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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】測定装置および測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01D 9/00 20060101AFI20241203BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
G01D9/00 A
G06F3/02 520
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020203960
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022001859
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2020105778
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】田渕 慎司
(72)【発明者】
【氏名】能道 愛
(72)【発明者】
【氏名】中山 淳
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/123044(WO,A1)
【文献】特開2018-109966(JP,A)
【文献】特開2000-172597(JP,A)
【文献】特開平3-68814(JP,A)
【文献】特開2016-76043(JP,A)
【文献】特開2012-109857(JP,A)
【文献】特開2007-265223(JP,A)
【文献】特開2006-279906(JP,A)
【文献】特開2016-122052(JP,A)
【文献】特開2011-191880(JP,A)
【文献】特開2020-24128(JP,A)
【文献】特開2020-34365(JP,A)
【文献】特開2020-67397(JP,A)
【文献】特開2018-72147(JP,A)
【文献】特開2018-45406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 9/00-9/42、
7/00-7/12
H04L 67/00
G08C 13/00-25/04
G06F 3/02-3/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定部と、当該測定部によって測定された測定値に基づいて測定値データを生成する処理部と、ブルートゥース(登録商標)規格に準じた近距離無線通信が可能な通信アダプタで構成されてブルートゥース対応機器である外部装置にキーボードとして認識されるように当該外部装置に対してBluetooth Low Energyモードで接続可能に構成されると共に前記処理部の制御下でHuman Interface Device Profileに従ってキーボード操作時出力信号を当該外部装置に送信可能に構成された通信部とを備え、
前記処理部は、前記Human Interface Device Profileに従った前記キーボード操作時出力信号による前記測定値データの送信が指示されるとの予め規定された第1の条件が満たされたときに、当該測定値データに記録されている測定値をCSV形式で記録し、記録した当該CSV形式当該測定値を構成している文字列を前記キーボード操作時出力信号として前記通信部から前記外部装置に送信させて当該外部装置の測定値入力画面における測定値入力欄に当該測定値を入力する測定値入力処理を実行可能に構成されると共に、前記測定値入力画面内に前記測定値入力欄が複数存在するときに、前記測定値入力処理において、前記測定値を入力すべき当該測定値入力欄の当該測定値入力画面内における位置に応じて、当該測定値を入力すべき測定値入力欄を指定するキー操作に対応する前記キーボード操作時出力信号を、当該測定値を構成している文字列の前記キーボード操作時出力信号に先立って前記通信部から前記外部装置に送信させる測定装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記測定値入力処理において、前記測定値データの前記測定値を構成している文字列における記号のなかに1つのキーのキー操作によって入力できない第1の記号が存在するときに、当該第1の記号に対応して予め規定された第1の文字列を入力するキー操作に対応する前記キーボード操作時出力信号を当該第1の記号に対応する当該キーボード操作時出力信号として前記通信部から前記外部装置に送信させる請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記測定値入力処理において、予め規定された第2の条件が満たされたときに、前記測定値データの前記測定値を補助単位を含めた指数表記形式に変換し、変換後の当該測定値を構成している文字列を前記キーボード操作時出力信号として前記通信部から前記外部装置に送信させる請求項1または2記載の測定装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記測定値入力処理において、予め規定された第3の条件が満たされたときに、前記測定値データの前記測定値における補助単位を予め規定された変更手順に従って変更し、変換後の当該測定値を構成している文字列を前記キーボード操作時出力信号として前記通信部から前記外部装置に送信させる請求項1から3のいずれかに記載の測定装置。
【請求項5】
前記通信部は、前記処理部の制御下でSerial Port Profileに従って前記測定値データを前記外部装置に送信可能に構成され、
前記処理部は、前記測定値データの前記測定値をHuman Interface Device Profileに従って前記キーボード操作時出力信号として前記通信部から前記外部装置に送信させる制御態様と、前記測定値データをSerial Port Profileに従って前記通信部から前記外部装置に送信させる制御態様とのいずれか選択された一方を実行可能に構成されている請求項1から4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の測定装置と、前記外部装置としての情報処理端末とを備えている測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定値に基づいて測定値データを生成すると共に生成した測定値データの測定値を外部装置に送信可能に構成された測定装置、およびそのような測定装置と外部装置としての情報処理端末とを備えた測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気設備の改修作業に際しては、正しく改修作業が実施されたか否かを電気的に検査し、検査結果を報告書にまとめて提出することが行われている。具体的には、作業対象の設置現場に測定装置を携行して改修作業後の作業対象における各部の電圧値や抵抗値などを測定し、その測定値を記入した報告書を設置現場から持ち帰って提出したり、設置現場において測定値を記入した紙片(メモ用紙等)を持ち帰ってパーソナルコンピュータ等を使用して報告書を作成して提出したりすることが行われている。しかしながら、設置現場において報告書を作成する場合には、机や椅子等が存在しない現場において綺麗な文字で測定値を記入するのが困難であるため、報告書を見た者に測定値を正しく認識させるのが困難となることがある。また、測定値を記入した紙片を持ち帰ってパーソナルコンピュータ等を使用して報告書を作成する場合においても、現場において綺麗な文字で測定値を紙片に記入するのが困難であるため、持ち帰った紙片に記入されている測定値を誤認して誤った測定値を入力した報告書を作成するおそれがある。
【0003】
一方、上記のような課題を解決すべく、下記の特許文献には、パーソナルコンピュータと検査装置とを備えて構成された電気設備の検査判定装置(以下、単に「検査判定装置」ともいう)の発明が開示されている。この検査判定装置では、パーソナルコンピュータにおいて作成したチェックシートを検査装置に送信し、検査装置においてチェックシートを利用した測定作業を実行して測定値のデータ(以下、「測定値データ」ともいう)を生成し、生成した測定データを検査装置からパーソナルコンピュータに送信してチェックシートに測定値を入力することで報告書を作成することができるように構成されている。
【0004】
具体的には、まず、パーソナルコンピュータにインストールした専用のアプリケーションプログラム(以下、単に「プログラム」ともいう)を使用してチェックシート(測定値が未入力の報告書のフォーム)を作成する。次いで、パーソナルコンピュータに検査装置を接続してパーソナルコンピュータから検査装置にチェックシートを送信する。続いて、検査対象の設置現場において検査装置を使用して測定作業を実行する。この際には、検査装置の表示部に表示される指示に従い、チェックシートにおいて規定されている各測定ポイントについての測定作業を順次実行する。これにより、検査装置において各測定ポイントについての測定値が記録された測定値データが生成される。
【0005】
次いで、検査装置を設置現場から持ち帰ってパーソナルコンピュータに接続し、検査装置からパーソナルコンピュータに測定値データを送信する。続いて、パーソナルコンピュータを操作して、検査装置から送信された測定値データに記録されている各測定値を専用のプログラムによってチェックシートの対応する測定値入力欄に入力させる。これにより、各測定値入力欄に測定値が入力されたチェックシートが生成される。この後、生成されたチェックシートを印刷することにより、検査対象の良否を確認可能な報告書が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-200897号公報(第7-11頁、第1-11図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記特許文献に開示されている検査判定装置には、以下のような解決すべき問題点が存在する。
【0008】
具体的には、上記特許文献に開示の検査判定装置では、検査装置において生成された測定値データを検査装置からパーソナルコンピュータに送信して、パーソナルコンピュータにおいて測定値データに記録されている測定値を専用のプログラムを使用してチェックシートの各測定値入力欄に入力させることにより、各測定値入力欄に測定値が入力されたチェックシートが生成される構成が採用されている。
【0009】
したがって、上記特許文献に開示の検査判定装置では、報告書を作成するために専用のプログラムが必須であり、この専用のプログラムの製作コストの分だけ、検査判定装置の製造コストが高騰しているという問題点がある。また、専用のプログラムがインストールされていないパーソナルコンピュータでは、チェックシートの作成や、測定値データに記録されている測定値を測定値入力欄に入力する処理を行うことができないため、検査判定装置の利便性が損なわれているという問題点もある。
【0010】
一方、この種の装置を使用して作成する報告書のなかには、例えば、「対象1」についての測定値、「対象2」についての測定値、および「対象3」についての測定値の3つの測定値をそれぞれ入力する3つの測定値入力欄が設けられた様式のものが存在する。このような様式の報告書を上記特許文献に開示の検査判定装置によって作成する際には、パーソナルコンピュータにおいて3つの測定値入力欄を設けたチェックシートを作成して検査装置に送信し、検査装置において「対象1」から「対象3」まで測定処理を順次実行した後に、検査装置において生成された測定値データをパーソナルコンピュータに送信する。これにより、測定値データに記録されている3つの測定値が、「対象1」についての測定値入力欄、「対象2」についての測定値入力欄、および「対象3」についての測定値入力欄にそれぞれ入力される。
【0011】
この場合、上記のような報告書の作成に際しては、例えば、「対象1」および「対象2」についての測定処理と、「対象3」についての測定処理とを複数の検査装置を使用して並行して実行したいときがある。この際に、「対象1」および「対象2」についての測定処理を一つ目の検査装置で実行し、かつ「対象3」についての測定処理を二つ目の検査装置で実行した場合、一つ目の検査装置からパーソナルコンピュータに測定値データを送信したときには、「対象1」についての測定値が「対象1」についての測定値入力欄に入力され、かつ「対象2」についての測定値が「対象2」についての測定値入力欄に入力されるものの、二つ目の検査装置からパーソナルコンピュータに測定値データを送信したときには、「対象3」についての測定値が「対象3」についての測定値入力欄に入力されずに「対象1」についての測定値入力欄に入力されてしまう。
【0012】
このように、上記特許文献に開示の検査判定装置では、チェックシートの作成時に規定した測定順序で測定処理が実行されることで各測定値入力欄に対応する測定値を入力することができるように構成されているため、規定した順序とは相違する順序で測定処理を実行するときには、チェックシートにおける測定順序を変更したり、所望の測定順序で測定処理を実行するよう規定した新たなチェックシートを作成したりする必要が生じる。したがって、この点においても、検査判定装置の利便性が損なわれているという問題点がある。
【0013】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、製造コストの低減、および利便性の向上を図り得る測定装置および測定システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の測定装置は、測定部と、当該測定部によって測定された測定値に基づいて測定値データを生成する処理部と、ブルートゥース(登録商標)規格に準じた近距離無線通信が可能な通信アダプタで構成されてブルートゥース対応機器である外部装置にキーボードとして認識されるように当該外部装置に対してBluetooth Low Energyモードで接続可能に構成されると共に前記処理部の制御下でHuman Interface Device Profileに従ってキーボード操作時出力信号を当該外部装置に送信可能に構成された通信部とを備え、前記処理部は、前記Human Interface Device Profileに従った前記キーボード操作時出力信号による前記測定値データの送信が指示されるとの予め規定された第1の条件が満たされたときに、当該測定値データに記録されている測定値をCSV形式で記録し、記録した当該CSV形式当該測定値を構成している文字列を前記キーボード操作時出力信号として前記通信部から前記外部装置に送信させて当該外部装置の測定値入力画面における測定値入力欄に当該測定値を入力する測定値入力処理を実行可能に構成されると共に、前記測定値入力画面内に前記測定値入力欄が複数存在するときに、前記測定値入力処理において、前記測定値を入力すべき当該測定値入力欄の当該測定値入力画面内における位置に応じて、当該測定値を入力すべき測定値入力欄を指定するキー操作に対応する前記キーボード操作時出力信号を、当該測定値を構成している文字列の前記キーボード操作時出力信号に先立って前記通信部から前記外部装置に送信させる。
【0015】
請求項2記載の測定装置は、請求項1記載の測定装置において、前記処理部は、前記測定値入力処理において、前記測定値データの前記測定値を構成している文字列における記号のなかに1つのキーのキー操作によって入力できない第1の記号が存在するときに、当該第1の記号に対応して予め規定された第1の文字列を入力するキー操作に対応する前記キーボード操作時出力信号を当該第1の記号に対応する当該キーボード操作時出力信号として前記通信部から前記外部装置に送信させる。
【0016】
請求項3記載の測定装置は、請求項1または2記載の測定装置において、前記処理部は、前記測定値入力処理において、予め規定された第2の条件が満たされたときに、前記測定値データの前記測定値を補助単位を含めた指数表記形式に変換し、変換後の当該測定値を構成している文字列を前記キーボード操作時出力信号として前記通信部から前記外部装置に送信させる。
【0017】
請求項4記載の測定装置は、請求項1から3のいずれかに記載の測定装置において、前記処理部は、前記測定値入力処理において、予め規定された第3の条件が満たされたときに、前記測定値データの前記測定値における補助単位を予め規定された変更手順に従って変更し、変換後の当該測定値を構成している文字列を前記キーボード操作時出力信号として前記通信部から前記外部装置に送信させる。
【0018】
請求項5記載の測定装置は、請求項1から4のいずれかに記載の測定装置において、前記通信部は、前記処理部の制御下でSerial Port Profileに従って前記測定値データを前記外部装置に送信可能に構成され、前記処理部は、前記測定値データの前記測定値をHuman Interface Device Profileに従って前記キーボード操作時出力信号として前記通信部から前記外部装置に送信させる制御態様と、前記測定値データをSerial Port Profileに従って前記通信部から前記外部装置に送信させる制御態様とのいずれか選択された一方を実行可能に構成されている。
また、請求項6記載の測定システムは、請求項1からのいずれかに記載の測定装置と、前記外部装置としての情報処理端末とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の測定装置では、ブルートゥース(登録商標)規格に準じた近距離無線通信が可能な通信アダプタで構成されてブルートゥース対応機器である外部装置にキーボードとして認識されるように外部装置に対してBluetooth Low Energyモードで接続可能に構成されると共に処理部の制御下でHuman Interface Device Profileに従ってキーボード操作時出力信号を外部装置に送信可能に構成された通信部を備えると共に、処理部が、Human Interface Device Profileに従ったキーボード操作時出力信号による測定値データの送信が指示されるとの予め規定された第1の条件が満たされたときに、測定値データに記録されている測定値をCSV形式で記録し、記録したCSV形式の測定値を構成している文字列をキーボード操作時出力信号に変換して通信部から外部装置に送信させて外部装置の測定値入力画面における測定値入力欄に測定値を入力する測定値入力処理を実行可能に構成されると共に、測定値入力画面内に測定値入力欄が複数存在するときに、測定値入力処理において、測定値を入力すべき測定値入力欄の測定値入力画面内における位置に応じて、測定値を入力すべき測定値入力欄を指定するキー操作に対応するキーボード操作時出力信号を、測定値を構成している文字列を変換したキーボード操作時出力信号に先立って通信部から外部装置に送信させる。また、請求項5記載の測定システムは、上記の測定装置、および外部装置としての情報処理端末を備えている。
【0020】
したがって、請求項1記載の測定装置、および請求項5記載の測定システムによれば、測定装置から外部装置(情報処理端末)にキーボード操作時出力信号によって測定値が送信されることで、一般的な外部装置(情報処理端末)において表示画面に表示させることが可能な測定値入力画面の測定値入力欄に測定値が直接入力されるため、測定装置から送信される測定値データの測定値を測定値入力欄に入力させる専用のプログラムを用意することなく、測定装置によって測定された測定値のデータを外部装置(情報処理端末)において確実かつ容易に取得することができる。これにより、専用のプログラムが不要となる分だけ、測定システムの製造コストを低減することができると共に、測定値入力画面を表示させることが可能な極く一般的な外部装置(情報処理端末)によって測定装置から測定値データを取得できるため、その利便性を十分に向上させることができる。また、測定値を入力すべき測定値入力欄を指定するキー操作に対応するキーボード操作時出力信号が測定装置から送信されることで、各測定値入力欄に対する測定値の入力順序等を変更したり、所望の入力順序で各測定値入力欄に測定値が入力される新たな測定値入力画面用のデータを作成したりすることなく、測定値入力画面における複数の測定値入力欄のうちの任意の測定値入力欄に測定値を確実かつ容易に入力させることができる。これにより、この測定装置および測定システムによれば、その利便性を一層向上させることができる。
【0021】
請求項2記載の測定装置では、処理部が、測定値入力処理において、測定値データの測定値を構成している文字列における記号のなかに1つのキーのキー操作によって入力できない第1の記号が存在するときに、第1の記号に対応して予め規定された第1の文字列を入力するキー操作に対応するキーボード操作時出力信号を第1の記号に対応するキーボード操作時出力信号として送信させる。したがって、請求項2記載の測定装置、およびそのような測定装置を備えた測定システムによれば、1つのキーのキー操作によって入力できない第1の記号が存在する測定値についても、確実かつ容易に測定値入力欄に入力させることができる。これにより、この測定装置および測定システムによれば、その利便性を一層向上させることができる。
【0022】
請求項3記載の測定装置では、処理部が、測定値入力処理において、予め規定された第2の条件が満たされたときに、測定値データの測定値を補助単位を含めた指数表記形式に変換し、変換後の測定値を構成している文字列をキーボード操作時出力信号に変換して送信させる。したがって、請求項3記載の測定装置、およびそのような測定装置を備えた測定システムによれば、測定装置において補助単位が相違する複数の測定値が測定されたときに、測定装置に測定値入力処理を実行させるだけで、補助単位を含めた指数表記形式に変換された測定値が外部装置(情報処理端末)に送信される。これにより、この測定装置および測定システムによれば、外部装置(情報処理端末)において測定値の補助単位を揃える処理を行うことなく、測定装置において測定された時点における補助単位の相違を考慮せずに、各測定値を容易に比較することができるため、その利便性を一層向上させることができる。
【0023】
請求項4記載の測定装置では、処理部が、測定値入力処理において、予め規定された第3の条件が満たされたときに、測定値データの測定値における補助単位を予め規定された変更手順に従って変更し、変換後の測定値を構成している文字列をキーボード操作時出力信号に変換して送信させる。したがって、請求項4記載の測定装置、およびそのような測定装置を備えた測定システムによれば、外部装置(情報処理端末)において補助単位を変更する作業を行うことなく、測定装置に測定値入力処理を実行させるだけで、所望の補助単位に変更された測定値を測定値入力欄に入力させることができる。これにより、この測定装置および測定システムによれば、その利便性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】測定システム100の構成を示す構成図である。
図2】スプレッドシートSSの一例について説明するための説明図である。
図3】報告書様式RFの一例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る測定装置および測定システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1に示す測定システム100は、「測定システム」の一例であって、測定装置1および携帯情報端末2を備えて構成されている。
【0027】
測定装置1は、「測定装置」の一例であって、測定部11、通信部12、操作部13、表示部14、処理部15および記憶部16を備え、測定対象についての電圧値、電流値および抵抗値などの各種の電気的パラメータを測定することができるように構成されている。測定部11は、処理部15の制御に従い、電圧値、電流値および抵抗値などの測定値のうちから指定された1つを測定して測定値D0を処理部15に出力する。
【0028】
通信部12は、一例として、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)規格に準じた近距離無線通信が可能な通信アダプタで構成されて、処理部15の制御下で携帯情報端末2などのBluetooth対応機器に接続して各種のデータを送受信する。この場合、本例の通信部12では、「Serial Port Profile(以下、「SPP」ともいう)」に従って各種のデータを送受信する動作モードに加え、Bluetooth対応機器に対して「Bluetooth Low Energy(以下、「BLE」ともいう)」モードで接続して(「キーボードとして認識されるように外部装置に対して接続可能に構成される」との構成の一例)「Human Interface Device Profile(以下、「HID」ともいう)」に従って「キーボード操作時出力信号」を送信する動作モードでの動作が可能に構成されている。
【0029】
操作部13は、測定装置1の動作条件(測定条件)の入力操作、測定処理の開始/停止を指示する操作、および後述するように測定装置1から携帯情報端末2への測定値データD1aや測定値データD2の送信を指示する操作などの各種の操作が可能な操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部15に出力する。表示部14は、処理部15の制御に従い、動作条件設定画面や測定結果表示画面等の各種の表示画面(図示せず)を表示する。
【0030】
処理部15は、測定装置1を総括的に制御する。具体的には、処理部15は、測定部11を制御して測定処理を実行させると共に、測定値D0に基づいて測定値データD1を生成して記憶部16に記憶させる(測定値D0を測定値データD1として記憶部16に一時的に記録する処理)。また、処理部15は、測定値データD1として記録した測定値D0を表示部14(測定結果表示画面)に表示させると共に、外部装置に対するSPPでのデータ出力や、測定結果の測定装置1内への保存を指示されているときには、測定値データD1に対応させて、送信・保存用の測定値データD1aを生成して記憶部16に記憶させる。
【0031】
また、処理部15は、予め規定された「第1のデータ送信条件」が満たされたときに、通信部12からSPPに従って携帯情報端末2などに測定値データD1aを送信させる。さらに、処理部15は、予め規定された「第2のデータ送信条件(「第1の条件」の一例)」が満たされたときに、測定値データD1a(または、測定値データD1)として記録されている測定値を「キーボード操作時出力信号」に変換して通信部12からHIDに従って携帯情報端末2などに測定値データD2として送信させる。
【0032】
この場合、上記の「第1のデータ送信条件」や「第2のデータ送信条件」としては、データの送信開始を指示する操作が行われたとき、データの送信を開始するように設定された時刻が到来したとき、測定値データD1を記憶部16に記憶させたとき、および測定値データD1の測定値D0がトリガ条件を満たす値であったとき、などの条件のうちから任意の条件が動作条件として予め選択(設定)される。なお、測定値データD1aや測定値データD2の送信処理については、後に具体的な例を挙げて詳細に説明する。
【0033】
記憶部16は、処理部15の動作プログラムや演算結果、および測定値データD1,D1aなどを記憶する。なお、記憶部16には、処理部15の演算結果や、測定部11から出力される測定値D0を測定値データD1として一時的に記憶させる記憶領域と、処理部15の動作プログラムや、保存・送信用の測定値データD1aを継続的に記憶させる記憶領域とが設けられているが、これらの記憶領域を区別せずに説明する。
【0034】
一方、携帯情報端末2は、「外部装置」としての「情報処理端末」に相当し、スマートフォン、タブレット端末および携帯型のパーソナルコンピュータなどで構成されている。この場合、本例の測定システム100では、一例として、通信部21,22、操作部23、表示部24、処理部25および記憶部26を備えると共に、汎用のスプレッドシートアプリケーションプログラム(以下、単に「スプレッドシートアプリ」ともいう)がインストールされたタブレット端末で携帯情報端末2が構成されているものとする。なお、実際の携帯情報端末2は、上記の各構成要素21~26の他に、「タブレット端末」としての機能を実現するための各種の構成要素を備えているが、本願発明についての理解を容易とするために、それらの構成要素についての図示および説明を省略する。
【0035】
通信部21は、一例として、無線LAN通信アダプタで構成され、処理部25の制御に従って通信ネットワークを介して各種の情報処理端末に接続して前述の測定値データD1aや後述の測定値データD3などの各種のデータを送受信する。通信部22は、前述した測定装置1の通信部12と同様にブルートゥース(Bluetooth:登録商標)規格に準じた近距離無線通信が可能な通信アダプタで構成されて、処理部25の制御下で測定装置1などのBluetooth対応機器に接続して各種のデータを送受信する。この場合、本例の通信部22では、前述の通信部12と同様にして、SPPに従って各種のデータを送受信する動作モードに加え、Bluetooth対応機器をBLEモードで接続させてHIDに従って「キーボード操作時出力信号」を送信させる動作モードでの動作が可能に構成されている。
【0036】
操作部23は、一例として、表示部24の前面側に配設されたタッチパネルや、携帯情報端末2を「タブレット端末」としての機能させるための各種の操作スイッチを備え、操作に応じた操作信号を処理部25に出力する。表示部24は、一例として液晶表示パネルを備え、処理部25の制御に従い、図示しない測定結果表示画面などの各種の表示画面を表示する。
【0037】
処理部25は、携帯情報端末2を総括的に制御する。具体的には、処理部25は、測定装置1から送信された測定値データD1aを記憶部26に記憶させると共に、測定値データD1aに記録されている測定値を表示部24に表示させる。また、処理部25は、後述するようにスプレッドシートアプリが起動されている状態において測定装置1から測定値データD2が送信されたときに、測定値データD2として送信される「キーボード操作時出力信号」に従い、図2に示すスプレッドシートSSにおけるセルCA1,CA2・・,CB1,CB2・・(以下、各セルを区別しないときには「セルC」ともいう)のうちの指定されたセルCに測定値を入力して測定値データD3を生成し、生成した測定値データD3を記憶部26に記憶させる。
【0038】
さらに、処理部25は、予め規定された「第3のデータ送信条件」が満たされたときに、測定値データD1aおよび/または測定値データD3を記憶部26から読み出すと共に、読み出した測定値データD1aおよび/または測定値データD3を通信部21から外部の情報処理端末に送信させる。この場合、上記の「第3のデータ送信条件」としては、データの送信開始を指示する操作が行われたとき、データの送信を開始するように設定された時刻が到来したとき、測定値データD1aの記憶が完了したとき、および測定値データD2の生成(記憶部26への記憶)が完了したときなどの条件のうちから任意の条件が選択される。なお、測定値データD3の生成処理や、測定値データD1aおよび/または測定値データD3の送信処理については、後に具体的な例を挙げて詳細に説明する。記憶部26は、処理部25の演算結果や測定値データD1a,D3などを記憶する。
【0039】
次に、測定システム100を用いた報告書の作成作業について、添付図面を参照して説明する。
【0040】
なお、測定装置1の通信部12と携帯情報端末2の通信部22との間におけるブルートゥースのペアリングなどについては既に完了しているものとし、このペアリングの作業についての説明を省略する。また、本例の測定システム100では、使用者が作成した報告書の様式や、第三者が作成した報告書の様式に測定装置1による測定処理の測定値を入力して携帯情報端末2において測定値データD3を生成することもできるが、「測定装置」および「測定システム」の構成についての理解を容易とするために、一例として、図2に示すスプレッドシートSSにおける任意のセルCに測定値を入力して測定値データD3(スプレッドシートデータ)を生成する例について説明する。
【0041】
まず、測定装置1の操作部13を操作して測定処理や、測定値データD1aおよび/または測定値データD2の送信処理についての動作条件を設定する。この場合、測定処理についての動作条件としては、「測定する電気的パラメータの種類(電圧値(直流、交流、直流+交流)、電流値(直流、交流)、および抵抗値など)」、「測定レンジ(任意のレンジ、オートレンジなど)」、「測定周期(測定値D0を出力する周期)」、および「測定開始/終了の条件」などをそれぞれ設定する。また、測定値データD1aの送信処理についての動作条件としては、一例として、「送信開始条件(手動、設定時刻、常時)」を設定する。さらに、測定値データD2の送信処理についての動作条件としては、一例として、「単位(「V」、「A」、「Ω」などの「物理単位」、および「m」「k」、「M」などの補助単位)を測定値の数値と共に送信するか否か」、「測定値を指数表記に変換するか否か、および変換する際の小数点以下の桁数」、「送信する各測定値をスプレッドシートSSのいずれのセルCから入力するか」、および「送信開始条件(手動、設定時刻、常時)」などをそれぞれ設定する。
【0042】
この際には、測定処理についての動作条件の一例として、「測定する電気的パラメータの種類:電流値(直流)」、「測定レンジ:オートレンジ」、「測定周期:1秒」、および「測定開始:スタートスイッチの操作/測定終了:10回の測定終了時」との条件をそれぞれ設定する。また、測定値データD1aの送信処理についての動作条件の一例として、「手動で送信開始」との条件を設定する。さらに、測定値データD2の送信処理についての動作条件の一例として、「単位(物理単位および補助単位)を測定値の数値と共に送信する」、「測定値を指数表記に変換しない」、「送信する各測定値をスプレッドシートSSにおけるセルCB3から入力する」、および「手動で送信開始」との条件をそれぞれ設定する。
【0043】
次いで、測定部11を測定対象に接続した後に、操作部13を操作して測定処理を開始させる。この際に、処理部15は、操作部13から出力された操作信号に応じて、上記のように設定された動作条件に従って測定部11に測定処理を実行させる。これにより、一例として、「123.456789mA」、「 23.456789mA」、「 3.456789mA」・・との測定値D0,D0・・が測定部11から1秒間隔で出力される。また、処理部15は、測定部11から測定値D0が出力される都度、その測定値D0を測定値データD1として記憶部16に記憶させる(「測定部によって測定された測定値に基づいて測定値データを生成する」との処理の一例)。また、測定値データD1aを手動で送信開始するとの動作条件が設定されている本例において、処理部15は、一例として、1つの測定値データD1の生成(記憶部16への記憶)が完了する都度、その測定値データD1に対応させて、を外部装置に送信可能な測定値データD1aを生成して記憶部16に記憶(保存)させる。この後、10個目の測定値D0が測定部11から出力されて測定値データD1,D1aが記憶部16に記憶されたときに、設定した動作条件での一連の測定処理が完了する。
【0044】
一方、測定装置1による上記の測定処理の測定結果(各測定値)を携帯情報端末2に送信する際に、本例の測定システム100(測定装置1)では、以下の2通りの送信方法のうちから任意の方法を選択して実行することが可能となっている。
【0045】
一つ目の送信方法としては、測定装置1の通信部12と携帯情報端末2の通信部22とを接続させた状態においてSPPに従って測定装置1から携帯情報端末2に測定値データD1aを送信することができる。この際には、操作部13の操作によってSPPでのデータ送信の開始を指示されたときに、処理部15が、前述の「第1のデータ送信条件」が満たされたとして通信部12から携帯情報端末2(通信部22)に測定値データD1aを送信する。なお、測定装置1から携帯情報端末2へのSPPでの各種データの送受信についてはこの種の測定装置や測定システムにおいても一般的に行われているデータ送信方法と同様のため、詳細な説明を省略する。この場合、測定装置1から携帯情報端末2に送信した測定値データD1aについては、一例として、通信部21から通信ネットワークを介して任意の情報処理端末(データサーバやパーソナルコンピュータなど)に送信することで、送信先の情報処理端末において、測定値データD1aに記録されている各測定値の表示・印刷や分析などを行うことができる。
【0046】
また、二つ目の送信方法としては、携帯情報端末2において起動されているスプレッドシートアプリのスプレッドシートSSにおける任意のセルC(「外部装置の測定値入力画面における測定値入力欄」の一例:図2参照)に対して、測定装置1によって測定値データD1aに記録されている測定値を直接入力することで(「測定値入力処理」の一例)、測定値データD1aの内容と同様の測定値データD2を測定装置1から携帯情報端末2に送信することができる。具体的には、まず、携帯情報端末2の通信部22に対して測定装置1の通信部12をBLEモードで接続させ、携帯情報端末2に対して測定装置1をキーボードとして認識させる。また、携帯情報端末2の操作部23を操作してスプレッドシートアプリを起動させ、新規のスプレッドシートSSを表示部24に表示させる。この際に、表示部24に表示されたスプレッドシートSSでは、セルCA1に入力カーソルが位置した状態となっている(図示せず)。
【0047】
続いて、測定装置1の操作部13を操作して、HIDでのデータ送信(測定値データD2の送信)の開始を指示する。この際に、処理部15は、前述の「第2のデータ送信条件(「第1の条件」の一例)」が満たされたと判別し、予め設定された送信処理についての動作条件に従い、測定値データD1aに記録されている「123.456789mA」、「 23.456789mA」、「 3.456789mA」・・との測定値をCSV形式で記録する。続いて、処理部15は、CSV形式で記録されている各測定値を「キーボード操作時出力信号」によって携帯情報端末2に送信させることで、携帯情報端末2のスプレッドシートSSにおけるセルCに測定値を入力する。
【0048】
この際に、本例では、「送信する各測定値をスプレッドシートSSにおけるセルCB3から入力する」との動作条件が設定されている。したがって、処理部15は、前述のように、携帯情報端末2においてスプレッドシートSSのセルCA1に位置させられている入力カーソルをセルCB3に移動させるキー操作(「測定値を入力すべき測定値入力欄を指定するキー操作」の一例)に対応する「キーボード操作時出力信号」を、各測定値の入力操作に対応する「キーボード操作時出力信号」に先立って送信させる。具体的には、処理部15は、「CR(Carriage Return)」「CR」「TAB」「1」「2」「3」「.」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「TAB」「m」「A」「CRLF(Carriage Return Line Feed)」「TAB」「2」「3」「.」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「TAB」「m」「A」「CRLF」「TAB」「3」「.」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「TAB」「m」「A」「CRLF」・・の順でキーボードを操作したときに出力される「キーボード操作時出力信号」を通信部12から携帯情報端末2(通信部22)に送信させる
【0049】
これにより、携帯情報端末2では、スプレッドシートSSのセルCA1に位置している入力カーソルが、「CR」「CR」「TAB」とのキー操作に対応してセルCB3に移動させられ、「1」「2」「3」「.」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「TAB」とのキー操作に対応して「123.456789」との数値がセルCB3に入力され、「m」「A」「CRLF」とのキー操作に対応して「mA」との文字(測定値の単位)がセルCC3に入力された後に入力カーソルがセルCA4に移動させられ、「TAB」とのキー操作に対応して入力カーソルがセルCB4に移動させられ、「2」「3」「.」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「TAB」とのキー操作に対応して「23.456789」との数値がセルCB4に入力され、「m」「A」「CRLF」とのキー操作に対応して「mA」との文字がセルCC4に入力された後に入力カーソルがセルCA5に移動させられ、「TAB」とのキー操作に対応して入力カーソルがセルCB5に移動させられ、「3」「.」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「TAB」とのキー操作に対応して「3.456789」との数値がセルCB5に入力され、「m」「A」「CRLF」とのキー操作に対応して「mA」との文字がセルCC5に入力された後に入力カーソルがセルCA6に移動させられる。なお、入力カーソルがセルCA6に移動させられた時点以降の動作については、入力される文字が相違する点を除き、入力カーソルがセルCA5に移動させられた時点以降の動作と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0050】
以上により、測定値データD1aに記録されている各測定値の「キーボード操作時出力信号」による送信(携帯情報端末2のスプレッドシートSSにおける各セルCへの測定値の入力:測定装置1から携帯情報端末2への測定値データD2の送信)が完了する。なお、上記の例とは相違するが、「送信処理についての動作条件」の設定に際して「単位を送信しない」との条件が設定されていたときに、処理部15は、測定値における「数値」の後の「TAB」、および単位を示す「m」「A」の3つのキー操作に対応する「キー操作時出力信号」を送信しない。これにより、測定値における「数値」だけがスプレッドシートSSにおけるB列のセルCに入力される(「数値」だけが測定値データD2として送信される)。この後、携帯情報端末2の操作部23を操作してスプレッドシートSSを保存することにより、測定値データD1aに記録されている各測定値が入力されたスプレッドシートSSの測定値データD3が記憶部26に記憶される。
【0051】
一方、携帯情報端末2において生成された測定値データD3(スプレッドシートSSのデータ)については、一例として、通信部21から通信ネットワークを介して任意の情報処理端末(データサーバやパーソナルコンピュータなど)に送信することで、送信先の情報処理端末において、測定値データD3に記録されている各測定値の表示や印刷(報告書の作成)、および測定値の分析などを行うことができる。この場合、上記のように測定装置1によって測定された測定値についての分析に際しては、測定値の和や差を求めたり、予め規定された係数を測定値に乗除算して任意の値を求めたりすることが行われる。したがって、特殊な書式の「測定値データ」が提供されるよりも、測定値データD3(スプレッドシートSSのデータ)が提供されることで、分析作業を迅速かつ容易に実行することができる。
【0052】
なお、上記の例とは相違するが、この種の「測定装置(測定システム)」において取り扱う「測定値」のなかには、「1つのキーのキー操作によって入力できない記号」が含まれたものも存在する。具体的には、一例として、「Ω」「°」「℃」「°F」「ε」および「m2」などの記号(「第1の記号」の一例)を含む測定値がこれに該当する。
【0053】
このような測定値が存在するときに、本例の測定装置1(測定システム100)では、携帯情報端末2に対して測定値データD2を送信する(スプレッドシートSSのセルCなどに測定値を入力する「測定値入力処理」を実行する)ときに、処理部15が、上記の「第1の記号」を「予め規定された第1の文字列」を入力するキー操作に対応する「キーボード操作時出力信号」に置き換えて送信させる。具体的には、上記の例の「Ω」「°」「℃」「°F」「ε」および「m2」については、「_Ohm」「_degree」「_degree C」「_degree F」「_e」および「m^2」との文字列を入力するキー操作に対応する「キーボード操作時出力信号」に置き換えて送信させる。これにより、「1つのキーのキー操作によって入力できない記号」と同様の意味を持つ情報を測定装置1から携帯情報端末2に送信してセルCに入力することができる。
【0054】
なお、変換後の文字列における「_」は、測定装置1において測定値データD1aに記録されている測定値(上記の例では、「単位」)を示す文字列を変換処理したことを示す記号の一例であり、携帯情報端末2などにおいて測定値データD3(スプレッドシートSSのデータ)を参照したときに「_」が付与されていれば、測定装置1において測定値(単位)を示す文字列が変換処理されていることを確実かつ容易に認識することができる。したがって、変換後の文字列の先頭に「_」を付与する構成に代えて、「_」以外の任意の記号を付与したり、文字列の最後尾に任意の記号を付与したりすることもできる。また、変換処理されたことの認識が不要であれば、上記の例における「_」などの記号を不要しない構成を採用することもできる。
【0055】
また、上記の例とは相違するが、測定値データD2の送信処理についての動作条件として、「測定値を指数表記に変換しない」との条件に代えて、「測定値を指数表記(補助単位を含む)に変換する」との条件が設定されたときには、一例として、測定値データD2の送信を指示されたときに、測定値データD1aに記録されている測定値を補助単位を含めた指数表記に変換する。一例として「1.234mA」、「23.456A」、「345.678kA」、「4.5678MA」・・との測定値を、「1.234E-03A」、「23.456E+00A」、「345.678E+03A」、「4.5678E+06A」・・との指数表記に変換する。なお、この例では、「HIDでのデータ送信の開始を指示されたとき」が「予め規定された第2の条件が満たされたとき」に相当する。このような構成に代えて、例えば、「測定値データD1aの生成が完了したとき」や、「変換処理を開始する操作が行われたとき」に「第2の条件」が満たされたとして、上記のように指数表記に変換する処理を実行する構成を採用することもできる。
【0056】
次いで、変換後の測定値をCSV形式で記録する。この後、指数表記形式に変換しなかった前述の例と同様にして、CSV形式で記録されている各測定値(指数表記に変換された測定値)を「キーボード操作時出力信号」によって携帯情報端末2に送信することで、携帯情報端末2のスプレッドシートSSにおけるセルCに測定値を入力する。これにより、スプレッドシートSSにおける任意のセルCに「1.234mA」、「23.456A」、「345.678kA」、「4.5678MA」・・との測定値が入力された測定値データD3が携帯情報端末2において生成される。
【0057】
また、本例の測定装置1(測定システム100)では、「予め規定された第3の条件」が満たされたとき(例えば、携帯情報端末2に対する測定値データD2の送信を指示されたとき)ときに、測定値データD1aに記録されている測定値の補助単位を「予め規定された変更手順」に従って変更し、変換後の測定値を「キーボード操作時出力信号」に変換して送信することができるように構成されている。この場合、「測定値の補助単位を予め規定された変更手順に従って変更する」との処理は、例えば、「1234mV」との測定値を「1.234V」との測定値に変換する処理や、例えば、「9.876A」との測定値を「9876mA」との測定値に変換する処理である。このような「補助単位」の変換を希望するときには、測定装置1における「送信処理についての動作条件」の設定に際して、希望する変更手順を設定すればよい。
【0058】
また、携帯情報端末2において起動されているスプレッドシートアプリのスプレッドシートSSにおける任意のセルCに測定値を入力する例について説明したが、スプレッドシートSSに代えて、図3に示す報告書様式RFにおけるセルC1a,C1b,C2a,C2b・・(以下、単に「セルC」ともいう)に測定値を入力させることもできる。
【0059】
この場合、同図に示す報告書様式RFの例において、「点検箇所1の電圧値についての測定処理」、「点検箇所1の抵抗値についての測定処理」、「点検箇所2の電圧値についての測定処理」、「点検箇所2の抵抗値についての測定処理」・・のように、セルC1aに入力されるべき測定値についての測定処理から順に各測定処理を実行したときには、「,」の「キーボード操作時出力信号」を挟んで、「点検箇所1の電圧値に対応するキーボード操作時出力信号」、「点検箇所1の抵抗値に対応するキーボード操作時出力信号」、「点検箇所2の電圧値に対応するキーボード操作時出力信号」、「点検箇所2の抵抗値に対応するキーボード操作時出力信号」・・を測定装置1から携帯情報端末2に送信することで、報告書様式RFの各セルCに、対応する各測定値をそれぞれ入力する(測定装置1から携帯情報端末2に測定値データD2を送信する)ことができる。
【0060】
また、一例として、「点検箇所1」~「点検箇所4」までの測定処理を実行せずに、「点検箇所5の電圧値についての測定処理」および「点検箇所5の抵抗値についての測定処理」だけを実行し、得られた測定値を報告書様式RFにおけるセルC5a,C5bに入力する(「点検箇所5」についての測定値の測定値データD2を送信する)ときには、その測定値がセルC1a,C1bに入力されることがないように、「点検箇所5の電圧値に対応するキーボード操作時出力信号」および「点検箇所5の抵抗値に対応するキーボード操作時出力信号」の送信に先立ち、8つの「CR」、または8つの「TAB」のキー操作に対応する「キーボード操作時出力信号(「測定値を入力すべき測定値入力欄を指定するキー操作に対応するキーボード操作時出力信号」の他の一例)」を送信する。これにより、セルC1aに位置させられていた入力カーソルがセルC5aに移動させられた後に、送信される「キーボード操作時出力信号」に対応する測定値が入力される。
【0061】
また、携帯情報端末2にスプレッドシートアプリがインストールされておらず、かつ、上記の報告書様式RFのような様式のデータも存在していないときには、一例として、携帯情報端末2において、メモ帳アプリケーションやテキストエディタなど(文字列の入力、および入力された文字列のデータ保存が可能なアプリケーション)を起動した状態で、測定装置1から携帯情報端末2に測定値データD2を送信させることもできる。このような使用例においても、測定装置1から携帯情報端末2に「キー操作時出力信号」によって測定値データD2が送信されるため、メモ帳アプリケーションの文字列入力画面に入力される測定値をテキスト形式で保存することで、携帯情報端末2において「測定値データ」を取得することができる。
【0062】
また、測定値データD1aを生成する処理が完了した以降に測定装置1から携帯情報端末2に対して測定値データD1aの測定値を測定値データD2として送信する(「キーボード操作時信号」による測定値データの送信を行う)例について説明したが、測定部11から測定値D0に基づく測定値データD1の生成が完了する都度(測定値D0を測定値データD1として記憶部16に記憶させる都度)、その測定値データD1に記録されている測定値を「キーボード操作時信号」によって測定値データD2として送信することもできる。このような動作例においては、測定装置1内への測定結果の保持等を指示されていない限り、上記の例における測定値データD1a(保存・送信用のデータ)の生成を不要とすることができる。
【0063】
このように、この測定装置1では、キーボードとして認識されるように携帯情報端末2(外部装置)に対して接続可能に構成されて「キーボード操作時出力信号」を携帯情報端末2に送信可能に構成された通信部12を備えると共に、処理部15が、「予め規定された第1の条件」が満たされたとき(例えば、送信開始を指示されたとき)に、測定値データD1,D1aに記録されている測定値を「キーボード操作時出力信号」に変換して通信部12から携帯情報端末2に送信して携帯情報端末2の「測定値入力画面(例えばスプレッドシートSS)」における「測定値入力欄(セルC)」に測定値を入力する「測定値入力処理」を実行可能に構成されると共に、「測定値入力画面」内に「測定値入力欄」が複数存在するときに、「測定値入力処理」において、測定値を入力すべき「測定値入力欄」の「測定値入力画面」内における位置に応じて、測定値を入力すべき「測定値入力欄」を指定するキー操作に対応する「キーボード操作時出力信号」を、測定値を変換した「キーボード操作時出力信号」に先立って通信部12から携帯情報端末2に送信させる。また、この測定システム100は、測定装置1、および「外部装置(情報処理端末)」としての携帯情報端末2を備えている。
【0064】
したがって、この測定装置1および測定システム100によれば、測定装置1から携帯情報端末2に「キーボード操作時出力信号」によって測定値が送信されることで、一般的な「外部装置(情報処理端末)」において表示画面に表示させることが可能な「測定値入力画面」の「測定値入力欄」(スプレッドシートSSや報告書様式RFのセルC)に測定値が直接入力されるため、測定装置1から送信される「測定値データ」に記録されている測定値を「測定値入力欄」に入力させる専用のプログラムを用意することなく、測定装置1によって測定された測定値のデータ(上記の例では測定値データD2)を携帯情報端末2において確実かつ容易に取得することができる。これにより、専用のプログラムが不要となる分だけ、測定システム100の製造コストを低減することができると共に、「測定値入力画面」を表示させることが可能な極く一般的な「外部装置(情報処理端末)」によって測定装置1から測定値データD2を取得できるため、その利便性を十分に向上させることができる。また、「測定値を入力すべき測定値入力欄を指定するキー操作に対応するキーボード操作時出力信号」が測定装置1から送信されることで、各「測定値入力欄」に対する測定値の入力順序等を変更したり、所望の入力順序で各「測定値入力欄」に測定値が入力される新たな「測定値入力画面」用のデータを作成したりすることなく、「測定値入力画面」における複数の「測定値入力欄」のうちの任意の「測定値入力欄」に測定値を確実かつ容易に入力させることができる。これにより、この測定装置1および測定システム100によれば、その利便性を一層向上させることができる。
【0065】
また、この測定装置1では、処理部15が、「測定値入力処理」において、測定値データD1,D1aに記録された測定値を構成している記号のなかに1つのキーのキー操作によって入力できない「第1の記号」が存在するときに、「第1の記号」に対応して予め規定された「第1の文字列」を入力するキー操作に対応する「キーボード操作時出力信号」を「第1の記号」に対応する「キーボード操作時出力信号」として送信させる。したがって、この測定装置1および測定システム100によれば、1つのキーのキー操作によって入力できない「第1の記号」が存在する測定値についても、確実かつ容易に「測定値入力欄」に入力させることができる。これにより、この測定装置1および測定システム100によれば、その利便性を一層向上させることができる。
【0066】
さらに、この測定装置1では、処理部15が、「測定値入力処理」において、「予め規定された第2の条件」が満たされたとき(例えば、送信開始を指示されたとき)に、測定値データD1,D1aに記録されている測定値を補助単位を含めた指数表記形式に変換し、変換後の測定値を「キーボード操作時出力信号」に変換して送信させる。したがって、この測定装置1および測定システム100によれば、測定装置1において補助単位が相違する複数の測定値が測定されたときに、測定装置1に「測定値入力処理」を実行させるだけで、補助単位を含めた指数表記形式に変換された測定値が携帯情報端末2に測定値データD2として送信される。これにより、この測定装置1および測定システム100によれば、携帯情報端末2等において測定値の補助単位を揃える処理を行うことなく、測定装置1において測定された時点における補助単位の相違を考慮せずに、各測定値を容易に比較することができるため、その利便性を一層向上させることができる。
【0067】
さらに、この測定装置1では、処理部15が、「測定値入力処理」において、「予め規定された第3の条件」が満たされたとき(例えば、送信開始を指示されたとき)に、測定値データD1,D1aに記録されている測定値の補助単位を「予め規定された変更手順」に従って変更し、変換後の測定値を「キーボード操作時出力信号」に変換して送信させる。したがって、この測定装置1および測定システム100によれば、携帯情報端末2において補助単位を変更する作業を行うことなく、測定装置1に「測定値入力処理」を実行させるだけで、所望の補助単位に変更された測定値を「測定値入力欄」に入力させることができる。これにより、この測定装置1および測定システム100によれば、その利便性を一層向上させることができる。
【0068】
なお、「測定装置」および「測定システム」の構成は、上記の測定装置1および測定システム100の構成の例に限定されない。例えば、測定装置1および携帯情報端末2を無線通信(上記の例では、Bluetooth)によって相互に接続した状態で測定装置1から携帯情報端末2に対して測定値データD2を送信する(携帯情報端末2のスプレッドシートSSや報告書様式RFにおけるセルCに測定値を入力する)構成を例に挙げて説明したが、無線通信による接続と切り替えて、有線通信によって接続した状態において測定値データD2を送信する(セルC等に測定値を入力する)構成を採用することもできる。一例として、USBやPS2などの各種のシリアル通信規格に準じた有線通信が可能な通信ケーブルで「測定装置」および「外部装置(情報処理端末)」を相互に接続させて、「外部装置(情報処理端末)」に対して「測定装置」をキーボードとして認識させた状態で、通信ケーブルを介して「キーボード操作時出力信号」によって測定値等を送信する構成を採用することができる。
【0069】
また、「測定値入力処理」において「補助単位の変更」を実行可能に構成した例について説明したが、このような構成に加えて、「物理単位の変更」を実行可能に構成することもできる。具体的には、一例として、「9.9989g」との測定値を「0.3527oz」との測定値に変換する処理を実行可能に「測定装置」を構成することもできる。
【0070】
また、「測定値入力処理」において、送信する測定値に含まれている「小数点を示す記号(文字)」や「3桁毎の区切り記号(文字)」を予め設定された変換条件に従って変換する処理を実行可能に「測定装置」を構成することもできる。
【0071】
具体的には、「測定装置」から測定値を送信する「外部装置(情報処理端末)」の使用環境に応じて、測定値における「小数点を示す記号」や「3桁毎の区切り記号」をどのような文字として送信すべきかを予め設定しておく。この際に、「小数点」をイギリス式で表記する使用環境において測定値を送信するときには、測定値に含まれる「小数点」を「.(ピリオド)」に対応する「キーボード操作時出力信号」に変換して送信し、「小数点」をフランス式で表記する使用環境において測定値を送信するときには、測定値に含まれる「小数点」を「,(コンマ)」に対応する「キーボード操作時出力信号」に変換して送信するように設定する。
【0072】
また、測定値に「3桁毎の区切り記号」を含ませて送信する際に、「3桁毎の区切り記号」を「 (スペース)」で表記する使用環境において測定値を送信するときには、測定値に含まれる「3桁毎の区切り記号」を「 (スペース)」に対応する「キーボード操作時出力信号」に変換して送信し、「3桁毎の区切り記号」を「,(コンマ)」で表記する使用環境において測定値を送信するときには、測定値に含まれる「3桁毎の区切り記号」を「,(コンマ)」に対応する「キーボード操作時出力信号」に変換して送信し、「3桁毎の区切り記号」を「'(アポストロフィ)」で表記する使用環境において測定値を送信するときには、測定値に含まれる「3桁毎の区切り記号」を「'(アポストロフィ)」に対応する「キーボード操作時出力信号」に変換して送信し、「3桁毎の区切り記号」を「.(ピリオド)」で表記する使用環境において測定値を送信するときには、測定値に含まれる「3桁毎の区切り記号」を「.(ピリオド)」に対応する「キーボード操作時出力信号」に変換して送信するように設定する。
【0073】
このように設定しておくことにより、「測定装置」内において「小数点を示す記号」や「3桁毎の区切り記号」をどのような文字として扱われていたとしても、「測定装置」から「外部装置」に測定値を送信させるだけで、「外部装置」において、使用環境に合致する文字で「小数点」や「3桁毎の区切」が表記される測定値を取得することが可能となる。
【0074】
加えて、「測定装置」から「外部装置(情報処理端末)」に送信する「測定値」は、「電圧値」、「電流値」および「抵抗値」に限定されず、各種の物理量(電力量や位相などの電気的パラメータ、並びに温度、湿度、輝度(光度)、照度、歪み、雨量および流量等の各種パラメータ)を対象とすることができる。
【符号の説明】
【0075】
100 測定システム
1 測定装置
2 携帯情報端末
11 測定部
12,21,22 通信部
13,23 操作部
14,24 表示部
15,25 処理部
16,26 記憶部
CA1,CA2・・,CB1,CB2・・,C1a,C1b,C2a,C2b・・ セル
D0 測定値
D1,D1a,D2,D3 測定値データ
SS スプレッドシート
RF 報告書様式
図1
図2
図3