部に固定される場合、これは、特に、箱がカートンである場合、高すぎる熱がカートンを燃やして破壊できるため、箱の完全性にとっての重大な欠点となり得る。
【0026】
その上、運送される物体をエンベロープに挿入することは、(物体及びエンベロープのそれぞれの寸法に応じて)困難又は不可能となり得る。
【0027】
これは、特に、箱が形成され、即ち収容空間が定められた時点で、運送される物体がエンベロープに挿入される場合に確かめられる。箱の周縁部は、特に、物体のエンベロープへの挿入に対する重大な障害となる。
【0028】
これを軽減するために、まずエンベロープに物体を挿入し、次に箱を形成し、最後にエンベロープを変形する必要があるかもしれない。
【0029】
これは、特にエンベロープを変形し又は箱を形成するために、専門業者にとって弊害をもたらし、さらに個人にとって実行不可能になり得る長い処理時間を要することを意味する。
【0030】
また、第2の型によれば、エンベロープは箱に収容されることを意図されたトレーに固定され得る。この場合、エンベロープ内に物体を挿入してから、物体を固定及び保持するために、エンベロープの2つの壁を引き伸ばして物体を閉じ込めるようにトレーの縁を折り曲げることでエンベロープを変形する。これが完了すると、折り曲げられたトレーを箱に挿入でき、それから箱の上で蓋を閉じることができる。
【0031】
これらの保持手段も特定の欠点を有する。
【0032】
実際、エンベロープに物体を挿入することは問題を引き起こさないが、トレーの変形、特にその縁の折り曲げは、複雑な取扱いとなり、物体がかさばり、変形されるエンベロープが変形に対して強く抵抗する場合、実行不可能にさえなる。従って、エンベロープの変形は、時間を食い、専門業者に嫌悪感を与え得、従って、専門業者は、不完全な変形を行い、又はより大きなサイズのパッケージさえ提案し、それは最終消費者の運送費用の増加に繋がる。
【0033】
加えて、これは、箱、蓋、及び保持手段の同時の保管を必要とし、それは、弊害をもたらす全体の容積、従ってたいてい最終的な顧客に転嫁される追加費用を意味する。
【0034】
これらの欠点に答えるために、トレーを蓋の方に引っ張る手段が設計された。
【0035】
これらの引っ張り手段は、特にトレーに固定された弾性材を備え、ユーザは、それらを引っ張り、トレーを蓋に近づけ、従って運送される物体をトレーと蓋の間に封じ込める。
【0036】
物体が封じ込められると、次に、締結手段が、ユーザによって始めにかけられた引っ張り力を保持し、従ってユーザを自由にするために使用される。
【0037】
これらの締結手段は、弾性材を互いに対して維持することを意図されたフックの形で現れる。
【0038】
しかし、この解決策がパッケージ内における物体の優れた保持に寄与するとしても、それはまだ改善され得る。
【0039】
実際、これらの保持手段はユーザの努力を必要とし、ユーザは、同時に、牽引を実現し、その上始めた牽引を維持して締結手段を使用しなければならない。
【0040】
それ故、ユーザが、締結手段の取扱い中に、始めた牽引の利益を失い得ることが起こる。
【発明の概要】
【0041】
本発明は、特に、従来技術の欠点を軽減する目的を有する。
【0042】
より正確に、本発明は、運送される物体をパッケージ内で自動的に保持するための解決策を提案することを目的とする。
【0043】
また、本発明は、実施の容易なこの種の解決策を提供することを目的とし、ユーザに特別な取扱いを要求しない。
【0044】
また、本発明は、長期に継続するこの種の解決策を提供することを目的とする。
【0045】
これらの目的、及び以下に現れる他の目的は、物体を運送するためのパッケージを目的とする本発明によって達成される。パッケージは、
-底部と、底部に対して実質的に垂直な周縁部とによって定められた収容空間を有する箱と、
-箱を閉じる位置を占めることができる蓋と、
-収容空間内に収容されたトレーであって、それが底部に近接して位置する休止位置と、それが底部から離されて物体を蓋に押し付けて維持する作動位置との間で底部に対して可動なトレーと、
-トレーをそれの作動位置に戻す手段と、を備え、
パッケージは折り畳み式であり、戻し手段は、
-クロスブレースであって、それがトレーと底部との間で押しつぶされて平らになる扁平位置と、それが底部に対してトレーを押し戻す展開位置との間で可動なクロスブレースと、
-クロスブレースに固定され、クロスブレースをそれの扁平位置からそれの展開位置に置く傾向にある戻し部材と、を備えることを特徴とする。
【0046】
クロスブレース及び戻し部材によって、トレーをその作動位置の方へ自動的に押し戻すことが可能になる。そして、蓋が収容空間を閉じたとき、トレー上に置かれた物体は蓋とトレーの間に維持される。
【0047】
従って、物体は、運送中に損傷する危険、及び箱が勢いよく扱われたときに箱の周縁部にぶつかり得る危険なく、発送され得る。
【0048】
その上、蓋が収容空間を閉じる位置にある瞬間から、トレーと蓋との間に物体を封じ込めることを提供するのは戻し部材であるので、箱内で物体を留めることはユーザの努力を必要としない。
【0049】
第1の有利な実施形態によれば、クロスブレースは、互いに対して可動に繋がれた第1アームと第2アームを備え、それぞれのアームは、トレーに対して可動に繋がれた第1端部と、底部に沿って可動な第2端部とを備え、戻し部材は、第1アームの第2端部又は第2アームの第2端部を箱に接続して、第1アームの第2端部を第2アームの第2端部に近づける弾性材の形で現れる。
【0050】
弾性材の張力によって、トレーはその作動位置に自動的に置かれる。
【0051】
それ故、弾性材の張力を調整することで、蓋が収容空間を閉じたときにトレーによって物体を蓋に押し付ける力を制御することができる。
【0052】
好ましくは、弾性材と箱との接続部は、弾性材が接続されたアームの第1端部の垂直上方に又は実質的に垂直上方に位置する。
【0053】
これは、トレーをその作動位置の方へ押し戻すための底部上における第1端部の牽引に有利に働く。
【0054】
好ましい実施形態によれば、パッケージは、それぞれ、一方でアームに、他方で箱の底部に接続された2つの弾性材を備える。
【0055】
2つの弾性材の使用によって、トレーをその作動位置の方へ押し戻すための2つのアームの同期された動きが保証される。
【0056】
従って、トレーがパッケージ内で引っ掛かる危険が制限又は除去さえされる。
【0057】
それ故、運送される物体はトレーと蓋の間で収容空間に適切に保持される。
【0058】
第2の有利な実施形態によれば、クロスブレースは、互いに対して可動に繋がれた第1アームと第2アームを備え、それぞれのアームは、トレーに対して可動に繋がれた第1端部と、底部に沿って可動な第2端部と、を備え、戻し部材は、第1アームの第2端部を第2アームの第2端部に接続して、それらを互いに近づける弾性材の形で現れる。
【0059】
これにより、特に、トレー及び戻し手段を使用する必要がない場合、又はパッケージを収容するために、トレー及び戻し手段をパッケージから取り出すことができる。
【0060】
その上、特に戻し手段のメンテナンスのために、戻し手段にアクセスすることが容易になる。
【0061】
第3の有利な実施形態によれば、クロスブレースは互いに対して可動に繋がれた第1アームと第2アームを備え、戻し部材は第1アーム及び第2アームに固定されたねじりばねであり、ねじりばねは第2アームに対して第1アームを離す傾向にある。
【0062】
これにより、特に、もはやトレー及び戻し手段を使用する必要がない場合、又はパッケージを収容するために、トレー及び戻し手段をパッケージから取り出すことができる。
【0063】
その上、特に戻し手段のメンテナンスのために、戻し手段にアクセスすることが容易になる。
【0064】
加えて、ねじりばねは、必要に応じて容易に調整でき、例えば保護するために、第1アーム及び第2アームに埋め込むことができる。
【0065】
好ましくは、パッケージは2つのねじりばねを備える。
【0066】
賢明に置かれた2つのねじりばねの使用によって、アームがそれらの移動中にキンクする危険を低減することができる。
【0067】
有利に、箱は、底部に対する移動においてアームをガイドするための溝を備える。
【0068】
従って、第1アーム及び第2アームは、それらの移動中にガイドされ、トレーをその作動位置の方へ押し戻し得る。
【0069】
従って、トレーと蓋の間に物体を良好に封じ込めるために、アームの引っ掛かりが回避される。
【0070】
好ましくは、箱は折り畳み式である。
【0071】
従って、パッケージを使用しないとき、箱を折り畳んでその収容を容易にし、パッケージの不使用時のかさばりを制限し得る。
【0072】
本発明の他の特徴及び利点は、説明に役立つ非限定的な例として与えられた本発明の好ましい実施形態の以下の説明、及び添付図面を理解すると、より明瞭にわかってくるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】箱を備え、その内部でトレーが戻し手段によって作動位置に維持される、本発明によるパッケージの斜視図である。
図2】トレーが休止位置にある、本発明によるパッケージの斜視図である。
図3】箱が展開された形態にある、パッケージを示す概略図である。
図4】第1及び第2実施形態によるトレー及び戻し手段を示す概略図である。
図5】第3実施形態によるトレー及び戻し手段を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1に関して、本発明によるパッケージ1は、少なくとも1つの運送される物体Oが収容される収容空間を定める箱2と、蓋3とを備える。蓋3は箱2の収容空間を閉じることを意図されている。
【0075】
箱2は、特に、底部21及び周縁部22を有し、周縁部22は、
-第1パネル221と、
-第1パネル221の向かい側の第2パネル222と、
-第3のパネル223と、
-第3パネル223の向かい側の第4のパネル224と、を備える。
【0076】
図1から図3に示される好ましい実施形態によれば、蓋3は箱2の周縁部22に固定される。より正確に、蓋3は、第3パネル223に可動に繋げられて取り付けられる。
【0077】
図3に関して、蓋3が箱2を閉じたときに蓋3を保持するために、蓋は、蓋3と底部21の間に支えを形成する垂直側材25を備え得る。
【0078】
本実施形態によれば、箱は折り畳み式である。従って、第1パネル221、第2パネル222、第3パネル223、及び第4パネル224のそれぞれは、底部21に対して可動に取り付けられる。それは、パネルは、
-それが底部21に対して実質的に平行に延在する収容位置と、
-それが底部21に対して実質的に平行に延在する作動位置と、を取り得ることを意味する。
【0079】
周縁部のパネル221、222、223、224をそれらの作動位置に維持するために、箱2は図に示されていない保持手段を備える。
【0080】
保持手段は、特に、次の群、
-磁気を帯びたもの、
-付加部材、
-変形可能なもの、
-引っ掛かりを用いたもの、に属し得る。
【0081】
従って、パッケージ1は保管形態又は作動形態に置かれ得る。
【0082】
保管形態において、箱2のパネル221、222、223、224はそれらの収容位置にあり、蓋3は箱2のパネル221、222、223、224の1つと同一平面上にある。
【0083】
特に、第2パネル222及び第4パネル224は底部21と重なる関係で置かれ、第1パネル221及び第3パネル223は底部21に連続して置かれる。
【0084】
換言すれば、第1パネル221及び第3パネル223は底部21と同一平面上にあり、第2パネル222及び第4パネル224は底部21の上方にある。
【0085】
それから、蓋3は、第3パネル223及び底部21に重なるように折り畳まれる。より正確に、蓋3は底部21並びに第2パネル222及び第4パネル224を覆う。
【0086】
箱2は、図1に示されるように、運送される物体Oが置かれるトレー26をさらに備える。
【0087】
トレー26は、2つの位置、即ち、
-トレー26が箱2の底部21に近接して位置する休止位置と、
-以下に説明されるように、それが箱2の底部21から離されて物体Oを蓋3に押し付けて保持する作動位置と、の間で底部21に対して並進運動で移動できる。
【0088】
トレー26は、蓋3が収容空間を閉じるときに蓋3に対向することを意図された上面を有する。
【0089】
この上面は、有利に、トレー26上における物体の保持に有利に働く滑り止め被覆物及び/又は可撓性材料を有する。
【0090】
滑り止め被覆物は、トレー26に適用された追加の材料の層であり得る。
【0091】
この場合、追加の材料は、粗い部分及び/又は接着剤のような接着性被覆物を備え得る。
【0092】
もちろん、接着性被覆物が使用される場合、それはパッケージ1の再利用可能な性質と両立できるように選択される。
【0093】
換言すれば、接着性被覆物は、運送される物体Oをパッケージ1内に保持することを向上させることができるが、ユーザが物体Oをパッケージ1から取り出したいとき、物体Oからそれ自体を分離する能力を有しなければならない。
【0094】
追加の材料は、特に、箱2に収容された運送される物体Oに接着できる特性を有する革又は合成材料であり得る。
【0095】
しかし、パッケージ1の再利用可能な性質を保持するために、追加の材料の層が、剛性要素26、即ちトレー上に、運送される物体Oを接着することを妨げるかもしれない埃、砂、又は他の要素のような汚れを保持するのを許容しないことが不可欠である。
【0096】
可撓性材料の場合、発泡体が使用され得る。この発泡体は、特に、運送される物体Oの輪郭により良く合うように変形可能でなければならない。
【0097】
トレーの可動性を可能にし、物体Oを蓋3に押し付けて保持することを可能にするために、トレー265は戻し手段27によって動かされる。
【0098】
戻し手段は特に戻し部材271を備える。
【0099】
そして、戻し部材271は、
-それが底部21に対してトレー26を離す第1の力を働かす束縛形態と、
-それが底部21に対してトレー26を離す第2の力を働かす解放形態と、を取り得る。
【0100】
第1の離す力は、好ましくは、第2の離す力より大きい。
【0101】
従って、戻し部材は、その解放形態に戻り、そのためにトレー26をその作動位置に置く傾向を有する。
【0102】
従って、戻し部材271のその解放形態に戻るこの傾向によって、運送される物体Oを蓋3に押し付けることが可能になる。
【0103】
図1から図4によって示される好ましい実施形態によれば、戻し手段27は、トレー26と箱2の底部21との間に挿入されたクロスブレース272をさらに備える。
【0104】
クロスブレース272は、それがトレー26と底部21の間で押しつぶされて平らになる扁平位置と、それが底部21に対してトレー26を押し戻す展開位置とを取り得る。
【0105】
クロスブレース272は、十字形で互いに対して可動に繋がれた第1アーム273と第2アーム274を備える。
【0106】
特に、第1アーム273と第2アーム274はシャフト275を中心にして可動に繋がれる。
【0107】
第1アーム273は、それをトレー26に接続する第1端部2731と、第2自由端2732とを有する。
【0108】
同様に、第2アーム274は、それをトレー26に接続する第1端部2741と、第2自由端2742とを有する。
【0109】
第1アーム273及び第2アーム274は、好ましくは、トレー26に対して回転するように取り付けられる。
【0110】
そして、戻し部材271は、クロスブレースに連結され、クロスブレース272の2つのアーム273、274の間の角度Aを変更する。
【0111】
より正確に、図5に関して、角度Aは、第1アーム273、第2アーム274、及びトレー26で形成される三角形において、第1アーム273と第2アーム274の間で定義される。
【0112】
そして、戻し部材271のその束縛位置からその解放位置への推移によって、角度Aの縮小、それ故に底部21に対するトレー26の上昇が引き起こされる。
【0113】
そして、反対に、トレー26に力が加えられると、角度Aは大きくなり、トレー26は底部21の方向に下げられる。
【0114】
トレー26の移動を容易にできるように、第1アーム273の第2端部2731及び第2アーム274の第2端部2742は、箱2に作られた溝28に取り付けられる。
【0115】
より正確に、溝28は、周縁部22の第1パネル221及び第2パネル223に作られる。
【0116】
図4に示される第1及び第2実施形態によれば、戻し部材271は弾性材277の形を取る。
【0117】
第1実施形態によれば、弾性材277は、一方で第1アーム273の第2端部2732又は第2アーム274の第2端部2742に、他方で箱2に接続される。
【0118】
より正確に、弾性材277は、その端部のそれぞれで、第1アーム273の第2端部2732又は第2アーム274の第2端部2742に接続される。
【0119】
弾性材277と箱2との接続部は弾性材277の2つの端部の間に設けられる。
【0120】
弾性材277の箱2への接続部は周縁部22又は底部21上に実現され得る。
【0121】
有利に、戻し手段27は、2つの弾性材277、即ち第1弾性材277a及び第2弾性材277bを備える。
【0122】
そして、この場合、
-第1弾性材277aは、一方で第1アーム273の第2端部2732に、他方で箱2に接続され、そして、
-第2弾性材277bは、一方で第2アーム274の第2端部2742に、他方で箱2に接続される。
【0123】
第2実施形態によれば、戻し部材27は、第1アーム273と第2アーム274を互いに接続する弾性材277cを備える。
【0124】
より正確に、弾性材277cは第1アーム273の第2端部2732及び第2アーム274の第2端部2742に接続される。
【0125】
図に示されていない有利な実施形態によれば、パッケージ1は、第1アーム273の第2端部2732と第2アーム274の第2端部2742を接続する幾つかの弾性材277cを備え得る。
【0126】
図5に示される第3実施形態によれば、戻し部材271はねじりばね276の形で現れる。
【0127】
ねじりばね276は、第1アーム273及び第2アーム274に固定され、第2アーム274に対して第1アーム273を離す、即ち角度Aを小さくする傾向にある。
【0128】
より正確に、ねじりばね276は、シャフト275の周りに取り付けられ、第1アーム273に接続された第1ブランチ276aと、第2アーム274に接続された第2ブランチ276bとを備える。
【0129】
好ましくは、戻し手段は、シャフト275の周りに取り付けられた2つのねじりばね276を備える。
【0130】
そして、クロスブレース272がその扁平位置にあるとき、それぞれのねじりばね276は束縛され、そして、その2つのブランチ276a、276bは互いに接近する。
【0131】
それぞれのねじりばね276は、その解放位置へのその推移によって、第2ブランチ276bに対して第1ブランチ276aを離すことで、クロスブレース272をその展開位置に置くことを可能にする。
【0132】
そして、第1ブランチ273の第2端部2732と第2ブランチ274の第2端部2742の間の距離Dは、クロスブレース272がその扁平位置からその展開位置に推移する間に狭められる。
【0133】
第2及び第3実施形態によれば、戻し手段27が箱2と結合しないので、トレー26及び戻し手段27を使用しないとき、トレー26及び戻し手段27をパッケージ1から完全に取り出すことができる。
【0134】
さらに、クロスブレース272がその扁平位置にあるとき、それぞれの弾性材277は、箱2とそれが接続されたアーム273、274との間、又はアーム273と第2アーム274との間で、束縛され、引っ張られる。
【0135】
それぞれの弾性材277は、その解放位置へのその推移によって、それぞれのアーム273、274の第2端部2732、3743を互いの方へ引くことで、クロスブレース272をその展開位置に置くことを可能にする。
【0136】
そして、第1アーム273の第2端部2732と第2アーム274の第2端部2742の間の距離Dは、クロスブレース272がその扁平位置からその展開位置に推移する間に狭められる。
【0137】
物体Oの安全な運送を可能にするために、本発明によるパッケージ1が使用され得る。
【0138】
この目的で、箱2は、パネル221、222、223、224をそれらの作動位置に置くことで形成される。
【0139】
換言すれば、周縁部22が形成される。
【0140】
それから、物体Oは、箱2の中へ挿入され、トレー26上に置かれる。
【0141】
物体Oが正しく置かれると、蓋3は、周縁部22上に置かれ、収容空間を閉じることができる。
【0142】
そして、戻し部材271及び戻し手段27によって、クロスブレース272が展開位置に置かれる。
【0143】
そして、これにより、蓋3とトレー26の間に封じ込められた物体Oを維持することができる。
【0144】
従って、パッケージ1がその運送中に乱されたとしても、物体Oはトレー26と蓋3の間に完全に安全に維持されたままである。
【0145】
また、このように閉じられたパッケージ1は通常の流通網を経由して発送され得る。
【0146】
有利に、パッケージ1、特にその箱2及びその蓋3は、特に、製造業者DS SMITH(登録商標)の商業上の名称Akylux、Akyplein、及びAkyboard(登録商標)で販売されているような押出ポリプロピレン、又は、Storopack(登録商標)社が販売しているような、発泡ポリプロピレン、即ち発泡体の形を取るものから作られ得る。
【0147】
従って、パッケージがその発送中に2つの目的地の間で乱されたとしても、ちょうど今説明されたパッケージ1によって物体Oを完全に安全に運送することができる。
【0148】
実際、戻し手段27によって、トレー26をその作動位置に置くこと、従って蓋3とトレー26の間で収容空間内の物体Oの移動を妨げることが可能になる。
【0149】
その上、図4に示される第1実施形態の場合、戻し手段27及びトレー26は、運送される物体Oが十分に大きくて蓋3と箱2の底部21との間で単独で適所に維持される場合に取り出され得る取外し可能なアセンブリを形成する。
【0150】
その上、箱2の溝28によるトレー26のガイドによって、トレー26の休止位置から作動位置への移動中におけるトレー26の引っ掛かりを回避できる。
【0151】
これにより、長期に亘るパッケージ1の運用を提供できる。
図1
図2
図3
図4
図5