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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】間仕切りにおける縦支柱構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20241203BHJP
【FI】
E04B2/74 561G
E04B2/74 531H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021084577
(22)【出願日】2021-05-19
(65)【公開番号】P2022178062
(43)【公開日】2022-12-02
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】木鎌 清文
【審査官】岡崎 彦哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-294906(JP,A)
【文献】実開平2-118007(JP,U)
【文献】実開昭61-51051(JP,U)
【文献】米国特許第4424654(US,A)
【文献】英国特許出願公開第2354040(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74、2/72
E04H 1/12
A47G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面から立設される縦支柱と、該縦支柱に左右方向端縁部が支持される左右一対のパネル体とを備えて構成される間仕切りにおいて、
前記縦支柱の上下少なくとも一方の端縁部部位から横方向に延出して他部材への取り付け支持をするため複数の取り付け片部を縦軸周りに任意の位置に配設するにあたり、
前記縦支柱は、円筒形をした筒孔が形成され中空筒形をし、
取り付け片部は、支持部材に設けられる円筒部から延出するものであり、
該支持部材の複数は、円筒部同士が隣接する入子状態で回動自在に嵌合し、最外郭の円筒部が縦支柱の筒孔に回動自在に内嵌支持されることを特徴とする間仕切りにおける縦支柱構造。
【請求項2】
支持部材は、隣接する円筒部同士が入子状に嵌合するよう円筒部が異径になっていることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける縦支柱構造。
【請求項3】
支持部材は、円筒部が縦割り状に切り欠かれていて隣接する円筒部同士が入子状に嵌合するよう異径に拡縮変形する構成になっていることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける縦支柱構造。
【請求項4】
支持部材は、取り付け片部がパネル体の上側に設けられる笠木に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の間仕切りにおける縦支柱構造。
【請求項5】
支持部材は、取り付け片部が天井面、床面の少なくとも一方に設けたレール材に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の間仕切りにおける縦支柱構造。
【請求項6】
円筒部が隣接嵌合する支持部材同士は、外側円筒部から延出する取り付け片部が、内側円筒部から延出する取り付け片部に対して取り付け面同士が面一状になるよう設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載の間仕切りにおける縦支柱構造。
【請求項7】
支持部材は一対であり、取り付け片部は、円筒部の上端縁から突出する状態で横方向に延出することで取り付け面同士が面一状になるよう構成されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1記載の間仕切りにおける縦支柱構造。
【請求項8】
円筒部が隣接嵌合する支持部材同士は、外側円筒部から延出する取り付け片部の取り付け面に、内側円筒部から延出する取り付け片部の取り付け面部が面一状になるようスペーサが配されることを特徴とする請求項1乃至5または7の何れか1記載の間仕切りにおける縦支柱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトイレブースを構成するための仕切り板のように、建物の室内空間を仕切るため建て付けられる間仕切りにおける縦支柱構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、ビル等の建物の室内空間を仕切るための間仕切りを設ける場合に、これが例えばトイレブース(トイレ用小室(個室))を形成するための間仕切りであった場合、縦支柱に左右一対の正面パネル(前面パネル)を支持するようにしたものがあるが、このような場合に、該正面パネルの上側に、笠木や天井レールを配した構成にすることが一般に行われる。そしてこれが例えば笠木であった場合、該笠木の左右端縁部を縦支柱に取り付け支持すること(所謂「笠木納まり」)になり、そのため縦支柱の上端縁部に、笠木への取り付けのため取り付け金具を設け、該取り付け金具を介して左右の笠木を縦支柱に取り付け支持するようにしていた。
ところが近時、室内空間の多様性等の観点からトイレブースが建て付けられる壁面を平面でなく図2、11に示すように弧形状や多角形状等の非平面形状に構成し、該非平面形状をした壁面に沿うようにして複数のトイレブースを隣接する状態で設けることがある。このような場合、縦支柱に支持される左右の正面パネルは、前記非平面形状の壁面に対応するため、180度を存した平面状(面一状)ではなく、非平面形状の壁面に対応して180度以外の角度(例えば正面視で150度、210度等)に折曲した状態で配されることになり、左右の笠木についても正面パネルと同様、180度以外の角度に折曲した状態で配されることになり、このため前記取り付け金具についても左右折曲した笠木に対応した角度のものを用いなければならない。
ところで左右の正面パネルを縦支柱に折曲状に取り付けるものとして、縦支柱に複数組みの係止突起を設け、該係止突起の選択取り付けをするようにして左右の正面パネル同士を縦支柱に対して折曲状に取り付けるようにしたものが提唱されており(例えば特許文献1参照。)、この技術を採用し、選択された係止突起に係止した取り付け金具を介して左右の笠木を縦支柱に対して折曲状に取り付けるようにすることが提唱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平7-91874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら壁面が非平面形状になった室内空間にトイレブースを隣接する状態で複数設ける場合に、壁面の非平面形状は各現場ごとに異なることが多く、前記従来技術のように縦支柱に取り付け金具を設けた画一的なものを用意しても対応することができず汎用性に欠けるという問題がある。
これに対し各現場に対応した取り付け金具が設けられた縦支柱を用意することも提唱されるが、この場合、各現場に対応した多種多様のものを用意しなければならないことになって現実的ではなく、そのうえ仮にこのようなものが提供できたとして、建て付け現場において発生する間仕切り組み立て時の誤差や躯体側の建設上の誤差等によって準備していた取り付け金具が合わなくなる等の問題もあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、床面から立設される縦支柱と、該縦支柱に左右方向端縁部が支持される左右一対のパネル体とを備えて構成される間仕切りにおいて、前記縦支柱の上下少なくとも一方の端縁部部位から横方向に延出して他部材への取り付け支持をするため複数の取り付け片部を縦軸周りに任意の位置に配設するにあたり、前記縦支柱は、円筒形をした筒孔が形成され中空筒形をし、取り付け片部は、支持部材に設けられる円筒部から延出するものであり、該支持部材の複数は、円筒部同士が隣接する入子状態で回動自在に嵌合し、最外郭の円筒部が縦支柱の筒孔に回動自在に内嵌支持されることを特徴とする間仕切りにおける縦支柱構造である。
請求項2の発明は、支持部材は、隣接する円筒部同士が入子状に嵌合するよう円筒部が異径になっていることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける縦支柱構造である。
請求項3の発明は、支持部材は、円筒部が縦割り状に切り欠かれていて隣接する円筒部同士が入子状に嵌合するよう異径に拡縮変形する構成になっていることを特徴とする請求項1記載の間仕切りにおける縦支柱構造である。
請求項4の発明は、支持部材は、取り付け片部がパネル体の上側に設けられる笠木に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の間仕切りにおける縦支柱構造である。
請求項5の発明は、支持部材は、取り付け片部が天井面、床面の少なくとも一方に設けたレール材に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の間仕切りにおける縦支柱構造である。
請求項6の発明は、円筒部が隣接嵌合する支持部材同士は、外側円筒部から延出する取り付け片部が、内側円筒部から延出する取り付け片部に対して取り付け面同士が面一状になるよう設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載の間仕切りにおける縦支柱構造である。
請求項7の発明は、支持部材は一対であり、取り付け片部は、円筒部の上端縁から突出する状態で横方向に延出することで取り付け面同士が面一状になるよう構成されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1記載の間仕切りにおける縦支柱構造である。
請求項8の発明は、円筒部が隣接嵌合する支持部材同士は、外側円筒部から延出する取り付け片部の取り付け面に、内側円筒部から延出する取り付け片部の取り付け面部が面一状になるようスペーサが配されることを特徴とする請求項1乃至5または7の何れか1記載の間仕切りにおける縦支柱構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、笠木等の他部材への取り付け支持をするため複数の取り付け片部の配設位置を、支持部材に設けられる円筒部を縦支柱に対して回動調節することで自由に設定することができ、この結果、隣接するパネル体が面一状でなく折曲した状態の間仕切りにおいて、現場ごとに他部材同士の折曲角度が異なっていても、これに対応した取り付け片部の配設が簡単にできることになって作業性が向上するだけでなく、支持部材の兼用化も図れ、いちいち現場に対応した取り付け片部を形成する必要もない。
請求項2の発明とすることにより、取り付け片部が設けられる複数の支持部材は、円筒部が入子状に嵌合する異径構造になっているため、取り付け片部の配設位置を自在に調整できるものでありながら、該取り付け片部が設けられる支持部材を構造簡単なものとして形成できることになる。
請求項3の発明とすることにより、複数の支持部材の円筒部を異径にすることを、円筒部同士を入子状に嵌合することで異径になるよう円筒部を縦割り状に切り欠いたものとしている結果、一種類の支持部材を、円筒部が異径になった複数のものに兼用できることになって部品点数の低減を図ることができる。
請求項4の発明とすることにより、間仕切りを笠木納まりのものとした場合に、隣接する笠木同士のなす角度に対応した縦支柱の取り付けが簡単にできることになる。
請求項5の発明とすることにより、間仕切り用の縦支柱の天井面または床面に設けたレール材への取り付け支持が、これらレール材が折曲していたとしても簡単にできることになる。
請求項6の発明とすることにより、円筒部同士が入子状に嵌合している取り付け片部同士の取り付け面の円筒部からの延出位置を、外側円筒部からは端縁部から延出し、内側延出部からは外周面の上端部から延出することで面一状にできることになって、他部材に対する取り付けを同高さに揃えることが簡単にできることになる。
請求項7の発明とすることにより、一対の支持部材を用いるものである場合に、支持部材同士を入子状に嵌合組み込みしたときの取り付け片部同士が同高さ状態となる結果、取り付け面部を面一状にすることが前記入子状に嵌合組み込みすることで簡単にできることになる。
請求項8の発明とすることにより、円筒部同士が入子状に嵌合している取り付け片部同士の円筒部からの延出位置を同一部位とした場合に、内側の円筒部から延出した取り付け片部に設けたスペーサにより取り付け面部を面一状にすることが簡単にできることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トイレブースの正面図である。
図2】トイレブースの平面図である。
図3】(A)(B)(C)は正面パネル部位の展開正面図、縦断側面図、平面図である。
図4】(A)(B)は縦支柱の上端部部位の平面図、展開縦断正面図である。
図5】(A)(B)は縦支柱の上端部部位の分解斜視図、組み込み状態の斜視図である。
図6】(A)(B)は縦支柱の下端部部位の底面図、展開縦断正面図である。
図7】(A)(B)は第一支持部材の平面図、正面図、(C)(D)は第二支持部材の平面図、正面図である。
図8】(A)(B)(C)は二つの笠木のなす角度を各種変化した状態の実施例を示す縦支柱部位の平面図、(D)は三つの支持部材をを組み込んだ状態の実施例を示す縦支柱部位の平面図である。
図9】(A)(B)は第二の実施の形態を示す縦支柱部位の平面図、展開断面正面図である。
図10】(A)(B)(C)は第二の実施の形態の支持部材の平面図、正面図、一対の支持部材を縦支柱に組み込んだ状態を示す展開縦断面図、(D)(E)は第二の実施の形態の変形例を示す支持部材の平面図、一対の支持部材を縦支柱に組み込んだ状態を示す展開縦断面図である。
図11】他例のトイレブースの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はトイレブースであって、該トイレブース1は、弧状の壁面Wに対して左右方向に複数が隣接する状態で建て付けられるものであって、該壁面Wと縦支柱2とのあいだに設けられる奥行きパネル3、縦支柱2の左右に配される正面パネル4とによって仕切られるものであり、該仕切られたトイレブース1内に便器Tが配されると共に、左右正面パネル4間に形成される出入り口Eには、円弧状をしたハンガー式のドア体5が設けられたものとなっており、該ドア体5は、正面の化粧パネル部5aに内装される円弧状のハンガーレール5bに案内されて開閉作動する等の基本的構成は従来公知のものを採用している。
因みに本実施の形態のものでは、ドア体5が円弧状をした引き戸方式のものを採用しているが、ドア体5としてはこれに限定されないものであって、平面状のドア体を用い、引き戸、開き戸としてもよく、さらには折り戸等、通常知られたドア体を採用して本発明を実施できることは言うまでもない。
【0009】
前記縦支柱2は、内外周が共に円形をした円筒柱状のものを用いて構成され、奥行きパネル3および左右の正面パネル4は、縦支柱2への取り付け側の端縁部に縦枠6が組み付けられたものになっている。そして縦支柱2は、下端縁部が床面Fに敷設した床レール7に起立状に取り付け支持され、上端縁部が正面パネル4の上面に配した笠木8に取り付け支持される所謂笠木納まりの構成になっている。
【0010】
前記奥行きパネル3、正面パネル4は、縦枠材6を介して縦支柱2に取り付ける構造になっているが、何れのパネル3、4も同様の取り付け構造を採用しており、そこで正面パネル4を縦支柱2に取り付ける構造の概略について説明をする。
正面パネル4の縦支柱2に対向する端縁部にはビス6aを介して縦枠材6が取り付けられる一方、縦支柱2の正面パネル4が取り付けられる部位にはビス6dを介してチャンネル材6cが取り付けられたものとなっており、そして正面パネル4は、チャンネル材6cに縦枠材6を外嵌する状態で縦支柱2に組み付けられる構成になっている。
【0011】
この場合に左右の正面パネル体4は、笠木8と共に前記弧状の壁面Wに対応して縦支柱2の軸心を中心として180度ではない角度、例えば150度の角度を存するよう配されたものとなっており、そして笠木8も、これに対応するよう正面パネル体4がなす角度で縦支柱2に取り付けられる構成になっている。
また、床レール7は凵字形をし、ビス(あるいはアンカーボルト)7aを介して床面Fに固定されるが、該床レール7についても前記左右の正面パネル4がなす角度に対応した角度となるようにして床面Fに取り付けられたものとなっている。
そして前記正面パネル体4は、下端部に冂字形をした巾木4aがビス4bを介して取り付けられたものとなっており、該巾木4aが床レール7に外嵌した状態で組み込まれている。
さらに床レール7には、冂字形をしたアジャスター部7bが内嵌状に組み込まれ、該アジャスター部7bに螺装した調節用ボルト7cを上下調節した状態でボルト頭を巾木4aの上端縁部に当接することで、正面パネル4の高さ調節がなされた取り付けができるように構成されている。
【0012】
前記正面パネル4の上端縁部には笠木8がビス8aを介して取り付けられるが、該笠木8の縦支柱2に対する取り付け構造に本発明が実施されており、次にこの取り付け構造について具体的に説明する。
前記笠木8は、縦支柱2の上端縁部に設けた第一、第二の支持部材9、10を用いて該縦支柱2に取り付けられることになるが、第一、第二の支持部材9、10は、円筒部9a、10aと、該円筒部9a、10aの上端縁部から横方向に延出する取り付け片部9b、10bとを備えて構成されている。
そして第一支持部材9の円筒部(以降「第一円筒部」という。)9aは、縦支柱2の前記円筒形をした筒孔2aに回動自在に内嵌する寸法設定になっている一方、第二支持部材10の円筒部(以降「第二円筒部」という。)10aは、前記第一円筒部9aに回動自在になる入子状態で内嵌(嵌合)する寸法設定、つまり第一円筒部9aに対して少なくとも板厚分は小径(異径)となる寸法設定になっている。本実施の形態においては、回動を自由にするため板厚分を越えて小径になっている。
【0013】
そして第一、第二支持部材9、10は、大径側の第一円筒部9aが縦支柱2の上端縁部に回動自在に内嵌し、該内嵌した第一円筒部9aに小径側の第二円筒部10aが回動自在に内嵌する入子状態で縦支柱2に組み込まれることになり、これによって第一、第二支持部材9、10としては、第一円筒部9aが最外郭(外側)となり、第二円筒部10aが該第一円筒部9aの内側に入子状態で内嵌したものとなっている。
このように入子状態で内嵌組み込まれた第一、第二支持部材9、10には、第一、第二円筒部9a、10aの上端縁部から第一、第二取り付け片部9b、10bが横方向に延出形成されているが、これら第一、第二取り付け片部9b、10bは、第一、第二円筒部9a、10aを縦支柱2に対して各別に縦軸周りに回動調節することで任意の位置に自由に配設できるよう構成されており、このようにすることで、第一、第二取り付け片部9b、10b同士がなす角度についても任意の角度に自由に調節できるようになっている。
【0014】
さらに本実施の形態の第一、第二支持部材9、10では、第一支持部材9に設けられる第一取り付け片部9bは、第一円筒部9aの上端縁9cから横方向に延出しているのに対し、第二支持部材10に設けられる第二取り付け片部10bは、第二円筒部10aの外周面10cの上端部から横方向に延出した構成になっており、これによって第一、第二支持部材9、10は、第一取り付け片部9bの下面を第二円筒部10aの上端縁に当接した組み込み状態にしたときに、該第一、第二取り付け片部9b、10bの下側面である第一、第二取り付け面9d、10dが面一状となるよう構成されている。そしてこのように面一状になった第一、第二取り付け面9d、10dに左右の笠木8を下側から当てがい、ビス8aにより取り付け支持される構成になっている。
【0015】
一方、本実施の形態においては、縦支柱2の下端縁部を床レール7に取り付け支持する構造についても、上端縁部の場合と同様、第一、第二支持部材9、10の円筒部9a、10aを入子状態で縦支柱2の下端縁部に嵌入組み込み(上端縁部の場合とは天地逆の状態で嵌入組み込み)をし、左右横方向に延出する第一、第二取り付け片部9b、10bを縦軸周りに位置調節した状態で床レール7に当接するようセットし、床レール7を貫通する状態でビス7aを介して取り付け部材である床面Fに取り付け支持をすることができるように構成されている。
【0016】
叙述の如く構成された本実施の形態において、縦支柱2の上端縁部部位から横方向に延出していて左右の笠木8が取り付け支持される第一、第二取り付け片部9b、10bは、前記縦支柱2の筒孔2aに入子状に嵌合した状態で嵌合する第一、第二の円筒部9a、10aを備えた第一、第二支持部材9、10に設けられたものであり、そして第一、第二円筒部9a、10aを、縦支柱2に対してそれぞれ相対回動せしめることで、第一、第二取り付け片部9b、10bは、縦支柱2に対して任意の配設位置に位置せしめることができる。
この結果、隣接する正面パネル4同士が面一状でなく折曲した状態の間仕切りにおいて、該正面パネル4に沿うようにして正面パネル4の上方に配される左右笠木8のなす角度に対応した第一、第二取り付け片部9b、10bの配設が、仮令建て付け現場ごとに折曲角度が異なっていても、該異なった折曲角度に簡単に調節できることになって作業性が向上するだけでなく、支持部材9、10についても折曲角度に対応したものをいちいち作成することなく部品点数を低減し、兼用化も図れることになる。
【0017】
そしてこの場合に、第一、第二支持部材9、10は、第一、第二円筒部9a、10a同士が入子状に嵌合するよう第一円筒部9aが大径、第二円筒部10aが小径の異径状態で形成されているため、第一、第二取り付け片部9b、10bの配設位置を、左右笠木8の配設位置に対応させて自在な位置に調節できるものでありながら、該第一、第二取り付け片部9b、10bが設けられる第一、第二支持部材9、10の構造を簡単なものとして形成できることになる。
【0018】
しかもこの場合に、第一、第二円筒部9a、10a同士が隣接する入子状の嵌合をしている第一、第二支持部材9、10は、外側の第一円筒部9aから延出する第一取り付け片部9bが、内側の第二円筒部10aから延出する第二取り付け片部10bに対して、第一、第二取り付け面9d、10d同士が面一状になるよう板厚相当分だけ高位に設けられていることから、笠木8に対する取り付けを、単純に入子状に嵌合することで同高さに揃えることが簡単にできることになる。
しかもこのように第一、第二取り付け面9d、10dが面一状になることを、第一取り付け片部9bについては第一円筒部9aの上端縁9cから横方向に延出し、第二取り付け片部10bについては第二円筒部10aの外周面10cの上端部から横方向に延出することで構成しているため、構造が複雑化することがない。
因みに本実施の形態においては、第一、第二取り付け片部9b、10bの下側面を第一、第二取り付け面9d、10dとしたが、これに限定されるものでなく、上側面を第一、第二取り付け面とすることもできる。
【0019】
さらにこのものでは、縦支柱2の上端縁部を、第一、第二支持部材9、10を介して笠木8に取り付け支持する構造だけでなく、縦支柱2の下端縁部を床レール7に取り付け支持する構造においても実施されており、該取り付け構造の簡略化が図れると共に組み付け性の向上も図ることができる。
そしてこのような縦支柱2の取り付け支持は、笠木8、床レール7への取り付け支持に限定されることなく、天井面Hに設けられる天井レールについても同様にして実施することができる。
【0020】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないものであることは勿論であって、縦支柱としては、支持部材の円筒部を回動自在に内嵌する円筒形の筒孔が形成された中空筒形状をしたものであればよく、外周面が円弧形状をしている必要はない。そして笠木8等の他部材に取り付ける取り付け面9d、10dとしては、取り付け片部9b、10bの下面でなく上面としても良いことは勿論である。
また本発明を実施する場合に、用いられる支持部材としては、前記実施の形態のように二つでなく、三つ、さらにはそれ以上の複数とすることも勿論できる。具体的には、図8(D)に示す実施の形態のように縦支柱2を中心として三方に笠木8が設けられたものとしたものにおいては、前記二つの第一、第二の支持部材9、10に加えて、円筒部11a、取り付け片部11bが同様にして設けられた第三の支持部材11を用いて本発明を実施するこてができる。
さらにまた前記実施の形態のように笠木納まりとした場合に、縦支柱2の上端縁部は天井面Hまでには至らず、縦支柱2と天井面Hとのあいだは連結されることのない間隙を存したものになっている。このものについて、例えば強度アップ等の要請により縦支柱2と天井面Hとを連結することが求められた場合には、最内郭の円筒部10(または11)にさらに補助縦支柱を内嵌し、該補助縦支柱の上端縁部を天井面H側に取り付けるように構成すればよいことになる。
【0021】
さらにまた支持部材としては、前記実施の形態のものに限定されず、図9、10に示す第二の実施の形態のようにすることもできる。
該第二の実施の形態の支持部材12は、円筒部12a同士が入子状に内嵌する複数の支持部材12について、前記実施の形態のもののように円筒部9a、10aを異径にしたものでなく、同径としたものであって、取り付け片部12bが円筒部12aの上端縁12cから上方に突出する状態で横方向に延出し、下面を取り付け面12dとしているが、このものでは、円筒部12aに縦割り状に切り欠かれた切り欠き部12eが形成されたものとなっている。
そしてこのものでは、外側となる一方の円筒部12aに、内側となる他方の円筒部12aを無理嵌め状に内嵌することで、内外の円筒部12aが弾性変形して縮小、拡開し、これによって互いに異径となった入子状態で回動自在に嵌合するものであり、このようにすることで同一の支持部材12を複数の支持部材に兼用できることになって部材点数を低減できることになる。
因みにこの第二の実施の形態の場合、取り付け片部12bが円筒部12aの上端縁12cから上方に板厚分だけ突出する状態で横方向に延出したものとなっていることから、一対の支持部材12、12同士を入子状に嵌合した場合、内側の第二支持部材12は、第二取り付け片部12bの下端面が外側の第一支持部材12の上端縁12cに当接する状態となって、第一、第二支持部材12、12の上端縁12c、12cは同高さ状態での嵌合となり、この結果、第一、第二取り付け片部12bは同高さ状態で延出したものとなり、同形状の支持部材12をそのまま用いての取り付けができるという利点がある。
これに対し取り付け片部12bを、第一の実施の形態の第二支持部材10のように円筒部12aの周面上端部から延出したもの(図10(D)(E)参照)では、支持部材12同士を入子状に嵌合組み込みしたとき、取り付け片部12b同士に板厚相当分だけ上下段差が生じることになり、これに対応するためスペーサ12fを用いる等して取り付け面の高さ(位置)を合わせる等の配慮が必要になるが、このようにしたものにおいても支持部材12を兼用化できるものとなる。
【0022】
因みに、トイレブース1を平面状でない壁面Wに設ける場合に本発明は特に有効であり、壁面Wとしては、図2に示すものだけでなく図11に示すようなものを含めた凹凸何れの形状の壁面W、さらにはこれらが混在したもの、さらには弧状だけでなく角形状等の各種の形状の壁面Wであっても本発明を実施できるが、さらには平面状の壁面Wであっても本発明を実施できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、トイレブースを構成するための仕切り板のように、建物の室内空間を仕切るため建て付けられる間仕切りにおける縦支柱の支持構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 トイレブース
2 縦支柱
2a 筒孔
4 正面パネル
7 床レール
8 笠木
9 第一支持部材
9a 第一円筒部
9b 第一取り付け片部
9c 上端縁
9d 第一取り付け面
10 第二支持部材
10a 第二円筒部
10b 第二取り付け片部
10c 外周面
10d 第二取り付け面
W 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11