(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】高エネルギおよび高電力要件用の電気化学エネルギ貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
B60L 58/18 20190101AFI20241203BHJP
B60L 58/24 20190101ALI20241203BHJP
B60L 7/12 20060101ALI20241203BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241203BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B60L58/18
B60L58/24
B60L7/12 Q
H02J7/00 P
H01M10/44 Q
(21)【出願番号】P 2023517320
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 US2021050319
(87)【国際公開番号】W WO2022056486
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-05-12
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523092427
【氏名又は名称】ビーアイエー パワー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、デレク シー
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-026455(JP,A)
【文献】特開2022-011977(JP,A)
【文献】特開2021-164188(JP,A)
【文献】特開2019-016571(JP,A)
【文献】特開2013-085413(JP,A)
【文献】特表2022-505821(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0001749(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110549905(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 7/12
B60L 50/00 - 58/40
H02J 7/00
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回生電気エネルギ
源を有する電気式自律型自動車
のための電気化学エネルギ貯蔵のための装置であって、
前記電気式自律型自動車の加
速を与えることができ、および、前記電気式自律型自動車の前記回生電気エネルギ
源から充電を受けるための
、少なくとも1つの
三次バッテリ、
前記少なくとも1つの三次バッテリよりも高エネルギ密度
且つ前記少なくとも1つの三次バッテリよりも低電力密度の少なくとも1つのコアバッテリ、
前記少なくとも1つのコアバッテリから電気エネルギを受け取るために前記少なくとも1つのコアバッテリに直列接続しており、前記
電気式自律型自動車の推
進を与えるための、
前記少なくとも1つのコアバッテリと前記少なくとも1つの三次バッテリの中間の電力
密度および
前記少なくとも1つのコアバッテリと前記少なくとも1つの三次バッテリの中間のエネルギ密度の少なくとも1つの二次バッテリ、
前記少なくとも1つの二次バッテリを、選ばれた温度に維持するための熱管理システム、ならびに
バッテリコントローラ
を備える、装置。
【請求項2】
遠隔運転サイクル管理命令を前記
電気式自律型自動車へ送信するための送
受信器と、前記運転サイクル管理命令を受信するための、および、前記運転サイクル管理命令を前記
電気式自律型自動車内で実現するための
送受信器とをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記
電気式自律型自動車から監視情報を受信するための送
受信器、および遠隔
送受信器をさらに備えており、前記送
受信器は、前記監視情報を前記遠隔
送受信器に送信する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの二次バッテリは、前記少なくとも1つのコアバッテリから電気エネルギを受け取ることに加えて、前記
電気式自律型自動車の前記回生電気エネルギ
源から充電を受ける、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記バッテリコントローラは、前記少なくとも1つのコアバッテリに、前記少なくとも1つの二次バッテリに、および、前
記少なくとも1つの
三次バッテリに、前記
電気式自律型自動車の電気負荷を制御可能に分配
する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコアバッテリへの電気負荷分配が略10%および略95%間の充電状態範囲について実現され、および、前記少なくとも1つの二次バッテリへの電気負荷分配が略5%および略20%間の最小充電状態範囲で実現され、よって、前記少なくとも1つのコアバッテリは前記少なくとも1つの二次バッテリに電気エネルギを供給する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの二次バッテリは、略3C未満の充電レートで、前記少なくとも1つのコアバッテリから電気エネルギを受け取る、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前
記少なくとも1つの
三次バッテリへの電気負荷分配は、略30%および略100%間の充電状態範囲で実現される、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのコアバッテリは、リチウムイオンバッテリ、リチウム金属バッテリ、ニッケル金属水素化物バッテリ、ナトリウムニッケル塩化物バッテリ、および、それらの組み合わせから選ばれる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記リチウムイオンバッテリおよび前記リチウム金属バッテリは、硫化物、ポリマー、酸化物、
またはそれらの組み合わせ
の化学的性質を有するソリッドステートバッテリを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前
記少なくとも1つの
三次バッテリは、リン酸鉄リチウム陰極、黒鉛陽極、および、熱安定性液体電解質を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの二次バッテリは、低ニッケル濃度のニッケルマンガンコバルト酸化物陰極を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前
記少なくとも1つの
三次バッテリが、前記少なくとも1つのコアバッテリおよび前記少なくとも1つの二次バッテリに並列に電気的に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの二次バッテリが、互いに並列に、且つ、前記少なくとも1つのコアバッテリに直列に、電気的に接続されている2つの二次バッテリを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのコアバッテリ
は複数のコアバッテリを含み、前記複数のコアバッテリが前記
電気式自律型自動車
内に分散して配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
回生電気エネルギ
源を有する電気式自律型自動車
のためのバッテリの充電および使用のための方法であって、
前記
電気式自律型自動車がアイドル状態にあるときに前記
電気式自律型自動車の外部の充電器を使用して
、少なくとも1つの三次バッテリよりも高エネルギ密度且つ前記少なくとも1つの三次バッテリよりも低電力密度の少なくとも1つのコアバッテリを充電するステップと、
前記少なくとも1つのコアバッテリに直列接続している
、前記少なくとも1つのコアバッテリと前記少なくとも1つの三次バッテリの中間の電力
密度および
前記少なくとも1つのコアバッテリと前記少なくとも1つの三次バッテリの中間のエネルギ密度の少なくとも1つの二次バッテリを前記少なくとも1つのコアバッテリからの電気エネルギを使用して充電するステップと、
前記
電気式自律型自動車の推
進を、前記少なくとも1つの二次バッテリを使用して与えるステップと、
前記少なくとも1つの二次バッテリを選ばれた温度に維持するステップと、
前記少なくとも1つの
三次バッテリを、前記
電気式自律型自動車の前記回生電気エネルギ
源から充電するステップと、
前記電気式自律型自動車の加速要件を、前記
少なくとも1つの三次バッテリを使用して与えるステップと、
バッテリ充電、並びに前記
電気式自律型自動車の加速、
及び推
進の前記ステップを、バッテリコントローラを使用して制御するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
遠隔運転サイクル管理命令を使用して前記
電気式自律型自動車を制御するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの二次バッテリを前記少なくとも1つのコアバッテリからの電気エネルギを使用して充電する前記ステップに加えて、前記少なくとも1つの二次バッテリを、前記
電気式自律型自動車の前記回生電気エネルギ
源から充電するステップをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのコアバッテリに、前記少なくとも1つの二次バッテリに、および、前記少なくとも1つの
三次バッテリに、前記バッテリコントローラを使用して前記
電気式自律型自動車の電気負荷を制御可能に分配するステップをさらに含
む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのコアバッテリは、リチウムイオンバッテリ、リチウム金属バッテリ、ニッケル金属水素化物バッテリ、ナトリウムニッケル塩化物バッテリ、および、それらの組み合わせから選ばれる、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記リチウムイオンバッテリおよび前記リチウム金属バッテリは、硫化物、ポリマー、酸化物、
またはそれらの組み合わせ
の化学的性質を有するソリッドステートバッテリを備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの
三次バッテリは、リン酸鉄リチウム陰極、黒鉛陽極、および熱安定性液体電解質を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの二次バッテリは、低ニッケル濃度のニッケルマンガンコバルト酸化物陰極を備える、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つの
三次バッテリが、前記少なくとも1つのコアバッテリおよび前記少なくとも1つの二次バッテリに並列に電気的に接続されている、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つの二次バッテリが、互いに並列に、且つ、前記少なくとも1つのコアバッテリに直列に、電気的に接続されている2つの二次バッテリを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記2つの二次バッテリは、(a)両方の二次バッテリが
同時に、電力
を供給し、および
電気エネルギを
貯蔵する、(b)1つの二次バッテリが電力
を供給し、および
電気エネルギを
貯蔵し、第2の二次バッテリがアイドル状態にある、および(c)1つの二次バッテリが電力を供給し、前記第2の二次バッテリが前記少なくとも1つのコアバッテリにより再充電される、から選ばれる手順により、電力
を前記電気式自律型自動車に供給し、およ
び前記電気式自律型自動車
のための電気エネルギを貯蔵する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つのコアバッテリ
は複数のコアバッテリを含み、
前記複数のコアバッテリが前記
電気式自律型自動車
内に分散して配置されている、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
回生電気エネルギ
源を有する
電気エネルギ貯蔵のための装置であって、
前記回生電気エネルギ
源から充電を受けるための
、少なくとも1つの
三次バッテリ、
前記少なくとも1つの三次バッテリよりも高エネルギ密度
且つ前記少なくとも1つの三次バッテリよりも低電力密度の少なくとも1つのコアバッテリ、
前記少なくとも1つのコアバッテリから電気エネルギを受け取るために前記少なくとも1つのコアバッテリに直列接続している、
前記少なくとも1つのコアバッテリと前記少なくとも1つの三次バッテリの中間の電力
密度および
前記少なくとも1つのコアバッテリと前記少なくとも1つの三次バッテリの中間のエネルギ密度の少なくとも1つの二次バッテリ、
前記少なくとも1つの二次バッテリを、選ばれた温度に維持するための熱管理システム、ならびに
バッテリコントローラ
を備える、装置。
【請求項29】
前記
装置は、電気式自律型自動車
に電力を供給する、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記電気式自律型自動車は、遠隔運転サイクルガバナをさらに備える、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記少なくとも1つの二次バッテリは、前記少なくとも1つのコアバッテリから電気エネルギを受け取ることに加えて、前記回生電気エネルギ
源から充電を受ける、請求項28に記載の装置。
【請求項32】
電気負荷が、前記バッテリコントローラにより、前記少なくとも1つのコアバッテリに、前記少なくとも1つの二次バッテリに、および、前
記少なくとも1つの
三次バッテリに、制御可能に分配され
る、請求項28に記載の装置。
【請求項33】
前記少なくとも1つのコアバッテリは、リチウムイオンバッテリ、リチウム金属バッテリ、ニッケル金属水素化物バッテリ、ナトリウムニッケル塩化物バッテリ、および、それらの組み合わせから選ばれる、請求項28に記載の装置。
【請求項34】
前記リチウムイオンバッテリおよびリチウム金属バッテリは、硫化物、ポリマー、酸化物、
またはそれらの組み合わせ
の化学的性質を有するソリッドステートバッテリを備える、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前
記少なくとも1つの
三次バッテリは、リン酸鉄リチウム陰極、黒鉛陽極、および、熱安定性液体電解質を備える、請求項28に記載の装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つの二次バッテリは、低ニッケル濃度のニッケルマンガンコバルト陰極を備える、請求項28に記載の装置。
【請求項37】
前
記少なくとも1つの
三次バッテリが、前記少なくとも1つのコアバッテリおよび前記少なくとも1つの二次バッテリに並列に電気的に接続されている、請求項28に記載の装置。
【請求項38】
前記少なくとも1つの二次バッテリが、互いに並列に、且つ、前記少なくとも1つのコアバッテリに直列に、電気的に接続されている2つの二次バッテリを備える、請求項28に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年9月14日に出願された「Electrochemical Energy Storage System For High-Energy And High-Power Requirements」と題する、米国仮特許出願番号63/078,175の利益を主張し、その出願の内容全体はこれにより、それが開示し、および教示するすべてについて参照により本明細書中に具体的に取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
据置型および移動型のいずれものアプリケーション用の、よりクリーンなエネルギ源に対する需要が、環境および政府いずれもの力により駆り立てられるにつれ、電化が多くの業界において加速している。しかし、電化を成功させるためには、(1)現行の最新式の電気化学エネルギ貯蔵デバイスの性能における向上、および(2)経済的な実行可能性を確実にするための、これらのデバイスのコストにおける低減が必要である。
【0003】
デュアルドライブトレイン電気自動車では、前後輪いずれもが駆動され、それは、自動車の推進に、および他の自動車の機能にエネルギ貯蔵デバイスを必要とする。その最も単純な形態では、これらのアプリケーション用のエネルギ貯蔵は、高エネルギ/低電力バッテリを使用して実現され、それは、一般に、再充電される前の電気自動車の運転中にほぼ使い尽くされる。上記自動車のエネルギ需要を満たすバッテリが、例として回生ブレーキからの高電力または高エネルギ電気パルスを使用して再充電され得ないことが知られているが、それは、そうしたパルスがバッテリ劣化の加速をもたらすからである。むしろ、そうしたバッテリは、充電中に発生する電極劣化プロセスを低減させ、および、寿命末期のバッテリ要件を満たすために、よりゆっくりと再充電される。
【0004】
バッテリの容量が高いほど、電流パルスの絶対的な大きさは高くなり得るが、それでもなお、Cレートの定義によれば、バッテリの総容量と比べて、低い充電レートをもたらす。許容可能なサイクル寿命、電力、DC抵抗の増加、寿命末期エネルギ、および自動車レベルで求められる機能的安全性を保証するために、特定のアプリケーションの電気パルスの大きさが、低いCレートをもたらす場合、そうしたバッテリは余裕をもって設計されていなければならない。これらの余裕のある設計の要求は、しばしば、寿命初期の要件のみを考慮に入れた場合に最適に設計されるシステムと比較すると、さらなるスペースを要し、余分なコストを加えるデバイスにつながる。さらに、そうしたバッテリは、性能を保証するために大幅な温度制御も必要とし、それにより、バッテリセルなどの、エネルギを貯蔵するコンポーネントに使用されるバッテリの割合として定義される充填密度が低い状態をもたらし、本来、非効率なエネルギ回収を有する。逆に、バッテリが、余裕のある設計をされていない場合、すなわち、寿命初期時要件に対して設計されている場合、安全および他の問題につながる、バッテリシステムの寿命末期における性能ギャップが存在する。
【0005】
より複雑なシステムは、2つのバッテリ、すなわち、電気自動車のエネルギ要件を備えるように構成されたもの、および、電力要件を備えるための第2のものを含む。電力要件を備え得るバッテリは、一般に、自動車内の回生デバイスから電気パルスを受け入れることが可能であるが、回収されたエネルギを貯蔵するための十分な容量を有さない。これは、高レートパルスからのエネルギを受け入れ得るが、回収されたエネルギ、もしくはアプリケーションに必要なエネルギを貯蔵する容量を有さないバッテリを設計するか、または、エネルギを貯蔵し得るが、高レートでエネルギを受け入れる能力を有さないバッテリを設計するか、という難問につながる。
【0006】
革新から採用までの、予想より速いサイクルがオンデマンド輸送分野において主流になるにつれ、ロボット型配送車、自動運転タクシー、無人長距離トラックなどの自律型自動車(AV)は、自律型技術を自らのビジネスモデルに取り込むように一層多くの数の企業を駆り立てている。
【発明の概要】
【0007】
電気化学エネルギ貯蔵デバイスの観点から、遠隔運転サイクルおよび熱管理制御により、バッテリに対する負荷を制御することができることは、貯蔵デバイスの寿命を増加させるのに有利である。自律型自動車(AV)用のような、自律型アプリケーション用の本電気自動車推進システムの実施形態は、コアコンポーネントが、有益には、所定のSOC(充電状態)範囲で、完全な運転サイクル毎に、AVアプリケーションの場合通常一日毎に、一度完全に充電および放電されるだけであるように、少なくとも1つの二次バッテリコンポーネントに電力/エネルギを供給し得る、少なくとも1つのコアまたは一次バッテリコンポーネントを含む。本明細書中で説明された電気化学エネルギ貯蔵デバイスは、電気化学エネルギ貯蔵デバイス容量全体の約75%を備え得る一次またはコアバッテリコンポーネントが、顕著な内部熱を発生させないレートで充電および放電するように設計される。これは、一次コンポーネントが、受動冷却システムで、または冷却なしで動作させられることを可能にし、それにより、能動熱管理を必要とするコンポーネントと比較した場合に、充填密度を増加させる。総容量の観点から、一次バッテリは、最も多くのエネルギを含んでおり、このコンポーネントの熱管理をなくし、または大幅に簡略化することは、エネルギ密度を増加させ、および、電気化学エネルギ貯蔵デバイス全体のコストを低減させる。
【0008】
少なくとも1つの二次バッテリコンポーネントは一次コンポーネントと直列に接続されており、再充電を必要とする前に、二次コンポーネントのSOCが一旦、容量の略5%および略20%間の範囲内の最小充電に達すると、一次コンポーネントからの電気エネルギを受け入れることができる。略0%および略75%間の最小充電が使用され得るが、バッテリの過剰な消耗が問題であり得る。本発明により使用される二次コンポーネントも、回生ブレーキまたは他のエネルギ回収プロセスから、コンポーネントコントローラにより導かれたエネルギを受け入れ得る。しかし、二次コンポーネントの充電受入のレートは、このコンポーネントの所望の寿命を維持するために、1C未満の有益な充電レート、2C未満の許容可能な充電レート、および、3C未満の最大充電レートについて選択されるバッテリケミストリにより規定されるCレート未満に保たれる。複数の二次コンポーネントは、一次バッテリからのエネルギを連続的に受け入れる一方で、並列に接続され得る。二次コンポーネントは、推進(propulsion)、補助的(ancillary)、および/または自律的自動車機能に必要な電力を供給するために複数の構成で動作させられ得る。2つのそうしたコンポーネントを前提とすると、以下に詳細に説明されるように、有用な構成は、(1)両方が電力を同時に供給すること、(2)1つが、2つ目がアイドル状態にある間に電力を供給すること、および、(3)1つが、2つ目がコアバッテリコンポーネントにより再充電されている間に電力を供給することを含む。また、さらに詳細に後述されるように、これらの構成により、AVは、二次または三次コンポーネント内の電力の欠乏のために停止することを要さずに、毎日約15時間の日次運転サイクルを完了することができる。
【0009】
二次コンポーネントの寿命を延長して寿命末期の効果的な性能を保証するために、能動熱管理が二次コンポーネントに提供されて、高温のために(複数の)コンポーネントが早期に劣化しないことを確実にする。能動熱管理は、携帯型市場用の現行の電気化学エネルギ貯蔵デバイスには一般的である。上述されたように、本装置は現行の最新式のシステムに対する優位性をもたらす。というのは、電気化学エネルギ貯蔵システム全体の温度を能動的に管理するのとは対照的に、能動熱管理を必要とするシステムの部分が最小にされるからである。たとえば、約140khの使用可能なエネルギを必要とするAVは、本教示によれば、能動熱管理システムの場合、30kWh、または約20%を必要とするに過ぎない。これは、電気化学エネルギ貯蔵システムの大半またはすべてが、能動温度管理を有することを必要とする最新式のシステムと対照的である。これは、コスト、質量、体積、およびシステムの複雑度の低減の点で、かなり大きい利点である。
【0010】
コアバッテリは最小限の大きさに作られる場合がある。というのは、それが、再充電を必要とする前に、AVのエネルギ需要から、遠隔能動運転サイクル監視および/または管理(ガバナンス、governance)を通じた所定の期間の間の回生ブレーキのようなエネルギ回収プロセスを経るルートで供給されるものを差し引いた分に対して備えるだけで、高電流パルスを受け入れず、または放電しないからである。さらに詳細に後述されるように、これは、一次バッテリコンポーネントが寿命初期および寿命末期いずれもの要件を最適に満たすことを可能にする。
【0011】
本バッテリシステムの少なくとも1つの三次コンポーネントは、最大のエネルギ回収効率を確実にするために二次コンポーネントが相当余裕をもって設計されていない限り、二次コンポーネントの急激な劣化を回避するために、回生ブレーキおよび他のエネルギ回収プロセスから電気エネルギを高レートで受け入れ、および放電するために使用される。これは、それが特質上AVアプリケーションの日次電力需要の20%以上を相殺し得るので、エネルギ回収プロセスにより利用可能なエネルギが、すべてではない場合には最大限、獲得されることを確実にする。たとえば、特徴的な運転サイクルは、約25kWh時間の回収に利用可能なエネルギを伴う125kWhの日次エネルギ要件を有し得る。本装置の実施形態によれば、このエネルギは、電気化学エネルギ貯蔵デバイス全体の性能に悪影響をおよぼすことなく効果的に回収され、それにより、有効な日次エネルギ負荷を100kWhに低減させる。このエネルギ回収の便益は、より高い電力および、より高いエネルギを単一のデバイスに取り込む現行の最新式のデバイスと比較した場合、より低い全体コスト、より低い質量、およびより小さい体積である。さらに、三次コンポーネントは、受動熱管理システムを有するか、または、熱管理システムを有さない。
【0012】
本AVエネルギシステムはしたがって、関連付けられた電気制御システムとともに、少なくとも1つの三次コンポーネントを含む。有益には一次および二次コンポーネントと並列に配置される三次コンポーネントの充電受入および放電レートは調整されていない。しかし、電気的に並列若しくは直列、または2つの任意の組み合わせである全てのコンポーネントから便益を得るアプリケーション、および、周期的な電流調整を必要とし得る、三次元コンポーネントに関する熱要件を有するアプリケーションが存在することがある。
【0013】
本システムは、前方または後方駆動デバイスとして動作させられ得、または、デュアルドライブ能力を与えるために組み合わせられ得る。
【0014】
本発明の実施形態の目的によれば、本明細書中で具体的に表現され、および、広範に説明されているように、本明細書の、利用可能な回生電気エネルギを有する電気自動車の高エネルギおよび高電力要件を与える装置の実施形態は、上記自動車の上記回生電気エネルギにより充電される高電力低エネルギ密度の少なくとも1つのバッテリ、高エネルギ密度の少なくとも1つのコアバッテリ、上記コアバッテリから、上記高電力低エネルギ密度の少なくとも1つのバッテリから、および、上記自動車の上記利用可能な回生電気エネルギから、選ばれた充電レートまで電気エネルギを受け取るために上記コアバッテリに直列接続しており、加速、自律的機能をサポートするのに必要な電気負荷、および、必要に応じて上記自動車の補助的電気負荷を与えるための中間の電力およびエネルギ密度の少なくとも1つの二次バッテリ、上記少なくとも1つの二次バッテリを、選ばれた温度に維持するための冷却システム、ならびにバッテリコントローラを備える。
【0015】
本発明の実施形態の目的によれば、本明細書中で具体的に表現され、および、広範に説明されているように、本明細書の、利用可能な回生電気エネルギを有する電気自動車用の電気化学エネルギバッテリの充電および使用のための方法の実施形態は、上記自律型自動車がアイドル状態にあるときに、上記自律型自動車の外部の充電器を使用して少なくとも1つのコアバッテリを充電するステップと、上記少なくとも1つのコアバッテリに直列接続している中間の電力およびエネルギ密度の少なくとも1つの二次バッテリを上記少なくとも1つのコアバッテリを使用して充電するステップと、上記自律型自動車の推進および他の電気的要件を、上記少なくとも1つの二次バッテリを使用して与えるステップと、上記少なくとも1つの二次バッテリを選ばれた温度に維持するステップと、少なくとも1つの高電力、低エネルギ密度の貯蔵バッテリを、上記自律型自動車の上記回生電気エネルギ能力から充電するステップと、上記自律型自動車の加速要件を、上記高電力低エネルギ密度の貯蔵バッテリを使用して与えるステップと、バッテリ充電、ならびに上記自律型自動車の加速、推進、および他の電気的要件の前記ステップを、バッテリコントローラを使用して制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態の便益および利点は、限定でないが、自律型アプリケーション、たとえばAV電気自動車用の電気化学エネルギ貯蔵システムであって、電気化学エネルギ貯蔵システムの大半またはすべてが能動熱管理を有することを必要とする最新式のシステムとは対照的に、受動冷却を伴って、または冷却なしで、有益には、AVアプリケーションの場合には1日毎に一度である、特徴的な運転サイクル毎に一度、コアコンポーネントが完全に充電され、および放電されるだけであるように、少なくとも1つの二次バッテリコンポーネントに電力/エネルギを供給し得る少なくとも1つのコアまたは一次バッテリコンポーネントを含むことにより、システムの総エネルギ消費量における増加に対処し得る、電気化学エネルギ貯蔵システムを提供することを含む。これは、コスト、質量、体積、およびシステムの複雑度の低減の点で、かなり大きい利点である。能動的に冷却される(複数の)二次コンポーネントは、推進、補助的、および/または自律的自動車機能に対する必要な電力を供給し、電気化学エネルギ貯蔵デバイスの寿命にわたり、最も大きいエネルギスループットを有するシステムのコンポーネントを意味する。少なくとも1つの三次コンポーネントが、二次コンポーネントの急激な劣化を回避するために、回生ブレーキおよび他のエネルギ回収プロセスからの電気エネルギを、高レートで、受け入れおよび放電するために使用される。本発明の実施形態のさらなる利点は、寿命初期および寿命末期いずれもの要件を最適に満たすための一次バッテリコンポーネントの能力を含み、それはさらに、システムの寿命を延ばし、ならびにコストを減少させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書に組み入れられて一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示しており、説明とともに本発明の原理を説明する役目を務める。
【0018】
【
図1A】コンポーネントコントローラにより制御される、高電力、および高エネルギ、バッテリコンポーネント両方と、高電力、および高エネルギ、バッテリコンポーネント両方を充電するために使用される回生ブレーキシステムと有する、従来技術のバッテリシステムの模式図である。
【
図1B】貯蔵システムが寿命初期要件に対して設計され、且つシステムの劣化または経年変化の寿命末期における適合を保証するように制御される本システムの曲線(c)と比較した、最新式の電気化学エネルギ貯蔵システムの模式図であって、曲線(a)システムが寿命末期要件への適合を保証するために寿命初期について余裕を持って設計されるか、または、曲線(b)寿命末期における適合を犠牲にする一方で寿命初期要件に対して設計されている。
【
図2】互いに、およびコンポーネントコントローラに直列に電気的に接続している、一次またはコアバッテリと二次バッテリとを含んでいる高エネルギコンポーネントを示す、本発明のバッテリシステムの実施形態の模式図であって、回生エネルギ源からの電気エネルギがコンポーネントコントローラにより導かれて二次バッテリおよび三次バッテリを充電し、コアバッテリが自動車運転中にのみ放電される。
【
図3】AVの前方および後方車軸いずれからも電気エネルギを供給し、および受け取るように構成されており、単一のコアバッテリを有し、それによりバッテリシステムの主要なコストドライバとしてのバッテリ冗長度をなくす、バッテリシステムの別の実施形態の模式図である。
【
図4】AVの前方および後方車軸いずれからも電気エネルギを供給し、および受け取るように構成され、一次コンポーネントがAVの至る所に分配され得る、本バッテリシステムの模式図である。
【
図5】本発明の実施形態のコアおよび二次バッテリの充電状態のグラフであって、これらのバッテリコンポーネント間の電気エネルギの区分を、最大充電からその中間値までの自律型自動車運転時間の関数として示している。
【
図6】本発明の実施形態のコアおよび二次バッテリの充電状態のグラフであって、これらのバッテリコンポーネント間の電気エネルギの区分を、コアおよび二次バッテリ両方について
図5の中間時間から最小充電状態までの自律型自動車運転時間の関数として示している。
【
図7】(a)SOCおよび(b)充電パルス持続時間の関数である、本発明の三次バッテリの実施形態の充電状態の関数としての充電受入レートまたはCレートのグラフである。
【
図8A】4つの有用な構成において動作させられる2つの二次バッテリコンポーネントを示す模式図であって、(1)いずれもコアバッテリにより充電されるが、アイドル状態にある自動車に給電しないもの(
図8A(a))、(2)いずれも自動車に電力を供給するが、それら自体がコアバッテリにより充電されないもの(
図8B(a))、(3)1つが自動車に電力を供給し、2つ目がコアバッテリにより再充電されるもの(
図8A(b)および8A(c))、ならびに(4)1つが自動車に電力を供給し、2つ目がアイドル状態にあるもの(
図8B(b)および8B(c))、を含んでいる。
【
図8B】4つの有用な構成において動作させられる2つの二次バッテリコンポーネントを示す模式図であって、(1)いずれもコアバッテリにより充電されるが、アイドル状態にある自動車に給電しないもの(
図8A(a))、(2)いずれも自動車に電力を供給するが、それら自体がコアバッテリにより充電されないもの(
図8B(a))、(3)1つが自動車に電力を供給し、2つ目がコアバッテリにより再充電されるもの(
図8A(b)および8A(c))、ならびに(4)1つが自動車に電力を供給し、2つ目がアイドル状態にあるもの(
図8B(b)および8B(c))、を含んでいる。
【
図9】コアバッテリコンポーネントに二次バッテリコンポーネントを再充電させる自動車停止中に自律的および補助的自動車機能に給電するために、日次運転サイクルのエネルギを超えてより多くのエネルギが必要であることを、
図9(b)に示されるような、より高い容量の二次コンポーネントと比較した場合の、
図9(a)に示されるような、より低い容量を有する単一の二次バッテリコンポーネントのかなり大きい劣化とともに表すグラフである。
【
図10】互いに並列に、およびコアバッテリ貯蔵コンポーネントに直列に構成された2つの二次バッテリコンポーネントの特性電圧プロファイルを示すグラフであって、曲線(a)が、二次コンポーネントのうちの1つが、当初、三次コンポーネントと協調して自動車に電力を供給することを示し、曲線(b)が、別の二次コンポーネントがアイドル状態で始まり、そして、上記
図8Aおよび8Bに記載のように、使い尽くされた二次コンポーネントがコアバッテリコンポーネントにより充電されるにつれ、自動車に電力を供給することを示している。
【
図11】それぞれ、二次およびコアバッテリコンポーネント両方の容量保持プロットのグラフであって、前方および後方両方の駆動推進(それぞれ、
図11Aの曲線(a)および(b))を前提として、特徴的な自律型自動車運転サイクル下で動作する場合の電気化学エネルギ貯蔵デバイスの4年の寿命にわたるこれらのコンポーネントの劣化を記録しているである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
述べられているように、自律型アプリケーション、および、具体的には自律型自動車(AV)の電化を成功させるには、現行の最新式の電気化学エネルギ貯蔵デバイスの性能における向上が、経済的な実行可能性を確実にするための上記デバイスのコストにおける低減とともに必要である。本明細書中に説明された、本発明の実施形態は、いくつかの新興の電力使用市場に対するエネルギおよび電力要件を満たし得るハイブリッド型バッテリシステムを使用することにより、これらの性能およびコストの問題に対処する。本発明の実施形態は、例として、鉱業に、家庭用の据置型電気貯蔵に、および電気グリッド貯蔵に加えて、AVに適用され得る。自律型自動車は、上記実施形態について説明し、および例証するために終始用いられる。
【0020】
単一のケミストリを使用する現行の最新式の電気化学エネルギ貯蔵デバイスは、自動車の寿命にわたり、商用および乗用車の運転を完全に自動化するのに必要なエネルギおよび電力密度を提供することができない。上記提供不能は、従来の自動車アプリケーションと比較した場合、自律型アプリケーションのエネルギ消費の特徴的な性質から生じる。すなわち、自律型自動車(AV)が、自動車に電力を供給すること、または回生ブレーキなどのエネルギ回収プロセスによりエネルギを回収することによって電気化学貯蔵デバイスからの電力を使用している時間の量は、乗用車と比較した場合、より大きい。たとえば、特徴的な日次の運転サイクルは、自動車が1日毎に15時間程度稼働し、日次のエネルギ消費量が100kWhよりも大きいことをもたらし得る。さらに、AVアプリケーションを駆動するための電力パルスの大きさは、現行の乗用車と比較した場合、より高い。よって、自律型自動車の運転の総エネルギ消費量は大幅に増加させられ、AVアプリケーションは高エネルギおよび高電力いずれをも必要とする。
【0021】
既存の単一ケミストリバッテリシステムは、再充電前の推進エネルギ要件をサポートするために高エネルギ/低電力であり、デバイス劣化の加速をもたらす高電力または高電流パルスを受け入れ得ない。従来の手法は、電流パルスがコアコンポーネントに対する損傷をもたらさないように、および、寿命末期のエネルギ、十分なサイクル寿命、電力、および機能的な安全要件が満たされることを確実にするために、単一ケミストリおよび単一セル設計で高エネルギコンポーネントを過度に余裕をもって設計することである。それらは、寿命末期の要件を満たすために過大に作られているため、そうしたより大きいシステムは、コストがより高く、より多くのスペースを占め、および、より複雑な熱制御戦略を必要とする。さらに、これは、例として、このエネルギがより効率的に自動車の推進または他の補助的アプリケーションに利用され得るときに回生ブレーキからの非効率的な回収をもたらす。商用アプリケーションの広範にわたるAVの採用を実現するためには、自動車を推進し、車載電子機器およびセンサを駆動するための、高エネルギ密度および高電力特性いずれをも含む、低所有コストのエネルギソリューションが必要である。
【0022】
拡張された自動車の動作範囲のための高エネルギ、および自動車の加速または高負荷条件のための高電力いずれをも有するエネルギ貯蔵システムが知られている。
図1Aは、コンポーネントコントローラ16により制御される、高電力12および高エネルギ14のバッテリコンポーネントを有する従来技術のバッテリシステム10の模式図である。例として、自動車19の回生ブレーキシステム18からの再充電電力が、高電力12および高エネルギ14のバッテリコンポーネントいずれをも充電するために使用されることが示されている。コンポーネントコントローラ16は、自動車19の電気モータを、そこに上記複数のバッテリから電流が流れるときに駆動するためにも使用され得る。電気的に再充電可能な好適な高エネルギ密度のバッテリは、たとえば、リチウムイオンバッテリ
、硫化物、ポリマー、酸化物、またはそれらの組み合わせ
などの種々の化学的性質を有するソリッドステートバッテリ、ニッケル金属水素化物バッテリ、および、ナトリウムニッケル塩化物バッテリを含み得る。
【0023】
図1Bは、最新式の電気化学エネルギ貯蔵システムの模式図であり、システムが寿命末期要件への適合を保証するために寿命初期について余裕を持って設計されるか(所望の寿命末期性能を実現するようにシミュレートされた性能を示す曲線(a))、または、寿命末期における適合を犠牲にする一方で寿命初期要件に対して設計されている(所望の寿命初期性能を実現するようにシミュレートされた性能を示す曲線(b))。曲線(c)は、シミュレートされた本貯蔵システムを示し、システムが、寿命初期要件に対して設計されており、且つ、システムの劣化または経年変化の寿命末期における適合を保証するように制御された運転サイクル/電気化学負荷を用いる最適化されたエネルギおよび電力区分を使用して制御される。
【0024】
表1は、AVアプリケーションについて推測されるものと比較した場合の、現行の自動車用途のバッテリ特性を表している。
【0025】
【0026】
よって、AVの商業的な導入により、セルレベルにおける現行コストを維持する一方で、性能要件を、現行のコミュータ自動車業界のものに対して大幅に増加させることにより、性能およびコストいずれもの観点から、電気化学貯蔵デバイスに対する、より大きい要求が課されることになる。大規模AV群の運用は、複数の自動車がそれらの運用寿命のかなり大きい部分にわたり使用されることを必要とする、すなわち、バッテリパックは、ほぼ一定の使用の下で約4年間持続しなければならない。バッテリパックに対しては、その初期容量の80%以上を維持する一方で、4年の期間にわたり、24,000時間および400,000マイルの要求が課されると見積もられている。現行のEV/PHEV(電気自動車/プラグインハイブリッド電気自動車)システムは、ドライブトレイン要件を満たし、約8~10年および100,000マイル持続するように設計されており、これは、AVアプリケーションのマイレージ要求の25%であり、自律型群アプリケーションの、より積極的な性能目標は、現行のバッテリパック設計を使用して実現され得ない。12Vリチウムイオンスタータバッテリからプラグインハイブリッドおよび完全に電気的なシステムを通って48Vスタート/ストップマイクロハイブリッドシステムに至るアプリケーションに対する現行の自動車要件は、自律型アプリケーションに対する性能およびコスト要求に、単独で達しない。
【0027】
要件におけるこの変化に対応するために、本発明の実施形態は、自動車の動作寿命にわたる自動車の推進、補助的システム、およびAV動作負荷に効果的に対処し得る異なる性能特性を有する3つの貯蔵デバイスにエネルギ消費量を区分する。簡潔に言えば、本発明の実施形態は、遠隔能動運転サイクル監視および/または管理、ならびに熱管理制御を有する、自律型自動車用の電気化学エネルギ貯蔵のための装置および方法を含む。装置は、(1)低コストを有しており、消耗し、且つ交換可能であるように設計された高電力低エネルギ密度の三次貯蔵バッテリ、(2)高エネルギ密度のコアバッテリまたは一次コンポーネント、(3)コアバッテリ上の負荷を軽減するための中間の電力およびエネルギ密度の二次バッテリ、ならびに(4)バッテリコントローラを含み得る。より詳細に後述されるように、AVエネルギ要件および消費レートが、システムの寿命にわたる性能劣化が低減されるように与えられる。いくつかのバッテリケミストリが想定される。
【0028】
複数のエネルギ貯蔵デバイスが併せて機能し得るやり方の例は、コアまたは一次コンポーネントが、バッテリ劣化を回避するために略10%および略95%間の選ばれたSOC(充電状態)範囲で、理想的には運転サイクル毎に一度、AVアプリケーションの場合の特徴的な運転サイクルは1日毎に一度、コアコンポーネントが完全に充電および放電されるだけであるように電力/エネルギを二次コンポーネントに供給し得ることである。操作上、コアバッテリは、劣化が問題でない場合、略0%および略100%間の範囲内のSOCで充電され得る。二次コンポーネントは一次コンポーネントに直列に配置される場合があり、再充電を必要とする前に、二次コンポーネントのSOCが一旦略5%および略20%間の範囲内の最小値に達すると、一次コンポーネントからエネルギを受け入れ得る。再充電の前に、略0%および略75%間の最小充電が採用され得るが、この場合もまた、バッテリ劣化が問題であり得る。二次バッテリは、回生ブレーキからコンポーネントコントローラを介して導かれた、または、三次コンポーネント内に貯蔵された余剰エネルギからのエネルギを受け入れてもよい。二次コンポーネントの充電受入のレートは、バッテリケミストリにより規定される定格Cレートに制限され、それは、略1C未満であるように選択される。許容可能な充電レートは最大略2Cであり得るが、最大充電レートは、二次コンポーネントの適度な寿命を確実にするために3C未満であるべきである。
【0029】
バッテリの充電および放電が、それらの最大容量に関連するCレートにより規定され、バッテリの容量が一般に1Cと見積もられ、それが、1Ahと見積もられた完全に充電されたバッテリが、バッテリが放電される1時間の間1Aを供給することを意味することに留意されたい。0.5Cで放電する同じバッテリが、2時間の間500mAを供給し、2Cでは、30分の間2Aを供給する。
【0030】
長い日次運転サイクルに対応するために、上述のように、複数の二次バッテリコンポーネントは、バッテリ毎のSOCが最小値に達すると一次バッテリからエネルギを連続的に受け入れる一方で並列に配置され得る。この構成は、自動車が、停止することなく運転サイクル全体を完了し得ること、および、コアバッテリコンポーネントの加速された劣化を引き起こし得る、コアバッテリコンポーネントから自動車の推進のための電力を引き出し得ないことを、確実にする。二次コンポーネントは、推進、補助的、および/または自律的自動車機能のための必要な電力を供給するために複数の構成で動作させられ得る。これらの構成は、(1)多くの二次バッテリコンポーネントが電力をAVに同時に供給し、同時に回生エネルギを受け入れること、(2)1つの二次コンポーネントが、2つ目が上方で規定された最小SOCとその完全に充電された状態との間のどこかであるSOCでアイドル状態にある一方で、電力を供給し且つ回生エネルギを受け入れること、(3)1つの二次バッテリコンポーネントが、2つ目のバッテリがコアバッテリコンポーネントにより再充電されて上方で規定されたように最小値と完全に充電されたSOCとの間のSOCを有する一方で、電力を供給すること、を含んでいる。
【0031】
三次バッテリコンポーネントは高レートでエネルギを受け入れることができ、回生ブレーキに対して最大の効率を与えるように選ばれる。このコンポーネントの充電受入および放電レートは高くなり、そして、無調整であることを要しない。例として、三次システムは、黒鉛陽極、および、熱安定性を有する液体電解質を伴う、リン酸鉄リチウム(LFP)、または高レートが可能な他の陰極であってよく、一次および二次バッテリに並列に配線され得る。しかし、高レートが可能要件を実現する別のバッテリケミストリを有する、並列であり、直列であり、または両者の組み合わせであるコンポーネントすべてから便益を得るアプリケーションが存在し得る。
【0032】
単一ドライブトレインシステムでは前輪または後輪が駆動される一方、デュアルドライブトレインは前後輪をいずれも駆動し、複数のエネルギ貯蔵デバイスを必要とする。運転時間、増加する電力強度、および推進に必要なエネルギなどの、AVに対する、より高い要求の動作条件が、エネルギ貯蔵デバイスの寿命にわたり利用可能であり、システムの寿命にわたる性能劣化を低減させる複数のエネルギ貯蔵デバイスおよびケミストリが、前または後方駆動自動車、およびデュアルドライブシステムに適用され得る。
【0033】
二次コンポーネントの寿命を延長して、寿命末期における効果的な性能を確実にするために、(複数の)二次コンポーネントが、高温のために早期にコンポーネントが劣化しないことを確実にするための能動熱管理を必要とすることが予想される。コアおよび三次コンポーネントが受動熱管理システムを有するか、または熱管理システムを何ら有していないことも予想される。これは、コアバッテリコンポーネントが、かなり大きい内部熱を発生させないレートで充電および放電することにより可能にされる。能動熱管理は、移動用市場の現行の電気化学エネルギ貯蔵デバイスにとって一般的である。本発明の実施形態は、能動熱管理が最小にされるので利点をもたらす。これは、電気化学エネルギ貯蔵システムの大半またはすべてが能動的に管理されることを必要とする現行システムと対照的である。この利点は、コスト、質量、体積、およびシステムの複雑度においてかなり大きい低減をもたらす。
【0034】
次に、本発明の本実施形態が複数、詳細に参照され、それらの例は添付図面中に示される。複数の図中、同様の構造は同一の参照符号を使用して識別される。複数の図が、本発明の特定の複数の実施形態を説明する目的で示されており、本発明をそれらに限定することを意図しないことが理解されよう。次に
図2に移れば、本発明のバッテリシステムの実施形態20の模式図が示されている。高エネルギコンポーネント14は、互いに、およびコンポーネントコントローラ16に直列に電気的に接続している、一次またはコアバッテリ22と、二次バッテリまたはコンポーネント24と、を含んでいる。回生エネルギ源18からの、たとえば回生ブレーキからの電気エネルギは、コンポーネントコントローラ16により導かれて、二次コンポーネントまたはバッテリ24および三次コンポーネントまたはバッテリ12を充電する。コンポーネントコントローラ16は、自動車19の電気モータを、二次バッテリ24からそこへ電流が流れると、駆動し、およびそれの他の電気的要件を与える。二次バッテリ24は、その寿命にわたり、最も大きいエネルギスループットを有する、実施形態20の構成要素であり、選ばれた温度に温度コントローラ25により保たれる。AVに対する遠隔能動運転サイクル管理命令は、コンポーネントコントローラ16を遠隔に制御するために、AVの他の機能のうち送信器/受信器26から送信されて受信器/送信器28により受信され、AV監視情報が、送信器/受信器28によりAVから受信され、送信器/受信器26に送信される。ここで
図3および4は、前方および後方駆動システム毎に1つずつ、2つの送信器/受信器を示す参照符号28aおよび28bを示しているが、多くの場合、単一の送信器/受信器が使用される。
【0035】
本発明の実施形態の教示によれば、コアバッテリ22は、それが二次バッテリ24を再充電する期間中である自動車動作中にのみ放電される一方、回生充電は二次バッテリ24および三次バッテリ12について自動車動作中にも行われる。コアバッテリ22は通常、外部充電器30により、運転サイクルの終了時にAVのアイドル時間中に充電される。デュアルドライブAV内の自動車のバッテリシステムと前方および後方車軸両方との間でエネルギが交換される場合、2つのコンポーネントコントローラ、2つの二次バッテリ、および2つの三次バッテリが、車軸毎に1つずつ、改めれば、車軸毎に各タイプの1つが、存在している。2つの一次バッテリも存在し得る。
【0036】
図3は、AVの前方および後方車軸いずれからも電気エネルギを供給し、および受け取るように構成された本バッテリシステムの別の実施形態の模式図である。回生電気エネルギ源18aはAV19の前方車軸からエネルギを引き出し、それは、コンポーネントコントローラ16aにより、三次バッテリ12aおよび温度制御された(25a)二次バッテリ24a内に導かれる一方、回生エネルギ源18bはその後方車軸からエネルギを引き出し、それはコンポーネントコントローラ16bにより、三次バッテリ12bおよび温度制御された(25b)二次バッテリ24b内に導かれる。本実施形態では、一次またはコアコンポーネント22は、AVの2つの別個の車軸またはデュアルドライブの実施形態と比較した場合、より高い容量のものでなければならず、しかし、バッテリ冗長度をなくすことは、一次コンポーネントがバッテリシステムの主要なコストドライバになるので有益である。
【0037】
本明細書中で説明される本発明のさらなる実施形態が、AVの前方および後方車軸両方からの電気エネルギを供給し、および受け取るように構成されたバッテリシステムであって、一次コンポーネント22がAV19の至る所に分配され得る本バッテリシステムの模式図である
図4に示されている。これは、一次バッテリコンポーネント22の受動熱管理をもたらす。というのは、バッテリコンポーネントを備えるセルが中央位置に限られず、それが、早期のバッテリ劣化を低減させるために効果的な熱伝達を確実にするからである。分散一次バッテリコンポーネントの安全で高信頼度の動作を確実にするために、衝突に対して耐性を有する濫用耐性セルコンポーネントが使用され、然もなくば、セルを押しつぶすか貫通して発火をもたらすかもしれない。分散一次バッテリコンポーネントを使用する別の便益は、早期の故障があった場合に、セルを含むモジュールまたは(複数の)モジュールにアクセスし、およびそれを交換することができることである。モジュール耐性における差を補償するためのモジュールまたはセルの能動的バランシングも、モジュールまたは(複数の)モジュールが交換されるなら、効果的且つ安全な動作のために必要になる。これは、現行の最新式のシステムに対して、これらの技術はコンポーネントが早期に経年変化する場合に電気化学エネルギ貯蔵システム全体が大きなコストで交換されることを必要とするので、有利である。
【0038】
使用中、
図2に示される、本発明の実施形態のバッテリシステムに流入し、および、それを流出する電気エネルギの区分が
図5および6に示されている。さて
図5および6に移れば、コアバッテリ22を充電することは、バッテリに応じて、選ばれたCレートでのみ行われ、Cレートの範囲は、自動車が運転中でない時間中(t=0)、有益には略C/5と略C/10との間であり、許容可能な範囲が略C/3と略C/20との間であり、動作可能な範囲が略1Cと略C/50との間である。コアバッテリ22は、(a)上述されたように、二次バッテリ24の選ばれた最小充電状態(SOC)に達すると、装置20の二次コンポーネントを再充電する、および(b)AVの運転および機能的安全性を確実にするために、保守のために戻るようにAVが指示される状況である二次バッテリ24が故障したときにエネルギを推進または補助的機能に伝達する、の2つの状況に対して使用される。
【0039】
装置20の二次バッテリ24の充電状態(SOC)が、
図4および5に示されるような時点t=x、y、またはzに対応する、上で規定されたような、選ばれたSOC値以下の場合、二次バッテリ24は、装置20のコアバッテリ22の能力に一致する最大Cレートで再充電される。コアバッテリ22のCレートに関連付けられた電流は、二次バッテリ24のものと同等でない。コアバッテリ22の選ばれたCレートについて算出される電流は、二次バッテリ24のCレートを算出するために使用された場合、より高いCレートをもたらすことが有利であり、すなわち、コアバッテリ22の選ばれた電流Cレートは、二次バッテリ24のCレートよりも小さい。
【0040】
SOCが、
図4および5に示されるような時点t=x、y、またはzに対応する、上で規定されたような、二次バッテリ24について選ばれたSOC値以下の場合、電流は、
図5および6に示されたような、t=x+Δt、y+Δt、またはz+Δtに対応する時点で規定されるような、有利には略95%と略80%との間の範囲内にあり、動作可能な範囲が略100%と略25%との間である所望のSOCが達成されるまで、装置20のコアバッテリ22から受け入れられる(それは、AVの運転に応じて、変動する時間間隔を空けていることがあり、連続的でない場合がある)。SOCが、
図5および6に示されるような時点t=x、y、またはzに対応する、やはり有利には略95%と略80%との間の範囲内にあり、動作可能な範囲が略100%と略25%との間である選ばれたSOC値以上であり、且つ、規定されたCレートが表2で強調表示されたもの以下である場合、電流は、規定された電流で推進および補助的機能のために供給される。コンポーネントコントローラ16内に含まれるバッテリ管理システム(BMS)は、一次および二次コンポーネントのSOCを算出して、コンポーネント毎のSOC範囲の適切な機能および動作制御を確実にするために使用され得る。さらに、コンポーネント寿命を増加させるために二次コンポーネントに能動セルバランシングを使用することが有益であり得る。能動バランシングの要件は運転サイクル、および二次バッテリ内で使用されるケミストリの経年変化特性により、定められ得る。というのは、複数のセルが、それらの内部インピーダンスを変える異なるレートで経年変化し、それがそれらの相互バランシングを阻害するからである。
【0041】
SOCが、バッテリパックの設計に基づいて有利にはバッテリの総充電の略30%と略100%との間であり、動作範囲が略10%と略100%との間である三次バッテリ12の選ばれた値以上の場合、電流は、推進および補助的機能のために自動車19へ印加され得る。三次バッテリ12のSOCが、上記選ばれた値未満であり、且つCレートが以下の表2に規定されるような装置20の二次バッテリ24について上で規定されたような最大Cレート以上である場合、電流が、推進および補助的機能のために、Cレートが二次バッテリ24の閾値を下回るまで印加され、その時点で二次バッテリ24は三次バッテリ12から負荷を引き継ぎ得る。SOCが上記選ばれた値未満であり、且つCレートが、表2に規定されるような、装置20の二次バッテリ24について規定されるような最大Cレート未満である場合、電流は装置20の三次バッテリ12から放電されるべきでなく、むしろ、電流は装置20の二次バッテリ24から供給されるべきである。
【0042】
図2に示される本発明の実施形態の回生ブレーキからのエネルギ回収効率を最適化するために、三次バッテリが使用される。
図7は、(a)SOC、および(b)充電パルス持続時間の関数である、本発明の三次バッテリの実施形態の充電状態の関数としての充電受入レートまたはCレートのグラフである。SOCおよび充電パルスの関数としての定量化可能なCレートおよび正確な傾きが三次バッテリを備えるセルの関数になり、上述されたように、充電Cレートに対する制限が、回生エネルギが効果的に取り戻されることを確実にするために、必要な場合、なくされ得ることがわかる。
【0043】
(a)充電電流レート(または、充電電流の大きさ)が、(好ましくはセルレベルにおける)バッテリの充電状態(SOC)が減少するにつれ、増加させられる場合があり、(b)充電電流レートが、充電パルスの持続時間が減少するにつれSOCにかかわらず増加することが、
図7により認められる。高から低SOCへの、充電電流における増加は非線形であると認められ、したがって、エネルギ回収の効率を最大にするために、傾きにおける増加は、最適化されたSOCで、与えられたパルス長で最大充電受入レートまたはそれ近くに達するために、高SOCで最大にされる。
【0044】
本実施形態を効果的に実現するために、やはりコンポーネントコントローラ16に含まれるBMSが三次コンポーネントのSOCを算出/予測するために使用される場合があり、三次コンポーネントを備えるセルはうまくバランスされるものである。さらに、能動バランシングを本実施形態と組み合わせて、より効果的なエネルギ回収を促進し、および、コンポーネントの寿命を伸ばし得る。
【0045】
本発明の実施形態の概括的な詳細を説明してきたが、以下の例はさらなる詳細について記載している。
【0046】
(例1)
表2は、AVアプリケーションが高エネルギおよび高電力いずれをも必要とするので大きく異なる、本発明の実施形態の一次またはコア、二次、および三次バッテリの電力およびエネルギ密度の範囲例を記載している。これらが有利な範囲であり、および例として記載されているが、本発明の実施形態の適用の範囲を限定することが意図されないことに留意されるべきである。
【0047】
【0048】
述べられたように、従来の手法は、高電流パルス(高電力)がコアバッテリへの損傷をもたらさないように、単一のケミストリおよび単一のセル設計を有する高エネルギバッテリを余裕を持って設計することであった。高電流は相対的なものであるため、コアコンポーネントの容量が高いほど、電流パルスの絶対的な大きさはより高くなり、コアコンポーネントの容量全体と比較した場合、なお、低レートをもたらし得る。しかし、このレートを低く保つのに必要な余分なバッテリ容量は、余分なコスト、余分な重量、および余分な体積を意味し、それらすべては、AVアプリケーションの広い範囲にわたる採用に対する障壁である。本発明の実施形態の教示によれば、コアコンポーネントは、再充電前の所定の動作時間の間、デバイス(AV)のエネルギ需要をシンプルに満たすために、最小限の大きさに作られ、それにより、コストを低減させ得る。これらの動作条件下では、コアコンポーネントは高電流パルスを一切受け入れず、放電もしない。さらに、この所定の動作時間は、遠隔能動運転サイクル監視および/または管理がAVには新しいので、乗用または商用車では従来存在していない。
【0049】
二次バッテリは、それが、長い期間の間、より高い電流パルスに耐え得るように選ばれる。このコンポーネントは、低~中間加速レートでの、または一定の速度での自動車の推進に効果的である一定レートでこの電流を供給し得る。上述されたように、一旦、このバッテリが所定の充電状態値まで排出されると、コアバッテリは、それが直列に電気的に導通している二次バッテリを充電するためのエネルギを供給する。さらに、上述されたように、他の電気的構成が見込まれる。この充電プロセスは、AVの連続運転中に複数回、行われ得る。二次バッテリは、補助的デバイスに、自動車を運転させるAV機能に、および、必要な場合、例として自動車内の気候を制御するために電流を供給し得る。最適には、これは、電流の大きさが低く且つ安定するように定常状態でこれらのコンポーネントが動作しているときに、供給される。
【0050】
三次コンポーネントは、バッテリの寿命を短縮することなく、充電および放電の高レートが許容され得るように選ばれ、それ故、このバッテリは、(たとえば、回生ブレーキにより短時間に大電流を供給する高速ブレーキングからの、または、自動車がすばやく加速する必要があり、それにより、主にバッテリから電気ドライブトレインへの大電流入力を必要とする場合の)電流サージを平準化するのに効果的である。充電の場合、印加され得る電流パルスが大きいほど、エネルギ回収はより効率的であり、それは次にコアおよび二次バッテリの消耗を低減させる(それにより、その寿命を増加させる)。このバッテリはさらに、サージのときおよび定常状態の両方で、補助的デバイスの必要な電流を供給して、適切な動作を確実にし、および、二次バッテリに余剰エネルギを供給し得る。
【0051】
(例2)
表3は、コア、二次、および三次バッテリを含んでいて異なるバッテリケミストリおよびセル設計を有する可能性のある本発明の実施形態のバッテリシステムのバッテリ容量(Ah)、コスト、および体積(L)を、1つのセルケミストリおよび1つのセル設計を有する従来のバッテリシステムと比較している。本発明のバッテリシステムが、従来の余裕を持って設計されたコアバッテリよりも、低い容量で、低いコストで、および小さい体積で構成され得ることが表3により認められ得る。
【0052】
【0053】
現行の最新式の、または従来のバッテリに対する、本発明の便益を定量化するための算出において使用される情報は、以下の通りである。
(a) 従来のバッテリが100kWhの設計(現行のコミュータ電気自動車(EV)の一般的なパック容量)に基づいている。
(b) 従来のバッテリおよびコアバッテリ電圧は350V(先と同様に、350Vおよび400V間の電圧範囲を有する、一般的なEVバッテリパックの特性値)とみなされた。
(c) 従来の、およびコアバッテリのコスト、および体積エネルギ密度がそれぞれ、$160/kWhおよび650Wh/Lであった。
(d) 従来の、およびコアバッテリが、異なる機能を行う一方、使用される材料、セル設計、およびWh毎コストは同様である。
(e) 本発明の二次バッテリは、より高い電力密度を、しかし、より低いエネルギ密度を有しており、したがって、Wh毎のコスト効果がより小さい。
(f) コストおよび体積を算出するために使用される値は、それぞれ、$180/kWhおよび500Wh/Lである。
(g) 三次バッテリは、最高電力密度および最低エネルギ密度を有しており、Whにより正規化されると、コストおよびスペースの観点から最も低効果的である。
(h) コストおよび体積を算出するために使用される値は、それぞれ、$250/kWhおよび250Wh/Lであり、偶然にも同じ値である。ならびに、
(i) 動作中の本発明の実施形態の効果的なエネルギ回収、制御されていて効果的な電気負荷の区分、ならびに、AVアプリケーションにより与えられる制御された運転サイクル条件のために、自動車がエネルギをより効率的に利用するので、本発明のバッテリの総容量が削減され得る。すなわち、本発明のバッテリパックエネルギは、自動車が一日の間、連続運転することができることを確実にするのに十分であり、本三次および二次バッテリが、セルレベルの損傷をもたらすことなく、そうしたエネルギを供給し、および受け取るのに、より効果的であるので電力について過度に余裕を持たせて設計されない。
【0054】
(例3)
前方および後方いずれもの推進を前提とする特徴的な自律型自動車運転サイクルが、回生エネルギ回収効率、および二次バッテリコンポーネントの劣化を求めるために利用された。運転サイクルの属性は表4に記載されている。さらに、シミュレーションは、(1)100%未満の完了は許されないと考えられた、運転サイクルの完了した割合、(2)推進、自律的、および補助的自動車機能のための100%の取り戻しおよび利用を目標として、取り戻された回生エネルギの割合、(3)一次および三次バッテリコンポーネントは必要でない一方、能動熱管理が必要であるため二次コンポーネントの大きさを最小にすることを目標としている二次バッテリコンポーネントのエネルギ、を追跡した。さらに、1つの構成が単一の二次バッテリコンポーネントを含んでおり、2つ目の構成が、
図8に示されているように、互いに平行に、および、コアバッテリコンポーネントと直列に配置されている2つの二次バッテリコンポーネントを含んでいる、2つの電気化学エネルギ貯蔵デバイス構成がモデル化された。
【0055】
図8Aおよび8Bは、4つの有用な構成において動作させられる2つの二次バッテリコンポーネントの模式図であって、1つの完全な運転サイクル中に二次コンポーネントから自動車への電力がとぎれないことを確実にする一方で、AVの推進、補助的および/または自律的自動車機能に必要な電力を供給するために(1)いずれもコアバッテリにより充電されるが、アイドル状態にある自動車に給電しないもの(
図8A(a))、(2)いずれも自動車に電力を供給するが、それら自体がコアバッテリにより充電されないもの(
図8B(a))、(3)1つが自動車に電力を供給し、2つ目がコアバッテリにより再充電されるもの(
図8A(b)および8A(c))、ならびに(4)1つが自動車に電力を供給し、2つ目がアイドル状態にあるもの(
図8B(b)および8B(c))を含んでいる。後述されるように、さらなる二次バッテリの使用が想定される。
【0056】
シミュレーションからの結果は、単一の二次バッテリコンポーネントの構成が、日次運転サイクル全体を完了し、および回生エネルギすべてを回収するために、総電気化学エネルギ貯蔵容量のより高い割合を必要とするということである。上記結果の要約は表5に含まれている。さらに、コアバッテリコンポーネントに二次バッテリコンポーネントを再充電させる自動車停止中に自律的および補助的自動車機能に給電するために、日次運転サイクルのエネルギを超えて約12%多くのエネルギが必要である。
図9(b)に示されるような、より高い容量の二次コンポーネントと比較した場合の、この追加のエネルギ要件が、より低い容量を有する単一の二次バッテリコンポーネントのかなり大きい劣化とともに、
図9(a)に示され、上記複数の二次バッテリコンポーネント構成の潜在的な利点を表している。
【0057】
【0058】
【0059】
図10は、総電気化学エネルギ貯蔵容量(合計20%)の約10%の2つのバッテリが互いに並列に、およびコアバッテリ貯蔵コンポーネントに直列に構成された場合の、二次バッテリコンポーネントの特性電圧プロファイルを示すグラフである。曲線(a)は、複数の二次コンポーネントのうちの一方が、上述された分配ロジックにより規定されるように三次コンポーネントと協調して推進、自律的運転、および補助的機能エネルギを当初供給することを示している一方、曲線(b)は、他方の二次コンポーネントが、アイドル状態で始まり、そして、上記
図8Aおよび8Bに記載のように、使い尽くされた二次コンポーネントがコアバッテリコンポーネントにより充電されながら、自動車に電力を供給することを示している。
【0060】
この特徴的な自律型自動車の使用の利点として、(1)二次バッテリコンポーネントを再充電するために自動車が停止させられている間の自律的および補助的機能に関連付けられる追加のエネルギ要件は全て無くされ、それにより、日次運転サイクルを完了するのに必要な総エネルギを最小にし、(2)回生エネルギはすべて、単一の二次バッテリコンポーネントの比較と比較した場合、日次運転サイクルを完了する間に回収される場合があり、表5に強調表示されているように、総エネルギ容量の30%が必要であり、(3)二次バッテリコンポーネントの劣化は、電気化学エネルギ貯蔵デバイスの4年の寿命の末期での単一の二次コンポーネント構成における約30%と比較した場合、元のコンポーネント容量の65%と70%との間に低減され、および(4)コアバッテリコンポーネントの相対容量は、寿命(4年)末期での、その元の容量の約84%であり、それにより、寿命末期要件を超えることが予測される。これらの予測値は、デバイスの総エネルギがほぼ同等であると算出されるが4年終了時での容量保持が初期容量の約77%と予測されるので、現行の最新式よりも優れている。これは、現行の最新式が電気化学エネルギ貯蔵デバイス全体の熱管理を必要とする一方で、本明細書中で説明された本発明は、電気化学エネルギ貯蔵デバイス内に含まれる総エネルギの約20%の熱管理を必要とすることに加えて、本発明の教示の明確な利点を強調している。
【0061】
図11Aおよび11Bは、それぞれ、二次およびコアバッテリコンポーネント両方の容量保持プロットのグラフであって、前方および後方両方の駆動推進(それぞれ、
図11Aの曲線(a)および(b))を前提として、特徴的な自律型自動車運転サイクル下で動作する場合の電気化学エネルギ貯蔵デバイスの4年の寿命にわたるこれらのコンポーネントの劣化を記録している。
図11Aの曲線(a)および(b)は、電気化学エネルギ貯蔵デバイスが、2つの二次コンポーネントであって、これらのコンポーネントにかけられる、特徴的な運転サイクルからシミュレートされた負荷が、自律型運転の求めるところに従って変動することの結果として、それらの前方および後方コンポーネント容量保持曲線がわずかに異なる、2つの二次コンポーネントを有することを示している。特徴的な自律型自動車運転サイクルを適用し、および、本発明の実施形態を使用して動作させられた場合のコアバッテリコンポーネント容量保持曲線は、寿命シミュレーションが、4年時点で84%よりも大きい保持を予測しているため、重要な寿命末期性能指標である80%よりも大きい容量保持が実現され得ることを示している。
【0062】
本発明の前述の説明は、例証および説明の目的で示されており、網羅的であることを、または本発明を、開示された厳密な形態に限定することを意図するものでなく、明らかに、多くの修正および変形が上記教示に照らして可能である。実施形態は、本発明の原理、およびその実用的な応用を最もよく説明して、それにより、他の当業者が本発明を、種々の実施形態において、および、想定される特定の使用に好適であるような種々の修正を伴って、最もよく利用することを可能にするために選ばれ、および、説明されている。本発明の範囲が、本明細書に添付された請求項により画定されることが意図されている。