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特許7597691糸状対象物の検出装置、及び、魚釣用リール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】糸状対象物の検出装置、及び、魚釣用リール
(51)【国際特許分類】
   B65H 63/08 20060101AFI20241203BHJP
   A01K 89/015 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
B65H63/08 Z
A01K89/015 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021170633
(22)【出願日】2021-10-19
(65)【公開番号】P2023060943
(43)【公開日】2023-05-01
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】安田 悠
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-250991(JP,A)
【文献】実開昭60-095507(JP,U)
【文献】特開平05-316906(JP,A)
【文献】特開平08-209527(JP,A)
【文献】国際公開第2020/090593(WO,A1)
【文献】特開平02-195601(JP,A)
【文献】特開2003-279314(JP,A)
【文献】米国特許第05345691(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 63/08
A01K 89/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に移動する糸状の検出対象物に光を照射する発光部と、
前記検出対象物に照射された前記光の反射光を受光し、前記発光部と隣接配置される受光部と、
前記検出対象物を案内する案内部と、
前記検出対象物を挟んで、前記発光部の反対側に配置される反射板と、
を有し、
前記反射板は、断面形状が二次曲線であることを特徴とする、糸状対象物の検出装置。
【請求項2】
前記発光部には、射出される光を、前記検出対象物に対して平行光、又は、収束光にする光学素子が配設される、ことを特徴とする請求項1に記載の糸状対象物の検出装置。
【請求項3】
前記反射板は、前記案内部の長手方向に伸びる円柱状の反射面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の糸状対象物の検出装置。
【請求項4】
前記反射板は、前記発光部または受光部の光軸を中心軸とする球面状の反射面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の糸状対象物の検出装置。
【請求項5】
前記二次曲線は、前記受光部または前記案内部を通過する糸状対象物の中心を焦点とした放物線であることを特徴とする請求項3または4に記載の糸状対象物の検出装置。
【請求項6】
前記二次曲線は、前記受光部または前記案内部を通過する糸状対象物の中心の少なくとも一方を焦点とした楕円であることを特徴とする請求項3または4に記載の糸状対象物の検出装置。
【請求項7】
前記発光部、前記受光部、前記案内部、前記反射板が組み込まれ、前記発光部からの発光及び前記受光部での受光がなされる閉塞された空洞部が形成された筐体を備えており、
前記案内部は、前記糸状対象物を案内する筒状体で構成され、
前記筒状体は、前記空洞部内において、前記発光部から射出された光が照射される部分を露出するように、前記筐体に配設されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の糸状対象物の検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の糸状対象物の検出装置の筐体がリール本体に設置されている、ことを特徴とする魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸のような細い糸状対象物を検出可能な糸状対象物の検出装置、及び、そのような検出装置を組み込んだ魚釣用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、魚釣用リールには、スプールから繰り出される釣糸の長さを計測できる糸長計測装置を組み込んだものが知られている。通常、糸長計測装置は、糸巻量に応じたスプールの径、回転数、釣糸の太さ等から、繰り出される糸長を算出し、ディスプレイに表示するように構成される。ところが、このような糸長計測装置は、スプールの径や回転数等が安定しない(糸切れ等が生じた場合は設定条件が変わる)ことから、正確性を欠くという問題がある。
【0003】
このため、繰り出される釣糸に対し光を照射し、その反射光を受光する光センサを用いることで釣糸を検出し、正確な糸長についても計測できることが可能と考えられる。例えば、釣糸に一定間隔をおいて、反射率の異なるマーキングを付与しておけば、その反射光の光量変化を検出することで正確な糸長を計測することが期待できる。
【0004】
一般に、光センサとして、被測定物に光を照射する発光素子と、被測定物が反射した光を受光する受光素子とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、基板の表面に、発光素子および受光素子に加え、これらの素子に電気的に接続された集積回路部品が実装された構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-180121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような光センサを用いて、糸状の検出対象物の反射光を検出し、検出対象の有無や色、明度を得ようとする場合、検出対象の表面積が小さいため、十分な反射光を検出するのが難しく、正確な信号を得にくいという問題がある。特に、魚釣用リールに用いられる釣糸は、径が細い(検出対象物の表面積が小さい)ことから、反射光を検出しにくく、これにより、正確な糸長を計測し難い。更に、海などの自然環境が厳しい場面で使用される魚釣用リールは、スプールからの釣糸放出時や、巻き取り時に釣糸が振れることから、正確な信号を得にくいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、釣糸のような細い糸状の検出対象であっても十分な反射光を得ることの可能な糸状対象物の検出装置、及び、そのような糸状対象物を組み込んだ魚釣用リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明に係る糸状対象物の検出装置は、軸方向に移動する糸状の検出対象物に光を照射する発光部と、前記検出対象物に照射された前記光の反射光を受光し、前記発光部と隣接配置される受光部と、前記検出対象物を案内する案内部と、前記検出対象物を挟んで、前記発光部の反対側に配置される反射板と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記した構成の糸状対象物の検出装置は、軸方向に移動する糸状の検出対象物に発光部から光を照射し、その表面で反射する光を直接、受光部で受光するとともに、糸状の検出対象物の表面で反射した光についても、反射板で反射させて受光部で受光するように構成したため、受光部に戻る光の量を増やすことができる。このため、糸のような表面積が小さい対象物であっても、安定した検出をすることが可能となる。また、糸状対象物が軸方向に移動する際、案内部を介して移動が案内されることから、大きな振れが抑制され、安定した検出を行なうことが可能となる。
【0010】
このような糸状対象物の検出装置は、例えば、魚釣用リールの本体内に組み込むことが可能である。すなわち、スプールから繰り出され、或いは、巻き取られる釣糸についても、釣糸に目印等を付すことで、正確な糸長計測をすることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、糸状の検出対象であっても、十分な反射光を得ることが可能な検出装置が得られる。また、このような検出装置を組み込むことで、正確な糸長計測が可能な魚釣用リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る糸状対象物の検出装置を示す分解斜視図。
図2図1に示す糸状対象物の検出装置の組み立て状態の平面断面図。
図3図1に示す糸状対象物の検出装置の光の経路の概略を示す平面図。
図4】反射面の第1の変形例を示した平面図。
図5】反射面の第2の変形例を示した平面図。
図6】反射面の構成を示す図であり、(a)は、円筒面の一例を示す図、(b)は、球面の一例を示す図。
図7】本発明に係る糸状対象物の検出装置の使用例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る糸状対象物の検出装置(以下、検出装置と称する)の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、検出装置の一実施形態を示しており、図1は分解斜視図、図2は組み立て状態の平面断面図である。
【0014】
本実施形態の検出装置1は、略立方体形状の筐体2を備えており、一側面2Aに矩形形状の開口2aが形成され、対向する他側面2Bに切欠部2bが形成されている。また、これらの側面2A,2Bと直交する上下面2C,2Dには、それぞれ糸状対象物(以下、糸50とする)を挿通させて案内する案内部5a,5bが同一直線上に設けられている。本実施形態の案内部5a,5bは、断面円形の筒状体として構成されており、それぞれ上下面2C,2Dに対して圧入され、糸50を上下方向に案内するようにしている(以降の説明では、案内部5a,5bの中心軸線を案内軸Xと定義する)。
【0015】
前記筐体2は、内部に閉塞された状態となる空洞部2Eを有するように形成されており、前記案内部5a,5bは、この空洞部2Eでは、案内軸方向に分断された状態で固定されている。このため、糸50は、この空洞部2E内で露出した状態で案内される。また、糸50は、同軸上に並んだ2つの案内部5a,5bの内側空間を通過することで、その位置が特定される。本実施形態では、各案内部5a,5bの内径を、糸50の直径に対して遊びを持たせることで、糸50は案内部に対して負荷なく自由に移動可能となっている。
【0016】
本実施形態における糸50は、釣りに用いられる釣糸を想定している。この場合、糸50には、所定の距離(例えば10cm)ごとに反射率の異なる塗料が塗布されている。
【0017】
前記筐体2の開口2aには、光センサ7が圧入、固定されている。この光センサ7は、発光部7Aと受光部7Bが並んで配置される、いわゆる反射型フォトセンサである。発光部7Aは、LEDおよびレンズ等によって構成され、前記案内軸Xに対して直交する光軸Y1を有する。また、受光部7Bは、フォトトランジスタ等によって構成され、受光した光の量に応じて信号を出力する。この受光部7Bは、前記案内軸Xに対して直交する光軸Y2を有する。したがって、発光部7Aの光軸Y1、受光部7Bの光軸Y2、前記案内部5a,5bによる案内軸Xの3つは、空洞部2E内において、ほぼ一点で交わるような位置関係となるように構成、配設される。これにより、発光部7Aから射出された光は、空洞部内で露出している糸50に照射され、その反射光が受光部7Bで受光される。
【0018】
前記発光部7Aは、射出した光が散乱することなく、露出している糸50に向かうように構成されることが好ましい。例えば、発光部7Aの射出面側に、射出される光を露出する糸50に対して平行光、又は、収束光にして照射する光学素子(コリメータ、集光レンズ等)7aを配設することが好ましい。また、受光部7Bは、発光部7Aの発する光の波長を強く受光できるような特性を有しており、糸50に入射した箇所の反射率に応じた信号(反射信号)を発生する。この反射信号を監視し、明暗の数を数えることにより、例えば糸50の移動距離を検出することができる。具体的には、前記糸50に、所定の距離ごとに反射率の異なる塗料(例えば赤、緑、青の3色)を塗布しておき、光センサ7を、色ごとに異なる信号を発するカラーセンサとして構成することで糸50の移動距離等を検出することができる。
【0019】
前記筐体2の他側面2Bに形成された切欠部2bには、反射板10が配設される。この反射板10は、光センサ7に対し、前記案内軸Xを挟んで反対側に配置され、表面にアルミ蒸着など、発光部7Aから射出される光を反射できる処理が施されている。また、反射板10は、発光部7Aおよび受光部7Bの光軸を含む断面で破断する(糸50に直交し、光センサの光軸を通る面で破断する;図2)と、後述の二次曲線になるような断面を有する。反射板10の表面には、光センサ7において受光可能な波長の反射率を増加させたり、それ以外の波長の光の反射率を低下させたりするような多層膜コーティングや、いわゆるモスアイ構造と呼ばれるような、反射面に光の波長よりも小さな凹凸構造を持たせるような光学処理を施しても良い。
【0020】
前記案内部5a,5b、光センサ7、反射板10を、筐体2に上記したような位置関係で保持することにより、閉塞した空洞部2E内で軸方向に移動する糸50の検出が可能となる。ここでの検出は、例えば、受光部7Bからの反射信号を所定のプログラムに従って処理し、糸の移動距離や移動方向を算出するものとされる。
【0021】
前記筐体2については、外乱光を遮光できるように、透過性の低い材質で構成することが好ましい。また、光センサ7の光軸を含む空間と対向する面には、反射防止のための塗料や表面処理を施すと良い。上記したように構成される検出装置1は、釣具等に設置することが可能であり、例えば、筐体2に一体形成された連結部2Gを用いて釣竿100等に固定できるように構成することが可能である。このように釣具に適用するのであれば、前記筐体2については、各素子との間でパッキン、防水構造を設けて水密構造にしておくことが好ましい。
【0022】
次に、上記した反射板10の構成について、図3を併せて参照しながら説明する。
前記発光部7Aから射出された光は、上述のように糸50に照射され、その箇所で乱反射する。このため、受光部7Bに戻ってくる光は、乱反射した光のうちの一部であり、しかも、糸50は表面積が小さいため、受光部7Bに戻ってくる光の光量は少ない。すなわち、糸50の表面積が小さいほど(糸50が細いほど)、受光部7Bに戻る光の量は少なくなる。
【0023】
また、糸50のスムーズな移動を実現させるためには、上述したように、案内部5a,5bには遊びが必要であり、糸50を位置決めする精度には限界がある。特に、糸50に張力が無くなった場合、糸50に弛みが発生することがあり、糸50と案内軸Xにずれが生じ、発光部7Aが糸50の表面に収束光を照射する構成では、糸50は発光部7Aの焦点から外れる。これにより、受光部7Bに戻る光の量は少なくなる。受光部7Bに戻る光の量が少なくなると、受光部7Bから得られる反射信号が弱くなってしまい、正しい検出が行なえなくなる恐れがある。
【0024】
上記したような受光部7Bでの受光量の低下を抑制するように、本発明では、糸50に当たって乱反射した光の一部を、反射板10の反射面10Aによって反射させて、受光部7Bに戻る光を増やすように構成している。具体的には、反射板10の反射面10Aの断面形状を二次曲線状にしており、これにより、反射面が平面状に構成される場合に比べ、光を広い面積に当てて受光部7Bに戻すようにしている。
【0025】
すなわち、発光部7Aから射出された光が、糸50に当たらずに反射面10Aに照射され、その反射光が受光部7Bに戻ってくると、糸50の検出が正しく行えなくなってしまう。これを避けるため、上記したように、発光部7Aの射出面側に、糸50に対して、図3で示すような射出光(平行光、又は、収束光)7dにする光学素子7aを配設することで、糸50に照射されない光の反射面からの反射光を抑制して、受光部7Bに入射する糸50からの反射光7eを多くしている。
【0026】
また、射出光7dは、直接、反射面10Aに入射して反射することはなく、かつ、糸50で乱反射した光7e´については、反射面10Aに入射するものの、そこからの反射光(糸50の情報を有する反射光)7fは、反射面10Aが二次曲線状に形成されていることから、後述のように、受光部側に向かう平行光となり、これにより、受光部側で検出できる糸50の情報を有する反射光量を多くすることが可能となる。
【0027】
さらに、発光部7Aから直接照射される部分となる糸50の反対側領域12には、上記した反射面10Aを配置せず、反射率の低くなるような表面処理を施すことが好ましい。これにより、射出光7dが、直接、反射面10Aに入射することを抑制することが可能となる。
【0028】
上記したように、反射面10Aを二次曲線にすることで、光線を追跡する際に近軸近似を用いることができ、反射光の設計や検証が容易となる。ここで二次曲線とは、(x,y)平面上で二次方程式、
ax2 +2hxy+by2 +2gx+2fy+c=0
の解(x,y)全体がつくる図形であり、後述の円弧、楕円、放物線のほか、双曲線が含まれる。
【0029】
図3は、反射面10Aの断面形状が、案内軸を焦点とする放物線の場合を示している。発光部7Aから射出した光は、糸50に当たると全方向に乱反射する。その内の、反射面10Aに向かった光7e´は、反射面10Aで反射し上方へ向かう。この場合、焦点から発した光は、放物面に入射すると平行光線(糸50の情報を有する反射光7f)となって反射することが一般に知られている。したがって、反射面10Aを、案内軸を焦点とする放物線にすると、糸50で乱反射した光7e´は、反射面10Aで平行な反射光7fとなる。この反射光の内の一部を受光部7Bで受光することにより、糸状対象物のように表面積が小さいものであっても、受光部7Bで発する信号を強くすることができる。
【0030】
図4は、反射面10Aの断面形状が、受光部7Bを焦点とする放物線の場合を示している。
方物線で特定される放物面に入射した平行光の反射光は、焦点に集まることが一般に知られている。したがって、反射面10Aを、受光部7Bを焦点Pとした放物線にすると、糸50の位置が案内軸からずれた場合でも、鉛直方向に進む反射光7fは、必ず受光部7B(受光部7B付近)に戻るようになる。すなわち、このような反射面10Aを有する反射板10にすることで、糸状対象物のように表面積が小さいものであっても受光部7Bで発する信号を強くすることができ、更には、糸50の位置がずれた場合でも、安定して検出のできる検出装置とすることができる。
【0031】
図5は、反射面10Aの断面形状が、案内軸および受光面を焦点とする楕円の場合を示している。
一方の焦点P1より発した光が楕円面で反射すると、他方の焦点P2に戻ることが一般に知られている。したがって、楕円状の反射面10Aにすると、糸50で乱反射する光7e´は、反射面10Aで反射し、その反射光7fを受光部7Bに戻すことができる。すなわち、このような反射面10Aを有する反射板10にすることで、受光部7Bで発生する信号を強くすることができる。
【0032】
さらに、反射面10Aを、案内軸または受光面のどちらか一方を中心とする円(球面状の反射面)とした場合であっても、反射板10が無い場合に比べて受光部7Bで発生する信号を強くすることができる。この場合、円の中心が焦点位置となる。このとき、楕円や放物線の場合に比べて、球面収差の影響を受け、受光部7Bでの受光面の形状によっては信号が弱くなるものの、反射板10の加工を容易に行うことが可能となる。
【0033】
上記した図3から図5の断面形状を有する立体のうち、その断面形状を、図6(a)に示すように、案内軸方向に伸ばした円柱状(内面を符号20Aで示す)としたり、その断面形状を、図6(b)に示すように、発光部または受光部の光軸を中心軸とする回転軸で回転させた回転体状(球面状;内面を符号20A´で示す)にすることが望ましい。この場合、二次曲線が円弧形状の場合は、断面形状を案内軸方面に伸ばすと、反射面は円筒面となる。また、光軸を中心軸とする回転軸で回転させた回転体にすると、反射面は球面となる。
【0034】
図6(a)のように、反射面10Aを案内軸X方向に伸ばした円柱状にすると、光センサ7の受光部及び発光部を、長手方向に伸ばすことで、受光部の受ける光の量を増やすことができる。このときの反射板10は、筐体2の一部に当該二次曲線断面を持つ円筒形状部を作り、そこにアルミ蒸着シートなどのフィルム状の反射材を貼り付けたり、めっきや塗装などの反射率を上げる表面処理を行なうことで実現することができる。また、このような構成では、反射板10の低コスト化、軽量化を実現できる。
【0035】
また、図6(b)のように、反射面10Aを、受光部の受光部7Bを焦点Pとした球面状にした場合、発光部を点光源とし、受光部の受光面を正方形など、円に近い形状にすると、より広い面からの反射光を受光部に戻すことができるようになり、S/N比の良い検出が行なえるようになる。
【0036】
本発明による検出装置1は、筐体2を、糸状対象物(糸50)が摺動する部分に設置することで、その糸が細くても、摺動する糸の情報(移動量、方向)を正確に測定することが可能となる。また、上述の例のように、色を識別するタイプのフォトセンサを用いた場合、糸50の色を判断することができる。これにより、例えば糸50に特定のパターンで色を塗り分け、その色の変化を検出することで、糸の放出量や方向を算出することができる。
【0037】
図7は、上述した検出装置を釣具の適所に取り付けることによって、釣糸の放出量を算出する場合の例を示している。
【0038】
図7は、釣竿100に魚釣用リール200を装着し、釣糸50の先端に、釣糸を挿通させた状態で海面400に浮遊する中通し浮き(仕掛け)300を装着した例を示している。図において、検出装置1Aは、釣用リール200のリール本体に内蔵させた例を示している。このような構成では、スプールから釣糸が繰り出される部分に検出装置1Aを組み込んでおき、その算出結果を、リール本体の側板や側板間に配設された画像表示部(ディスプレイ)に表示することが可能である。
【0039】
上記した検出装置1Aをリール本体内に組み込むことで、従来のようにスプールの径や回転数に基づいて糸長を検出するのではなく、摺動する釣糸を直接検出することで、正確な糸長計測を行うことが可能となる。
【0040】
また、検出装置1Bは、釣竿100のいずれかの位置に取り付けた例を示している。検出装置1Bは、図1から図3に示したように、筐体2に一体形成された連結部2Gを用いて釣竿100の竿杆に着脱可能に固定することが可能であり、これにより、魚釣用リールから繰り出される釣糸の繰り出し量を検出することが可能となる。さらに、検出装置1Cは、釣糸50の先端に取り付けられる中通し浮き300に取付けた例である。これらの検出装置1B,1Cでは、検出された釣糸繰り出し量に関する情報を、検出装置に組み込んだ送信手段によってリール200側に送信したり、釣り人が所有する携帯端末などに送信して、画像表示部に検出結果を表示させることが可能である。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の検出装置は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することができる。例えば、検出装置のセンサによる検出手法としては、色の光の明暗を識別するタイプに限らず、反射光の光量が所定値以上か否かの2値を出力するタイプのものを用いても良い。これにより、糸の有無を識別することができる。また、糸に所定の間隔で明暗を塗り分けた場合、明暗の明滅間隔を測定することで、糸の放出速度を検出するなど、公知の様々な目的に利用することができる。さらに、上記した筐体の構成については、実際に使用される個所に応じて適宜変形することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 糸状対象物の検出装置
2 筐体
5a,5b 案内部
7 光センサ
7A 発光部
7B 受光部
10 反射板
10A 反射面
50 糸
100 釣竿
200 魚釣用リール
300 仕掛け(中通し浮き)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7