(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】エアロゾル発生フィルム
(51)【国際特許分類】
A24B 15/167 20200101AFI20241203BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241203BHJP
【FI】
A24B15/167
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2021554686
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2020057520
(87)【国際公開番号】W WO2020207735
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-08
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】カペリ セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】フォルマー ジャン-イヴ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0199617(US,A1)
【文献】国際公開第2017/174595(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/122095(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106174694(CN,A)
【文献】特表2017-538410(JP,A)
【文献】特開2019-000095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/167
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1重量パーセント未満のたばこ含有量を有するエアロゾル発生フィルムであって、
セルロース系フィルム形成剤と、
非セルロース系増粘剤と、
水と、
ニコチンと、
多価アルコールと、を含み、
前記セルロース系フィルム形成剤の含有量が少なくとも14重量パーセントの重量であり、かつ26重量パーセント以下であり、
前記水の含有量が30重量パーセント未満であり、かつ前記多価アルコールの含有量が少なくとも30重量パーセントである、エアロゾル発生フィルム。
【請求項2】
前記多価アルコールの含有量が少なくとも40重量パーセントである、請求項1に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項3】
前記セルロース系フィルム形成剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1または2に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項4】
前記
非セルロース系増粘剤の含有量が1重量パーセント~10重量パーセントである、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項5】
前記非セルロース系増粘剤が、寒天、キサンタンガム、アルギネート、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項6】
少なくとも3重量パーセントの前記非セルロース系増粘剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項7】
前記多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項8】
カンナビノイド化合物をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項9】
非たばこ植物材料または植物抽出物をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項10】
酸をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項11】
前記酸が乳酸またはレブリン酸である、請求項10に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項12】
風味剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項13】
14重量パーセント~26重量パーセントのHPMCと、
3重量パーセント~6重量パーセントの寒天と、
0.5重量パーセント~4重量パーセントのニコチンと、
0.25重量パーセント~3重量パーセントの酸と、
44重量パーセント~60重量パーセントのグリセリンと、
0重量パーセント~2重量パーセントの風味剤と、
残部の水と、から成る、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項14】
前記エアロゾル発生フィルムが、1ミリメートル未満の厚さを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項15】
前記エアロゾル発生フィルムが少なくとも0.1ミリメートルの厚さを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルム。
【請求項16】
加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するための物品中でのエアロゾル発生基体としての、
請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルムの使用。
【請求項17】
加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生物品であって、請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル発生フィルムを含むエアロゾル発生基体を含む、エアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生フィルムに関する。本発明によるエアロゾル発生フィルムは、加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生基体としての用途がある場合があり、従って、エアロゾル発生物品の構成要素として使用される場合がある。
【背景技術】
【0002】
ニコチン含有基体またはたばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が、その中で燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で公知である。典型的に、こうした加熱式喫煙物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって発生され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源と接触して、または熱源内に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置してもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、そしてエアロゾル発生物品を通して引き出される空気中に同伴される。放出された化合物は冷えるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
数多くの先行技術文書は、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置を開示している。こうした装置としては、例えば、エアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱の伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式のエアロゾル発生装置が挙げられる。
【0004】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体は、過去にしばしば、たばこ材料のランダムに配向された断片、ストランド、または細片を使用して生産されてきた。代替として、たばこ材料のシートの集合体から形成された、加熱式エアロゾル発生物品用のロッドは、一例として、国際特許出願第2012/164009号に開示されている。
【0005】
国際特許出願第2011/101164号は、均質化したたばこ材料のストランドから形成された、加熱式エアロゾル発生物品用の代替的なロッドを開示し、これは均質化したたばこ材料シートを形成するために、粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物のキャスティング、圧延、カレンダー加工、または押出成形によって形成されてもよい。代替的な実施形態では、国際特許公開公報第2011/101164号のロッドは、粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物を押出成形して、均質化したたばこ材料の連続的な長さを形成することによって得られた均質化したたばこ材料のストランドから形成されてもよい。
【0006】
ニコチンを含む基体の代替形態も開示されている。一例として、しばしばeリキッドと呼ばれる液体ニコチン組成物が提案されてきた。これらの液体組成物は、例えば、エアロゾル発生装置のコイル状電気抵抗フィラメントによって加熱されてもよい。
【0007】
このタイプの基体は、望ましくない漏れを防止するために、液体組成物を保持する容器の製造に特有の注意を必要とする場合がある。この問題に対処し、かつ全体的な製造プロセスを簡略化するために、加熱に伴いニコチン含有エアロゾルを生成するニコチンを含むゲル組成物を提供することも提案されている。一例として、国際特許公開公報第2018/019543号は、熱可逆性ゲル組成物、すなわち、溶融温度へと加熱したときに流体となり、またゲル化温度で再度ゲルへと固まるゲルを開示している。ゲルは、カートリッジのハウジング内に提供され、またカートリッジは、ゲルが消費されたときに廃棄され、そして交換されてもよい。
【0008】
ゲル組成物が使用中に満足のいく量のエアロゾルを生成するためには、ゲル組成物が、かなりの量のエアロゾル形成体(グリセロールなど)を含むことが望ましい。しかしながら、グリセロールの可塑化の性質に起因して、使用中に良好なエアロゾル送達を提供するゲル組成物、そしてこれは、同時に、幾何学的に安定な、すなわち、ゲル組成物が固化しかつフィルム形態へと定着するにつれて著しく収縮しないゲル組成物を提供することは、困難である場合がある。
【0009】
それ故に、改善された幾何学的安定性を有する代替的なエアロゾル発生フィルムを提供することが望ましいことになる。また、調製が簡単であり、かつ支持された、および支持されていないなどの様々な形態で提供される代替的なエアロゾル発生フィルムを提供することも望ましいことになる。加えて、エアロゾル発生物品内のエアロゾル発生基体として順調に使用することができ、かつ使用後に廃棄するのがより簡単であるか、または環境への影響が低減されるように、高いエアロゾル形成体含有量を有するエアロゾル発生フィルムを提供することが望ましいことになる。また、エアロゾル送達のより簡単な調整を可能にするような代替的なエアロゾル発生フィルムを提供することも望ましいことになる。
【発明の概要】
【0010】
それ故に、本発明はエアロゾル発生フィルムに関する。エアロゾル発生フィルムは、セルロース系フィルム形成剤を含んでもよい。エアロゾル発生フィルムは、非セルロース系増粘剤をさらに含んでもよい。エアロゾル発生フィルムはまた、水を含んでもよい。エアロゾル発生フィルムは、多価アルコールを含んでもよい。水の含有量は、約30重量パーセント以下であってもよい。多価アルコールの含有量は、少なくとも約25重量パーセントであってもよい。
【0011】
本発明の態様によれば、セルロース系フィルム形成剤、非セルロース系増粘剤、水、および多価アルコールを含むエアロゾル発生フィルムが提供される。水の含有量は、約30重量パーセント以下であり、また多価アルコールの含有量は、少なくとも約25重量パーセントである。
【0012】
本発明の別の態様によれば、加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するための物品において上記に提示したようなフィルムの使用が提供される。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生物品が提供され、この物品は、上記に提示したようなフィルムを含むエアロゾル発生基体を含む。
【0014】
これに関連して、本発明はまた、一つのこうしたエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生装置と、電源および制御回路を備えるエアロゾル発生装置とを含むシステムにも関する。一例として、エアロゾル発生装置は、フィルムを含むエアロゾル発生基体を加熱するための内部ヒーター要素を有する電気加熱式のエアロゾル発生装置であってもよい。
【0015】
エアロゾル発生システムは、有利なことに、エアロゾル発生フィルムを含む消耗品のエアロゾル発生物品、および電源および制御回路を備える再使用可能なエアロゾル発生装置を含んでもよい。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生フィルムを含むエアロゾル発生物品と、ヒーター組立品、電源、および制御回路を備えるエアロゾル発生装置と、を備えてもよい。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生フィルムおよびヒーター組立品を含むエアロゾル発生物品と、電源および制御回路を備えるエアロゾル発生装置と、を備えてもよい。
【0016】
当然のことながら、本発明の一態様に関して説明した任意の特徴は、本発明の任意の他の態様にも等しく適用可能である。
【0017】
本明細書で使用される場合、「フィルム」という用語は、その幅または長さより小さい厚さを有する固体の層状要素を記述するために使用される。
【0018】
フィルムは、自己支持型であってもよい。言い換えれば、フィルムは、支持面上にフィルム形成製剤をキャストすることによって得られる場合でさえも、フィルムを支持面から分離することができるような、凝集特性および機械的特性を有してもよい。
【0019】
別の方法として、フィルムは、支持体上に配置されてもよく、または他の材料の間に挟まれてもよい。これは、フィルムの機械的安定性を強化する場合がある。
【0020】
本発明の文脈では、「セルロース系フィルム形成剤」という用語は、それ自体、または補助増粘剤の存在下で連続的なフィルムを形成する能力を有するセルロース系ポリマーを記述するために使用される。
【0021】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「非セルロース系増粘剤」という用語は、水性または非水性の液体組成物に添加されたときに、液体組成物のその他の特性を実質的に改変することなく、液体組成物の粘度を増加させる非セルロース物質を記述するために使用される。増粘剤は、安定性を増加させ、かつ液体組成物中での成分の懸濁を改善する場合がある。増粘剤はまた、「濃厚剤」または「レオロジー調整剤」とも呼ばれる場合がある。
【0022】
「エアロゾル発生物品」という用語は本明細書において、エアロゾル発生基体が加熱されてエアロゾルを発生し、かつ消費者に送達する物品を意味するために使用される。本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する基体を意味する。
【0023】
従来の紙巻たばこは、ユーザーが炎を紙巻たばこの一方の端に付け、もう一方の端を通して空気を吸う時に点火される。炎と紙巻たばこを通して引き出された空気中の酸素とによってもたらされた局在化した熱は、紙巻たばこの端に着火して、その結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。これに反して、加熱式エアロゾル発生物品では、エアロゾルは、たばこ由来の基体またはエアロゾル形成体および風味剤を含有する基体などの風味発生基体を加熱することによって発生する。
【0024】
公知の加熱式エアロゾル発生物品としては、例えば、電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源から、物理的に分離されたエアロゾル形成材料への熱の伝達によってエアロゾルを発生するエアロゾル発生物品とが挙げられる。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、フィルムへと熱を供給するように適合されている内部ヒーターブレードを有する電気加熱式のエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムにおいて特定の用途を見出す場合がある。
【0025】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾルを発生するための本発明によるエアロゾル発生フィルムと相互作用してエアロゾルを発生するヒーター要素を備える装置を指す。使用中、揮発性化合物は、熱伝達によってエアロゾル発生フィルムから放出され、そしてエアロゾル発生物品を通して引き出される空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成し、これを消費者が吸い込む。
【0026】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体は典型的に、「エアロゾル形成体」、すなわち使用時にエアロゾルの形成を容易にし、かつ好ましくはエアロゾル発生物品の使用温度で熱分解に対して実質的に耐性がある化合物または化合物の混合物を含む。適切なエアロゾル形成体の例としては、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられる。
【0027】
本発明のエアロゾル発生フィルム中の多価アルコールはまた、上記に提示した意味の範囲内のエアロゾル形成体でもある。
【0028】
本明細書では、「フィルムの露出表面積」という用語は、使用中に、フィルムを含有するエアロゾル発生物品を通して気体状の気流に曝露される場合がある、本発明によるエアロゾル発生フィルムの様々な表面の累積表面積を意味するために使用される。
【0029】
「フィルムの厚さ」という用語は、本明細書において、フィルムの対向する実質的に平行な表面の間で測定された最小距離を意味するために使用される。
【0030】
エアロゾル発生フィルムの厚さは、水の喪失にもかかわらず、乾燥中にキャストまたは押出成形されたフィルム形成組成物は実質的に収縮しないため、対応するフィルム形成組成物がキャストまたは押出成形された厚さに実質的に対応する場合がある。
【0031】
本発明による「フィルムの重量」は、一般的に、対応するフィルム形成組成物の成分の重量から、乾燥工程中に蒸発した水の重量を引いたものに対応する。フィルムが自己支持型である場合、フィルムはそれ自体で秤量することができる。フィルムが支持体上に配置される場合、フィルムおよび支持体が秤量され、そしてフィルムの堆積前に測定された支持体の重量が、フィルムおよび支持体の組み合わされた重量から減算される。
【0032】
別途記載のない限り、本明細書で列挙されるエアロゾル発生フィルムの成分の重量基準の割合(本明細書では「重量パーセント」という表現によって識別される)は、エアロゾル発生フィルムの総重量に基づく。
【0033】
既存のエアロゾル発生フィルムならびに公知の経口溶解性のニコチン含有フィルムとは対照的に、本発明のフィルムでは、セルロース系フィルム形成剤(好ましくはHPMC)は、非セルロース系増粘剤および多価アルコール(好ましくはグリセリン)と組み合わされる。多くの場合、可塑剤としてフィルム形成組成物に含まれる、著しい量の多価アルコール(グリセリンなど)は、支持面上にキャストされ、そして乾燥されてフィルムを形成する場合、組成物の幾何学的安定性に悪影響を与える場合があることが観察されている。発明者らは驚くべきことに、セルロース系フィルム形成剤を非セルロース系増粘剤と組み合わせて使用することは、こうした効果に対抗する場合があり、これにより、高い精度および再現性で所定の幾何学的パラメータ(例えば、厚さ、表面積など)を有するフィルムを形成することがより簡単になることを見出した。
【0034】
特に、下記でより詳細に説明するように、発明者らは驚くべきことに、6重量パーセント以上のセルロース系フィルム形成剤、そして好ましくはHPMCを含むエアロゾル発生フィルムは、特に安定性があることを見出した。それ故に、これらは、相対湿度の10%から60%への変化などの様々な環境条件に曝露されたとき、その形状および質量を実質的に維持する。その結果、上述のようなエアロゾル発生フィルムは、有利なことに、貯蔵中または搬送中に液相を放出しない。
【0035】
さらに、エアロゾル発生装置内で加熱されたとき、本発明によるエアロゾル発生フィルムは、液相を実質的に放出することなく、多価アルコール、および存在する場合には、ニコチンなどのアルカロイド化合物を含有するエアロゾルを放出する場合がある。
【0036】
それ故に、本発明は、有利なことに、ゲル様のテクスチャを有する組成物から出発して、簡単にキャストまたは押出成形および固化することができる、著しい多価アルコール含有量を有するフィルムを提供する。著しい割合の多価アルコール、特にグリセリンをフィルム形態で提供することができ、一方で同時にフィルムの幾何学的形状を微細に制御することができるため、本発明は、有利なことに、エアロゾルを放出するために加熱されるよう設計されたエアロゾル発生物品においてエアロゾル発生基体としての使用を見出しうるフィルムを提供する。
【0037】
加熱に伴い、フィルムの成分のほとんどが本質的に蒸発する。実際には、典型的に、セルロース系フィルム形成剤の一部の残留物のみが使用後に残されることが観察されている。そのため、本発明によるフィルムを含む基体を組み込むエアロゾル発生物品は、廃棄がより容易であり、環境への影響が改善される場合がある。
【0038】
加えて、発明者らは、驚くべきことに、本発明によるフィルムは、これらをエアロゾル発生物品内での自己支持型基体としての使用に適したものとする引張強さの値を示す場合があることを見出した。これはフィルムを多目的なものとし、また有利なことに様々な形状および配設でエアロゾル発生物品内に提供されるように適合させる。
【0039】
フィルムの厚さ、露出表面積、またはニコチンもしくは他のアルカロイドもしくは化合物などの種の含有量、またはフィルム内の植物材料もしくは植物抽出物もしくは風味剤などのパラメータを調整することによって、消費者へのエアロゾル形態での当該種の送達を微細に制御することが可能である。
【0040】
さらに、本発明によるフィルムは、高速で効率的に実行することができ、かつ好都合なことに加熱式エアロゾル発生物品の製造用の既存の生産ラインの中へと組み込むことができる連続的なプロセスで製造することができる。
【0041】
簡潔に上述したように、本発明によるエアロゾル発生フィルムは、セルロース系フィルム形成剤と、非セルロース系増粘剤と、フィルムの約30重量パーセント以下を占める水と、フィルムの少なくとも約25重量パーセントを占める多価アルコールと、を含む。
【0042】
一つのこうしたフィルムは、上記の成分を所定の秤量した量で含有するフィルム形成組成物から形成することができる。一例として、本発明によりフィルムを製造する方法では、セルロース系フィルム形成剤と、非セルロース系増粘剤と、少なくとも約30重量パーセントの水と、少なくとも約10重量パーセントの多価アルコールと、を含むフィルム形成組成物が提供されてもよい。
【0043】
第一の工程では、セルロース系フィルム形成剤および増粘剤を水の中へと溶解する。完全な溶解の達成を容易にする目的で、水性混合物に熱が供給される、もしくは水性混合物が撹拌されるか、またはその両方であることが好ましい。第二の工程では、多価アルコールが、随意に、以下でより詳細に説明される他の成分と共に添加される。第三の工程では、それ故に得られたフィルム形成組成物が、例えば、キャスティングまたは押出成形などにより、支持面上に適用され、そして好ましくは室温で放置されて固化する。第四の工程では、適用されたフィルム形成組成物に熱を供給することによって水が蒸発する。これは実質的に乾燥工程となり、そして好ましくは、適用されたフィルム形成組成物を少なくとも摂氏約50度の温度で加熱することによって実行されてもよい。乾燥工程の間に、適用されたフィルム形成組成物の含水量は、エアロゾル発生フィルムを得るために、フィルムが30重量パーセント以下の水を含有するまで下げられる。次いで、フィルムは支持面から取り外されてもよい。
【0044】
本発明によるエアロゾル発生フィルムでは、セルロース系フィルム形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されることが好ましい。
【0045】
本発明によるエアロゾル発生フィルムでは、セルロース系フィルム形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されることがより好ましい。
【0046】
特に好ましい実施形態では、セルロース系フィルム形成剤は、HPMCである。
【0047】
本発明によるエアロゾル発生フィルムは、少なくとも約3重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含んでもよい。本発明によるエアロゾル発生フィルムは、最大約70重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含んでもよい。本発明によるエアロゾル発生フィルムは、約3重量パーセント~約70重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含んでもよい。
【0048】
好ましい実施形態では、本発明によるエアロゾル発生フィルムは、少なくとも約5重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含む。
【0049】
本発明によるエアロゾル発生フィルムは、少なくとも約6重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むことがより好ましい。本発明によるエアロゾル発生フィルムは、少なくとも約10重量パーセントのセルロース系フィルム形成剤を含むことがなおより好ましい。
【0050】
エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約14重量パーセントの重量のセルロース系フィルム形成剤を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約16重量パーセントの重量のセルロース系フィルム形成剤を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約18重量パーセントの重量のセルロース系フィルム形成剤を含むことがなおより好ましい。
【0051】
加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約26重量パーセント以下の重量のセルロース系フィルム形成剤を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約24重量パーセント以下の重量のセルロース系フィルム形成剤を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約22重量パーセント以下の重量のセルロース系フィルム形成剤を含むことがなおより好ましい。
【0052】
特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約3重量パーセントのHPMCを含む。本発明によるエアロゾル発生フィルムは、最高約70重量パーセントのHPMCを含んでもよい。本発明によるエアロゾル発生フィルムは、約3重量パーセント~約70重量パーセントのHPMCを含んでもよい。
【0053】
本発明によるエアロゾル発生フィルムは、少なくとも約5重量パーセントのHPMCを含むことがより好ましく、少なくとも約6重量パーセントのHPMCを含むことがなおより好ましく、少なくとも10重量パーセントのHPMCを含むことが最も好ましい。
【0054】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約14重量パーセントの重量のHPMCを含む。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約16重量パーセントの重量のHPMCを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約18重量パーセントの重量のHPMCを含むことがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約26重量パーセント以下の重量のHPMCを含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約24重量パーセント以下の重量のHPMCを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約22重量パーセント以下の重量のHPMCを含むことがなおより好ましい。
【0055】
一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約14重量パーセント~約26重量パーセントの重量のHPMCを含む。エアロゾル発生フィルムは、約16重量パーセント~約24重量パーセントの重量のHPMCを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約18重量パーセント~約22重量パーセントの重量のHPMCを含むことがなおより好ましい。
【0056】
本発明によるエアロゾル発生フィルムでは、非セルロース系増粘剤は、寒天、キサンタンガム、アルギネート、ジェランガム、カラギーナン、グアーガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、ペクチン、デンプン、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されてもよい。
【0057】
本発明によるエアロゾル発生フィルムでは、非セルロース系増粘剤は、寒天、キサンタンガム、アルギネート、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されることが好ましい。好ましい実施形態では、非セルロース系増粘剤は寒天である。
【0058】
本発明によるエアロゾル発生フィルムは、最高約50重量パーセントの非セルロース系増粘剤を含んでもよい。好ましい実施形態では、本発明によるエアロゾル発生フィルムは、最高約50重量パーセントの寒天を含んでもよい。
【0059】
エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約1重量パーセントの重量の非セルロース系増粘剤を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約2重量パーセントの重量の非セルロース系増粘剤を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約3重量パーセントの重量の非セルロース系増粘剤を含むことがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約10重量パーセント以下の重量の非セルロース系増粘剤を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約8重量パーセント以下の重量の非セルロース系増粘剤を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約6重量パーセント以下の重量の非セルロース系増粘剤を含むことがなおより好ましい。
【0060】
一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約1重量パーセント~約10重量パーセントの非セルロース系増粘剤を含む。エアロゾル発生フィルムは、約2重量パーセント~約8重量パーセントの非セルロース系増粘剤を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約3重量パーセント~約6重量パーセントの非セルロース系増粘剤を含むことがなおより好ましい。
【0061】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約1重量パーセントの重量の寒天を含む。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約2重量パーセントの重量の寒天を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約3重量パーセントの重量の寒天を含むことがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約10重量パーセント以下の重量の寒天を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約8重量パーセント以下の重量の寒天を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約6重量パーセント以下の重量の寒天を含むことがなおより好ましい。
【0062】
一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約1重量パーセント~約10重量パーセントの寒天を含む。エアロゾル発生フィルムは、約2重量パーセント~約8重量パーセントの寒天を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約3重量パーセント~約6重量パーセントの寒天を含むことがなおより好ましい。
【0063】
エアロゾル形成体として適した多価アルコールとしては、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明によるエアロゾル発生フィルムでは、多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択されることが好ましい。特に好ましい実施形態では、多価アルコールはグリセリンである。
【0064】
上記に簡潔に提示したように、本発明によるエアロゾル発生フィルムは、少なくとも約25重量パーセントの多価アルコールを含有する。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約30重量パーセントの多価アルコールを含むことがより好ましく、少なくとも約35重量パーセントの多価アルコールを含むことがなおより好ましい。
【0065】
特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約40重量パーセントの多価アルコールを含み、少なくとも約42重量%の多価アルコールを含むことがなおより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約44重量パーセントの多価アルコールを含むことが最も好ましい。
【0066】
加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約90重量パーセント未満の多価アルコールを含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約85重量パーセント未満の多価アルコールを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約80重量パーセント未満の多価アルコールを含むことがなおより好ましい。一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約75重量パーセント未満の多価アルコールを含むことが好ましく、70重量パーセント未満の多価アルコールを含むことがより好ましく、65重量パーセント未満の多価アルコールを含むことがなおより好ましい。一部の特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、60重量パーセント未満の多価アルコールを含む。
【0067】
好ましい実施形態では、本発明によるエアロゾル発生フィルムは、少なくとも約25重量パーセントのグリセリンを含有する。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約30重量パーセントのグリセリンを含むことがより好ましく、少なくとも約35重量パーセントのグリセリンを含むことがなおより好ましい。
【0068】
特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約40重量パーセントのグリセリンを含み、少なくとも約42重量パーセントのグリセリンを含むことがなおより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約44重量パーセントのグリセリンを含むことが最も好ましい。
【0069】
加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約90重量パーセント未満のグリセリンを含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、好ましくは約85重量パーセント未満のグリセリンを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約80重量パーセント未満のグリセリンを含むことがなおより好ましい。一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約75重量パーセント未満のグリセリンを含むことが好ましく、70重量パーセント未満のグリセリンを含むことがより好ましく、65重量パーセント未満のグリセリンを含むことがなおより好ましい。一部の特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、60重量パーセント未満のグリセリンを含む。
【0070】
エアロゾル発生フィルムでは、セルロース系フィルム形成剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、少なくとも約0.1であることが好ましく、少なくとも約0.2であることがより好ましく、約0.3であることがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムでは、セルロース系フィルム形成剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、約1以下であることが好ましい。
【0071】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムでは、セルロース系フィルム形成剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、約0.1~約1である。
【0072】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムでは、HPMCの重量とグリセリンの重量との間の比は、少なくとも約0.1であり、少なくとも約0.2であることがより好ましく、約0.3であることがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムでは、HPMCの重量とグリセリンの重量との間の比は、約1以下であることが好ましい。
【0073】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムでは、HPMCの重量とグリセリンの重量との間の比は、約0.1~約1である。
【0074】
一部の特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、10グラムのグリセリン当たり、約1~約10グラムのHPMCを含む。
【0075】
エアロゾル発生フィルムでは、非セルロース系増粘剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、少なくとも約0.05であることが好ましく、少なくとも0.1であることがより好ましく、少なくとも0.2であることがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムでは、非セルロース系増粘剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、約0.5以下であることが好ましい。
【0076】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムでは、非セルロース系増粘剤の重量と多価アルコールの重量との間の比は、約0.1~約0.5である。
【0077】
エアロゾル発生フィルムでは、寒天の重量とグリセリンの重量との間の比は、少なくとも約0.05であることが好ましく、少なくとも0.1であることがより好ましく、少なくとも0.2であることがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムでは、寒天の重量とグリセリンの重量との間の比は、約0.5以下であることが好ましい。
【0078】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムでは、寒天の重量とグリセリンの重量との間の比は、約0.1~約0.5である。
【0079】
一部の特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、10グラムのグリセリン当たり、0.5~約5グラムの寒天を含む。
【0080】
一部の実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、アルカロイド化合物、カンナビノイド化合物、またはその両方を含む。
【0081】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「アルカロイド化合物」という用語は、一つ以上の塩基性窒素原子を含有する天然の有機化合物のクラスのうちのいずれか一つを記述するために使用される。一般的に、アルカロイドは、アミン型の構造内に少なくとも一つの窒素原子を含有する。アルカロイド化合物の分子内のこの窒素原子または別の窒素原子は、酸塩基反応において塩基として活性である可能性がある。ほとんどのアルカロイド化合物は、例えば複素環式環などの環系の一部として、その窒素原子のうちの一つ以上を有する。自然界では、アルカロイド化合物は主に植物の中に見出され、特に顕花植物のある特定の科では一般的である。しかしながら、一部のアルカロイド化合物は、動物種および菌類の中に見出される。本発明の文脈では、「アルカロイド化合物」という用語は、天然由来のアルカロイド化合物および合成的に製造されたアルカロイド化合物の両方を記述するために使用される。
【0082】
本発明によるエアロゾル発生フィルムで使用するための適切なアルカロイド化合物としては、ニコチンおよびアナタビンが挙げられる。
【0083】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「カンナビノイド化合物」という用語は、カンナビス植物、すなわち、麻(Cannabis sativa種)、インド麻(Cannabis indica種)、およびカンナビス・ルデラリス(Cannabis ruderalis種)の一部に見出される天然の化合物のクラスのうちのいずれか一つを記述するために使用される。カンナビノイド化合物はメスの頭状花で特に濃縮される。カンナビス植物における天然のカンナビノイド化合物は、テトラヒドロカンナビノール(THC)およびカンナビジオール(CBD)を含む。本発明の文脈において、「カンナビノイド化合物」という用語は、天然由来のカンナビノイド化合物および合成的に製造されたカンナビノイド化合物の両方を記述するために使用される。
【0084】
本発明によるエアロゾル発生フィルムでの使用のために適切なカンナビノイド化合物としては、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビバリン(CBV)、カンナビジバリン(CBDV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロル(CBL)、カンナビクロムバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(CBT)が挙げられる。
【0085】
一般に、エアロゾル発生フィルムは、最高約10重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含んでもよい。本発明のエアロゾル発生フィルムの、エアロゾル発生物品中の基体としての適用を考慮すると、フィルム中のアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方の含有量は、消費者へのエアロゾル形態でのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方の送達を最適化するために増加および調整されうるため、これは有利である。植物材料の使用に基づく既存のエアロゾル発生基体と比較して、これは、有利なことに、基体(フィルム)の体積当たり、または基体(フィルム)の重量当たりの、アルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方の含有量をより多くすることを可能にする場合があり、これは製造の観点から望ましい場合がある。
【0086】
好ましくは、エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含む。それ故に、エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントのアルカロイド化合物、または少なくとも0.5重量パーセントのカンナビノイド化合物、または少なくとも約0.5重量パーセントのアルカロイド化合物とカンナビノイド化合物との組み合わせを含むことが好ましい。
【0087】
エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約1重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約2重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約6重量パーセント未満のアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約5重量パーセント未満のアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約4重量パーセント未満のアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがなおより好ましい。
【0088】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含み、約1重量パーセント~約6重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがより好ましく、約2重量パーセント~約5重量パーセントのアルカロイド化合物もしくはカンナビノイド化合物、またはその両方を含むことがなおより好ましい。
【0089】
一部の実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、カンナビノイドと、ニコチンまたはアナタビンを含むアルカロイド化合物のうちの一つ以上を含む。一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムはニコチンを含む。
【0090】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「ニコチン」という用語は、ニコチン、ニコチン塩基、またはニコチン塩を記述するために使用される。エアロゾル発生フィルムがニコチン塩基またはニコチン塩を含む実施形態では、本明細書に列挙したニコチンの量は、それぞれ遊離塩基ニコチンの量またはプロトン化されたニコチンの量である。
【0091】
エアロゾル発生フィルムは、天然ニコチンまたは合成ニコチンを含んでもよい。
【0092】
エアロゾル発生フィルムは、一つ以上の一塩基ニコチン塩を含んでもよい。
【0093】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「一塩基ニコチン塩」という用語は、一塩基酸のニコチン塩を記述するために使用される。
【0094】
一般に、エアロゾル発生フィルムは、最高約10重量パーセントのニコチンを含んでもよい。本発明のエアロゾル発生フィルムの、エアロゾル発生物品中の基体としての適用を考慮すると、フィルム中のニコチンの含有量は、消費者へのエアロゾル形態でのニコチンの送達を最適化するために増加および調整されうるため、これは有利である。たばこ植物の使用に基づく既存のエアロゾル発生基体と比較して、これは有利なことに、基体(フィルム)の体積当たりの、または基体(フィルム)の重量当たりのニコチンの含有量をより高くすることを可能にする場合があり、これは製造の観点から望ましい場合がある。
【0095】
エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントのニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約1重量パーセントのニコチンを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約2重量パーセントのニコチンを含むことがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約6重量パーセント未満のニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約5重量パーセント未満のニコチンを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約4重量パーセント未満のニコチンを含むことがなおより好ましい。
【0096】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのニコチンを含み、約1重量パーセント~約6重量パーセントのニコチンを含むことがより好ましく、約2重量パーセント~約5重量パーセントのニコチンを含むことがなおより好ましい。
【0097】
一部の好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、カンナビノイド化合物を含む。カンナビノイド化合物は、CBDおよびTHCから選択されることが好ましい。カンナビノイド化合物はCBDであることがより好ましい。
【0098】
エアロゾル発生フィルムは、最高約10重量パーセントのCBDを含んでもよい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントのCBDを含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約1重量パーセントのCBDを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約2重量パーセントのCBDを含むことがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約6重量パーセント未満のCBDを含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約5重量パーセント未満のCBDを含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約4重量パーセント未満のCBDを含むことがなおより好ましい。
【0099】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントのCBDを含み、約1重量パーセント~約6重量パーセントのCBDを含むことがより好ましく、約2重量パーセント~約5重量パーセントのCBDを含むことがなおより好ましい。
【0100】
エアロゾル発生フィルムは、実質的にたばこを含まないエアロゾル発生フィルムであってもよい。
【0101】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「実質的にたばこを含まないエアロゾル発生フィルム」という用語は、1重量パーセント未満のたばこ含有量を有するエアロゾル発生フィルムを記述する。例えば、エアロゾル発生フィルムは、約0.75重量パーセント未満、約0.5重量パーセント未満、または約0.25重量パーセント未満のたばこ含有量を有してもよい。
【0102】
エアロゾル発生フィルムは、たばこを含まないエアロゾル発生フィルムであってもよい。
【0103】
本発明に関連して本明細書で使用される場合、「たばこを含まないエアロゾル発生フィルム」という用語は、0重量パーセントのたばこ含有量を有するエアロゾル発生フィルムを記述する。
【0104】
一部の実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、たばこ材料または非たばこ植物材料または植物抽出物を含む。一例として、エアロゾル発生フィルムは、たばこ葉身粒子などのたばこ粒子だけでなく、クローブおよびユーカリなどの他の植物の粒子も含んでもよい。
【0105】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは酸を含む。エアロゾル発生フィルムは、一つ以上の有機酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、一つ以上のカルボン酸を含むことがなおより好ましい。特に好ましい実施形態では、酸は、乳酸またはレブリン酸である。
【0106】
酸の含有は、ニコチンを含むエアロゾル発生フィルムの実施形態で特に好ましい。これは、酸の存在が、ニコチンおよび他の植物抽出物などを有する、フィルム形成組成物中に溶解した種を安定化する場合があることが観察されたためである。理論に束縛されることを望むものではないが、ニコチンが塩形態で提供されている場合、酸はニコチン分子と相互作用する場合があり、そしてこれが乾燥動作中にニコチンが蒸発することを実質的に防止すると理解される。そのため、フィルムの製造中のニコチンの損失を最小化することができ、そして有利なことに、消費者へのより高い、より良好に制御されたニコチン送達を確保することができる。
【0107】
エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.25重量パーセントの酸を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントの酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約1重量パーセントの酸を含むことがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約3.5重量パーセント未満の酸を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約3重量パーセント未満の酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約2.5重量パーセント未満の酸を含むことがなおより好ましい。
【0108】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約0.25重量パーセント~約3.5重量パーセントの酸を含む。エアロゾル発生フィルムは、約0.5重量パーセント~約3重量パーセントの酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約1重量パーセント~約2.5重量パーセントの酸を含むことがなおより好ましい。
【0109】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.25重量パーセントのレブリン酸を含む。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントのレブリン酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約1重量パーセントのレブリン酸を含むことがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約3.5重量パーセント未満のレブリン酸を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約3重量パーセント未満のレブリン酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約2.5重量パーセント未満のレブリン酸を含むことがなおより好ましい。
【0110】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約0.25重量パーセント~約3.5重量パーセントのレブリン酸を含む。エアロゾル発生フィルムは、約0.5重量パーセント~約3重量パーセントのレブリン酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約1重量パーセント~約2.5重量パーセントのレブリン酸を含むことがなおより好ましい。
【0111】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.25重量パーセントの乳酸を含む。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.5重量パーセントの乳酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約1重量パーセントの乳酸を含むことがなおより好ましい。加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、約3.5重量パーセント未満の乳酸を含むことが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約3重量パーセント未満の乳酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約2.5重量パーセント未満の乳酸を含むことがなおより好ましい。
【0112】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約0.25重量パーセント~約3.5重量パーセントの乳酸を含む。エアロゾル発生フィルムは、約0.5重量パーセント~約3重量パーセントの乳酸を含むことがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約1重量パーセント~約2.5重量パーセントの乳酸を含むことがなおより好ましい。
【0113】
エアロゾル発生フィルムは、随意に風味剤を含んでもよい。一部の実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、最高約2重量パーセントの風味剤を含んでもよい。一例として、エアロゾル発生フィルムはメントールを含んでもよい。他の適切な風味剤は、テルペン、テルペノイド、オイゲノール、ユーカリプトールのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0114】
特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約14重量パーセント~約26重量パーセントのHPMC、約3重量パーセント~約6重量パーセントの寒天、約0.5重量パーセント~約4重量パーセントのニコチン、約0.25重量パーセント~約3重量パーセントの酸、約44重量パーセント~約60重量パーセントのグリセリン、0重量パーセント~約2重量パーセントの風味剤、および残部の水から成る。
【0115】
上述の組成物を有するエアロゾル発生フィルムは、良好な再現性で形成することが特に簡単であることが見出されており、また加熱されてエアロゾルを発生するときに消費者に満足のいくニコチン送達を提供することが見出されている。さらに、製造中(特に、対応するゲル様のフィルム形成組成物からのフィルム自体の形成につながる乾燥工程中)にニコチンが蒸発する傾向が、酸の含有によって実質的に対抗されていることが見出されている。
【0116】
本発明によるエアロゾル発生フィルムは、約1ミリメートル未満の厚さを有することが好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約0.75ミリメートル未満の厚さを有することがより好ましい。エアロゾル発生フィルムは、約0.5ミリメートル未満の厚さを有することがなおより好ましい。
【0117】
特に好ましい実施形態では、約400マイクロメートル以下の厚さを有するフィルム形成組成物の層が形成され、約300マイクロメートル以下の厚さを有することがより好ましく、約200マイクロメートル以下の厚さを有することがなおより好ましい。
【0118】
加えて、または別の方法として、エアロゾル発生フィルムは、少なくとも約0.1ミリメートルの厚さを有する。
【0119】
好ましい実施形態では、エアロゾル発生フィルムは、約0.1ミリメートル~約1ミリメートルの厚さを有し、約0.1ミリメートル~約0.75ミリメートルの厚さを有することがより好ましく、約0.1ミリメートル~約0.5ミリメートルの厚さを有することがなおより好ましい。特に好ましい実施形態では、約50マイクロメートル~400マイクロメートルの厚さを有するフィルム形成組成物の層が形成され、約100マイクロメートル~200マイクロメートルの厚さを有するフィルム形成組成物の層が形成されることがより好ましい。
【0120】
こうした状況下で得られるエアロゾル発生フィルムが、エアロゾル発生物品において、基体を形成するために使用される、キャストリーフ、または再構成たばこ、または他の均質化したたばこ材料の厚さに匹敵する厚さを有するので、これは有利である。さらに、上述の範囲内に収まる厚さを有するエアロゾル発生フィルムは、十分な強度を有する一方で、同時に低重量を有することが見出されており、これは基体としてフィルムを含むエアロゾル発生物品の使用中にエアロゾル発生基体の熱慣性を減少させるのに役立つ。
【0121】
エアロゾル発生フィルムの厚さは、製造中に平面上に適用されるフィルム形成組成物の層の厚さを制御することによって効果的に制御されてもよい。これは、例えば、キャスティングによって行われてもよい。キャスティングは、フィルムを得るためにフィルム形成組成物を処理する単純なやり方であってもよい。これは、典型的に小さい規模で使用されるバッチ手順であるが、フィルム形成組成物は、層の厚さの効果的な制御を可能にするなど、連続的な担体テープ上に調製されてもよいので、連続鋳造方法(例えば、ナイフコーティングまたはテープキャスティングに基づく)は、工業的な規模で使用されてもよい。別の方法として、フィルム形成組成物は、押出成形によって所定の厚さを有する層へと形成されてもよい。
【0122】
本発明によるフィルムは、少なくとも約100グラム/平方メートルの坪量を有することが好ましい。本発明によるフィルムは、少なくとも約120グラム/平方メートルの坪量を有することがより好ましい。本発明によるフィルムは、少なくとも約140グラム/平方メートルの坪量を有することがなおより好ましい。
【0123】
本発明によるフィルムは、300グラム/平方メートル以下の坪量を有することが好ましい。本発明によるフィルムは、280グラム/平方メートル以下の坪量を有することがより好ましい。本発明によるフィルムは、260グラム/平方メートル以下の坪量を有することがなおより好ましい。
【0124】
好ましい実施形態では、本発明によるフィルムは、約100グラム/平方メートル~約300グラム/平方メートルの坪量を有し、約120グラム/平方メートル~約280グラム/平方メートルの坪量を有することがより好ましく、約140グラム/平方メートル~約260グラム/平方メートルの坪量を有することがなおより好ましい。特に好ましい実施形態では、本発明によるフィルムは、約200グラム/平方メートルの坪量を有する。
【0125】
上述のようなフィルムは、基体が燃焼されて吸入可能な煙を生成する物品とは対照的に、基体が加熱されて吸入可能なエアロゾルを放出するタイプのエアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体としての使用を見出す場合がある。
【0126】
本発明によるフィルムは製造が簡単であり、かつフィルムを形成するために対応するフィルム形成組成物の微細に制御された量を支持面上に適用してもよいので、また、フィルムの組成、特に多価アルコールの含有量、および存在する場合にはニコチンまたは植物材料(たばこ材料および非たばこの植物材料の両方を含む)を微調整することができ、かつ微細に制御することができるので、本発明によるエアロゾル発生フィルムは汎用性が高く、また数多くの形態で基体として使用することができる。例えば、本発明によるフィルムは、エアロゾル発生基体として、支持された形態でだけでなく自己支持形態で使用されてもよい。さらに、本発明によるフィルムは、異なる形状およびサイズで使用されてもよく、これによりフィルムの露出表面積は、特定の使用およびニーズに対して調整したり合わせることもできる。
【0127】
一例として、本発明によるエアロゾル発生フィルムは、管状担体要素の内部表面上に提供されてもよく、これによりエアロゾル発生フィルムの外表面は、管状担体要素によって画定される長軸方向の内部チャネルの内側に露出される。加熱に伴い、エアロゾルをエアロゾル発生フィルムから発生することができ、それ故にこれは内部チャネルの中へと放出され、そしてエアロゾル発生物品を通して消費者の口の中へと吸い込むことができる。
【0128】
別の方法として、本発明によるエアロゾル発生フィルムは、自己支持型ロッドを形成し、そしてエアロゾル発生基体内で追加的な支持構造を必要としないように構成されてもよい。一例として、本発明による一つ以上のエアロゾル発生フィルムは集合されて、エアロゾル発生基体のロッドを形成してもよい。別の方法として、本発明による複数のフィルムを、エアロゾル発生基体のロッドへと積み重ねてもよい。さらなる代替的な配設では、本発明によるエアロゾル発生フィルムの複数の細片または断片は整列され、まとめられ、かつ巻かれて、エアロゾル発生基体のロッドを形成してもよい。あるいは、エアロゾル発生フィルムの細片または断片は、ロッド内でランダムに配向されてもよい。
【0129】
ここで、以下を参照しながら本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0130】
下記の表1は、エアロゾル発生フィルムの組成を、エアロゾル発生フィルムが得られる元であるフィルム形成組成物の製剤と共に説明する。
【表1】
【0131】
エアロゾル発生フィルムは、表1の組成に基づいて製造される。この目的のために、HPMCおよび寒天は、溶解まで撹拌を使用してグリセリン中で混合される。次いで、水、ニコチン、およびレブリン酸が、溶解まで撹拌下で添加される。それ故に、得られたフィルム形成組成物の層は、平面の表面上に形成され、かつ放置されて固化する。フィルム形成組成物の層は、約210マイクロメートルの厚さで形成される。それ故に形成されるフィルム形成組成物の層は、約8分間、摂氏約140度に加熱される。
【0132】
乾燥後に得られたエアロゾル発生フィルムは固体である。言い換えれば、エアロゾル発生フィルムは、安定したサイズおよび形状を有し、そして流れない。「安定」という用語は、本明細書では、本発明によるエアロゾル発生フィルムが、様々な環境条件に曝露されたときに、その形状および質量を実質的に維持することを示すために使用される。そのため、これは、相対湿度を約10パーセント~約60パーセントで変化させながら標準的な温度および圧力に曝露されたときに、実質的に水を放出または吸収しない。
【0133】
これは、本発明によるフィルムが、貯蔵または搬送(例えば、製造施設から販売場所まで)の間、液相を放出しないことを確実にするため、特に有利である。
【0134】
上述のように調製されたエアロゾル発生フィルムは、エアロゾル発生装置における使用の条件をシミュレートするように、摂氏約180度~摂氏約250度の温度に加熱される。フィルム内に含有されるニコチン、グリセリン、および水は蒸発する。ニコチンおよびグリセリンは凝縮して、吸入可能なエアロゾルを形成する。エアロゾル発生フィルムはわずかに収縮し、そしてその体積は低減する。しかしながら、フィルムは固体のままであり、またそのフィルム形態を維持する。これは、わずかに硬化し、またより暗い、茶色味のある色を取るように思われる。