(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】ドア枠、ドア枠における充填材の充填方法およびドア枠の組み立て方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/70 20060101AFI20241203BHJP
E06B 1/16 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
E06B1/70 F
E06B1/16 A
(21)【出願番号】P 2021012687
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】宮田 勇優
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-119378(JP,A)
【文献】特開2020-029661(JP,A)
【文献】特開2017-110403(JP,A)
【文献】実開昭49-118247(JP,U)
【文献】特開平11-217969(JP,A)
【文献】米国特許第06412227(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00- 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成したものであって、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠において、
前記中空状部に、充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた構成にするにあたり、
前記流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、該流れ止め面部から折曲されて中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備え、
流れ止め材を、前記対向片部を介して枠材に仮保持する
ものであって、
該流れ止め材の枠材に対する仮保持は、対向片部の流れ止め面部に対する折曲角度を、流れ止め面部と内側面部とがなす角度よりも大きくすることで対向片部が内側面部に弾性変形状態で当接することによる弾性復元力によるものであることを特徴とするドア枠。
【請求項2】
出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成したものであって、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠において、
前記中空状部に、充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた構成にするにあたり、
前記流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、該流れ止め面部から折曲されて中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備え、
流れ止め材を、前記対向片部を介して枠材に仮保持するものであって、
前記対向片部は、中空状部の充填材が充填される側に向けて折曲されていることを特徴とするドア枠。
【請求項3】
出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成したものであって、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠において、
前記中空状部に、充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた構成にするにあたり、
前記流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、該流れ止め面部から折曲されて中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備え、
流れ止め材を、前記対向片部を介して枠材に仮保持するものであって、
前記流れ止め材には、対向片部の折曲部位での折曲を誘導するための誘導手段が設けられていることを特徴とするドア枠。
【請求項4】
出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成したものであって、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠において、
前記中空状部に、充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた構成にするにあたり、
前記流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、該流れ止め面部から折曲されて中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備え、
流れ止め材を、前記対向片部を介して枠材に仮保持するものであって、
流れ止め面部は、枠材の端縁部よりも左右方向内側に位置する状態で中空状部を傾斜状に仕切ることを特徴とするドア枠。
【請求項5】
流れ止め材の枠材に対する仮保持は、対向片部の内側面部への接着であることを特徴とする請求項1
乃至4の何れか1記載のドア枠。
【請求項6】
流れ止め面部は、枠材の端縁部よりも左右方向内側に位置する状態で中空状部を直角状に仕切ることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載のドア枠。
【請求項7】
充填材が充填される枠材は、少なくとも沓摺りとなる下横枠材であることを特徴とする請求項1乃至
6の何れか1記載のドア枠。
【請求項8】
出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成したものであって、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠において、
前記中空状部に、充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた構成にするにあたり、
前記流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、前記中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備えた平板状のものであり、該平板状の流れ止め材を用いて枠材に充填材を充填する方法として、
・前記流れ止め材の対向片部を折曲する折曲工程、
・対向片部が内側面部に対向する状態で流れ止め材を中空状部に組み込む組み込み工程、
・流れ止め材の対向片部を枠材に仮保持する仮保持工程、
・該流れ止め材が仮保持された状態で充填材を中空状部に充填する充填工程、
とが実行されることを特徴とするドア枠における充填材の充填方法。
【請求項9】
出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成し、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠を組み立てるにあたり、
前記充填材が充填される枠材は、中空状部に充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた状態で充填材が充填され、
該流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、該流れ止め面部から中空状部の充填材が充填される側に向けて折曲されて中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備え、
ドア枠は、該充填材が充填された枠材を用いて組み立てられることを特徴とするドア枠の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口に建て付けられるドア枠およびドア枠における充填材の充填方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルや住宅等の建物の出入り口にドア体(戸体、扉体)を設ける場合、出入り口を形成する躯体側開口部の内側面(内周側面)に、ドア体が開閉自在に設けられるドア枠を建て付けることになるが、このようなドア枠として、左右の縦枠材と上下の横枠材とを連結コーナー部で連結固定することで四周枠構造に組み立てたものが採用される。このようなドア枠を形成する場合に、枠材を、鋼材やステンレス等の金属製の平板材を、ドア枠の枠外周側が開口した概略断面冂字形に曲げ加工したものとすることがあり、このように曲げ加工された枠材を用いたドア枠を出入り口に建て付けた場合、前記枠材は、枠外周側の開口部が躯体側内周面により覆蓋された中空状態となる。
このようなドア枠について、例えば沓摺りとなる下横枠材の場合を例として考察してみた場合に、該沓摺りは、人物や荷物等の通貨物が通過する際に該通貨物が直接乗り上げることになるが、この際に発生する通過音、例えば人物が通過する際に発生する靴音が、前記中空状の沓摺り内で増幅された反響音となって発音することになるという問題がある。そこで従来、これに対処するため沓摺り内にモルタルや石膏等の流動性がある硬化性物質を素材とした充填材を充填することが試みられている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところがこのものは、ドア枠を組み立てる場合に、ドア枠を組み立てた後、沓摺りに充填材を充填するようにしたものでは、前記組み立てたドア枠を天地逆にした状態で沓摺りに充填材を充填し、硬化するまで天地逆姿勢のままにして養生するという作業が強いられることになって作業性が劣る等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成したものであって、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠において、
前記中空状部に、充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた構成にするにあたり、前記流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、該流れ止め面部から折曲されて中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備え、流れ止め材を、前記対向片部を介して枠材に仮保持するものであって、該流れ止め材の枠材に対する仮保持は、対向片部の流れ止め面部に対する折曲角度を、流れ止め面部と内側面部とがなす角度よりも大きくすることで対向片部が内側面部に弾性変形状態で当接することによる弾性復元力によるものであることを特徴とするドア枠である。
請求項2の発明は、出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成したものであって、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠において、前記中空状部に、充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた構成にするにあたり、前記流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、該流れ止め面部から折曲されて中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備え、流れ止め材を、前記対向片部を介して枠材に仮保持するものであって、前記対向片部は、中空状部の充填材が充填される側に向けて折曲されていることを特徴とするドア枠である。
請求項3の発明は、出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成したものであって、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠において、前記中空状部に、充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた構成にするにあたり、前記流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、該流れ止め面部から折曲されて中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備え、流れ止め材を、前記対向片部を介して枠材に仮保持するものであって、前記流れ止め材には、対向片部の折曲部位での折曲を誘導するための誘導手段が設けられていることを特徴とするドア枠である。
請求項4の発明は、出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成したものであって、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠において、前記中空状部に、充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた構成にするにあたり、前記流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、該流れ止め面部から折曲されて中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備え、流れ止め材を、前記対向片部を介して枠材に仮保持するものであって、流れ止め面部は、枠材の端縁部よりも左右方向内側に位置する状態で中空状部を傾斜状に仕切ることを特徴とするドア枠である。
請求項5の発明は、流れ止め材の枠材に対する仮保持は、対向片部の内側面部への接着であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1記載のドア枠である。
請求項6の発明は、流れ止め面部は、枠材の端縁部よりも左右方向内側に位置する状態で中空状部を直角状に仕切ることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載のドア枠である。
請求項7の発明は、充填材が充填される枠材は、少なくとも沓摺りとなる下横枠材であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1記載のドア枠である。
請求項8の発明は、出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成したものであって、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠において、前記中空状部に、充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた構成にするにあたり、前記流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、前記中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備えた平板状のものであり、該平板状の流れ止め材を用いて枠材に充填材を充填する方法として、前記流れ止め材の対向片部を折曲する折曲工程、対向片部が内側面部に対向する状態で流れ止め材を中空状部に組み込む組み込み工程、流れ止め材の対向片部を枠材に仮保持する仮保持工程、該流れ止め材が仮保持された状態で充填材を中空状部に充填する充填工程、とが実行されることを特徴とするドア枠における充填材の充填方法である。
請求項9の発明は、出入り口の開閉をするドア体を支持するドア枠を、上下横枠材、左右縦枠材を連結コーナー部で連結固定することにより四周枠に形成し、前記四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材を、枠外周側が開口した中空状部を有し、該中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠を組み立てるにあたり、前記充填材が充填される枠材は、中空状部に充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた状態で充填材が充填され、該流れ止め材は、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ止めをする流れ止め面部と、該流れ止め面部から中空状部の充填材が充填される側に向けて折曲されて中空状部の少なくとも一部の内側面部に近接または当接状態で対向する対向片部とを備え、ドア枠は、該充填材が充填された枠材を用いて組み立てられることを特徴とするドア枠の組み立て方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、充填材の流れ止め材が、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ込み防止をする流れ止め面部と、該流れ止め面部に対して折曲して中空状部の内側面部に対向する対向片部とを備えた構造簡単なもので良く、しかも流れ止め材は、対向片部を枠材に仮保持するだけで良いことになる結果、流れ止め材の枠材への組み込みも簡単になって充填材を充填する作業、さらにはドア枠を組み立てる作業の作業性が向上する。
しかも流れ止め材の枠材に対する仮保持が、対向片部の流れ止め面部に対する折曲角度を、流れ止め面部と内側面部とがなす角度よりも大きくすることに伴い、対向片部が内側面部に弾性変形状態で当接する弾性復元力によるものとなって、流れ止め材を枠材に組み込むことに合わせて仮保持できることになって作業性が向上する。
請求項2の発明とすることにより、充填材の流れ止め材が、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ込み防止をする流れ止め面部と、該流れ止め面部に対して折曲して中空状部の内側面部に対向する対向片部とを備えた構造簡単なもので良く、しかも流れ止め材は、対向片部を枠材に仮保持するだけで良いことになる結果、流れ止め材の枠材への組み込みも簡単になって充填材を充填する作業、さらにはドア枠を組み立てる作業の作業性が向上する。
しかも仮保持される対向片部が、中空状部の充填材が充填される側に向けて折曲されている結果、対向片部は充填される充填材により支持されることになって、充填材を利用した流れ止め材の確実な保持がなされることになる。
請求項3の発明とすることにより、充填材の流れ止め材が、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ込み防止をする流れ止め面部と、該流れ止め面部に対して折曲して中空状部の内側面部に対向する対向片部とを備えた構造簡単なもので良く、しかも流れ止め材は、対向片部を枠材に仮保持するだけで良いことになる結果、流れ止め材の枠材への組み込みも簡単になって充填材を充填する作業、さらにはドア枠を組み立てる作業の作業性が向上する。
しかも、流れ止め材を折曲する場合に、誘導手段により誘導された状態での折曲ができることになって、精度の良い折曲作業が容易にできることになる。
請求項4の発明とすることにより、充填材の流れ止め材が、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ込み防止をする流れ止め面部と、該流れ止め面部に対して折曲して中空状部の内側面部に対向する対向片部とを備えた構造簡単なもので良く、しかも流れ止め材は、対向片部を枠材に仮保持するだけで良いことになる結果、流れ止め材の枠材への組み込みも簡単になって充填材を充填する作業、さらにはドア枠を組み立てる作業の作業性が向上する。
しかも、流れ止め面部は、枠材の端縁部よりも左右方向内側に位置する状態で中空状部を傾斜状に仕切るものになって充填材の充填領域を、連結コーナー部に近づけたものにできる結果、連結コーナー部への充填材の流れ込み防止を、充填材の充填領域をできるだけ広くした状態でできることになる。
請求項5の発明とすることにより、流れ止め材の枠材に対する仮保持が、対向片部の内側面部への接着でできることになって作業性が向上する。
請求項6の発明とすることにより、流れ止め面部が、枠材の端縁部の左右方向内側に位置する状態で中空状部を直角状に仕切るものになる結果、連結コーナー部への充填材の流れ込みを確実に防止できることになる。
請求項7の発明とすることにより、充填材が充填される枠材が少なくとも沓摺りとなる下横枠材として、通過音の反響防止が施された沓摺りを備えたドア枠を簡単にできることになる。
請求項8の発明とすることにより、充填材が充填されたドア枠用の枠材を、平板状の流れ止め材の対向片部を折曲する折曲工程、対向片部が内側面部に対向する状態で流れ止め材を中空状部に組み込む組み込み工程、流れ止め材の対向片部を枠材に仮保持する仮保持工程、該流れ止め材が仮保持された状態で充填材を中空状部に充填する充填工程、とを実行することで簡単にできることになる。
請求項9の発明とすることにより、ドア枠を構成する四周の枠材のうちの少なくとも一つの枠材の中空状部に充填材が充填された構成にしてなるドア枠を組み立てるに際し、充填材が充填される枠材を、中空状部に充填材の左右方向連結コーナー部側への流れ止めをするための流れ止め材が設けられた状態で充填材を充填し、そしてドア枠を、該充填材が充填された枠材を用いて組み立てることになる結果、四周に組み立てたドア枠のうち充填材を充填する枠材を天井面に向けた状態で充填材の充填をするような作業が不要になって作業性の向上が図れることになる。
しかも充填材の流れ止め材が、中空状部を仕切って充填材の連結コーナー部側への流れ込み防止をする流れ止め面部と、該流れ止め面部に対して折曲して中空状部の内側面部に対向する対向片部とを備えた構造簡単なもので良く、仮保持される対向片部が、中空状部の充填材が充填される側に向けて折曲されている結果、対向片部は充填される充填材により支持されることになって、充填材を利用した流れ止め材の確実な保持がなされ、充填材が充填されたドア枠の組み立てが簡単にできることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】(A)(B)は沓摺りの屋内側上面部部位の断面正面図、屋外側上面部部位の断面正面図である。
【
図6】(A)(B)(C)(D)(E)は流れ止め材の正面図、折曲した流れ止め材の正面図、平面図、側面図、斜視図である。
【
図7】(A)(B)(C)(D)は流れ止め材の折曲部位の異なった態様を示す正面図、正面図、斜視図、正面図である。
【
図8】第二の実施の形態を示す沓摺りの底面図である。
【
図10】(A)(B)は第三の実施の形態の流れ止め部材の組み込み部位を示す底面図、その変形例の底面図である。
【
図11】(A)(B)(C)は沓摺りの変形例と、これに対応した流れ止め材の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はドア体(戸体、扉体)であって、該ドア体1は、本発明が実施されたドア枠(戸枠、扉枠)3に、蝶番等の支持部材(図示せず)を介して開閉揺動自在に建て付けられていること等は何れも従来通りである。
尚、本実施の形態のドア体1は、開き戸方式のものを採用しているが、左右引き戸方式のドア体であってもよく、該引き戸方式のドア体のドア枠であっても同様にして本発明を実施することができることは言うまでもない。
【0009】
前記ドア枠3は、戸尻側(吊元側)、戸先側となる左右の縦枠材4、5、上横枠材6、下横枠材7を用いて四周枠形状に形成され、出入り口Eの内側面に組み込まれるが、本実施の形態においては、これら枠材4~7のうち、下横枠材7である沓摺り7に本発明が実施されており、そのため以降、沓摺り7について詳述し、他の枠材4~6については必要において説明するものとする。
因みに本発明は、前述したように下横枠材である沓摺り7に実施したものとなっているが、これに限定されるものでなく、残りの他の枠材4~6を含めた四本の枠材4~7において、必要とされる少なくとも一つの枠材に実施できるものであることは言うまでもない。
【0010】
前記沓摺り7は、鋼製の平板材をドア枠3の枠外周側(下面側)が開口した概略断面冂字形に曲げ加工したものであり、さらに具体的には、前後方向一方側である屋内側が段差状に高くなった上下二段の屋内外側の上面部7a、7bと、屋内側上面部7aの屋内側端縁部から垂下される屋内側縦面部7cと、屋外側上面部7bの屋外側端縁部から垂下される屋外側縦面部7dと、該屋外側縦面部7dの下端縁部から屋内側に向けて折曲される底面部7eとを備えて形成され、該底面部7eの屋内側端縁部7fと屋内側縦面部7cの下端縁部7gとのあいだが開口した開口部Zとなっていることで、前述したように、枠外周側である下側が開口した概略断面冂字形になっていて、上面部7a、7b、前後の縦面部7c、7dによって三方が囲繞された中空状部Xを有したものとなっており、そして出入り口Eに建て付けた場合に、沓摺り7は開口部Zが躯体側地面(床面)部材によって覆蓋されたものとなるように構成されている。
尚、本実施の形態の沓摺り7は、前記各面部7a~7eに加えて、屋内側上面部7aの屋外側端縁部から屋内側に向けて折り返し状に折曲形成されていて先端縁部が戸当りとなるよう突出した突出面部7hと、該突出面部7hの屋内側端縁部と屋外側上面部7bの屋内側端縁部とを連結する中間縦面部7iとを備えたものとして構成されている。
【0011】
そして前述したように形成された沓摺り7の左右両端縁部は、前記左右の縦枠材4、5の下端縁部とのあいだで連結コーナー部Yとなって連結されるが、本実施の形態の左右縦枠材4、5についても沓摺り7と同様、枠外周側が開口することで中空状部を備えた概略断面冂字形に曲げ加工され、出入り口Eに建て付けた場合に、該開口側が覆蓋された中空状になるものであり、本発明は、このような左右縦枠材4、5においても、前述したように必要があれば実施することができる。勿論、上横枠材6についてもこのような中空状部が形成されている場合には同様にして本発明を実施することができる。
【0012】
そして前記縦枠材4、5についても、戸当り部位を形成する等のため、段差状部位が形成されたものとなっており、縦枠材4、5と沓摺り7とが連結コーナー部Yにおいて連結固定されているが、本実施の形態においては、屋内外側上面部7a、7bの左右両端縁部から係止部7jが突出形成されたものとなっている。そして縦枠材4、5の下端縁部に、係止部7jが縦枠材4、5に形成の貫通孔4a、5aに貫通する状態で沓摺り7の左右端縁部を突き当て、前記貫通した係止部7jを折曲することで沓摺り7は縦枠材4、5の下端縁部に抜け止め状に連結されたものとなり、そして該係止部7jを含む沓摺り7と縦枠材4、5との対向部位を適宜溶着することで、沓摺り7と縦枠材4、5とが、連結コーナー部Yにおいて一体的に連結固定されたものとなっている。因みに該連結コーナー部Yにおいては、沓摺り7と縦枠材4、5との当接部(突き合せ部)、および係止部7jが貫通する状態の貫通孔4a、5a部位を、シール材(コーキング材)Kでシールして雨水等の水が内部に浸入するのを防止するよう配慮されている。
尚、本実施の形態の沓摺り7は、底面部7eと屋内側縦面部7cとのあいだを連結する補強面部7kが左右方向適間隔を存して複数設けられ、さらに該補強面部7k間を連結する補強杆7lが設けられたものとなっていて補強されている。
【0013】
そして本実施の形態においては、沓摺り7に充填材8が充填されることになるが、充填材8としては、石膏やモルタルのように水(硬化用液体)が供給され、混錬されることで流動性を有したものとなり、そして時間の経過により水和あるいは重合(化学反応)をすることで硬化する成分を主成分とし、このものに砂や小石等の骨材、硬化剤、反応促進剤等の補助材が必要に応じて混入されたものであってもよい。
このような充填材8を沓摺り7に充填するため流れ止め材9が用いられている。
【0014】
本実施の形態で用いられる流れ止め材9は、沓摺り7に設けられる中空状部Xの断面形状と略同形状になっていて、沓摺り7の左右端縁部に近接した左右方向内側部位に位置していて、中空状部Xを左右に傾斜状に仕切って硬化前の充填材8が連結コーナー部Y側に流れ込んでしまうことを防止する流れ止め片部9aと、該流れ止め片部9aに対して鈍角状に折曲していて、沓摺り7の屋内側縦面部7cの内側面部に近接または当接する状態で対向する対向片部9bとを備えた平面視でL字形をしているが、対向片部9bの折曲方向は、中空状部Xにおいて流れ止め片部9aで仕切られる部位よりも左右方向内側、つまり充填材8が充填される側に向けて折曲されたものになっている。
因みに本実施の形態の流れ止め材9は、屋内側縦面部7cに対向する対向片部9bが設けられたものとなっているが、屋外側縦面部7dに対向する側に折曲したものであってもよく、更には両面部7c、7dに対向するよう折曲されたものであってもよい。
【0015】
そして本実施の形態の流れ止め材9は、流れ止め片部9aと対向片部9bとが平板状になった状態で形成され、このものを折曲することになるが、この折曲を容易にすると共に、折曲位置がズレないよう誘導するための誘導手段としてスリット9cが形成されたものとなっている。本実施の形態のスリット9cは、上下方向に長い一つの長孔が形成されたものであるが、誘導手段としてこのようなスリットを採用したものとして、
図7(A)(B)に示す実施の形態のように、鎖線状に複数の孔9dを形成したもの、上下両端縁が開口になった切り欠き9eを形成したもの等、各種形状の孔を形成したものとすることができ、さらに誘導手段としてはスリット(孔)を形成したものに限定されず、折曲部位を肉薄状にしたもの、さらには折曲部位を
図7(C)に示すようにR溝9fにしたもの等、各種の形状のものとして実施できるが、前記R溝9fにしたものでは折曲方向を溝内側にすることを促す(誘導する)機能が備わったものとなって折曲方向の間違いを回避できるという利点がある。
【0016】
そしてこのように折曲された流れ止め材9を、天地逆姿勢にした沓摺り7、つまり開口部Zが上方を向いた姿勢にセットした沓摺り7の左右端縁部に組み込むことになるが、この場合に流れ止め材9は、流れ止め片部9aが沓摺り7の左右端縁に近接した左右方向内側に位置する状態、つまり沓摺り7の左右端縁よりも内側に位置する状態で中空状部を傾斜状に仕切って中空状部Xに充填された充填材8が連結コーナー部Y側に流れ込むのを防止することになる一方で、前記折曲された対向片部9bは、屋内側縦面部7cの内側面部に近接または当接対向しているが、該対向片部9bを、接着テープ(粘着テープ)10によって屋内側縦面部7cの内側面部に止着(接着、粘着)することで流れ止め材9は沓摺り7に仮保持される。
尚、流れ止め材9の流れ止め片部9aにより中空状部Xを仕切る部位が、沓摺り7の左右端縁よりも内側に位置する状態で仕切っているが、その理由は、前述したようにシール材Kを用いて連結コーナー部Yのシーリングをする場合に、中空状部X側からシール材Kを充填する作業が必要となり、このための充填スペースSを連結コーナー部Yと流れ止め片部9aとのあいだに確保してシール材Kの充填ができるようにすることによる。
因みに対向片部9bの屋内側縦面部7cに対する接着による仮保持としては、接着テープ(粘着テープ)10によらず、接着剤を直接用いて接着してもよく、また両面接着(粘着)テープによる接着であってもよい。
尚、本発明の「接着」の定義には、接着剤が固化(硬化)することにより接着する狭義の「接着」に限定されず、粘着剤による粘着により保持される広義の接着、つまり「粘着剤による粘着」の概念も含むものとする。
【0017】
そしてこのように流れ止め材9が仮保持された沓摺り7の中空状部Xに硬化前の充填材8を充填し、そして該充填材8が硬化するまで養生する(放置する)ことになるが、該充填された充填材8は、対向片部9bを覆う状態で充填されることになり、この結果、流れ止め材9は、対向片部9bが硬化した充填材8によって確実な保持がなされることになって外れることがない。
そしてこのように充填材8が充填された沓摺り7を用いてドア枠3の組み込みをするように構成される。
【0018】
叙述の如く構成された本実施の形態において、出入り口Eの開閉をするドア体1を支持するドア枠3を四周枠に形成し、そのうちの下横枠材である沓摺り7に形成される中空状部Xに充填材8を充填して、通過音の反響防止機能を呈したものとする場合において、前記中空状部Xに、充填材8の連結コーナー部Y側への流れ止めをするため設けられる流れ止め材9として、中空状部Xを仕切って充填材8の連結コーナー部Y側への流れ止めをする流れ止め片部9aと、該流れ止め片部9aから折曲されて屋内側縦面部7cに近接または当接状態で対向する対向片部9bとが備えられたものとし、そして該流れ止め材9を中空状部Xに組み込んだ場合に、対向片部9bが屋内側縦面部7cに粘着テープ10を介して支持されることで流れ止め材9が仮保持される状態で充填材8の充填作業ができることになる。この結果、流れ止め材9としては、流れ止め片部9aと対向片部9bとを備えた構造簡単なもので良く、しかも流れ止め材9は、対向片部9bを枠材に仮保持するだけで良いことになる結果、流れ止め材9の沓摺り7への組み込みも簡単になって充填材8の充填作業、さらにはドア枠を組み立てる作業の作業性が向上する。
【0019】
しかもこの場合に、流れ止め材9の沓摺り7に対する仮保持は、対向片部9bを粘着テープ10を介して対向する屋内側縦面部7cに接着するだけで良いことになって作業性が向上する。
そしてこの場合に、対向片部9bは、中空状部Xの充填材8が充填される側、つまり沓摺り7の左右方向内側に向けて折曲されていて充填材8が充填される中空状部Xに配されたものとなっている結果、対向片部9bは硬化した充填材8に覆われたものとなり、該硬化した充填材8を利用した流れ止め材9の確実な保持がなされるという利点もある。
しかも流れ止め材9は、流れ止め片部9aに対して対向片部9bを折曲することになるが、この折曲部位にスリット9cが形成されたものとなっている結果、該スリット9cに誘導される状態での折曲ができることになって、流れ止め材9を、所定の折曲位置での折曲が誘導された精度の良い折曲作業を容易にできることになる。
因みに、本実施の形態のものは、流れ止め材9の対向片部9bを粘着テープ10を介して屋内側縦面部7cに接着することで流れ止め材9の仮保持を単独でできる構成であるため、流れ止め材9の他の片部、例えば中間縦面部7iに対向する中間縦片部9g、屋外側縦面部7dに対向する屋外側縦片部9hは、対向する各面部7i、7dに当接している必要はなく近接対向したものであってもよいが、本実施の形態においては、一方の中間縦片部9gが当接し、他方の屋外側縦片部9hが近接対向した構成になったものであってもよく、またこの逆であってもよいものである。
【0020】
この場合に本実施の形態においては、流れ止め材9の流れ止め片部9aは、沓摺り7の端縁部よりも左右方向内側に位置する状態で中空状部Xを傾斜状に仕切っているが、この傾斜状の仕切り方向は、縦枠材4、5の左右方向内側面部4b、5bの配設位置に沿った方向になっている。
つまり縦枠材4、5の左右方向内側面部4b、5bは、屋外側が左右方向外方に位置するよう段差状に折曲形成されたものとなっており、流れ止め片部9aは、この段差状に形成されることにより左右方向に位置ずれした状態の左右方向内側面部4b、5bに沿う方向、つまり屋外側ほど左右方向外方に偏倚する傾斜状態で仕切る構成になっており、この結果、充填材8の充填領域を可及的に広いものにできることになって、反響音の発生防止効果を高めること等に寄与するよう配慮されている。
【0021】
因みに前記実施の形態においては、流れ止め片部9aは傾斜状に中空状部Xを仕切ったものとしているが、
図8、9に示す第二の実施の形態のように、直角状に仕切ったものとすることも勿論できる。この第二の実施の形態のものは、沓摺り7の戸尻側縦枠材5が連結される連結コーナー部Y部位に補助板材11を設けたものであって、該補助板材11は、沓摺り7と戸尻側縦枠材5との連結(溶着)を補助するため設けられたものであり、この補助板材11の左右方向内側端縁11aは、沓摺り7における屋内側縦面部7cの内側面部に対して直角状に設けられたものとなっている。このため該側の流れ止め材9については、左右方向内側端縁11aに沿うよう中空状部Xを直角状に仕切る構成になっており、このようにしても本発明を実施することができる。
そしてこのものでは、流れ止め材9の流れ止め片部9aは、戸尻側のものが直角状、戸先側のものが傾斜状に中空状部Xを仕切るものであるため長さが異なったものとなる。この結果、長さが異なった二種類の流れ止め材9を形成してもよいが、
図7(D)に示す流れ止め材9のように、スリット9cの形成位置を、傾斜状の仕様と直角状の仕様とに対応して二か所(複数個所)形成したものとしておけば、同一形状の平板状の流れ止め材9を、前記傾斜状に配設するものと直角状に配設するものとの両仕様のものに用いることができ、部品の兼用化が図れることになる。また、対向片部9bを二か所以上(複数)形成したものとしてもよく、この場合に仮保持を、両対向片部9bで行う必要はなく一方の対向片部9bだけとしてもよい。
尚、流れ止め材9に、折曲を誘導する誘導手段を形成する場合に、誘導手段が前記実施の形態のようにスリット9cであった場合には、該スリット9cを左右方向に複数設けることで、前述したように傾斜状と垂直状の両取り付けに限定されず、傾斜角度を変化させたい場合にも対応することができ、また沓摺り7として、中空状部Xにおける前後方向の流れ止め幅が相違する仕様があった場合に、該仕様に対応した部位において流れ止め材9の折曲ができることになり、この場合においても部品の兼用化が図れることになる。
【0022】
このように本発明が実施されたものにおいては、沓摺り7を、流れ止め材9を用いて充填材8の連結コーナー部Y側への流れ止めがなされた状態で形成できることになるが、この場合の手順として、
・流れ止め材9の対向片部9bを折曲する折曲工程
・対向片部9bが屋内側縦面部7cに対向する状態で流れ止め材9を中空状部Xに組み込む組み込み工程
・対向片部9bを屋内側縦面部7cに粘着テープ10を介して仮保持する仮保持工程
・流れ止め材9が仮保持された状態で充填材8を中空状部Xに充填する充填工程
とが実行されたものとなる結果、充填材8が充填された沓摺り7を、単体として簡単に形成することができ、そして該単体として形成された沓摺り7を用いてドア枠3の組み立てができることになって、ドア枠3を組み立てた後、天地逆にした状態で沓摺り7に充填材8を充填するような必要がなく、簡単に充填材8が充填された沓摺り7を存したドア枠3の組み付けができることになる。
【0023】
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されないことは勿論であって、流れ止め材9に設けられる対向片部9bとしては、一つに限定されず、複数設けられたものであってもよく、また対向片部9bを仮保持する仮保持手段としては、接着に限定されず、流れ止め材9の弾性復元力を利用したものであってもよい。
つまり
図10(A)に示す第三の実施の形態のように、流れ止め材9の流れ止め片部9aと対向片部9bとの折曲角度αを、流れ止め片部9aと屋内側縦面部7cとがなす角度βよりも大きくする(α>β)ことで、流れ止め材9を中空状部Xに組み込んだ場合に、対向片部9bが屋内側縦面部7cに弾性変形状態で当接することになり、この結果、流れ止め材9は、対向片部9bの弾性復元力により弾圧状に屋内側縦面部7cに当接することになって仮保持されることになり、このようにしても本発明を実施することができる。
このような弾性復元力による仮保持をするためには、流れ止め材9を、沓摺り7において少なくとも対向する二面部で当接支持する必要があり、前記第三の実施の形態のものでは、対向片部9bが屋内側縦面部7cに当接すると共に、中間縦面部7iに対向する流れ止め材9の中間縦片部9gが該中間縦面部7iに当接するよう構成されるが、流れ止め材9の屋外側縦片部9hが沓摺り7の屋外側縦面部7dに当接するよう構成したものであってもよい。さらには流れ止め材9を、上下に互いに対向する屋外側上面部7bと底面部7eとにそれぞれ当接する構成とし、そのうちの少なくとも一方を対向片部に形成して前記同様、弾性復元力による仮保持をするように構成してもよい。
さらに前記弾性復元力を利用したものするものにおいて、二つの対向片部9bを設けたものである場合として、
図10(B)に示す実施の形態のように、対向片部9bを、沓摺り7の屋内側縦面部7cと屋外側縦面部7dとに対向するよう一対形成したものである場合、両対向片部9bの折曲角度を前述したように大きくする必要はなく、一方の対向片部9bの折曲角度αを前述したように大きくすることで、両対向片部9bによる弾性復元力を受けた状態での仮保持ができるものになる。
【0024】
また本発明は、前記実施の形態の形状の沓摺り7(枠材)に限定されることなく、種々の形状ののものに実施することができ、例えば
図11(A)(B)(C)に示すような沓摺り7にも、これに対応した形状の流れ止め材9を用いて同様にして実施することができる。因みに
図11(B)の沓摺り7は、開口部Zが傾斜状になっており、このような沓摺り7に充填材を充填するにあたり、単純に天地逆姿勢とした場合、開口部Zが傾斜状になって充填材が崩れて流れ出たりする惧れがあり、そこで開口部Zを水平状になるよう沓摺り7を傾斜状にセットした天地逆姿勢の状態で充填材の充填をすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口に建て付けられるドア枠に利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 ドア体
3 ドア枠
4、5 縦枠材
6 上横枠材
7 沓摺り(下横枠材)
7c 屋内側縦面部
8 充填材
9 流れ止め材
9a 流れ止め面部
9b 対向片部
9c スリット(誘導手段)
10 粘着テープ
E 出入り口
X 中空状部
Y 連結コーナー部
Z 開口部