(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】ドア体におけるコーナー部構造
(51)【国際特許分類】
E06B 3/964 20060101AFI20241203BHJP
E06B 3/96 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
E06B3/964 A
E06B3/96 A
(21)【出願番号】P 2021088285
(22)【出願日】2021-05-26
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正史
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-027553(JP,A)
【文献】実開昭62-075194(JP,U)
【文献】実開昭56-025179(JP,U)
【文献】実開昭61-206088(JP,U)
【文献】実開昭57-112587(JP,U)
【文献】実開昭58-073878(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/96 - 3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横框材のうちの少なくとも一方の框材端縁部には、該一方の框材のドア体内側辺部から外側辺部には至らない途中部位までの第一切り欠き辺部と、該第一切り欠き辺部の先端から折曲して一方の框材端縁に至る第二切り欠き辺部とによりL字形の切り欠き部が形成され、
該切り欠き部に他方の框材端縁部を嵌入組み込みすることでドア体のコーナー部を構成し、該コーナー部をビス固定してなるドア体において、
前記コーナー部のうちの少なくとも一つを連結金具を用いてビス固定されたものとするにあたり、
前記連結金具のうちの少なくとも一つは、
・一方の框材のドア体内側部材に当接する第一辺部と、
・該第一辺部から折曲して第一切り欠き辺部に沿う状態で配される第二辺部と、
・該第二辺部から折曲して第二切り欠き辺部と他方の框材端縁とのあいだに挟持状に配される第三辺部と、を備え、
第一辺部は、ドア体内側から螺入するビスを介して一方の框材のドア体内側部材に固定され、第三辺部は、一方の框材端縁部の外側から螺入するビスを介して該一方の框材側部材と共に他方の框材側部材に固定されることを特徴とするドア体におけるコーナー部構造。
【請求項2】
他方の框材端縁部は、該他方の框材のドア体内側辺部から外側辺部には至らない途中部位までの他方の第一切り欠き辺部と、該他方の第一切り欠き辺部の先端から折曲して他方の框材端縁に至る他方の第二切り欠き辺部とによりL字形の切り欠き部が形成されたものであり、
ドア体のコーナー部は、一方の框材の切り欠き部に他方の框材の切り欠き部を嵌入組み込みすることで構成され、
前記連結金具は、
・第一辺部は、一方の框材の内側辺部側の部材と他方の第一切り欠き辺部とのあいだに挟持状に配される状態で、ドア体内側から螺入するビスを介して一方の框材側部材に固定され、
・第二辺部は、一方の第一切り欠き辺部と他方の第二切り欠き辺部に沿うよう配され、
・第三辺部は、一方の第二切り欠き辺部と他方の框材の端縁とのあいだに挟持状に配される状態で、一方の框材端縁部の外側から螺入するビスを介して該一方の框材側部材と共に他方の框材側部材に固定されることを特徴とする請求項1記載のドア体におけるコーナー部構造。
【請求項3】
連結金具は、第三辺部から折曲し、他方の框材のドア体外側部材に当接する第四辺部を備え、該第四辺部は、ドア体外側から螺入するビスを介して他方の框材側部材に固定されることを特徴とする請求項1または2記載のドア体におけるコーナー部構造。
【請求項4】
一方の框材は縦框材、他方の框材は横框材であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のドア体におけるコーナー部構造。
【請求項5】
一方の框材は横框材、他方の框材は縦框材であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のドア体におけるコーナー部構造。
【請求項6】
一方の框材の第二切り欠き辺部が形成される側の端縁には、該端縁を塞ぐための塞ぎ板がビス固定されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載のドア体におけるコーナー部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出入り口の開閉をするため設けられるドア体のコーナー部を、縦横框材の端縁部同士を突き合せて構成するドア体におけるコーナー部構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドア体(戸体、扉体)を組み立てる場合に、該ドア体の四周縁を構成する縦横の框材の端縁部同士を突き合せるようにして組み立ててコーナー部を構成するものがあり、この場合に、縦框材をドア体の上下端縁部にまで至るものとする一方、横框材を縦框材の左右方向内端縁に突き当てた組み立て状態(縦勝ち仕様)とするか、逆に横框材をドア体の左右端縁部にまで至るようにして縦框材を横框材に突き当てる組み立て状態(横勝ち仕様)とし、そして前記突き当てられたコーナー部において框材同士をビス固定するように構成したものが知られている。
このようなドア体において、例えば縦勝ち仕様としたときの縦框材を、錠装置を内装する必要性やデザイン性等の理由から幅広のものを採用することがあり、このようにした場合、コーナー部におけるビス固定は、前記幅広の縦框材を貫通する状態で横框材に螺入するものになって長いビスが必要になり、このためビスを縦框材から横框材に螺入する際の位置合わせ作業が面倒かつ煩雑になる等して作業性が悪いだけでなく、縦框材を貫通する長いビスによる螺入となるため強度的にも十分でないという問題がある。
そこで例えば、縦框材の端縁部を逆L字状に切り欠き、該切り欠き部に横框材の端縁部を突き合せ状に組み込み、そして該組み込み部をビス固定するようにして短いビスによる連結でもよい構成にし、これによってビスの位置合わせ作業が容易にできるようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1参照)。
さらにこのようなドア体コーナー部の縦横框材同士をビス固定する場合に、縦框材の逆L字状に切り欠いた端縁部に横框材の端縁部を嵌入組み込みした状態で、L字形をした連結金具を用いてビス固定する構成にし、これによって短いビスによる連結ができることに加えてコーナー部の強度アップが図れるようにしたものも提唱されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-27553号公報
【文献】実公昭58-56310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近時、ドア体として上端縁部にハンガーローラを設けたハンガー式(上吊り式)のものとして床レールを不要にしたものが多用されているが、このようなドア体は、戸先側下端縁部のコーナー部位が遊端状態になっていて保護するものがないため、前述したように戸先側縦框材を幅広にしたような場合、特に強度アップをすることが要求される。
このような強度が要求されるコーナー部位に前記従来のコーナー部構造を採用しようとしたときに、前者のものは、ビスが縦框の外側から螺入するだけの構造であるため強度的に十分なものになるとはいえない。これに対し後者のものは、ビスが連結金具を通して縦横両方向から螺入するものであるため、前者のものよりは強度アップした連結構造にできるものの、このものは、切り欠き部が形成される縦框材の横框材に対する連結金具を介してのビス固定が、ドア体内側方向からだけの一方向であるため、前述したように幅広の縦框材をビス固定するような場合において要求される強度を確保をすることが難しく、更なる強度アップの要求に対応できない等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、縦横框材のうちの少なくとも一方の框材端縁部には、該一方の框材のドア体内側辺部から外側辺部には至らない途中部位までの第一切り欠き辺部と、該第一切り欠き辺部の先端から折曲して一方の框材端縁に至る第二切り欠き辺部とによりL字形の切り欠き部が形成され、該切り欠き部に他方の框材端縁部を嵌入組み込みすることでドア体のコーナー部を構成し、該コーナー部をビス固定してなるドア体において、前記コーナー部のうちの少なくとも一つを連結金具を用いてビス固定されたものとするにあたり、前記連結金具のうちの少なくとも一つは、一方の框材のドア体内側部材に当接する第一辺部と、該第一辺部から折曲して第一切り欠き辺部に沿う状態で配される第二辺部と、該第二辺部から折曲して第二切り欠き辺部と他方の框材端縁とのあいだに挟持状に配される第三辺部と、を備え、第一辺部は、ドア体内側から螺入するビスを介して一方の框材のドア体内側部材に固定され、第三辺部は、一方の框材端縁部の外側から螺入するビスを介して該一方の框材側部材と共に他方の框材側部材に固定されることを特徴とするドア体におけるコーナー部構造である。
請求項2の発明は、他方の框材端縁部は、該他方の框材のドア体内側辺部から外側辺部には至らない途中部位までの他方の第一切り欠き辺部と、該他方の第一切り欠き辺部の先端から折曲して他方の框材端縁に至る他方の第二切り欠き辺部とによりL字形の切り欠き部が形成されたものであり、ドア体のコーナー部は、一方の框材の切り欠き部に他方の框材の切り欠き部を嵌入組み込みすることで構成され、前記連結金具は、第一辺部は、一方の框材の内側辺部側の部材と他方の第一切り欠き辺部とのあいだに挟持状に配される状態で、ドア体内側から螺入するビスを介して一方の框材側部材に固定され、第二辺部は、一方の第一切り欠き辺部と他方の第二切り欠き辺部に沿うよう配され、第三辺部は、一方の第二切り欠き辺部と他方の框材の端縁とのあいだに挟持状に配される状態で、一方の框材端縁部の外側から螺入するビスを介して該一方の框材側部材と共に他方の框材側部材に固定されることを特徴とする請求項1記載のドア体におけるコーナー部構造である。
請求項3の発明は、連結金具は、第三辺部から折曲し、他方の框材のドア体外側部材に当接する第四辺部を備え、該第四辺部は、ドア体外側から螺入するビスを介して他方の框材側部材に固定されることを特徴とする請求項1または2記載のドア体におけるコーナー部構造である。
請求項4の発明は、一方の框材は縦框材、他方の框材は横框材であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のドア体におけるコーナー部構造である。
請求項5の発明は、一方の框材は横框材、他方の框材は縦框材であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載のドア体におけるコーナー部構造である。
請求項6の発明は、一方の框材の第二切り欠き辺部が形成される側の端縁には、該端縁を塞ぐための塞ぎ板がビス固定されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1記載のドア体におけるコーナー部構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、一方の框材の端縁部に形成した切り欠き部に他方の框材の端縁部を嵌入組み込みして形成したコーナー部を連結金具を用いてビス固定するものにおいて、該連結金具を、一方の框材のドア体内側部材に当接する第一辺部と、第一切り欠き辺部に沿う状態で配される第二辺部と、第二切り欠き辺部と他方の框材端縁とのあいだに挟持状に配される第三辺部とを備えたものとし、そして第一辺部を、ドア体内側から螺入するビスを介して一方の框材側部材に固定され、第三辺部を、一方の框材端縁部の外側から螺入するビスを介して該一方の框材側部材と共に他方の框材側部材に固定される結果、該一方の框材は、連結金具に対してドア体の内外二方向から螺入するビスを介して固定されたものとなって強度のあるビス固定がなされ、一方の框材が幅広なものであったとしても必要な強度確保の達成ができる。
請求項2の発明とすることにより、他方の框材の端縁部に切り欠き部を形成し、そして切り欠き部同士を互いに嵌入組み込みしたコーナー部においても、連結金具を用いて前記強度のあるビス固定ができることになる。
請求項3の発明とすることにより、連結金具にさらに備えられた、他方の框材のドア体外側部材に当接する第四辺部がドア体外側から螺入するビスを介して他方の框材側部材に固定されることになる結果、他方の框材は、ドア体の縦横方向外方から連結金具にビス固定されたものとなって更なる強度アップが図れ、コーナー部の強度を増大することができる。
請求項4の発明とすることにより、縦框材がドア体の下端縁部に至る縦勝ち仕様の状態としたものに本発明を実施することができる。
請求項5の発明とすることにより、横框材がドア体の左右方向端縁部に至る横勝ち仕様の状態としたものに本発明を実施することができる。
請求項6の発明とすることにより、第二切り欠き辺部が形成される側の端縁を塞ぎ材により塞いだものにできることになって、框材内にゴミ等が侵入することの回避に加えて、該端縁に他部材が接触(当接)した場合の端縁および他部材の保護を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】(A)(B)はドア体部位の縦断側面図、横断面図である。
【
図4】(A)(B)(C)はL字形の連結金具を用いてビス固定したコーナー部部位の縦断正面図である。
【
図5】(A)(B)(C)はL字形の連結金具を用いてビス固定したコーナー部部位の分解斜視図である。
【
図6】(A)(B)は本発明が実施された連結金具を用いてビス固定したコーナー部部位の縦断正面図、断面斜視図である。
【
図7】本発明が実施された連結金具を用いてビス固定したコーナー部部位の分解斜視図である。
【
図8】(A)(B)(C)(D)は本発明が実施された連結金具の正面図、側面図、底面図、斜視図である。
【
図9】(A)(B)(C)はハンガーレールの戸先側部位の正面図、側面図、制止部材の平面図である。
【
図10】(A)(B)(C)は第二、第三、第四の実施の形態を示すドア体のコーナー部部位の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はドア体(戸体、扉体)であって、該ドア体1は、上端縁部にハンガーローラ2が設けられたハンガー式のものであって、開口部(出入り口部)Eの上端縁部に配したハンガーレール3にハンガーローラ2が転動案内されることで左右に開閉移動するようになっていること等は何れも従来通りである。尚、図中、Tは戸袋である。
【0009】
ドア体1は、何れもアルミニウム製の押出型材で構成された中空状の型材であって、戸尻側、戸先側の左右の縦框材4、5、上下の横框材6、7を四角形状に組み込んで四周の框枠を形成したものであり、この場合に、戸先側縦框材5については、錠装置本体部8の組み込みスペースを確保するため、戸尻側縦框材4よりも左右方向に幅広となったものが採用され、この戸先側縦框材5と下側の横框材7との端縁部同士を突き合せた遊端となる下側のコーナー部Xに本発明が実施されている。
【0010】
前記戸尻側縦框材4は、前後方向に横長となった四角筒形状の本体辺部4aと、該本体辺部4aの左右方向内側端縁部からドア体1の内側(左右方向内側)に向けて延出していてパネル体(ガラス板、合成樹脂板、金属板等の素材から構成される平板状の板体)9を前後両側から挟持状に内嵌支持するべく凹溝状になる前後の内側辺部4bと、本体辺部4aの左右方向外側端縁部からドア体1の外側(左右方向外側)に向けて延出してゴム質弾性を有した緩衝材10を取り付け係止する外側辺部4cとが形成されたものとなっている。因みに本実施の形態の戸尻側縦框材4の本体辺部4aは、「ロ」字形でなく「日」字形の四角筒形状になっていて強度アップされたものとなっている。
【0011】
また戸先側縦框材5は、上下方向中間部位に錠装置本体部8を内装するため左右方向に幅広となった四角筒状の本体辺部5aと、該本体辺部5aの左右方向内側端縁部からドア体1の内側(左右方向内側)に向けて延出してパネル体9を前後両側から挟持状に内嵌支持するための前後の内側辺部5bと、本体辺部5aの左右方向外側端縁部からドア体1の外側(左右方向外側)に向けて延出して前記同様の緩衝材10を取り付け係止する外側辺部5cが形成されたものとなっているが、該外側辺部5cは、錠装置8のロッド杆8aが上下方向移動自在に遊嵌する構成にするため、戸尻側縦框材4の外側辺部4cよりも左右方向幅広になるよう設定されている。
因みに本実施の形態の戸先側縦框材5は、本体辺部5aの左右方向内側端面部5e部位から、ドア体1を開閉操作する際の手掛けとなるべく本体辺部5aに対して前後方向両側に向けて延出した手掛け部5fが形成されたものとなっている。
【0012】
これに対し上側横框材6は、前後方向に幅広になった四角筒形状の本体辺部6aと、該本体辺部6aの上下方向内側端縁部からドア体1の内側(下側)に向けて延出してパネル体9を前後両側から挟持状に内嵌支持するための前後の内側辺部6bと、本体辺部6aの上側端縁部から上方に向けて延出して前記ハンガーローラ2が取り付け支持されたローラ支持部2aの組み込みがなされる上側辺部6cと、冂字溝形になった溝底辺である下側辺部6dとが形成されたものとなっている。
最後に下側横框材7は、前後方向に幅広になった四角筒形状の本体辺部7aと、該本体辺部7aの上下方向内側端縁部からドア体1の内側(上側)に向けて延出してパネル体9を前後方向一方側から支持するための内側辺部7bと、本体辺部7aの下側端縁部の前後両端部から下方に向けて延出されていて床面Fに設けた振れ止め体11が内嵌してドア体1の振れ止めをする下側辺部7cとが形成されたものとなっている。因みに下側横框材本体辺部7aの内側辺部7bに対向する部位には、パネル体9を該内側辺部7bと共に挟持状に支持するための押縁材7dを係脱自在に支持するための係止溝7eが形成されたものとなっている。
【0013】
このように構成される左右縦框材4、5、上下横框材6、7を枠組みするにあたり、本実施の形態では、左右縦框材4、5の上下端縁部にL字形(逆L字形)に切り欠かれた切り欠き部4d、5dが形成され、該切り欠き部4d、5dに上下横框材6、7の左右端縁部が嵌入組み込みされたものとなっているが、逆に上下の横框材6、7の左右端縁部に切り欠き部を形成し、該切り欠き部に左右縦框材4、5の上下端縁部を嵌入組み込みした構成のものであっても本発明を実施できるものであることは言うまでもない。
因みに左右縦框材4、5の上下端縁部に形成される切り欠き部4d、5dは何れも同様にして形成されたものであるため、本発明が実施される戸先側縦框5の上下両端縁部に形成される切り欠き部5dについて説明をし、戸尻側縦框材4の上下端縁部に形成される切り欠き部4dについての詳細説明は省略する。
【0014】
前記戸先側縦框材5の下端縁部に形成される切り欠き部5dは、第一、第二切り欠き辺部5h、5iを有した逆L字形に形成されるものであり、具体的には第一切り欠き辺部5hは、内側辺部5bの左右方向内側端縁(戸先側縦框材5の左右方向内側端縁)5eから左右方向外側に向けて切り欠かれたものであって、戸先側縦框材5の左右方向外側端縁5gまでには至らない途中位置、具体的には本体辺部5aの左右方向外側端面部5lを残す位置(直前位置)までを切り欠いたものとなっている。
これに対し第二切り欠き辺部5iは、前記第一切り欠き辺部5hの先端(前記中途位置)から上下方向外方である下方に折曲する状態で、戸先側縦框材5(外側辺部5c)の下端縁5kにまで至るよう切り欠かれたものとなっている。
【0015】
そして本実施の形態においては、左右縦枠材4、5と上下横枠材6、7とによって形成される框枠の四隅の全てのコーナー部X、Yが連結金具12、13を用いてビス固定されたものとなっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも一つのコーナー部X、Yが後述するように連結金具12、13を用いてビス固定されたものであればよく、さらにこの場合に用いられる連結金具12、13としては、これらのうちの少なくとも一つが、本発明が実施された連結金具13が用いられたものであればよいものである。
【0016】
次にまず、戸先側縦框材5の上端縁部と上側横框材6の戸先側端縁部とを組み込み形成した戸先側上端部のコーナー部Yの組み込み構造について説明するが、該コーナー部Yでの組み込み構造は、戸尻側縦框材4の上下両端縁部と上下両横框材6、7の端縁部とを組み込み形成した戸尻側の上下のコーナー部Yを含めた都合三つのコーナー部Yの組み込み構造は、何れも同じ構造となっているため、戸先側の上側コーナー部Yの組み込み構成について説明をし、他のコーナー部Yの組み込み構造の詳細説明は省略する(
図5参照)。
【0017】
そして前述した戸先側縦框材5の上端縁部と上側横框材6の端縁部とのコーナー部Yを連結金具12を用いてビス固定する構造であるが、前記連結金具12は、上辺となる第一辺部12aと縦辺となる下側の第二辺部12bとを備えたL字形(逆L字形)をした構成になっており、その第一辺部12aを、上側横框材前後の内側辺部6b間に嵌入組み込みして下側辺部6dの溝底面(溝上面)に当接せしめることで、第一辺部12aは、本体辺部6aの下側辺部6dに対して下側から積層(重合)する状態となり、この状態で下側から螺入するビス14を介して第一辺部12aと下側辺部(上側横框材6)6dとが固定されることになる。
尚、本実施の形態を実施するにあたり各種のビスが用いられているが、以降の記載において、引き出し符号「14」が付される「ビス14」については、部材同士をビス固定するのに用いられる各種のビスの総称として統一して記載することとし、個々のビスについて異なった引き出し符号を付したものとはしないことにする。
【0018】
このように上側横框材6に連結金具12がビス14を介して固定された状態で、上側横框材6の端縁部を戸先側縦框材5の上側切り欠き部5dに嵌入組み込みすることになるが、この嵌入組み込みは、上側横框材6の戸先側端縁が第二切り欠き辺部5iに当接し、上側横框材下側辺部6bの下端縁が第一切り欠き辺部5hに当接するものである。そしてこの場合に、前記連結金具12の第二辺部12bは、戸先側縦框内側辺部5bの溝底辺、つまり本体辺部5aの左右方向内側端面部5eの左右方向内側面に当接するようになっている。
そしてこのように戸先側縦框材5の上側の切り欠き部5dに上側横框材6が嵌入組み込みされた状態で、戸先側縦框材本体辺部5aの左右方向外側端面部5lに対して左右方向外側から螺入したビス14を、上側横框材6の上側辺部6c部位に設けたビスポケット6eに螺入する固定(締結)と、連結金具第二辺部12bに対して左右方向内側から螺入したビス14を、戸先側縦框材本体辺部5aの左右方向内側端面部5eに螺入する固定とをすることにより、戸先側縦框材5の上端縁部と上側横框材6の端縁部とを突き合せたコーナー部Yの連結金具12を用いてのビス固定がなされるように構成されている。
【0019】
次に、本発明が実施された戸先側縦框材5の下側の切り欠き部5dに下側横框材7の端縁部を嵌入組み込みしたコーナー部Xを連結金具13を用いてビス固定する構造について説明する。
前記連結金具13は、縦辺となる上側の第一辺部13aと、該第一辺部13aの下端縁から左右方向外方に向けて延設された第二辺部13bと、該第二辺部13bの左右方向外端から下方に向けて折曲された第三辺部13cと、該第三辺部13cの下端縁から左右方向内方に向けて折曲された第四辺部13dとを備えて構成される。
そして連結金具13は、第一辺部13aが戸先側縦框材本体辺部5aに内嵌して左右方向内側端面部5eに当接し、第二辺部13bが本体辺部5aの下端縁となる第一切り欠き辺部5hに沿い、かつ下側縦框材上側辺部7bの上側端面部7hの上面に当接する状態で配され、第三辺部13cが本体辺部左右方向外側端面部5lと下側横框材本体辺部7aの端縁とのあいだに挟持される状態で配され、第四辺部13dが、下側横框材本体辺部7a内において該本体辺部7aの下側端面部7iの上側面に当接する状態で組み込まれる。
【0020】
このようにコーナー部Xに組み込まれた連結金具13の第一辺部13aは、左右方向内側から螺入するビス14により戸先側縦框材本体辺部5aの左右方向内側端面部5eにビス固定される。一方、第三辺部13cは、上側のビス14が、左右方向外側から本体辺部左右方向外側端面部5lおよび該第三辺部13cを貫通して下側横框材本体辺部7aに形成の上側のビスポケット7fに螺入し、下側のビス14が同じく左右方向外側から本体辺部左右方向外側端面部5lを貫通して下側横框材下側辺部7cに形成の下側のビスポケット7gに螺入することにより、戸先側縦框材5の下端縁部と下側横框材7の端縁部との下側コーナー部Xの連結金具13を用いたビス固定がなされる。
そしてさらに第四辺部13dが、下側横框材下側辺部7cの溝底部に下側から螺入するビス14により、該下側横框材下側端面部7iにビス固定されるようになっていて、該コーナー部Xにおける連結の更なる強度アップを図っている。
【0021】
さらに本実施の形態においては次のような工夫がなされている。
前記戸先側縦框材5の切り欠き部5dが形成された下端縁部は、下側横框材7の端縁部が嵌入組み込みされることで、外側辺部5cの下端縁が開口した状態となっており、そこでこれを塞ぐための塞ぎ板15が設けられるが、該塞ぎ板15は、起立した取り付け辺部15aが設けられ、該取り付け辺部15aを戸先側縦框材本体部5aの左右方向外側端面部5lに左右方向外側から当接する状態で該外側から螺入するビス14を介してビス固定することで、取り付けられる構成になっている。
そしてこのものにおいて塞ぎ板15は、緩衝材10の下端縁10aに下側から当接したものとなっており、これによって緩衝材10が戸先側縦框材5からずり落ちるのを防止する機能を発揮できるように構成されている。
【0022】
また、前記ハンガーレール3の戸先側端縁部には、錠装置本体部8を施錠操作したときに上動してハンガーレール3内に突出するロッド杆8aの戸尻側への移動を規制してドア体1を施錠状態にするための制止部材16が設けられるが、該制止部材16は、ハンガーレール3の下端縁部に形成される前後のローラ転動面部3aを上下から挟持するよう設けられる上下一対の制止板16a、16bを備え、制止板16a、16bを螺入するビス14によりローラ転動面部3aを挟持する状態で固定されるが、例えば施錠時においてドア体1を無理にこじ開ける等して過大な負荷が働いた場合に制止部材16の不用意な移動を規制をするため、下側の制止板16bが上側の制止板16aよりも幅広になっており、該幅広部位をビス14によりローラ転動面部3aに固定する構成になっている。
【0023】
叙述の如く構成された本実施の形態において、開口部Eの開閉をするドア体1は、ハンガーローラ式(吊りローラ式)のものであって、本実施の形態においては左右の縦框材4、5がドア体1の下端縁にまで至る所謂縦勝ち仕様のものとし、そして縦框材4、5の端縁部にL字形の切り欠き部4d、5dを形成し、該切り欠き部4d、5dに上下横框材6、7の端縁部を嵌入組み込みして框枠を形成したものであるが、このものにおいて戸先側縦框材5は、錠装置本体部8を組み込むため戸尻側縦框材4よりも左右方向幅広のものとなっている。
そして斯かるドア体1の四隅に形成されるコーナー部X、Yのうち、戸先側下端部に形成されるコーナー部Xは、他の三か所のコーナー部Yのように戸袋Tやハンガーレール3に近接する等した保護状態にはなく遊端となっているため組み付け強度が要求されることになり、そこで他のコーナー部Yのように従来公知のL字形の連結金具12ではなく、本発明が実施された連結金具13が用いられたものになっている。
【0024】
具体的には、前記連結金具13は、戸先側縦框材5のドア体内側部材である左右方向内側端面部5eに当接する第一辺部13aと、第一切り欠き辺部5hに沿う状態で配される第二辺部13bと、第二切り欠き辺部5iと下側横框材7の戸先側端縁とのあいだに挟持状に配される第三辺部13cとを備え、そして第一辺部13aが、ドア体1の左右方向内側から螺入するビス14を介して戸先側縦框材5の左右方向内側端面部5eに固定され、第三辺部13cが、戸先側縦框材5の左右方向外側縁5gの外側から螺入するビス14を介して該戸先側縦框材5側の部材である左右方向外側端面部5lと共に下側横框材7側の部材である該框材端縁に固定される結果、戸先側縦框材5は、連結金具13に対してドア体1の左右方向内外の端面部に二方向から螺入するビス14を介して固定されたものとなって強度のあるビス固定がなされ、戸先側縦框材5が幅広なものであったとしても必要な強度が確保された取り付けをしたものにできる。
【0025】
しかもこのものでは、連結金具13が、さらに第三辺部13cから折曲形成されていて、下側横框材7のドア体外側部材である下側端面部7iに当接してビス14を介して固定される第四辺部13dを備えたものである結果、下側横框材7は、ドア体1に対して縦横方向外方から連結金具13にビス固定されたものとなって更なる強度アップが図れ、コーナー部Xの強度を増大することができる。
そのうえ前記戸先側縦框材外側辺部5cの開口した下端縁が塞ぎ板15で塞がれたものとなっているため、該戸先側縦框材外側辺部5cの開口した下端縁からゴミ等の侵入を防止できるだけでなく、該下端縁に他部材が接触した場合に下端縁の保護と共に他部材の保護も図れることになる。
【0026】
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されないことは勿論であって、強度アップが要求されるコーナー部であれば、前記実施の形態のように戸先側下部のコーナー部Xだけでなく、他のコーナー部Yにおいても必要において実施することができる。そして連結金具13が連結される框材側の部材としては、框材を構成する部材であることはなく、框材に補強等のため別部材として設けられたものであってもよく、このようなものを含めて本発明の「框材側部材」が構成されるものである。
また前記実施の形態のものは、本発明に用いられる連結金具13として、第四辺部13dを有したものとしたが、これに限定されず、
図10(A)の第二の実施の形態のように第四辺部13dのないものとしても実施することができ、さらには同図(B)に示す第三の実施の形態のように、下側横框材7の端縁部に切り欠き部7jを形成し、該切り欠き部7jに戸先型框材5の端縁部を嵌入組み込みしたコーナー部Xを、前記連結金具13を用いてビス固定する構成にして実施できる。
さらにまた、
図10(C)に示す第四の実施の形態のように、両框材5、7の端縁部にそれぞれ切り欠き部5d、7jを形成し、そして切り欠き部5d、7j同士を互いに嵌入組み込みしたコーナー部Xを、前記連結金具13を用いてビス固定する構成にしたものであっても本発明を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、出入り口の開閉をするため設けられるドア体のコーナー部を、縦横框材の端縁部同士を突き合せて構成するドア体におけるコーナー部構造として利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 ドア体
5 戸先側縦框材
5d 切り欠き部
5h 第一切り欠き辺部
5i 第二切り欠き辺部
7 下側横框材
13 連結金具
13a 第一辺部
13b 第二辺部
13c 第三辺部
13d 第四辺部
14 ビス
15 塞ぎ板
Xコーナー部