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特許7597574時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/071 20130101AFI20241203BHJP
【FI】
H04B10/071
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020216708
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2021103877
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】201911358654.0
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520512904
【氏名又は名称】中国▲電▼子科技集▲団▼公司第三十四研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユエ ヤオリー
(72)【発明者】
【氏名】タン チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ハァン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ポァンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】トォン ヂァンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フゥ イー
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110492927(CN,A)
【文献】国際公開第2016/021689(WO,A1)
【文献】特開2016-161512(JP,A)
【文献】特表2019-525181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/071
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムであって、中継海底光ファイバケーブルの振動を監視し、検出光源、中継増幅器、ダウンリンク伝送光ファイバ、光ファイバ干渉計、アップリンク伝送光ファイバ、及び復調装置を備え、前記検出光源は、検出光信号を出力し、前記中継海底光ファイバケーブルの前記ダウンリンク伝送光ファイバに接続され、2つの隣接したダウンリンク中継増幅器間の光ファイバ長は100km以下であり、それは中継セクションと称され、中継セクションの前記ダウンリンク伝送光ファイバにおいて、まずダウンリンク中継増幅器が接続され、それから前記光ファイバ干渉計が接続され、その後にこのセクションの前記ダウンリンク伝送光ファイバ接続され
各中継セクションはフィルタ及び光ファイバカプラをさらに備え、前記フィルタの透過波長は前記検出光信号の中心波長と一致し、
前記検出光源は狭線幅周波数変調パルス光源であり、前記検出光信号の周波数変調パルス幅は1つの中継セクションの前記中継海底光ファイバケーブルに対する往復遅延時間のn倍であり、nは2から8までの範囲に及ぶ整数であり、周波数変調パルス周期は前記中継海底光ファイバケーブルの全長に対する往復遅延時間を上回り、
各中継セクションのアップリンク伝送光ファイバは少なくともn個のアップリンク光ファイバを含み、前記検出光源によって出力された前記検出光信号は特定の中継セクションの光ファイバ干渉計に入った後に2つのビームに分岐され、一方のビームはこのセクションのダウンリンク伝送光ファイバに沿ってダウンリンクで伝送され、他方のビームは局部光信号として使用され、この中継セクションのダウンリンク伝送光ファイバで生成された後方レイリー散乱信号は、前記光ファイバ干渉計内で前記局部光信号と干渉し、この中継セクションの前記中継海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号を生成し、この中継セクションの前記光ファイバ干渉計によって出力された前記振動監視信号はこの中継セクションの前記フィルタに入力され、前記フィルタは前記振動監視信号のみを伝送し、前記フィルタの出力端は、この中継セクションの前記光ファイバカプラを介して前記アップリンク伝送光ファイバの1つに、その後に前記アップリンク伝送光ファイバに接続されたアップリンク中継増幅器に接続され、n個の連続した中継セクションの振動監視信号は第1から第nのアップリンク伝送光ファイバを通って順番に返され、次のn個の連続した中継セクションの振動監視信号もさらに第1から第nのアップリンク光ファイバを通って順番に返され、前記アップリンク伝送光ファイバを経由して返された各中継セクションに対する前記振動監視信号は、それぞれ、アップリンクのサンプリング装置のn個のサンプリングチャネルを経由してデジタルサンプリングされ、その後に復調装置に伝送され、前記サンプリング装置は光電変換モジュール及びアナログデジタル変換モジュールを備え、前記サンプリング装置において、光信号は、光電変換によって電気信号に、それからアナログデジタル変換によってデジタル信号に変換され、前記復調装置は、各中継セクションに対する前記振動監視信号を区別し、データを分析及び復調し、各中継セクションの前記中継海底光ファイバケーブルの安全状態を早期に警告し、
第1から第nの中継セクションのフィルタは、各セクションに対して結果として生じる前記振動監視信号を伝送し、1つのセクションの前記フィルタはこのセクションの1×2光ファイバカプラに接続され、第Xの中継セクションの前記1×2光ファイバカプラはビーム結合のために第Yのアップリンク光ファイバに接続され、Y=Xmod n、つまり、YはXをnで割ることによって得られた余りであり、Y≠0であり、Xがnで割り切れる場合、Y=nであることを特徴とする、時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システム。
【請求項2】
n=2であり、前記検出光信号の周波数変調パルス幅は1つの中継セクションの前記中継海底光ファイバケーブルに対する前記往復遅延時間の2倍であり、前記アップリンク伝送光ファイバは少なくとも2つのアップリンク光ファイバを含み、1つの中継セクションの前記フィルタはこの中継セクションの1×2光ファイバカプラに接続され、前記1×2光ファイバカプラは、ビーム結合のために、1つの中継セクションだけこの中継セクションから離れた中継セクションのフィルタに接続されたアップリンク光ファイバに接続されることを特徴とする、
請求項1に記載の時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システム。
【請求項3】
前記検出光源のパルス幅は1つの中継セクションに対する前記往復遅延時間のn倍を下回り、前記パルス幅と前記中継セクションに対する1つの往復遅延時間のn倍との差は20ナノ秒から1マイクロ秒までの範囲に及ぶことを特徴とする、
請求項1に記載の時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システム。
【請求項4】
第1の中継セクションにおける、前記ダウンリンク中継増幅器、前記光ファイバ干渉計、前記フィルタ、前記光ファイバカプラ、及び前記アップリンク中継増幅器、並びに、前記検出光源、前記サンプリング装置、前記復調装置は、陸地に配置されたローカル装置であることを特徴とする、
請求項1から3の何れかに記載の時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システム。
【請求項5】
前記光ファイバ干渉計は、MZ光ファイバ干渉計であり、(5/95)~(50/50)の分岐比を有する光ファイバスプリッタ、光ファイバサーキュレータ、及び3dB光ファイバカプラを備え、前記光ファイバスプリッタにおいて、前記検出光信号は2つの経路に分岐され、大きな分岐割合を有する検出光信号は、前記光ファイバサーキュレータの第1ポートに入力され、それから前記光ファイバサーキュレータの第2ポートから出力され、その後に前記ダウンリンク伝送光ファイバに入力されてダウンリンク伝送を続け、小さな分岐割合を有する検出光信号は局部光信号として前記3dB光ファイバカプラに入力され、前記ダウンリンク伝送光ファイバで生成された前記後方レイリー散乱信号は、前記光ファイバサーキュレータの前記第2ポートを通って前記光ファイバサーキュレータに返され、それから前記光ファイバサーキュレータの第3ポートを通って前記3dB光ファイバカプラに入力されて前記局部光信号と干渉し、前記3dB光ファイバカプラはこの中継セクションのダウンリンク伝送光ファイバに対する前記振動監視信号を出力することを特徴とする、
請求項1から3の何れかに記載の時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システム。
【請求項6】
前記MZ光ファイバ干渉計において、前記光ファイバスプリッタから前記3dB光ファイバカプラに向かう局部発振器光のための干渉アームで、前記光ファイバスプリッタは前記3dB光ファイバカプラに接続される前にデポラライザに接続され、前記光ファイバサーキュレータから前記3dB光ファイバカプラに向かう後方レイリー散乱信号のための干渉アームで、前記光ファイバサーキュレータは前記3dB光ファイバカプラに接続される前にデポラライザに接続されることを特徴とする、
請求項5に記載の時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システム。
【請求項7】
前記中継海底光ファイバケーブル振動監視システムは分岐海底光ファイバケーブルのための振動監視分岐部を付加され、特定の中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルは分岐海底光ファイバケーブルに接続され、それに応じて、前記アップリンク伝送光ファイバは前記分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号の伝送のための1つ又は2つのアップリンク光ファイバを付加され、前記ダウンリンク伝送光ファイバのための1×2光ファイバスプリッタにおいて、前記検出光信号は2つの経路に分岐され、一方の経路において、前記検出光信号は、前記ダウンリンク伝送光ファイバに沿ってダウンリンク伝送を続け、この中継セクションの前記光ファイバ干渉計に入り、他方の経路において、前記検出光信号は、分岐海底ケーブル光ファイバ干渉計に入り、それから前記分岐海底光ファイバケーブルに沿ってダウンリンクで連続的に伝送され、前記分岐海底光ファイバケーブルで生成された後方レイリー散乱信号は、前記分岐海底ケーブル光ファイバ干渉計内で、その局部光信号と干渉し、前記分岐海底光ファイバケーブルに対する前記振動監視信号が得られ、前記分岐海底光ファイバケーブルに対する前記振動監視信号は、分岐ケーブルフィルタを経由して伝送及びフィルタリングされ、それから前記基幹海底光ファイバケーブルの1×2光ファイバカプラを通って分岐海底光ファイバケーブルに対する前記振動監視信号を伝送するためのアップリンク光ファイバに入力され、それから陸地に配置された前記サンプリング装置にアップリンクで伝送され、その後に前記復調装置に入力されることを特徴とする、
請求項1から3の何れかに記載の時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システム。
【請求項8】
前記基幹海底光ファイバケーブルはN個の分岐装置に接続され、Nは前記中継海底光ファイバケーブル振動監視システムの中継セクションの総数を下回り、各分岐装置を接続するための分岐海底光ファイバケーブルの長さが前記中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さ以下であり、かつ2つの隣接した分岐装置間の距離が前記中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さの2倍を上回る場合、1つのアップリンク光ファイバを付加し、時分割多重方式によって各分岐海底光ファイバケーブルに対する前記振動監視信号を伝送することだけが必要であり、各分岐装置を接続するための分岐海底光ファイバケーブルの長さが前記中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さ以下であり、かつ、2つの隣接した分岐装置間の距離が、前記中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さを上回り、前記中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さの2倍を下回る場合、2つのアップリンク光ファイバを付加し、空間分割多重と時分割多重を組み合わせた方式によって各分岐海底光ファイバケーブルに対する前記振動監視信号を伝送することだけが必要であることを特徴とする、
請求項7に記載の時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分布型光ファイバセンシングシステム、特に時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムに関する。それは、アップリンク伝送振動監視信号の時分割及び空間分割多重化を組合せ、長区間の物理的セキュリティ監視及び陸上設備による検出に使用される。
【背景技術】
【0002】
海底光ファイバケーブルは、海底に配置された通信伝送ケーブルであり、インターネット及び他の水中光ネットワークの重要な部分をなす。しかし、海底光ファイバケーブルは、容易に損傷し、地震、船舶の錨、及び漁網のようなものによって、又は人によってさえ損傷することがある。現在、電気中継海底光ファイバケーブルにおいて、各光ファイバセクションは、このセクションに亘る光信号伝送減衰を補うために、そして光信号を元のパワーレベルに増幅するために中継増幅器に接続されている。この型の電気中継海底光ファイバケーブルでは、一般にCOTDR(コヒーレント光時間領域反射率計)を使用し、光ファイバリンクの健全性検出を行う。COTDRは、光ファイバリンク全体に亘って各増幅器の信号利得を監視し、光ファイバケーブルの破断の有無、破断位置等を見つける機能を果たす。
【0003】
しかし、COTDRは、Φ-OTDRと類似の光ファイバケーブル振動監視機能を実現できないので、妨害行為のリアルタイムでの警告、従って妨害行為を停止させるための技術的な保証を提供しないだろう。
【0004】
陸上で使用されている現在の光ファイバケーブル振動監視技術は約100kmの最大監視範囲に対応できるだけであり、ダブルエンド検出は200kmに到達できるだけであり、海底光ファイバケーブルのための中継増幅器の向こう側に及ぶことができず、極端に長い監視範囲に応じた電気中継海底光ファイバケーブルの要件を満たすことができない。
【0005】
光周波数領域反射率計OFDRは、1990年代に徐々に開発され、高分解能の光ファイバ測定技術を利用している。一般に使用されている光時間領域反射率計OTDRは、時間領域パルス信号を伝送し、パルス移動時間を検出し、パルス移動時間とターゲット距離間の比例関係を利用することで光ファイバ診断測定を行う。OTDRと違って、OFDRは、連続的に周波数変調されたレーザ信号を伝送し、ターゲットでの反射光と局部発振器光間のビート周波数を検出し、ビート周波数とターゲット距離間の比例関係を利用することで光ファイバ診断測定を行う。OFDRはOTDRより高い感度及び高い分解能を有する。しかし、OFDRにおいて、周波数変調光源技術は困難で高くつき、振動信号の位相復調も困難である。現在、海底光ファイバケーブル振動監視におけるOFDRの利用に関する報告はない。
【0006】
現在開発されている水中サンプリングに基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムはOFDR技術を採用している。陸地に配置された光源によって出力された検出光信号は中継器を通ってダウンリンクで伝送され、海底光ファイバケーブルの振動はセグメント化されて検出され、各セクションはデジタルサンプリングバックホールを使用する。このようにして、1000kmを上回る長区間を有する電気中継海底光ファイバケーブルの振動監視が実現される。OTDR延長技術に比べて、周波数変調連続波技術を使用した水中サンプリングのための中継海底光ファイバケーブル振動監視システムは、光信号増幅に関して、高い平均パワー、高い信号対雑音比を有し、中継器を経由した長距離検出に適している。しかし、デジタルサンプリングバックホールを使用すると、海底中継増幅器又は水中ノードにアクティブモジュールを付加しなければならず、海底中継器又は水中ノードの信頼性が低下する。
【0007】
現在開発されている陸上設備による検出に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムは、多波長周波数変調パルス光源を使用し、ダウンリンク検出光信号を生成し、振動監視のためのアナログ光信号を直接に返す。隣接したセクションでは、振動監視信号の時分割多重化を行うだけでなく、振動監視信号の波長を交互に選択することでアップリンク伝送を行う。この技術によって、単一のファイバを多重化できないことだけでなく、各セクションの振動監視光信号に対するビートスペクトル及び光波長の重なりという問題が回避される。この技術では、DWDM方式で海底ケーブル中継区間振動監視を実現するために、一対の光ファイバの数個の光波長チャネルのみが占有される。しかし、それは多波長周波数変調パルス光源を構成及び使用しなければならないため、海底光ファイバケーブル振動監視装置のための費用が高くつくという問題がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムを提供することにある。時分割多重化及び空間分割多重化に基づく電気中継海底光ファイバケーブル振動監視システムはOFDR技術を採用している。検出光源は、周波数変調パルス光信号を出力し、ダウンリンク伝送光ファイバに接続される。各中継セクションのダウンリンク伝送光ファイバは、ダウンリンク中継増幅器に、それから光ファイバ干渉計に、その後にダウンリンク伝送光ファイバを介して次のセクションのダウンリンク中継増幅器に接続される。検出光信号は各中継セクションのダウンリンク伝送光ファイバで後方レイリー散乱信号を生成し、後方レイリー散乱信号は、光ファイバ干渉計で局部光信号と干渉し、この中継セクションの海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号を生成する。振動監視信号は、この中継セクションのフィルタに入力され、それからこの中継セクションの光ファイバカプラを通ってアップリンク伝送光ファイバの1つに入り、その後にこのセクションのこのアップリンク伝送光ファイバに接続されたアップリンク中継増幅器に入り、最終的にアップリンク光ファイバを通って復調装置に返される。周波数変調レーザパルス幅は中継セクションの海底ケーブルに対する往復遅延時間のn倍である。アップリンク伝送光ファイバは少なくともn個のアップリンク光ファイバを含み、各中継セクションの海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号はn個のアップリンク光ファイバにおける空間分割多重化を用いて返される。アップリンク光ファイバ及びパルス立ち上がりエッジ時間の違いによって、復調装置は各セクションに対する振動監視信号を区別し、データを分析及び復調し、各中継セクションの海底光ファイバケーブルの安全状態を早期に警告する。本発明は、海底光ファイバケーブル振動のセグメント化された検出を実現し、時分割及び時空分割多重化によって陸地に配置された復調装置に振動監視信号を直接に返し、従って1000kmを上回る海底光ファイバケーブルのセグメント化された振動監視及び測位を達成する。
【0009】
本発明は、時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムを提供する。当該システムは、検出光源、中継増幅器、ダウンリンク伝送光ファイバ、光ファイバ干渉計、アップリンク伝送光ファイバ、及び復調装置を備え、検出光源は、検出光信号を出力し、海底光ファイバケーブルのダウンリンク伝送光ファイバに接続され、各セクションのダウンリンク伝送光ファイバは、まず、長距離伝送を確実にするために、検出光源でのパワーレベルに検出光信号を増幅するダウンリンク中継増幅器に接続され、ダウンリンク中継増幅器は、それから光ファイバ干渉計に、その後に次に来るセクションのダウンリンク伝送光ファイバに接続され、2つの隣接したダウンリンク中継増幅器間の光ファイバ長は100km以下であり、それは中継セクションと称され、このシステムの各中継セクションはフィルタ及び光ファイバカプラをさらに備え、フィルタの透過波長は検出光信号の中心波長と一致し、検出光源は狭線幅周波数変調パルス光源であり、検出光信号の周波数変調パルス幅は1つの中継セクションの海底光ファイバケーブルに対する往復遅延時間のn倍であり、nは2から8までの範囲に及ぶ整数であり、周波数変調パルス周期は監視される中継海底光ファイバケーブルの全長に対する往復遅延時間を上回り、各中継セクションのアップリンク伝送光ファイバは少なくともn個のアップリンク光ファイバを含み、検出光源によって出力された検出光信号は特定の中継セクションの光ファイバ干渉計に入った後に2つのビームに分岐され、一方のビームはこのセクションのダウンリンク伝送光ファイバに沿ってダウンリンクで伝送され、他方のビームは局部光信号として使用され、この中継セクションのダウンリンク伝送光ファイバで生成された後方レイリー散乱信号は、光ファイバ干渉計内で局部光信号と干渉し、この中継セクションの海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号を生成し、この中継セクションの光ファイバ干渉計によって出力された振動監視信号はこの中継セクションのフィルタに入力され、フィルタは振動監視信号のみを伝送し、フィルタの出力端は、この中継セクションの光ファイバカプラを介してアップリンク伝送光ファイバの1つに、その後にアップリンク光ファイバに接続されたアップリンク中継増幅器に接続される。n個の連続した中継セクションの振動監視信号は第1から第nのアップリンク伝送光ファイバを通って順番に返され、次のn個の連続した中継セクションの振動監視信号もさらに第1から第nのアップリンク光ファイバを通って順番に返され、同じアップリンク伝送光ファイバ内の隣接した振動監視信号の時間領域における重なりが回避される。アップリンク伝送光ファイバを経由して返された各中継セクションに対する振動監視信号は、それぞれ、アップリンクのサンプリング装置のn個のサンプリングチャネルを経由してデジタルサンプリングされ、その後に復調装置に伝送され、サンプリング装置は光電変換モジュール及びアナログデジタル変換モジュールを備え、当該サンプリング装置において、光信号は、光電変換によって電気信号に、それからアナログデジタル変換によってデジタル信号に変換される。復調装置は、各中継セクションの振動監視信号を区別し、データを分析及び復調し、各中継セクションの海底光ファイバケーブルの安全状態を早期に警告する。
【0010】
各中継セクションのダウンリンク伝送光ファイバの各点における後方レイリー散乱信号のコヒーレントヘテロダイン積分時間はその点の各光ファイバ干渉計までの距離に反比例する。従って、距離が長いほどコヒーレントヘテロダイン積分時間が短くなり、それは中継セクション内の光ファイバ干渉計から離れた光ファイバの振動検出に不利となる。このため、本発明は、時分割多重化と空間分割多重化を組み合わせる解決策を採用する。
【0011】
特定の中継セクションのダウンリンク伝送光ファイバ内の検出光信号によって生成された後方レイリー散乱信号は局部光信号と干渉する。検出光信号のパルス立ち上がりエッジが光ファイバ干渉計に入り、振動監視光信号が出力される。検出光信号のパルス立ち下がりエッジが光ファイバ干渉計に入る状況は、局部光信号がもはや存在しない状況に相当する。このため、干渉によって生成された振動監視信号は、検出光源から出力された検出光信号のパルス幅と同じパルス幅を有するパルス信号である。そのパルス幅は1つの中継セクションの海底光ファイバケーブルに対する往復遅延時間を上回るので、特定の中継セクションの海底光ファイバケーブルの最も遠い部分における後方レイリー散乱信号もコヒーレントに受信され得ることが保証される。
【0012】
アップリンク伝送光ファイバは少なくともn個のアップリンク光ファイバを含み、海底光ファイバケーブルに対する振動検出信号のアップリンク伝送に関係するn個のアップリンク光ファイバがあり、nは、1つの中継セクションの海底光ファイバケーブルの往復遅延時間で検出光信号のパルス幅を割ったときの商の倍数である。第1から第nの中継セクションのフィルタは、各セクションに対して結果として生じる振動監視信号を伝送し、1つのセクションのフィルタはこのセクションの1×2光ファイバカプラに接続され、第Xの中継セクションの1×2光ファイバカプラはビーム結合のために第Yのアップリンク光ファイバに接続され、Y=Xmod n、つまり、YはXをnで割ることによって得られた余りであり、Y≠0であり、Xがnで割り切れる場合、Y=nである。同じアップリンク光ファイバ内の異なる中継セクションに対する振動監視信号は、中継セクションの位置の違いのため、異なるパルス遅延時間を有する。隣接した中継セクションに対する振動監視信号パルスの立ち上がりエッジ間には、1つの中継セクションに対する往復遅延時間差がある。本発明において、第1から第nの中継セクションに対する振動監視パルス信号は第1から第nのアップリンク伝送光ファイバで伝送され、これにより、振動監視信号が同じ波長を有し、かつパルス幅が隣接した中継セクションに対するパルス遅延時間差を上回るという条件の下で、振動監視パルス信号の時間領域における重なりが回避される。つまり、各中継セクションに対する振動監視信号は空間分割及び時分割多重によってn個のアップリンク光ファイバにおいて多重化される。アップリンク光ファイバ及びパルス立ち上がり時間の違いによって、復調装置は異なる中継セクションに対する振動監視信号を区別する。
【0013】
第1の中継セクションにおける、ダウンリンク中継増幅器、光ファイバ干渉計、フィルタ、光ファイバカプラ、及びアップリンク中継増幅器、並びに、検出光源、サンプリング装置、復調装置は、陸地に配置されたローカル装置である。
【0014】
最適解はn=2であり、検出光信号の周波数変調パルス幅は1つの中継セクションの海底光ファイバケーブルに対する往復遅延時間の2倍であり、アップリンク伝送光ファイバは少なくとも2つのアップリンク光ファイバを含み、1つのセクションのフィルタはこのセクションの1×2光ファイバカプラに接続され、1×2光ファイバカプラは、ビーム結合のために、1つの中継セクションだけこの中継セクションから離れた中継セクションのフィルタに接続されたアップリンク光ファイバに接続される。
【0015】
検出光源のパルス幅は中継セクションに対する往復遅延時間のn倍をわずかに下回り、パルス幅と中継セクションに対する往復遅延時間のn倍との差は20ナノ秒から1マイクロ秒までの範囲に及ぶ。従って、隣接した中継セクションに対する検出光信号パルス間に一定の時間の隔たりが保たれ、それにより、隣接した中継セクションに対する振動監視信号パルスの重なりが回避され、異なる中継セクションに対する振動監視信号の区別が容易になる。
【0016】
光ファイバ干渉計は、MZ光ファイバ干渉計(マッハツェンダー光ファイバ干渉計)であり、(5/95)~(50/50)の分岐比を有する光ファイバスプリッタ、光ファイバサーキュレータ、及び3dB光ファイバカプラを備え、光ファイバスプリッタにおいて、検出光信号は2つの経路に分岐され、大きな分岐割合を有する検出光信号は、光ファイバサーキュレータの第1ポートに入力され、それから光ファイバサーキュレータの第2ポートから出力され、その後にダウンリンク伝送光ファイバに入力されてダウンリンク伝送を続け、小さな分岐割合を有する検出光信号は局部光信号として3dB光ファイバカプラに入力され、ダウンリンク伝送光ファイバで生成された後方レイリー信号は、光ファイバサーキュレータの第2ポートを通って光ファイバサーキュレータに返され、それから光ファイバサーキュレータの第3ポートを通って3dB光ファイバカプラに入力されて局部光信号と干渉し、3dB光ファイバカプラはこの中継セクションのダウンリンク伝送光ファイバに対する海底光ファイバケーブル振動監視信号を出力する。
【0017】
MZ光ファイバ干渉計において、光ファイバスプリッタから3dB光ファイバカプラに向かう局部発振器光のための干渉アームで、光ファイバスプリッタは3dB光ファイバカプラに接続される前にデポラライザに接続され、光ファイバサーキュレータから3dB光ファイバカプラに向かう後方レイリー散乱信号のための干渉アームで、光ファイバサーキュレータは3dB光ファイバカプラに接続される前にデポラライザに接続される。従って、偏光変調の影響が低減され、コヒーレンス特性が向上する。
【0018】
このシステムは分岐海底光ファイバケーブルのための振動監視分岐部を付加され、特定の中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルは分岐海底光ファイバケーブルに接続され、それに応じて、アップリンク伝送光ファイバは分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号の伝送のための1つ又は2つのアップリンク光ファイバを付加され、ダウンリンク伝送光ファイバのための1×2光ファイバスプリッタにおいて、検出光信号は2つの経路に分岐され、一方の経路において、検出光信号は、ダウンリンク伝送光ファイバに沿ってダウンリンク伝送を続け、この中継セクションの光ファイバ干渉計に入り、他方の経路において、検出光信号は、分岐海底ケーブル光ファイバ干渉計に入り、それから分岐海底光ファイバケーブルに沿ってダウンリンクで連続的に伝送され、分岐海底光ファイバケーブルで生成された後方レイリー散乱信号は、分岐海底ケーブル光ファイバ干渉計内で、その局部光信号と干渉し、分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号が得られ、分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号は、分岐ケーブルフィルタを経由して伝送及びフィルタリングされ、それから基幹海底光ファイバケーブルの1×2光ファイバカプラを通って分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号を伝送するためのアップリンク光ファイバに入力され、それから陸地に配置されたサンプリング装置にアップリンクで伝送され、その後に復調装置に入力される。
【0019】
基幹海底光ファイバケーブルはN個の分岐装置に接続され、Nはシステムの中継セクションの総数を下回り、各分岐装置を接続するための分岐海底光ファイバケーブルの長さが中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さ以下であり、かつ2つの隣接した分岐装置間の距離が中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さの2倍を上回る場合、1つのアップリンク光ファイバを付加し、時分割多重方式によって各分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号を伝送することだけが必要であり、各分岐装置を接続するための分岐海底光ファイバケーブルの長さが中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さ以下であり、かつ、2つの隣接した分岐装置間の距離が、中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さを上回り、中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さの2倍を下回る場合、2つのアップリンク光ファイバを付加し、空間分割多重と時分割多重を組み合わせた方式によって各分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号を伝送することだけが必要である。従って、2つの隣接した分岐装置の分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号パルスの重なりが回避されるだろう。
【0020】
先行技術と比較して、本発明による時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムは次の利点を有する。(i)それは、海底光ファイバケーブル振動監視システムが各セクションの海底光ファイバケーブルの中継器を通過できないという問題を扱い、海底光ファイバケーブル振動監視システムの検出距離を100km以内から数千kmまで増加させ、それにより、長区間海底光ファイバケーブルで要求されるような物理的な安全性のリアルタイム監視要件が満たされ、(ii)本監視システムは全経路に対する水中光信号伝送を行うので、デジタルサンプリングモジュールの必要性はなく、海底アクティブデバイスを増やす必要はなく、(iii)検出光源は1つの波長のみを使用し、それにより装置の費用が削減され、(iv)ダウンリンク周波数変調パルス信号は、ダウンリンク光ファイバの1つのチャネルのみを占有し、他のデジタル通信サービス信号と共に波長分割多重化され得、アップリンク海底ケーブル監視信号は、n個のアップリンク光ファイバのそれぞれの1つのチャネルのみを占有し、他のデジタル通信サービス信号と共に波長分割多重化され得、(v)それは、海底光ファイバケーブルの分岐海底光ファイバケーブルの振動監視に対応し、基幹ケーブルの振動監視及びその分岐海底光ファイバケーブルの振動監視の両方を実現し、(vi)OFDR技術に基づく本発明の解決策は、COTDR装置に完全に取って代わることができるだけでなく、振動のリアルタイム監視及び測位、並びに海底ケーブルの故障点の測位を実現でき、その装置における単位時間毎のコヒーレント積分時間はCOTDRコヒーレント積分時間の1000倍を上回り、数秒内でコヒーレント信号のサンプリング及び信号処理を完了でき、従って、COTDRの10分程度の応答速度と比較して、この装置はその応答速度及び応答感度を大幅に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の実施形態による時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムの構成模式図である。
図2】第1の実施形態による時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムの時間領域における狭線幅振動監視パルスの構成模式図である。
図3】第1の実施形態による時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムのMZ光ファイバ干渉計の構成模式図である。
図4】第2の実施形態による時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムの構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムの第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムの構成模式図を示す。検出光源によって出力された検出光信号は、海底光ファイバケーブルのダウンリンク伝送光ファイバに入力される。各セクションのダウンリンク伝送光ファイバは、まずダウンリンク中継増幅器に、それから光ファイバ干渉計に、その後に次に来るセクションのダウンリンク伝送光ファイバに接続される。この実施形態において、2つの隣接したダウンリンク中継増幅器間のダウンリンク伝送光ファイバの長さは100kmであり、それは中継セクションと称される。この実施形態における検出光源は狭線幅周波数変調パルス光源である。検出光信号の周波数変調パルス幅は1つの中継セクションの海底光ファイバケーブルに対する往復遅延時間の2倍であり、その周波数変調パルス周期は監視される中継海底光ファイバケーブルの全長に対する往復遅延時間を上回る。
【0023】
この実施形態において、各中継セクションのアップリンク伝送光ファイバは、各中継セクションに対する振動監視信号の伝送に関与する2つのアップリンク光ファイバを含む。
【0024】
図1はこの実施形態における中継セクションI及び中継セクションIIの構成模式図を示す。検出光源は、検出光信号を出力し、中継セクションIのダウンリンク中継増幅器I(即ちダウンリンクEDFAI)に、それから光ファイバ干渉計Iに、その後にセクションIのダウンリンク伝送光ファイバに接続される。検出光信号は中継セクションIのダウンリンク伝送光ファイバで後方レイリー散乱信号を生成し、後方レイリー散乱信号は、光ファイバ干渉計I内で局部光信号と干渉し、中継セクションIの海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号を生成する。光ファイバ干渉計Iによって出力された振動監視信号は中継セクションIのフィルタIに入力される。フィルタIは、セクションIの海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号を伝送する。振動監視信号は、この中継セクションIの光ファイバカプラIを通ってアップリンク伝送光ファイバIのアップリンク光ファイバaのアップリンクEDFAIaに入り、それからアップリンク光ファイバaを通ってサンプリング装置のサンプリングチャネルに返され、最終的にデジタルサンプリングされて復調装置に出力される。中継セクションIIの光ファイバ干渉計IIの構成は中継セクションIの光ファイバ干渉計Iのものと同様である。光ファイバ干渉計IIによって出力された振動監視信号は中継セクションIIのフィルタIIに入力される。フィルタIIによって伝送された振動監視信号は、中継セクションIIの光ファイバカプラIIを通ってアップリンク光ファイバIIbのアップリンクEDFAIIbに入り、そしてアップリンク光ファイバbからサンプリング装置のサンプリングチャネルbに返され、最終的にデジタルサンプリングされて復調装置に出力される。一方のアップリンク伝送光ファイバaは、I、III、V、VIIなどの中継セクションに対する振動監視信号を伝送し、他方のアップリンク光ファイバbは、II、IV、VI、VIIIなどの中継セクションに対する振動監視信号を伝送する。アップリンク光ファイバ及び信号パルス立ち上がりエッジ時間の違いによって、復調装置は異なる中継セクションに対する振動監視信号を区別する。図2は、この実施形態における2つのアップリンク光ファイバで伝送される振動監視信号パルスの時間領域における構成模式図を示す。
【0025】
この実施形態において、I、III、V、VIIなどの中継セクションに対する振動監視信号はアップリンク光ファイバaに結び付けられ、II、IV、VI、VIIIなどの中継セクションの振動監視信号はアップリンク光ファイバbに結び付けられる。
【0026】
この実施形態において、検出光信号のパルス幅は、中継セクションの海底光ファイバケーブルに対する往復遅延時間の2倍をわずかに下回り、即ち2ms~0.5μsである。
【0027】
この実施形態において、図3に示されるように、光ファイバ干渉計は、MZ干渉計であり、90:10の分岐比を有する光ファイバスプリッタ、光ファイバサーキュレータ、及び3dB光ファイバカプラを含む。光ファイバスプリッタにおいて、検出光信号は2つの経路に分岐される。大きな分岐割合を有する一方の検出光信号は、光ファイバサーキュレータの第1ポート(1)に入力され、それから光ファイバサーキュレータの第2ポート(2)から出力され、その後にダウンリンク伝送光ファイバに入力されてダウンリンク伝送を続け、小さな分岐割合を有する他方の検出光信号は局部光信号として3dB光ファイバカプラに入力される。ダウンリンク伝送光ファイバで生成された後方レイリー信号は、光ファイバサーキュレータの第2ポート(2)から光ファイバサーキュレータに返され、光ファイバサーキュレータの第3ポート(3)を通って3dB光ファイバカプラに入力される。3dB光ファイバカプラにおいて、後方レイリー信号は局部光信号と干渉する。3dB光ファイバカプラはこの中継セクションのダウンリンク伝送光ファイバに対する海底光ファイバケーブル振動監視信号を出力する。
【0028】
この実施形態のMZ光ファイバ干渉計において、光ファイバスプリッタから3dB光ファイバカプラに向かう局部発振器光のための干渉アームで、光ファイバスプリッタは3dB光ファイバカプラに接続される前にデポラライザに接続され、光ファイバサーキュレータから3dB光ファイバカプラに向かう後方レイリー散乱信号のための干渉アームで、光ファイバサーキュレータは3dB光ファイバカプラに接続される前にデポラライザに接続される。この例では、Lyotデポラライザが使用されている。
【0029】
時分割及び空間分割多重化に基づく中継海底光ファイバケーブル振動監視システムの第2の実施形態
そのシステムの基本構成は、第1の実施形態のものと同様であるが、分岐装置に接続された分岐海底光ファイバケーブルのための振動監視分岐部を付加される。図4は、基幹海底光ファイバケーブルが特定の分岐装置に接続された中継セクションの構成模式図を示す。この実施形態において、基幹海底光ファイバケーブルは5つの分岐装置と接続される。各分岐装置に接続された分岐海底光ファイバケーブルの長さが中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さ以下であり、かつ2つの隣接した分岐装置間の距離が中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さの2倍を上回る場合、1つのアップリンク光ファイバcを付加し、時分割多重方式によって5つの分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号を伝送することだけが必要である。図4において、中継セクションは1つの分岐装置を介して1つの分岐海底光ファイバケーブルに接続される。1×2光ファイバスプリッタにおいて、検出光信号は2つの経路に分岐される。一方の経路において、検出光信号は、基幹海底光ファイバケーブルのダウンリンク伝送光ファイバに沿ってダウンリンク伝送を続け、他方の経路において、検出光信号は分岐ケーブル光ファイバ干渉計に入力され、検出光信号は、分岐ケーブル光ファイバ干渉計を通過し、それから分岐海底光ファイバケーブルに沿ってダウンリンクで連続的に伝送され、分岐海底光ファイバケーブルで生成された後方レイリー散乱信号は、分岐海底ケーブル光ファイバ干渉計内で、その局部光信号と干渉し、この中継セクションの分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号が得られる。分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号は、分岐ケーブルフィルタを経由して分岐ケーブル光ファイバカプラに入力され、それからアップリンク伝送光ファイバ内で分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号を伝送するアップリンク光ファイバcからの信号と結合され、その後に分岐海底光ファイバケーブルのサンプリング装置のサンプリングチャネルcにアップリンクで伝送され、最終的にサンプリング後に復調装置に送られる。
【0030】
基幹海底光ファイバケーブルが5つの分岐装置に接続される場合、各分岐装置を接続するための分岐海底光ファイバケーブルの長さが中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さ以下であり、かつ、2つの隣接した分岐装置間の距離が、中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さを上回り、中継セクションの基幹海底光ファイバケーブルの長さの2倍を下回るという条件の下で、2つのアップリンク光ファイバを付加し、即ちアップリンク光ファイバc及びアップリンク光ファイバdを付加し、空間分割多重と時分割多重を組み合わせた方式によって5つの分岐海底光ファイバケーブルに対する振動監視信号を伝送することだけが必要である。従って、2つの隣接した分岐装置に対する振動監視信号パルスが重ならないことが保証される。
【0031】
上述の実施形態は、さらに、本発明の目的、技術的解決策、及び有益な効果を詳細に説明するための具体例にすぎず、本発明はこれに限定されない。本発明の開示の範囲内でなされた変更、均等置換、改良等は、全て本発明の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4