(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】野菜の育種法
(51)【国際特許分類】
A01G 22/15 20180101AFI20241203BHJP
【FI】
A01G22/15
(21)【出願番号】P 2024141763
(22)【出願日】2024-08-23
【審査請求日】2024-08-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】722009718
【氏名又は名称】佐々木 優
(72)【発明者】
【氏名】佐々木優
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7385070(JP,B1)
【文献】特開2022-113045(JP,A)
【文献】茶,日本,公益社団法人静岡県茶業会議所,2022年12月01日,Vol. 75, No. 12,pp. 36 - 37
【文献】園芸学会雑誌,日本,2006年,Vol. 75, No. 2,pp. 191 - 198
【文献】山梨総農セ研報,日本,2011年,Vol. 4,pp. 37 - 40
【文献】Field Biologist,日本,2014年,Vol. 22, No. 1,pp. 8 - 11
【文献】植物の地下での情報のやりとりを発見~地下茎で繋がった植物株間でのコミュニケーション~,新潟大学ニュース,日本,2022年02月04日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 22/15
A01H 1/00-17/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シソ科のハーブであるミントと、食用のハーブであるハーブ野菜とを土壌に植え付け、前記ミントの香気を前記ハーブ野菜に付与する野菜の育種法であって、
前記ミントと前記ハーブ野菜との植付距離D1が、300センチ≦D1≦400センチであり、
前記ミントの周囲の土壌の上に重しを配置し0.5パスカル≦P≦10パスカルキロの圧力を20日以上30日以下の期間与える圧迫工程と、圧迫から開放した後24時間以上72時間枯れないようにしつつ栄養と水分を枯渇させるストレス付与工程と、
気温T1が0℃<T1≦10℃の条件下において、土壌を自然乾燥させる乾燥工程と、を実施し、乾燥工程の後肥料の散布を行う施肥工程の時、前記施肥工程では、肥料を与えることにより前記ミントの香気を前記ハーブ野菜に付与することを特徴とする野菜の育種法。
【請求項2】
請求項1の育種法で育種された前記ハーブ野菜と、これとは別の野菜とを、
280センチ≦D2≦380センチの植付距離D2で土壌に植え付け、気温T1が0℃< T1≦10℃の条件下において、
路地が乾きカラカラになった時に肥料を与えることにより前記野菜を育種することを特徴とする請求項1に記載の野菜の育種法。
【請求項3】
前記ハーブのミントが、スペアミント系統とペパーミント系統の両方の特性を持つこともしくは、スペアミント系統のみであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の野菜の育種法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願出願人の発明であるハーブの育種法の原理を利用し、条件を解明したことで今まで出来なかったキャベツやケール等の野菜に意図的に香気成分を吸収させる育種法。
【背景技術】
【0002】
今までハーブ同士の育種法は開発したため存在する。(特許文献1参照。)
【0003】
しかし、ハーブと野菜は明らかに異種であり、交雑しなかった。そのため育種法は存在しない。
【0004】
自然界でもハーブと野菜の自然交雑は確認出来ていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】「植物の地下での情報のやりとりを発見~地下茎で繋がった植物株間でのコミュニケーション~」新潟大学(https://www.niigata-u.ac.jp/news/2022/100246/ )
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、ハーブ同士を交雑させ意図的に新品種とする手段は少なかった。ゲノム編集技術では可能であったが、多額の費用がかかってしまうことと交雑では長い年月がかかってしまっていた。
【0008】
それを解決したものが本願出願人の特許である特許文献1である。エビデンスとして非特許文献1を参照願いたい。
【0009】
特許文献1であってもハーブ同士は可能になった。しかし、ハーブと他の異種植物に関しては不可能であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明によれば、シソ科のハーブであるミントと、食用のハーブであるハーブ野菜とを土壌に植え付け、前記ミントの香気を前記ハーブ野菜に付与する野菜の育種法であって、前記ミントと前記ハーブ野菜との植付距離D1が、300センチ≦D1≦400センチであり、前記ミントの土壌の上に重しを配置し0.5パスカル≦P≦10パスカルキロの圧力を20日以上30日以下の期間与える圧迫工程と、圧迫から開放され24時間以上72時間枯れないようにしつつ栄養と水分を枯渇させるストレス付与工程と、気温T1が0℃<T1≦10℃の条件下において、土壌を自然乾燥させる乾燥工程と、を実施し、乾燥工程の後肥料の散布を行う施肥工程の時、路地が乾きカラカラになった時に肥料を与えることにより前記ミントの香気を前記ハーブ野菜に付与することを特徴とする植物の育種法。
【0011】
請求項2の発明によれば、請求項1の育種法で育種された前記ハーブ野菜と、これとは別の野菜とを、280センチ≦D2≦380センチの植付距離D2で土壌に植え付け、気温T1が0℃<T1≦10℃の条件下において、路地が乾きカラカラになった時に肥料を与えることにより前記植物を育種することを特徴とする請求項1に記載の植物の育種法。
【0012】
請求項3の発明によれば、前記ハーブのミントが、スペアミント系統とペパーミント系統の両方の特性を持つこともしくは、スペアミント系統のみであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の植物の育種法。
【発明の効果】
【0013】
自然光でも可能ではあるがより簡易的な方法として、人工光を人の生活レベルの光量である30ルクスから75ルクス内とし交雑させる野菜の親苗が幼苗である時、60分以上90分間放置しつつ栄養が枯渇したサインを見極めるため、野菜の親苗の状態を伺い、栄養が枯渇した状態となったときに、飢餓状態のサインである野菜の幼苗に活気がなく、水分を失いかけ鮮度が著しく低下した時水分と 200 程度の分子量の調香アロマオイルを与える。それにより、野菜の幼苗が生きるために水分と香気成分を同時に吸収し、野菜苗に香りを付与出来る。
【0014】
香りの相性として野菜の株は香りが強いものが良い。そしてミントは香りが甘くスパイスも含む香りのある品種と相性がとても良い。
【0015】
ミント苗と野菜の幼苗との交雑も可能であり、5センチ以上15センチ以下の距離を置くことで交雑した。そこに200程度の分子量の調香アロマオイルや光量を調整することで香りをより複数付与することが可能となった。
それ以外5センチ以下の近い距離では交雑は起こらないか、予想以上の2か月以上もの時間を要して交雑するか。どちらかであった。それ以外の15センチ以上の距離では何も変化は起きなかった。同様に D1の300センチ以下では交雑は起きないか予想以上の2か月以上の時間を要して交雑するかであった。400センチ以上でも変化は何も起きなかった。 D2の距離でも280センチ以下では交雑が起きないか予想以上の2か月以上の時間を要して交雑するかであった、380センチ以上でも変化はなかった。この事から短い距離では予想以上の時間がかかって交雑する場合はあるが、指定の距離以上では交雑は起きない。
【0016】
ストレス付与工程1として気温が0℃<T1≦10℃であり、この状態が20日以上30日以下続くことを第1の条件とし、この条件を満たした時に、飢餓状態のサインである野菜の幼苗に活気がなく、水分を失いかけ鮮度が著しく低下した時水分と 200 程度の分子量の香気成分を与える。それにより、野菜の幼苗が生きるために水分と香気成分を同時に吸収し、野菜苗に香りを付与出来る。が起こることにより、香りが変化し共に新品種となる。
【0017】
そしてミントと野菜の株の距離として、300 センチ≦D1≦400センチの距離を離すことを必要とし、その間は完全に無草状態とする。理由として純粋に香りを変化させるためである。他の植物があるとその香気成分も移ってしまう。
【0018】
無草状態と生命維持ストレスを加えることにより香りのコントロールも可能となる。それは育種が完了する前もしくは、育種が完成した状態でミントの親苗の上に容器の中に0.5から10キロパスカルの土等を入れ重しとする。そして親ハーブの地上部に見える根そのものを圧迫する。それにより親ミントがストレスを感じ、300センチ≦D1≦400センチの距離にいる野菜の親苗から養分をもらい代わりに親ミントは香気成分を野菜の親苗に提供する。この状態で20以上30日以下の間様子観察を行う。この間水は、普通とし土壌がカラカラにならず湿っている状態を保つ。
【0019】
聖ミントなどのミントを圧迫することにより香りが増強することとともに、圧迫が20日以上30日以上という長期間継続されることにより生命維持ストレスが最大になり近くもしくは隣にいるワイルドストロベリー系統のチリイチゴ等、果物としてイチゴはなるが葉がハーブである果物的野菜を吸収し交雑する。
そして、ミントのある土壌を圧迫されることにより陽光が遮られる。これにより茎は白くなり香りが強くなり始める。地温も朝露等により低下し陽光による温度上昇もないため、5℃から10℃付近で保たれる。この条件になるとミントも生きるため他品種及び果物的野菜を吸収と交配を行う。この原理を利用し、相性のいい果物的野菜等を無草状態で植えることにより20日以上30日以下で育種できる。状態観察は常に行うこととする。
【0020】
圧迫についてである。圧迫されるパスカルは品種によって異なった。まず果菜については0.5キロパスカルからとする。場所は地上部の本体の周辺の土壌に前記の圧迫を行う。これにより前記のストレス反応が起こり香りと食味、栄養素を変化させる。
【0021】
葉物野菜について。はちみつケールの育種の際はちみつミントを圧迫するわけだが、ミントを圧迫する場合、10キロパスカルとし果菜と同じく地下茎が伸びている地上部を圧迫する。これによりカーリーケールにはちみつの香りが移りはちみつケールとなる。
【0022】
野菜とハーブ野菜が交雑するのには、一定の距離が必要かつストレス付与も重要であった。気温も3℃からと低温であるほうが交雑しやすい。春もしくは夏では交雑は起こらなかった。野菜の場合交雑することに多大な生命力が必要ですぐに栄養が枯渇して野菜そのものが極小玉になりやすい。
【0023】
そのため、リンを含む肥肥料を与えることと、全草に日当たりを良くするため、葉を間引くとも必要であった。これを行う事で食味や極小玉化を改善できた。
【0024】
野菜とハーブ野菜の交雑にあたり、距離を一定にすることだけでは時間がかかる為野菜とハーブ野菜にコミュニケーションが必要であった。香りを持たせることと、交雑を速めるためにも他植物の仲介があるとよりスムーズであった。実験と考察の中で解った事だが、ニホンズスイセンは距離的に条件を満たしていたが、毒性があることと相性が良くないため、コミュニケーションの仲介は出来なかった。仲介に向く植物としては、香りがあり生命力も強い多年草である植物が最適であった。
【0025】
それはハーブの1つであるミントであった。ミントがスギナやよもぎと植物間コミュニケー ションを計っていることは、先願出願人の特許であるハーブの育種法で詳しく記載している。ミントはスギナやよもぎと言ったハーブと近くにいるミントも含めコミュニケーションを計り養分や香気成分をやり取りしているのは明らかである。この事は先願出願人の特許ハーブの育種法で生まれた新品種は既存品種よりコミュニケーション能力が多彩であった。
【0026】
本願出願人の特許ハーブの育種法で生まれた新品種はちみつミントがある。これを親ハーブ苗として、300センチ≦D1≦400センチの距離にあるハーブ野菜であるカーリーケールとの交雑が確認された。本意から願出願人の特許であるハーブの育種法では、ハーブ同士の時は15センチ以上25センチ以下の距離にするという条件とは異り、ミントとハーブ野菜の時は距離が長った。
【0027】
はちみつミントとカーリーケールが300センチ≦D1≦400センチ以下の距離にある場合、液肥は週に2回 4 滴から 8 滴の液肥のみを与えることで交雑は7日から14日の間で完了し、カーリーケールは新品種となりはちみつケールとなった。気温は0℃≦T1≦10℃であった。水は自然の雨と朝露のみであった。そしてはちみつミントはそのままの品種で生存した。
【0028】
このはちみつケールにも変化があり交雑が起こった。はちみつケールから280センチ≦ D2≦380センチの距離でハーブ野菜のルッコラと野菜のキャベツを複数株植えていた。液肥は皆無。水は自然の雨と朝露のみであった。気温は0℃<T1≦10℃であった。交雑が確認されたのが2024年3月初旬であった。結論から記載するとルッコラとキャベツがはちみつケールと交雑したのである。同時期であった。はちみつケールに花が咲いた時は確認している。その時には、ルッコラとキャベツには花が無く受粉出来る蜂やバッタも晩冬の為いない。よって花粉による交雑は不可能である。大事を取って鉢にミント、カーリーケール、キャベツ苗を植え、同条件で育種した。
【0029】
はちみつケールとキャベツの新品種をはちみつキャールとする。はちみつの香りがあるためケール独特の苦味がかき消され、微かに甘く感じる。逆にはちみつミントにキャベツの特性が付与される事はなかった。
【0030】
香りの選択だが、今回ははちみつミントで行ったが同条件であればミントを変えることでケールやキャールに付与される香りは違ってくる。例えとしてフルーツフレーバーのミントであればフルーツフレーバーを持ったケールやキャールが誕生する。と言ったように香りの付与も自在である。
【0031】
はちみつケールとキャベツの交雑であるが、交雑する距離がハーブと異なっているばかりではなく、はちみつミントとカーリーケールとの交雑する距離とも異なっていた。距離も280センチ≦D2≦380センチと長く、その沿線上にハーブがいる事が重要であった。ミントやハーブに関して解ったことだが、本願出願人の特許ハーブの育種法に記したハーブとスギナのコミュニケーションがミンとハーブ野菜そして野菜間でも起こる事がわかった。まずはちみつミントとカーリーケールがコミュニケーションを計り、ミントははちみつの香気成分をカーリーケールに渡す。カーリーケールはその豊富な生命力をはちみつミントに与えたのである。これによりはちみつミント、カーリーケール共に強いストレス下でも生きていける。そして双方共に新品種として生まれ変わる。
【0032】
この事をカーリーケールがキャベツに行いはちみつケールの甘みと豊富な栄養素をキャベ ツに与え、キャベツよりキャベツの栄養素をもらうのである。ここでも大きな発明があった。生命力と香気成分どちらを分け与えるかである。まずその野菜が香気成分を持っていなければならない。双方、香気成分を持っている場合は香気成分の交換が起こる。そして新品種となる。
要はここである。生命力を分けるという事は生命力が過分でなければならない。そしてそれは一株だけで十分な生命力を保持していなければならないという事ではなかった。周りにいる仲間たちの生命力を加算されていた。そこにも距離の指定があり60センチの囲にいる同種同士の同じ野菜であるということであった。
【0033】
片親がミントである理由として、コミュニケーションをハーブ野菜もしくは野菜と取らせるためであることと、香気成分を付与することである。どちらも親苗が野菜ではコミュニケーションは成立しない。よってどちらかがミントである必要がある。
そしてそのミントにも系統があり、コミュニケーションが得意とするものが異なる。主にペパーミント系統はハーブ同士のコミュニケーションを得意とする。スペアミント系統は万能でありコミュニケーション相手を選ばないが香りがペパーミント系統に比べ少し弱い。そのため両方の特性を持つ、出願人の特許で育種した聖ミントのようなタイプが好ましい。
【0034】
ケールについて同じ条件下の元、カーリーケールにも同様のことが起こった。カーリーケールは完全に野菜でありスーパーフードである。カーリーケールから他品種を脅かすことはないものの近くに先行技術文献の条件を満たすハーブが居る場合、カーリーケールとミントの交雑が起こる。先行技術文献にもあるように植物は大地で根や茎を介し養分や香気成分のやり取りとコミュニケーションを行っている。それと同じ事が野菜でもあるカーリーケールにも起こった。このことが起こった距離はやはり300センチ≦D1≦400センチであり、気温も0℃≦T1≦10℃であった。そして交雑下はちみつミントのマスター株も圧迫育種も行っていた。そのため強い生命維持ストレスがかかり隣りにいたカーリーケールと香気成分のやり取りを行った。すなわちカーリーケールからはちみつミントが生きる養分をもらう代わりにはちみつミントはカーリーケールにはちみつの部分の香気成分を提供したことになる。この理論であれば他の野菜特に葉物のスーパーフードと野菜にはミントの香りを付与できる。
【0035】
当発明の育種法を室内かつ受粉できる虫のいない状態にして、気温など同じ条件で実験を行った。もちろん親苗に花は咲いておらず受粉できる虫も室内のためいない。そのため受粉は不可能だが念の為、親苗にビニール袋を被せて育種した。その結果、育種後野菜苗の見た目が変化した。葉がやや紫なり食味が外側はケールの苦みとキャベツの甘みが混在していた。中央の芯に近づくに連れ甘みが増していた。外見は、外側の葉がやや紫になった以外はキャベツであるが、香りと食味にはちみつが付与されていた。この品種を識別するために仮の名前としてはちみつミントとカーリーケールの新品種とキャベツの新品種のため、はちみつキャールとした。
【0036】
はちみつケールについては、本願出願人の特許7385070号にて生まれた新品種はちみつミント。この品種はニセアカシアとスペアミント品種である。このはちみつミントを当発明の育種法にて新品種として誕生させた後カーリーケールと交雑させたのがはちみつケールである。
【0037】
はちみつキャールの成分分析結果について。10キロパスカルの親ミントの圧迫と距離を指定しての育種出できた新品種であるが、栄養素は図面1に記載の通りである。そのデータによると脂質が既存品種の2倍、ナトリウム等に至っては10倍以上である。よってこの育種法は、野菜と果菜にとって有益であり栄養素を急上昇させるには最適である。
【0038】
飢餓状態のサインの見極め方については、本願出願人の特許第7385070号にも記載されているが、ハーブのミントの茎を収穫して 60 分以上 90 分以内の間、外気に晒した状態で前記ミントを放置するし、葉が活気がなく下を向いた状態であることを飢餓状態のサインとする。
【0039】
自然の降雨がある。降雨には養分が少なく一時的な生命維持である。そして水分は基本地中か地下にある。降雨初期は地上にも水分があるため植物は水分を吸収しやすい。植物が生きていく上で、梅雨明けや夏の水分が枯渇しやすい時期もあるのが事実である。梅雨明けから夏には地下や地中に溜まった水分がある。それを吸収出来れば植物は生きながらえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【発明を実施するための形態】
【0041】
ミントと食用ハーブを300センチ≦D1≦400 センチの距離に定植する。そして圧迫工程として0.5≦P≦10キロパスカルの圧力をかける。圧迫期間が20日以上30日以下の時に、圧迫を解放し24時間以上72時間放置し栄養と水分が枯渇したサインを見極め、枯渇した状態となった時に気温が0℃<T1≦10℃で土壌を自然乾燥させ、降雨が無くかつ虫類がいない3月から4月の時、路地が乾きカラカラになった時に肥料を与えることにより前記ミントの香気を前記ハーブ野菜に付与する。
【0042】
前記ミントの香気が付与された前記ハーブ野菜と、これとは別の野菜とを、280センチ≦ D2≦380センチの植付距離D2で土壌に植え付け、気温T1が0℃<T1≦10℃の条件下において、水やりは行わず日本の関東圏の3月から4月の降雨量をベースとし、降雨と朝露のみの時降雨が無くかつ虫類がいない3月から4月の時、路地が乾きカラカラになった時に肥料を与えることにより前記植物を育種することを次の工程として行う。
【0043】
ミントであればどの品種でも良いという訳ではなく、条件が存在した。それはハーブの特にミントに例えると説明しやすい。それはミントの系統である。ミントには、ペパーミント系統、スペアミント系統、アップルミント系統、その他系統とある。その系統により吸収する香気成分と異種品種が全く異なる。
【0044】
ペパーミント系統は、交配種をさらにワイルドストロベリーと交配させるべく、私のベースとなった先行文献の技術を使用し実験を行った。結果、180日経過後も変化は全く無くそれぞれが個別に成長した。
しかし、逆に同種同士の交配が得意で特にアップルミント系統との相性が良く交配が早い。
【0045】
スペアミント系統は、異種でも交配出来る。そして同種同士が少し苦手であるが、時間をかければ可能である。その期間としては、ペパーミント系統は同種であれば21日から28日であるのに対し、スペアミント系統は60日は必要となってくる。そのためスペアミント系統同士の交配は控える。
【0046】
アップルミント系統について。こちらの系統はランナーや地下茎で他品種を脅かすことは少ない。しかし、成長が速く他品種からの影響を逆に受けやすい。そして寒さや暑さ等の耐性に強いのも特徴で産毛の生えたウーリータイプになることも多い。
【0047】
アップルミント系統については、耐性を付与するのに役立つ系統である。先行技術文献の育種法も使うとで病への耐性、暑さや寒さへの耐性を意図的に付与することができる。その結果としてうぶ毛が生えるウーリータイプへと変化する。
その他の系統については、滅多に遭遇せず利点もない。
【0048】
上記の系統の選択と、圧迫育種を行うことにより果物的野菜との交雑が可能となった。この育種法の第一号品種がひじり聖ミントとワイルドストロベリー系統のチリいちごとの交雑である。その逆の組み合わせでベースがチリいちごで香りが聖ミントのイチゴも同時に成功誕生した。
【0049】
圧迫せずに飢餓状態の時に香気成分を与えたが、土に残る香気成分が香ることはあっても野菜苗から香ることはなく、様相の変化もなかった。この品種はサニーレタスであった。このことから圧迫が重要な要因である事が分かった。ハーブでは圧迫は0で必要無かったが野菜や果菜には必要であった。果菜に必要名圧迫は0.5キロパスカル付近であり指定の期間である30日前後で開放することで変化は起こった。0の圧迫では先述の通り変化はなかったため圧迫は必要である。
【0050】
聖ミントはペパーミント系統の親ミントとスペアミント系統の親ミントの新品種であり、両方の特性を持つ故に、今回の交雑が起こった。これを他のハーブで行う場合、先行技術文献の育種法でまずスペアミント系統のミントとハーブを交配させる必要がある。交配させる品種によってペパーミント系統を選択する。これにより幼苗であることも加えれば全てのミントと果物的野菜及び果樹との交配した新品種の育種が可能となる。
【0051】
飢餓状態のサインの見極め方については、本願出願人の特許第7385070号にも記載されているが、ハーブのミントの茎を収穫して 60 分以上 90 分以内の間、外気に晒した状態で前記ミントを放置するし、葉が活気がなく下を向いた状態であることを飢餓状態のサインとする。
【0052】
自然の降雨がある。降雨には養分が少なく一時的な生命維持である。そして水分は基本地中か地下にある。降雨初期は地上にも水分があるため植物は水分を吸収しやすい。植物が生きていく上で、梅雨明けや夏の水分が枯渇しやすい時期もあるのが事実である。梅雨明けから夏には地下や地中に溜まった水分がある。それを吸収出来れば植物は生きながらえることができる。
【0053】
この地中や地下から水分を吸い上げさらに地中や地下から養分も集めてくるのがコミュニュケータープランツである。このコミュニケータープランツはベースとなる植物すなわち、ハーブ、野菜、花卉によって異なる。しかし行っていることは同じである。
【0054】
コミュニュケータープランツが地中や地下から水分と養分を吸い上げ、ベースとなる植物に供給することが仕事である。そのため、コミュニケータープランツは地下茎が長くかつ生命力が強い事が必須である。このコミュニュケータープランツはベース植物の地下茎を通し、水分と養分を地下茎付近に放出する。香気成分の強弱で、コミュニケータープランツは、ベース植物の生命力が弱まったかどうかを判断している。
香気成分が弱いイコール全草に活気がなく生命のピンチであると判断し、コミュニケータープランツが地中や地下から水分と養分を吸い上げ、ベース植物の地下茎の届く範囲に放出する。
ベース植物は生命維持が困難で弱っていてすぐにでも水分と養分が欲しい。地下茎の届く範囲にあれば地下茎を伸ばし吸収する。水分と養分が補給され元気になれば香気成分放出量も元に戻る。これをコミュニケータープランツも察知し水分と養分の放出を止め自分自身が使う。
【0055】
この逆のことも起こり得る。ベース植物が活気に満ちているかつ余力がある時、コミュニケータープランツほど多く集められないが水分と養分、香気成分を生命維持が困難である状態のコミュニュケータープランツの地下茎の届く範囲に放出し吸収させる。この場合、コミュニケータープランツにも香気成分が付与される。これが植物間コミュニケーションである。
【0056】
当発明でのコミュニケータープランツは、ハーブのミントであった。
【実施例】
【0057】
はちみつケール及びはちみつキャールや果菜も含め5品種成功している。
【産業上の利用可能性】
【0058】
フルーツ特性を持ったハーブ野菜の新品種の育種
【0059】
ハーブの特性を持ったハーブ野菜の新品種の育種
【0060】
ハーブ野菜を料理としての提供
【要約】 (修正有)
【課題】シソ科のハーブであるミントと食用のハーブであるハーブ野菜を交配させる技術がなく、従来技術では困難であった。そして、ハーブと野菜の生育状態を利用しつつ、野菜の新品種を気意図的に突然変異を起こし新品種として変異させ、調香して育種する方法が無かった。
【解決手段】シソ科のハーブであるミントと、食用のハーブであるハーブ野菜とを土壌に植え付け、前記ミントの香気を前記ハーブ野菜に付与する野菜の育種法であって、前記ミントとハーブ野菜を指定の距離で定植し、指定の期間圧迫することにより、ハーブ野菜が新品種へ変異する。その後、指定の気温で土壌を乾燥させ肥料を散布時ミントの好気性を前記ハーブ野菜へ付与する育種法である。
【選択図】
図1