(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/65 20200101AFI20241203BHJP
【FI】
D06F33/65
(21)【出願番号】P 2021066558
(22)【出願日】2021-04-09
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】小倉 範史
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-291233(JP,A)
【文献】特開2009-039436(JP,A)
【文献】特開2011-045392(JP,A)
【文献】特開2019-154612(JP,A)
【文献】特開2012-130425(JP,A)
【文献】特開2017-196298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部を有する筐体と、
前記筐体内部に設けられた水槽と、
前記水槽内部に回転可能に設けられて前記水槽と共に乾燥室を構成する回転槽と、
前記回転槽を回転させる駆動部と、
前記回転槽内部に供給する蒸気を生成する蒸気発生装置と、
本運転として、衣類を洗濯する洗濯運転と、衣類を乾燥する乾燥運転と、前記洗濯運転及び前記乾燥運転を含む洗濯乾燥運転と、の少なくともいずれかを実行する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記本運転終了後、ユーザによる操作があると、前記蒸気発生装置により前記回転槽に蒸気を供給する処理と、前記駆動部を駆動して前記回転槽を回転させる処理とを含む特別運転を実行する
衣類乾燥機。
【請求項2】
前記開口部を開閉する扉と、
前記扉の開閉を検知可能な扉開閉検知部と、を備え、
前記制御装置は、前記本運転終了後、前記扉開閉検知部が前記扉が開いた開状態となった後閉じた閉状態となったことを検知したか否かを判定する判定処理を実行し、前記扉開閉検知部が前記扉が前記開状態となった後前記閉状態となったことを検知した場合、前記特別運転を実行する
請求項1に記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記本運転終了後所定期間経過するまでに前記扉開閉検知部が前記扉が前記開状態となった後前記閉状態となったことを検知しなければ、前記特別運転を実行せずに前記衣類乾燥機の電源を切る
請求項2に記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記判定処理として、前記扉開閉検知部が前記扉が所定の期間開状態を維持した後閉状態となったことを検知したか否かを判定する
請求項2又は3に記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
筐体内に設けられて前記乾燥室と接続されて内部に空気を循環させる循環風路と、
前記循環風路中に設けられて前記乾燥室に空気を送風する送風機と、
前記循環風路中に設けられて前
記空気を乾燥して加熱する加熱装置と、を備え、
前記制御装置は、前記特別運転において
前記蒸気発生装置を駆動して前記回転槽に蒸気を供給する第1工程と、前記第1工程後前記加熱装置を駆動し、前記送風機を駆動して前記乾燥室に乾燥空気を供給し、及び前記駆動部を駆動して前記回転槽を回転させる第2工程とを実行可能であり、
前記第2工程における給気温度は、前記乾燥運転における給気温度以下に設定される
請求項1から4のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項6】
前記特別運転において供給する蒸気の量は、前記乾燥室の温度若しくは湿度又は、前記乾燥室内の衣類の重量若しくは衣類の布質の少なくともいずれかに応じて異なる値に設定される
請求項1から5のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項7】
前記特別運転の動作期間は、前記乾燥室の温度若しくは湿度又は、前記乾燥室内の衣類の重量若しくは衣類の布質の少なくともいずれかに応じて異なる値に設定される
請求項1から6のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項8】
前記特別運転において供給する蒸気の量又は前記特別運転の動作期間は、前記洗濯運転、前記本運転終了後の経過時間に応じて異なる値に設定される
請求項1から7のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項9】
前記回転槽内に投入された衣類の重量を検知する重量検知部を備え、
前記制御装置は、前記特別運転開始後、前記重量検知部の検知結果によって前記回転槽内の衣類の有無を判定する第2判定処理を実行し、前記回転槽内に衣類がないと判定した場合前記特別運転を少なくとも一時停止する
請求項1から8のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項10】
前記開口部を開閉する扉と、
前記扉の開閉を検知可能な扉開閉検知部と、
前記回転槽内に投入された衣類の重量を検知する重量検知部と、を備え、
前記制御装置は、前記特別運転を一時停止後、前記扉開閉検知部が前記扉の開閉を検知した場合、前記特別運転の再開時に前記重量検知部に前記回転槽内の衣類の重量を検知させる
請求項1から9のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項11】
前面に開口部を有する筐体と、
前記筐体内部に設けられた水槽と、
前記水槽内部に回転可能に設けられて前記水槽と共に乾燥室を構成する回転槽と、
前記回転槽を回転させる駆動部と、
前記回転槽内部に供給する蒸気を生成する蒸気発生装置と、
本運転として、衣類を洗濯する洗濯運転と、衣類を乾燥する乾燥運転と、前記洗濯運転及び前記乾燥運転を含む洗濯乾燥運転と、の少なくともいずれかを実行する制御装置と、
前記開口部を開閉する扉と、
前記扉の開閉を検知可能な扉開閉検知部と、を備え、
前記制御装置は、前記本運転終了後、前記蒸気発生装置により前記回転槽に蒸気を供給する処理と、前記駆動部を駆動して前記回転槽を回転させる処理とを含む特別運転を実行し、
前記制御装置は、前記本運転終了後、前記扉開閉検知部が前記扉が開いた開状態となった後閉じた閉状態となったことを検知したか否かを判定する判定処理を実行し、前記扉開閉検知部が前記扉が前記開状態となった後前記閉状態となったことを検知した場合、前記特別運転を実行し、前記本運転終了後所定期間経過するまでに前記扉開閉検知部が前記扉が前記開状態となった後前記閉状態となったことを検知しなければ、前記特別運転を実行せずに前記衣類乾燥機の電源を切る、
衣類乾燥機。
【請求項12】
前面に開口部を有する筐体と、
前記筐体内部に設けられた水槽と、
前記水槽内部に回転可能に設けられて前記水槽と共に乾燥室を構成する回転槽と、
前記回転槽を回転させる駆動部と、
前記回転槽内部に供給する蒸気を生成する蒸気発生装置と、
本運転として、衣類を洗濯する洗濯運転と、衣類を乾燥する乾燥運転と、前記洗濯運転及び前記乾燥運転を含む洗濯乾燥運転と、の少なくともいずれかを実行する制御装置と、
前記開口部を開閉する扉と、
前記扉の開閉を検知可能な扉開閉検知部と、
前記回転槽内に投入された衣類の重量を検知する重量検知部と、を備え、
前記制御装置は、
前記本運転終了後、前記蒸気発生装置により前記回転槽に蒸気を供給する処理と、前記駆動部を駆動して前記回転槽を回転させる処理とを含む特別運転を実行し、
前記制御装置は、前記特別運転を一時停止後、前記扉開閉検知部が前記扉の開閉を検知した場合、前記特別運転の再開時に前記重量検知部に前記回転槽内の衣類の重量を検知させる、
衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類乾燥機として、衣類の洗濯機能と乾燥機能とを備えた洗濯乾燥機が知られている。乾燥運転時は、回転を回転させながら、ヒーター方式やヒートポンプ方式によって発生させた温風を乾燥室となる水槽及び回転槽に供給することで、乾燥室内の衣類を乾燥する。
【0003】
乾燥運転時に衣類が遠心力により回転槽に押し付けられることで、乾燥後の衣類にしわが付いたり、ごわつきが生じたりすることがある。そのため、乾燥運転の後半に蒸気を回転槽に導入し、衣類のしわつき及びごわつきを抑制した洗濯乾燥機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、洗濯運転後や乾燥運転終了後すぐにユーザが衣類を取り出さないこともある。このような場合、乾燥運転終了後に衣類が積み重なった状態で長時間放置されることによって、再度衣類にしわが付く虞がある。また、衣類が濡れた状態では乾燥した状態よりも重量が大きくなるため一層衣類にしわが付きやすくなる。そのため、乾燥工程を経ない脱水工程後の衣類は、積み重なった状態で長時間放置されることによって、深いしわが付く虞がある。
【0006】
そこで、運転終了後すぐに衣類を取り出さなくても衣類のしわ付きを抑制することができユーザの利便性が向上した衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の衣類乾燥機は、前面に開口部を有する筐体と、前記筐体内部に設けられた水槽と、前記水槽内部に回転可能に設けられて前記水槽と共に乾燥室を構成する回転槽と、前記回転槽を回転させる駆動部と、前記回転槽内部に供給する蒸気を生成する蒸気発生装置と、本運転として、衣類を洗濯する洗濯運転と、衣類を乾燥する乾燥運転と、前記洗濯運転及び前記乾燥運転を含む洗濯乾燥運転と、の少なくともいずれかを実行する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記本運転終了後、前記蒸気発生装置により前記回転槽に蒸気を供給する処理と、前記駆動部を駆動して前記回転槽を回転させる処理とを含む特別運転を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態による洗濯乾燥機の一例について概略構成を示す側面図
【
図2】第1実施形態による洗濯乾燥機の一例について概略構成を示す背面図
【
図3】第1実施形態による洗濯乾燥機の一例について冷凍サイクルを示す概略図
【
図4】第1実施形態による洗濯乾燥機の一例の電気的構成を示すブロック図
【
図5】第1実施形態による洗濯乾燥機の一例の蒸気発生装置を示す概略図
【
図6】第1実施形態による洗濯乾燥機の表示処理によって操作パネルに示される画面の一例を示す図
【
図7】第1実施形態による洗濯乾燥機の衣類の重量と衣類の布質に応じた特別運転における蒸気投入量の一例を示すチャート
【
図8】第1実施形態による洗濯乾燥機の衣類の重量と乾燥室の温度に応じた特別運転における蒸気投入量の一例を示すチャート
【
図9】第1実施形態による洗濯乾燥機の衣類の重量と乾燥室の湿度に応じた特別運転における蒸気投入量の一例を示すチャート
【
図10】第1実施形態による洗濯乾燥機の衣類の重量と本運転終了後の経過時間に応じた特別運転における蒸気投入量の一例を示すチャート
【
図11】第1実施形態による洗濯乾燥機の衣類の重量と衣類の布質に応じた特別運転における第2工程の動作期間の一例を示すチャート
【
図12】第1実施形態による洗濯乾燥機の衣類の重量と乾燥室の温度に応じた特別運転における第2工程の動作期間の一例を示すチャート
【
図13】第1実施形態による洗濯乾燥機の衣類の重量と乾燥室の湿度に応じた特別運転における第2工程の動作期間の一例を示すチャート
【
図14】第1実施形態による洗濯乾燥機の本運転終了後の経過時間に応じた特別運転における第2工程の動作期間の一例を示すチャート
【
図15】第1実施形態による洗濯乾燥機のしわ取りコースが選択された場合の制御装置による本運転終了後の制御内容を示すフローチャート
【
図16】第1実施形態による洗濯乾燥機の第1報知処理によって操作パネルに示される画面の一例を示す図
【
図17】第1実施形態による洗濯乾燥機の制御装置による特別運転の制御内容を示すフローチャート
【
図18】第1実施形態による洗濯乾燥機の制御装置による蒸気投入処理の制御内容を示すフローチャート
【
図19】第1実施形態による洗濯乾燥機の第2報知処理によって操作パネルに示される画面の一例を示す図
【
図20】第1実施形態による洗濯乾燥機の投入蒸気量と給水期間とを示すチャート
【
図21】第2実施形態による洗濯乾燥機の制御装置による蒸気投入処理の制御内容を示すフローチャート
【
図22】第2実施形態による洗濯乾燥機の衣類の重量と衣類の布質に応じた蒸気投入処理における所定の水槽湿度の一例を示すチャート
【
図23】第3実施形態による洗濯乾燥機の制御装置による特別運転の制御内容を示すフローチャート
【
図24】第3実施形態による洗濯乾燥機の制御装置による第2判定処理の制御内容を示すフローチャート
【
図25】第3実施形態による洗濯乾燥機の第3報知処理によって操作パネルに示される画面の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態による衣類乾燥機について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。各実施形態は、
図1に示す横軸又は斜め軸型のドラム式洗濯機、及び図示しない縦軸型の洗濯機のいずれにも適用することができる。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について、
図1~20を参照して説明する。洗濯乾燥機10は、
図1~
図4に示すように、筐体11、水槽12、回転槽13、回転槽モータ14、扉15、ベローズ16、給水機構17、排水部18、操作パネル19、及び制御装置20を備えている。洗濯乾燥機10は、ヒートポンプ方式の乾燥機能を備えた衣類乾燥機でもあり、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。なお、本実施形態において、筐体11に対して扉15側を洗濯乾燥機10の前側つまりユーザ側とする。また、重力方向つまり鉛直方向を洗濯乾燥機10の上下方向とし、前後方向及び上下方向に直交する水平方向を左右方向とする。
【0011】
筐体11は、洗濯乾燥機10の外殻を構成するものであり、例えば鋼板等によってほぼ矩形の箱状に形成されている。筐体11は、
図1に示すように、前面の概ね中央に設けられた開口部111が扉15によって開閉される。
【0012】
水槽12は、筐体11の内部に収容されている。回転槽13は、水槽12の内部に収容されている。水槽12及び回転槽13は、いずれも円筒状に形成されている。水槽12は、円筒状の一方の端部に開口部121が形成され、他方の端部に水槽端板122が設けられている。開口部121は、傾斜した水槽12において水槽端板122よりも上側に位置している。
【0013】
同様に、回転槽13は、円筒状の一方の端部に開口部131が形成され、他方の端部に回転槽端板132が設けられている。開口部131は、傾斜した回転槽13において回転槽端板132よりも上側に位置している。回転槽13の開口部131は、水槽12の開口部121に周囲を覆われている。水槽12及び回転槽13は、洗濯物を収容する洗濯室及び乾燥室として機能する。
【0014】
回転槽モータ14は、水槽12の外側にあって水槽端板122に設けられている。回転槽モータ14は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータである。回転槽モータ14の軸部141は、水槽端板122を貫いて水槽12の内側へ突出し、回転槽端板132の中心部に固定されている。これにより、回転槽モータ14は、水槽12に対して回転槽13を相対的に回転させる。この場合、軸部141、回転槽13の回転軸、及び水槽12の中心軸は、それぞれ一致している。回転槽モータ14は、制御装置20に電気的に接続され、制御装置20による制御により駆動する。
【0015】
扉15は、図示しないヒンジを介して筐体11の外面側に設けられている。扉15は、ヒンジを支点に回動し、筐体11の前面に形成された開口部111を開閉する。ベローズ16は、開口部111と水槽12の開口部121とを接続する。衣類等の洗濯物は、扉15を開放した状態で、開口部121、131を通して回転槽13内に出し入れされる。
【0016】
給水機構17は、
図1に示すように、例えば筐体11内の水槽12の上方左奥部に設けられている。給水機構17は、例えば水道等の給水源からの水を受けて水槽12内への給水を行う。
【0017】
排水部18は、水槽12の重力方向の下側に位置する底部の後端部側に設けられている。排水部18は、排水口123、排水弁181、及び排水ホース182を含んで構成されている。排水口123は、水槽12の最底部となる後端部に設けられており、水槽12の内部と外部とを連通している。排水弁181は、例えば電磁式の液体用の開閉弁で構成されており、排水口123と排水ホース182との間に設けられている。排水弁181は、制御装置20に電気的に接続されており、制御装置20の制御を受けて開閉する。排水ホース182は、排水口123と機外つまり筐体11の外部とを繋いでおり、水槽12内の水を外部に排水するための排水経路として機能する。この場合、排水弁181は、排水口123と排水ホース182との間すなわち排水経路を開閉する。つまり、排水弁181が開放されることにより、水槽12内の水は、排水口123から排水弁181及び排水ホース182を経由して洗濯乾燥機10の外部へ排出される。
【0018】
操作パネル19は、例えば
図1に示すように筐体11の上面部における前部に設けられており、制御装置20に電気的に接続されている。各種操作キー等が設けられている。
操作パネル19は、例えばタッチパネル式の液晶パネルを含んで構成され、洗濯乾燥機10に関する種々の情報を表示することができる。なお、操作パネル19は、液晶パネルに限らず、他の実施形態では、例えば有機ELパネルを含んで構成されていても良い。
【0019】
各種操作キーは、洗濯乾燥機10の運転に関するユーザによる各種の操作を受け付ける。操作キーは、操作パネル19に表示された画面に含まれるタッチキーで構成されている。ユーザは、操作パネル19に表示された操作キーに手指等で触れることにより、洗濯乾燥機10の運転に関する各種の入力操作を行うことができる。
【0020】
操作パネル19を構成するタッチパネルとしては、例えばユーザの手指が触れた際に発生する静電容量の変化を感知する静電容量方式のタッチパネルを適用することができる。なお、操作パネル19を構成するタッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルに限らず、他の実施形態では、例えば抵抗膜方式のタッチパネルなど、各種の方式のタッチパネルを適用することができる。また、各種操作キーは、静電タッチ式に限られず、他の実施形態では、ボタン式であっても良い。
【0021】
制御装置20は、
図4に示すように、例えばCPU201や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域202を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯乾燥機10全体の制御を行う。本実施形態の場合、制御装置20は、回転槽モータ14、及び排水弁181、操作パネル19、並びに後述する送風機36のファンモータ361、及び圧縮機43の駆動を制御する。
【0022】
なお、洗濯乾燥機10は、図示しない外部のルータを介して例えばインターネットや携帯電話回線網等の電気通信回線に接続可能に構成されていても良い。この場合、図示しない通信部は、ルータ及び電気通信回線を介して、外部機器である例えばスマートフォンやタブレット、パソコン等の外部の情報端末や、企業等に設置されたサーバ等に通信可能に接続される。またこの場合、通信部は、情報端末等と有線又は無線によって直接接続されても良い。制御装置20は、外部機器である情報端末やサーバに例えば洗濯乾燥機10の運転状況等の各種情報を送信することができる。また、通信部は、情報端末やサーバ等から各種指示を受信することができる。
【0023】
図1から
図3に示すように、水槽12は、排気口21と、給気口22とを有している。排気口21は、例えば水槽12の筒状部分を構成する周壁にあって上部前寄り部分に設けられている。給気口22は、水槽端板122にあって、該水槽端板122の中心よりやや上寄り部分に設けられている。排気口21及び給気口22は、水槽12の内部と外部とを連通している。排気口21は、乾燥室である水槽12及び回転槽13からの空気の出口である。給気口22は、乾燥室である水槽12及び回転槽13への空気の入口である。排気口21と給気口22とは、いずれも排水口123よりも上方に位置している。
【0024】
図1に示すように、回転槽13は、複数の孔23と、複数の連通口24とを有している。孔23及び連通口24は、回転槽13の内部と外部とを連通している。孔23は、回転槽13の円筒状の筒状部分を構成する周壁の全域に形成されている。連通口24は、回転槽端板132の全域に形成されている。孔23及び連通口24は、洗い工程、排水工程、すすぎ工程及び脱水工程を含む洗濯運転時には、主に水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には空気が出入りする通風孔として機能する。なお、
図1では、簡単のため複数の孔23及び連通口24のうち一部のみを示している。
【0025】
洗濯乾燥機10は、
図1~
図3に示すように循環風路30及びヒートポンプユニット40を備えている。循環風路30は、水槽12の外側に設けられており、排気口21と給気口22とを繋いでいる。具体的には、循環風路30は、排気ダクト31、フィルタ装置32、接続ダクト33、熱交換部34、及び給気ダクト35を有して構成されている。
【0026】
排気ダクト31は、
図1及び
図3に示すように、水槽12の排気口21とフィルタ装置32とを接続している。排気ダクト31は、例えば蛇腹状のホースで構成されている。フィルタ装置32は、筐体11の内側上部にあって、水槽12及び回転槽13の上方に設けられている。フィルタ装置32内には、フィルタ321が設けられている。フィルタ装置32は、排気口21から排気された空気をフィルタ321に通過させることで、排気口21から排気された空気に含まれるリント等の異物を取り除く。フィルタ装置32は、接続ダクト33を介して熱交換部34の上流側に接続されている。熱交換部34は、筐体11の内側下部にあって、水槽12及び回転槽13の下方に設けられている。
【0027】
ヒートポンプユニット40は、循環風路30のうち熱交換部34の内部を通過する空気を除湿及び加熱することで乾燥した温風を生成する機能を有する。熱交換部34内には、ヒートポンプユニット40の一部を構成する蒸発器41及び凝縮器42が設けられている。蒸発器41は、乾燥運転時における熱交換部34内の空気の流れに関して、凝縮器42よりも上流側に設けられている。熱交換部34内を通る空気は、蒸発器41によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器41によって除湿された空気は、その後、凝縮器42によって加熱されて温風になる。
【0028】
循環風路30のうち熱交換部34の下流側は、給気ダクト35を介して水槽12の給気口22に接続されている。熱交換部34と給気ダクト35との接続部分には、送風機36が設けられている。送風機36は、
図2に示すように、ファンモータ361とファン362とを有して構成されている。
【0029】
送風機36は、熱交換部34内の空気を吸い込み、給気ダクト35側へ吐出する。これにより、
図1、
図2、及び
図3の矢印Aで示すように、水槽12及び循環風路30を循環する空気の流れが生じる。この場合、循環風路30内の空気の流れについてみると、排気口21が最上流側となり、給気口22が最下流側となる。
【0030】
この構成において、圧縮機43及び送風機36を駆動させると、熱交換部34内で除湿及び加熱された温風は、送風機36の送風作用により、給気ダクト35を介して給気口22から水槽12内へ供給される。その後、温風は、主に連通口24から回転槽13内へ入り、回転槽13内の洗濯物の温度を上昇させると共に洗濯物から湿気を奪った後、主に孔23から回転槽13の外側へ出る。そして、湿気を含んだ空気は、排気口21から循環風路30に吸い込まれる。循環風路30に吸い込まれた空気は、まず排気ダクト31及びフィルタ装置32を通過する。その後、空気は、接続ダクト33を介して熱交換部34へ流れる。このように、水槽12から循環風路30に入った空気は、循環風路30内で除湿及び加熱された後、再び水槽12内に供給される。
【0031】
次に、ヒートポンプユニット40について説明する。ヒートポンプユニット40は、水槽12から循環風路30内に流入した空気を、除湿及び加熱して乾いた温風にし、再び水槽12内に供給するための温風供給装置として機能する。
【0032】
ヒートポンプユニット40は、
図3に示すように、蒸発器41及び凝縮器42の他、圧縮機43と、減圧装置44と、アキュムレータ45とを備えている。圧縮機43と、減圧装置44と、アキュムレータ45は、熱交換部34の外側に設けられている。冷媒は、
図3に示す矢印Bのように、ヒートポンプユニット40内を循環する。ヒートポンプユニット40は、圧縮機43を基準とした冷媒が流れる方向に対して順に、凝縮器42、減圧装置44、蒸発器41、及びアキュムレータ45を環状に接続して構成されている。
【0033】
蒸発器41及び凝縮器42は、例えば微小な間隔で設けられた多数のフィンを有する管で構成されており、この管の内部に冷媒を通すことで、フィン間を通る空気と冷媒との熱交換を行う。蒸発器41及び凝縮器42は、熱交換器として機能する。
【0034】
圧縮機43は、圧送により冷媒を凝縮器42へ供給する。圧縮機43は、制御装置20に接続され、制御装置20の制御により駆動及び停止される。減圧装置44は、凝縮器42から吐出された高圧で液状の冷媒を、減圧して低圧の気液混合状態にする。この場合、減圧装置44は、例えばキャピラリチューブ等で構成されているが、制御装置20の制御によって開閉可能な電磁開閉式の膨張弁等であっても良い。
【0035】
洗濯乾燥機10は、
図1、
図4、及び
図5に示す蒸気発生装置50を備える。蒸気発生装置50は、回転槽13に蒸気を供給する。蒸気発生装置50は、筐体11内部であり、水槽12外部に設けられている。本実施形態では、蒸気発生装置50は、水槽12の上方であって洗濯機10上部の前端部に設けられ、開口部121及び開口部131を通して上前方から回転槽13内の衣類に蒸気を吹き付ける。
【0036】
蒸気発生装置50は、蒸気発生部51と、噴霧部52とを含んで構成されている。蒸気発生部51は、給水機構17を通して外部の水源から供給された水を加熱して回転槽13に供給する蒸気を生成する。噴霧部52は、蒸気発生部51で発生した蒸気を微細化して回転槽13内に噴霧する。本実施形態では、噴霧部52は、例えば静電噴霧によって蒸気を微細化する。他の実施形態では、噴霧部52は静電噴霧方式に限らず、例えば超音波を用いて蒸気を微細化しても良い。
【0037】
図1に示すように、給水機構17は、給水弁171と、給水経路172とを有する。給水弁171は、制御装置20に接続されており、制御装置20の制御を受けて開閉駆動される。制御装置20は、給水弁171を開閉駆動することにより、外部の水源からの水を、給水弁171、及び給水経路172を介して蒸気発生部51へ供給する。なお、給水機構17は、例えば水道などの給水源からの水を受けて水槽12内への給水を行う図示しない給水経路と、当該給水経路を開閉する図示しない給水弁とを別途有する。
【0038】
蒸気発生部51は、タンク511と、加熱部512と、注水口513と、吐出口514とを有する。タンク511は、容器状に形成され、内部に給水経路172を通して供給された水を貯水する。タンク511は、耐熱性で熱伝導率の高い金属ダイキャスト、例えばアルミニウムダイキャストで形成されている。加熱部512は、タンク511の下方に設けられてタンク511内の水を加熱する。注水口513は、この場合タンク511上部に設けられて、タンク511と給水経路172とを接続する。吐出口514は、タンク511に設けられて、タンク511と噴霧部52とを接続する。
【0039】
噴霧部52は、放電電極521を含んで構成されている。放電電極521は、前記吐出口514から吐出された蒸気が通過する位置に設けられている。高圧電源装置53からの高電圧を放電電極521間に印加し、蒸気発生部51から吐出された蒸気が放電電極521によって発生する電界を通過することで、蒸気の水粒子は、電荷を帯びて分裂を繰り返すいわゆるレイリー分裂により表面積を増やして微細化する。これにより、蒸気は更に微細化して霧化した蒸気となって噴霧速度を増して回転槽13内に吐出される。
【0040】
洗濯乾燥機10は、
図3から
図5に示すように、給気温度センサ61、湿度センサ62、水槽温度センサ63、及びタンク温度センサ64を備えている。給気温度センサ61、湿度センサ62、水槽温度センサ63、及びタンク温度センサ64は、それぞれ制御装置20に接続されている。
【0041】
給気温度センサ61は、
図3に示すように循環風路30内に設けられ、循環風路30内の空気の温度を検出する。具体的には、給気温度センサ61は、凝縮器42と給気口22との間でかつ給気口22の近傍に設けられている。給気温度センサ61は、給気ダクト35を通って乾燥室である水槽12及び回転槽13内へ供給される空気、つまり熱交換部34で熱せられて乾燥室内へ供給される空気の温度を検出する。なお、給気温度センサ61は、本実施形態では熱交換部34で熱せられて乾燥室内へ供給される空気の温度を直接検出するが、これに限らない。他の実施形態では、制御装置20は、乾燥室内へ供給される空気の温度を間接的に検出する構成であっても良い。例えば、制御装置20は、乾燥室である水槽12及び回転槽13から排気されて排気ダクト31内を通る空気の温度を検出する排気温度センサ、圧縮機43から吐出される冷媒の温度つまり圧縮機43の温度を検出する圧縮機温度センサ、凝縮器42の温度を検出する凝縮器温度センサなどの検知結果に基づいて乾燥室内へ供給される空気の温度を間接的に検出することができる。
【0042】
湿度センサ62は、
図3に示すように排気ダクト31の排気口21近傍に設けられている。湿度センサ62は、循環空気の流れに関して排気口21の下流であってフィルタ装置32の上流に設けられている。湿度センサ62は、水槽12内の湿度を検知する機能を有する。湿度センサ62は、例えば誘電体の水分吸収に伴う電気抵抗の変化に基づいて相対湿度を得るいわゆる抵抗変化型湿度センサである。本実施形態では、湿度センサ62は抵抗変化型湿度センサであるが、他の実施形態では、誘電体の水分吸収に伴う静電容量の変化に基づいて相対湿度を得るいわゆる静電容量変化型湿度センサであっても良い。
【0043】
水槽温度センサ63は、
図3に示すように水槽12の任意の位置に設けられて、水槽12の温度を検知する。この場合、水槽12の温度は、回転槽13の温度及び回転槽13内の衣類の温度と同程度となる。
【0044】
タンク温度センサ64は、
図5に示すようにタンク511に設けられて、タンク511の温度を検知する。本実施形態では、タンク温度センサ64は、例えばタンク511の上部に設けられている。タンク温度センサ64は、例えばいわゆるサーミスタであっても良い。
【0045】
洗濯乾燥機10は、
図4に示すように、重量検知部65、布質検知部66、及び扉開閉検知部67、を備える。制御装置20は、CPU201において制御プログラムを実行することにより、
図4に示す重量検知部65、及び布質検知部66をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、制御装置20は、重量検知部65、及び布質検知部66を集積回路等のハードウェアにより実現しても良いし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現しても良い。
【0046】
重量検知部65は、制御装置20の記憶領域202にアクセス可能に構成されている。重量検知部65は、回転槽13内部の洗濯物の重量を検知する。また、制御装置20は、検知した洗濯物の重量を記憶領域202に記憶させる。本実施形態では、重量検知部65は、洗い工程から排水工程までの間に、洗濯物の重量を検知することができる。重量検知部65は、例えば回転槽モータ14のベクトル制御におけるq軸電流を測定することによって回転槽モータ14に作用している現在の負荷を検知し、その負荷に基づいて回転槽13内部の洗濯物の重量を測定することができる。なお、重量検知部65は、指令した回転数と実際の回転数との差から回転槽モータ14への負荷を検知しても良い。
【0047】
布質検知部66は、制御装置20の記憶領域202にアクセス可能に構成されている。布質検知部66は、回転槽13内部の洗濯物の布質を検知する。また、制御装置20は、検知した洗濯物の布質を記憶領域202に記憶させる。布質検知部66は、例えば洗濯物が吸収した水分の含有量に基づいて洗濯物の布質を検知、例えば綿が主体であるか化学繊維が主体であるかや綿と化学繊維との割合等を検知することができる。本実施形態では、布質検知部66は、洗い工程から排水工程までの間に、重量検知部65が検知した乾燥時の洗濯物の重量と水を含んだ洗濯物の重量とを比較して、洗濯物の布質を検知する。
【0048】
布質検知部66は、洗濯物の布質を複数区分に分類する。布質の区分は、例えば布を構成する繊維の吸水特性やしわの付きやすさなどによって設定することができる。本実施形態では、布質検知部66は、例えば洗濯物の布質を綿系衣類が主体であることを示す「綿系」、及び化学繊維系衣類が主体であることを示す「化学繊維系」の2区分に判定する。また、別の実施形態では、布質検知部66は、例えば洗濯物の布質を綿の割合が多く化学繊維の占める割合が少ない順に「ほぼ綿」、「主に綿」、「主に化学繊維」及び「ほぼ化学繊維」の4区分に判定しても良い。
【0049】
扉開閉検知部67は、扉15の開閉状態を検知する。扉開閉検知部67は、詳細は図示しないが、例えば機械式のスイッチであっても良い。この場合、例えば扉15が筐体11の開口部111を閉鎖する位置にあるつまり扉15が閉じている状態では、扉15の一部が扉開閉検知部67と接触し、これにより電気回路を閉路又は開路する構成としても良い。扉15が筐体11の開口部111を閉鎖しない位置にある場合つまり扉15が開いている状態では、扉15の一部が扉開閉検知部67と接触せず、そのため電気回路は開路又は開路する構成としても良い。
【0050】
制御装置20は、洗濯運転と乾燥運転と洗濯乾燥運転とを選択的に実行可能である。洗濯乾燥運転は、洗濯運転の後に続けて乾燥運転を行う態様である。洗濯運転は、洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程のうち少なくともいずれか1つの工程を含む。
【0051】
洗い工程は、給水機構17によって水槽12に水を供給し、回転槽モータ14によって回転槽13を回転させて洗剤と水とで衣類を洗う工程である。濯ぎ工程は、給水機構17によって水槽12に水を供給し、回転槽モータ14によって回転槽13を回転させて衣類を濯ぐ工程である。脱水工程は、回転槽モータ14を駆動させて回転槽13を回転させることで衣類が吸った水を除去する工程である。
【0052】
乾燥運転は、衣類を乾燥する工程を含む。乾燥工程は、圧縮機43を駆動することで空気を蒸発器41及び凝縮器42によって加熱及び除湿し、加熱した乾燥空気を送風機36によって乾燥室に送風して衣類を乾燥させる工程である。また、乾燥運転は、仕上げ工程を含んでいても良い。仕上げ工程は、乾燥工程に続いて行われる。仕上げ工程においても制御装置20は圧縮機43、送風機36及び回転槽モータ14を駆動する。仕上げ工程における給気温度は、乾燥工程における給気温度以下に設定されている。より具体的には、仕上げ工程における給気温度の最高温度t1は、乾燥工程における給気温度の最高温度t0未満に設定されている。例えば、乾燥工程における給気温度の最高温度t0は65℃~75℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、乾燥工程における給気温度の最高温度t0は60℃に設定されている。仕上げ工程における給気温度の最高温度t1は、例えば55℃~65℃の範囲内に設定されている。本実施形態では、仕上げ工程における給気温度の最高温度t1は、60℃に設定されている。
【0053】
また、制御装置20は、洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転を実行する際に、しわ取りコースと通常コースと、を選択的に実行可能である。しわ取りコースは、洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転から選ばれる本運転の終了後に、特別運転を追加で実行するコースである。通常コースは、本運転の終了後に、特別運転を追加で実行しないコースである。
【0054】
ユーザは、操作パネル19を操作して、本運転として洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転のうちいずれかを選択すると共に、しわ取りコース又は通常コースのいずれかを選択する。制御装置20は、ユーザの操作パネル19への操作に基づいて、各種コースを設定して各種運転を実行する。なお、ユーザは、例えばスマートフォン等の外部の情報端末を操作して、本運転として洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転のうちいずれかを選択できると共に、しわ取りコース又は通常コースのいずれかを選択して制御装置20に実行させることができる構成であっても良い。
【0055】
通常コースが選択されて本運転として洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転のうちいずれかが実行された場合、当該本運転が終了すると、制御装置20は、洗濯乾燥機10の電源をオフにする。しわ取りコースが選択されて本運転洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転のうちいずれかが実行された場合、当該本運転が終了すると、制御装置20は、洗濯乾燥機10を待機状態とする。ここで、しわ取りコースが選択された本運転の終了後、必ずしも毎回特別運転が実行されるわけではない。つまり、本運転の終了後、特別運転は自動的には開始されない。本運転終了後待機状態となってから所定の期間P0が経過するまでに後述するユーザの操作がある場合、制御装置20は特別運転を開始する。
【0056】
所定の期間P0は、例えば120分から300分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の期間P0は、例えば180分に設定されている。洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転から選ばれる本運転の運転終了後、所定の期間P0が経過すると、制御装置20は、待機状態を止め洗濯乾燥機10の電源を切り、全ての運転を終了する。
【0057】
しわ取りコースが選択されて本運転として例えば洗濯乾燥運転が実行された場合について説明する。この場合、洗濯運転と乾燥運転とが終了すると、制御装置20は、洗濯乾燥機10を待機状態とする。待機状態の間、制御装置20は、回転槽モータ14、送風機36、圧縮機43等を駆動しないが、それらをすぐに駆動できる状態としている。この待機状態の間、ユーザは、操作パネル19の図示しない一時停止キーなどを操作しなくても、扉15を開放することができる。つまり、待機状態の間、ユーザは必要に応じて回転槽13内部の洗濯物を出し入れすることができる。
【0058】
ユーザは、特別運転を実行させるために扉15を少なくとも1度開閉する必要がある。つまり、本運転の運転終了後、ユーザが扉15を一度開閉したことがトリガーとなって特別運転が実行される。
【0059】
洗濯乾燥機10が待機状態となっている間、ユーザは、扉15を開いて、特別運転を施す必要がある衣類を乾燥室に残し、特別運転を施す必要がない衣類を洗濯乾燥機10から取り出す。そして、もう一度ユーザによって扉15が閉じられると、制御装置20は、ユーザによる衣類の取り出しが終了したと判断して、操作パネル19に例えば
図6に示すような表示を行う。そして、ユーザがスタートキー191を操作すると、制御装置20は、待機状態を止め、特別運転を開始する。ユーザが運転終了キー192を操作すると、制御装置20は、待機状態を止め、全ての運転を終了する。
【0060】
更に、制御装置20は、扉15が開いた状態である開状態が、所定の開放期間S持続した場合に限り、特別運転を開始する。つまり、ユーザが扉15を誤って開いてしまっても、開状態がすぐに解消されれば制御装置20は、ユーザによる衣類の取り出しがあったと判断しない。この場合、所定の開放期間Sは、例えば1秒から3秒の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の開放期間Sは2秒に設定されている。
【0061】
なお、別の実施形態では、待機状態の間にユーザによる操作パネル19に対する特別運転の開始すべき旨の操作があった場合にも制御装置20は特別運転を開始する構成であっても良い。つまり、ユーザによる操作パネル19へのその旨の操作があった場合には、扉15の開閉の有無を問わずに特別運転が実行される構成とすることもできる。この場合、例えば待機状態において、制御装置20は、操作パネル19に
図6に示すような表示を常に表示しても良い。
【0062】
特別運転は、回転槽13内の衣類のしわの発生を抑制し、又は発生したしわを低減させる工程である。特別運転は、第1工程と、第2工程と、第3工程とを含んで構成される。第1工程は、回転槽13に蒸気を供給する工程である。第2工程は、衣類を乾燥させてしわを取り除く工程である。第3工程は、第2工程で温められた回転槽13及び衣類を冷却する工程である。
【0063】
第1工程において、制御装置20は、蒸気発生装置50を駆動して回転槽13に蒸気を供給する。これにより、回転槽13内の衣類に蒸気が浸透する。なお、第1工程において、制御装置20は、蒸気発生装置50を駆動すると共に、回転槽モータ14を駆動して回転槽13を回転させても良い。この場合、衣類がかき混ぜられることで、蒸気を衣類全体に浸透させることができる。
【0064】
第2工程において、制御装置20は、回転槽モータ14、送風機36、圧縮機43等を駆動して、回転槽13内に加熱された空気を取り込みながら回転槽13を回転させる。これにより、第1工程で蒸気が浸透した衣類を温めて再度乾かすことで、衣類についたしわを取り除くことができる。また、回転槽13の回転により衣類がかき混ぜられることで、衣類全体をまんべんなく乾燥させることができる。
【0065】
この場合、第2工程における送風機36の回転数つまりファンモータ361の回転数を、乾燥工程における送風機36の回転数以上に設定することができる。これにより、衣類が回転槽13内で巻き上がりやすくなり、衣類同士が重なっている状態を抑制することができるため、より効率的にしわを取ることができる。
【0066】
例えば、乾燥工程における送風機36の最高回転数x0は、3000rpm~4500rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、乾燥工程における送風機36の最高回転数x0は、4000rpmに設定されている。例えば、第2工程における送風機36の最高回転数x1は、3500rpm~6500rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、第2工程における送風機36の最高回転数x1は、6000rpmに設定されている。
【0067】
更に、第2工程における給気温度は、乾燥工程における給気温度よりも低い温度に設定されている。例えば、第2工程における給気温度は、仕上げ工程における給気温度と同程度或いは仕上げ工程における給気温度よりも低い温度に設定されている。これにより、衣類が乾燥し過ぎることを抑制して、しわの再発生を低減することができる。
【0068】
この場合、第2工程における給気温度の最高温度t2は、仕上げ工程における給気温度の最高温度t1以下に設定することができる。例えば、第2工程における給気温度の最高温度t2は、例えば45℃~65℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、第2工程における給気温度の最高温度t1は55℃に設定されている。
【0069】
第3工程において、制御装置20は、回転槽モータ14と、送風機36とを駆動して、回転槽13内に空気を取り込みながら回転槽13を回転させる。これにより、第2工程で温められた乾燥室と衣類とを冷却して、ユーザが乾燥室から衣類を取り出せる状態とする。
【0070】
第1工程、第2工程、第3工程における回転槽モータ14の回転数は、脱水工程における回転槽モータ14の回転数よりも低く設定されている。また、回転槽モータ14の回転数は、乾燥工程における回転槽モータ14の回転数と同程度以下に設定することができる。本実施形態では、第1工程、第2工程、第3工程における回転槽モータ14の回転数は、乾燥工程における回転槽モータ14の回転数未満に設定されている。第1工程、第2工程、第3工程における回転槽モータ14の回転数は、例えば30rpm~60rpmの範囲内に設定することができる。第1工程、第2工程、第3工程における回転槽モータ14の回転数は、回転槽13内の衣類が上下に多少移動するが、重力に逆らって回転槽13に押し付けられるほどの遠心力を発生しない程度の回転数である。
【0071】
第1工程における蒸気の投入量は、
図7~
図9に示すように乾燥室この場合水槽12の温度若しくは湿度、又は回転槽13内の衣類の重量若しくは衣類の布質の少なくともいずれかに応じて異なる値に設定される。本実施形態では、第1工程における蒸気の投入量は、水槽12の温度及び湿度、並びに回転槽13内の衣類の重量及び衣類の布質に応じて異なる値に設定される。また、第1工程における蒸気の投入量は、
図10に示すように本運転終了後の経過時間に応じて異なる値に設定される。
【0072】
図7は、回転槽13内の衣類の重量と衣類の布質とに応じた蒸気の投入量の一例を示す。この場合、水槽12の温度は35℃以上、水槽12の相対湿度は35%RH未満、本運転の終了からの経過時間は60分の場合が示されている。
【0073】
衣類の布質が綿系の場合、衣類重量が1kgから12kgまで重くなるほどに、投入する蒸気の量は5gから16gまで徐々に多くなるように設定されている。ここで、衣類の重量は、衣類の乾燥重量を意味する。つまり、衣類が多いほど、衣類全体に蒸気が浸透するには多量の蒸気が必要となる。また、衣類が多ければ多いほど、衣類の重量によってしわが付きやすくなるため、投入する蒸気の量は多く設定される。
【0074】
更に、衣類の布質が綿系の場合と化繊系の場合とで比較すると、衣類の重量が同じ場合、綿系の方が化繊系よりも投入する蒸気の量はそれぞれ2g多くなるように設定されている。つまり、衣類の布質として綿が多い方が化繊が多い場合よりも吸水しやすく、またしわが付きやすいため、投入する蒸気の量は多く設定される。
【0075】
図8は、回転槽13内の温度に応じた蒸気の投入量の一例を示す。この場合、衣類の布質は綿系、水槽12の相対湿度は35%RH未満、本運転の終了からの経過時間は60分の場合が示されている。
【0076】
水槽12の温度が5℃未満の場合、衣類1kg~6kgの各場合の蒸気投入量は、それぞれ1g~6gに設定されている。水槽12の温度が5℃以上15℃未満の場合、上記各場合の蒸気投入量は、5℃未満の場合と比べて1gずつ増加される。水槽12の温度が15℃以上25℃未満の場合、上記各場合の蒸気投入量は、5℃以上15℃未満の場合と比べて更に1gずつ増加される。水槽12の温度が25℃以上35℃未満の場合、上記各場合の蒸気投入量は、15℃以上25℃未満の場合と比べて更に1gずつ増加される。水槽12の温度が35℃以上の場合、上記各場合の蒸気投入量は、25℃以上35℃未満の場合と比べて更に1gずつ増加される。
【0077】
つまり、水槽12の温度が高いほど同じ絶対湿度に対して相対湿度が低くなり、飽和状態と比較して空気が含む水分量の割合が少なくなる。また、水槽12の温度が高いほど蒸気が蒸発しやすくなる。これらの理由から、水槽12の温度が高いほど投入する蒸気の量は多く設定されている。
【0078】
図9は、水槽12の湿度に応じた蒸気の投入量の一例を示す。この場合、衣類の布質は綿系、水槽12の温度は35℃以上、本運転の終了からの経過時間は60分の場合が示されている。
【0079】
水槽12の湿度が35%RH未満の場合、衣類1kg~6kgの各場合の蒸気投入量は、それぞれ5g~10gに設定されている。水槽12の温度が35%RH以上40℃%RH未満の場合、上記各場合の蒸気投入量は、35%RH未満の場合と比べて1gずつ低減される。水槽12の温度が40%RH以上50℃%RH未満の場合、上記各場合の蒸気投入量は、35%RH以上40℃%RH未満の場合と比べて更に1gずつ低減される。水槽12の温度が50%RH以上60℃%RH未満の場合、上記各場合の蒸気投入量は、40%RH以上50℃%RH未満の場合と比べて更に1gずつ低減される。水槽12の温度が60%RH以上の場合、上記各場合の蒸気投入量は、50%RH以上60℃%RH未満の場合と比べて更に1gずつ低減される。
【0080】
つまり、水槽12の湿度が低い場合はしわが付きやすいため、蒸気を比較的多量に供給することが好ましい。一方、水槽12の湿度が既に高い場合はしわが付きにくいため、蒸気を多量に供給する必要が低減される。
【0081】
図10は、本運転終了後の経過時間に応じた蒸気投入量の一例を示す。この場合、衣類の布質は綿系、水槽12の温度は35℃以上、水槽12の相対湿度は35%RH未満の場合が示されている。
【0082】
本運転終了後の経過時間が30分未満の場合、衣類1kg~6kgの各場合の蒸気投入量は、それぞれ3g~8gに設定されている。本運転終了後の経過時間が30分以上90分未満の場合、上記各場合の蒸気投入量は、本運転終了後の経過時間が30分未満の場合と比較して更に2gずつ増加する。本運転終了後の経過時間が90分以上150分未満の場合、上記各場合の蒸気投入量は、本運転終了後の経過時間が30分以上90分未満の場合と比較して更に2gずつ増加する。本運転終了後の経過時間が150分以上の場合、上記各場合の蒸気投入量は、本運転終了後の経過時間が90分以上150分未満の場合と比較して更に2gずつ増加する。
【0083】
つまり、本運転終了後の経過時間が短いほど、しわの発生が少なく、また発生したしわが深くないため、投入する蒸気の量は少なく設定される。本運転終了後の経過時間が長いほど、しわの発生が多くなり、また発生したしわが深くなるため、投入する蒸気の量は多く設定される。
【0084】
更に、第2工程の動作期間P3は、
図11~
図13に示すように乾燥室この場合水槽12の温度若しくは湿度、又は回転槽13内の衣類の重量若しくは衣類の布質の少なくともいずれかに応じて異なる値に設定される。ここで動作期間は、第2工程が実行される期間を指す。本実施形態では、第2工程の動作期間P3は、水槽12の温度及び湿度、並びに回転槽13内の衣類の重量及び衣類の布質に応じて異なる値に設定される。また、第2工程の動作期間P3は、
図14に示すように本運転終了後の経過時間に応じて異なる値に設定される。
【0085】
図11は、回転槽13内の衣類の重量及び衣類の布質に応じた第2工程の動作期間P3の一例を示す。その他の条件は
図7に示す場合と同様である。
【0086】
衣類の布質が綿系の場合、衣類重量が1kgから12kgまでの第2工程の動作期間P3は、それぞれ8分から20分に設定されている。衣類の布質が化繊系の場合、衣類重量が1kgから12kgまでの第2工程の動作期間P3は、それぞれ6分から18分に設定されている。つまり、衣類の重量が軽いほど第2工程の動作期間P3は短く、衣類の重量が重いほど第2工程の動作期間P3は長く設定されている。これにより、しわが付きにくい衣類の量が少ない或いは衣類が軽い場合には必要以上に熱を与えて過乾燥となることを抑制すると共に、しわが付きやすい衣類の量が多い或いは衣類が重い場合には投入した蒸気が蒸発してしわが取れるのに必要な十分な時間を確保することができる。
【0087】
また、衣類の布質に関しては、同じ衣類重量で比較すると、第2工程の動作期間P3はいずれの衣類重量でも綿系の方が化繊系よりも長くなるように設定されている。これにより、よりしわが付きやすい綿系の衣類には投入した蒸気が蒸発してしわが取れるのに必要な十分な時間を確保することができると共に、しわが付きにくい化繊系の衣類には必要以上に熱を与えて過乾燥となることを抑制することができる。
【0088】
図12は、回転槽13内の温度に応じた第2工程の動作期間P3の一例を示す。その他の条件は
図8に示す場合と同様である。
【0089】
水槽12の温度が5℃未満の場合、衣類1kgから6kgまでの各場合の第2工程の動作期間P3は、それぞれ16分から21分に設定されている。水槽12の温度が5℃以上15℃未満の場合、上記各場合の第2工程の動作期間P3は、5℃未満の場合と比べて2分ずつ減少する。水槽12の温度が15℃以上25℃未満の場合、上記各場合の第2工程の動作期間P3、5℃以上15℃未満の場合と比べて更に2分ずつ減少する。水槽12の温度が25℃以上35℃未満の場合、上記各場合の第2工程の動作期間P3は、15℃以上25℃未満の場合と比べて更に2分ずつ減少する。水槽12の温度が35℃以上の場合、上記各場合の第2工程の動作期間P3は、25℃以上35℃未満の場合と比べて更に2分ずつ減少する。
【0090】
つまり、水槽12の温度が低い場合、水槽12の温度が高い場合と比較して、第2工程の動作期間P3は長く設定されている。これにより、水槽12内の温度が低く投入した蒸気が蒸発しにくい条件では、より長く加熱した空気に当てることによりしわを取りやすくすることができる。また、水槽12内の温度が高い条件では、加熱した空気に当てる期間を短くして過乾燥となることを抑制することができる。
【0091】
図13は、水槽12の湿度に応じた第2工程の動作期間P3の一例を示す。その他の条件は
図9に示す場合と同様である。
【0092】
水槽12の湿度が35%RH未満の場合、衣類1kgから6kgまでの各場合の第2工程の動作期間P3は、それぞれ8分から13分に設定されている。水槽12の温度が35%RH以上40℃%RH未満の場合、上記各場合の第2工程の動作期間P3は、35%RH未満の場合と比べて1分ずつ増加される。水槽12の温度が40%RH以上50℃%RH未満の場合、上記各場合の第2工程の動作期間P3は、35%RH以上40℃%RH未満の場合と比べて更に1分ずつ増加される。水槽12の温度が50%RH以上60℃%RH未満の場合、上記各場合の第2工程の動作期間P3は、40%RH以上50℃%RH未満の場合と比べて更に1分ずつ増加される。水槽12の温度が60%RH以上の場合、上記各場合の第2工程の動作期間P3は、50%RH以上60℃%RH未満の場合と比べて更に1分ずつ増加される。
【0093】
つまり、水槽12の湿度が低い場合、投入した蒸気が比較的速やかに蒸発すると考えられるので、加熱した空気に当てる期間を短くして衣類が過乾燥となることを抑制することができる。一方、水槽12の湿度が高い場合、投入した蒸気が比較的蒸発しにくいと考えられるので、加熱した空気に当てる期間を長くすることで衣類のしわを取りやすくすることができる。
【0094】
図14は、本運転終了後の経過時間に応じた第2工程の動作期間P3の一例を示す。その他の条件は
図10に示す場合と同様である。
【0095】
本運転終了後の経過時間が30分未満の場合、衣類1kgから6kgまでの各場合の第2工程の動作期間P3は、それぞれ7分から12分に設定されている。本運転終了後の経過時間が30分以上90分未満の場合、上記各場合の第2工程の動作期間P3は、本運転終了後の経過時間が30分未満の場合と比較して更に1分ずつ増加する。本運転終了後の経過時間が90分以上150分未満の場合、上記各場合の第2工程の動作期間P3は、本運転終了後の経過時間が30分以上90分未満の場合と比較して更に1分ずつ増加する。本運転終了後の経過時間が150分以上の場合、上記各場合の第2工程の動作期間P3は、本運転終了後の経過時間が90分以上150分未満の場合と比較して更に1分ずつ増加する。
【0096】
つまり、本運転終了後の経過時間が短いほど、しわの発生が少なく、また発生したしわが深くないため、加熱した空気に当てる期間を短くして衣類が過乾燥となることを抑制することができる。本運転終了後の経過時間が長いほど、しわの発生が多くなり、また発生したしわが深くなるため、加熱した空気に当てる期間を長くすることで衣類のしわを取りやすくすることができる。
【0097】
続いて、
図15を参照して、制御装置20による特別運転の開始に関する制御を説明する。
図15のスタート時において、洗濯運転、乾燥運転又は洗濯乾燥運転から選ばれる本運転例えばこの場合洗濯乾燥運転は終了しているものとする。また、洗濯運転、乾燥運転又は洗濯乾燥運転から選ばれる本運転は、ユーザによってしわ取りコースが選択されて実行されたものとする。
【0098】
本運転として洗濯乾燥運転が終了すると(スタート)、制御装置20は、本運転終了後、所定の期間P0が経過したか否かを判定する。所定の期間P0が経過している場合(ステップS11でYes)、制御装置20は、処理をステップS20に進める。所定の期間P0が経過していない場合(ステップS11でNo)、制御装置20は、処理をステップS12に進める。
【0099】
ステップS12において、制御装置20は、本運転終了後又は後述する第1報知処理後、所定の期間P1が経過したか否かを判定する。所定の期間P1が経過している場合(ステップS12でYes)、制御装置20は、処理をステップS13に進める。所定の期間P0が経過していない場合(ステップS12でNo)、制御装置20は、処理をステップS15に進める。所定の期間P1は期間P0より短く設定されている。所定の期間P1は、例えば、10分から60分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の期間P1は、30分に設定されている。
【0100】
ステップS13において、制御装置20は、第1報知処理を実行する。第1報知処理はユーザに、本運転終了後一定期間が経過したが衣類の取り出しがないことを報知する処理である。制御装置20は、第1報知処理として、例えば操作パネル19に文字や画像を表示したり、図示しない音声装置によってブザー等を鳴らしたり、又はユーザの保有する外部の情報機器に通知を送信して当該情報機器に文字や画像を表示さたりすることができる。本実施形態では、制御装置20は、第1報知処理として、ブザーを鳴らすと共に、例えば
図16に示すようなメッセージを表示する。この場合、メッセージは、本運転である洗濯乾燥運転が終了したので、しわ取りが不要な衣類を取り出すように促すものである。制御装置20は、本運転の終了後、期間P1経過するごとに、第1報知処理を実行する。上述のように、期間P1は、期間P0よりも短く設定されている。そのため、ユーザは、期間P0が経過して洗濯乾燥機10の電源がオフとなる前に、少なくとも一度、報知を受けることができる。
【0101】
ユーザがリターンキー193を操作すると、制御装置20は、操作パネル19に表示した第1報知処理のメッセージを消去する。なお、ユーザが運転終了キー192を操作すると、制御装置20はその後のステップを経ずにつまり特別運転を実行せずに、全ての運転を終了する構成としても良い。
【0102】
図15のステップS13に続いて、制御装置20は、ステップS14に処理を進める。ステップS14において、制御装置20は、扉15の開閉があったか否かを判定する判定処理を実行する。この場合扉15の開閉があるとは、扉15の開状態が所定の開放期間S維持された後に、再度扉15が閉じた閉状態となったことを指す。ここで開放期間とは、扉15が開状態となっている期間を指す。扉15の開閉がない場合(ステップS15でNo)、制御装置20は、処理をステップS11に戻す。扉15の開閉がある場合(ステップS15でYes)、制御装置20は、処理をステップS16に進める。
【0103】
ステップS16において、制御装置20は、表示処理を実行する。表示処理は、ユーザに特別運転の開始の要否を選択操作させる表示を行う処理である。この場合、制御装置20は、操作パネル19に、例えば
図6に示すような画面を表示する。他の実施形態では、ユーザの保有する外部の情報端末に、同様の画面を表示させても良い。
【0104】
続いて、ステップS17において、制御装置20は、特別運転の開始の指示の有無を判定する。例えば、ユーザの操作パネル19への操作によって特別運転の開始が指示された場合、指示が有りとなる。一方、ユーザの操作パネル19への操作によって特別運転の開始が指示されない場合、指示が無しとなる。特別運転の開始の指示がある場合(ステップS17でYes)、制御装置20は処理をステップS18に進める。
【0105】
特別運転の開始の指示が無い場合(ステップS17でNo)、制御装置20は、処理をステップS19に進める。ステップS19において、制御装置20は、表示処理から期間P2が経過したか否かを判定する。期間P2は、例えば5分から30分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、期間P2は、15分に設定されている。
【0106】
表示処理から期間P2が経過していない場合(ステップS19でNo)、制御装置20は、処理をステップS17に戻す。表示処理から期間P2が経過している場合(ステップS19でYes)、制御装置20は、処理をステップS20に進める。
【0107】
ステップS18において、制御装置20は詳細を後述する特別運転を実行する。その後、ステップS20において、制御装置20は電源をオフにする。これにより、制御装置20は、全ての運転を終了する(エンド)。
【0108】
続いて、
図17を参照して、制御装置20が特別運転において実行する処理について説明する。特別運転が開始されると、制御装置20は、重量検知部65によって衣類の重量を検知する(ステップS21)。これにより、ユーザにより特別運転が不要な衣類が取り出された後に、乾燥室に残された衣類の重量を把握することができる。なお、特別運転の前に実行される本運転が洗濯運転であって衣類が濡れている場合には、制御装置20は、洗濯運転終了時の濡れた状態の衣類の重量と、ステップS21で重量検知部65が検知した衣類の重量とを比較して、洗濯運転開始時の乾燥状態の衣類の重量から、乾燥室に収容された衣類の乾燥重量を推定しても良い。
【0109】
ステップS22において、制御装置20は、湿度センサ62に水槽12の湿度を検知させる。また、制御装置20は、水槽温度センサ63に水槽12の温度を検知させる。
【0110】
続いてステップS23において、制御装置20は、水槽12の温度及び湿度、並びに回転槽13内の衣類の重量及び衣類の布質、並びに本運転終了後の経過時間に応じて、例えば
図7~
図10に示すチャートに基づいて蒸気の投入量を設定する。なお、制御装置20は、本運転に洗濯運転が含まれる場合、洗濯運転時に取得した布質の情報を利用することができる。本運転に洗濯運転が含まれない場合、制御装置20は、工場出荷時に定められた綿系又は化繊系のいずれか一方例えば綿系を自動的に選択するように構成されていても良い。更に、制御装置20は、ユーザの操作パネル19への操作によって布質の情報を取得しても良い。
【0111】
続いてステップS24において、制御装置20は、水槽12の温度及び湿度、並びに回転槽13内の衣類の重量及び衣類の布質、並びに本運転終了後の経過時間に応じて、例えば
図11~
図14に示すチャートに基づいて第2工程の動作期間P3を設定する。
【0112】
ステップS25において、制御装置20は回転槽モータ14を駆動する。ステップS26において、制御装置20は、蒸気発生装置50を駆動して、詳細は後述する蒸気投入処理を実行する。蒸気投入処理は、蒸気発生装置50を駆動して蒸気を発生させ、乾燥室この場合特に回転槽13に蒸気を投入する処理である。これにより、衣類を収容した回転槽13に蒸気が投入され、衣類に蒸気が浸透する。また、回転槽13が回転することにより、衣類がかき混ぜられ、衣類全体にまんべんなく蒸気が浸透しやすくなる。第1工程は、ステップS25とS26とを含む。
【0113】
ステップS27において、制御装置20は、圧縮機43を駆動する。ステップS28において、制御装置20は送風機36を駆動する。第2工程は、ステップS27とステップS28とを含む。なお、第2工程において、制御装置20は回転槽モータ14を駆動する。これにより、衣類に浸透した蒸気が蒸発する際に、衣類についたしわが取り除かれ又は軽減される。
【0114】
ステップS29において、制御装置20は、第2工程の開始から、所定の期間つまり第2工程の動作期間P3が経過したか否かを判定する。所定の動作期間P3経過していない場合(ステップS29でNo)、制御装置20はステップS29の処理を繰り返す。所定の動作期間P3経過している場合(ステップS29でYes)、制御装置20は処理をステップS30に進める。
【0115】
ステップS30において、制御装置20は圧縮機43を停止する。これにより、循環風路30を流れる循環空気の加熱が停止する。つまり、制御装置20は、第2工程を終了し、第3工程を開始する。なお、第3工程において、制御装置20は、回転槽モータ14と送風機36とを駆動する。これにより、所定の期間、圧縮機43を駆動しないつまり加熱されない空気が乾燥室と循環風路30とを循環するので、第2工程で温められた衣類と乾燥室とを送風効果によって冷却することができる。
【0116】
ステップS31において、制御装置20は、圧縮機43を停止してからつまり第3工程が開始してから所定の期間P4経過したか否かを判定する。期間P4は、第3工程の動作期間である。所定の期間P4は、例えば5分~15分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の期間P4は、10分に設定されている。
【0117】
所定の期間P4経過していない場合(ステップS31でNo)、制御装置20はステップS31の処理を繰り返す。所定の期間P4経過している場合(ステップS31でYes)、制御装置20は処理をステップS32に進める。
【0118】
ステップS32において、制御装置20は送風機36の駆動を停止する。ステップS33において、制御装置20は回転槽モータ14の回転を駆動する。これにより、第3工程が終了する。また、第1工程から第3工程までを含む特別運転が終了する(リターン)。
【0119】
続いて、蒸気投入処理について
図18を参照して説明する。蒸気投入処理が開始されると、ステップS41において、制御装置20は給水弁171を開く。これにより、外部の水源から、給水経路172を通してタンク511に水が給水される。
【0120】
ステップS42において、制御装置20は加熱部512に通電する。これにより、加熱部512は発熱して、タンク511内の水を温めて蒸気を発生させる。発生した蒸気は噴霧部52によって微細化されて、水槽12及び回転槽13に投入される。
【0121】
ステップS43において、制御装置20は、タンク温度センサ64の検知温度が所定の温度t3以上であるか否かを判定する。所定の温度t3は、100℃よりも高温に設定されている。所定の温度t3は、例えば125℃~135℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の温度t3は130℃に設定されている。タンク温度センサ64の検知温度が所定の温度t3未満である場合(ステップS43でNo)、制御装置20は処理をステップS48に進める。タンク温度センサ64の検知温度が所定の温度t3以上である場合(ステップS43でYes)、制御装置20は処理をステップS44に進める。
【0122】
ステップS44において、制御装置20は加熱部512の通電を停止する。これにより、何らかの原因によりタンク511に給水がなされずタンク511が高温となった場合には、加熱部512の加熱を停止することで、事故や故障の発生を抑制することができる。
【0123】
ステップS45において、制御装置20は給水弁171を閉じる。そして、ステップS46において、制御装置20は、回転槽モータ14を停止する。これにより、以下に説明する第2報知処理の結果、ユーザが衣類を回転槽13から取り出すことにした場合、ユーザは直ぐに取り出すことができる。
【0124】
ステップS47において、制御装置20は、第2報知処理を実行する。第2報知処理は、ユーザに給水がされなかったため特別運転が実行されないことを報知する処理である。制御装置20は、例えば
図19に示すような画面を操作パネル19に表示して、ユーザに報知する。また、制御装置20は、ユーザの保有する外部の情報端末に情報を送信して同様の内容の画面を表示させても良い。これらの場合、制御装置20は、図示しないスピーカ等からのブザー音や音声メッセージによってユーザに報知しても良い。これにより、ユーザは、特別運転が実行できないことを認識することができる。
【0125】
図18のステップS48において、制御装置20は、給水弁171を開いてから所定の給水期間P5経過したか否かを判定する。ここで給水期間P5は、給水弁171が開いてタンク511に給水される期間を指す。給水期間P5は、
図7~
図10に示す投入する蒸気の量に応じて設定することができる。例えば、投入する蒸気量と給水期間P5との相関の一例を、
図20に示す。この場合、給水期間P5は、蒸気量1g~15gに応じて3秒~45秒の範囲内に設定することができる。給水期間P5を短くすると発生する蒸気の量が少なくなり、給水期間P5を長くすると発生する蒸気の量が多くなる。つまり、給水期間P5は、衣類の重量若しくは衣類の布質、水槽12の温度若しくは湿度、又は本運転終了後の経過時間の少なくともいずれかに応じて設定される。
【0126】
給水弁171を開いてから所定の給水期間P5経過していない場合(ステップS48でNo)、制御装置20は処理をステップS43に戻す。給水弁171を開いてから所定の給水期間P5経過した場合(ステップS48でYes)、制御装置20は処理をステップS49に進める。ステップS49において、制御装置20は給水弁171を閉じる。
【0127】
ステップS50において、制御装置20は、タンク温度センサ64の検知温度が所定の温度t4以上であるか否かを判定する。タンク511の温度が所定の温度t4に達した場合、タンク511内の水が加熱されて全て蒸気となったと考えることができる。所定の温度t4は、所定の温度t3よりも低温であって、100℃よりも高温に設定されている。所定の温度t4は、例えば115℃~125℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の温度t4は120℃に設定されている。
【0128】
タンク温度センサ64の検知温度が所定の温度t4未満である場合(ステップS50でNo)、制御装置20はステップS50の処理を繰り返す。タンク温度センサ64の検知温度が所定の温度t4以上である場合(ステップS50でYes)、制御装置20は処理をステップS51に進める。
【0129】
ステップS51において、制御装置20は加熱部512の通電を停止する。これにより、制御装置20は蒸気投入処理を終了する(リターン)。
【0130】
ここで、従来の洗濯乾燥機では、乾燥運転の後半に蒸気を回転槽13に導入しているため、例えば乾燥運転において回転槽13内に収容されていた全ての衣類に対して、特別運転が施される。しかしながら、例えばタオルなど、しわを取る必要性が低い衣類とワイシャツやブラウスなどしわを取る必要性が高い衣類とが混在して洗濯運転や乾燥運転が実行されることが少なくない。また、回転槽13内に収容された衣類の重量が重ければ重いほどしわが付きやすく、ついたしわを取ることは難しくなる。
【0131】
以上説明した本実施形態によれば、衣類乾燥機としての洗濯乾燥機10は、筐体11と、水槽12と、回転槽13と、駆動部としての回転槽モータ14と、蒸気発生装置50と、制御装置20と、を備える。筐体11は、前面に開口部111を有する。水槽12は、筐体11内部に設けられている。回転槽13は、水槽12内部に回転可能に設けられて、水槽12と共に乾燥室を構成する。回転槽モータ14は、回転槽13を回転させる。蒸気発生装置50は、回転槽13内部に供給する蒸気を生成する。
【0132】
制御装置20は、衣類を洗濯する洗濯運転、衣類を乾燥する乾燥運転、並びに洗濯運転及び乾燥運転の両方を行う洗濯乾燥運転の少なくともいずれかを実行可能に構成されている。制御装置20は、本運転終了後、蒸気発生装置50により回転槽13に蒸気を供給する処理と、回転槽モータ14を駆動して回転槽13を回転させる処理とを含む特別運転を実行可能に構成されている。
【0133】
これによれば、洗濯乾燥機10は、本運転が終了した後に特別運転を実行するので、ユーザは、特別運転の実行前に特別運転の不要な衣類を回転槽13から取り出すことができる。したがって、特別運転の必要な衣類だけに絞って特別運転を実行することができるので、短時間で効果的にしわを取ることができる。したがって、運転終了後すぐに衣類を取り出さなくても衣類のしわ付きを抑制することができ、ユーザの利便性が向上した衣類乾燥機を提供することができる。
【0134】
洗濯乾燥機10は、循環風路30と、送風機36と、を更に備える。循環風路30は、筐体11内に設けられて水槽12及び回転槽13と接続されて内部に空気を循環させる。送風機36は、循環風路30中に設けられて水槽12及び回転槽13に空気を送風する。制御装置20は、特別運転において、送風機36を駆動して水槽12及び回転槽13に循環空気を供給する処理を実行する。
【0135】
これによれば、本運転終了後に、衣類に循環空気を当てることで、衣類に浸透した蒸気が乾く際にしわが取れやすくなる。また、衣類に循環空気を当てることで、衣類が回転槽13内で広がりやすくなり、衣類同士が重なっている状態を抑制することができるため、より効率的にしわを取ることができる。
【0136】
またこの場合、制御装置20は、本運転において回転槽モータ14、送風機36、及びヒートポンプユニット40の少なくともいずれか1つを駆動する。更に、制御装置20は、本運転終了後、特別運転開始前に回転槽モータ14、送風機36、及びヒートポンプユニット40の全ての動作を停止する処理を実行して、洗濯乾燥機10を待機状態とする。そのため、ユーザは、洗濯乾燥機10の運転を一時停止するために操作パネル19などを操作せずとも、直ぐに扉15を開けて、特別運転の不要な衣類を取り出すことができる。したがって、更にユーザの利便性が向上する。
【0137】
また、洗濯乾燥機10は、扉15と、扉開閉検知部67とを備える。扉15は、開口部111を開閉する。扉開閉検知部67は、扉15の開閉状態を検知可能である。制御装置20は、本運転の終了後、扉開閉検知部67が扉15が開状態となった後閉状態となったことを検知したか否かを判定する判定処理を実行する。扉開閉検知部67が扉15が開状態となった後閉状態となったことを検知した場合、制御装置20は、特別運転を実行する。
【0138】
これによれば、本運転の運転終了後、ユーザが扉15を一度開閉してしわ取りが不要な衣類を取り出した後に特別運転を実行することができる。そのため、特別運転不要な衣類が意図せずに特別運転に供されることが抑制され、そのために特別運転に必要以上に時間が掛かることや、余計な電力消費を抑制することができる。
【0139】
また、制御装置20は、本運転終了後所定期間P0経過するまでに扉開閉検知部67が扉15が開状態となった後閉状態となったことを検知しなければ、特別運転を実行せずに洗濯乾燥機10の電源を切る。
【0140】
これによれば、本運転の終了後、ユーザが衣類を長時間放置していた場合には、洗濯乾燥機10の電源を切ることでその後の無駄な待機電力を抑えることができる。
【0141】
更に、制御装置20は、判定処理として、扉開閉検知部67が扉15が所定の開放期間S開状態を維持した後閉状態となったことを検知したか否かを判定する。
【0142】
これによれば、ユーザが扉15を誤って開いてしまうことがあっても、開状態がすぐに解消されれば、制御装置20は、ユーザによる衣類の取り出しがあったと判断しない。したがって、ユーザの利便性が更に向上する。
【0143】
なお、本実施形態では、扉15の開閉があったと判断された後に、制御装置20は自動的には特別運転を実行せず、ユーザによる操作を待つ構成としたが、これに限らない。例えば、扉15の開閉があったと判断された後に、制御装置20が自動的に特別運転を実行する構成の場合、判定処理において、扉開閉検知部67が扉15が所定の開放期間S開状態を維持した後閉状態となったことを検知したか否かを判定することによって、上記の効果が一層期待される。
【0144】
更にまた、洗濯乾燥機10は、循環風路30と、送風機36と、加熱装置としてヒートポンプユニット40と、を備える。循環風路30は、筐体11内に設けられて水槽12及び回転槽13と接続されて内部に空気を循環させる。送風機36は、循環風路30中に設けられて水槽12及び回転槽13に空気を送風する。ヒートポンプユニット40の熱交換部34は、循環風路中に設けられて前記循環空気を乾燥して加熱する。制御装置20は、特別運転において第1工程と、第2工程とを実行可能である。第1工程は、蒸気発生装置50を駆動して回転槽13に蒸気を供給する工程である。第2工程は、第1工程後加熱部512を駆動し、送風機36を駆動して水槽12及び回転槽13に乾燥空気を供給し、及び回転槽モータ14を駆動して回転槽13を回転させる工程である。第2工程における給気温度は、乾燥運転における給気温度以下に設定される。より具体的には、第2工程における給気温度は、乾燥運転の最終工程である仕上げ工程における給気温度以下に設定される。
【0145】
これによれば、衣類に蒸気を浸透させてから衣類を乾燥させることで、効果的にしわを取り除いたり低減したりすることができる。また、特別運転において、衣類が過度に熱せられて過乾燥になったり、再びしわが発生したり、縮みが発生したりすることを抑制することができる。
【0146】
ここで、乾燥室の状況、及び衣類の状況に合わせて、最適な蒸気の量は変化する。投入する蒸気の量が少なすぎると、十分なしわ取り効果が期待できない。一方、投入する蒸気の量が多すぎると、衣類を再度乾燥させるために長期間を要する。
【0147】
これに対して、特別運転において供給する蒸気の量は、水槽12又は回転槽13の温度若しくは湿度又は、回転槽13内の衣類の重量若しくは衣類の布質の少なくともいずれかに応じて異なる値に設定される。
【0148】
これによれば、乾燥室の状況、及び衣類の状況に合わせて、最適な量の蒸気を投入することができるので、所要時間を必要以上に長期化させずに必要十分なしわ取り効果が期待できる。
【0149】
特別運転の動作時間この場合とりわけ第2工程の動作期間P3は、水槽12又は回転槽13の温度若しくは湿度又は、回転槽13内の衣類の重量若しくは衣類の布質の少なくともいずれかに応じて異なる値に設定される。
【0150】
これによれば、投入した蒸気の量や蒸気の蒸発しやすさに応じて、蒸気を乾燥させる期間を変更することができるので、所要時間を必要以上に長期化させずに必要十分なしわ取り効果が期待できると共に、衣類の過乾燥を抑制することができる。
【0151】
ここで、洗濯運転、乾燥運転又は洗濯乾燥運転といった本運転の終了後の経過時間が短ければ、衣類に発生しているしわは少ない又は浅いと考えられ、逆に経過時間が長ければ、衣類に発生しているしわは多い又は深いと考えられる。このような場合に、一律に同量の蒸気を投入すると、蒸気が過少であったり過多であったりして、所望のしわ取り効果が発揮されない虞がある。また、蒸気投入後一律に同期間乾燥させた場合、過乾燥となったり半乾き状態となったりして、ユーザの利便性が損なわれる虞がある。
【0152】
これに対して、特別運転において供給する蒸気の量又は特別運転の動作時間この場合とりわけ第2工程の動作期間P3は、本運転終了後の経過時間に応じて異なる値に設定される。
【0153】
これによれば、本運転の終了後の経過時間に応じて、最適な蒸気供給量と第2工程の動作期間P3とが設定されるので、所望のしわ取り効果が発揮されると共に、ユーザの利便性が向上される。
【0154】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図21及び
図22を参照して説明する。
図21に示すように、本実施形態の蒸気投入処理は、
図18に示す第1実施形態の蒸気投入処理と一部が異なっている。
【0155】
本実施形態では、
図18のステップS48に替えて、制御装置20はステップS61を実行する。ステップS61において、制御装置20は、湿度センサ62の検知湿度が、所定の相対湿度Q以上であるか否かを判定する。つまり、本実施形態では、制御装置20は、水槽12の湿度が閾値に達したことで、蒸気が必要な量投入されたと判断する。所定の相対湿度Qは、第1実施形態と同様に、衣類の重量、衣類の布質、水槽12の温度、及び本運転の終了からの経過時間に応じて設定される。
【0156】
図22は、衣類の重量と衣類の布質に応じて設定された所定の相対湿度Qの一例を示す。この場合、水槽12の温度は35℃以上、水槽12の相対湿度は35%RH未満、本運転の終了からの経過時間は60分の場合が示されている。衣類の布質が綿系の場合、衣類の重量が1kg~12kgと増加するのにしたがって、所定の相対湿度Qは70%RH~90%RHと増加するように設定されている。衣類の布質が化繊系の場合、上記各重量での所定の相対湿度Qは、綿系の場合よりもそれぞれ5%ずつ少なく設定されている。つまり、衣類の重量が少ないほど所定の相対湿度Qは低く、衣類の重量が大きいほど所定の相対湿度Qは高く設定されている。また、衣類の布質として綿が多い方が衣類の布質として化繊が多い場合に比較して所定の相対湿度Qは高く設定されている。
【0157】
また、水槽12の温度が高いほど投入した蒸気が蒸発しやすいため、所定の相対湿度Qは高く設定され、水槽12の温度が低いほど投入した蒸気が蒸発しにくいため、所定の相対湿度Qは低く設定される。更に、本運転の終了からの経過時間が短いほどしわの発生が少なくなるため、所定の相対湿度Qは低く設定され、本運転の終了からの経過時間が長いほどしわの発生が多くなるため、所定の相対湿度Qは高く設定される。
【0158】
湿度センサ62の検知湿度が所定の相対湿度Q未満の場合(ステップS61でNo)、制御装置20は処理をステップS43に戻す。湿度センサ62の検知湿度が所定の相対湿度Q以上の場合(ステップS61でYes)、制御装置20は処理をステップS49に進める。
【0159】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0160】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、
図23~
図25を参照して説明する。
図23に示すように、本実施形態の特別運転は、
図16に示す第1実施形態の特別運転と一部が異なっている。本実施形態では、制御装置20は、重量検知部65の検知重量に基づいて回転槽13内に衣類が収容されていないと判定した場合、自動的には第1工程を実行しない。つまり、制御装置20は、回転槽13内に衣類が収容されていない場合、特別運転を少なくとも一時停止する。
【0161】
本実施形態では、制御装置20は、ステップS21とステップS22との間にステップS71の処理を実行する。ステップS71において、制御装置20は、
図24に示す第2判定処理を実行する。
【0162】
第2判定処理が開始すると、制御装置20は、重量検知部65の検知結果に基づいて、回転槽13内に衣類が収容されているか否かを判定する(ステップS72)。つまり、制御装置20は、重量検知部65の検知重量が0kgであれば衣類が収容されていないと判定し、0kgよりも重ければ衣類が収容されていると判定する。回転槽13内に衣類が収容されていれば(ステップS72でYes)、制御装置20は第2判定処理を終了して(リターン)、処理を
図23のステップS22に進める。回転槽13内に衣類が収容されていなければ(ステップS72でNo)、制御装置20は処理をステップS73に進める。
【0163】
ステップS73において、制御装置20は第3報知処理を実行する。第3報知処理は、回転槽13内に衣類が収容されていないことをユーザに報知する処理である。制御装置20は、例えば
図25に示すような画面を操作パネル19に表示して、ユーザに報知する。また、ユーザの保有する外部の情報端末に情報を送信して同様の内容の画面を表示させても良い。これらの場合、制御装置20は、図示しないスピーカ等からのブザー音や音声メッセージによってユーザに報知しても良い。
【0164】
これにより、特別運転を施すべき衣類が回転槽13内に収容されていない場合に、ユーザは回転槽13内を確認して衣類を収容したり或いは特別運転が不要であれば運転を終了したりするなど、適切な対応を取ることができる。
【0165】
続いて
図24のステップS74において、制御装置20は第3報知処理を実行してから所定期間P6が経過したか否かを判定する。所定期間P6は、例えば5分から15分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定期間P6は10分に設定されている。
【0166】
第3報知処理を実行してから所定期間P6経過している場合、制御装置20は、処理をステップS75に進める。ステップS75において、制御装置20は、洗濯乾燥機10の電源を切る。これにより、制御装置20は全ての運転を終了する。つまり、洗濯乾燥機10は、第2判定処理で衣類が収容されていないと判定されると、一時停止状態となる。そして、所定期間P6の間にユーザによる操作がなければ、すべての運転を終了する。
【0167】
第3報知処理を実行してから所定期間P6経過していない場合、制御装置20は、処理をステップS76に進める。ステップS76において、制御装置20は、運転再開についての操作があるか否かを判定する。例えば、制御装置20は、
図25に示す運転再開キー194のユーザによる操作があるか否かを判定する。運転再開についての操作がない場合(ステップS76でNo)、制御装置20処理をステップS74に戻す。運転再開についての操作がある場合(ステップS76でYes)、制御装置20処理をステップS77に進める。
【0168】
ステップS77において、制御装置20は重量検知部65が前回衣類の重量を検知してから扉開閉検知部67が扉15の開閉を検知したか否かを判定する。この場合、制御装置20は、
図23のステップS21において重量検知部65が衣類の重量を検知してから扉開閉検知部67が扉15の開閉を検知したか否かを判定する。扉15の開閉があるか否かの定義は、上記各実施形態と同様である。
【0169】
ユーザが扉15を開いた場合、回転槽13内の衣類の増減があると推測される。扉15の開閉を検知した場合(ステップS77でYes)、制御装置20は、処理を
図23のステップS21に進める。これにより、例えばユーザが回転槽13内の衣類を一部出し入れするなどして衣類の重量に変更があった場合でも、変更後の衣類の重量に応じて最適な蒸気量や動作期間P3が設定される。
【0170】
扉15の開閉を検知しない場合(ステップS77でNo)、制御装置20は、第2判定処理を終了して(リターン)、処理を
図23のステップS22に進める。これにより、特別運転が再開される。
【0171】
以上説明した本実施形態によっても、上記各実施形態と同様の効果が奏される。
【0172】
また、洗濯乾燥機10は、回転槽13内に投入された衣類の重量を検知する重量検知部65を備える。制御装置20は、特別運転開始後、重量検知部65の検知結果によって回転槽13内の衣類の有無を判定する第2判定処理を実行する。制御装置20は、回転槽13内に衣類がないと判定した場合特別運転を少なくとも一時停止する。
【0173】
これによれば、回転槽13内の衣類を全て取り出した場合など、特別運転を行う必要がないにも拘わらずユーザが誤って操作した場合、不要な特別運転の実行を回避することができる。そのため、無駄な電力や水の消費が抑制される。
【0174】
更に、制御装置20は、特別運転を一時停止後、扉開閉検知部67が扉15の開閉を検知した場合、特別運転の再開時に重量検知部65に回転槽13内の衣類の重量を検知させる。
【0175】
これによれば、ユーザが回転槽13内の衣類を一部出し入れするなどして衣類の重量に変更があった場合でも、変更後の衣類の重量に応じて最適な蒸気量や動作期間P3が設定される。
【0176】
なお、上記では、第2判定処理において衣類がないと判定されて特別運転が一時停止した場合を説明したが、他の理由によって特別運転が一時停止した場合でも、扉15の開閉が検知されれば、特別運転の再開時に再度衣類の重量を検知する構成とすることができる。
【0177】
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、蒸気発生装置50は、水槽12の上方であって洗濯機10上部の前端部に設けられ、開口部121及び開口部131を通して上前方から回転槽13内の衣類に蒸気を吹き付ける構成としたが、これに限らない。例えば、別の実施形態では、蒸気発生装置50を回転槽端板132及び水槽端板122の後方に配置し、循環風路30内この場合給気ダクト35内に蒸気を吹き付ける構成としても良い。この場合、蒸気の吹き付け方向と送風機36による送風方向とが一致するので、蒸気が回転槽13内の衣類に浸透しやすくなる。
【0178】
また、別の実施形態では、上記各実施形態の第1工程において、蒸気発生装置50は、送風機36を駆動した状態でつまり空気を循環風路30と乾燥室とで循環させた状態で蒸気を投入しても良い。これによれば、蒸気を含んだ空気が循環するため、乾燥室内で蒸気がより拡散しやすくなり、衣類全体に広がりやすくなる。
【0179】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0180】
10…洗濯乾燥機(衣類乾燥機)、11…筐体、12…水槽(乾燥室)、13…回転槽(乾燥室)、14…回転槽モータ(駆動部)、15…扉、20…制御装置、30…循環風路、36…送風機、40…ヒートポンプユニット(加熱装置)、50…蒸気発生装置、61…給気温度センサ、62…湿度センサ、63…水槽温度センサ、64…タンク温度センサ、65…重量検知部、66…布質検知部、67…扉開閉検知部