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特許7597642冷却液組成物及び電動自動車の冷却システム
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  • 特許-冷却液組成物及び電動自動車の冷却システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】冷却液組成物及び電動自動車の冷却システム
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/10 20060101AFI20241203BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241203BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20241203BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20241203BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
C09K5/10 F
H05K7/20 N
H01M8/04 J
H01L23/46 Z
B60R16/02 610D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021087445
(22)【出願日】2021-05-25
(65)【公開番号】P2022180769
(43)【公開日】2022-12-07
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591125289
【氏名又は名称】日本ケミカル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草野 雄也
(72)【発明者】
【氏名】吉井 揚一郎
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-257431(JP,A)
【文献】特開2016-035008(JP,A)
【文献】特開2004-281106(JP,A)
【文献】特表2004-524439(JP,A)
【文献】国際公開第2020/115602(WO,A1)
【文献】特開2021-169551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/00 - 5/20
F01P 1/00 - 11/20
H05K 7/20 - 7/20
H01L 23/34 - 23/46
H01M 8/04 - 8/0668
B60R 16/00 - 17/02
H01M 8/04 - 8/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動自動車の冷却システムに用いられる冷却液組成物であって、
水と、
一価アルコール、二価アルコール、三価アルコール及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類と、
フッ化アルミン酸カリウムの存在によって吸光度が変化し易い吸光度易変化性染料と、
を含み、
吸光度易変化性染料は、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度易変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムを100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度が、同じ量の吸光度易変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度に対して、50%以下となる染料である、冷却液組成物。
【請求項2】
フッ化アルミン酸カリウムの存在によって吸光度が変化し難い吸光度難変化性染料をさらに含み、
吸光度難変化性染料は、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度難変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムを100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度が、同じ量の吸光度難変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度に対して、60%以上となる染料である、請求項1に記載の冷却液組成物。
【請求項3】
吸光度易変化性染料の色及び吸光度難変化性染料の色が、マンセル表色系の20色の色相環チャートにおいて隣接していない、請求項2に記載の冷却液組成物。
【請求項4】
吸光度易変化性染料の色及び吸光度難変化性染料の色が、マンセル表色系の20色の色相環チャートにおいて2つ以上離れている、請求項2又は3に記載の冷却液組成物。
【請求項5】
冷却液組成物中の染料の含有量が、0.0001質量%~0.01質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の冷却液組成物。
【請求項6】
アルコール類が、エチレングリコールを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の冷却液組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の冷却液組成物、該冷却液組成物が流れる冷媒管、及び冷却対象としての発熱機器を含む、電動自動車の冷却システム。
【請求項8】
発熱機器が、インバーター、コンバーター、ジェネレーター、モーター及びバッテリーから選択される少なくとも1つである、請求項7に記載の電動自動車の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、冷却液組成物、及び該冷却液組成物を用いた電動自動車の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車及び電気自動車等の走行用モーターを備える電動自動車は、電力を適切にコントロールするためのパワーコントロールユニット(PCU)を備える。PCUは、モーターを駆動するインバーターや、電圧をコントロールする昇圧コンバーター、高電圧を降圧するDCDCコンバーター等を含む。インバーター又はコンバーターは、半導体素子を内蔵したカード型パワーモジュールであるパワーカードを有し、パワーカードは、スイッチング動作に伴って発熱する。そのため、インバーターやコンバーターは、高温に発熱し得る機器である。また、電動自動車における発熱機器としては、インバーター及びコンバーターの他にも、例えばバッテリーが挙げられる。したがって、電動自動車には、インバーターやコンバーター、バッテリー等を冷却するための冷却システムが備え付けられる。
【0003】
冷却システムは、システム内部を循環し、熱を運搬する媒体としての冷却液を含む。冷却液としては、水を含む水系冷却液(例えばエチレングリコールと水との混合物)等が一般に用いられている。水を含む水系冷却液は、優れた冷却性を有するため、一般的に用いられている。しかし、水系冷却液は、冷却システム中での使用により、ラジエーターに含まれる材料(例えばフラックス)や配管等の金属部品からの金属イオン(例えばアルミニウムイオン)、パッキン等のゴム製品からの硫酸イオン等が冷却液中に溶出し、導電率を上昇させてしまう場合がある。イオン性物質の溶出によって冷却液の導電率が増加すると(絶縁抵抗が低下し)、発電システムを起動させようとしたときに、導電率が高いと判断されて起動できなくなる可能性がある。
【0004】
そこで、特許文献1は、燃料電池と、前記燃料電池を冷却する冷媒が循環する循環経路と、前記循環経路に設けられ、前記冷媒を循環させるポンプと、前記循環経路に設けられ、前記冷媒の熱を放熱する放熱器と、前記循環経路に設けられ、前記冷媒の絶縁抵抗を回復させるイオン交換器と、前記放熱器よりも前記冷媒の循環方向下流側における前記循環経路に設けられ、前記冷媒の導電率を検出する検出器と、前記検出器及び前記ポンプと電気的に接続され、少なくとも前記ポンプの駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ポンプが停止している状態で、かつ前記検出器で検出された前記冷媒の導電率から求められた前記冷媒の絶縁抵抗が特定値以下となったときには、前記冷媒が前記イオン交換器を通過するように、前記ポンプの駆動を開始する燃料電池システムを開示している。すなわち、特許文献1では、冷却液の導電率を計測する検出器を備える燃料電池冷却システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-053170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、冷却液の導電率を計測するための検出器の設置は、冷却システムの構成の複雑化及びコスト増に繋がる。そのため、より簡易な方法で冷却液の劣化状況を把握できる手段が求められていた。
【0007】
そこで、本実施形態は、使用による劣化状況を容易に把握可能な冷却液組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の態様例は以下の通りである。
【0009】
(1) 電動自動車の冷却システムに用いられる冷却液組成物であって、
水と、
一価アルコール、二価アルコール、三価アルコール及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類と、
フッ化アルミン酸カリウムの存在によって吸光度が変化し易い吸光度易変化性染料と、
を含み、
吸光度易変化性染料は、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度易変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムを100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度が、同じ量の吸光度易変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度に対して、50%以下となる染料である、冷却液組成物。
(2) フッ化アルミン酸カリウムの存在によって吸光度が変化し難い吸光度難変化性染料をさらに含み、
吸光度難変化性染料は、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度難変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムを100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度が、同じ量の吸光度難変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度に対して、60%以上となる染料である、(1)に記載の冷却液組成物。
(3) 吸光度易変化性染料の色及び吸光度難変化性染料の色が、マンセル表色系の20色の色相環チャートにおいて隣接していない、(2)に記載の冷却液組成物。
(4) 吸光度易変化性染料の色及び吸光度難変化性染料の色が、マンセル表色系の20色の色相環チャートにおいて2つ以上離れている、(2)又は(3)に記載の冷却液組成物。
(5) 冷却液組成物中の染料の含有量が、0.0001質量%~0.01質量%である、(1)~(4)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(6) アルコール類が、エチレングリコールを含む、(1)~(5)のいずれか1つに記載の冷却液組成物。
(7) (1)~(6)のいずれか1つに記載の冷却液組成物、該冷却液組成物が流れる冷媒管、及び冷却対象としての発熱機器を含む、電動自動車の冷却システム。
(8) 発熱機器が、インバーター、コンバーター、ジェネレーター、モーター及びバッテリーから選択される少なくとも1つである、(7)に記載の電動自動車の冷却システム。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態により、使用による劣化状況を容易に把握可能な冷却液組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】電動自動車の駆動系のインバーターに用いられている半導体装置の構成例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態は、電動自動車の冷却システムに用いられる冷却液組成物であって、水と、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコール及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類と、フッ化アルミン酸カリウムの存在によって吸光度が変化し易い吸光度易変化性染料と、を含み、吸光度易変化性染料は、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度易変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムを100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度が、同じ量の吸光度易変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度に対して、50%以下となる染料である、冷却液組成物である。
【0013】
本実施形態に係る冷却液組成物は、基剤として、水及びアルコール類を含む。基材として、水及びアルコール類を用いることで冷却液組成物の冷却性能を向上することができる。一方、水及びアルコール類を含む水系冷却液では、冷却システムに用いられる部材からフラックス(フッ化アルミン酸カリウム)等のイオン性物質の溶出が多くなる傾向がある。そこで、本実施形態に係る冷却液組成物では、吸光度易変化性染料を配合することにより、冷却液組成物の劣化状況を容易に把握することができる。上述の通り、冷却液組成物中には、使用により、冷却システムに用いられる部材からフラックス等のイオン性物質が溶出し、冷却液組成物の導電率が増加する。冷却液組成物の導電率が増加すると、すなわち冷却液組成物が劣化すると、発電システムを起動させようとしたときに、導電率が高いと判断されて起動できなくなる可能性がある。そこで、冷却液組成物の劣化状況を容易に把握できるように、冷却液組成物中にフッ化アルミン酸カリウムの存在によって吸光度が変化し易い吸光度易変化性染料を含有させる。この吸光度易変化性染料は、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度易変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムを100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度が、同じ量の吸光度易変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度に対して、50%以下となる染料である。フッ化アルミン酸カリウムは還元性物質であり、フッ化アルミン酸カリウムにより染料は還元される。すなわち、本実施形態における吸光度易変化性染料は、フッ化アルミン酸カリウムにより還元された際に、吸光度の変化が比較的大きい材料であると把握され得る。本実施形態に係る冷却液組成物において、冷却液組成物中に溶出したフッ化アルミン酸カリウムにより吸光度易変化性染料が還元される。吸光度易変化性染料は還元によりその吸光度が低下するため、結果として、冷却液組成物の吸光度も低下し、色が変化する。すなわち、冷却液組成物中のフッ化アルミン酸カリウムが多くなって劣化が進むと、冷却液組成物の色が変化するため、この色の変化を観察することにより、冷却液組成物の劣化状況を容易に把握することができる。例えば、冷却液組成物中に溶出したフッ化アルミン酸カリウムの濃度が高くなって吸光度易変化性染料の吸光度が低下すると、冷却液組成物の光の吸収が低下するため、色が薄くなる(透明に近くなる)。この色の変化を観察することにより、冷却液組成物の劣化状況を把握することができる。すなわち、本実施形態は、優れた冷却性能を有し、かつ劣化状況を容易に把握可能な冷却液組成物を提供することができる。
【0014】
以下、本実施形態について、詳細に説明する。
【0015】
1.冷却液組成物
本実施形態に係る冷却液組成物は、基剤として、水及びアルコール類を含む。アルコール類は、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコール及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコール類である。基剤として水及びアルコール類を含有させることにより、冷却液組成物に優れた冷却性能を付与することができる。
【0016】
アルコール類は、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコール及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルからなる群から選ばれる。これらのアルコール類は、凝固点降下作用を有する。アルコール類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、又はオクタノール等が挙げられる。一価アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、又はヘキシレングリコール等が挙げられる。二価アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
三価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、5-メチル-1,2,4-ヘプタントリオール、又は1,2,6-ヘキサントリオール等が挙げられる。三価アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、又はテトラエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3-プロパンジオールが、取り扱い性、価格、入手容易性の観点から好ましい。したがって、アルコール類は、エチレングリコール、プロピレングリコール、及び1,3-プロパンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、エチレングリコールを含むことがより好ましい。
【0022】
水は、イオン交換水であることが好ましい。
【0023】
基剤の含有量、すなわち水及びアルコール類の総含有量は、冷却液として機能する観点から、冷却液組成物100質量部に対して、好ましくは50質量部以上であり、好ましくは60質量部以上であり、好ましくは70質量部以上であり、好ましくは80質量部以上であり、好ましくは90質量部以上であり、好ましくは95質量部以上である。また、基剤の含有量は、基材以外の他の成分を配合する観点から、好ましくは99質量部以下であり、好ましくは95質量部以下であり、好ましくは94質量部以下であり、好ましくは93質量部以下である。これらの下限値及び上限値は、任意に組み合わせ可能である。
【0024】
水とアルコール類の配合割合は、例えば不凍性・引火性を考慮し、任意に調整できる。基剤中の水とアルコール類の質量割合は、引火点の発生を回避する観点から、20:80~90:10(水:アルコール類)であることが好ましく、40:60~75:25であることが好ましい。これらの上限及び下限は任意に組み合わせ可能である。
【0025】
本実施形態に係る冷却液組成物の流動点は、低温時の流動性を確保する観点から、-30℃未満であることが好ましく、-35℃以下であることがより好ましい。
【0026】
本実施形態に係る冷却液組成物は、フッ化アルミン酸カリウムの存在によって吸光度が変化し易い吸光度易変化性染料を含む。吸光度易変化性染料は、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度易変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムを100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液(すなわち、50質量%の濃度でエチレングリコールを含有する水溶液)中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度が、同じ量の吸光度易変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度に対して、50%以下となる染料である。
【0027】
吸光度易変化性染料の吸光度の測定には、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度易変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムを100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液に添加した溶液を用意し、また、対照として、0.0005質量部~0.0050質量部の同じ量の吸光度易変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液に添加した溶液(フッ化アルミン酸カリウムは含まない)を用意する。これらの溶液は、場合によって、所定の温度で保存することにより、反応を加速させて平衡化してもよい。具体的には、これらの溶液は、90℃で1000時間静置することにより、反応を加速させることができる。そして、それぞれの溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度を測定する。本実施形態における吸光度易変化性染料は、フッ化アルミン酸カリウムを含む染料の水溶液の吸光度が、対照としての、フッ化アルミン酸カリウムを含まない染料の水溶液の吸光度に対して、50%以下となる染料である。吸収波長は、可視光領域(300nm~800nm)の範囲内である。なお、フッ化アルミン酸カリウムのCAS番号は、60304-36-1である。
【0028】
上述の通り、冷却液組成物は、経時的な使用により、冷却システムに用いられる部材からフッ化アルミン酸カリウム等のイオン性物質が溶出し、冷却液組成物の導電率が増加する。冷却液組成物の導電率が増加すると、発電システムを起動させようとしたときに、導電率が高いと判断されて起動できなくなる可能性がある。導電率上昇の主原因は、ラジエーター等の冷却装置の製造工程時に使用されるフラックス(フッ化アルミン酸カリウム)である。そこで、本実施形態では、冷却液組成物の劣化状況を容易に把握できるように、冷却液組成物中にフッ化アルミン酸カリウムの存在によって吸光度が変化し易い吸光度易変化性染料を含有させる。冷却液組成物中のフッ化アルミン酸カリウムが多くなると、吸光度易変化性染料の吸光度は低下するため、冷却液組成物の色が変化する。すなわち、本実施形態では、冷却液組成物中におけるフッ化アルミン酸カリウムの溶出の程度を冷却液組成物の色の変化で可視化することができる。そのため、冷却液組成物の劣化状況を容易に把握することができる。例えば、冷却液組成物中のフッ化アルミン酸カリウム濃度が高くなって吸光度易変化性染料の吸光度が下がると、光の吸収が低下するため、冷却液組成物の色が薄くなる(無色に近くなる)。この色の変化を観察することにより、冷却液組成物の劣化状況を把握することができる。
【0029】
上述の通り、本明細書において、吸光度易変化性染料は、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度易変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムを100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度が、0.0005質量部~0.0050質量部の同じ量の吸光度易変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度に対して、50%以下となる染料であり、好ましくは40%以下となる染料であり、より好ましくは30%以下となる染料であり、さらに好ましくは20%以下となる染料であり、特に好ましくは10%以下となる染料である。
【0030】
吸光度易変化性染料としては、例えば、C.I.(カラーインデックス)11000~37625のアゾ系染料、C.I.58000~72999のアントラキノン系、C.I.52000~52999のチアジン系染料等が挙げられ、より具体的には、タートラジン(Cas:1934-21-0)、アシッドグリーン25(Cas:4403-90-01)、メチレンブルー(Cas:61-73-4)等が挙げられる。吸光度易変化性染料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
冷却液組成物中の吸光度易変化性染料の含有量は、特に制限されるものではなく、適宜調整することができる。冷却液組成物中の吸光度易変化性染料の含有量は、例えば、0.0001質量%~0.01質量%である。また、吸光度易変化性染料の含有量は、例えば、100質量部の基材に対して、0.0001質量部~0.01質量部である。
【0032】
本実施形態に係る冷却液組成物は、さらに、フッ化アルミン酸カリウムの存在によって吸光度が変化し難い吸光度難変化性染料を含むことが好ましい。吸光度難変化性染料は、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度難変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムを100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度が、同じ量の吸光度難変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度に対して、60%以上となる染料である。
【0033】
吸光度易変化性染料と吸光度難変化性染料を組み合わせることにより、冷却液組成物中へのフッ化アルミン酸カリウムの溶出の程度をより容易に把握し易くなる。すなわち、吸光度易変化性染料を単独で用いた場合では、吸光度の低下に起因する色の明るさ(明度)や強度の変化、無色への変化等によりpH変化を把握することができるが、吸光度易変化性染料と吸光度難変化性染料を組み合わせると、色相又は色度の変化によりpH変化を把握することができるようになる。色相又は色度の変化の方が、目視でより容易に且つ正確に把握することができる。
【0034】
吸光度難変化性染料の吸光度の測定は、吸光度易変化性染料について述べた方法と同様にして行うことができる。具体的には、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度難変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムを100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液に添加した溶液を用意し、また、対照として、0.0005質量部~0.0050質量部の同じ量の吸光度難変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液に添加した溶液(フッ化アルミン酸カリウムは含まない)を用意する。これらの溶液は、場合によって、所定の温度で保存することにより、反応を加速して平衡化させてもよい。具体的には、これらの溶液は、90℃で1000時間静置することにより、反応を加速させることができる。そして、それぞれの溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度を測定する。本実施形態における吸光度難変化性染料は、フッ化アルミン酸カリウムを含む染料の水溶液の吸光度が、対照としての、フッ化アルミン酸カリウムを含まない染料の水溶液の吸光度に対して、60%以上となる染料である。可視光領域は、具体的には、300nm~800nmの範囲内である。
【0035】
吸光度難変化性染料は、フッ化アルミン酸カリウムの存在により吸光度がなるべく変化しない方が好ましい。そのため、吸光度難変化性染料は、0.0005質量部~0.0050質量部の吸光度難変化性染料及び0.5質量部のフッ化アルミン酸カリウムをエチレングリコール50質量%水溶液中に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度が、同じ量の吸光度難変化性染料を100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液に含む溶液の可視光領域での極大吸収波長における吸光度に対して、70%以上となる染料であることが好ましく、80%以上となる染料であることがより好ましく、90%以上となる染料であることがさらに好ましい。
【0036】
吸光度難変化性染料としては、例えば、C.I.45000~45999のキサンテン系、C.I.42000~44999のトリアリールメタン系が挙げられ、より具体的には、アシッドレッド52(Cas:3520-42-1)、フェノールレッド(Cas.143-74-8)、アシッドブルー1(Cas.116-95-0)等が挙げられる。吸光度難変化性染料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
吸光度易変化性染料の色及び吸光度難変化性染料の色は、色相又は色度の点でなるべく似ていないことが望ましい。そのため、吸光度易変化性染料の色及び吸光度難変化性染料の色は、マンセル表色系の20色の色相環チャートにおいて隣接していないことが好ましい。言い換えると、マンセル表色系の20色の色相環チャートにおいて隣接していないとは、吸光度易変化性染料の色及び吸光度難変化性染料の色が、マンセル表色系の20色の色相環チャートにおいて1つ以上離れていることを意味する。例えば、マンセル表色系の20色の色相環チャートにおいて、10YRから1つ以上離れている色は、10Y~10Rである。吸光度易変化性染料の色及び吸光度難変化性染料の色は、マンセル表色系の20色の色相環チャートにおいて2つ以上離れていることがより好ましく、3つ以上離れていることがさらに好ましい。例えば、マンセル表色系の20色の色相環チャートにおいて、10YRから2つ以上離れている色は、5GY~5Rである。
【0038】
冷却液組成物中の吸光度難変化性染料の含有量は、特に制限されるものではなく、適宜調整することができる。冷却液組成物中の吸光度難変化性染料の含有量は、例えば、0.0001質量%~0.01質量%である。また、吸光度難変化性染料の含有量は、例えば、100質量部の基材に対して、0.0001質量部~0.01質量部である。
【0039】
本実施形態に係る冷却液組成物は、必要に応じて、上記成分以外に、本実施形態の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を含むことができる。その他の添加剤としては、例えば、抗酸化剤、防錆剤、摩擦緩和剤、防食剤、粘度指数改良剤、流動点降下剤、分散剤/界面活性剤、耐摩耗剤、苦味剤、又は固体潤滑剤等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
例えば、冷却液組成物は、エンジン冷却液経路等に使用される金属の腐食を効果的に抑制するため、少なくとも1種以上の防錆剤を含むことができる。防錆剤としては、例えば、リン酸及び/又はその塩、脂肪族カルボン酸及び/又はその塩、芳香族カルボン酸及び/又はその塩、トリアゾール類、チアゾール類、ケイ酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ホウ酸塩、モリブテン酸塩、及びアミン塩等が挙げられる。防錆剤は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
例えば、冷却液組成物は、金属の腐食防止のため、上記防食剤として、少なくとも1種以上のpH調整剤を含むことができる。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化リチウム等が挙げられる。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
冷却液組成物の25℃におけるpHは、好ましくは6以上、より好ましくは7以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは9以下である。
【0043】
上記その他の添加剤の合計配合量は、冷却液組成物100質量部に対して、通常、10質量部以下、好ましくは5質量部以下である。
【0044】
冷却液組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、通常の冷却液組成物の製造方法を用いることができる。例えば、適当な温度で均一に撹拌することで製造できる。
【0045】
本実施形態に係る冷却液組成物は、電動自動車の冷却システムに用いられる冷却液として用いることができる。本明細書における「電動自動車」は、走行用の電動モーターを備える自動車を指し、エンジンを備えず電動モーターのみを動力源として備える電気自動車だけでなく、電動モーター及びエンジンの両者を動力源として備えるハイブリッド自動車も含む。また、燃料電池車も「電動自動車」に含まれる。
【0046】
2.冷却システム
本実施形態に係る冷却液組成物は、電動自動車に備えられる冷却システムに用いられる。すなわち、本実施形態の一態様は、本実施形態に係る冷却液組成物を冷媒として用いる電動自動車の冷却システムである。また、本実施形態の一態様は、電動自動車に搭載される発熱機器を冷却するための冷却システムである。また、本実施形態の一態様は、本実施形態に係る冷却システム、及び該冷却システムで冷却される発熱機器を有する、電動自動車である。
【0047】
環境問題対策の一つとして、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車等の、モーターの駆動力により走行する電動自動車が注目されている。このような電動自動車において、モーター、ジェネレーター、インバーター、コンバーター及びバッテリー等の発熱機器は高温に発熱するため、これらの発熱機器を冷却する必要がある。本実施形態に係る冷却液組成物は、上述の通り、優れた冷却性を備えており、冷却性に優れている。そのため、電動自動車における冷却システムに好ましく用いることができる。
【0048】
冷却システムは、例えば、冷媒である冷却液組成物が流れる冷媒管、冷却液組成物を収容するリザーブタンク、冷却液組成物を循環経路内で循環させるための循環装置、又は冷却液組成物の温度を低下させるための冷却装置を含む。循環装置としては、例えば、電動ポンプが挙げられる。冷却装置としては、例えば、ラジエーター、チラー又はオイルクーラーが挙げられる。冷却システムの冷却対象は、インバーター、コンバーター、ジェネレーター、モーター又はバッテリー等の発熱機器である。
【0049】
冷却システムの構成は、特に制限されるものではない。冷却システムは、例えば、冷媒管、リザーブタンク、電動ポンプ、ラジエーター、及び発熱機器に備えられた冷却ユニットを含む。冷却ユニットは、発熱機器から熱を受け取る部分である。例えば、冷却液組成物は、電動ポンプによりリザーブタンクから汲み上げられた後、冷却ユニットで発熱機器を冷却し、その後、下流のラジエーターを経由し、リザーブタンクに戻る。冷却ユニットを冷却した冷却液組成物は、その温度が上昇するため、ラジエーターにより温度上昇した冷却液組成物の温度が下げられる。また、冷媒管の途中にオイルクーラーを配置し、このオイルクーラーによりモーターを冷却する構成を採用することもできる。
【0050】
例えば、図1は、電動自動車の駆動系のインバーターに用いられている半導体装置の構成を説明するための模式図である。図1の半導体装置2は、複数のパワーカード10と複数の冷却器3(冷却ユニット)が積層されたユニットである。なお、図1では、一つのパワーカードだけに符号10を付し、他のパワーカードには符号を省略している。また、半導体装置2の全体が見えるように、半導体装置2を収容するケース31は点線で描いてある。1個のパワーカード10は、2個の冷却器3に挟まれる。パワーカード10と一方の冷却器3との間には絶縁板6aが挟まれており、パワーカード10と他方の冷却器3との間には絶縁板6bが挟まれている。パワーカード10と絶縁板6a、6bの間には、グリスが塗布される。絶縁板6a、6bと冷却器3の間にもグリスが塗布される。なお、図1は、理解し易いように、1個のパワーカード10と絶縁板6a、6bを半導体装置2から抜き出して描いてある。パワーカード10には半導体素子が収容されている。パワーカード10は、冷却ユニットとしての冷却器3を通る冷媒により冷却される。冷媒は液体であり、典型的には水である。パワーカード10と冷却器3は交互に積層されており、ユニットの積層方向の両端には冷却器3が位置している。複数の冷却器3は、連結パイプ5a、5bで連結されている。ユニットの積層方向の一端に位置する冷却器3には、冷媒供給管4aと冷媒排出管4bが連結されている。冷媒供給管4aを通じて供給される冷媒は、連結パイプ5aを通じて全ての冷却器3に分配される。冷媒は各冷却器3を通る間に隣接するパワーカード10から熱を吸収する。各冷却器3を通った冷媒は連結パイプ5bを通り、冷媒排出管4bから排出される。
【0051】
本実施形態の一態様は、本実施形態に係る冷却液組成物、該冷却液組成物が流れる冷媒管、及び冷却対象としての発熱機器を含む、電動自動車の冷却システムである。発熱機器は、インバーター、コンバーター、ジェネレーター、モーター及びバッテリーから選択される少なくとも1つであり得る。本実施形態に係る電動自動車の冷却システムは、冷却液組成物の劣化状況を、冷却液組成物の色の変化を目視で確認することにより容易に把握することができる。
【実施例
【0052】
以下、本実施形態について実施例を用いてより詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例により限定されるものではない。
【0053】
[実施例1]
(冷却液組成物の調製)
100質量部のエチレングリコール50質量%水溶液(水:エチレングリコール=50:50(質量比))に、吸光度難変化性染料(アシッドレッド52、Cas:3520-42-1)を0.0005質量部、吸光度易変化性染料(タートラジン、Cas:1934-21-0)を0.0005質量部、及び防錆剤を適量となるように添加し、冷却液組成物E1を得た。
【0054】
製造直後の冷却液組成物E1の導電率は、33μS/cmであった。また、製造直後の冷却液組成物E1の色は、橙色であった。
【0055】
(評価)
冷却液組成物E1を冷却システム中で循環させ、劣化状況を観察した。冷却システムとしては、冷却液組成物が流れる冷媒管、冷却液組成物を循環経路内で循環させるための電動ポンプ、ラジエーター、及びバッテリーを含む冷却システムを用いた。
【0056】
冷却システム中で冷却液組成物E1を循環させ、冷却液組成物の経時的な変化を観察した。評価項目として、導電率[μS/cm]、黄色吸光度率[%]、色を測定又は観察した。なお、黄色吸光度率[%]は、黄色最大吸収波長での吸光度比(測定時の吸光度/製造直後の吸光度)から算出した。
【0057】
1回目の測定では、導電率は313μS/cmに上昇し、黄色吸光度率[%]は15.5%に低下し、色はピンク色に変化していた。これは、吸光度易変化性染料として用いたタートラジンの吸光度がpHの上昇により低下した一方で、吸光度難変化性染料として用いたアシッドレッド52の吸光度はpHの上昇によりタートラジンほど変化しなかったため、黄色の程度が低下し、ピンク色に変化したものと考えられる。
【0058】
2回目の測定では、導電率は393μS/cmとさらに上昇し、黄色吸光度率[%]は2.1%に低下し、色はさらに鮮やかなピンク色に変化していた。
【0059】
冷却液組成物の導電率が400μS/cm以上である場合、新しい冷却液組成物に交換することが望まれる。そのため、2回目の測定で観察されたような鮮やかなピンク色が点検時に観察された場合、冷却液組成物の交換が勧められる。
【0060】
以上より、本実施形態により、使用による劣化状況を目視で容易に把握可能な冷却液組成物を提供することができることが確認された。
【0061】
本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0062】
本明細書中に記載した数値範囲の上限値及び/又は下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。例えば、数値範囲の上限値及び下限値を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、数値範囲の上限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、また、数値範囲の下限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。
【0063】
以上、本実施形態を詳述してきたが、本開示の具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本開示に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
2:半導体装置
3:冷却器
4a:冷媒供給管
4b:冷媒排出管
5a、5b:連結パイプ
6a、6b:絶縁板
10:パワーカード
31:ケース
図1