(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】プラグドア装置
(51)【国際特許分類】
B61D 19/00 20060101AFI20241203BHJP
E05F 15/655 20150101ALI20241203BHJP
E05F 15/643 20150101ALI20241203BHJP
E05B 85/24 20140101ALI20241203BHJP
E05B 83/40 20140101ALI20241203BHJP
【FI】
B61D19/00 C
E05F15/655
E05F15/643
E05B85/24
E05B83/40
B61D19/00 A
(21)【出願番号】P 2020189717
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】榊 源太
(72)【発明者】
【氏名】早田 夏樹
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第19735181(DE,A1)
【文献】特開2010-095940(JP,A)
【文献】特開2012-188859(JP,A)
【文献】特開2008-121242(JP,A)
【文献】米国特許第05755060(US,A)
【文献】特開2020-100397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 19/00-19/02
E05F 15/632、643、655
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗降口を開閉するためのドアの開閉経路を規定するガイドレールと、
前記ドアを移動させるための駆動源と、
前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに案内されながら前記開閉経路に沿って移動する移動部材と、
前記移動部材が前記開閉経路に沿って閉方向に移動する際に前記移動部材によって押されることで、前記ドアを拘束しない非拘束位置から、前記ドアの全閉位置において前記移動部材を拘束する拘束位置に移動する拘束部材と、
前記拘束位置に位置する前記拘束部材を保持するロック機構と、
を備え
、
前記拘束部材は、前記ガイドレールに対して前記車両の高さ方向にずれて配置され、
前記拘束部材は、前記閉方向に順に配置された第1アーム及び第2アームを備え、
前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合、前記第1アームは前記開閉経路を横断せず、かつ、前記第2アームは前記開閉経路を横断し、
前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合、前記第1アーム及び前記第2アームは前記開閉経路を横断し、
前記開閉経路は、前記車両の前後方向に沿う直線部分と、前記直線部分に対して傾斜する傾斜部分と、を含み、
前記第2アームは、前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第1の面と、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第2の面と、を含む、プラグドア装置。
【請求項2】
前記拘束部材の少なくとも一部は、前記ガイドレールの前記車両の高さ方向の範囲内に配置されている
請求項1に記載のプラグドア装置。
【請求項3】
前記拘束部材は、前記非拘束位置において前記移動部材と接触して前記開閉経路に沿う前記移動部材の移動を案内する案内壁を備える
請求項
2に記載のプラグドア装置。
【請求項4】
前記拘束部材は、前記車両の高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられている
請求項1から
3のいずれか一項に記載のプラグドア装置。
【請求項5】
前記拘束部材は、前記軸を挟んで前記移動部材を拘束する部分とは反対側に設けられるとともに前記ロック機構により保持される被保持部を備える
請求項
4に記載のプラグドア装置。
【請求項6】
前記被保持部は、前記拘束部材と同一の部材により一体に形成されている
請求項
5に記載のプラグドア装置。
【請求項7】
前記拘束部材には、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合にスイッチを押す押し部材が設けられている
請求項1から
6のいずれか一項に記載のプラグドア装置。
【請求項8】
前記移動部材は、前記車両の高さ方向に延びる軸線回りに回転可能とされるとともに、前記開閉経路に沿って転がる回転体であり、
前記回転体の形状は、前記高さ方向から見て円形状である
請求項1から
7のいずれか一項に記載のプラグドア装置。
【請求項9】
前記拘束部材が前記非拘束位置に保たれるように前記拘束部材に対して弾性力を加える弾性部材を更に備える
請求項1から
8のいずれか一項に記載のプラグドア装置。
【請求項10】
前記拘束部材は、前記車両の高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、
前記弾性部材は、前記軸に巻き付けられるねじりばねである
請求項
9に記載のプラグドア装置。
【請求項11】
前記拘束部材は、前記車両の高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、
前記弾性部材は、前記軸に対して交差する方向に圧縮可能に設けられた圧縮ばねであり、
前記圧縮ばねの一端は、前記ガイドレールに連結され、
前記圧縮ばねの他端は、前記拘束部材に連結され、
前記圧縮ばねの中心軸線は、前記移動部材が前記非拘束位置を移動する場合は前記高さ方向から見て前記中心軸線が前記軸と重なる境界位置よりも前記閉方向とは反対側に位置し、かつ、前記移動部材が前記拘束位置に位置するときは前記高さ方向から見て前記境界位置よりも前記閉方向の側に位置する
請求項
9に記載のプラグドア装置。
【請求項12】
前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに接触しないように前記移動部材とは離間して設けられた第2移動部材を更に備え、
前記拘束部材は、前記車両の高さ方向から見て前記閉方向に向かって傾斜するとともに前記ドアの前記全閉位置において前記第2移動部材を拘束する拘束壁を有する
請求項1から
11のいずれか一項に記載のプラグドア装置。
【請求項13】
車両の乗降口を開閉するためのドアの開閉経路を規定するガイドレールと、
前記ドアを移動させるための駆動源と、
前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに案内されながら前記開閉経路に沿って転がる回転体と、
前記回転体が前記開閉経路に沿って閉方向に移動する際に前記回転体によって押されることで、前記ドアを拘束しない非拘束位置から、前記ドアの全閉位置において前記回転体を拘束する拘束位置に移動する拘束部材と、
前記拘束位置に位置する前記拘束部材を保持するロック機構と、を備え、
前記回転体は、前記車両の高さ方向に延びる軸線回りに回転可能とされ、
前記回転体の形状は、前記高さ方向から見て円形状であり、
前記拘束部材は、前記ガイドレールに対して前記高さ方向にずれて配置され、
前記拘束部材は、前記閉方向に順に配置された第1アーム及び第2アームを備え、
前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合、前記第1アームは前記開閉経路を横断せず、かつ、前記第2アームは前記開閉経路を横断し、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合、前記第1アーム及び前記第2アームは前記開閉経路を横断し、
前記開閉経路は、前記車両の前後方向に沿う直線部分と、前記直線部分に対して傾斜する傾斜部分と、を含み、
前記第2アームは、前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第1の面と、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第2の面と、を含み、
前記拘束部材は、前記高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、
前記拘束部材は、前記軸を挟んで前記回転体を拘束する部分とは反対側に設けられるとともに前記ロック機構により保持される被保持部を備え、
前記被保持部は、前記拘束部材と同一の部材により一体に形成され、
前記拘束部材には、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合にスイッチを押す押し部材が設けられ、
前記軸に巻き付けられ、前記拘束部材が前記非拘束位置に保たれるように前記拘束部材に対して弾性力を加えるねじりばねを更に備え、
前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに接触しないように前記回転体とは離間して設けられた第2移動部材を更に備え、
前記拘束部材は、前記高さ方向から見て前記閉方向に向かって傾斜するとともに前記ドアの前記全閉位置において前記第2移動部材を拘束する拘束壁を有する
プラグドア装置。
【請求項14】
車両の乗降口を開閉するためのドアの開閉経路を規定するガイドレールと、
前記ドアを移動させるための駆動源と、
前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに案内されながら前記開閉経路に沿って転がる回転体と、
前記回転体が前記開閉経路に沿って閉方向に移動する際に前記回転体によって押されることで、前記ドアを拘束しない非拘束位置から、前記ドアの全閉位置において前記回転体を拘束する拘束位置に移動する拘束部材と、
前記拘束位置に位置する前記拘束部材を保持するロック機構と、を備え、
前記回転体は、前記車両の高さ方向に延びる軸線回りに回転可能とされ、
前記回転体の形状は、前記高さ方向から見て円形状であり、
前記拘束部材は、前記ガイドレールに対して前記高さ方向にずれて配置され、
前記拘束部材は、前記閉方向に順に配置された第1アーム及び第2アームを備え、
前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合、前記第1アームは前記開閉経路を横断せず、かつ、前記第2アームは前記開閉経路を横断し、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合、前記第1アーム及び前記第2アームは前記開閉経路を横断し、
前記開閉経路は、前記車両の前後方向に沿う直線部分と、前記直線部分に対して傾斜する傾斜部分と、を含み、
前記第2アームは、前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第1の面と、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第2の面と、を含み、
前記拘束部材は、前記高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、
前記拘束部材は、前記軸を挟んで前記回転体を拘束する部分とは反対側に設けられるとともに前記ロック機構により保持される被保持部を備え、
前記被保持部は、前記拘束部材と同一の部材により一体に形成され、
前記拘束部材には、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合にスイッチを押す押し部材が設けられ、
前記軸に対して交差する方向に圧縮可能に設けられた圧縮ばねを更に備え、
前記圧縮ばねの一端は、前記ガイドレールに連結され、
前記圧縮ばねの他端は、前記拘束部材に連結され、
前記圧縮ばねの中心軸線は、前記回転体が前記非拘束位置を移動する場合は前記高さ方向から見て前記中心軸線が前記軸と重なる境界位置よりも前記閉方向とは反対側に位置し、かつ、前記回転体が前記拘束位置に位置するときは前記高さ方向から見て前記境界位置よりも前記閉方向の側に位置し、
前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに接触しないように前記回転体とは離間して設けられた第2移動部材を更に備え、
前記拘束部材は、前記高さ方向から見て前記閉方向に向かって傾斜するとともに前記ドアの前記全閉位置において前記第2移動部材を拘束する拘束壁を有する
プラグドア装置。
【請求項15】
車両の乗降口を開閉するためのドアの開閉経路を規定するガイドレールと、
前記ドアを移動させるための駆動源と、
前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに案内されながら前記開閉経路に沿って転がる回転体と、
前記回転体が前記開閉経路に沿って閉方向に移動する際に前記回転体によって押されることで、前記ドアを拘束しない非拘束位置から、前記ドアの全閉位置において前記回転体を拘束する拘束位置に移動する拘束部材と、
前記拘束位置に位置する前記拘束部材を保持するロック機構と、を備え、
前記回転体は、前記車両の高さ方向に延びる軸線回りに回転可能とされ、
前記回転体の形状は、前記高さ方向から見て円形状であり、
前記拘束部材の少なくとも一部は、前記ガイドレールの前記高さ方向の範囲内に配置され、
前記拘束部材は、前記非拘束位置において前記回転体と接触して前記開閉経路に沿う前記回転体の移動を案内する案内壁を備え、
前記拘束部材は、前記高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、
前記拘束部材は、前記軸を挟んで前記回転体を拘束する部分とは反対側に設けられるとともに前記ロック機構により保持される被保持部を備え、
前記被保持部は、前記拘束部材と同一の部材により一体に形成され、
前記拘束部材には、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合にスイッチを押す押し部材が設けられ、
前記軸に巻き付けられ、前記拘束部材が前記非拘束位置に保たれるように前記拘束部材に対して弾性力を加えるねじりばねを更に備え、
前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに接触しないように前記回転体とは離間して設けられた第2移動部材を更に備え、
前記拘束部材は、前記高さ方向から見て前記閉方向に向かって傾斜するとともに前記ドアの前記全閉位置において前記第2移動部材を拘束する拘束壁を有する
プラグドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアを鉄道車両の前後方向に移動させながら幅方向に移動させる動作、いわゆるプラグ動作をさせるプラグドア装置が知られている。プラグドア装置は、車両の乗降口を開閉するためのドアの開閉経路を規定するガイドレールと、ドアの全閉位置においてドアをロックするロック機構と、を備える。ドアの移動やロック機構の動作は、駆動源からの駆動力によって行われる。
例えば、特許文献1には、ドアを移動させるためのモータと、ドアの施錠装置を駆動させるためのソレノイド装置と、備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ドア用の駆動源とドアロック用の駆動源とが別に設けられているため、省エネルギーを図る上で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、省エネルギーを図ることができるプラグドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
(1)本発明の態様に係るプラグドア装置は、車両の乗降口を開閉するためのドアの開閉経路を規定するガイドレールと、前記ドアを移動させるための駆動源と、前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに案内されながら前記開閉経路に沿って移動する移動部材と、前記移動部材が前記開閉経路に沿って閉方向に移動する際に前記移動部材によって押されることで、前記ドアを拘束しない非拘束位置から、前記ドアの全閉位置において前記移動部材を拘束する拘束位置に移動する拘束部材と、前記拘束位置に位置する前記拘束部材を保持するロック機構と、を備え、前記拘束部材は、前記ガイドレールに対して前記車両の高さ方向にずれて配置され、前記拘束部材は、前記閉方向に順に配置された第1アーム及び第2アームを備え、前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合、前記第1アームは前記開閉経路を横断せず、かつ、前記第2アームは前記開閉経路を横断し、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合、前記第1アーム及び前記第2アームは前記開閉経路を横断し、前記開閉経路は、前記車両の前後方向に沿う直線部分と、前記直線部分に対して傾斜する傾斜部分と、を含み、前記第2アームは、前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第1の面と、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第2の面と、を含む。
【0007】
この構成によれば、ドアを移動させるための駆動源(ドア駆動源)の駆動力を利用して拘束部材を拘束位置(ドアを全閉位置においてロックする位置)に移動させることができる。そのため、拘束部材を移動させるためにドア駆動源以外のアクチュエータが不要となる。したがって、省エネルギーを図ることができる。
【0011】
(2)上記(1)に記載のプラグドア装置では、前記拘束部材の少なくとも一部は、前記ガイドレールの前記車両の高さ方向の範囲内に配置されていてもよい。
【0012】
(3)上記(2)に記載のプラグドア装置では、前記拘束部材は、前記非拘束位置において前記移動部材と接触して前記開閉経路に沿う前記移動部材の移動を案内する案内壁を備えてもよい。
【0013】
(4)上記(1)から(3)のいずれか一項に記載のプラグドア装置では、前記拘束部材は、前記車両の高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられていてもよい。
【0014】
(5)上記(4)に記載のプラグドア装置では、前記拘束部材は、前記軸を挟んで前記移動部材を拘束する部分とは反対側に設けられるとともに前記ロック機構により保持される被保持部を備えてもよい。
【0015】
(6)上記(5)に記載のプラグドア装置では、前記被保持部は、前記拘束部材と同一の部材により一体に形成されていてもよい。
【0016】
(7)上記(1)から(6)のいずれか一項に記載のプラグドア装置では、前記拘束部材には、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合にスイッチを押す押し部材が設けられていてもよい。
【0017】
(8)上記(1)から(7)のいずれか一項に記載のプラグドア装置では、前記移動部材は、前記車両の高さ方向に延びる軸線回りに回転可能とされるとともに、前記開閉経路に沿って転がる回転体であり、前記回転体の形状は、前記高さ方向から見て円形状であってもよい。
【0018】
(9)上記(1)から(8)のいずれか一項に記載のプラグドア装置では、前記拘束部材が前記非拘束位置に保たれるように前記拘束部材に対して弾性力を加える弾性部材を更に備えてもよい。
【0019】
(10)上記(9)に記載のプラグドア装置では、前記拘束部材は、前記車両の高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、前記弾性部材は、前記軸に巻き付けられるねじりばねであってもよい。
【0020】
(11)上記(9)に記載のプラグドア装置では、前記拘束部材は、前記車両の高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、前記弾性部材は、前記軸に対して交差する方向に圧縮可能に設けられた圧縮ばねであり、前記圧縮ばねの一端は、前記ガイドレールに連結され、前記圧縮ばねの他端は、前記拘束部材に連結され、前記圧縮ばねの中心軸線は、前記移動部材が前記非拘束位置を移動する場合は前記高さ方向から見て前記中心軸線が前記軸と重なる境界位置よりも前記閉方向とは反対側に位置し、かつ、前記移動部材が前記拘束位置に位置するときは前記高さ方向から見て前記境界位置よりも前記閉方向の側に位置してもよい。
【0021】
(12)上記(1)から(11)のいずれか一項に記載のプラグドア装置では、前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに接触しないように前記移動部材とは離間して設けられた第2移動部材を更に備え、前記拘束部材は、前記車両の高さ方向から見て前記閉方向に向かって傾斜するとともに前記ドアの前記全閉位置において前記第2移動部材を拘束する拘束壁を有してもよい。
【0022】
(13)本発明の態様に係るプラグドア装置は、車両の乗降口を開閉するためのドアの開閉経路を規定するガイドレールと、前記ドアを移動させるための駆動源と、前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに案内されながら前記開閉経路に沿って転がる回転体と、前記回転体が前記開閉経路に沿って閉方向に移動する際に前記回転体によって押されることで、前記ドアを拘束しない非拘束位置から、前記ドアの全閉位置において前記回転体を拘束する拘束位置に移動する拘束部材と、前記拘束位置に位置する前記拘束部材を保持するロック機構と、を備え、 前記回転体は、前記車両の高さ方向に延びる軸線回りに回転可能とされ、前記回転体の形状は、前記高さ方向から見て円形状であり、前記拘束部材は、前記ガイドレールに対して前記高さ方向にずれて配置され、前記拘束部材は、前記閉方向に順に配置された第1アーム及び第2アームを備え、前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合、前記第1アームは前記開閉経路を横断せず、かつ、前記第2アームは前記開閉経路を横断し、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合、前記第1アーム及び前記第2アームは前記開閉経路を横断し、前記開閉経路は、前記車両の前後方向に沿う直線部分と、前記直線部分に対して傾斜する傾斜部分と、を含み、前記第2アームは、前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第1の面と、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第2の面と、を含み、前記拘束部材は、前記高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、前記拘束部材は、前記軸を挟んで前記回転体を拘束する部分とは反対側に設けられるとともに前記ロック機構により保持される被保持部を備え、前記被保持部は、前記拘束部材と同一の部材により一体に形成され、前記拘束部材には、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合にスイッチを押す押し部材が設けられ、前記軸に巻き付けられ、前記拘束部材が前記非拘束位置に保たれるように前記拘束部材に対して弾性力を加えるねじりばねを更に備え、前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに接触しないように前記回転体とは離間して設けられた第2移動部材を更に備え、前記拘束部材は、前記高さ方向から見て前記閉方向に向かって傾斜するとともに前記ドアの前記全閉位置において前記第2移動部材を拘束する拘束壁を有する。
【0023】
この構成によれば、ドアを移動させるための駆動源(ドア駆動源)の駆動力を利用して拘束部材を拘束位置(ドアを全閉位置においてロックする位置)に移動させることができる。そのため、拘束部材を移動させるためにドア駆動源以外のアクチュエータが不要となる。したがって、省エネルギーを図ることができる。
加えて、ドアが開閉する際にガイドレールに案内されながら開閉経路に沿って転がる回転体を備え、回転体は車両の高さ方向に延びる軸線回りに回転可能とされ且つ回転体の形状は高さ方向から見て円形状であることで、回転体によりガイドレールに対する摩擦が低減されるため、回転体を非拘束位置から拘束位置へ向けてスムーズに移動させることができる。
加えて、拘束部材は、車両の高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられていることで、拘束部材の回転を許容するために高さ方向に空間は必要としないため、高さ方向に小型化することができる。
加えて、拘束部材は、軸を挟んで回転体を拘束する部分とは反対側に設けられるとともにロック機構により保持される被保持部を備えることで、被保持部と回転体を拘束する部分とが軸を挟んで互いに離れるため、ロック機構の配置スペースを十分に取ることができ、ロック機構の配置の自由度が向上する。
加えて、被保持部は、拘束部材と同一の部材により一体に形成されていることで、ロック機構により保持される被保持部材を拘束部材とは別に設けた場合と比較して、部品点数を削減し低コスト化を図ることができる。
加えて、拘束部材には、拘束部材が拘束位置に位置する場合にスイッチを押す押し部材が設けられていることで、押し部材の設置位置により拘束部材がスイッチを押す位置を調整することができる。
加えて、駆動源からの駆動力によってドアと一体に移動するとともに、ドアが開閉する際にガイドレールに接触しないように回転体とは離間して設けられた第2移動部材を備え、拘束部材は、車両の高さ方向から見て閉方向に向かって傾斜するとともにドアの全閉位置において第2移動部材を拘束する拘束壁を有することで、万が一、回転体が外れた場合でも、拘束壁により第2移動部材が拘束されるため、ドアをロック状態に保持することができる。
加えて、拘束部材がガイドレールに対して車両の高さ方向にずれて配置されていることで、ガイドレールの形状を自由に作ることができるため、ガイドレールの設計の自由度が向上する。
加えて、拘束部材は、閉方向に順に配置された第1アーム及び第2アームを備え、拘束部材が非拘束位置に位置する場合、第1アームは開閉経路を横断せず、かつ、第2アームは開閉経路を横断することで、拘束部材が非拘束位置に位置する場合は、第2アームが回転体によって押されることで回転体を非拘束位置から拘束位置へ向けて移動させることができる。一方、拘束部材が拘束位置に位置する場合、第1アーム及び第2アームは開閉経路を横断することで、拘束部材が拘束位置に位置する場合は、第1アーム及び第2アームによって回転体を拘束することができる。
加えて、開閉経路は、車両の前後方向に沿う直線部分と、直線部分に対して傾斜する傾斜部分と、を含み、第2アームは、拘束部材が非拘束位置に位置する場合は傾斜部分に対して垂直な第1の面を含むことで、拘束部材が非拘束位置に位置する場合は、第2アームの第1の面が回転体によって押されることで回転体を非拘束位置から拘束位置へ向けて移動させることができる。一方、第2アームは、拘束部材が拘束位置に位置する場合は傾斜部分に対して垂直な第2の面を含むことで、拘束部材が拘束位置に位置する場合は、第2アームの第2の面によって回転体を拘束することができる。
加えて、拘束部材が非拘束位置に保たれるように拘束部材に対して弾性力を加えるねじりばねを備えることで、ねじりばねの弾性力を利用して拘束部材を非拘束位置に保つことができるため、回転体が非拘束位置に位置する拘束部材を押す動作をスムーズに行うことができる。
加えて、ねじりばねは、軸に巻き付けられていることで、ねじりばねの配置スペースが過大になることを抑えることができる。
【0024】
(14)本発明の態様に係るプラグドア装置は、車両の乗降口を開閉するためのドアの開閉経路を規定するガイドレールと、前記ドアを移動させるための駆動源と、前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに案内されながら前記開閉経路に沿って転がる回転体と、前記回転体が前記開閉経路に沿って閉方向に移動する際に前記回転体によって押されることで、前記ドアを拘束しない非拘束位置から、前記ドアの全閉位置において前記回転体を拘束する拘束位置に移動する拘束部材と、前記拘束位置に位置する前記拘束部材を保持するロック機構と、を備え、前記回転体は、前記車両の高さ方向に延びる軸線回りに回転可能とされ、前記回転体の形状は、前記高さ方向から見て円形状であり、前記拘束部材は、前記ガイドレールに対して前記高さ方向にずれて配置され、前記拘束部材は、前記閉方向に順に配置された第1アーム及び第2アームを備え、前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合、前記第1アームは前記開閉経路を横断せず、かつ、前記第2アームは前記開閉経路を横断し、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合、前記第1アーム及び前記第2アームは前記開閉経路を横断し、前記開閉経路は、前記車両の前後方向に沿う直線部分と、前記直線部分に対して傾斜する傾斜部分と、を含み、前記第2アームは、前記拘束部材が前記非拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第1の面と、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合は前記傾斜部分に対して垂直な第2の面と、を含み、前記拘束部材は、前記高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、前記拘束部材は、前記軸を挟んで前記回転体を拘束する部分とは反対側に設けられるとともに前記ロック機構により保持される被保持部を備え、前記被保持部は、前記拘束部材と同一の部材により一体に形成され、前記拘束部材には、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合にスイッチを押す押し部材が設けられ、前記軸に対して交差する方向に圧縮可能に設けられた圧縮ばねを更に備え、前記圧縮ばねの一端は、前記ガイドレールに連結され、前記圧縮ばねの他端は、前記拘束部材に連結され、前記圧縮ばねの中心軸線は、前記回転体が前記非拘束位置を移動する場合は前記高さ方向から見て前記中心軸線が前記軸と重なる境界位置よりも前記閉方向とは反対側に位置し、かつ、前記回転体が前記拘束位置に位置するときは前記高さ方向から見て前記境界位置よりも前記閉方向の側に位置し、前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに接触しないように前記回転体とは離間して設けられた第2移動部材を更に備え、前記拘束部材は、前記高さ方向から見て前記閉方向に向かって傾斜するとともに前記ドアの前記全閉位置において前記第2移動部材を拘束する拘束壁を有する。
【0025】
この構成によれば、ドアを移動させるための駆動源(ドア駆動源)の駆動力を利用して拘束部材を拘束位置(ドアを全閉位置においてロックする位置)に移動させることができる。そのため、拘束部材を移動させるためにドア駆動源以外のアクチュエータが不要となる。したがって、省エネルギーを図ることができる。
加えて、ドアが開閉する際にガイドレールに案内されながら開閉経路に沿って転がる回転体を備え、回転体は車両の高さ方向に延びる軸線回りに回転可能とされ且つ回転体の形状は高さ方向から見て円形状であることで、回転体によりガイドレールに対する摩擦が低減されるため、回転体を非拘束位置から拘束位置へ向けてスムーズに移動させることができる。
加えて、拘束部材は、車両の高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられていることで、拘束部材の回転を許容するために高さ方向に空間は必要としないため、高さ方向に小型化することができる。
加えて、拘束部材は、軸を挟んで回転体を拘束する部分とは反対側に設けられるとともにロック機構により保持される被保持部を備えることで、被保持部と回転体を拘束する部分とが軸を挟んで互いに離れるため、ロック機構の配置スペースを十分に取ることができ、ロック機構の配置の自由度が向上する。
加えて、被保持部は、拘束部材と同一の部材により一体に形成されていることで、ロック機構により保持される被保持部材を拘束部材とは別に設けた場合と比較して、部品点数を削減し低コスト化を図ることができる。
加えて、拘束部材には、拘束部材が拘束位置に位置する場合にスイッチを押す押し部材が設けられていることで、押し部材の設置位置により拘束部材がスイッチを押す位置を調整することができる。
加えて、駆動源からの駆動力によってドアと一体に移動するとともに、ドアが開閉する際にガイドレールに接触しないように回転体とは離間して設けられた第2移動部材を備え、拘束部材は、車両の高さ方向から見て閉方向に向かって傾斜するとともにドアの全閉位置において第2移動部材を拘束する拘束壁を有することで、万が一、回転体が外れた場合でも、拘束壁により第2移動部材が拘束されるため、ドアをロック状態に保持することができる。
加えて、拘束部材がガイドレールに対して車両の高さ方向にずれて配置されていることで、ガイドレールの形状を自由に作ることができるため、ガイドレールの設計の自由度が向上する。
加えて、拘束部材は、閉方向に順に配置された第1アーム及び第2アームを備え、拘束部材が非拘束位置に位置する場合、第1アームは開閉経路を横断せず、かつ、第2アームは開閉経路を横断することで、拘束部材が非拘束位置に位置する場合は、第2アームが回転体によって押されることで回転体を非拘束位置から拘束位置へ向けて移動させることができる。一方、拘束部材が拘束位置に位置する場合、第1アーム及び第2アームは開閉経路を横断することで、拘束部材が拘束位置に位置する場合は、第1アーム及び第2アームによって回転体を拘束することができる。
加えて、開閉経路は、車両の前後方向に沿う直線部分と、直線部分に対して傾斜する傾斜部分と、を含み、第2アームは、拘束部材が非拘束位置に位置する場合は傾斜部分に対して垂直な第1の面を含むことで、拘束部材が非拘束位置に位置する場合は、第2アームの第1の面が回転体によって押されることで回転体を非拘束位置から拘束位置へ向けて移動させることができる。一方、第2アームは、拘束部材が拘束位置に位置する場合は傾斜部分に対して垂直な第2の面を含むことで、拘束部材が拘束位置に位置する場合は、第2アームの第2の面によって回転体を拘束することができる。
加えて、軸に対して交差する方向に圧縮可能に設けられた圧縮ばねを備え、圧縮ばねの一端は、ガイドレールに連結され、圧縮ばねの他端は、拘束部材に連結され、圧縮ばねの中心軸線は、回転体が非拘束位置を移動する場合は高さ方向から見て中心軸線が軸と重なる境界位置よりも閉方向とは反対側に位置し、かつ、回転体が拘束位置に位置するときは高さ方向から見て境界位置よりも閉方向の側に位置することで、回転体の移動位置によって拘束部材に対して圧縮ばねのばね力が加わる方向を変えることができる。
【0026】
(15)本発明の態様に係るプラグドア装置は、車両の乗降口を開閉するためのドアの開閉経路を規定するガイドレールと、前記ドアを移動させるための駆動源と、前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに案内されながら前記開閉経路に沿って転がる回転体と、前記回転体が前記開閉経路に沿って閉方向に移動する際に前記回転体によって押されることで、前記ドアを拘束しない非拘束位置から、前記ドアの全閉位置において前記回転体を拘束する拘束位置に移動する拘束部材と、前記拘束位置に位置する前記拘束部材を保持するロック機構と、を備え、前記回転体は、前記車両の高さ方向に延びる軸線回りに回転可能とされ、前記回転体の形状は、前記高さ方向から見て円形状であり、前記拘束部材の少なくとも一部は、前記ガイドレールの前記高さ方向の範囲内に配置され、前記拘束部材は、前記非拘束位置において前記回転体と接触して前記開閉経路に沿う前記回転体の移動を案内する案内壁を備え、前記拘束部材は、前記高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられ、前記拘束部材は、前記軸を挟んで前記回転体を拘束する部分とは反対側に設けられるとともに前記ロック機構により保持される被保持部を備え、前記被保持部は、前記拘束部材と同一の部材により一体に形成され、前記拘束部材には、前記拘束部材が前記拘束位置に位置する場合にスイッチを押す押し部材が設けられ、前記軸に巻き付けられ、前記拘束部材が前記非拘束位置に保たれるように前記拘束部材に対して弾性力を加えるねじりばねを更に備え、前記駆動源からの駆動力によって前記ドアと一体に移動するとともに、前記ドアが開閉する際に前記ガイドレールに接触しないように前記回転体とは離間して設けられた第2移動部材を更に備え、前記拘束部材は、前記高さ方向から見て前記閉方向に向かって傾斜するとともに前記ドアの前記全閉位置において前記第2移動部材を拘束する拘束壁を有する。
【0027】
この構成によれば、ドアを移動させるための駆動源(ドア駆動源)の駆動力を利用して拘束部材を拘束位置(ドアを全閉位置においてロックする位置)に移動させることができる。そのため、拘束部材を移動させるためにドア駆動源以外のアクチュエータが不要となる。したがって、省エネルギーを図ることができる。
加えて、ドアが開閉する際にガイドレールに案内されながら開閉経路に沿って転がる回転体を備え、回転体は車両の高さ方向に延びる軸線回りに回転可能とされ且つ回転体の形状は高さ方向から見て円形状であることで、回転体によりガイドレールに対する摩擦が低減されるため、回転体を非拘束位置から拘束位置へ向けてスムーズに移動させることができる。
加えて、拘束部材は、車両の高さ方向に延びる軸を中心として回転可能に設けられていることで、拘束部材の回転を許容するために高さ方向に空間は必要としないため、高さ方向に小型化することができる。
加えて、拘束部材は、軸を挟んで回転体を拘束する部分とは反対側に設けられるとともにロック機構により保持される被保持部を備えることで、被保持部と回転体を拘束する部分とが軸を挟んで互いに離れるため、ロック機構の配置スペースを十分に取ることができ、ロック機構の配置の自由度が向上する。
加えて、被保持部は、拘束部材と同一の部材により一体に形成されていることで、ロック機構により保持される被保持部材を拘束部材とは別に設けた場合と比較して、部品点数を削減し低コスト化を図ることができる。
加えて、拘束部材には、拘束部材が拘束位置に位置する場合にスイッチを押す押し部材が設けられていることで、押し部材の設置位置により拘束部材がスイッチを押す位置を調整することができる。
加えて、駆動源からの駆動力によってドアと一体に移動するとともに、ドアが開閉する際にガイドレールに接触しないように回転体とは離間して設けられた第2移動部材を備え、拘束部材は、車両の高さ方向から見て閉方向に向かって傾斜するとともにドアの全閉位置において第2移動部材を拘束する拘束壁を有することで、万が一、回転体が外れた場合でも、拘束壁により第2移動部材が拘束されるため、ドアをロック状態に保持することができる。
加えて、拘束部材が非拘束位置に保たれるように拘束部材に対して弾性力を加えるねじりばねを備えることで、ねじりばねの弾性力を利用して拘束部材を非拘束位置に保つことができるため、回転体が非拘束位置に位置する拘束部材を押す動作をスムーズに行うことができる。
加えて、ねじりばねは、軸に巻き付けられていることで、ねじりばねの配置スペースが過大になることを抑えることができる。
加えて、拘束部材の少なくとも一部は、ガイドレールの車両の高さ方向の範囲内に配置されていることで、拘束部材を配置するために高さ方向に空間を必要としないため、高さ方向に小型化することができる。
加えて、拘束部材は、非拘束位置において回転体と接触して開閉経路に沿う回転体の移動を案内する案内壁を備えることで、ガイドレールまたは案内壁により回転体を開閉経路に沿って移動させることができるため、回転体を非拘束位置から拘束位置へ向けてスムーズに移動させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、省エネルギーを図ることができるプラグドア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態のプラグドア装置の斜視図である。
【
図3】第1実施形態の回転体及び支持体を含む周辺の斜視図である。
【
図4】第1実施形態の拘束部材の動作説明図である。
【
図5】第2実施形態のプラグドア装置の下面図である。
【
図6】第3実施形態のプラグドア装置の斜視図である。
【
図7】第3実施形態のプラグドア装置の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、プラグドア装置として鉄道車両(車両)の乗降口を開閉する両引き分けの一対のドアを備えた例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を意味するのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も含むものとする。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0031】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のプラグドア装置の斜視図である。
図2は、
図1のII部分の拡大図である。
図3は、第1実施形態の回転体及び支持体を含む周辺の斜視図である。
図1に示すように、プラグドア装置1は、一対のドア2と、固定ベース3と、スライドベース4と、ガイドレール5(
図2参照)と、駆動源6と、拘束部材7と、ロック機構8と、を備える。なお、
図1においては、一対のドア2を二点鎖線で示している。
図1においては、ドア2が全閉位置に位置する状態を示している。
【0032】
なお、以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。X方向は、車両の前後方向と一致している。Y方向は、車両の幅方向と一致している。Z方向は、X方向及びY方向に直交する車両の高さ方向(重力方向)を示している。以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。+Y側は幅方向外側に相当し、-Y側は幅方向内側に相当する。+Z側は重力方向の上側に相当し、-Z側は重力方向の下側に相当する。
【0033】
プラグドア装置1は、ドア2の幅方向及び前後方向への移動をガイドする不図示のスイングアーム機構を備える。プラグドア装置1は、ドア2が全閉位置のとき、車体側壁の外面とドア2の外面とが面一となるようにドア2を支持している。ドア2は、ドアリーフ10と、ドアリーフ10に連結されたドアハンガ11と、を備える。ドア2は、スライドベース4に取り付けられている。ドアハンガ11は、スライドベース4に対して前後方向に移動可能な状態でスライドベース4に支持されている。
【0034】
固定ベース3は、車両の車体に固定されている。車体は、車両の骨格をなすフレームである。固定ベース3は、車両の乗降口15の上方に設けられている。固定ベース3は、乗降口15の上端縁を跨ぐように前後方向に延びている。固定ベース3の前後方向の両端には、幅方向に延びるレールベース9がそれぞれ連結されている。
【0035】
スライドベース4は、駆動源6からの駆動力によって固定ベース3に対して幅方向にスライドすることで、ドア2を幅方向に移動させる。スライドベース4は、固定ベース3の下方に設けられている。スライドベース4は、乗降口15の上端縁に沿うように前後方向に延びている。スライドベース4の前後方向の両端は、レールベース9に沿って幅方向に移動可能とされている。
【0036】
図2に示すように、ガイドレール5は、車両の乗降口15(
図1参照)を開閉するためのドア2の開閉経路20を規定している。ガイドレール5は、乗降口15の上方に設けられている。ガイドレール5は、固定ベース3(
図1参照)に支持されている。ガイドレール5は、複数のボルト等の締結部材によって固定ベース3に取り付けられている。
【0037】
開閉経路20は、前後方向に沿う直線部分21と、直線部分21に対して傾斜する傾斜部分22と、を含む。直線部分21と傾斜部分22との接続部分23は、弧状に湾曲している。なお、
図2においては、直線部分21の一部を二点鎖線で示している。
【0038】
図1に示すように、駆動源6は、ドア2を移動させるための駆動力を出力する。例えば、駆動源6は、モータである。モータの出力軸は、前後方向に沿う軸線まわりで回転する。例えば、モータの出力軸は、前後方向に沿う軸線まわりの一方と他方とに回転可能(正逆回転可能)とされる。駆動源6は、動くことが可能な電源ケーブル29、いわゆるケーブルベヤ(登録商標)に接続されている。駆動源6は、動力伝達機構30を介してスライドベース4に支持されている。駆動源6は、スライドベース4の幅方向への移動と共に幅方向に移動可能とされている。
【0039】
動力伝達機構30は、駆動源6からの駆動力の向きを変換する動力変換機構31と、前後方向に沿って延びる無端状のベルト32と、を備える。動力変換機構31は、モータの出力軸の前後方向に沿う軸線まわりの回転を、幅方向に沿う軸線まわりの回転へ変換する。動力変換機構31は、幅方向に沿う軸線まわりで回転するギア33を備える。ギア33に対して前後方向に離間した位置には、ギア33の回転軸線と平行な軸線(幅方向に沿う軸線)まわりで回転可能なプーリ34が設けられている。
【0040】
ベルト32は、ギア33とプーリ34とに架け渡されている。ベルト32は、ギア33の回転に連動してギア33及びプーリ34の周りを移動(周回)する。ベルト32には、ドアハンガ11が接続されている。ドアハンガ11は、ベルト32の移動と共に前後方向に移動する。ベルト32には、ベルト32の移動と共に移動する連結部材35が取り付けられている。
図3に示すように、連結部材35には、回転体36(移動部材)及び支持体37(第2移動部材)が支持されている。
【0041】
例えば、回転体36は、開閉経路20に沿って転がるローラである。回転体36は、駆動源6(
図1参照)からの駆動力によってドア2(
図1参照)と一体に移動する。回転体36は、ドア2が開閉する際にガイドレール5に案内されながら開閉経路20に沿って転がる。回転体36は、連結部材35に対して高さ方向に延びる軸線回りに回転可能に連結されている。回転体36の形状は、高さ方向から見て円形状に形成されている。
【0042】
一対のドア2のうち-X側のドア2は、ドアハンガ11を介して、連結部材35と共にベルト32の上側の部分に接続されている。これに対し、+X側のドア2は、ドアハンガ11を介して、ベルト32の下側の部分に接続されている。上述の通りベルト32は前後方向において互いに離間した位置にあるギア33とプーリ34とに架け渡されているため、ベルト32の上側の部分と下側の部分とは前後方向において互いに反対方向に移動する。このため、ベルト32が移動すると、-X側のドア2及び連結部材35と、+X側のドア2とは、前後方向においては互いに反対方向に移動する。
【0043】
一対のドア2は、
図1に示す全閉位置(車体側壁の外面とドア2の外面とが面一となる位置)から、駆動源6からの駆動力がベルト32に伝達され、ベルト32に接続されたドアハンガ11及び連結部材35が移動することにより、全開位置まで移動する。ここで、全開位置は、一対のドア2が乗降口15を開放(全開)するとともに、一対のドア2が車両外部に出た位置を意味する。
図1の例では、-X側のドア2は、全閉位置から最初は幅方向外側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動し、その後、-X方向へ真っ直ぐ移動することにより全開位置に至る。一方、+X側のドア2は、全閉位置から最初は幅方向外側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動し、その後、+X方向へ真っ直ぐ移動することにより全開位置に至る。
【0044】
なお、ドアの駆動方式は、動力伝達機構30が上述のベルト32を備える、いわゆるベルト式に限定されない。例えば、ドアの駆動方式は、ボルトに相当するスクリュー軸をモータで回転させ、ナットに相当するボールナットに取り付けられたドアを開閉する方式である、いわゆるスクリュー式であってもよい。または、ドアの駆動方式は、ラック・アンド・ピニオン機構のピニオンをモータで回転させ、ラックレールに取り付けられたドアを開閉する方式である、いわゆるラック・アンド・ピニオン方式であってもよい。例えば、ドアの駆動方式は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0045】
例えば、支持体37は、高さ方向に延びるピンである。支持体37は、連結部材35から上方に延びている。支持体37は、駆動源6(
図1参照)からの駆動力によってドア2(
図1参照)と一体に移動する。支持体37は、ドア2が開閉する際にガイドレール5に接触しないように回転体36とは離間して設けられている。
【0046】
拘束部材7は、ドア2(
図1参照)の全閉位置において回転体36を拘束する。拘束部材7は、ガイドレール5に対して高さ方向にずれて配置されている。拘束部材7は、ガイドレール5の下方に設けられている。拘束部材7は、高さ方向に延びる軸39を中心として回転可能に設けられている。
【0047】
軸39の上部は、ガイドレール5に固定されている。
図2に示すように、軸39には、ねじりばね40(弾性部材)が巻き付けられている。以下、ドアを拘束しない位置を「非拘束位置」、ドアの全閉位置において回転体36を拘束する位置を「拘束位置」という。拘束位置は、ドアの全閉位置と同じ位置である。
図1から
図3に示す拘束部材7の位置及び
図4の実線で示す拘束部材7の位置は、拘束位置を示している。
図4の二点鎖線で示す拘束部材7の位置は、非拘束位置を示している。ねじりばね40は、拘束部材7が非拘束位置(
図4の二点鎖線の位置)に保たれるように拘束部材7に対して弾性力を加える。
【0048】
拘束部材7は、外力が作用しない状態においては、ねじりばね40からの弾性力によって非拘束位置(
図4の二点鎖線の位置)に保持される。以下、ドア2が閉じる方向を「閉方向」という。
【0049】
ここで、閉方向は、ドア2が全開位置から全閉位置に位置するまでの移動方向を意味する。ドア2は、全開位置から閉じる動作を行うとき、最初は前後方向に沿って真っ直ぐ移動するが、その後、幅方向内側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動する。このようにドア2は、閉方向への移動の序盤と終盤とで移動方向が変わる。なお、各図においては、一対のドア2のうち-X側のドアが閉じる方向を閉方向として矢印Vc方向(具体的には閉方向のうち前後方向に沿う成分)で示している。
【0050】
拘束部材7は、回転体36が開閉経路20に沿って閉方向Vcに移動する際に回転体36によって押されることで、非拘束位置(
図4の二点鎖線の位置)から拘束位置(
図4の実線の位置)に移動する。
【0051】
図2に示すように、拘束部材7は、閉方向Vcに順に配置された第1アーム41及び第2アーム42を備える。第1アーム41及び第2アーム42は、高さ方向から見てU字状をなすように一体に連結されている。拘束部材7が非拘束位置(
図4の二点鎖線の位置)に位置する場合、第1アーム41は開閉経路20を横断せず、かつ、第2アーム42は開閉経路20を横断する。拘束部材7が拘束位置(
図4の実線の位置)に位置する場合、第1アーム41及び第2アーム42は開閉経路20を横断する。
【0052】
図4に示すように、拘束部材7が非拘束位置に位置する場合、第1アーム41は開閉経路20を避けた位置(
図4の二点鎖線の位置)に配置される。拘束部材7が非拘束位置に位置する場合、第1アーム41の+Y側端は、開閉経路20よりも-Y側に配置される。第1アーム41は、拘束部材7が非拘束位置に位置する場合、高さ方向から見て閉方向Vcに向かって傾斜する拘束壁43を有する。拘束壁43は、ドアの全閉位置において支持体37(
図3参照)を拘束する部分である。拘束壁43は、第1アーム41に形成された溝44の内面を構成している。
【0053】
第2アーム42は、第1アーム41に対して閉方向Vcに離間して配置されている。第2アーム42は、拘束部材7が非拘束位置(
図4の二点鎖線の位置)に位置する場合は傾斜部分22に対して垂直な第1の面45と、拘束部材7が拘束位置(
図4の実線の位置)に位置する場合は傾斜部分22に対して垂直な第2の面46と、を有する。
【0054】
第1の面45は、高さ方向から見て第2の面46に対して+X方向へ向かって傾斜するように連なっている。第1の面45は、拘束部材7が非拘束位置(
図4の二点鎖線の位置)に位置する場合は傾斜部分22の+Y側の部分(第2の面46が横断しない部分)を横断する。第1の面45は、拘束部材7が拘束位置(
図4の実線の位置)に位置する場合は傾斜部分22を横断しない。拘束部材7が拘束位置に位置する場合、第1の面45は傾斜部分22よりも+X側に配置される。
【0055】
第2の面46は、拘束部材7に形成されたU字開口47の内面を構成している。第2の面46は、拘束部材7が非拘束位置(
図4の二点鎖線の位置)に位置する場合は傾斜部分22の-Y側の部分(第1の面45が横断しない部分)を横断する。第2の面46は、拘束部材7が拘束位置(
図4の実線の位置)に位置する場合は傾斜部分22を全体的に横断する。
【0056】
拘束部材7は、ロック機構8により保持される被保持部48を備える。被保持部48は、軸39を挟んで回転体36を拘束する部分(例えば第二アーム42が設けられた部分)とは反対側に設けられている。被保持部48は、高さ方向から見て軸39と直交する方向に沿って延びている。被保持部48は、拘束部材7が拘束位置(
図4の実線の位置)に位置する場合は軸39寄りの部分から-X方向に向けて延びている。被保持部48は、拘束部材7と同一の部材により一体に形成されている。
【0057】
拘束部材7には、拘束部材7が拘束位置に位置する場合にスイッチ51を押す押し部材50が設けられている。例えば、スイッチ51は、ドアが全閉位置においてロックされていることを検知するスイッチである。押し部材50は、軸39よりも閉方向Vcの側に設けられている。押し部材50は、軸39を挟んで被保持部48とは反対側に設けられている。
【0058】
押し部材50は、拘束部材7に対して着脱可能に取り付けられている。押し部材50は、拘束部材7の回転方向(軸39の周方向)に沿う長孔52を有する。押し部材50は、長孔52に沿って並ぶ複数(例えば本実施形態では2本)のボルト53によって拘束部材7に取り付けられている。
【0059】
ロック機構8は、拘束位置(
図4の実線の位置)に位置する拘束部材7を保持する。
図2に示すように、ロック機構8は、駆動源6(
図1参照)からの駆動力によって揺動するレバー59を備える。レバー59は、アーム61及びロッド62(
図1参照)を含むリンク機構60を介して駆動源6につながっている。
【0060】
拘束部材7が拘束位置に移動すると、拘束部材7の被保持部48(具体的には被保持部48の先端部から上方に延びる部分)によってレバー59が押され、レバー59が
図2の矢印Lm方向に移動する。すると、ロック機構8の内部のラッチ(不図示)が施錠され、拘束部材7の被保持部48がレバー59によって支持される。これにより、ドアの全閉位置において回転体36及び支持体37が拘束部材7によって拘束され、ドアがロックされる(ロック状態)。
【0061】
一方、駆動源6からの駆動力によってアーム61が引かれると、ロック機構8の内部のラッチが解錠され、レバー59が
図2の矢印Lm方向とは反対方向に移動する。すると、拘束部材7の被保持部48はレバー59による支持から開放される。これにより、拘束部材7は、ねじりばね40の弾性力(復元力)によって非拘束位置(
図4の二点鎖線の位置)へ戻る。これにより、拘束部材7による回転体36及び支持体37の拘束が解除され、ドアのロックが解除される(アンロック状態)。
【0062】
図4は、第1実施形態の拘束部材7の動作説明図である。
図4においては、拘束位置に位置する拘束部材7を実線で示し、非拘束位置に位置する拘束部材7を二点鎖線で示している。
拘束部材7には、ねじりばね40からの弾性力が常に加えられている。そのため、拘束部材7に対して外力が作用しない状態においては、拘束部材7は非拘束位置(
図4の二点鎖線の位置)に保持される。拘束部材7が非拘束位置に位置する場合、回転体36及び支持体37は、駆動源6(
図1参照)からの駆動力によってドアと一体に移動可能とされる。
【0063】
回転体36(
図3参照)は、ドアが開閉する際にガイドレール5に案内されながら開閉経路20に沿って転がる。具体的に、回転体36は、ドア2を全開位置から閉じる動作を行うとき、最初は直線部分21(
図2参照)に沿って真っ直ぐ移動するが、その後、傾斜部分22に沿って幅方向内側(具体的には幅方向を含む斜め)に移動する。このように回転体36は、閉方向への移動の序盤と終盤とで移動方向が変わる。
一方、支持体37(
図3参照)は、ドアが開閉する際にガイドレール5に接触しないように開閉経路20よりも下方に離間した経路に沿って移動する。
【0064】
回転体36が開閉経路20に沿って閉方向Vcに移動すると、回転体36は、まず、開閉経路20を横切る第2アーム42(
図4の二点鎖線の第2アーム42)に接触する。そして、回転体36が開閉方向に沿って閉方向Vcに更に移動すると、回転体36は、ねじりばね40の弾性力に抗して第2アーム42を閉方向Vcへ押す。回転体36により第2アーム42が閉方向Vcへ押されることで、拘束部材7は非拘束位置(
図4の二点鎖線の位置)から拘束位置(
図4の実線の位置)に移動(回転)する。
【0065】
拘束部材7が拘束位置(
図4の実線の位置)に移動すると、拘束部材7の被保持部48によってレバー59が押される。これにより、レバー59が
図2の矢印Lm方向に移動する。すると、ロック機構8の内部のラッチが施錠される。ラッチの施錠によって、ロック機構8は、レバー59(
図2参照)により、ドアの全閉位置(拘束位置)に位置する拘束部材7の被保持部48を保持する。
【0066】
拘束部材7が拘束位置に位置する場合、第1アーム41及び第2アーム42のそれぞれが開閉経路20を横断する。
図3に示すように、第1アーム41は、拘束部材7が拘束位置に位置する場合、回転体36及び支持体37が開閉経路20に沿って閉方向Vcとは反対方向へ移動することを規制する。第2アーム42は、拘束部材7が拘束位置に位置する場合、回転体36が開閉方向に沿って更に矢印Vc方向へ移動することを規制する。
第1アーム41の拘束壁43は、拘束部材7が拘束位置に位置する場合、支持体37が矢印Vcとは反対方向へ移動することを規制する。
【0067】
このようにして、回転体36及び支持体37は、ドアの全閉位置において拘束部材7により拘束される。回転体36及び支持体37が拘束部材7によって拘束されることで、ドアがロックされる(ロック状態)。なお、拘束部材7が拘束位置に位置する場合、スイッチ51が押し部材50により押される(
図4参照)。これにより、ドアが全閉位置においてロックされていることが検知される。
【0068】
一方、ドアをロック状態からアンロック状態にする場合は、駆動源6からの駆動力によってアーム61(
図2参照)が引かれる。すると、ロック機構8の内部のラッチが解錠され、レバー59が
図2の矢印Lm方向とは反対方向に移動する。すると、拘束部材7の被保持部48はレバー59による支持から開放される。これにより、拘束部材7は、ねじりばね40の弾性力(復元力)によって非拘束位置(
図4の二点鎖線の位置)へ戻る。回転体36及び支持体37(
図3参照)は、拘束部材7による拘束が解除されることで、開閉経路20に沿う閉方向Vcとは反対方向へ移動可能となる。これにより、ドアのロックが解除される(アンロック状態)。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係るプラグドア装置1は、車両の乗降口15を開閉するためのドア2の開閉経路20を規定するガイドレール5と、ドア2を移動させるための駆動源6と、駆動源6からの駆動力によってドア2と一体に移動するとともに、ドア2が開閉する際にガイドレール5に案内されながら開閉経路20に沿って転がる回転体36と、回転体36が開閉経路20に沿って閉方向Vcに移動する際に回転体36によって押されることで、ドア2を拘束しない非拘束位置から、ドア2の全閉位置において回転体36を拘束する拘束位置に移動する拘束部材7と、拘束位置に位置する拘束部材7を保持するロック機構8と、を備える。拘束部材7は、ガイドレール5に対して車両の高さ方向にずれて配置されている。拘束部材7は、閉方向Vcに順に配置された第1アーム41及び第2アーム42を備える。拘束部材7が非拘束位置に位置する場合、第1アーム41は開閉経路20を横断せず、かつ、第2アーム42は開閉経路20を横断する。拘束部材7が拘束位置に位置する場合、第1アーム41及び第2アーム42は開閉経路20を横断する。開閉経路20は、車両の前後方向に沿う直線部分21と、直線部分21に対して傾斜する傾斜部分22と、を含む。第2アーム42は、拘束部材7が非拘束位置に位置する場合は傾斜部分22に対して垂直な第1の面45と、拘束部材7が拘束位置に位置する場合は傾斜部分22に対して垂直な第2の面46と、を含む。拘束部材7は、車両の高さ方向に延びる軸39を中心として回転可能に設けられている。拘束部材7は、軸39を挟んで回転体36を拘束する部分とは反対側に設けられるとともにロック機構8により保持される被保持部48を備える。被保持部48は、拘束部材7と同一の部材により一体に形成されている。拘束部材7には、拘束部材7が拘束位置に位置する場合にスイッチ51を押す押し部材50が設けられている。プラグドア装置1は、軸39に巻き付けられ、拘束部材7が非拘束位置に保たれるように拘束部材7に対して弾性力を加えるねじりばね40を備える。プラグドア装置は、駆動源6からの駆動力によってドア2と一体に移動するとともに、ドア2が開閉する際にガイドレール5に接触しないように回転体36とは離間して設けられた支持体37を備える。拘束部材7は、車両の高さ方向から見て閉方向Vcに向かって傾斜するとともにドアの全閉位置において支持体37を拘束する拘束壁43を有する。
【0070】
この構成によれば、ドア2を移動させるための駆動源6(ドア駆動源)の駆動力を利用して拘束部材7を拘束位置(ドア2を全閉位置においてロックする位置)に移動させることができる。そのため、拘束部材7を移動させるためにドア駆動源以外のアクチュエータが不要となる。したがって、省エネルギーを図ることができる。なお、拘束部材7の移動をロックするためのアクチュエータ(不図示)は必要である。
加えて、ドア2が開閉する際にガイドレール5に案内されながら開閉経路20に沿って転がる回転体36を備えることで、回転体36によりガイドレール5に対する摩擦が低減されるため、回転体36を非拘束位置から拘束位置へ向けてスムーズに移動させることができる。
加えて、拘束部材7は、車両の高さ方向に延びる軸39を中心として回転可能に設けられていることで、拘束部材7の回転を許容するために高さ方向に空間は必要としないため、高さ方向に小型化することができる。
加えて、拘束部材7は、軸39を挟んで回転体36を拘束する部分とは反対側に設けられるとともにロック機構8により保持される被保持部48を備えることで、被保持部48と回転体36を拘束する部分とが軸39を挟んで互いに離れるため、ロック機構8の配置スペースを十分に取ることができ、ロック機構8の配置の自由度が向上する。
加えて、被保持部48は、拘束部材7と同一の部材により一体に形成されていることで、ロック機構8により保持される被保持部材を拘束部材7とは別に設けた場合と比較して、部品点数を削減し低コスト化を図ることができる。
加えて、拘束部材7には、拘束部材7が拘束位置に位置する場合にスイッチ51を押す押し部材50が設けられていることで、押し部材50の設置位置により拘束部材7がスイッチ51を押す位置を調整することができる。
加えて、駆動源6からの駆動力によってドアと一体に移動するとともに、ドアが開閉する際にガイドレール5に接触しないように回転体36とは離間して設けられた支持体37を備え、拘束部材7は、車両の高さ方向から見て閉方向Vcに向かって傾斜するとともにドア2の全閉位置において支持体37を拘束する拘束壁43を有することで、万が一、回転体36が外れた場合でも、拘束壁43により支持体37が拘束されるため、ドア2をロック状態に保持することができる。
加えて、拘束部材7がガイドレール5に対して車両の高さ方向にずれて配置されていることで、ガイドレール5の形状を自由に作ることができるため、ガイドレール5の設計の自由度が向上する。
加えて、拘束部材7は、閉方向Vcに順に配置された第1アーム41及び第2アーム42を備え、拘束部材7が非拘束位置に位置する場合、第1アーム41は開閉経路20を横断せず、かつ、第2アーム42は開閉経路20を横断することで、拘束部材7が非拘束位置に位置する場合は、第2アーム42が回転体36によって押されることで回転体36を非拘束位置から拘束位置へ向けて移動させることができる。一方、拘束部材7が拘束位置に位置する場合、第1アーム41及び第2アーム42は開閉経路20を横断することで、拘束部材7が拘束位置に位置する場合は、第1アーム41及び第2アーム42によって回転体36を拘束することができる。
加えて、開閉経路20は、車両の前後方向に沿う直線部分21と、直線部分21に対して傾斜する傾斜部分22と、を含み、第2アーム42は、拘束部材7が非拘束位置に位置する場合は傾斜部分22に対して垂直な第1の面45を含むことで、拘束部材7が非拘束位置に位置する場合は、第2アーム42の第1の面45が回転体36によって押されることで回転体36を非拘束位置から拘束位置へ向けて移動させることができる。一方、第2アーム42は、拘束部材7が拘束位置に位置する場合は傾斜部分22に対して垂直な第2の面46を含むことで、拘束部材7が拘束位置に位置する場合は、第2アーム42の第2の面46によって回転体36を拘束することができる。
加えて、拘束部材7が非拘束位置に保たれるように拘束部材7に対して弾性力を加えるねじりばね40を備えることで、ねじりばね40の弾性力を利用して拘束部材7を非拘束位置に保つことができるため、回転体36が非拘束位置に位置する拘束部材7を押す動作をスムーズに行うことができる。
加えて、ねじりばね40は、軸39に巻き付けられていることで、ねじりばね40の配置スペースが過大になることを抑えることができる。
【0071】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態のプラグドア装置201の下面図である。
図5は、
図4に相当する下面図である。
図5においては、拘束位置に位置する拘束部材7を実線で示し、非拘束位置に位置する拘束部材7を二点鎖線で示している。
上述した第1実施形態では、弾性部材が軸39に巻き付けられているねじりばね40である例(
図2参照)を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、
図5に示すように、弾性部材は、軸39に対して交差する方向に圧縮可能に設けられた圧縮ばね240であってもよい。
図5において、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0072】
図5に示すように、ガイドレール5には、高さ方向に延びる第1ピン241が設けられている。拘束部材7には、第1ピン241と平行に延びる第2ピン242が設けられている。圧縮ばね240の一端は、第1ピン241を介してガイドレール5に連結されている。圧縮ばね240の他端は、第2ピン242を介して拘束部材7に連結されている。以下、高さ方向から見て圧縮ばね240の中心軸線Acが軸39の中心(軸心)と重なる位置を「境界位置Bp」ともいう。境界位置Bpは、高さ方向から見て第1ピン241の中心と軸39の軸心とを通る仮想直線に相当する。
【0073】
圧縮ばね240の中心軸線Acは、回転体36が非拘束位置を移動する場合(回転体36が開閉経路20に沿って移動可能な場合)は高さ方向から見て境界位置Bpよりも閉方向Vcとは反対側に位置する(
図5の二点鎖線の位置)。一方、圧縮ばね240の中心軸線Acは、回転体36が拘束位置に位置するときは高さ方向から見て境界位置Bpよりも閉方向Vcの側に位置する(
図5の実線の位置)。
【0074】
この構成によれば、軸39に対して交差する方向に圧縮可能に設けられた圧縮ばね240を備え、圧縮ばね240の一端は、ガイドレール5に連結され、圧縮ばね240の他端は、拘束部材7に連結され、圧縮ばね240の中心軸線Acは、回転体36が非拘束位置を移動する場合は高さ方向から見て中心軸線Acが軸39と重なる境界位置Bpよりも閉方向Vcとは反対側に位置し、かつ、回転体36が拘束位置に位置するときは高さ方向から見て境界位置Bpよりも閉方向Vcの側に位置することで、回転体36の移動位置によって拘束部材7に対して圧縮ばね240のばね力が加わる方向を変えることができる。
【0075】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態のプラグドア装置の斜視図である。
図7は、第3実施形態のプラグドア装置の下面図である。
図7においては、拘束位置に位置する拘束部材307を実線で示し、非拘束位置に位置する拘束部材307を二点鎖線で示している。
上述した第1実施形態では、拘束部材7がガイドレール5に対して高さ方向にずれて配置されている例(
図2参照)を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、
図6に示すように、拘束部材307の少なくとも一部は、ガイドレール5の高さ方向の範囲内に配置されていてもよい。ここで、ガイドレール5の高さ方向の範囲内は、ガイドレール5の最上端と最下端との間の範囲内を意味する。
図6及び
図7において、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
図7に示すように、拘束部材307は、非拘束位置(
図7の二点鎖線の位置)において回転体36と接触して開閉経路20に沿う回転体36の移動を案内する案内壁371を備える。案内壁371は、拘束部材307が非拘束位置に位置する場合、高さ方向から見て開閉経路20の傾斜部分22に沿って弧状に湾曲する。
一方、案内壁371は、拘束部材307が拘束位置(
図7の実線の位置)に位置する場合、回転体36が開閉経路20に沿って閉方向Vcとは反対方向へ移動することを規制する規制壁として機能する。
【0077】
図6に示すように、拘束部材307は、拘束部材307が拘束位置に位置する場合にスイッチ51を押す押し部372を備える。押し部372は、拘束部材307と同一の部材により一体に形成されている。
【0078】
なお、本実施形態のプラグドア装置301は、支持体37(
図3参照)を備えていない。そのため、拘束部材307は、支持体37を拘束する拘束壁43(
図3参照)を有しない。
【0079】
この構成によれば、拘束部材307の少なくとも一部は、ガイドレール5の車両の高さ方向の範囲内に配置されていることで、拘束部材307を配置するために高さ方向に空間を必要としないため、高さ方向に小型化することができる。
加えて、拘束部材307は、非拘束位置において回転体36と接触して開閉経路20に沿う回転体36の移動を案内する案内壁371を備えることで、ガイドレール5または案内壁371により回転体36を開閉経路20に沿って移動させることができるため、回転体36を非拘束位置から拘束位置へ向けてスムーズに移動させることができる。
加えて、拘束部材307は、拘束部材307が拘束位置に位置する場合にスイッチ51を押す押し部372を備え、押し部372は、拘束部材307と同一の部材により一体に形成されていることで、スイッチ51を押す押し部材を拘束部材307とは別に設けた場合と比較して、部品点数を削減し低コスト化を図ることができる。
加えて、プラグドア装置301は、支持体37を備えていないことで、部品点数を削減し低コスト化を図ることができる。
加えて、拘束部材307は、支持体37を拘束する拘束壁43を有しないことで、拘束部材307の形状を自由に作ることができるため、拘束部材307の設計の自由度が向上する。なお、本実施形態では、支持体37の代わりに、万が一、回転体36が外れた場合でもドア2をロック状態に保持することが可能な部材が設けられていてもよい。
【0080】
第3実施形態のガイドレール5の高さ方向の範囲内に対する拘束部材307の部分は特に限定されないが、高さ方向への小型化の観点からは、拘束部材307の全部がガイドレール5の高さ方向の範囲内に配置されていることが好ましい。
【0081】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0082】
上述した実施形態では、拘束部材7(307)が車両の高さ方向に延びる軸39を中心として回転可能に設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、拘束部材は、車両の前後方向及び幅方向のそれぞれに移動可能に設けられていてもよい。例えば、拘束部材の移動方向は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0083】
上述した実施形態では、拘束部材7が軸39を挟んで回転体36を拘束する部分とは反対側に設けられるとともにロック機構8により保持される被保持部48を備える例(
図2参照)を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、被保持部48は、拘束部材7において回転体36を拘束する部分と同じ側に設けられていてもよい。例えば、被保持部48の設置位置は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0084】
上述した実施形態では、被保持部48が拘束部材7と同一の部材により一体に形成されている例(
図2参照)を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、被保持部48は、拘束部材7とは別の部材により形成されていていてもよい。例えば、被保持部48の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0085】
上述した実施形態では、拘束部材7には拘束部材7が拘束位置に位置する場合にスイッチ51を押す押し部材50が設けられている例(
図2参照)を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、拘束部材7には押し部材50が設けられていなくてもよい。例えば、押し部材50は、拘束部材7とは異なる部材に設けられていてもよい。例えば、押し部材50の設置位置は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0086】
上述した実施形態では、移動部材が開閉経路20に沿って転がる回転体36である例(
図3参照)を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、移動部材は、回転体36(ローラ)でなくてもよい。例えば、移動部材は、連結部材35に対して回転不能に固定されたピンであってもよい。例えば、移動部材の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0087】
上述した実施形態では、プラグドア装置は、拘束部材が非拘束位置に保たれるように拘束部材に対して弾性力を加える弾性部材を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、プラグドア装置は、弾性部材を備えていなくてもよい。例えば、拘束部材は、拘束部材の自重により、非拘束位置に保たれていてもよい。例えば、拘束部材は、拘束部材に連結されたウエイトの重さにより、非拘束位置に保たれていてもよい。例えば、拘束部材を非拘束位置に保つ態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0088】
上述した実施形態では、プラグドア装置が鉄道車両の乗降口を開閉する両引き分けの一対のドアを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、プラグドア装置は、鉄道車両以外の車両に設けられてもよい。例えば、プラグドア装置は、片引きのドアを備えていてもよい。
【0089】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0090】
1,201,301…プラグドア装置、2…ドア、5…ガイドレール、6…駆動源、7,307…拘束部材、8…ロック機構、15…乗降口、20…開閉経路、21…直線部分、22…傾斜部分、36…回転体(移動部材)、39…軸、40…ねじりばね(弾性部材)、41…第1アーム、42…第2アーム、45…第1の面、46…第2の面、48…被保持部、50…押し部材、51…スイッチ、240…圧縮ばね(弾性部材)、371…案内壁、Ac…中心軸線、Bp…境界位置、Vc…閉方向