(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】組換え神経成長因子のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20241203BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241203BHJP
C12N 15/16 20060101ALI20241203BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20241203BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241203BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241203BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241203BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241203BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20241203BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20241203BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20241203BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241203BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20241203BHJP
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A61P 25/00 20060101ALI20241203BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20241203BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241203BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20241203BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241203BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20241203BHJP
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A61K 9/10 20060101ALI20241203BHJP
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A61K 9/127 20060101ALI20241203BHJP
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A61K 35/12 20150101ALI20241203BHJP
A61K 38/18 20060101ALI20241203BHJP
A61K 38/24 20060101ALI20241203BHJP
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A61K 35/761 20150101ALI20241203BHJP
A61K 35/763 20150101ALI20241203BHJP
C07K 14/59 20060101ALN20241203BHJP
C07K 14/48 20060101ALN20241203BHJP
C12N 15/19 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N15/16 ZNA
C12N15/86 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 H
C12P21/02 Z
A61P9/00
A61P21/00
A61P25/28
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A61P25/02
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A61P27/06
A61K48/00
A61K9/06
A61K9/08
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A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61K35/12
A61K38/18
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A61K35/761
A61K35/763
C07K14/59
C07K14/48
C12N15/19
(21)【出願番号】P 2023000760
(22)【出願日】2023-01-06
(62)【分割の表示】P 2019565166の分割
【原出願日】2018-02-09
【審査請求日】2023-02-03
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519293586
【氏名又は名称】ヴィヴィババ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェン,ジン
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105273087(CN,A)
【文献】特開2016-053084(JP,A)
【文献】特表2010-501475(JP,A)
【文献】特開2014-088393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 19/00
C07K 14/00
C12N 1/00
C12N 5/10
C12P 21/02
A61P 9/00
A61P 21/00
A61P 25/00
A61P 27/00
A61K 48/00
A61K 9/00
A61K 35/00
A61K 38/00
A61K 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(i)生物学的活性を有する神経成長因子(NGF)ポリペプチド配列を含む第1の部分;
(ii)ヒトの血流中で、NGFポリペプチド配列の半減期を増大させ、生物学的活性を維持する追加のポリペプチドを含む第2の部分であって、配列番号13と少なくとも95%、99%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列を含む、第2の部分;及び
(iii)ヒトの血流中で、NGFポリペプチド配列の機能及び/若しくは安定性を増大する融合ドメインを含む第3の部分
を含むポリペプチドであって、NGFポリペプチド配列単独のin vivo半減期の少なくとも2.5倍のin vivo半減期を有
し、第3の部分における融合ドメインが、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、マルトース結合タンパク質(MBP)、又はヒト血清アルブミンから選択される、ポリペプチド。
【請求項2】
第1の部分が全長NGFポリペプチド配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
第1の部分がNGFの生物学的活性を有する断片を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
第1の部分がヒトNGF配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
ヒトNGF配列が配列番号5と少なくとも95%同一である、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
第1の部分がNGFの少なくとも1つの結合パートナーと結合可能なものであり、場合によりNGFの少なくとも1つの結合パートナーがトロポミオシン受容体キナーゼA(TrkA)又は低アフィニティNGF受容体(LNGFR/p75NTR)である、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項7】
第1の部分が配列番号5の122位から241位のアミノ酸残基を含む、請求項6に記載のポリペプチド。
【請求項8】
第2の部分が、生物学的活性を有するヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項9】
ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)が配列番号10~12から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項8に記載のポリペプチド。
【請求項10】
第2の部分がHCGのカルボキシ末端部分(CTP)を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項11】
第1の部分が第2の部分のN末端に融合している、請求項1~10のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項12】
配列番号2又は3と少なくとも90%、95%、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項14】
配列番号1と少なくとも95%同一である核酸配列を含む、請求項13に記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
配列番号1の核酸配列を含む、請求項13に記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチドを発現可能な発現ベクター、及び/又は請求項13~15のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項17】
請求項16に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項18】
以下:
(i)請求項17に記載の宿主細胞を細胞培養培地において培養するステップ;及び
(ii)請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチドを発現させるステップ
を含む方法。
【請求項19】
さらに
(iii)細胞培養培地から請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチドを精製するステップ
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項13~15のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項16に記載の発現ベクター、又は請求項17に記載の宿主細胞を含む組成物。
【請求項21】
請求項20に記載の組成物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項22】
神経成長因子(NGF)の欠損及び/又は欠陥に関連する疾患又は障害の処置に使用するための医薬組成物であって、請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項13~15のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項20に記載の組成物、又は請求項21に記載の医薬組成物の治療上有効量を含む医薬組成物。
【請求項23】
上記疾患又は障害を処置するための追加の薬剤及び/又は治療がさらに対象に投与される、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
上記疾患又は障害が神経障害である、請求項22又は23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
神経障害が、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、アルツハイマー病、ベル麻痺、認知症、ダウン症候群、癲癇、ハンチントン舞踏病、メニエール病、多発性硬化症、神経難聴、卒中、低酸素性虚血性脳症、脳性まひ、麻痺、パーキンソン病、末梢神経障害、視神経障害又は脊髄性筋萎縮症である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
神経障害が末梢神経障害であり、末梢神経障害が多発神経障害又は単神経障害である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
神経障害が視神経障害であり、視神経障害が、前眼部若しくは後眼部変性疾患、眼表面の慢性アレルギー性炎症性障害、外傷性視神経障害、緑内障、神経栄養性角膜症、単純ヘルペス角膜炎、又は角膜治癒である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
神経障害が、中央ニューロン、末梢ニューロン、運動ニューロン若しくは感覚ニューロンの壊死若しくは欠損、外傷、腎機能障害、損傷、手術、虚血、感染、代謝性疾患、栄養不足、悪性腫瘍、毒性物質、又は化学療法により引き起こされる、請求項24~27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
対象が哺乳動物である、請求項22~28のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
その必要がある対象においてニューロンの成長及び/又は増殖を促進するための医薬組成物であって、請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項20に記載の組成物、又は請求項21に記載の医薬組成物の有効量を含む医薬組成物。
【請求項31】
対象が哺乳動物である、請求項30に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年2月10日に出願された米国特許仮出願第62/457,499号の優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
神経成長因子(NGF)は、1953年にノーベル賞受賞者Rita Levi-Montalciniによりマウス肉腫から初めて単離され、最初に発見された神経栄養因子である。NGFは主に、神経堤からの交感神経ニューロンと感覚神経の生存、分化及び増殖を調節する。また、神経学的機能の回復と神経再生プロセスにも重要な役割を果たす。
【0003】
NGFは様々な供与源に豊富に含まれており、マウスの顎下腺はNGFの最も集中的に研究された供与源の1つである。 他の供与源には、ヘビ毒、雄牛の精嚢、モルモット前立腺、及びヒト胎盤が挙げられる。これらの供与源のうち、マウスNGFの遺伝子配列がヒトの配列と最も高度に相同(>90%)であり、そのため顎下腺から単離されたマウスNGF及び胎盤からのヒトNGFが、臨床用途で、主に視神経損傷の治療のために、使用されている。NGFによる治療に反応性の追加の状態には、中毒性ニューロパシー、末梢神経障害、顔面神経障害などが含まれる。
【0004】
現在、マウスNGFは筋内注射により投与される。マウスNGFの短い半減期のため、毎日の注射(30μg マウスNGF)が4週間にわたって必要である。主な有害作用としては、治療過程での複数回の注射により生じる局所的な痛みがある。予備的な薬物動態データは、ヒトNGFがマウスNGFと同様のin vivo半減期を示すため、臨床使用において同様の薬物投与頻度、すなわち毎日の注射を必要とする可能性が高いことを示している。しかし、毎日の注射は患者にとって非常に不便で不快である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、より簡便に投与することができるヒトNGF(NGF)の治療用形態の改善の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、部分的には、患者においてより長い半減期を有する、長時間持続性の組換えヒト神経成長因子(rhNGF)に関する。具体的には、非改変型rhNGFと比較して、長時間持続性神経成長因子は類似した生物学的活性を示すが、動物試験で実証されるようにin vivo半減期が実質的により長いものである。本明細書に記載のNGFバリアントポリペプチドは、NGF部分に加えて追加のポリペプチド部分を含む。一部の実施形態において、追加のポリペプチド部分は、NGF部分のin vivo安定性(例えば、半減期)を増大させる。一部の実施形態において、かかる追加のポリペプチドは、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)又はその生物学的活性を有する断片を含む。いくつかの好ましい実施形態において、かかる追加のポリペプチドは、hCGの少なくともカルボキシ末端部分(CTP)を含む。
【0007】
一態様において、本発明は、
(i)全長神経成長因子(NGF)ポリペプチド配列又はその生物学的活性を有する断片を含む第1の部分;及び
(ii)NGFポリペプチド配列又はその生物学的活性を有する断片の半減期を増大させる追加のポリペプチドを含む第2の部分
を含むポリペプチドを提供する。
【0008】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドの第1の部分は、全長NGFポリペプチド配列を含む。他の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドの第1の部分は、NGFの生物学的活性を有する断片を含む。
【0009】
本明細書に記載のポリペプチドは哺乳動物起源を有し得る。例えば、かかるポリペプチド、又はその第1の部分及び/若しくはその第2の部分、は、哺乳動物配列、例えばヒト又はマウス配列を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドの第1の部分がヒトNGF配列を含む。かかるヒトNGF配列は、配列番号5に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一であり得る。一部の実施形態において、ヒトNGF配列は配列番号5に対して少なくとも70%同一である。一部の実施形態において、ヒトNGF配列は配列番号5に対して少なくとも80%同一である。一部の実施形態において、ヒトNGF配列は配列番号5に対して少なくとも90%同一である。一部の実施形態において、ヒトNGF配列は配列番号5に対して少なくとも95%同一である。一部の実施形態において、ヒトNGF配列は配列番号5に対して少なくとも99%同一である。一部の実施形態において、ヒトNGF配列は配列番号5である。一部の実施形態において、ヒトNGF配列は、配列番号5に相補的な配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる。
【0010】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドの第1の部分は、NGFの少なくとも1つの結合パートナーと結合可能なものであり、場合により、NGFの少なくとも1つの結合パートナーがトロポミオシン受容体キナーゼA(TrkA)又は低アフィニティNGF受容体(LNGFR/p75NTR)である。一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドの第1の部分はNGFの生物学的活性を有する断片を含み、ここでかかる生物学的活性は、それと、NGF 結合パートナー、例えばTrkA及びLNGFR/p75NTRなどの少なくとも1つとの相互作用によって測定される。一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドの第1の部分は配列番号5の122位から241位のアミノ酸残基を含む。
【0011】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドの第2の部分は、全長ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、又はその生物学的活性を有する断片を含む。
【0012】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドの第2の部分は、ヒトHCG配列、例えば配列番号10~12の1つなどを含む。一部の実施形態において、第2の部分は、HCGのカルボキシ末端部分(CTP)を含む。一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドの第2の部分は、配列番号13に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の同一性を含む。一部の実施形態において、第2の部分は配列番号13に対して少なくとも70%同一である。一部の実施形態において、第2の部分は配列番号13に対して少なくとも75%同一である。一部の実施形態において、第2の部分は配列番号13に対して少なくとも80%同一である。一部の実施形態において、第2の部分は配列番号13に対して少なくとも90%同一である。一部の実施形態において、第2の部分は配列番号13に対して少なくとも95%同一である。一部の実施形態において、第2の部分は配列番号13に対して少なくとも99%同一である。一部の実施形態において、第2の部分は配列番号13を含む。一部の実施形態において、第2の部分は、配列番号13に相補的な配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる。
【0013】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドの第2の部分は少なくとも1つのグリコシル化部位を含む。
【0014】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは融合タンパク質である。例えば、ポリペプチドの第1の部分及び第2の部分は、リンカー(例えばペプチドリンカー)あり又はなしで、互いに融合し得る。第1の部分は、第2の部分のN末端に融合してもよいし、又は第2の部分のC末端に融合してもよい。第1の部分及び/又は第2の部分の複数のコピーが互いに融合してもよい。
【0015】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、配列番号2又は3と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、ポリペプチド配列は、配列番号2又は3と少なくとも70%同一である。一部の実施形態において、ポリペプチド配列は、配列番号2又は3と少なくとも75%同一である。一部の実施形態において、ポリペプチド配列は、配列番号2又は3と少なくとも80%同一である。一部の実施形態において、ポリペプチド配列は、配列番号2又は3と少なくとも90%同一である。一部の実施形態において、ポリペプチド配列は、配列番号2又は3と少なくとも95%同一である。一部の実施形態において、ポリペプチド配列は、配列番号2又は3と少なくとも99%同一である。一部の実施形態において、ポリペプチド配列は、配列番号2又は3を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2又は3に相補的な配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされる。
【0016】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、その第1の部分よりも増加したin vivoにおける半減期を示す。例えば、ポリペプチドは、例えばヒトにおいて、その第1の部分(すなわちNGFポリペプチド配列)単独のin vivo半減期の少なくとも1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0倍又はそれ以上のin vivo半減期を有し得る。一部の実施形態において、ポリペプチドは、NGFポリペプチド配列単独のin vivo半減期の少なくとも2.5倍のin vivo半減期を有する。
【0017】
一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド、又はその第1若しくは第2の部分は、標識、例えば精製用標識及び/又はタグ(例えば、GST、FLAG、ヘキサhis (His6)など)、並びに/あるいは蛍光タグなどをさらに含む。
【0018】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。例えば、かかるポリヌクレオチドは、配列番号1に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一である核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は配列番号1と少なくとも70%同一である。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は配列番号1と少なくとも80%同一である。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は配列番号1と少なくとも90%同一である。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は配列番号1と少なくとも95%同一である。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は配列番号1と少なくとも99%同一である。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は配列番号1を含む。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1に相補的な配列とストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズする。一部の実施形態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、検出用標識、例えば精製用標識及び/又はタグ(例えば、GST、FLAG、ヘキサhis (His6)など)、並びに/あるいは蛍光タグなどをさらに含む。一部の実施形態において、ストリンジェントな条件は、50%v/vホルムアミド、5 x SSC、2%w/vブロッキング剤、0.1%N-ラウロイルサルコシン、0.3%SDS中での65℃にて一晩のハイブリダイゼーション、及び5 x SSC中での約65℃での洗浄を含む。
【0019】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド及び/又はポリヌクレオチドを発現可能な発現ベクターを提供する。かかる発現ベクターは、遺伝的改変あり又はなしでのプラスミド、コスミド、ウイルスベクターなどであり得る。
【0020】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の発現ベクター、ポリペプチド又はポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供する。かかる宿主細胞は、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、ニワトリ細胞、又は哺乳動物細胞(例えばCHO、Hela、HT293、又は他の細胞など)であり得る。一部の実施形態において、本明細書に記載の宿主細胞は不死化されている。
【0021】
別の態様において、本発明は、
(i)細胞培養培地中で本明細書に記載の宿主細胞を培養するステップ;及び
(ii)本明細書に記載のポリペプチドを発現させるステップ
を含む方法を提供する。
一部の実施形態において、本方法はさらに、
(iii)細胞培養培地から本明細書に記載のポリペプチドを精製するステップ
を含む。
これらの例示的な方法によって、本明細書に記載のポリペプチドが産生され、分離され、最終的にさらなる使用のために精製され得る。
【0022】
別の態様において、本発明はまた、本明細書に記載のポリペプチド、ポリヌクレオチド、発現ベクター及び/又は宿主細胞を含む組成物を提供する。かかるいくつかの実施形態において、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む医薬組成物である。
【0023】
別の態様において、本発明は、神経成長因子(NGF)の欠損及び/又は欠陥に関連する疾患又は傷害を処置する方法であって、本明細書に記載のポリペプチド、組成物又は医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。かかる疾患又は傷害は、本明細書に記載の神経障害、例えば神経変性などのいずれか1つであり得る。一部の実施形態において、本方法はさらに、疾患又は傷害を処置するための追加の薬剤及び/又は治療を対象に投与することを含む。
【0024】
別の態様において、本発明は、ニューロンの成長及び/又は増殖を促進する方法であって、本明細書に記載のポリペプチド、組成物又は医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0025】
一部の実施形態において、対象は、哺乳動物、例えば非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、イヌ、ネコなど)又はヒトなどである。好ましい実施形態において、対象はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】pCI-neo/NGF-CTPプラスミドの構造の概略を示す。
【
図2】精製されたrhNGF-CTPタンパク質のゲル電気泳動を示す。
【
図3】静脈内注射後の薬物動態研究におけるrhNGF及びrhNGF-CTPのラット血漿濃度プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、部分的には、神経成長因子(NGF)バリアント、特に全長NGF配列又はその生物学的活性を有する断片と別のポリペプチドとを含むNGFバリアントの発見に関する。かかるNGFバリアントは、in vitro、ex vivo、及び/又はin vivoにおいて野生型NFGタンパク質よりも安定であり得る(例えば、長い半減期を有する)。
【0028】
したがって、野生型NGF活性の少なくとも一部又は全てを維持するNGFバリアントのポリペプチド、ポリヌクレオチド、及び組成物が提供される。一部の実施形態において、NGFバリアントは、全長NGF配列、又はその生物学的活性を有する断片を含む。一部の実施形態において、NGFバリアントは、例えば融合タンパク質を形成するために、別のポリペプチド、好ましくは異種ポリペプチドを含む。例えば、本明細書に記載のNGFバリアントのNGF部分及び異種ポリペプチド部分は、リンカーあり又はなしで互いに融合し得る。一部の実施形態において、NGF部分は、異種ポリペプチドのN末端に融合される。他の実施形態において、NGF部分は、異種ポリペプチドのC末端に融合される。本明細書に記載のNGFバリアントのNGF部分のアミノ酸配列は、野生型NGF配列に由来するか、又は親NGFアミノ酸配列(野生型NGF配列など)の1個以上のアミノ酸の置換、挿入若しくは欠失により導かれるものであり得る。NGFバリアントは、それが由来する野生型NGF分子又は親NGF分子と少なくとも70%のアミノ酸配列同一性を保持し得る。これらのNGFバリアントの有用な量は、組換えDNA技術を用いて調製することができる。
【0029】
本発明の別の態様は、NGFバリアントをコードする組換え核酸、並びにこれらの核酸を含有する発現ベクター及び宿主細胞を提供する。
【0030】
本発明の別の態様は、NGFバリアントの製造方法、例えば本発明の核酸、ベクター及び宿主細胞を使用する方法を提供する。一部の実施形態において、NGFバリアントをコードする核酸を含有する発現ベクターで形質転換した宿主細胞を、核酸の発現が可能なように培養し、組換えNGFバリアントを製造する。
【0031】
さらに、対象において神経変性疾患又は障害(例えば、神経障害、例として神経変性など)を処置するための方法及び組成物、本明細書に記載のNGFバリアント及び関連する治療薬の使用が提供される。
【0032】
本発明の他の利点及び態様は、以下の詳細な説明、図面及び特許請求の範囲から明らかとなるだろう。
【0033】
I. 定義
冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的対象の1つ又は複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書において使用される。例として、「要素(エレメント)」とは、1つの要素又は複数の要素を意味する。
【0034】
「投与する(administering)」という用語は、薬剤(本明細書に記載のポリペプチド及び/又は組成物など)が意図する機能を果たすことを可能にする投与経路を含むことを意図している。使用し得る身体の処置のための投与経路の例には、注射(皮下、静脈内、非経口、腹腔内、髄腔内など)、経口、吸入、及び経皮経路が含まれる。注射は、ボーラス注射であってもよいし又は連続注入であってもよい。投与経路に応じて、薬剤を選択された材料でコーティング又はその材料中に分注して、意図した機能を実行する能力に悪影響を及ぼす可能性のある自然条件から保護することができる。この薬剤は、単独で投与してもよいし、又は薬学的に許容される担体と併用することもできる。薬剤はまたプロドラッグとして投与することもでき、これはin vivoでその活性形態に変換される。一部の実施形態において、薬剤は経口投与される。他の実施形態において、薬剤は本明細書に記載されている注射経路で投与される。
【0035】
「増加/減少した量」又は「増加/減少レベル」という用語は、以前の同じ対象並びに/又は正常及び/若しくは対照の対象における同じ分子の量及び/又は値と比較した場合の、対象における分子(例えば、NGF)の絶対的及び/又は相対的な量及び/又は値の増加又は低下を指す。
【0036】
対象における分子(例えばNGF)の量は、量を評価するために使用されるアッセイの標準誤差よりも大きい量だけ分子の量がそれぞれ正常レベルよりも多いか又は少ない場合、その分子の正常量より「有意に」高いか又は低く、好ましくはその量よりも少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%、350%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%又は大きい。あるいは、対象における分子の量は、その量が、分子の正常な量よりそれぞれ少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約3倍、4倍、又は5倍多いか又は少ない場合、正常な量よりも「有意に」多い又は少ないとみなされ得る。そのような「有意性」はまた、発現、阻害、細胞傷害性、細胞増殖などについて、本明細書に記載される任意の他の測定されたパラメータにも適用され得る。
【0037】
「コード領域」という用語は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域を指し、一方、「非コード領域」という用語は、アミノ酸に翻訳されないヌクレオチド配列の領域(例えば、5'及び3'非翻訳領域)を指す。
【0038】
「相補性」という用語は、2つの核酸鎖の領域の間又は同じ核酸鎖の2つの領域の間の配列相補性の広範な概念を指す。第1の核酸領域のアデニン残基は、第1の領域と逆平行である第2の核酸領域の残基がチミン又はウラシルの場合には、その残基と特異的な水素結合(「塩基対合」)を形成できることが知られている。同様に、第1の核酸鎖のシトシン残基は、第1の鎖と逆平行である第2の核酸鎖の残基がグアニンである場合、その残基と塩基対合できることが知られている。2つの領域が逆平行に配置され、第1の領域の少なくとも1つのヌクレオチド残基が第2の領域の残基と塩基対合可能な場合、核酸の第1の領域は、同じ又は異なる核酸の第2の領域と相補的である。好ましくは、第1の領域は第1の部分を含み、第2の領域は第2の部分を含み、それにより、第1の部分及び第2の部分は逆平行に配置され、第1の部分のヌクレオチド残基の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%が第2の部分のヌクレオチド残基と塩基対合可能である。より好ましくは、第1の部分のヌクレオチド残基の全てが第2の部分のヌクレオチド残基と塩基対合可能である。
【0039】
本明細書で使用する場合、「相同」という用語は、同じ核酸鎖の2つの領域の間又は2つの異なる核酸鎖の領域の間のヌクレオチド配列類似性を指す。両方の領域のヌクレオチド残基位置が同じヌクレオチド残基で占められている場合、続いてその領域はその位置で相同である。第1の領域及び第2の領域の各領域の少なくとも1つのヌクレオチド残基位置が同じ残基で占められている場合、第1の領域は第2の領域と相同である。2つの領域間の相同性は、2つの領域の、同じヌクレオチド残基で占められるヌクレオチド残基位置の割合に関して表される。例として、ヌクレオチド配列5'-ATTGCC-3'を有する領域と、ヌクレオチド配列5'-TATGGC-3'を有する領域は、50%相同性を有する。好ましくは、第1の領域は第1の部分を含み、第2の領域は第2の部分を含み、それにより、それらの部分のそれぞれのヌクレオチド残基位置の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%が同じヌクレオチド残基で占められる。より好ましくは、上記部分のそれぞれの全てのヌクレオチド残基位置が同じヌクレオチド残基で占められる。
【0040】
「宿主細胞」という用語は、本発明の核酸、例えば本発明の組換え発現ベクター、が導入される細胞を指すことが意図される。用語「宿主細胞」及び「組換え宿主細胞」は、本明細書において互換的に使用される。かかる用語は、特定の対象細胞だけでなく、かかる細胞の子孫又は潜在的な子孫を指すことを理解されたい。突然変異又は環境の影響により、後続の世代で特定の改変が発生する可能性があるため、そのような子孫は実際には親細胞と同一ではない可能性もあるが、本明細書で使用する場合には依然として用語の範囲内に含まれる。一部の実施形態において、本明細書に記載の宿主細胞は、哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、Hela細胞など)である。一部の実施形態において、宿主細胞は不死化されている。
【0041】
本明細書で使用する場合、「相互作用」という用語は、2つの分子(例えば、NGFバリアントとその結合パートナー)の間の相互作用を指す場合、互いの分子の物理的接触(例えば結合)を指す。一般的に、そのような相互作用は、上記分子の一方又は両方の活性(生物学的効果をもたらす活性)を生じる。活性は、上記分子の一方又は両方の直接的な活性であり得る。あるいは、相互作用における一方又は両方の分子は、それらのリガンドが結合するのを防止する可能性があり、それゆえリガンド結合活性(例えば、そのリガンドとの結合、及び免疫応答の誘起若しくは阻害)に関して不活性となる。そのような相互作用を阻害することは、相互作用に関与する1つ以上の分子の活性の破壊を生じる。そのような相互作用を増強することは、上記物理的接触の可能性を延長又は増大し、上記活性の可能性を延長又は増大することである。
【0042】
本明細書で使用する場合、「単離されたタンパク質」とは、細胞から単離又は組換えDNA技術によって作製する場合には他のタンパク質、細胞物質、分離培地、及び培養培地を実質的に含まない、あるいは化学的に合成される場合には他の化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まないタンパク質(例えば、NGFバリアントポリペプチド)を指す。「単離された」又は「精製された」タンパク質又はその生物学的活性を有する部分は、抗体、ポリペプチド、ペプチド又は融合タンパク質が由来する細胞又は組織供与源からの細胞物質又は他の混入タンパク質を実質的に含まない、あるいは、化学的に合成される場合には化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない。「細胞物質を実質的に含まない」という言葉は、単離された又は組換え産生された細胞の細胞成分から本発明の組成物が分離されている調製物を含む。一実施形態において、「細胞物質を実質的に含まない」という言葉は、約30%、20%、10%、又は5%(乾燥重量)未満の細胞物質を有する調製物を含む。抗体、ポリペプチド、ペプチド若しくは融合タンパク質又はその断片、例えばその生物学的活性を有する断片を組換え産生する場合、培養培地を実質的に含まないことも好ましく、すなわち培養培地は約20%未満、より好ましくは約10%未満、最も好ましくは約5%未満の量のタンパク質調製物である。
【0043】
一部の実施形態において、本明細書に記載のNGFバリアントポリペプチドを含む治療用組成物は、対象において疾患又は傷害を処置するために使用される。かかる疾患又は傷害としては、例えば、内因性NGF遺伝子、mRNA、及び/又はタンパク質の量、レベル及び/又は活性の欠陥(deficiency)に関連する任意の疾患、例えば神経障害(例えば、神経変性)などが挙げられる。一部の実施形態において、本明細書に記載の治療用組成物はさらに、本明細書に記載の疾患又は傷害を処置することが可能な別の薬剤を含む。
【0044】
一部の実施形態において、本明細書に記載の対象は、神経障害(神経変性など)を有する。本明細書に記載のNGFバリアントは、in vitro及びin vivoにおけるニューロン、例えば中枢(脳及び脊髄)、末梢(交感神経、副交感神経、感覚及び腸ニューロン)、並びに運動ニューロンなどの発生、維持又は再生に有用であると考えられる。したがって、本明細書に記載のNGFバリアントは、種々の神経疾患及び障害の処置方法において有用である。好ましい実施形態において、本発明の製剤は、1種以上の神経障害又は症状を処置するために患者に投与される。本明細書において「神経障害」とは、ニューロンの変性又は損傷と関連する中枢及び/又は末梢神経系の障害を意味する。神経障害の具体例としては、限定されるものではないが、外傷、火傷、腎機能障害、損傷、並びに癌及びAIDSの治療に使用される化学療法剤の毒性作用のために損傷した神経の処置に加えて、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、卒中、ALS、末梢神経障害、及びニューロンの壊死若しくは欠損を特徴とする他の状態(中枢、末梢又は運動ニューロンであるかどうか)が挙げられる。例えば、いくつかの状態に関連する末梢神経障害、例えば糖尿病、AIDS又は化学療法に関連する神経障害を、本発明の製剤を用いて処置することができる。化合物及び組成物はまた、in vitro又はex vivoにおいて神経細胞を培養するための培養培地において有用であり得る。
【0045】
本発明の様々な実施形態において、NGFバリアントを、外傷、手術、卒中、虚血、感染、代謝性疾患、栄養不足、悪性腫瘍又は毒性物質によって損傷を受けた神経系を有する患者あるいはNGF、NT-3、BDNF又はNT4-5で治療可能である任意の状態の患者に投与して、ニューロンの生存又は成長を促進し得る。限定されるものではないが、処置又は効果は、NGFバリアントに存在する特定のtrk結合機能(1若しくは複数)に応じて異なる。例えば、本明細書に記載のNGFバリアントを使用して、外傷又は手術によって損傷を受けた運動ニューロンの生存又は成長を促進し得る。また、本明細書に記載のNGFバリアントを使用して、運動ニューロン障害、例えば筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、ベル麻痺、及び脊髄性筋萎縮症又は麻痺を含む種々の症状を処置し得る。本明細書に記載のNGFバリアントを使用して、ヒトの神経変性障害、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、癲癇、多発性硬化症、ハンチントン舞踏病、ダウン症候群、神経難聴、及びメニエール病を処置し得る。
【0046】
本明細書に記載のNGFバリアントは、例えば、認知症又は外傷を有する患者などにおいて、学習を強化するために、認知増強剤(cognitive enhancer)として使用することができる。National Institutes of Agingにより高齢者の認知症の50%超の原因として特定されているアルツハイマー病もまた、米国において65歳超の4番目又は5番目の主な死因である。400万の米国人、85歳を超える米国人の40%(米国人口の最も急成長している部分)がアルツハイマー病を有する。パーキンソン病を有する全患者の25%もまたアルツハイマー病様の認知症を患っている。また認知症を有する患者のおよそ15%において、アルツハイマー病及び多発梗塞性認知症が共存する。認知症の3つ目の最も一般的な原因は、アルツハイマー病及び血管性認知症の後、アルコール依存症のおよそ10%に生じる、アルコール依存症に直接関連する器質性脳疾患による認識機能障害である。しかしながら、アルツハイマー病、並びにアルコール依存症に関連する器質性脳疾患による認識機能障害及び血管性認知症の最も一貫した異常は、前脳基底部(BF)からコーデックス(codex)と海馬の両方に生じるコリン作動系の変性である(Bigl et al. Brain Cholinergic Systems, M. Steriade and D. Biesold編, Oxford University Press, Oxford, pp.364-386 (1990))。そして、アルツハイマー病の影響を受ける神経伝達物質系は他にもいくつかある(Davies Med. Res. Rev.3:221 (1983))。しかしながら、認知障害、例えばコリン作動性神経伝達物質系の変性に関連する認知障害は、認知症を患う個体に限定されるものではない。また、健康な高齢者やラットでも見られる。老齢ラットの学習障害の程度と皮質脳血流の減少の程度を比較する研究は、良好な相関を示している(Berman et al. Neurobiol. Aging 9:691 (1988))。慢性アルコール依存症において、生じる器質性脳疾患は、アルツハイマー病及び正常な加齢と同様に、コリン作動性ニューロンが発生する脳領域(前脳基底部)及びそれらが投射する脳領域(大脳皮質)の皮質脳血流のびまん性の減少をも特徴とする(Lofti et al., Cerebrovasc. and Brain Metab. Rev 1:2 (1989))。かかる認知症は、本明細書に記載のNGFバリアントの投与により処置し得る。
【0047】
さらに、本明細書に記載のNGFバリアントを使用して、神経障害(neuropathy)、特に末梢神経障害を処置することができる。「末梢神経障害」とは、末梢神経系に影響を及ぼす障害を指し、多くの場合、運動、感覚、感覚運動、又は自律神経機能障害の1つ又は組み合わせとして現れる。末梢神経障害によって示される多種多様な形態は、それぞれ同様に幅広い数の原因に一意に起因する可能性がある。例えば、末梢神経障害は、遺伝的に獲得されるか、全身性疾患に起因するか、又は毒性物質によって誘発される可能性がある。例として、限定されるものではないが、糖尿病性末梢神経障害、遠位感覚運動神経障害、又は胃腸管の運動性低下若しくは膀胱の緊張などの自律神経障害が挙げられる。全身性疾患に関連する神経障害の例には、ポリオ後症候群又はAIDS関連神経障害が含まれる。遺伝性神経障害の例には、シャルコー・マリー・トゥース病、レフサム病、無βリポタンパク血症、タンジール病、クラッベ病、異染性白質ジストロフィー、ファブリー病、及びデジェリン・ソッタス症候群が含まれる。そして、毒性物質によって引き起こされる神経障害の例には、ビンクリスチン、シスプラチン、メトトレキサート、又は3'-アジド-3'-デオキシチミジンなどの化学療法剤による治療によって引き起こされるものが含まれる。
【0048】
したがって、哺乳動物に本明細書に記載のNGFバリアントを投与することを含む、哺乳動物において神経障害(neural disorder)を処置する方法が提供される。好ましくは、神経障害は末梢神経障害であり、より好ましくは、糖尿病性末梢神経障害、化学療法誘導性末梢神経障害、又はHIV関連神経障害である。好ましくは、末梢神経障害は運動ニューロンに影響を及ぼす。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「神経成長因子」又は「NGF」とは、特定の標的ニューロン、特に痛み、温度及び触覚を伝達するもの(感覚ニューロン)の成長、維持、増殖及び生存に主に関与する神経栄養因子及び神経ペプチドの群を指す。本明細書において記載する「NGF」という用語には、特に指定がない限り、本明細書に記載する任意の種に由来するNGFの野生型、並びに任意の変異型、置換型及び/又は改変型β鎖(NGFβ)、例えば表1に例示されるようなものが含まれる。これはおそらく、最初に記載されたものの1つであるという点でプロトタイプの成長因子である。これは1956年にノーベル賞受賞者Rita Levi-Montalcini及びStanley Cohenにより初めて単離されたため、NGFが関与するいくつかの生物学的プロセスが同定されており、そのうちの2つは、膵臓β細胞の生存と免疫系の調節である。NGFは、発現された場合に最初に3つのタンパク質、すなわちα-NGF、β-NGF及びγ-NGF(比2:1:2)の7S, 130-kDa複合体で生じる。NGFのこの形態はまたproNGF(NGF前駆体)とも呼ばれる。この複合体のγサブユニットはセリンプロテアーゼとして作用し、βサブユニットのN末端を切断し、それによりタンパク質は機能的なNGFへと活性化する。ヒトNGFβサブユニットは、Gene Bank ID: NM_002506.2に示される核酸配列によってコードされる、約26959Daの241アミノ酸(Gene Bank ID: NP_002497.2)を含む。そのドメイン構造はUniProt ID no. P01138においても周知である。具体的には、配列番号5に示されるヒトNGF配列については、1位から18位のアミノ酸残基がシグナルペプチドであり、それに続いて、19位から121位のプロペプチド領域があり、NGF成熟ポリペプチドは122位から241位の範囲である(配列番号6)。既知のアミノ酸修飾としては、配列番号5の69位及び114位におけるN結合グリコシル化部位と、136位と201位の間、179位と229位の間、及び189位と231位の間のジスルフィド結合が挙げられる。他の生物におけるNGFβホモログもまた当技術分野で周知であり、例えばチンパンジーNGFβ(NM_001012437.1及びNP_001012439.1)、アカゲザルNGFβ(XM_015148902.1及びXP_015004388.1、並びにXM_015148898.1及びXP_015004384.1)、イヌNGFβ(NM_001194950.1及びNP_001181879.1)、ウシNGFβ(NM_001099362.1及びNP_001092832.1)、マウスNGFβ(NM_001112698.2及びNP_001106168.1、並びにNM_013609.3及びNP_038637.1)、ラットNGFβ(NM_001277055.1及びNP_001263984.1)、ニワトリNGFβ(NM_001293108.1及びNP_001280037.1、並びにNM_001293109.1及びNP_001280038.1)、並びにネッタイツメガエルNGFβ(NM_001129924.1及びNP_001123396.1)がある。マウスNGFβ(NM_013609.3)は、より長い転写物バリアント1を表し、より長いアイソフォームA(NP_038637.1)をコードするが、NM_001112698.2はバリアント2を指し、これはバリアント1と比べて異なる5' UTRを含み、5'コード領域のインフレーム部分に欠損がある。得られるアイソフォームB(NP_001106168.1)は、アイソフォームAと比べて短いN末端を有する。NGFは少なくともトロポミオシン受容体キナーゼA(TrkA)及び低アフィニティNGF受容体(LNGFR/p75NTR)と結合する。本明細書に記載のNGF部分は、全長NGFのいずれかの断片を含み得る。一部の実施形態において、NGF部分は、TrkA又はLNGFRとのNGF相互作用のためのドメインを少なくとも含む。例えば、NGF部分は、配列番号5の122位から241位のアミノ酸残基を含み得る。本明細書に記載のNGF部分は、置換、変異、改変、及び/又は欠失を含むNGF配列を含み得る。いくつかの例示的なNGF配列を表1に列挙する。例えば、米国特許第6,333,310号及び同7,452,863号に記載のようなNGF配列もまた本発明の範囲内に含まれる。
【0050】
本明細書に記載のNGFバリアントポリペプチドは、全長NGFポリペプチド(NGF前駆体ポリペプチド若しくは成熟NGFポリペプチドのいずれか)又はその生物学的活性を有する断片を含むNGF部分を含む。用語「生物学的活性を有する断片」とは、任意の可能な置換、変異、欠失、挿入、融合及び/又は他の改変方法を含む任意の種の野生型NGFポリペプチドの一部であって、野生型NGFポリペプチドの生物学的機能の少なくとも1つを維持するものを指す。NGFの「生物学的機能」という用語は、一般的に、ミエリン鞘修復及び他の関連機能の促進を含む、ニューロン及び軸索の成長、維持、及び生存を促進する能力を指す。具体的には、NGFの「生物学的機能」という用語はまた、TrkA及び/又はp75NTRへの結合を介したシグナル伝達機能を指し得る。これらの一般的及び特定の機能についての複数の試験が当技術分野で公知である。
【0051】
NGFは、改変した場合にNGFの特異性に影響を与える可能性のあるいくつかのドメインがある。NGFのN末端アミノ酸は、trkA結合に寄与するNGFの主要な領域である。生物学的活性及び受容体結合の著しい損失が、ヒト及びマウスNGFの精製されたホモダイマーで観察され、これはアミノ及びカルボキシ末端で改変された均一な末端切断形態を表す。精製された組換えヒト成熟NGFのN末端の最初の9残基及びC末端からの最後の2残基の欠損により生じる109アミノ酸(10-118)hNGFを含む切断型成熟NGF種は、(1-118)hNGFと比較して、ヒトtrkA受容体からのマウス125I-NGFの置き換えにおいて300倍低い効率だった。これは、(1-118)hNGFと比較して、後根神経節及び交感神経節の生存の活性が50~100倍低い。10アミノ酸のN末端領域の改変は、TrkA結合の減少又は除去をもたらす可能性がある。例えば、米国特許第6,333,310号は、NGFの7末端アミノ酸(SSSHPIF)の欠失又はそれのNT-3のN末端アミノ酸(YAEHKS)との置換がtrkA結合活性が低下又は存在しないNGFバリアントを生じることを記載している。さらに、PCT公開WO 95/33829号は、NGF活性を欠損するNGFバリアントを開示している。本開示において、NGFバリアントポリペプチドのNGF部分は、Trk A及び/又はp75NTRへの結合能がインタクトな、増加した又は低下したNGFポリペプチドを含み得る。一部の実施形態において、NGFポリペプチドは、野生型NGFと少なくとも同じ、Trk A及び/又はp75NTRへの結合アフィニティを有する。一部の実施形態において、NGFポリペプチドは、野生型NGFと比較して高い、Trk A及び/又はp75NTRへの結合アフィニティを有する。いくつかの他の実施形態において、NGFポリペプチドは、野生型NGFと比較して低い、Trk A及び/又はp75NTRへの結合アフィニティを有する。一部の実施形態において、trkC及びtrkBの両方に結合するがtrkAに結合しないバリアントを得るために、trkBリクルート(動員)改変をtrkA低下改変と組み合わせてもよい。
【0052】
本明細書に記載のNGFバリアントポリペプチドは、NGF部分に加えて追加のポリペプチドを含む。一部の実施形態において、追加のポリペプチドは、NGF部分のin vivo安定性(例えば、半減期)を増大させる。かかる追加のポリペプチドは、そのような機能を有する任意のポリペプチドであり得る。例えば、かかる追加のポリペプチドは、免疫グロブリン又はその生物学的活性を有する断片であり得る。一部の実施形態において、かかる追加のポリペプチドは、IgGの任意のタイプのFc(フラグメント、結晶化可能)領域を含む。一部の実施形態において、かかる追加のポリペプチドは、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)又はその生物学的活性を有する断片を含む。いくつかの好ましい実施形態において、かかる追加のポリペプチドは、hCGの少なくともカルボキシ末端部分(CTP)を含む。
【0053】
本明細書で使用する場合、用語「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」又は「hCG」は、着床後に胎盤によって産生されるホルモンの群を指す。hCGの存在は、いくつかの妊娠検査(HCG妊娠ストリップ検査)で検出される。一部の癌性腫瘍はこのホルモンを産生する。したがって、患者が妊娠していないときに測定されるレベルの上昇は癌の診断につながり、十分に高い場合は腫瘍随伴症候群につながる可能性がある。しかし、この産生が発癌の原因であるか、又は発癌の効果であるかはわかっていない。黄体形成ホルモン(LH)として知られているhCGの下垂体類似体は、すべての年齢の男性及び女性の下垂体で産生される。hCGの内因性形態に関しては、総hCG、C末端ペプチド総hCG、インタクトhCG、遊離βサブユニットhCG、βコア断片hCG、過剰グリコシル化hCG、ニックhCG、αhCG、及び下垂体hCGなどを分類及び測定するためのさまざまな方法がある。動物又は合成源からのhCGの医薬調製物に関して、多くのゴナドトロピン調製物があり、そのいくつかは医学的に正当化され、他は偽物の性質のものである。2011年12月6日の時点で、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)は「ホメオパシー」及び店頭販売のhCGダイエット製品の販売を禁止し、それらが不正で違法であると宣言した。ヒト絨毛性ゴナドトロピンは、分子量25.7kDaの237アミノ酸から構成される糖タンパク質である。ヘテロダイマーであり、黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)と同一のα(アルファ)サブユニット、及びhCGに特有のβ(ベータ)サブユニットを有する。α(アルファ)サブユニットは92アミノ酸長である。hCGゴナドトロピンアイソフォーム(ベータ-hCG)のβサブユニットは、染色体19q13.3にタンデムかつ逆向きの対で配置された6つの高い相同性を有する遺伝子によってコードされる145アミノ酸を含む。2つのサブユニットが高い表面積と体積の比:球の2.8倍で囲まれた小さな疎水性コアを作成する。外側のアミノ酸の大部分は親水性である。hCGの3次元構造はWu et al. (1994) Structure 2:545-558により教示されている。hCGのβサブユニットのアミノ酸配列のいくつかの例を表1の配列番号10~12に挙げる。hCGのα及びβ鎖配列の両方の報告についてBahl et al. (1972) Biochem. Biophys. Res. Commun. 48:416-422を参照。ヒト絨毛性ゴナドトロピンは卵巣のLHCG受容体と相互作用し、妊娠開始時に黄体の維持を促進する。これにより、黄体は妊娠初期にホルモンのプロゲステロンを分泌することができる。プロゲステロンは、成長中の胎児を維持できるように、子宮が血管と毛細血管の厚い内層で豊富になるようにする。hCGの検出は、例えばhCGをLH及びFSHと区別することができる、hCGのβサブユニットに特異的に結合するモノクローナル抗体を使用するなど、任意の方法によって行うことができる。そのような抗体、例えばOriGene(Rockville, MD)からの抗体(例えば、TA313616)などが当技術分野で周知である。
【0054】
hCGのカルボキシ末端部分(CTP)を、延長された半減期のために治療用タンパク質に融合し得る(Fares et al. (2010) Endocrinology 151:4410-4417)。CTPは、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)に由来する、グリコシル化されたアミノ酸配列(28mer、配列番号13)を指す。CTPの高い生体適合性、低い免疫原性、及び治療用タンパク質の半減期を大幅に延長するその能力が十分に研究されている。例えば、Furuhashi et al.(1995 Mol Endocrinol. 9:54-63)は、hCGβサブユニットが4つのセリン結合オリゴ糖を有するカルボキシ末端伸長(すなわちカルボキシ末端ペプチド(CTP))を含有し、これが他の糖タンパク質ホルモンと比べて長い半減期を維持するために重要であることを教示している。実際、O-グリコシル化のための全長シグナルは主にCTP配列内に含まれ、受容(レシピエント)タンパク質の隣接領域に依存しない。ELONVA(登録商標)が代表的である、Merckにより開発され2010年に欧州委員会(European Commission)によって承認されたCTP融合卵胞刺激ホルモン(FSH)が、女性の不妊治療における妊娠の達成補助のために臨床的に使用されている。ELONVA(登録商標)は、患者に対する毎日のFSH注射の1週間分を1回の注射で置き換えることができるように設計されている。本明細書に記載するhCGポリペプチド及び/又はCTP部分は、置換、変異、改変、及び/又は欠失を含む任意のhCG/CTPバリアントを含み得る。いくつかの例示的なバリアントを表1(下線付き)に列挙する。例えば、米国特許第6,225,449号に記載されているようなCTPバリアントもまた本発明の範囲内に含まれ得る。
【0055】
本明細書に記載のNGFバリアントポリペプチドは、本明細書に記載の2つ以外に第3の部分をさらに含んでもよい。かかる第3の部分は、NGF部分の機能及び/又は安定性を改善することができる融合ドメインを含み得る。そのような融合ドメインの周知の例としては、限定されるものではないが、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、又はヒト血清アルブミンが挙げられる。融合ドメインは、所望の特性を付与するように選択し得る。例えば、いくつかの融合ドメインは、アフィニティクロマトグラフィによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティ精製の目的で、アフィニティクロマトグラフィのための関連するマトリックス、例えばグルタチオン-、アミラーゼ-、及びニッケル-又はコバルト共役樹脂が使用される。かかるマトリックスの多くは「キット」形態で、例えばPharmacia GST精製システム、及び(HIS6)融合パートナーと共に有用であるQIAexpressTMシステム(Qiagen)などが入手可能である。別の例として、ALK1 ECDポリペプチドの検出を促進するために融合ドメインを選択し得る。かかる検出ドメインの例としては、種々の蛍光タンパク質(例えば、GFP)、並びに「エピトープタグ」(通常、特異的抗体が利用可能な短いペプチド配列である)が挙げられる。特異的なモノクローナル抗体を容易に利用可能な周知のエピトープタグとしては、FLAG、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、及びc-mycタグが挙げられる。いくつかの場合には、融合ドメインは、プロテアーゼ切断部位、例えば第Xa因子又はトロンビンなどのためのプロテアーゼ切断部位であり、これは関連するプロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化するようにし、それによりそれから組換えタンパク質が遊離する。続いて、その後のクロマトグラフィー分離によって遊離したタンパク質を融合ドメインから単離する。いくつかの好ましい実施形態において、NGFバリアントポリペプチドを、in vivoでNGFポリペプチドを安定化するドメイン(「安定化物」ドメイン)と融合する。「安定化」とは、これが破壊の低減、腎臓によるクリアランスの低減又は他の薬物動態効果のためのいずれであるかにかかわらず、血清半減期を増大させる何かを意味する。免疫グロブリンのFc部分との融合は、広範なタンパク質に対する望ましい薬物動態特性を付与することが知られている。同様に、ヒト血清アルブミンとの融合は望ましい特性を付与し得る。選択し得る他のタイプの融合ドメインとしては、多量体化(例えば、二量体化、三量体化)ドメイン、及び機能的ドメインが挙げられる。さらに、NGFバリアントが特定の細胞、組織又は器官に局在化するのを助けるために局在化配列を付加してもよい。例えば、タンパク質を神経系又は他の組織に局在化するための複数の配列が当技術分野で公知である。かかる配列によって、組換えNGFバリアントは、より良好な機能及びより少ない可能性ある副作用のために、標的化細胞、組織又は器官に特異的に送達され得る。
【0056】
本明細書に記載のNGFバリアントの異なる部分は、リンカーあり又はなしで、融合タンパク質として互いに融合し得る。かかるリンカーは、天然又は化学的リンカーのいずれであってもよい。例えば、ポリGly及びGlyリッチリンカーがPriyanka et al. (2013)Protein Sci. 22:153-167に教示されている。
【0057】
遺伝コードの重要かつ周知の特徴はその縮重性であり、それによりタンパク質を作製するために使用されるタンパク質の大部分について、1を超えるコードヌクレオチドトリプレットを使用することができる。したがって、いくつかの異なるヌクレオチド配列が所定のアミノ酸配列をコードし得る。かかるヌクレオチド配列は、全ての生物において同じアミノ酸配列の産生をもたらすため、機能的に等価であると考えられる(但し、いくつかの生物は、他の生物よりも一部の配列をより効率的に翻訳し得る)。さらに、時には、所定のヌクレオチド配列にプリン又はピリミジンのメチル化バリアントが見出されることもある。かかるメチル化は、三ヌクレオチドコドンとその対応するアミノ酸との間のコード関係に影響を及ぼさない。
【0058】
上記を考慮して、DNA又はRNAをアミノ酸配列へ翻訳するための遺伝コードを利用して、本発明の融合タンパク質又はポリペプチドをコードするDNA又はRNAのヌクレオチド配列(あるいはその一部)を使用して、融合タンパク質又はポリペプチドアミノ酸配列を誘導することができる。同様に、融合タンパク質又はポリペプチドアミノ酸配列について、融合タンパク質又はポリペプチドをコードし得る対応するヌクレオチド配列を、遺伝コードから推定することができる(その縮重性のため、ある所定のアミノ酸配列について複数の核酸配列を生じ得る)。したがって、融合タンパク質又はポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の本明細書の説明及び/又は開示は、そのヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列の説明及び/又は開示をも含むと考えられるべきである。同様に、本明細書における融合タンパク質又はポリペプチドアミノ酸配列の説明及び/又は開示は、そのアミノ酸配列をコードし得る可能なヌクレオチド配列すべての説明及び/又は開示をも含むと考えられるべきである。
【0059】
最後に、本発明の遺伝子座及びバイオマーカーに関する核酸及びアミノ酸配列の情報(例えば、表2及び実施例に列挙したバイオマーカー)は当技術分野で周知であり、公に利用可能なデータベース、例えばNational Center for Biotechnology Information(NCBI)で容易に入手可能である。例えば、公に利用可能な配列データベースから誘導される核酸及びアミノ酸配列の例を以下に提供する。
【0060】
【0061】
表1には、表1に列挙された配列番号1、4、6及び/又は8の核酸配列とその全長にわたって少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又はそれ以上の同一性を有する核酸配列を含む核酸分子が含まれる。かかる核酸分子は、本明細書に記載のNGF機能を有するポリペプチドをコードし得る。
【0062】
表1には、表1に列挙された配列番号2、3、5、7及び/又は9のアミノ酸配列とその全長にわたって少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%又はそれ以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド分子が含まれる。かかるポリペプチドは、好ましくは本明細書に記載のNGF機能を有する。
【0063】
本明細書に記載の治療用組成物は、単独で、又は治療的に許容される担体と組み合わせて、任意の適切な経路によって対象に投与することができる。そのような投与は、全身的(例えばIV)又は局所的(例えば、神経若しくは脳脊髄液へ)であり得る。好ましい投与経路は非経口(例えば、静脈内又は注射)である。限定されるものではないが、本明細書に記載のNGFバリアントの投与は、様々な方法で、例えば特定の適応に公知の経路、例えば限定されるものではないが、皮下、静脈内、脳内、鼻腔内、経皮、腹腔内、筋内、肺内、膣内、直腸、動脈内、病巣内(intralesionally)、髄腔内、脳室内、又は眼内などで行うことができる。NGFバリアントは、CNSの液体リザーバへの注入により連続的に投与し得るが、ポンプや移植などの利用可能な技術を使用した、ボーラス注射が許容可能である。場合によっては、例えば、創傷の治療において、NGFバリアントを溶液又は噴霧剤として直接適用し得る。持続放出系を使用し得る。一般的に、障害が許される場合、部位特異的送達のためにNGFバリアントを製剤化し投与する必要がある。投与は継続的又は定期的に行うことができる。投与は、定流量若しくはプログラム可能な流量の埋め込み型ポンプ又は定期的な注入によって実現し得る。
【0064】
本明細書中で使用される場合、障害又は状態を「予防する」治療剤とは、統計的サンプルにおいて、未処置の対照サンプルと比較して処置サンプルにおける障害又は状態の発生を減少させるか、又は未処置の対照サンプルと比較して障害又は状態の1つ以上の症状の発症を遅らせるか若しくは重症度を低減させる化合物を指す。
【0065】
「処置すること」という用語は、予防的及び/又は治療的処置を含む。「予防的又は治療的」処置という用語は当技術分野において認識されており、対象の組成物のうちの1つ以上の宿主への投与を含む。それが望ましくない状態(例えば、疾患又は宿主動物の他の望ましくない状態)の臨床的徴候の前に投与されるならば、その処置は予防的である(すなわち、それは望ましくない状態の発症に対して宿主を保護する)が、望ましくない状態の顕在化後に投与された場合、その処置は治療的である(すなわち、既存の望ましくない状態又はその副作用を軽減、改善、又は安定化することを意図している)。
【0066】
「治療効果」という用語は、薬理学的活性を有する物質によって引き起こされる、動物、特に哺乳動物、より具体的にはヒトにおける局所的又は全身的効果を指す。したがって、この用語は、疾患の診断、治癒、緩和、治療若しくは予防における用途、又は動物若しくはヒトの望ましい身体的若しくは精神的発達及び状態の増強における用途が意図された任意の物質を意味する。「治療有効量」という語句は、任意の処置に適用可能な合理的な利益/リスク比で、何らかの望ましい局所的又は全身的効果を生じる物質の量を意味する。いくつかの実施形態において、化合物の治療有効量は、その治療指数、溶解度などに依存する。例えば、本発明の方法によって発見された特定の化合物は、そのような処置に適用可能な合理的な利益/リスク比を生じるために十分な量で投与し得る。
【0067】
一部の実施形態において、ベクター及び/又は宿主細胞がさらに提供される。本発明の一態様は、表2に列挙されたバイオマーカー又はその一部若しくはオーソログをコードする核酸を含むベクター、好ましくは発現ベクターの使用に関する。本明細書で使用する場合、「ベクター」という用語は、連結されている別の核酸を輸送可能な核酸分子を指す。ベクターの1つのタイプは「プラスミド」であり、これは追加のDNAセグメントをライゲートできる環状の二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートすることができる。特定のベクターは、それらが導入された宿主細胞で自律的に複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター、及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されると、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより宿主ゲノムとともに複製される。さらに、いくつかのベクターは、機能的に連結された遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称する。一般的に、組換えDNA技術での用途のための発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。本明細書では、プラスミドがベクターの最も一般的に使用される形態であるため、「プラスミド」と「ベクター」を互換的に使用し得る。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たす他の形態の発現ベクター、例えばウイルスベクター(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ随伴ウイルス)などを含むことを意図している。一実施形態において、バイオマーカー核酸分子を含むアデノウイルスベクターが使用される。
【0068】
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に好適な形態で本発明の核酸を含み、これは、組換え発現ベクターが発現のために使用する宿主細胞に基づいて選択された1以上の調節配列(発現しようとする核酸配列に機能的に連結されている)を含むことを意味する。組換え発現ベクター内で、「機能的に連結された」とは、対象のヌクレオチド配列が、そのヌクレオチド配列の発現(例えば、in vitro転写/翻訳系において、又は宿主細胞にベクターが導入される場合には宿主細胞において)を可能にするように調節配列(複数でもよい)と連結されることを意味すると意図される。「調節配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。そのような調節配列は、例えば、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)に記載されている。調節配列には、多くのタイプの宿主細胞でのヌクレオチド配列の構成的発現を指示するもの、及び特定の宿主細胞でのみヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織特異的調節配列)が含まれる。当業者は、発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの要因に依存し得ることを理解するであろう。本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入し、本明細書に記載の核酸によりコードされるタンパク質又はペプチド(融合タンパク質又はペプチドを含む)を産生することができる。
【0069】
本発明の組換え発現ベクターは、原核又は真核細胞における所望のポリペプチドの発現のために設計することができる。例えば、NGFバリアントポリペプチドは、細菌細胞、例えば大腸菌、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用する)、酵母細胞、又は哺乳動物細胞において発現させることができる。好適な宿主細胞は、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990)にさらに論述されている。あるいは、組換え発現ベクターは、例えばT7プロモーター調節配列及びT7ポリメラーゼを用いてin vitroで転写及び翻訳し得る。好適な誘導性非融合大腸菌発現ベクターの例には、pTrc(Amann et al., (1988) Gene 69:301-315)及びpET 11d(Studier et al., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California (1990) 60-89)が含まれる。好適な酵母発現ベクターの例には、pYepSec1(Baldari, et al., (1987) EMBO J. 6:229-234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz, (1982) Cell 30:933-943)、pJRY88(Schultz et al., (1987) Gene 54:113-123)、及びpYES2(Invitrogen Corporation, San Diego, CA)が含まれる。昆虫細胞宿主に有用な好適なバキュロウイルス発現ベクターの例には、pAc系(Smith et al. (1983) Mol. Cell Biol. 3:2156-2165)及びpVL系(Lucklow and Summers (1989) Virology 170:31-39)が含まれる。好適な哺乳動物発現ベクターの例には、pCDM8(Seed, B. (1987) Nature 329:840)及びpMT2PC(Kaufman et al. (1987) EMBO J. 6:187-195)が含まれる。
【0070】
別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型において選択的に核酸の発現を指令することができる(例えば、組織特異的調節エレメントを使用して核酸を発現させる)。組織特異的調節エレメントは当技術分野で公知である。脊椎動物神経系及び神経組織において遺伝子発現を促進するための好適な組織特異的プロモーター及び/又は調節配列の非限定的な例は当技術分野で周知である(例えば、Timmusk et al. (1993) Neuron 10(3):475-489;Kaneko and Sueoka (1993) Proc Natl Acad Sci U S A. 90(10): 4698-4702;Twyman and Jones (1995) J. Neurogenetics 10:67-101参照)。
【0071】
本発明はさらに、発現ベクター中にアンチセンス配向でクローニングされた本発明の核酸分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、本明細書に記載のバイオマーカーmRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写による)を可能にするように、DNA分子が調節配列に機能的に連結される。種々の細胞型においてアンチセンスRNA分子の連続的発現を指令する、アンチセンス配向でクローニングされた核酸に機能的に連結される調節配列、例えばウイルスプロモーター及び/又はエンハンサーを選択することができ、あるいはアンチセンスRNAの構成的、組織特異的又は細胞型特異的発現を指令する調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド、ファージミド又は弱毒化ウイルスの形態であり得、その中で、ベクターが導入される細胞型によって決定され得る活性を有する、アンチセンス核酸が高効率調節領域の制御下において産生される。
【0072】
本発明の別の態様は、本発明の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関する。「宿主細胞」及び「組換え宿主細胞」という用語は、本明細書において互換的に使用される。かかる用語は、特定の対象細胞だけでなく、かかる細胞の子孫又は潜在的な子孫をも指すことを理解されたい。突然変異又は環境の影響により、後続の世代で特定の改変が発生する可能性があるため、そのような子孫は実際には親細胞と同一ではない可能性もあるが、本明細書で使用する場合には依然として用語の範囲内に含まれる。
【0073】
宿主細胞は原核又は真核細胞のいずれでもよい。例えば、バイオマーカータンパク質は、細菌細胞(大腸菌(E. coli)など)、昆虫細胞、酵母又は哺乳動物細胞(Fao肝細胞癌細胞、一次肝細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)又はCOS細胞など)で発現させることができる。他の好適な宿主細胞は当業者に公知である。
【0074】
ベクターDNAは、慣用的な形質転換又はトランスフェクション技術により原核又は真核細胞に導入することができる。本明細書で使用する場合、「形質転換」及び「トランスフェクション」という用語は、外来核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するための分野で認められている様々な技術、例えばリン酸カルシウム若しくは塩化カルシウム共沈、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション又はエレクトロポレーションなどを指すことが意図される。宿主細胞の形質転換又はトランスフェクションに好適な方法は、Sambrook, et al.(Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)及び他の実験室マニュアルに見出すことができる。
【0075】
細胞培養物は、宿主細胞、培地及び他の副産物を含む。細胞培養のための好適な培地は、当技術分野で周知である。バイオマーカーポリペプチド又はその断片は、細胞とポリペプチドを含む培地との混合物から分泌され単離され得る。あるいは、バイオマーカーポリペプチド又はその断片は細胞質において保持されてもよく、細胞を回収し、溶解し、タンパク質又はタンパク質複合体を単離する。バイオマーカーポリペプチド又はその断片は、細胞培養培地、宿主細胞又はその両方から、タンパク質を精製するための当技術分野で公知の技法、例えばイオン交換クロマトグラフィ、ゲルろ過クロマトグラフィ、限外ろ過、電気泳動、及びバイオマーカー又はその断片の特定のエピトープに特異的な抗体を用いるイムノアフィニティ精製などを使用して単離し得る。他の実施形態において、当技術分野で公知の標準的な方法にしたがって、異種タグを精製目的で使用し得る(例えば、エピトープタグ、及びFC融合タグなど)。
【0076】
したがって、バイオマーカーポリペプチドのすべて又は選択された部分をコードするヌクレオチド配列を使用して、微生物又は真核細胞プロセスを介してタンパク質の組換え形態を産生し得る。ポリヌクレオチド構築物、例えば発現ベクターへの配列のライゲーション、真核(酵母、鳥類、昆虫若しくは哺乳動物)又は原核(細菌細胞)のいずれかの宿主への形質転換又はトランスフェクションは、標準的な手順である。同様の手順又はその変法を使用して、本発明に従って、微生物手段又は組織培養技術により組換えバイオマーカーポリペプチド又はその断片を調製し得る。
【0077】
本発明の宿主細胞、例えば培養中の原核又は真核宿主細胞を使用して、バイオマーカータンパク質を産生(すなわち発現)することができる。したがって、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を用いてバイオマーカータンパク質を産生する方法を提供する。一実施形態において、本方法は、バイオマーカータンパク質が発現されるまで、本発明の宿主細胞(バイオマーカーをコードする組換え発現ベクターが導入されている)を好適な培地中で培養することを含む。別の実施形態において、本方法はさらに、培地又は宿主細胞からバイオマーカータンパク質を単離することを含む。
【0078】
II. 対象
【0079】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物及び方法に好適な対象は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、霊長類、非ヒト哺乳動物、家畜、例としてイヌ、ネコ、ウシ、ウマなど)であり、好ましくはヒトである。他の実施形態において、対象は、代謝障害(metabolic disturbance)又は不耐性(intolerance)の動物モデルである。
【0080】
本発明の方法の他の実施形態において、対象は、疾患又は障害のための処置を受けていない。また他の実施形態において、対象は、疾患又は障害のための処置を受けたものである。
【0081】
本発明の方法を使用して、本明細書に記載のものなどの対象において、本明細書に記載の組成物の単独、又は減量を達成するための他の治療との併用に対する応答性を決定する及び/又は処置することができる。
【0082】
III. 医薬組成物
本発明は、本明細書に開示される組成物の薬学的に許容される組成物を提供する。以下に詳細に記載するように、本発明の医薬組成物は、固体又は液体形態での投与のために特別に製剤化することができ、例えば以下のために適合して製剤化することができる:(1)経口投与、例えば、飲薬(水性若しくは非水性の溶液若しくは懸濁液)、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、ペースト;(2)非経口投与、例えば、皮下、筋肉内又は静脈内注射、例えば滅菌溶液又は懸濁液として;(3)局所適用、例えば、クリーム、軟膏、点眼薬、又は皮膚若しくは眼投与に適用される噴霧剤として;(4)膣内又は直腸内、例えば、ペッサリー、クリーム又は泡状物として;あるいは(5)エアゾール、例えば、水性エアゾール、リポソーム調製物又は固形粒子として。
【0083】
「薬学的に許容される」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題若しくは合併症なしで、妥当な利益/リスク比に相応する、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適している、薬剤、材料、組成物及び/又は剤形を指すために本明細書において用いられる。
【0084】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」という語句は、対象の化学物質を、体の一器官又は部分から体の別の器官又は部分に運搬又は輸送することに関与する、液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合性があり、また対象に有害ではないという意味で「許容され」なければならない。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例としては、以下が挙げられる:(1)糖類、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース;(2)デンプン、例えば、コーンスターチ及びジャガイモデンプン;(3)セルロース、及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロース;(4)トラガカント粉末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑石;(8)賦形剤、例えば、カカオバター及び坐剤ワックス;(9)油、例えば、ピーナツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油;(10)プロピレングリコールのようなグリコール;(11)ポリオール類、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;及び(21)薬学的製剤に使用される他の非毒性適合性物質。
【0085】
医薬組成物(調製物)は、任意の多数の投与経路、例としては、例えば、経口的に(例えば、水性若しくは非水性の溶液若しくは懸濁液のような飲薬、錠剤、カプセル(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)、ボーラス剤、散剤、顆粒剤、舌に適用するためのペースト剤);口腔粘膜を通しての吸収(例えば、舌下);肛門、直腸又は膣内(例えば、ペッサリー、クリーム又は泡状物として);非経口的(例としては、筋肉内、静脈内、皮下又は髄腔内、例えば、滅菌溶液又は懸濁液として);鼻腔内;腹腔内;皮下;経皮的(例えば、皮膚に適用されるパッチとして);並びに局所的(例えば、クリーム、軟膏、若しくは皮膚に塗布されるスプレーとして、又は点眼剤として)によって、対象に投与されてもよい。この化合物は、吸入用に製剤化され得る。特定の実施形態では、化合物は単に滅菌水に溶解されても、又は懸濁されてもよい。適切な投与経路及びそれに適した組成物の詳細は、例えば、米国特許第6,110,973号、同第5,763,493号、同第5,731,000号、同第5,541,231号、同第5,427,798号、同第5,358,970号及び同第4,172,896号、並びにそれらに引用された特許に見出され得る。
【0086】
この製剤は、都合上、単位投与剤形で提供されてもよく、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製されてもよい。単一投与剤形を生成するために担体材料と組み合わせられ得る活性成分の量は、処置される宿主、特定の投与方法に応じて変わるであろう。単一投与剤形を生成するために担体材料と組み合わされ得る活性成分の量は、一般に治療効果をもたらす化合物の量であろう。一般に、100パーセントのうち、この量は活性成分の約1パーセント~約99パーセント、好ましくは約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント~約30パーセントの範囲であろう。
【0087】
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の化合物などの活性化合物を担体及び必要に応じて1つ以上の補助成分と会合させるステップを含む。一般に、この製剤は、本発明の化合物を液体担体、若しくは微粉化固体担体、又はその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
【0088】
あるいは又はさらに、組成物は、カテーテル、ステント、ワイヤ、又は他の管腔内デバイスを介した送達用に製剤化してもよい。このようなデバイスによる送達は、膀胱、尿道、尿管、直腸、又は腸への送達に特に有用であり得る。
【0089】
眼科用製剤、眼軟膏剤、液剤などもまた、本発明の範囲内にあると考えられる。例示的な眼科用製剤は、米国特許出願公開第2005/0080056号、同第2005/0059744号、同第2005/0031697号及び同第2005/004074号及び米国特許第6,583,124号に記載されており、それらの内容は参照により本明細書に組み入れられる。必要に応じて、液体眼科用製剤は、涙液、房水若しくは硝子体液と同様の特性を有するか、又はそのような液体と適合性がある。好ましい眼内投与経路は、局所投与(例えば、点眼剤のような局所投与、又はインプラントを介した投与)である。
【0090】
本明細書で使用される「非経口投与」及び「非経口的な投与」という句は、通常は注射による、経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、これには、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内及び胸骨内注射及び注入を含む。非経口投与に適した医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される無菌の等張水溶液若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液若しくはエマルジョン、又は使用直前に無菌注射溶液若しくは分散液に再構成され得る無菌粉末と組み合わせた1つ以上の活性化合物を含み、これは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図するレシピエントの血液と等張にさせる溶質、又は懸濁剤若しくは増粘剤を含んでもよい。
【0091】
本発明の医薬組成物に使用され得る適切な水性及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、並びにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持され得る。
【0092】
注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に対象薬剤のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって作製される。ポリマーに対する薬物の比率、及び使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射製剤はまた、体組織と適合性のあるリポソーム又はマイクロエマルジョン中に薬物を封入することによっても調製される。
【0093】
本発明の方法で使用するために、活性化合物は、それ自体で、又は例えば、0.1~99.5%(より好ましくは0.5~90%)の活性成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物として与えられ得る。
【0094】
投与方法はまた、再充電可能又は生分解性デバイスを含んでもよい。タンパク質性バイオ医薬品を含む薬物の制御送達のために、近年、様々な徐放ポリマーデバイスが開発され、インビボで試験されている。生分解性ポリマー及び非分解性ポリマーの両方を含む様々な生体適合性ポリマー(ヒドロゲルを含む)を使用して、特定の標的部位において化合物を持続放出させるためのインプラントを形成してもよい。
【0095】
医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルは、特定の患者、組成物、及び投与様式に対して所望の治療応答を達成するのに有効である量の活性成分を、その患者に毒性であることなく、得るように変動し得る。
【0096】
いくつかの実施形態において、本発明のNGFバリアントは、単独で使用してもよいし、又は別の種類の治療剤と併せて投与してもよい。
【0097】
薬学的に許容される酸化防止剤の例としては、以下が挙げられる:(1)水溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性酸化防止剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロールなど;並びに(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
【0098】
いくつかの実施形態において、本発明はまた、本明細書に記載のNGFバリアントのin vivoにおける産生のための遺伝子治療を提供する。かかる治療は、本明細書に記載のNGFバリアントをコードする核酸を上で列挙した障害を有する細胞又は組織に導入することによってその治療効果を達成し得る。本明細書に記載の核酸の送達は、組換え発現ベクター、例えばキメラウイルス又はコロイド分散系などを使用して達成し得る。標的化リポソームもまた本明細書に記載のNGFバリアントの治療用送達のために使用し得る。
【0099】
本明細書に教示される遺伝子治療に使用することができる種々のウイルスベクターとしては、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、又は好ましくはRNAウイルス、例えばレトロウイルスなどが挙げられる。好ましくは、レトロウイルスベクターは、マウス又はトリレトロウイルスの誘導体である。単一の外来遺伝子を挿入することができるレトロウイルスベクターの例としては、限定されるものではないが、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)が挙げられる。いくつかの追加的なレトロウイルスベクターは複数の遺伝子を組み込むことができる。これらのベクターのすべては選択マーカー用の遺伝子をトランスファー又は組み込むことができ、その結果、形質導入された細胞を同定し作製することができる。レトロウイルスベクターは、例えば糖、糖脂質又はタンパク質を付加することにより、標的特異的にすることができる。好ましい標的化は、抗体を使用することにより達成する。当業者は、特異的なポリヌクレオチド配列をレトロウイルスゲノムに挿入するか又はウイルスエンベロープに結合させて、本明細書に記載のNGFバリアントを含有するレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にし得ることを理解している。好ましい実施形態において、ベクターは、神経系、あるいは野生型NGFレベルの欠損及び/又は欠陥NGF変異体を有するあらゆる細胞、組織又は器官に標的化される。
【0100】
あるいは、慣用的なリン酸カルシウムトランスフェクションにより、培養細胞にレトロウイルス構造遺伝子gag、pol及びenvをコードするプラスミドを直接トランスフェクトし得る。続いてこれらの細胞を対象の遺伝子を含有するベクタープラスミドでトランスフェクトし得る。得られる細胞はレトロウイルスベクターを培養培地中へ放出する。
【実施例】
【0101】
実施例1:長時間持続性の組換えヒト神経成長因子(rhNGF)の調製
NGF-CTPのクローニング
NGF(238アミノ酸)は、最初はα-NGF、β-NGF及びγ-NGFの複合体であり、γサブユニットがβサブユニットのN末端を切断し、それによりタンパク質は機能的なNGF(120アミノ酸)へと活性化する。全長NGF遺伝子(714-bp)を、全長ヒトNGF遺伝子を有するプラスミドを用いて、5’-ATCTC GAGCA CCATG TCCAT GTTGT TCTAC ACTCT GA- 3’(配列番号14)をフォワードプライマー(U1)として、5’-TGGAG CCTTG GAAGA GCTAG AGGCT CTTCT CACAG CCTT-3’(配列番号15)をリバースプライマー(R1)として使用して増幅した。ヒトHCGからのCTP遺伝子はSangon Biotech(Shanghai) Co., Ltd.で合成され、この遺伝子を増幅するために設計したフォワード(U2)及びリバース(R2)プライマーは、それぞれ5’-AAGGC TGTGA GAA GA GCCTC TAGCT CTTCC AAGGC TCCA-3'(配列番号16)及び5’-TTTGC GGCCG CTTACT ACTGG GGCAG AATA -3’(配列番号17)である。こうしてNGF配列及びCTP配列を増幅し、ゲル電気泳動で分析し、その後ゲル抽出を行ってPCR産物を得た。NGFのPCR産物(1μL)及びHCG CTP(1μL)を鋳型として使用し、U1及びR2をそれぞれフォワード及びリバースプライマーとして使用してPCR重複伸張を行った。PCR増幅は、初期ステップ(94℃, 3分)、変性ステップ(94℃, 30秒)、アニーリングステップ(58℃, 30秒)及び伸長ステップ(72℃, 1分)を30サイクル、続いて最終伸長ステップ(72℃, 7分)からなるものとした。PCR産物をゲル電気泳動で分析し、その後ゲル抽出した。ゲル抽出からの遺伝子をpMC-18Tベクターにライゲートし、続いて陽性クローンをスクリーニングし、さらなる遺伝子シーケンシングのために選択した。正確な配列を有するクローンをさらなる構築のために保存した。遺伝子配列を配列番号1に示し、アミノ酸配列を配列番号2に示す(表1)。
【0102】
NGF-CTP発現因子の構築
NGF-CTP断片は、制限酵素としてのXhoI及びNotI(New England Biolabs Ltd.)によるpMC-18T/NGF-CTPプラスミドの切断により誘導した。続いて断片を、XhoI及びNotIで予め処理したpCI-neoベクターにライゲートした。16℃で一晩のライゲーション反応後、その産物でDH5αコンピテント細胞を形質転換し、アンピシリンを含むLB寒天プレート上でスクリーニングした。最初に陽性クローンをPCRで検証し、さらに遺伝子シーケンシングにより評価した。PCI-neo/NGF-CTPプラスミドの構造を
図1に示す。
【0103】
rhNGF-CTPのための哺乳動物細胞発現系の構築
Gene Pulser XcellTMエレクトロポレーションシステム(Bio-Rad Laboratories, Inc.)を160Vで150msにわたり使用して、エレクトロポレーションによりPCI-neo/NGF-CTPプラスミドをCHO-S細胞(Invitrogen Co.)に導入した。エレクトロポレーションした細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を添加したDMEM-F12培養培地の入った35mm組織培養皿に移しそこで培養した。2日後、G418(Sigma-Aldrich Co. LLC.)を最終濃度600μg mL-1となるように培養培地に添加し、耐性遺伝子に対する選択を強化した。G418処理後の残りのモノクローナル細胞をタンパク質発現レベルのさらなる分析のためにドットブロッティングにより96ウエルプレートにトランスファーした。高発現レベルの細胞をその後の懸濁培養のために選択した。
【0104】
懸濁培養後、無血清条件下において生産性の細胞のさらなる選択のために、最も高い発現レベルの細胞を組織培養フラスコ(40mL, Corning Inc.)に移した。細胞をCD CHO培地(Invitrogen Co.)を用いて37℃で培養し、細胞増殖を評価し、組換えタンパク質の発現レベルをELISA(R&D Systems, Inc.)でアッセイした。さらなるサブクローンを用いて、組換え1B2細胞がrhNGF-CTP産生のプロトタイプ細胞株であることを確認した。rhNGF-CTP発現のためのマスター細胞バンク及びワーキング細胞バンクを開発する前に、この細胞株を無菌性と汚染物質(例えば細菌及びマイコプラズマ)について広範囲に試験した。
【0105】
rhNGF-CTPの精製
ワーキング細胞バンクをWAVEバイオリアクタ(10L, GE Healthcare)中で無血清培養培地を用いてrhNGF-CTPを産生するように回復させた。回収する前に、細胞をフェドバッチ形式で12日間にわたりバイオリアクタ中で培養した。上清を回収し、遠心フィルターで濃縮し、AKTA精製機(GE Healthcare)においてタンパク質クロマトグラフィを用いて精製した。サンプルを最初にSepharose Fastflow(GE Healthcare)にアプライし、塩化ナトリウム(1mol L
-1)を含むバッファーにより溶出した。その後、Phenyl Fastflow(GE Healthcare)及びSuperdex 75(GE Healthcare)をさらなる精製のために用いた。組換えタンパク質の純度はSDS-PAGEゲル電気泳動に示すように95%超であった(
図2)。
【0106】
rhNGF-CTP及びその生物学的活性の特性決定
精製されたrhNGF-CTPのN末端シーケンシングは、最初の5アミノ酸(SSSHP)が同じでヒトNGFの遺伝子配列と良好にアライメントし、これはα-NGFの正確な切断を示している。rhNGF-CTP(148アミノ酸)の配列を配列番号3に示す。非グリコシル化rhNGF-CTPの計算分子量は16273Daであり、質量分析法により測定された精製されたrhNGF-CTPの分子量は18605Daであった。これらの分子量の差はCTPでのグリコシル化に起因する。
【0107】
続いて、rhNGF-CTPの生物学的活性を2つの細胞アッセイにより調べた。最初に、TF-1細胞増殖アッセイを使用して、TF-1細胞表面上での高アフィニティTrkA受容体との結合を介して機能する、NGFにより誘導されるTF-1細胞増殖の用量依存的刺激を評価した。NGFの生物学的活性は、刺激されたTF-1細胞の細胞増殖速度(MTTアッセイ)によって算出した。rhNGF標準は、National Institute for Biological Standards and Control(NIBSC)(UK)からのNGFサンプルとし、1×106 AU mg-1の比活性を有した。TF-1細胞増殖アッセイにおけるrhNGF-CTP及びNGF標準の比活性は、それぞれ1.2×106 AU mg-1及び1.8×106 AU mg-1であり、有意差は観察されなかった。NGF活性を半定量的に測定する第2の方法は、ニワトリ胚後根神経節(DRG)の発芽(sprouting)である。ここではNational Institutes for Food and Drug Control of ChinaからのマウスNGFを標準サンプルとして使用した。rhNGF-CTP及びNGF標準の比活性は、それぞれ1.7×105 AU mg-1以上及び5×105 AU mg-1以上であった。生物学的活性のわずかな低減がrhNGF-CTPについて見られた。
【0108】
ラットにおけるhNGF-CTPの薬物動態研究
Sprague Dawley(登録商標)ラットをrhNGF-CTPの薬物動態研究に供した。6匹のラット(体重300~400g)を2群に分け、rhNGF又はrhNGF-CTPのいずれかで処置した。ラットをナペンタール(1%)で麻酔し、rhNGF又はrhNGF-CTPを30μg kg
-1体重で筋内注射により投与した。注射の0.5、1、2、4、6、8、12及び24時間後に尾から血液サンプルを採取した。血漿NGF濃度を
図3に示すようにELISAを用いて決定した。rhNGFの半減期はラットにおいて3.9時間と算出されたが、rhNGF-CTPの半減期は10.0時間にまで延長し、これは2.5倍の増大を示す。
【0109】
参照による組込み
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されるかのように、参照によりその全体が組み込まれる。 矛盾する場合、本明細書の定義を含む本出願が支配する。
【0110】
また、tigr.orgのワールドワイドウェブ上のThe Institute for Genomic Research(TIGR)及び/又はncbi.nlm.nih.govのワールドワイドウェブ上のNational Center for Biotechnology Information(NCBI)によって維持されているものなど、公開データベースのエントリに関連するアクセッション番号を参照するすべてのポリヌクレオチド及びポリペプチド配列も参照によりその全体が組み込まれる。
【0111】
均等物
当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、又は日常的な実験のみを使用して確認することができる。そのような均等物は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[実施形態1]以下:
(i)全長神経成長因子(NGF)ポリペプチド配列、又はその生物学的活性を有する断片を含む第1の部分;及び
(ii)ヒトの血流中で、NGFポリペプチド配列、又はその生物学的活性を有する断片の半減期を増大させる追加のポリペプチドを含む第2の部分
を含むポリペプチド。
[実施形態2]第1の部分が全長NGFポリペプチド配列を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
[実施形態3]第1の部分がNGFの生物学的活性を有する断片を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
[実施形態4]第1の部分がヒトNGF配列を含む、実施形態1~3のいずれかに記載のポリペプチド。
[実施形態5]ヒトNGF配列が配列番号5と少なくとも70%同一である、実施形態4に記載のポリペプチド。
[実施形態6]ヒトNGF配列が配列番号5と少なくとも80%同一である、実施形態5に記載のポリペプチド。
[実施形態7]ヒトNGF配列が配列番号5と少なくとも90%同一である、実施形態6に記載のポリペプチド。
[実施形態8]ヒトNGF配列が配列番号5と少なくとも95%同一である、実施形態7に記載のポリペプチド。
[実施形態9]ヒトNGF配列が配列番号5と少なくとも99%同一である、実施形態8に記載のポリペプチド。
[実施形態10]ヒトNGF配列が配列番号5を含む、実施形態9に記載のポリペプチド。
[実施形態11]第1の部分がNGFの少なくとも1つの結合パートナーと結合可能なものであり、場合によりNGFの少なくとも1つの結合パートナーがトロポミオシン受容体キナーゼA(TrkA)又は低アフィニティNGF受容体(LNGFR/p75NTR)である、実施形態3に記載のポリペプチド。
[実施形態12]第1の部分が配列番号5の122位から241位のアミノ酸残基を含む、実施形態11に記載のポリペプチド。
[実施形態13]第2の部分が、全長ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、又はその生物学的活性を有する断片を含む、実施形態1~12のいずれかに記載のポリペプチド。
[実施形態14]ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)が配列番号10~12から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態1~13のいずれかに記載のポリペプチド。
[実施形態15]第2の部分がHCGのカルボキシ末端部分(CTP)を含む、実施形態1~14のいずれかに記載のポリペプチド。
[実施形態16]第2の部分が、配列番号13と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含むものであり、場合により第2の部分が、配列番号13と少なくとも75%、80%、90%、95、99%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列を含む、実施形態1~15のいずれかに記載のポリペプチド。
[実施形態17]第2の部分が配列番号13のアミノ酸配列を含む、実施形態1~16のいずれかに記載のポリペプチド。
[実施形態18]第2の部分が少なくとも1つのグリコシル化部位を含む、実施形態1~17のいずれかに記載のポリペプチド。
[実施形態19]第1の部分及び第2の部分が、リンカーあり又はなしで互いに融合している、実施形態1~18のいずれかに記載のポリペプチド。
[実施形態20]第1の部分が第2の部分のN末端に融合している、実施形態19に記載のポリペプチド。
[実施形態21]第1の部分が第2の部分のC末端に融合している、実施形態19に記載のポリペプチド。
[実施形態22]配列番号2又は3と少なくとも70%同一のアミノ酸配列を含み、場合により配列番号2又は3と少なくとも75%、80%、90%、95、99%又は100%同一のアミノ酸配列を含む、実施形態1~20のいずれかに記載のポリペプチド。
[実施形態23]ポリペプチドが、NGFポリペプチド配列単独のin vivo半減期の少なくとも2.5倍のin vivo半減期を有する、実施形態1~22のいずれかに記載のポリペプチド。[実施形態24]標識、例えば精製用標識及び/又は蛍光タグなどをさらに含む、実施形態1~23のいずれかに記載のポリペプチド。
[実施形態25]ヒトの血流中で、NGFポリペプチド配列又はその生物学的活性を有する断片の機能及び/若しくは安定性を増大する融合ドメインを含む第3の部分をさらに含む、実施形態1~24のいずれかに記載のポリペプチド。
[実施形態26]実施形態1~25のいずれかに記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
[実施形態27]配列番号1と少なくとも70%同一である核酸配列を含む、実施形態26に記載のポリヌクレオチド。
[実施形態28]配列番号1と少なくとも80%同一である核酸配列を含む、実施形態26又は27に記載のポリヌクレオチド。
[実施形態29]配列番号1と少なくとも90%同一である核酸配列を含む、実施形態26~28のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
[実施形態30]配列番号1と少なくとも95%同一である核酸配列を含む、実施形態26~29のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
[実施形態31]配列番号1と少なくとも99%同一である核酸配列を含む、実施形態26~30のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
[実施形態32]配列番号1の核酸配列を含む、実施形態26~31のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
[実施形態33]ポリ核酸が配列番号1に相補的な核酸配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、場合によりストリンジェントな条件が50%v/vホルムアミド、5 x SSC、2%w/vブロッキング剤、0.1%N-ラウロイルサルコシン、0.3%SDS中での65℃にて一晩のハイブリダイゼーション、及び5 x SSC中での約65℃での洗浄を含む、実施形態26~32のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
[実施形態34]標識、例えば精製用標識及び/又は蛍光タグなどをさらに含む、実施形態26~33のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
[実施形態35]実施形態1~25のいずれかに記載のポリペプチドを発現可能な発現ベクター、及び/又は実施形態26~34のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
[実施形態36]発現ベクターが、プラスミド、コスミド、ウイルスベクター、組換え発現ベクター、又は標的化リポソームである、実施形態35に記載の発現ベクター。
[実施形態37]発現ベクターがウイルスベクターであり、ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、キメラウイルス、コロイド分散系、又はRNAベクターである、実施形態36に記載の発現ベクター。
[実施形態38]RNAベクターがレトロウイルスベクターである、実施形態37に記載の発現ベクター。
[実施形態39]レトロウイルスベクターがマウスレトロウイルス又はその誘導体である、実施形態38に記載の発現ベクター。
[実施形態40]レトロウイルスベクターがトリレトロウイルス又はその誘導体である、実施形態38に記載の発現ベクター。
[実施形態41]実施形態35~40のいずれかに記載の発現ベクターを含む宿主細胞。[実施形態42]以下:
(i)実施形態41に記載の宿主細胞を細胞培養培地において培養するステップ;及び
(ii)実施形態1~25のいずれかに記載のポリペプチドを発現させるステップ
を含む方法。
[実施形態43]さらに
(iii)細胞培養培地から実施形態1~25のいずれかに記載のポリペプチドを精製するステップ
を含む、実施形態42に記載の方法。
[実施形態44]実施形態1~25のいずれかに記載のポリペプチド、実施形態26~34のいずれかに記載のポリヌクレオチド、実施形態35~40のいずれかに記載の発現ベクター、又は実施形態41に記載の宿主細胞を含む組成物。
[実施形態45]実施形態44に記載の組成物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
[実施形態46]薬学的に許容される担体が、コロイド分散系又は標的化リポソームである、実施形態45に記載の医薬組成物。
[実施形態47]組成物が 固体又は液体形態での投与用に製剤化される、実施形態45又は46に記載の医薬組成物。
[実施形態48]組成物が、動脈内、脳内、病変内、筋内、鼻腔内、眼内、腹腔内、肺内、直腸内、髄腔内、膣内、静脈内、脳室内、経口、非経口、皮下、又は局所的の投与用に製剤化される、実施形態45~47のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施形態49]組成物が、水性懸濁液若しくは溶液、非水性懸濁液若しくは溶液、滅菌溶液、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、ペースト、クリーム、軟膏、点眼薬、局所噴霧剤、ペッサリー、泡状物、エアゾール、リポソーム製剤、又は固形粒子の形態である、実施形態45~48のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施形態50]組成物が持続投与される、実施形態45~49のいずれかに記載の医薬組成物。
[実施形態51]神経成長因子(NGF)の欠損及び/又は欠陥に関連する疾患又は傷害を処置する方法であって、実施形態1~25のいずれかに記載のポリペプチド、実施形態26~34のいずれかに記載のポリヌクレオチド、実施形態44に記載の組成物、又は実施形態45~50のいずれかに記載の医薬組成物の治療上有効量をその必要がある対象に投与することを含む方法。
[実施形態52]上記疾患又は障害を処置するための追加の薬剤及び/又は治療を対象に投与することをさらに含む、実施形態51に記載の方法。
[実施形態53]上記疾患又は障害が神経障害である、実施形態51又は52に記載の方法。
[実施形態54]神経障害が、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリック病)、アルツハイマー病、ベル麻痺、認知症、ダウン症候群、癲癇、ハンチントン舞踏病、メニエール病、多発性硬化症、神経難聴、卒中、低酸素性虚血性脳症、脳性まひ、麻痺、パーキンソン病、末梢神経障害、視神経障害又は脊髄性筋萎縮症である、実施形態53に記載の方法。
[実施形態55]神経障害が末梢神経障害であり、末梢神経障害が多発神経障害又は単神経障害である、実施形態54に記載の方法。
[実施形態56]神経障害が視神経障害であり、視神経障害が、前眼部若しくは後眼部変性疾患、眼表面の慢性アレルギー性炎症性障害、外傷性視神経障害、緑内障、神経栄養性角膜症、単純ヘルペス角膜炎、又は角膜治癒である、実施形態54に記載の方法。
[実施形態57]神経障害が、中央ニューロン、末梢ニューロン、運動ニューロン若しくは感覚ニューロンの壊死若しくは欠損、外傷、腎機能障害、損傷、手術、虚血、感染、代謝性疾患、栄養不足、悪性腫瘍、毒性物質、又は化学療法により引き起こされる、実施形態53~56のいずれかに記載の方法。
[実施形態58]対象が哺乳動物である、実施形態51~57のいずれかに記載の方法。[実施形態59]その必要がある対象においてニューロンの成長及び/又は増殖を促進する方法であって、実施形態1~25のいずれかに記載のポリペプチド、実施形態44に記載の組成物、又は実施形態45~50のいずれかに記載の医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む方法。
[実施形態60]対象が哺乳動物である、実施形態59に記載の方法。
【0112】
[配列表]
SEQUENCE LISTING
<110> VIVIBABA, INC.
<120> COMPOSITIONS AND METHODS FOR RECOMBINANT NERVE GROWTH FACTOR
<150> US62/457,499
<151> 2017-02-10
<160> 20
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 810
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 1
atgtccatgt tgttctacac tctgatcaca gcttttctga tcggcataca ggcggaacca 60
cactcagaga gcaatgtccc tgcaggacac accatccccc aagcccactg gactaaactt 120
cagcattccc ttgacactgc ccttcgcaga gcccgcagcg ccccggcagc ggcgatagct 180
gcacgcgtgg cggggcagac ccgcaacatt actgtggacc ccaggctgtt taaaaagcgg 240
cgactccgtt caccccgtgt gctgtttagc acccagcctc cccgtgaagc tgcagacact 300
caggatctgg acttcgaggt cggtggtgct gcccccttca acaggactca caggagcaag 360
cggtcatcat cccatcccat cttccacagg ggcgaattct cggtgtgtga cagtgtcagc 420
gtgtgggttg gggataagac caccgccaca gacatcaagg gcaaggaggt gatggtgttg 480
ggagaggtga acattaacaa cagtgtattc aaacagtact tttttgagac caagtgccgg 540
gacccaaatc ccgttgacag cgggtgccgg ggcattgact caaagcactg gaactcatat 600
tgtaccacga ctcacacctt tgtcaaggcg ctgaccatgg atggcaagca ggctgcctgg 660
cggtttatcc ggatagatac ggcctgtgtg tgtgtgctca gcaggaaggc tgtgagaaga 720
gcctctagct cttccaaggc tccacccccc tcactcccat ctcctagtag gctccccgga 780
ccatccgaca cgcctattct gccccagtag 810
<210> 2
<211> 269
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 2
Met Ser Met Leu Phe Tyr Thr Leu Ile Thr Ala Phe Leu Ile Gly Ile
1 5 10 15
Gln Ala Glu Pro His Ser Glu Ser Asn Val Pro Ala Gly His Thr Ile
20 25 30
Pro Gln Ala His Trp Thr Lys Leu Gln His Ser Leu Asp Thr Ala Leu
35 40 45
Arg Arg Ala Arg Ser Ala Pro Ala Ala Ala Ile Ala Ala Arg Val Ala
50 55 60
Gly Gln Thr Arg Asn Ile Thr Val Asp Pro Arg Leu Phe Lys Lys Arg
65 70 75 80
Arg Leu Arg Ser Pro Arg Val Leu Phe Ser Thr Gln Pro Pro Arg Glu
85 90 95
Ala Ala Asp Thr Gln Asp Leu Asp Phe Glu Val Gly Gly Ala Ala Pro
100 105 110
Phe Asn Arg Thr His Arg Ser Lys Arg Ser Ser Ser His Pro Ile Phe
115 120 125
His Arg Gly Glu Phe Ser Val Cys Asp Ser Val Ser Val Trp Val Gly
130 135 140
Asp Lys Thr Thr Ala Thr Asp Ile Lys Gly Lys Glu Val Met Val Leu
145 150 155 160
Gly Glu Val Asn Ile Asn Asn Ser Val Phe Lys Gln Tyr Phe Phe Glu
165 170 175
Thr Lys Cys Arg Asp Pro Asn Pro Val Asp Ser Gly Cys Arg Gly Ile
180 185 190
Asp Ser Lys His Trp Asn Ser Tyr Cys Thr Thr Thr His Thr Phe Val
195 200 205
Lys Ala Leu Thr Met Asp Gly Lys Gln Ala Ala Trp Arg Phe Ile Arg
210 215 220
Ile Asp Thr Ala Cys Val Cys Val Leu Ser Arg Lys Ala Val Arg Arg
225 230 235 240
Ala Ser Ser Ser Ser Lys Ala Pro Pro Pro Ser Leu Pro Ser Pro Ser
245 250 255
Arg Leu Pro Gly Pro Ser Asp Thr Pro Ile Leu Pro Gln
260 265
<210> 3
<211> 148
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 3
Ser Ser Ser His Pro Ile Phe His Arg Gly Glu Phe Ser Val Cys Asp
1 5 10 15
Ser Val Ser Val Trp Val Gly Asp Lys Thr Thr Ala Thr Asp Ile Lys
20 25 30
Gly Lys Glu Val Met Val Leu Gly Glu Val Asn Ile Asn Asn Ser Val
35 40 45
Phe Lys Gln Tyr Phe Phe Glu Thr Lys Cys Arg Asp Pro Asn Pro Val
50 55 60
Asp Ser Gly Cys Arg Gly Ile Asp Ser Lys His Trp Asn Ser Tyr Cys
65 70 75 80
Thr Thr Thr His Thr Phe Val Lys Ala Leu Thr Met Asp Gly Lys Gln
85 90 95
Ala Ala Trp Arg Phe Ile Arg Ile Asp Thr Ala Cys Val Cys Val Leu
100 105 110
Ser Arg Lys Ala Val Arg Arg Ala Ser Ser Ser Ser Lys Ala Pro Pro
115 120 125
Pro Ser Leu Pro Ser Pro Ser Arg Leu Pro Gly Pro Ser Asp Thr Pro
130 135 140
Ile Leu Pro Gln
145
<210> 4
<211> 1052
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 4
agagagcgct gggagccgga ggggagcgca gcgagttttg gccagtggtc gtgcagtcca 60
aggggctgga tggcatgctg gacccaagct cagctcagcg tccggaccca ataacagttt 120
taccaaggga gcagctttct atcctggcca cactgaggtg catagcgtaa tgtccatgtt 180
gttctacact ctgatcacag cttttctgat cggcatacag gcggaaccac actcagagag 240
caatgtccct gcaggacaca ccatccccca agcccactgg actaaacttc agcattccct 300
tgacactgcc cttcgcagag cccgcagcgc cccggcagcg gcgatagctg cacgcgtggc 360
ggggcagacc cgcaacatta ctgtggaccc caggctgttt aaaaagcggc gactccgttc 420
accccgtgtg ctgtttagca cccagcctcc ccgtgaagct gcagacactc aggatctgga 480
cttcgaggtc ggtggtgctg cccccttcaa caggactcac aggagcaagc ggtcatcatc 540
ccatcccatc ttccacaggg gcgaattctc ggtgtgtgac agtgtcagcg tgtgggttgg 600
ggataagacc accgccacag acatcaaggg caaggaggtg atggtgttgg gagaggtgaa 660
cattaacaac agtgtattca aacagtactt ttttgagacc aagtgccggg acccaaatcc 720
cgttgacagc gggtgccggg gcattgactc aaagcactgg aactcatatt gtaccacgac 780
tcacaccttt gtcaaggcgc tgaccatgga tggcaagcag gctgcctggc ggtttatccg 840
gatagatacg gcctgtgtgt gtgtgctcag caggaaggct gtgagaagag cctgacctgc 900
cgacacgctc cctccccctg ccccttctac actctcctgg gcccctccct acctcaacct 960
gtaaattatt ttaaattata aggactgcat ggtaatttat agtttataca gttttaaaga 1020
atcattattt attaaatttt tggaagcata aa 1052
<210> 5
<211> 241
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 5
Met Ser Met Leu Phe Tyr Thr Leu Ile Thr Ala Phe Leu Ile Gly Ile
1 5 10 15
Gln Ala Glu Pro His Ser Glu Ser Asn Val Pro Ala Gly His Thr Ile
20 25 30
Pro Gln Ala His Trp Thr Lys Leu Gln His Ser Leu Asp Thr Ala Leu
35 40 45
Arg Arg Ala Arg Ser Ala Pro Ala Ala Ala Ile Ala Ala Arg Val Ala
50 55 60
Gly Gln Thr Arg Asn Ile Thr Val Asp Pro Arg Leu Phe Lys Lys Arg
65 70 75 80
Arg Leu Arg Ser Pro Arg Val Leu Phe Ser Thr Gln Pro Pro Arg Glu
85 90 95
Ala Ala Asp Thr Gln Asp Leu Asp Phe Glu Val Gly Gly Ala Ala Pro
100 105 110
Phe Asn Arg Thr His Arg Ser Lys Arg Ser Ser Ser His Pro Ile Phe
115 120 125
His Arg Gly Glu Phe Ser Val Cys Asp Ser Val Ser Val Trp Val Gly
130 135 140
Asp Lys Thr Thr Ala Thr Asp Ile Lys Gly Lys Glu Val Met Val Leu
145 150 155 160
Gly Glu Val Asn Ile Asn Asn Ser Val Phe Lys Gln Tyr Phe Phe Glu
165 170 175
Thr Lys Cys Arg Asp Pro Asn Pro Val Asp Ser Gly Cys Arg Gly Ile
180 185 190
Asp Ser Lys His Trp Asn Ser Tyr Cys Thr Thr Thr His Thr Phe Val
195 200 205
Lys Ala Leu Thr Met Asp Gly Lys Gln Ala Ala Trp Arg Phe Ile Arg
210 215 220
Ile Asp Thr Ala Cys Val Cys Val Leu Ser Arg Lys Ala Val Arg Arg
225 230 235 240
Ala
<210> 6
<211> 1196
<212> DNA
<213> Mus musculus
<400> 6
cagcacggca gagagcgcct ggagccggag gggagcgcat cgagtgactt tggagctggc 60
cttatatttg gatctcccgg gcagcttttt ggaaactcct agtgaacatg ctgtgcctca 120
agccagtgaa attaggctcc ctggaggtgg gacacgggca gcatggtgga gttttggcct 180
gtggtcgtgc agtccagggg gctggatggc atgctggacc caagctcacc tcagtgtctg 240
ggcccaataa aggttttgcc aaggacgcag ctttctatac tggccgcagt gaggtgcata 300
gcgtaatgtc catgttgttc tacactctga tcactgcgtt tttgatcggc gtacaggcag 360
aaccgtacac agatagcaat gtcccagaag gagactctgt ccctgaagcc cactggacta 420
aacttcagca ttcccttgac acagccctcc gcagagcccg cagtgcccct actgcaccaa 480
tagctgcccg agtgacaggg cagacccgca acatcactgt agaccccaga ctgtttaaga 540
aacggagact ccactcaccc cgtgtgctgt tcagcaccca gcctccaccc acctcttcag 600
acactctgga tctagacttc caggcccatg gtacaatccc tttcaacagg actcaccgga 660
gcaagcgctc atccacccac ccagtcttcc acatggggga gttctcagtg tgtgacagtg 720
tcagtgtgtg ggttggagat aagaccacag ccacagacat caagggcaag gaggtgacag 780
tgctggccga ggtgaacatt aacaacagtg tattcagaca gtactttttt gagaccaagt 840
gccgagcctc caatcctgtt gagagtgggt gccggggcat cgactccaaa cactggaact 900
catactgcac cacgactcac accttcgtca aggcgttgac aacagatgag aagcaggctg 960
cctggaggtt catccggata gacacagcct gtgtgtgtgt gctcagcagg aaggctacaa 1020
gaagaggctg acttgcctgc agcccccttc cccacctgcc ccctccacac tctcctgggc 1080
ccctccctac ctcagcctgt aaattatttt aaattataag gactgcatga taatttatcg 1140
tttatacaat tttaaagaca ttatttatta aattttcaaa gcatcctgta taccga 1196
<210> 7
<211> 307
<212> PRT
<213> Mus musculus
<400> 7
Met Leu Cys Leu Lys Pro Val Lys Leu Gly Ser Leu Glu Val Gly His
1 5 10 15
Gly Gln His Gly Gly Val Leu Ala Cys Gly Arg Ala Val Gln Gly Ala
20 25 30
Gly Trp His Ala Gly Pro Lys Leu Thr Ser Val Ser Gly Pro Asn Lys
35 40 45
Gly Phe Ala Lys Asp Ala Ala Phe Tyr Thr Gly Arg Ser Glu Val His
50 55 60
Ser Val Met Ser Met Leu Phe Tyr Thr Leu Ile Thr Ala Phe Leu Ile
65 70 75 80
Gly Val Gln Ala Glu Pro Tyr Thr Asp Ser Asn Val Pro Glu Gly Asp
85 90 95
Ser Val Pro Glu Ala His Trp Thr Lys Leu Gln His Ser Leu Asp Thr
100 105 110
Ala Leu Arg Arg Ala Arg Ser Ala Pro Thr Ala Pro Ile Ala Ala Arg
115 120 125
Val Thr Gly Gln Thr Arg Asn Ile Thr Val Asp Pro Arg Leu Phe Lys
130 135 140
Lys Arg Arg Leu His Ser Pro Arg Val Leu Phe Ser Thr Gln Pro Pro
145 150 155 160
Pro Thr Ser Ser Asp Thr Leu Asp Leu Asp Phe Gln Ala His Gly Thr
165 170 175
Ile Pro Phe Asn Arg Thr His Arg Ser Lys Arg Ser Ser Thr His Pro
180 185 190
Val Phe His Met Gly Glu Phe Ser Val Cys Asp Ser Val Ser Val Trp
195 200 205
Val Gly Asp Lys Thr Thr Ala Thr Asp Ile Lys Gly Lys Glu Val Thr
210 215 220
Val Leu Ala Glu Val Asn Ile Asn Asn Ser Val Phe Arg Gln Tyr Phe
225 230 235 240
Phe Glu Thr Lys Cys Arg Ala Ser Asn Pro Val Glu Ser Gly Cys Arg
245 250 255
Gly Ile Asp Ser Lys His Trp Asn Ser Tyr Cys Thr Thr Thr His Thr
260 265 270
Phe Val Lys Ala Leu Thr Thr Asp Glu Lys Gln Ala Ala Trp Arg Phe
275 280 285
Ile Arg Ile Asp Thr Ala Cys Val Cys Val Leu Ser Arg Lys Ala Thr
290 295 300
Arg Arg Gly
305
<210> 8
<211> 1069
<212> DNA
<213> Mus musculus
<400> 8
cagcacggca gagagcgcct ggagccggag gggagcgcat cgagttttgg cctgtggtcg 60
tgcagtccag ggggctggat ggcatgctgg acccaagctc acctcagtgt ctgggcccaa 120
taaaggtttt gccaaggacg cagctttcta tactggccgc agtgaggtgc atagcgtaat 180
gtccatgttg ttctacactc tgatcactgc gtttttgatc ggcgtacagg cagaaccgta 240
cacagatagc aatgtcccag aaggagactc tgtccctgaa gcccactgga ctaaacttca 300
gcattccctt gacacagccc tccgcagagc ccgcagtgcc cctactgcac caatagctgc 360
ccgagtgaca gggcagaccc gcaacatcac tgtagacccc agactgttta agaaacggag 420
actccactca ccccgtgtgc tgttcagcac ccagcctcca cccacctctt cagacactct 480
ggatctagac ttccaggccc atggtacaat ccctttcaac aggactcacc ggagcaagcg 540
ctcatccacc cacccagtct tccacatggg ggagttctca gtgtgtgaca gtgtcagtgt 600
gtgggttgga gataagacca cagccacaga catcaagggc aaggaggtga cagtgctggc 660
cgaggtgaac attaacaaca gtgtattcag acagtacttt tttgagacca agtgccgagc 720
ctccaatcct gttgagagtg ggtgccgggg catcgactcc aaacactgga actcatactg 780
caccacgact cacaccttcg tcaaggcgtt gacaacagat gagaagcagg ctgcctggag 840
gttcatccgg atagacacag cctgtgtgtg tgtgctcagc aggaaggcta caagaagagg 900
ctgacttgcc tgcagccccc ttccccacct gccccctcca cactctcctg ggcccctccc 960
tacctcagcc tgtaaattat tttaaattat aaggactgca tgataattta tcgtttatac 1020
aattttaaag acattattta ttaaattttc aaagcatcct gtataccga 1069
<210> 9
<211> 241
<212> PRT
<213> Mus musculus
<400> 9
Met Ser Met Leu Phe Tyr Thr Leu Ile Thr Ala Phe Leu Ile Gly Val
1 5 10 15
Gln Ala Glu Pro Tyr Thr Asp Ser Asn Val Pro Glu Gly Asp Ser Val
20 25 30
Pro Glu Ala His Trp Thr Lys Leu Gln His Ser Leu Asp Thr Ala Leu
35 40 45
Arg Arg Ala Arg Ser Ala Pro Thr Ala Pro Ile Ala Ala Arg Val Thr
50 55 60
Gly Gln Thr Arg Asn Ile Thr Val Asp Pro Arg Leu Phe Lys Lys Arg
65 70 75 80
Arg Leu His Ser Pro Arg Val Leu Phe Ser Thr Gln Pro Pro Pro Thr
85 90 95
Ser Ser Asp Thr Leu Asp Leu Asp Phe Gln Ala His Gly Thr Ile Pro
100 105 110
Phe Asn Arg Thr His Arg Ser Lys Arg Ser Ser Thr His Pro Val Phe
115 120 125
His Met Gly Glu Phe Ser Val Cys Asp Ser Val Ser Val Trp Val Gly
130 135 140
Asp Lys Thr Thr Ala Thr Asp Ile Lys Gly Lys Glu Val Thr Val Leu
145 150 155 160
Ala Glu Val Asn Ile Asn Asn Ser Val Phe Arg Gln Tyr Phe Phe Glu
165 170 175
Thr Lys Cys Arg Ala Ser Asn Pro Val Glu Ser Gly Cys Arg Gly Ile
180 185 190
Asp Ser Lys His Trp Asn Ser Tyr Cys Thr Thr Thr His Thr Phe Val
195 200 205
Lys Ala Leu Thr Thr Asp Glu Lys Gln Ala Ala Trp Arg Phe Ile Arg
210 215 220
Ile Asp Thr Ala Cys Val Cys Val Leu Ser Arg Lys Ala Thr Arg Arg
225 230 235 240
Gly
<210> 10
<211> 151
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 10
Met Gly Gly Thr Trp Ala Ser Lys Glu Pro Leu Arg Pro Arg Cys Arg
1 5 10 15
Pro Ile Asn Ala Thr Leu Ala Val Glu Lys Glu Gly Cys Pro Val Cys
20 25 30
Ile Thr Val Asn Thr Thr Ile Cys Ala Gly Tyr Cys Pro Thr Met Thr
35 40 45
Arg Val Leu Gln Gly Val Leu Pro Ala Leu Pro Gln Val Val Cys Asn
50 55 60
Tyr Arg Asp Val Arg Phe Glu Ser Ile Arg Leu Pro Gly Cys Pro Arg
65 70 75 80
Gly Val Asn Pro Val Val Ser Tyr Ala Val Ala Leu Ser Cys Gln Cys
85 90 95
Ala Leu Cys Arg Arg Ser Thr Thr Asp Cys Gly Gly Pro Lys Asp His
100 105 110
Pro Leu Thr Cys Asp Asp Pro Arg Phe Gln Ala Ser Ser Ser Ser Lys
115 120 125
Ala Pro Pro Pro Ser Leu Pro Ser Pro Ser Arg Leu Pro Gly Pro Ser
130 135 140
Asp Thr Pro Ile Leu Pro Gln
145 150
<210> 11
<211> 163
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 11
Met Ser Lys Gly Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu Ser Met Gly Gly Thr
1 5 10 15
Trp Ala Ser Lys Glu Pro Leu Arg Pro Arg Cys Arg Pro Ile Asn Ala
20 25 30
Thr Leu Ala Val Glu Lys Glu Gly Cys Pro Val Cys Ile Thr Val Asn
35 40 45
Thr Thr Ile Cys Ala Gly Tyr Cys Pro Thr Met Thr Arg Val Leu Gln
50 55 60
Gly Val Leu Pro Ala Leu Pro Gln Val Val Cys Asn Tyr Arg Asp Val
65 70 75 80
Arg Phe Glu Ser Ile Arg Leu Pro Gly Cys Pro Arg Gly Val Asn Pro
85 90 95
Val Val Ser Tyr Ala Val Ala Leu Ser Cys Gln Cys Ala Leu Cys Arg
100 105 110
Arg Ser Thr Thr Asp Cys Gly Gly Pro Lys Asp His Pro Leu Thr Cys
115 120 125
Asp Asp Pro Arg Phe Gln Ala Ser Ser Ser Ser Lys Ala Pro Pro Pro
130 135 140
Ser Leu Pro Ser Pro Ser Arg Leu Pro Gly Pro Ser Asp Thr Pro Ile
145 150 155 160
Leu Pro Gln
<210> 12
<211> 165
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 12
Met Glu Met Phe Gln Gly Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu Ser Met Gly
1 5 10 15
Gly Thr Trp Ala Ser Lys Glu Pro Leu Arg Pro Arg Cys Arg Pro Ile
20 25 30
Asn Ala Thr Leu Ala Val Glu Lys Glu Gly Cys Pro Val Cys Ile Thr
35 40 45
Val Asn Thr Thr Ile Cys Ala Gly Tyr Cys Pro Thr Met Thr Arg Val
50 55 60
Leu Gln Gly Val Leu Pro Ala Leu Pro Gln Val Val Cys Asn Tyr Arg
65 70 75 80
Asp Val Arg Phe Glu Ser Ile Arg Leu Pro Gly Cys Pro Arg Gly Val
85 90 95
Asn Pro Val Val Ser Tyr Ala Val Ala Leu Ser Cys Gln Cys Ala Leu
100 105 110
Cys Arg Arg Ser Thr Thr Asp Cys Gly Gly Pro Lys Asp His Pro Leu
115 120 125
Thr Cys Asp Asp Pro Arg Phe Gln Asp Ser Ser Ser Ser Lys Ala Pro
130 135 140
Pro Pro Ser Leu Pro Ser Pro Ser Arg Leu Pro Gly Pro Ser Asp Thr
145 150 155 160
Pro Ile Leu Pro Gln
165
<210> 13
<211> 28
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 13
Ser Ser Ser Ser Lys Ala Pro Pro Pro Ser Leu Pro Ser Pro Ser Arg
1 5 10 15
Leu Pro Gly Pro Ser Asp Thr Pro Ile Leu Pro Gln
20 25
<210> 14
<211> 37
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
primer
<400> 14
atctcgagca ccatgtccat gttgttctac actctga 37
<210> 15
<211> 39
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
primer
<400> 15
tggagccttg gaagagctag aggctcttct cacagcctt 39
<210> 16
<211> 39
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
primer
<400> 16
aaggctgtga gaagagcctc tagctcttcc aaggctcca 39
<210> 17
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
primer
<400> 17
tttgcggccg cttactactg gggcagaata 30
<210> 18
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
6xHis tag
<400> 18
His His His His His His
1 5
<210> 19
<211> 7
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 19
Ser Ser Ser His Pro Ile Phe
1 5
<210> 20
<211> 6
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 20
Tyr Ala Glu His Lys Ser
1 5