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特許7597504一体型スクィーズフィルムダンパを備えた単列玉軸受
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】一体型スクィーズフィルムダンパを備えた単列玉軸受
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20241203BHJP
   F02B 37/04 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
F02B39/00 J
F02B37/04 C
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019096449
(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公開番号】P2019203506
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】15/989,921
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン・ペリー・エルウッド・サード
(72)【発明者】
【氏名】ティム・ハウス
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-171796(JP,A)
【文献】特開2006-009685(JP,A)
【文献】特開2016-151274(JP,A)
【文献】実開平06-012798(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0007991(US,A1)
【文献】国際公開第2017/006865(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/00
F02B 39/00
F16C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動アシスト型ターボチャージャ用のローリング要素軸受アセンブリであって、前記軸受アセンブリは、
内側軌道を画定する外径を有する内輪;
外径及び内径を有する外輪であって、前記外輪内径が外側軌道を画定する外輪;
内側軌道と外側軌道との間の単列のローリング要素;及び
前記外輪と一体化されて形成されるスクィーズフィルムダンパであって、前記スクィーズフィルムダンパが外輪外径とハウジングとの間にスクィーズフィルムダンパ表面を提供する、スクィーズフィルムダンパ;を含み、
前記外輪は、前記外輪と一体化されたエンドストップフランジを有し、前記エンドストップフランジは、前記外輪と一体化され単一の構成部品を形成し、前記スクィーズフィルムダンパ表面の半径方向に延在し前記スクィーズフィルムダンパ表面と隣接する境界を画定する、
軸受アセンブリ。
【請求項2】
前記外輪内にオイルジェットをさらに含む、請求項1に記載の軸受アセンブリ。
【請求項3】
前記エンドストップフランジは、前記ハウジングと係合するように構成された、請求項1に記載の軸受アセンブリ。
【請求項4】
前記エンドストップフランジは、前記ハウジングと係合するように構成された回転防止用特徴部を含む、請求項3に記載の軸受アセンブリ。
【請求項5】
電動アシスト型ターボチャージャであって、
ハウジング;
タービンホイール;
圧縮機ホイール;
前記ハウジング内に支持され、前記タービンホイールと前記圧縮機ホイールと相互連結するシャフト;
前記ハウジング内に配置されて前記シャフトに作動可能に結合される電気モーター;及び
前記シャフトを取り囲む少なくとも1つのローリング要素軸受アセンブリ;を含み、前記少なくとも1つのローリング要素軸受アセンブリは、
内輪;
外輪;
前記内輪と前記外輪との間の複数のローリング要素;及び
外輪の外径とハウジングとの間にスクィーズフィルムダンパ表面を提供するために外輪に一体化されたスクィーズフィルムダンパ;を含み、
前記外輪は、前記外輪と一体化されたエンドストップフランジを有し、前記エンドストップフランジは、前記外輪と一体化され単一の構成部品を形成し、前記スクィーズフィルムダンパ表面の半径方向に延在し前記スクィーズフィルムダンパ表面と隣接する境界を画定する、
電動アシスト型ターボチャージャ。
【請求項6】
前記外輪内にオイルジェットをさらに含む、請求項に記載のターボチャージャ。
【請求項7】
前記エンドストップフランジは、前記ハウジングと係合するように構成された、請求項に記載のターボチャージャ。
【請求項8】
前記エンドストップフランジは、前記ハウジングと係合するように構成された回転防止用特徴部を含む、請求項に記載のターボチャージャ。
【請求項9】
前記エンドストップフランジの前記回転防止用特徴部は、回転防止ピンと係合するように構成されたピン開口を含む、請求項8に記載のターボチャージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に軸受に関し、より詳細には回転機械で使用するための軸受及び軸受構成部品を製造する方法または装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ローリング要素軸受(rolling element bearing)は、回転部品を有する機械及び装置に頻繁に使用されている。典型的なローリング要素軸受は、レースの間に配置されたボールまたはローラーを備えた内輪(inner race)及び外輪(outer race)を含む。
【0003】
ターボチャージャ、圧縮機タービン及びガスタービンなどの高速装備は、回転シャフトの周りにローリング要素軸受を使用する。特に、ターボチャージャは、内燃機関の性能を向上させるために使用される。いくつかのターボチャージャは、動力のために排気ガスを利用するが、他のターボチャージャは、ターボチャージャに動力を供給するために単独でまたは排気ガスによって補助されてシャフトに作動可能に連結された電子モーターで作動し得る。
【0004】
ターボチャージャは、100,000rpmを超過する速度で回転できる。特に潤滑の問題に関連して、それらの性能及び寿命を向上させるために多くの改良がなされてきた。例えば、いくつかのターボチャージャ軸受は、振動を減衰させるために減衰特性を組み込んでおり、装置が共振領域を介して加速化するときに安全な作動速度を得ることを可能にする。さらに、減衰型軸受は、機械が正常状態または正常作動速度で作動しているときに不均衡によって生じる小さな振動を減衰させるのに役立つ。
【0005】
米国特許第5,425,584号には,ローリング要素軸受用の流体減衰型支持体が開示されている。’584特許では、密接な間隔のビームらのネットワークは、任意の方向への移動からころ軸受の外輪を支持する。移動を減衰させるためにビーム間の空間に液体が供給される。ビームの間の構造と間隔は、減衰特性を提供するように設計される。しかしながら、部品数を減らし、容易な組み立てを提供し、複数の構成部品の公差累積(tolerance stack-up)を減らすために、システム及び方法が依然として必要である。このように、一体型スクィーズフィルムダンパ(squeeze-film damper)を備えた単列玉軸受が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一様態によれば、ローリング要素軸受アセンブリが開示される。ローリング要素軸受アセンブリは、電動アシスト型ターボチャージャに使用され得る。軸受アセンブリは、内側軌道を画定する外径を有する内輪、外径及び内径を有する外輪であって、外輪の内径が外側軌道を画定する外輪、内側軌道と外側軌道との間の単列のローリング要素、及び外輪と一体化されて単一の構成部品を形成するスクィーズフィルムダンパを含む。スクィーズフィルムダンパは、外輪外径とハウジングとの間にスクィーズフィルムダンパ表面を提供する。
【0007】
このような一実施形態において、軸受アセンブリは、外輪内にオイルジェットをさらに含む。別のこのような実施形態において、軸受アセンブリは、外輪と嵌合可能であり、ハウジングと係合するように構成されたエンドストップフランジ(end-stop flange)を含む。このような実施形態において、エンドストップフランジは、外輪に対して回転拘束されることができ、ハウジングと係合するように構成された回転防止用特徴部をさらに含む。このような一実施形態において、エンドストップフランジは、スナップリングを介して外輪に取り付けられる。
【0008】
別の実施形態において、軸受アセンブリは、外輪と一体化されかつハウジングと係合するように構成されたエンドストップフランジを含む。このような一実施形態において、エンドストップフランジは、ハウジングと係合するように構成された回転防止用特徴部をさらに含む。
【0009】
別の実施形態は、ハウジング、タービンホイール、圧縮機ホイール、ハウジング内に支持されかつタービンホイールと圧縮機ホイールとを相互連結するシャフト、ハウジング内に配置されてシャフトに作動可能に結合される電気モーター、及びシャフトを取り囲む少なくとも1つのローリング要素軸受アセンブリを含む電動アシスト型ターボチャージャの形態を取る。少なくとも1つのローリング要素軸受アセンブリは、内輪、外輪、内輪と上記外輪との間の複数のローリング要素、及び外輪の外径とハウジングとの間にスクィーズフィルムダンパ表面を提供するために外輪に一体化されたスクィーズフィルムダンパを含む。
【0010】
このような一実施形態において、ターボチャージャは、外輪内にオイルジェットをさらに含む。別のこのような実施形態において、ターボチャージャは、外輪と嵌合可能であり、ハウジングと係合するように構成されたエンドストップフランジをさらに含む。このような実施形態において、エンドストップフランジは、外輪に対して回転拘束され、ハウジングと係合するように構成された回転防止用特徴部をさらに含む。このような一実施形態において、エンドストップフランジは、スナップリングを介して外輪に取り付けられる。
【0011】
別のこのような実施形態において、ターボチャージャは、外輪と一体化されたエンドストップフランジをさらに含み、ハウジングと係合するように構成される。エンドストップフランジは、回転防止ピンと係合するように構成されたピン開口をさらに含み得る。
【0012】
別の実施形態は、ハウジング、タービンホイール、圧縮機ホイール、ハウジング内に支持されかつタービンホイールと圧縮機ホイールとを相互連結するシャフト、ハウジング内に配置されて上記シャフトに作動可能に結合される電気モーター、電気モーターのタービン側のシャフトの周りに配置されたタービン側ローリング要素軸受、及び電気モーターの圧縮機側のシャフトの周りに配置された圧縮機側ローリング要素軸受を備える電動アシスト型ターボチャージャの形態を取る。
【0013】
タービン側ローリング要素軸受及び圧縮機側ローリング要素軸受のうちの少なくとも1つまたは両方は、内側軌道を画定する外径を有する内輪、外側軌道を画定する外径、内径を有する外輪、内側軌道に潤滑を提供するように構成されたオイルジェット、内側軌道と外側軌道との間の単列のローリング要素、外輪と一体化されて単一の構成部品を形成するスクィーズフィルムダンパを含む。スクィーズフィルムダンパは、外輪外径とハウジングとの間にスクィーズフィルムダンパ表面を提供する。エンドストップフランジは、外輪と嵌合可能であり、スナップリングで外輪に取り付けられる。エンドストップフランジは、外輪に対して回転拘束され、ハウジングの回転防止用特徴部にさらに係合する。
【0014】
別の実施形態は、ハウジング、少なくとも1つの圧縮機ホイール、ハウジング内に支持されかつ少なくとも1つの圧縮機ホイールと相互連結されるシャフト、ハウジング内に配置されてシャフトに作動可能に結合される電気モーター、及び電気モーターの圧縮機側でシャフトの周りに配置される少なくとも1つの圧縮機ローリング要素軸受を備える電動駆動型圧縮機の形態を取る。このような実施形態において、圧縮機側ローリング要素軸受は、内側軌道を画定する外径を有する内輪、外径及び内径を有する外輪、及び内側軌道に潤滑を提供するように構成されたオイルジェットであって、上記外輪内径が外側軌道を画定するオイルジェット、内側軌道と外側軌道との間の単列のローリング要素、外輪と一体化されて単一の構成部品を形成するスクィーズフィルムダンパであって、上記スクィーズフィルムダンパが外輪外径とハウジングとの間にスクィーズフィルムダンパ表面を提供するスクィーズフィルムダンパ、及び上記外輪と嵌合可能であり、スナップリングで上記外輪に取り付けられるエンドストップフランジ(end-stop flange)を含む。エンドストップフランジは、外輪に対して回転拘束され、ハウジングの回転防止用特徴部にさらに係合する。
【0015】
本開示のこれらおよび他の様態、ならびに特徴は、添付の図面と関連させて読むと、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、従来のターボチャージャ軸受アセンブリの断面図を示す。
図2図2は、本開示の一実施形態による第1の軸受アセンブリの断面図を示す。
図3図3は、本開示の一実施形態による外輪の斜視図を示す。
図4図4は、本開示の一実施形態による内輪の斜視図を示す。
図5図5は、本開示の一実施形態によるエンドストップフランジの斜視図を示す。
図6図6は、本開示の一実施形態によるスナップリングの斜視図を示す。
図7図7は、本開示の一実施形態によるターボチャージャ内に設置された軸受アセンブリの断面図を示す。
図8図8は、本開示の一実施形態による第2の軸受アセンブリの断面図を示す。
図9図9は、本開示の一実施形態によるターボチャージャの断面図を示す。
図10図10は、本開示の一実施形態による軸受アセンブリを有する電動圧縮機を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に図面を参照すると、図1は、従来のターボチャージャ軸受アセンブリの断面図を示す。特に、図1は、ローリング要素軸受を備えた従来のターボチャージャの断面図50を示す。本明細書に含まれた断面図では、複数の構成部品が図の上部及び下部の両方に示されている。例えば、リング状の外輪は、シャフトを取り囲むが、中心線に沿って取った断面では中心線の上と下の両方に現れる。本開示の全般を通して、このような構成部品は、明確にするために中心線の両方の半分に図示及び表示されていない。
【0018】
断面図50において、シャフト10は、軸受によって支持されているように示されている。軸受は、ハウジング15内に受容され、内輪外径に沿って内側軌道12を有する内輪11、及び外輪内径に沿って外側軌道14を有する外輪13を含む。ローリング要素21は、内輪11と外輪13の軌道12、24との間に配置される。
【0019】
軸受カップ18は、外輪13と軸受カップ18との間の堅固な連結を形成するために、タイトな隙間嵌め(clearance fit)、締り嵌め(interference fit)などを介して外輪13とインターフェースする。いくつかの実施形態において、内輪及び外輪は、軸受カップ18内に圧入される。軸受カップ18は、シャフト10の中心線に沿って、長手方向軸CLに沿って軸受の並進運動を制限するためにハウジング15の一部とインターフェーシングする軸方向端部ストップ19をさらに含む。軸受は、軸受全体にオイルを誘導するために使用されるオイルデフレクタ20をさらに含む。
【0020】
スクィーズフィルムダンパ表面16は、軸受カップ18とハウジング15との間に形成される。スクィーズフィルムダンパ表面16は、オイル膜厚さを最適化するように調整された寸法を有する間隙を含み、その結果、軸受アセンブリの減衰特性を含む。複数の構成部品がそれぞれ製造公差を有する結果として、スクィーズフィルムダンパ表面16に対する間隙寸法を最適化することは、ローリング要素軸受の従来の設計において困難になり得る。
【0021】
図2は、本開示の一実施形態による第1の軸受アセンブリの断面図を示す。特に、図2は、軸受アセンブリ100の図を示す。軸受アセンブリ100は、任意の適用可能な回転機械に使用され得る。例示的な機械は、ターボチャージャ、電動ターボチャージャ(例えば、eTurbos)、電動アシスト型ターボチャージャ、ガスタービンなどを含む。軸受アセンブリ100は、内側軌道114を画定する外径112を有する内輪110(図4において、他の軸受アセンブリ構成部品から分離して示す)、及び外径122と内径124の両方を有する外輪120(図3において、他の軸受アセンブリ構成部品から分離して示す)を含み、外輪内径124は、外側軌道126を画定する。
【0022】
内側軌道114と外側軌道126との間には、単列のローリング要素130が配置される。ローリング要素130は、軌道114、126の間に嵌合され、内輪と外輪110、120の間に堅固な金属対金属接触を提供するように適切に大きさが決まる。スクィーズフィルムダンパ140は、外輪120に一体化されて単一の構成部品を形成する。スクィーズフィルムダンパ140は、外輪外径122とハウジング142(図1には図示せず)との間にスクィーズフィルムダンパ表面144を提供する。スクィーズフィルムダンパ表面144は、スクィーズフィルムダンパ140とハウジング142との間に適切な間隙を提供して、軸受アセンブリが受ける振動を適切に減衰させる。
【0023】
一実施形態において、軸受アセンブリ100は、外輪120内にオイルジェット202をさらに含む。オイルジェット202は、外輪120の内径124から外輪120の外径122へのオイルの流れを提供する。オイルジェット202は、外輪120の射出金型の特徴であり、外輪120の機械加工または穿孔することなどを含む、任意の数の方式で外輪120内に形成され得る。さらに、オイルジェット202の位置は、外輪に沿って様々な位置に配置され得る。例えば、オイルジェット202は、外輪120の上部または下部位置のいずれに配置され得る。
【0024】
外輪120は、外輪120の円周に沿って円周方向に配置された複数のオイルジェット202を含み得る。例えば、3つのオイルジェット202は、互いに120゜離隔して外輪の円周に沿って配置され得る。しかし、任意の数のオイルジェット202が使用され得る。
【0025】
一実施形態において、軸受アセンブリ100は、外輪120と嵌合可能なエンドストップフランジ302(図5において、他の軸受アセンブリ構成部品から分離して示す)をさらに含む。エンドストップフランジ302は、ハウジング142と係合するか、またはこれと当接するように構成される。エンドストップフランジ302は,外輪120上のスロット340内に挿入されるように構成されたタブ342を含み得る。タブ342をスロット340に挿入することは、外輪120とエンドストップフランジ302との間の軸CLを中心に回転整列を維持する(例えば、外輪120をエンドストップフランジ302に回転拘束する)。別の実施形態において、エンドストップフランジは、ハウジング142と係合するように構成された回転防止用特徴部304をさらに含む。例えば、回転防止用特徴部304は、ハウジング上に回転防止ピンを受容するように構成されたピン開口を含み得る。回転防止ピン(図示せず)が回転防止用特徴部304に挿入されると、エンドストップフランジ302はハウジング142に対して回転拘束される。
【0026】
いくつかの実施形態は、タブ342及びスロット340の両方を有するエンドストップフランジ302を回転防止用特徴部304とともに組み合わせる。このような実施形態において、回転防止用特徴部304がエンドストップフランジ302と係合すると、外輪120及びエンドストップフランジ302の両方は、部分的にはハウジング142と係合する外輪120の回転防止用特徴部、及び外輪120のスロット340内に設置されるエンドストップフランジ302のタブ342によって、CL軸の周りを回転することが禁止される。様々な実施形態において、回転防止用特徴部304を係合させることは、ハウジングの回転防止ピンを回転防止用特徴部304内に挿入することを含む。
【0027】
また軸受アセンブリ100には、スナップリング306があることが示されている。スナップリング306は、溝308内に嵌合されるように大きさが決まり、エンドストップフランジ302が軸CLに沿って並進することを制限する。
【0028】
図3は、本開示の一実施形態による外輪の斜視図を示す。図3に示した外輪120は、図2に示した外輪120の様態をより明確に示す。特に、図3の外輪120は、エンドストップフランジ302のタブ342と整列されるように構成されたスロット340を示す。
【0029】
また、外輪120の外周から外輪120の内周まで延びるオイルジェット202も示される。
【0030】
図4は、本開示の一実施形態による内輪の斜視図を示す。図4に示した内輪110は、図2に示した内輪の様態をより明確に示す。
【0031】
図5は、本開示の一実施形態によるエンドストップフランジの斜視図を示す。図5に示したエンドストップフランジ302は、図2に示したエンドストップフランジの様態をより明確に示す。特に、エンドストップフランジ302は、エンドストップフランジ302の外周に沿って配置された回転防止用特徴部304を含む。示したように、回転防止用特徴部304は、エンドストップフランジ302の外周に沿って対向する側部に配置された2つの開口として実現される。いくつかの実施形態において、異なる数の開口がエンドストップフランジ302の外周に沿って配置される。図5のエンドストップフランジ302はまた、スロット340と整列されるタブ342を示す。タブ342及びスロット340は、位置を切り替えることができ、スロットはエンドストップフランジ302上に配置され、タブ342は外輪120上に配置されることを留意すべきである。
【0032】
図6は、本開示の一実施形態によるスナップリングの斜視図を示す。スナップリング306は、上部に膨張破断部を有する円形として示され、アイホール310は、膨張破断部に近接して配置される。
【0033】
図7は、本開示の一実施形態によるターボチャージャ内に設置された軸受アセンブリの断面図を示す。特に、図7は、図2に示した軸受アセンブリの断面図を示す。図7に示したように、エンドストップフランジ302は、スナップリング306を介して外輪120に取り付けられる。スナップリング306(図6において、他の軸受アセンブリ構成部品から分離して示す)は、外輪120上の溝802内に嵌合されるように大きさが決まる。
【0034】
エンドストップフランジ302及びスナップリング306を外輪120上に取り付けることは、エンドストップフランジ302のタブ342を外輪120のスロット340と整列させることによって達成することができ、その結果、外輪120が接点804でエンドストップフランジ302に当接する。スナップリング306は、アイホール310をこじ開ける(prying apart)ことによって膨張され得る。次いで、スナップリング306は、エンドストップフランジ302の溝802内に配置され得る。次いで、スナップリング306は、アイホール310をこじ開けない公称位置に戻すことによって、公称幾何形状に復元し得る。したがって、スナップリング306は、溝802内に拘束される。さらに、エンドストップフランジ302は、一側では外輪120上の接点804で軸CLに沿って並進すること、反対側ではスナップリング306によって並進することが制限される。
【0035】
図8は、本開示の一実施形態による第2の軸受アセンブリの断面図を示す。特に、図8は、ハウジング142に設置された軸受アセンブリ800を示し、図2及び図7に示した軸受アセンブリと同じ多くの構成部品を含む。しかしながら、図8において、エンドストップフランジ404は、外輪120と一体化され、単一の構成部品420を形成する。これは、図2及び図7に示したように、外輪及びエンドストップフランジが別々の構成部品であるのとは反対である。
【0036】
このように、エンドストップフランジ404は、エンドストップフランジ302と同様の構成部品を含み得る。このような一実施形態において、エンドストップフランジ404は、ハウジング142と係合するように構成された回転防止用特徴部(例えば、回転防止用特徴部304など)を含む。したがって、回転防止用特徴部(例えば、304)がハウジング142と係合するときに、一体型外輪120及びエンドストップフランジ404は、共に単一の構成部品420としてハウジング142と回転拘束される。
【産業上の利用可能性】
【0037】
一般に、本開示の教示内容は、これらに限定されないが、自動車、単線式(single-track)車両、海上、電子、及び運送産業を含む多くの産業において広範囲な適用可能性を見出すことができる。特に、本開示は、回転構成部品を含む機械または装備を使用するあらゆる産業において適用可能性を見出すことができる。本明細書には、本開示のローリング要素軸受アセンブリを含み得る機械の様々な非限定的な例が開示されている。
【0038】
図9は、本開示の一実施形態によるターボチャージャの断面図を示す。特に、図9は、電動アシスト型ターボチャージャ900を示す。ターボチャージャ900は、ハウジング901、タービンホイール902、圧縮機ホイール903、ハウジング901内に支持されタービンホイール902と圧縮機ホイール903とを相互連結するシャフト904、ハウジング901内に配置されシャフト904に作動可能に連結される電気モーター905、オイル供給システム906、及びシャフト904を支持する少なくとも1つのローリング要素軸受アセンブリ907を含む。
【0039】
このような実施形態において、電気モーター905は、第1の端部(例えば、左側のタービン端部)と第2の端部(例えば、右側の圧縮機端部)との間に配置される。このように、電気モーター905の各側でシャフト904を支持するために複数の軸受アセンブリ907を使用することができる。ここで、軸受アセンブリ907-1は、電気モーター905のタービン側に示されており、軸受アセンブリ907-2は、電気モーター905の圧縮機側に示されている。
【0040】
電気モーター905は、シャフト904に作動可能に連結されてシャフト904に回転力を提供することができ、したがってタービン及び圧縮機ホイール902、903の回転を様々な方式で駆動する。例えば、電気モーター905は、ターボチャージャ900の外側に取り付けられ、スプラインカプラを介して圧縮機ホイールのノーズに連結され得る。電気モーター905は、磁力を介してシャフトにさらに作用して所望の回転効果を提供することができる。
【0041】
少なくとも1つのローリング要素軸受アセンブリ907-1、907-2は、図2及び図7に示した軸受アセンブリ100によって、または図8に示した軸受アセンブリ800によって実現することができる。このように、軸受アセンブリは、内輪110、外輪120、内輪110と外輪120との間の複数のローリング要素130、及び外輪120の外径122とハウジング901との間にスクィーズフィルムダンパ表面144を提供するために、外輪120に一体化されたスクィーズフィルムダンパ140を含む。
【0042】
このような一実施形態において、ターボチャージャ900の軸受アセンブリ907-1、907-2は、オイル供給システム906に流体連結される外輪120内にオイルジェット202をさらに含む。
【0043】
図10は、本開示の本開示の一実施形態による軸受アセンブリを有する電動圧縮機を示す。特に、図10は、ハウジング1001、シャフト1004に作動可能に連結された圧縮機ホイール1003、シャフトに作動可能に連結された電気モーター1005、及び軸受アセンブリ1007-1及び1007-2を含む圧縮機1000を示す。ここで、ターボチャージャ900と同様に、軸受アセンブリ1007-1、1007-2の一方または両方は、本明細書に開示された軸受アセンブリ100または800のいずれかによって実現され得る。しかしながら、ターボチャージャ900とは異なり、圧縮機1000は、タービンホイールを含まず、一端に圧縮機ホイール1003を含む。このように、シャフト1004は、電気モーター1005によって作動され、軸受アセンブリ1007-1、1007-2は、電気モーター1005の両側に配置される。軸受アセンブリ1007-1(例えば、圧縮機側軸受アセンブリ)は、電気モーター1005の圧縮機側に配置され、軸受アセンブリ1007-2(例えば、第2の軸受アセンブリ)は、圧縮機ホイール1003の反対側である電気モーター1005の側面に配置される。
【0044】
別の実施形態において、二段電動圧縮機は、本明細書に開示された軸受アセンブリを利用することができる。このような機械は、ターボチャージャ900と同様であり得るが、タービンホイールを含まず、電気モーターの対向側に2つの圧縮機ホイールを含み得る。
【0045】
別の実施形態は、ハウジング、少なくとも1つの圧縮機ホイール、ハウジング内に支持されて少なくとも1つの圧縮機ホイールと相互連結されるシャフト、ハウジング内に配置されてシャフトに作動可能に結合される電気モーター、及び電動モーターの圧縮機側でシャフトの周りに配置される少なくとも1つの圧縮機ローリング要素軸受を含む電動駆動型圧縮機の形態を取る。このような実施形態において、圧縮機側ローリング要素軸受は、内側軌道114を画定する外径を有する内輪110、外径及び内径124を有する外輪120、内側軌道114に潤滑を提供するように構成されたオイルジェット202であって、外輪124が外側軌道126を画定する、オイルジェット202、内側軌道114と外側軌道126との間の単列のローリング要素130、外輪120と一体化され単一の構成部品を形成するスクィーズフィルムダンパ140であって、スクィーズフィルムダンパ140が外輪外径とハウジングとの間にスクィーズフィルムダンパ表面144を提供する、スクィーズフィルムダンパ140、外輪120と嵌合可能でありかつスナップリングで外輪120に取り付けられるエンドストップフランジを含む。エンドストップフランジは、外輪120に対して回転拘束されており、ハウジングの回転防止用特徴部とさらに係合する。
【0046】
前述の詳細な説明は、ある特定の実施形態に関連して提供されたが、本開示の範囲はこのような実施形態に限定されるべきではないことを理解すべきであろう。本開示の範囲及び精神は、具体的に開示されかつ以下の特許請求の範囲内に含まれる実施形態よりも広い。
【0047】
さらに、いくつかの特徴がある特定の実施形態に関連して説明されているが、これらの特徴は説明されている実施形態だけでの使用に限定されない。むしろ、特定の実施形態の様態は、代替的な実施形態に関連して開示されている他の特徴と組み合わせることができるか、または代替的な実施形態に関連して開示されている他の特徴で代替することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10