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特許7597738偏向面と方向付けセクションとから形成されるアセンブリ/組み込み要素を備えるチューブバンドル熱交換器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】偏向面と方向付けセクションとから形成されるアセンブリ/組み込み要素を備えるチューブバンドル熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 13/12 20060101AFI20241203BHJP
   B01F 25/431 20220101ALI20241203BHJP
   F28D 7/12 20060101ALI20241203BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
F28F13/12 B
B01F25/431
F28D7/12
F28F9/013 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021569015
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2020064519
(87)【国際公開番号】W WO2020239734
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】00696/19
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】515169326
【氏名又は名称】ズルツァー マネジメント アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュトライフ、フェリックス
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03400758(US,A)
【文献】特開平09-000901(JP,A)
【文献】特開2014-133416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/00-99/00
F28D 1/00-21/00
B01F 21/00-25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を供給又は放散すると同時に製品フローを混合するためのバンドル熱交換器であって、前記バンドル熱交換器は、
少なくとも2つの伸長型熱交換要素のバンドルと、
外側チャンバと、
入口開口と出口開口であって、外側チャンバ内の製品フローが前記入口開口から前記出口開口へと流れることができるように、入口および出口が配置されている、入口開口および出口開口と、
少なくとも2つの固定アセンブリであって、前記少なくとも2つの固定アセンブリは、少なくとも2つの部分的な偏向面及び少なくとも2つの窓をそれぞれ含み、前記少なくとも2つの窓のそれぞれは、前記部分的な偏向面のうちの1つの中に配設されているか、または、前記部分的な偏向面同士の間に配設されており、前記少なくとも2つの窓のそれぞれは、前記少なくとも2つの部分的な偏向面の入口側から出口側へ前記製品フローを導く、少なくとも2つの固定アセンブリと
を含み、
前記少なくとも2つの固定アセンブリのそれぞれの前記部分的な偏向面のそれぞれは、前記伸長型熱交換要素と平行になっている第1の方向付けセクション及び第2の方向付けセクションを含み、前記第1の方向付けセクションは、前記少なくとも2つの部分的な偏向面の前記入口側に取り付けられており、前記第2の方向付けセクションは、前記少なくとも2つの部分的な偏向面の前記出口側に取り付けられており、
前記少なくとも2つの部分的な偏向面は、前記偏向面の前記入口側から前記出口側へ導く窓を備えない少なくとも1つの部分をそれぞれ含み、前記少なくとも1つの部分は、前記バンドルにおけるその間隔にしたがって前記伸長型熱交換要素の通過のための1つ以上の孔又は開口を有し、
前記入口側の前記第1の方向付けセクションと前記出口側の前記第2の方向付けセクションとが90°の角度で互いに交差する、バンドル熱交換器。
【請求項2】
前記バンドル熱交換器が円形断面を有することを特徴とする請求項1に記載のバンドル熱交換器。
【請求項3】
前記偏向面のうちの連続する偏向面間の軸方向距離は、2つの前記方向付けセクションの間に距離がない前記第1の方向付けセクション及び前記第2の方向付けセクションの2つの方向付けセクションの高さに対応する、請求項1に記載のバンドル熱交換器。
【請求項4】
前記少なくとも2つの窓は、前記第1の方向付けセクションの両側に配置されるか、又は、前記第2の方向付けセクションの両側に配置される、請求項1に記載のバンドル熱交換器。
【請求項5】
前記少なくとも2つの固定アセンブリは、第1の固定アセンブリ及び第2の固定アセンブリを含み、
前記第1及び第2の固定アセンブリの前記偏向面は、前記伸長型熱交換要素に対して横方向に立っており、前記第1及び第2の固定アセンブリの前記偏向面は、流れの方向で前後に配置され、
前記第1の固定アセンブリの前記偏向面の前記窓は、窓を備えない前記第2の固定アセンブリの前記偏向面の前記少なくとも1つの部分と交互に入れ替わり、
窓を備えない前記第1の固定アセンブリの前記偏向面の前記少なくとも1つの部分は、前記第2の固定アセンブリの前記偏向面の前記窓と交互に入れ替わる、請求項1に記載のバンドル熱交換器。
【請求項6】
前記第1及び第2の固定アセンブリの前記偏向面は、前記第1の方向付けセクション及び前記第2の方向付けセクションをそれぞれ含み、
前記第1の固定アセンブリの前記第1の方向付けセクション又は前記第2の方向付けセクションは、前記第2の固定アセンブリの前記第1の方向付けセクション又は前記第2の方向付けセクションと90°の角度で交差する、請求項5に記載のバンドル熱交換器。
【請求項7】
前記バンドルの断面が、前記固定アセンブリの前記第1及び第2の方向付けセクションによってほぼ等しいサイズの部分表面に分割される、請求項1に記載のバンドル熱交換器。
【請求項8】
前記偏向面のうちの少なくとも1つに関して、前記入口側から前記出口側へ導く前記少なくとも2つの窓を備える部分は、前記入口側から前記出口側へ導く窓を備えない前記少なくとも1つの部分よりもよりも小さい、請求項1に記載のバンドル熱交換器。
【請求項9】
粘性製品との熱伝達のための請求項1に記載のバンドル熱交換器を動作させるステップを含む方法。
【請求項10】
発熱反応又は吸熱反応における反応器としての請求項1に記載のバンドル熱交換器を動作させるステップを含む方法。
【請求項11】
前記第1の方向付けセクション及び前記第2の方向付けセクションの数が前記入口側と前記出口側とで異なる、請求項1に記載のバンドル熱交換器。
【請求項12】
第1の方向付けセクション及び前記第2の方向付けセクションの高さが前記入口側と前記出口側とで異なる、請求項1に記載のバンドル熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に係る外側チャンバ内の偏向面と方向付けセクションとから形成されるアセンブリ(組み込み要素として設計されてもされなくてもよい)を備えるバンドル熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
バンドル熱交換器は通常は金属材料から形成されるため、偏向面ではなく偏向パネルに言及される場合がよくある。しかしながら、この説明では、偏向面という用語は、それらの適用性が金属材料から形成される熱交換器に限定されないことを明確にするために使用される。
【0003】
バンドルは、熱交換媒体(例えば、外側チャンバ内で循環する製品を加熱又は冷却する加熱媒体又は冷却媒体)が挿通して方向付けられるチューブから成り得る。しかしながら、代わりに、電気加熱ロッド、電気加熱コイル及び同様のものなどのバンドル状態へ組み合わされる他の熱交換要素を使用することもできる。説明を簡単にするために、「チューブ」又は「チューブバンドル」という用語が以下で使用されるが、その場合、加熱ロッドなどの他の伸長型熱交換要素も意味されることが理解されるべきである。
【0004】
偏向パネル又は偏向面の通常の形態は、チューブに対して部分的に横方向で及び部分的に平行に外側チャンバ内の流体の流れを案内することによってフローガイドとして機能する。これらの金属シートは、チューブ間隔に対応する孔を有し、チューブに対して垂直であるとともに、流体の軸方向通過のためのセグメント形状の窓を有する。他の知られている実施例は、ディスクとリングとから交互に成る。これらは、乱流(低粘度流体)及び層流(粘性流体)の流れにおいて標準として設置される。更なる機能的及び構造的な詳細については、VDIヒートアトラス(第6版)のセクションGg5及びOb7を参照されたい。これらの偏向面は、チューブへの多かれ少なかれ顕著なクロスフローのおかげで熱伝達を改善するが、流体の混合を何ら引き起こさない。これは、特に粘性流体の層流の場合に当てはまる。これらの材料は、それらの特性の結果として熱伝達係数が低いため、チューブの周囲で案内される必要がある(VDI Heat Atlas、セクションOb4)。冷却又は加熱される必要がある粘性媒体の場合、粘度は温度によって大幅に変化する可能性がある。異なる温度-時間履歴(流路)を通過する部分的な流れは、最終的には非常に異なる特性を有する。これは特に粘度に当てはまる。絶え間ない混合がないと、不均衡分布として知られる優先経路及びデッドゾーンが生じる。これにより、熱交換器の完全な故障をもたらす可能性があるが、製品の特性の低下にもつながる可能性がある。熱交換器が重合反応器として使用される或いは粘性のある液体物質との他の発熱反応のために使用されるようになっている場合も、問題は同様である。これについては、例えば、Chemical Engineering&Technology(ChemEng.Technol.)13(1990)、pp.214-220を参照されたい。ここでも、ターンオーバー及び粘度の違いが不均衡分布につながる。同様の問題は、粘性溶液が部分的に蒸発してその過程で粘度が急激に上昇するチューブバンドル熱交換器でも生じる。
【0005】
Xミキサー(SMX、SMXL)やヘリカルミキサー(Kenicsミキサー)などの多くの静的ミキサーは、熱伝達、混合、滞留時間の分布を同時に改善するために、ダブルジャケットチューブ内の層流と共に使用されることが好ましい。これについては、Process Engineering 34(2000)No.1-2、pp.18-21を参照されたい。これらの装置のスケールアップには狭い制限がある。これは、チューブの直径が大きくなると製品体積に対する熱伝達面の比率が減少するからであり、或いは、チューブの直径が同じままの場合、製品の量が増えると圧力損失が急激に増加するからである。解決策として、製品がチューブ内を流れるチューブバンドル熱交換器のチューブ内で静的ミキサーを使用する試みも行なわれている。このとき、個々のチューブ内での混合は引き続き行なわれるが、チューブ内の部分的な流れは互いに完全に分離されており、個々のチューブ内で様々な流れ状態と製品特性が生じ得る。結果は、この場合も先と同様に、説明された効果を伴うチューブ内の顕著な不均衡分布となり得る。この問題は、混合要素の圧力損失が高くなることで更に悪化する。反応性製品の更なる欠点は、チューブバンドル装置のフード内の付加的な体積である。この空間では熱伝達が殆ど又は全くない。
【0006】
ドイツ特許第2839564号は、熱伝達及び静的混合のための装置を提供する。このミキサー-熱交換器又は反応器(SMR反応器として知られている)でも、製品が、チューブのバンドルを伴うフローチャネルを通じて、外側チャンバのチューブの周囲で流れる。チューブは、蛇行して曲がり、コイル状チューブを形成する。チューブは、流れ方向に対して45°であり、互いに交差して、ミキサー構造を形成する。個々のチューブコイルは、チャネル壁を通じてコレクタへと外側に案内される。結果として、外側チャンバ内での同時混合と良好な熱伝達とが達成されるが、多大な労力と多くの欠点がある。混合効果は、交差セクションから成る知られているミキサーと比較して少なく、バンドル又は混合要素内で一方向にのみ発生する。実用上の理由から、チューブバンドルはできるだけ長くする必要がある。結果として、90°回転される少数のバンドルのみをフローチャネルで使用できる。各混合要素又はコイルバンドルには、熱担持体用の独自のコレクタが必要である。コイルが長く、チューブの曲がりが多いため、チューブ内の熱担持側の圧力損失が大きくなる。コイルの長さが異なると、熱担持体側の流れの分布が不均一になり、それにより、製品側で不均衡分布が引き起こされる可能性がある。
【0007】
バンドルの構造に起因して、熱担持体及び製品の有利な向流或いはチューブ内の蒸発又は凝縮も不可能である。
【0008】
この問題の更なる解決策は、欧州特許第1067352号で模索される。知られているSMX構造にしたがった交差セクションを伴う混合要素には、チューブバンドル熱交換器のチューブ間隔に対応する孔が設けられ、チューブはセクションに挿通される。混合構造をチューブ配置と関連付けると、一方ではチューブの間隔とサイズの自由度が制限され、他方ではミキサー構造が制限される。セクションがチューブに強固に接続されない場合、この構造も機械的にかなり弱い。プロセス技術の観点から、この熱交換器は前の段落に係る設計よりも優れている場合があるが、その製造は非常に複雑で要求が厳しいものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】ドイツ特許第2839564号
【文献】ドイツ特許第2839564号
【文献】欧州特許第1067352号
【非特許文献】
【0010】
【文献】Chemical Engineering&Technology(ChemEng.Technol.)13(1990)、pp.214-220
【文献】Process Engineering 34(2000)No.1-2、pp.18-21
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、先行技術の不都合を回避する、冒頭で述べたタイプのチューブバンドル熱交換器、ミキサー熱交換器、又は、混合反応器をもたらすことである。この目的は、請求項1の特徴的な特徴によって達成される。
【0012】
本発明に係るチューブバンドル熱交換器は、粘性のある製品に特に適しており、非常に安価に製造することができる。前記チューブバンドル熱交換器では、製品を加熱、冷却、又は、蒸発させることができ、同時に集中的に混合しながら発熱反応を行なうことができる。軸方向の逆混合が少なく、圧力損失が少ないため、チューブバンドル熱交換器は可動部品を有さない。不均衡分布の形成が防止され、外部から洗浄するための器具が必要に応じて容易にアクセスできる。この装置は、非常に容易に拡張することもできる。流れが通過する伸長型(軸方向に整列された)チューブ(又は他の熱交換要素)の配置及び数を自由に選択できる。
【0013】
本発明の有利な実施例が、添付図面に示され、以下で更に詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るチューブバンドル熱交換器の縦断面図である。
図2】前記チューブバンドル熱交換器の斜視図である。
図3図1に係る組み込み要素の入口側の図である。
図4】流れ方向で後続する組み込み要素の入口側の図である。
図5】別の実施例における組み込み要素の入口側の図である。
図6】組み込み要素の入口側の更なる実施例を示す。
図7】組み込み要素の入口側の更なる実施例を示す。
図8】組み込み要素の入口側の更なる実施例を示す。
図9】本発明の実施例の様々な図である。
図10】本発明の実施例の図である。
図11】本発明の実施例の図である。
図12】本発明の実施例の断面図である。
図13】本発明の実施例の断面図である。
図14】本発明の実施例の断面図である。
図15】本発明の実施例の断面図である。
図16】本発明の実施例の断面図である。
図17図9図16に係る実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を全体的に参照すると、製品は、外側チャンバ6に製品用の入口2及び出口3を伴うそれ自体知られているチューブバンドル熱交換器のケーシング空間内で流れる。チューブ7内で流れる熱担持体のために入口4及び出口5が設けられる。本発明によれば、通常存在して、チューブ又は熱交換器の軸に対して垂直であるとともに、チューブ用の孔7'を有する偏向パネル(又は偏向面)8は、それらが偏向面の入口側から出口側へ製品を軸方向で通過させるために2つ以上の窓12,13を開いたままにするように変更される。少なくとも1つの方向付けセクション10又は11が入口側又は出口側に取り付けられる。これらの方向付けセクションは、チューブと平行に延びるとともに、チューブバンドルの断面をほぼ同じサイズの部分に分割する。必要に応じて、偏向面を熱交換器又はチューブ軸に対してある角度に設定することもできる(参照符号9を参照)。
【0016】
偏向面の入口側及び出口側の方向付けセクション10,11は、好ましくは互いに対して90°である。製品は、入口側の方向付けセクション10によって両方向で分割されて流れるとともに、チューブを横切って窓12,13へと流れ、偏向面は、軸方向で通過して、出口側の方向付けセクション11の両側で開放し、方向付けセクションの方向に好ましくは90°偏向される。出口側のチューブを横切る部分的な流れの流れ方向は、方向付けセクション11の両側で再び反対である。窓と交差する方向付けセクションとを伴う偏向面はそれぞれ、組み込み要素A又はBを形成する。流れ方向で連続する組み込み要素(A,B)の方向付けセクション11,10’は、好ましくは90°で互いに交差する。連続する組み込み要素A,Bの閉じられた部分表面8,8'と窓12,12'及び13,13'とが交互に並ぶ。
【0017】
各組み込み要素では、層流を伴って、部分的な流れに分割され、各組み込み要素で層の数が少なくとも2倍になるように混合され(入口側及び出口側で2つの部分的な流れ又は1つの方向付けセクションを伴う)、同時に集中的な熱伝達を伴う。装置全体で、形成される層の数は入口から出口へと指数関数的に増加し、組み込み要素の数は流れ方向で互いに追随する。このプロセスは、急速に硬化する丈夫なポリエステル樹脂を使用したテストに基づいて実証できる。乱流の場合、乱流によって混合が激しくなる。連続する偏向面間の軸方向距離は、好ましくは、それらの間に距離がない2つの方向付けセクションの高さに対応する。しかしながら、設置は間隔を空けて行なうこともでき、或いは、方向付けセクションを互いに押し込んで短くすることもできる。入口側と出口側との間に方向付けセクションを伴う2つの窓の代わりに、偏向面が複数の窓25,26,27及び方向付けセクションの多くの対(21,22及び23,24)を有することもできる。また、入口側と出口側の方向付けセクションの数又はそれらの高さが異なることも想定し得る。これにより、混合の強度が増大するが、労力及び圧力損失も増大する。
【0018】
外側チャンバ内の流路は、本発明に係る方向付けセクションによって延在される。これにより、チューブ周辺の流速及び熱伝達も増大する。集中的な混合は、同時に軸方向の逆混合を防止する。熱交換器内の連続するアセンブリ/組み込み要素の数が多いほど、したがって、装置がより合理化されるほど、攪拌タンク反応器のカスケードと同様に、滞留時間の分布が狭くなる。本発明に係る固定具とは対照的に、熱交換器用の既に知られている全ての偏向パネル(又は偏向面)は、層流又は粘性製品の場合に混合を何ら引き起こさない。熱伝達は、チューブへの良好なクロスフローの結果としてのみ改善される。製品の流れは、迂回されるだけであり、分割及び混合されない。
【0019】
図1は、例として、伸長可能なチューブバンドルを伴うUチューブ熱交換器内の偏向面及び関連する方向付けセクションから形成される本発明に係る組み込み要素A,Bを示す。装置のケーシング1は、組み込み要素の中央の少し前方又は出口側の方向付けセクション11の前方で軸方向に切り開かれて示され、更に、図には組み込み要素が示される。組み込み要素は、閉じられた部分表面、窓、及び、入口側と出口側の関連する方向付けセクションから成る。組み込み要素は、半田付け、溶接、又は、接着によって、チューブに緩く又は全体的又は部分的に強固に接続され得る。組み込み要素の個々の部分も、このように少なくとも部分的に接続される。
【0020】
更なる実施例では、通常の偏向パネルで慣例であるように、固定具は、ロッドを保持することによって互いに接続されるとともに装置に接続される。シートメタルから曲げることにより、方向付けセクションと閉じられた部分表面とから成る部分要素を製造することもできる。U字チューブで示される配置は実例にすぎない。勿論、組み込み要素は、固定された真っ直ぐなチューブとチューブシートとを伴うものなどの他の全てのチューブバンドル熱交換器或いはマルチスレッド装置にも適している。円形ではない(例えば、正方形又は長方形の)装置断面も可能である。液体を加熱するため、熱担持体を伴うチューブの代わりに、電気加熱ロッド又は加熱コイルを使用することもできる。
【0021】
図2は、窓12,13、閉じられた部分表面8、及び、方向付けセクション10,11を備える本発明に係る組み込み要素を伴うチューブのバンドルの3次元図を示す。連続する組み込み要素の閉じられた部分表面及び窓はそれぞれ互いにカバーし、また、連続する方向付けセクションは、好ましくは、90°の角度で互いに交差する。
【0022】
図3は、偏向面8、及び、2つの方向付けセクション10,11、並びに、2つの窓12,13及び閉じられた部分表面にあるチューブ用の孔7'を伴う本発明に係る組み込み要素Aの入口側の図を示す。窓の表面積は、通常、閉じられた部分表面にほぼ対応する。しかしながら、特別な流れ効果又は更なる圧力損失を生み出すため或いはストランドの形成を防止するために、窓をはるかに小さくする或いはスロット又は孔などの異なる形状にすることもできる。
【0023】
図4は、偏向面8'及び2つの方向付けセクション10',11'並びに2つの窓12',13及びチューブ用の孔7’を伴う流れ方向で後続する本発明に係る組み込み要素Bの入口側の図を示す。閉じられた部分表面及び窓は、図3に示される先行する組み込み要素に対してオフセットされる。
【0024】
別の実施例が図5に示される。この図は、チューブ用の孔7'を伴う偏向面8及び2つの方向付けセクション10,11並びに2つの窓12,13を備える本発明に係る組み込み要素の入口側の図であり、この場合、窓は、偏向面よりも実質的に小さい表面積を有し、任意の形状である。
【0025】
図6は、偏向面8及び4つの方向付けセクション21,22,23,24並びに3つの窓25,26,27及びチューブ用の孔7’を伴う本発明に係る更なる組み込み要素の入口側の図である。
【0026】
図7は、偏向面8を伴うとともに、入口側の1つだけの方向付けセクション10、2つの方向付けセクション23,24、並びに、3つの窓25,26,27及びチューブ用の孔7’を伴う本発明に係る組み込み要素の入口側の図である。
【0027】
図8は、偏向面8を伴うとともに、入口側の1つだけの方向付けセクション10’、2つの方向付けセクション23’,24’、並びに、3つの窓25’,26’,27’及びチューブ用の孔7’を伴う、図7に係るその前方の組み込み要素に続く本発明に係る組み込み要素の入口側の図である。窓はそれぞれ、図7に係る要素に対して窓からオフセットされており、それにより、要素が流れ方向で順々に配置される場合、直接的な軸方向通過は不可能である。
【0028】
図7及び図8に基づく本発明の変形例の詳細な図が図9図17に示されるが、これらは全て同じ縮尺で示されているわけではない。ケーシング1は、例示のために省かれてしまっている。図9は、本発明に係る偏向面、窓、及び、方向付けセクションを伴う熱交換器のチューブバンドルの平面図である。熱交換媒体(熱又は冷却剤)は、矢印28の方向でチューブを通じて流れる。ここでは、方向付けセクションに参照符号10a~10eが付される。更なる方向付けセクション10a',10a”~10e',10e”は、それに対して90°の角度を成して位置され、この場合、前記方向付けセクションはそれぞれ、偏向面8a',8a”;8b’;8c’,8c”;8d’;8e’,8e”に対して直角に接続される。参照符号8a',8a”;8b’;8c’,8c”;8d’;8e’,8e”は、チューブが通過するための開口又は孔を有する部分表面を示す。偏向面は窓12a’;12b’,12b”;12c’;12d’,12d”;12e’によっても遮断される。以下でより詳細に説明されるように、偏向面及び偏向面で切り取られる窓の形状は、偏向面から偏向面へと交互に入れ替わる。
【0029】
図10は、図9と同じ構造を示すが、今回は図9の矢印Xの方向で示される。図11は、断面XII-XII及びXIII-XIIIの印を伴って図9の矢印XIの方向から見た平面図であり、その断面は図12及び図13においてそれぞれ見出すことができる。
【0030】
図9には、断面XIV-XIV,XV-XV,XVI-XVIも示される。これらの断面は図14図15図16にそれぞれ示される。断面は連続する偏向面を示し、各偏向面は、混合されるべき製品の最適な混合を確保するために先行する(又は次の)偏向面に対して相補的な形状を有する。したがって、図14に示される偏向面は、製品の流れをそらしてチューブ用の孔を1つだけ有する(被覆)部分表面8a’,8a”を有する。それらの間に(開放した)窓12a'があり、この窓は、流れに対する抵抗を何ら与えず、2本のチューブによって交差されるにすぎない。図15に示される偏向面は、図14の偏向面に対して相補的であり、すなわち、図14の偏向面に窓が位置された部分表面と、図14の偏向面に部分表面が位置された窓とを有する。いずれの場合も、逆のことが、参照符号が付されていない偏向面の下側半分に当てはまる。したがって、ミキサー/熱交換器を通じて流れる製品は、偏向面から偏向面へと異なる経路をとることを余儀なくされ、その結果、流体の最適な混合がもたらされる。図16に係る第3のセクションも先と同様に図14のセクションに対応する。
【0031】
更なる説明のため、図17は、最後に、図9図16を参照して説明されたチューブバンドル熱交換器の斜視図であり、この場合、矢印28は、製品の流れ方向を示す(図9参照)。明確にするため、この図には参照符号が付されていないが、これらは図9図16から導き出される。
【0032】
アセンブリ又は組み込み要素及び偏向面及び方向付けセクションなどのそれらの構成要素は、鋼から製造されて、それ自体が知られている態様で溶接され得る。しかしながら、鋳造部品も使用できる。最後に、例えば射出成形によって又は3D印刷などの付加製造によってプラスチックからの製造も想定し得る。
図1
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図8
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図10
図11
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図17