(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】建物用シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20241203BHJP
E06B 9/58 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
E06B9/17 W
E06B9/58 A
(21)【出願番号】P 2021030048
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2024-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】山藤 義広
(72)【発明者】
【氏名】田中 真由美
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-106544(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018104138(DE,A1)
【文献】特開2017-010346(JP,A)
【文献】特開2017-043902(JP,A)
【文献】特開2009-108485(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19930785(DE,A1)
【文献】特開2007-204972(JP,A)
【文献】特開2016-121468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/02
E06B 9/06-9/18
E06B 9/40-9/50
E06B 9/56-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物
の開口部の左右に設けられ、シャッターカーテンを昇降案内して開口部の開閉をするガイドレールと、
開口部
の上方および前方に配設され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体
と、
該巻き取り体の左右両端縁部を支持する状態で躯体側部材に取り付けられる左右のブラケットと
、
該ブラケット内に組み込まれ、ガイドレールの上端縁部に前後方向外方に向けて拡開形成されるガイド片部と、
該ガイド片部の下側に形成され、全開状態になって呑み込まれたシャッターカーテン最下端の座板が納まるマグサスペースと、
ガイド片部の前側に配され、巻き取り体から繰り出されるシャッターカーテンをガイド片部に誘導案内する案内ローラとを備え、
前記ブラケットを、巻き取り体
が支持
されるブラケット本体部と、該ブラケット本体部の下端縁部から折曲
される下側折曲片部とが備えられた構成にし、
前記マグサスペースが、下側折曲片部より上側の上側マグサスペースとなる上側仕様と、下側折曲片部より下側の下側マグサスペースとなる下側仕様との二つの仕様が設定された建物用シャッター装置において、
下側折曲片部に、左右のブラケット本体部に連結金具を介して支架される四角筒形状をした補強材の下側面部が取り付けられ、
該補強材に、前記案内ローラが取り付けられたものであって、
該補強材の取り付け位置を、上側仕様の方が下側仕様のものよりガイドレールに近接した後側の取り付け位置となるよう構成するにあたり、
案内ローラは、上側仕様では補強材の上側面部に取り付けられ、下側仕様では補強材の後側面部に取り付けられることで、補強材に対する取り付け高さが上側仕様の方が下側仕様のものより高位となるよう取り付けられ、
補強材は、下側折曲片部およびガイドレール本体部に対して、上側仕様の方が下側仕様に対してガイドレールに近接する後側の取り付け位置となるよう前後方向位置調節自在に取り付けるようにして、案内ローラのガイド片部に対する前後方向の配設位置が何れの仕様でも同一状態となるよう構成されていることを特徴とする建物用シャッター装置。
【請求項2】
下側折曲片部には、補強材の取り付け位置に対応して複数組みの取り付け孔が穿設されていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置。
【請求項3】
連結金具は、前記上側面部、前側面部に当接する上側片部、前側片部を備えた連結基部と、上側片部から上方に延出していてブラケット本体部に連結される連結片部とを備えて構成され、
前側片部が前後方向に向けて挿入する締結材を介して前側面部に締結されることを特徴とする請求項
1または2記載の建物用シャッター装置。
【請求項4】
連結片部のブラケット本体部に対する連結は、ネジ部のボルト頭側部位が角柱状になった角根ボルトを用いての締結であり、該角根ボルトは、ブラケット本体部に設けた四角形状の取り付け孔に回り止め状に挿入していることを特徴とする請求項
3記載の建物用シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建物用のシャッター装置を建て付けることがあるが、このようなシャッター装置は、開口部の左右に設けられるガイドレール、該ガイドレールに昇降案内されて開口部の開閉をするシャッターカーテン、開口部上方に配設され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体(巻き取りホイール、巻き取りドラム)、巻き取り体の左右両端部を支持する状態で躯体側部材に取り付けられる左右のブラケット、巻き取り体の回転を電動で行うものでは左右ブラケットの何れか一方のブラケットに設けられる電動式の開閉機等の各種の部材装置を用いて構成されている。
このようなシャッター装置において、前記ブラケットは、巻き取り体の端縁部に設けられる支軸の支持をするブラケット本体部と、該ブラケット本体部の下端縁部から折曲形成された折曲片部とを備えて構成し、そして左右の折曲片部間に補強材を支架して、シャッターカーテンを呑み込むマグサ部の補強をするようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでシャッター装置においては、巻き取り体から繰出されるシャッターカーテンを、ガイドレールの上端縁部に拡開状に形成されるガイド片部に円滑に案内するよう案内体(案内ローラ、スムーサー)を設けることがあり、この場合、案内体は前記補強材に取り付けられることが多い。
一方、シャッター装置では、同じシリーズ製品において、例えばシャッターケースを天井板内に収容した天井納まりのものと、天井板がなく、シャッターケースが外部に露出する露出納まりの仕様のように複数の仕様が設定されるものがあるが、この場合、シャッターカーテンをシャッターケース内に呑み込むため設けられるマグサ部の配設位置が、前記ブラケットの折曲片部に対して下側か上側かで相違することになり、このようにマグサ部配設位置が上下相違した場合、ガイドレールのガイド片部の位置も上下相違することになり、これに伴い案内体も上下に変位させた配置にする必要があり、このためには、例えば各専用の案内体が必要になって部品点数が多くなる等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、建物の開口部の左右に設けられ、シャッターカーテンを昇降案内して開口部の開閉をするガイドレールと、開口部の上方および前方に配設され、シャッターカーテンが巻装される巻き取り体と、該巻き取り体の左右両端縁部を支持する状態で躯体側部材に取り付けられる左右のブラケットと、該ブラケット内に組み込まれ、ガイドレールの上端縁部に前後方向外方に向けて拡開形成されるガイド片部と、該ガイド片部の下側に形成され、全開状態になって呑み込まれたシャッターカーテン最下端の座板が納まるマグサスペースと、ガイド片部の前側に配され、巻き取り体から繰り出されるシャッターカーテンをガイド片部に誘導案内する案内ローラとを備え、前記ブラケットを、巻き取り体が支持されるブラケット本体部と、該ブラケット本体部の下端縁部から折曲される下側折曲片部とが備えられた構成にし、前記マグサスペースが、下側折曲片部より上側の上側マグサスペースとなる上側仕様と、下側折曲片部より下側の下側マグサスペースとなる下側仕様との二つの仕様が設定された建物用シャッター装置において、下側折曲片部に、左右のブラケット本体部に連結金具を介して支架される四角筒形状をした補強材の下側面部が取り付けられ、該補強材に、前記案内ローラが取り付けられたものであって、該補強材の取り付け位置を、上側仕様の方が下側仕様のものよりガイドレールに近接した後側の取り付け位置となるよう構成するにあたり、案内ローラは、上側仕様では補強材の上側面部に取り付けられ、下側仕様では補強材の後側面部に取り付けられることで、補強材に対する取り付け高さが上側仕様の方が下側仕様のものより高位となるよう取り付けられ、補強材は、下側折曲片部およびガイドレール本体部に対して、上側仕様の方が下側仕様に対してガイドレールに近接する後側の取り付け位置となるよう前後方向位置調節自在に取り付けるようにして、案内ローラのガイド片部に対する前後方向の配設位置が何れの仕様でも同一状態となるよう構成されていることを特徴とする建物用シャッター装置である。
請求項2の発明は、下側折曲片部には、補強材の取り付け位置に対応して複数組みの取り付け孔が穿設されていることを特徴とする請求項1記載の建物用シャッター装置である。
請求項3の発明は、連結金具は、前記上側面部、前側面部に当接する上側片部、前側片部を備えた連結基部と、上側片部から上方に延出していてブラケット本体部に連結される連結片部とを備えて構成され、前側片部が前後方向に向けて挿入する締結材を介して前側面部に締結されることを特徴とする請求項1または2記載の建物用シャッター装置である。
請求項4の発明は、連結片部のブラケット本体部に対する連結は、ネジ部のボルト頭側部位が角柱状になった角根ボルトを用いての締結であり、該角根ボルトは、ブラケット本体部に設けた四角形状の取り付け孔に回り止め状に挿入していることを特徴とする請求項3記載の建物用シャッター装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、巻き取り体が支持される左右ブラケットの下端縁部に設けた下側折曲片部に補強材を取り付けるに際し、該補強材が前後方向位置調節自在に取り付けられることになる結果、仕様に対応した補強材の取り付けが任意にできることになる。
しかもシャッターカーテンが全開状態になった状態での座板位置が、前記下側折曲片部より上側のマグサスペースに納まる上側仕様と下側のマグサスペースに納まる下側仕様とに異なっていることで、補強材の下側折曲片部に対する取り付け位置が異なっていたとしても、これに対応した取り付け孔が形成されたものとなって仕様に対応した補強材の取り付けが確実にできることになる。
請求項2の発明とすることにより、補強材の前後方向位置調節自在の取り付けが、仕様に対応した複数組みの取り付け孔があることで精度良く簡単にできることになる。
請求項3の発明とすることにより、補強材を、さらにブラケット本体部に連結金具を介して連結する場合に、該連結金具は前後方向に向けて挿入する締結材を介して補強材に連結されることになる結果、補強材は、前記下側折曲片部に連結されることとが相俟って強固な取り付けがなされることになる。
請求項4の発明とすることにより、補強材をブラケット本体部に連結するにあたり、締結材として回り止めがなされる角根ボルトを用いる結果、ブラケット本体部が壁等の躯体側部材に近接していてスパナ等の工具による回り止め支持ができないところであっても確実な締結ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】天井内納まり仕様において木製支柱に貫通ボルトで緊締した駆動側ブラケット部位の側面図である。
【
図3】露出納まり仕様において木製支柱に貫通ボルトで緊締した駆動側ブラケット部位の側面図である。
【
図4】天井内納まり仕様において木製支柱にビスで緊締した駆動側ブラケット部位の側面図である。
【
図5】露出納まり仕様において木製支柱にビスで緊締した駆動側ブラケット部位の側面図である。
【
図6】天井内納まり仕様において鋼製支柱にビスで緊締した駆動側ブラケット部位の側面図である。
【
図7】露出納まり仕様において鋼製支柱にビスで緊締した駆動側ブラケット部位の側面図である。
【
図8】(A)(B)(C)は駆動側ブラケットの側面図、部分切欠き正面図、底面図である。
【
図9】(A)(B)(C)は従動側ブラケットの側面図、部分切欠き背面図、底面図である。
【
図10】天井内納まり仕様におけるマグサ部位の拡大側面図である。
【
図11】露出納まり仕様におけるマグサ部位の拡大側面図である。
【
図12】露出納まり仕様のマグサ部位の正面図である。
【
図13】(A)(B)(C)は連結金具の側面図、正面図、平面図である。
【
図14】(A)(B)はブラケットを貫通ボルトを用いて木製支柱に締結した場合の浅溝ガイドレール、深溝ガイドレールの取り付け状態を示す要部平面図である。
【
図15】(A)(B)はブラケットをビスを用いて木製支柱に締結した場合の浅溝ガイドレール、深溝ガイドレールの取り付け状態を示す要部平面図である。
【
図16】(A)(B)はブラケットをビスを用いて鋼製支柱に締結した場合の浅溝ガイドレール、深溝ガイドレールの取り付け状態を示す要部平面図である。
【
図17】(A)(B)はブラケットを貫通ボルトを用いて木製支柱に締結した場合の浅溝ガイドレール、深溝ガイドレールの取り付け状態、ブラケットの締結位置を示す要部の平面図、正面図である。
【
図18】(A)(B)はブラケットをビスを用いて木製支柱に締結した場合の浅溝ガイドレール、深溝ガイドレールの取り付け状態、ブラケットの締結位置を示す要部の平面図、正面図である。
【
図19】(A)(B)はブラケットをビスを用いて鋼製支柱に締結した場合の浅溝ガイドレール、深溝ガイドレールの取り付け状態、ブラケットの締結位置を示す要部の平面図、正面図である。
【
図20】(A)(B)(C)は第二の実施の形態を示す駆動側ブラケットの側面図、正面断面図、底面図である。
【
図21】(A)(B)はブラケットをビスを用いて木製支柱に締結した場合の浅溝ガイドレール、深溝ガイドレールの取り付け状態、ブラケットの締結位置を示す要部の平面図、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は建物用のシャッター装置であって、該シャッター装置1は、建物の出入り口等の開口部Eの左右に設けられる後述する二組み(二種類)のガイドレール2、3、該ガイドレール2、3に昇降案内されて開口部Eの開閉をするシャッターカーテン4、開口部Eの上方に配され、シャッターカーテン4が巻装される巻き取り体(巻取りホイール、巻取りドラム)5、該巻き取り体5の左右両端縁部を支持する駆動側、従動側ブラケット6、7、駆動側ブラケット6側に取り付けられ、巻き取り体5を回転駆動するための電動式の開閉機8等の各種の部材装置を用いて構成され、開閉機8の正逆駆動に連動した巻き取り体5の回転によりシャッターカーテン4がガイドレール2、3に案内されて開口部の開閉をするようになっていること等は何れも従来通りである。
【0009】
前記二種類のガイドレール2、3は、例えば
図14に示すように何れも凹溝状になったガイド溝Xが形成されるが、一方のガイドレール2は、ガイド溝Xの溝開口を形成する左右方向内側の開口片部2aから左右方向外側の溝底片部(レール外端片部)2bに至るまでの左右方向のレール幅が小さく(狭く)、ガイド溝Xの溝深さが浅い設定のものであり、他方のガイドレール3は、開口片部3aから溝底片部3bに至るまでの左右方向のレール幅が大きく(広く)、ガイド溝Xの溝深さが前記ガイドレール2より深い設定のものであり、これらはシャッターカーテン4の左右幅の大小によって使い分けられるものであって、本実施の形態では前記左右幅が異なった二組みのガイドレール2、3が設定されたものとなっているが、必要において三組み以上の設定をしたものであってもよいことは言うまでもない。
【0010】
因みにシャッターカーテン4は、左右幅が大きいほど強風を受けたときの撓み量が大きくなって左右端縁部の移動量が大きくガイドレール2、3から抜けやすいものとなる。そこでシャッターカーテン4がガイドレール2、3から抜け出るのを回避するため、ガイドレール2、3を、シャッターカーテン4の左右幅が小さいものについては溝深さが浅いガイドレール2を採用し、大きいものについては溝深さが深いガイドレール3を採用することにし、この様に使い分けることによって、シャッターカーテン4の左右端縁部のガイド溝Xに対する呑み込み代(呑み込み量、嵌入深さ)を、シャッターカーテン4の左右幅が小さいものについては浅くし、大きいものについては深くなるようにし、これによってシャッターカーテン4が強風を受けて撓んだ場合のガイドレール2、3から抜け出ることに対する一つの配慮をしている。そして以降の説明において、これらガイドレール2、3を「溝浅ガイドレール2」「溝深ガイドレール3」として記載する。
【0011】
前記両ブラケット6、7は四角板形状をしたブラケット本体部6a、7aと、その四周縁部から左右方向内側に折曲された上下前後の折曲片部6b~6e、7b~7eとを備えたものとして形成されるが、そのうちの前後方向後側(開口部E側)である後側(開口側)折曲片部6e、7eが、ブラケット6、7を躯体側部材の一例である縦支柱9に取り付けられる。
【0012】
また前記ブラケット6、7は、前側折曲片部6d、7dの上下両端縁部間、後側折曲片部6e、7eの上側部部位間、そして下側折曲片部6c、7cの後側部位間に、第一~第四の補強材(補強フレーム)10、11、12、13が架橋状に設けられており、そしてこれら各補強材10、11、12、13は、各対応する折曲片部6b~6e、7b~7eにビス14aを介して取り付けられている。
さらに本実施の形態においては、第一~第四の補強材10、11、12、13に上側および前側のケース板14b、そして下側ケース板14cが組み付けられており、これによってシャッターケース14が構成されている。この場合に、これらケース板14b、14cの第一、第二、第四補強材10、11、13への締結はビス14dを介して行われるが、第三補強材12については躯体側部材である横支柱9aにも固定されるものであり、そして第三補強材12、および該第三補強材12と上側ケース板14bの横支柱9aへの締結は、
図2~5に示されるように横支柱9aが木材である場合にはビス(コーススレッド)14eを介して行われるが、
図6、7に示されるように横支柱9aが鋼材である場合にはビス14dを介して行われるように構成される。
【0013】
そして、前述した後側折曲片部(本発明の「開口側折曲片部」に相当する。)6eを縦支柱9に取り付ける構成、第四補強材13を下側折曲片部6cに取り付ける構成の詳細については後述する。
因みに駆動側ブラケット6には前記開閉機8が設けられるが、さらに駆動側ブラケット6側には、前記開閉機8に設けた駆動スプロケット8aに無端の伝動チエン8bを介して連動連結される従動スプロケット15が配されるが、該従動スプロケット15と巻き取り体5とは一体回動する状態で連結され、この連結されたものが、ブラケット本体6aに一体的に設けられる支軸部5aに回転自在に軸支されており、これによって巻き取り体5は、開閉機8の駆動に基づいて正逆回転するようブラケット6に対して回転自在に軸支される。
この場合に駆動側ブラケット6として、例えばシャッターカーテン4の巻き取り量が大きいもの(シャッターカーテン4の上下長さが長いものや左右幅が大きいもの)については開閉機8に対する負荷が大きくなり、そのための負荷軽減を考慮して従動スプロケット15aを大径にする場合があり、このものについては
図20の第二の実施例として図示し、後述することにする。
【0014】
そしてこのように構成される左右ブラケット6、7には、後側折曲片部6e、7eの下側部位にガイドレール2、3の上端縁部に上側ほど拡開するよう形成されたガイド片部2c、3cが嵌入状に組み込まれ、該ガイド片部2c、3cの下側に、全開状態になったシャッターカーテン4の最下端に設けられる座板4aを呑み込むため下記二つの仕様のマグサ部17、18が形成される。
この場合に一方のマグサ部17は、下側ケース板14cの下方に天井板19が設けられるものであって、該天井板19とシャッターケース14とのあいだに形成される天井内納まり仕様(下側仕様)のものであり、他方のマグサ部18は、天井板19がなくシャッターケース14が露出していて外観視で直接視認されるものであって、下側ケース板14cの上側に形成される露出納まり仕様(上側仕様)のものであり、以下、これらの仕様のマグサ部17、18を「天井内マグサ部17」「露出マグサ部18」と記載して区別するものとする。
【0015】
そして前記天井内マグサ部17を備えた天井内納まり仕様のものは、
図2、4、6に示すように天井内マグサ部17は、下側折曲片部6cよりも下側、つまりシャッターケース14の下側ケース板14cと、該下側ケース板14cの下側の天井板19とのあいだに形成されるものであり、そして前記座板4aは、シャッターカーテン4が全開姿勢になった状態で、下側折曲片部6cの下側に配した天井内マグサ部17により形成される下側のマグサスペースSdに呑み込まれる(収容される、納まる)ことになり、この呑み込み状態では座板4aの下端縁部が天井板19と略面一の状態となるように構成される。
これに対して露出マグサ18を備えた露出納まり仕様のものである場合、
図3、5、7に示すように、天井板19がなくシャッターケース14が外部に露出するものとなっており、そして露出マグサ部18は、下側折曲片部6cの上側のシャッターケース14内に形成されたものとなっており、この結果、座板4aは、シャッターカーテン4が全開姿勢になった状態で、下側折曲片部6cの上側に配した上側のマグサスペースSuに呑み込まれる(収容される、納まる)ことになり、この呑み込み状態では座板4aの下端縁部が下側ケース板14cと略面一の状態となるように構成される。
【0016】
そしてこのように露出マグサ部18を備えた露出納まり仕様と天井内マグサ部17を備えた天井内納まり仕様との仕様違いの設定をした場合、シャッターカーテン4の全開姿勢において座板4aが納まる(呑み込まれる)部位が、下側ケース板14cを基準として上側マグサスペースSuか下側マグサスペースSdかの上下の相違が生じるが、この相違があることにより、ガイドレール2の上端縁部に拡開状に形成されるガイド片部2c、3cについても、下側ケース板14c(下側折曲片部6c)に対する配設位置が上下異なることになる。
【0017】
一方で、巻き取り体5からガイドレール2、3に繰出されるシャッターカーテン4を前記ガイド片部2c、3cに誘導案内するため、両マグサ部17、18の上方に案内ローラ(案内体、スムーサー)20を配設することになるが、この案内ローラ20の配設についても、前記仕様違いによって生じるガイド片部2c、3cの上下配設位置によって異ならしめる必要がある。
因みに本実施の形態のガイド片部2c、3cは、上側ほど前後方向外方および左右方向外方に拡開状に形成されたものであり、また案内ローラ20は、ガイド片部2c、3cよりも左右方向内側位置に配されるものであって、側面視したときにガイド片部2c、3cに対して巻き取り体5側部位でオーバーラップする(略同等高さとなる)よう配される。
【0018】
ところで本実施の形態においては、案内ローラ20はブラケット20aを介して第四補強材13に取り付けられるが、天井内納まり仕様となる場合、前述したように座板4aが下側折曲片部6c(下側ケース板14c)よりも下側(シャッターケース14の下側)の下側マグサスペースSdに呑み込まれることになるため、ガイド片部2c、3cについてもこれに対応して下側折曲片部6cに近接する下位部位に配されることになる。
これに対して露出納まり仕様となる場合、案内ローラ20は、座板4aが下側折曲片部6cの上側(シャッターケース14内)に形成される上側マグサスペースSuでの呑み込みとなるため、ガイド片部2c、3cは、これに対応して下側折曲片部6cから離間する上位部位に配されることになる。
この結果、案内ローラ20についても、このように上下異なった配置となるガイド片部2c、3cに対応して配設位置を上下に異ならしめる必要がある。
因みに本実施の形態の第四補強材13は、上下側面部13a、13b、前後側面部13c、13dを備えた四角筒形状となっている。
【0019】
そこで本実施の形態では、案内ローラ20を天井内納まり仕様のものに取り付ける場合には、ブラケット20aを第四補強材13のガイドレール2、3に対向する後側面部13dに取り付けることで、該案内ローラ20を、ガイドレールと第四補強材13とのあいだの下位部位においてガイド片部2c、3cに対向するよう配する構成にし、露出納まり仕様のものに取り付ける場合には、ブラケット20aを第四補強材13の上側面部13aに取り付けることで、案内ローラ20を、第四補強材13の上側の上位部位においてガイド片部2c、3cに対向するよう配する構成にしている。
このように天井内納まり仕様と露出納まり仕様の両仕様に対応させるため、案内ローラ20の第四補強材13に対する取り付け位置を異ならしめているが、案内ローラ20のガイド片部2c、3cに対する前後方向の配設位置は同一状態にする必要があり、この結果、第四補強材13は、ガイドレール2、3に対する配設位置を遠近異ならしめる必要が生じ、このため第四補強材13は、下側面部13bを前記二種類の仕様に対応して下側折曲片部6c、7cに対して前後方向位置調整自在に取り付けられる設定になっている。
具体的には、下側折曲片部6c、7cに、工場において第四補強材13の下側面部13bを取り付けるための締結具であるビス14a用の取り付け孔(下孔)6f、6g、7f、7gが予め穿設されたものとなっているが、該取り付け孔6f、6g、7f、7gは、前記二つの仕様に対応させるため二組みの取り付け孔群となっている。
因みに前記取り付け孔6f、6g、7f、7gは、各一対設けられるものである場合、全てが別位置である場合には四つ設ける必要があるが、一つが共通するものがある場合には三つにして中央の孔を共通化させることもできる。
【0020】
さらに前記第四補強材13は、各マグサ部17、18に設けられていてシャッターカーテン4の荷重を受けるものであるため補強された構成にすることが要求され、このため本実施の形態においては、第四補強材13を、連結金具21を介してブラケット本体部6aに連結したものとなっている。
この場合に用いられる連結金具21は、第四補強材13の上側面部13a及び前側面部13cに当接する上側片部21b、前側片部21cからなる逆L字形をした基部21aと、該基部21aの上側片部21bから上方に延出する前後方向に長い連結片部21dとを備えて構成され、そして連結金具21は、前側片部21cが締結具であるビス21eが前後方向に挿入(螺入)することで第四補強材前側面部13cに固着されている。
【0021】
さらに連結金具21の連結片部21dには取り付け孔21fが形成され、該取り付け孔21fに挿入したボルト21gを介して連結片部21dとブラケット本体部6a、7aとを固定する構成になっている。この場合に第四補強材13は、天井内納まりと露出納まりとの場合で前述したようにブラケット6に対する取り付け位置が前後方向に異なるものとなっており、このため、前記連結片部21dに形成される取り付け孔21fを前後方向に長い長孔とし、第四補強材13のブラケット本体部6a、7aに対する取り付け位置が前後に異なっていることに対応して、ボルト21gの取り付け孔21fに対する挿入位置を前後方向に相対移動することで対応できるように構成されている。
【0022】
このように連結金具21の連結片部21dをブラケット本体部6aにボルト21gを介して固定することになるが、ブラケット本体部6aとこれに対向する躯体側部材とのあいだの隙間が僅かであって、スパナ等の工具を差し込むことが難しい場合があり、このようなことを想定して本実施の形態のものでは、前記ボルト21gをネジ部のボルト頭側部位が四角柱形状となった角根ボルト21gを採用し、ブラケット本体部6aに、該角根ボルト21gの四角柱部に対応した四角形状のボルト孔(図示せず)が形成されたものとし、そして角根ボルト21gをブラケット本体部6aのボルト孔に対して左右方向外側から挿入して回り止め状態に組み込んだものとし、この状態で角根ボルト21gのブラケット本体部6aの左右方向内側に突出したネジ部にナット21hを螺入することで、角根ボルト21gが回り止めされた状態での締結ができるように構成されている。
因みに本実施の形態の連結金具21は、前記二つの仕様に対応させるだけであれば、連結片部21dを相対変位する角根ボルト21g位置に対応した長さのもので充分であるが、本実施の形態の連結金具21は、例えばシャッターカーテンを構成するスラットを筒形状(ホロー形状)にしたものや、パイプシャッターとした前記のものとはさらに異なった仕様とする場合に対応したものである。
尚、必要において、連結金具21の上片部21bと第四補強材13の上側面部13aとをビス等の緊締具によつて締結してもよい。
【0023】
次に、前記浅溝、深溝のガイドレール2、3の使い分けについて説明をするが、浅溝ガイドレール2は、シャッターカーテン4の左右幅が狭く、強風を受けたときの撓み量が小さいものに採用されるものであって、例えば左右幅が60mmに設定され、また深溝ガイドレール3は、シャッターカーテン4の左右幅が広く、強風を受けたときの撓み量が大きいものに採用されるものであって、例えば左右幅が90mmに設定されたものであり、このように本実施の形態ではシャッターカーテン4の左右幅に対応して二種類のガイドレール2、3が用意されるが、これらガイドレール2、3を躯体側に取り付ける場合に、ガイドレール2、3の開口片部2a、3aの縦支柱9からの突出幅(出幅)Yを同じ(統一した)ものにすることになる。この結果、ガイドレール2、3の溝底片部2b、3b位置が縦支柱9に対して左右に位置ずれした位置に配されることになり、これに対応してブラケット6、7の縦支柱9に対する取り付け位置も左右に位置ずれすることになる。
【0024】
そこでブラケット6、7を縦支柱9に締結具を介して連結することになり、後側折曲片部6e、7eには該締結具用の取り付け孔を予め工場にて穿設したものとする。この場合に、縦支柱9が鋼材である場合、該縦支柱9は強度的に強いものであるため、締結部位が縦支柱9の端部部位であっても縦支柱9が割れるような問題はない。そこで縦支柱9が鋼材である場合には、締結具として細径のビス22を用いたものとし、そして後側折曲片部6e、7eには、前記二種類のガイドレール2、3の縦支柱9に対する取り付け位置に対する取り付け位置の変化に拘泥されることなく、前後二列の細径の取り付け孔6h、7hが穿設されたものとなっている。
【0025】
これに対し縦支柱9が木製である場合、締結部位を縦支柱9の端部部位としたときに該部位において縦支柱9が割れる惧れがあり、このため、縦支柱9の締結位置を可及的に左右方向中央側部位にする必要がある。
そこで縦支柱9が木製である場合、締結部位を縦支柱9の左右方向中央側部位の一列になるようにして縦支柱9が不用意に割れてしまうことの対処をしているが、一列であるため鋼製の場合のような細径の締結具であるビス22を用いたのでは取り付け強度の確保が難しく、そのため太径の締結具23、24を用いたものにしている。
この場合に、浅溝、深溝ガイドレール2、3の縦支柱9に対する溝開口片部2a、3aの配設位置を統一(一定)にしようとしたとき、前述したように溝底片部2b、3bの配設位置が左右方向に異なることに連携して、後側折曲片部6e、7eの縦支柱9への取り付け位置も左右に変化することになり、このためこれに対応して左右に二列の取り付け孔6i、7i、6j、7jが穿設されている。
そして左右方向外側の取り付け孔6i、7iは、浅溝ガイドレール2を採用する場合に後側折曲片部6e、7eを縦支柱9に取り付けるためのものとなり、内側の取り付け孔6j、7jは、深溝ガイドレール3を採用する場合に後側折曲片部6e、7eを縦支柱9に取り付けるためのものとなる。
因みに縦支柱9が木材である場合の締結具としては、何れも太径であって、ビス(コーチスクリュー)23、貫通ボルト24の何れかが用いられるが、貫通ボルト24の場合には、対応する一列全ての取り付け孔6i、7iまたは6j、7jに挿入する必要はなく、本実施の形態では上下方向中央については貫通ボルト24がない構成になっている。
【0026】
叙述の如く構成された本実施の形態において、シャッターカーテン4が巻装される巻き取り体5の左右両端縁部を支持するブラケット6、7を、巻き取り体5が支持されるブラケット本体部6a、7aと、該ブラケット本体部6a、7aの下端縁部から折曲されていて、左右ブラケット6、7間に支架される第四補強材13がビス14aを介して取り付けられる下側折曲片部6c、7cとが設けられたものとしているが、この場合に、前記第四補強材13が、下側折曲片部6c、7cに対して前後方向位置調節自在に取り付けられる構成になっている結果、全開状態になったシャッターカーテン4の最下端の座板4aの配設位置が、下側折曲片部6c、7cより上側のマグサスペースSuに納まる露出納まり仕様と、下側のマグサスペースSdに納まる天井内納まり仕様とで前後に異なる場合において、斯かる仕様に対応した第四補強材13の取り付けができることになる。
そしてこの場合に、下側折曲片部6c、7cには、第四補強材13の取り付け位置に対応して複数組みの取り付け孔6f、6g、7f、7gが穿設されているため、第四補強材13の前後方向位置調節自在に取り付けが精度良く簡単にできることになる。
【0027】
この場合において、第四補強材13は、前記下側折曲片部6c、7cにビス14aを介して下側面部13bに下側から締結されるうえで、さらに連結金具21を介してブラケット本体部6a、7aに連結されることになるが、この場合に連結金具21に形成される連結基部21aの上側片部21bと前側片部21cとが、第四補強材13の上側面部13aと前側面部13cとに当接する状態で、前側片部21cが前後方向に向けて挿入するビス21eを介して締結される結果、第四補強材13は、ブラケット6、7に対して前後方向および上下方向からの締結がなされることになって強固に取り付けられることになる。
しかも連結金具21をブラケット本体部6a、7aに締結する場合に、締結具としてネジ部のボルト頭側部位が角柱状になった角根ボルト21gを用いての締結になっており、そして角根ボルト21gは、ブラケット本体部6a、7aに設けた四角形状の取り付け孔に回り止め状に挿入していることから、ブラケット本体部6a、7aが壁等の躯体側部材に近接していてボルト21gをスパナ等の工具により回り止め支持ができないところであっても確実な締結ができることになる。
【0028】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であるが、同一シリーズの製品として、前述したようにシャッターカーテン4の左右幅が幅広であったり、上下長さが長いものであったりした場合に、開閉機8に与える駆動負荷が大きくなって円滑なシャッターカーテン2または3の開閉駆動が妨げられる可能性があり、これを解消するための一つの手法として、従動スプロケット15aを、前記実施の形態のものよりも大径にして開閉機8に対する負荷軽減を図ることがあるが、この場合、駆動側軸受け部15が大型化することになる。この結果、前記取り付け孔6h、7h、6i、7i、6j、7jを設ける場合に、前記大型になった駆動側軸受け部15が邪魔するもの、具体的には
図20、21に示す第二の実施の形態のように、駆動側ブラケット6に形成される左右方向外側の3個ずつの取り付け孔6h、6iのうち、上下方向中央の取り付け孔6ha、6iaを、駆動側軸受け部15に邪魔されないよう左右方向内側に偏倚した構成にしており、このようにしても本発明を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、ビルや住宅等の建物の出入り口等の開口部に建て付けられる建物用シャッター装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 シャッター装置
2 溝浅ガイドレール
2a 開口片部
2b 溝底片部
2c ガイド片部
3 溝深ガイドレール
3a 開口片部
3b 溝底片部
3c ガイド片部
4 シャッターカーテン
4a 座板
5 巻き取り体
6 駆動側ブラケット
6a ブラケット本体部
6c 下側折曲片部
6e 後側折曲片部
6f、6g 取り付け孔
6i、6j 取り付け孔
7 従動側ブラケット
9 縦支柱
13 第四補強材
17 天井内マグサ
18 露出マグサ
19 天井板
20 案内ローラ
21 連結金具
21a 基部
21d 連結片部
21e ビス
21f 取り付け孔
21g 角根ボルト
E 開口部
Sd 下側マグサスペース
Su 上側マグサスペース
X ガイド溝