(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】間仕切り
(51)【国際特許分類】
E04B 2/72 20060101AFI20241203BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
E04B2/72 F
E04B2/72 A
E04B2/74 521J
(21)【出願番号】P 2020212808
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 栄俊
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 祐貴
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-004466(JP,A)
【文献】実開昭59-008421(JP,U)
【文献】実開平06-063708(JP,U)
【文献】特開平08-333958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72-2/82
E04C 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に隣接して設けられる縦支柱と、該縦支柱間に組み込まれる
薄板状の仕切り板とを備えることで室内空間を前後に仕切るものであって、
前記縦支柱は、支柱本体と縦枠材とを備えて構成され、
支柱本体は、該本体側の見付け面部と見込み面部とを備え、
縦枠材は、前記本体側見付け面部、見込み面部に間隙を存する状態で外嵌する枠材側見付け面部、見込み面部を備え、該枠材側見込み面部に仕切り板が内嵌組み込みされる凹溝部が形成された構成の間仕切りにおいて、
本体側見込み面部と凹溝部の溝底面部とのあいだに補助枠材を挟持状に組み込むと共に、該補助枠材は、先端縁部が本体側見付け面部を越えて枠材側見付け面部に近接対向または当接するよう延出された
ものであって、
前記仕切り板は、耐火性素材を薄板状に加工した板材により構成され、
支柱本体、縦枠材、および補助枠材は、アルミニウムよりも高融点の耐火性金属素材を曲げ加工することで形成されていることを特徴とする間仕切り。
【請求項2】
補助枠材は、本体側見込み面部に沿う平板状態で枠材側見付け面部部位にまで至ったものが、該枠材側見付け面部に沿うよう折曲された折曲面部を備えていることを特徴とする請求項1記載の間仕切り。
【請求項3】
折曲面部は、枠材側見込み面部側に向けて折曲形成されたものであることを特徴とする請求項2記載の間仕切り。
【請求項4】
補助枠材は、本体側見込み面部の先端縁部部位から本体側見付け面部に沿う状態で折曲した見付け折曲面部と、該見付け折曲面部の先端縁部から枠材側見付け面部に向けて折曲した見込み折曲面部とを備え、該見込み折曲面部の先端縁部が枠材側見付け面部に近接対向または当接していることを特徴とする請求項1記載の間仕切り。
【請求項5】
縦枠材は、枠材側見付け面部の先端縁部が本体側見付け面部側に向けて折曲した枠材側折曲面部を備え、見込み折曲面部は、枠材側折曲面部に沿うようにして設けられることを特徴とする請求項4記載の間仕切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右に隣接する縦支柱間にガラス板等の薄板状の仕切り板を嵌め込んで構成した間仕切りの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、間仕切りとして、左右に隣接する縦支柱間にガラス板等の薄板状の仕切り板を組み込むことで室内空間を前後に仕切ることがあるが、このような間仕切りとして、前記縦支柱を、床面と天井面とのあいだに立設される支柱本体と、前記仕切り板を組み込むための凹溝部が形成された縦枠材と用いて構成したものがある。
この場合に支柱本体を、見込み面部と見付け面部とを有した平面視で四角形状のものとする一方、縦枠材を、支柱本体の見込み面部と見付け面部とに間隙を存して外嵌するよう見込み面部と見付け面部とを備えたコ字形状をし、見込み面部に仕切り板を内嵌組み込みするための凹溝部が形成されたものとすることが試みられている(例えば特許文献1参照)。
ところで間仕切り用の仕切り板としてガラス板を採用した場合に、一般的なガラス材は融点が低く防火性(耐火性)に劣ることもあって高い防火性能が要求されるガラス板として採用はできないものであった。これに対し融点が高く防火性に優れたガラス材もあったが、このようなガラス材は高価であったため、従来、間仕切り用のガラス板として採用されることは稀であった。しかしながら今日、ガラス素材の技術向上に伴い防火性に優れた高融点のガラス板が安価に提供されるようになり、そこでこのようなガラス板を用いて高い防火性能を有した間仕切りを提供することが試みられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが前記従来のガラス板を用いた間仕切りは、高い防火性について配慮する必要がなかったため、縦枠材については、押し出し成形等の簡単な加工により複雑な形状にすることが容易なアルミニウム製としていた。しかしながらアルミニウムは、融点が凡そ660℃であって建材として用いられる金属としては低融点の素材であり、このため高い防火性を要求される部所に設けられる間仕切り用としては不向きなものであって、このような場合には鋼材(鉄材)やステンレス材等の高融点の金属素材を用いて縦枠材を形成することになる。
しかしながらこのような高融点の金属素材は、アルミニウムのように押し出し成形により複雑な形状のものを精度よく加工することができず、板材を曲げ加工により成形することになるが、このような曲げ加工では複雑な形状に加工するのが事実上困難であり、このため該曲げ加工された縦枠材を支柱本体に組み込んで縦支柱を形成した場合に、支柱本体と縦枠材とのあいだにどうしても隙間が生じ、火災発生時に該隙間から支柱本体と縦枠材とのあいだに侵入した火煙が仕切り板を嵌合保持する凹溝部にまで至って該凹溝部での仕切り板保持機能が高熱を受けて早期のうちに損傷して防火性能が損なわれることになる等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、左右に隣接して設けられる縦支柱と、該縦支柱間に組み込まれる薄板状の仕切り板とを備えることで室内空間を前後に仕切るものであって、前記縦支柱は、支柱本体と縦枠材とを備えて構成され、支柱本体は、該本体側の見付け面部と見込み面部とを備え、縦枠材は、前記本体側見付け面部、見込み面部に間隙を存する状態で外嵌する枠材側見付け面部、見込み面部を備え、該枠材側見込み面部に仕切り板が内嵌組み込みされる凹溝部が形成された構成の間仕切りにおいて、本体側見込み面部と凹溝部の溝底面部とのあいだに補助枠材を挟持状に組み込むと共に、該補助枠材は、先端縁部が本体側見付け面部を越えて枠材側見付け面部に近接対向または当接するよう延出されたものであって、前記仕切り板は、耐火性素材を薄板状に加工した板材により構成され、支柱本体、縦枠材、および補助枠材は、アルミニウムよりも高融点の耐火性金属素材を曲げ加工することで形成されていることを特徴とする間仕切りである。
請求項2の発明は、補助枠材は、本体側見込み面部に沿う平板状態で枠材側見付け面部部位にまで至ったものが、該枠材側見付け面部に沿うよう折曲された折曲面部を備えていることを特徴とする請求項1記載の間仕切りである。
請求項3の発明は、折曲面部は、枠材側見込み面部側に向けて折曲形成されたものであることを特徴とする請求項2記載の間仕切りである。
請求項4の発明は、補助枠材は、本体側見込み面部の先端縁部から本体側見付け面部に沿う状態で折曲した見付け折曲面部と、該見付け折曲面部の先端縁部から枠材側見付け面部に沿うよう折曲した見込み折曲面部とを備え、該見込み折曲面部の先端縁部が枠材側見付け面部に近接対向または当接していることを特徴とする請求項1記載の間仕切りである。
請求項5の発明は、縦枠材は、枠材側見付け面部の先端縁部が本体側見付け面部側に向けて折曲した枠材側折曲面部を備え、見込み折曲面部は、枠材側折曲面部に沿うようにして設けられることを特徴とする請求項4記載の間仕切りである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、間仕切りの構成部材である縦支柱を、支柱本体と縦枠材とのあいだに補助枠材が挟持状に組み込まれた構成とする場合に、該補助枠材の先端縁部が、本体側見付け面部を越えて枠材側見付け面部に近接対向または当接するよう延出したものとなっている結果、支柱本体と縦枠材とのあいだの隙間から侵入しようとする火炎は、補助枠材先端縁部の、本体側見付け面部を越えて枠材側見付け面部に近接対向または当接している部位によって妨げられることになって火炎の内部側への侵入を効果的に阻止できることになって防火性が向上する。
請求項2の発明とすることにより、補助枠材が、該補助枠材の先端縁部から枠材側見付け面部に沿うよう折曲された折曲面部を有することで、火炎の侵入経路を左右幅を存した狭隘なものにできる結果、より防火性の高いものにできることになる。
請求項3の発明とすることにより、補助枠材に設けられる折曲面部が火炎の侵入経路の下流側に折曲したものとなる結果、火炎の高い侵入防止効果が発揮できることになって更なる防火性の向上に寄与できることになる。
請求項4の発明とすることにより、補助枠材が、本体側見付け面部に沿う状態で折曲した見付け折曲面部と、枠材側見込み面部に沿うよう折曲した見込み折曲面部とを備え、そして見込み折曲面部の先端縁部が枠材側見付け面部に近接対向または当接している結果、見込み折曲面部の先端縁部が枠材側見付け面部に近接対向または当接することによる前記請求項1の防火性効果に加えて、見込み折曲面部が枠材側見込み面部に沿うことによる防火性効果も発揮できるものとなってより高い防火性を発揮できることになる。
請求項5の発明とすることにより、縦枠材に設けられる枠材側折曲面部に、補助枠材に設けた見込み折曲面部が沿うものとなっている結果、ここにおいても火炎の侵入経路を幅をもって狭隘なものにできる結果、より防火性の高いものにできることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】間仕切りのガラス板部位の断面平面図である。
【
図3】間仕切りのガラス板部位の断面側面図である。
【
図8】独立した縦支柱の支持部材部位の断面底面図である。
【
図9】独立した縦支柱の支持部材より下位部位の断面平面図である。
【
図10】(A)(B)は独立した縦支柱のガラス板部位の断面平面図、下端部部位の断面平面図である。
【
図11】壁部に隣接した縦支柱部位の断面正面図である。
【
図12】(A)(B)は壁部に隣接した縦支柱の上端部部位の断面底面図、ガラス板部位の断面平面図である。
【
図13】(A)(B)は支柱本体に支持部材、位置決め部材を組み込む状態を示す分解斜視図、支柱本体に支持部材を組み込んだ状態を示す斜視図である。
【
図14】縦支柱の組み込み状態を示す分解斜視図である。
【
図16】(A)(B)(C)(D)は支持部材の正面図、側面図、平面図、縦断面図である。
【
図17】(A)(B)は第二、第三の実施の形態を示すものであって、何れも独立した縦支柱部位の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は室内空間を前後に仕切る間仕切りであって、該間仕切り1は、躯体壁面Wに隣接する状態で設けられる縦支柱2と、室内空間に独立する状態で設けられる縦支柱3と、これら縦支柱2、3間に組み込まれる薄板状の仕切り板であるガラス板4とを用いて構成されている。
この場合にガラス板4は、耐火性(耐熱性、耐炎性)のあるガラス素材を用いて構成されたものであって間仕切り1の防火性を高めることになるが、本発明に用いられる仕切り板としてはガラス板4に限定されず、鉄や鉄合金等の金属、石膏、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム等の不燃材を用いて形成した板材等、耐火性の優れた各種の板材を仕切り板として採用することができる。
【0009】
前記縦支柱2、3は、何れも天井面Hと床面Fとのあいだに、該天井面H、床面Fに通常設けられる天井レール、床レールがない状態で立設される支柱本体5と、該支柱本体5に組み付けられる縦枠材6とを備えて構成されるが、まず室内空間に独立する状態で立設される縦支柱3について説明する。
前記縦支柱3は、何れも鋼材を曲げ加工して形成されたものであって、支柱本体5と、該支柱本体5の左右方向両側から組み付けられる縦枠材6と、これら支柱本体5と縦枠材6とのあいだに挟持状に設けられる補助枠材7とを用いて構成されるが、支柱本体5は、天井面部Hと床面部Fとの間の寸法(高さ寸法)よりも短いものに設定されている。
【0010】
前記支柱本体5は、平面視したときに前後方向一方側が開口した前後方向に長い冂字形状の第一支柱部材5aと、該第一支柱部材5aの開口を塞ぐべく第一支柱部材5aとは逆側が開口した凵字形状の第二支柱部材5bとを備え、該第二支柱部材5bの両脚片部を第一支柱部材5aの開口側から内嵌し、重合する脚片部同士をビス5cを介して固定することで平面視で長方形をした筒状体に形成されたものであり、長辺(第一支柱部材5aの両脚片部)が左右の見込み面部(以下「本体側見込み面部」という。)5d、短辺(第一、第二支柱部材5a、5bの跨片部)が前後の見付け面部(以下「本体側見付け面部」という。)5eとなるように構成される。
この場合に本実施の形態では、第二支柱部材5bにおける脚片部5hの上下両端縁部部位を、後述する床面側位置決め部材8、支持部材10を内嵌するため切り欠いたものとし、これによって支柱本体5の上下両端縁部部位は、第二支柱部材5bの脚片部5hが切り欠かれた(欠損した)ものとなっていて、第一支柱部材5aの跨片部および両脚片部と第二支柱部材5bの跨片部とが四辺となった平面視で四角形状になっている。
尚、支柱本体5としては、長方体形状等、四角形状の筒体をそのまま採用してもよく、また必要において第一支柱部材5aだけのコ字形状のままのものとすることもできる。
【0011】
一方、縦枠材6は、前記本体側見込み面部5d、見付け面部5eに間隙を存する状態で外嵌する見込み面部(以下「枠材側見込み面部」という。)6a、見付け面部(以下「枠材側見付け面部」という。)6bを備えると共に、該枠材側見込み面部6aに、ガラス板4が内嵌組み込みされる凹溝部6cが形成されることで平面視で弓字形をしたものであり、さらに前後両枠材側見付け面部6bには、先端縁部から前後方向内側に向けて枠材側折曲面部6dが折曲形成された構造になっている。
そして縦枠材6は、支柱本体5の左右両側(本体側見込み面部5dに対向する側)から前後の枠材側折曲面部6dの先端縁部間に形成される開口を本体側見付け面部5eに外嵌組み込みすることとになるが、本発明では、支柱本体5と縦枠材6とのあいだに前述したように補助枠材7が組込まれた構成になっており、これによって、後述するように縦支柱3の強度アップと防火性の向上が図られたものになっている。
因みに縦枠材6の上端縁部には、後述する支持部材10の固定片部10eを遊嵌するための切り欠き6gが形成されている。
【0012】
前記補助枠材7は、本実施の形態では平面視でコ字形をしたものであって、本体側見込み面部5dと凹溝部6cの溝底面部6eとのあいだに挟持状に組み込まれる補助枠側見込み面部7aを備えて構成されるが、該補助枠側見込み面部7aは、本体側見付け面部5eを越え(本体側見込み面部5dの前後端縁部を越え)て前後方向に延出し、該延出した前後の先端縁部が枠材側見付け面部6bに近接対向または当接するよう平板状(面一状)に形成されたものとなっている。そして該補助枠側見込み面部7aの前後方向先端縁部から枠材側見付け面部6bに沿う状態で左右方向外側に向けて折曲された補助枠側折曲面部7bが形成されたものとなっている。
尚、該補助枠材7についても、縦枠材6と同様、支持部材10の固定片部10eを遊嵌するための切り欠き7cが形成されている。
【0013】
そして前記支柱本体5、左右一対の縦枠材6、そして補助枠材7を用いて構成される縦支柱3は、天井レールがない独立した状態で床面Fと天井面Hとのあいだに立設されるものであり、そのため、床面Fと天井面Hにそれぞれ設けられる位置決め部材8、9と、天井面側位置決め部材9に支柱本体5を組み込むため用いられる支持部材10とが用いられたものとなるが、次にこれらについて説明する。
まず、各位置決め部材8、9は、コ字形をしたものであって、床面F、天井面Hにおける縦支柱3の立設位置に位置決めした状態で跨部を当接してビス8a、9aを介して固定される。
【0014】
これに対し支持部材10は、平面視でコ字形をした本体部10aと、該本体部10aの上半側部位に嵌入する状態で一体的に設けられていて本体部10aの開口の上半側を塞ぐ平面視で逆コ字形をした塞ぎ部10bとを備えて構成されたものであって、支柱本体5の上端縁部から上下方向位置調節自在に内嵌する設定になっている。そして前記本体部10aの跨片部10cは、上端縁部が前後両脚片部10dの上端縁部よりも上位に位置するよう設定されるが、該跨片部10cの上端縁部からは固定片部10eが左右方向外方に向けて折曲形成されている。
一方、塞ぎ部10bは、跨片部10fが本体部10aの開口側を塞くことで支持部材10の上半部を平面視で四角筒形状に構成し、さらに両脚片部10gが本体部10aの両脚片部10dに内嵌する状態で本体部10aの上半側部位に組み込みされるが、該組み込まれた塞ぎ部10bの上端縁部10hは、本体部脚片部10dに対して面一状となる状態で設けられており、この様に構成されることにより、該支持部材10は、上端縁部10hと固定片部10eとが面一状になるよう設定されている。
因みに支持部材10を支柱本体5の上端縁部に内嵌した場合、固定片部10eが支柱本体5の上端縁部に当接するまで自重降下する設定になっている。
【0015】
このように各部材が構成されたものにおいて、縦支柱3を室内空間の床面F、天井面Hとのあいだに独立した状態(天井レール、床レールがない状態)で立設するには、まず床面側、天井面側の位置決め部材8、9をそれぞれ床面F、天井面Hに位置決めした状態でビス8a、9aを介して該床面F、天井面Hに取り付け固定する。
しかる後、上端縁部から支持部材10を内嵌せしめた支柱本体5を起立させると共に、支柱本体5の下端縁部を、前記床面側位置決め部材8に外嵌組み込みをし、床面Fに当接せしめる。この場合に、支柱本体5は、天井面部Hと床面部Fとの間の寸法よりも短く、かつ支持部材10が自重降下していて上端縁部になる固定片部10eが本体側見込み面部5dに当接した低位に位置しているため、支柱本体5の起立組み込みに支障を来すことはない。
【0016】
このように支柱本体5の下端縁部を床面側位置決め部材8に組み込みをした後、該支柱本体5の上端縁部に内嵌した支持部材10を上動せしめて、前記支持部材10の上端縁部を天井側位置決め部材9に外嵌組み込みすることで、支柱本体5の上端縁部の天井面Hに対する位置決めがなされ、この状態で、固定片部10hを天井面Hにビス10iを介して固定する。
このようにすることで、支柱本体5は、上下両端縁部が天井面側、床面側の位置決め部材9、8を介して位置決めされた自立状態で立設される。因みにこのように立設される支柱本体5は、下端縁部がビス5fを介して床面側位置決め部材8に固定される。
【0017】
そして支柱本体5が前記位置決め状に立設された後、補助枠材7、縦枠材6を支柱本体5の左右両側に組み付けることで縦支柱3が形成されることになるが、それには、補助枠材7を、下端縁部が床面Fに当接する状態で見込み面部7aが支柱本体5の本体側見込み面部5dに当接するよう組み付けると共に、縦枠材6を、下端縁部が床面Fに当接する状態で凹溝部6cの溝底面部6eを補助枠材7の見込み面部7aに当接するよう組み付けた状態にし、この組み付け状態で凹溝部溝底面部6eから上下方向適間隔を存して螺入したビス5gを介して補助枠材7、縦枠材6を支柱本体5に固定することで縦支柱3の床面F、天井面H間に対する位置決めがなされた状態での組み付けがなされる。
【0018】
次に壁面Wに隣接する状態で組み付けられる縦支柱2の組み付け構造について説明する。この場合に縦支柱2は、前記縦支柱3に設けられた補助枠材7がないものとなっている。このものでは壁面Wに、平面視で匚字形をした壁レール14の跨片部14aがビス14bを介して取り付けられたものとなっており、そして支柱本体5は、該取り付けられた壁レール14の脚片部14cに内嵌する状態で、縦支柱3の場合と同様、床面側位置決め部材8、天井側位置決め部材9、支持部材10を介して床面F、天井面H間に位置決め取り付けがなされたものとなっており、該取り付けられた支柱本体5の壁面Wとは反対側の見込み面部5dに縦枠材6が同様にして組み付けられることで縦支柱2の組み付けがなされるよう設定されている。
因みに、壁レール14の脚片部14cは、支柱本体5よりも左右方向内側に延出する設定になっているが、これは間仕切り1を組み付けたときの組み付け誤差を吸収して支柱本体5が常に壁レール14内に納まるように配慮すると共に、火炎が縦支柱2内に入り込みにくい構成にしたことによる。
【0019】
そして該位置決め組み付けがなされた縦支柱2、3の縦枠材6における枠材側見込み面部6aの上下端縁部に、上下の横枠材11、12の左右端縁部が突き当てられた状態で、該上下の横枠材11、12がL字形をした連結金具13を介して縦枠材6に取り付けられると共に、縦枠材6に設けられた凹溝部6cと、上下横枠材11、12に設けられた凹溝部11a、12aにガラス板4を組み込むことで間仕切り1が形成されることになる。尚、13aは連結金具13を縦枠材6と上下横枠材11、12との各溝底部6c、11a、12aに固定するためのビスである。
尚、横枠材11、12は、溝底部11a、12aからビス11b、12bを適間隔を存して螺入することで天井面H、床面Lに固定される構成になっている。
【0020】
このように左右に間隙を存して立設された縦支柱2、3間にガラス板4が嵌め込まれることで間仕切り1が構成されるが、さらに縦支柱2、3には、火災時等の熱を受けて発泡することで体積膨張をして遮炎をする耐火熱膨張性を有した第一、第二の耐火材(遮炎材)15、16が設けられている。
第一耐火材15は、ガラス板4を嵌入する縦枠材6の横枠材11、12が突き当たるコーナー部位の凹溝部6cの溝側面部6fに設けられるものであって、該第一耐火材15は、横枠材11、12が突き当たる部位の縦枠材6とのあいだの隙間を通して火炎(煙も含む(火煙))が通過するのを防止するため、凹溝部6cによって形成される空間部S1のうち、横枠材11、12が設けられる部位をわずかに超えたもので充分であることから、溝側面部6fの上下端縁部から横枠材11、12が上下方向突き当たる部位までの短いものに設定されている。
【0021】
これに対し第二耐火材16は、火災が発生した側の火炎が縦枠材6の枠材側折曲面部6dの先端縁部と支柱本体5の本体側見付け面部5eとのあいだから縦枠材6内に侵入するのを防止するためのものであるため、縦支柱2、3の略全長に亘って設けられるものである。
そしてこの場合に、補助枠材7が設けられる縦支柱3については、縦枠材6の枠材側見付け面部6b、枠材側折曲面部6d、支柱本体5の本体側見付け面部5e、補助枠材7の補助枠側見込み面部7aによって四面が囲繞される空間S2に第二耐火材16が設けられるが、該第二耐火材16は、前記空間S2内において、膨張前のものが枠材側見付け面部6bに設けられたものとなっている。そして火災時の熱を受けて第二耐火材16が膨張した場合に、第二耐火材16は対向する本体側見付け面部5eに当接するよう膨張して空間S2内に充満し、これによって火炎の縦枠材6内への侵入防止を図ることができるように構成されている。
【0022】
一方、補助枠材7がない縦支柱2については、支柱本体5の本体側見付け面部5e、縦枠材6の枠材側見付け面部6b、枠材側折曲面部6dによって三面が囲繞される空間S2に第二耐火材16が設けられるものであって、支柱本体5の本体側見付け面部5eについては、壁レール14の脚片部14cをあいだに介する状態で空間S2を形成したものになっている。そして第二耐火材16は、枠材側見付け面部6bに設けられ、該第二耐火材16が火災時の熱を受けて膨張した場合に、対向する本体側見付け面部5e側に向けて膨張することになって壁レール14の脚片部14cに当接するよう膨張して空間S2内に充満し、これによって火煙の縦枠材6内への侵入防止を図ることができるように構成されている。
【0023】
叙述の如く構成された本実施の形態において、間仕切り1は、左右に隣接して設けられる縦支柱2、3と、該縦支柱間2、3に組み込まれる薄板状のガラス板4とを備えることで室内空間を前後に仕切るものであるが、この場合に縦支柱2、3は、支柱本体5と縦枠材6とを備えて構成されたものになっている。
そして支柱本体5としては、本体側見付け面部5eと本体側見込み面部5dとを備えて構成される一方、縦枠材6は、前記本体側の見付け面部5e、見込み面部5dに間隙を存する状態で外嵌する枠材側の見付け面部6b、見込み面部6aを備えたものとして構成され、枠材側見込み面部6aには、ガラス板4が内嵌組み込みされる凹溝部6cが形成された弓字形状をしたものとなっているが、前記縦支柱2、3のうち室内空間に独立して立設される縦支柱3については、本体側見込み面部5dと凹溝部6cの溝底面部6eとのあいだに補助枠材7が挟持状に組み込まれたものとなっている。そしてこの補助枠材7は、先端縁部が本体側見付け面部5eを越えて枠材側見付け面部6bに近接対向または当接するよう延出されていることで、支柱本体5と縦枠材3とのあいだの隙間は殆ど閉鎖された状態となっており、この結果、火災時において発生した火炎が支柱本体5と縦枠材3とのあいだの隙間から侵入することが妨げられることになって火炎の侵入を効果的に阻止でき、防火性が向上する。
【0024】
しかも本実施の形態の補助枠材7は、本体側見込み面部5dに沿う平板状態で枠材側見付け面部6b部位にまで至ったものが、該枠材側見付け面部6bに沿うよう折曲された補助枠側折曲面部7bを備えた構成になっているため、補助枠材7の先端縁部と枠材側見付け面部6bとのあいだの火炎侵入経路が、前記補助枠側折曲面部7bが設けられていることにより左右幅を存した狭隘なものになってより火炎の侵入阻止を図ることができ防火性の高いものになる。
しかもこの場合に補助枠側折曲面部7bは、枠材側見込み面部6a側に向けて折曲形成されることで、火炎の侵入経路の下流側に折曲したものとなる結果、消炎にも寄与できることになって火炎の高い侵入防止効果が発揮できることになって更なる防火性の向上に寄与できることになる。
【0025】
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されないことは勿論であって、補助枠材7を、補助枠側折曲面部7bが設けられたものとした場合に、
図17(A)に示す第二の実施の形態のように、補助枠側折曲面部7bを、前記第一の実施の形態のものとは逆に、枠材側折曲面部6d側に折曲したものとし、その折曲先端縁部を、枠材側見付け面部6bと枠材側折曲面部6dとのコーナー部近傍にまで至らしめたものとすることもでき、この様に構成することで高い防火性を発揮できることになる。そしてこのものについても前記実施の形態のものと同様、第一、第二の耐火材15、16が設けられているが、第二耐火材16については補助枠側折曲面部7bに設けられたものとなっている。
【0026】
さらに補助枠材7としては、
図17(B)に示す第三の実施の形態のように、補助枠側見込み面部7aを、本体側見込み面部5dの先端縁部部位から本体側見付け面部5eに沿う状態で折曲した見付け折曲面部7dと、該見付け折曲面部7dの先端縁部から枠材側見付け面部6bに向けて折曲した見込み折曲面部7eとを備えたものとし、そして該見込み折曲面部7eの先端縁部を、枠材側見付け面部に近接対向または当接する構成にしたものであって、この様に構成することにより、該補助部材7における見込み折曲面部7eの先端縁部が枠材側見付け面部6bに近接対向または当接することによる前記防火性の効果に加えて、見付け折曲面部7dが本体側見付け面部5eに沿うことにより火炎の侵入経路が狭められることによる防火性効果も発揮できるものとなってより高い防火性を発揮できることになる。
そしてこのものについても第一、第二の耐火材15、16が設けられているが、第二耐火材16については見付け折曲面部7dに設けられたものとなっている。
しかもこのものでは、補助枠材の見込み折曲面部7eが縦枠材6に設けられる枠材側折曲面部6dに沿う状態となっているため、ここにおいても火炎の侵入経路が狭められることによる防火性効果も発揮できるものとなってより高い防火性を発揮できることになる。
因みにこのものにおいて、第二耐火材16を前記実施の形態と同様、枠材側見付け面部6bに設けたものとすることができ、さらには両者に設けたものとしてもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、左右に隣接する縦支柱間にガラス板等の薄板状の仕切り板を嵌め込んで構成した間仕切りとして利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 間仕切り
2 縦支柱
3 縦支柱
4 ガラス板
5 支柱本体
5d 本体側見込み面部
5e 本体側見付け面部
6 縦枠材
6a 枠材側見込み面部
6b 枠材側見付け面部
6c 凹溝部
6d 枠材側折曲面部
6e 溝底面部
7 補助枠材
7b 補助枠側折曲面部
7d 見付け折曲面部
7e 見込み折曲面部
9 天井面側位置決め部材
10 支持部材
10e 固定片部