(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】転がり軸受、軸受装置およびモータ
(51)【国際特許分類】
F16C 33/66 20060101AFI20241203BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20241203BHJP
F16C 33/41 20060101ALI20241203BHJP
F16C 33/78 20060101ALI20241203BHJP
F16J 15/28 20060101ALI20241203BHJP
F16J 15/16 20060101ALI20241203BHJP
C10M 169/04 20060101ALI20241203BHJP
C10M 169/02 20060101ALI20241203BHJP
H02K 5/173 20060101ALI20241203BHJP
C10N 50/10 20060101ALN20241203BHJP
C10N 30/14 20060101ALN20241203BHJP
C10N 30/06 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
F16C33/66 Z
F16C19/06
F16C33/41
F16C33/78 Z
F16J15/28
F16J15/16 B
C10M169/04
C10M169/02
H02K5/173 A
C10N50:10
C10N30:14
C10N30:06
(21)【出願番号】P 2021025964
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅井 佑介
(72)【発明者】
【氏名】富内 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 宏
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-150615(JP,A)
【文献】特開2014-129872(JP,A)
【文献】特開2018-016687(JP,A)
【文献】特開平07-179879(JP,A)
【文献】特開2018-145897(JP,A)
【文献】特開平11-022740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/66
F16C 19/06
F16C 33/41
F16C 33/78
F16J 15/28
F16J 15/16
C10M 169/04
C10M 169/02
H02K 5/173
C10N 50/10
C10N 30/14
C10N 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外輪と、
前記外輪の内周側に配置された内輪と、
前記外輪の軌道溝と前記内輪の軌道溝との間に設けられた複数の転動体と、
前記転動体を回転可能に保持するポケットを備えた保持器と、
前記外輪および前記内輪で囲まれた軸受空間に配置されたグリースと、
を備え、
前記グリースは、前記軸受空間のうち、前記複数の転動体を挟んで軸方向の一方側と前記軸方向の他方側との双方において、前記外輪の内周面側に充填され、
前記グリースは、温度が25℃、周波数が1Hz、ひずみ量が0.07(固定)%の条件で測定した時の損失正接が0.1以上0.2以下の値であり、
基油として合成炭化水素油
のみと、ウレア系増ちょう剤
と、リン系摩擦調整剤
とを含み、
さらに、前記外輪の軌道溝および前記内輪の軌道溝に、防錆油が付着しており、
前記防錆油は、
基油として合成炭化水素油
のみと、リン系摩擦調整剤
とを含む
転がり軸受。
【請求項2】
前記軸方向の一端側で、前記外輪と前記内輪との間を塞ぐ、一方のシールド板と、
前記軸方向の他端側で、前記外輪と前記内輪との間を塞ぐ、他方のシールド板と、
をさらに備え、
前記軸受空間は、前記外輪、前記内輪、前記一方のシールド板および前記他方のシールド板で囲まれ、
前記グリースは、前記軸受空間のうち、前記外輪の内周面と前記一方のシールド板とで形成される一方の隅部と、前記外輪の内周面と前記他方のシールド板とで形成される他方の隅部とに配置されている
請求項1に記載の転がり軸受。
【請求項3】
前記保持器が、冠型保持器であり、前記軸方向の一端側に前記複数の転動体をそれぞれ収納する複数の開口部を有し、前記軸方向の他端側に非開口部を有する
請求項1または2に記載の転がり軸受。
【請求項4】
前記保持器が、冠型保持器であり、前記軸方向の一端側に前記複数の転動体をそれぞれ収納する複数の開口部を有し、前記軸方向の他端側に非開口部を有し、
前記開口部側の前記一方の隅部に配置された前記グリースの量が、前記非開口部側の前記他方の隅部に配置された前記グリースの量と同じであるか、または、前記開口部側の前記一方の隅部に配置された前記グリースの量が、前記非開口部側の前記他方の隅部に配置された前記グリースの量よりも少ない
請求項2に記載の転がり軸受。
【請求項5】
前記グリースは円環状である
請求項4に記載の転がり軸受。
【請求項6】
前記グリースの全容積量を100%としたときに、前記一方の隅部に配置される前記グリースの容積は20%以上60%以下の範囲であり、前記他方の隅部に配置される前記グリースの容積は40%以上80%以下の範囲である、
請求項4または5に記載の転がり軸受。
【請求項7】
前記軸受空間の空間容積を100%としたときに、前記一方の隅部および前記他方の隅部に配置される前記グリースの容積は、合計で5%以上20%以下である
請求項1~6のいずれか1項に記載の転がり軸受。
【請求項8】
前記防錆油が、さらに硫黄系防錆添加剤を含む
請求項1~7のいずれか1項に記載の転がり軸受。
【請求項9】
一対の請求項1~8のいずれか1項に記載の転がり軸受と、前記転がり軸受のそれぞれに予圧を付与するばねと、前記一対の転がり軸受を包囲するスリーブとを有し、
前記一対の転がり軸受における前記外輪の外周面は、前記スリーブに固着されている、
軸受装置。
【請求項10】
シャフトと、前記シャフトに取り付けられたロータコアおよび請求項9に記載の軸受装置とを有する、
モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受、軸受装置およびモータに関する。
【背景技術】
【0002】
玉軸受等の転がり軸受には、通常、内輪、外輪、転動体および保持器の潤滑性能を高めるため、内輪と外輪との間の軸受空間にグリースが保持されている。特許文献1には、冠型保持器の開口部側に、内輪および外輪の軌道面に触れないようにグリースを配置する軸受が記載されている。
【0003】
ところで、複数の軸受に対してスリーブおよびシャフトが接着されている軸受カートリッジは、複数の軸受の同軸度が高いため高速回転用途に有利である(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-129872号公報
【文献】特開2010-196707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、軸受カートリッジの軸受において、特許文献1のように、冠型保持器の開口部側にグリースを配置した軸受を用いると、トルクが高く、高速で回転させると寿命が短いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、トルクが低く、高速で回転させても寿命が長い転がり軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る転がり軸受は、外輪と、上記外輪の内周側に配置された内輪と、上記外輪の軌道溝と上記内輪の軌道溝との間に設けられた複数の転動体と、上記転動体を回転可能に保持するポケットを備えた保持器と、上記外輪および上記内輪で囲まれた軸受空間に配置されたグリースと、を備え、上記グリースは、上記軸受空間のうち、上記複数の転動体を挟んで軸方向の一方側と上記軸方向の他方側との双方において、上記外輪の内周面側に充填され、上記グリースは、温度が25℃、周波数が1Hz、ひずみ量が0.07(固定)%の条件で測定した時の損失正接が0.1以上0.2以下の値であり、合成炭化水素油、ウレア系増ちょう剤およびリン系摩擦調整剤を含み、さらに、上記外輪の軌道溝および上記内輪の軌道溝に、防錆油が付着しており、上記防錆油は、合成炭化水素油およびリン系摩擦調整剤を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、トルクが低く、高速で回転させても寿命が長い転がり軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る転がり軸受における冠型保持器の非開口部側の一部破断平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る転がり軸受における冠型保持器の開口部側の一部破断平面図である。
【
図4】
図4は、変形例に係る転がり軸受における冠型保持器の非開口部側の一部平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により何ら限定されるものではない。
【0011】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0012】
<転がり軸受>
図1は、実施形態に係る転がり軸受における冠型保持器の非開口部側の一部破断平面図である。
図2は、実施形態に係る転がり軸受における冠型保持器の開口部側の一部破断平面図である。
図3は、
図1の縦断面図である。転がり軸受1は、外輪2と、外輪2の内周側に配置された内輪3と、複数の転動体4と、保持器5とを有し、グリース6が配置されている。複数の転動体4は、外輪2の軌道溝21と内輪3の軌道溝31との間に設けられている。保持器5は、転動体4を回転可能に保持するポケットを備える。グリース6は、外輪2および内輪3で囲まれた軸受空間Sに配置されている。また、グリース6は、軸受空間Sのうち、複数の転動体4を挟んで軸方向の一方側と軸方向の他方側との双方において、外輪2の内周面側に充填されている。
【0013】
さらに、転がり軸受1は、軸方向の一端側で、外輪2と内輪3との間を塞ぐ、一方のシールド板71と、軸方向の他端側で、外輪2と内輪3との間を塞ぐ、他方のシールド板72とを備える。したがって、軸受空間Sは、外輪2、内輪3、一方のシールド板71および他方のシールド板72で囲まれている。また、グリース6は、軸受空間Sのうち、外輪2の内周面と一方のシールド板71とで形成される一方の隅部X1と、外輪2の内周面と他方のシールド板72とで形成される他方の隅部X2とに配置されている。
【0014】
具体的には、外輪2は、鋼材などの金属材料からなる。軌道溝21は、外輪2の内周面に円周方向に延びるように形成されている。この軌道溝21の表面は軌道面を構成している。また、内輪3は、鋼材などの金属材料からなる。軌道溝31は、内輪3の外周面に円周方向に延びるように形成されている。この軌道溝31の表面は軌道面を構成している。
【0015】
転動体4は、鋼材などの金属材料からなる。軌道溝21と軌道溝31とは軌道を構成しており、転動体4は軌道溝21、31の軌道面に接触しながら軌道を転動する。なお、
図1、
図2では、転動体4の数は8であるが、転動体4の数は特に限定されない。
【0016】
保持器5は、合成樹脂製または金属製の冠型保持器であり、複数の転動体4を軌道内に等間隔に配置する。また、保持器5は、軸方向の一端側に複数の転動体4をそれぞれ収納する複数の開口部51(ポケット)を有し、軸方向の他端側に非開口部52を有する。
【0017】
一方および他方のシールド板71、72は、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板、ゴム板などからなる略円環形状の板材である。一方および他方のシールド板71、72は、それぞれの外周部で外輪2に取り付けられている。具体的には、外輪2の各内周縁部にはそれぞれ取付溝8が形成されており、一方および他方のシールド板71、72は、その外周部が各取付溝8内に収容され、止輪9によって固定されている。一方、一方および他方のシールド板71、72は、その内周部が内輪3の直近まで延びている。これにより、一方および他方のシールド板71、72は、外輪2と内輪3との間を覆い、転動体4およびグリース7を保護する。なお、転がり軸受1では、一方および他方のシールド板71、72と内輪3とが離間しているため、外輪2に対して内輪3が相対回転する場合は、内輪3の振動は一方および他方のシールド板71、72へ伝搬し難い。その結果、グリース6の形状や位置の保持性がより一層向上する。
【0018】
なお、上記のように、軸受空間Sは、外輪2、内輪3、一方のシールド板71および他方のシールド板72で囲まれている空間である。具体的には、軸受空間Sは、外輪2および内輪3とともに、一方のシールド板71の内周部の端部を内輪3まで延長した面、および他方のシールド板72の内周部の端部を内輪3まで延長した面で囲まれている空間である。
【0019】
グリース6は、より具体的には、隅部X1(保持器5の開口部側)および隅部X2(保持器5の非開口部側)において、内輪3の外周面に接触しないように、外輪2の内周面側に偏って、かつ円周方向に沿って連続する円環状となるように充填されている。また、グリース6は、外輪2の軌道溝21および内輪3の軌道溝31から離れて保持されている。
【0020】
転がり軸受1では、グリース6が隅部X1、X2において上記のように配置されているため、転動体4が転動すると、転動体4はグリース6にわずかに接触してグリース6の一部を取り去る。さらに、取り去られたグリース6は、外輪2の軌道溝21、保持器5および内輪3の軌道溝31と、転動体4との接触面にも適切な量で供給される。これにより、これらの接触面が良好に潤滑されるとともに、外輪2と内輪3との回転に伴うグリース6の撹拌が最小限になるため、トルクが低減される。したがって、転がり軸受の寿命は長くなる。ここで、グリース6が隅部X2のみでなく、隅部X1においても上記のように配置されているため、トルク安定化までの時間を短縮できる。
【0021】
また、通常、転がり軸受が回転すると、保持器には、回転に伴って遠心力が発生する。冠型保持器の場合は、回転周方向への広がりのみならず、非開口部側の方向に変形移動し、シールド板に接触することがある。この接触により、摩耗が発生して、転がり軸受が短寿命となったり騒音が発生したりすることがある。特に小径玉軸受けの外径22mm以下のベアリングであり、とりわけ外径13mm以下のベアリングにおいては、高速回転(たとえば15万rpm以上)の際には、このような問題が顕著となる。これに対して、転がり軸受1では、グリース6が隅部X2において上記のように配置されているため、保持器5と他方のシールド板72との間での摩耗が抑えられる。したがって、高速回転の際にも、転がり軸受の寿命は長くなり、騒音の発生も抑えられる。
【0022】
以上のように、転がり軸受1では、グリース6が隅部X1、X2において上記のように配置されているため、高速回転(たとえば15万rpm以上)の際にも、寿命を長くできる。
【0023】
なお、グリース6は、外輪2の内周面から内輪3の外周面の近傍まで充填した場合は、充分な量を保持できるため、より長期にわたって良好な潤滑性能を維持できる。また、グリース6は、連続して円環状に充填されているため、充填が簡単であり、充填の自動化も容易である。
【0024】
また、グリース6は、所定の測定条件、すなわち温度が25℃、周波数が1Hz、ひずみ量が0.07(固定)%の条件で測定した時の損失正接tanδが、0.1以上0.2以下の値である。これにより、回転トルクの低減と長期にわたる良好な潤滑性能の維持とをより好適に両立できる。
【0025】
具体的には、損失正接tanδが0.2以下であることで、転動体4がグリース6にわずかに接触したときに取り去られるグリース6の量が適切となる。しかし、損失正接tanδが0.2より大きいと、グリースの粘性が高くなり、グリースがボールに引き摺られてしまうため、転動体の一回の接触あたりに取り去られるグリースの量が多くなり、供給過多となる懸念がある。このため、回転トルクが増大するとともに、グリースが早く減少するため、良好な潤滑性能を維持できる期間も短くなる。一方、損失正接tanδが0.1より小さいと、グリースの弾性が高くなるため、外輪と内輪との間の軸受空間にグリースを適正な量および形状で充填し難くなる。また、損失正接tanδが上記範囲内にあると、上述したグリース6の配置を維持しやすくなる。上記理由により、グリース6の損失正接tanδは、0.1以上0.2以下の値であることが好ましい。
【0026】
また、グリース6は、損失正接tanδが上記範囲内にあるとともに、合成炭化水素油、ウレア系増ちょう剤およびリン系摩擦調整剤(リン含有摩擦調整剤)を含む。
【0027】
合成炭化水素油は、転がり軸受におけるトルクの低減および長寿命化の観点から、基油として好適に用いられる。合成炭化水素油としては、たとえばノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1-デセンオリゴマー、1-デセントエチレンオリゴマーなどのポリアルファオレフィンが挙げられる。合成炭化水素油は、単独または混合して使用できる。グリース100wt%における合成炭化水素油の含有量は、たとえば70wt%以上90wt%以下の範囲であるが、上記損失正接tanδの範囲を実現できれば特に限定されない。
【0028】
ウレア系増ちょう剤は、耐熱性および静音性の点から好適に用いられる。グリース100wt%におけるウレア系増ちょう剤の含有量は、たとえば10wt%以上30wt%以下の範囲であるが、上記損失正接tanδの範囲を実現できれば特に限定されない。
【0029】
ウレア系増ちょう剤としては、ジウレア化合物、トリウレア化合物、ポリウレア化合物などのウレア化合物を使用できる。ウレア化合物は、単独または混合して使用できる。特に、耐熱性および静音性の点から、ジウレア化合物が好ましい。ジウレア化合物は、下記式(1)で示すことができる。
R1-NHCONH-R2-NHCONH-R3 (1)
ここで、R1、R3は脂肪族炭化水素基でも脂環族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、炭素数に特に限定はない。R2は、芳香族炭化水素基であり、フェニル基が1個もしくは2個置換したものである。これらを合成する際に使用する原料には、アミン化合物およびイソシアネート化合物を用いる。アミン化合物として、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキアデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンなどに代表される脂肪族アミンや、ヘキシルアミンなどに代表される脂環式アミンの他に、アニリン、p-トルイジン、エトキシフェニルアミンなどに代表される芳香族アミンが用いられる。イソシアネート化合物として、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネートが用いられる。脂肪族アミンおよび芳香族アミンをアミン原料に用いて、芳香族イソシアネートとで合成する脂肪-芳香族ジウレア化合物(脂肪族芳香族ジウレア化合物)を用いることが好ましい。いいかえると、ジウレア化合物は、R1、R3は脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、R2は、芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0030】
リン系摩擦調整剤は、転がり軸受における長寿命化の観点から好適に用いられる。リン系摩擦調整剤としては、たとえばトリクレジルホスフェート(TCP)、トリフェニルホスホロチオエート(TPPT)等のリン酸エステル、亜リン酸エステル、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)等のチオリン酸塩が挙げられる。リン系摩擦調整剤は、単独または混合して使用できる。グリース100wt%におけるリン系摩擦調整剤の含有量は、たとえば0.5wt%以上3.0wt%以下の範囲であるが、上記損失正接tanδの範囲を実現できれば特に限定されない。
【0031】
さらに、グリース6には、その他の添加剤として、分散剤、酸化防止剤、金属不活性剤、錆止め剤、油性剤、粘度指数向上剤などを必要に応じて含有させてもよい。
【0032】
さらに、転がり軸受1において、外輪2の軌道溝21および内輪3の軌道溝31に、防錆油が付着している。この防錆油は、合成炭化水素油およびリン系摩擦調整剤を含む。上記のようにグリースが配置されている転がり軸受の場合、軌道溝にグリースが配置されていないため、特に高速回転の際には、回転初期の潤滑性が悪く、軌道面、玉および保持器に摩耗が発生し、転がり軸受が短寿命になる懸念がある。これに対して、転がり軸受1では、上記部位に特定の防錆油が付着しているため、高速回転の際にも、回転初期の潤滑性が向上し、転がり軸受におけるトルクの低減および長寿命化が達成できる。なお、防錆油は、少なくとも軌道溝21、31に付着していればよく、転がり軸受1におけるその他の部位、たとえば、軌道溝21、31以外の外輪2および内輪3の内周面や外周面、保持器5に付着していてもよい。
【0033】
防錆油においても、上述したグリース6と同様に、基油として合成炭化水素油が好適に用いられる。なお、合成炭化水素油の詳細についても、グリース6のものと同様である。防錆油には、基油としてエステル系基油を用いるよりも、合成炭化水素油を用いた方が、リン系摩擦調整剤との相溶性が低いため、リン系摩擦調整剤が金属面に吸着しやすくなり、潤滑性を向上できる。また、回転初期の潤滑性向上の観点から、合成炭化水素油は、40℃での動粘度が30mm2/s以上であることが好ましい。防錆油100wt%における合成炭化水素油の含有量は、たとえば80wt%以上98wt%以下の範囲であることが好ましい。
【0034】
リン系摩擦調整剤は、潤滑性向上の観点から好適に用いられる。なお、リン系摩擦調整剤の詳細については、グリース6のものと同様である。防錆油100wt%におけるリン系摩擦調整剤の含有量は、たとえば0.5wt%以上3.0wt%以下の範囲であることが好ましい。
【0035】
防錆油は、硫黄系防錆添加剤を含んでいることが好ましい。硫黄系防錆添加剤は、単独または混合して使用できる。硫黄系防錆添加剤を用いる場合は、防錆油100wt%における硫黄系防錆添加剤の含有量は、たとえば0.5wt%以上3.0wt%以下の範囲であることが好ましい。なお、防錆油には、通常、摩擦調整剤および硫黄系防錆添加剤以外にもその他の添加剤が含まれている。
【0036】
さらに、転がり軸受1において、開口部51側の一方の隅部X1に配置されたグリース6の量が、非開口部52側の他方の隅部X2に配置されたグリース6の量と同じであることが好ましい。あるいは、開口部51側の一方の隅部X1に配置されたグリース6の量が、非開口部52側の他方の隅部X2に配置されたグリース6の量よりも少ないことが好ましい。これにより、高速回転の際にも、転がり軸受における、さらなるトルクの低減および長寿命化が達成できる。
【0037】
また、転がり軸受1において、軸受空間Sの空間容積を100%としたときに、一方の隅部X1および他方の隅部X2に配置されるグリース6の容積は、合計で5%以上20%以下の範囲であることが好ましく、7.5%以上12.5%以下であることがより好ましい。また、グリースの全容積量(一方の隅部X1および他方の隅部X2に配置されるグリース6の合計容積量)を100%としたときに、一方の隅部X1に配置されるグリース6の容積は20%以上60%以下の範囲であり、他方の隅部X2に配置されるグリース6の容積は40%以上80%以下の範囲であることが好ましい。これにより、高速回転の際にも、転がり軸受における、さらなるトルクの低減および長寿命化が達成できる。
【0038】
転がり軸受1は、たとえば以下のようにして作製できる。まず、外輪2、内輪3、転動体4および保持器5を組み合わせる。組み合わせた外輪2、内輪3、転動体4および保持器5を防錆油に浸漬する。次に、開口部51側および非開口部52側から、グリース6を充填する。グリース6を充填した後、外輪2の両端部に、一方および他方のシールド板71、72を取付ける。これにより、転がり軸受1が得られる。
【0039】
ここで、外輪2を固定して内輪3を回転させるように使用する場合について、転がり軸受1の動作をまとめて説明する。転がり軸受1の動作を開始すると、転動体4は軌道溝21と軌道溝31とにより構成される軌道を転動する。動作開始時には、グリース6は、軌道溝21および軌道溝31から離れて保持されている。しかしながら、軌道溝21および軌道溝31に付着している防錆油により、転動体4と軌道溝21および軌道溝31との間は好適に潤滑される。転動体4が転動し続けるにしたがって、転動体4はグリース6にわずかに接触してグリース6の一部を取り去っていく。さらに、取り去ったグリース6が外輪2の軌道溝21、保持器5および内輪3の軌道溝31と、転動体4との接触面にも適切な量で供給されていく。これにより、これらの接触面が良好に潤滑され続ける。また、隅部X2に配置されたグリース6により、保持器5と他方のシールド板72との間での摩耗も抑えられる。このようにして、転がり軸受におけるトルクの低減および長寿命化が達成できる。
【0040】
なお、転がり軸受1は、内輪3を固定して外輪2を回転させるように使用してもよい。この場合、外輪2の回転により、グリース6に遠心力が作用すると、グリース6は、外輪2側に移動しようとするので、内輪3に接触することがなく、回転トルクの増大を抑えられる利点がある。
【0041】
従来、転がり軸受では、グリースは一般的にグリースポケット上または軌道面に塗布されるため、初期トルクが高く安定せず高速回転に至らないといった問題がある。また、多量のグリースが塗布されているため、グリースが回転障害となる。これによる振動の発生に伴い軌道面や玉および保持器に摩耗が発生して、転がり軸受が短寿命になるといった問題がある。これに対して、上述のように、実施形態に係る転がり軸受では、特定のグリースおよび防錆油をそれぞれ特定の部位に配置しているため、高速回転の際にも、回転初期の潤滑性が向上し、転がり軸受におけるトルクの低減および長寿命化が達成できる。
【0042】
<変形例>
図4は、変形例に係る転がり軸受における冠型保持器の非開口部側の一部平面図である。実施形態に係る転がり軸受では、隅部X2において、グリース6を、外輪2に円周方向に沿って連続する円環状となるように配置している。しかしながら、
図4に示す転がり軸受1Aのように、隅部X2において、複数のグリース6Aを、外輪2に円周方向に沿って互いに離間するように配置してもよい。このとき、グリースの充填間隔および径方向での充填長さを調整することにより、軸受空間へのグリースの充填量を容易に制御できる。また、隅部X1においても、複数のグリース6Aを、外輪2に円周方向に沿って互いに離間して配置するように配置してもよい。なお、複数のグリース6Aは、離間している場合に限らず、互いに一部接触するように配置されてもよい。
【0043】
また、転がり軸受において、グリースは、軸受空間のうち、複数の転動体を挟んで軸方向の一方側と軸方向の他方側との双方において、外輪の内周面側に充填されていればよい。すなわち、一方および他方のシールド板71、72が設けられていなくてもよい。また、保持器は、冠型保持器に限らず、円環状保持器であってもよい。
【0044】
いずれの変形例においても、実施形態に係る転がり軸受と同様に、高速回転の際にも、回転初期の潤滑性が向上し、転がり軸受におけるトルクの低減および長寿命化が達成できる。
【0045】
<軸受装置およびモータ>
図5は、実施形態に係るモータの断面図である。モータ100は、シャフト101と、シャフト101に取り付けられたロータコア102および軸受装置103とを有する。軸受装置103は、一対の上述した転がり軸受1と、転がり軸受1のそれぞれに予圧を付与するばね104と、一対の転がり軸受1を包囲するスリーブ105とを有する。一対の転がり軸受1における外輪2の外周面は、スリーブ105に固着されている。また、一対の転がり軸受1における内輪3の内周面は、シャフト101に固着されている。このようなモータ100は、上述した転がり軸受1を有するため、高速回転用途に用いた場合も長寿命を達成できる。
【0046】
モータ100は、さらに羽根車106が取り付けられ、ロータ組立体を構成することができる。このロータ組立体は、高速回転用途、たとえばドライヤー、扇風機、加湿器のファン、掃除機などに好適に用いられる。
【0047】
[実施例]
<グリースおよび防錆油>
実施例および比較例では、下記グリースA~Eを作製し、その動的粘弾性の評価試験を行い、損失正接を求めた。
・グリースA:損失正接tanδ=0.15
基油としてPAO8(ポリαオレフィン、100℃における動粘度8mm2/s)81wt%、ウレア系増ちょう剤として脂肪-脂環式ウレア12wt%、およびリン系摩擦調整剤としてZnDTP 2wt%を含む。
・グリースB:損失正接tanδ=0.14
基油としてPAO8(ポリαオレフィン、100℃における動粘度8mm2/s)81wt%、ウレア系増ちょう剤として脂環式ウレア12wt%、およびリン系摩擦調整剤としてTCP 2wt%を含む。
・グリースC:損失正接tanδ=0.15
基油としてPAO8(ポリαオレフィン、100℃における動粘度8mm2/s)81wt%、ウレア系増ちょう剤として脂環式ウレア12wt%、およびリン系摩擦調整剤としてTPPT 2wt%を含む。
・グリースD:損失正接tanδ=0.15
基油としてPAO8(ポリαオレフィン、100℃における動粘度8mm2/s)83wt%、およびウレア系増ちょう剤として脂環式ウレア12wt%を含む。
・グリースE:損失正接tanδ=0.15
基油としてPET油(エステル油)81wt%、ウレア系増ちょう剤として脂肪-芳香族ウレア12wt%、およびリン系摩擦調整剤としてTCP 2wt%を含む。
【0048】
ここで、動的粘弾性の評価試験は下記の手順で行った。評価試験はレオメータとして、応力制御型のPaar Physica製のMCR300を用い周波数依存性測定を行った。上部プレートと下部プレート間にグリースを挟み、上部のプレートを一定のひずみ量で周波数を徐々に変化させていき、応答性を評価した。周波数依存性測定により、サンプルのネットワーク構造の時間的応答から力学的緩和時間の評価を行った。
測定条件は、ギャップを0.5mmに設定した直径25mmのパラレルプレート間に測定対象のグリースを挟み、温度が25℃、周波数が1Hz、ひずみ量が0.07(固定)%の条件にて測定を行い、貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G”)を測定した。また、貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G”)より、下記式(2)により損失正接tanδを算出した。損失正接tanδは、数値が大きいとその物質が粘性的で、小さいと弾性的であることを意味する。
損失正接tanδ=G”/G’ (2)
【0049】
また、下記防錆油I~IIを作製した。
・防錆油I:
基油としてPAO8(ポリαオレフィン、40℃における動粘度48mm2/s)93wt%、およびリン系摩擦調整剤としてZnDTP 2wt%を含む。
・防錆油II:
基油としてPET油(エステル油)93wt%、およびリン系摩擦調整剤としてZnDTP 2wt%を含む。
上記のサンプルにはいずれもその他添加剤として金属不活性剤・酸化防止剤・防錆剤を5%含む。
【0050】
[実施例1]
表1のようにグリースAおよび防錆油Iを用いて、
図1~3に示す転がり軸受1を得た。まず、外輪2、内輪3、転動体4および保持器5を組み合わせた。組み合わせた外輪2、内輪3、転動体4および保持器5を防錆油Iに塗布した。次に、開口部51側および非開口部52側から、グリースAを充填した。ここで、隅部X1、X2において、グリースAを、外輪2に円周方向に沿って連続する円環状となるように配置した。グリースAを充填した後、外輪2の両端部に、一方および他方のシールド板71、72(鋼シールド)を取付けた。
得られた転がり軸受1において、軸受空間Sの空間容積を100%としたときに、一方の隅部X1および他方の隅部X2に配置されるグリースAの容積は、合計で12.5%であった。また、充填したグリース全量を100wt%としたときに、開口部51側の一方の隅部X1に配置されたグリースAの量は60wt%であり、非開口部52側の他方の隅部X2に配置されたグリースAの量は40wt%であった。なお、外輪2の外周の径は13mmであり、内輪3の内周の径は8mmであり、軸方向の長さは4mmであった。
【0051】
[実施例2]
開口部51側の一方の隅部X1に配置されたグリースAの量と、非開口部52側の他方の隅部X2に配置されたグリースAの量とを変更した以外は、実施例1と同様にして転がり軸受1を得た。なお、充填したグリース全量を100wt%としたときに、開口部51側の一方の隅部X1に配置されたグリースAの量は50wt%であり、非開口部52側の他方の隅部X2に配置されたグリースAの量は50wt%であった。
【0052】
[実施例3]
開口部51側の一方の隅部X1に配置されたグリースAの量と、非開口部52側の他方の隅部X2に配置されたグリースAの量とを変更した以外は、実施例1と同様にして転がり軸受1を得た。なお、充填したグリース全量を100wt%としたときに、開口部51側の一方の隅部X1に配置されたグリースAの量は40wt%であり、非開口部52側の他方の隅部X2に配置されたグリースAの量は60wt%であった。
【0053】
[実施例4]
開口部51側の一方の隅部X1に配置されたグリースAの量と、非開口部52側の他方の隅部X2に配置されたグリースAの量とを変更した以外は、実施例1と同様にして転がり軸受1を得た。なお、充填したグリース全量を100wt%としたときに、開口部51側の一方の隅部X1に配置されたグリースAの量は20wt%であり、非開口部52側の他方の隅部X2に配置されたグリースAの量は80wt%であった。
【0054】
[実施例5]
グリースBを用いた以外は、実施例4と同様にして転がり軸受1を得た。
【0055】
[実施例6]
グリースCを用いた以外は、実施例4と同様にして転がり軸受1を得た。
【0056】
[比較例1]
表1のようにグリースAおよび防錆油Iを用いて、転がり軸受を得た。まず、外輪2、内輪3、転動体4および保持器5を組み合わせた。組み合わせた外輪2、内輪3、転動体4および保持器5を防錆油Iに浸漬した。次に、非開口部52側のみから、グリースAを充填した。ここで、隅部X2において、グリースAを、外輪2に円周方向に沿って連続する円環状となるように配置した。グリースAを充填した後、外輪2の両端部に、一方および他方のシールド板71、72(鋼シールド)を取付けた。
得られた転がり軸受1において、軸受空間Sの空間容積を100%としたときに、一方の隅部X1および他方の隅部X2に配置されるグリースAの容積は、合計で12.5%であった。また、充填したグリース全量を100wt%としたときに、開口部51側の一方の隅部X1に配置されたグリースAの量は0wt%であり、非開口部52側の他方の隅部X2に配置されたグリースAの量は100wt%であった。なお、外輪2の外周の径は13mmであり、内輪3の内周の径は8mmであり、軸方向の長さは4mmであった。
【0057】
[比較例2]
表1のようにグリースAおよび防錆油Iを用いて、転がり軸受を得た。まず、外輪2、内輪3、転動体4および保持器5を組み合わせた。組み合わせた外輪2、内輪3、転動体4および保持器5を防錆油Iに浸漬した。次に、開口部51側のみから、グリースAを充填した。ここで、隅部X1において、グリースAを、外輪2に円周方向に沿って連続する円環状となるように配置した。グリースAを充填した後、外輪2の両端部に、一方および他方のシールド板71、72(鋼シールド)を取付けた。
得られた転がり軸受1において、軸受空間Sの空間容積を100%としたときに、一方の隅部X1および他方の隅部X2に配置されるグリースAの容積は、合計で12.5%であった。また、充填したグリース全量を100wt%としたときに、開口部51側の一方の隅部X1に配置されたグリースAの量は100wt%であり、非開口部52側の他方の隅部X2に配置されたグリースAの量は0wt%であった。なお、外輪2の外周の径は13mmであり、内輪3の内周の径は8mmであり、軸方向の長さは4mmであった。
【0058】
[比較例3]
グリースAおよび防錆油IIを用いた以外は、実施例4と同様にして転がり軸受を得た。
【0059】
[比較例4]
グリースDおよび防錆油Iを用いた以外は、実施例4と同様にして転がり軸受を得た。
【0060】
[比較例5]
グリースEおよび防錆油IIを用いた以外は、実施例4と同様にして転がり軸受を得た。
【0061】
[比較例6]
表1のようにグリースAおよび防錆油Iを用いて、転がり軸受を得た。まず、外輪2、内輪3、転動体4および保持器5を組み合わせた。組み合わせた外輪2、内輪3、転動体4および保持器5を防錆油Iに浸漬した。次に、転送部および保持器のグリースポケットに、グリースAを充填した後、外輪2の両端部に、一方および他方のシールド板71、72を取付けた。
得られた転がり軸受1において、軸受空間Sの空間容積を100%としたときに、グリースAの容積は、12.5%であった。なお、外輪2の外周の径は13mmであり、内輪3の内周の径は8mmであり、軸方向の長さは4mmであった。
【0062】
<評価方法および評価結果>
・寿命特性
転がり軸受を試験用モータにより内輪回転するようにして室温で回転させた。軸方向の予圧Faは12Nとした。回転数は150,000rpmとした。この条件で500時間以上回転を維持したものを合格(○)とした。一方500時間未満回転を維持したものを不合格(×)とした。
・トルク安定化時間
転がり軸受を試験用モータにより内輪回転するようにして室温で回転させた。軸方向の予圧Faは12Nとした。規定回転数(150,000rpm)まで上昇するのにかかる時間を測定した。このトルク安定化時間が300秒以下のものを合格(○)とした。一方、300秒を超えるものを不合格(×)とした。
表1に評価結果を示す。
【0063】
【符号の説明】
【0064】
1、1A:転がり軸受、2:外輪、21:軌道溝、3:内輪、31:軌道溝、4:転動体、5:保持器、51:開口部、52:非開口部、6、6A:グリース、71:一方のシールド板、72:他方のシールド板、8:取付溝、9:止輪、100:モータ、101:シャフト、102:ロータコア、103:軸受装置、104:ばね、105:スリーブ、106:羽根車