IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボーノ,カロリーネの特許一覧 ▶ ローテンビューラー,ルドルフの特許一覧

特許7597440車両内の人に関連する事故データを取り込むためのシステム
<>
  • 特許-車両内の人に関連する事故データを取り込むためのシステム 図1a
  • 特許-車両内の人に関連する事故データを取り込むためのシステム 図1b
  • 特許-車両内の人に関連する事故データを取り込むためのシステム 図2
  • 特許-車両内の人に関連する事故データを取り込むためのシステム 図3
  • 特許-車両内の人に関連する事故データを取り込むためのシステム 図4
  • 特許-車両内の人に関連する事故データを取り込むためのシステム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】車両内の人に関連する事故データを取り込むためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241203BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021508034
(86)(22)【出願日】2019-04-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 CH2019000013
(87)【国際公開番号】W WO2019204949
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】18169880.4
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520417148
【氏名又は名称】ボーノ,カロリーネ
(73)【特許権者】
【識別番号】520417159
【氏名又は名称】ローテンビューラー,ルドルフ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ボーノ,カロリーネ
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-093254(JP,A)
【文献】特開2005-067404(JP,A)
【文献】特開2009-169486(JP,A)
【文献】特開2002-127857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)内の人に関連する事故データ(24)を取り込むためのシステムであって、当該システムは、
少なくとも1人の車両乗員(12)の画像データ(20)を取り込むための少なくとも1つのカメラであって、高速度カメラ(3)として設計されるカメラと、
記録した前記画像データ(20)を格納するための循環メモリ(4)と、
前記少なくとも1人の車両乗員の顔認識データ(25’)が格納される第2のメモリ(8)と、
事故開始信号(21)を受信し、且つ前記画像データ(20)の格納が終了時間(t停止)に終了するように前記循環メモリ(4)及び/又は前記カメラ(3)を制御するように設計される制御ユニット(5)と、を含み、
前記終了時間(t停止)は、前記事故開始信号(21)を受信した後の、予め規定された時間間隔(tdef)にあり、前記人に関連する事故データ(24)は、前記循環メモリ(4)に格納された少なくとも前記画像データ(20)を含み、
当該システムは、前記少なくとも1人の車両乗員(12)を照明するための少なくとも1つの照明装置(10)をさらに含み、該照明装置(10)は、少なくとも前記事故開始信号(21)を受信したときから前記終了時間(t停止)までスイッチがオンになるように前記制御ユニット(5)によって制御され、前記照明装置は、赤外線範囲の光を送信し、画像データを取り込むための前記少なくとも1つのカメラは赤外線カメラであり、
当該システムは、検出した前記画像データ(20)を解析するための解析ユニット(7)をさらに含み、該解析ユニット(7)は、前記循環メモリ(4)及び前記第2のメモリ(8)に接続され、前記解析ユニット(7)は、前記画像データ(20)に基づいて取り込まれた前記少なくとも1人の車両乗員(12)の顔認識データ(25)を、前記第2のメモリ(8)に格納した前記顔認識データ(25’)と比較し、前記画像データ(20)に基づいて取り込まれた前記少なくとも1人の車両乗員(12)の顔認識データ(25)と、前記第2のメモリ(8)に格納した前記顔認識データ(25’)とに対応関係がある場合に、前記第2のメモリ(8)に格納され認識された人の医療データ(23)を前記画像データ(20)及び運転データ(22)と共に転送ユニット(9)に転送するように設計され、
該転送ユニット(9)は、前記医療データ(23)、前記画像データ(20)及び前記運転データ(24)を前記事故データ(24)として外部の場所(13)に転送し、
前記事故データ(24)は、救助管制センターの従業員又は応急手当者又は応急処置を行う医師を含む許可され又は訓練された人による評価に供され、
前記予め規定された時間間隔(tdef)は、前記循環メモリ(4)の記憶容量に対応する取込期間(T)以下に設定される、
システム。
【請求項2】
前記事故開始信号(21)を提供するためのセンサ(6)をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
記録した前記画像データ(20)を解析し、且つ該解析した画像データ(20)に応じて前記事故開始信号(21)を提供するための解析ユニット(7)をさらに含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記人に関連する事故データ(24)は、前記少なくとも1人の車両乗員(12)の医療データ(23)をさらに含み、該医療データ(23)は、当該システム(1、1’、1’’)の前記第2のメモリ(8)に格納される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記人に関連する事故データ(24)は、前記車両(2)の運転データ(22)をさらに含み、該運転データ(22)は、前記循環メモリ(4)に格納される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
画像データ(20)を取り込むための前記カメラは複数の車両乗員(12)に適しており、及び/又は高速度カメラ(3)として設計される複数のカメラが提供される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記転送ユニット(9)は、前記人に関連する事故データ(24)を外部メモリに無線でさらに転送し、
前記第2のメモリ(8)は、前記循環メモリ(4)に格納された少なくとも前記画像データ(20)をさらに格納する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
人に関連する事故データ(24)を取り込むための、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム(1、1’、1’’)を含む車両。
【請求項9】
車両(2)内の人に関連する事故データ(24)を取り込むプロセスであって、当該プロセスは、
少なくとも1台のカメラによって少なくとも1人の乗員(12)の画像データを検出するステップ(S1)であって、前記カメラは高速度カメラ(3)として設計される、ステップと、
検出した前記画像データ(20)を循環メモリ(4)に格納するステップ(S2)と、
制御ユニット(5)によって事故開始信号(21)を受信するステップ(S4)であって、前記制御ユニット(5)は、前記画像データ(20)の格納が終了時間(t停止)に終了するように前記循環メモリ(4)及び/又は前記カメラ(3)を制御し、前記終了時間(t停止)は、前記事故開始信号(21)を受信した後の、予め規定された時間間隔(tdef)にある、ステップと、を含み、
前記人に関連する事故データ(24)は、前記循環メモリ(4)に格納された少なくとも前記画像データ(20)を含み、
システムは、前記少なくとも1人の車両乗員(12)を照明するための照明装置(10)をさらに含み、該照明装置(10)は、少なくとも前記事故開始信号(21)を受信したときから前記終了時間(t停止)までスイッチがオンになるように前記制御ユニット(5)によって制御され、前記照明装置は、赤外線範囲の光を送信し、画像データを取り込むための前記少なくとも1台のカメラは赤外線カメラであり、
前記システムは、検出した前記画像データ(20)を解析するための解析ユニット(7)をさらに含み、該解析ユニット(7)は、前記循環メモリ(4)及び第2のメモリ(8)に接続され、該第2のメモリには、前記少なくとも1人の車両乗員の顔認識データ(25’)が格納されており、前記解析ユニットは、前記画像データ(20)に基づいて取り込まれた前記少なくとも1人の車両乗員(12)の顔認識データ(25)を、前記第2のメモリ(8)に格納した前記顔認識データ(25’)と比較し、前記画像データ(20)に基づいて取り込まれた前記少なくとも1人の車両乗員(12)の顔認識データ(25)と、前記第2のメモリ(8)に格納した前記顔認識データ(25’)とに対応関係がある場合に、前記第2のメモリ(8)に格納され認識された人の医療データ(23)を前記画像データ(20)及び運転データ(22)と共に転送ユニット(9)に転送するように設計され、
該転送ユニット(9)は、前記医療データ(23)、前記画像データ(20)及び前記運転データ(24)を前記事故データ(24)として外部の場所(13)に転送し、
前記事故データ(24)は、救助管制センターの従業員又は応急手当者又は応急処置を行う医師を含む許可され又は訓練された人による評価に供され、
前記予め規定された時間間隔(tdef)は、前記循環メモリ(4)の記憶容量に対応する取込期間(T)以下に設定される、
プロセス。
【請求項10】
事故後に、少なくとも1人の車両乗員(12)の医療診断を行うためのプロセスであって、当該プロセスは、
請求項1乃至7のいずれか一項によるシステム(1、1’、1’’)によって、及び/又は請求項8による車両(2)によって、及び/又は請求項9によるプロセスにおいて検出された人に関連する事故データを提供するステップと、
応急手当者及び/又は治療医及び/又は専門家及び/又は更なる専門家が前記人に関連する事故データ(24)を解析するステップ(S7)と、を含む、
プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内の人に関連する事故データを取り込むためのシステム、車両内の人に関連するデータを取り込むためのプロセス、及び事故後に少なくとも1人の車両乗員の医学的診断を確立するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、例えば自動生成された緊急呼出し(eCall)の状況で、車両の事故による画像及び音声のデータをさらに処理する場所に転送するためのプロセスを説明している。次に、転送されたデータを評価して、具体的な損傷及び人身傷害の重大度を評価することができる。
【0003】
特許文献2はまた、事故の場合に緊急呼出しを救助管制センターに自動的に送ることが可能である車内システムを説明している。
【0004】
交通事故により、車両の運転手又は他の車両乗員が様々な怪我をする可能性がある。事故、特に後部(追突)事故の際に特に怪我をしやすいのは、頸椎(固定された胴体に向けて頭が突然予期せず動くため)、頭部自体、さらには胸部だけでなく、胴体及び四肢である。例えば、事故の際にシートベルトで保持される場合の胴体に向かう様々な頭部の押し出される動きは、数百ミリ秒の非常に短い時間内に発生する。結果として生じる傷害及び/又は医学的症状は、むち打ち症の外傷(頸椎の歪み又はむち打ち症候群)として指定され、靭帯の過度の伸びから脊椎の骨折又は致命的な傷害まで重症度が及ぶ可能性がある。
【0005】
ただし、衝突角度が悪いと、シートベルトの保持機能が機能しなくなり、限りない複数の外傷が発生する可能性がある。これは、画像で検認できる。
【0006】
ただし、発生する怪我の殆どは、従来の画像提供医療処置、例えばX線診断では表現できないか、表現するのが殆ど難しい。X線診断では、とりわけ、長期的な損害による保険金の支払い請求が困難である医療診断及び証拠の提供が行われる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102014200567号
【文献】米国特許出願公開第2008/0195261号
【発明の概要】
【0008】
本発明のタスクは、車両内の人に関連する事故データを取り込むための代替又はさらに改善されたシステム、又は車両内の人に関連する事故データ、特に医学的診断を行うときに考慮でき、そしてそれが現実に忠実な方法で事故の全シーケンスの再構築及びマッピングを可能にする人に関連する事故データを取り込むためのプロセスを提供することから構成される。
【0009】
このタスクは、請求項1に記載の人に関連する事故データを取り込むためのシステム、請求項11に記載の車両、請求項12に記載の人に関連する事故データを取り込むためのプロセス、及び請求項13に記載の医療診断を行うためのプロセスによって解決される。その際に、プロセスはまた、以下のシステム及び/又は車両の特性、及び/又は従属請求項に記載される特性によっても具体化され得、その逆に、さらにシステム及び車両の特性、又はさらにプロセスの特性は、実施形態として、互いにそれぞれの間で使用することもできる。
【0010】
車両内の人に関連する事故データを取り込むための本発明によるシステムは、少なくとも1人の車両乗員の画像データを取り込むための少なくとも1つのカメラであって、高速度カメラとして設計されるカメラと;取り込んだ画像データを格納するための循環メモリと;制御ユニットと;を含む。制御ユニットは、事故開始信号を受信し、且つ画像データの格納が終了時間で完了するように循環メモリ及び/又はカメラを制御するように設計されており、終了時間は、事故開始信号を受信した後の、予め規定された時間間隔の後である。人に関連する事故データは、循環メモリに格納された少なくとも画像データを含む。
【0011】
以下では、高速度カメラとは、毎秒の高いフレーム数(fps:frames per second)を取り込むのに適したカメラ、つまり、高い取込み速度を示し、特に短時間及び/又は発生する出来事を特に迅速に取り込むカメラを指す。例えば、カメラとして、少なくとも700fps、好ましくは少なくとも1000fpsの取込み速度を有する高速度カメラを使用することができる。
【0012】
循環メモリは、指定されたサイズ又は記憶容量を有するデジタルメモリであり、この場合、とりわけ、高速度カメラによって取り込んだ画像データが連続的に格納される。循環メモリの最大サイズに達し、循環メモリがいっぱいになると、関連する最も古い記憶要素が上書きされるため、データはループ状に格納される。従って、メモリのグラフィック表現はリング形状である。
【0013】
循環メモリは、例えば、適切なソフトウェアによって実装することができ、それによって、デジタルメモリへのデータの格納及び読み取りがそれに応じて制御される。
【0014】
好ましくは、循環メモリのサイズは、これを再び上書きする前に、高速度カメラによって数秒の時間間隔、例えば10秒又は20秒に亘って取り込まれたフレームを格納するのに十分である。従って、必要な記憶容量は、所望の記憶期間(換言すれば、循環メモリに画像データとして格納される所望の発生期間)又はさらに所望の取込期間(換言すれば、撮影及び格納された動画シーケンスの所望の期間)だけでなく、高速度カメラの撮影速度、格納する画像データのサイズ(換言すると、データ量)の両方に依存する。
【0015】
例えば、人に関連する事故データを取り込むための本発明によるシステムを使用すると、車両内の車両乗員を連続的に撮影し、取り込んだ画像データを循環メモリに格納することが可能である。大量のデータが発生するため、循環メモリで一般的に必要とされない画像データは、とりわけ循環メモリのサイズに依存する予め規定された時間間隔の後に、新たに取り込んだ画像データによって上書きされる。事故が発生した場合に、事故に関連するデータが再度上書きされるのを防ぐために、新しい画像データの格納は一定時間後に停止される。従って、循環メモリは、格納が終了した事故後の関連データ、換言すれば、特に事故直後又は事故が起こっている間でさえも車両乗員の取込みを含む。
【0016】
例えば、カメラの取込み速度が速いため、画像データを評価することで、スローモーションで基本的に数百ミリ秒以内に発生する、車両乗員の身体の事故に関連した加速及びブレーキを表すことができる。従って、車両乗員の負傷の可能性について結論を出すことができ、換言すれば、医療の観点から事故イベントを解析することができる(以下、事故の医療解析として指定する)。そうすることで、循環メモリは、例えば、解析されるデータの量が多過ぎないこと、及び不要なデータが上書きされないこと、換言すれば、そのような画像データのみが格納される循環メモリにおいて、医療及びいずれにせよ法的な事故解析にも関連する本質的な画像のみが格納されることを保証する。
【0017】
人に関連する事故データを使用するそのような事故の医療解析は、例えば、事故現場及び/又は医療施設での事故に関係する人々(換言すれば、少なくとも1人の車両乗員)への初期応答を改善し得、例えば、少なくとも医療上の結果として生じる損傷を減らし得る。事故の医療解析は、例えば、事故に関係する人々の継続的な治療について助言するため、及び/又は、特に法的紛争において、保険契約に対する請求を正当化するために使用することもできる。
【0018】
好ましくは、予め規定された時間間隔は、循環メモリの記憶容量に対応する取込期間に応じて確立され、特に、予め規定された時間間隔は、循環メモリの取込期間の少なくとも半分、好ましくは少なくとも3分の2に対応する。従って、例えば、事故が開始した時点から十分な期間に亘って画像データを継続して取り込み及び格納されることが保証され、従って、適切な画像データが事故後の医療解析に利用可能である。さらに、循環メモリ内の画像データはまた、事故の直前の時点で取り込まれた方法で取り込まれ、従って、例えば、車両乗員の位置に関する情報、例えば、事故が開始したときの車両乗員の頭部の回転及び/又は傾きを含む。この情報は、例えば、事故後の医療解析にも使用できる。
【0019】
好ましくは、システムは、事故開始信号を提供するためのセンサ、例えば、エアバッグ及び/又は加速度計及び/又は速度センサの状態を取り込むためのセンサをさらに含む。従って、例えば、センサに基づいて事故開始信号を提供することが可能である。
【0020】
代替的又は追加的に、システムは、取り込んだ画像データを解析し、且つ解析した画像データに応じて事故開始信号を提供するための解析ユニットをさらに含む。その結果、例えば、車両乗員に関する高い加速度及び/又は速度を事故の検出パターンとして使用することが可能である。特に、結果として、事故の医療解析に関連する画像データでさえ、格納を中断するためのトリガーとして使用され得、それにより、事故開始信号がセンサとは独立して提供される可能性があるため、画像データの格納の誤った中断のリスクを低減し得る。
【0021】
好ましくは、人に関連する事故データは、少なくとも1人の車両乗員の医療データをさらに含み、医療データは、好ましくは、システムの第2のメモリに格納され、及び/又は人に関連する事故データは、車両の運転データをさらに含み、運転データは、好ましくは循環メモリに格納される。医療データは、例えば、少なくとも1人の車両乗員の以前の病気及び/又は診断及び/又は投薬、投薬の非適合性及び/又はアレルギー及び/又は以前の傷害及び/又はインプラント及び/又は受けた医療処置等に関する情報を含み得る。
【0022】
例えば、少なくとも1人の車両乗員の医療データを提供することにより、事故にあった車両乗員の初期治療においてこれら医療データを考慮し、従って初期治療を改善することが可能である。事故イベント中又はその少し前でさえ、車両の物理的値としても指定される車両の運転データ、例えば、車両の速度又は加速度は、例えば、事故の医療解析にも使用され得る。
【0023】
好ましくは、画像データを取り込むためのカメラは、複数の車両乗員に適しており、及び/又はシステムは、高速度カメラとして設計される複数のカメラを含む。このようにして、例えば、車両の複数の、好ましくは全ての乗員の人に関連する事故データ(特に画像データ)を取り込んで格納することが可能である。さらに、例えば、少なくとも1人の乗員を複数の高速度カメラで、好ましくは様々な視野角から撮影して、事故の間の、車両乗員の3次元の動き表現を生成することが可能である。従って、事故の医療解析をさらに改善する。
【0024】
好ましくは、システムは、少なくとも1人の車両乗員を照明するための少なくとも1つの照明装置をさらに含み、照明装置は、好ましくは、少なくとも事故開始信号の受信から終了時間までスイッチがオンになるように、制御ユニットによって制御される。例えば、照明装置を介して、特に例えば夜間等の悪光下でも、高品質の画像を取り込んで格納することが可能であり、従って、画像の良好な評価性を達成することができる。一方、照明を使用すると、例えば、画像を取り込む高速度カメラの解像度を下げて、格納するデータの量を減らすことができる。従って、照明は赤外線範囲で行うことができ、画像取込みは、赤外線カメラを用いて赤外線カメラによって行うこともできる。
【0025】
好ましくは、システムは、少なくとも画像データを循環メモリに格納するための好ましくは保護された第2のメモリ、換言すれば、ハードディスクメモリ及び/又はSDカード及び/又はメモリスティックをさらに含み、及び/又はシステムは、人に関連するデータを、外部の場所及び/又は外部メモリ及び/又は外部の保護されたサーバに、特にクラウドとして無線で及び/又は暗号化して転送するための転送ユニットをさらに含む。従って、例えば、事故の医療解析のために人に関連する事故データを提供することが可能である。人に関連する事故データを外部の場所に転送することにより、このデータは、例えば、応急手当者及び/又は応急処置医師による、少なくとも1人の車両乗員の医学的状態の改善された評価のために使用され得る。システムの内部メモリに格納することにより、例えば、人に関連する事故データは、例えば応急処置又は後の処置を行う医師及び/又は専門家による、事故後の医療解析に使用され得、応急手当者によるサイトに読み出され得る。データの暗号化は、機密性及び/又はデータ保護のために使用され、データへの不正アクセスを防止する。
【0026】
好ましくは、システムは、取り込んだ画像データを解析するための解析ユニットをさらに含み、解析ユニットは、少なくとも1人の車両乗員の顔を少なくとも1つの格納した顔と比較するように設計される。そうすることで、例えば、応急手当者が事故現場に到着する前であっても、救助管制センターにそのデータを提供し、少なくとも1人の車両乗員の身元を提供し、及び/又はその顔及び人検出システムを使用して正しい医療データを提供することが可能である。
【0027】
本発明による車両は、人に関連する事故データを取り込むための上記のシステムを含む。従って、例えば、システムに関連して上記の効果も達成し得る車両を提供することが可能である。
【0028】
車両内の人に関連する事故データを取り込むための本発明によるプロセスは、少なくとも1つのカメラによって少なくとも1人の車両乗員の画像データを取り込むステップであって、カメラは高速度カメラとして設計される、取り込むステップと;取り込んだ画像データを循環メモリに格納するステップと;制御ユニットによって事故開始信号を受信するステップであって、制御ユニットは、画像データの格納が終了時間に終了するように循環メモリ及び/又はカメラを制御し、終了時間は、事故開始信号を受信した後の、予め規定された時間間隔である、受信するステップと;を含み、人に関連する事故データは、循環メモリに格納された少なくとも画像データを含む。従って、例えば、システムに関連する上記の効果は、人に関連する事故データを取り込むためのプロセスによっても達成され得る。
【0029】
事故後に、少なくとも1人の車両乗員の医学的診断を行うための本発明によるプロセスは、上記のシステム及び/又は車両によって、及び/又は上記のプロセスにおいて取り込まれた人に関連する事故データを提供するステップと;応急手当者及び/又は治療医及び/又は専門家及び/又は更なる専門家による人に関連する事故データを解析するステップと;を含む。従って、例えば、事故の場合の画像データを解析して、特に事故に関係する人の(初期の)調査、体調の推定、及び事故に関係する人の怪我の可能性の前に、迅速な医療解析を既に前もって行うことができ、及び/又はそのデータを使用して、特に事故に関係する人の医学的調査に関連して医学的診断を行うことを支援し、及び/又はその後の医学的診断を検討及び/又は修正することができる。
【0030】
好ましくは、医学的診断を行うために、人に関連する事故データを含む画像データは、少なくとも1人の車両乗員の頭部の少なくとも1つの運動プロセスが、事故の間、好ましくは、特に少なくとも1人の車両乗員の上半身及び/又は肩領域に対する相対運動として取り込まれるように解析される。特に、頭部、首、胸部、腕、胴体、及びいずれの場合も下肢の一部を含む全身が取り込まれる。従って、例えば、事故による車両乗員の負傷について結論を出すことが可能である。
【0031】
本発明の更なる特徴及び目的は、添付の図面を使用した例示的な例の説明によって生み出される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1a図1bに概略的に示される、本発明の第1の例示的な実施形態によるシステムを含む車両の概略図である。
図1b】本発明の第1の例示的な実施形態によるシステムの概略図である。
図2図1a及び図1bに示されるシステムを用いて、人に関連する事故データを取り込み及び解析するためのプロセスを概略的に示す図である。
図3】事故検出時間に関連して循環メモリの格納期間を概略的に示す時間軸を示す図である。
図4】本発明の第2の例示的な実施形態によるシステムの概略図である。
図5】本発明の第3の例示的な例によるシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、図1a及び図1bを参照して、本発明の第1の例示的な例を説明する。図1aは、車両乗員12を含む車両2と、人に関連する事故データを取り込むための概略的に表された車内システム1とを示しており、システム1は、図1bに概略的に示される透明な(transparent)図のために示される。図1aに例として示される車両2は自動車であるが、その車両2はまた、多目的車両として設計され得る。
【0034】
人に関連する事故データを取り込むための車内システム1は、基本的に、高速度カメラ3として設計された少なくとも1つのカメラ、循環メモリ4、制御ユニット5、及び転送ユニット9を含む。
【0035】
システム1の高速度カメラ3は、車両乗員12が位置する車内の領域を取り込むのに適した、すなわち、車両乗員12の画像の形態のビデオシーケンスを取り込むのに適したように、設計され及び車両2に配置される。これを行うために、高速度カメラ3は、車両乗員12の全身を取り込む必要はなく、むしろ、乗員の体の上部、特に頭12a、首、及び上半身及び/又は肩領域12bを取り込むことで十分である。最適には、カメラは、体のより遠位の領域も取り込む。
【0036】
高速度カメラ3は、高い取込み速度、例えば少なくとも700fps、好ましくは少なくとも1000fpsを示す。ビデオシーケンスの画像は、高速度カメラ3によってデジタル画像データ20として取り込まれる。
【0037】
システム1の循環メモリ4は、車両2の任意の位置に設けられ、データ接続、例えばデータケーブルによって高速度カメラ3に接続され、こうして、高速度カメラ3によって取り込んだ画像データ20をデジタル形式で格納するのに適している。あるいはまた、循環メモリ4は、高速度カメラ3の内部メモリであってもよい。
【0038】
循環メモリ4は、取込期間T、すなわち高速度カメラ3によって取り込まれた取込期間Tに対応する記憶容量を示し、循環メモリ4に格納された画像データ20は、循環メモリ4の取込期間Tの間、新たに取り込まれた画像データ20によって上書きされる前に、その循環メモリ4に残る。循環メモリ4の記憶容量は、例えば、少なくとも10秒、好ましくは少なくとも15秒、さらに好ましくは少なくとも20秒の取込期間Tに対応するように選択することができる。これらの値はサンプルデータとしてのみ理解されており、取込期間は、10秒未満の場合もある。
【0039】
システム1は、車両2内の適切な場所に設けられたセンサ6をさらに含み、センサは、車両2の事故を確定し、対応する事故開始信号21を生成するのに適している。例えば、センサ6は、車両2のエアバッグ(図示せず)の状態を取り込み、エアバッグが作動すると事故開始信号21を生成するエアバッグセンサであり得、及び/又はセンサ6は、予め設定された速度変化又は予め設定された加速又は予め規定された回転を超えると、事故開始信号21を生成する速度又は加速度及び/又は回転センサであり得る。「加速」という用語の下では、負の加速、例えば、ブレーキを理解する必要がある。
【0040】
システム1は、オプションで、車両2の運転データ22を取り込むために、車両2の適切な位置に設けられた運転データ取込ユニット11をさらに含み、運転データ取込ユニット11は、データ接続、例えばデータケーブルを用いて循環メモリ4に接続され、運転データ22を好ましくは画像データ20に関連させて循環メモリ4に格納する。例えば、運転データ取込ユニットは、車両2の瞬間速度又は位置さえも運転データ22として取り込むための加速度計及び/又は位置センサとして、例えばGPSとして設計され得る。
【0041】
オプションで、システム1は、車内、特に車両乗員12が位置する車内の領域を照明するのに適するように車両2内に設計及び配置された車両2の照明装置10をさらに含む。
【0042】
さらに、システム1は、オプションで、少なくとも1人の車両乗員12の顔認識データ25’及び少なくとも1人の車両乗員12の医療データ23が格納される第2の車内データメモリ8を含む。車両乗員12の医療データ23は、例えば、投薬の非適合性及び/又はアレルギー及び/又は以前の傷害及び/又はインプラント及び/又は受けた医療処置に関する情報を含み得る。第2のデータメモリ8は、例えば、ハードディスク及び/又はSDカード及び/又はメモリスティックとして設計することができる。
【0043】
システム1のオプションの車内解析ユニット7も、それぞれ1つのデータ接続(例えば、データケーブル)を介して循環メモリ4及び第2のデータメモリ8に接続され、循環メモリ4に格納された画像から顔認識データ25を計算し、これらデータを第2のデータメモリ8に格納した顔認識データ25’と比較するのに適している。これを行うために、解析ユニット7は、CPUを含むことができ、その動作が顔認識のためのコンピュータプログラム(ソフトウェア)によって制御される。
【0044】
システム1の転送ユニット9はまた、車両2内の任意の位置に配置され、それぞれ1つのデータ接続(例えば、データケーブル)を介して、システム1の循環メモリ4及び第2のデータメモリ8に接続される。その転送ユニット9は、画像データ20、オプションで運転データ22及び医療データ23を、無線送信プロセスによって、好ましくは暗号化される外部の場所13に、人に関連する事故データ24として転送するのに適している。これを行うために、転送ユニット9は、示されていないデータインターフェイスを示す。
【0045】
外部の場所13は、例えば、救助管理センター及び/又は応急手当者及び/又は特定の応急処置医師、あるいは特定の応急処置医療施設、例えば事故対応クリニックであり得る。外部の場所13はまた、車両の外部のデータメモリ、例えば、外部サーバ又はクラウドであり得る。
【0046】
システム1の車内制御ユニット5は、システム1の個々の車内コンポーネントを制御するように設計すべきである。これを行うために、その車内制御ユニット5は、データ接続(例えば、データケーブル)を介して関連するコンポーネントに接続される。制御ユニット5は、CPUを含むことができ、その動作が、コンピュータプログラム(ソフトウェア)によって制御される。特に、制御ユニット5は、センサ6から事故開始信号21を受信し、高速度カメラ3、循環メモリ4、解析ユニット7、及び転送(送信)ユニット9を、図2を参照して説明したプロセス制御を実行するように制御するのに適している。
【0047】
システム1は、例えば、車両2の拡張又は改造キットとして完全に又は部分的に提供され得るか、又は車両2に既に統合され得る。このようにして、車両2に既に存在するコンポーネントは、システム1に使用され得る。例えば、センサ6は、車両2に既に存在するセンサであり得、及び/又は制御ユニット5は、システム1のコンポーネントを制御するための適切なコンピュータプログラム(ソフトウェア)によって提供される車両2に既に存在する制御ユニットであり得る。
【0048】
図2は、図1a及び図1bを参照して説明した車両2内の人に関連する事故データを取り込むためのプロセスを概略的に示している。ステップS1において、高速度カメラ3は、走行中に車両乗員12を連続的に撮影する、すなわち、車両乗員12の画像データ20を取り込み、これらデータを循環メモリ4に転送する。オプションで、同時に、車両2の運転データ22は、運転データ取込ユニット11によって連続的又は慎重に、好ましくは走行中の等距離の時間に取り込まれ、またそれらデータを循環メモリ4に転送する。
【0049】
画像データ20及び運転データ22は、ステップS2において循環メモリ4に格納され、データは、好ましくは、一度に取り込まれた運転データ22が、関連する時間に取り込んだ画像データ20に割り当てられるように格納される。運転データ22及び画像データ20のこの時間割当ては、例えば、運転データ22を画像データ20に埋め込むことによって、例えば運転データ22を、時間割り当てされた画像データ20のメタデータとして格納する、又は例えば文言として画像データ20にグラフィカルに統合することによって行うことができる。循環メモリ4の記憶容量が制限されるため、画像データ20及び関連する運転データ22は、それぞれ、制限された取込期間Tの間のみ循環メモリ4に格納され、その後、新しいデータによって再び上書きされる。
【0050】
循環メモリ4は、上記のように限られた記憶容量を示すので、画像データ20を循環メモリ4に格納する前に処理して、それら画像データがより少ないデータ量にすることが有利であり得る。例えば、画像データ20に対応する画像セクションを圧縮することができ、及び/又は高速度カメラ3によって取り込まれたカラー画像をグレースケール画像として格納することができる。このようにして、適切な画像処理ソフトウェア(図示せず)が、好ましくは高速度カメラ3に統合して提供され得る。
【0051】
ステップS3において、車両2の事故が、例えば、エアバッグの作動及び/又は車両2の速度の大幅な低下及び/又は車両2の大幅なブレーキ(負の加速)及び/又は車両2の大幅な回転又は傾きによって、センサ6によって取り込まれる。その結果、センサ6は、事故開始信号21を制御ユニット5に送信する。
【0052】
次に、ステップS4において、制御ユニット5は、画像データ20及び運転データ22を循環メモリ4に格納するのを停止する。図3に示されるように、データの格納が終了する終了時間t停止は、事故開始信号を受信した後に、制御ユニット5を通過する時間tUnfallからの予め規定された時間間隔tdefにある。従って、予め規定された時間間隔tdefは、最大で、循環メモリ4の記憶容量に対応する持続期間Tと同じ大きさであり、換言すれば、tdef≦Tであり、好ましくは循環メモリ4の記憶容量に対応する取込期間Tの少なくとも半分、さらに好ましくは少なくとも3分の2に対応する。これにより、事故発生時及びその直後(すなわち、特に事故イベント中に)に循環メモリ4に取り込まれる画像データ20及び運転データ22が、もう上書きされないことが保証される。
【0053】
従って、画像データ20及び運転データ22の循環メモリ4への連続的な格納を終了した後に、取込期間Tは、制御ユニット5による事故開始信号21を取り込む時間tUnfallの前の時間t0と、事故開始信号を取り込んだ後に取り込まれる終了時間t停止との間の循環メモリ5の記憶容量に対応する。事故開始信号21を取り込む時間tUnfallは事故発生時間であると見なすことができるので、従って、データは、事故の直前及び直後の期間から存在する。
【0054】
T=10秒の取込期間に対応する循環メモリ4の記憶容量により、予め規定された時間間隔は、例えば、tdef=5秒であり得るので、循環メモリ4へのデータの格納を終了した後に、事故前の5秒から事故後の5秒までの期間に取り込まれた画像データ20及び運転データ22が、格納される。T=10秒の取込期間及び例えば、tdef=7秒の予め規定された時間間隔で、循環メモリ4へのデータの格納を終了した後に、事故前の3秒から事故後の7秒までの期間に取り込まれた画像データ20及び運転データ22がある。
【0055】
ここで言及される取込期間T及び予め規定された時間間隔tdefの時間仕様は、例示的な値としてのみ理解すべきであり、取込期間T及び予め規定された時間間隔tdefはまた、本発明の文脈で言及される値から逸脱し得る。
【0056】
データ格納の終了は、例えば、制御ユニット5が、高速度カメラ3及び運転データ取込ユニット11を同時にオフにするコマンドを終了時間t停止に発することで生じ、それによって、新しい画像データ20及び運転データ22は、それ以上生成されず、及び/又は制御ユニット5によって、循環メモリ4の適切な作動によって格納自体を中断する。
【0057】
さらに、ステップS4において、照明装置10は、照明装置10が、少なくとも時間tUnfallで事故開始信号を受信してから終了時間t停止までオンになり、少なくとも車両2の内部の領域を照明するように、制御ユニット5によって作動される。車両2の内部の領域には、高速度カメラ3によって取り込まれた車両乗員12の身体のセクションが位置する。
【0058】
次のステップS5において、データの格納が終了した後に、循環メモリ4に存在する画像データ20が、解析ユニット7、例えば、顔認識ソフトウェアによって解析される。このようにして取り込まれた顔認識データ25は、第2のメモリ8に格納した顔認識データ25’と比較され、2つのデータセットに十分な対応関係がある場合に、換言すれば、高速度カメラ3によって取り込まれた車両乗員12の顔が、メモリ8に取り込んだ顔と十分に高い確率を有することに対応する場合に、第2のメモリ8に格納された認識された人の医療データ23が転送ユニット9に転送される。さらに、ステップS5において、循環メモリ4へのデータの格納が終了した後に存在する画像データ22及び運転データ22も、転送ユニット9に転送される。
【0059】
顔認識はまた、事故の開始とは無関係に、例えば、車両2の走行の開始時に、及び/又は画像データ20を取り込んでいる間に、定期的に行うことができる。
【0060】
次に、ステップS6において、循環メモリ4に存在する画像データ20及び運転データ22は、医療データ23とともに、人に関連する事故データ24として外部の場所13に転送される。こうして、人に関連する事故データ24の送信は、ワイヤレスで、例えば、無線によって、特に移動無線又はインターネットによって行われ、例えば、電子的に行われる緊急呼出し(eCallとして知られているもの)と一緒に行われ得る。好ましくは、人に関連する事故データ24は、例えば、OpenPGPによって暗号化された形式で転送され、人に関連する事故データ24は、外部の場所13によって生成された公開鍵を用いて転送ユニット9によって暗号化され、そして、外部の場所13による対応するシークレット(秘密)鍵によってのみ再び復号化することができる。公開鍵は、転送ユニット9に既に存在するか、又は転送ユニット9は、データを暗号化及び転送する前に、外部の場所13からこの公開鍵を要求することができる。
【0061】
次に、ステップS7において、転送され暗号化された人に関連する事故データ24は、許可された及び/又は適切に訓練された人、例えば、救助管制センターの従業員及び/又は応急手当者及び/又は応急処置を行う医師によって評価され、換言すれば、例えば、車両乗員の健康状態の初期推定値を取得するために行われる事故の医療解析12によって評価される。
【0062】
特に、画像データは、理想的には全身、特に事故の間の車両乗員12の頭部12aの運動プロセスが取り込まれ、医学的診断を行うために評価され得る。特に、この場合の、車両乗員の上半身及び/又は肩領域12bに対する頭部12aの相対運動を解析して、頚椎の領域における事故に関連する傷害について結論を出すことができる。
【0063】
図4は、本発明の第2の例示的な例による車内システム1’を示している。図4に示されるシステム1’は、データ接続を介して循環メモリ4に接続された解析ユニット7が、例えば、車両2の事故の場合に、適切な画像処理プログラムによって、循環メモリ4に格納された画像データ20を使用して事故開始信号21を生成し、これを制御ユニット5に転送するように設計されるという点で、図1bに示されるシステム1と本質的に異なる。これを行うために、解析ユニット7は、CPUを含むことができ、その動作が、画像認識のためのコンピュータプログラム(ソフトウェア)により制御される。事故開始信号21は、例えば、解析ユニット7によって認識された車両乗員12の動き、特に、予め規定された制限を超える車両乗員12の加速度及び/又は速度によって生成され得る。
【0064】
図4に示されるシステム1’の事故開始信号21は、取り込み及び格納された画像データ20から直接生成することができるので、図1bで事故を取り込むために示されるセンサ6は必要ない。
【0065】
図4に示されるシステム1’において、図2に概略的に示されるプロセスは、以下のように変更される:ステップS2において、循環メモリ4に格納された画像データ20の画像認識は、車両2の走行中に解析ユニット7によって連続的に行われる。解析ユニット7は、解析した画像データ20を用いて車両2の事故を認識し、ステップS3において、その解析ユニット7は、事故開始信号21を制御ユニット5に転送する。図2を参照して説明したのステップS1及びS4~S7のプロセスは、図4に示されるシステム1’において、図1bに示されるシステム1のプロセスと異ならない。
【0066】
図5は、本発明の第3の例示的な例による車内システム1’'を示している。図5に示されるシステム1’'は、人に関連する事故データ24が、転送ユニットによって外部に転送されないが、車内の第2のデータメモリ8又は更なる車内データメモリ(図示せず)に格納されるという点で、図1bに示されるシステム1及び図5に示されるシステム1’と本質的に異なる。車両2の事故の場合に人に関連する事故データ24又は第2のメモリ8を保護するために、第2のメモリ8は、保護されるメモリ(ブラックボックス)として設計されることが好ましい。
【0067】
図2を参照して説明したプロセスでは、図5に示されるシステム1’'で、ステップS5において、画像データ20及びオプションの運転データ22は、転送ユニットではなく、車内の第2のデータメモリ8に転送され、その第2のデータメモリ8は、オプションの医療データ23を既に含み、それに格納されている可能性がある。従って、図2に示される外部の場所にデータを転送するステップS6は省略される。人に関連する事故データ24を評価する(ステップS7)ために、これは、例えば、第2のデータメモリ8から読み取られるか、又はダウンロードされ得る。
【0068】
3つの例示的な例の上記の特徴はまた、互いに任意の方法で組み合わせることができる。従って、例えば、図1bに示されるシステム1及び/又は図4に示されるシステム1’は、図5を参照して説明したように、転送ユニット9の代わりに、人に関連する事故データ24の車内記憶のための第2のメモリ8のみを含み得る。また、人に関連する事故データ24は、車内の第2のメモリ8と外部の場所13との両方に転送され得る。例えば、図1b又は図5を参照して説明したシステム1及び/又はシステム1’'では、事故開始信号21は、(センサ6による事故開始信号21の提供の代わりに、又はそれに加えて)解析ユニット7によって解析される画像データ20によっても提供され得、及び/又は図4を参照して説明したシステム1’を用いて、追加の事故開始信号がセンサ6によって提供され得る。
【0069】
運転データ22及び/又は医療データ23は、例えば、事故のより良い医療解析又はさらには事故に関係する人のより良い(初期)ケアを可能にするために、人に関連する事故データ24にオプションのデータを含む。人に関連する事故データ24はまた、画像データ20のみを含み得る。この場合に、車両2内の人に関連する事故データ24を取り込むための車内システム1、1’、1’’はまた、運転データ取込ユニット11なしで、又は内部の第2のデータメモリ8なしで(システムが転送ユニット9を含む場合)提供され得る。さらに、人に関連する事故データ24を取り込むためのシステム1、1’、1’’はまた、解析ユニット7なしで、及び/又は照明装置10なしで提供され得る。特に、取り込んだ画像データ20はまた、解析ユニット7ではなく、制御ユニット5自体によって解析され得る。
【0070】
さらに、車内システム1、1’、1’’のコンポーネントはまた、別の使用のために車両2内に既に設けられたコンポーネントであり得、及び/又はシステム1、1’、1’’のコンポーネントは、他のタスク及び/又は機能のために使用され得る。換言すれば、コンポーネントは複数の使用法で使用される可能性がある。例えば、高速度カメラ3はまた、例えば、車両2の支援及び/又は安全システムに割り当てられ、車両乗員12の瞬間的睡眠(マイクロスリープ)を検出することができ、及び/又は、センサ6及び/又は運転データ取込ユニット11は、車両2に既に設けられたコンポーネントであり得る。
【0071】
例示的な例の説明を簡素化するために、これらは、1人の車両乗員に関してのみ行われる。車内システムは、複数の車両乗員の人に関連する事故データを取り込むのにも適している場合がある。これを行うために、好ましくは、車両乗員の画像データを取り込むための複数の高速度カメラ、及び/又は少なくとも画像データを格納するための複数の循環メモリが提供される。
【0072】
さらに、車両乗員は、例えば、車両乗員の3次元ビューを生成するために、様々な視野角から複数の高速度カメラによって撮影されてもよい。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5