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特許7597704少なくとも1つの脱気された製剤を容器内に充填する方法および製剤充填装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】少なくとも1つの脱気された製剤を容器内に充填する方法および製剤充填装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20241203BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20241203BHJP
   B01D 63/02 20060101ALI20241203BHJP
   B01D 61/00 20060101ALI20241203BHJP
   B65B 1/16 20060101ALI20241203BHJP
   A61J 1/20 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A61J3/00 311Z
B01D19/00 101
B01D63/02
B01D19/00 H
B01D61/00
B65B1/16
A61J1/20 314Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021504365
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2019070198
(87)【国際公開番号】W WO2020021073
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】18186014.9
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブウーフ、ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ケーネン、ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ラケール、ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ウルマー、アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ツィーレス、ゲラルド
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-129347(JP,A)
【文献】特開平09-094447(JP,A)
【文献】特表2005-536285(JP,A)
【文献】特開平06-285301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
A61J 3/00
B01D 19/00
B01D 63/02
B01D 61/00
B65B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの液状製剤を容器内に充填するための製剤充填装置(110)であって、
a)前記液状製剤を調製するように構成される少なくとも1つの製剤調製装置(112)であって、前記製剤調製装置(112)が、製剤の少なくとも2つの成分を混合するための少なくとも1つの混合容器を備える、少なくとも1つの製剤調製装置(112);
b)前記液状製剤を前記容器内に充填するための少なくとも1つの充填ステーション(114)であって、前記充填ステーション(114)が、前記製剤調製装置(112)に流体的に連結され、前記充填ステーション(114)が、前記液状製剤で充填した後の容器を光学的に検査するための少なくとも1つの検査装置をさらに備える、少なくとも1つの充填ステーション(114);
c)少なくとも1つの脱気装置(116)であって、前記脱気装置(116)が、前記製剤調製装置(112)と前記充填ステーション(114)との間に流体的に介在し、前記脱気装置(116)が、前記液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離するための少なくとも1つの膜(118)を備え、前記膜(118)が、非多孔質膜であり、前記脱気装置(116)が、複数の中空繊維(134)を備える少なくとも1つの中空繊維膜モジュール(132)を備え、前記中空繊維(134)が、前記膜(118)によって少なくとも部分的に形成され、前記中空繊維が、減菌可能である、少なくとも1つの脱気装置(116);および
d)前記製剤調製装置(112)と前記充填ステーション(114)との間に流体的に介在し、無菌フィルタを備える少なくとも1つのインラインフィルタリング装置
を備える製剤充填装置(110)。
【請求項2】
前記脱気装置(116)は、前記液状製剤が、前記膜(118)と第1の側(144)で接触し、前記膜(118)の対向する第2の側(146)が、前記第1の側(144)よりも低い圧力に曝露されて、前記膜(118)に圧力差を印加するように構成される、請求項1記載の製剤充填装置(110)。
【請求項3】
前記脱気装置(116)が、前記第2の側(146)に対して真空を印加するための真空源または真空ポート(148)の少なくとも1つを備える、請求項2記載の製剤充填装置(110)。
【請求項4】
前記中空繊維(134)が、繊維束(136)を形成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の製剤充填装置(110)。
【請求項5】
前記繊維束(136)の端部が、前記繊維束(136)の端部を前記製剤調製装置(112)、前記充填ステーション(114)または吸引装置に流体的に接続するための接続ポート(140)に接続される、請求項4記載の製剤充填装置(110)。
【請求項6】
前記中空繊維膜モジュール(132)が、少なくとも1つのハウジング(142)を備え、前記ハウジング(142)が、その中に配置される前記中空繊維(134)を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の製剤充填装置(110)。
【請求項7】
前記中空繊維膜モジュール(132)が、前記中空繊維(134)の第1の端部に接続される少なくとも1つの繊維入口ポート(150)と、前記中空繊維(134)の第2の端部に接続される少なくとも1つの繊維出口ポート(152)と、少なくとも1つのハウジング入口ポートおよび少なくとも1つのハウジング出口ポートとを備え、前記ハウジング入口ポートおよび前記ハウジング出口ポートがいずれも、前記中空繊維(134)と前記ハウジング(142)の壁(156)との間の、前記ハウジング(142)内部の少なくとも1つの内部空間(154)に接続される、請求項6記載の製剤充填装置(110)。
【請求項8】
前記中空繊維膜モジュール(132)は、
i)前記繊維入口ポート(150)が、前記製剤調製装置(112)に流体的に接続され、前記繊維出口ポート(152)が、前記充填ステーション(114)に流体的に接続されること;または
ii)前記ハウジング入口ポートが、前記製剤調製装置(112)に流体的に接続され、前記ハウジング出口ポートが、前記充填ステーション(114)に流体的に接続されること
からなる群から選択される方法で、前記製剤調製装置(112)と前記充填ステーション(114)との間に流体的に介在する、請求項7記載の製剤充填装置(110)。
【請求項9】
オプションi)が選択され、前記ハウジング入口ポートおよび前記ハウジング出口ポートの一方または両方が吸引装置に接続される、請求項8記載の製剤充填装置(110)。
【請求項10】
オプションii)が選択され、前記繊維入口ポートおよび前記繊維出口ポートの一方または両方が吸引装置に接続される、請求項8記載の製剤充填装置(110)。
【請求項11】
前記脱気装置(116)が、前記製剤調製装置に接続される少なくとも1つの入口ポートと、前記充填ステーション(114)に接続される少なくとも1つの出口ポートとを有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の製剤充填装置(110)。
【請求項12】
少なくとも1つの液状製剤を容器内に充填する方法であって、
A)少なくとも1つの液状製剤を容器内に充填するように構成される少なくとも1つの製剤充填装置(110)を設けるステップであって、前記製剤充填装置(110)を設けるステップが、
前記液状製剤を調製するように構成される少なくとも1つの製剤調製装置(112)を設けることであって、前記製剤調製装置(112)が、製剤の少なくとも2つの成分を混合するための少なくとも1つの混合容器を備える、少なくとも1つの製剤調製装置(112)を設けること、
前記液状製剤を前記容器内に充填するための少なくとも1つの充填ステーション(114)を設けることであって、前記充填ステーションが、前記製剤調製装置(112)に流体的に連結され、前記充填ステーション(114)が、前記液状製剤で充填した後の容器を光学的に検査するための少なくとも1つの検査装置をさらに備える、少なくとも1つの充填ステーション(114)を設けること、
前記製剤調製装置(112)と前記充填ステーション(114)との間に流体的に介在する少なくとも1つの脱気装置(116)を設けることであって、前記脱気装置(116)が、前記液状製剤から少なくとも1つのガスを分離するための少なくとも1つの膜(118)を備え、前記膜(118)が、非多孔質膜であり、前記脱気装置(116)が、複数の中空繊維(134)を備える少なくとも1つの中空繊維膜モジュール(132)を備え、前記中空繊維(134)が、前記膜(118)によって少なくとも部分的に形成され、前記中空繊維が、減菌可能である、少なくとも1つの脱気装置(116)を設けること、
前記製剤調製装置(112)と前記充填ステーション(114)との間に流体的に介在し、無菌フィルタを備える少なくとも1つのインラインフィルタリング装置を設けること
を含む、ステップ;
B)前記製剤調製装置(112)から前記充填ステーション(114)へ前記液状製剤を導くステップであって、前記液状製剤が、前記脱気装置(116)を通過すると、少なくとも部分的に脱気される、ステップ;および
C)前記充填ステーション(114)によって、少なくとも部分的に脱気された液状製剤を前記容器内に充填するステップ
を含む方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の製剤充填装置が使用される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記容器内の前記液状製剤の充填重量の精度が向上させられる、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
前記液状製剤中の少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分の安定性が向上させられる、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記液状製剤中のポリソルベート凝集体形成が減少させられる、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製剤充填装置、少なくとも1つの製剤を容器内に充填する方法、容器内の液状製剤の充填重量の精度を向上させる方法、液状製剤中の少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分の安定性を向上させる方法、および液状製剤中のポリソルベート凝集体形成を減少させる方法に関する。本発明の装置および方法は例として、バイアル、シリンジ、またはアンプル内などの容器内に液状医薬または製剤製品を充填するために使用され得る。しかし、液体を瓶詰めする工程を含み、瓶詰めされる液体から1つまたはいくつかのガスの除去することをさらに必要とする他の応用分野も実現可能である。
【背景技術】
【0002】
液体溶液は、溶解状態で、またはバブルもしくはマイクロバブルとしてガスを含み得る。液体を取扱う多くの分野では、バブルの存在が特定の工程または要件の妨害になり、たとえば、品質管理では、バブルが外観検査中に粒子と間違えられるためにバイアルが誤って不合格にされ得るので、液体からのガスの除去は共通の課題である。溶液中のガスの量を除去し、または減少させるために、異なる装置および方法が一般に使用されている。よって、たとえば医薬用高純度精製水を製造するため、水中に溶解したCO2の量を減少させるために、たとえば逆浸透により、後に除去し得るカーボネートにCO2を変換し得る、NaOHなどの化学物質の使用を含む異なる方法および装置が使用されている。液体溶液から1つまたはいくつかのガスを除去する課題に取り組むために、リキセル(LiquiCel)(登録商標)膜コンタクタなどの膜ベースのモジュールを使用する場合もある。液体からのガスの除去のための、膜ベースの方法および装置は、たとえば、水処理の分野、クロマトグラフィ、飲料業界、コーティングおよび塗料業界、ならびに、医薬用高純度精製水の製造などの広範囲にわたる分野において一般に使用されている解決策である。
【0003】
医薬または製剤製品はさらに、多数の安全規制に従わなければならない。よって、液状製剤中の粒子の存在は通常、そうした製品の使用者に対する潜在的リスクを減少させるために妨げられなければならない。したがって、潜在的な将来の使用者に対するリスクを粒子の存在が構成し得るので、そうした製品で充填されたバイアルは通常、完全に自動化された、または半自動化されたシステムを使用して粒子が存在していないかの外観検査が定期的に行われる。一般に、上記システムは多くの場合、粒子とバブルとを区別することができない。よって、バブルが、将来の使用者に対する潜在的な危険を構成し得る粒子と容易に取り違えられる場合があるので、容器内に充填された製剤中のバブルの存在は、容器の誤った選別につながり得る。
【0004】
当該技術分野において知られている、少なくとも1つの製剤を容器内に充填する製剤充填装置および方法は通常、真空の印加に通常、依存する、製剤のバルク溶液の脱気ステップを含む。当該技術分野において知られている方法および装置の利点にもかかわらず、取り組まなければならない数多くの課題が残っている。よって、脱気ステップ後に、バルク溶液は通常、窒素ガスの使用により、充填装置に移送され、これは一般に、たとえば窒素などのガスの新たな投入をもたらす。しかし、液状製剤中のガス含有量は、シリンジまたはバイアルなどの容器内に含まれた液状製剤の充填重量の低い精度につながり得る。さらに、当該技術分野において知られている装置および方法は多くの場合、不完全であり、および効果的でない。さらに、それらは、一般に、充填工程に加えて行われる別個の非連続的なステップを構成するので、通常、時間がかかる。さらに、バルク溶液の静置脱気は通常、溶液中に存在している、溶解したガスを完全に除去する訳ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、当該技術分野において知られている同様の種類の知られている方法および装置の欠点および不利な点を少なくとも部分的に回避する、製剤充填装置、少なくとも1つの製剤を容器内に充填する方法、および容器内の液状製剤の充填重量の精度を向上させる方法を提供することである。具体的には、液状製剤で充填された容器の収率を向上させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項の特徴を備えた、少なくとも1つの製剤を容器内に充填する方法、製剤充填装置、容器内の液状製剤の充填重量の精度を向上させる方法、液状製剤中の少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分の安定性を向上させる方法、および液状製剤中のポリソルベート凝集体形成を減少させる方法によって解決される。単独で、または任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は従属請求項において列挙している。
【0007】
以下で使用されるように、「有する(have)」、「備える(comprise)」、もしくは「含む(include)」との語、またはそれらのいずれかの任意の文法上の変形は、非排他的に使用される。よって、これらの語は、これらの語によって導入される特徴に加えて、この意味合いで記載された実体においてさらなる特徴が存在しない状況を、および1つまたは複数のさらなる特徴が存在している状況をいずれも表し得る。例として、「AはBを有する(A has B)」、「AはBを備える(A comprises B)」、および「AはBを含む(A includes B)」は、B以外に、Aにおいて他の要素が存在しない状況(すなわち、Aが単独で、および排他的にBからなる状況)を、および、B以外に、要素C、要素CおよびDなどの、または、さらなる要素などの1つまたは複数のさらなる要素が実体Aにおいて存在している状況をいずれも表し得る。
【0008】
さらに、「少なくとも1つの(at least one)」、「1つまたは複数(one or more)」との語、または、特徴もしくは要素が1回、もしくは2回以上存在し得ることを示す同様の表現が通常、それぞれの特徴または要素を導入する場合に一回のみ使用されることに留意するものとする。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を表す際には、「少なくとも1つの(at least one)」または「1つまたは複数の(one or more)」との語は、それぞれの特徴または要素が1回、または2回以上存在し得ることにもかかわらず、繰り返されないものとする。
【0009】
さらに、以下において使用されるように、「好ましくは(preferably)」、「さらに好ましくは(more preferably)」、「特に(particularly)」、「さらに特に(more particularly)」、「具体的には(specifically)」、「さらに具体的には(more specifically)」、または同様の語は、代替的な可能性を制限することなく、任意の特徴とともに使用される。よって、これらの語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、およびいかなる方法においても請求項の範囲を限定することを意図するものでない。本発明は、当業者が認識することになるように、代替的な特徴を使用することにより、行われることになる。同様に、「本発明の実施形態において(in an embodiment of the invention)」、または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替的な実施形態に関するいかなる限定もなしで、本発明の範囲に関するいかなる限定もなしで、および、本発明の他の任意の、または任意でない特徴とともに、そうした方法で導入される特徴を組み合わせる可能性に関するいかなる限定もなしで、任意の特徴であることが意図されている。
【0010】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つの製剤を容器内に充填するための製剤充填装置を開示する。製剤充填装置は、少なくとも1つの製剤調製装置を備え、製剤調製装置が、液状製剤を調製し、および/または貯蔵するように構成される。製剤充填装置は、液状製剤を容器内に充填するための少なくとも1つの充填ステーションをさらに備え、充填ステーションが、製剤調製装置に流体的に連結される。製剤充填装置は、少なくとも1つの脱気装置をさらに備え、脱気装置が、製剤調製装置と充填ステーションとの間に流体的に介在し、脱気装置が、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離するための少なくとも1つの膜を備える。
【0011】
本明細書中で使用される「製剤(drug product)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、薬剤として使用可能な、または、薬剤もしくは製剤を製造する工程において使用され、もしくは調製され得る、または、薬剤または製剤の中間段階、前駆体、もしくは化合物として使用され、もしくは調製され得る溶液、液体、もしくは懸濁液を表し得る。よって、製剤はたとえば、病気の治療、予防、予防法、もしくは診断分析の一部として、または、それらに関して使用され得る。製剤は具体的には、製剤の溶液、液体、または懸濁液中に溶解された少なくとも1つのガスなどの、少なくとも1つのガスを含み得る。
【0012】
本明細書中で使用される「充填装置(filling device)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、容器(receptacleまたはcontainer)に任意の溶液、液体、または懸濁液を分注し、放出し、または導くように構成された装置を表し得る。
【0013】
本明細書中で使用される「容器(container)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、たとえば、バイアル、特に、ガラスバイアル、シリンジ、またはアンプルなどの、少なくとも1つの液体を保持するように構成された任意の容器(containerまたはreceptacle)を表し得る。
【0014】
本明細書中で使用される「製剤調製装置(drug product preparation device)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、製剤を作り、製造し、加工し、または貯蔵する工程において使用されるように構成された装置を表し得る。例として、製剤調製装置は、混合容器、反応器、撹拌装置もしくは撹拌器、貯留容器、タンク、輸送容器たとえば製剤輸送容器、ならびに/または、製剤調製、製剤貯蔵、および/もしくは製剤輸送の意味合いで使用されるのに適したいずれかの他の装置の少なくとも1つを備え得る。
【0015】
本明細書中で使用される「充填ステーション(filling station)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、上記で定義された充填装置の一部であり得る装置、および、少なくとも1つの製剤を容器内に充填するのに適した装置を表し得る。充填ステーションは、製剤を容器内に充填し、分注し、もしくは計量するように構成された少なくとも1つの液体取扱装置であり得るか、または、それを備え得る。よって、例として、充填ステーションは、ディスペンサ、ノズル、バルブ等のうち少なくとも1つを備え得る。充填ステーションは、少なくとも1つの充填ラインをさらに備え得る。充填ステーションは、多数の容器に順次、および/または並列に充填するように構成され得る。例として、充填ステーションは、N個の容器一束内に製剤を同時に充填し、それに続いて、その後のN個の容器一束等内に製剤を同時に充填するためのN個のノズルまたはディスペンサを備え得る。
【0016】
本明細書中で使用される「流体的に連結された(fluidically coupled)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、第1の装置および第2の装置であって、第1の装置から第2の装置へ、および/またはその逆に任意の流体または任意の液体が移動可能であり、または移送可能であるように接続されている第1の装置および第2の装置を表し得る。
【0017】
本明細書中で使用される「脱気装置(degassing device)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、脱気装置を介して導かれる液体の少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離するように構成された装置を表し得る。その中では、ガスを分離するために種々の物理原理が使用され得る。例として、脱気装置は、以下にさらに詳細に概説するように、浸透に基づく少なくとも1つの脱気装置を備え得る。しかし、さらに、他の原理も使用され得る。
【0018】
本明細書中で使用される「流体的に介在する(fluidically interposed)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、第1の装置と第2の装置との間に流体的に介在する装置を介して第1の装置から第2の装置へ任意の流体または任意の液体が移動可能であり、または移送可能であり得るように少なくとも1つの第1の装置および少なくとも1つの第2の装置に接続された装置を表し得る。
【0019】
本明細書中で使用される「膜(membrane)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、物体の形状を層またはシート状として表し得るように、装置の第2の、および第3の延在方向における寸法を、第1の延在方向における寸法が下回る3次元物体であって、層またはシート状の物体が、物体に境界をつける第1の空間または区画を少なくとも部分的に区切り、もしくは描出するように構成された3次元物体を表し得る。具体的には、層またはシート状の物体は、第2の空間または区画と、第1の空間または区画を分離するように構成され得る。具体的には、第1の延在方向における寸法は、膜の厚さとして表し得る。特に、膜は、第1の空間または区画の少なくとも1つの延在方向において第1の空間または区画を区切り、もしくは描出するように構成され得る。第1の空間または区画を少なくとも部分的に区切り、もしくは描出する一方で、膜はさらに、少なくとも、たとえば、第1の空間または区画内の圧力と、第2の空間または区画内の圧力との間の圧力差を備え得る特定の条件下で選択透過性を有することにより、第1の空間または区画を第2の空間または区画に少なくとも部分的に接続し得る。上記条件はさらに、たとえば、膜の温度ならびに/または第1の空間もしくは区画の温度、および/または第2の空間もしくは区画の温度、または第1の区画を通る流速などの他のパラメータを含み得る。膜が、少なくとも1つの方向における、窒素ガスまたは他のガスの分子などの特定の分子の通過を可能にし得る、選択透過性を有する膜であり得る一方、膜は具体的には、非多孔質膜であり、および、第1の空間もしくは区画の含有量、またはそれにおける物質と、第2の空間もしくは区画の含有量、またはそれにおける物質の混合、特に、制御されていない混合を防止し得る。
【0020】
本明細書中で使用される「液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離する(at least partially separating off at least one gas from the liquid drug product)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、液状製剤中に溶解され得るガスの量を減少させるように、少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に、液状製剤から除去し、またはそれから離れる方向に導くことを表し得る。
【0021】
脱気装置は、少なくとも1つの膜を備える。膜は、非多孔質膜であり得る。一実施形態では、膜は、以下の材料、すなわち、ポリジメチルジオキサン(PDMS)、酢酸セルロース(CA)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびシリコーンのうちの少なくとも1つを含み得る。好ましい実施形態では、膜はシリコーンを含む。特に、膜は、25μm~200μm、好ましくは25μm~100μm、さらに好ましくは40μm~70μm、最も好ましくは55μmの厚さを有し得る。「厚さ(thickness)」との語は特に、延在方向における膜の寸法を表し得る。脱気装置は特に、液状製剤が、膜と第1の側で接触し、膜の対向する第2の側が、第1の側よりも低い圧力に曝露されて、膜に圧力差を印加するように構成され得る。よって、圧力差は、第1の側に対する圧力の大きさと、第2の側に対する圧力の大きさとの間の差であり得る。具体的には、膜に対する圧力差は、0.1バール(bar)~3.0バール(bar)、好ましくは0.6~1.0バール(bar)、さらに好ましくは0.8バール(bar)であり得る。さらに、脱気装置は、第2の側に対して真空を印加するための真空源または真空ポートの少なくとも1つを備え得る。具体的には、真空源は、吸引ポンプなどの少なくとも1つのポンプを備え得る。例として、ポンプは、少なくとも1つの容積式ポンプ、たとえば、ロータリ式ベーンポンプ、ローブポンプなどのうち1つまたは複数を備え得る。特に、第2の側に対して印加される真空の絶対値は、0.010バール(bar)~0.900バール(bar)、好ましくは0.010バール(bar)~0.020バール(bar)、さらに好ましくは0.015バール(bar)であり得る。本明細書中で使用される「真空(vacuum)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、減圧、低圧、部分真空、または負圧を表し得る。よって、真空が印加される空間、チャンバ、または区画は、真空が印加されない別の空間、チャンバ、または区画よりも低い圧力を有し得る。具体的には、製剤は、脱気装置内で、0.1バール(bar)~3.0バール(bar)、好ましくは0.6バール(bar)~1.0バール(bar)、さらに好ましくは0.8バール(bar)の絶対圧力を有し得る。
【0022】
特に、脱気装置は、少なくとも部分的に膜によって形成された複数の中空繊維を備える少なくとも1つの中空繊維膜モジュールを備え得る。本明細書中で使用される「中空繊維(hollow fiber)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、内部空間もしくはルーメンを少なくとも部分的に画定し、または備える管、細管、またはキャピラリを表し得る。特に、中空繊維の内部空間またはルーメンは、中空繊維の内部としても表し得る。具体的には、中空繊維は、内径および外径を有し得るが、内径が50μm~800μm、好ましくは150μm~250μmの値、さらに好ましくは190μmの値を有し、外径が75μm~900μm、好ましくは150μm~450μmの値、さらに好ましくは300μmの値を有し得る。特に、膜の厚さが55μmであり、中空繊維の内径が190μmであり、中空繊維の外径が300μmであってもよい。さらに、中空繊維膜モジュールの複数の中空繊維は、30という数の中空繊維から、30000という数の中空繊維を備え得る。
【0023】
中空繊維膜モジュールの中空繊維の数は特に、中空繊維膜モジュールのサイズに、特に、膜全体の面積に、すなわち、中空繊維膜モジュール内の中空繊維すべての膜面積の和に、および/または、中空繊維膜モジュールの断面積であって、断面積が、中空繊維膜モジュールの、主延在方向に、特に長さに対して垂直であり得る、中空繊維膜モジュールの断面積に依存し得る。
【0024】
例として、単位膜面積毎の繊維カウントは、1.0~4.0fibers/cm2、たとえば1~3fibers/cm2、好ましくは1~1.5fibers/cm2、さらに好ましくは1.26~1.42fibers/cm2の範囲内にあり得る。付加的に、または代替的に、中空繊維膜モジュールの断面積単位毎の中空繊維数、具体的には、繊維カウントは、40cm-2~500cm-2、たとえば42cm-2~483cm-2などの20cm-2~800cm-2であり得る。
【0025】
さらに、中空繊維の長さは、中空繊維膜モジュールのサイズ、具体的には、中空繊維膜モジュールの長さにも依存し得る。中空繊維は、10cm~16cmの長さを有し得る。特に、脱気装置は、中空繊維膜モジュールPDMSXA-2500および/または中空繊維膜モジュールPSMSXA-1.0などの、メドアレイ社(MedArray, Inc.)(アメリカ合衆国、48108 ミシガン州、アンアーバー)から入手可能なパームセレクト(PermSelect)(登録商標)シリコーン膜モジュールであってもよく、またはそれを備えてもよい。
【0026】
例として、メドアレイ社(MedArray, Inc.)(アメリカ合衆国、48108 ミシガン州、アンアーバー)により入手可能な中空繊維膜モジュールが使用され得る。この供給業者により入手可能な膜モジュールの例示的な実施形態の要約およびそれらの特性を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
中空繊維は具体的には、繊維束を形成し得る。本明細書中で使用される「繊維束(fiber bundle)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、たとえば、繊維の共通の位置合わせおよび/または配向が実現されるように組み合わされた、または併せて保持された複数の繊維を表し得る。特に、繊維束は、両方の端部で、シーリング内に埋め込まれ得る。さらに、繊維束の端部は、接続ポートに接続され得る。本明細書中で使用される「接続ポート(connection port)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、さらなる要素または構成部分に繊維束の端部を直接的にまたは間接的に接合し、関係付け、もしくは連結するために少なくとも1つの繊維束の少なくとも1つの端部を保持し、または受容するように構成された任意の装置を表し得る。中空繊維膜モジュールは、少なくとも1つのハウジングであって、ハウジングが、その中に配置される中空繊維を有する、少なくとも1つのハウジングをさらに備え得る。さらに、中空繊維膜モジュールは、中空繊維の第1の端部に接続される少なくとも1つの繊維入口ポートと、中空繊維の第2の端部に接続される少なくとも1つの繊維出口ポートと、少なくとも1つのハウジング入口ポートおよび少なくとも1つのハウジング出口ポートとを備え得るが、ハウジング入口ポートおよびハウジング出口ポートがいずれも、中空繊維とハウジングの壁との間のハウジング内部の少なくとも1つの内部空間に接続される。
【0029】
本明細書中で使用される「繊維入口ポート(fiber entry port)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、流体、特にガスまたは液体が繊維入口ポートを介して繊維内に導入され得るように、さらなる要素または構成部分、たとえば調製装置に繊維束の第1の端部を直接的にまたは間接的に接合し、関係付け、もしくは連結するために繊維束の第1の端部を保持し、または受容するように構成された任意の装置を表し得る。特に、流体がガスである場合、繊維入口ポートは、繊維出口ポートとしても使用され得る。よって、以下にさらに説明するように、繊維入口ポートおよび繊維出口ポートの一方または両方を吸引装置に接続することにより、真空を中空繊維の内部に対して印加し得る。本明細書中で使用される「繊維出口ポート」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、繊維束の中空繊維内に含まれる流体、特にガスまたは液体が、繊維出口ポートを介して中空繊維から搬出され得るように、さらなる要素または構成部分、たとえば充填ステーションに繊維束の第1の端部を直接的にまたは間接的に接合し、関係付け、もしくは連結するために繊維束の第2の端部を保持し、または受容するように構成される任意の装置を表し得る。特に、繊維束の一方の端部に接続される接続ポートは、繊維入口ポートとして実現され、繊維束の他方の端部における接続ポートは、繊維出口ポートとして実現され得る。さらに、繊維入口ポートおよび/または繊維出口ポートは、真空ポートとしても使用され得る。
【0030】
本明細書中で使用される「ハウジング入口ポート(housing entry port)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、流体、特にガスまたは液体が、繊維入口ポートを介してハウジングの内部空間内に導入され得るように、ハウジングの内部空間をさらなる要素または構成部分、たとえば調製装置に直接的にまたは間接的に接合し、関係付け、もしくは連結するように構成された任意の装置を表し得る。特に、流体がガスである場合、ハウジング入口ポートは、ハウジング出口ポートとしても使用され得る。さらに、ハウジング入口ポートおよび/またはハウジング出口ポートは、真空ポートとしても使用され得る。よって、以下にさらに説明するように、ハウジング入口ポートおよびハウジング出口ポートの一方または両方を吸引装置に接続することにより、真空を内部空間に対して印加し得る。本明細書中で使用される「ハウジング出口ポート(housing exit port)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、ハウジングの内部空間内に含まれる流体、特にガスまたは液体が、ハウジング出口ポートを介してハウジングの内部空間から搬出され得るように、ハウジングの内部空間をさらなる要素または構成部分に、たとえば充填ステーションに直接的にまたは間接的に接合し、関係付け、もしくは連結するように構成された任意の装置を表し得る。
【0031】
中空繊維膜モジュールは、
i)繊維入口ポートが直接的にまたは間接的に製剤調製装置に流体的に接続され、繊維出口ポートが直接的にまたは間接的に充填ステーションに流体的に接続され得ること;または
ii)ハウジング入口ポートが直接的にまたは間接的に製剤調製装置に流体的に接続され、ハウジング出口ポートが直接的にまたは間接的に充填ステーションに流体的に接続され得ること
からなる群から選択される方法で、製剤調製装置(たとえば、調剤区域)と充填ステーションとの間に流体的に介在し得る。
【0032】
特に、オプションi)が選択され、ハウジング入口ポートおよびハウジング出口ポートの一方または両方が、たとえば、真空ポンプなど、具体的には、ハウジングの内部空間に対して真空を印加するための吸引装置に接続され得る。さらに、オプションii)が選択され、繊維入口ポートおよび繊維出口ポートの一方または両方が、具体的には、中空繊維の内部に対して真空を印加するための吸引装置に接続され得る。
【0033】
製剤充填装置は、少なくとも1つの膜を備える。具体的には、膜は、ポリジメチルジオキサン(PDMS)、酢酸セルロース(CA)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびシリコーンからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み得るが、好ましくは、膜はシリコーンを含む。さらに、脱気装置は、製剤調製装置に接続される少なくとも1つの入口ポート、および充填ステーションに接続される少なくとも1つの出口ポートを有し得る。さらに、脱気装置は、インライン方式で製剤調製装置と充填ステーションとの間に介在し得る、具体的には、流体的に介在し得る。よって、液状製剤の脱気は、液状製剤を容器内に充填する工程において一連の連続的に実行可能な複数のステップのうちのステップとして行われ得る。製剤充填装置は、製剤調製装置と充填ステーションとの間に流体的に介在する少なくとも1つのインラインフィルタリング装置をさらに備え得る。特に、インラインフィルタリング装置は無菌フィルタを備え得る。インラインフィルタリング装置は、プレフィルタ、具体的には、バイオバーデンを減少させるためのプレフィルタをさらに備え得る。さらに、脱気装置は、少なくとも部分的に減菌可能であり得る。特に、脱気装置は、以下の手段、すなわち、ガンマ線;ベータ線;蒸気:オートクレーブ(autoclavation);SIPとして略される場合もある定置減菌のうちの少なくとも1つによって少なくとも部分的に減菌可能であり得る。具体的には、脱気装置の膜は減菌可能であり得る。さらに、脱気装置の一部を形成し得る以下の要素、すなわち、中空繊維、シーリング、接続ポート、ハウジング、繊維入口ポート、繊維出口ポート、ハウジング入口ポート、ハウジング出口ポートのうちの少なくとも1つは減菌可能であり得る。好ましくは、脱気装置の要素はすべて、減菌可能であり得る。さらに、上記要素の減菌工程は具体的には、定置減菌として行い得る。よって、製剤と接触している区域は、製剤調製装置の実質的な解体なしで減菌可能であり得る。製剤充填装置は、製剤調製装置から充填ステーションへ製剤を移送するように構成される少なくとも1つの移送システムをさらに備え得る。少なくとも1つの移送システムは、少なくとも1つのガス供給源を有する少なくとも1つの圧力移送システムであり得るか、またはそれを備え得るが、圧力移送システムは、圧力により、製剤調製装置から充填ステーションへ製剤を移送するように構成される。特に、ガス供給源は、窒素を供給し得る。付加的に、または代替的に、少なくとも1つの移送システムは、少なくとも1つのポンプであり得るか、またはそれを備え得る。さらに、製剤を製剤調製装置から充填ステーションへ移送するための圧力は、0.8バール(bar)~1.0バール(bar)であり得る。この圧力は特に、絶対圧力であり得る。
【0034】
製剤充填装置は、少なくとも1つの充填ステーションを備える。充填ステーション、特に充填ラインは特に、液状製剤で充填した後、容器を光学的に検査する少なくとも1つの検査装置を備え得る。充填ステーション、特に充填ラインは、不良容器を自動的に識別するための、および不良容器を自動的に除去するための少なくとも1つのコントローラを有する少なくとも1つの選択装置をさらに備え得る。具体的には、検査装置は、少なくとも1つのカメラおよび少なくとも1つの画像認識装置を備え得る。さらに、充填ステーション、特に充填ラインはさらに、たとえば、少なくとも1つのストッパにより、容器を閉鎖するための少なくとも1つの閉鎖ステーションを備え得る。閉鎖ステーションは、圧着により、ストッパの固定のための少なくとも1つの圧着ステーションをさらに備え得る。付加的に、または代替的に、容器を閉鎖するための他の装置が、特に、プラスチックおよび/もしくはアルミニウムを備え得る、または、それらで形成され得るキャップ、たとえば大協精工(Daikyo)によって製造されているPlascap(登録商標)などの、閉鎖ステーションにより、容器に使用され、および適用され得る。さらに、閉鎖ステーションは具体的には、たとえば、アンプルを封止するための、シーリングステーションを備え得る。
【0035】
製剤充填装置は、少なくとも1つの製剤調製装置を備える。製剤調製装置は、少なくとも2つの成分から液状製剤を調製するように構成され得る。製剤調製装置は具体的には、製剤の少なくとも2つの成分を混合するための少なくとも1つの混合容器を備え得る。混合容器は、製剤を撹拌するための少なくとも1つの撹拌装置を備え得る。製剤調製装置は、充填ステーションに流体的に接続され得る少なくとも1つの貯蔵容器をさらに備え得る。貯蔵容器は特に、製剤の冷却または加熱の一方もしくは両方を行うための少なくとも1つの温度調節装置を備え得る。貯蔵容器は具体的には、少なくとも1つのシールドガスを貯蔵容器内に供給するための、および、シールドガス下で製剤を貯蔵するための少なくとも1つのガス供給源を備え得る。特に、ガス供給源は、少なくとも1つの窒素供給源を備え得る。
【0036】
製剤充填装置により容器内に充填される少なくとも1つの製剤は、0.2mPa・s~30mPa・s、好ましくは1mPa・s~20mPa・s、さらに好ましくは1mPa・s~5mPa・s、最も好ましくは1mPa・s~1.5mPa・sの粘度を有し得る。製剤充填装置の少なくとも1つの膜は、製剤と接触するための接触面積を有し得るが、接触面積のサイズは、10cm2~5m2、好ましくは0.5m2~1.5m2であり、さらに好ましくは接触面積のサイズが1m2であり得る。製剤充填装置は、5L/h~150L/hの、好ましくは60L/h~100L/hの、さらに好ましくは70L/h~90L/hの速度で脱気装置を介して製剤を導くように構成され得る。特に、製剤は、0°C~25°C、好ましくは0~8°Cまたは15~25°C、さらに好ましくは2~8°Cまたは18~24°Cの温度を有し得る。
【0037】
例として、上記表1の中空繊維膜モジュールの例示的な実施形態について、表2に示す以下の流速が使用され得る。
【0038】
【表2】
【0039】
製剤充填装置は、少なくとも1つの第1のカップリングアクセスおよび少なくとも1つの第2のカップリングアクセスを有するカップリングバウをさらに備え得るが、脱気装置は、第1のカップリングアクセスを介して製剤調製装置に流体的に接続可能であり、脱気装置は、第2のカップリングアクセスを介して充填ステーションに流体的に接続可能であり得る。特に、脱気装置は、第1のカップリングアクセスを介して直接的にまたは間接的に製剤調製装置に流体的に接続可能であり、脱気装置は、第2のカップリングアクセスを介して直接的にまたは間接的に充填ステーションに流体的に接続可能であり得る。脱気装置と第1のカップリングアクセスおよび/または第2のカップリングアクセスとの間の直接的な流体的接続の場合、脱気装置は、第1のカップリングアクセスおよび/または第2のカップリングアクセスそれぞれに直接取付られ得る。脱気装置と第1のカップリングアクセスおよび/または第2のカップリングアクセスとの間の間接的な流体的接続の場合、脱気装置は、管、ホース、またはパイプなどの少なくとも1つのさらなる要素を介して、第1のカップリングアクセスおよび/または第2のカップリングアクセスそれぞれに取付られ得る。本明細書中で使用される「流体的に接続可能(fluidically connectable)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、第1の装置および第2の装置であって、第1の装置から第2の装置へ、および/またはその逆に、任意の流体または任意の液体が移動可能もしくは移送可能であり得るような方法で、第1の装置および第2の装置を接続することが可能である、第1の装置および第2の装置を表し得る。本発明の範囲内で、「流体的に接続される(fluidically connected)」および「流体的に連結される(fluidically coupled)」との語は同義に使用され得る。
【0040】
カップリングバウは、脱気装置を取り付けるための少なくとも1つのホルダをさらに備え得る。付加的に、または代替的に、製剤充填装置、特に製剤調製装置および/または充填ステーションは、脱気装置を取り付けるためのホルダを備え得る。特に、ホルダは、脱気装置を取り外し可能に受容するように構成され得る。
【0041】
本発明の第2の態様では、少なくとも1つの製剤を容器内に充填する方法を開示する。上記方法は、以下に開示されるステップを備える。上記ステップは具体的には、所与の順序で実施され得る。それでも、異なる順序も可能である。上記方法は、言及されていないさらなるステップを備え得る。さらに、上記方法ステップのうちの1つまたは複数を繰り返し実施することも可能である。さらに、上記方法ステップのうちの2つ以上が、時間的に重複する方法で、または同時に実施され得る。
【0042】
上記方法は、以下のステップ、すなわち、
A)少なくとも1つの液状製剤を容器内に充填するように構成される少なくとも1つの製剤充填装置を設けるステップであって、
液状製剤を調製するように構成される少なくとも1つの製剤調製装置を設けること;
液状製剤を容器内に充填するための少なくとも1つの充填ステーションであって、製剤調製装置に流体的に連結される少なくとも1つの充填ステーションを設けること;
製剤調製装置と充填ステーションとの間に流体的に介在する少なくとも1つの脱気装置であって、液状製剤から少なくとも1つのガスを分離するための少なくとも1つの膜を備える少なくとも1つの脱気装置を設けること
を含むステップ;
B)製剤調製装置から充填ステーションへ製剤を導くステップであって、製剤が、脱気装置を通過すると、少なくとも部分的に脱気される、ステップ;および
C)充填ステーションにより、少なくとも部分的に脱気された製剤を容器内に充填するステップ
を含む。
【0043】
特に、方法のステップB)は、
脱気装置を使用して、液状製剤が、膜と第1の側で接触し、膜の対向する第2の側が、第1の側よりも低い圧力に曝露されて、膜に圧力差を印加すること
をさらに含み得る。
【0044】
特に、方法ステップA)において設けられる脱気装置は、第2の側に対して真空を印加するための真空源または真空ポートの少なくとも1つを備えることにより、膜に対して圧力差を印加するように構成され得る。脱気装置は、複数の中空繊維を備える少なくとも1つの中空繊維膜モジュールをさらに備え得るが、中空繊維は、膜によって少なくとも部分的に形成される。中空繊維は、繊維束を形成し得る。
【0045】
さらに、ステップB)は具体的には、
輸送ガス流およびポンプの少なくとも1つを少なくとも部分的に使用することにより、製剤調製装置から充填ステーションへ製剤を導くこと
を含み得る。
【0046】
特に、輸送ガスは窒素であり得る。考えられる実施形態の説明、および方法において使用される装置の定義については、上述したような、または以下にさらに記述されるような実施形態、定義、および説明が参照され得る。具体的には、方法ステップA)において設けられる製剤充填装置は、上述したような、または以下にさらに記述されるような製剤充填装置であり得る。それでも、他の実施形態も実現可能である。
【0047】
方法は、容器内の液状製剤の充填重量の精度の向上を含み得る。容器内の液状製品の充填重量の精度の向上は、少なくとも1つの液状製剤を調製するステップと、脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップと、脱気された液状製剤を容器内に充填するステップとを含み得る。
【0048】
方法は、液状製剤中の少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分の安定性の向上をさらに含み得る。液状製剤中の酸素感受性医薬品有効成分の安定性の向上は、少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分を含む少なくとも1つの液状製剤を調製するステップを含み得る。さらに、液状製剤中の酸素感受性医薬品有効成分の安定性の向上は、脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が膜を備える、ステップを含み得る。
【0049】
方法は、液状製剤中のポリソルベート凝集体形成を減少させるステップをさらに含み得る。液状製剤中のポリソルベート凝集体形成の減少は、少なくとも1つの液状製剤を調製するステップであって、液状製剤が、少なくとも1つの酸素感応性医薬品有効成分、具体的には、タンパク質、および少なくとも1つのポリソルベートを含む、ステップを含み得る。さらに、液状製剤中のポリソルベート凝集体形成の減少は、脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が膜を備える、ステップを含み得る。
【0050】
本発明の第3の態様では、容器内の液状製剤の充填重量の精度を向上させる方法を開示する。方法は、以下に開示されるステップを含む。上記ステップは具体的には所与の順序で実施され得る。それでも、異なる順序も可能である。上記方法は、言及されていないさらなるステップを含み得る。さらに、上記方法ステップのうちの1つまたは複数を繰り返し実施することも可能である。さらに、上記方法ステップのうちの2つ以上が、時間的に重複する方法で、または同時に実施され得る。
【0051】
上記方法は、以下のステップ、すなわち、
I.少なくとも1つの液状製剤を調製するステップ;
II.脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップ;
III.脱気された液状製剤を容器内に充填するステップ
を含む。
【0052】
本明細書中で使用される語の大半の考えられる定義については、製剤充填装置の開示、または上で開示された、もしくは以下にさらに詳細に開示される少なくとも1つの製剤を容器内に充填する方法が参照され得る。
【0053】
本明細書中で使用される「向上(increasing)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は、具体的には、限定なしで、物体または工程の特定の特性を特徴付ける特徴的な数または値が、他の方法の使用と比較して、説明された方法を使用する場合に、より大きいことを表し得る。
【0054】
よって、充填重量の精度を定量化するために、容器内の液状製剤の名目充填重量は、実際充填重量と比較され、それにより、標準偏差を生成するなど、偏差に関する情報を生成し得る。偏差が低いほど、充填重量の精度はより高くなり得る。本発明による方法を使用することにより充填された液状製剤と、従来の方法、具体的には、液状製剤を脱気する方法ステップII.を含まない方法を使用することにより容器内に充填された液状製剤の偏差を比較することにより、偏差の減少、および、よって、充填重量における向上を、具体的には脱気ステップ以外は方法が同一である場合に、確認し得る。
【0055】
容器内の液状製剤の充填重量の精度を向上させる方法は具体的には、上述した、および/または以下にさらに説明する脱気装置および/または製剤充填装置を使用するステップを含み得る。
【0056】
【表3】
【0057】
表3は、従来の製剤充填装置による、または、メドアレイ社(MedArray, Inc.)によるPDMSXA-1.0中空繊維膜モジュールを備える本発明による製剤充填装置の例示的な実施形態による、液状製剤で充填された容器の例示的な特徴的特性を表示する。表3の行によって表示された条件毎に、少なくとも2900の容器が、液状製剤で充填された。表示されたデータは、まず、従来の製剤充填装置を使用し、次に、脱気装置の使用などの修正を実現することにより、従来の製剤充填装置を修正して、本発明による製剤充填装置を生成することによって生成されている。パラメータセット1およびパラメータセット2は、従来の製剤充填装置について使用されたパラメータに対応する。データは、時間的に連続して取得されるので、相当量の1つまたは複数のガスが、たとえば、パラメータセット1として表示された測定中に製剤充填装置内に、なお存在し得る。脱気効果はよって、たとえば、パラメータセット1と比較して、パラメータセット2の測定中、可視的であるものとして経時的に増大する。パラメータセット3についての、製剤充填装置の修正は、製剤調製装置の投与管の搾り器の減速を含み、充填重量精度のさらなる向上、および粒子検出により不合格にされた容器の数のさらなる減少に寄与し得る。パラメータセット4についての、製剤充填装置の修正は、5mmの代わりに3mmの径を有する管の使用、および換気サイクルの増加を含み、粒子検出により不合格にされた容器の数、およびバブル検出により不合格にされた容器の数をわずかに増加させる一方で、充填重量精度をさらに向上させ得る。標準偏差は表3においてσと称し得る。
【0058】
本発明の第4の態様では、液状製剤、具体的には、容器内の液状製剤中の少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分の安定性を向上させる方法を開示する。具体的には、酸素感受性医薬品有効性部分は、タンパク質であり得るか、またはそれを含み得る。上記方法は、以下に開示されるステップを含む。上記ステップは具体的には所与の順序で実施され得る。それでも、異なる順序も可能である。上記方法は、言及されていないさらなるステップを含み得る。さらに、上記方法ステップのうちの1つまたは複数を繰り返し実施することも可能である。さらに、上記方法ステップのうちの2つ以上が、時間的に重複する方法で、または同時に実施され得る。
【0059】
上記方法は以下のステップ、すなわち、
α.少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効性部分を含む少なくとも1つの液状製剤を調製するステップ;および
β.脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップ
を含む。
【0060】
本明細書中で使用される語の大半の考えられる定義については、製剤充填装置の開示、または上で開示された、もしくは以下にさらに詳細に開示される少なくとも1つの製剤を容器内に充填する方法が参照され得る。
【0061】
酸素感受性医薬品有効成分の安定性を向上させる方法の意味合いで使用される「液状製剤(liquid drug product)」との語は具体的には、製剤および溶媒を含む液状製品を表し得る。液状製剤中に含まれる製剤は、少なくとも1つのタンパク質、または少なくとも1つのタンパク質を含む医薬品有効性成分などの酸素感受性医薬品有効成分であり得るか、または、少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分、具体的には少なくとも1つのタンパク質を含み得る。しかし、液状製剤は、他の目的のための、たとえば、製剤の安定化剤またはキャリアとしてのタンパク質を含んでもよい。液状製剤中の少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分の安定性を向上させる方法は特に、製剤を安定化させる、または担持する目的で液状製剤が含み得るタンパク質の安定性を向上させるステップを含み得る。液状製剤中の少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分の安定性を向上させる方法は、液状製剤が他の目的で含み得るタンパク質の安定性を向上させるステップを含んでもよい。
【0062】
本明細書中で使用される「酸素感受性医薬品有効成分(oxygen-sensitive active pharmaceutical ingredient)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は、具体的には、限定なしで、製剤の一部を形成し得る、および、たとえば、製剤の医療効果を媒介することにより、製剤の医療効果に寄与することにより、または、製剤の安定性もしくは貯蔵性などの、それが正しく機能することを支持する、製剤の品質への寄与を媒介することにより、製剤が正しく機能することに寄与し得る成分を表し得る。医薬品有効成分は具体的には、酸化されやすく、それにより、その化学的性質、その化学構造、またはその化学的、物理的、もしくは生物学的特性の1つまたは複数を変える可能性がある。付加的に、または代替的に、医薬品有効成分は、医薬品有効成分の化学的、物理的、または生物学的性質もしくは特性の1つもしくは複数が酸素の存在によって影響を受けるという意味で酸素感受性を有し得る。
【0063】
本明細書中で使用される「酸素感受性医薬品有効成分の安定性(stability of an oxygen-sensitive active pharmaceutical ingredient)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は、具体的には、限定なしで、その構造的完全性および/または機能的完全性を維持するための、タンパク質などの酸素感受性医薬品有効成分の能力を表し得る。
【0064】
タンパク質などの酸素感受性医薬品有効成分の構造的完全性は、分解過程によって影響を受け得る、すなわち、酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質はその全体または一部において分解され得る。そうした分解された酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質は通常、たとえばより低い分子量が伴う、一次構造の障害によって特徴付けられる。さらに、通常、分解物としての、より短いタンパク質またはペプチドなどの分解物が生じ得る。
【0065】
酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の構造的完全性は、当業者によく知られている種々の適切な手法によって判定し得る。通常、構造的完全性は、質量分析法(MS)またはNMR分光法などの分光学的手法により、少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分、特に少なくとも1つのタンパク質、またはその試料を含む液状製剤を分析することによって判定することが可能である。さらに、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)などのゲル電気泳動法、またはサイズ排除もしくは分子ふるいクロマトグラフィなどのクロマトグラフィなどのタンパク質分離手法が適用され得る。
【0066】
構造的完全性の他に、または、それに加えて、酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の機能的完全性も影響を受け得る。よって、障害が生じた機能的完全性を有する酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質は、その通常の生物学的機能を発現することができない。機能的完全性は、分解過程によっても影響を受ける可能性があり、すなわち、酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の分解は通常、さらに、その機能の喪失をもたらすことになる。さらに、本明細書中で意味する機能的完全性は、酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の機能の障害、たとえば、障害を受けたフォールディング、および、障害を受けたグリコシル化、リン酸化、またはミリスチル化などの翻訳後修飾の障害をもたらす他の原因も包含する。通常、酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の四次、三次、および/または二次構造はそうした場合に障害を受ける可能性がある。
【0067】
酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の機能的完全性を判定するための、当業者によく知られている種々の適切な手法も存在している。この意味合いにおける適切な手法が、酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の性質に依存することが理解されるであろう。酵素の場合、たとえば、機能的完全性を判定するための適切な手法は、酵素活性を測定するアッセイであり得る。増殖因子、サイトカイン、または他の刺激剤の場合、適切な手法は、生物学的応答を刺激し、または防止するための化合物の能力を測定するアッセイであり得る。さらに、酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の免疫学的特性は、抗体結合アッセイまたはアフィニティクロマトグラフィなどの免疫学的手法によっても判定され得る。
【0068】
「少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分の安定性の向上(increasing the stability of at least one oxygen-sensitive active pharmaceutical ingredient)」の下では、酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の構造的および/または機能的完全性は、基準と比較して、長時間にわたって維持される、および/または、たとえば、熱、酸性もしくは塩基性pH、または酸化もしくは還元条件などの、酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の安定性のためのより劣る条件下で維持されると理解される。
【0069】
本明細書中で表された本発明の方法を適用することによる、タンパク質などの酸素感受性医薬品有効成分の安定性における向上は、本発明の方法によって処理される液状製剤の試料中の酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の安定性、すなわち、酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の構造的および/または機能的完全性と、対照液状製剤、たとえば、本発明の方法によって処理されていない液状製剤の試料の酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の安定性とを比較することにより、判定され得る。成功裏に行われる処理には、対照試料に対する、処理された試料における、酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の安定性における向上が伴うことになる。通常、安定性の判定のそうした比較は、将来において処理後に種々の時点で、たとえば時間分解測定で行なわれ得る。
【0070】
本発明の方法のおかげで、液状製剤中の酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の安定性が、かなり向上され、それにより、たとえば、上記製剤についてのより良好な貯蔵または輸送能力をもたらし得る。
【0071】
液状製剤中の酸素感受性医薬品有効成分、具体的にはタンパク質の安定性を向上させる方法は、上述した、および/または以下にさらに説明する脱気装置および/または製剤充填装置を使用するステップを含み得る。
【0072】
方法は、以下のステップ、すなわち、
γ.脱気された液状製剤を少なくとも1つの容器内に充填するステップ
をさらに含み得る。
【0073】
本発明の第5の態様では、液状製剤、具体的には容器内の液状製剤中のポリソルベート凝集体形成の形成を減少させる方法を開示する。上記方法は、以下に開示されるステップを含む。上記ステップは具体的には所与の順序で実施され得る。それでも、異なる順序も可能である。上記方法は、言及されていないさらなるステップを含み得る。さらに、上記方法ステップのうちの1つまたは複数を繰り返し実施することも可能である。さらに、上記方法ステップのうちの2つ以上が、時間的に重複する方法で、または同時に実施され得る。
【0074】
上記方法は、以下のステップ、すなわち、
X.少なくとも1つの液状製剤を調製するステップであって、液状製剤が、少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分、具体的にはタンパク質と、少なくとも1つのポリソルベートとを含む、ステップ;および
Y.脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップ
を含む。
【0075】
本明細書中で使用される語の大半の考えられる定義については、製剤充填装置の開示、または上で開示された、もしくは以下にさらに詳細に開示される少なくとも1つの製剤を容器内に充填する方法が参照され得る。
【0076】
本明細書中で使用される「ポリソルベート(polysorbate)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、通常、乳化剤として使用される非イオン性界面活性剤群を表し得る。ポリソルベートは、脂肪酸とのエステル化により、ソルビタンエトキシル化物に由来する。ポリソルベートは通常、医薬品または食品製剤において使用される。ポリソルベートの典型例は、限定でないが、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、およびポリソルベート80を含む。
【0077】
本明細書中で使用される「ポリソルベート凝集体(polysorbate aggregate)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、ポリソルベート分子の蓄積を表し得る。上記ポリソルベート凝集体は、たとえば、室温で貯蔵されたポリソルベートを含む溶液中で検出され得る。
【0078】
本明細書中で使用される「ポリソルベート凝集体形成の形成を減少させる(reducing the formation of polysorbate aggregate formation)」との語は、広い意味の語であり、当業者に対してその通常の、および慣用される意味が与えられるものとし、特殊な、またはカスタマイズされた意味に限定されるものでない。上記語は具体的には、限定なしで、液状製剤中にポリソルベート分子を含む凝集体の生成を形成し、またはその生成に寄与するための、ポリソルベート分子によって形成される、もしくはそれを含む凝集体の数、および/またはポリソルベート分子の能力が、上記方法を適用した後に対照剤と比較して減少させられるということを表し得る。この意味合いにおける典型的な対照剤は、本発明の方法によって処理されていない液状製剤であり得る。
【0079】
凝集体形成を判定するための実験的手法は通常、光学分光法および光散乱法などの分光分析法、またはサイズ排除クロマトグラフィ法を含む。
【0080】
本明細書中で表される、本発明の方法を適用することによる、ポリソルベート凝集体形成の減少させられた形成は、本発明の方法によって処理される液状製剤の試料中に形成されたポリソルベート凝集体の数と、対照液状製剤、たとえば、本発明の方法によって処理されていない液状製剤の試料中に形成されたポリソルベート凝集体の数とを比較することによって判定され得る。成功裏に行われる処理には、対照試料に対する、処理された試料中の凝集体の減少が伴うことになる。通常、ポリソルベート凝集体判定のそうした比較は、処理後の将来の種々の時点で、たとえば時間分解測定で行なわれ得る。
【0081】
本発明の方法のおかげで、液状製剤中の不利なポリソルベート凝集体の形成を、かなり減少させることができ、それにより、たとえば、上記製剤についてのより良好な貯蔵および取扱能力、ならびにより良好な生体適合性をもたらす。
【0082】
液状製剤中のポリソルベート凝集体形成の形成を減少させる方法は、上述した、および/または以下にさらに説明する脱気装置および/または製剤充填装置を使用するステップを含み得る。
【0083】
上記方法は、以下のステップ、すなわち、
Z.脱気された液状製剤を少なくとも1つの容器内に充填するステップ
をさらに含み得る。
【0084】
提案された方法および装置、特に薬剤充填装置、少なくとも1つの製剤を容器内に充填する方法、および、容器内の液状製剤の充填重量の精度を向上させる方法は、同様の種類の知られている方法および装置に対する多数の利点をもたらす。
【0085】
特に、提案された方法および装置は、液状製剤中に溶解された、またはそれが含むガスの量を減少させ得る。提案された方法および装置はよって、製剤中、具体的には、容器内に充填された製剤中のガスバブルの存在、形成、または核生成を減少させ得るか、または抑制し得る。容器内の製剤が含むガスバブルは、たとえば、液状製剤で容器を充填した後の容器の光学検査により、誤って、粒子として識別される可能性がある。これは、たとえば、完全に、または部分的に自動化された検査機により、不良であるとしての、充填された容器の誤った識別につながる可能性があり、よって、不合格としての、充填された容器の誤った識別につながる可能性がある。提案された方法および装置は、バブルの存在による、不合格としての、充填された容器の誤った識別を減少させ、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより収率を向上させ得る。さらに、提案された方法および装置は、誤って分離された、製剤で充填された容器を識別するのに必要なステップまたは方策についての必要性、経費、および/もしくはコストを減少させ得る。よって、提案された方法および装置は、外観検査中に、粒子と取り違えられ得るガスバブルを除去または減少させることにより、液状製剤で充填された容器の収率を向上させ得る。
【0086】
さらに、提案された方法および装置は、容器内への液状製剤の充填の一部として、および当該技術分野において知られている同様の種類の方法および装置について一般的であるような別個のステップとしてでなく、インライン式でなど、連続して行われ得るので、提案された方法および装置は、知られている方法および装置よりも短い時間消費であり得る。さらに、提案された方法および装置はたとえば、具体的には、光学検査が実行され得る前に数時間を、または数日をも要し得る、製剤で充填された容器の一時的な貯蔵などの1つまたはいくつかのステップを不要にし得る。よって、提案された方法および装置は、液状製剤を容器内に充填する工程において関係するコスト、時間、および/または労力を減少させ得る。よって、容器内への液状薬剤の充填の効率が向上され得る。
【0087】
さらに、提案された方法および装置が、当該技術分野において知られている同様の種類の方法および装置よりも、液状製剤から少なくとも1つのガスを分離することにおいて効果的であり得ることが可能であり得る。特に、製剤が容器内に充填される前に、ガスを直接、液状製剤から分離し得るので、提案された装置の使用後に、または提案された方法を実施した後に、提案された方法および装置が、液状製剤中への少なくとも1つのガスの新たな移入または放出を完全に、または部分的に回避し得ることが可能であり得る。特に、ガスとの、たとえば窒素ガスとの、液状製剤の新たな接触が回避され得る。
【0088】
さらに、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することは、製剤の濃度に対する、具体的には、液状製剤の1つまたはいくつかの有効成分の濃度に対する影響を有し得ないことが可能であり得る。代替的に、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することが、製剤の濃度に対して、具体的には、液状製剤の1つまたはいくつかの有効成分の濃度に対して与え得る影響は、無視し得る。さらに、脱気装置が、製剤であって、特に米国食品医薬品局(the Food and Drug Administration)によって承認された製剤の製造において使用されるために承認された材料のみを含み得ることが可能であり得る。
【0089】
さらに、少なくとも1つの液状製剤を容器内に充填する提案された方法、容器内の液状製剤の充填重量の精度を向上させる提案された方法、および/または提案された製剤充填装置が、当該技術分野において知られている同様の種類の方法および装置と比較して、容器内の液状製剤の充填重量の精度を向上させ得ることが可能であり得る。証拠はたとえば、表3に表示された実験データにおいて見られ得る。ガスの、たとえばバブルの形態における存在が、たとえば所与の容積に含まれる液状製剤の一部分を減少させる可能性があるので、同様の種類の従来の方法および装置と比較した向上させられた精度は特に、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することによるものであり得る。
【0090】
さらに、提案された方法および装置が、液状製剤の安定性に、具体的には、液状製剤の少なくとも1つの有効成分に、特に、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、寄与し得ることが可能であり得る。これは、たとえば、Giannosら(Giannos SA、Kraft ER、Zhao ZY、Merkley KH、Cai J.による「Formulation Stabilization and Disaggregation of Bevacizumab、Ranibizumab and Aflibercept in Dilute Solutions.」Pharm Res. 2018 Feb 28;35(4):78.doi:10.1007/sl 1095-018-2368-7)によって示唆されるように、分子の、特に、タンパク質、タンパク質フラグメント、抗体、および抗体フラグメントなどの、製剤の有効成分として作用する分子の凝集体の形成をマイクロバブルの存在が引き起こし、または支持し得ることによる可能性がある。液状製剤の安定性に対する、具体的には、液状製剤の少なくとも1つの有効性成分に対する、特にタンパク質に対するさらなる寄与は、液状製剤を脱気することが、液状製剤中に存在し得るポリソルベートの凝集体の形成を回避し、または少なくとも部分的に減少させ得るということによる可能性がある。
【0091】
さらに、提案された方法および装置が、液状製剤で、具体的には、脱気された液状製剤で、バッチまたはロットなどの、任意の数の容器を充填するのに必要な時間間隔、または、特定の容積の脱気された製剤を容器内に充填するのに必要な時間間隔を減少させ得ることが可能であり得る。これは、提案された方法および装置が、長い脱気ステップ、特に、インライン式で実行することが可能でない一方、充填工程に加えて行われる別個の非連続的なステップとして行わなければならない脱気ステップを冗長にし得ることによる可能性がある。よって、提案された方法および装置は、当該技術分野において知られている方法および装置よりも短い時間消費であり得る。
【0092】
さらなる考えられる実施形態を排除することなく要約すれば、以下の実施形態が想定され得る。
【0093】
実施形態1:少なくとも1つの製剤を容器内に充填するための製剤充填装置であって、
a)液状製剤を調製するように構成される少なくとも1つの製剤調製装置;
b)液状製剤を容器内に充填するための少なくとも1つの充填ステーションであって、充填ステーションが、製剤調製装置に流体的に連結される、少なくとも1つの充填ステーション;および
c)少なくとも1つの脱気装置であって、脱気装置が、製剤調製装置と充填ステーションとの間に流体的に介在し、脱気装置が、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離するための少なくとも1つの膜を備える、少なくとも1つの脱気装置
を備える製剤充填装置。
【0094】
実施形態2:膜が、25μm~200μm、好ましくは25μm~100μm、さらに好ましくは40μm~70μmの、最も好ましくは55μmの厚さを有する、実施形態1の製剤充填装置。
【0095】
実施形態3:脱気装置は、液状製剤が、膜と第1の側で接触し、膜の対向する第2の側が、第1の側よりも低い圧力に曝露されて、膜に圧力差を印加するように構成される、実施形態1または2の製剤充填装置。
【0096】
実施形態4:膜に対する圧力差が、0.1バール(bar)~3.0バール(bar)、好ましくは0.6バール(bar)~1.0バール(bar)、さらに好ましくは0.8バール(bar)である、実施形態3の製剤充填装置。
【0097】
実施形態5:脱気装置が、第2の側に対して真空を印加するための真空源または真空ポートのうちの少なくとも1つを備える、実施形態3または4の製剤充填装置。
【0098】
実施形態6:製剤が、脱気装置内で、0.1バール(bar)~3.0バール(bar)、好ましくは0.6バール(bar)~1.0バール(bar)、さらに好ましくは0.8バール(bar)の絶対圧力を有する、実施形態1~5のいずれか1つの製剤充填装置。
【0099】
実施形態7:脱気装置が、複数の中空繊維を備える少なくとも1つの中空繊維膜モジュールを備え、中空繊維が、膜によって少なくとも部分的に形成される、実施形態1~6のいずれか1つの製剤充填装置。
【0100】
実施形態8:中空繊維が、繊維束を形成する、実施形態7の製剤充填装置。
【0101】
実施形態9:繊維束が、両方の端部で、シーリング内に埋め込まれる、実施形態8の製剤充填装置。
【0102】
実施形態10:繊維束の端部が、接続ポートに接続される、実施形態8または9の製剤充填装置。
【0103】
実施形態11:中空繊維膜モジュールが、少なくとも1つのハウジングを備え、ハウジングが、その中に配置される中空繊維を有する、実施形態7~10のいずれか1つの製剤充填装置。
【0104】
実施形態12:中空繊維膜モジュールが、中空繊維の第1の端部に接続される少なくとも1つの繊維入口ポートと、中空繊維の第2の端部に接続される少なくとも1つの繊維出口ポートと、少なくとも1つのハウジング入口ポートおよび少なくとも1つのハウジング出口ポートとを備え、ハウジング入口ポートおよびハウジング出口ポートがいずれも、中空繊維とハウジングの壁との間の、ハウジング内部の少なくとも1つの内部空間に接続される、実施形態11の製剤充填装置。
【0105】
実施形態13:中空繊維膜モジュールは、
i)繊維入口ポートが直接的にまたは間接的に製剤調製装置に流体的に接続され、繊維出口ポートが直接的にまたは間接的に充填ステーションに流体的に接続されること;または
ii)ハウジング入口ポートが直接的にまたは間接的に製剤調製装置に流体的に接続され、ハウジング出口ポートが直接的にまたは間接的に充填ステーションに流体的に接続されること
からなる群から選択される方法で、製剤調製装置と充填ステーションとの間に流体的に介在する、実施形態12の製剤充填装置。
【0106】
実施形態14:オプションi)が選択され、ハウジング入口ポートおよびハウジング出口ポートの一方または両方が、吸引装置、具体的には、内部空間に対して真空を印加するための吸引装置に接続される、実施形態13の製剤充填装置。
【0107】
実施形態15:オプションii)が選択され、繊維入口ポートおよび繊維出口ポートの一方または両方が、吸引装置、具体的には、中空繊維の内部に対して真空を印加するための吸引装置に接続される、実施形態13または14の製剤充填装置。
【0108】
実施形態16:膜が、ポリジメチルジオキサン(PDMS)、酢酸セルロース(CA)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびシリコーンからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、好ましくは、膜が、シリコーンを含む、実施形態1~15のいずれか1つの製剤充填装置。
【0109】
実施形態17:脱気装置が、製剤調製装置に接続される少なくとも1つの入口ポートと、充填ステーションに接続される少なくとも1つの出口ポートとを有する、実施形態1~16のいずれか1つの製剤充填装置。
【0110】
実施形態18:脱気装置が、インライン式で、製剤調製装置と充填ステーションとの間に介在する、実施形態1~17のいずれか1つの製剤充填装置。
【0111】
実施形態19:製剤調製装置と充填ステーションとの間に流体的に介在する少なくとも1つのインラインフィルタリング装置をさらに備える実施形態1~18のいずれか1つの製剤充填装置。
【0112】
実施形態20:インラインフィルタリング装置が、無菌フィルタ、および任意的には、バイオバーデンを減少させるためのプレフィルタを備える、実施形態19の製剤充填装置。
【0113】
実施形態21:脱気装置が、少なくとも部分的に減菌可能である、実施形態1~20のいずれか1つの製剤充填装置。
【0114】
実施形態22:製剤調製装置から充填ステーションへ製剤を移送するように構成される少なくとも1つの移送システムであって、移送システムが、ガス供給源、ポンプの少なくとも1つを有する、少なくとも1つの移送システムをさらに備える実施形態1~21のいずれか1つの製剤充填装置。
【0115】
実施形態23:製剤調製装置から充填ステーションへ製剤を移送するための圧力が、0.8バール(bar)~1.0バール(bar)である、実施形態22の製剤充填装置。
【0116】
実施形態24:充填ステーションが、液状製剤で充填した後の容器を光学的に検査するための少なくとも1つの検査装置をさらに備える、実施形態1~23のいずれか1つの製剤充填装置。
【0117】
実施形態25:充填ステーションが、不良容器を自動的に識別するための、および、不良容器を自動的に除去するための少なくとも1つのコントローラを有する少なくとも1つの選択装置をさらに備える、実施形態24の製剤充填装置。
【0118】
実施形態26:検査装置が、少なくとも1つのカメラおよび少なくとも1つの画像認識装置を備える、実施形態24または25の製剤充填装置。
【0119】
実施形態27:充填ステーションが、ストッパ、キャップ、特にPlascap(登録商標)、シーリングの少なくとも1つにより容器を閉鎖するための少なくとも1つの閉鎖ステーションをさらに備える、実施形態1~26のいずれか1つの製剤充填装置。
【0120】
実施形態28:閉鎖ステーションが、たとえば、圧着により、ストッパ、キャップ、特にPlascap(登録商標)、シールの少なくとも1つの固定のための少なくとも1つの圧着ステーションをさらに備える、実施形態27の製剤充填装置。
【0121】
実施形態29:製剤調製装置が、少なくとも2つの成分から液状製剤を調製するように構成される、実施形態1~28のいずれか1つの製剤充填装置。
【0122】
実施形態30:製剤調製装置が、製剤の少なくとも2つの成分を混合するための少なくとも1つの混合容器を備える、実施形態1~29のいずれか1つの製剤充填装置。
【0123】
実施形態31:混合容器が、製剤を撹拌するための少なくとも1つの撹拌装置を備える、実施形態30の製剤充填装置。
【0124】
実施形態32:製剤調製装置が、貯蔵容器、輸送容器の少なくとも1つを備え、貯蔵容器および/または輸送容器が、充填ステーションに流体的に接続される、実施形態1~31のいずれか1つの製剤充填装置。
【0125】
実施形態33:貯蔵容器が、製剤の冷却または加熱の一方または両方を行うための少なくとも1つの温度調節装置を備える、実施形態32の製剤充填装置。
【0126】
実施形態34:貯蔵容器が、少なくとも1つのシールドガスを貯蔵容器内に供給するための、および、シールドガス下で製剤を貯蔵するための少なくとも1つのガス供給源を備える、実施形態32または33の製剤充填装置。
【0127】
実施形態35:ガス供給源が、少なくとも1つの窒素供給源を備える、実施形態34の製剤充填装置。
【0128】
実施形態36:製剤が、0.2mPa・s~30mPa・s、好ましくは1mPa・s~20mPa・s、さらに好ましくは1mPa・s~5mPa・s、最も好ましくは1mPa・s~1.5mPa・sの粘度を有する、実施形態1~35のいずれか1つの製剤充填装置。
【0129】
実施形態37:少なくとも1つの膜が、製剤と接触するための接触面積を有し、接触面積のサイズが、10cm2~5m2、好ましくは0.5m2~1.5m2であり、さらに好ましくは接触面積のサイズが、1m2である、実施形態1~36のいずれか1つの製剤充填装置。
【0130】
実施形態38:製剤充填装置が、5L/h~150L/hの、好ましくは60L/h~100L/hの速度、さらに好ましくは70L/h~90L/hの速度で脱気装置を介して製剤を導くように構成される、実施形態1~37のいずれか1つの製剤充填装置。
【0131】
実施形態39:製剤が、0°C~25°Cの温度を有する、実施形態1~38のいずれか1つの製剤充填装置。
【0132】
実施形態40:製剤充填装置が、少なくとも1つの第1のカップリングアクセスおよび少なくとも1つの第2のカップリングアクセスを有するカップリングバウをさらに備え、脱気装置が、第1のカップリングアクセスを介して直接的にまたは間接的に製剤調製装置に流体的に接続可能であり、脱気装置は、第2のカップリングアクセスを介して直接的にまたは間接的に充填ステーションに流体的に接続可能である、実施形態1~39のいずれか1つの製剤充填装置。
【0133】
実施形態41:カップリングバウが、脱気装置を取り付けるための少なくとも1つのホルダをさらに備える、実施形態40の製剤充填装置。
【0134】
実施形態42:少なくとも1つの製剤を容器内に充填する方法であって、
A)少なくとも1つの液状製剤を容器内に充填するように構成される少なくとも1つの製剤充填装置を設けるステップであって、製剤充填装置を設けるステップが:
液状製剤を調製するように構成される少なくとも1つの製剤調製装置を設けること;
液状製剤を容器内に充填するための少なくとも1つの充填ステーションを設けることであって、充填ステーションが、製剤調製装置に流体的に連結される、少なくとも1つの充填ステーションを設けること;
製剤調製装置と充填ステーションとの間に流体的に介在する少なくとも1つの脱気装置を設けることであって、脱気装置が、液状製剤から少なくとも1つのガスを分離するための少なくとも1つの膜を備える、少なくとも1つの脱気装置を設けること
を含む、ステップ;
B)製剤調製装置から充填ステーションへ製剤を導くステップであって、製剤が、脱気装置を通過すると、少なくとも部分的に脱気される、ステップ;および
C)充填ステーションによって、少なくとも部分的に脱気された製剤を容器内に充填するステップ
を含む方法。
【0135】
実施形態43:ステップB)が、
脱気装置を使用して、液状製剤が、膜と第1の側で接触し、膜の対向する第2の側が、第1の側よりも低い圧力に曝露されて、膜に圧力差を印加すること
をさらに含む、実施形態42の方法。
【0136】
実施形態44:脱気装置が、第2の膜に対して真空を印加するための真空源または真空ポートの少なくとも1つを備えることにより、膜に対して圧力差を印加するように構成される、実施形態43の方法。
【0137】
実施形態45:脱気装置が、複数の中空繊維を備える少なくとも1つの中空繊維膜モジュールを備え、中空繊維が、膜により少なくとも部分的に形成される、実施形態42~44のいずれか1つの方法。
【0138】
実施形態46:中空繊維が、繊維束を形成する、実施形態45の方法。
【0139】
実施形態47:ステップB)が、
輸送ガス流を少なくとも部分的に使用することにより、製剤調製装置から充填ステーションへ製剤を導くこと
をさらに含む方法。
【0140】
実施形態48:輸送ガスが、窒素である、実施形態47の方法。
【0141】
実施形態49:実施形態1~41のいずれか1つの製剤充填装置が使用される、実施形態42~48のいずれか1つの方法。
【0142】
実施形態50:容器内の液状製剤の充填重量の精度が向上させられる、実施形態42~49のいずれか1つの方法。
【0143】
実施形態51:液状製剤中の少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分の安定性が向上させられる、実施形態42~50のいずれか1つの方法。
【0144】
実施形態52:液状製剤中のポリソルベート凝集体形成が減少させられる、実施形態42~51のいずれか1つの方法。
【0145】
実施形態53:容器内の液状製剤の充填重量の精度を向上させる方法であって、上記方法が、
I.少なくとも1つの液状製剤を調製するステップ;
II.脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップ;
III.脱気された液状製剤を容器内に充填するステップ
を含む、方法。
【0146】
実施形態54:上記方法が、実施形態1~41のいずれか1つに記載の脱気装置を使用することを含む、実施形態53の方法。
【0147】
実施形態55:上記方法が、実施形態1~41のいずれか1つの製剤充填装置を使用することを含む、実施形態53または54の方法。
【0148】
実施形態56:液状製剤、具体的には、容器内の液状製剤中の少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質の安定性を向上させる方法であって、上記方法が:
α.少なくとも1つの液状製剤を調製するステップであって、液状製剤が、少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質を含む、ステップ;および
β.脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップ
を含む、方法。
【0149】
実施形態57:上記方法が、実施形態1~41のいずれか1つに記載の脱気装置を使用することを含む、実施形態56の方法。
【0150】
実施形態58:上記方法が、実施形態1~41のいずれか1つの製剤充填装置を使用することを含む、実施形態56または57の方法。
【0151】
実施形態59:
γ.脱気された液状製剤を少なくとも1つの容器内に充填するステップ
をさらに含む実施形態56~58のいずれか1つの方法。
【0152】
実施形態60:液状製剤、具体的には容器内の液状製剤中のポリソルベート凝集体形成を減少させる方法であって、上記方法が、
X.少なくとも1つの液状製剤を調製するステップであって、液状製剤が、少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分、特にタンパク質、および、少なくとも1つのポリソルベートを含む、ステップ;および
Y.脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップ
を含む、方法。
【0153】
実施形態61:上記方法が、実施形態1~41のいずれか1つに記載の脱気装置を使用することを含む、実施形態60の方法。
【0154】
実施形態62:上記方法が、実施形態1~41のいずれか1つの製剤充填装置を使用することを含む、実施形態60または61の方法。
【0155】
実施形態63:
Z.脱気された液状製剤を少なくとも1つの容器内に充填するステップ
をさらに含む実施形態60~62のいずれか1つの方法。
【図面の簡単な説明】
【0156】
さらなる任意的な特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項に関して、実施形態の、次の説明においてさらに詳細に開示するものとする。その中では、それぞれの任意的な特徴は、当業者が認識するように、単独で、および、いずれの任意の実現可能な組み合わせにおいても実現され得る。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されるものでない。実施形態は、図中で概略的に描いている。その中では、これらの図中の同一の参照符号は、同一の、または機能的に同等の要素を表す。
【0157】
図1A】カップリングバウを備える製剤充填装置の断面図を示す。
図1B】カップリングバウのホルダ内に挿入された脱気装置の断面図を示す。
図2A】脱気装置の分解図を示す。
図2B】脱気装置が備える繊維束の中空繊維の詳細図を示す。
図3】脱気装置のさらなる図を示す。
図4】脱気装置により、液状製剤から酸素を分離する機能を試験するための実験装置を示す。
図5A】製剤の異なる流量について、時間の関数として製剤中の酸素含有量を示す測定図を示す。
図5B】製剤の異なる流量について、時間の関数として製剤中の酸素含有量を示す測定図を示す。
図5C】製剤の異なる流量について、時間の関数として製剤中の酸素含有量を示す測定図を示す。
図5D】製剤の流速の関数としての酸素分離効率を示す測定図を示す。
図6】製剤を容器内に充填する方法を示す。
図7】容器内の液状製剤の充填重量の精度を向上させる方法を示す。
図8】液状製剤中の酸素感受性医薬品有効成分の安定性を向上させる方法を示す。
図9】液状製剤中のポリソルベート凝集体形成の形成を減少させる方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0158】
図1Aは、少なくとも1つの液状製剤を容器内に充填するように構成された製剤充填装置110の断面図を示す。製剤充填装置110は、少なくとも1つの製剤調製装置112を備え、製剤調製装置112は、液状製剤を調製するように構成されている。製剤充填装置110は、液状製剤を容器内に充填するための少なくとも1つの充填ステーション114をさらに備え、充填ステーション114は、図1Aにも描かれるように、製剤調製装置112に流体的に連結されている。図1Aにさらに示すように、製剤充填装置114は、少なくとも1つの脱気装置116をさらに備え、脱気装置116は、製剤調製装置112と充填ステーション114との間に流体的に介在している。脱気装置116は、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離するための少なくとも1つの膜118を備える。図1Aにも示すように、製剤充填装置110は、少なくとも1つの第1のカップリングアクセス122および少なくとも1つの第2のカップリングアクセス124を有するカップリングバウ120をさらに備え得るが、脱気装置116は、第1のカップリングアクセス122を介して製剤調製装置112に流体的に接続可能であり、脱気装置116は、第2のカップリングアクセス124を介して充填ステーション114に流体的に接続可能であり得る。
【0159】
図1Bは、カップリングバウ120の詳細図を示す。図に見られるように、脱気装置は、第1の可撓管126により、第1のカップリングアクセス122に流体的に接続され、脱気装置は、第2の可撓管128により、第2のカップリングアクセス124に流体的に接続され得る。よって、脱気装置116は間接的に、製剤調製装置112および充填ステーション114に流体的に連結され得るが、製剤調製装置112との間接的な流体的接続は、少なくとも第1のカップリングアクセス122および第1の可撓管126により確立され、充填ステーション114との間接的な流体的接続は、少なくとも第2のカップリングアクセス124および第2の可撓管128により確立され得る。カップリングバウ120は、脱気装置116を取り付けるための少なくとも1つのホルダ130をさらに備え得る。付加的に、または代替的に、製剤充填装置110、特に製剤調製装置112および/または充填ステーション114は、脱気装置116を取り付けるためのホルダ130を備え得る(図示せず)。特に、ホルダ130は、たとえば図1Bに示すように、脱気装置116を取り外し可能に受容するように構成され得る。特に、脱気装置は、中空繊維膜モジュールPDMSXA-2500および/または中空繊維膜モジュールPSMSXA-1.0などの、メドアレイ社(MedArray, Inc.)(アメリカ合衆国、48108 ミシガン州、アンアーバー)から入手可能なパームセレクト(PermSelect)(登録商標)シリコーン膜モジュールであってもよく、またはそれを備えてもよい。
【0160】
図2Aは脱気装置116の分解図を示す。脱気装置116は、液状製剤からガスを分離するための少なくとも1つの膜118を備える。具体的には、膜は、ポリジメチルジオキサン(PDMS)、酢酸セルロース(CA)、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびシリコーンからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含んでもよく、好ましくは、膜はシリコーンを含む。特に、膜は、25μm~100μm、好ましくは40μm~70μm、さらに好ましくは55μmの厚さを有し得る。図2Aに描くように、脱気装置116は具体的には、複数の中空繊維134を備える少なくとも1つの中空繊維膜モジュール132を備えてもよく、中空繊維134は、膜118により少なくとも部分的に形成される。具体的には、中空繊維134は内径および外径を有し得るが、内径は50μm~800μm、好ましくは150μm~250μmの値、さらに好ましくは190μmの値を有し、外径は75μm~900μm、好ましくは150μm~450μmの値、さらに好ましくは300μmの値を有し得る。特に、膜の厚さは55μmであってもよく、中空繊維134の内径は190μmであってもよく、中空繊維134の外径は300μmであってもよい。中空繊維134は少なくとも部分的に、内部空間もしくはルーメン135を画定し、またはそれを備え得る。特に、中空繊維134の内部空間またはルーメン135は、中空繊維134の内部とも呼ばれ得る。さらに、中空繊維膜モジュール132の複数の中空繊維134は、30~30000という数の中空繊維134を備え得る。中空繊維膜モジュール132の中空繊維134の数は特に、中空繊維膜モジュール132のサイズに、特に膜118の全体面積に、すなわち、中空繊維膜モジュール132内の中空繊維134すべての膜118の面積の和に、および/または中空繊維膜モジュール132の断面積であって、断面積が、中空繊維膜モジュール132の主延在方向に対して、特に長さに対して垂直であり得る、中空繊維膜モジュール132の断面積に依存し得る。
【0161】
例として、膜118の単位面積毎の繊維カウントは、1.0~4.0fibers/cm2、たとえば1~3fibers/cm2、好ましくは1~1.5fibers/cm2、さらに好ましくは1.26~1.42fibers/cm2の範囲内にあり得る。付加的に、または代替的に、中空繊維膜モジュール132の断面積単位毎の中空繊維134の数、具体的には、繊維カウントは、40cm-2~500cm-2、たとえば42cm-2~483cm-2などの20cm-2~800cm-2であり得る。特に、中空繊維膜モジュール132の断面積単位毎の中空繊維134の数は、20cm-2~800cm-2、好ましくは40cm-2~570cm-2であり得る。
【0162】
さらに、中空繊維134は、10cm~16cm、好ましくは10cm~15cm、さらに好ましくは10cm~12cmの長さを有し得る。さらに、中空繊維膜モジュール132は、10cm~16cm、好ましくは10cm~16cm、さらに好ましくは11cm~15cm、最も好ましくは14cmの長さを有し得る。図2Aは、中空繊維134が具体的には、繊維束136を形成し得ることをさらに示す。特に、繊維束136は、両方の端部で、シーリング138内に埋め込まれ得る。さらに、繊維束136の端部は、図2Aに示すように、接続ポート140に接続され得る。中空繊維膜モジュール132は、少なくとも1つのハウジング142をさらに備え得るが、ハウジング142は、その中に配置された中空繊維134を有する。さらに、中空繊維膜モジュール132は、中空繊維の第1の端部に接続される少なくとも1つの繊維入口ポートと、中空繊維の第2の端部に接続される少なくとも1つの繊維出口ポートと、少なくとも1つのハウジング入口ポートおよび少なくとも1つのハウジング出口ポートとを備え得るが、ハウジング入力ポートおよびハウジング出口ポートがいずれも、中空繊維とハウジングの壁との間のハウジング内部の少なくとも1つの内部空間に接続され得る。
【0163】
流体、特にガスまたは液体は、繊維入口ポートを介して繊維内に導入され得る。特に、流体がガスである場合、繊維入口ポートは、繊維出口ポートとしても使用され得る。よって、以下にさらに説明するように、繊維入口ポートおよび繊維出口ポートの一方または両方を吸引装置に接続することにより、真空が、中空繊維の内部に対して印加され得る。
【0164】
流体、特にガスまたは液体は、繊維入口ポートを介してハウジングの内部空間内に導入され得る。特に、流体がガスである場合、ハウジング入口ポートは、ハウジング出口ポートとしても使用され得る。よって、以下にさらに説明するように、ハウジング入口ポートおよびハウジング出口ポートの一方または両方を吸引装置に接続することにより、真空が、内部空間に対して印加され得る。
【0165】
ハウジングの内部空間に含まれる流体、特にガスまたは液体は、ハウジング出口ポートを介してハウジングの内部空間から搬出され得る。
【0166】
図2Bは、脱気装置116が備える繊維束136の中空繊維134の詳細図を示す。脱気装置116は特に、液状製剤が、膜と第1の側144で接触し、膜118の対向する第2の側146が、第1の側144よりも低い圧力に曝露されて、膜118に圧力差を印加するように構成され得る。よって、圧力差は、第1の側144に対する圧力の大きさと、第2の側146に対する圧力の大きさとの間の差であり得る。具体的には、膜118の圧力差は、0.1バール(bar)~3.0バール(bar)、好ましくは0.6バール(bar)~1.0バール(bar)、さらに好ましくは0.8バール(bar)であり得る。さらに、脱気装置116は、第2の側146に対して真空を印加するための真空源(図示せず)または真空ポート148の少なくとも1つを備え得る。具体的には、真空源は少なくとも1つのポンプを備え得る。特に、第2の側146に対して印加される真空の絶対値は、0.010~0.900バール(bar)、好ましくは0.010~0.020バール(bar)、さらに好ましくは0.015バール(bar)であり得る。図2Bでは、実線矢印は、少なくとも部分的に脱気されるように中空繊維134を介して誘導されるために繊維入口ポート150を介して脱気装置116に入り得る液状製剤の運動の方向を示す。実線矢印によって示すように、液状製剤は次に、少なくとも部分的に脱気されて、繊維出口ポート152を介して中空繊維膜モジュール132を出得る。よって、繊維束136の一方側の端部に接続された接続ポート140は繊維入口ポート150として実現され、繊維束136の他方側の端部における接続ポート140は繊維出口ポート152として実現され得る。さらに、繊維入口ポート150は製剤調製装置に接続され、繊維出口ポートは充填ステーション(図2Bに示していない)に接続され得る。破線矢印は、脱気装置116により、液状製剤から分離される少なくとも1つのガスの運動の方向を示す。具体的には、脱気装置116内の製剤は、0.1バール(bar)~3.0バール(bar)、好ましくは0.6バール(bar)~1.0バール(bar)、さらに好ましくは0.8バール(bar)の絶対圧力を有し得る。さらに、中空繊維膜モジュール132は、少なくとも1つのハウジング入口ポートおよび少なくとも1つのハウジング出口ポートを備え得るが、ハウジング入口ポートおよびハウジング出口ポートがいずれも、中空繊維134とハウジング142の壁156との間の、ハウジング142内の少なくとも1つの内部空間154に接続される。
【0167】
図3は、脱気装置116のさらなる図を示す。脱気装置116は、製剤調製装置112と充填ステーション114との間に流体的に介在している。具体的には、中空繊維膜モジュール132は、
i)繊維入口ポート150が直接的にまたは間接的に製剤調製装置112に流体的に接続され、繊維出口ポート152が直接的にまたは間接的に充填ステーション114に流体的に接続され得ること;または
ii)ハウジング入口ポートが直接的にまたは間接的に製剤調製装置に流体的に接続され、ハウジング出口ポートが直接的にまたは間接的に充填ステーション(図示せず)に流体的に接続され得ること
からなる群から選択される方法で、製剤調製装置112と充填ステーション114との間に流体的に介在し得る。
【0168】
図3は、脱気装置116に特に注意を払った、オプションi)の断面図を示す。図3および2Bに示すように、繊維束136の一方側の端部に接続された接続ポート140は繊維入口ポート150として実現され、繊維束136の他方側の端部における接続ポート140は繊維出口ポート152として実現され得る。繰り返しになるが、破線矢印は、脱気装置116により液状製剤から分離される少なくとも1つのガスの運動の方向を示す。図3に描いた場合では、液状製剤は、中空繊維134のルーメン135を通って流れ、液状製剤から分離されたガスは、真空ポート148を介して廃棄され得る。オプションii)が選ばれた場合(図示せず)、液状製剤は、ハウジング142の内部空間154を通って流れ得る。よって、オプションii)の場合、図3に示す真空ポート148は、ハウジング入口ポートおよびハウジング出口ポートそれぞれとして使用され、接続ポート140は、真空ポート148として使用され得る。さらなる開口157は、オプションi)およびオプションii)のいずれにおいても閉鎖されたままであり得る。
【0169】
図4は、脱気装置116により、液状製剤から、例示的なガスとしての酸素を分離する機能を試験するための実験装置158を示す。実験装置158は、液状製剤の貯蔵槽160と回収容器162との間に流体的に介在する脱気装置116を備える。窒素ガスが、少なくとも1つの送達管164を介して脱気装置116へ製剤を送達するのに必要な圧力を発生させるために貯蔵槽へ少なくとも1つの窒素供給管163を介して誘導される。窒素供給管163内の窒素の圧力は、減圧器165により、調整可能である。流量計166は、送達管164を介した、製剤の時間単位毎の体積流量を判定する。圧力伝送器168は、送達管164内の圧力を監視する。脱気装置116は、少なくとも部分的に脱気された製剤を容器162へ誘導する少なくとも1つの受容管170を介して回収容器162にさらに接続される。酸素計173に接続された酸素センサ172は、受容管170内の少なくとも部分的に脱気された液状製剤の酸素含有量を判定する。膜118の第2の側146が膜118の第1の側144よりも低い圧力に曝露されるように、少なくともペリスタルティックポンプ176とともに少なくとも1つの真空ポンプ174により、真空が印加される。実験装置158は、真空コントローラ178、真空貯蔵槽180、および電源182をさらに備える。実験装置158は、図4に示していない、および/または、言及も説明もしていないさらなる要素を備えていてもよい。
【0170】
図示していないさらなる実験装置158が、製剤充填装置のさらなる態様を調査し、および/または評価するために使用される。特に、液状製剤の少なくとも1つの有効成分の濃度に対する脱気装置の影響が、たとえば、回収された水を捕捉し得るコールドトラップを使用することにより、調査され得る。
【0171】
図5A、5B、および5Cは、時間(単位:秒)186の関数として、左のx軸上の、液状製剤の酸素含有量(単位:%)184をプロットした測定図を示す。その中の酸素含有量の開始値は任意に100%に設定される。真空が印加される時点は、垂直な直線で区切られる。右側のx軸は、酸素含有量(単位:mg/L)188を示す。図5A、5B、および5Cはすべて、膜118の第2の側に対して印加された100ミリバール(mbar)の真空、および10L/h(5A)、20L/h(5B)、および40L/h(5C)という異なる流速を備えた実験装置を表す。図5A、5B、および5C中の測定図は、流速すべてについて、時間の関数として液状製剤が含む酸素含有量における減少を示す。図5Dは、体積流量に応じて約80%~90%の酸素分離効率を示す、製剤の体積流量(単位:L/h)の関数としての酸素分離効率190を示す。
【0172】
本発明の第2の態様では、少なくとも1つの製剤を容器内に充填する方法を開示する。上記方法は、以下に開示されるステップを含む。ステップは具体的には、所与の順序で実施され得る。それでも、異なる順序も可能である。方法は、言及されていないさらなるステップを含み得る。さらに、方法ステップのうちの1つまたは複数を繰り返し実施することも可能である。さらに、方法ステップのうちの2つ以上が、時間的に重複する方法で、または同時に実施され得る。
【0173】
図6に示すように、方法は、第1のステップA)(方法ステップ194)において、少なくとも1つの製剤を容器内に充填するように構成される少なくとも1つの製剤充填装置110を設けるステップを含み、製剤充填装置を設けるステップが、液状製剤を調製するように構成される少なくとも1つの製剤調製装置112を設けるサブステップ(サブステップ196)と、液状製剤を容器内に充填するための少なくとも1つの充填ステーション114を設けるサブステップであって、充填ステーションが、製剤調製装置112に流体的に連結される、サブステップ(サブステップ198)と、製剤調製装置112と充填ステーション114との間に流体的に介在する少なくとも1つの脱気装置116を設けるサブステップであって、脱気装置116が、液状製剤から少なくとも1つのガスを分離するための少なくとも1つの膜118を備える、サブステップ(サブステップ200)とを少なくとも含む。方法はさらに、第2のステップB(方法ステップ202)において、製剤調製装置112から充填ステーション114へ製剤を導くステップであって、製剤が、脱気装置116を通過すると、少なくとも部分的に脱気される、ステップを含む。方法はさらに、第3のステップC)(方法ステップ204)において、充填ステーション114により、少なくとも部分的に脱気された製剤を容器内に充填するステップを含む。
【0174】
方法は、図に示していないさらなるステップを含み得る。特に、方法のステップB)(方法ステップ202)は、脱気装置を使用して、液状製剤が、膜と第1の側144で接触し、膜118の対向する第2の側146が、第1の側144よりも低い圧力に曝露されて、膜118に圧力差を印加するステップをさらに含み得る。特に、ステップA)において設けられた脱気装置116は、第2の側146に対して真空を印加するための真空源または真空ポート148の少なくとも1つを備えることにより、膜118に圧力差を印加するように構成され得る。脱気装置116は、複数の中空繊維134を備える少なくとも1つの中空繊維膜モジュール132を備え得るが、中空繊維134は、膜118により少なくとも部分的に形成される。
【0175】
中空繊維134は、繊維束136を形成し得る。さらに、ステップB)は具体的には、輸送ガス流および/またはポンプを少なくとも部分的に使用することにより、製剤調製装置112から充填ステーション114へ製剤を導くステップを含み得る。特に、輸送ガスは窒素であり得る。さらに、ステップA)(方法ステップ194)において設けられる製剤充填装置110は具体的には、上述した、または以下にさらに説明する製剤充填装置110であり得る。それでも、他の実施形態も実現可能である。
【0176】
本発明の第3の態様では、容器内の液状製剤の充填重量の精度を向上させる方法を開示する。方法は、以下に開示されるステップを含む。ステップは具体的には所与の順序で実施され得る。それでも、異なる順序も可能である。方法は言及されていないさらなるステップを含み得る。さらに、方法ステップのうちの1つまたは複数を繰り返し実施することも可能である。さらに、方法ステップのうちの2つ以上が、時間的に重複する方法で、または同時に実施され得る。
【0177】
図7に示すように、方法は、第1のステップI.(方法ステップ205)において、少なくとも1つの液状製剤を調製するステップを含む。方法は、第2のステップII.(方法ステップ206)において、脱気装置116を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置116が、少なくとも1つの膜118を備える、ステップをさらに含む。方法は、第3のステップ(方法ステップ207)において、脱気された液状製剤を容器内に充填するステップをさらに含む。
【0178】
本発明の第4の態様では、液状製剤中の、具体的には容器内の液状製剤中の、タンパク質などの酸素感受性医薬品有効成分の安定性を向上させる方法を開示する。方法は、以下に開示されるステップを含む。ステップは具体的には所与の順序で実施され得る。それでも、異なる順序も可能である。方法は、言及されていないさらなるステップを含み得る。さらに、方法ステップのうちの1つまたは複数を繰り返し実施することも可能である。さらに、方法ステップのうちの2つ以上が、時間的に重複する方法で、または同時に実施され得る。
【0179】
図8に示すように、方法は、第1のステップα.(方法ステップ208)において、少なくとも1つの液状製剤を調製するステップであって、液状製剤が、タンパク質などの少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分を含む、ステップを含む。方法は、第2のステップβ.(方法ステップ210)において、脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップをさらに含む。方法は、第3のステップ(方法ステップ212)において、脱気された液状製剤を少なくとも1つの容器内に充填するステップをさらに含み得る。方法は具体的には、上述した、または以下にさらに説明する脱気装置を使用することを含み得る。さらに、方法は特に、上述した、または以下にさらに説明する製剤充填装置を使用することを含み得る。
【0180】
本発明の第5の態様では、液状製剤、具体的には容器内の液状製剤中のポリソルベート凝集体形成の形成を減少させる方法を説明する。方法は、以下に開示されるステップを含む。ステップは具体的には所与の順序で実施され得る。それでも、異なる順序も可能である。方法は、言及されていないさらなるステップを含み得る。さらに、方法ステップのうちの1つまたは複数を繰り返し実施することも可能である。さらに、方法ステップのうちの2つ以上が、時間的に重複する方法で、または同時に実施され得る。
【0181】
図9に示すように、方法は、第1のステップ(方法ステップ214)において、少なくとも1つの液状製剤を調製するステップであって、液状製剤が、タンパク質などの少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分、および少なくとも1つのポリソルベートを含む、ステップを含む。方法は、第2のステップ(方法ステップ216)において、脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップをさらに含む。方法は、第3のステップ(方法ステップ218)において、脱気された液状製剤を少なくとも1つの容器内に充填するステップをさらに含み得る。方法は具体的に、上述した、または以下にさらに説明する脱気装置を使用することをさらに含み得る。さらに、方法は特に、上述した、または以下にさらに説明する製剤充填装置を使用することを含み得る。
【符号の説明】
【0182】
110 製剤充填装置
112 製剤調製装置
114 充填ステーション
116 脱気装置
118 膜
120 カップリングバウ
122 第1のカップリングアクセス
124 第2のカップリングアクセス
126 第1の可撓管
128 第2の可撓管
130 ホルダ
132 中空繊維膜モジュール
134 中空繊維
135 ルーメン
136 繊維束
138 シーリング
140 接続ポート
142 ハウジング
144 膜の第1の側
146 膜の第2の側
148 真空ポート
150 繊維入口ポート
152 繊維出口ポート
154 内部空間
156 壁
157 さらなる開口
158 実験装置
160 貯蔵槽
162 回収容器
163 窒素供給管
164 送達管
165 減圧器
166 流量計
168 圧力伝送器
170 受容管
172 酸素センサ
173 酸素計
174 真空ポンプ
176 ペリスタルティックポンプ
178 真空コントローラ
180 真空貯蔵槽
182 電源
184 酸素含有量(単位:%)
186 時間(単位:秒)
188 酸素含有量(単位:mg/L)
190 酸素分離効率
192 体積流量(単位:L/h)
194 少なくとも1つの液状製剤を容器内に充填するように構成される少なくとも1つの製剤充填装置を設けるステップ
196 液状製剤を調製するように構成される少なくとも1つの製剤調製装置を設けるステップ
198 液状製剤を容器内に充填するための少なくとも1つの充填ステーションを設けるステップであって、充填ステーションが、製剤調製装置に流体的に連結される、ステップ
200 製剤調製装置と充填ステーションとの間に流体的に介在する少なくとも1つの脱気装置を設けるステップであって、脱気装置が、液状製剤から少なくとも1つのガスを分離するための少なくとも1つの膜を備える、ステップ
202 製剤調製装置から充填ステーションへ製剤を導くステップであって、製剤が、脱気装置を通過すると、少なくとも部分的に脱気される、ステップ
204 充填ステーションにより、少なくとも部分的に脱気された製剤を容器内に充填するステップ
205 少なくとも1つの液状製剤を調製するステップ
206 脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップ
207 脱気された液状製剤を容器内に充填するステップ
208 少なくとも1つの液状製剤を調製するステップであって、液状製剤が、少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分を含む、ステップ
210 脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップ
212 脱気された液状製剤を少なくとも1つの容器内に充填するステップ
214 少なくとも1つの液状製剤を調製するステップであって、液状製剤が、少なくとも1つの酸素感受性医薬品有効成分、および少なくとも1つのポリソルベートを含む、ステップ
216 脱気装置を使用することにより、液状製剤から少なくとも1つのガスを少なくとも部分的に分離することにより、液状製剤を脱気するステップであって、脱気装置が、少なくとも1つの膜を備える、ステップ
218 脱気された液状製剤を少なくとも1つの容器内に充填するステップ
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9