(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】ジャケット側で電池セルを収容する開口部を有するキャリアを備える装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/569 20210101AFI20241203BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20241203BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20241203BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20241203BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20241203BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20241203BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20241203BHJP
G01B 7/16 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
H01M50/569
H01M50/591
H01M50/588
H01M50/213
H01M50/204 401D
H01M50/284
G01K1/14 L
G01B7/16 R
(21)【出願番号】P 2021572395
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(86)【国際出願番号】 AT2020060228
(87)【国際公開番号】W WO2020243765
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-01-17
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】523044389
【氏名又は名称】ジョン・ディア・エレクトリク・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルトシュッツ・ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】シュムーダーマイアー・ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ドレクスラー・フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】カストラー・ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ドーブシュ・ペーター
【審査官】吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/047258(WO,A1)
【文献】特開2012-164463(JP,A)
【文献】特開2013-235827(JP,A)
【文献】特開2013-80618(JP,A)
【文献】特開2006-140054(JP,A)
【文献】特表2018-531501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50 - 50/598
H01M 50/20 - 50/298
G01K 1/00 - 1/26
G01B 7/00 - 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セル(2)
の電池セルジャケット(7)を収容する開口部(1)を有するキャリア(3)を備える装置であって、
このキャリア(3)は、キャリア外壁(4)と開口部(1)の間で延在する測定ヘッド(6)のための測定チャネルを有し、
測定ヘッド(6)は、電池セルジャケット(7)に対して設定されている測定位置のためのロック機構を有する、
当該装置において、
測定ヘッド(6)は、電圧センサの
電気接点(12)を有し、
この
電気接点(12)は、測定位置において、電極を形成する電池セルジャケット(7)に当接
し、
前記ロック機構は、測定位置において測定ヘッド(6)を固定するために、掛止接続部として形成されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
測定ヘッド(6)は、
前記測定ヘッド(6)に取り付けられている掛止ばね(9)
によって係合される掛止ストッパ(8)を介して、測定位置で固定することができる、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
測定ヘッド(6)は、電池セル(2)の
電池セルジャケット
(7)の膨張を測定する変形センサ(13)を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
測定ヘッド(6)は、電池セルジャケット(7)を測定位置において周囲側で部分的に取り囲むクランプを形成する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
測定位置において電池セルジャケット(7)に面する測定ヘッド(6)の終端部分は、可撓性
のセンサキャリア(15)のための固定部分(16)を形成する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
キャリア(3)は、電池セル(2)が貫通する流体チャネル(17)を画定
する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
温度センサ(19)は、
測定位置において電池セル(2)の電池セルジャケット(7)で接触するために、エントロピー弾性バッファ(20)を介して測定ヘッド(6)に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
測定ヘッド(6)が、測定チャネル(5)の方向に移動可能に、接触ピン(21)を介して回路基板(22)と接触する、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
接触ピン(21)用のコネクタホルダ(23)が、回路基板(22)の測定チャネル(5)とは反対側に設けられている、ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
ピンヘッダ及びソケットヘッダは、測定チャネル(5)の方向に対して横方向において対向する位置の、回路基板(22)の終端部分に設けられていて、信号線(11)を介して測定ヘッド(6)と電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャケット側で電池セルを収容する開口部を有するキャリアを備える装置に関するものであり、このキャリアは、キャリア外壁と開口部との間に延在する測定ヘッドのための測定チャネルを有し、電池セルジャケットに対して設定されている測定位置のためのロック機構を備える。
【背景技術】
【0002】
電池セルの電圧又は温度のような状態変数の測定は、例えば、電池モジュールの充電状態の決定、又は充電若しくは駆動時の最適な動作温度の調整、又は効率的な充電条件の生成のような、電気移動度の分野における基本的なプロセスを実施するための基本的な前提条件である。
【0003】
従来技術からは、電池セルが収容され、温度センサ、電圧センサ、及び湿度センサが取付けられている電池モジュールが知られている(特許文献1)。しかしながら、この欠点は、センサのこれらの配置の場合に、状態変数の測定が上面側で、すなわち、その電極側で行われ、且つ電池セルから離れて行われることである。それ故に、これは、電池モジュール内及び電池セル内の状態変数が不均一であることが分かったので、問題である。特に、上面の領域における状態変数の決定は、関連する化学プロセスが上面からも底部面からも離れて行われるため、しばしば誤った測定結果をもたらす。その結果、例えば、電極で測定された温度値が個々の電池セルにおける温度値に対応しないので、電池の温度制御のような制御ループがより困難になる。したがって、これは、電池モジュール及び電池セルにおける動作パラメータの望まれない変動をもたらし、それらの耐用年数、出力及び動作信頼性を低下させる。
【0004】
この問題は、電池セルに直接流れ込む流体を用いた電池モジュールの個々の電池セルの温度制御(特許文献2)にもあるが、この場合、より動的制御、及びそれに関連して、動作パラメータのより小さい変動が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102018118083号明細書
【文献】独国特許出願公開第102015013377号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、電池モジュール内および電池セル内の状態変数の不均一な分布に対応した調整を可能にし、この場合、電池モジュールの工業的な製造、特に電池モジュールを組み立てることを促進することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、測定ヘッドは、電圧センサの電気接点を有し、この電気接点は、測定位置において、電極を形成する電池セルジャケットに当接する、ことによって、上記与えられた課題を解決する。これらの特徴によれば、電池セルは、測定ヘッドを測定チャンネルに収納した状態、又は測定チャンネルから完全に取り外された状態で、工業的な接合プロセスの場合でも、測定ヘッドに損傷を与える心配なしに、開口部に簡単なやり方で装入され、キャリアに対して位置合わせすることができる。この場合、測定チャネルは、キャリア外壁を介してアクセス可能なままであり、その結果、測定ヘッドは、電池セルが接合した後に挿入することができ、所定の測定位置における電池セルジャケットで、例えば、ガルバニック接触または良好な熱伝達が生じるように当接することができる。この方法では、電池セルのジャケットで状態変数を直接把握することができ、したがって、化学的な反応の中心近くで把握することができ、高い動的制御のために利用することができる。この場合、測定チャネルは、好ましくは、キャリア内の電池セルの長手方向軸線に対して横に延在する。複数の個々の電池セルのための複数の開口部が、本発明によるキャリアに設けられている場合、電池モジュール内の不均一な状態変数も本発明によるキャリアで把握することができるように、これらの電池セルの少なくとも一部分に対して複数の測定チャネルが設けられ得る。電池セル若しくは電池セルに対するキャリアの相対位置に応じて、状態変数の測定は、電池セルジャケット上の異なる位置で行うことができる。その結果、測定のために状態変数に対して代表的な位置を選択することができる。測定位置において、測定ヘッドは、例えば掛止接続部として作られているロック機構によって固定することができる。このロック機構は、保守のために、若しくは欠陥のある測定ヘッドの交換のために、取り外し可能に形成され得る。最終的に、測定ヘッドのための信号線も、測定チャネルを介して外部へ案内することができる。
【0008】
特に合成樹脂から成る測定ヘッド若しくはキャリアの場合に、取り外し可能なロックのための簡単な製造条件及び組立条件を作り出すために、測定ヘッドは、測定位置において測定チャネルの掛止ストッパの背後で係合する掛止ばねを有し得る。掛止ばねを測定ヘッドに割り当て、戻り止めストッパを測定チャネルに割り当てることにより、ばね要素に必要な凹部を、機械的応力の小さい測定ヘッドにより簡単に一体化することができるので、製造条件が簡単になる。組立プロセスの際に、測定ヘッドを測定チャネルへ装入することができ、掛止ばねが掛止ストッパにかみ合い係合式に背後で係合することによって、測定位置に自動的にロックすることができる。この目的のために、より良好な位置調整に対して、複数の掛止ばね若しくは掛止ストッパが設けられ得る。測定ヘッドが、電池セルとは反対側の終端部分に、キャリアの外壁から測定チャネルを閉鎖するカバープレートを有する場合に、特に有利な条件を生じる。このカバープレートは、掛止ばねを取り外すための貫通開口部を有し得る。さらに、カバープレートは、センサへ案内される信号線のための別の貫通開口部又は接続ソケットを備え得る。
【0009】
電池セルは2つの電極を形成し、この電極は、通常、所定の位置で電気接点としてアクセス可能である。しかしながら、市販の電池セルの場合には、特に円筒形の円形セルの場合には、1つの電極が電池セルジャケットを形成し、この電池セルジャケットが、より簡単な取り扱いのために、例えばコーティングによって絶縁される。しかしながら、所定の電気接点は、上述したように、全ての状態変数の測定のために不都合な位置に配置されているので、よりコンパクトな構造のために、測定ヘッドは、電圧センサの電気接点を有し、この電気接点は、測定位置において、電極を形成する電池セルジャケットに当接する、ことが企図される。電池セルジャケットが電気的に絶縁されている場合には、接合する前に少なくとも開口部に開口する測定チャネルの領域で、電池セルジャケットを剥離することまたは取り除くことができる。その結果、電池ジャケットを介して電極に接触可能である。測定ヘッドの電気接点を介して、電気接点が測定位置において電池セルジャケットに当接し、電圧タップが可能であるので、電圧計と電極としての電池セルジャケットの間に電気的接続を確立することができる。
【0010】
初期段階で臨界動作条件を決定できるようにするために、測定ヘッドは、電池セルのジャケット側の膨張を測定するための変形センサを備えることが企図される。すなわち、電池セルのわずかな変形によって、臨界動作条件を初期段階で識別することができることが分かったためである。巻かれた電極コアを有する電池セルの場合、このような変形は、特に電池セルジャケットで確認可能である。その結果、ジャケット側のタップは、特に、初期段階のエラー検出を可能にする。特に有利な一つの実施形態では、変形センサが、測定ヘッドの適した場所に、必要に応じてあらかじめプレストレスかけられている歪みゲージに取り付けられ得る。
【0011】
過剰に決定された力のシステムを回避するために、電池セルが、例えばシールによって、開口部内に浮遊状態で設置されている場合に有利であり得る。したがって、振動または他の機械的負荷の場合では、開口部内のキャリアに対する電池セルの相対的な位置が動作中に変化することが起こり得る。開口部内のキャリアに対する電池セルの相対位置に関係なく信頼できる測定を可能にするために、測定ヘッドが、電池セルジャケットを測定位置において周囲側で部分的に取り囲むクランプを形成する、ことが企図される。クランプが電池セルジャケットを周囲側で部分的に取り囲むことによって、測定ヘッドと電池セルとの間の相対運動が回避される。さらに、クランプは、異なるセンサを複数の測定点に取り付けることを可能性とし、その際、摩擦係合式のクランプ接続によって、クランプアームに沿って、特に自由終端部分の領域において、一致する測定条件がある。さらに、例えば、歪みゲージのような変形センサを、特にクランプアームの分岐領域に取り付けることができる。これらの測定条件は、クランプアームが測定チャネルの開口部から出発して電池セルの最大直径の背後で係合するということによって、クランプと電池セルとの間に摩擦係合だけでなくかみ合い係合もある場合には、さらに改善することができる。本発明の一つの簡単な実施形態では、クランプは、測定ヘッドのためのロック機構を形成することができる。好ましい実施形態では、クランプが、測定チャネルに設けられている掛止接続部を補完する。その結果、キャリアの開口部内で電池セルがさらに安定する。
【0012】
測定されるべき状態変数と電池幾何形状とに関して測定をより柔軟に行うために、測定位置において電池セルジャケットに面する測定ヘッドの終端部分は、可撓性のセンサキャリアのための固定部分を形成する、ことが企図される。このようにして、センサキャリアを測定ヘッドの固定部分の形態によって特定の電池セル幾何形状に適合するので、同じセンサキャリアを異なる電池セル幾何形状に使える。この場合、この固定部分は、個々のセンサのための十分な構造的高さが達成されるように、終端部分の当接面に対して後退させることができる。この場合、固定部分と当接面との間の距離は、終端部分に沿って変化することができる。その結果、個々のセンサを、異なる力で電池セルジャケットに対して押圧すること、または、それらの電池セルジャケットから離間して固定することができる。特に簡単な一つの実施形態では、固定部分は、終端部分に沿って延在する溝を形成し、溝底部は、隆起部及び/又は窪みを有することができる。加えて、測定ヘッドおよびセンサキャリアを2つの構成要素として実施することで、センサキャリアでの異なる位置における異なる状態変数用のセンサを有するセンサキャリアが、予め製造され、そのあと、測定ヘッドに取り付けることができることによって、測定ヘッドの適用領域を拡大することができる。
【0013】
冒頭で既に言及したように、特に電池セルの温度に対する、とりわけ動的調整挙動は、電池セルに冷却流体が直接流れ込むことによって達成することができる。しかしながら、このような調整のためには、わずかな時間遅延で、且つ好ましくは電池セルに流れ込む範囲で直接、状態変数を把握することが必要である。したがって、本発明は、キャリアは、電池セルが貫通する流体チャネルを画定し、且つ流体チャネルの方向において、シールが開口部の測定チャネル口部で後方収容されている、ことにも関する。したがって、電池セルジャケットとキャリアとの間の流体チャネルに対するシールも、電池セルジャケットの状態変数の測定も、キャリア内のこのシールの直後に収容することができ、その結果、特にコンパクトな構造形態になるだけではなく、測定点を流体流路のすぐ近くに、したがって電池セルジャケットに流体が流れ込む範囲に配置することが可能になる。
【0014】
この装置は、動作中に振動又は他の機械的な応力にさらされている可能性がある。例えば、測定ヘッドが測定位置でロックすると機械的応力が生じ、例えば、はんだ付けされている電気的な接点のような装置の壊れやすい部分にストレスを与えることがある。したがって、壊れやすい電気的な部品の消耗および機械的な応力を低減するために、測定位置において電池セルをジャケット側で接触する温度センサは、エントロピー弾性バッファを介して測定ヘッドに取り付けられている、ことが企図される。その結果、発生する機械的な力を、可逆的かつ非破壊的に変形するエントロピー弾性バッファへ伝えることができる。それによって、この力が装置のより壊れやすい部分へ伝わること、この場合、これらの部分を損傷することが回避される。その絶縁特性によって、エントロピー弾性バッファは、電池セルと測定ヘッドとの間の意図しない電気的な接触を防ぐ。この場合では、もちろん、温度センサが、電池セルジャケットに対して対応する熱伝導性絶縁体を有していなければならない。さらに、エントロピー弾性バッファは、温度センサが電池セルジャケットに対して押圧されるようにプレストレスを受けることができ、これで、振動または他の機械的影響の場合でも、電池セルジャケットと温度センサとの間の確実な接触が常に保証されている。この場合、エントロピー弾性バッファは、例えば、ゴムから製造することができる。
【0015】
測定ヘッドが、測定チャネルの方向に移動可能に、接触ピンを介して回路基板と接触する、場合に、特に好ましい組立条件が生じる。この場合、回路基板は、測定ヘッドから出ている信号線を支持する。測定ヘッドと接点ピンとの間に結果として生じる差し込み式接続によって、はんだ接点を必要としない。その結果、組立てを容易にするだけでなく、ボードの高さ調節可能な格納が、硬質のはんだ付け接続よりも柔軟であるので、機械的応力に対する接続の耐久性が高くもなる。このようにして、基板および測定ヘッドは、それらの電気的接続に影響を及ぼすことなく、余裕をもって互いに接続される。接触ピンに沿って基板を移動するために必要な力を調整するために、接触ピンを周囲側で固定するスリーブが基板上に設けられ得る。
【0016】
接触ピン用のコネクタホルダが、回路基板の測定チャネルとは反対側に設けられている場合、短絡または電池状態変数の誤った読み取りの原因を回避することができる。コネクタホルダは、接触ピンを周囲側で取り囲み、接触ピンの機械的損傷と、接触ピンと装置のすぐ近くに存在し得る導電性の構成要素との間の意図しない電気的な接触とを防止する。
【0017】
状態変数が複数の装置で測定される場合、ピンヘッダ及びソケットヘッダが、測定チャネルの方向に対して横方向において対向する位置の、回路基板の終端部分に設けられていて、信号線を介して測定ヘッドと電気的に接続されている際に、これらは、簡単かつ中央で読み取ることができる。隣接する、例えば電池スタックの、装置は、ピンヘッダ及びソケットヘッダを介して互いに簡単に且つ可逆的に取り外し可能に接続することができる。その結果、ケーブル線及び設置スペースが節約することができ、測定されている状態変数は、中央出力及び/又はバスシステムを介して読み取ることができる。それぞれの接触ピンでもって基板をスライド可能に接触することで、隣接する基板を簡単かつ柔軟に接触することが可能である。
【0018】
図面には、本発明の対象が、例示的に図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】電池セルが装入されている本発明による装置の断面図を示す。
【
図3】電池セルが装入されている本発明による装置の別の実施形態の
図1に対応する断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による装置は、ジャケット側で電池セル2をキャリア3に収容する開口部1を有する。キャリアは、キャリア外壁4と開口部1との間に延在する測定チャネル5を備える。この測定チャネル5には、測定ヘッド6が装入されていて、及び電池セルジャケット7に当接することができるように、ロック機構を介して固定される。その結果、測定ヘッド6は、電池セル2が開口部1に装入された後に、初めて測定チャネル5にはめ込むことができる。その結果、測定ヘッド6は、接合プロセスを妨げない。
【0021】
測定ヘッド6が測定チャネル5に装入されると、測定ヘッド6は測定チャネル5で、測定ヘッド6に取り付けられている掛止ばね9によって後方で係合される掛止ストッパ8を介して、測定位置にロックすることができる。好ましい実施形態では、掛止ストッパ8は、キャリア外壁4の一部であり得る。測定ヘッド6が、掛止ストッパ8で掛止ばね9を介してスナップ嵌めした後、測定チャネル5が測定ヘッド6のカバープレート10を用いてかみ合い係合式に閉じられる。測定ヘッド6と電池セルジャケット7との間の良好な物理的接触は、例えば電池セルジャケット7での温度のような特定の状態変数を測定するために必要とされるので、カバープレート10のキャリア外壁4とのかみ合い係合は、掛止ばね9が掛止ストッパ8と係合した状態において、測定ヘッド6が所定の測定位置に到達したかどうかの目視検査を可能にする。カバープレート10は、掛止ばね9を取り外すための、または測定ヘッド6のセンサに通じる信号線11のための貫通開口部をさらに備え得る。測定ヘッド6は、測定ヘッド6が測定位置にロックされると同時に、電池セルジャケット7に接触する電圧センサの電気接点12を有する。複数の状態変数を測定するために、測定ヘッド6は、例えばジャケット側の電池セル2の膨張を測定する変形センサ13又は温度センサ14などの、複数の異なるセンサを備え得る。測定ヘッド6の構成は、状況と固有の幾何学的形状に適合され得る。従来の円筒形電池セル2の場合、測定ヘッド6は、電池セルを摩擦係合式に且つ実施形態に応じて同様にかみ合い係合式に把持するクランプを形成し得る。測定ヘッド6のための(例えば合成樹脂のような)材料を適切に選択することによって、電池セル形状に適合した幾何学的形状を製造技術の観点から簡単に実現することができる。センサは、測定ヘッド6に直接固定する代わりに、可撓性のセンサキャリア15に取り付けられ得る。次に、センサキャリア15は、測定ヘッド6の、具体的には電池セルジャケット7に面する側の固定部分16に固定される。この固定部16は、例えば、測定ヘッド6の局所的な隆起部、窪み部、又は締付けジョーによって、センサキャリア15に取り付けられている様々なセンサに対して特定の接触状態を可能にするように設計されている。固定部分16は、電池セル2に面する測定ヘッド6の終端部分に沿って延在する溝を形成することもでき、その溝底部は、センサの異なるサイズ及び形状に関して接触条件及び測定条件を最適化するために、対応する隆起部及び窪み部を有する。センサキャリア15及び測定ヘッド6を、異なるが接続可能な2つの構成要素として形成することによって、可撓性のセンサキャリア15が、異なる幾何学的構成の測定ヘッド6上で使用することができる。本発明に従って測定チャネル5をキャリア3内に設置する場合には、本発明による装置を流体冷却電池セル2でも装入することができ、その際、測定ヘッド6の導電性構成要素と流体チャネル17との間の流れ接続を阻止するために、流体チャネル17の方向において、シール18が測定チャネル5の口部で後方収容されている。
【0022】
図3は、本発明による装置の一つの実施例を示していて、この実施例では、測定ヘッド6が、測定位置において電池セル2のジャケット側で接触する温度センサ19を有し、温度センサ19は、エントロピー弾性バッファ20を介して測定ヘッド6に取り付けられている。エントロピー弾性バッファ20は、その絶縁特性によって電池セル2と測定ヘッド6との間の意図しない電気的接触を防止し、且つ装置の他の構成要素を損傷し得る機械的な力を吸収する。エントロピー弾性バッファ20が機械的なプレストレスを受けると、温度センサ19を電池セル外側部7に対して押圧することができる。これは、障りがある機械的振動の場合に、温度測定の信頼性を増加させる。
図3に示されている実施例では、信号線11を共通の回路基板22上に案内することができ、その際、温度センサ19は、接点ピン21を介して測定チャネル5の方向に変位可能に支承することができ、及び測定ヘッド6と電気的に接続することができる。その結果、動作上の機械的な振動の場合、急速に摩耗する(例えば、はんだ付け箇所のような)硬質の接続を、回避することができる。接点ピン21の端部は、コネクタホルダ23によって装置の周囲から電気的に遮蔽することができ、それによって、例えば、ショート又は電池状態変数の誤った読み取りを回避することができる。隣接する複数の装置の回路基板22は、単一の出力を介して隣接する装置の複数の電池セル2の状態変数を読み取るために、ピンヘッダ及びソケットヘッダ(図示せず)によって、簡単かつ可逆的に、互いに電気的に接続することができる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
ジャケット側で電池セル(2)を収容する開口部(1)を有するキャリア(3)を備える装置であって、
このキャリア(3)は、キャリア外壁(4)と開口部(1)の間で延在する測定ヘッド(6)のための測定チャネルを有し、
測定ヘッド(6)は、電池セルジャケット(7)に対して設定されている測定位置のためのロック機構を有する、
当該装置において、
測定ヘッド(6)は、電圧センサの電気接点(12)を有し、
この電気接点(12)は、測定位置において、電極を形成する電池セルジャケット(7)に当接する、
ことを特徴とする装置。
2.
測定ヘッド(6)は、測定位置において測定チャネル(5)の掛止ストッパ(8)を背後で係合する掛止ばね(9)を有する、ことを特徴とする上記1に記載の装置。
3.
測定ヘッド(6)は、電池セル(2)のジャケット側の膨張を測定する変形センサ(13)を備える、ことを特徴とする上記1又は2に記載の装置。
4.
測定ヘッド(6)は、電池セルジャケット(7)を測定位置において周囲側で部分的に取り囲むクランプを形成する、ことを特徴とする上記1から3のいずれか一つに記載の装置。
5.
測定位置において電池セルジャケット(7)に面する測定ヘッド(6)の終端部分は、可撓性のセンサキャリア(15)のための固定部分(16)を形成する、ことを特徴とする上記1から4のいずれか一つに記載の装置。
6.
キャリア(3)は、電池セル(2)が貫通する流体チャネル(17)を画定し、且つ、流体チャネル(17)の方向において、シール(18)が開口部の測定チャネル口部で後方収容されている、ことを特徴とする上記1から5のいずれか一つに記載の装置。
7.
測定位置において電池セル(2)をジャケット側で接触する温度センサ(19)は、エントロピー弾性バッファ(20)を介して測定ヘッド(6)に取り付けられている、ことを特徴とする上記1から6のいずれか一つに記載の装置。
8.
測定ヘッド(6)が、測定チャネル(5)の方向に移動可能に、接触ピン(21)を介して回路基板(22)と接触する、ことを特徴とする上記1から7のいずれか一つに記載の装置。
9.
接触ピン(21)用のコネクタホルダ(23)が、回路基板(22)の測定チャネル(5)とは反対側に設けられている、ことを特徴とする上記8に記載の装置。
10.
ピンヘッダ及びソケットヘッダは、測定チャネル(5)の方向に対して横方向において対向する位置の、回路基板(22)の終端部分に設けられていて、信号線(11)を介して測定ヘッド(6)と電気的に接続されている、ことを特徴とする上記8又は9に記載の装置。