(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】表示装置及び農作業機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20241203BHJP
A01C 11/00 20060101ALI20241203BHJP
A01C 15/00 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A01C11/02 330L
A01C11/00 302
A01C15/00 J
(21)【出願番号】P 2021067067
(22)【出願日】2021-04-12
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】上田 良平
(72)【発明者】
【氏名】名城 昂平
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-126268(JP,A)
【文献】特開2013-059296(JP,A)
【文献】特開2020-129393(JP,A)
【文献】特開2012-157335(JP,A)
【文献】特開2022-030945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
A01C 11/00
A01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部の第1表示領域に農作業機が作業する圃場の情報を表示させると共に、前記表示部の第2表示領域に前記農作業機が行う作業内容の情報を表示させる制御部と
を備え
、
前記制御部は、前記第2表示領域を前記第1表示領域と第3表示領域との間に配置し、前記第3表示領域に、前記農作業機が行うことのできる複数の作業内容に対応する複数のアイコンを表示させると共に、前記第2表示領域に表示中の作業内容の情報に対応するアイコンを、残りのアイコンとは異なる表示態様に変更する、
表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2表示領域に前記作業内容を表すアイコンを表示させる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2表示領域に、前記農作業機が施肥量を変更しながら走行する可変施肥作業を表すアイコン、施肥量調量の増減比率、及び現在の施肥量を表示させる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2表示領域において上下方向又は左右方向に、前記可変施肥作業を表すアイコン、前記施肥量調量の増減比率、及び前記現在の施肥量の順に並べて表示させる、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
作業者による選択操作を受け付ける操作部を備え、
前記制御部は、前記複数の作業内容に対応する前記複数のアイコンとして、前記農作業機が施肥量を変更しながら走行する可変施肥作業、前記農作業機が一定の施肥量で走行する一定施肥作業、及び前記農作業機の施肥量を調量する調量作業に対応する各アイコンを前記第3表示領域に表示させると共に前記操作部が受け付けた選択操作に基づく作業内容の情報を前記第2表示領域に表示させ、前記操作部が前記調量作業の選択操作を受け付けた場合に前記一定施肥作業及び前記可変施肥作業それぞれの調量作業の情報を前記第2表示領域に表示させる、請求項
1~4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記可変施肥作業の調量作業の情報として、施肥量調量の増減比率、繰り出された施肥量、及び推奨される増減比率を、前記第2表示領域に表示させる、請求項
5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記操作部が前記作業者から受け付けた施肥量調量の増減比率の増減操作及び繰り出された施肥量に基づいて、前記推奨される増減比率を算出して表示させる、
請求項
6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記可変施肥作業又は前記一定施肥作業の調量作業の情報を前記第2表示領域に表示中に前記農作業機が施肥作業を開始した場合、前記第2表示領域の表示を前記可変施肥作業の情報に切り替える、請求項
5~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の表示装置を備える、農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の圃場作業機は、圃場に粉粒状農用資材を供給する粉粒体供給装置、粉粒体供給装置を有する走行機体、表示部、及び制御部を備えている。制御部は、圃場に粉粒状農用資材を供給する圃場作業において、粉粒状農用資材の圃場の単位面積あたりの供給量に関する情報を表示部に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の圃場作業機は、作業内容を表示するが、作業する圃場の情報(例えば、位置情報)を表示しない。そのため、作業者は、圃場作業中に、作業する圃場と作業内容とを照合することができない。例えば、作業者が複数の圃場を所有しており、且つ圃場ごとに作業内容が異なる場合、作業者は、作業する圃場と作業内容とを照合できないため、圃場作業中に作業内容の間違いに気づくことが困難である。
【0005】
本発明は、作業する圃場と作業内容とを照合可能な表示装置及び農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置は、表示部と、制御部とを備える。前記制御部は、前記表示部の第1表示領域に農作業機が作業する圃場の情報を表示させると共に、前記表示部の第2表示領域に前記農作業機が行う作業内容の情報を表示させる。
【0007】
本発明に係る農作業機は、表示装置を備える。前記表示装置は、表示部と、制御部とを備える。前記制御部は、前記表示部の第1表示領域に農作業機が作業する圃場の情報を表示させると共に、前記表示部の第2表示領域に前記農作業機が行う作業内容の情報を表示させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業する圃場と作業内容とを照合可能な表示装置及び農作業機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る田植機を示す左側面図である。
【
図2】実施形態1に係る表示装置の田植機における取り付け位置を例示する上面図である。
【
図3】実施形態1に係る表示装置を示す外観斜視図である。
【
図4】実施形態1に係る表示装置を示すブロック図である。
【
図5】実施形態1に係る表示装置の画面遷移例を示す図である。
【
図6】実施形態1に係る表示装置が表示する調量作業画面の一例を示す図である。
【
図7】実施形態1に係る表示装置が表示する可変施肥調量作業画面の一例を示す図である。
【
図8】実施形態1に係る表示装置が表示する可変施肥調量作業画面の第1遷移画面を示す図である。
【
図9】実施形態1に係る表示装置が表示する可変施肥調量作業画面の第2遷移画面を示す図である。
【
図10】実施形態1に係る表示装置が表示する可変施肥調量作業画面の第3遷移画面を示す図である。
【
図11】実施形態1に係る表示装置が表示する可変施肥作業画面の一例を示す図である。
【
図12】実施形態1に係る表示装置が表示する一定施肥調量作業画面の一例を示す図である。
【
図13】実施形態1に係る表示装置が表示する一定施肥作業画面の一例を示す図である。
【
図14】実施形態1に係る表示装置が表示する施肥作業停止画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
<実施形態1>
図1を参照して、実施形態1に係る田植機1について説明する。
図1は、実施形態1に係る田植機1を示す左側面図である。田植機1は、農作業機の一例である。実施形態1において、田植機1の進行方向は、
図1の紙面において左方向である。なお、以下の説明では、田植機1の進行方向に向かって左側を左と称し、田植機1の進行方向に向かって右側を右と称する場合がある。
【0012】
図1に示されるように、田植機1は、走行部2と、施肥機3と、測位ユニット4と、表示装置5と、植付部6と、エンジン10と、ミッションケース11と、前輪12と、後輪13と、運転座席14と、ハンドル15と、ペダル16と、ボンネット17と、ダッシュボード18とを備える。
【0013】
走行部2は、田植機1の車体として構成されている。走行部2は、エンジン10の動力によって圃場を走行する。
【0014】
前輪12及び後輪13は、走行部2を支持する。前輪12及び後輪13は、それぞれ走行部2に対して左右一対に設けられている。実施形態1において、前輪12の車軸には、車速センサ19が配置されている。車速センサ19は、車軸の回転を検出することで、走行部2の走行速度を検出する。なお、車速センサ19は、前輪12と異なる位置に配置されてもよい。
【0015】
エンジン10は、走行部2の前側に支持されている。エンジン10は、ボンネット17に覆われている。ボンネット17は、開閉可能に構成されている。エンジン10は、田植機1の動力源として機能する。
【0016】
エンジン10の動力は、ミッションケース11に入力される。エンジン10の動力は、ミッションケース11により変速されて、前輪12及び後輪13に伝達される。また、エンジン10の動力は、ミッションケース11を介して、植付部6に伝達される。
【0017】
運転座席14には、田植機1の作業者が着座する。運転座席14は、走行部2の前後方向において前輪12と後輪13との間に配置されている。
【0018】
運転座席14の前方には、ダッシュボード18及び表示装置5が配置される。ダッシュボード18には、ハンドル15が配置される。
【0019】
ハンドル15は、運転座席14の前方に配置されたステアリングコラムに取り付けられている。作業者がハンドル15を手で握って回すことで、走行部2の直進及び旋回を指示することができる。
【0020】
ペダル16は、運転座席14の前側の床から上方に突出するように配置されている。ペダル16を足で踏むことによって、作業者は、ペダル16を操作する。また、ペダル16には、作業者がペダル16への踏込みを解除したときにペダル16を戻すための戻しバネが取り付けられている(不図示)。
【0021】
作業者がペダル16を足で踏み込むことで、走行部2の走行を指示する。具体的には、作業者がペダル16を足で踏み込む深さを変更することによって、走行部2の加速又は減速を指示する。一方、作業者がペダル16から足を離すことによって、走行部2の走行停止を指示する。
【0022】
植付部6は、走行部2の後方に配置されている。植付部6は、苗を圃場に対して植え付ける。植付部6は、昇降リンク機構61を介して走行部2に連結されている。植付部6は、例えば、植付ユニット62及び苗載台63を含む。苗載台63には、苗マットが載置される。苗載台63に載置された苗マットの苗は、植付ユニット62に供給される。植付ユニット62は、苗を圃場に植え付ける。
【0023】
走行部2には、昇降シリンダ64が配置されている。昇降シリンダ64が伸縮駆動することにより、走行部2に対して植付部6を上下に昇降させる。
【0024】
施肥機3は、肥料タンク31と、繰出部32と、電動モータ33(
図4参照)と、搬送ホース34と、ブロワ35と、繰出体36と、施肥量ダイヤル37と、施肥コントローラ38(
図4参照)とを備える。実施形態1では、施肥機3は、複数の肥料タンク31と、肥料タンク31と同数の繰出部32とを備える。
【0025】
肥料タンク31は、走行部2の前後方向において運転座席14と苗載台63との間の位置に配置されている。実施形態1において、肥料タンク31は、例えば、粉粒体状の肥料(農用資材)を貯留する。
【0026】
繰出部32は、肥料タンク31の下部に接続されている。繰出部32は、肥料タンク31から供給された肥料を所定量ずつ下方に繰り出す。
【0027】
繰出部32の内部には、肥料が通過可能な経路が配置されている(不図示)。当該経路には、略円板形状を有する繰出体36が回転可能に配置されている。即ち、繰出部32は、繰出体36を含む。繰出体36には、所定量の肥料を収容可能な複数の繰出凹部が形成されている(不図示)。繰出体36を回転させることによって、繰出凹部に収容された肥料が経路の下流に繰り出される。
【0028】
電動モータ33は、繰出部32の繰出体36を回転させる駆動源として機能する。電動モータ33は、施肥機3の適宜の位置に取り付けられる。
【0029】
搬送ホース34は、繰出部32の内部に配置される経路の下流側に接続されている。搬送ホース34は、可撓性を有する細長いチューブ状の部材である。
【0030】
ブロワ35は、繰出部32に近接した適宜の位置に配置されている。ブロワ35は、空気流を生成して、繰出部32の内部の経路に空気流を送り出す。その結果、搬送ホース34を通じて当該経路の下流に繰り出された肥料が圃場に供給される(施肥される)。
【0031】
施肥量ダイヤル37は、作業者が繰出体36の回転数を増減させるための操作手段である。作業者が施肥量ダイヤル37を操作することによって、走行部2の走行速度に対する電動モータ33の動作速度が増減し、その結果、電動モータ33によって駆動される繰出体36の動作速度、即ち単位時間当たりの回転数が増減する。即ち、作業者が施肥量ダイヤル37を操作することにより、施肥機3から繰り出される施肥量が増減する。
【0032】
測位ユニット4は、田植機1の位置を示す位置情報を取得する。測位ユニット4は、例えば、測位用アンテナ、及び位置情報受信機を含む。測位用アンテナは、例えば衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)等の測位システムを構成する測位衛星からの信号を受信する。測位用アンテナで受信された測位信号は、位置情報受信機に入力される。位置情報受信機は、入力された測位信号を信号処理して田植機1の位置を示す位置情報を取得する。また、測位ユニット4は、信号処理時に位置情報の測位精度を取得する。
【0033】
図2は、実施形態1に係る表示装置5の田植機1における取り付け位置を例示する上面図である。表示装置5は、田植機1のうち、運転座席14に着座している作業者が視認及び操作できる位置に配置される。
図2の例では、表示装置5が、保持具7によってハンドル15の右側に取り付けられている。また、保持具7の内部には、表示装置5と田植機1とを有線接続するワイヤが配置されている(不図示)。
【0034】
図3は、実施形態1に係る表示装置5を示す外観斜視図である。表示装置5は、表示部51と、操作部52と、制御部53(
図4参照)とを備える。表示部51は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイのようなディスプレイによって構成される。操作部52は、表示部51である液晶ディスプレイ等の表面に一体化されたタッチパネルによって構成される。なお、操作部52は、タッチパネルに代えて、又はタッチパネルに加えて、ハードスイッチ及びハードボタン等によって構成されてもよ。また、図示は省略するが、表示装置5は、表示部51と操作部52とを保護するカバーを備えてもよい。
【0035】
図4は、実施形態1に係る表示装置5を示すブロック図である。表示装置5は、田植機1の施肥機3、測位ユニット4、及び施肥機3と有線接続される。
図3に示される表示装置5の側面又は背面には、有線接続用の端子が存在する(不図示)。また、表示装置5は、格納部8と有線接続又は無線接続される。格納部8は、施肥機3の施肥コントローラ38に内蔵されているメモリであってもよいし、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記憶媒体であってもよいし、サーバであってもよい。
【0036】
格納部8は、圃場の位置情報及び圃場の名称といった圃場の情報を格納している。また、格納部8は、可変施肥作業に用いられる施肥マップを格納している。施肥マップは、圃場を分割することによって設定される複数の区域(メッシュ)を示す位置情報と、区域ごとに割り当てられた施肥量を示す情報とを含む。
【0037】
制御部53は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のようなメモリとを有する。例えば、制御部53は、メモリに予め記憶されたコンピュータプログラムをプロセッサが実行することにより、コンピュータプログラムで規定された各種処理を実行する。
【0038】
ここで、田植機1が行う作業の一例として施肥作業について説明する。一般的に、作業者が田植機1を用いて施肥作業を行う場合、田植機1が一定の施肥量で走行する一定施肥作業を行う。
【0039】
一定施肥作業において、施肥コントローラ38は、走行部2の走行速度と施肥機3が圃場に施肥する施肥量とを連動させることにより、圃場に施肥される単位面積当たりの肥料の量を一定に保つ。一定施肥作業において、制御部53は、車速センサ19が検出した走行部2の走行速度を、施肥コントローラ38へ出力する。あるいは、施肥コントローラ38は、制御部53を介さず、直接、車速センサ19から走行速度を取得してもよい。
【0040】
走行部2の走行速度が速い場合、施肥コントローラ38は、電動モータ33を制御して繰出体36の動作速度を上昇させることによって、単位時間当たりに搬送ホース34に繰り出される肥料の量を増加させる。一方、走行部2の走行速度が遅い場合、施肥コントローラ38は、電動モータ33を制御して繰出体36の動作速度を減少させることによって、単位時間当たりに搬送ホース34に繰り出される肥料の量を減少させる。これにより、施肥機3は、走行部2の走行速度によらず、圃場に施肥する単位面積当たりの肥料の量を一定に保つことができる。
【0041】
近年、田植機1が施肥量を変更しながら走行する可変施肥作業が行われている。可変施肥作業では、例えば、土壌の肥沃度及び前年の収穫量等を参照して設定された圃場の区域ごとの計画施肥量と、圃場の位置情報とを組み合わせた施肥マップが用いられる。施肥マップは、上述した格納部8に格納される。
【0042】
可変施肥作業において、制御部53は、格納部8に格納された施肥マップを参照し、区域ごとに施肥する肥料の量を変更する。制御部53は、車速センサ19が検出した走行部2の走行速度と、測位ユニット4が検出した田植機1の位置に対応する施肥マップ上の施肥量とを、施肥コントローラ38へ出力する。あるいは、施肥コントローラ38は、制御部53を介さず、直接、測位ユニット4から位置情報を取得すると共に、取得した位置に対応する施肥マップ上の施肥量を格納部8から取得してもよい。
【0043】
走行部2の走行速度が速い場合、施肥コントローラ38は、電動モータ33を制御して繰出体36の動作速度を上昇させることによって、単位時間当たりに搬送ホース34に繰り出される肥料の量を増加させる。加えて、施肥コントローラ38は、施肥マップに基づく施肥量に応じて繰出体36の動作速度を増減させる。一方、走行部2の走行速度が遅い場合、施肥コントローラ38は、電動モータ33を制御して繰出体36の動作速度を減少させることによって、単位時間当たりに搬送ホース34に繰り出される肥料の量を減少させる。加えて、施肥コントローラ38は、施肥マップに基づく施肥量に応じて繰出体36の動作速度を増減させる。これにより、施肥機3は、走行部2の走行速度によらず、圃場に施肥する区域あたりの肥料の量を施肥マップに基づいて変更することができる。
【0044】
なお、施肥する肥料の種類及び作業時の天候(温度及び湿度等)に起因して、肥料が繰出体36の繰出凹部に入る量が異なる場合がある。そのため、搬送ホース34に繰り出される肥料の量(一般的にはkg)は、肥料の種類及び天候に応じて変化する。
【0045】
そのため、作業者は、圃場で施肥作業を開始する前に、調量作業を行う。調量作業には、田植機1が一定施肥する場合の施肥量を調量する一定施肥調量作業と、田植機1が可変施肥する場合の施肥量を調量する可変施肥調量作業とがある。
【0046】
一般的な調量作業において、作業者は、田植機1を停止させた状態で搬送ホース34の下端部に容器を配置し、施肥機3を単位面積分だけ駆動させて搬送ホース34から繰り出された肥料を容器内に集める。作業者は、容器内に集めた肥料の重量を計測し、計測結果に基づいて施肥量ダイヤル37を操作することによって施肥量を増減させる。
【0047】
例えば、施肥量ダイヤル37のダイヤル値が「4」の場合、施肥機3の施肥量は40kg/10aであり、ダイヤル値が「5」の場合、施肥機3の施肥量は50kg/10aである。但し、肥料の種類及び天候に起因して、ダイヤル値が「5」であっても実際の計測結果が50kg/10aより少ない、又は多い場合がある。
【0048】
ここで、作業者は、施肥機3の施肥量を50kg/10aに設定しようとしているものとする。ダイヤル値が「5」であるにも関わらず計測結果が40kg/10aであった場合、作業者は、施肥量ダイヤル37のダイヤル値を例えば「5.5」に変更し、搬送ホース34から繰り出される肥料の重量を再計測する。このようにして、作業者は、施肥機3の施肥量が50kg/10aになるように施肥量ダイヤル37のダイヤル値を調整する。
【0049】
次に、表示装置5が表示する画面について説明する。以下では、上述した施肥作業を例に用いて画面を説明する。格納部8には、圃場の位置情報及び圃場の名称といった圃場の情報が格納されている。また、格納部8には、可変施肥作業を行う圃場の施肥マップが格納されている。表示装置5の操作部52はタッチパネルで構成されており、タッチパネルが表示部51の表面に一体化されている。
【0050】
図5は、実施形態1に係る表示装置5の画面遷移例を示す図である。作業者が圃場で施肥作業を行う場合、制御部53は、最初に圃場選択画面100を表示部51に表示させる。具体的には、制御部53は、測位ユニット4が検出した田植機1の位置に近い圃場の情報を格納部8から取得し、取得した圃場の情報を用いて圃場選択画面100を生成する。図示例では、田植機1の現在位置に最も近いX圃場、2番目に近いY圃場、及び3番目に近いZ圃場がリストアップされている。作業者は、施肥作業を行う圃場を選択し、決定ボタンを押す。操作部52は、作業者が行った操作内容(例えば、決定ボタンを押したこと)を制御部53へ出力する。以降、操作部52の動作について説明を省略する。
【0051】
制御部53は、圃場選択画面100の決定ボタンが押された場合に、表示部51の画面を圃場選択画面100から調量作業画面200に変更する。作業者が調量作業画面200の可変施肥調量作業ボタン(
図6の可変施肥調量作業ボタン221)を押した場合、制御部53は、表示部51の画面を調量作業画面200から可変施肥調量作業画面300に変更する。制御部53は、作業者が可変施肥調量作業を行っている間、可変施肥調量作業画面300を表示させる。
【0052】
作業者が可変施肥調量作業画面300のキャンセルボタン(
図7のキャンセルボタン332)を押した場合、制御部53は、表示部51の画面を可変施肥調量作業画面300から可変施肥作業画面400に変更する。制御部53は、田植機1が可変施肥作業を行っている間、可変施肥作業画面400を表示させる。
【0053】
あるいは、制御部53は、作業者が圃場作業を開始したと判断した場合、表示部51の画面を可変施肥調量作業画面300から可変施肥作業画面400に自動的に変更してもよい。例えば、制御部53は、車速センサ19が検出する走行部2の走行速度が所定速度以上になった場合に、作業者が圃場作業を開始したと判断する。また、例えば、制御部53は、エンジン10から植付部6までの動力伝達経路(例えば、植付部6の植付クラッチ)を監視して、作業者が圃場作業を開始したか否かを判断してもよい。なお、施肥コントローラ38が、作業者が圃場作業を開始したか否かを判断し、判断結果を制御部53へ通知してもよい。
【0054】
制御部53が自動的に可変施肥調量作業画面300から可変施肥作業画面400に変更することにより、調量作業終了から圃場作業開始までの間の作業者による画面操作の手間を省略できる。
【0055】
作業者が調量作業画面200の一定施肥調量作業ボタン(
図6の一定施肥調量作業ボタン222)を押した場合、制御部53は、表示部51の画面を調量作業画面200から一定施肥調量作業画面500に変更する。制御部53は、作業者が一定施肥調量作業を行っている間、一定施肥調量作業画面500を表示させる。
【0056】
作業者が一定施肥調量作業画面500のキャンセルボタン(
図12のキャンセルボタン532)を押した場合、制御部53は、表示部51の画面を一定施肥調量作業画面500から一定施肥作業画面600に変更する。制御部53は、田植機1が一定施肥作業を行っている間、一定施肥作業画面600を表示させる。
【0057】
あるいは、制御部53は、作業者が圃場作業を開始したと判断した場合、表示部51の画面を一定施肥調量作業画面500から一定施肥作業画面600に自動的に変更してもよい。作業者が圃場作業を開始したか否かの判断方法は、上述の判断方法と同じである。
【0058】
制御部53が自動的に一定施肥調量作業画面500から一定施肥作業画面600に変更することにより、調量作業終了から圃場作業開始までの間の作業者による画面操作の手間を省略できる。
【0059】
次に、
図5に示された調量作業画面200、可変施肥調量作業画面300、可変施肥作業画面400、一定施肥調量作業画面500、及び一定施肥作業画面600の詳細を説明する。
【0060】
図6は、実施形態1に係る表示装置5が表示する調量作業画面200の一例を示す図である。調量作業画面200は、上から下の順に第1表示領域210、第2表示領域220、及び第3表示領域230に分かれている。第1表示領域210には、測位精度アイコン211、スリップ率補正アイコン212、及び圃場情報213等が表示される。第2表示領域220には、可変施肥調量作業ボタン221及び一定施肥調量作業ボタン222が表示される。第3表示領域230には、可変施肥作業ボタン231、一定施肥作業ボタン232、施肥作業停止ボタン233、及び調量作業ボタン234が表示される。
【0061】
測位精度アイコン211は、測位ユニット4の測位精度を表すアイコンである。制御部53は、測位ユニット4から測位精度を取得し、取得した測位精度に応じて測位精度アイコン211の表示態様を変更する。例えば、制御部53は、測位精度が高い場合に測位精度アイコン211を緑色にし、測位精度が低い場合に測位精度アイコン211を赤色にする。表示態様はこれに限定されない。
【0062】
スリップ率補正アイコン212は、施肥コントローラ38によるスリップ率補正の実施有無を表すアイコンである。制御部53は、施肥コントローラ38からスリップ率補正の実施有無を取得し、取得結果に応じてスリップ率補正アイコン212の表示態様を変更する。例えば、制御部53は、施肥コントローラ38がスリップ率補正を実施している場合にスリップ率補正アイコン212を明るくし(又は濃くし)、スリップ率補正を実施していない場合にスリップ率補正アイコン212を暗くする(又は薄くする)。表示態様はこれに限定されない。
【0063】
圃場情報213は、田植機1が作業する圃場の情報である。
図5の圃場選択画面100でX圃場が選択されたため、制御部53は、圃場情報213としてX圃場の情報を表示する。圃場情報213は、少なくとも圃場の名前を含み、圃場の名前に加えて圃場の住所及び圃場の広さ等を含んでもよい。圃場情報213のもとになる情報は、格納部8に予め格納されている。
【0064】
可変施肥調量作業ボタン221は、作業者が可変施肥調量作業を行う場合に表示部51に可変施肥調量作業画面300を表示させるためのボタンである。制御部53は、可変施肥調量作業ボタン221が押された場合、表示部51の画面を、
図6に示される調量作業画面200から
図7に示される可変施肥調量作業画面300に変更する。
【0065】
一定施肥調量作業ボタン222は、作業者が一定施肥調量作業を行う場合に表示部51に一定施肥調量作業画面500を表示させるためのボタンである。制御部53は、一定施肥調量作業ボタン222が押された場合、表示部51の画面を、
図6に示される調量作業画面200から
図12に示される一定施肥調量作業画面500に変更する。
【0066】
可変施肥作業ボタン231は、作業者が可変施肥作業を行う場合に、表示部51に可変施肥作業画面400を表示させるためのボタンである。制御部53は、可変施肥作業ボタン231が押された場合、表示部51の画面を、
図6に示される調量作業画面200から
図11に示される可変施肥作業画面400に変更する。
【0067】
一定施肥作業ボタン232は、作業者が一定施肥作業を行う場合に、表示部51に一定施肥作業画面600を表示させるためのボタンである。制御部53は、一定施肥作業ボタン232が押された場合、表示部51の画面を、
図6に示される調量作業画面200から
図13に示される一定施肥作業画面600に変更する。
【0068】
施肥作業停止ボタン233は、作業者が施肥機3の施肥作業を停止させる場合に表示部51に施肥作業停止画面700(
図14参照)を表示させるためのボタンである。制御部53は、施肥作業停止ボタン233が押された場合、表示部51の画面を、
図6に示される調量作業画面200から
図14に示される施肥作業停止画面700に変更する。
【0069】
調量作業ボタン234は、作業者が調量作業を行う場合に表示部51に調量作業画面200を表示させるためのボタンである。
図6では、調量作業画面200が表示されている。
【0070】
上述のように、作業者は、第3表示領域230における可変施肥作業ボタン231、一定施肥作業ボタン232、施肥作業停止ボタン233、及び調量作業ボタン234を押すことにより、
図5に示される画面遷移の途中であっても、これらのボタンに対応する作業内容を表す画面を表示させることができる。
【0071】
第3表示領域230における可変施肥作業ボタン231、一定施肥作業ボタン232、施肥作業停止ボタン233、及び調量作業ボタン234は、作業者が操作可能なボタンとして機能するだけでなく、現在どの作業内容が選択されているかを表すアイコンとしても機能する。
図6では調量作業が選択されているため、制御部53は、調量作業に対応する調量作業ボタン234を明るくし(又は濃くし)、残りの可変施肥作業ボタン231、一定施肥作業ボタン232、及び施肥作業停止ボタン233を暗くする(又は薄くする)。表示態様はこれに限定されず、選択されている作業内容と選択されていない作業内容とが区別できればよい。また、
図6では調量作業が選択されているため、制御部53は、第2表示領域220に、調量作業を表す可変施肥調量作業ボタン221及び一定施肥調量作業ボタン222を表示する。
【0072】
図7は、実施形態1に係る表示装置5が表示する可変施肥調量作業画面300の一例を示す図である。
図8は、実施形態1に係る表示装置5が表示する可変施肥調量作業画面300の第1遷移画面を示す図である。
図9は、実施形態1に係る表示装置5が表示する可変施肥調量作業画面300の第2遷移画面を示す図である。
図10は、実施形態1に係る表示装置5が表示する可変施肥調量作業画面300の第3遷移画面を示す図である。
【0073】
可変施肥調量作業画面300は、上から下の順に第1表示領域310、第2表示領域320、及び第3表示領域330に分かれている。第1表示領域310には、現在選択されている作業内容である可変施肥調量作業を表す「調量(可変施肥)」が表示される。なお、制御部53は、第1表示領域310に、
図6に示す圃場情報213と同様の圃場情報を表示してもよい。
【0074】
第2表示領域320には、可変施肥調量作業の内容が表示される。可変施肥調量作業が進むにつれて表示部51の画面が
図7~
図10の順に遷移する。制御部53は、
図7~
図10の各画面において、作業者に行わせる作業内容を明るくし(又は濃くし)、作業者に行わせない作業内容を暗くする(又は薄くする)。表示態様はこれに限定されず、作業させる内容と作業させない内容とが区別できればよい。
【0075】
第2表示領域320において、設定値は、施肥量調量の増減比率に相当する。繰出量入力値は、繰り出された施肥量に相当する。推奨設定値は、推奨される増減比率に相当する。
【0076】
制御部53は、可変施肥調量作業において最初に
図7の可変施肥調量作業画面300を表示させる。制御部53は、プラスボタン321、マイナスボタン322、設定値(
図7では110%)、及び繰出量確認ボタン323を明るくする。作業者は、まず、プラスボタン321及びマイナスボタン322を操作して設定値を増減させて決定ボタン331を押した後、繰出量確認ボタン323を押す。制御部53は、プラスボタン321及びマイナスボタン322に対する操作に応じて設定値の表示を変更する。制御部53は、繰出量確認ボタン323が押された場合に、決定ボタン331が押されたときの設定値を施肥コントローラ38に通知して繰出開始を指示すると共に、表示部51に
図8の可変施肥調量作業画面300を表示させる。
【0077】
施肥コントローラ38は、制御部53から繰出開始の指示を受けると、所定時間、制御部53から通知された設定値「110%」で電動モータ33を動作させ、搬送ホース34から肥料を繰り出させる。作業者は、搬送ホース34から出た肥料の重量を計測する。ここでは、計測結果が「225g」であったものとする。
【0078】
制御部53は、
図8に示されるように、プラスボタン321、マイナスボタン322、設定値(
図8では110%)、繰出量確認ボタン323、繰出量入力値(
図8ではg/230)、プラスボタン324、及びマイナスボタン325を明るくする。繰出量入力値の「230」は、設定値が「100%」のとき且つ理想的な使用環境において、搬送ホース34から所定時間に繰り出される予定の肥料の重量230gを表す。設定値「100%」は、現在の施肥量ダイヤル37のダイヤル値に相当する。作業者は、プラスボタン324及びマイナスボタン325を操作して繰出量入力値を増減させることによって、繰り出された施肥量の測定結果「225g」を入力し、決定ボタン331を押す。制御部53は、プラスボタン324及びマイナスボタン325に対する操作に応じて繰出量入力値の表示を変更する。制御部53は、決定ボタン331が押された場合に、設定値「110%」と繰出量入力値「225g」とを用いて、推奨設定値を算出する。推奨設定値を算出する数式は、制御部53に予め設定されている。推奨設定値は、繰出入力値が「230g」になる設定値である。
【0079】
制御部53は、
図9に示されるように、プラスボタン321、マイナスボタン322、設定値(
図9では110%)、繰出量入力値(
図9では225g/230)、プラスボタン324、マイナスボタン325、及び推奨設定値(
図9では112%)を明るくする。作業者は、推奨設定値「112%」を参考にして、プラスボタン321及びマイナスボタン322を操作して設定値を「110%」から「112%」に変更し、決定ボタン331を押す。
【0080】
制御部53は、
図9の可変施肥調量作業画面300において決定ボタン331が押された場合、
図10に示されるように、プラスボタン321、マイナスボタン322、設定値(
図10では112%)、繰出量確認ボタン323、及び推奨設定値(
図10では112%)を明るくする。作業者は、繰出量確認ボタン323を押す。制御部53は、繰出量確認ボタン323が押された場合に設定値を施肥コントローラ38に通知する。施肥コントローラ38は、所定時間、制御部53から通知された設定値「112%」で電動モータ33を動作させ、搬送ホース34から肥料を繰り出させる。作業者は、搬送ホース34から出た肥料の重量を計測することで、計測結果が「230g」になったか否かを確認する。最終的な設定値及び繰出量入力値は、作業者により決定される。
【0081】
第3表示領域330には、決定ボタン331及びキャンセルボタン332が表示される。決定ボタン331は、作業者が設定値及び繰出量入力値の増減操作を終了するためのボタンである。決定ボタン331が押された場合の制御部53の動作は上述の通りである。
【0082】
キャンセルボタン332は、作業者が可変施肥調量作業を終了した場合に、可変施肥作業画面400を表示させるためのボタンである。制御部53は、キャンセルボタン332が押された場合、表示部51の画面を可変施肥調量作業画面300から可変施肥作業画面400に変更する。
【0083】
図11は、実施形態1に係る表示装置5が表示する可変施肥作業画面400の一例を示す図である。可変施肥作業画面400は、上から下の順に第1表示領域410、第2表示領域420、及び第3表示領域430に分かれている。
【0084】
第1表示領域410には、測位精度アイコン411、スリップ率補正アイコン412、及び圃場情報413等が表示される。可変施肥作業画面400の第1表示領域410に表示される情報は、調量作業画面200の第1表示領域210に表示される情報と同じであるため、説明を省略する。
【0085】
第2表示領域420には、可変施肥作業アイコン421、施肥量調量の増減比率422、及び現在の施肥量423等の情報が表示される。
【0086】
可変施肥作業アイコン421は、可変施肥作業を表すアイコンである。制御部53は、田植機1が行っている作業内容の情報をアイコンとして表示させる。制御部53は、「可変施肥」等の文字列を表示させてもよい。
【0087】
施肥量調量の増減比率422は、可変施肥調量作業において作業者が最終的に決定した設定値である。即ち、施肥量調量の増減比率422は、
図10の可変施肥調量作業画面300における設定値である。
【0088】
現在の施肥量423は、施肥機3の現在の施肥量を表す情報である。制御部53は、測位ユニット4が検出した田植機1の位置に対応する区域の施肥量を、格納部8に格納されている施肥マップから取得し、取得した施肥量に対して施肥量調量の増減比率422である「112%」を乗じて、現在の施肥量423である「41kg/10a」を算出する。制御部53は、算出した施肥量「41kg/10a」を、表示部51に表示させる。また、制御部53は、算出した施肥量「41kg/10a」と走行部2の走行速度とを、施肥コントローラ38に通知する。
【0089】
制御部53は、可変施肥作業アイコン421、施肥量調量の増減比率422、及び現在の施肥量423を、左から右の順に表示させることが好ましい。この順に表示させることにより、作業者が直感的に作業内容を理解できる。
【0090】
第3表示領域430には、可変施肥作業ボタン431、一定施肥作業ボタン432、施肥作業停止ボタン433、及び調量作業ボタン434が表示される。可変施肥作業画面400の第3表示領域430に表示される情報は、調量作業画面200の第3表示領域230に表示される情報と同じであるため、説明を省略する。但し、
図11では、可変施肥作業が選択されているため、制御部53は、可変施肥作業ボタン431を明るくし(又は濃くし)、残りの一定施肥作業ボタン432、施肥作業停止ボタン433、及び調量作業ボタン434を暗くする(又は薄くする)。
【0091】
図12は、実施形態1に係る表示装置5が表示する一定施肥調量作業画面500の一例を示す図である。一定施肥調量作業画面500は、上から下の順に第1表示領域510、第2表示領域520、及び第3表示領域530に分かれている。第1表示領域510には、現在選択されている作業内容である一定施肥調量作業を表す「調量(一定施肥)」が表示される。なお、制御部53は、第1表示領域510に、
図6に示す圃場情報213と同様の圃場情報を表示してもよい。
【0092】
第2表示領域520には、一定施肥調量作業の内容が表示される。可変施肥調量作業と同様に、一定施肥調量作業が進むにつれて表示部51に表示される第2表示領域520の内容が変化する。画面遷移の図示及び詳細な説明は省略する。
【0093】
第2表示領域520には、プラスボタン521、マイナスボタン522、設定値(
図12では5.3)、繰出量確認ボタン523、繰出量入力値(
図12では225g)、プラスボタン524、マイナスボタン525、及び目標施肥量(
図12では45kg/10a)が表示される。
【0094】
作業者は、一定施肥作業の準備として、施肥機3の施肥量を50kg/10aに調量しようとしているものとする。作業者は、まず、プラスボタン521及びマイナスボタン522を操作して設定値を増減させて決定ボタン531を押した後、繰出量確認ボタン523を押す。一定施肥調量作業における設定値は、現在の施肥量ダイヤル37のダイヤル値に一致する。制御部53は、プラスボタン521及びマイナスボタン522に対する操作に応じて設定値の表示を変更する。制御部53は、繰出量確認ボタン523が押された場合に、繰出開始を施肥コントローラ38に指示する。
【0095】
施肥コントローラ38は、制御部53から繰出開始の指示を受けると、所定時間、電動モータ33を動作させ、搬送ホース34から肥料を繰り出させる。作業者は、搬送ホース34から出た肥料の重量を計測する。ここでは、計測結果が「225g」であったものとする。
【0096】
作業者は、プラスボタン524及びマイナスボタン525を操作して繰出量入力値を増減させることによって、繰り出された施肥量の測定結果「225g」を入力し、決定ボタン531を押す。制御部53は、プラスボタン524及びマイナスボタン525に対する操作に応じて繰出量入力値の表示を変更する。制御部53は、決定ボタン531が押された場合に、繰出量入力値「225g」を用いて目標施肥量を算出する。目標施肥量を算出する数式は、制御部53に予め設定されている。目標施肥量は、施肥量ダイヤル37のダイヤル値が現在の「5.3」である場合の、施肥機3の施肥量である。
【0097】
作業者は、目標施肥量「45kg/10a」を参考にして、「50kg/10a」になるように施肥量ダイヤル37のダイヤル値を変更する。作業者は、変更後のダイヤル値になるように、プラスボタン521及びマイナスボタン522を操作して設定値を増減させ、決定ボタン531及び繰出量確認ボタン523を押す。制御部53は、繰出量確認ボタン523が押された場合に施肥コントローラ38に繰出開始を指示する。施肥コントローラ38は、所定時間、電動モータ33を動作させ、搬送ホース34から肥料を繰り出させる。作業者は、搬送ホース34から出た肥料の重量を計測し、繰出量入力値を増減させることにより、調量後の目標施肥量を表示させる。最終的な設定値は、作業者により決定される。
【0098】
第3表示領域530には、決定ボタン531及びキャンセルボタン532が表示される。決定ボタン531は、作業者が設定値及び繰出量入力値の増減操作を終了するためのボタンである。決定ボタン531が押された場合の制御部53の動作は上述の通りである。
【0099】
キャンセルボタン532は、作業者が一定施肥調量作業を終了した場合に、一定施肥作業画面600を表示させるためのボタンである。制御部53は、キャンセルボタン532が押された場合、表示部51の画面を一定施肥調量作業画面500から一定施肥作業画面600に変更する。
【0100】
図13は、実施形態1に係る表示装置5が表示する一定施肥作業画面600の一例を示す図である。一定施肥作業画面600は、上から下の順に第1表示領域610、第2表示領域620、及び第3表示領域630に分かれている。
【0101】
第1表示領域610には、測位精度アイコン611、スリップ率補正アイコン612、及び圃場情報613等が表示される。一定施肥作業画面600の第1表示領域610に表示される情報は、調量作業画面200の第1表示領域210に表示される情報と同じであるため、説明を省略する。
【0102】
第2表示領域620には、一定施肥作業アイコン621、ダイヤル値622、及び「ダイヤル」623等の情報が表示される。
【0103】
一定施肥作業アイコン621は、一定施肥作業を表すアイコンである。制御部53は、田植機1が行っている作業内容の情報をアイコンとして表示させる。制御部53は、「一定施肥」等の文字列を表示させてもよい。
【0104】
ダイヤル値622は、一定施肥調量作業において作業者が最終的に決定した施肥量ダイヤル37のダイヤル値である。即ち、ダイヤル値622は、
図12の一定施肥調量作業画面500における設定値である。上述の通り、作業者は先に調量作業をしており、施肥量ダイヤル37のダイヤル値が「5.3」のときの施肥機3の施肥量を把握している。そのため、制御部53は、単に、「ダイヤル」という文字列である「ダイヤル」623を表示する。
【0105】
制御部53は、一定施肥作業アイコン621、ダイヤル値622、及び「ダイヤル」623を、左から右の順に表示させることが好ましい。この順に表示させることにより、作業者が直感的に作業内容を理解できる。
【0106】
第3表示領域630には、可変施肥作業ボタン631、一定施肥作業ボタン632、施肥作業停止ボタン633、及び調量作業ボタン634が表示される。一定施肥作業画面600の第3表示領域630に表示される情報は、調量作業画面200の第3表示領域230に表示される情報と同じであるため、説明を省略する。但し、
図13では、一定施肥作業が選択されているため、制御部53は、一定施肥作業ボタン632を明るくし(又は濃くし)、残りの可変施肥作業ボタン631、施肥作業停止ボタン633、及び調量作業ボタン634を暗くする(又は薄くする)。
【0107】
図14は、実施形態1に係る表示装置5が表示する施肥作業停止画面700の一例を示す図である。調量作業画面200、可変施肥作業画面400、及び一定施肥作業画面600のいずれかの画面が表示部51に表示されている場合に、作業者が施肥作業停止ボタン233、433、633を押すと、施肥作業停止画面700が表示される。また、施肥機3の施肥作業が停止される。
【0108】
制御部53は、施肥作業停止ボタン233、施肥作業停止ボタン433、施肥作業停止ボタン633が押された場合に、表示部51に施肥作業停止画面700を表示させる。また、制御部53は、施肥コントローラ38に対して施肥作業の停止、即ち電動モータ33の動作停止を指示する。
【0109】
施肥作業停止画面700は、上から下の順に第1表示領域710、第2表示領域720、及び第3表示領域730に分かれている。第1表示領域710には、測位精度アイコン711、スリップ率補正アイコン712、及び圃場情報713等が表示される。施肥作業停止画面700の第1表示領域710に表示される情報は、調量作業画面200の第1表示領域210に表示される情報と同じであるため、説明を省略する。なお、作業者により圃場の選択が行われていない場合、制御部53は、圃場情報713を表示させない。
【0110】
第2表示領域720には、施肥作業停止アイコン721が表示される。制御部53は、田植機1が可変施肥作業及び一定施肥作業を行っていないこと、即ち施肥作業停止状態であることをアイコンとして表示させる。制御部53は、「停止中」等の文字列を表示させてもよい。
【0111】
第3表示領域730には、可変施肥作業ボタン731、一定施肥作業ボタン732、施肥作業停止ボタン733、及び調量作業ボタン734が表示される。施肥作業停止画面700の第3表示領域730に表示される情報は、調量作業画面200の第3表示領域230に表示される情報と同じであるため、説明を省略する。但し、
図14では、施肥作業停止が選択されているため、制御部53は、施肥作業停止ボタン733を明るくし(又は濃くし)、残りの可変施肥作業ボタン731、一定施肥作業ボタン732、及び調量作業ボタン734を暗くする(又は薄くする)。
【0112】
以上、
図1~
図14を参照して説明したように、実施形態1に係る表示装置5は、表示部51と、制御部53とを備える。制御部53は、表示部51の第1表示領域に田植機1が作業する圃場の情報を表示させると共に、表示部51の第2表示領域に田植機1が行う作業内容の情報を表示させる。よって、作業者が作業する圃場と作業内容とを照合可能な表示装置5を提供できる。また、田植機1が表示装置5を備える構成により、作業者が作業する圃場と作業内容とを照合可能な田植機1を提供できる。
【0113】
制御部53は、第2表示領域に、可変施肥作業アイコン421、一定施肥作業アイコン621、及び施肥作業停止アイコン721のような、作業内容を表すアイコンを表示させる。これにより、作業者は、作業内容を直感的に把握できる。
【0114】
制御部53は、
図11に示される可変施肥作業画面400のように、第2表示領域に、可変施肥作業を表すアイコン、施肥量調量の増減比率、及び現在の施肥量を表示させる。可変施肥作業に必要な情報が表示されるため、作業者は作業しやすい。
【0115】
制御部53は、
図11に示される可変施肥作業画面400のように、第2表示領域において左右方向に、可変施肥作業を表すアイコン、施肥量調量の増減比率、及び現在の施肥量の順に並べて表示させる。現在の施肥量に至る各情報の関係性が順に表示されるため、作業者は作業内容を直感的に把握できる。
【0116】
制御部53は、第2表示領域を第1表示領域と第3表示領域との間に配置する。制御部53は、第3表示領域に、可変施肥作業ボタン231、一定施肥作業ボタン232、施肥作業停止ボタン233、及び調量作業ボタン234のような、田植機1が行うことのできる複数の作業内容に対応する複数のアイコンを表示させると共に、第2表示領域に表示中の作業内容の情報に対応するアイコンを、残りのアイコンとは異なる表示態様に変更する。これにより、作業者は、表示部51の画面内で複数の作業内容の情報を確認できる。
【0117】
表示装置5は、作業者による選択操作を受け付ける操作部52を備える。制御部53は、複数の作業内容に対応する複数のアイコンとして、可変施肥作業、一定施肥作業、及び調量作業に対応する各アイコンを第3表示領域に表示させると共に操作部52が受け付けた選択操作に基づく作業内容の情報を第2表示領域に表示させる。また、
図6に示される調量作業画面200のように、制御部53は、操作部52が調量作業の選択操作を受け付けた場合に一定施肥作業及び可変施肥作業それぞれの調量作業の情報を第2表示領域に表示させる。これにより、作業者は、可変施肥作業の調量作業及び一定施肥作業の調量作業を行うことができる。
【0118】
制御部53は、可変施肥作業の調量作業の情報として、
図7に示される可変施肥調量作業画面300のような施肥量調量の増減比率、繰り出された施肥量、及び推奨される増減比率を、第2表示領域に表示させる。可変施肥作業を行うときの施肥量調量の増減比率として、推奨される増減比率が表示されるため、作業者は調量作業しやすい。
【0119】
制御部53は、操作部52が作業者から受け付けた施肥量調量の増減比率及び繰り出された施肥量に基づいて、推奨される増減比率を算出して表示させる。可変施肥作業を行うときの施肥量調量の増減比率として、推奨される増減比率が表示されるため、作業者は調量作業しやすい。
【0120】
制御部53は、可変施肥作業又は一定施肥作業の調量作業の情報を第2表示領域に表示中に田植機1が施肥作業を開始した場合、第2表示領域の表示を可変施肥作業の情報に切り替える。これにより、作業者が行う画面操作の手間を省略できる。
【0121】
以上、本発明の実施形態について、図面(
図1~
図14)を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【0122】
実施形態1では、表示装置5が表示する作業内容として施肥作業を例示したが、これに限定されない。例えば、表示装置5は、植付作業等の情報を表示してもよい。
【0123】
実施形態1では、表示部51が上から下の順に第1表示領域、第2表示領域、及び第3表示領域に分かれる構成であったが、これに限定されない。例えば、表示部51が下から上の順に第1表示領域、第2表示領域、及び第3表示領域に分かれる構成であってもよい。また、例えば、表示部51が左から右の順に、又は右から左の順に、第1表示領域、第2表示領域、及び第3表示領域に分かれる構成でもよい。
【0124】
また、実施形態1では、可変施肥作業アイコン421、施肥量調量の増減比率422、及び現在の施肥量423が左から右の順に並べて表示されたが、上から下の順に並べて表示されてもよい。同様に、一定施肥作業アイコン621、ダイヤル値622、及び「ダイヤル」623が上から下の順に並べて表示されてもよい。
【0125】
実施形態1では、表示装置5の表示部51と操作部52とが一体の構成であった。そのため、表示部51に表示された可変施肥調量作業ボタン、一定施肥調量作業ボタン、可変施肥作業ボタン、一定施肥作業ボタン、施肥作業停止ボタン、調量作業ボタン、プラスボタン、マイナスボタン、決定ボタン、及びキャンセルボタン等を、操作可能なアイコンボタンとして扱った。一方、操作部52が、表示部51とは別にハードボタン等として構成されている場合、上記各ボタンは単なるアイコンとして機能する。
【0126】
なお、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。したがって、図示された各構成要素の厚み、長さ等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明に係る表示装置は、田植機及びトラクタ等の農作業機において用いるのに好適である。
【符号の説明】
【0128】
1 田植機
2 走行部
3 施肥機
4 測位ユニット
5 表示装置
6 植付部
7 保持具
8 格納部
10 エンジン
11 ミッションケース
12 前輪
13 後輪
14 運転座席
15 ハンドル
16 ペダル
17 ボンネット
18 ダッシュボード
19 車速センサ
31 肥料タンク
32 繰出部
33 電動モータ
34 搬送ホース
35 ブロワ
36 繰出体
37 施肥量ダイヤル
38 施肥コントローラ
51 表示部
52 操作部
53 制御部
61 昇降リンク機構
62 植付ユニット
63 苗載台
64 昇降シリンダ
100 圃場選択画面
200 調量作業画面
210、310、410、510、610、710 第1表示領域
211、411、611、711 測位精度アイコン
212、412、612、712 スリップ率補正アイコン
213、413、613、713 圃場情報
220、320、420、520、620、720 第2表示領域
221 可変施肥調量作業ボタン
222 一定施肥調量作業ボタン
230、330、430、530、630、730 第3表示領域
231、431、631、731 可変施肥作業ボタン
232、432、632、732 一定施肥作業ボタン
233、433、633、733 施肥作業停止ボタン
234、434、634、734 調量作業ボタン
300 可変施肥調量作業画面
321、324、521、524 プラスボタン
322、325、522、525 マイナスボタン
323、523 繰出量確認ボタン
331、531 決定ボタン
332、532 キャンセルボタン
400 可変施肥作業画面
421 可変施肥作業アイコン
422 施肥量調量の増減比率
423 現在の施肥量
500 一定施肥調量作業画面
600 一定施肥作業画面
621 一定施肥作業アイコン
622 ダイヤル値
623 「ダイヤル」
700 施肥作業停止画面
721 施肥作業停止アイコン