(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】除菌剤組成物、及び除菌スプレー
(51)【国際特許分類】
A01N 59/12 20060101AFI20241203BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20241203BHJP
A01N 31/02 20060101ALI20241203BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20241203BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20241203BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20241203BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20241203BHJP
A61K 31/79 20060101ALI20241203BHJP
A61K 33/18 20060101ALI20241203BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241203BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241203BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20241203BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20241203BHJP
A61P 31/02 20060101ALI20241203BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241203BHJP
A61L 101/06 20060101ALN20241203BHJP
A61L 101/08 20060101ALN20241203BHJP
A61L 101/34 20060101ALN20241203BHJP
A61L 101/48 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
A01N59/12
A01N25/30
A01N31/02
A01P1/00
A01P3/00
A61K9/12
A61K31/045
A61K31/79
A61K33/18
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/20
A61L2/18
A61P31/02
A61P31/04
A61L101:06
A61L101:08
A61L101:34
A61L101:48
(21)【出願番号】P 2020165348
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福垣 岳宣
【審査官】薄井 慎矢
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-075888(JP,A)
【文献】特開2020-075889(JP,A)
【文献】特表2005-515235(JP,A)
【文献】特開平05-306206(JP,A)
【文献】特開2005-54091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A61K
A61L
C11D
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコール、ヨウ素系薬剤
、アニオン性界面活性剤
、両性界面活性剤、及び、非イオン性界面活性剤を含有してなる除菌剤組成物であって、
前記アルコールが、エタノールであり、
前記ヨウ素系薬剤が、ポビドンヨードであり、
前記アニオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩を含有しており、
前記
エタノールの含有量が
2.97~6.93質量%
であり、
前記ポビドンヨードの含有量が0.05~0.5質量%であり、
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量が0.1質量%を超えて且つ1質量%以下であり、
前記両性界面活性剤の含有量が0.01~0.1質量%であり、
前記非イオン性界面活性剤の含有量が0.005~0.1質量%であることを特徴とする除菌剤組成物。
【請求項2】
請求項
1に記載の除菌剤組成物をトリガーノズル付き容器に充填した除菌スプレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌剤組成物、及び除菌スプレーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エタノール製剤組成物をトリガーノズル付き容器に充填した除菌スプレーが知られている。特許文献1には、グリシン、リンゴ酸ナトリウム、及び精製水を含有するエタノール溶液をトリガーノズル付き容器に充填した除菌スプレーについて開示されている。
【0003】
特許文献2には、最頻粒子径が500nm以下である超微細気泡を含む水と殺菌成分を含む殺菌剤組成物について開示されている。この殺菌剤組成物を用いて、バイオフィルムの殺菌を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3159694号公報
【文献】特開2013-180956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、除菌剤組成物をトリガーノズル付き容器に充填して除菌スプレーとして使用した際に、除菌スプレーから噴射された除菌剤組成物の泡立ちが安定しない場合があった。泡立ちが安定しないと液だれが生じたり、適用対象物に吹き付けた際に、塗布領域の視認性が低下したりする虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための除菌剤組成物は、アルコール、ヨウ素系薬剤、及び、アニオン性界面活性剤を含有してなる除菌剤組成物であって、前記アルコールの含有量が0.495質量%を超えて且つ9.9質量%未満であることを要旨とする。
【0007】
上記除菌剤組成物について、前記ヨウ素系薬剤が、ポビドンヨードであることが好ましい。
上記除菌剤組成物について、前記アニオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩を含有しており、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量が0.1質量%を超えて且つ1質量%以下であることが好ましい。
【0008】
上記除菌剤組成物について、更に、両性界面活性剤を含有することが好ましい。
上記除菌剤組成物について、前記両性界面活性剤が、アルキルアミドプロピルベタインを含有することが好ましい。
【0009】
上記課題を解決するための除菌スプレーは、上記除菌剤組成物をトリガーノズル付き容器に充填したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、除菌剤組成物の泡立ちが良好になる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
本発明に係る除菌剤組成物を具体化した第1実施形態について説明する。
本実施形態の除菌剤組成物は、アルコール、ヨウ素系薬剤、及び、アニオン性界面活性剤を含有してなる除菌剤組成物であって、アルコールの含有量が0.495質量%を超えて且つ9.9質量%未満である。
【0012】
除菌剤組成物が、上記アルコール、ヨウ素系薬剤、及び、アニオン性界面活性剤を含有するとともに、アルコールの含有量が上記数値範囲であることにより、除菌剤組成物の泡立ちが良好になる。
【0013】
なお、本発明において、「除菌」とは、除菌剤組成物を適用する適用対象物において、カビ、細菌、ウイルス等の微生物を死滅させること(殺菌)、又は、これらの微生物の増殖を阻止すること(静菌)を意味するものとする。
【0014】
上記アルコールとしては、特に限定されず、脂肪族アルコールであってもよいし、芳香族アルコールであってもよい。脂肪族アルコールは、飽和脂肪族アルコールであってもよいし、不飽和脂肪族アルコールであってもよい。また、直鎖アルコールであってもよいし、分岐鎖を有するアルコールであってもよい。また、1価アルコールであってもよいし、多価アルコールであってもよい。
【0015】
上記アルコールの具体例としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、エタノールを用いることが好ましい。
上記アルコールは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
また、上記アルコールは、除菌剤組成物中に2.97~6.93質量%含有されていることが好ましい。
なお、除菌剤組成物中のアルコール等の各成分の含有量は、水等の溶媒を含めた除菌剤組成物中の含有量を意味するものとする。
【0017】
上記ヨウ素系薬剤としては、特に限定されず、ヨウ素原子を含んだ薬剤を用いることができる。ヨウ素系薬剤としては、例えば、ヨウ素を錯化しうるポリマーを用いたものが挙げられる。ヨウ素を錯化しうるポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸やシクロデキストリンが挙げられる。これらの中でもポリビニルピロリドンが好ましい。ヨウ素系薬剤の具体例としては、例えば、ポビドンヨードが挙げられる。ポビドンヨードを用いることにより、人体への刺激を抑制しつつ、除菌作用を生じさせることが可能になる。
【0018】
上記ヨウ素系薬剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
除菌剤組成物中のヨウ素系薬剤の含有量は特に限定されないが、0.05~0.5質量%であることが好ましく、0.07~0.2質量%であることがより好ましい。
【0019】
上記アニオン性界面活性剤としては、特に限定されず、公知のものを適宜採用できる。アニオン性界面活性剤としては、例えば(1)ラウリルリン酸エステル塩、セチルリン酸エステル塩、オクチルリン酸エステル塩、オレイルリン酸エステル塩、ステアリルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールのリン酸エステル塩、(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したもののリン酸エステル塩、(3)ラウリルスルホン酸塩、ミリスチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩、テトラデカンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、2級アルキルスルホン酸(C13~15)塩等の脂肪族スルホン酸塩又は芳香族スルホン酸塩、(4)ラウリル硫酸エステル塩、オレイル硫酸エステル塩、ステアリル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)ラウリルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステル塩等の脂肪族アルコールにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも一種のアルキレンオキサイドを付加したものの硫酸エステル塩(以下、「ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩」ともいう。)、(6)ひまし油脂肪酸硫酸エステル塩、ごま油脂肪酸硫酸エステル塩、トール油脂肪酸硫酸エステル塩、大豆油脂肪酸硫酸エステル塩、なたね油脂肪酸硫酸エステル塩、パーム油脂肪酸硫酸エステル塩、豚脂脂肪酸硫酸エステル塩、牛脂脂肪酸硫酸エステル塩、鯨油脂肪酸硫酸エステル塩等の脂肪酸の硫酸エステル塩、(7)ひまし油の硫酸エステル塩、ごま油の硫酸エステル塩、トール油の硫酸エステル塩、大豆油の硫酸エステル塩、菜種油の硫酸エステル塩、パーム油の硫酸エステル塩、豚脂の硫酸エステル塩、牛脂の硫酸エステル塩、鯨油の硫酸エステル塩等の油脂の硫酸エステル塩、(8)ラウリン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩等の脂肪酸塩、(9)ジオクチルスルホコハク酸塩等の脂肪族アルコールのスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。
【0020】
アニオン性界面活性剤の対イオンとしては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0021】
上記アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でもポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0022】
上記アニオン性界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
除菌剤組成物中のアニオン性界面活性剤の含有量は特に限定されないが、0.05~1質量%であることが好ましく、0.1質量%を超えて且つ1質量%以下であることがより好ましい。
【0023】
上記除菌剤組成物は、更に、両性界面活性剤を含有することが好ましい。
両性界面活性剤としては、特に限定されず、公知のものを適宜採用できる。両性界面活性剤としては、例えば(1)アルキルアミノ酢酸塩、アルキルイミノジ酢酸塩、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、(2)アルキルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン型両性界面活性剤、(3)2-アルキルイミダゾリン誘導体等のイミダゾリン型両性界面活性剤、(4)アルキルジアミノエチルグリシン塩、アルキルポリアミノポリカルボキシグリシン塩等のアルキルポリアミノ酸型両性界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、ベタイン型両性界面活性剤を用いることが好ましい。ベタイン型両性界面活性剤の中では、アルキルアミドプロピルベタインを用いることが好ましい。
【0024】
上記両性界面活性剤の具体例としては、例えば、炭素数8~18のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタインが挙げられる。
上記両性界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
除菌剤組成物中の両性界面活性剤の含有量は特に限定されないが、0.01~0.1質量%であることが好ましく、0.01~0.07質量%であることがより好ましい。
本実施形態の除菌剤組成物は、上記成分以外のその他成分が配合されていてもよい。その他成分としては、例えば、pH調整剤、キレート剤、ヨードの安定化剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0026】
pH調整剤の具体例としては、例えば、フタル酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸、炭酸等が挙げられる。また、これらのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0027】
上記pH調整剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
除菌剤組成物中のpH調整剤の含有量は特に限定されないが、0.1~1質量%であることが好ましく、0.1~0.5質量%であることがより好ましい。
【0028】
キレート剤の具体例としては、例えば、(1)酢酸、アジピン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、モノクロル酢酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の酸又はその塩のカルボン酸類、(2)エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、トリエチレンテトラ酢酸(TTHA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、1,3-プロパン-2-ジアミン四酢酸(PDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸(HIDA)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、プロピレンジアミンテトラ酢酸、トリエチレンテトラアミンヘキサ酢酸、エチレングリコールジエーテルジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、シクロヘキサン-1,2-ジアミンテトラ酢酸、イミノジコハク酸、アスパラギン酸ジ酢酸、β-アラニンジ酢酸、ヒドロキシイミノジコハク酸等の酸又はその塩のアミノカルボン酸類、(3)1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、N,N,N’,N’-テトラキス(ホスホノメチル)エチレンジアミン(EDTMP)等の酸又はその塩の有機ホスホン酸類等が挙げられる。
【0029】
キレート剤の塩の形態としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
上記キレート剤は、1種を単独で使用しもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
除菌剤組成物中のキレート剤の含有量は特に限定されないが、0.5~5質量%であることが好ましく、1~3質量%であることがより好ましい。
ヨードの安定化剤(以下、単に安定化剤ともいう。)の具体例としては、例えば、ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸ナトリウム等が挙げられる。
【0031】
上記安定化剤は、1種を単独で使用しもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
除菌剤組成物中の安定化剤の含有量は特に限定されないが、0.05~2質量%であることが好ましく、0.1~1質量%であることがより好ましい。
【0032】
非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン)アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、脂肪酸ショ糖エステル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
【0033】
上記非イオン性界面活性剤は、1種を単独で使用しもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
除菌剤組成物中の非イオン性界面活性剤の含有量は特に限定されないが、0.005~0.1質量%であることが好ましく、0.007~0.07質量%であることがより好ましい。
【0034】
本実施形態の除菌剤組成物は、上記各成分を溶媒としてのイオン交換水に加えて配合することによって製造することができる。各成分を配合する順序は特に限定されず、イオン交換水を撹拌しながら各成分を加え、各成分を均一に混合することによって製造することができる。または、各成分を個別にイオン交換水と混合した後、それらを混合して製造してもよい。
【0035】
(第2実施形態)
本発明に係る除菌スプレーを具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態の除菌スプレーは、第1実施形態の除菌剤組成物をトリガー付き容器に充填したものである。
【0036】
除菌スプレーとすることで、机や床等の適用対象物に対して吹き付けるとともに、布やスポンジ等の清掃治具で拭き取ることによって、効率良く適用対象物を清掃、除菌することができる。
【0037】
トリガー付き容器としては特に限定されず、公知の直圧タイプや蓄圧タイプのトリガー付き容器を使用することができる。トリガー付き容器の材質も特に限定されず、PET、PP、PE等を用いて作製した容器を用いることができる。
【0038】
本実施形態の除菌剤組成物の作用について説明する。
アルコール、ヨウ素系薬剤、及び、アニオン性界面活性剤を含有することにより、除菌剤組成物の除菌作用が好適なものとなる。また、アルコールの含有量が0.495質量%を超えて且つ9.9質量%未満であることにより、除菌剤組成物の泡立ちが良好になる。
【0039】
本実施形態の除菌剤組成物の効果について説明する。
(1)アルコール、ヨウ素系薬剤、及び、アニオン性界面活性剤を含有することにより、除菌剤組成物の除菌作用が好適なものとなる。具体的には、カビ、細菌、コロナを含むウイルス等の微生物の除菌作用が好適なものとなる。また、アルコールの含有量が0.495質量%を超えて且つ9.9質量%未満であることにより、除菌剤組成物の泡立ちが良好になる。したがって、除菌スプレーとして使用した際の液だれを抑制することができる。また、机や床等の適用対象物に吹き付けた際に、塗布領域の視認性を向上させることができるため、効率良く清掃、除菌することができる。
【0040】
(2)アニオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩を含有しており、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩の含有量が0.1質量%を超えて且つ1質量%以下である。したがって、除菌剤組成物の澱みを抑制することができるため、除菌剤組成物の外観が良好になる。
【0041】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・本実施形態の除菌剤組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内において、防腐剤、香料、着色料等をさらに配合してもよい。
【実施例】
【0042】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。
イオン交換水をビーカーに入れ、公知の撹拌機を用いて150rpmの条件で撹拌しながら、ph調整剤、キレート剤、アルコールとして濃度99%のエタノール、及び、アニオン性活性剤としてポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムをこの順で加えた。なお、上記ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムにおける「(2)」は、エトキシ基の付加モル数を意味する。
【0043】
さらに、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤として炭素数8~18のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタイン、ヨウ素系薬剤としてポビドンヨード、ヨードの安定化剤をこの順でビーカーに加え、均一に混合した。
【0044】
以上の手順により、表1に示す実施例1の除菌剤組成物を作製した。上記配合は、適宜順番を入れ替えて行ってもよい。
実施例2~5、比較例1、2の除菌剤組成物は、表1に示す各成分を使用し、実施例1と同様の方法にて調製した。実施例1~5、比較例1、2の除菌剤組成物は、透明な液体状に構成されていた。なお、表1における数値は、イオン交換水を含む除菌剤組成物の全体を100質量%としたときの含有量(質量%)を意味する。また、アルコールの含有量(質量%)は、濃度99%のエタノールに含まれるアルコールの量を計算して、除菌剤組成物中の含有量(質量%)を求めた。
【0045】
【表1】
(評価試験)
実施例1~5、比較例1、2の除菌剤組成物について、泡立ち性を評価した。泡立ち性の評価基準について以下に示す。
【0046】
(泡立ち性)
各例の除菌剤組成物1gを試験管に入れ、10秒間に30回、上下に振とうして泡立たせた。振とう後に静置し、静置直後と、静置1分後の泡の状態を目視で観察した。以下の評価基準で泡立ち性を評価した。
【0047】
・泡立ち性の評価基準
◎(良好):静置直後に泡立ちが観察され、静置1分後にも泡立ちが維持されていた場合
〇(可):静置直後に泡立ちが観察され、静置1分後に若干減少するものの泡立ちが維持されていた場合
×(不良):静置直後に十分な泡立ちが観察されなかった場合
表1の結果から、本発明によれば、除菌剤組成物の泡立ちが良好であった。
【0048】
また、実施例1~5の除菌剤組成物140gを、-5℃の環境下に15時間放置して、澱みの有無を目視で観察した。実施例4の除菌剤組成物では澱みが観察されたものの、実施例1~3、5の除菌剤組成物では澱みは観察されなかった。なお、「澱み」とは、除菌剤組成物の各成分が分離して、濁った状態を意味するものとする。