(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】跳び箱用マット
(51)【国際特許分類】
A63B 6/02 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
A63B6/02
(21)【出願番号】P 2024164036
(22)【出願日】2024-09-20
【審査請求日】2024-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2024021611
(32)【優先日】2024-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512095587
【氏名又は名称】ネイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176256
【氏名又は名称】相田 隆敬
(72)【発明者】
【氏名】南 友介
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-159316(JP,U)
【文献】実開平01-135961(JP,U)
【文献】実開昭60-149649(JP,U)
【文献】実開昭57-070354(JP,U)
【文献】実開昭57-103759(JP,U)
【文献】実開昭54-171404(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0053747(US,A1)
【文献】[体育]跳び箱/課題は児童に選択させる!安全かつ多彩な場の工夫,花丸教室 愉快な学校をあなたと[online],日本,2022年12月15日,Internet: <URL: https://hanamarukyoshitsu.com/%E3%80%90%E4%BD%93%E8%82%B2%E3%80%91%E8%B7%B3%E3%81%B3%E7%AE%B1%EF%BC%8F%E8%AA%B2%E9%A1%8C%E3%81%AF%E5%85%90%E7%AB%A5%E3%81%AB%E9%81%B8%E6%8A%9E%E3%81%95%E3%81%9B%E3%82%8B%EF%BC%81%E5%AE%89%E5%85%A8/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00 - 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に向けて跳躍が行われる跳び箱の着地面に配置される第1のマット部と、
前記跳び箱の両側方に配置される一対の第2のマット部と、
を備え、
前記第1のマット部と、前記一対の第2のマット部とは、それぞれ接続されており、
前記一対の第2のマット部は、前記第1のマット部にそれぞれ着脱可能であり、
前記第1のマット部及び前記一対の第2のマット部は、それぞれ略四角形状を有しており、
前記第1のマット部の一の辺の長さは、各第2のマット部の一の辺の長さを合計したものと略同一の長さであり、
各第2のマット部の一の辺側が、前記第1のマット部の前記一の辺側に着脱可能であることを特徴とする跳び箱用マット。
【請求項2】
前記第1のマット部は、大マット部と、第1の小マット部と、第2の小マット部と、第1の接続部と、第2の接続部と、を備え、
前記大マット部、前記第1の小マット部、及び、前記第2の小マット部は、それぞれ略四角形状を有しており、
前記大マット部の対向する一対の第1の辺は、それぞれ第1の長さを有し、対向する他の一対の第2の辺は、それぞれ第2の長さを有しており、
前記第1の小マット部及び前記第2の小マット部は、同一サイズを有しており、
各小マット部の対向する一対の第3の辺は、それぞれ前記第1の長さを有し、対向する他の一対の第4の辺は、それぞれ前記第2の長さの半分の長さを有しており、
前記第1の小マット部の前記一対の第3の辺の一方は、前記第1の接続部を介して前記大マット部の前記一対の第1の辺の一方に接続されており、
前記第2の小マット部の前記一対の第3の辺の一方は、前記第2の接続部を介して前記大マット部の前記一対の第1の辺の他方に接続されており、
前記大マット部の表面が各小マット部の表面と対向当接するように、前記第1のマット部は、前記第1の接続部及び前記第2の接続部において折り畳み可能であることを特徴とする
請求項1に記載の跳び箱用マット。
【請求項3】
前記大マット部の裏面には、滑り止めが施されており、前記大マット部の
表面、及び、各小マット部の表面及び裏面には滑り止めが施されていないことを特徴とする
請求項2に記載の跳び箱用マット。
【請求項4】
前記第1の小マット部の開放されている前記第3の辺側の上面と、前記第2の小マット部の開放されている前記第3の辺側の上面と、を接続可能な隙間カバーを備えたことを特徴とする
請求項2に記載の跳び箱用マット。
【請求項5】
前記隙間カバーは、前記第1の小マット部の上面、又は、前記第2の小マット部の上面に着脱不能に接続されており、前記隙間カバーが着脱不能に接続された前記第1の小マット部又は前記第2の小マット部の側面にも着脱可能であることを特徴とする
請求項4に記載の跳び箱用マット。
【請求項6】
前記一対の第2のマット部は、前記第1のマット部よりも圧縮硬さが小さいことを特徴とする請求項1に記載の跳び箱用マット。
【請求項7】
各第2のマット部の他の辺側も前記第1のマット部の一の辺側に着脱可能であり、前記第2のマット部の他の辺の長さは、前記第2のマット部の一の辺の長さと異なることを特徴とする
請求項1に記載の跳び箱用マット。
【請求項8】
前記第1のマット部と前記第2のマット部を接続する際に、前記第1のマット部の上面と、前記第2のマット部の上面と、を隙間を覆うように接続可能な隙間カバーを備えたことを特徴とする
請求項1に記載の跳び箱用マット。
【請求項9】
前記隙間カバーは、前記第1のマット部の上面、又は、前記第2のマット部の上面に着脱不能に接続されており、前記隙間カバーが着脱不能に接続された前記第1のマット部又は前記第2のマット部の側面にも着脱可能であることを特徴とする請求項8に記載の跳び箱用マット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、跳び箱運動の際の安全性を高めた跳び箱用マットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、跳び箱運動は、着地の際の安定及び怪我防止のために、跳び箱の後方、すわなち、着地面にマットが載置された状態で行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、跳び箱運動は、跳び箱の上を跳躍するという特性上、跳び箱上でバランスを崩した際の落下の衝撃が大きく、上記マットでは安全面において不十分であった。
【0005】
そこで、本発明は、跳び箱運動の際の安全性を高めた跳び箱用マットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の方向に向けて跳躍が行われる跳び箱の着地面に配置される第1のマット部と、前記跳び箱の両側方に配置される一対の第2のマット部と、を備え、前記第1のマット部と、前記一対の第2のマット部とは、それぞれ接続されていることを特徴とする跳び箱用マットを提供している。
【0007】
このような構成によれば、跳び箱の側方にも第2のマット部が配置されているので、跳び箱上でバランスを崩して側方に落下した際の怪我を抑制することが可能となる。更に、着地点から遠い位置に配置された第2のマット部が第1のマット部に接続されていることで、第2のマット部の浮き上がりが抑制され、跳び箱用マット全体としての床との接触面積が減少することが抑制されるので、跳び箱用マット全体と床との間の摩擦力が維持され、跳び箱用マットがずれてしまうことが抑制される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の跳び箱用マットによれば、跳び箱運動の際の安全性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態による跳び箱用マットの使用状態の説明図
【
図2】本発明の実施の形態によるマットの浮き上がりの説明図
【
図3】本発明の実施の形態による跳び箱用マットを組み合わせた状態の説明図
【
図4】本発明の実施の形態による跳び箱用マットの設置方法のフローチャート
【
図5】本発明の実施の形態による大マット部の折り畳みの説明図
【
図6】本発明の実施の形態による大マット部の滑り止めの説明図
【
図7】本発明の変形例による跳び箱用マットの使用状態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態による跳び箱用マット1について、
図1-
図6を参照して説明する。
【0011】
跳び箱用マット1は、跳び箱運動の際に用いられるものであって、
図1に示すように、第1のマット部2と、一対の第2のマット部3と、を備えている。
【0012】
第1のマット部2は、第1の方向Xに向けて跳躍が行われる跳び箱Aの着地面に配置され、一対の第2のマット部3は、跳び箱Aの両側方に配置されており、第1のマット部2と、一対の第2のマット部3とは、それぞれ接続されている。
【0013】
このように、本実施の形態による跳び箱用マット1では、跳び箱Aの側方にも第2のマット部3が配置されているので、跳び箱A上でバランスを崩して側方に落下した際の怪我を抑制することが可能となる。
【0014】
更に、第1のマット部2と、一対の第2のマット部3とが、それぞれ接続されていることにより、着地の際の跳び箱用マット1のずれを抑制することにも寄与している。
【0015】
クーロンの摩擦法則では、「摩擦力は見掛けの面積によらない」とされているが、これは「摩擦力は見掛けの面積ではなく、実際の接触面積に比例する」ことを意味する。
【0016】
ここで、従来の跳び箱運動のように、着地面だけに第1のマット部2が配置された場合、着地の際には、
図2に示すように、第1のマット部2は、着地点以外の部分が浮き上がるような形となるため、第1のマット部2と床との接触面積は、着地点以外では大きく減少してしまう。その結果、第1のマット部2と床との間の摩擦力が小さくなり、第1のマット部2は容易にずれてしまう。
【0017】
しかしながら、浮き上がる力は着地点から遠く離れるほど伝達されなくなるものであるため、着地点から遠く離れた位置までマットが延びていれば、遠く離れた位置のマット部分は浮き上がらず、マット全体としての摩擦力が低下することが抑制されることとなる。
【0018】
そこで、本実施の形態では、怪我防止のために跳び箱Aの側方に配置される第2のマット部3が着地点から遠い位置に配置されることに着目し、一対の第2のマット部3を第1のマット部2にそれぞれ接続している。
【0019】
これにより、第2のマット部3の浮き上がりが抑制されることで、跳び箱用マット1全体としての床との接触面積が減少することが抑制されるので、跳び箱用マット1全体と床との間の摩擦力が維持され、跳び箱用マット1がずれてしまうことが抑制される。
【0020】
図1に戻り、一対の第2のマット部3は、第1のマット部2よりも圧縮硬さが小さく構成されている。圧縮硬さとは、マット等を所定の割合だけ圧縮するために必要な圧力であり、圧縮硬さが小さいことは、柔らかいことを意味している。
【0021】
すなわち、第2のマット部3は、跳び箱Aの側方への落下の衝撃を軽減させるために柔らかく構成されていることとなる。一方、第1のマット部2は、着地が行われるものなので、柔らかすぎても着地が安定しない。従って、第1のマット部2は、少なくとも第2のマット部3よりは硬く構成されている。
【0022】
例えば、第1のマット部2としては、通常の体操用マットと同様の素材を用い、第2のマット部3としては、エバーマットと同様の素材を用いることが考えられる。
【0023】
このような構成により、足以外から落下する可能性の高い跳び箱Aの側方には、柔らかい第2のマット部3が配置されるので、跳び箱A上でバランスを崩して側方に落下した際の怪我を更に抑制することが可能となる一方で、着地面には着地に適した第1のマット部2が配置されるので、安定した着地が確保される。
【0024】
続いて、跳び箱用マット1の跳び箱Aへの設置方法について説明する。
【0025】
本実施の形態では、第1のマット部2及び一対の第2のマット部3は、それぞれ略四角形状を有しており、一対の第2のマット部3は、第1のマット部2にそれぞれ着脱可能であるため、跳び箱用マット1は、
図3に示すように、第1のマット部2及び一対の第2のマット部3が組み合わせることで、全体としても略四角形状を有している。
【0026】
詳細には、第1のマット部2の一の辺21の長さは、各第2のマット部3の一の辺31の長さを合計したものと略同一であり、各第2のマット部3の当該一の辺31側が、第1のマット部2の当該一の辺21側に着脱可能である。
【0027】
このように全体として略四角形状を有するように組み合わされた状態では、跳び箱用マット1を、大きなマットとして跳び箱運動以外にも利用することが可能である。
【0028】
なお、跳び箱用マット1を大きなマットとして利用するには、第1のマット部2と第2のマット部3の厚みが略同一であることが好ましいが、落下した際の怪我を抑制するために第2のマット部3が柔らかく構成されている場合には、ある程度の厚みを必要とする。従って、まずは第2のマット部3の厚みを設定した上で、第1のマット部2の厚みも略同一にすることが好ましい。
【0029】
また、上記着脱可能とする構成としては、例えば、第1のマット部2の一の辺21側の側面と、各第2のマット部3の一の辺31側の側面と、に面ファスナー等を設けて着脱可能としても良いし、第1のマット部2(又は、一対の第2のマット部3)から一対の第2のマット部3側へ延出した接続部材を介して、面ファスナー等で着脱可能にしても良い。本実施の形態では、第1のマット部2の一の辺21側の全体と、各第2のマット部3の一の辺31の全体と、にそれぞれ面ファスナー等の接続部材が設けられており、接続位置を自由に変更可能なものとする。
【0030】
そして、跳び箱用マット1を跳び箱Aへ設置する際には、
図4に示すように、まず、第1のマット部2と一対の第2のマット部3との接続を解除し(S1)、一の辺21が跳び箱Aの後端(着地側の端部)に略接触するように第1のマット部2を配置する(S2)。
【0031】
続いて、第2のマット部3の他の辺32が跳び箱Aの側面に略接触するように、一対の第2のマット部3を配置する(S3)。なお、S2とS3の工程は逆の順番であっても良い。
【0032】
最後に、第1のマット部2と一対の第2のマット部3を再度接続することで、跳び箱用マット1の跳び箱Aへの設置が完了する(S4)。
【0033】
このように、第1のマット部2と、一対の第2のマット部3と、がそれぞれ着脱可能であることにより、段数の変更等により跳び箱Aの幅が変更された場合であっても、第1のマット部2に対する第2のマット部3の接続位置を調整することで、跳び箱Aの側方に隙間なく第2のマット部3を配置することが可能となる。また、接続を解除することで、それぞれを個別に使用することが可能となると共に、搬送や収納も容易となる。
【0034】
更に、着脱可能であることにより、着脱位置において第2のマット部3が第1のマット部2に対して折れ曲がりやすくなっているので、着地の際の第1のマット部2の浮き上がりの影響を第2のマット部3が受けにくくなり、跳び箱用マット1全体がずれてしまうことが更に抑制される。
【0035】
なお、当然ながら、上記接続を可能とするためには、第1のマット部2の一の辺21は、跳び箱Aの幅よりも長いことが必要である。
【0036】
また、文部科学省規格では、跳び箱の長さは、小型(小学生):80cm、中型(小学生・中学生):100cm、大型(中学生以上):120cmと定められているが、第2のマット部3の他の辺32の長さは、跳び箱用マット1を使用する跳び箱Aの長さに応じて設定すれば良い。
【0037】
例えば、小型、中型、大型のそれぞれの跳び箱Aに対応して第2のマット部3の他の辺32の長さを設定(例えば、小型の跳び箱Aに用いるのであれば、他の辺32の長さは略80cm)したものを準備しても良いし、小型、中型、大型のいずれにも対応可能なように大型の跳び箱Aに合わせて他の辺32の長さを設定したものを用いても良い。また、第2のマット部3が跳び箱Aの前端(踏み切り側の端部)よりも前方まで延びるように他の辺32の長さを設定したものを用いても良い。
【0038】
更に、本実施の形態では、第1のマット部2は、折り畳み可能な構成となっている。
【0039】
詳細には、
図5に示すように、第1のマット部2は、大マット部22と、第1の小マット部23と、第2の小マット部24と、第1の接続部25と、第2の接続部26と、を備えている。
【0040】
大マット部22、第1の小マット部23、及び、第2の小マット部24は、それぞれ略四角形状を有している。
【0041】
大マット部22の対向する一対の第1の辺22aは、それぞれ第1の長さを有し、対向する他の一対の第2の辺22bは、それぞれ第2の長さを有している。
【0042】
第1の小マット部23及び第2の小マット部24は、同一サイズを有しており、各小マット部23、24の対向する一対の第3の辺23a、24aは、それぞれ上記第1の長さを有し、対向する他の一対の第4の辺23b、24bは、それぞれ上記第2の長さの半分の長さを有している。
【0043】
第1の小マット部23の一対の第3の辺23aの一方は、第1の接続部25を介して大マット部22の一対の第1の辺22aの一方に接続されており、第2の小マット部24の一対の第3の辺24aの一方は、第2の接続部26を介して大マット部22の一対の第1の辺22aの他方に接続されている。
【0044】
そして、大マット部22の表面と、各小マット部23、24の表面と、が対向当接するように、第1のマット部2は、第1の接続部25及び第2の接続部26において折り畳み可能である。
【0045】
図5(b)では、大マット部22の表面と、第1の小マット部23の第2の小マット部24の表面と、が、帯状の第1の接続部25及び第2の接続部26によってそれぞれ接続されており、この帯状の第1の接続部25及び第2の接続部26を折り曲げることで、第1のマット部2を折り畳み可能な構成を例示している。
【0046】
これにより、跳び箱用マット1は、綺麗に折り畳むことが可能であり、折り畳まれた跳び箱用マット1は、厚みが2倍で使用面が半分のサイズのマットとして使用することも可能となる。更には、跳び箱用マット1を跳び箱用に使用する際には、通常の着地範囲B(
図5(a))から離れた位置に第1の接続部25及び第2の接続部26が位置することとなるので、競技者が第1の接続部25及び第2の接続部26上に着地してバランスを崩してしまうようなことが抑制される。
【0047】
更に、本実施の形態では、大マット部22の裏面には、滑り止めが施されており、大マット部22の表面、及び、各小マット部23、24の表面及び裏面には滑り止めが施されていない。滑り止めとしては、滑り止め素材の生地を大マット部22の裏面に貼り付ける等が考えられる。
【0048】
これにより、跳び箱用マット1を跳び箱用に使用する場合には、着地の際の跳び箱用マット1のずれを抑制可能であると共に、第1のマット部2を折り畳んだ際には、
図6(a)又は
図6(b)に示すように、滑り止めCが施されていない面Dを設けることができるので、小さめのマットとして使用することも可能となる。
【0049】
なお、第1のマット部2は、
図6(a)に示すように、滑り止めCが地面と接するように折り畳んだ場合には、第1の小マット部23と第2の小マット部24の間に隙間が生じてしまい、小さめのマットとして使用する場合に不適当な場面も考えられる。その場合には、
図6(b)に示すように、滑り止めCが内側に位置するように折り畳み、第1の小マット部23及び第2の小マット部24が地面と接するように配置することで、第1の小マット部23と第2の小マット部24の間に隙間がない状態で小さめのマットとして使用することも可能である。この場合には、滑り止めCが地面に接しないこととなるが、跳び箱の着地面等には不適な小さめのマットであるため、大きな問題とはならない。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態による跳び箱用マット1では、第1の方向Xに向けて跳躍が行われる跳び箱Aの着地面に配置される第1のマット部2と、跳び箱Aの両側方に配置される一対の第2のマット部3と、を備え、第1のマット部2と、一対の第2のマット部3とは、それぞれ接続されている。
【0051】
このような構成によれば、跳び箱Aの側方にも第2のマット部3が配置されているので、跳び箱A上でバランスを崩して側方に落下した際の怪我を抑制することが可能となる。更に、着地点から遠い位置に配置された第2のマット部3が第1のマット部2に接続されていることで、第2のマット部3の浮き上がりが抑制され、跳び箱用マット1全体としての床との接触面積が減少することが抑制されるので、跳び箱用マット1全体と床との間の摩擦力が維持され、跳び箱用マット1がずれてしまうことが抑制される。
【0052】
また、本実施の形態による跳び箱用マット1では、一対の第2のマット部3は、第1のマット部2にそれぞれ着脱可能である。
【0053】
このような構成によれば、段数の変更等により跳び箱Aの幅が変更された場合であっても、第1のマット部2に対する第2のマット部3の接続位置を調整することで、跳び箱Aの側方に隙間なく第2のマット部3を配置することが可能となる。また、接続を解除することで、それぞれを個別に使用することが可能となると共に、搬送や収納も容易となる。更に、着脱可能であることにより、着脱位置において第2のマット部3が第1のマット部2に対して折れ曲がりやすくなっているので、着地の際の第1のマット部2の浮き上がりの影響を第2のマット部3が受けにくくなり、跳び箱用マット1全体がずれてしまうことが更に抑制される。
【0054】
また、本実施の形態による跳び箱用マット1では、第1のマット部2及び一対の第2のマット部3は、それぞれ略四角形状を有しており、第1のマット部2の一の辺21は、各第2のマット部3の一の辺31を合計したものと略同一の長さであり、各第2のマット部3の一の辺21側が、第1のマット部2の一の辺21側に着脱可能である。
【0055】
このような構成によれば、全体として略四角形状を有するように組み合わせることができるので、跳び箱用マット1を大きなマットとして跳び箱運動以外にも利用することが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態による跳び箱用マット1では、大マット部22の表面と、各小マット部23、24の表面と、が対向当接するように、第1のマット部2は、第1の接続部25及び第2の接続部26において折り畳み可能である。
【0057】
このような構成によれば、跳び箱用マット1は、綺麗に折り畳むことが可能であり、折り畳まれた跳び箱用マット1は、厚みが2倍で使用面が半分のサイズのマットとして使用することも可能となる。更には、跳び箱用マット1を跳び箱用に使用する際には、通常の着地範囲Bから離れた位置に第1の接続部25及び第2の接続部26が位置することとなるので、競技者が第1の接続部25及び第2の接続部26上に着地してバランスを崩してしまうようなことが抑制される。
【0058】
また、本実施の形態による跳び箱用マット1では、大マット部22の裏面には、滑り止めが施されており、大マット部22の表面、及び、各小マット部23、24の表面及び裏面には滑り止めが施されていない。
【0059】
このような構成によれば、跳び箱用マットを跳び箱用に使用する場合には、着地の際の跳び箱用マット1のずれを抑制可能であると共に、第1のマット部2を折り畳んだ際には、滑り止めが施されていない面を設けることができるので、小さめのマットとして使用することも可能となる。
【0060】
また、本実施の形態による跳び箱用マット1では、一対の第2のマット部3は、第1のマット部2よりも圧縮硬さが小さく構成されている。
【0061】
このような構成によれば、足以外から落下する可能性の高い跳び箱Aの側方には、柔らかい第2のマット部3が配置されるので、跳び箱A上でバランスを崩して側方に落下した際の怪我を更に抑制することが可能となる一方で、着地面には着地に適した第1のマット部2が配置されるので、安定した着地が確保される。
【0062】
尚、本発明の跳び箱用マットは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0063】
例えば、上記実施の形態では、各第2のマット部3の一の辺31側が第1のマット部2の一の辺21側に着脱可能であったが、
図7に示すように、第2のマット部3の他の辺32側も第1のマット部2の一の辺21側に着脱可能に構成しても良い。この場合、一の辺21と他の辺32の長さを異ならせておくことで、跳び箱Aの長さの変更や跳び箱の向きの変更(横向きから縦向き等)にも対応可能となる。
【0064】
また、上記実施の形態では、第1のマット部2の一の辺21側の側面全体と、各第2のマット部3の一の辺31の側面全体と、にそれぞれ面ファスナー等の接続部材が設けられていたが、第1のマット部2に対する第2のマット部3の接続位置を調整可能であれば部分的に設けられても良い。
【0065】
但し、第1のマット部2と第2のマット部3の側面同士で直接接続する構成の場合、その接続部に僅かな隙間が空いてしまい、足をとられてしまう可能性がある。そこで、
図8に示すように、第1のマット部2と第2のマット部3を接続する際に、第1のマット部2の一の辺21側の上面と、各第2のマット部3の一の辺31側の上面と、を隙間を覆うように接続可能な隙間カバーEを備えても良い。
【0066】
例えば、
図8に示すように、第1のマット部2の一の辺21側の上面、各第2のマット部3の一の辺31側の上面、及び、隙間に沿って帯状に延びる隙間カバーEの底面に、それぞれ面ファスナーやボタンを設けて接続可能とする構成が考えられる。
【0067】
また、隙間カバーEは、
図8(b)に示すように、第1のマット部2の一の辺21側の上面と、各第2のマット部3の一の辺31側の上面と、のいずれか一方に着脱不能に接続されていても良い(
図8(b)では、第1のマット部2の一の辺21側の上面に着脱不能に接続)。
【0068】
但し、この場合には、第1のマット部2を単体で使用すると、隙間カバーEが第1のマット部2の端部から飛び出た状態となるため、競技者が踏んでしまう等の危険が生じる可能性がある。そこで、隙間カバーEは、隙間カバーEが着脱不能に接続された第1のマット部2又は第2のマット部3の側面にも着脱可能な構成であっても良い。例えば、
図8(c)に示すように、隙間カバーEが着脱不能に接続された第1のマット部2又は第2のマット部3の側面にも面ファスナーを設け、隙間カバーEが着脱不能に接続された第1のマット部2又は第2のマット部3の側面に、隙間カバーEの飛び出た部分を接続可能としても良い。
【0069】
同様の構成は、
図6(b)に示す第1の小マット部23と第2の小マット部24の間の隙間にも適用することが可能である。詳細には、第1の小マット部23の開放されている第3の辺23a側の上面と、第2の小マット部24の開放されている第3の辺24a側の上面と、を接続可能な隙間カバーEを更に備えることとなる。そして、隙間カバーEは、第1の小マット部23の上面、又は、第2の小マット部24の上面に着脱不能に接続されており、隙間カバーEが着脱不能に接続された第1の小マット部23又は第2の小マット部24の側面にも着脱可能に構成しても良い。
【0070】
更には、上記実施の形態では、各マット部の側面同士で直接接続する構成について説明したが、隙間カバーEによって「一対の第2のマット部3は、第1のマット部2にそれぞれ着脱可能」な構成を実現しても良い。
【0071】
また、上記実施の形態では、一対の第2のマット部3は、第1のマット部2よりも圧縮硬さが小さく構成されていたが、同一の圧縮硬さであっても良いことはもちろんである。
【符号の説明】
【0072】
1 跳び箱用マット
2 第1のマット部
3 第2のマット部
22 大マット部
23 第1の小マット部
24 第2の小マット部
25 第1の接続部
26 第2の接続部
A 跳び箱
B 着地範囲
C 滑り止め
D 面
E 隙間カバー
X 第1の方向
【要約】
【課題】跳び箱運動の際の安全性を高めた跳び箱用マットを提供する。
【解決手段】跳び箱用マット1は、第1の方向Xに向けて跳躍が行われる跳び箱Aの着地面に配置される第1のマット部2と、跳び箱Aの両側方に配置される一対の第2のマット部3と、を備えており、第1のマット部2と、一対の第2のマット部3と、は、それぞれ接続されている。跳び箱Aの側方にも第2のマット部3が配置されているので、跳び箱A上でバランスを崩して側方に落下した際の怪我を抑制することが可能となる。更に、着地点から遠い位置に配置された第2のマット部3が第1のマット部2に接続されていることで、第2のマット部3の浮き上がりが抑制され、跳び箱用マット1全体としての床との接触面積が減少することが抑制されるので、跳び箱用マット1全体と床との間の摩擦力が維持され、跳び箱用マット1がずれてしまうことが抑制される。
【選択図】
図1