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特許7597483物品利用支援装置、物品利用支援方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】物品利用支援装置、物品利用支援方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0645 20230101AFI20241203BHJP
【FI】
G06Q30/0645
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020169545
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061556
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】舘 康二
(72)【発明者】
【氏名】高島 玲
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一彬
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-283004(JP,A)
【文献】特開2006-018601(JP,A)
【文献】特開2018-190249(JP,A)
【文献】特開2004-094702(JP,A)
【文献】特開2015-130138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リース契約に基づいて物品を利用する利用者による前記物品の利用状態を示す利用情報及び前記物品を識別するための基本情報を取得する情報取得部と、
前記リース契約の終了時に、前記終了時における前記利用情報及び前記基本情報を価格算出装置に送信し、前記価格算出装置が前記利用情報及び前記基本情報に基づいて算出した前記物品の価格である第1物品価格を前記価格算出装置から取得し、前記リース契約の期間における前記終了時より前の中間時点において、前記中間時点における前記利用情報及び前記基本情報を前記価格算出装置に送信し、前記価格算出装置が前記利用情報及び前記基本情報に基づいて算出した前記物品の価格である第2物品価格を取得する価格取得部と、
前記中間時点における利用情報及び前記第2物品価格に基づいて、前記終了時における前記物品の予測価格を取得し、前記予測価格及び記憶部に記憶された設定価格に基づいて、前記終了時において前記利用者に提供されると予測される電子的価値に関する情報を、前記中間時点において前記利用者に提示する、インセンティブ提示部と、
前記終了時に、前記第1物品価格及び前記設定価格に基づいて算出された電子的価値を前記利用者に提供する電子的価値提供部と、を備える、物品利用支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物品利用支援装置であって、
前記電子的価値提供部は、前記第1物品価格と前記設定価格との差額を前記電子的価値によって提供する、物品利用支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の物品利用支援装置であって、
前記基本情報及び前記第2物品価格に基づいて前記利用状態に対する評価情報を生成する利用評価モデルを用いて、前記利用者の前記利用状態に対する評価情報を前記利用者に提示する利用評価部、をさらに備える、物品利用支援装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の物品利用支援装置であって、
前記物品はパーソナルコンピュータであり、
前記情報取得部は、前記利用情報として、前記パーソナルコンピュータの電源稼働時間又は電源稼働頻度を取得する、物品利用支援装置。
【請求項5】
コンピュータが、
リース契約に基づいて物品を利用する利用者による前記物品の利用状態を示す利用情報及び前記物品を識別するための基本情報を取得することと、
前記リース契約の終了時に、前記終了時における前記利用情報及び前記基本情報を価格算出装置に送信し、前記価格算出装置が前記利用情報及び前記基本情報に基づいて算出した前記物品の価格である第1物品価格を前記価格算出装置から取得することと、
前記リース契約の期間における前記終了時より前の中間時点において、前記中間時点における前記利用情報及び前記基本情報を前記価格算出装置に送信し、前記価格算出装置が前記利用情報及び前記基本情報に基づいて算出した前記物品の価格である第2物品価格を取得することと、
前記中間時点における利用情報及び前記第2物品価格に基づいて、前記終了時における前記物品の予測価格を取得し、前記予測価格及び記憶部に記憶された設定価格に基づいて、前記終了時において前記利用者に提供されると予測される電子的価値に関する情報を、前記中間時点において前記利用者に提示することと、
前記終了時に、前記第1物品価格及び前記設定価格に基づいて算出された電子的価値を前記利用者に提供することと、を含む物品利用支援方法。
【請求項6】
コンピュータに、
リース契約に基づいて物品を利用する利用者による前記物品の利用状態を示す利用情報及び前記物品を識別するための基本情報を取得する情報取得処理と、
前記リース契約の終了時に、前記終了時における前記利用情報及び前記基本情報を価格算出装置に送信し、前記価格算出装置が前記利用情報及び前記基本情報に基づいて算出した前記物品の価格である第1物品価格を前記価格算出装置から取得し、前記リース契約の期間における前記終了時より前の中間時点において、前記中間時点における前記利用情報及び前記基本情報を前記価格算出装置に送信し、前記価格算出装置が前記利用情報及び前記基本情報に基づいて算出した前記物品の価格である第2物品価格を取得する価格取得処理と、
前記中間時点における利用情報及び前記第2物品価格に基づいて、前記終了時における前記物品の予測価格を取得し、前記予測価格及び記憶部に記憶された設定価格に基づいて、前記終了時において前記利用者に提供されると予測される電子的価値に関する情報を、前記中間時点において前記利用者に提示する、インセンティブ提示部と、
前記終了時に、前記第1物品価格及び前記設定価格に基づいて算出された電子的価値を前記利用者に提供する電子的価値提供処理と、を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品利用支援装置、物品利用支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
リース契約に基づくリース料を支払いつつ物品を利用者が利用するようなリースサービスがある。リースサービスでは、リース期間が終了した時の物品の価値である残価を持つ物品が、リース期間終了時にリース会社に返却されることがある。リース会社は、利用者へリースしていた物品を二次的に流通させることがある。このような場合、物品の残価が高いほど、二次流通価格も高くすることができる。よって、リースされる物品の残価は高く保たれることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、車両を利用者にリースする場合に、リース車両の残価の低下を抑制するためのポイント管理システムが示される。ポイント管理システムは、利用者の運転状態に基づいて、利用者にポイントを付与し、利用者にリース車両を大切に扱うことを促すように構成されたシステムである。特許文献1に記載のポイント管理システムでは、運転状態に基づいて、安全運転の度合い及びエコ運転の度合い等を点数化することによって、利用者の運転の評価を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開第2020-95403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のように、利用者の利用状態を点数化し、当該点数に基づいて利用者にポイントを付与する場合、利用状態が残価に具体的にどのように反映されるのかを利用者が把握することが難しい。利用者が自身の利用状態に対する見返りに関する情報を適切に得られない場合、利用者が物品の価値を保つように利用することが難しくなる。
【0006】
そこで、本発明は、利用者に物品の価値を保つような物品の利用を促すことが可能な、物品利用支援装置、物品利用支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る物品利用支援装置は、物品を利用する利用者による物品の利用状態を示す利用情報及び物品を識別するための基本情報を取得する情報取得部と、利用情報及び基本情報を価格算出装置に送信し、価格算出装置が利用情報及び基本情報に基づいて算出した物品の物品価格を価格算出装置から取得する価格取得部と、所定のタイミングにおける物品価格及び記憶部に記憶された設定価格に基づいて、利用者に電子的価値を提供する電子的価値提供部と、を備える。
【0008】
また、物品利用支援装置では、電子的価値提供部は、物品価格と設定価格との差額を電子的価値によって提供してもよい。
【0009】
また、物品利用支援装置は、基本情報及び物品価格に基づいて利用状態に対する評価情報を生成する利用評価モデルを用いて、利用者の評価情報を利用者に提示する利用評価部、をさらに備えてもよい。
【0010】
また、物品利用支援装置では、所定のタイミングは、第1タイミングであり、物品価格は、第1物品価格であり、価格取得部は、第1タイミングより前の第2タイミングにおける物品の第2物品価格を取得し、物品利用支援装置は、第2物品価格と設定価格とに基づいて、第1タイミングにおいて利用者が提供される電子的価値に関する情報を、第2タイミングにおいて利用者に提示するインセンティブ提示部、をさらに備えてもよい。
【0011】
また、物品はパーソナルコンピュータであり、情報取得部は、利用情報として、パーソナルコンピュータの電源稼働時間又は電源稼働頻度を取得してもよい。
【0012】
本発明の他の態様に係る物品利用支援方法は、コンピュータが、物品を利用する利用者による物品の利用状態を示す利用情報及び物品を識別するための基本情報を取得することと、利用情報及び基本情報を価格算出装置に送信し、価格算出装置が利用情報及び基本情報に基づいて算出した物品の物品価格を価格算出装置から取得することと、所定のタイミングにおける物品価格及び記憶部に記憶された設定価格に基づいて、利用者に電子的価値を提供することと、を含む。
【0013】
本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、物品を利用する利用者による物品の利用状態を示す利用情報及び物品を識別するための基本情報を取得する情報取得処理と、利用情報及び基本情報を価格算出装置に送信し、価格算出装置が利用情報及び基本情報に基づいて算出した物品の物品価格を価格算出装置から取得する価格取得処理と、所定のタイミングにおける物品価格及び記憶部に記憶された設定価格に基づいて、利用者に電子的価値を提供する電子的価値提供処理と、を実行させる。
【0014】
本発明によれば、利用者に物品の価値を保つような物品の利用を促すことが可能な、物品利用支援装置、物品利用支援方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る物品利用支援装置を有する物品利用支援システムの概略図である。
図2】本実施形態に係る物品利用装置のブロック図である。
図3】本実施形態に係る設定価格の一例が示される図である。
図4】設定価格と物品価格を説明するための図である。
図5】本実施形態に係る物品利用支援システムでの処理の概略を説明する図である。
図6】本実施形態に係る物品利用支援装置での処理を説明する図である。
図7】所定のタイミングにおける物品価格及び評価情報について説明するための図である。
図8】利用者に提供されるポイントの一例が示される図である。
図9】所定のタイミング以前のあるタイミングにおける物品価格及び評価情報について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0017】
図1には物品利用支援システム10の概略が示される。物品利用支援システム10は、物品利用支援装置101、利用者端末102a,102b及び価格算出装置103を備える。なお、特に区別の必要がない場合、利用者端末102a,102bを利用者端末102という。物品利用支援システム10において、物品利用支援装置101と利用者端末102a,102bとはネットワークNを通じて互いに通信可能に接続される。また、物品利用支援装置101と価格算出装置103とはネットワークNを通じて互いに通信可能に接続される。
【0018】
物品利用支援装置101は、所定のプログラムを実行することによって、利用者端末102及び価格算出装置103からの情報に基づいて、利用者端末102の利用に対するフィードバックを利用者に行うよう構成されたサーバ等の情報処理装置である。物品利用支援装置101によるフィードバックには、ポイントなどの電子的価値を利用者に提供することや、利用状態の評価及びある時点での利用者端末102の価格等を利用者に提示することが含まれる。
【0019】
利用者端末102は、利用者が利用する電子機器であり、ここでは、パーソナルコンピュータであるとする。より具体的には、ノートパソコンである。利用者は、リース会社とのリース契約に基づいて、利用者端末102を利用するものとする。すなわち、利用者はリース契約で定められたリース期間の終了時に、ある価値を有している利用者端末102をリース会社に返却する。なお、利用者端末102は、スマートフォン又はタブレット端末等であってもよい。
【0020】
利用者端末102a,102bはそれぞれ状態取得部1021a,1021bを有する。状態取得部1021a,1021bをまとめて状態取得部1021という。状態取得部1021は、利用者端末102の利用状態に関する情報を取得し記憶する部分である。状態取得部1021は、例えば、利用者端末102の電源稼働時間、電源稼働頻度、キーボード利用状態又は落下の回数等を記憶する。状態取得部1021が取得する情報が利用情報である。状態取得部1021は利用者から、アンケート画面などを通じた利用状態の入力を受け付けて、利用状態としてもよい。また、利用者端末102には各端末の型式等を識別するための基本情報が記憶部等に記憶されている。なお、図1では2つの利用者端末102a,102bが図示されているが、1つ又は3つ以上の利用者端末が用いられてもよい。
【0021】
価格算出装置103は、利用情報及び基本情報に基づいて、利用者端末102の価格を算出する。価格算出装置103は、例えば、中古市場のデータベース等にアクセス可能であり、それらのデータベースにアクセスし、利用情報及び基本情報に基づいて、利用者端末102の価格を算出する。価格算出装置103によって算出される利用者端末102の価格がある時点における物品価格である。
【0022】
図2には、物品利用支援装置101のブロック図が示される。物品利用支援装置101は、通信部201、記憶部202、情報取得部203、価格取得部204、利用評価部205、インセンティブ提示部206及び電子的価値提供部207を有する。物品利用支援装置101の各部は、例えば、物品利用支援装置101において、メモリ等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサが実行したりすることによって、実現することができる。
【0023】
通信部201は、ネットワークNを通じた物品利用支援装置101と外部との通信を制御する。
【0024】
記憶部202には、物品利用支援装置101で用いられる各種情報や物品利用支援装置101の動作に必要なプログラムが記憶される。また、記憶部202には、図3に示されるように、リース契約における残価情報が記憶される。残価情報は、「利用者ID」、「端末ID」及び「設定残価」の項目を有する。「利用者ID」は、利用者を識別するための識別情報である。「端末ID」は、各利用者が使用する端末を識別するための識別情報である。例えば、利用者端末102aが端末ID「PC001」の端末であり、利用者端末102bが端末ID「PC002」の端末である。「設定残価」は、リース契約に際して予め定められたリース期間終了時の端末の価格すなわち残価である。
【0025】
情報取得部203は、利用者端末102のそれぞれから利用情報及び基本情報を取得する。情報取得部203による情報の取得は、リース期間終了時に行われてもよく、あるいは、利用者が指定する他のタイミングで行われてもよい。
【0026】
価格取得部204は、情報取得部203が取得した利用情報及び基本情報を価格算出装置103に送信する。価格取得部204は、送信された利用情報及び基本情報に基づいて算出された利用者端末102の価格を価格算出装置103から取得する。
【0027】
利用評価部205は、情報取得部203が取得した基本情報及び価格取得部204が取得した利用者端末102の価格に基づいて利用状態に対する評価情報を生成する利用評価モデルを用いて、利用者の利用状態に対する評価情報を利用者に提示する。利用評価モデルは、例えば、当該製品の型式、当該製品が他の利用者によって利用された場合におけるリース期間中の価格及びリース終了時の実際の残価と、当該他の利用者による利用への評価との組を教師データとして学習されたモデルである。
【0028】
利用評価部205は、評価情報を利用者に提示するために、評価情報に関する情報を生成するための情報を利用者端末102に送信する。
【0029】
インセンティブ提示部206は、リース終了時より前のタイミングにおける利用者端末102の価格を取得する。インセンティブ提示部206は、利用者端末102の価格と設定残価とに基づいて、リース終了時において利用者が提供されるポイントに関する情報を、リース終了時より前のタイミングにおいて利用者に提示する。
【0030】
例えば、インセンティブ提示部206は、リース終了前の時点で、その時点における利用者端末102の価格と設定残価との差額に基づいてリース終了時に利用者が得られる将来的なインセンティブとして、ポイントに関する情報を利用者に提示する。インセンティブ提示部206は、インセンティブを利用者に提示するために、インセンティブに関する情報を表示するための情報を利用者端末102に送信する。
【0031】
電子的価値提供部207は、リース期間が終了したタイミングにおける利用者端末102の価格及び記憶部202に記憶された設定残価に基づいて、利用者にポイントを提供する。電子的価値提供部207は、物品利用支援装置101に設けられるポイント管理部(不図示)によって各利用者のポイントを管理してもよく、物品利用支援装置101とは異なる装置によって各利用者のポイントを管理してもよい。付与されたポイントは、例えばリース企業への支払や、他のサービスの支払等に用いることが可能である。ポイントの提供例については後述する。
【0032】
図4を参照して、リース期間の開始から終了までの物品の価格等について説明する。図4では、横軸を時間、縦軸を価格として、時間経過に伴う利用者端末102の価格の減少が示される。図4の曲線P0はリース期間の当初において想定される価格の減少を示す。価格は、リース開始時にあたる時期T0からリース終了時にあたる時期T1まで減少することが示される。曲線P0では、リース開始時点では、時期T1における利用者端末102の残価はp0として見積もられていることが示される。
【0033】
曲線P1は、時期T0から時期T1までのある期間における時期T2からリース終了時までの実際の価格の推移を示す曲線である。曲線P2は、時期T0から時期T2までの実際の価格の推移を示す曲線である。曲線P1及び曲線P2によって、時期T0から時期T1までの実際の価格の推移が示される。
【0034】
電子的価値提供部207は、時期T1において、利用者端末102の価格を取得し、残価との差分を、利用者へのポイントとして提供する。具体的には、時期T1において、価格取得部204が取得した価格p1と、記憶部202に記憶されている時期T1での残価p0との差分D1に相当するポイントを利用者に提供する。
【0035】
また、インセンティブ提示部206は、時期T1より前の時期T2において、価格取得部204が取得した価格p2及び時期T1における残価p0に基づいて、利用者にインセンティブを提示する。例えば、インセンティブ提示部206は、価格p2と残価p0との差分D2をインセンティブとして提示してよい。これにより利用者は、将来的な時期T1における利用者端末102の価格とは異なるものの、利用者端末102が有する価格と残価との差を把握することができ、自身の利用の程度を知ることができる。
【0036】
差分D2が例えば初期価格と比較してもなお大きい場合、利用者は、時期T1においてもより多いインセンティブが得られるだろうと予期できるため利用者端末102の価格が低下しないように丁寧に利用する可能性が高まる。一方、差分D2が初期価格に比べて小さい場合、利用者は、自身の利用が適切でなかったことを理解することで、時期T1まで利用者端末102の価格がより低下することを避けるように丁寧に利用する可能性が高まる。
【0037】
また、インセンティブ提示部206は、他の利用者の価格推移の結果や技術動向の変化に基づいて、将来的な価格の推移及び時期T1における価格を推定してもよい。このとき、図4において点線で示した曲線P1は、実際の値ではなく推定された価格として見ることとする。他の利用者の価格推移の結果及び技術動向の変化は記憶部202に記憶され、推定モデルを用いて価格の推定が行われるようにできる。インセンティブ提示部206は、推定した価格p1と残価p0とに基づく推定された差分D1を、インセンティブとして時期T2において利用者に提示してもよい。
【0038】
図5を参照して、物品利用支援システム10における利用者端末102の価格及び評価情報の表示までの処理の概略について説明する。ステップS501において、利用者端末102は、ある時点までの利用者端末102の利用情報を記録する。
【0039】
ステップS502において、利用者端末102は、利用者から利用者端末の価格及び評価情報を取得するリクエストを受け付ける。ステップS503において、状態取得部1021は、利用者端末102に記憶される利用情報及び基本情報を参照する。
【0040】
ステップS504において、利用者端末102は取得した利用情報及び基本情報を物品利用支援装置101に送信する。
【0041】
ステップS505において価格取得部204は、利用情報及び基本情報を価格算出装置103に送信する。ステップS506において、価格算出装置103は、利用情報及び基本情報に基づいて利用者端末102の価格を算出する。ステップS507において価格算出装置103は、利用者端末102の価格に関する情報を物品利用支援装置101に送信する。
【0042】
ステップS508において、物品利用支援装置101は、基本情報及び利用者端末102の価格に基づいて、評価情報を生成する。
【0043】
ステップS509において、物品利用支援装置101は、利用者端末102に利用者端末102の価格に関する情報及び評価情報を送信する。利用者端末102に、利用者端末102の価格に関する情報や評価情報が画像や文字によって表示されることで、利用者は利用者端末102のその時点での価格及び利用状態の評価を知ることができる。
【0044】
図6を参照して物品利用支援装置101におけるポイントの付与処理及びインセンティブの提示処理について説明する。
【0045】
ステップS601において、情報取得部203は、利用者端末102から利用者端末102の価格を算出するリクエストを取得する。ステップS602において、情報取得部203は、利用者端末102から利用情報及び基本情報を取得する。
【0046】
ステップS603において、価格取得部204は、取得した利用情報及び基本情報を価格算出装置103に送信する。ステップS604において、価格取得部204は、価格算出装置103から利用者端末102の価格を取得する。
【0047】
ステップS605において、利用評価部205は、利用者端末102及び利用者端末102の利用者に関連付けられて記憶部202に記憶される利用者端末102の残価を参照する。ステップS606において、利用評価部205は、基本情報、利用者端末102の価格及び残価に基づいて評価情報を生成する。
【0048】
ステップS607において、電子的価値提供部207は、価格算出のリクエストがあったタイミングが、リース終了時であるか否かを判断する。
【0049】
ステップS607にて肯定判断された場合、すなわちリース期間が終了し、利用者端末102の返却が行われる場合、ステップS609において、電子的価値提供部207は、記憶部202から設定残価を取得する。また、電子的価値提供部207は、利用者端末102の価格と設定残価との差分を算出する。
【0050】
ステップS609において、電子的価値提供部207は、差額に応じたポイントを利用者に付与する。ステップS610において、電子的価値提供部207はポイントに関する情報を利用者端末102に表示するための情報を生成する。ステップS611において、電子的価値提供部207は、評価情報に関する情報を利用者端末102に表示するための情報を生成する。
【0051】
ステップS612において、電子的価値提供部207は、生成した情報を利用者端末102に送信する。
【0052】
ステップS607にて否定判断された場合、すなわち、すなわちリース期間の途中に利用者端末102の価格及び利用状態の評価があった場合、ステップS613において、インセンティブ提示部206は、記憶部202から設定残価を取得する。また、インセンティブ提示部206は、利用者端末102の価格と設定残価との差分を算出する。
【0053】
ステップS614において、インセンティブ提示部206は、差額に関する情報を利用者端末に表示するための情報を生成する。ステップS615において、インセンティブ提示部206は、評価情報に関する情報を利用者端末102に表示するための情報を生成する。
【0054】
ステップS616において、インセンティブ提示部206は、利用者端末102に生成した情報を送信する。
【0055】
図7には、リース期間終了時に、電子的価値提供部207によって算出された差額及び利用評価部205による評価情報の一例が示される。図7の例では、利用者ID「USER001」の利用者は、設定残価が「50,000円」であったのに対し、リース期間終了時の価格は「65,000円」である。例えば、端末ID「PC001」の端末は、他の利用者の価格等から、リース終了時において価格が下がる傾向を有する等の理由によって、利用評価部205の評価情報に基づく利用評価は「A」となる。また、利用者ID「USER002」の利用者は、設定残価が「60,000円」であったのに対し、リース期間終了時の価格は80,000円である。この場合、端末ID「PC002」の端末は価格が下がりにくい等の理由によって、利用評価は「B」となる。また、利用者ID「USER003」の利用者は、価格が設定残価を上回っていないため、利用評価は「C」となる。
【0056】
図8には、図7の差額に基づいて、電子的価値提供部207が各利用者に付与したポイントの一例が示される。この場合は1ポイントが1円として、差額全額が付与されているが、各利用者に提供されるポイントは必ずしも差額と同額である必要はない。差額より少ない額に相当するポイントが各利用者に付与されてもよい。
【0057】
図9には、リース期間中に、インセンティブ提示部206によって算出された差額及び利用評価部205による評価情報の一例が示される。図9の例では、利用者ID「USER001」の利用者について、この時点での端末の価格は70,000円である。この場合、例えば、端末ID「PC001」の端末はこの時点では、価格が下がりにくい等の理由によって、利用評価部205の評価情報に基づく利用評価は「B」となる。このように、途中段階での評価と、リース終了時の評価とは変化してもよく、同じであることもある。
【0058】
また、利用者ID「USER002」の利用者は、設定残価が60,000円であったのに対し、この時点での端末の価格は90,000円である。例えば、端末ID「PC002」の端末は、リース期間の開始から一定期間は価格が下がりやすい等の理由によって端末価格がより低いのが通常である場合、利用評価部205の評価情報に基づく利用評価は「A」となる。
【0059】
リース期間中に、図9に示した情報に基づく画面等を提示された利用者は、差額を確認することにより、将来の時点で図7のように受け取ることのできる差額が、ある程度確保されていかどうかを知ることができる。また、評価情報を確認することによって、自身の差額が例えば他の利用者や過去の実績等と比較してどの程度なのかを知ることができる。これにより、利用者がリース期間中に丁寧に利用者端末102を利用するようにできる。
【0060】
本実施形態では、利用者がリース契約に基づいて利用者端末102を利用する場合について説明したが、物品利用支援装置101は、企業等が一括してリース契約した物品の利用に対しても用いることができる。その場合、電子的価値提供部207は、各利用者端末102の残価及びリース終了時の価格に基づいて、企業等に一括してポイントを与えるようにしてもよい。企業等が利用者に対してポイントを分配することによって、利用者に、利用に対しての対価を与えるようにしてもよい。
【0061】
また、物品利用支援装置101はリース契約における物品の利用のみを想定したものではない。例えば、企業等が設備投資として購入したノートパソコンを、従業員に使用させ、一定期間経過後に売却する場合にも物品利用支援装置101を用いることができる。この場合、記憶部202には、設定残価ではなく、想定される売却価格が利用者及び端末に関連付けられて記憶される。すなわち、物品利用支援装置101では、設定価格としては、残価に限らず、売却価格が設定され得る。利用評価部205、インセンティブ提示部206及び電子的価値提供部207は、売却価格に基づいて、評価情報の生成、差額の算出、インセンティブの提示及びポイントの付与を行うようにしてもよい。
【0062】
以上本実施形態について説明した。本実施形態に係る物品利用支援装置101は、利用者端末102を利用する利用者による利用者端末102の利用状態を示す利用情報及び利用者端末102を識別するための基本情報を取得する情報取得部203と、利用情報及び基本情報を価格算出装置103に送信し、価格算出装置103が利用情報及び基本情報に基づいて算出した利用者端末102の価格を価格算出装置103から取得する価格取得部204と、リース終了時における利用者端末102の価格及び記憶部202に記憶された設定残価に基づいて、利用者に電子的価値を提供する電子的価値提供部207と、を備える。
【0063】
電子的価値提供部207は、リース終了時の利用者端末102の価格と設定残価とに基づいて、利用者に電子的価値としてポイントを提供する。これにより、利用者が、自身の利用状態に基づく価格が残価に対してどの程度であるかを、直接的に把握することができるので、利用者が利用者端末102をより丁寧に扱い、利用者端末102の価値を保つような利用を促すことが可能となる。
【0064】
また、電子的価値提供部207は、利用者端末102の価格と設定残価との差額をポイントによって提供してもよい。これにより、利用者の利用状態に基づく対価が、利用者にとってより理解しやすく提供されるので、利用者端末102の価値を保つような利用をより促すことが可能となる。
【0065】
また、物品利用支援装置101は、基本情報及び利用者端末102の価格に基づいて利用状態に対する評価情報を生成する利用評価モデルを用いて、利用者の評価情報を利用者に提示する利用評価部205、をさらに備えてもよい。これにより、利用者は、自身の利用状態の結果として示される利用者端末102の価格が、残価に対して十分に維持できているのかということを把握することが可能となる。さらに、利用者が利用者端末102の価格が他の利用者の場合と比較してどの程度なのかということを把握可能とすることで、より適切な利用を促すことができる。
【0066】
また、物品利用支援装置101では、価格取得部204は、リース終了時の時期T1より前の時期T2における利用者端末102の価格p2を取得し、物品利用支援装置101は、価格p2と残価p0とに基づいて、時期T1において利用者が提供されるポイントに関する情報を、時期T2において利用者に提示するインセンティブ提示部206をさらに備えてもよい。これにより、利用者は将来の時期T1に得られるポイントを、価格p2と残価p0の差額等から予期することができる。よって、時期T1より前の時期T2において、利用者が利用者端末102をより丁寧に扱うように促すことができる。
【0067】
また、利用者端末102はパーソナルコンピュータであり、情報取得部203は、利用情報として、パーソナルコンピュータの電源稼働時間又は電源稼働頻度を取得してもよい。
【0068】
例えば自動車をリースする場合に行われるような定期的な点検等は、パーソナルコンピュータをリース利用する場合には行われにくい。点検等が行われる場合は、修復や部品の交換が必要となることで、利用者は利用の状態を把握可能である。一方、点検等がない場合、利用者はリースされたパーソナルコンピュータの利用状態を把握することが難しい。物品利用支援装置101では、その時点での価格を示すことによって、パーソナルコンピュータである利用者端末102の利用状態を利用者に示すことができる。これにより、点検等が定期的に行われにくい物品に対しても、利用者がより丁寧に物品を扱うようにすることができる。
【0069】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその条件等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0070】
101…物品利用支援装置、102…利用者端末、103…価格算出装置、201…通信部、202…記憶部、203…情報取得部、204…価格取得部、205…利用評価部、206…インセンティブ提示部、207…電子的価値提供部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9