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特許7597662スイッチ装置及びスイッチ装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】スイッチ装置及びスイッチ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 36/00 20060101AFI20241203BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H01H36/00 J
H01H9/54 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021110522
(22)【出願日】2021-07-02
(65)【公開番号】P2023007582
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 至
(72)【発明者】
【氏名】今井 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】藤井 賢則
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-181232(JP,A)
【文献】特開2017-098118(JP,A)
【文献】特開2015-011787(JP,A)
【文献】特開2010-120487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
H01H 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象装置への入力を行う操作部と、
少なくとも前記操作部の操作を検出する検出部と、
前記検出部による前記操作部の操作の判定を行った後に、前記制御対象装置への機能の割当に応じて、前記判定の結果を送信する制御部と、
を備え
前記検出部は、少なくとも前記操作部の操作を検出する電極を有した電極を備え、
前記判定は、判定基準としての閾値との比較によって行われ、前記制御対象装置への機能の割当がない前記電極の閾値が、前記制御対象装置への機能の割当がある前記電極の閾値より大きな値である、
るスイッチ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記制御対象装置への機能の割当がある前記電極を検出電極とし、前記機能の割当がない前記電極をブランク電極とする設定情報をあらかじめ有し、前記設定情報に基づいて前記操作部に対する操作を検出した前記電極が前記検出電極か前記ブランク電極かを確認し、前記検出電極が前記操作部に対する操作を検出した場合、判定に応じた信号送信を行い、前記ブランク電極が前記操作部に対する操作を検出した場合、判定に応じた信号送信を行わない
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記検出部は、静電容量を検出する、
請求項1又は2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
制御対象装置への入力を行う操作部と、少なくとも前記操作部の操作を検出する検出部と、前記検出部による前記操作部の操作の判定を行い、前記判定の結果を送信する制御部を備え、
前記制御部に接続された前記検出部による前記判定を行った後、前記制御対象装置への機能の割当に応じて、前記判定の結果を送信
前記検出部は、少なくとも前記操作部の操作を検出する電極を有した電極を備え、
前記判定は、判定基準としての閾値との比較によって行われ、前記制御対象装置への機能の割当がない前記電極の閾値が、前記制御対象装置への機能の割当がある前記電極の閾値より大きな値である、
スイッチ装置の制御方法。
【請求項5】
前記制御部は、前記制御対象装置への機能の割当がある前記電極を検出電極とし、前記機能の割当がない前記電極をブランク電極とする設定情報をあらかじめ有し、前記設定情報に基づいて前記操作部に対する操作を検出した前記電極が前記検出電極か前記ブランク電極かを確認し、前記検出電極が前記操作部に対する操作を検出した場合、判定に応じた信号送信を行い、前記ブランク電極が前記操作部に対する操作を検出した場合、判定に応じた信号送信を行わない
請求項に記載のスイッチ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置及びスイッチ装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ装置の一例として、自動車等の車両用のスイッチ装置がある。そして、車室内の意匠等を考慮しながら、それぞれ分散して配置される他、車室内パネル等にまとめて配置されるスイッチ装置がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
このスイッチ装置は、加飾パネル、操作表示を有するマスク層、タッチセンサのセンサ電極を有する電極基板、ゼブラゴム、制御基板を備えて構成される。
【0004】
マスク層の端部には、マスク層の種類を示す識別情報を提供するものとして電極パターンが設けられる。電極パターンは、ゼブラゴムを介して制御基板の電極パターンに接続され、電極パターンに含まれる識別情報は制御ICに入力される。制御ICは、タッチセンサの検出信号に基づき、操作表示に対応する機能の制御を識別情報に応じて変更する。
【0005】
このスイッチ装置によれば、簡単なマスク層の交換のみでスイッチ装置の操作表示である図柄の配置変更を行うと共に、操作表示に対応した意図する動作を行わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-120487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示すスイッチ装置では、操作表示に対応する機能の制御を変更するための識別情報を提供する電極パターンと、識別情報を制御ICに伝えるゼブラゴムが必要であった。つまり、操作表示に対応する機能の制御を変更するための識別情報を制御部に伝えるための構成が必要であった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、操作表示に対応する機能の制御を変更するための識別情報を制御部に伝えるための構成を省き、スイッチ装置の操作表示の配置変更をより簡単にできるスイッチ装置及びスイッチ装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]上記目的を達成するため、制御対象装置への入力を行う操作部と、少なくとも操作部の操作を検出する検出部と、検出部による操作部の操作の判定を行った後に、制御対象装置への機能の割当に応じて、判定の結果を送信する制御部と、を備えるスイッチ装置を提供する。
【0010】
[2]制御対象装置への入力を行う操作部と、少なくとも操作部の操作を検出する検出部と、検出部による操作部の操作の判定を行い、判定の結果を送信する制御部を備え、制御部に接続された検出部による判定を行った後、制御対象装置への機能の割当に応じて、判定の結果を送信する、スイッチ装置の制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスイッチ装置及びスイッチ装置の制御方法によれば、操作表示の配置変更を簡単にできるスイッチ装置及びスイッチ装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る意匠Aのスイッチ装置の構成図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る意匠Aのスイッチ装置の意匠パネルと電極基板の正面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る意匠Bのスイッチ装置の構成図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置の構成ブロック図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置のプログラムのフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施の形態に係るスイッチ装置のプログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る意匠Aのスイッチ装置の構成図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る意匠Aのスイッチ装置の意匠パネルと電極基板の正面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る意匠Bのスイッチ装置の構成図である。図4は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置の構成ブロック図であり、図4(a)は、スイッチ装置1の構成ブロック図であり、図4(b)は、スイッチ装置2の構成ブロック図である。図5は、本発明の第1の実施の形態に係るスイッチ装置のプログラムのフローチャートである。
【0014】
本発明の第1の実施の形態のスイッチ装置1は、図1に示すように、操作パネル10と静電容量検出部40と制御部50とで構成されている。そして、操作パネル10と静電容量検出部40、静電容量検出部40と制御部50、制御部50と制御対象装置100は、電気的に接続されている。
【0015】
操作パネル10は、操作部となる意匠パネル20と電極基板30とで構成されている。操作パネル10は、操作者側の意匠パネル20に対し、操作者の裏側に電極基板30が重ねられて配置されている。そして、例えば、操作パネル10は、車両のインストルメントパネルに設けられている。
【0016】
意匠パネル20は、樹脂製の透光性の板部材であり、外形が横長の形状とされている。
【0017】
図2(a)は、意匠Aの意匠パネル20の正面図である。このように、意匠パネル20は、意匠パネル20の左右両側に、操作機能を示す複数の意匠21が配置されている。複数の意匠21には、操作者がタッチしてスイッチ装置1を操作する操作位置を示す意匠21と、操作位置を示す意匠ではない意匠21がある。意匠Aの意匠パネル20は、10個の操作位置を示す意匠21と2個の操作位置を示す意匠ではない意匠21を有する。
【0018】
複数の意匠21の個々の意匠は、風量設定UPの意匠221、風量の意匠231、風量設定DOWNの意匠241、内気循環モードの意匠222、外気導入モードの意匠232、送風OFFの意匠242、エアコン動作の意匠226、フロントのデフロスターの意匠236、リアのデフロスターの意匠246、エアコン温度設定UPの意匠227、エアコン温度の意匠237、エアコン温度設定DOWNの意匠247である。
【0019】
そして、このうち、風量の意匠231とエアコン温度の意匠237を除く意匠は、操作位置を示す意匠21である。風量の意匠231とエアコン温度の意匠237の意匠は、操作位置を示す意匠ではない意匠21である。
【0020】
電極基板30は、樹脂製の透光性の板部材であり、外形が意匠パネル20に合わせた横長の形状とされている。但し、電極基板30の外形は、意匠パネル20よりやや小さいサイズである。
【0021】
図2(b)は、電極基板30の正面図である。電極基板30は、透明電極による縦3行横7列の合計21個の電極31(321~327、331~337、341~347)を有している。21個の電極31のすべては、静電容量検出部40を介して制御部50と電気的に接続されている。
【0022】
電極基板30は、電極31が意匠パネル20側の面とされて、図1のように、意匠パネル20の複数の意匠21が、電極基板30の電極31と配置が一致するように重ねられている。
【0023】
そして、複数の電極31のうち、検出電極は操作位置を示す意匠21と配置が一致している電極31である。そして、検出電極は、実際に操作を検出する、制御対象装置100に機能の割当がある電極31である。一方、ブランク電極は操作位置を示す意匠21と配置が一致していない電極31である。検出電極は、意匠21と同じ数の10個の電極31であり、ブランク電極は残りの11個の電極31である。なお、検出電極とブランク電極とは、同一の仕様であるが、意匠21との配置関係に従って、後述のように、異なる機能の電極とされる。
【0024】
複数の電極31の個々の電極は、図2(a)の風量の意匠231とエアコン温度の意匠237に対応した、図2(b)の電極331と電極337を除く、図2(b)の左右両端の2行の電極が意匠Aでの検出電極である。そして、その他の電極31は、意匠Aでのブランク電極である。
【0025】
すなわち、電極321、電極341、電極322、電極332、電極342、電極326、電極336、電極346、電極327、電極347が、意匠Aでの検出電極である。また、電極331と電極337、電極323~325、電極333~335、電極343~345が、意匠Aでのブランク電極である。
【0026】
次に、スイッチ装置2の説明を行う。スイッチ装置2は、意匠Aの意匠パネル20を用いたスイッチ装置1に対し、意匠Bの意匠パネル25を用いている点が異なる。意匠Bの意匠パネル25は、意匠21の数と意匠21の配置が意匠Aの意匠パネル20とは異なる。その他の構成は同じであるが、制御部50の設定は、後述のように、若干異なる点がある。
【0027】
図3は、意匠Bの意匠パネル25と電極基板30とが重ねられた操作パネル15を備えたスイッチ装置2の構成図である。
【0028】
意匠Bの意匠パネル25は、11個の意匠21と2個の意匠21を有する。そして、意匠Aの意匠パネル20は、左右両側に意匠が配置され、左右中央に意匠が配置されていなかったのに対し、意匠Bの意匠パネル25は、左右両端と上下の下端に意匠が配置されている。
【0029】
すなわち、図3において、風量設定UPの意匠251、風量の意匠281、風量設定DOWNの意匠261、送風OFFの意匠271が左端に配置されている。また、内気循環モードの意匠272、外気導入モードの意匠273、フロントのデフロスターの意匠274、リアのデフロスターの意匠275、エアコンのオートモードの意匠256が下端に配置されている。また、エアコン温度設定UPの意匠257、エアコン温度の意匠287、エアコン温度設定DOWNの意匠267、エアコン動作の意匠277が右端に配置されている。
【0030】
そして、このうち、風量の意匠281とエアコン温度の意匠287を除く意匠は、操作位置を示す意匠21である。風量の意匠281とエアコン温度の意匠287の意匠は、操作位置を示す意匠ではない意匠21である。
【0031】
電極基板30は、意匠Aの意匠パネル20のスイッチ装置1と同一の仕様である。しかし、スイッチ装置1とスイッチ装置2とでは、電極基板30の検出電極とブランク電極の配置は異なるものとなる。すなわち、操作位置を示す意匠21と配置が一致している電極31は、制御対象装置100に機能の割当があり、検出電極となる。一方、操作位置を示す意匠21と配置が一致していない電極31は、制御対象装置100に機能の割当がなく、ブランク電極となる。そして、意匠Aと意匠Bの操作位置を示す意匠の配置の違いによって、検出電極とブランク電極の配置は異なっている。
【0032】
図4(a)は、スイッチ装置1の構成ブロック図であり、図4(b)は、スイッチ装置2の構成ブロック図である。スイッチ装置1とスイッチ装置2とは、電極基板30と静電容量検出部40と制御部50の構成は同じである。スイッチ装置1とスイッチ装置2とが異なる点は、制御部50に接続される制御対象装置100と、これに対応した意匠パネルの意匠の配置である。
【0033】
例えば、電極322について、意匠Aの意匠パネル20では、図4(a)のように、電極322は、意匠222と配置が一致している。図1のように、意匠222は操作位置を示す内気循環モードの操作位置を示す意匠21である。電極322は、意匠222が示す内気循環モードの制御対象装置100に機能の割当がある。そして、電極322は、検出電極である。
【0034】
一方、意匠Bの意匠パネル25では、図4(b)のように、電極322は、意匠と配置が一致していない。電極322は、制御対象装置100に機能の割当がない。そして、電極322は、ブランク電極である。
【0035】
なお、電極321は、スイッチ装置1とスイッチ装置2がともに検出電極であり、電極323は、スイッチ装置1とスイッチ装置2がともにブランク電極である。
【0036】
静電容量検出部40は、静電容量を検出するAFE(Analog Front End)と検出容量をデジタル検出値に変換するA/Dコンバータ回路を有するIC(Integrated Circuit)である。静電容量検出部40は、静電容量検出部40は、複数の電極部31のすべてと電気的に接続されている。静電容量検出部40は、図1のように、複数の電極部31のすべての電極の状態のアナログ情報を信号Sとして入力する。静電容量検出部40は、電極31の状態の物理量である静電容量を電圧に変換してデジタル化して検出する。検出した情報は、信号Sとして出力する。
【0037】
なお、検出部となる静電容量検出部40は、以下に記載する制御部50の一部として設けられても構わない。この場合、信号Sは、制御部50内でやり取りがされる。
【0038】
制御部50は、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータを備える。
【0039】
制御部50は、それぞれの電極31に対する閾値:Vi_thをあらかじめ有している。操作位置を示す意匠21と配置が一致している検出電極に対する閾値は、操作の有無の判定の基準となる値が設定されている。一方、操作位置を示す意匠21と配置が一致していないブランク電極に対する閾値は、最大値が設定されている。なお、閾値は、必ずしも最大値が設定されていなくてもよく、実際に取り得ない大きな値であればよい。
【0040】
なお、意匠Aのスイッチ装置1と意匠Bのスイッチ装置2とでは、操作位置を示す意匠21の配置が異なり、検出電極とブランク電極の配置が異なる。このため、制御部50のそれぞれの電極31に対する閾値の設定は、スイッチ装置1とスイッチ装置2とで異なる。
【0041】
制御部50には、図1のように、静電容量検出部40からの信号Sが入力される。制御部50は、信号Sの入力の際、それぞれの電極31が検出電極であるかブランク電極であるかの識別は行わず、すべての電極31の信号Sを入力する。このため、制御部50は、検出電極であるかブランク電極であるかを識別する評価処理時間を要さない。このため、評価処理時間によって、スイッチ装置1やスイッチ装置2の反応速度が遅くなることはない。また、制御部50には、検出電極であるかブランク電極であるかを識別するためのメモリ容量は不要である。
【0042】
そして、制御部50は、この入力信号Sに基づき、それぞれの電極31の判定を行い、対象制御機器へ信号Sを送信する。制御部50は、各電極31に対して、検出電極の場合、操作部である意匠21の「操作あり」「操作なし」を実際に判定する。一方、ブランク電極の場合、判定は行うが、常に「操作なし」の判定とする。そして、制御部50は、判定に応じた信号送信を行う。
【0043】
すなわち、この制御部50の電極31の判定と信号Sの送信は、図5に示すフローチャートに従って、以下のように行われる。
【0044】
S00において、制御部50は、プログラムをスタートさせる。
【0045】
S01において、制御部50は、静電容量検出部40から信号Sを入力する。そして、制御部50は、静電容量検出部40が電極の静電容量を電圧に変換してデジタル化した値:Viを取得する。なお、iは、電極31の番号であり、1から21(電極31の数)まである。そして、各電極31について、検出電極であるかブランク電極であるかにかかわらず、i=1から順に、制御部50は、以下のプログラム処理を行う。なお、このプログラム処理は、順に処理が行われるものに限らず、並列処理であっても構わない。
【0046】
S02において、制御部50は、Vi_th<Viであるかを確認する。なお、操作位置を示す意匠21と配置が一致している検出電極の場合、閾値:Vi_thは操作の有無の判定の基準となる値が設定されている。このため、制御部50は、実際に「操作の有無」を確認する。一方、操作位置を示す意匠21と配置が一致していないブランク電極の場合、閾値:Vi_thは最大値が設定されている。このため、確認の結果は、常にVi_th<Viとはならない。
【0047】
そして、S02において、Vi_th<Viである場合、プログラムはS03へ進む。S03において、制御部50は、「操作あり」の判定を行う。そして、S04において、制御部50は、信号Sとして、ON信号の送信を行う。そして、プログラムはS00のスタートへ戻る。
【0048】
一方、S02において、Vi_th<Viでない場合、プログラムはS05へ進む。S05において、制御部50は、「操作なし」の判定を行う。そして、S06において、制御部50は、信号Sとして、OFF信号の送信を行う。そして、プログラムはS00のスタートへ戻る。
【0049】
(スイッチ装置の動作)
操作者が、スイッチ操作として、スイッチ装置1の操作位置を示す意匠21に触れると、その意匠21と配置が一致している検出電極の静電容量が変化する。そして、信号Sによって、静電容量検出部40がその変化を検出し、制御部50へ信号Sを出力する。制御部50は、信号Sを入力し、プログラムによって「操作あり」と判定し、制御対象装置100へON信号の出力を行う。そして、制御対象装置100が、制御部50からのON信号の入力によって、動作する。
【0050】
一方、操作者が、スイッチ装置1の操作位置を示す意匠21ではない箇所に触れた場合、制御対象装置100へON信号の出力は行われない。すなわち、触れた箇所の裏側に電極31があり、その電極31の静電容量が変化したとしても、制御部50のブランク電極の閾値は、最大値が設定されている。このため、制御部50は「操作あり」とは判定しない。
【0051】
なお、操作者が、スイッチ装置1に触れていない場合、すべての電極31の静電容量は変化しない。このため、制御部50は「操作あり」とは判定しない。
【0052】
意匠Aの意匠パネル20を用いたスイッチ装置1と意匠Bの意匠パネル25を用いたスイッチ装置2とでは、意匠パネル以外の構成は同じであるが、制御部50のそれぞれの電極31に対する閾値の設定が異なる。そして、スイッチ装置1とスイッチ装置2とも、この閾値の設定に基づいて動作が行われる。これにより、意匠Aの意匠パネル20を用いたスイッチ装置1でも、意匠Bの意匠パネル25を用いたスイッチ装置2でも、操作位置を示す意匠21と配置が一致している検出電極が機能した動作が行われる。
【0053】
また、制御部50の制御は、静電容量検出部40を介して制御部50に接続されたすべての電極31からの信号Sを入力して、静電容量検出部40が電極の静電容量を電圧に変換してデジタル化した値:Viを取得したうえで行われる。仮に、信号Sの入力時に、制御部50が意匠による選別を行なうと、その選別評価の処理時間が生じる。また、意匠の選別パターンの記憶容量が必要となる。しかし、スイッチ装置1やスイッチ装置2は、信号Sの入力時の選別による処理時間が生じることなどはないため、スイッチの反応速度を保つことができる。また、信号Sの入力時の意匠の選別パターンの記憶容量は不要である。
【0054】
(本発明の第1の実施の形態の効果)
上記した本発明の実施の形態によると、以下の効果が得られる。
(1)制御部は、検出電極であるかブランク電極であるかの識別を行わずに、電極からの信号を入力して、判定する。そして、制御部は、制御対象装置への機能の割当に応じて、それぞれの電極の判定の結果を送信する。このため、操作表示に対応する機能の制御を変更するための識別情報を制御部に伝えるための構成を省くことができる。そして、スイッチ装置は、操作表示の配置変更を簡単にできる。
(2)検出対象を有さないブランク電極の設定は、制御部の判定基準の閾値を大きな値とすることである。このため、容易にブランク電極の設定を行うことができる。そして、スイッチ装置は、操作表示の配置変更を簡単にできる。
【0055】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るスイッチ装置のプログラムのフローチャートである。以下の説明において、第1の実施の形態と同一の構成および機能を有する部分については同一の引用数字を付している。
【0056】
このスイッチ装置3は、制御部50が、検出電極であるかブランク電極であるかの、全ての電極31の設定情報をあらかじめ有していることと、制御部50の処理において第1の実施の形態と相違している。
【0057】
制御部50は、各電極31に対して以下の処理を行う。制御部50は、検出電極の場合、判定に応じた信号送信を行う。一方、制御部50は、ブランク電極の場合、判定に応じた信号送信を行わない。
【0058】
この制御部50のそれぞれの電極31の判定と信号送信は、図6に示すフローチャートに従ってなされる。
【0059】
S00において、制御部50は、プログラムをスタートさせる。
【0060】
S11において、制御部50は、静電容量検出部40からの信号Sとして、静電容量検出部40が電極の静電容量を電圧に変換してデジタル化した値:Viを取得する。
【0061】
S12において、制御部50は、Vth<Viであるかを確認する。閾値:Vthは操作の有無の判定の基準となる値が設定されているので、「操作の有無」を確認する。
【0062】
そして、S12において、Vth<Viである場合、プログラムはS13へ進む。S13において、制御部50は、「操作あり」の判定を行う。そして、プログラムはS15へ進む。
【0063】
一方、S12において、Vth<Viでない場合、プログラムはS14へ進む。S14において、制御部50は、「操作なし」の判定を行う。そして、プログラムはS15へ進む。
【0064】
S15において、制御部50は、取得した値:Viが制御対象装置100を割り当てられた電極31によるものかを確認する。すなわち、制御部50は、検出電極であるかブランク電極であるかの全ての電極31の設定情報をあらかじめ有している。これによって、制御部50は、制御対象装置100を割り当てられた検出電極であるかを確認する。
【0065】
そして、S15において、割り当てられた電極31によるものである場合、プログラムはS16へ進む。そして、S16において、制御部50は、信号Sとして、S13あるいはS14の判定に対応した、ON信号あるいはOFF信号の送信を行う。そして、プログラムはS00のスタートへ戻る。
【0066】
一方、S15において、割り当てられた電極31によるものでない場合、プログラムはS00のスタートへ戻る。すなわち、制御部50は、信号Sの送信を行なわない。
【0067】
つまり、制御部50は、各電極31に対して順に以下の判定を行う。制御部50は、すべての電極31に対し、操作部である意匠21の「操作あり」「操作なし」を判定する。そして、制御部50は、機能の割り当てがある電極の場合、判定に応じた信号送信を行う。この方法であれば、信号Sの入力時に、制御部50が意匠による選別を行なう処理時間が生じない。
【0068】
(本発明の第2の実施の形態の効果)
上記した本発明の実施の形態によると、以下の効果が得られる。
(1)制御部は、検出電極であるかブランク電極であるかの識別を行わずに、電極からの信号を入力して、判定する。そして、制御部は、制御対象装置への機能の割当に応じて、それぞれの電極の判定の結果を送信する。このため、操作表示に対応する機能の制御を変更するための識別情報を制御部に伝えるための構成を省くことができる。そして、スイッチ装置は、操作表示の配置変更を簡単にできる。
(2)制御部が、検出電極であるかブランク電極であるかの、全ての電極の設定情報をあらかじめ有している。そして、制御部は、機能の割り当てがある電極の場合、判定に応じた信号送信を行う。このため、スイッチ装置は、操作表示の配置変更を簡単にできる。
【0069】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態およびその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。
【0070】
以上説明した実施の形態では、電極基板30と静電容量検出部40を用いて検出部とし、静電容量の変化により操作を検出する構成を示したが、これに限るものではない。例えば、スイッチ装置は、圧電素子を用い、電位の変化により操作を検出する構成などとしても構わない。また、例えば、スイッチ装置は、基板に操作部と操作の検出部がある場合など、機械式の操作を検出するものであっても構わない。
【0071】
なお、これら実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態およびその変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10…操作パネル、15…操作パネル、20…意匠Aの意匠パネル、25…意匠Bの意匠パネル、30…電極基板、31…電極、40…静電容量検出部、50…制御部、100…制御対象装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6