(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】手数料計算装置、手数料計算方法および手数料計算プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/03 20230101AFI20241203BHJP
G06Q 20/24 20120101ALI20241203BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241203BHJP
【FI】
G06Q40/03
G06Q20/24
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022012324
(22)【出願日】2022-01-28
【審査請求日】2024-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長木 慎弥
(72)【発明者】
【氏名】水谷 憲
(72)【発明者】
【氏名】三牧 暖子
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-034993(JP,A)
【文献】特開2021-140525(JP,A)
【文献】特開2019-153215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える手数料計算装置であって、
前記制御部は、
手数料率コードに、据置手数料率コードと、支払回数と、手数料率と、を対応付けた手数料率マスタと、
加盟点コードと、料率パターンと、据置手数料率コードと、据置月数と、を対応付けた加盟店別料率パターンマスタと、
債権番号に、加盟店コードと、料金パターンと、支払回数と、本体価格と、頭金と、据置元金と、初回返済年月と、据置手数料と、を対応付けた申込時口座貸付データと、
前記手数料率マスタ、前記加盟店別料率パターンマスタ、および、前記申込時口座貸付データに基づいて生成された、最終返済年月と、元金支払額と、手数料支払額と、を対応付けた返済予定データと、
債権番号に、取引日と、完済区分と、取引金額と、残高と、を対応付けた口座取引データ
と、
取引日に
、少なくとも手数料支払額を対応付けた回収実績データと、
債権番号に、加盟店コードと、料金パターンと、支払回数と、本体価格と、頭金と、据置元金と、初回返済年月と、据置手数料と、を対応付けて記憶している申込時口座貸付データと、
にアクセス可能
に構成されており、
前記制御部は、
前記返済予定データと、前記回収実績データと、
前記申込時口座貸付データに含まれる据置手数料と、
前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる据置月数と、前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる初回返済年月と、前記回収実績データに含まれる取引日と、完済年月と、に基づいて、未経過期間分の戻し手数料を計算する計算部を備
え、
前記計算部は、
前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる据置月数に1を加算した値をn、前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる初回返済年月から早期完済年月の月数差をmとした場合において、以下の式(1)のように78分法を用いることによって、m回目における戻し手数料を、前記戻し手数料として算出すること、
【数1】
を特徴とする手数料計算装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の手数料計算装置であって、
前記計算部は、
前記据置元金から前記戻し手数料を減算した請求金額をさらに計算すること、
を特徴とする手数料計算装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の手数料計算装置であって、
前記制御部は、
前記戻し手数料および前記請求金額を出力する出力制御部をさらに備えること、
を特徴とする手数料計算装置。
【請求項4】
制御部を備える手数料計算装置で実行される手数料計算方法であって、
前記制御部は、
手数料率コードに、据置手数料率コードと、支払回数と、手数料率と、を対応付けた手数料率マスタと、
加盟点コードと、料率パターンと、据置手数料率コードと、据置月数と、を対応付けた加盟店別料率パターンマスタと、
債権番号に、加盟店コードと、料金パターンと、支払回数と、本体価格と、頭金と、据置元金と、初回返済年月と、据置手数料と、を対応付けた申込時口座貸付データと、
前記手数料率マスタ、前記加盟店別料率パターンマスタ、および、前記申込時口座貸付データに基づいて生成された、最終返済年月と、元金支払額と、手数料支払額と、を対応付けた返済予定データと、
債権番号に、取引日と、完済区分と、取引金額と、残高と、を対応付けた口座取引データ
と、
取引日に
、少なくとも手数料支払額を対応付けた回収実績データと、
債権番号に、加盟店コードと、料金パターンと、支払回数と、本体価格と、頭金と、据置元金と、初回返済年月と、据置手数料と、を対応付けて記憶している申込時口座貸付データと、
にアクセス可能
に構成されており、
前記制御部で実行される、
前記返済予定データと、前記回収実績データと、
前記申込時口座貸付データに含まれる据置手数料と、
前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる据置月数と、前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる初回返済年月と、前記回収実績データに含まれる取引日と、完済年月と、に基づいて、未経過期間分の戻し手数料を計算する計算ステップを含
み、
前記計算ステップは、
前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる据置月数に1を加算した値をn、前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる初回返済年月から早期完済年月の月数差をmとした場合において、以下の式(1)のように78分法を用いることによって、m回目における戻し手数料を、前記戻し手数料として算出すること、
【数2】
を特徴とする手数料計算方法。
【請求項5】
制御部を備える手数料計算装置に実行させるための手数料計算プログラムであって、
前記制御部は、
手数料率コードに、据置手数料率コードと、支払回数と、手数料率と、を対応付けた手数料率マスタと、
加盟点コードと、料率パターンと、据置手数料率コードと、据置月数と、を対応付けた加盟店別料率パターンマスタと、
債権番号に、加盟店コードと、料金パターンと、支払回数と、本体価格と、頭金と、据置元金と、初回返済年月と、据置手数料と、を対応付けた申込時口座貸付データと、
前記手数料率マスタ、前記加盟店別料率パターンマスタ、および、前記申込時口座貸付データに基づいて生成された、最終返済年月と、元金支払額と、手数料支払額と、を対応付けた返済予定データと、
債権番号に、取引日と、完済区分と、取引金額と、残高と、を対応付けた口座取引データ
と、
取引日に
、少なくとも手数料支払額を対応付けた回収実績データと、
債権番号に、加盟店コードと、料金パターンと、支払回数と、本体価格と、頭金と、据置元金と、初回返済年月と、据置手数料と、を対応付けて記憶している申込時口座貸付データと、
にアクセス可能
に構成されており、
前記制御部に実行させるための、
前記制御部で実行される、
前記返済予定データと、前記回収実績データと、
前記申込時口座貸付データに含まれる据置手数料と、
前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる据置月数と、前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる初回返済年月と、前記回収実績データに含まれる取引日と、完済年月と、に基づいて、未経過期間分の戻し手数料を計算する計算ステップを含み、
前記計算ステップは、
前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる据置月数に1を加算した値をn、前記加盟店別料率パターンマスタに含まれる初回返済年月から早期完済年月の月数差をmとした場合において、以下の式(1)のように78分法を用いることによって、m回目における戻し手数料を、前記戻し手数料として算出すること、
【数3】
を特徴とする手数料計算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手数料計算装置、手数料計算方法および手数料計算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
割賦販売では、早期完済を行う場合、残りの返済期間分の手数料(以下、単に「戻し手数料」という)を返却する必要がある。例えば、特許文献1には、自動車や高額な電気製品の購入において、販売価格から残価設定期間満了時の残価を控除した金額を基にした残価設定クレジットを変更した場合、1年後の残価を利用して計算した残価控除後の金額に手数料込みで減額修正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1のように、戻し手数料の計算について、初回支払から最終回支払(残価)までの期間において月々返済がある残価設定(残価設定方式)の場合、月々の返済予定に対して予め手数料を按分して管理している。このため、残価設定方式は、未経過の月の手数料を合算することによって、容易に戻し手数料を計算することができる。
【0005】
しかしながら、初回支払から最終回支払(残価)までの間の月々返済がない支払方式(以下、単に「残価2括方式」という)では、月々返済がないことで、上述した残価設定方式のような方法によって戻し手数料の計算ができず、その都度、手作業で戻し手数料を計算していた。この結果、残価2括方式では、従来の残価設定方式の取扱と同一の業務フローのまま管理することができないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、従来の残価設定方式の取扱と同一の業務フローのまま、残価2括方式であっても戻し手数料を計算することができる手数料計算装置、手数料計算方法および手数料計算プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る手数料計算装置は、制御部を備える手数料計算装置であって、手数料率コードに、据置手数料率コードと、支払回数と、手数料率と、を対応付けた手数料率マスタと、加盟点コードと、料率パターンと、据置手数料率コードと、据置月数と、を対応付けた加盟店別料率パターンマスタと、債権番号に、加盟店コードと、料金パターンと、支払回数と、本体価格と、頭金と、据置元金と、初回返済年月と、据置手数料と、を対応付けた申込時口座貸付データと、前記手数料率マスタ、前記加盟店別料率パターンマスタ、および、前記申込時口座貸付データに基づいて生成された、最終返済年月と、元金支払額と、手数料支払額と、を対応付けた返済予定データと、口座取引データ、取引日に手数料支払額を対応付けた回収実績データと、にアクセス可能であり、前記制御部は、前記返済予定データと、前記回収実績データと、前記据置手数料と、前記据置月数と、前記初回返済年月と、前記取引日と、完済年月と、に基づいて、未経過期間分の戻し手数料を計算する計算部を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る手数料計算方法は、制御部を備える手数料計算装置で実行される手数料計算方法であって、手数料率コードに、据置手数料率コードと、支払回数と、手数料率と、を対応付けた手数料率マスタと、加盟点コードと、料率パターンと、据置手数料率コードと、据置月数と、を対応付けた加盟店別料率パターンマスタと、債権番号に、加盟店コードと、料金パターンと、支払回数と、本体価格と、頭金と、据置元金と、初回返済年月と、据置手数料と、を対応付けた申込時口座貸付データと、前記手数料率マスタ、前記加盟店別料率パターンマスタ、および、前記申込時口座貸付データに基づいて生成された、最終返済年月と、元金支払額と、手数料支払額と、を対応付けた返済予定データと、取引日に手数料支払額を対応付けた回収実績データと、にアクセス可能であり、前記制御部で実行される、前記返済予定データと、前記回収実績データと、前記据置手数料と、前記据置月数と、前記初回返済年月と、前記取引日と、完済年月と、に基づいて、未経過期間分の戻し手数料を計算する計算ステップを含むこと、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る手数料計算プログラムは、制御部を備える手数料計算装置に実行させるための手数料計算プログラムであって、手数料率コードに、据置手数料率コードと、支払回数と、手数料率と、を対応付けた手数料率マスタと、加盟点コードと、料率パターンと、据置手数料率コードと、据置月数と、を対応付けた加盟店別料率パターンマスタと、債権番号に、加盟店コードと、料金パターンと、支払回数と、本体価格と、頭金と、据置元金と、初回返済年月と、据置手数料と、を対応付けた申込時口座貸付データと、前記手数料率マスタ、前記加盟店別料率パターンマスタ、および、前記申込時口座貸付データに基づいて生成された、最終返済年月と、元金支払額と、手数料支払額と、を対応付けた返済予定データと、取引日に手数料支払額を対応付けた回収実績データと、にアクセス可能であり、前記制御部に実行させるための、前記制御部で実行される、前記返済予定データと、前記回収実績データと、前記据置手数料と、前記据置月数と、前記初回返済年月と、前記取引日と、完済年月と、に基づいて、未経過期間分の戻し手数料を計算する計算ステップを含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来の残価設定方式の取扱と同一の業務フローのまま、残価2括方式であっても戻し手数料を計算することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る手数料計算装置の構成の一例を示すブロック図での概要を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る手数料計算装置の手数料率マスタにおける手数料率マスタテーブルの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る手数料計算装置の加盟店別料率パターンマスタにおける加盟店別料率パターンマスタテーブルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る手数料計算装置の申込時口座貸付データにおける申込時口座貸付データテーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る手数料計算装置の返済予定データにおける返済予定データテーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る手数料計算装置の口座取引データにおける口座取引データテーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る手数料計算装置の回収実績データにおける回収実績データテーブルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、残価2括方式での早期完済の概要を説明する図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る手数料計算装置による戻し手数料の算出方法の概要を模式的に説明する図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る手数料計算装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、債権問い合わせがあった場合に出力制御部がモニタに表示させる表示画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、債権問い合わせがあった場合に出力制御部がモニタに表示させる表示画面の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る手数料計算装置、手数料計算方法および手数料計算プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[1.構成]
本実施形態に係る手数料計算装置の構成の一例について、
図1等を参照して説明する。
図1は、手数料計算装置の構成の一例を示すブロック図での概要を示す模式図である。
【0014】
図1に示す手数料計算装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、手数料計算装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0015】
手数料計算装置100は、制御部102と、通信インターフェース部104と、記憶部106と、入出力インターフェース部108と、を備えている。手数料計算装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0016】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、手数料計算装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と、通信回線と、を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、手数料計算装置100と、サーバ200と、を相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0017】
入出力インターフェース部108には、入力装置112と、出力装置114と、が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0018】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、手数料率マスタ106aと、加盟店別料率パターンマスタ106bと、申込時口座貸付データ106cと、返済予定データ106dと、口座取引データ106eと、回収実績データ106fと、を記憶している。
【0019】
手数料率マスタ106aは、手数料率コードに、据置手数料率コードと、支払回数と、手数料率と、を対応付けて記憶している。
【0020】
図2は、手数料率マスタ106aにおける手数料率マスタテーブルの一例を示す図である。
図2に示す手数料率マスタテーブルT1の1行目には、手数料率コード「4:据置手数料率」と、据置手数料率コード「001:残価2括3年据置」と、支払回数「2」と、手数料率「3.9%」と、を対応付けて記憶している。
【0021】
加盟店別料率パターンマスタ106bは、加盟点コードと、料率パターンと、据置手数料率コードと、据置月数と、を対応付けて記憶している。
【0022】
図3は、加盟店別料率パターンマスタ106bにおける加盟店別料率パターンマスタテーブルの一例を示す図である。
図3に示す加盟店別料率パターンマスタテーブルT2の1行目には、加盟店コード「A001:○○販売店」と、料率パターン「1001:残価2括返済(3年据置)」と、据置手数料率コード「001:残価2括3年据置」と、残価2括返済FLG「True」と、据置月数「34」と、を対応付けて記憶している。
【0023】
申込時口座貸付データ106cは、債権No(債権番号)に、加盟店コードと、料金パターンと、支払回数と、本体価格と、頭金と、据置元金と、初回返済年月と、据置手数料と、を対応付けて記憶している。
【0024】
図4は、申込時口座貸付データ106cにおける申込時口座貸付データテーブルの一例を示す図である。
図4に示す申込時口座貸付データテーブルT3の1行目には、債権No(債権番号)「100-0」と、加盟店コード「A001:○○販売店」と、料率パターン「1001:残価2括返済(3年据置)」と、支払回数「2」と、本体価格「1400000」と、頭金「650000」と、据置元金「750000」と、初回返済年月「2021/8」と、据置手数料「87,750」と、を対応付けて記憶している。なお、据置手数料は、据置元金(750000)に、手数料率マスタ106aの年率(
図2の場合、(3.9%)/12)および据置期間(34+2(初回と最終回を含む)を乗じた額である(750000×((0.039)/12))×(34+2)=87,750)。
【0025】
返済予定データ106dは、手数料率マスタ106a、加盟店別料率パターンマスタ106b、および、申込時口座貸付データ106cに基づいて生成された、最終返済年月と、元金支払額と、手数料支払額と、を対応付けて記憶する。
【0026】
図5は、返済予定データ106dにおける返済予定データテーブルの一例を示す図である。
図5に示す返済予定データテーブルT4は、残価2括返済(3年据置)のため、支払回数2回で返済予定が展開されている。具体的には、返済予定データテーブルT4の1行目には、返済SEQ「1」と、支払予定年月「2021/8」と、支払予定日「2021/8/27」と、据置手数料である支払総額「87,750」と、元金支払額「0」と、手数料支払額「87,750」と、支払後総残高「750,000」と、を対応付け記憶されている。さらに、返済予定データテーブルT4の2行目には、返済SEQ「2」と、最終返済年月である支払予定年月「2024/7」と、支払予定日「2024/7/27」と、支払総額「750,000」と、元金支払額「750,000」と、手数料支払額「0」と、支払後総残高「0」と、を対応付け記憶されている。
【0027】
口座取引データ106eは、債権No(債権番号)に、取引日と、完済区分と、取引金額と、残高と、を対応付けて記憶する。
【0028】
図6は、口座取引データ106eにおける口座取引データテーブルの一例を示す図である。
図6に示す口座取引データテーブルT5には、債権番号(債権No)「100-0」に、取引日「2021/7/20」と、完済区分「100:取引中」と、取引金額「837,750」(据置元金(750,000)+据置手数料(87,750))と、残高「837,750」(据置元金(750,000)+据置手数料(87,750))と、を対応付けて記憶する。
【0029】
回収実績データ106fは、取引日に、返済SEQと、支払総額と、元金支払額と、手数料支払額と、を対応付けて記憶する。
【0030】
図7は、回収実績データ106fにおける回収実績データテーブルの一例を示す図である。
図7に示す回収実績データテーブルT6には、返済SEG「1」に、取引日「2022/7/20」と、支払総額「87,750」と、元金支払額「0」と、手数料支払額「87,750」と、を対応付けて記憶している。
【0031】
図1に戻り、手数料計算装置100の構成の説明を続ける。
制御部102は、手数料計算装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、申込入力処理部102aと、立替実行部102bと、入金処理部102cと、計算部102dと、出力制御部102eと、を備える。
【0032】
申込入力処理部102aは、申込入力処理部102aは、入力装置112を介して入力された申込情報に対応する申込時口座貸付データ106cを取得し、かつ、手数料率マスタ106aおよび加盟店別料率パターンマスタ106bを参照し、返済予定データ106dを生成する申込入力処理を実行する。
【0033】
立替実行部102bは、立替実行部102bは、申込情報を基に立替済み状態とする口座取引データを生成する立替実行処理を実行する。
【0034】
入金処理部102cは、入金処理部102cは、初回返済分(据置手数料)の入力があった場合、回収実績データを作成する入金処理を実行する。
【0035】
計算部102dは、返済予定データ106dと、回収実績データ106fと、申込時口座貸付データ106cに含まれる据置手数料と、加盟店別料率パターンマスタ106bに含まれる据置月数と、初回返済年月と、回収実績データ106fに含まれる取引日と、完済年月と、に基づいて、未経過期間分の戻し手数料を計算する。
【0036】
出力制御部102eは、入力装置112を介してユーザから債権問い合わせ(早期完済問い合わせ)があった場合、モニタ114に債権問い合わせ画面を表示させる。
【0037】
[2.残価2括方式での早期完済の概要]
次に、残価2括方式での早期完済の概要について説明する。
図8は、残価2括方式での早期完済の概要を説明する図である。
【0038】
図8に示すように、ある商品(例えば自動車)を残価2括方式によって購入する債務者(以下、単に「債務者」という)は、まず、所定の販売店で申込情報を作成して申込を行う。この場合、債権者は、申込情報を手数料計算装置100に入力し、手数料計算装置100に返済予定を展開させる。
【0039】
その後、債権者は、手数料計算装置100を用いて、申込情報を基に立替済状態とする。
【0040】
続いて、債務者は、初回支払において、頭金および据置手数料の支払を行う。
図8に示すように、債務者は、残価2括方式のため、2回目から最終回までの期間において返済無しであり(元金、手数料)、最終回で残価の支払いを行う。この期間において、
図8に示すように、債務者が最終回までの途中で残価の早期完済を行った場合、債務者による早期完済の翌日をm回目としたとき、債権者には、m回目から最終回が未経過の計算対象期間に応じた戻し手数料が発生する。
【0041】
図9は、手数料計算装置100による戻し手数料の算出方法の概要を模式的に説明する図である。
図9において、縦軸が総支払回数をn、横軸が返済回数を示す。さらに、
図9では、78分法を用いた場合に、総支払回数nの貸付のm回目手数料額を示す。
【0042】
残価2括方式の場合では、従来の残会設定方式と比して、2回払いとなる。このため、手数料計算装置100は、仮想的に、据置月数に1を加算した(据置月数+1)値をn、初回返済年月から早期完済年月の月数差をmとした場合、以下の式(1)によって、m回目における戻し手数料を算出する。
【数1】
このように、手数料計算装置100は、残価2括方式の場合であっても、従来の残価設定方式の取扱と同一の業務フローのまま、従来の早期完済にともなう戻し手数料を78分法による計算を自動的に行うことができる。
【0043】
[3.手数料計算装置100が実行する処理]
次に、手数料計算装置100が実行する処理について説明する。
図10は、手数料計算装置100が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【0044】
図10に示すように、まず、申込入力処理部102aは、入力装置112を介して入力された申込情報に対応する申込時口座貸付データ106cを取得し、かつ、手数料率マスタ106aおよび加盟店別料率パターンマスタ106bを参照し、返済予定データ106dを生成する申込入力処理を実行する(ステップS101)。
図11は、申込入力処理の概要を説明する図である。
図11に示すように、申込入力処理部102aは、入力装置112を介して入力された申込情報に対応する申込時口座貸付データ106cから申込時口座貸付データテーブルT3を取得し、かつ、手数料率マスタテーブルT1および加盟店別料率パターンマスタテーブルT2を参照し、返済予定データテーブルT4を生成(展開)する。
【0045】
続いて、立替実行部102bは、申込情報を基に立替済状態とする口座取引データを生成する立替実行処理を実行する(ステップS102)。具体的には、上述した
図6した口座取引データテーブルT5を生成し、立替済み状態とする。
【0046】
その後、入金処理部102cは、初回返済分(据置手数料)の入力があった場合、回収実績データを作成する入金処理を実行する(ステップS103)。
図12は、入金処理の概要を説明する図である。
図12に示すように、入金処理部102cは、初回返済分(据置手数料)の入力があった場合、口座取引データ106eである口座取引データテーブルT11および返済予定データ106dである返済予定データテーブルT4を参照し、回収実績データ106fである回収実績データテーブルT6を作成する。
【0047】
続いて、計算部102dは、返済予定データ106dと、回収実績データ106fと、申込時口座貸付データ106cに含まれる据置手数料(87,750)と、加盟店別料率パターンマスタ106bに含まれる据置月数(34)と、初回返済年月(2021/8)と、回収実績データ106fに含まれる取引日(2022/7)と、完済年月(2022/7)と、に基づいて、未経過期間分の戻し手数料を計算する早期完済処理を実行する。具体的には、計算部102dは、上述した式(1)に、据置手数料(87,750)と、加盟店別料率パターンマスタ106bに含まれる据置月数(34)と、初回返済年月(2021/8)と、回収実績データ106fに含まれる取引日(2022/7)と、完済年月(2022/7)と、を式(2)のように代入することによって、戻し手数料を計算する。なお、式(2)では、n=(34+1)となり、m=12(2021/8-2022/7=12)となる。
【数2】
なお、計算部102dは、戻し手数料の小数点を繰り上げて戻し手数料を計算する。ステップS104の後、手数料計算装置100は、本処理を終了。
【0048】
[4.債権問い合わせ(早期完済問い合わせ)の概要]
次に、債権問い合わせ(早期完済問い合わせ)があった場合に出力制御部102eがモニタ114に表示させる表示画面について説明する。
図13は、債権問い合わせ(早期完済問い合わせ)があった場合に出力制御部102eがモニタ114に表示させる表示画面の一例を示す図である。
【0049】
図13に示すように、出力制御部102eは、入力装置112を介してユーザから債権問い合わせ(早期完済問い合わせ)があった場合、モニタ114に債権問い合わせ画面P1を表示させる。
【0050】
図13の債権問い合わせ画面P1には、少なくとも、ユーザが入力装置112を用いて債権No(債権番号)を入力可能な債権No入力フォームB1と、支払予定日を入力可能な支払予定日入力フォームB2と、早期完済までに見込まれる入金額である仮入金額を入力可能な仮金額入力フォームB3と、が含まれる。さらに、債権問い合わせ画面P1には、少なくとも、債権Noに応じて、未経過手数料(戻し手数料)が表示される表示領域B4と、今回請求額が表示される表示領域B5と、戻し手数料の計算の指示信号の入力を受け付ける計算アイコンA1と、が含まれる。
【0051】
ユーザは、入力装置112を操作し、債権問い合わせ画面P1に債権No入力フォームB1に債権No「100-0」、支払予定日入力フォームB2に「2022/7/27」および仮金額入力フォームB3に「0」と入力し、計算アイコンA1を押下した場合、
図14に示すように、出力制御部102eは、計算部102dが計算した未経過手数料を表示領域B4に「38,443」および今回請求額を表示領域B5に「750,0000(据置元金)-38,443(戻し手数料)=711,557(請求金額)」を表示させる。
【0052】
これにより、ユーザは、債権問い合わせがあった場合において、従来の残価設定方式の取扱と同一の業務フローのまま、残価2括方式であっても戻し手数料を把握することができる。
【0053】
以上説明した実施形態によれば、従来の残価設定方式の取扱と同一の業務フローのまま、残価2括方式であっても戻し手数料を計算することができる。
【0054】
また、実施形態によれば、計算部102dが78分法によって戻し手数料を計算するので、正確な戻し手数料を計算することができ、手作業によるミスを防止することができる。
【0055】
また、実施形態によれば、計算部102dが据置元金から戻し手数料を減算した請求金額を計算するため、戻し手数料を差し引いた請求金額を容易に把握することができる。
【0056】
また、実施形態によれば、出力制御部102eが戻し手数料および請求金額をモニタ114に出力するため、ユーザが戻し手数料および請求金額を直感的に把握することができる。
【0057】
[5.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0060】
[6.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0061】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0062】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメーターを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0063】
また、手数料計算装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0064】
例えば、手数料計算装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて手数料計算装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0065】
また、このコンピュータプログラムは、手数料計算装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0066】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0067】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0068】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0069】
また、手数料計算装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、手数料計算装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0070】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、割賦販売において早期完済可能な金融ノンバンク業界等において有用である。
【符号の説明】
【0072】
100 手数料計算装置
102 制御部
102a 申込入力処理部
102b 立替実行部
102c 入金処理部
102d 計算部
102e 出力制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 手数料マスタ
106b 加盟店別料金パターンマスタ
106c 申込時口座貸付データ
106d 返済予定データ
106e 口座取引データ
106f 回収実績データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク