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特許7597689太陽電池モジュールおよび太陽光発電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールおよび太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/042 20140101AFI20241203BHJP
【FI】
H01L31/04 500
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021159649
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2023049726
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 親扶
(72)【発明者】
【氏名】中村 守孝
(72)【発明者】
【氏名】国江 明守
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-181905(JP,A)
【文献】特開2017-099188(JP,A)
【文献】特開2001-111089(JP,A)
【文献】特開2020-170815(JP,A)
【文献】特開2020-181904(JP,A)
【文献】特開2020-057652(JP,A)
【文献】中国実用新案第202888206(CN,U)
【文献】国際公開第2009/138868(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/056
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段状に形成された複数のセル列を有しているとともに、複数の太陽電池セルがそれぞれ直列に接続されて複数のセル群が構成され、該複数のセル群がそれぞれ中間電極配線によって接続されて複数のストリングが構成され、該複数のストリングが並列に接続され、
前記太陽電池セルは分割セルであり、
前記セル列におけるセル数は全て異なっており、
隣り合う前記セル列におけるセル数の差は一定ではないことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュールであって、
隣り合う前記セル列のセル数の差は、フルセル1枚分以内であることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の太陽電池モジュールであって、
隣り合う前記セル列のセル数の差の違いは、フルセル1枚分より小さいことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項4】
階段状に形成された複数のセル列を有しているとともに、複数の太陽電池セルがそれぞれ直列に接続されて複数のセル群が構成され、該複数のセル群がそれぞれ中間電極配線によって接続されて複数のストリングが構成され、該複数のストリングが並列に接続され、
前記太陽電池セルは分割セルであり、
前記セル列の少なくとも1つでは途中でストリングの切り替えが行われており、ストリングの切り替えが行われている前記セル列では、当該セル列の途中においてストリングの端部に接続される端部電極配線が配置されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記各ストリングにおけるセル数が同じであることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項6】
コーナーモジュールと矩形モジュールとを組み合わせてなる太陽光発電システムであって、
前記コーナーモジュールは請求項1から5の何れか1項に記載の太陽電池モジュールであることを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項7】
請求項6に記載の太陽光発電システムであって、
前記コーナーモジュールと前記矩形モジュールとは、同一種類の分割セルを用いていることを特徴とする太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールおよびそれを用いた太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の太陽電池モジュールでは、分割セルを用いたものが主流となってきている(例えば、特許文献1)。ここでの分割セルとは、標準サイズのセル(太陽電池用ウェハ1枚分のセル、フルセルともいう)を分割した小型のセルを指し、例えば、フルセルを半分に分割したハーフセルが挙げられる。ハーフセルでは、セル1枚当たりの電流の電流値を、フルセルに対して半減させることができ、それだけ、太陽電池モジュールの電力損失を減少させることができる。
【0003】
複数のフルセルを直列接続して形成される太陽電池モジュールにおいて電流が10Aであるとすると、ハーフセルを用いた太陽電池モジュールにおいて同様の電流を得るには、複数のハーフセルを直列接続したストリングを2並列に接続する必要がある。すなわち、1つのストリングに5Aの電流が生じるため、2つのストリングを並列に接続することで10Aの電流が得られる。
【0004】
太陽電池モジュールの一般的な使用形態は、屋根などの上に複数のモジュールを並べて互いに接続し、太陽光発電システムを構成することである。ここで、寄棟屋根などに太陽光発電システムを設置する場合、矩形モジュールと、多角形状(例えば、五角形状)のコーナーモジュールとが組み合わされる(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-98931号公報
【文献】特許第2017-112175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽電池発電システムにおいて、矩形モジュールとコーナーモジュールとを接続する場合、各モジュールの出力特性を揃える必要がある。セルを階段状に配置するコーナーモジュールでは、出力特性を揃えるためにセル数を調整し、セルを配置しない領域が広くなると、モジュール面積に対するセルの充填率が低く見え、美観を損ねるといった問題がある。
【0007】
特許文献2には、コーナーモジュールの空いたところ(セルを配置しない領域)にダミーセルを配置し、美観の低下を抑制したコーナーモジュールが開示されている。しかしながら、発電に寄与しないダミーセルを設けることはコスト面において不利となる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、コーナーモジュールにおいてダミーセルを用いずに、モジュール面積に対するセルの充填率を高くすることができる太陽電池モジュールおよび太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様である太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルがそれぞれ直列に接続されて複数のセル群が構成され、該複数のセル群がそれぞれ中間電極配線によって接続されて複数のストリングが構成され、該複数のストリングが並列に接続され、前記太陽電池セルは分割セルであり、前記セル群の列におけるセル数は全て異なっており、隣り合う前記セル群の列におけるセル数の差は一定ではないことを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、コーナーモジュールにおいて、モジュール面積に対するセルの充填率を高くすることができ、太陽電池モジュールの美観を向上させることができる。
【0011】
また、上記太陽電池モジュールでは、隣り合う前記セル列のセル数の差は、フルセル1枚分以内である構成とすることができる。
【0012】
上記の構成によれば、セルが設置されない領域において、フルセル1枚分を超えるような大きなスペースが生じることを防止でき、太陽電池モジュールの美観をより向上させることができる。
【0013】
また、上記太陽電池モジュールでは、隣り合う前記セル列のセル数の差の違いは、フルセル1枚分より小さい構成とすることができる。
【0014】
上記の構成によれば、セル群の各列において生じるセルが設置されない領域を均等なスペースに近付けることができ、太陽電池モジュールの美観をより向上させることができる。
【0015】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第2の態様である太陽電池モジュールは、階段状に形成された複数のセル列を有しているとともに、複数の太陽電池セルがそれぞれ直列に接続されて複数のセル群が構成され、該複数のセル群がそれぞれ中間電極配線によって接続されて複数のストリングが構成され、該複数のストリングが並列に接続され、前記太陽電池セルは分割セルであり、前記セル列の少なくとも1つでは途中でストリングの切り替えが行われており、ストリングの切り替えが行われている前記セル列では、当該セル列の途中においてストリングの端部に接続される端部電極配線が配置されていることを特徴としている。
【0016】
また、上記太陽電池モジュールは、前記各ストリングにおけるセル数が同じである構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、各ストリングにおける電圧を同じにすることができ、異なるストリング間での逆流の発生を回避することができ、電力損失を効果的に防止することができる。
【0018】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第3の態様である太陽光発電システムは、コーナーモジュールと矩形モジュールとを組み合わせてなる太陽光発電システムであって、前記コーナーモジュールは上記記載の太陽電池モジュールであることを特徴としている。
【0019】
また、上記太陽光発電システムでは、前記コーナーモジュールと前記矩形モジュールとは、同一種類の分割セルを用いている構成とすることができる。
【0020】
上記の構成によれば、コーナーモジュールと前記矩形モジュールとで同一種類の分割セルを用いることで、太陽光発電システム全体での美観を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の太陽電池モジュールおよび太陽光発電システムは、コーナーモジュールにおいて、モジュール面積に対するセルの充填率を高くすることができ、美観を向上させることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施の形態1の太陽電池モジュールの例を概略的に示す平面図である。
図2】実施の形態1の太陽電池モジュールの変形例を概略的に示す平面図である。
図3】実施の形態2の太陽電池モジュールの例を概略的に示す平面図である。
図4】実施の形態3の太陽光発電システムにおけるコーナーモジュールと矩形モジュールとの配置例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る太陽電池モジュールM1の例を概略的に示す平面図である。太陽電池モジュールM1は、直角の角部および直角以外の角度の角部を有する多角形状(本例では五角形状)のコーナーモジュールであり、階段状に形成された複数のセル列を有して構成されている。尚、図1に示す太陽電池モジュールM1においては、極性が反転するように構成されていてもよい。
【0025】
太陽電池モジュールM1は、互いに並列に接続された2つのストリング、すなわち第1ストリングS(1)および第2ストリングS(2)を備えている。第1ストリングS(1)は、複数のセル群CG(1,1)~CG(1,n1)(n1は2以上の整数)を備えている。第2ストリングS(2)は、複数のセル群CG(2,1)~CG(2,n2)(n2は2以上の整数)を備えている。図1に示す太陽電池モジュールM1では、n1=2、n2=4である。尚、図1の構成では、それぞれのセル群CGは互いに異なるセル列を構成しており、セル群CGとセル列とが1対1に対応している。
【0026】
第1ストリングS(1)および第2ストリングS(2)における各セル群は、それぞれ中間電極配線La(バスバー)によって接続されている。第1ストリングS(1)および第2ストリングS(2)のそれぞれにおいて、太陽電池セルCは直列に接続されている。尚、中間電極配線Laとは、同一ストリングに含まれるセル群CGの端部同士を接続する電極配線である。
【0027】
より具体的には、第1ストリングS(1)および第2ストリングS(2)において、太陽電池セルCは、所定の列設方向Xに列設されている。第1ストリングS(1)および第2ストリングS(2)は、直交方向Yに並設されている。第1ストリングS(1)および第2ストリングS(2)のそれぞれにおいては、セル群CG(1,1)~CG(1,n1),CG(2,1)~CG(2,n2)が直交方向Yに並設されている。セル群CG(1,1)~CG(1,n1),CG(2,1)~CG(2,n2)の少なくとも一方側に接続される端部電極配線Lb(バスバー)は、列設方向Xにおける少なくとも一方側の端部に設けられている。図1に示す例ではセル群CG(1,1)~CG(1,n1),CG(2,1)~CG(2,n2)の両側に接続される端部電極配線Lbが列設方向Xにおける片側(X1)の端部に設けられている。尚、端部電極配線Lbとは、各ストリングの端部に接続される電極配線である。
【0028】
図1に示す例では、セル群CG(1,1)の端部電極配線Lbとセル群CG(2,n2)の端部電極配線Lbとが陰極の接続用電極配線(図示せず)に接続される。セル群CG(1,n1)とセル群CG(2,1)との端部電極配線Lbが陽極の接続用電極配線(図示せず)に接続される。これにより、太陽電池モジュールM1における第1ストリングS(1)および第2ストリングS(2)が並列接続となる。
【0029】
本実施の形態では、太陽電池モジュールM1における太陽電池セルCは、160mm角程度の大きさの太陽電池セル(フルセル)基板を2分割したものを例示している。すなわち、分割後の太陽電池セルCは、全体として160mm×80mm角程度の大きさに形成されたハーフセルとなっている。尚、各太陽電池セルCの具体的構成や、セル群CG(1,1)~CG(1,n1),CG(2,1)~CG(2,n2)内での太陽電池セルCの接続構成について公知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0030】
太陽電池モジュールM1では、一方の第1ストリングS(1)における太陽電池セルCのセル数と、他方の第2ストリングS(2)における太陽電池セルCのセル数とが等しくされている。図1に示す例では第1ストリングS(1)および第2ストリングS(2)のそれぞれのセル数は、何れも22枚である。このように、第1ストリングS(1)および第2ストリングS(2)において、太陽電池セルCのセル数を等しくすることで、一方のストリングS(1)と他方のストリングS(2)とで電圧を同じにすることができる。これにより、一方のストリングS(1)と他方のストリングS(2)との間での逆流の発生を回避することができ、電力損失を効果的に防止することができる。
【0031】
また、太陽電池モジュールM1は6列のセル列を有しているが、それぞれのセル列においてセル数は全て異なっており、かつ、直交方向Yに沿ってセル数が単調に変化するように階段状に配置されている。具体的には、セル群CG(1,1)におけるセル数は12枚、セル群CG(1,n1)は10枚、セル群CG(2,1)は8枚、セル群CG(2,2)は6枚、セル群CG(2,3)は5枚、セル群CG(2,n2)は3枚となっている。尚、本実施の形態1では、太陽電池モジュールM1においてセル群CGとセル列とが1対1に対応しているため、各セル群CGのセル数を各セル列のセル数の意味でも用いている。
【0032】
また、太陽電池モジュールM1において、隣り合うセル列のセル数の差は一定ではない。具体的には、セル群CG(2,2)とセル群CG(2,3)とのセル数の差は1枚であるが、それ以外の隣り合うセル列のセル数の差は2枚である。
【0033】
太陽電池セルCが階段状に配置されるコーナーモジュールでは、多角形のモジュール面に対してセルを効率よく敷き詰め、美観の低下を抑制することが求められる。さらに、コーナーモジュールにおいて複数のストリングが並列に接続される場合には、各ストリングにおける電圧を揃える(すなわち、各ストリングにおけるセル数を揃える)必要がある。隣り合うセル列のセル数の差は一定にせず、変化させることにより、多角形のモジュール面の形状に応じてセルを効率よく敷き詰めることができる。
【0034】
本実施の形態1に係る太陽電池モジュールM1では、隣り合うセル列のセル数の差は一定ではなく、全てのセル列においてセル数が異なる(セル数が同じ数となるセル列が生じない)ように配置することで、モジュール面積に対するセルの充填率を高くすることができ、美観を向上させることができる。また、全てのセル列においてセル数が異なるため、多角形モジュールの斜辺とセル列端部のセルCとの距離を小さくすることができ、モジュール面積に対するセルの充填率が高くなり、モジュールの出力を高めることができる。
【0035】
より好適条件として、太陽電池モジュールM1では、隣り合うセル列のセル数の差は、最大でフルセル1枚分(ハーフセル2枚)以内とされている。また、隣り合うセル列のセル数の差の違いは、フルセル1枚分より小さくされる。図1の例では、隣り合う列のセル数の差は、多い箇所でハーフセル2枚、少ない箇所(セル群CG(2,2)とセル群CG(2,3)との間)でハーフセル1枚であるため、セル数の差の違いはハーフセル1枚となっている。さらに、セル数の差の異なる箇所は、セル列の並び方向(直交方向Y)において端部側ではなく内側とされている。図1の例では、隣り合う列のセル数の差の異なる箇所はセル群CG(2,2)とセル群CG(2,3)との間とされている。これにより、隣り合うセル列のセル数の差が一定でない場合でも、セル数の差の違いが目立ちにくくなり、モジュール面積に対するセルの充填率を高くすることができ、美観を向上させることができる。
【0036】
また、太陽電池モジュールM1において、セル数が最も少ないセル列におけるセル数は、隣り合うセル列のセル数の差の最大枚数よりも大きいことが好ましい。図1の例では、セル数が最も少ないセル列はセル群CG(2,n2)である、そのセル数は3枚である。一方で、隣り合うセル列のセル数の差は最大で2枚である。このようなセル配置により、太陽電池モジュールM1では、セル充填率が高く見える。
【0037】
図2は、本実施の形態に係る太陽電池モジュールM1の変形例を概略的に示す平面図である。図2の例では、図1の例に対して、第2ストリングS(2)の極性が反転するように太陽電池セルCが配置されている。また、図2に示す例では、セル群CG(1,1)の端部電極配線Lbとセル群CG(2,1)の端部電極配線Lbとが陰極の接続用電極配線(図示せず)に接続される。セル群CG(1,n1)の端部電極配線Lbとセル群CG(2,n2)の端部電極配線Lbとが陽極の接続用電極配線(図示せず)に接続される。尚、図1の例に対して、第1ストリングS(1)の極性が反転するように太陽電池セルCが配置されていてもよい。
【0038】
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、太陽電池セルCとしてハーフセルを用いた太陽電池モジュールM1を例示した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものでなく、太陽電池セルCとして他の分割セルを使用することもできる。本実施の形態2では、太陽電池セルCとして1/3セルを用いた太陽電池モジュールM2を例示する。図3は、本実施の形態に係る太陽電池モジュールM2の例を概略的に示す平面図である。
【0039】
太陽電池モジュールM2は、互いに並列に接続された3つのストリング、すなわち第1ストリングS(1)、第2ストリングS(2)および第3ストリングS(3)を備えている。第1ストリングS(1)は、複数のセル群CG(1,1)~CG(1,n1)(n1は2以上の整数)を備えている。第2ストリングS(2)は、複数のセル群CG(2,1)~CG(2,n2)(n2は2以上の整数)を備えている。第3ストリングS(3)は、複数のセル群CG(3,1)~CG(3,n3)(n3は2以上の整数)を備えている。図1に示す太陽電池モジュールM2では、n1=2、n2=2、n3=3である。
【0040】
セル群CG(1,1)~CG(1,n1),CG(2,1)~CG(2,n2),CG(3,1)~CG(3,n3)は、それぞれ中間電極配線La(バスバー)によって接続されている。これらのセル群において、太陽電池セルCは直列に接続されている。
【0041】
図3に示す例では、セル群CG(1,n1)の端部電極配線Lb、セル群CG(2,n2)の端部電極配線Lbおよびセル群CG(3,n3)の端部電極配線Lbが陰極の接続用電極配線(図示せず)に接続される。セル群CG(1,1)、セル群CG(2,1)およびセル群CG(3,1)の端部電極配線Lbが陽極の接続用電極配線(図示せず)に接続される。これにより、太陽電池モジュールM2における第1ストリングS(1)、第2ストリングS(2)および第3ストリングS(3)が並列接続となる。図3に示す例では第1ストリングS(1)、第2ストリングS(2)および第3ストリングS(3)のそれぞれのセル数は、何れも24枚である。また、図3の例に対し、第1ストリングS(1)、第2ストリングS(2)および第3ストリングS(3)の何れかにおいて、極性が反転するように太陽電池セルCが配置されていてもよい。
【0042】
このように、太陽電池セルCとしてフルセルを1/m(mは2以上の自然数)に分割した分割セルを用いる場合、m個のストリングを並列接続した太陽電池モジュールにおいて、フルセルを1直列に接続して形成される太陽電池モジュールと同じ電流を得ることができる。
【0043】
コーナーモジュールでは、太陽電池セルCが階段状に配置されるため、1つのセル群が1つのセル列に対応する構成では、各ストリングのセル数を揃えることは容易ではない。モジュールにおけるセル充填率を高くしようとする場合には尚更である。これに対し、図3の太陽電池モジュールM2では、1つのセル列に複数のセル群が含まれることを許容し、セル列の途中でストリングを切り替える構成を採用している。具体的には、図3における右から2列目のセル列では、第1ストリングS(1)に属するセル群CG(1,n1)と第2ストリングS(2)に属するセル群CG(2,1)とが含まれ、第1ストリングS(1)から第2ストリングS(2)への切り替えが行われている。尚、図3の例では、途中でストリングの切り替えが行われているセル列は1列のみであるが、途中でストリングの切り替えが行われているセル列が2列以上あってもよい。
【0044】
また、セル列の途中でストリングの切り替えを行う場合、このセル列におけるストリングの切り替え箇所では、セル列の途中において、1セル分の面積を用いて端部電極配線Lbの配置を行っており、これによって各ストリングのセル数を揃えることが容易となっている。また、途中でストリングの切り替えが行われており、途中で端部電極配線Lbが配置されているセル列では、端部電極配線Lbの配置領域も見かけ上のセル数として数えるものとする。すなわち、図3における右から2列目のセル列では、実際に配置されている太陽電池セルCの数は15個であるが、このセル列におけるセル数は16個として数えられる。
【0045】
〔実施の形態3〕
本実施の形態3では、コーナーモジュールと矩形モジュールとの組み合わせにて構成される太陽光発電システムの例について説明する。
【0046】
図4は、太陽光発電システムにおけるコーナーモジュールであ太陽電池モジュールM1と矩形モジュールである太陽電池モジュールM3との配置例を示す平面図である。尚、本実施の形態3に係る太陽光発電システムにおいて使用されるコーナーモジュールおよび矩形モジュールのそれぞれの枚数や配置レイアウトは特に限定されるものではない。但し、太陽光発電システムに使用される各モジュールは互いに直列に接続されるものであり、各モジュールにおけるシステム電流が同じ電流(例えば10A)に揃えられる必要がある。
【0047】
図4に示される太陽電池モジュールM3は、太陽電池セルCとしてハーフセルを用いているものであり、複数のハーフセルを直列接続してなるストリングを2並列に接続してもちいている。尚、太陽電池モジュールM3内でのストリングや電極配線の配置レイアウトに関しては、詳細な説明は省略する。
【0048】
太陽光発電システムにおいて、矩形モジュールでハーフセルを用いる場合、コーナーモジュールにおいてもハーフセルを用いれば、太陽光発電システムにおける美観を向上させることができ好ましい。尚、この点についてはハーフセルに限定されるものではなく、矩形モジュールとコーナーモジュールとで使用する太陽電池セルの種類を同じにすることが好ましい。例えば、矩形モジュールとコーナーモジュールとで、使用する太陽電池セルがどちらも1/3セルである構成であってもよい。
【0049】
但し、本発明はこれに限定されるものではなく、矩形モジュールとコーナーモジュールとで使用する太陽電池セルが異なっていてもよい。例えば、コーナーモジュールがハーフセルを用いるものであって、矩形モジュールがフルセルを用いるものであってもよい。尚、この場合でもコーナーモジュールと矩形モジュールとで電流は揃える必要があるため、コーナーモジュールではハーフセルの2並列とし、矩形モジュールではフルセルの1直列とする必要がある。
【0050】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0051】
C 太陽電池セル
CG セル群
La 中間電極配線
Lb 端部電極配線
M1~M3 太陽電池モジュール
S ストリング
図1
図2
図3
図4