(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】複合シートの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
B29C 65/08 20060101AFI20241203BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20241203BHJP
B26F 3/08 20060101ALI20241203BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20241203BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20241203BHJP
B32B 7/05 20190101ALI20241203BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20241203BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20241203BHJP
A61F 13/512 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B29C65/08
B26F3/00 Z
B26F3/08
B32B5/02 Z
B32B3/30
B32B7/05
A61F13/15 353
A61F13/15 355B
A61F13/511 100
A61F13/512 200
(21)【出願番号】P 2020178392
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】丸山 浩志
(72)【発明者】
【氏名】山崎 颯太
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-188802(JP,A)
【文献】特開2019-093467(JP,A)
【文献】特開2018-099883(JP,A)
【文献】特開2018-099793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/08
B26F 3/00
B26F 3/08
B32B 5/02
B32B 3/30
B32B 7/05
A61F 13/15
A61F 13/511
A61F 13/512
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート及び第2シートが融着した複数の融着部を有し、該融着部に貫通孔が形成されている複合シートの製造方法であって、
アンビルロール及び超音波融着機を有する製造装置を用い、
前記第1シートと前記第2シートとを同方向に搬送しつつ重ね合わせて積層シートを形成する重ね合わせ工程と、
前記積層シートを、前記アンビルロールの周面部と該周面部に対向配置された前記超音波融着機の超音波ホーンの先端部の振動印加面とのクリアランスに搬入し、該積層シートの一方の面に該振動印加面を接触させて超音波振動を印加することで前記融着部を形成する超音波処理工程とを有し、
前記積層シートを前記クリアランスに搬入する直前に、該積層シートにおける該クリアランスにおいて前記振動印加面と接触する面を、前記超音波ホーンにおける該クリアランスの搬入口縁部に接触させるための構成が前記製造装置に採用されており、該積層シートの該搬入口縁部への接触により、該積層シートに前記貫通孔が形成されるようになされており、
前記構成は下記構成1及び2を含む、複合シートの製造方法。
構成1:前記クリアランスの搬入口における前記アンビルロールの周面部と前記振動印加面との離間距離が、該搬入口に搬入される前記
積層シートの搬入直前の厚みに比べて短くなされている。
構成2:前記振動印加面における
前記積層シートの搬送方向の中心が、前記アンビルロールの回転中心を通って該アンビルロールの半径方向に延びる仮想直線上に位置する場合の、該振動印加面における
該積層シートの搬送方向の中心の位置を基準位置とした場合、該基準位置よりも該搬送方向の下流側に該中心が位置している。
【請求項2】
前記重ね合わせ工程では、前記第1シートを前記アンビルロールの周面部上に保持しつつ搬送し、搬送中の該第1シートに前記第2シートを重ね合わせることで前記積層シートを形成し、
前記積層シートを前記アンビルロールの周面部上に保持しつつ搬送し、前記クリアランスに搬入する、請求項1に記載の複合シートの製造方法。
【請求項3】
前記超音波振動を印加する前の前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方を予熱する、請求項1又は2に記載の複合シートの製造方法。
【請求項4】
前記振動印加面を加熱し、前記超音波処理工程では、加熱された該振動印加面とアンビルロールの周面部とを用いて超音波振動を印加する、請求項1~3の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
【請求項5】
前記アンビルロールとして、周面部に凹凸を有する凹凸ロールを用い、
前記重ね合わせ工程では、前記凹凸ロールを回転させながら、該凹凸ロールの周面部に前記第1シートを追従させて凹凸形状に変形させ、その変形させた第1シートを、該凹凸ロールの周面部上に保持しつつ搬送し、搬送中の該第1シートに前記第2シートを重ね合わせて前記積層シートを形成し、
前記複合シートは、前記第1シートにおける前記融着部以外の部分の少なくとも一部が、前記第2シート側とは反対側に突出した凸部を有している、請求項1~4の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
【請求項6】
前記重ね合わせ工程では、前記凹凸ロールに加えて更に、該凹凸ロールの周面部の凹凸と噛み合う凹凸を周面部に有する他の凹凸ロールを用い、両ロールの凹凸どうしの噛み合い部が形成されるように両ロールを回転させ、該噛み合い部に前記第1シートを導入することで、該第1シートを凹凸形状に変形させる、請求項5に記載の複合シートの製造方法。
【請求項7】
前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方は、不織布を含んで構成されている、請求項1~6の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
【請求項8】
前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方は、ポリエチレンテレフタレートを含んで構成されている、請求項1~7の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
【請求項9】
第1シート及び第2シートが融着した複数の融着部を有し、該融着部に貫通孔が形成されている複合シートの製造装置であって、
アンビルロール及び超音波融着機を有し、該超音波融着機が該アンビルロールの周面部に対向配置された超音波ホーンを含み、且つ該アンビルロールの周面部と該超音波ホーンの先端部の振動印加面との間に被処理物が搬入されるクリアランスが設けられている、超音波処理部と、
前記第1シートと前記第2シートとを同方向に搬送しつつ重ね合わせて積層シートを形成し、前記被処理物である該積層シートを前記クリアランスに搬入する、被処理物搬送部とを備え、
前記超音波処理部は、前記クリアランスに搬入された前記積層シートの一方の面に前記振動印加面を接触させて超音波振動を印加することで前記融着部を形成するようになされており、
前記積層シートを前記クリアランスに搬入する直前に、該積層シートにおける該クリアランスにおいて前記振動印加面と接触する面を、前記超音波ホーンにおける該クリアランスの搬入口縁部に接触させるための構成を備え、該積層シートの該搬入口縁部への接触により、該積層シートに前記貫通孔が形成されるようになされており、
前記構成は下記構成1及び2を含む、複合シートの製造装置。
構成1:前記クリアランスの搬入口における前記アンビルロールの周面部と前記振動印加面との離間距離が、該搬入口に搬入される前記被処理物の搬入直前の厚みに比べて短くなされている。
構成2:前記振動印加面における
前記被処理物の搬送方向の中心が、前記アンビルロールの回転中心を通って該アンビルロールの半径方向に延びる仮想直線上に位置する場合の、該振動印加面における
該被処理物の搬送方向の中心の位置を基準位置とした場合、該基準位置よりも該搬送方向の下流側に該中心が位置している。
【請求項10】
前記振動印加面は、前記被処理物の搬送方向に沿う断面視において、前記アンビルロールの周面の輪郭線に沿った形状を有している、請求項9に記載の複合シートの製造装置。
【請求項11】
前記超音波振動を印加する前の前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方を予熱する予熱手段を備える、請求項9又は10に記載の複合シートの製造装置。
【請求項12】
前記振動印加面を加熱するホーン加熱手段を具備する、請求項9~11の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
【請求項13】
前記アンビルロールは、周面部に凹凸を有する凹凸ロールであり、
前記被処理物搬送部は、前記凹凸ロールの周面部に前記第1シートを追従させて凹凸形状に変形させ、その変形させた第1シート上に前記第2シートを重ね合わせて前記積層シートを形成する、請求項9~12の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
【請求項14】
前記凹凸ロールに加えて更に、該凹凸ロールの周面部の凹凸と噛み合う凹凸を周面部に有する他の凹凸ロールを備え、両ロールの凹凸どうしの噛み合い部が形成されるように両ロールを回転させ、該噛み合い部に前記第1シートを導入することで、該第1シートを凹凸形状に変形させるようになされている、請求項13に記載の複合シートの製造装置。
【請求項15】
前記超音波ホーンの先端部が、該超音波ホーンの金属製の本体部に固定された蓄熱部を含んで構成され、前記振動印加面が該蓄熱部から形成されている、請求項9~14の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のシートが融着され、その融着部に貫通孔が形成された複合シートの製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品の表面シートとして、着用者の肌に当接される面に凹凸を形成したものが知られており、例えば、第1及び第2シートが融着した多数の融着部を有し、第1シートにおける融着部以外の部分が、第2シート側とは反対側に突出した凸部を形成している複合シートが知られている。斯かる複合シートは、表面に凹凸が形成されているため、肌触りや液の拡散防止性に優れている。また、そのような複合シートにおける融着部に貫通孔を形成し、液の引き込み性等を向上させることも知られている(特許文献1、2参照)。
また、前記の複合シートの製造方法ではないが、シートどうしの接合に超音波融着機を用いることが知られている(特許文献3、4参照)。
【0003】
特許文献1、2に記載の如き、融着部に貫通孔が形成されている複合シートを製造する場合、融着部の形成と貫通孔の形成とを別の工程で行うと、融着部の位置と貫通孔の位置との間に位置ズレが生じる場合がある。これに対し、融着部の形成と貫通孔の形成とを一工程で済ますことができれば、このような位置ズレが効果的に抑制され得る。しかしながら、従来の超音波融着機を用いた方法では、融着部の形成と貫通孔の形成とを一工程で済ますことは難しく、融着部に貫通孔が安定的に形成されない場合があった。このような従来技術の欠点に鑑みて、本出願人は先に、超音波融着機を用い、融着部の形成と貫通孔の形成とを一工程で済ますことが可能な技術を提案した(特許文献5、6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-175688号公報
【文献】特開2006-175689号公報
【文献】特開2008-260131号公報
【文献】特表2011-519319号公報
【文献】特開2019-93467号公報
【文献】特開2019-188802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献5、6に記載の技術は、融着部の形成と貫通孔の形成とを一工程で済ますことが可能であり、融着部に貫通孔が形成されている複合シートを効率良く製造し得るものであるが、貫通孔の形成容易性の点で改善の余地がある。例えば、複合シートの形成材料であるシート材が比較的融点の高い樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート)を含む場合に、該シート材に対して融着部の形成処理と貫通孔の形成処理とを同時に施すと、その被処理部に貫通孔が設計どおりに形成されず、例えば、貫通孔の形成予定部に樹脂が繊維の形態を維持した状態で残存する結果、設計寸法よりも小さな貫通孔となってしまう場合がある。複合シートの形成材料を選ばずに、融着部の形成と設計どおりの貫通孔の形成とを一工程で実施し得る技術が要望されている。また、斯かる技術は、製造装置の大型化、複雑化を招かず、比較的簡素な装置構成で目的を達成できることが望ましい。
【0006】
本発明の課題は、融着部に貫通孔が形成された複合シートの製造において、融着部の形成と貫通孔の形成とを一工程で実施し得る技術を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1シート及び第2シートが融着した複数の融着部を有し、該融着部に貫通孔が形成されている複合シートの製造方法である。
本発明の複合シートの製造方法の一実施形態は、前記第1シートと前記第2シートとを同方向に搬送しつつ重ね合わせて積層シートを形成する重ね合わせ工程を有している。
本発明の複合シートの製造方法の一実施形態は、前記積層シートを、アンビルロールの周面部と該周面部に対向配置された超音波融着機の超音波ホーンの先端部の振動印加面とのクリアランスに搬入し、該積層シートの一方の面に該振動印加面を接触させて超音波振動を印加することで前記融着部を形成する超音波処理工程を有している。
本発明の複合シートの製造方法の一実施形態では、前記積層シートを前記クリアランスに搬入する直前に、該積層シートにおける該クリアランスにおいて前記振動印加面と接触する面を、前記超音波ホーンにおける該クリアランスの搬入口縁部に接触させる。
【0008】
また本発明は、第1シート及び第2シートが融着した複数の融着部を有し、該融着部に貫通孔が形成されている複合シートの製造装置である。
本発明の複合シートの製造装置の一実施形態は、アンビルロール及び超音波融着機を有し、該超音波融着機が該アンビルロールの周面部に対向配置された超音波ホーンを含み、且つ該アンビルロールの周面部と該超音波ホーンの先端部の振動印加面との間に被処理物が搬入されるクリアランスが設けられている、超音波処理部を備えている。
本発明の複合シートの製造装置の一実施形態は、前記第1シートと前記第2シートとを同方向に搬送しつつ重ね合わせて積層シートを形成し、前記被処理物である該積層シートを前記クリアランスに搬入する、被処理物搬送部を備えている。
本発明の複合シートの製造装置の一実施形態では、前記超音波処理部は、前記クリアランスに搬入された前記積層シートの一方の面に前記振動印加面を接触させて超音波振動を印加することで前記融着部を形成するようになされている。
本発明の複合シートの製造装置の一実施形態では、前記積層シートを前記クリアランスに搬入する直前に、該積層シートにおける該クリアランスにおいて前記振動印加面と接触する面を、前記超音波ホーンにおける該クリアランスの搬入口縁部に接触させるようになされている。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、融着部に貫通孔が形成された複合シートの製造において、融着部の形成と貫通孔の形成とを一工程で実施し得る、複合シートの製造方法及び製造装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明によって製造される複合シートの一実施形態を示す要部斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す複合シートを第1シート側から視た拡大平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の複合シートの製造装置の一実施形態を示す概略図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すアンビルロール(凹凸ロール)の要部を拡大して示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す超音波溶着機を被処理物の搬送方向の上流側から視た状態を示す正面図である。
【
図6】
図6は、
図3に示す製造装置における超音波ホーンの先端部及びその近傍を示す図である。
【
図7】
図7(a)は、
図3に示す製造装置においてアンビルロールの周面部と超音波ホーンの振動印加面とのクリアランスに被処理物が搬入された状態を模式的に示す、被処理物の搬送方向に沿う断面図であり、
図7(b)は、
図7(a)の点線で囲まれた部分の拡大図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る超音波ホーンの一実施形態の先端部の、被処理物の搬送方向に沿う断面を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0012】
先ず、本発明の複合シートの製造方法又は製造装置により製造される複合シートについて説明する。
図1及び
図2には、複合シートの一実施形態である複合シート10が示されている。複合シート10は、第1シート1及び第2シート2が融着した複数の融着部4を有し、融着部4に貫通孔6が形成されている。
【0013】
本実施形態では、複合シート10は、第1シート1における融着部4以外の部分の少なくとも一部が第2シート2側とは反対側に突出した凸部5を有している。凸部5及び融着部4は、複合シート10の面と平行な一方向であるX方向に、交互に且つ一列をなすように配置されており、そのような列が、複合シート10の面と平行で且つ前記一方向に直交する方向であるY方向に、多列に形成されている。互いに隣接する列における凸部5及び融着部4は、それぞれ、X方向にずれて配置されており、より具体的には、半ピッチずれて配置されている。
【0014】
複合シート10において、Y方向は、製造時における被処理物の流れ方向(機械方向、以下「MD」ともいう。)と一致し、X方向は、製造時におけるMDに直交する方向(以下、「CD」ともいう。)と一致する。また、後述する第1ロール(アンビルロール)31及び第2ロール32それぞれの回転軸は、CDに平行で、MDに直交している。
【0015】
本実施形態では、複合シート10は、第1シート1側の面に、X方向及びY方向の両方向において凸部5に挟まれた多数の凹部3を有しており、個々の凹部3の底部に、貫通孔6を有する融着部4が形成されている。複合シート10は、全体として見ると、第1シート1側の面に、前記の凹部3と前記の凸部5とからなる起伏の大きな凹凸を有し、第2シート2側の面は、平坦であるか、第1シート1側の面に対して相対的に起伏が小さい略平坦面となっている。
【0016】
複合シート10における個々の融着部4は、Y方向に長い、略長方形形状の平面視形状を有しており、それぞれの内側に、平面視形状が略長方形形状の貫通孔6が形成されている。換言すると、個々の融着部4は、貫通孔6を囲む環状に形成されている。
貫通孔6は、一つの融着部4に一つのみ形成されていることが好ましく、融着部4の位置との関係において予め決められた特定の位置に形成されていることが好ましい。
また、貫通孔6は、平面視形状が融着部4の外周縁の平面視形状と相似形であっても相似形でなくてもよいが、相似形であることが好ましい。
【0017】
融着部4においては、第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方を構成する樹脂が溶融固化していることによって第1シート1と第2シート2とが結合している。
第1シート1及び第2シート2が、不織布等の繊維シートから構成されている場合、融着部4においては、第1シート1及び第2シート2の構成繊維は、溶融するか溶融した樹脂に埋没して、目視においては繊維状の形態を観察できないこと、すなわち外観上フィルム化した状態となっていることが好ましい。つまり、融着部4はフィルム状であることが好ましい。
【0018】
第1シート1及び第2シート2は、それぞれ、シート材料から構成されている。シート材料としては、例えば、不織布、織布、編み地などの繊維シート;樹脂製フィルムなどを用いることができ、これらの2種以上が積層されたものでもよい。第1シート1と第2シート2とで、シート材料の種類は同じでもよく、異なっていてもよい。
【0019】
肌触りを良好なものとする等の観点から、第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方、好ましくは双方が、不織布を含んで構成されていることが好ましい。ここでいう「不織布を含んで構成されている」には、当該シートの一部のみが不織布である形態(例えば、不織布と樹脂製フィルムとの積層体)と、当該シートの全部が不織布である形態とが包含される。
両シート1、2を構成する不織布としては、各種製法による不織布を特に制限なく用いることができ、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、レジンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、又はこれらの不織布の2種以上を積層した積層不織布を用いることができる。
【0020】
第1シート1及び第2シート2は、それぞれ典型的には、樹脂を含んで構成されている。両シート1、2を構成する不織布等のシート材料は、典型的には、熱可塑性樹脂をはじめとする各種の樹脂を主体とする。両シート1、2の構成繊維は、1種類の樹脂又は2種類以上の樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維(例えば熱可塑性繊維)で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等があり、特に制限されない。
両シート1、2を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブデン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。これらの樹脂は1種を単独で又は2種以上のブレンド物として用いることができる。
【0021】
ところで、第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方に比較的融点の高い高融点樹脂が含まれている場合、これが含まれていない場合に比べて、両シート1、2を溶融させて貫通孔6を形成するのに必要なエネルギー量が増加するため、一工程の超音波処理だけでは貫通孔6の形成が困難になる場合があり得る。このような高融点樹脂として、融点が200℃を超える樹脂が挙げられ、具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。例えば本発明には、両シート1、2の一方又は双方が不織布を含んで構成され、その不織布の構成繊維に、芯がPETからなり、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維が含まれる形態が包含されるところ、このように両シート1、2の少なくとも一方がPETを含んで構成されている場合、一工程の超音波処理だけでは貫通孔6の形成が困難になる場合があり得る。しかしながら、本発明によれば、複合シート10の形成材料がPETのような高融点樹脂を含む場合でも、後述する本発明の特徴的な構成により、融着部4の形成と貫通孔6の形成とを一工程の超音波処理で実施することが可能である。
【0022】
第1シート1及び第2シート2それぞれの坪量は特に制限されず、複合シートの用途等に応じて適宜設定すればよい。例えば、複合シートが吸収性物品の構成部材(表面シート等)に使用される場合、両シート1、2の坪量は、それぞれ、好ましくは10g/m2以上、より好ましくは15g/m2以上、そして、好ましくは40g/m2以下、より好ましくは35g/m2以下である。
【0023】
次に、本発明の複合シートの製造方法及び製造装置について説明する。
図3には、本発明の複合シートの製造装置の一実施形態である製造装置20の全体構成、
図4~
図7には、製造装置20の要部が示されている。
製造装置20は、前述の複合シート10の製造装置であり、少なくとも超音波処理部40と被処理物搬送部30とを備える。
超音波処理部40は、アンビルロール31及び超音波融着機41を有し、超音波融着機41がアンビルロール31の周面部に対向配置された超音波ホーン42を含み、且つアンビルロール31の周面部(具体的には後述する凸部35の先端面35c)と超音波ホーン42の先端部の振動印加面421との間に被処理物が搬入されるクリアランス46が設けられている、というものである。
また、被処理物搬送部30は、第1シート1と第2シート2とを同方向(MD)に搬送しつつ重ね合わせて積層シート10Aを形成し、被処理物である積層シート10Aをクリアランス46に搬入する、というものである。
積層シート10Aは、第1シート1と第2シート2とを重ね合わせただけのものであり、積層シート10Aにおいて両シート1,2どうしは融着されていない。
【0024】
本実施形態では、製造目的物である複合シート10が、「第1シート1における融着部4以外の部分の少なくとも一部が第2シート2側とは反対側に突出した凸部5を有している」という構成であるため、これに対応して、アンビルロール31は、周面部に凹凸を有する凹凸ロールである。また、被処理物搬送部30は、この凹凸ロールであるアンビルロール31の周面部に第1シート1を追従させことで、第1シート1を該周面部の凹凸の形状に沿った凹凸形状に変形させ、その変形させた第1シート1上に第2シート2を重ね合わせて積層シート10Aを形成するようになされており、斯かる凹凸賦形の機能から、被処理物搬送部30は凹凸賦形部とも言えるものである。
【0025】
本実施形態では、製造装置20は、凹凸ロールであるアンビルロール31に加えて更に、アンビルロール31の周面部の凹凸と噛み合う凹凸を周面部に有する、他の凹凸ロール32を備える。
以下、凹凸ロールであるアンビルロール31を「第1ロール31」、他の凹凸ロール32を「第2ロール32」ともいう。
本実施形態では、被処理物搬送部30は、これら両ロール31,32を用い、両ロール31,32の凹凸どうしの噛み合い部33が形成されるように両ロール31,32を回転させ、噛み合い部33に第1シート1を導入することで、第1シート1を、第1ロール31の周面部の凹凸の形状に沿った凹凸形状に変形させるようになされている。
【0026】
図4には、第1ロール31の周面部の一部が示されている。第1ロール31は、所定の歯幅を有する平歯車31a,31b,・・を複数枚組み合わせてロール状に形成したものである。各歯車の歯が、第1ロール31の周面部における凹凸形状の凸部35を形成しており、該凸部35の先端面35cが、後述する超音波融着機41の超音波ホーン42の先端面である振動印加面421との間で、融着対象である第1及び第2シート1,2(積層シート10A)を加圧する加圧面となっている。
【0027】
第1ロール31を構成する各歯車の歯幅(歯車の軸方向の長さ)は、複合シート10の凸部5におけるX方向の寸法を決定し、各歯車の歯の長さ(歯車の回転方向の長さ)は、複合シート10の凸部5におけるY方向の寸法を決定する。
隣り合う歯車は、その歯のピッチが半ピッチずつずれるように組み合わされている。その結果、第1ロール31は、その周面部が凹凸形状となっている。
図示の形態では、各凸部35の先端面35cは、第1ロール31(前記歯車)の回転方向に沿う長辺と第1ロール31(前記歯車)の回転軸方向に沿う短辺とを有する、長方形形状となっている。
先端面35cは回転方向の方が長い形状であると、第1ロール31の凸部35一つにおける超音波ホーン42の先端部の振動印加面421との接触時間を長くして温度を上げやすくすることができるので好ましい。
【0028】
第1ロール31における各歯車の窪みは、第1ロール31の周面部における凹凸の凹部を形成している。
各歯車の歯底部(窪みの底部)には、吸引孔34が形成されている。吸引孔34は、ブロワや真空ポンプなどの吸引源(図示せず)に通じ、第1ロール31と第2ロール32との噛み合い部33から、第1シート1と第2シート2との合流部までの間で吸引が行われる様に制御されている。
したがって、第1ロール31と第2ロール32との噛み合いによって凹凸形状に変形された第1シート1は、吸引孔34による吸引力によって、第1ロール31の周面部の凹凸に沿った形状に変形した状態に維持された状態で、第1シート1と第2シート2との合流部及び超音波融着機41による超音波振動の印加部36に搬送される。
図4に示す第1ロール31では、隣り合う歯車間に所定の空隙Gが設けられていることにより、第1シート1に無理な伸長力を加えたり、両ロール31,32の噛み合い部33で第1シート1を切断したりする不都合が抑制されるため、第1シート1が第1ロール31の周面部の形状に沿った凹凸形状に変形しやすい。
【0029】
凹凸ロールである第2ロール32は、その周面部に、第1ロール31の周面部の凹凸と互いに噛み合う凹凸形状を有している。第2ロール32は、吸引孔34を有しない以外は、第1ロール31と同様の構成を有している。
なお、両ロール31、32の凹凸部が互いに噛み合うことを前提として、第1ロール31の径と第2ロール32の径とは異なっていてもよい。そして、互いに噛み合う凹凸を有する両ロール31,32を回転させながら、両ロール31,32の噛み合い部33に、第1シート1を導入することにより、第1シート1を凹凸形状に変形させることができる。
噛み合い部33においては、第1シート1の複数個所が、第2ロール32の凸部によって第1ロール31の周面部の凹部に押し込まれ、その押し込まれた部分が、製造される複合シート10の凸部5となる。
第2ロール32の周面部には、第1ロール31の凹部に挿入される複数の凸部が形成されているが、第2ロール32に、第1ロール31の凹部のすべてに対応する凸部が形成されていることは必須ではない。
【0030】
なお、
図3に示す被処理物搬送部30は、前述したとおり、周面部に凹凸を有する凹凸ロールを2個備え、その2個の凹凸ロール31,32の凹凸どうしの噛み合い部33が形成されるように両ロール31,32を回転させ、該噛み合い部33に第1シート1を導入することで、該第1シート1を凹凸形状に変形させるようになされているが、被処理物搬送部30が備える凹凸ロールは、周面部に導入された第1シート1を吸引可能な第1ロール31のみでもよく、つまり、第2ロール32は無くてもよい。その場合、第1ロール31の周面部に第1シート1を導入するだけで、該周面部に配された吸引孔34(
図4参照)による吸引力によって、第1シート1が該周面部の凹凸の形状に追従するように変形する。このような、第1ロール31の周面部での吸引による第1シート1の追従・変形は、吸引力や吸引孔34の配置などを適宜調整することで実現可能である。
【0031】
超音波処理部40は、超音波ホーン42を備えた超音波融着機41を備えており、凹凸形状に変形させた状態の第1シート1上に第2シート2を重ね合わせて積層シート10Aを得、その積層シート10Aを、第1ロール31の周面部と超音波ホーン42の先端部の振動印加面421とのクリアランス46に搬入し、該周面部(具体的には凸部35)と振動印加面421とで挟んで超音波振動を印加することで、貫通孔6を形成するとともに、該貫通孔6を有する融着部4を形成する。
【0032】
超音波融着機41は、
図3及び
図5に示すように、超音波発振器(図示せず)、コンバーター43、ブースター44及び超音波ホーン42を備えている。
超音波発振器(図示せず)は、コンバーター43と電気的に接続されており、超音波発振器により発生された周波数15~50kHz程度の波長の高電圧の電気信号が、コンバーター43に入力される。
超音波発振器(図示せず)は、可動台45上又は可動台45外に設置されている。
【0033】
コンバーター43は、ピエゾ圧電素子等の圧電素子を内蔵し、超音波発振器から入力された電気信号を、圧電素子により機械的振動に変換する。ブースター44は、コンバーター43から発せられた機械的振動の振幅を調整、好ましくは増幅して超音波ホーン42に伝達する。
超音波ホーン42は、アルミ合金やチタン合金などの金属の塊でできており、使用する周波数で正しく共振するように設計されている。
ブースター44から超音波ホーン42に伝達された超音波振動は、超音波ホーン42の内部においても増幅、又は減衰されて、融着対象である第1及び第2シート1,2に印加される。斯かる超音波融着機41としては、市販の超音波ホーン、コンバーター、ブースター、超音波発振器を組み合わせて用いることができる。
【0034】
超音波融着機41は、可動台45上に固定されており、可動台45の位置を、第1ロール31の周面部に近づく方向に沿って進退させることで、クリアランス46の高さ(第1ロール31の周面部と超音波ホーン42の振動印加面421との離間距離)、及びクリアランス46に搬入された被処理物に対する加圧力を調節可能となっている。そして、融着対象である積層シート10Aをクリアランス46に搬入し、クリアランス46を画成する第1ロール31の周面部(凸部35の先端面35c)と超音波ホーン42の振動印加面421とで加圧しつつ、振動印加面421から超音波振動を印加することにより、積層シート10Aにおける、凸部35の先端面35c上に位置する部分が発熱し、積層シート10Aを構成する第1シート1及び/又は第2シート2が溶融、再度固化することで、融着部4が形成されるとともに、両シート1,2を貫通する貫通孔6が、溶融部分に囲まれた状態に形成される。
【0035】
超音波ホーン42の先端部の振動印加面421は、アルミ合金やチタン合金等の金属からなる超音波ホーン42の本体部420の先端面からなり、被処理物、より具体的には積層シート10Aの一方の面(第1ロール31の周面部との接触面側とは反対側の面)を構成する第2シート2に当接する。
超音波ホーン42の本体部420は、
図5及び
図6に示すように、その先端面である振動印加面421と、振動印加面421に連接され且つ振動印加面421と交差(直交)する複数の面422~424とを有している。
本実施形態では、振動印加面421は、平面視においてCDの長さがMDの長さに比べて長い長方形形状を有し、本体部420は、その平面視長方形形状の振動印加面421のCDに沿う一対の長辺に連接された一対の面422,423と、振動印加面421のMDに沿う一対の短辺に連接された一対の側面424,424とを有している。本体部420の正面422は、MDの上流側に位置し、クリアランス46の搬入口に隣接する。クリアランス46の搬入口は、クリアランス46におけるMDの上流側の開口であり、被処理物(積層シート10A)の進入口である。本体部420の背面423は、MDの下流側に位置し、クリアランス46の搬出口に隣接する。
【0036】
超音波処理部40は、
図6に示すように、クリアランス46に搬入された積層シート10Aの一方の面(本実施形態では第2シート2)に振動印加面421を接触させて超音波振動を印加することで融着部4を形成するようになされているところ、製造装置20は、
図7に示すように、積層シート10Aをクリアランス46に搬入する直前に、積層シート10Aにおけるクリアランス46において振動印加面421と接触する面(本実施形態では第2シート2)を、超音波ホーン42におけるクリアランス46の搬入口縁部47に接触させるようになされている点で特徴付けられる。超音波ホーン42の搬入口縁部47は、
図5に示すように、超音波ホーン42の本体部420の正面422における、本体部420の先端及びその近傍であり、クリアランス46の搬入口に沿ってCDに延在している。なお、
図7中の符号31Sは、第1ロール31の周面の輪郭線であり、本実施形態では、第1ロール31の周面部における複数の凸部35の先端を通って周方向に延びる仮想線である。
【0037】
前記の「積層シート10Aをクリアランス46に搬入する直前の、該積層シート10Aの超音波ホーン42の搬入口縁部47への接触」は、意図的なものである。ここでいう「意図的な接触」とは、積層シート10Aの意図しない厚みのばらつきによって、該積層シート10Aがクリアランス46への搬入直前に超音波ホーン42の搬入口縁部47に接触することを排除する意味である。
このように、クリアランス46への搬入直前に積層シート10Aを超音波ホーン42の搬入口縁部47に意図的に接触させることで、積層シート10Aに大きなせん断力が作用し、その結果、クリアランス46に搬入される前の時点で、積層シート10Aに貫通孔6が形成されるか、又は貫通孔6の形成には至らずとも、搬入口縁部47との接触部分を中心に積層シート10Aの強度が低下し、その後のクリアランス46での貫通孔6の形成が容易になる。したがって製造装置20によれば、融着部4に貫通孔6が形成された複合シート10の製造において、融着部4の形成と貫通孔6の形成とを一工程で実施することが可能である。
【0038】
本実施形態では、
図7に示すように、クリアランス46の搬入口における第1ロール31の周面部と振動印加面421との離間距離L、すなわちクリアランス46の搬入口の高さLが、該搬入口に搬入される被処理物(積層シート10A)の搬入直前の厚みTに比べて短くなされている。なお、ここでいう「厚みT」は、被処理物の厚みが一定でない場合は最大厚みを指し、また、実質厚み(繊維などの形成材料が存在する部分の厚み)ではなく、見掛け厚み(被処理物の一方の面と他方の面との離間距離)を指す。このように、「クリアランス46の搬入口の高さL<被処理物の該搬入口への搬入直前の厚みT」という大小関係が成立することで、前述した、被処理物(積層シート10A)のクリアランス46への搬入直前での超音波ホーン42の搬入口縁部47への接触が一層容易になり、融着部4の形成と貫通孔6の形成とを一工程で実施することが一層容易になる。
【0039】
本発明者らの知見によれば、前記の高さLと厚みTとの差が大きいほど、積層シート10Aのクリアランス46への搬入前後での厚みの変化が大きなものとなり、それに伴い積層シート10Aに作用する摩擦力が増大し、貫通孔6の形成が容易になる。
前記の高さLと厚みTとの比率は、高さL<厚みTを前提として、高さL/厚みTとして、好ましくは0.0125以上、より好ましくは0.025以上、そして、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.125以下である。
クリアランス46の搬入口の高さLは、被処理物(積層シート10A)の該搬入口への搬入直前の厚みTに比べて短いことを前提として、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上、そして、好ましくは0.4mm以下、より好ましくは0.1mm以下である。
【0040】
本実施形態では、前記の「高さL<厚みT」の大小関係を成立させるために、超音波ホーン42と第1ロール31との位置関係を調整している。具体的には
図8に示すように、超音波ホーン42の振動印加面421のMDの中心421Cが、第1ロール31の回転中心を通って第1ロール31の半径方向に延びる仮想直線31L上に位置する場合の、中心421Cの位置を基準位置RPとした場合、本実施形態では
図7に示すように、基準位置RPよりもMDの下流側に中心421Cが位置するように、超音波ホーン42が配置されている。
この種の融着装置では、被処理物のクリアランスへの搬入をスムーズに行う等の観点から、
図8に示すように、振動印加面421のMDの中心421Cを基準位置RPに一致させるか、又は
図7とは逆に、該中心421Cを基準位置RPよりもMDの上流側に位置させることが一般的であり、そうすることで
図8(b)に示すように、被処理物である積層シート10Aは、超音波ホーン42の搬入口縁部47に接触することなく、クリアランス46の搬入口からその内部にスムーズに搬入される。
これに対し、本実施形態では、貫通孔6の形成を容易にすることを優先し、そのために前記の「高さL<厚みT」の大小関係を確実に成立させるべく、前記の一般的な手法とは逆に、振動印加面421のMDの中心421Cを基準位置RPよりもMDの下流側にずらしている。振動印加面421のMDの中心421Cの基準位置RPからの離間距離G1(
図7(a)参照)は、振動印加面421のMDの全長、第1ロール31の半径等を考慮して、前記の大小関係(高さL<厚みT)が成立するように調整すればよい。
【0041】
前記の「高さL<厚みT」の大小関係を成立させる方法としては、前記の超音波ホーン42の位置を調整する方法以外に、例えば、超音波ホーン42の振動印加面421の形状を調整する方法が挙げられる。具体的には
図9に示す超音波ホーン42Aのように、MDに沿う断面視(第1ロール31の回転軸に直交する方向に沿う断面視)において、振動印加面421が、第1ロール31の周面の輪郭線(第1ロール31の複数の凸部35の先端を通って周方向に延びる仮想線)31Sに沿った形状を有していると、前記大小関係の成立が容易になるため好ましい。
【0042】
図6及び
図7に示すように、超音波ホーン42の先端部の振動印加面421が、凹凸ロールである第1ロール31の周面部の凹凸を構成する凸部35の先端面35cと対向し、該振動印加面421と該凸部35の先端面35cとの間にクリアランス46が設けられている状態(以下、この状態を「状態A」とも言う。)において、該振動印加面421と該凸部35の先端面35cとの離間距離(クリアランス46の高さ)は、第1ロール31の回転に伴う該凸部35の移動によって変化する。
前記状態Aにおいて、凸部35が、第1ロール31の回転中心を通って該第1ロール31の半径方向に延び且つ振動印加面421と直交する仮想垂線(図示せず)よりも、第1ロール31の回転方向(MD)の上流側に位置する場合は、該振動印加面421と該凸部35の先端面35cとの離間距離(クリアランス46の高さ)は、該回転方向(MD)の上流側から下流側に向かって漸減する。
また、前記状態Aにおいて、凸部35が前記仮想垂線と重なる場合は、振動印加面421と該凸部35の先端面35cとの離間距離(クリアランス46の高さ)は、クリアランス46の搬入口から該仮想垂線に向かって漸減し、該仮想垂線の位置で最小となり、該仮想垂線からクリアランス46の搬出口に向かって漸増する。
また、前記状態Aにおいて、凸部35が前記仮想垂線よりも第1ロール31の回転方向(MD)の下流側に位置する場合は、振動印加面421と該凸部35の先端面35cとの離間距離(クリアランス46の高さ)は、該回転方向(MD)の上流側から下流側に向かって漸増する。
【0043】
図9に示す超音波ホーン42Aでは、MDに沿う断面視において第1ロール31の周面の輪郭線31Sが円弧状であることに対応して、振動印加面421は同断面視において、第1ロール31の回転軸からから離れる方向に向かって凹んだ円弧状をなしており、振動印加面421と輪郭線31Sとは平行である。このように振動印加面421のMDに沿う断面形状が円弧状であると、後述する超音波処理工程において被処理物である積層シート10Aにかかるせん断力が向上するため、融着部4及び貫通孔6の同時形成をより一層確実に行うことができる。
なお、振動印加面421が、
図9に示す如くにMDに沿う断面視において円弧状をなす場合、これに対応する第1ロール31の複数の凸部35それぞれの先端面35cは、同断面視において第1ロール31の回転軸から離れる方向に向かって凸状をなし、振動印加面421と湾曲の向きが一致していることが好ましい。
超音波ホーン42Aの振動印加面421の曲率半径は、第1ロール31の凸部35の先端面35cの曲率半径に対して、100%以上が好ましい。
また振動印加面421の曲率半径は、500%以下が好ましく、200%以下がより好ましい。
【0044】
前記の「高さL<厚みT」の大小関係を成立させる方法としては、前記の超音波ホーン42の位置、振動印加面421の形状を調整する方法以外に、例えば、振動印加面421のMDの長さL1(
図6参照)を比較的短くする方法、第1ロール31の直径31R(
図3参照)を比較的長くする方法が挙げられる。
振動印加面421のMDの長さL1は、好ましくは2.5mm以上、より好ましくは3.5mm以上、そして、好ましくは16mm以下、より好ましくは8mm以下である。
第1ロール31の直径31Rは、好ましくは40mm以上、より好ましくは160mm以上、そして、好ましくは1600mm以下、より好ましくは800mm以下である。
【0045】
本実施形態では、製造装置20は、超音波振動を印加する前の第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方を予熱する予熱手段51を備えている。
予熱手段51は、第1ロール31の内部に配置され、第1ロール31の回転軸(CD)に平行に延びている。
また予熱手段51は、第1ロール31の回転軸の周囲における外周部の近傍に、周方向に間隔を設けて複数配置されている。
予熱手段51としては、加熱対象物(第1シート1、第2シート2)に外部から熱エネルギーを加えて加熱し得るものを用いることができ、例えば、電熱線を用いたカートリッジヒーターが挙げられるが、これに限られず、各種公知の加熱手段を特に制限なく用いることができる。
【0046】
予熱手段51は、予熱機構50の一部である。予熱機構50は、予熱手段51の他に、超音波振動を印加する前の被処理物の温度を計測可能な測温手段(図示せず)と、該測温手段の測定値に基づき予熱手段51の温度を制御する温度制御部(図示せず)とを備える。予熱手段51による第1ロール31の周面部の加熱温度は、前記温度制御部によって制御される。予熱機構50によって、製造装置20の運転中、超音波振動の印加部36に搬入される第1シート1の温度を所定範囲に維持することができる。
【0047】
本実施形態では、製造装置20は、
図6に示すように、振動印加面421を含め超音波ホーン42を加熱するホーン加熱手段61を備えている。ホーン加熱手段61としては、ヒーター等の各種公知の加熱手段を特に制限なく用いることができる。
ホーン加熱手段61の配置位置は、振動印加面421を加熱し得る位置であればよく、特に制限されないが、典型的には、振動印加面421に連接され且つ振動印加面421と交差する、超音波ホーン42の本体部420の複数の面422~424の何れか1つ以上に配置される。本実施形態では、ホーン加熱手段61は、本体部420の背面423に配置されている。
【0048】
ホーン加熱手段61は、ホーン加熱機構60の一部である。ホーン加熱機構60は、ホーン加熱手段61の他に、振動印加面421の温度を計測可能な測温手段(図示せず)と、該測温手段の測定値に基づきホーン加熱手段61の温度を制御する温度制御部(図示せず)とを備える。ホーン加熱手段61による振動印加面421の加熱温度は、前記温度制御部によって制御される。ホーン加熱機構60によって、製造装置20の運転中、振動印加面421の温度を所定範囲に維持することができる。
【0049】
なお、超音波融着機41は、被処理物に超音波振動を印加し、それにより被処理物を発熱及び溶融させて融着させるものであり、前述した予熱手段51及びホーン加熱手段61とは明確に区別される。
【0050】
前述した構成を有する製造装置20を用いた複合シート10の製造方法は、
図3に示すように、第1シート1と第2シート2とを同方向に搬送しつつ重ね合わせて積層シート10Aを形成する重ね合わせ工程を有する。また、斯かる製造方法は、積層シート10Aを、第1ロール31の周面部と該周面部に対向配置された超音波融着機41の超音波ホーン42の先端部の振動印加面421とのクリアランス46に搬入し、積層シート10Aの一方の面(第2シート2)に振動印加面421を接触させて超音波振動を印加することで融着部4を形成する超音波処理工程を有する。
【0051】
本実施形態では前述したように、第1ロール31として、周面部に凹凸を有する凹凸ロールを用いており、前記重ね合わせ工程では、凹凸ロールである第1ロール31を回転させながら、第1ロール31の周面部に第1シート1を追従させて凹凸形状に変形させ、その変形させた第1シート1を、第1ロール31の周面部上に保持しつつ搬送し、搬送中の第1シート1に第2シート2を重ね合わせて積層シート10Aを形成している。
また、本実施形態では前述したように、凹凸ロールである第1ロール31に加えて更に、第1ロール31の周面部の凹凸と噛み合う凹凸を周面部に有する他の凹凸ロールである第2ロール32を用いており、前記重ね合わせ工程では、両ロール31,32の凹凸どうしの噛み合い部33が形成されるように両ロール31,32を回転させ、噛み合い部33に第1シート1を導入することで、第1シート1を凹凸形状に変形させる。
【0052】
そして、複合シート10の製造方法は、被処理物である積層シート10Aを、第1ロール31の周面部と超音波ホーン42の振動印加面421とのクリアランス46に搬入する直前に、積層シート10Aにおけるクリアランス46において振動印加面421と接触する面(本実施形態では第2シート2)を、超音波ホーン42におけるクリアランス46の搬入口縁部47に接触させる点で特徴付けられる。この特徴により、斯かる製造方法によれば、融着部4の形成と貫通孔6の形成とを一工程で実施することが可能である。
【0053】
複合シート10の製造方法によれば、積層シート10Aをクリアランス46に搬入する直前の、該積層シート10Aの超音波ホーン42におけるクリアランス46の搬入口縁部47への接触により、該積層シート10Aに貫通孔6が形成され得る。この場合、積層シート10Aは、先ず、クリアランス46への搬入前に貫通孔6が形成され、次いで、クリアランス46に搬入された後に超音波振動が印加されることで融着部4が形成されて、複合シート10となる。このような、クリアランス46への搬入前の貫通孔6の形成を確実にするためには、前記大小関係「クリアランス46の搬入口の高さL<被処理物の該搬入口への搬入直前の厚みT」を成立させることが有効であり、そのための工夫については前述したとおりである。
【0054】
また、前述した本発明の特徴的な構成を十分に活用して、融着部4の形成と貫通孔6の形成とを一工程で確実に実施可能にする観点から、前記重ね合わせ工程では、
図10に示すように、第1シート1を第1ロール31の周面部上に保持しつつ搬送し、搬送中の第1シート1に第2シート2を重ね合わせることで積層シート10Aを形成し、該積層シート10Aを第1ロール31の周面部上に保持しつつ搬送し、クリアランス46に搬入することが好ましい。つまり、
図6に示す形態では、クリアランス46の搬入口と略同位置で第1シート1と第2シート2とを重ね合わせて積層シート10Aを形成しており、積層シート10Aの該搬入口までの移動距離は略ゼロであるが、これに代えて
図10に示すように、クリアランス46の搬入口からMDの上流側にある程度離間した位置で両シート1,2を重ね合わせて積層シート10Aを形成し、その形成した積層シート10Aをある程度の距離を搬送してからクリアランス46に搬入することが好ましい。
第1シート1と第2シート2とを重ね合わせる位置のクリアランス46からの離間距離は、好ましくは3mm以上、より好ましくは10mm以上、そして、好ましくは50mm以下、より好ましくは30mm以下である。前記離間距離が前記範囲内にあれば、前述したように、積層シート10Aをクリアランス46に搬入する直前に、積層シート10Aにおけるクリアランス46において振動印加面421と接触する面を、超音波ホーン42におけるクリアランス46の搬入口縁部47に接触させることが十分に可能である。ここでいう「離間距離」は、被搬送物(積層シート10A)の搬送路に沿った離間距離を意味し、例えば
図10に示すように、積層シート10Aの搬送路が第1ロール31の円弧状の周面に沿っている場合は、該周面に沿った距離を意味する。
【0055】
前記超音波処理工程において、第1ロール31の凸部35の先端面35cと超音波ホーン42の振動印加面421との間に挟んで第1及び第2シート1,2に加える加圧力は、融着部4及び貫通孔6の形成しやすさの観点から、10N/mm以上が好ましく、15N/mm以上がより好ましい。
また前記加圧力は、30N/mm以下が好ましく、25N/mm以下がより好ましい。
ここでいう「加圧力」は、いわゆる線圧であり、超音波ホーン42の加圧力(N)を超音波ホーン42と触れる凸部35の歯幅(凸部35のCDに沿う長さ)の合計(第1ロール31の凹部は含まない)の長さで除した値(単位長さあたりの加圧力)で示す。
【0056】
同様の観点から、印加する超音波振動の周波数は、15kHz以上が好ましく、20kHz以上がより好ましい。
また前記周波数は、50kHz以下が好ましく、40kHz以下がより好ましい。
また同様の観点から、印加する超音波振動の振幅は、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましい。
また前記振幅は、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。
超音波振動の周波数、振幅の測定に際しては、レーザー変位計等で超音波ホーンの先端の変位を計測し、サンプリングレート200kHz以上、精度1μm以上にすることで、該周波数、振幅を測定する。
【0057】
本実施形態では前述したように、製造装置20は予熱手段51(予熱機構50)を具備し、該製造装置20を用いた複合シート10の製造方法では、前記超音波処理工程に供される前の第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方を予熱手段51で予熱するため、前述した本発明の特徴的な構成(クリアランス46への搬入直前に被処理物を超音波ホーン42の搬入口縁部47に意図的に接触させる)による作用効果と相俟って、融着部4及び貫通孔6の同時形成をより一層確実に行うことができる。ただし、製造装置20は予熱手段51(予熱機構50)を具備していなくてもよい。
【0058】
予熱手段51による被処理物の予熱の条件は特に制限されず、被処理物の種類等に応じて適宜調整すればよいが、第1シート1及び第2シート2の少なくとも一方を、該シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておくことが好ましい。すなわち、超音波振動の印加に先立ち、以下の(1)及び(2)の何れか一方又は双方を行うことが好ましい。
(1)第1シート1を、該第1シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておく。
(2)第2シート2を、該第2シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておく。
好ましくは、第1シート1を、該第1シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておくとともに、第2シート2を、該第2シートの融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておく。
【0059】
前記(1)の方法、すなわち第1シート1を、該第1シート1の融点未満、該融点より50℃低い温度以上とする方法としては、例えば、第1ロール31上の第1シート1の温度を、第1ロール31と第2ロール32との噛み合い部33と、超音波融着機41による超音波振動の印加部36との間において測定し、その測定値が、前述した特定の範囲内となるように、予熱手段51の温度を制御する。
第1シート1を、特定の範囲の温度に予熱する方法としては、第1シート1が、特定の範囲の温度となるように、第1ロール31の周面部の温度を該第1ロール31内に配したヒーターにより制御する方法に代えて、多様な方法を用いることができる。
例えば、第1ロール31の周面部の近傍にヒーターや熱風の吹き出し口、遠赤外線の照射装置を設け、それらにより、第1シート1を沿わせる前又は後の第1ロール31の周面部の温度を制御する方法、噛み合い部33において第1シート1に接触する第2ロール32を加熱し、その周面部の温度制御により第1シート1の温度を制御する方法が挙げられる。
また、第1ロール31に沿わせる前の第1シート1に対して、加熱されたローラーに接触させたり、高温に維持した空間を通過させたり、熱風を吹き付けたりする方法等が挙げられる。
【0060】
前記(2)の方法、すなわち第2シート2を、該第2シート2の融点未満、該融点より50℃低い温度以上とする方法としては、第1シート1と合流させる前の第2シート2の温度を、第2シート2の搬送路中に配置した測温手段で計測し、その測定値が、前述した特定の範囲内となるように、第2シート2の搬送路中に配した第2シート2の加熱手段(図示せず)の温度を制御することが好ましい。
第2シート2の加熱手段は、加熱されたローラー等を接触させる等の接触方式でもよいし、高温に維持した空間を通過させたり、熱風を吹き付けたり貫通させたり赤外線を照射する等の非接触式でもよい。
【0061】
第1シート1及び第2シート2の融点は、例えば、Perkin-Elmer社製の示差走査熱量測定装置(DSC)PYRIS Diamond DSCを用いて測定することができる。斯かる測定方法では、測定データのピーク値から測定対象(第1シート1、第2シート2)の融点を割り出す。
第1シート1又は第2シート2が、不織布等の繊維シートであり、その構成繊維が、芯鞘型、サイド・バイ・サイド型等の複数成分からなる複合繊維である場合、そのシートの融点は、DSCにより測定した複数の融点の内、最低温度の融点を複合繊維シートの融点とする。
【0062】
また、本実施形態では前述したように、製造装置20はホーン加熱手段61(ホーン加熱機構60)を具備し、前記超音波処理工程では、ホーン加熱手段61によって加熱された振動印加面421と、第1ロール31の周面部とを用いて、被処理物(積層シート10A)に超音波振動を印加するため、前述した本発明の特徴的な構成(クリアランス46への搬入直前に被処理物を超音波ホーン42の搬入口縁部47に意図的に接触させる)による作用効果と相俟って、融着部4及び貫通孔6の同時形成をより一層確実に行うことができる。ただし、製造装置20はホーン加熱手段61(ホーン加熱機構60)を具備していなくてもよい。
【0063】
ホーン加熱手段61による加熱の条件は特に制限されず、被処理物の種類等に応じて適宜調整すればよい。
例えば、予熱手段51に代えてホーン加熱手段61を用いることによって、前記(2)の方法を実施してもよい。すなわち、ホーン加熱手段61によって加熱される超音波ホーン42(振動印加面421)の温度を制御することによって、超音波振動を印加される直前の第2シート2の温度を、該第2シート2の融点未満、該融点より50℃低い温度以上に加熱しておき、その状態で、凹凸ロール331の凸部35と振動印加面421との間に挟んだ、第1及び第2シート1,2に超音波振動を印加してもよい。
また、予熱手段51及びホーン加熱手段61は、どちらか一方のみを用いてもよく、両者を併用してもよい。
【0064】
図11には、本発明の他の実施形態が示されている。後述する他の実施形態については、前記実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。
【0065】
図11に示す超音波ホーン42Bにおいては、その先端部が、該超音波ホーン42Bの金属製の本体部420に固定された蓄熱部425を含んで構成され、振動印加面421が蓄熱部425から形成されている。蓄熱部425は、本体部420を構成する金属に比べて、熱伝導率が低い材料である蓄熱材からなる。
振動印加面421が蓄熱部425から形成されていると、超音波振動により発熱した第1及び第2シート1,2の熱が蓄熱部425に蓄えられる結果、蓄熱部425の温度が上昇して第1シート1及び第2シート2を加熱することができるため、前述した本発明の特徴的な構成(クリアランス46への搬入直前に被処理物を超音波ホーン42の搬入口縁部47に意図的に接触させる)による作用効果と相俟って、融着部4及び貫通孔6の同時形成をより一層確実に行うことができる。また、振動印加面421が蓄熱部425から形成されていると、第1及び第2シート1,2の溶融により生じる溶融樹脂の搬送手段への付着、シートの搬送ロールへの巻き付き等の不都合の発生が抑制され、製造装置のメンテナンス負担が軽減されるというメリットがある。
なお、
図11に示す蓄熱部425からなる振動印加面421は、
図9に示す超音波ホーン42Aの振動印加面421と同様に、MDに沿う断面視において円弧状をなしているが、同断面視において円弧状をなさずに直線状(例えば、第1ロール31の接線方向に延びる直線状)でもよい。
【0066】
蓄熱部425を構成する蓄熱材の熱伝導率は、超音波ホーン42や大気に放熱しにくくする観点から、2.0W/mK以下が好ましく、1.0W/mK以下がより好ましい。
また前記蓄熱材の熱伝導率は、シートを効率的に加熱する観点から、0.1W/mK以上が好ましく、0.5W/mK以上がより好ましい。蓄熱材の熱伝導率は、熱伝導率測定装置を用いて常法に従って測定することができる。
蓄熱部425の厚みTh(
図11参照)は、特に制限されないが、蓄熱部425による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また厚みThは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
【0067】
蓄熱部425を構成する蓄熱材としては、本体部420を構成する金属に比べて熱伝導率が低いことを前提として、耐摩耗性及び耐熱性に優れた合成樹脂を用いることが好ましく、該合成樹脂として、例えば、ポリイミドやポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエチルケトン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイト、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等の、ロックウエル硬度がR120以上R140以下で、耐熱温度が150℃以上500℃以下の合成樹脂が挙げられる。
前記蓄熱材としては、ポリイミドやポリベンゾイミダゾール等の、ロックウエル硬度がR125以上R140以下で、耐熱温度が280℃以上400℃以下の合成樹脂が特に好ましい。
ここで、ロックウエル硬度は、ASTM D-785に従って測定した値であり、耐熱温度は、ASTM D-648に従って測定した値である。
【0068】
合成樹脂製の蓄熱部425を金属製の本体部420に固定する手段は特に制限されず、公知の固定手段を採用できる。合成樹脂製の蓄熱部425は、例えば、金属製の本体部420に溶射により形成して、該本体部420に固定することができる。ここでいう「溶射」とは、加熱することで溶融又はそれに近い状態とした金属やセラミックスなどの溶射材料の粒子を、加速して基材面に高速で衝突させ、該基材面に被膜を形成する公知の表面処理法である。溶射材料としては、溶射可能で、合成樹脂製の蓄熱部425の固定強度の向上に寄与し得るものを特に制限なく用いることができるが、チタン合金等の金属からなる本体部420に対する結合力に優れ、耐摩耗性や耐熱性にも優れる観点から、タングステンカーバイド、ジルコニア、クロムカーバイド等のセラミックス、アルミマグネシウム、亜鉛アルミニウム等の合金、アルミニウム、ステンレス、チタン、モリブデン等の金属、金属とセラミックスの複合材であるサーミット等が好ましく用いられる。
【0069】
本発明によって製造される複合シート10は、以下の構成を有することが好ましい。
凸部5の高さH(
図1参照)は、1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。
また凸部5の高さHは、10mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましい。
複合シート10の単位面積(1cm
2)当たりの凸部5の数は、1個以上が好ましく、6個以上がより好ましい。
また複合シート10の単位面積(1cm
2)当たりの凸部5の数は、20個以下が好ましく、15個以下がより好ましい。
凸部5のX方向の底部寸法A(
図1参照)は、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。
また底部寸法Aは、5.0mmが好ましく、4.0mm以下がより好ましい。
凸部5のY方向の底部寸法B(
図1参照)は、1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましい。
また底部寸法Bは、10.0mm以下が好ましく、7.0mm以下がより好ましい。
X方向の底部寸法AとY方向の底部寸法Bとの比(底部寸法A:底部寸法B)は、1:1以上が好ましく、1:2以上がより好ましい。
また前記比(底部寸法A:底部寸法B)は、1:10以下が好ましく、2:5以下がより好ましい。
凸部5の底部面積(底部寸法A×底部寸法B)は、0.5mm
2以上が好ましく、2mm
2以上がより好ましい。
また凸部5の底部面積は、50mm
2以下が好ましく、20mm
2以下がより好ましい。
【0070】
融着部4のX方向の寸法C(
図1参照)は、0.5mm以上が好ましく、0.8mm以上がより好ましい。
また寸法Cは、2mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましい。
融着部4のY方向の寸法D(
図1参照)は、1.0mm以上が好ましく、1.2mm以上がより好ましい。
また寸法Dは、5.0mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましい。
X方向の寸法CとY方向の寸法Dとの比(寸法C:寸法D)は、1:1以上が好ましく、2:3以上がより好ましい。
また前記比(寸法C:寸法D)は、1:3以下が好ましく、2:5以下がより好ましい。
【0071】
融着部4における外周縁より内側の面積は、0.5mm2以上が好ましく、1.0mm2以上がより好ましい。
また融着部4における外周縁より内側の面積は、5.0mm2以下が好ましく、4.0mm2以下がより好ましい。
ここでいう、「融着部4における外周縁より内側の面積」には、貫通孔6の面積も含まれる。
貫通孔6の開口面積は、融着部4の外周縁より内側の面積に対して、50%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
また貫通孔6の開口面積は、融着部4の外周縁より内側の面積に対して、100%未満が好ましく、95%以下がより好ましい。
貫通孔6の開口面積は、1mm2以上が好ましく、3mm2以上がより好ましい。
また貫通孔6の開口面積は、10mm2以下が好ましく、7mm2以下がより好ましい。
【0072】
複合シート10は、凹凸を有する上に、該凹凸を構成する凹部3の底部に、貫通孔6を有する融着部4を有するため、肌触りや平面方向における液の拡散防止性に優れており、また通気性や液の引き込み性にも優れている。
複合シート10は、斯かる特性を生かして、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品の構成部材として好ましく用いられ、特に吸収性物品の表面シートに好適である。
複合シート10が吸収性物品の表面シートとして用いられる場合、典型的には、第1シート1が、着用者の肌側に向けられる面(肌対向面)を形成し、第2シート2が、着用時に吸収体側に向けられる面(非肌対向面)を形成する。
【0073】
複合シート10は、吸収性物品の表面シート以外の用途に用いることもできる。
複合シート10の、表面シート以外の吸収性物品用途として、例えば、表面シートと吸収体との間に配置され、セカンドシート、サブレイヤーなどとも呼ばれるシート;立体ギャザー、防漏カフなどとも呼ばれる防漏壁形成用のシート(特に防漏壁の内壁を形成するシート)を例示できる。
複合シート10の吸収性物品以外の用途として、例えば、清掃シート、特に液吸収を主とする清掃シート;対人用の化粧シートを例示できる。
複合シート10を清掃シートに用いる場合、凸部5において、平滑でない被清掃面への追従性が良好であるため、第1シート1側を被清掃面に向けて使用することが好ましい。
複合シート10を化粧シートとして用いる場合、凸部5において対象者の肌に追従し、またマッサージ効果を発現するとともに、余分な化粧剤(別途使用)や汗の吸収を行うことができるため、第1シート1側を肌側に向けて使用することが好ましい。
【0074】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。前述の一の実施形態が具備する構成は、他の実施形態に適用することが可能である。
【0075】
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
<1>
第1シート及び第2シートが融着した複数の融着部を有し、該融着部に貫通孔が形成されている複合シートの製造方法であって、
前記第1シートと前記第2シートとを同方向に搬送しつつ重ね合わせて積層シートを形成する重ね合わせ工程と、
前記積層シートを、アンビルロールの周面部と該周面部に対向配置された超音波融着機の超音波ホーンの先端部の振動印加面とのクリアランスに搬入し、該積層シートの一方の面に該振動印加面を接触させて超音波振動を印加することで前記融着部を形成する超音波処理工程とを有し、
前記積層シートを前記クリアランスに搬入する直前に、該積層シートにおける該クリアランスにおいて前記振動印加面と接触する面を、前記超音波ホーンにおける該クリアランスの搬入口縁部に接触させる、複合シートの製造方法。
<2>
前記重ね合わせ工程では、前記第1シートを前記アンビルロールの周面部上に保持しつつ搬送し、搬送中の該第1シートに前記第2シートを重ね合わせることで前記積層シートを形成し、
前記積層シートを前記アンビルロールの周面部上に保持しつつ搬送し、前記クリアランスに搬入する、前記<1>に記載の複合シートの製造方法。
<3>
前記積層シートを前記クリアランスに搬入する直前の、該積層シートの前記超音波ホーンにおける該クリアランスの搬入口縁部への接触により、該積層シートに前記貫通孔が形成される、前記<1>又は<2>に記載の複合シートの製造方法。
<4>
前記超音波振動を印加する前の前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方を予熱する、前記<1>~<3>の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
<5>
前記振動印加面を加熱し、前記超音波処理工程では、加熱された該振動印加面とアンビルロールの周面部とを用いて超音波振動を印加する、前記<1>~<4>の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
<6>
前記アンビルロールとして、周面部に凹凸を有する凹凸ロールを用い、
前記重ね合わせ工程では、前記凹凸ロールを回転させながら、該凹凸ロールの周面部に前記第1シートを追従させて凹凸形状に変形させ、その変形させた第1シートを、該凹凸ロールの周面部上に保持しつつ搬送し、搬送中の該第1シートに前記第2シートを重ね合わせて前記積層シートを形成し、
前記複合シートは、前記第1シートにおける前記融着部以外の部分の少なくとも一部が、前記第2シート側とは反対側に突出した凸部を有している、請求項<1>~<5>の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
<7>
前記重ね合わせ工程では、前記凹凸ロールに加えて更に、該凹凸ロールの周面部の凹凸と噛み合う凹凸を周面部に有する他の凹凸ロールを用い、両ロールの凹凸どうしの噛み合い部が形成されるように両ロールを回転させ、該噛み合い部に前記第1シートを導入することで、該第1シートを凹凸形状に変形させる、前記<6>に記載の複合シートの製造方法。
<8>
前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方は、不織布を含んで構成されている、前記<1>~<7>の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
<9>
前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方は、ポリエチレンテレフタレートを含んで構成されている、前記<1>~<8>の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
【0076】
<10>
前記複数の融着部は、それぞれ、平面視において一方向に長い形状(長方形形状)を有しており、該複数の融着部それぞれの内側に、平面視において該一方向に長い形状(長方形形状)の前記貫通孔が形成されている、前記<1>~<9>の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
<11>
前記複数の融着部は、それぞれ、前記貫通孔を囲む環状に形成されている、前記<1>~<10>の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
<12>
前記融着部はフィルム状である、前記<1>~<11>の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
<13>
前記積層シートを前記クリアランスに搬入する直前の、該積層シートの前記超音波ホーンにおける該クリアランスの搬入口縁部への接触は、意図的なものである、前記<1>~<12>の何れか1項に記載の複合シートの製造方法。
【0077】
<14>
第1シート及び第2シートが融着した複数の融着部を有し、該融着部に貫通孔が形成されている複合シートの製造装置であって、
アンビルロール及び超音波融着機を有し、該超音波融着機が該アンビルロールの周面部に対向配置された超音波ホーンを含み、且つ該アンビルロールの周面部と該超音波ホーンの先端部の振動印加面との間に被処理物が搬入されるクリアランスが設けられている、超音波処理部と、
前記第1シートと前記第2シートとを同方向に搬送しつつ重ね合わせて積層シートを形成し、前記被処理物である該積層シートを前記クリアランスに搬入する、被処理物搬送部とを備え、
前記超音波処理部は、前記クリアランスに搬入された前記積層シートの一方の面に前記振動印加面を接触させて超音波振動を印加することで前記融着部を形成するようになされており、
前記積層シートを前記クリアランスに搬入する直前に、該積層シートにおける該クリアランスにおいて前記振動印加面と接触する面を、前記超音波ホーンにおける該クリアランスの搬入口縁部に接触させるようになされている、複合シートの製造装置。
<15>
前記クリアランスの搬入口における前記アンビルロールの周面部と前記振動印加面との離間距離が、該搬入口に搬入される前記被処理物の搬入直前の厚みに比べて短い、前記<14>に記載の複合シートの製造装置。
<16>
前記振動印加面における被処理物の搬送方向の中心が、前記アンビルロールの回転中心を通って該アンビルロールの半径方向に延びる仮想直線上に位置する場合の、該振動印加面における前記被処理物の搬送方向の中心の位置を基準位置とした場合、該基準位置よりも該搬送方向の下流側に該中心が位置している、前記<14>又は<15>に記載の複合シートの製造装置。
<17>
前記振動印加面は、前記被処理物の搬送方向に沿う断面視において、前記アンビルロールの周面の輪郭線に沿った形状を有している、前記<14>~<16>の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
<18>
前記超音波振動を印加する前の前記第1シート及び前記第2シートの少なくとも一方を予熱する予熱手段を備える、前記<14>~<17>の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
<19>
前記振動印加面を加熱するホーン加熱手段を具備する、前記<14>~<18>の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
<20>
前記超音波ホーンの先端部が、該超音波ホーンの金属製の本体部に固定された蓄熱部を含んで構成され、前記振動印加面が該蓄熱部から形成されている、前記<14>~<19>の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
<21>
前記超音波融着機は可動台上に固定されており、
前記可動台の位置を、前記アンビルロールの周面部に近づく方向に沿って進退させることで、前記クリアランスの高さ及び該クリアランスに搬入された被処理物に対する加圧力をそれぞれ調節可能になされている、前記<14>~<20>の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
<22>
前記振動印加面は、前記被処理物の搬送方向に沿う断面視において、前記アンビルロールの回転軸からから離れる方向に向かって凹んだ円弧状をなしている、前記<14>~<21>の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
【0078】
<23>
前記アンビルロールは、周面部に凹凸を有する凹凸ロールであり、
前記被処理物搬送部は、前記凹凸ロールの周面部に前記第1シートを追従させて凹凸形状に変形させ、その変形させた第1シート上に前記第2シートを重ね合わせて前記積層シートを形成する、前記<14>~<22>の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
<24>
前記凹凸ロールの周面部の凹凸を構成する凸部の先端面は、該凹凸ロールの回転方向に沿う長辺と該凹凸ロールの回転軸方向に沿う短辺とを有する長方形形状である、前記<23>に記載の複合シートの製造装置。
<25>
前記凹凸ロールは、所定の歯幅を有する歯車を複数枚組み合わせてロール状に形成したものである、前記<23>又は<24>に記載の複合シートの製造装置。
<26>
前記凹凸ロールにおける前記歯車の窪みは、該凹凸ロールの周面部における凹凸の凹部を形成しており、該歯車の該窪みの底部に吸引孔が形成されており、
前記吸引孔による吸引力によって、前記第1シートが前記凹凸ロールの周面部に追従して凹凸形状に変形した状態が維持されるようになされている、前記<25>に記載の複合シートの製造装置。
<27>
前記凹凸ロールにおける隣り合う前記歯車の間に所定の空隙が設けられている、前記<25>又は<26>に記載の複合シートの製造装置。
<28>
前記振動印加面が前記凹凸ロールの周面部の凹凸を構成する凸部の先端面と対向し、該振動印加面と該凸部の先端面との間に前記クリアランスが設けられている状態において、
前記凸部が、前記凹凸ロールの回転中心を通って該凹凸ロールの半径方向に延び且つ該振動印加面と直交する仮想垂線よりも、該凹凸ロールの回転方向(前記被処理物の搬送方向、MD)の上流側に位置する場合は、該振動印加面と該凸部の先端面との離間距離(前記クリアランスの高さ)は、該回転方向(MD)の上流側から下流側に向かって漸減し、
前記凸部が前記仮想垂線と重なる場合は、前記振動印加面と該凸部の先端面との離間距離(前記クリアランスの高さ)は、前記クリアランスの搬入口から該仮想垂線に向かって漸減し、該仮想垂線の位置で最小となり、該仮想垂線から該クリアランスの搬出口に向かって漸増し、
前記凸部が前記仮想垂線よりも前記回転方向(MD)の下流側に位置する場合は、前記振動印加面と該凸部の先端面との離間距離(前記クリアランスの高さ)は、該回転方向(MD)の上流側から下流側に向かって漸増する、前記<23>~<27>の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
<29>
前記凹凸ロールに加えて更に、該凹凸ロールの周面部の凹凸と噛み合う凹凸を周面部に有する他の凹凸ロールを備え、両ロールの凹凸どうしの噛み合い部が形成されるように両ロールを回転させ、該噛み合い部に前記第1シートを導入することで、該第1シートを凹凸形状に変形させるようになされている、前記<23>~<27>の何れか1項に記載の複合シートの製造装置。
【符号の説明】
【0079】
10A 積層シート
10 複合シート
1 第1シート
2 第2シート
3 凹部
4 融着部
5 凸部
6 貫通孔
20 複合シートの製造装置
30 被処理物搬送部(凹凸賦形部)
31 第1ロール(アンビルロール、凹凸ロール)
32 第2ロール(凹凸ロール)
33 噛み合い部
34 吸引孔
35 凸部
35c 凸部の先端面
36 超音波振動の印加部
40 超音波処理部
41 超音波融着機
42,42A,42B 超音波ホーン
420 超音波ホーンの本体部
421 振動印加面(超音波ホーンの先端面)
425 蓄熱部
43 コンバーター
44 ブースター
45 可動台
46 クリアランス
47 超音波ホーンにおけるクリアランスの搬入口縁部
50 予熱機構
51 予熱手段
60 ホーン加熱機構
61 ホーン加熱手段