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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】油冷式圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/02 20060101AFI20241203BHJP
   F04C 18/16 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
F04C29/02 311Z
F04C18/16 Q
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021002090
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2022107253
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】521362885
【氏名又は名称】コベルコ・コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】壷井 昇
(72)【発明者】
【氏名】野口 透
(72)【発明者】
【氏名】濱田 克徳
(72)【発明者】
【氏名】福島 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】大熊 康治
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-069062(JP,A)
【文献】特開2015-209797(JP,A)
【文献】特開2020-169646(JP,A)
【文献】特開2001-234881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/02
F04C 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュロータが収容されたロータ室を形成するケーシングを有する圧縮機本体と、
油が貯留されている油溜まり部と、
前記スクリュロータを駆動し、前記油が流れる冷却流路を有するモータジャケットを備えるモータと、
前記スクリュロータを支持する軸受と、
前記油溜まり部から前記冷却流路を経由して前記ロータ室に前記油を供給する第1油流路と、
前記油溜まり部と前記モータジャケットとの間の前記第1油流路から分岐して前記軸受に前記油を供給する第2油流路と
を備え
前記モータジャケットと前記ケーシングとが接続部を介して一体的に接続され、
前記第1油流路は、
前記接続部の第1接続面で開口するように前記モータジャケットに設けられたモータジャケット側油流路と、
前記接続部の第2接続面で開口するように前記ケーシングに設けられたケーシング側油流路と
を備え、
前記第1接続面と前記第2接続面とは同一平面であり、
前記モータジャケット側油流路と前記ケーシング側油流路とは、前記第1接続面の前記開口と前記第2接続面の前記開口とを介して互いに直接連通している、油冷式圧縮機。
【請求項2】
スクリュロータが収容されたロータ室を形成するケーシングを有する圧縮機本体と、
油が貯留されている油溜まり部と、
前記スクリュロータを駆動し、前記油が流れる冷却流路を有するモータジャケットを備えるモータと、
前記スクリュロータを支持する軸受と、
前記油溜まり部から前記冷却流路を経由して前記ロータ室に前記油を供給する第1油流路と、
前記油溜まり部と前記モータジャケットとの間の前記第1油流路から分岐して前記軸受に前記油を供給する第2油流路と
を備え、
前記モータジャケットと前記ケーシングとが接続部を介して一体的に接続され、
前記第1油流路は、
前記接続部の第1接続面で開口するように前記モータジャケットに設けられたモータジャケット側油流路と、
前記接続部の第2接続面で開口するように前記ケーシングに設けられたケーシング側油流路と
を備え、
前記モータジャケット側油流路と前記ケーシング側油流路とは、前記第1接続面の前記開口と前記第2接続面の前記開口とを介して互いに連通し、
前記モータジャケット側油流路又は前記ケーシング側油流路に配置されたストレーナをさらに備え、
前記ストレーナは、前記接続部を分離することで前記モータジャケット側油流路又は前記ケーシング側油流路の内部に対して着脱可能に設けられている、油冷式圧縮機。
【請求項3】
前記第1油流路の前記第2油流路が分岐する箇所より上流側に設けられているオイルクーラをさらに備える、求項1または2に記載の油冷式圧縮機。
【請求項4】
前記モータジャケットは、
前記モータの軸方向に延在し、外側に開放された溝部が形成されている内筒と、
前記内筒を外側から覆っている外筒と
を備え、
前記冷却流路は、前記溝部を前記外筒で閉じることで画定されている、請求項1から3のいずれかに記載の油冷式圧縮機。
【請求項5】
前記接続部は、
前記モータジャケットの前記ケーシング側の端部に形成され、前記モータの周方向外側に向かって突出した第1フランジ部と、
前記ケーシングの前記モータジャケット側の端部に形成され、前記周方向外側に向かって突出し、前記第1フランジ部に当接された第2フランジ部と
を備える、請求項1から4のいずれかに記載の油冷式圧縮機。
【請求項6】
前記モータジャケット側油流路又は前記ケーシング側油流路に配置されたストレーナをさらに備える、請求項に記載の油冷式圧縮機。
【請求項7】
前記モータジャケット側油流路又は前記ケーシング側油流路に配置されたストレーナをさらに備え、
前記ストレーナは、前記接続部を分離することで前記モータジャケット側油流路又は前記ケーシング側油流路の内部に対して着脱可能に設けられている、請求項に記載の油冷式圧縮機。
【請求項8】
前記第1油流路は、前記ロータ室に開口するスプレーノズルを備える、請求項1から7のいずれかに記載の油冷式圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油冷式圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータケーシングの冷却流路を経由して圧縮機の軸受に潤滑油を供給する容積型圧縮機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の容積型圧縮機では、冷却流路と軸受とに供給される潤滑油は同量である。そのため、特許文献1に記載の容積型圧縮機では、軸受での攪拌ロスが増加しないように軸受に適量の潤滑油を供給した場合、冷却流路への潤滑油の供給量が過少となり、モータの冷却が不足する可能性がある。また、モータの冷却が不足しないように冷却流路に適量の潤滑油を供給した場合、軸受への潤滑油の供給量が過多となり、軸受での攪拌ロスが増加する可能性がある。
【0004】
また、特許文献1に記載の容積型圧縮機では、冷却流路で発生したゴミ等が軸受に侵入し、軸受が損傷する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-200058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、油冷式圧縮機において、軸受での攪拌ロスの増加と、軸受の劣化とを抑制しつつ、モータと圧縮ガスとに対する適切な冷却を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、スクリュロータが収容されたロータ室を形成するケーシングを有する圧縮機本体と、油が貯留されている油溜まり部と、前記スクリュロータを駆動し、前記油が流れる冷却流路を有するモータジャケットを備えるモータと、前記スクリュロータを支持する軸受と、前記油溜まり部から前記冷却流路を経由して前記ロータ室に前記油を供給する第1油流路と、前記油溜まり部と前記モータジャケットとの間の前記第1油流路から分岐して前記軸受に前記油を供給する第2油流路とを備える、油冷式圧縮機を提供する。
【0008】
本発明の油冷式圧縮機によれば、油溜まり部から供給される油は、油溜まり部から冷却流路を経由してロータ室に流れる第1油流路と、第1油流路の途中で分岐し軸受に流れる第2油流路とを流れる。ここで、第2油流路はモータジャケットの上流側で分岐しているため、軸受に供給される油は、冷却流路を経由することなく油溜まり部から軸受に流れる。従って、モータジャケットとロータ室とに供給される油の量と、軸受に供給される油の量とを別々に設定できる。すなわち、モータジャケットとロータ室とに大量の油を供給しつつ、軸受に少量の油を供給できる。そのため、モータと圧縮ガスとに対する適切な冷却を確保しつつ、軸受で生じる攪拌ロスの増加を抑制できる。さらに、軸受に供給される油は冷却流路を経由しないため、冷却流路で発生したゴミ等が軸受に侵入し得ない。そのため、ゴミ等が軸受に侵入することによる軸受の損傷を回避でき、軸受の劣化を抑制できる。
【0009】
油冷式圧縮機は、前記第1油流路の前記第2油流路が分岐する箇所より上流側に設けられているオイルクーラをさらに備えてもよい。
【0010】
前記モータジャケットは、前記モータの軸方向に延在し、外側に開放された溝部が形成されている内筒と、前記内筒を外側から覆っている外筒とを備え、前記冷却流路は、前記溝部を前記外筒で閉じることで画定されていてもよい。
【0011】
前記の構成によれば、外筒を内筒から取り外すだけで冷却流路の内部が露出する。そのため、冷却流路の内部を容易に清掃できる。従って、冷却流路で発生したゴミ等がロータ室に侵入することによるスクリュロータの損傷を回避でき、スクリュロータの劣化を抑制できる。
【0012】
前記モータジャケットと前記ケーシングとが接続部を介して一体的に接続されている。前記第1油流路は、前記接続部の第1接続面で開口するように前記モータジャケットに設けられたモータジャケット側油流路と、前記接続部の第2接続面で開口するように前記ケーシングに設けられたケーシング側油流路とを備えてもよい。前記モータジャケット側油流路と前記ケーシング側油流路とは、前記第1接続面の前記開口と前記第2接続面の前記開口とを介して互いに連通している。
【0013】
前記の構成によれば、モータジャケットとケーシングとを連通する油流路を、モータジャケットとケーシングとに一体的に設けることができる。すなわち、モータジャケットとケーシングとを連通する油流路を別体の配管として設ける必要がない。そのため、コストダウンが図られ得る。また、油流路を最短経路で構成できるため、油流路の圧力損失が低下され得る。
【0014】
前記接続部は、前記モータジャケットの前記ケーシング側の端部に形成され、前記モータの周方向外側に向かって突出した第1フランジ部と、前記ケーシングの前記モータジャケット側の端部に形成され、前記周方向外側に向かって突出し、前記第1フランジ部に当接された第2フランジ部とを備えてもよい。
【0015】
油冷式圧縮機は、前記モータジャケット側油流路又は前記ケーシング側油流路に配置されたストレーナをさらに備えてもよい。
【0016】
前記の構成によれば、冷却流路で発生したゴミ等がストレーナで捕集されるため、ゴミ等がロータ室に侵入することを防げる。従って、ゴミ等がロータ室に侵入することによるスクリュロータの損傷を回避でき、スクリュロータの劣化を抑制できる。
【0017】
油冷式圧縮機は、前記モータジャケット側油流路又は前記ケーシング側油流路に配置されたストレーナをさらに備え、前記ストレーナは、前記接続部を分離することで前記モータジャケット側油流路又は前記ケーシング側油流路の内部に対して着脱可能に設けられていてもよい。
【0018】
前記第1油流路は、前記ロータ室に開口するスプレーノズルを備えてもよい。
【0019】
前記の構成によれば、ロータ室に霧状の油を供給できるため、圧縮ガスを一層効果的に冷却できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の油冷式圧縮機によれば、軸受での攪拌ロスの増加と、軸受の劣化とを抑制しつつ、モータと圧縮ガスとに対する適切な冷却を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る油冷式圧縮機の全体構成の概略図。
図2図1に示す油冷式圧縮機における圧縮機本体とモータとの断面図。
図3図2の部分IIIの拡大図。
図4図2の部分IVの拡大図。
図5図4の線V-Vでの断面図。
図6】本発明に係る油冷式圧縮機の変形例を示す図。
図7】本発明に係る油冷式圧縮機の他の変形例を示す図。
図8図2の部分VIIIの拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明に係る油冷式圧縮機1の概略図を示す。油冷式圧縮機1は、圧縮機本体10、油溜まり部21を有する油分離器20、オイルクーラ22、及びモータ26を備える。
【0023】
図2を併せて参照すると、圧縮機本体10は、スクリュロータ対12とケーシング13とを有する。ケーシング13はスクリュロータ対12が収容されたロータ室14を形成する。ロータ室14の一方には吸込口15が形成され、他方には吐出流路11aに通じる吐出口18が形成されている。
【0024】
スクリュロータ対12は雌雄一対で構成されている。雄側のスクリュロータ12aのロータ軸12cがモータ26の回転子27から突出した出力軸29と一体回転可能に接続されている。モータ26が雄側のスクリュロータ12aを駆動することで、これと噛合う雌側のスクリュロータ12bが駆動される。
【0025】
圧縮機本体10は、雄側のスクリュロータ12aを支持する軸受41A,42Aを備える。軸受42Aは、ケーシング13のモータ26側に配置されている。軸受41Aは、ケーシング13の、スクリュロータ12aに関して軸受42Aと反対側に配置されている。
【0026】
また、圧縮機本体10は、雌側のスクリュロータ12bを支持する軸受41B,42Bを備える。雌側の軸受41B,42Bは、雄側の軸受41A,42Aと同様に配置されている。
【0027】
本実施形態では、後述の第2油流路60は、図1に示されているように雄側の軸受41A,42Aに接続されている。この場合、雌側の軸受41B,42Bには雄側の軸受41A,42Aを介して油が供給される。第2油流路60は、雌側の軸受41B,42Bに接続されていてもよく、雄側の軸受41A,42Aと雌側の軸受41B,42Bとの両方に接続されていてもよい。
【0028】
図2を参照すると、モータ26は、油が流れる冷却流路31を有するモータジャケット30を備える。モータジャケット30は、内筒33と外筒34とを備える。内筒33は、モータ26の軸X方向に延在している。内筒33の外側には開放された溝部35が螺旋状に形成されている。外筒34は、内筒33を外側から覆っている。
【0029】
図3を参照すると、溝部35は、一対の溝側面35aと溝底面35bとによって画定されている。そして、冷却流路31は、溝部35を外筒34で閉じることで画定されている。すなわち、溝壁33aの頂面33bに外筒34の内側面34aを密接させることによって、冷却流路31が画定されている。
【0030】
再び図1を参照すると、圧縮機本体10から延びる圧縮ガスの吐出流路11aに油分離器20が設けられている。圧縮機本体10から圧縮ガスが油を伴って吐出され、油分離器20にて圧縮ガスと油とが分離される。圧縮ガスは油分離器20の上部に接続された吐出流路11bへと流出し、分離された油は油分離器20の下部の油溜まり部21に溜められる。すなわち油溜まり部21には、油が貯留されている。
【0031】
引き続き図1を参照すると、油冷式圧縮機1は、第1油流路50と第2油流路60とを備える。油冷式圧縮機1は、後述の第1油流路50の第2油流路60が分岐する箇所より上流側に設けられているオイルクーラ22をさらに備える。
【0032】
第1油流路50は、油溜まり部21から冷却流路31を経由してロータ室14に油を供給する。第1油流路50は、油溜まり部21とオイルクーラ22とを接続する油流路50a、オイルクーラ22と冷却流路31とを接続する油流路50b、冷却流路31、及び冷却流路31とロータ室14とを接続する油流路50cを備える。また、第1油流路50及び第2油流路60の少なくとも一方にはオイルフィルター23を備えてもよい。オイルフィルター23は、第1油流路50の第2油流路60が分岐する箇所より上流側で且つオイルクーラ22の下流側に備えていることが望ましい。
【0033】
図2を参照すると、油流路50cは、モータジャケット側油流路54とケーシング側油流路55とを備える。
【0034】
モータジャケット側油流路54は、後述の接続部16の第1接続面24で開口するようにモータジャケット30に設けられている。冷却流路31の出口において、冷却流路31とモータジャケット側油流路54とが接続されている。
【0035】
ケーシング側油流路55は、後述の接続部16の第2接続面25で開口するようにケーシング13に設けられている。ケーシング側油流路55は、ケーシング側油流路55とロータ室14とを流体的に接続する複数の接続流路56を備える。
【0036】
図8を参照すると、接続流路56にはスプレーノズル57が設けられている。すなわち、第1油流路50は、ロータ室14に開口するスプレーノズル57を備えている。例えば、所望の冷却性能ないしは吐出空気量を得られる場合、スプレーノズル57は設けられていなくてもよい。
【0037】
引き続き図8を参照すると、ケーシング13にはケーシング側油流路55に貫通している複数の貫通孔58が接続流路56の同軸上に設けられている。スプレーノズル57は貫通孔58を通され、接続流路56に設置されている。スプレーノズル57の設置後、貫通孔58は栓59で密閉されている。
【0038】
再び図1を参照すると、第2油流路60は、油溜まり部21とモータジャケット30との間の第1油流路50から、より具体的には油流路50bから分岐して軸受41A,42Aに油を供給する。
【0039】
第2油流路60は、油流路60aと油流路60bとを備える。油流路60aは、油流路50bから軸受41Aに油を供給する。油流路60bは、油流路60aから分岐して軸受42Aに油を供給する。
【0040】
再び図2を参照すると、本実施形態では、油流路60aの一部が、ケーシング13の軸受41A近傍に穿設され、軸受41Aに接続されている。油流路60aの他の部分が油流路50bに接続されることで、油流路50bと軸受41Aとが接続されている。
【0041】
油流路60bは、油流路60aの穿設された部分から分岐するように、ケーシング13に穿設されている。図2には油流路60bの一部しか図示されていないが、油流路60bによって、油流路60aと軸受42Aとが接続されている。
【0042】
第2油流路60は、ケーシング13内で第1油流路50から分岐していてもよい。すなわち、第1油流路50の一部がケーシング13に穿設され、その穿設された第1油流路50から分岐するように、第2油流路60がケーシング13に穿設されてもよい。
【0043】
引き続き図2を参照すると、モータジャケット30とケーシング13とが接続部16を介して一体的に接続されている。モータジャケット側油流路54とケーシング側油流路55とは、第1接続面24の開口39と第2接続面25の開口40とを介して互いに連通している。
【0044】
接続部16は、第1フランジ部36と第2フランジ部17とを備える。すなわち、本実施形態では、第1フランジ部36と第2フランジ部17とが接続部16を構成している。第1フランジ部36は、モータジャケット30のケーシング13側の端部に形成され、モータ26の周方向外側に向かって突出している。第2フランジ部17は、ケーシング13のモータジャケット30側の端部に形成され、モータ26の周方向外側に向かって突出し、第1フランジ部36に当接されている。
【0045】
図4及び図5を参照すると、モータ26は、モータジャケット側油流路54に配置されたストレーナ37Aをさらに備える。ストレーナ37Aはモータジャケット30の下方から差し込まれている。本実施形態では、ストレーナ37Aは板状の部材にステンレスメッシュのスクリーン38を備えており、接続部16から離して設置した例を示しているが、接続部16から離してストレーナ37Aを設置する場合、ストレーナ37Aは、孔との隙間に対するシールの容易な丸棒状の部材にメッシュのスクリーンを設けたものとしてもよい。
【0046】
図6を参照すると、変形例として、圧縮機本体10は、ケーシング側油流路55に配置されたストレーナ37Bをさらに備えてもよい。ストレーナ37Bは、接続部16を分離することでケーシング側油流路55の内部に対して着脱可能に設けられている。他の変形例として、圧縮機本体10は、ストレーナ37Bの代わりに、ケーシング側油流路55に配置されたストレーナ37Aを備えてもよい。
【0047】
図7を参照すると、他の変形例として、モータ26が、モータジャケット側油流路54に配置されたストレーナ37Bを備えてもよい。ストレーナ37Bは、接続部16を分離することでモータジャケット側油流路54の内部に対して着脱可能に設けられている。
【0048】
以下に、図1図2とを参照して、本実施形態の油冷式圧縮機1における油の流れを説明する。
【0049】
まず、第1油流路50における油の流れを説明する。油溜まり部21に一旦溜められた油は、圧縮ガスによる吐出圧によって、又は図示されていないオイルポンプを用いることによって、油流路50aに流れ、オイルクーラ22を通過する。オイルクーラ22を通過した油は、オイルクーラ22によって冷却される。
【0050】
オイルクーラ22によって冷却された油は、油流路50bを通過した後、螺旋状の冷却流路31を通過する。冷却流路31を通過する際、油とモータ26とが熱交換されることによって、モータ26は冷却される。
【0051】
冷却流路31を通過した油は、油流路50c、すなわちモータジャケット側油流路54、ケーシング側油流路55、及び接続流路56を通過し、ロータ室14に達する。その際、接続流路56に設けられたスプレーノズル57によって、油は霧状でロータ室14に供給される。
【0052】
次に、第2油流路60における油の流れを説明する。第2油流路60に流れた油は、冷却流路31を経由することなく油溜まり部21から油流路60aと油流路60bとを通過する。通過した油は、軸受41A,42Aに達し、軸受41A,42Aの潤滑に用いられる。その後、軸受41A,42Aに供給された油は、ロータ室14に流れる。
【0053】
第1油流路50と第2油流路60とを通過してロータ室14に達した油は、圧縮ガスと合流し、再度油分離器20で分離される。
【0054】
以上より、本実施形態に係る油冷式圧縮機1によれば、油溜まり部21から供給される油は、油溜まり部21から冷却流路31を経由してロータ室14に流れる第1油流路50と、第1油流路50の途中で分岐し軸受41A,42Aに流れる第2油流路60とを流れる。ここで、第2油流路60はモータジャケット30の上流側で分岐しているため、軸受41A,42Aに供給される油は、冷却流路31を経由することなく油溜まり部21から軸受41A,42Aに流れる。
【0055】
従って、モータジャケット30とロータ室14とに供給される油の量と、軸受41A,42Aに供給される油の量とを別々に設定できる。すなわち、モータジャケット30とロータ室14とには大量の油を供給しつつ、軸受41A,42Aには少量の油を供給できる。そのため、モータ26と圧縮ガスとに対する適切な冷却を確保しつつ、軸受41A,42Aで生じる攪拌ロスの増加を抑制できる。
【0056】
さらに軸受41A,42Aに供給される油は冷却流路31を経由していないため、冷却流路31で発生したゴミ等が軸受41A,42Aに侵入し得ない。そのため、ゴミ等が軸受41A,42Aに侵入することによる軸受41A,42Aの損傷を回避でき、軸受41A,42Aの劣化を抑制できる。
【0057】
また、モータジャケット30が外筒34と内筒33とを備えるため、外筒34を内筒33から取り外すだけで冷却流路31の内部が露出する。そのため、冷却流路31の内部を容易に清掃できる。従って、冷却流路31で発生したゴミ等がロータ室14に侵入することによるスクリュロータ対12の損傷を回避でき、スクリュロータ対12の劣化を抑制できる。
【0058】
また、モータジャケット30とケーシング13とを連通する油流路(油流路50c)を、モータジャケット30とケーシング13とに一体的に設けることができる。すなわち、モータジャケット30とケーシング13とを連通する油流路(油流路50c)を別体の配管として設ける必要がない。そのため、コストダウンが図られ得る。また、油流路を最短経路で構成できるため、油流路の圧力損失が低下され得る。
【0059】
また、ストレーナ37Aまたはストレーナ37Bを設けることで、冷却流路31で発生したゴミ等がストレーナ37A,37Bで捕集されるため、ゴミ等がロータ室14に侵入することを防げる。従って、ゴミ等がロータ室14に侵入することによるスクリュロータ対12の損傷を回避でき、スクリュロータ対12の劣化を抑制できる。
【0060】
また、スプレーノズル57を設けることで、ロータ室14に霧状の油を供給できるため、圧縮ガスを一層効果的に冷却できる。スプレーノズル57は一流体スプレーノズルであってもよい。
【0061】
以上より、本実施形態の油冷式圧縮機1によれば、軸受41A,42Aでの攪拌ロスの増加と、軸受41A,42Aの劣化とを抑制しつつ、モータ26と圧縮ガスとに対する適切な冷却を確保できる。
【符号の説明】
【0062】
1 油冷式圧縮機
10 圧縮機本体
11a,11b 吐出流路
12 スクリュロータ対
12a 雄側のスクリュロータ
12b 雌側のスクリュロータ
12c ロータ軸
13 ケーシング
14 ロータ室
15 吸込口
16 接続部
17 第2フランジ部
18 吐出口
20 油分離器
21 油溜まり部
22 オイルクーラ
23 オイルフィルター
24 第1接続面
25 第2接続面
26 モータ
27 回転子
29 出力軸
30 モータジャケット
31 冷却流路
33 内筒
33a 溝壁
33b 頂面
34 外筒
34a 内側面
35 溝部
35a 溝側面
35b 溝底面
36 第1フランジ部
37A,B ストレーナ
38 スクリーン
39,40 開口
41A,B 軸受
42A,B 軸受
50 第1油流路
50a~c 油流路
54 モータジャケット側油流路
55 ケーシング側油流路
56 接続流路
57 スプレーノズル
58 貫通孔
59 栓
60 第2油流路
60a,b 油流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8