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特許7597659スクラップ実績管理装置、スクラップ実績管理方法、およびスクラップ実績管理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】スクラップ実績管理装置、スクラップ実績管理方法、およびスクラップ実績管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/30 20230101AFI20241203BHJP
【FI】
G06Q10/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021103510
(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公開番号】P2023002329
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 尚
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 勝喜
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-068478(JP,A)
【文献】特開2005-222242(JP,A)
【文献】特開平06-162040(JP,A)
【文献】特開2020-149231(JP,A)
【文献】特開平08-318256(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0075603(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第104252149(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部および制御部を備え、材料を加工して半製品や製品を作製する過程で発生する廃材であり引取依頼または再利用するスクラップのスクラップ実績管理装置であって、
前記制御部は、
材料が払出されたときに、前記材料の払出重量から前記材料の加工により作製された製品の受入重量を減算した重量差を、前記材料のスクラップ重量として算出するスクラップ重量算出手段と、
前記スクラップ重量と前記材料の材質に対応するスクラップ品番とを対応付けたスクラップ明細データを登録した製造実績ファイルを生成する製造実績ファイル生成手段と、
を備えるスクラップ実績管理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記スクラップ品番と在庫量とを対応付けた在庫データを記憶し、
前記制御部は、
前記在庫データにおける、前記スクラップ明細データに含まれる前記スクラップ品番に対応する前記在庫量に、該スクラップ明細データに含まれる該スクラップ品番に対応する前記スクラップ重量を加算することによって、前記在庫データを更新する更新手段、
を備える、請求項1に記載のスクラップ実績管理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記スクラップ品番と、前記スクラップの引取基準を表すスクラップ基準重量と、を対応付けたスクラップ設定マスタを記憶し、
前記制御部は、
前記在庫データにおける前記スクラップ品番ごとに、前記スクラップ品番に対応する前記在庫量の、前記スクラップ設定マスタにおける前記スクラップ品番に対応するスクラップ基準重量に対する割合を、引取基準割合として出力装置に出力する出力制御手段、
を備える請求項2に記載のスクラップ実績管理装置。
【請求項4】
前記出力制御手段は、
前記引取基準割合が所定値以上である場合、引取依頼タイミングであることを表す情報を更に出力する、
請求項3に記載のスクラップ実績管理装置。
【請求項5】
前記スクラップ設定マスタには、
再利用対象の前記スクラップ品番に対応する前記スクラップ基準重量として、ゼロを示す値が登録され、
引取依頼対象の前記スクラップ品番に対応する前記スクラップ基準重量として、ゼロを超える値が登録されてなる、
請求項3または請求項4に記載のスクラップ実績管理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、
前記スクラップ品番と原価単価とを対応付けたスクラップ原価単価マスタを記憶し、
前記制御部は、
前記スクラップ品番に対応する前記スクラップ重量および前記原価単価に基づいて算出された原価金額に関する仕訳データを作成する仕訳手段、
を備える、請求項1~請求項5の何れか1項に記載のスクラップ実績管理装置。
【請求項7】
制御部及び記憶部を備え、材料を加工して半製品や製品を作製する過程で発生する廃材であり引取依頼または再利用するスクラップを管理するための情報処理装置に実行させるためのスクラップ実績管理方法であって、
前記制御部実行る、
材料が払出されたときに、前記材料の払出重量から前記材料の加工により作製された製品の受入重量を減算した重量差を、前記材料のスクラップ重量として算出するステップと、
前記スクラップ重量と前記材料の材質に対応するスクラップ品番とを対応付けたスクラップ明細データを登録した製造実績ファイルを生成するステップと、
を含むことを特徴とする、スクラップ実績管理方法。
【請求項8】
制御部及び記憶部を備え、材料を加工して半製品や製品を作製する過程で発生する廃材であり引取依頼または再利用するスクラップを管理するための情報処理装置に実行させるためのスクラップ実績管理プログラムであって、
前記制御部において、
材料が払出されたときに、前記材料の払出重量から前記材料の加工により作製された製品の受入重量を減算した重量差を、前記材料のスクラップ重量として算出するステップと、
前記スクラップ重量と前記材料の材質に対応するスクラップ品番とを対応付けたスクラップ明細データを登録した製造実績ファイルを生成するステップと、
を実行させるためのスクラップ実績管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクラップ実績管理装置、スクラップ実績管理方法、およびスクラップ実績管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スクラップの在庫等を管理するシステムが知られている。例えば、長さが基準長さ以下又は未満である材料をスクラップ処理の対象とするスクラップ処理装置や、納入した業者ごとにスクラップ在庫を管理するシステムが開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-149231号公報
【文献】特開2002-68478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術では、材質ごとのスクラップの自動管理がなされておらず、また一部手入力による管理がなされており、スクラップの高精度な管理がなされていなかった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、スクラップを高精度に管理することができる、スクラップ実績管理装置、スクラップ実績管理方法、およびスクラップ実績管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るスクラップ実績管理装置は、記憶部および制御部を備え、材料を加工して半製品や製品を作製する過程で発生する廃材であり引取依頼または再利用するスクラップのスクラップ実績管理装置であって、前記制御部は、材料が払出されたときに、前記材料の払出重量から前記材料の加工により作製された製品の受入重量を減算した重量差を、前記材料のスクラップ重量として算出するスクラップ重量算出手段と、前記スクラップ重量と前記材料の材質に対応するスクラップ品番とを対応付けたスクラップ明細データを登録した製造実績ファイルを生成する製造実績ファイル生成手段と、を備える。
【0007】
また、本発明に係るスクラップ実績管理装置の前記記憶部は、前記スクラップ品番と在庫量とを対応付けた在庫データを記憶し、前記制御部は、前記在庫データにおける、前記スクラップ明細データに含まれる前記スクラップ品番に対応する前記在庫量に、該スクラップ明細データに含まれる該スクラップ品番に対応する前記スクラップ重量を加算することによって、前記在庫データを更新する。
【0008】
また、本発明に係るスクラップ実績管理装置の前記記憶部は、前記スクラップ品番と、前記スクラップの引取基準を表すスクラップ基準重量と、を対応付けたスクラップ設定マスタを記憶し、前記制御部は、前記在庫データにおける前記スクラップ品番ごとに、前記スクラップ品番に対応する前記在庫量の、前記スクラップ設定マスタにおける前記スクラップ品番に対応するスクラップ基準重量に対する割合を、引取基準割合として出力装置に出力する出力制御手段、を備える。
【0009】
また、本発明に係るスクラップ実績管理装置の前記出力制御手段は、前記引取基準割合が所定値以上である場合、引取依頼タイミングであることを表す情報を更に出力する。
【0010】
また、本発明に係るスクラップ実績管理装置の前記スクラップ設定マスタには、再利用対象の前記スクラップ品番に対応する前記スクラップ基準重量として、ゼロを示す値が登録され、引取依頼対象の前記スクラップ品番に対応する前記スクラップ基準重量として、ゼロを超える値が登録されてなる。
【0011】
また、本発明に係るスクラップ実績管理装置の前記記憶部は、前記スクラップ品番と原価単価とを対応付けたスクラップ原価単価マスタを記憶し、前記制御部は、前記スクラップ品番に対応する前記スクラップ重量および前記原価単価に基づいて算出された原価金額に関する仕訳データを作成する仕訳手段、を備える。
【0012】
また、本発明に係るスクラップ実績管理方法は、制御部及び記憶部を備え、材料を加工して半製品や製品を作製する過程で発生する廃材であり引取依頼または再利用するスクラップを管理するための情報処理装置に実行させるためのスクラップ実績管理方法であって、前記制御部実行る、材料が払出されたときに、前記材料の払出重量から前記材料の加工により作製された製品の受入重量を減算した重量差を、前記材料のスクラップ重量として算出するステップと、前記スクラップ重量と前記材料の材質に対応するスクラップ品番とを対応付けたスクラップ明細データを登録した製造実績ファイルを生成するステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るスクラップ実績管理プログラムは、制御部及び記憶部を備え、材料を加工して半製品や製品を作製する過程で発生する廃材であり引取依頼または再利用するスクラップを管理するための情報処理装置に実行させるためのスクラップ実績管理プログラムであって、前記制御部において、材料が払出されたときに、前記材料の払出重量から前記材料の加工により作製された製品の受入重量を減算した重量差を、前記材料のスクラップ重量として算出するステップと、前記スクラップ重量と前記材料の材質に対応するスクラップ品番とを対応付けたスクラップ明細データを登録した製造実績ファイルを生成するステップと、を実行させるためのスクラップ実績管理プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スクラップを高精度に管理することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、スクラップ実績管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2A図2Aは、スクラップ設定マスタのデータ構成の一例を示す模式図である。
図2B図2Bは、品番マスタのデータ構成の一例を示す模式図である。
図2C図2Cは、倉庫マスタのデータ構成の一例を示す模式図である。
図2D図2Dは、スクラップ原価単価マスタのデータ構成の一例を示す模式図である。
図2E図2Eは、在庫評価単価マスタのデータ構成の一例を示す模式図である。
図2F図2Fは、仕訳定義マスタのデータ構成の一例を示す模式図である。
図3図3は、本実施の形態におけるスクラップ実績管理装置の全体の処理の一例を説明するためのフローを示す図である。
図4A図4Aは、製造実績元ファイルのデータ構成の一例を示す模式図である。
図4B図4Bは、製造実績ファイルのデータ構成の一例を示す模式図である。
図4C図4Cは、製造実績データのデータ構成の一例を示す模式図である。
図4D図4Dは、製造実績データの更新の一例の説明図である。
図4E図4Eは、製造実績データの更新の一例の説明図である。
図5図5は、在庫照会画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係るスクラップ実績管理装置、スクラップ実績管理方法、およびスクラップ実績管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
[1.構成]
本実施形態に係るスクラップ実績管理装置100の構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、スクラップ実績管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
鉄鋼業界などの材料を加工する業界では、製品を作製する過程でスクラップが発生する。本実施形態のスクラップ実績管理装置100は、引取依頼または再利用するスクラップの実績を管理する。
【0019】
スクラップとは、材料を加工して半製品や製品を作製する過程で発生する廃材である。本実施形態では、半製品および製品を含めて、製品と称して説明する。
【0020】
材料とは、加工または製造対象の物である。材料は、例えば、厚板、中板、薄板、などの板材、これらの板材をコイル状に巻いた部材、H型鋼、丸棒、鋼管などの棒材などである。材料の材質は、限定されない。例えば、材料の材質は、各種の金属などである。材料の材質が鉄である場合、スクラップは、鉄くずと称される場合もある。
【0021】
本実施形態のスクラップ実績管理装置100は、スクラップを廃棄せず、引取依頼または再利用する対象として管理する。
【0022】
スクラップ実績管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、スクラップ実績管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0023】
スクラップ実績管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備える。スクラップ実績管理装置100が備える各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0024】
通信インターフェース部104は、ルータなどの通信装置および専用線などの有線または無線の通信回線を介して、スクラップ実績管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、スクラップ実績管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に記憶されている各種のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0025】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0026】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0027】
記憶部106は、例えば、スクラップ設定マスタ106a、品番マスタ106b、倉庫マスタ106c、スクラップ原価単価マスタ106d、在庫評価単価マスタ106e、仕訳定義マスタ106f、製造実績元ファイル106g、製造実績ファイル106h、製造実績データ106i、在庫データ106j、および仕訳データ106k、などを記憶する。これらのマスタおよびデータは、各種の情報を登録したデータベースやテーブルなどである。なお、これらのマスタおよびデータのデータ形式は、データベースやテーブルに限定されない。
【0028】
これらのマスタおよびデータのデータ構成の一例を説明する。なお、本実施形態では、これらのマスタおよびデータの構造を簡略化して記載するものとする。これらのマスタおよびデータの実際の構造は、より複雑であるが、本発明と直接関係のない部分については実際より簡略化して示す。
【0029】
図2Aは、スクラップ設定マスタ106aのデータ構成の一例を示す模式図である。スクラップ設定マスタ106aは、スクラップを残材として再利用するか売却するかなどの判断基準などをスクラップの材質ごとに管理するためのマスタである。
【0030】
スクラップ設定マスタ106aは、例えば、材質CDと、スクラップ品番と、スクラップ品名と、スクラップ基準重量と、を対応付けたテーブルである。材質CDは、材質の識別情報である。スクラップ品番は、スクラップの材質ごとに付与されるスクラップの品番である。スクラップ品名は、スクラップの品名である。
【0031】
スクラップ基準重量は、スクラップの引取基準を表す重量である。すなわち、スクラップ設定マスタ106aは、スクラップの材質ごとに、スクラップ基準重量を登録したテーブルである。
【0032】
スクラップ設定マスタ106aには、再利用対象のスクラップ品番に対応するスクラップ基準重量として、ゼロを示す値が登録されている。図2Aに示す例では、スクラップ品番「199060000001」には、スクラップ基準重量「0」が対応付けて登録されている。この場合、スクラップ品番「199060000001」の材質のスクラップは、再利用対象であることを意味する。
【0033】
また、スクラップ設定マスタ106aには、引取依頼対象のスクラップ品番に対応するスクラップ基準重量として、ゼロを超える値が登録されている。図2Aに示す例では、例えば、スクラップ品番「199010000001」には、スクラップ基準重量「4000」が対応付けて登録されている。この場合、スクラップ品番「199010000001」の材質のスクラップについては、スクラップ基準重量「4000」Kgが、引取業者などに引取依頼を行う引取基準の重量であることを示す。
【0034】
図2Bは、品番マスタ106bのデータ構成の一例を示す模式図である。品番マスタ106bは、製造工程などで用いる材料の単位ごとに物品を管理するためのマスタである。品番マスタ106bは、例えば、材質CDと、材質と、品番と、を対応付けたテーブルである。
【0035】
図2Cは、倉庫マスタ106cのデータ構成の一例を示す模式図である。倉庫マスタ106cは、スクラップ管理に用いるスクラップ明細データの作成対象であるか否かを倉庫事に管理するためのマスタである。材料を加工して製品を作製する各工程では、加工内容などによって、スクラップの発生する工程と、スクラップの発生しない工程がある。すなわち、工程には、スクラップの管理を必要とする工程と、必要としない工程がある。本実施形態では、倉庫ごとに異なる工程を担当する場面を想定する。このため、本実施形態では、倉庫ごとに、スクラップ明細データの作成対象であるか否かを管理する形態を一例として説明する。
【0036】
例えば、倉庫マスタ106cは、倉庫の識別番号と、倉庫名と、スクラップ作成可否フラグと、スクラップ払出倉庫と、スクラップ払出倉庫名と、を対応付けたテーブルである。倉庫名は、例えば、倉庫で実行される加工内容を表す。スクラップ作成可否フラグは、スクラップ明細データの作成対象であるか否かを表すフラグである。スクラップ払出倉庫は、対応する識別番号の倉庫で払出されたスクラップの払出先の倉庫の識別番号である。スクラップ払出倉庫名は、該倉庫の倉庫名である。
【0037】
図2Dは、スクラップ原価単価マスタ106dのデータ構成の一例を示す模式図である。スクラップ原価単価マスタ106dは、スクラップの原価単価を管理するためのテーブルである。例えば、スクラップ原価単価マスタ106dは、スクラップ品番と、スクラップ品名と、原価単価と、を対応付けたテーブルである。原価単価には、例えば、標準原価単価が登録される。
【0038】
図2Eは、在庫評価単価マスタ106eのデータ構成の一例を示す模式図である。在庫評価単価マスタ106eは、材料の原価単価を管理するためのマスタである。例えば、在庫評価単価マスタ106eは、品番と、ロット番号と、原価単価と、を対応付けたテーブルである。在庫評価単価マスタ106eには、例えば、月次総平均で算出された材料の在庫の評価単価が原価単価として登録される。
【0039】
図2Fは、仕訳定義マスタ106fのデータ構成の一例を示す模式図である。仕訳定義マスタ106fは、仕訳の定義を登録したマスタである。例えば、仕訳定義マスタ106fは、製造実績払出マスタ106f1と、スクラップ棚卸資産(当月末)マスタ106f2と、スクラップ棚卸資産(翌月初)マスタ106f3と、を含む。
【0040】
製造実績払出マスタ106f1は、製造実績払出の仕訳の定義を登録したマスタである。製造実績払出マスタ106f1は、借方を他勘定振替高とし、貸方を作業屑受入高とするマスタである。スクラップ棚卸資産(当月末)マスタ106f2は、当月末のスクラップ棚卸資産の仕訳の定義を登録したマスタである。仕訳定義マスタ106fは、借方を作業屑とし、貸方を期末作業屑とするマスタである。スクラップ棚卸資産(翌月初)マスタ106f3は、翌月末のスクラップ棚卸資産の仕訳の定義を登録したマスタである。スクラップ棚卸資産(翌月初)マスタ106f3は、貸方を期首作業屑とし、貸方を作業屑とするマスタである。
【0041】
図1に戻り説明を続ける。製造実績元ファイル106g、製造実績ファイル106h、製造実績データ106i、在庫データ106j、および仕訳データ106kは、後述する制御部102による処理によって処理、更新、または出力されるデータである。これらのデータの詳細は後述する。
【0042】
制御部102は、スクラップ実績管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS(オペレーティング・システム)等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0043】
本実施形態では、制御部102は、スクラップ重量算出部102aと、製造実績ファイル生成部102bと、更新部102cと、仕訳部102dと、出力制御部102eと、を備える。
【0044】
スクラップ重量算出部102aは、材料が払出されたときに、材料の払出重量から材料の加工により作製された製品の受入重量を減算した重量差を、材料のスクラップ重量として算出する。材料が払出されたとき、とは、材料が加工によって払出されたときを意味する。材料の払出重量とは、加工対象の材料の重量を意味する。言い換えると、材料の払出重量は、切断などの加工前の材料の重量を意味する。製品の受入重量とは、該材料を加工することで作成された製品の重量を意味する。
【0045】
製造実績ファイル生成部102bは、算出されたスクラップのスクラップ重量と該スクラップの材質に対応するスクラップ品番とを対応付けたスクラップ明細データを登録した製造実績ファイル106hを生成する。
【0046】
更新部102cは、在庫データ106jにおける、スクラップ明細データに含まれるスクラップ品番に対応する在庫量に、該スクラップ明細データに含まれる該スクラップ品番に対応するスクラップ重量を加算することによって、在庫データ106jを更新する。
【0047】
仕訳部102dは、スクラップ品番に対応するスクラップ重量および原価単価に基づいて算出された原価金額に関する仕訳データを作成する。
【0048】
出力制御部102eは、在庫データ106jにおけるスクラップ品番ごとに、スクラップ品番に対応する在庫量の、スクラップ設定マスタ106aにおけるスクラップ品番に対応するスクラップ基準重量に対する割合を、引取基準割合として出力装置114に出力する。引取基準割合とは、現在の在庫量の、スクラップの引取基準であるスクラップ基準重量に対する割合を表す。すなわち、引取基準割合の値が大きいほど、よりスクラップ基準重量に近づいており、引取依頼タイミングがより近いことを意味する。
【0049】
出力制御部102eは、引取基準割合が所定値以上である場合、引取依頼タイミングであることを表す情報を更に出力してもよい。
【0050】
[2.具体例]
図3図5を参照して、本実施の形態におけるスクラップ実績管理装置100の処理の具体例を説明する。
【0051】
図3は、本実施の形態におけるスクラップ実績管理装置100の全体の処理の一例を説明するためのフローを示す図である。
【0052】
制御部102は、材料が払出されたか否かを判断する(ステップS100)。例えば、制御部102は、払出された材料の品番をサーバ200などから取得したか否かを判別することで、ステップS100の判断を行う。なお、制御部102は、払出された材料の品番を入力装置112から取得したか否かを判別してもよい。
【0053】
ステップS100で否定判断すると(ステップS100:No)、本ルーチンを終了する。ステップS100で肯定判断すると(ステップS100:Yes)、ステップS102へ進む。
【0054】
本フローでは、図2Bに示す品番マスタ106bに登録されている品番「101021201225」を、払出された材料の品番として取得した場面を想定して説明する。
【0055】
次に、スクラップ重量算出部102aは、製造実績元ファイル106gを取得する(ステップS102)。
【0056】
図4Aは、製造実績元ファイル106gのデータ構成の一例を示す模式図である。製造実績元ファイル106gは、製造実績を管理するためのファイルである。製造実績元ファイル106gは、スクラップ実績管理装置100の外部の生産システム等から出力さる。スクラップ重量算出部102aは、外部の生産システム等から通信インターフェース部104を介して製造実績元ファイル106gを取得する。
【0057】
例えば、製造実績元ファイル106gは、仮伝票番号と、事業所CDと、製造費と、製造元倉庫CDと、受入明細行番号と、受入商品CDと、受入倉庫CDと、受入数と、受入数の単位と、受入ロット番号と、払出明細行番号と、払出商品CDと、払出倉庫CDと、払出明細払出数と、払出明細払出数の単位と、払出分析CD4と、払出内訳行番号と、払出内訳ロット番号と、払出内訳数と、払出内訳数の単位と、を対応付けたテーブルである。
【0058】
図3に戻り説明を続ける。スクラップ重量算出部102aは、ステップS100で取得した払出された材料の品番がスクラップ明細データの作成対象であるか否かを判断する(ステップS104)。
【0059】
スクラップ重量算出部102aは、まず、製造実績元ファイル106gにおける、ステップS100で取得した品番である払出商品CDに対応する受入倉庫CDを特定する。例えば、払出商品CD「101021201225」に対応する受入倉庫CD「170」を特定する。そして、スクラップ重量算出部102aは、倉庫マスタ106cにおける受入倉庫CDである倉庫「170」に対応する「スクラップ作成可否フラグ」として、作成可を示すフラグが登録されているか否かを判断する。例えば、図2Cに示す倉庫マスタ106cの倉庫「170」に対応する「スクラップ作成可否フラグ」として、作成可を示すフラグが登録されている。このため、この場合、スクラップ重量算出部102aは、ステップS100で取得した払出された材料の品番がスクラップ明細データの作成対象であると判断する。
【0060】
ステップS104で否定判断すると(ステップS104:No)本ルーチンを終了する。ステップS104で肯定判断すると(ステップS104:Yes)、ステップS106へ進む。
【0061】
ステップS106では、スクラップ重量算出部102aは、スクラップ重量を算出する(ステップS106)。スクラップ重量算出部102aは、ステップS100で取得した品番の材料の払出重量から、該材料の加工により作製された製品の受入重量を減算した重量差を、該材料のスクラップ重量として算出する。
【0062】
図4Aに示すように、製造実績元ファイル106gにおける、ステップS100で取得した品番である払出商品CD「101021201225」に対応する受入商品CD「653021207301」の受入数は、「360」枚である。
【0063】
スクラップ重量算出部102aは、受入数である「360」枚に、1枚当たりの重量「3076」Kgを乗算することで、受入重量「1107.36」Kgを算出する。1枚当たりの重量は、例えば、スクラップ設定マスタ106aにスクラップ品番に対応付けて予め登録しておけばよい。
【0064】
また、図4Aに示すように、製造実績元ファイル106gにおける、ステップS100で取得した品番である払出商品CD「101021201225」の払出明細払出数は、「1335」Kgである。このため、スクラップ重量算出部102aは、スクラップ品番「199010000001」の払出重量「1335」Kgを特定する。
【0065】
そして、スクラップ重量算出部102aは、払出重量「1335」Kgから受入重量「1107.36」Kgを減算した重量差「227.64」Kgを、スクラップ品番「199010000001」のスクラップ重量として算出する。
【0066】
製造実績ファイル生成部102bは、製造実績元ファイル106gと、ステップS106で算出されたスクラップ重量を登録したスクラップ明細データと、を用いて製造実績ファイル106hを生成する(ステップS108)。
【0067】
詳細には、製造実績ファイル生成部102bは、ステップS102で取得した製造実績元ファイル106gを、更新部102c、仕訳部102d、および出力制御部102eで処理可能なデータ形式にフォーマット変換する。また製造実績ファイル生成部102bは、ステップS106で算出したスクラップ重量を用いてスクラップ明細データを作成し、フォーマット変換した製造実績元ファイル106gへ登録することで、製造実績ファイル106hを作成する。
【0068】
図4Aおよび図4Bを用いて説明する。図4Bは、製造実績ファイル106hのデータ構成の一例を示す模式図である。
【0069】
製造実績ファイル106hは、例えば、仮伝票番号と、事業所コードと、製造費と、受入明細行番号と、受入品番・費目コードと、受入倉庫コードと、受入数と、受入数の単位と、受入ロット番号と、払出明細行番号と、払出品番・費目コードと、払出倉庫コードと、払出明細払出数と、払出数の単位と、払出内訳行番号と、払出内訳ロット番号と、払出内訳数と、払出内訳数の単位と、を対応付けたテーブルである。
【0070】
製造実績ファイル生成部102bは、製造実績元ファイル106gをフォーマット変換することで、製造実績ファイル106hのデータ形式に変更する。そして、製造実績ファイル生成部102bは、スクラップ品番「199010000001」のスクラップ明細データ107を作成し、フォーマット変換された製造実績元ファイル106gへ登録することで、製造実績ファイル106hを作成する。
【0071】
本実施形態では、例えば、製造実績ファイル生成部102bは、スクラップ品番「199010000001」を払出品番・費目コードとして登録し、算出したスクラップ重量「227.64」Kgを払出明細払出数および払出内訳数として登録したスクラップ明細データ107を、フォーマット変換された製造実績ファイル106hへ登録する。
【0072】
なお、本実施形態では、スクラップは、引取依頼または再利用する対象である。このため、製造実績ファイル生成部102bは、算出したスクラップ重量にマイナス1を乗算した値を、払出明細払出数および払出内訳数として製造実績ファイル106hへ登録する。すなわち、マイナスの値としたスクラップ重量を払出明細払出数および払出内訳数として製造実績ファイル106hへ登録することで、払出した倉庫(工程)に対してスクラップ重量が加算されて管理されることとなる。言い換えると、スクラップは、プラスの値の在庫として管理されることとなる。具体的には、例えば、製造実績ファイル生成部102bは、算出したスクラップ重量「227.64」Kgに-1を乗算した値である「-227.64」を、払出明細払出数または払出内訳数として製造実績ファイル106hに登録する。
【0073】
ステップS100~ステップS108の処理によって、スクラップ明細データの作成対象である工程(倉庫)で発生するスクラップのスクラップ品番ごとに、スクラップ重量の登録されたスクラップ明細データ107が作成され、製造実績ファイル106hに登録される。言い換えると、スクラップの倉庫(工程)およびスクラップの材質ごとにスクラップ明細データ107が作成され、製造実績ファイル106hに登録される。
【0074】
なお、スクラップ重量算出部102aが算出したスクラップ重量がゼロである場合には、製造実績ファイル生成部102bは、スクラップ明細データ107を作成せず、製造実績元ファイル106gのフォーマット変換のみを実行し、本ルーチンを終了すればよい。
【0075】
更新部102cは、ステップS108で生成された製造実績ファイル106hに基づいて、製造実績データ106iを生成する(ステップS110)。
【0076】
図4Cは、製造実績データ106iのデータ構成の一例を示す模式図である。例えば、製造実績データ106iは、製造実績ヘッダデータ106i1と、製造実績明細データ106i2と、製造実績詳細データ106i3と、を含む。
【0077】
製造実績ヘッダデータ106i1は、製造実績番号と、事業所コードと、製造費と、受入明細行番号と、受入品番・費目コードと、受入倉庫コードと、受入数と、受入数の単位と、受入ロット番号と、を対応付けたテーブルである。
【0078】
更新部102cは、製造実績ファイル106hにおけるスクラップ明細データ107以外のデータを抽出し、製造実績番号を付与して製造実績ヘッダデータ106i1へ登録することで、製造実績ヘッダデータ106i1を生成する。
【0079】
製造実績明細データ106i2は、製造実績番号と、払出明細行番号と、払出品番・費目コードと、払出倉庫コードと、払出明細払出数と、払出明細払出数の単位と、を対応付けたテーブルである。
【0080】
更新部102cは、製造実績ファイル106hにおける項目の一部を抽出し、製造実績番号を付与して製造実績明細データ106i2へ登録することで、製造実績明細データ106i2を生成する。
【0081】
製造実績詳細データ106i3は、製造実績番号と、払出内訳行番号と、払出内訳ロット番号と、払出内訳数と、払出内訳数の単位と、原価単価と、原価金額と、を対応付けたテーブルである。
【0082】
更新部102cは、製造実績ファイル106hにおける項目の一部を抽出し、製造実績番号を付与して製造実績詳細データ106i3へ登録する。また、更新部102cは、製造実績ファイル106hにおける抽出元の払出品番・費目コードに示されるスクラップ品番に対応する原価単価をスクラップ原価単価マスタ106d(図2D参照)から読み取り、原価単価として製造実績詳細データ106i3へ登録する。また、更新部102cは、原価単価に払出内訳数を乗算した結果を、原価金額として製造実績詳細データ106i3へ登録する。例えば、更新部102cは、払出内訳数「-227.64」Kgに原価単価「19」円を乗算した結果である「-4,325」円を原価金額として製造実績詳細データ106i3に登録する。
【0083】
なお、スクラップ以外の品番の原価単価については、更新部102cは、在庫評価単価マスタ106eから原価単価を特定し、原価金額の算出に用いればよい。
【0084】
これらの処理により、更新部102cは、製造実績データ106iを生成する。
【0085】
また、更新部102cは、在庫データ106jを更新する(ステップS112)。
【0086】
図4Dおよび図4Eは、製造実績データ106iの更新の一例の説明図である。製造実績データ106iは、スクラップ品番である払出品番・費目コードと、現在庫数と、現在庫数の単位と、を対応付けたテーブルである。
【0087】
例えば、更新前の在庫データ106jにおける、スクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」に対応する現在庫数が「2800.58」Kgであった場合を想定する(図4D参照)。この場合、更新部102cは、現在庫数「2800.58」Kgに、製造実績データ106iにおけるスクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」に対応する払出明細払出数または払出内訳数である「-227.64」の絶対値「227.64」Kgを加算することで、「3028.22」Kgを算出する。
【0088】
そして、更新部102cは、この計算結果である「3028.33」Kgをスクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」に対応する現在庫数として登録することで、在庫データ106jを更新する(図4E参照)。
【0089】
図3に戻り説明を続ける。仕訳部102dは、ステップS108でスクラップ明細データ107を作成したスクラップのスクラップ品番に対応する原価金額に関する仕訳データ106kを作成する(ステップS114)。
【0090】
仕訳部102dは、更新部102cで算出されたスクラップ品番に対応する原価金額と、仕訳定義マスタ106fと、に基づいて仕訳データ106kを作成する。
【0091】
スクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」の原価金額「-4,325」円を用いて、仕訳データ106kを作成する場面を想定する。この場合、例えば、仕訳部102dは、製造実績払出マスタ106f1に基づいて、スクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」の仕訳データ106kとして、借方である他勘定振分高「-4,325」円、貸方である作業屑受入高「-4,325」円を表す仕訳データ106kを生成する。なお、この場合、金額がマイナスとなるため、借方である作業屑受入高「4,325」円、貸方である他勘定振分高「4,325」円を表す仕訳データ106kと同じ意味となる。
【0092】
また、例えば、仕訳部102dは、スクラップ棚卸資産(当月末)マスタ106f2に基づいて、スクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」の当月末の仕訳データ106kとして、借方である作業屑「57,536」円、貸方である期末作業屑「57,536」円を表す仕訳データ106kを生成する。これは、在庫数が「3028.22」Kgであり、原価単価が19円であるためである。
【0093】
また、例えば、仕訳部102dは、スクラップ棚卸資産(翌月初)マスタ106f3に基づいて、スクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」の翌月初の仕訳データ106kとして、借方である期首作業屑「57,536」円、貸方である作業屑「57,536」円を表す仕訳データ106kを生成する。これは、在庫数が「3028.22」Kgであり、原価単価が19円であるためである。
【0094】
生成された仕訳データ106kは、例えば、会計処理を実行する機能部などと連携して用いることができる。
【0095】
図3に戻り説明を続ける。出力制御部102eは、スクラップ品番ごとに引取基準割合を算出する(ステップS116)。出力制御部102eは、在庫データ106jにおけるスクラップ品番ごとに、スクラップ品番に対応する在庫量の、スクラップ設定マスタ106aにおける該スクラップ品番に対応するスクラップ基準重量に対する割合を、引取基準割合として算出する。
【0096】
例えば、図4Eに示す製造実績データ106iのスクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」について、引取基準割合を算出する場面を想定する。この場合、出力制御部102eは、製造実績データ106iにおける、払出品番・費目コード「199010000001」に対応する現在庫数「3028.22」Kgを読み取る。また、出力制御部102eは、払出品番・費目コード「199010000001」であるスクラップ品番に対応するスクラップ基準重量をスクラップ設定マスタ106aから読み取る(図2A参照)。この場合、出力制御部102eは、スクラップ基準重量「4000」Kgを読み取る。
【0097】
そして、出力制御部102eは、スクラップ基準重量「4000」Kgに対する現在庫数「3028.22」Kgの割合である75.7%を、スクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」の引取基準割合として算出する。
【0098】
出力制御部102eは、スクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」と、現在庫数と、引取基準割合と、を対応付けた在庫照会画面を、出力装置114へ出力する。
【0099】
図5は、在庫照会画面50の一例を示す模式図である。例えば、出力制御部102eは、スクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」と、現在庫数「3028.22」Kgと、引取基準割合「75.7」%と、を対応付けた在庫照会画面50を、出力装置114へ出力する(ステップS118)。
【0100】
このため、在庫照会画面50を視認したユーザは、スクラップ品番である払出品番・費目コード「199010000001」によって特定される材質のスクラップの現在庫数の引取基準割合を容易に確認することができる。すなわち、ユーザは、スクラップ品番によって特定される材質のスクラップの引取依頼タイミングが近付いているか否かを、容易に確認することができる。また、ユーザは、引取依頼するスクラップの在庫量が、スクラップ基準重量に対してどのくらいの割合であるかを容易に確認することができる。
【0101】
なお、上述したように、出力制御部102eは、引取基準割合が所定値以上である場合、引取依頼タイミングであることを表す情報を更に含む在庫照会画面50を出力装置114へ出力してもよい。例えば、出力制御部102eは、引取基準割合が90%以上の値である場合、該引取基準割合を示すスクラップ品番の材質のスクラップの引取依頼タイミングが近いことを表す情報を含む在庫照会画面50を、出力装置114へ出力してもよい。この所定値は、予め定めればよく、入力装置112の操作指示などによって変更可能としてもよい。
【0102】
そして、本ルーチンを終了する。
【0103】
以上説明したように、本実施形態のスクラップ実績管理装置100は、記憶部106および制御部102を備え、引取依頼または再利用するスクラップのスクラップ実績管理装置100である。制御部102は、スクラップ重量算出部102aと、製造実績ファイル生成部102bと、を備える。スクラップ重量算出部102aは、材料が払出されたときに、材料の払出重量から該材料の加工により作製された製品の受入重量を減算した重量差を、該材料のスクラップ重量として算出する。製造実績ファイル生成部102bは、スクラップ重量と該材料の材質に対応するスクラップ品番とを対応付けたスクラップ明細データ107を登録した製造実績ファイル106hを生成する。
【0104】
このように、本実施形態のスクラップ実績管理装置100は、取引依頼または再利用するスクラップについて、スクラップの材料の材質に対応するスクラップ品番ごとに該スクラップのスクラップ重量を対応付けたスクラップ明細データ107を含む製造実績ファイル106hを生成する。
【0105】
このため、本実施形態のスクラップ実績管理装置100は、取引依頼または再利用するスクラップについて、スクラップの材質ごとに、スクラップ重量を自動管理することができる。
【0106】
従って、本実施形態のスクラップ実績管理装置100は、スクラップを高精度に管理することができる。
【0107】
また、本実施形態のスクラップ実績管理装置100では、更新部102cが、在庫データ106jにおける、スクラップ明細データ107に含まれるスクラップ品番に対応する在庫量に、該スクラップ明細データ107に含まれる該スクラップ品番に対応するスクラップ重量を加算することによって、在庫データ106jを更新する。
【0108】
このため、本実施形態のスクラップ実績管理装置100は、上記効果に加えて、スクラップの在庫量を正確に管理することができる。また、本実施形態のスクラップ実績管理装置100は、上記効果に加えて、高精度且つ自動的にスクラップの在庫管理を行うことができる。
【0109】
また、本実施形態のスクラップ実績管理装置100では、出力制御部102eが、在庫データ106jにおけるスクラップ品番ごとに、スクラップ品番に対応する在庫量の、スクラップ設定マスタ106aにおける該スクラップ品番に対応するスクラップ基準重量に対する割合を、引取基準割合として出力装置114に出力する。
【0110】
このため、ユーザは、引取基準割合を確認することで、スクラップ品番によって特定される材質のスクラップの引取依頼タイミングが近付いているか否かを、容易に確認することができる。また、ユーザは、適切なタイミングで引取依頼を行うことができる。また、適切なタイミングで取引依頼を行うことができるため、所定期間内に適切な回数の取引依頼を行うことができ、引取り運賃の削減も可能となる。
【0111】
また、スクラップ設定マスタ106aは、再利用対象のスクラップ品番に対応するスクラップ基準重量としてゼロを示す値が登録され、引取依頼対象のスクラップ品番に対応するスクラップ基準重量として、ゼロを超える値が登録されてなる。このため、スクラップ実績管理装置100の制御部102は、スクラップ設定マスタ106aにおけるスクラップ基準重量を参照することで、スクラップ品番によって特定される材質のスクラップが再利用対象であるか引取依頼対象であるかを、容易に区別することができる。
【0112】
また、出力制御部102eが、スクラップ基準重量を用いて算出した引取基準割合を出力装置114へ出力することで、引取基準割合がゼロであるスクラップ品番のスクラップは再利用対象であり、引取基準割合がゼロを超える値であるスクラップ品番のスクラップは引取依頼対象であることを、容易にユーザに対して提供することができる。
【0113】
また、仕訳部102dは、スクラップ品番に対応するスクラップ重量および原価単価に基づいて算出された原価金額に関する仕訳データを作成する。このため、スクラップ実績管理装置100は、高精度に管理されたスクラップのスクラップ重量を用いて仕訳データを作成することが出来、仕訳処理との連携および高精度な仕訳データの作成を行うことができる。
【0114】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0115】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0116】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0117】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0118】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0119】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0120】
また、スクラップ実績管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0121】
例えば、スクラップ実績管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じてスクラップ実績管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0122】
また、このコンピュータプログラムは、スクラップ実績管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0123】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、およびBlu-ray(登録商標)Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0124】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0125】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0126】
また、スクラップ実績管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、スクラップ実績管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0127】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0128】
100 スクラップ実績管理装置
102 制御部
106 記憶部
102a スクラップ重量算出部
102b 製造実績ファイル生成部
102c 更新部
102d 仕訳部
102e 出力制御部
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5