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▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】デジタルバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20241203BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20241203BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20241203BHJP
【FI】
A61B10/00 H
G16H50/20
A61B5/11 230
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021573174
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2020066668
(87)【国際公開番号】W WO2020254345
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】19181313.8
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】ゴッセンス クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】リンデマン ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】リップスマイアー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ デトレフ
【審査官】村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/050763(WO,A1)
【文献】特表2018-519133(JP,A)
【文献】特表2018-533605(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0163426(US,A1)
【文献】国際公開第2019/081640(WO,A2)
【文献】ANDREEA MIHAELA SEFERIAN; ET AL,UPPER LIMB EVALUATION AND ONE-YEAR FOLLOW UP OF NON-AMBULANT PATIENTS WITH SPINAL 以下備考,PLOS ONE,2015年04月,VOL:10, NR:4,PAGE(S):1 - 16,http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0121799,MUSCULAR ATROPHY: AN OBSERVATIONAL MULTICENTER TRIAL
【文献】LUCIANO MERLINI; ET AL,RELIABILITY OF HAND-HELD DYNAMOMETRY IN SPINAL MUSCULAR ATROPHY,MUSCLE AND NERVE,2002年07月,VOL:26, NR:1,PAGE(S):64 - 70,http://dx.doi.org/10.1002/mus.10166
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/01
A61B 5/06- 5/22
A61B 9/00-10/06
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋障害有する被験者の軸性運動機能を評価するための診断装置であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記装置に関連付けられた1つ以上のセンサであって、前記センサが運動センサである、センサと、
コンピュータ可読命令を格納するメモリと
を備えており、
前記コンピュータ可読命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記装置に、
前記装置に関連付けられた前記1つ以上のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信すること、
受信した前記第1のセンサデータから、筋障害有する被験者の前記軸性運動機能に関する第1の複数の特徴を抽出すること、および
抽出した前記第1の複数の特徴に基づいて、前記被験者の前記軸性運動機能の第1の評価を決定すること
を実行させ
前記コンピュータ可読命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、更に、スマートフォンである前記装置に、
前記被験者に対して、前記スマートフォンを素早く左右に傾ける診断タスクを実行するように促すこと、
前記被験者による前記診断タスクの実行に応答して、前記装置に関連付けられた前記1つ以上のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信すること、
受信した前記第2のセンサデータから、前記被験者の前記軸性運動機能に関する第2の複数の特徴を抽出すること、および
抽出した前記第2の複数の特徴に基づいて、前記被験者の前記軸性運動機能の第2の評価を決定すること
を実行させる、装置。
【請求項2】
前記診断タスクは、運動機能試験の少なくとも1つに関する、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記筋障害がSMAである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記被験者は、人間である、請求項1~のいずれか一項に記載の装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、改善された被験者の試験および被験者の分析のための医療機器に関する。より具体的には、本明細書で説明される態様は、被験者における筋障害、特に脊髄性筋萎縮症(SMA)の症状の重症度および進行を被験者の能動的試験によって評価するための診断装置、システム、および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、近位脊髄性筋萎縮症および5q脊髄性筋萎縮症とも呼ばれる常染色体劣性疾患である。これは、運動ニューロンの喪失および進行性の筋消耗に関連する患者数は少ないが生命を脅かす神経筋障害である。
【0003】
SMAは、健康問題になっており、保険制度に関する重大な経済的負担にもなっている。SMAは臨床的に非一様なCNSの疾患であるため、現在の疾患の状態および症状の進行について信頼できる診断および識別を可能にし、したがって正確な処置を支援することができる診断ツールが、必要である。
【0004】
SMAと診断された被験者の症状の重症度および進行を測定するために、いくつかの標準化された方法および試験が存在する。この試験は、身体機能を実行する被験者の能力を医師が測定することを含む。これらの標準化された試験は、さまざまな症状、特に軸性運動機能(axial motor function)の評価をもたらすことができ、これらの症状の経時的な変化の追跡を助けることができる。したがって、標準化された方法および試験を使用して症状の重症度および進行を評価することは、処置および治療の選択肢を導くうえで助けとなり得る。
【0005】
現在のところ、筋障害、特にSMAと診断された被験者における症状の重症度および進行の評価は、6~12ヵ月ごとの病院での被験者の監視および試験を必要とする(http://www.motor-function-measure.org/user-s-manual.aspx,MFM-9,15,20,21(非特許文献1))。被験者をより頻繁に監視および試験することが理想的であるが、病院での監視および試験の頻度を増すことは、高価になる可能性があり、被験者にとって不便になり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】http://www.motor-function-measure.org/user-s-manual.aspx,MFM-9,15,20,21
【発明の概要】
【0007】
簡単な概要
以下に、本明細書で説明される種々の態様の簡単な概要を提示する。この概要は、広範な概説ではなく、主要な要素または重要な要素を特定しようとするものでも、特許請求の範囲の技術的範囲を境界付けようとするものでもない。以下の概要は、下記に提供されるより詳細な説明への導入の前置きとして、いくつかの考え方を簡略化された形式で提示するにすぎない。本明細書に記載の態様は、筋障害、特にSMAと診断された被験者について、症状の重症度および進行を評価するための特別な医療機器を説明する。試験および監視をリモートで病院環境の外部において行うことができるため、より低いコスト、より高い頻度、ならびに簡略化された容易さおよび便利を被験者に提供することができ、結果として、症状の進行の検出が改善され、より良好な処置につながる。
【0008】
一態様によれば、本開示は、被験者における筋障害、特にSMAの軸性運動機能を評価するための診断装置に関する。本装置は、少なくとも1つのプロセッサと、装置に関連付けられた1つ以上のセンサと、コンピュータ可読命令を格納するメモリとを含み、コンピュータ可読命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、装置に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信すること、受信した第1のセンサデータから、被験者における筋障害、特にSMAの軸性運動機能に関する第1の複数の特徴を抽出すること、および抽出した第1の複数の特徴に基づいて、筋障害、特にSMAの軸性運動機能の第1の評価を決定することを、装置に実行させる。
【0009】
本明細書に開示の実施形態によれば、センサは、例えば運動センサであってよい。
【0010】
E1 筋障害、特にSMAを有する被験者の軸性運動機能を評価するための診断装置であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記装置に関連付けられた1つ以上のセンサと、
コンピュータ可読命令を格納するメモリと
を備えており、
前記コンピュータ可読命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記装置に、
前記装置に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信すること、
受信した前記第1のセンサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記軸性運動機能に関する第1の複数の特徴を抽出すること、および
抽出した前記第1の複数の特徴に基づいて、前記被験者の前記軸性運動機能の第1の評価を決定すること
を実行させる、
装置。
【0011】
E2 前記コンピュータ可読命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、前記装置に、
前記被験者に対して、30秒間にわたって電話機を素早く左右に傾けてより多くのコインを収集する診断タスクを実行するように促すこと、
前記被験者による前記診断タスクの実行に応答して、前記装置に関連付けられた前記1つ以上のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信すること、
受信した前記第2のセンサデータから、前記被験者の前記軸性運動機能に関する第2の複数の特徴を抽出すること、および
抽出した前記第2の複数の特徴に基づいて、前記被験者の前記軸性運動機能の第2の評価を決定すること
をさらに実行させる、E1に記載の装置。
【0012】
E3 スマートフォンである、E1またはE2に記載の装置。
【0013】
E4 診断タスクは、運動機能試験の少なくとも1つに関する、E1~E3のいずれか1つに記載の装置。
【0014】
E5 筋障害、特にSMAを有する被験者の軸性運動機能を評価するためのコンピュータによって実現される方法であって、
装置に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数の第1のセンサデータを受信することと、
受信した前記第1のセンサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記軸性運動機能に関する第1の複数の特徴を抽出することと、
抽出した前記第1の複数の特徴に基づいて、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記軸性運動機能の第1の評価を決定することと
を含む、コンピュータによって実現される方法。
【0015】
E6 前記被験者に対して、1つ以上の診断タスクを実行するように促すことと、
前記被験者による前記1つ以上の診断タスクの実行に応答して、前記1つ以上のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することと、
受信した前記第2のセンサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記軸性運動機能に関する第2の複数の特徴を抽出することと、
少なくとも、抽出した前記第2のセンサデータに基づいて、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記軸性運動機能の第2の評価を決定することと
をさらに含む、E5に記載のコンピュータによって実現される方法。
【0016】
E7 前記被験者の軸性運動機能は、能動的タスクに基づいて評価され、特に30秒間にわたって電話機を素早く左右に傾けてより多くのコインを収集することに基づいて評価される、E5またはE6に記載のコンピュータによって実現される方法。
【0017】
E8 前記被験者は、人間である、E1~E4のいずれか1つに記載の装置またはE5~E7のいずれか1つに記載のコンピュータによって実現される方法。
【0018】
E9 筋障害、特にSMAを有する被験者の軸性運動機能を評価するための方法をプロセッサに実行させるための機械可読命令を含む、非一時的な機械可読記憶媒体であって、
前記方法は、
装置に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数のセンサデータを受信することと、
受信した前記センサデータから、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記軸性運動機能に関する複数の特徴を抽出することと、
抽出した前記複数の特徴に基づいて、筋障害、特にSMAを有する被験者の前記軸性運動機能の評価を決定することと
を含む、
非一時的な機械可読記憶媒体。
【0019】
E10 被験者の筋障害、特にSMAを評価する方法であって、
E1~E5のいずれか1つに記載の装置が前記被験者によって使用されていた、第1の所定の時間ウインドウ内の前記装置の使用データを含むデータセットから、使用挙動パラメータを決定するステップと、
決定された少なくとも1つの前記使用挙動パラメータを基準と比較するステップであって、それにより、筋障害、特にSMAを有する被験者が評価される、比較するステップと
を含む、方法。
【0020】
E11 被験者が、筋障害、特にSMAを有する被験者であるかを識別する方法であって、
i)30秒間にわたって電話機を素早く左右に傾けてより多くのコインを収集する診断タスクについて、被験者をスコア付けすることと、
ii)決定された前記スコアを基準と比較することであって、それにより、筋障害、特にSMAが評価される、比較することと
を含む、方法。
【0021】
E12 筋障害、特にSMAの進行の可能性を下げるために、医薬活性剤を前記被験者に投与することをさらに含み、
特に、前記医薬活性剤は、被験者のSMAの処置に適しており、特にm7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害剤、生存運動ニューロンタンパク質1調節剤、SMN2発現阻害剤、SMN2スプライシング調節剤、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2調節剤、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害剤であり、より具体的にはヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベック、リスジプラム、またはブラナプラムである、
E11に記載の方法。
【0022】
E13 決定された少なくとも1つのパラメータが、前記被験者が前記医薬剤による処置を受ける前の患者の基準パラメータと比較してより良好である、E12に記載の方法の組み合わせ。
【0023】
E14 前記被験者は、人間である、E12またはE13に記載の方法。
【0024】
E15 前記薬剤は、リスジプラムである、E12~E14のいずれか1つに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本明細書に記載の態様およびそれらの利点を、添付の図面を考慮して以下の説明を参照することによって、より完全に理解することができる。添付の図面において、同様の参照番号は同様の特徴を示している。
【0026】
図1】典型的な実施形態による被験者における筋障害、特にSMAの軸性運動機能を評価するための診断装置が提供される典型的な環境の図である。
図2】典型的な実施形態による被験者の能動的な試験に基づいて被験者における筋障害、特にSMAの軸性運動機能を評価する方法のフロー図である。
図3】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様を実施するために使用することができるネットワークアーキテクチャおよびデータ処理装置の一例を表している。
図4】本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様による診断アプリケーションを示す一例を表している。
図5】実施例1によるセンサ特徴の結果を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
以下の種々の態様の説明においては、説明の一部を形成しており、本明細書に記載の態様を実施することができるさまざまな実施形態を例示として示している添付の図面を参照する。記載される態様および実施形態の範囲から逸脱することなく、他の態様および/または実施形態を利用することが可能であり、構造的および機能的変更を行うことが可能であることを、理解されたい。本明細書に記載される態様は、他の実施形態が可能であり、さまざまなやり方で実施または実行することが可能である。また、本明細書において使用される表現および用語が、説明を目的とするものであり、限定と見なされるべきではないことを、理解されたい。むしろ、本明細書で使用される語句および用語には、最も広い解釈および意味が与えられるべきである。「・・・を含む」および「・・・を備える」ならびにこれらの変化形の使用は、そこに挙げられる項目およびそれらの同等物だけでなく、追加の項目およびそれらの同等物も包含するように意図される。用語「取り付け」、「接続」、「結合」、「配置」、「係合」、および同様の用語の使用は、直接的および間接的の両方の取り付け、接続、結合、配置、および係合を含むように意図される。
【0028】
本明細書に記載のシステム、方法、および装置は、被験者における筋障害、特にSMAの軸性運動機能を評価するための診断を提供する。いくつかの実施形態において、診断は、モバイル装置、特にスマートフォンにインストールされたソフトウェアアプリケーションとして被験者に提供されてよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、診断は、被験者が日常生活の活動を行うときに、モバイル装置に関連付けられた1つ以上のセンサからセンサデータを取得または受信する。いくつかの実施形態において、センサは、モバイル装置内にあってよく、あるいはスマートウォッチなどのウェアラブルセンサであってよい。いくつかの実施形態においては、筋障害、特にSMAの症状に関連するセンサ特徴が、受信または取得したセンサデータから抽出される。いくつかの実施形態においては、被験者における筋障害、特にSMAの症状の重症度および進行の評価が、抽出されたセンサ特徴に基づいて決定される。
【0030】
いくつかの実施形態において、本開示によるシステム、方法、および装置は、被験者の能動的な試験に基づいて被験者における筋障害、特にSMAを評価するための診断を提供する。いくつかの実施形態において、診断は、被験者に対して診断タスクを実行するように促す。いくつかの実施形態において、診断タスクは、確立された方法および標準化された試験に深く結び付き、あるいは倣う。いくつかの実施形態においては、被験者による診断タスクの実行に応答して、診断は、1つ以上のセンサを介してセンサデータを取得または受信する。いくつかの実施形態において、センサは、モバイル装置内にあってよく、あるいは被験者が身につけるウェアラブルセンサであってよい。いくつかの実施形態においては、筋障害、特にSMAの症状に関連するセンサ特徴が、受信または取得したセンサデータから抽出される。いくつかの実施形態においては、被験者における筋障害、特にSMAの症状の重症度および進行の評価が、センサデータの抽出された特徴に基づいて決定される。
【0031】
本開示による診断を用いた筋障害、特にSMAの症状の重症度および進行の評価は、臨床結果に基づく評価に充分に相関しており、したがって病院での被験者の監視および試験の代わりとなり得る。本開示による典型的な診断は、病院外の環境で使用可能であり、したがってコスト、被験者の監視の容易さ、および被験者にとっての利便性において有利である。これにより、特に毎日などの頻繁な被験者の監視および試験が容易となり、結果として、疾患の段階のより良好な理解が得られ、臨床界および研究界の両方にとって有用な疾患に関する洞察がもたらされる。本開示による典型的な診断は、被験者における筋障害、特にSMAの軸性運動機能におけるわずかな変化でさえも早期に検出することができ、したがって個人に合わせた治療を含むより良い疾患の管理に使用することが可能である。
【0032】
図1が、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能を評価するための診断装置105が提供される典型的な環境の図である。いくつかの実施形態において、装置105は、スマートフォン、スマートウォッチ、または他のモバイルコンピューティングデバイスであってよい。装置105は、ディスプレイ画面160を備える。いくつかの実施形態において、ディスプレイ画面160は、タッチスクリーンであってよい。装置105は、少なくとも1つのプロセッサ115と、症状監視アプリケーション130用のコンピュータ命令を格納するメモリ125とを含み、症状監視アプリケーション130用のコンピュータ命令は、少なくとも1つのプロセッサ115によって実行されたときに、装置105に筋障害、特にSMAの軸性運動機能を評価させる。装置105は、装置105に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数のセンサデータを受信する。いくつかの実施形態において、装置に関連付けられた1つ以上のセンサは、装置内に配置されたセンサ、または装置と通信するように構成された被験者が身につけるセンサの少なくとも一方である。図1において、装置105に関連付けられたセンサは、装置105内に配置される第1のセンサ120aと、被験者110が身につけることができる第2のセンサ120bとを含む。装置105は、被験者110が活動を行う際に、第1のセンサ120aによる複数の第1のセンサデータおよび第2のセンサ120bによる複数の第2のセンサデータを受信する。
【0033】
装置105は、受信した第1のセンサデータおよび第2のセンサデータから、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能に関する特徴を抽出する。いくつかの実施形態において、被験者110における筋障害、特にSMAの症状は、被験者110の軸性運動機能を表す症状、被験者110の軸性運動機能を表す症状を含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、装置105に関連付けられたセンサ120は、BluetoothおよびWiFi機能が関連付けられたセンサを含むことができ、センサデータは、センサ120により受信されたBluetoothおよびWiFi信号に関連付けられた情報を含むことができる。いくつかの実施形態において、装置105は、受信した第1のセンサデータおよび第2のセンサデータから、装置105またはセンサによって受信または送信されたBluetoothおよびWiFi信号の密度に対応するデータを抽出する。いくつかの実施形態において、被検者110の軸性運動機能の評価は、抽出されたBluetoothおよびWiFi信号データに基づくことができる。
【0035】
装置105は、受信した第1および第2のセンサデータの抽出された特徴に基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定する。いくつかの実施形態において、装置105は、抽出された特徴をネットワーク180を介してサーバ150に送信する。サーバ150は、少なくとも1つのプロセッサ155と、症状評価アプリケーション170用のコンピュータ命令を格納するメモリ161とを含み、症状評価アプリケーション170用のコンピュータ命令は、サーバのプロセッサ155によって実行されたときに、プロセッサ155に、サーバ150が受信した装置105からの抽出された特徴に基づき、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定させる。いくつかの実施形態において、症状評価アプリケーション170は、装置105から受信したセンサデータの抽出された特徴と、メモリ160に格納された被験者データベース175とに基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定することができる。いくつかの実施形態において、被験者データベース175は、被験者データおよび/または臨床データを含むことができる。いくつかの実施形態において、被験者データベース175は、筋障害、特にSMAの被験者からのベースラインの長期的な軸性運動機能の病院におけるセンサに基づく測定値を含むことができる。いくつかの実施形態において、被験者データベース175は、サーバ150から独立していてもよい。いくつかの実施形態において、サーバ150は、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能について決定された評価を、装置105に送信する。いくつかの実施形態において、装置105は、筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を出力することができる。いくつかの実施形態において、装置105は、評価に基づいて被験者110に情報を伝達することができる。いくつかの実施形態においては、筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を、臨床医に伝達することができ、臨床医は、評価に基づいて被験者110のための個人ごとの治療を決定することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、症状監視アプリケーション130用のコンピュータ命令は、少なくとも1つのプロセッサ115によって実行されたときに、装置105に、被験者110の能動的な試験に基づいて被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能を評価させる。装置105は、被験者110に対して1つ以上のタスクを実行するように促す。いくつかの実施形態において、被験者に対して1つ以上の診断タスクを実行するように促すことは、被験者に対して予め指定された文を書き写すように促すこと、または被験者に対して1つ以上の動作を実行するように促すことを含む。いくつかの実施形態において、診断タスクは、筋障害、特にSMAを診断および評価するための充分に確立された方法および標準化された試験に深く結び付き、あるいは倣う。
【0037】
被験者110による1つ以上の診断タスクの実行に応答して、診断装置105は、装置105に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数のセンサデータを受信する。上述したように、装置105に関連付けられたセンサは、装置105内に配置される第1のセンサ120aと、被験者110が身につける第2のセンサ120bとを含むことができる。装置105は、第1のセンサ120aを介して複数の第1のセンサデータを受信し、第2のセンサ120bを介して複数の第2のセンサデータを受信する。いくつかの実施形態において、1つ以上の診断タスクは、軸性運動機能の測定、特にタスクの実行時の或る形状の描画の時間および正確さの測定値に関連付けられてよい。
【0038】
装置105は、受信した複数の第1のセンサデータおよび受信した複数の第2のセンサデータから、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能に関する特徴を抽出する。被験者110における筋障害、特にSMAの症状は、被験者110の軸性運動機能を表す症状を含み得る。
【0039】
装置105は、受信した第1および第2のセンサデータの抽出された特徴に基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定する。いくつかの実施形態において、装置105は、抽出された特徴をネットワーク180を介してサーバ150に送信する。サーバ150は、少なくとも1つのプロセッサ155と、症状評価アプリケーション170用のコンピュータ命令を格納するメモリ161とを含むことができ、症状評価アプリケーション170用のコンピュータ命令は、サーバのプロセッサ155によって実行されたときに、プロセッサ155に、サーバ150が受信した装置105からの抽出された特徴に基づき、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定させる。いくつかの実施形態において、症状評価アプリケーション170は、装置105から受信したセンサデータの抽出された特徴と、メモリ160に格納された被験者データベース175とに基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定することができる。いくつかの実施形態において、被験者データベース175は、被験者データおよび/または臨床データを含むことができる。いくつかの実施形態において、被験者データベース175は、筋障害、特にSMAの被験者からのベースラインの長期的な軸性運動機能の測定値を含むことができる。いくつかの実施形態において、被験者データベース175は、筋障害、特にSMAの他の段階にある被験者からのデータを含むことができる。いくつかの実施形態において、被験者データベース175は、サーバ150から独立していてもよい。いくつかの実施形態において、サーバ150は、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能について決定された評価を、装置105に送信する。いくつかの実施形態において、装置105は、筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を出力することができる。いくつかの実施形態において、装置105は、評価に基づいて被験者110に情報を伝達することができる。いくつかの実施形態においては、筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を、臨床医に伝達することができ、臨床医は、評価に基づいて被験者110のための個人ごとの治療を決定することができる。
【0040】
図2が、図1の典型的な装置105を用いて被験者の能動的な試験に基づいて被験者における筋障害、特にSMAの軸性運動機能を評価するための典型的な方法を示している。図3は、図1を参照して説明されるが、図3の方法の各ステップを他のシステムによって実行してもよいことに、留意すべきである。本方法は、被験者に対して1つ以上の診断タスクを実行するように促すこと(205)を含む。本方法は、被験者による1つ以上のタスクの実行に応答して、1つ以上のセンサを介して複数のセンサデータを受信すること(ステップ210)を含む。本方法は、受信したセンサデータから、筋障害、特にSMAの軸性運動機能に関する複数の特徴を抽出すること(215)を含む。本方法は、少なくとも、抽出したセンサデータに基づいて、筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定すること(ステップ220)を含む。
【0041】
図2は、図1の典型的な装置105を用いて被験者110の能動的な試験に基づいて筋障害、特にSMAの軸性運動機能を評価するための典型的な方法を示している。いくつかの実施形態において、装置105を用いた被験者110の能動的な試験は、症状監視アプリケーション130のユーザインターフェースを介して選択されてもよい。
【0042】
本方法は、被験者に対して診断タスクを実行するように促すことを含むステップ205に進むことによって開始する。装置105は、被験者110に対して1つ以上の診断タスクを実行するように促す。いくつかの実施形態において、被験者に対して1つ以上の診断タスクを実行するように促すことは、被験者に対して1つ以上の動作を実行するように促すことを含む。いくつかの実施形態において、診断タスクは、筋障害、特にSMAを診断および評価するための充分に確立された方法および標準化された試験に深く結び付き、あるいは倣う。
【0043】
いくつかの実施形態において、診断タスクは、電話を左右に素早く傾けることによってより多くのコインを収集することを含むことができる。
【0044】
本明細書において使用されるとき、「試験」という用語は、被験者が本明細書に記載の診断タスクを実行するように求められる試験を表す。
【0045】
本方法は、被験者による1つ以上の診断タスクの実行に応答して、1つ以上のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することを含むステップ210に進む。被験者110による1つ以上の診断タスクの実行に応答して、診断装置105は、装置105に関連付けられた1つ以上のセンサを介して複数のセンサデータを受信する。上述したように、装置105に関連付けられたセンサは、装置105内に配置される第1のセンサ120aと、被験者110が身につける第2のセンサ120bとを含む。装置105は、第1のセンサ120aを介して複数の第1のセンサデータを受信し、第2のセンサ120bを介して複数の第2のセンサデータを受信する。
【0046】
本方法は、受信したセンサデータから、筋障害、特にSMAの軸性運動機能に関する第2の複数の特徴を抽出することを含むステップ215に進む。装置105は、受信した第1のセンサデータおよび第2のセンサデータから、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能に関する特徴を抽出する。被験者110における筋障害、特にSMAの症状は、被験者110の軸性運動機能を表す症状を含み得る。いくつかの実施形態において、複数の第1および第2のセンサデータの抽出された特徴は、軸性運動機能などの筋障害、特にSMAの症状を表すことができる。
【0047】
本方法は、少なくとも、抽出されたセンサデータに基づいて、筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定することを含むステップ220に進む。装置105は、受信した第1および第2のセンサデータの抽出された特徴に基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定する。いくつかの実施形態において、装置105は、抽出された特徴をネットワーク180を介してサーバ150に送信することができる。サーバ150は、少なくとも1つのプロセッサ155と、症状評価アプリケーション170用のコンピュータ命令を格納するメモリ160とを含み、症状評価アプリケーション170用のコンピュータ命令は、プロセッサ155によって実行されたときに、サーバ150が受信した装置105からの抽出された特徴に基づき、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定する。いくつかの実施形態において、症状評価アプリケーション170は、装置105から受信したセンサデータの抽出された特徴と、メモリ160に格納された被験者データベース175とに基づいて、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定することができる。被験者データベース175は、さまざまな臨床データを含み得る。いくつかの実施形態において、第2の装置は、1つ以上のウェアラブルセンサであってよい。いくつかの実施形態において、第2の装置は、慣性計測ユニット(IMU)を有する運動センサを備える任意の装置であってよい。いくつかの実施形態において、第2の装置は、いくつかの装置またはセンサであってよい。いくつかの実施形態において、被験者データベース175は、サーバ150から独立していてもよい。いくつかの実施形態において、サーバ150は、被験者110における筋障害、特にSMAの軸性運動機能について決定された評価を、装置105に送信する。図1に示されるようないくつかの実施形態において、装置105は、装置105のディスプレイ160上に、筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を出力することができる。
【0048】
上述のように、本開示による診断を用いた筋障害、特にSMAの症状の重症度および進行の評価は、臨床結果に基づく評価に充分に相関しており、したがって病院での被験者の監視および試験の代わりとなり得る。本開示による診断を、筋障害を有する被験者の群、特にSMAの被験者において研究した。被験者に、軸性運動機能の試験、特に「コインを集めよ」と呼ばれる試験を含むスマートフォンアプリケーションを提供した。
【0049】
図3が、図1および図2に記載の態様など、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様を実施するために使用することができるネットワークアーキテクチャおよびデータ処理装置の一例を示している。種々のネットワークノード303、305、307、および309が、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)301を介して相互接続されてよい。また、プライベートイントラネット、企業ネットワーク、LAN、ワイヤレスネットワーク、パーソナルネットワーク(PAN)、などの他のネットワークがさらに、または代わりに使用されてよい。ネットワーク301は、説明のためのものであり、より少数または追加のコンピュータネットワークで置き換えられてもよい。ローカルエリアネットワーク(LAN)は、任意の既知のLANトポロジーの1つ以上を有することができ、イーサネットなどの種々さまざまなプロトコルの1つ以上を使用することができる。装置303、305、307、309、および他の装置(図示せず)は、ツイストペアワイヤ、同軸ケーブル、光ファイバー、電波、または他の通信媒体を介して、ネットワークの1つ以上に接続されてよい。
【0050】
本明細書において使用され、図面に表されるとき、「ネットワーク」という用語は、リモートストレージ装置が1つ以上の通信経路を介して互いに結合しているシステムだけでなく、ストレージ機能を有するそのようなシステムに随時に結合可能であるスタンドアローンの装置も指す。したがって、「ネットワーク」という用語は、「物理的なネットワーク」だけでなく、すべての物理的なネットワークにまたがって存在する「単一のエンティティ」に帰属するデータで構成される「コンテンツネットワーク」も含む。
【0051】
構成要素として、データサーバ303、ウェブサーバ305、およびクライアントコンピュータ307、309を挙げることができる。データサーバ303は、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様を実行するためのデータベースおよび制御ソフトウェアの全体的なアクセス、制御、および管理を提供する。データサーバ303を、ウェブサーバ305に接続することができ、ユーザは、ウェブサーバ305を介して対話し、要求のデータを取得することができる。あるいは、データサーバ303は、自身がウェブサーバとして動作し、インターネットに直接接続されてもよい。データサーバ303は、ネットワーク301(例えば、インターネット)を介し、直接的または間接的な接続を介し、あるいは他の何らかのネットワークを介して、ウェブサーバ305に接続されてよい。ユーザは、リモートコンピュータ307、309を使用し、例えばウェブサーバ305によってホストされた1つ以上の外部に露出したウェブサイトを介してデータサーバ303への接続のためのウェブブラウザを使用して、データサーバ303と対話することができる。クライアントコンピュータ307、309を、データサーバ303に格納されたデータにアクセスするためにデータサーバ303と連携して使用することができ、あるいは他の目的のために使用することができる。例えば、クライアント装置307から、ユーザは、技術的に知られているようにインターネットブラウザを使用し、あるいはコンピュータネットワーク(インターネットなど)を介してウェブサーバ305および/またはデータサーバ303と通信するソフトウェアアプリケーションを実行することによって、ウェブサーバ305にアクセスすることができる。いくつかの実施形態において、クライアントコンピュータ307は、スマートフォン、スマートウォッチ、または他のモバイルコンピューティングデバイスであってよく、図1に示した装置105などの診断装置を実現することができる。いくつかの実施形態において、データサーバ303は、図1に示したサーバ150などのサーバを実現することができる。
【0052】
サーバおよびアプリケーションは、同じ物理的な機器上で組み合わせられ、別の仮想アドレスまたは論理アドレスを保持することができ、あるいは別々の物理的な機器上に存在してもよい。図1は、使用可能なネットワークアーキテクチャの一例を示すにすぎず、使用される具体的なネットワークアーキテクチャおよびデータ処理装置が、さまざまであってよく、本明細書でさらに説明されるように、それらが提供する機能に対して二次的であることを、当業者であれば理解できるであろう。例えば、ウェブサーバ305およびデータサーバ303によって提供されるサービスが、単一のサーバ上に組み合わせられてもよい。
【0053】
各構成要素303、305、307、および309は、任意の種類の既知のコンピュータ、サーバ、またはデータ処理装置であってよい。データサーバ303は、例えば、レートサーバ303の全体的な動作を制御するプロセッサ311を含み得る。データサーバ303は、RAM313、ROM315、ネットワークインターフェース317、入出力インターフェース319(例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、など)、およびメモリ321をさらに含み得る。I/O319は、データまたはファイルの読み取り、書き込み、表示、および/または印刷を行うためのさまざまなインターフェースユニットおよび駆動部を含み得る。メモリ321は、データ処理装置303の全体的な動作を制御するためのオペレーティングシステムソフトウェア323、本明細書に記載の態様を実行するようにデータサーバ303に指示するための制御ロジック325、および本明細書に記載の他の態様と組み合わせて使用されても、使用されなくてもよい二次的な機能、支援機能、および/または他の機能を提供する他のアプリケーションソフトウェア327をさらに格納してもよい。制御ロジックは、本明細書において、データサーバソフトウェア325と呼ばれることもある。データサーバソフトウェアの機能は、制御ロジックにコード化されたルールに基づいて自動的に行われる操作または決定、システムに入力をもたらすユーザによって手動で行われる操作または決定、さらには/あるいはユーザ入力(例えば、クエリ、データ更新、など)に基づく自動処理の組み合わせを指すことができる。
【0054】
さらに、メモリ321は、第1のデータベース329および第2のデータベース331など、本明細書に記載の1つ以上の態様の実行に使用されるデータを格納することができる。いくつかの実施形態において、第1のデータベースは、第2のデータベースを(例えば、別のテーブル、レポート、などとして)含んでもよい。すなわち、情報を、システムの設計に応じて、単一のデータベースに格納しても、異なる論理的、仮想的、または物理的なデータベースに分離させてもよい。装置305、307、および309は、装置303に関して説明したアーキテクチャと同様なアーキテクチャ、または異なるアーキテクチャを有することができる。本明細書に記載のデータ処理装置303(または、装置305、307、および309)の機能を、例えば、処理負荷を複数のコンピュータに分散させる、地理的位置、ユーザのアクセスレベル、サービスの質(QoS)、などに基づいてトランザクションを分離する、などのために、複数のデータ処理装置に分散させてもよいことを、当業者であれば理解できるであろう。
【0055】
本明細書に記載の1つ以上の態様は、本明細書に記載の1つ以上のコンピュータまたは他の装置によって実行される1つ以上のプログラムモジュールなどにおけるコンピュータにとって使用可能または読み取り可能なデータならびに/あるいはコンピュータ実行可能命令に具現化可能である。一般に、プログラムモジュールは、コンピュータまたは他の装置のプロセッサによって実行されたときに、特定のタスクを実行し、あるいは特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、などを含む。モジュールは、後に実行のためにコンパイルされるソースコードプログラミング言語で書かれても、HTMLまたはXML(ただし、これらに限定されない)などのスクリプト言語で書かれてもよい。コンピュータ実行可能命令を、ハードディスク、光ディスク、リムーバブルストレージ媒体、ソリッドステートメモリ、RAM、などのコンピュータ可読媒体に格納することができる。当業者であれば理解できるとおり、プログラムモジュールの機能は、種々の実施形態において所望のとおりに組み合わせること、または分配することが可能である。加えて、機能の全部または一部を、ファームウェアや、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、などのハードウェア等価物に具現化可能である。特定のデータ構造を、1つ以上の態様をより効果的に実施するために使用することができ、そのようなデータ構造が、本明細書に記載のコンピュータ実行可能命令およびコンピュータにとって使用可能なデータの範囲内で想定される。
【0056】
図4が、本明細書に記載の1つ以上の例示的な態様による診断試験を示す一例を表している。ユーザは、タスクを開始するために「開始」を選択する必要がある。
【0057】
図5が、図4に示した実施例1の「コインを集めよ」という診断試験によるセンサ特徴の結果を示すプロットである。センサ特徴(30秒で集められたコインの数)の結果は、両方の研究において臨床アンカ(テニスボールを拾い上げ、その後に手を回す)に一致している。
【0058】
以上、本主題を、構造的特徴および/または方法における動作に特有の言葉で説明したが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は、必ずしも上述の特定の特徴または動作に限定されないことを、理解すべきである。むしろ、上述の具体的な特徴および動作は、特許請求の範囲の実施の例示的な形態として開示されているにすぎない。
【実施例
【0059】
実施例1
2つの異なる研究において収集された分析対象の患者集団の特性。
i)OLEOS研究(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02628743)
分析対象の参加者:20
データ分析の期間:最後の2回の来院の間のスマートフォンデータ(176日間)
ii)JEWELFISH研究(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03032172?term=BP39054)
分析対象の参加者:19
【0060】
患者がコインを集めるために電話機を左右に素早く傾けなければならない、収集されたコインの数を測定することによって決定するためのコンピュータによって実現される試験(試験:コインを集めよ)である、軸性運動機能試験を使用した、データセット取得
共変量:1:MFM_9_15_20_21=MFM 9、15、20、21の合計;2:MFM 9;3:AGEIC;4:MFM 21;5:MFM 015
ICC:級内相関係数、SD=標準偏差
【0061】
携帯電話機(iPhone)で試験を実施した。図4を参照されたい。電話機を両手で持つ必要がある。患者は、電話機を左右に素早く傾けることで、可能な限り多くのコインを集めなければならない。患者は、腕の位置、すなわち差し伸ばしているか、ひじを曲げているが宙に浮かせているか、ひじをひじ掛けに載せているか、あるいは手をテーブルに載せているかを示さなければならない。試験は30秒間にわたる。特徴(収集されたコインの最大数)は、試験において収集されたコインの数である。
【0062】
図5が、臨床アンカテストとコイン収集試験からの結果(収集されたコインの最大数)との相関を示している。センサ特徴の結果は、両方の研究において臨床アンカ(テニスボールを拾い上げ、その後に手を回す)に明らかに関連している。
図1
図2
図3
図4
図5