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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】通信システム、及び試験方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/02 20220101AFI20241203BHJP
   H04L 43/50 20220101ALI20241203BHJP
【FI】
H04L43/02
H04L43/50
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023123144
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2019191306の分割
【原出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2023129689
(43)【公開日】2023-09-14
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 慶輝
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雅
(72)【発明者】
【氏名】新留 憲介
(72)【発明者】
【氏名】菅原 誠昭
【審査官】長谷川 未貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-158572(JP,A)
【文献】特開2001-337589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側通信装置と受信側通信装置とがネットワークを介して接続され、メディア信号の送受信がなされる通信システムであって、
監視装置からの指示に基づいて、前記送信側通信装置が、外部から入力され、前記受信側通信装置へ送信されるメディア信号を取得し、当該メディア信号をパケットに変換し、当該パケットを第1メディアデータとして前記監視装置に送信し、
前記受信側通信装置が、前記メディア信号から変換されたパケットを前記送信側通信装置から受信し、前記監視装置からの指示に基づいて、前記パケットから変換されたメディア信号を取得し、当該メディア信号をパケットに変換し、当該パケットを第2メディアデータとして前記監視装置に送信し、
前記監視装置に保存された前記第1メディアデータ及び前記第2メディアデータがオペレータにより視聴される
通信システム。
【請求項2】
送信側通信装置と受信側通信装置とがネットワークを介して接続され、メディア信号の送受信がなされる通信システムにおける試験方法であって、
監視装置からの指示に基づいて、前記送信側通信装置が、外部から入力され、前記受信側通信装置へ送信されるメディア信号を取得し、当該メディア信号をパケットに変換し、当該パケットを第1メディアデータとして前記監視装置に送信し、
前記受信側通信装置が、前記メディア信号から変換されたパケットを前記送信側通信装置から受信し、前記監視装置からの指示に基づいて、前記パケットから変換されたメディア信号を取得し、当該メディア信号をパケットに変換し、当該パケットを第2メディアデータとして前記監視装置に送信し、
前記監視装置に保存された前記第1メディアデータ及び前記第2メディアデータがオペレータにより視聴される
試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信設備を構築するための技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
映像、音声、あるいは映像と音声(これらを総称してメディアと呼ぶ場合がある)を、例えば撮影ポイントから放送局等へ伝送するサービスが提供されている。
【0003】
メディアを伝送するためには、メディア伝送用の回線を構築することが必要である。例えば、メディアを送信するための通信装置を新たに設置して、当該通信装置と別の地点の通信装置との間に回線を構築するためには、下位レイヤの伝送回線(IP回線・イーサネット(登録商標)回線等)の開通が済んでいることを前提として、例えば下記の作業が必要である。なお、「設定情報」を、Configurationの略である「Config」と呼んでもよい。
【0004】
(1)通信装置の設定情報の設計
(2)通信装置の設置、パッケージ実装
(3)通信装置への設定情報の投入
(4)回線の開通試験
上記(3)の設定情報の投入に関して、作業者が通信装置の設置場所で作業を行うことが一般的である。(4)については、基本的に現地の作業者が測定器を利用して試験を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-106682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の通信装置の設定や回線開通では、前述の(1)、(3)、(4)を通じて、基本的に現地での作業者の手作業となり、非効率であり、作業時間が多くかかる。
【0007】
なお、このような問題は、メディアを伝送するための通信装置の設定及び回線開通に限らず、通信サービスを提供するための通信装置の設定及び回線開通全般に生じ得る問題である。なお、通信装置の設定及び回線開通を総称して設備の構築と呼んでもよい。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、通信サービスを提供するための設備の構築を効率的に行うことを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の技術によれば、送信側通信装置と受信側通信装置とがネットワークを介して接続され、メディア信号の送受信がなされる通信システムであって、
監視装置からの指示に基づいて、前記送信側通信装置が、外部から入力され、前記受信側通信装置へ送信されるメディア信号を取得し、当該メディア信号をパケットに変換し、当該パケットを第1メディアデータとして前記監視装置に送信し、
前記受信側通信装置が、前記メディア信号から変換されたパケットを前記送信側通信装置から受信し、前記監視装置からの指示に基づいて、前記パケットから変換されたメディア信号を取得し、当該メディア信号をパケットに変換し、当該パケットを第2メディアデータとして前記監視装置に送信し、
前記監視装置に保存された前記第1メディアデータ及び前記第2メディアデータがオペレータにより視聴される
通信システムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、通信サービスを提供するための設備の構築を効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1のシステム構成図である。
図2】通信装置の構成例を示す図である。
図3】通信装置の前面に取り付けられるボタンの例を示す図である。
図4】実施例1のシーケンス図である。
図5】設定情報の設定量の削減を説明するための図である。
図6】設定情報の設定量の削減を説明するための図である。
図7】実施例2のシステム構成図である。
図8】実施例2-1における送信側と受信側の通信装置の構成図である。
図9】信号伝送を説明するための図である。
図10】OUS試験の例を示す図である。
図11】INS試験の例を示す図である。
図12】実施例2-2における送信側と受信側の通信装置の構成図である。
図13】実施例2-2における動作を説明するための図である。
図14】装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施形態に限られるわけではない。
【0013】
以下、通信サービスを提供するための設備の構築を効率的に行うことを可能とする技術の例として実施例1と実施例2を説明する。なお、実施例1と実施例2は組み合わせて実施することができる。
【0014】
以下の例では、通信サービスの例として、映像、音声等のメディアの伝送を挙げているが、本発明はメディアの伝送に限らない様々な通信サービスの設備構築に適用可能である。
【0015】
(実施例1)
まず、実施例1を説明する。実施例1には実施例1-1と実施例1-2があるので、それぞれについて説明する。
【0016】
<実施例1-1>
<実施例1-1のシステム構成>
図1は、実施例1-1のシステム構成図である。図1に示すように、本システムは、通信装置100、DHCPサーバ40、ファイルサーバ20を有し、これらがネットワーク30に接続された構成を有する。通信装置100は、例えばメディアの伝送を行うために、ある拠点に新たに設置された通信装置であり、設定情報の投入対象となる通信装置である。
【0017】
DHCPサーバ40は、要求を受けてIPアドレス等を返すサーバである。ファイルサーバ20は、通信装置100に投入すべき設定情報を保持するサーバである。
【0018】
実施例1-1では、作業者(工事担当者)が通信装置100に備えられたボタンを押下するだけで、設定情報がファイルサーバ20から通信装置100にダウンロードされ、通信装置100において設定情報が設定される。なお、この方法は、ZTP(Zero Touch Provisioning)と呼ばれる技術を利用しているが、ボタンを押下するだけで設定情報をダウンロードする仕組みは従来のZTPにはないものである。
【0019】
図2は、通信装置100の構成図である。図2に示すように、通信装置100は、監視制御部110、信号処理部120、NW処理部130、電源部140を有する。監視制御部110は、ボタン111、ボタン押下検知部112、設定処理部113を有する。
【0020】
監視制御部110は、通信装置100における各部の監視等を行うとともに、ボタン押下に基づく設定情報のダウンロードを行う。より具体的には、作業者がボタン111を押下すると、ボタン押下検知部112がそのボタン押下を検知し、設定処理部113に設定情報のダウンロードのための処理を開始するよう指示する。設定処理部113は、その指示に基づいて、設定情報のダウンロードのための処理を行って、ダウンロードした設定情報に基づく設定処理を実行する。
【0021】
信号処理部120は、メディア信号のパケット化等の信号処理を実行する。NW処理部130はNWとの接続に関する処理を実行する。NW処理部130をNWインタフェースと呼んでもよい。電源部140は、電源供給のための処理を行う。
【0022】
図3は、通信装置100を前面から見た場合のイメージを示す図である。図3に示すように、監視制御部110にボタン111が備えられている。また、図3に示すように、各部がパッケージとして筐体に収められる。ただし、このような通信装置100の構成は一例に過ぎない。
【0023】
<実施例1-1の動作例>
図4を参照して、実施例1-1における動作シーケンスの例を説明する。
【0024】
S101において、作業者が通信装置100の電源をONにし、S102においてボタン111を押下する。
【0025】
その後、DHCPのシーケンス(S103~S106)が実行されることで、通信装置100はアクセス先(ファイルサーバ20)の情報を取得する。S107において、通信装置100は、設定情報の取得要求をファイルサーバ20に送信し、S108において、設定情報を取得する。
【0026】
<実施例1-2>
実施例1-2は、実施例1-1を前提としている。つまり、実施例1-2の通信装置100は、実施例1-1で説明した機能に加えて、実施例1-2で説明する機能を有する。ただし、実施例1-2は、実施例1-1を前提としないこととしてもよい。
【0027】
前述した実施例1-1において、ファイルサーバ20からダウンロードする設定情報を事前に手動で作成しておく必要がある。設定情報を作成するには、通常、通信装置100のパッケージの実装状態を把握する必要があるため大きな手間がかかる。
【0028】
そこで、実施例1-2では、通信装置100の起動時に、監視制御部110が、通信装置100内の処理部(つまり、パッケージ)の実装状態を把握し、把握した内容を、予め作成した設定情報(実施例1-1を前提とすればダウンロードした設定情報)に反映させる。これにより、事前に作成する設定情報の量を削減することが可能となっている。
【0029】
「反映させる」とは、例えば、設定情報にパッケージAの実装位置の情報が必要である場合において、予め準備しておく設定情報においてはその情報を空欄にしておき、監視制御部110が実装状態を確認したら、その空欄に該当情報を入れる、といったことである。
【0030】
図5に示すように、事前に作成する設定情報の量の削減に関連する機能部として、監視制御部110は、実装状態取得部115と、自動設定部116を備える。
【0031】
実装状態取得部115は、通信装置100の起動時に、通信装置100に実装されているパッケージと当該パッケージの状態(挿入位置、種別、ポート情報等)を把握(取得)する。例えば、図5の例では、パッケージAが2枚、パッケージBが1枚、パッケージCが1枚が実装されていること、及び各パッケージの位置等の状態を把握する。
【0032】
自動設定部116は、把握した各パッケージについての物理的な情報(通信装置100のどの位置に実装されているか等)を設定情報に反映させる。更に、自動設定部116は、論理設定や利用設定(物理ポートのサービス的な使い方や論理的な接続の指定)について、パッケージ状態(種別や利用ポート情報)から類推できる部分を自動で生成し、設定情報に反映させることができる。図6は、設定情報についての従来の設計範囲と、実施例1-2の通信装置100についての設計範囲を示している。
【0033】
もしも実施例1-2の機能がないとすると、設定情報の作業者は、通信装置100におけるパッケージの実装状態を調べて、実装状態の情報を手動で事前に設定情報に反映さておく必要がある。一方、実施例1-2の機能を備えることで、パッケージの実装状態に基づく情報を含めずに設定情報を作成することができるので、設定情報の量が削減されるととともに、設定情報作成の手間も削減される。
【0034】
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2は実施例1を前提とする。つまり、実施例2の通信装置は、実施例1の通信装置の機能に加えて、実施例2で説明する機能を備える。ただし、実施例2は実施例1を前提としないこととしてもよい。
【0035】
実施例2は、例えば実施例1の技術を用いた設定情報の設定が完了した後に実施する回線開通時等の試験に関連するものである。
【0036】
図7は、実施例2におけるシステムの全体構成図である。図7は、後述する実施例2-1、実施例2-2とで共通である。ただし、各装置の内部構成は実施例2-1と実施例2-2とで異なっていてよい。
【0037】
図7に示すように、本システムでは、メディアの送受信を行う複数の通信装置200が回線(ネットワーク)で接続されている。各通信装置200は、ネットワーク500を介して監視装置300に接続されている。また、オペレータ(NW管理者等)が操作を行うための端末400が監視装置300に接続されている。
【0038】
<実施例2の概要>
回線開通時には少なくとも下記の(A)と(B)を確認する必要がある。
【0039】
(A)エラーなくメディアを伝送できること。
【0040】
(B)メディアの内容を確認できること。
【0041】
(B)の"メディアの内容を確認できること"とは、メディアが映像であれば、映像を人が視て、問題なく伝送されたこと(映像に乱れが無い等)を確認できることであり、メディアが音であれば、音を人が聴いて、問題なく伝送されたこと(音に途切れがない等)を確認できることである。なお、(A)をメディアの導通試験、(B)をメディアのモニタ試験と呼んでもよい。
【0042】
実施例2では、(A)と(B)のいずれも、図7に示す端末400にて遠隔から確認することができる。(A)に関しては、通信装置200内に、信号発生・エラーチェックの仕組みを設け、遠隔からエラーチェックを可能としている。(B)に関しては、入力・出力の直前のメディア信号を、例えば圧縮して遠隔地に伝送し、遠隔のオペレータが信号を視聴して、状態を確認できるようにしている。なお、本明細書における「視聴」とは、映像を視ることのみ、音を聴くことのみ、又は、映像を視るとともに音を聴くことである。
【0043】
以下、(A)を実現するための技術を実施例2-1として説明し、(B)を実現するための技術を実施例2-2として説明する。実施例2-1と実施例2-2は組み合わせて実施される。ただし、組み合わせることに限定されるわけではなく、実施例2-1のみを実施してもよいし、実施例2-2のみを実施してもよい。
【0044】
なお、実施例2-1、2-2のいずれの場合でも、メディア信号は、音声信号であってもよいし、映像信号であってもよいし、音声信号と映像信号の両方であってもよい。
【0045】
<実施例2-1>
まず、上述した(A)の方法を実施例2-1として説明する。(A)の方法では、通信装置200における入出力に近いポイントに、メディア信号/試験信号の入力機能あるいは測定機能を配備することで、遠隔にある端末400から伝送時エラーを確認できるようにしている。
【0046】
図8は、実施例2-1における信号送信側の通信装置200Sと信号受信側の通信装置200Rの構成を示す図である。図8は、送信側の通信装置200Sと、受信側の通信装置200(200Rとする)とが、ネットワーク600で接続された構成を有する。なお、通常、通信装置内の機能部は現用系と予備系を有するが、図8は、導通試験に関わる構成を分かり易く示すために、1つの系を示している。実施例2-2の図12についても同様である。
【0047】
また、図8では、信号送信側の通信装置200Sと信号受信側の通信装置200Rが異なる構成になっているが、実際には、通信装置200Sは、通信装置200Rの機能も含み、通信装置200Rは、通信装置200Sの機能も含む。
【0048】
図8に示すように、送信側の通信装置200Sは、入出力部201S、試験信号入力部210、パケット化部202S、伝送部203Sを有する。各部の機能は下記のとおりである。
【0049】
入出力部201Sは、外部にあるユーザ設備等から送信されるメディア信号、又は、試験信号入力部210から送信される試験信号(試験信号はメディア信号の一種である)を受信し、メディア信号又は試験信号(「メディア信号/試験信号」と表記する)をパケット化部202Sへ出力する。試験信号入力部210は、監視装置300からの指示に基づいて、試験信号を生成し、試験信号を入出力部201Sへ入力する。なお、試験信号の生成、入力は、監視装置300からの指示に基づかなくてもよい。
【0050】
パケット化部202Sは、入力されたメディア信号/試験信号をパケットに変換して出力する。伝送部203Sはパケットをネットワーク600に出力する。
【0051】
受信側の通信装置200Rは、入出力部201R、測定機能部211、パケット化部202R、伝送部203Rを有する。各部の機能は下記のとおりである。
【0052】
伝送部203Rは、ネットワーク600からパケットを受信し、当該パケットをパケット化部202Rへ出力する。パケット化部202Rは、パケットをメディア信号/試験信号に変換して出力する。入出力部201Rは、ユーザ設備から送信されたメディア信号を外部に出力し、試験信号を測定機能部211へ出力する。また、入出力部201Rは、ユーザ設備から送信されたメディア信号を外部に出力するとともに、測定機能部211へ出力することもできる。
【0053】
測定機能部211は、受信したメディア信号/試験信号を測定した結果(例:エラー率、遅延)を監視装置300へ送信する。
【0054】
実施例2-1では、メディア信号/試験信号を測定の対象としている。一例として、音声信号を対象とする場合において、例えば図9に示すように信号が流れる。この場合、図8の構成では、音声信号(AESフレーム)が入出力部201Sに入力され、パケット化部202SによりRTPパケットに変換され、伝送部203SからRTPパケットが送信され、ネットワーク600を経由して、受信側の伝送部203Rに届く。RTPパケットはパケット化部202Rにより音声信号(AESフレーム)に変換され、入出力部201Rから出力される。出力された音声信号は例えば測定機能部211に入力され、測定がなされる。
【0055】
次に、開通試験時のように、ユーザ設備からメディア信号を受信しない場合において、試験信号を用いて試験を行う場合の動作を図8を参照して説明する。なお、この試験をOUS(Out of service)試験と呼んでもよい。
【0056】
例えば、端末400を操作するオペレータが、通信装置200Sと通信装置200Rとの間の区間についての試験信号を用いた試験を行う旨の情報を端末400に入力する。端末400は、監視装置300に対して、通信装置200Sと通信装置200Rとの間の区間についての試験信号を用いた試験を行う旨を指示する。
【0057】
監視装置300は、通信装置200Sの試験信号入力部210に対し、試験信号を生成して、入出力部201Sへ入力するよう指示する。また、監視装置300は、通信装置200Rの測定機能部211に対し、通信装置200Sから送られてきた試験信号を測定し、測定結果を監視装置300に報告するよう指示する。
【0058】
すると、試験信号入力部210は、試験信号を生成して、入出力部201Sへ入力する。試験信号は特定の信号に限定されない。一例として、音声の場合であれば、試験信号として疑似ランダムパターン(PNパターン)を使用することができる。
【0059】
試験信号は、受信側の通信装置200Rの測定機能部211に届く。通信装置200Rは、試験信号の測定を行い、測定結果を監視装置300に通知する。監視装置300は測定結果を端末400に送信する。端末400には測定結果が表示され、オペレータはエラーが生じているかどうかの確認を行うことができる。
【0060】
なお、遅延に関しては、例えば、試験信号の送信側(試験信号入力部210)で試験信号にタイムスタンプを付けることで、受信側(測定機能部211)は現在時刻とタイムスタンプとの差により遅延を測定できる。
【0061】
次に、サービス中に、ユーザ設備から送信されるメディア信号を用いた試験時の動作を図8を参照して説明する。この試験は、サービスを止めないで行うことを想定している。なお、この試験をINS(In service)試験と呼んでもよい。
【0062】
例えば、端末400を操作するオペレータが、通信装置200Sと通信装置200Rとの間の区間について、ユーザ設備から送信されるメディア信号を用いた試験を行う旨の情報を端末400に入力する。端末400は、監視装置300に対して、通信装置200Sと通信装置200Rとの間の区間についてのユーザ設備から送信されるメディア信号を用いた試験を行う旨を指示する。
【0063】
監視装置300は、通信装置200Rの入出力部201Rに対し、受信したメディア信号を外部に出力するとともに、測定機能部211へも出力するよう指示する。また、通信装置200Rの測定機能部211に対し、メディア信号の測定結果を監視装置300に報告するよう指示する。
【0064】
上記指示に従って、測定機能部211は、受信したメディア信号の測定を行い、測定結果を監視装置300に通知する。監視装置300は測定結果を端末400に送信する。端末400には測定結果が表示され、オペレータはエラーが生じているかどうかの確認を行うことができる。
【0065】
図8において、試験信号を入力する部分(例:入出力部201Sにおける、試験信号入力部210からの信号を受信する部分)をInsert点と呼んでもよい。また、通信装置200Rの測定機能部211をMonitor点(メディア信号/試験信号を測定するとともに、スルーさせる場合)、又は、Drop点(メディア信号/試験信号を測定し、終端する場合)と呼んでもよい。
【0066】
なお、図8に示した構成は一例であり、例えば、図10図11に示すような試験構成も可能である。これらの図におけるIはInsert点(I点)を示し、MはMonitor点(M点)を示し、DはDrop点(D点)を示す。
【0067】
図10は、通信装置200-1において試験信号を入力し、図示する各M点、及びD点で試験信号を測定する。図10の例では、通信装置200-3において試験信号を折り返している。これにより、エラー率等に加えて、往復遅延を測定できる。
【0068】
図11は、ユーザ設備250から通信装置200-4に対して入力されるメディア信号を各M点で測定する場合の例を示している。
【0069】
<実施例2-2>
次に、前述した(B)の方法を実施例2-2として説明する。(B)の方法では、入力・出力の直前のメディア信号を遠隔の監視装置300に送信し、オペレータがメディアデータを視聴することで、状態を確認できるようにしている。
【0070】
図12は、実施例2-2における信号送信側の通信装置200Sと信号受信側の通信装置200Rと監視装置300の構成を示す図である。図12は、送信側の通信装置200Sと、受信側の通信装置200Rとが、ネットワーク600で接続された構成を有する。
【0071】
なお、図12では、信号送信側の通信装置200Sと信号受信側の通信装置200Rが異なる構成になっているが、実際には、通信装置200Sは、通信装置200Rの機能も含み、通信装置200Rは、通信装置200Sの機能も含む。
【0072】
図12に示すように、送信側の通信装置200Sは、入出力部201S、パケット化部202S、伝送部203S、モニタ用圧縮処理部220S、モニタ信号パケット化部230Sを有する。入出力部201S、パケット化部202S、伝送部203Sについては実施例2-1と同様である。
【0073】
送信側の通信装置200Sは、ユーザ設備等から入力されたメディア信号を入出力部201Sへ送信するとともに、モニタ用圧縮処理部220Sへ送信する分岐機能(分岐部と呼んでもよい)を備える。
【0074】
モニタ用圧縮処理部220Sは、受信したメディア信号を圧縮し、圧縮した信号をモニタ信号パケット化部230Sへ出力する。なお、圧縮することは必須ではなく、圧縮を行わないこととしてもよい。
【0075】
モニタ信号パケット化部230Sは、圧縮されたメディア信号をパケット化し、伝送部203Sに入力する。
【0076】
伝送部203Sは、モニタ信号パケット化部230Sから受け取ったパケットを監視装置300に送信する。監視装置300において、メディアデータ保存部310が、当該パケットのデータをメディアデータとして保存する。
【0077】
受信側の通信装置200Rは、入出力部201R、パケット化部202R、伝送部203R、モニタ用圧縮処理部220R、モニタ信号パケット化部230Rを有する。入出力部201R、パケット化部202R、伝送部203Rについては実施例2-2と同様である。
【0078】
通信装置200Rは、入出力部201Rから出力されたメディア信号(ユーザ設備から出力され、通信装置200S及びネットワーク600を経由したメディア信号)を外部へ送信するとともに、モニタ用圧縮処理部220Rへ送信する分岐機能(分岐部と呼んでもよい)を有する。
【0079】
モニタ用圧縮処理部220Rは、受信したメディア信号を圧縮し、圧縮した信号をモニタ信号パケット化部230Rへ出力する。なお、圧縮することは必須ではなく、圧縮を行わないこととしてもよい。
【0080】
モニタ信号パケット化部230Rは、圧縮されたメディア信号をパケット化し、伝送部203Rに入力する。
【0081】
伝送部203Rは、モニタ信号パケット化部230Rから受け取ったパケットを監視装置300に送信する。監視装置300において、メディアデータ保存部310が、当該パケットをメディアデータとして保存する。すなわち、メディアデータ保存部310は、送信側で入出力部201Sに入力される直前のメディア信号に相当するメディアデータと、受信側で入出力部201Rから出力された直後のメディア信号に相当するメディアデータを格納している。
【0082】
監視装置300の制御部320は、端末400から送られるオペレータの指示に従った動作を行う。
【0083】
図13を参照して、実施例2-2の測定に関わる動作の例を説明する。端末400を操作するオペレータが、通信装置200Sと通信装置200Rとの間の回線の状態を確認するために、端末400上で、通信装置200Sと通信装置200Rに対し、ユーザ設備250から送信されるメディア信号のモニタを実行するよう指示する。
【0084】
S201において、端末400から監視装置300に対して、通信装置200Sと通信装置200Rに対するモニタ開始指示が送信される。S202において、監視装置300の制御部320は、通信装置200Sと通信装置200Rのそれぞれに対してモニタ開始指示を送信する。
【0085】
通信装置200Sと通信装置200Rはそれぞれ、前述したとおりの方法でメディア信号を圧縮、パケット化を行って、当該パケットをメディアデータとして監視装置300に送信する(S203)。メディアデータはメディアデータ保存部310に格納される。
【0086】
その後、例えば、オペレータが端末400上で、入力側のメディアと出力側のメディアの視聴を行うことを指示すると、その指示がメディアデータの取得指示として、監視装置300に送られる。
【0087】
監視装置300の制御部320は、メディアデータ保存部310から、送信側のメディアデータと受信側のメディアデータを取得し、端末400に送信する。オペレータは、例えば、送信側のメディアデータと受信側のメディアデータをそれぞれ視聴することで、回線が正常に開通したかどうか等を確認することができる。
【0088】
(ハードウェア構成)
実施例1、実施例2で説明した通信装置100、通信装置200はいずれもその内部の各機能部を専用のハードウェア回路を用いて実現することができる。また、実施例1、実施例2で説明した通信装置100、通信装置200はいずれも、汎用のコンピュータを用いてソフトウェアで実現することもできる。通信装置を汎用のコンピュータを用いてソフトウェアで実現する場合、実施例1で説明した「パッケージ」は仮想的なパッケージとして扱うことが可能である。
【0089】
汎用のコンピュータを用いてソフトウェアで実現する場合において、上記の通信装置が有する機能は、コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ等のハードウェア資源を用いて、当該通信装置で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0090】
図14は、上記通信装置のハードウェア構成例を示す図である。図14の装置は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置1000、補助記憶装置1002、メモリ装置1003、CPU1004、インタフェース装置1005、表示装置1006、及び入力装置1007等を有する。なお、上述した各通信装置(通信装置100、通信装置200)において、表示装置1006及び入力装置1007を備えないこととしてもよい。
【0091】
当該通信装置での処理を実現するプログラムは、例えば、CD-ROM又はメモリカード等の記録媒体1001によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体1001がドライブ装置1000にセットされると、プログラムが記録媒体1001からドライブ装置1000を介して補助記憶装置1002にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体1001より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置1002は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0092】
メモリ装置1003は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置1002からプログラムを読み出して格納する。CPU1004は、メモリ装置1003に格納されたプログラムに従って当該通信装置に係る機能を実現する。インタフェース装置1005は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置1006はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置1007はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
【0093】
なお、監視装置300についても、上記のコンピュータとプログラムで実現することが可能である。
【0094】
(実施の形態の効果等)
以上説明した本実施の形態に係る技術により、設備の構築を効率的に行うことができる。例えば、実施例1で説明した装置前面ボタンを押すという方法により、構築に関わる事前トレーニング時間の短縮になる。また、事前の設定情報の作成作成稼働を軽減軽減できる。また、実施例2の技術により、開通に関わる事前トレーニングや現地作業の時間を短縮できる。
【0095】
(実施の形態のまとめ)
本明細書には、少なくとも、下記の各項に記載された通信装置、通信システム、試験方法、及びプログラムが記載されている。
(第1項)
送信側通信装置と受信側通信装置とがネットワークを介して接続され、メディア信号の送受信がなされる通信システムにおける前記送信側通信装置として機能する通信装置であって、
監視装置からの指示に基づいて試験信号を生成し、出力する試験信号生成手段と、
前記試験信号をパケットに変換する変換手段と、
前記パケットを送信する送信手段と、を備え、
前記パケットを受信する前記受信側通信装置において、当該パケットから変換された試験信号の測定が行われ、測定結果が前記監視装置へ報告される
通信装置。
(第2項)
送信側通信装置と受信側通信装置とがネットワークを介して接続され、メディア信号の送受信がなされる通信システムにおける前記受信側通信装置として機能する通信装置であって、
監視装置からの指示に基づいて生成された試験信号から変換されたパケットを、前記送信側通信装置から受信する受信手段と、
前記パケットを試験信号に変換する変換手段と、
前記変換手段により変換された試験信号の測定を行い、測定結果を前記監視装置へ報告する測定手段と
を備える通信装置。
(第3項)
送信側通信装置と受信側通信装置とがネットワークを介して接続され、メディア信号の送受信がなされる通信システムにおける前記送信側通信装置として機能する通信装置であって、
監視装置からの指示に基づいて、外部から入力され、前記受信側通信装置へ送信されるメディア信号を取得し、当該メディア信号をパケットに変換する変換手段と、
前記パケットをメディアデータとして前記監視装置に送信する送信手段と、を備え、
前記監視装置に保存された前記メディアデータがオペレータにより視聴される
通信装置。
(第4項)
送信側通信装置と受信側通信装置とがネットワークを介して接続され、メディア信号の送受信がなされる通信システムにおける前記受信側通信装置として機能する通信装置であって、
前記送信側通信装置から送信されたパケットを受信する受信手段と、
監視装置からの指示に基づいて、前記パケットから変換されたメディア信号を取得し、当該メディア信号をパケットに変換する変換手段と、
前記変換手段により変換されたパケットをメディアデータとして前記監視装置に送信する送信手段と、を備え、
前記監視装置に保存された前記メディアデータがオペレータにより視聴される
通信装置。
(第5項)
第1項ないし第4項のうちいずれか1項に記載の通信装置であって、
前記通信装置に備えられるボタンが押下されたことを検知した場合に、ファイルサーバから設定情報を取得する監視制御手段を更に備える
通信装置。
(第6項)
第5項に記載の通信装置であって、
前記監視制御手段は、前記通信装置におけるパッケージの実装状態を取得し、当該実装状態に基づく情報を前記設定情報に反映させる
通信装置。
(第7項)
第1項に記載の通信装置と第2項に記載の通信装置とを備える通信システム。
(第8項)
第3項に記載の通信装置と第4項に記載の通信装置とを備える通信システム。
(第9項)
送信側通信装置と受信側通信装置とがネットワークを介して接続され、メディア信号の送受信がなされる通信システムにおける試験方法であって、
前記送信側通信装置が、監視装置からの指示に基づいて試験信号を生成し、当該試験信号をパケットに変換し、当該パケットを送信し、
前記受信側通信装置が、前記送信側通信装置から前記パケットを受信し、当該パケットを試験信号に変換し、当該試験信号の測定を行い、測定結果を前記監視装置へ報告する
試験方法。
(第10項)
送信側通信装置と受信側通信装置とがネットワークを介して接続され、メディア信号の送受信がなされる通信システムにおける試験方法であって、
監視装置からの指示に基づいて、前記送信側通信装置が、外部から入力され、前記受信側通信装置へ送信されるメディア信号を取得し、当該メディア信号をパケットに変換し、当該パケットを第1メディアデータとして前記監視装置に送信し、
前記受信側通信装置が、前記メディア信号から変換されたパケットを前記送信側通信装置から受信し、前記監視装置からの指示に基づいて、前記パケットから変換されたメディア信号を取得し、当該メディア信号をパケットに変換し、当該パケットを第2メディアデータとして前記監視装置に送信し、
前記監視装置に保存された前記第1メディアデータ及び前記第2メディアデータがオペレータにより視聴される
試験方法。
(第11項)
コンピュータを、第1項ないし第6項のうちいずれか1項に記載の通信装置における各手段として機能させるためのプログラム。
【0096】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0097】
20 ファイルサーバ
30 ネットワーク
40 DHCPサーバ
100 通信装置
110 監視制御部
111 ボタン
112 ボタン押下検知部
113 設定処理部
115 実装状態取得部
116 自動設定部
120 信号処理部
130 NW処理部
140 電源部
250 ユーザ設備
200 通信装置
201 入出力部
202 パケット化部
203 伝送部
210 試験信号入力部
211 測定機能部
220 モニタ用圧縮処理部
230 モニタ信号パケット化部
310 メディアデータ保存部
320 制御部
300 監視装置
400 端末
500 ネットワーク
600 ネットワーク
1000 ドライブ装置
1001 記録媒体
1002 補助記憶装置
1003 メモリ装置
1004 CPU
1005 インタフェース装置
1006 表示装置
1007 入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14