(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】半導体モジュールアレイ装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20241203BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20241203BHJP
H01R 11/01 20060101ALN20241203BHJP
【FI】
H05K1/18 D
H05K1/18 K
H01L23/12 F
H01R11/01 501G
(21)【出願番号】P 2022036871
(22)【出願日】2022-03-10
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】古山 英人
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-027059(JP,A)
【文献】特開2000-260904(JP,A)
【文献】特開2012-216671(JP,A)
【文献】特開2010-134082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H01L 23/12-23/15
H01L 25/10-25/18
H01R 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並ぶ複数の位置決め領域と、前記複数の位置決め領域のうち前記第1方向において隣り合う2つの位置決め領域の間に位置する実装領域と、を含む表面を有する基板と、
前記実装領域に配置された複数の電極パッドと、
前記位置決め領域において、前記第1方向に直交する第2方向に並んで配置された第1金属パッド及び第2金属パッドと、
前記基板の前記実装領域に搭載され、前記実装領域に対向する端子配置面を有する複数の半導体モジュールと、
前記端子配置面に配置され、前記電極パッドと電気的に接続された複数のモジュール端子と、
前記基板の前記表面に対する法線方向の最外部間の距離が、前記端子配置面上の前記第1方向と前記第2方向で異なる複数且つ同一形状の位置決めチップと、
を備え、
前記複数の位置決めチップは、前記第1金属パッドに固定された第1位置決めチップと、前記第2金属パッドに固定された第2位置決めチップと、を有し、
前記第1位置決めチップと前記第2位置決めチップが前記基板の前記表面上で異なる方向を向いて配置され、
前記半導体モジュールは、前記第2方向に延び、前記第1位置決めチップに対向する第1側面部と、前記第1側面部の一部に形成され、前記第2位置決めチップの一部が位置する溝部と、を有する半導体モジュールアレイ装置。
【請求項2】
前記第1位置決めチップと、前記半導体モジュールの前記第1側面部との前記第1方向の距離は、隣り合う2つの前記モジュール端子の前記第1方向の距離よりも小さい請求項1に記載の半導体モジュールアレイ装置。
【請求項3】
前記第2位置決めチップと、前記半導体モジュールの前記溝部の側壁との前記第2方向の距離は、隣り合う2つの前記モジュール端子の前記第2方向の距離よりも小さい請求項1または2に記載の半導体モジュールアレイ装置。
【請求項4】
前記第1位置決めチップ及び前記第2位置決めチップは、それぞれ、半田接続、樹脂接着、金属直接接合の何れかにより前記第1金属パッド及び前記第2金属パッドに固定される請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体モジュールアレイ装置。
【請求項5】
前記基板の前記実装領域と、前記半導体モジュールの前記端子配置面との間に配置され、前記電極パッドと前記モジュール端子とを電気的に接続する異方導電性部材をさらに備える請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体モジュールアレイ装置。
【請求項6】
前記第1位置決めチップと前記第2位置決めチップは、前記基板の前記表面上から見て、長方形、三角形、菱形の何れかの形状を有し、その配置向きを互いに異ならせたものである請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体モジュールアレイ装置。
【請求項7】
前記半導体モジュールの前記第1方向に延びる第2側面部において前記半導体モジュールに接続され、前記第2方向に延びる光ファイバをさらに備える請求項1~6のいずれか1つに記載の半導体モジュールアレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体モジュールアレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路のパッケージとして、例えば、LGA(Land Grid array)パッケージは、ソケットなどを用いることで、半田等による固定接続を用いずに実装基板に実装可能であり、実装基板に対して取り外しと再取り付け可能なリペアラブルパッケージとして用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-27059号公報
【文献】特開2020-145403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、ソケットを用いない小型且つ簡単な構成で、実装基板上の電極に対し半導体モジュールを正確に位置整合可能な半導体モジュールアレイ装置、特に高密度且つリペアラブルに複数の半導体モジュールを実装可能な半導体モジュールアレイ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体モジュールアレイ装置は、第1方向に並ぶ複数の位置決め領域と、前記複数の位置決め領域のうち前記第1方向において隣り合う2つの位置決め領域の間に位置する実装領域と、を含む表面を有する基板と、前記実装領域に配置された複数の電極パッドと、前記位置決め領域において、前記第1方向に直交する第2方向に並んで配置された第1金属パッド及び第2金属パッドと、前記基板の前記実装領域に搭載され、前記実装領域に対向する端子配置面を有する複数の半導体モジュールと、前記端子配置面に配置され、前記電極パッドと電気的に接続された複数のモジュール端子と、前記基板の前記表面に対する法線方向の最外部間の距離が、前記端子配置面上の前記第1方向と前記第2方向で異なる複数且つ同一形状の位置決めチップと、を備え、前記複数の位置決めチップは、前記第1金属パッドに固定された第1位置決めチップと、前記第2金属パッドに固定された第2位置決めチップと、を有し、前記第1位置決めチップと前記第2位置決めチップが前記基板の前記表面上で異なる方向を向いて配置され、前記半導体モジュールは、前記第2方向に延び、前記第1位置決めチップに対向する第1側面部と、前記第1側面部の一部に形成され、前記第2位置決めチップの一部が位置する溝部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態の半導体モジュールアレイ装置の模式平面図。
【
図3】電極パッドとモジュール端子との電気接続部の模式拡大断面図。
【
図4】実施形態の基板、電極パッド、及び金属パッドの模式平面図。
【
図5】実施形態の半導体モジュールの端子配置面の模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
また、同一または同様の要素には、同じ符号を付している。
【0008】
LGAなどのリペアラブルパッケージにおいて、実装基板との接続電極ピッチは0.5mm程度が限界となっており、これを更に狭ピッチ化(例えば、0.3mmピッチ)する技術として、例えば特許文献2などが知られており、また、その半導体パッケージの狭ピッチ電極を実装基板の接続電極と位置合せする技術として特許文献1などが知られている。
【0009】
しかしながら、半導体パッケージの接続電極を無限に狭ピッチ化することは不可能であり、大規模な情報処理機器などのように半導体チップ間の接続端子数を増やす必要がある場合には半導体パッケージサイズを大きくして端子数を確保する必要がある。ところが、半導体パッケージサイズを大きくすると、搭載する半導体チップから接続電極までの距離差が顕著となり、接続端子ごとの配線帯域が変わってくるという問題が生じ、多数の配線間に性能差が生じて結果的に最長配線の帯域に情報処理機器などの性能が制限されてしまう困難がある。
【0010】
このため、半導体チップ間の接続端子数を増やす必要がある場合には、半導体チップをある程度の規模の機能ブロックに分割し、複数のパッケージに分散搭載して実装する方が情報処理機器などの総合性能を向上させることができる。
【0011】
実施形態においては、このような同様機能の半導体チップを複数の半導体パッケージに分散搭載し、且つ、該複数の半導体パッケージを高密度アレイ実装して機器性能を大幅に向上する半導体モジュールアレイ装置の提供を目的としている。また、半導体モジュールアレイの一部が故障しても、故障部位の半導体パッケージのみを部分的に交換可能(リペアラブル)とすることで半導体モジュールアレイ装置の機能を維持可能とする。
【0012】
このような分散実装型半導体モジュールアレイ装置においては、半導体チップサイズを比較的小さく形成できるため半導体チップおよびその実装歩留りの向上が可能であるだけでなく、半導体チップ(パッケージ)を分散して配置するため、巨大な半導体チップで局所的な大電力の発熱を放熱する場合に比し、全体的な半導体チップの放熱を効率的に行うことが可能になるといった利点もある。
【0013】
図1に示すように、実施形態の半導体モジュールアレイ装置1は、基板10と、複数の半導体モジュール50と、複数の第1位置決めチップ61と、複数の第2位置決めチップ62とを有する。基板10の表面に平行であり、互いに直交する2方向を第1方向X及び第2方向Yとする。第1方向X及び第2方向Yに直交する方向を、第3方向Zとする。
【0014】
基板10は絶縁性の材料からなる。基板10の材料として、例えば、樹脂、セラミック、ガラスなど、また、これらの複合材料などを用いることができる。
図4に示すように、基板10の表面10aは、第1方向Xに並ぶ複数の位置決め領域12と、複数の位置決め領域12のうち第1方向Xにおいて隣り合う2つの位置決め領域12の間に位置する実装領域11とを有する。位置決め領域12と実装領域11とが、第1方向Xにおいて交互に並んでいる。
【0015】
実施形態の半導体モジュールアレイ装置1は、実装領域11に配置された複数の電極パッド20と、位置決め領域12に配置された第1金属パッド31と、位置決め領域12に配置された第2金属パッド32とをさらに有する。1つの実装領域11に複数の電極パッド20が配置されている。1つの位置決め領域12において、第1金属パッド31と第2金属パッド32とが第2方向Yに並んで配置されている。
【0016】
電極パッド20は、基板10に形成された配線と電気的に接続されている。第1金属パッド31及び第2金属パッド32は、電極パッド20及び基板10に形成された配線とは電気的に接続されない孤立パターンであり、接地電位に接続されていても構わない。
【0017】
例えば、電極パッド20の形状は、第2方向Yに沿う長辺と、第1方向Xに沿う短辺とを有する長方形である。第1金属パッド31の形状は、第2方向Yに沿う長辺と、第1方向Xに沿う短辺とを有する長方形である。第2金属パッド32の形状は、第1方向Xに沿う長辺と、第2方向Yに沿う短辺とを有する長方形である。第2金属パッド32の第1方向Xの幅は、第1金属パッド31の第1方向Xの幅よりも大きい。第1金属パッド31と第2金属パッド32とは、同形及び同面積であり、配置向きが互いに異なり、例えば直交する位置関係に形成される。このため、第1金属パッド31と第2金属パッド32は向きが異なるものの、実装される部材が同一であれば同一の実装条件を適用可能となる。
【0018】
電極パッド20、第1金属パッド31、及び第2金属パッド32は、例えば、金属のパターニングにより、基板10の表面10aに同時に形成され、同じ材料、且つ同じ厚さを有する。例えば、基板10が樹脂基板の場合、電極パッド20、第1金属パッド31、及び第2金属パッド32は、樹脂基板に形成されたCu箔にフォトレジストによるパターンニングを行って追加のCuメッキを行い、フォトレジストを除去して全面エッチングすることで追加のCuメッキが施されてない領域のCu箔を除去することで形成できる。一般に、Cuは酸化されやすいため、その表面にAuメッキやAu/Niの2層メッキが施される。また、Auメッキの代わりに、Snメッキや半田溶融固定の際に除去可能な樹脂皮膜を形成することでもよい。
【0019】
図5は、半導体モジュール50の端子配置面55の一例を示す模式平面図であり、図
1の半導体モジュール50を裏側から見た状況に相当する。実施形態の半導体モジュールアレイ装置1は、端子配置面55に配置された複数のモジュール端子40をさらに有する。モジュール端子40の形状は、例えば電極パッド20の形状に対応し、第2方向Yに沿う長辺と、第1方向Xに沿う短辺とを有する長方形である。
【0020】
半導体モジュール50は、第2方向Yに延びる一対の第1側面部51と、それぞれの第1側面部51の一部に形成された溝部56とを有する。溝部56は、端子配置面55の切り欠き部であり、半導体モジュール50の厚さ方向(第3方向Z)に切り欠き形状が延びている。溝部56には、第2位置決めチップ62(
図5において2点鎖線で示す)が位置する。したがって、溝部56は、例えば、半導体モジュール50の厚さ方向の途中まで延びている。例えば、溝部56は、端子配置面55から、第3方向Zにおいて少なくとも第2位置決めチップ62の高さに半導体モジュール50が第2位置決めチップ62に乗り上げないためのギャップを加えた位置まで延びていればよい。また、溝部56は、半導体モジュール50の厚さ方向のすべてにわたって延びていてもよい。一対の溝部56は、第1方向Xにおいて向かいあうように、例えば平行となるように位置する。また、一対の溝部56は、第1方向Xにおいて向かいあうように位置するとともに、第2方向Yにオフセットを持っていてもよい。第1側面部51とは、端子配置面55に隣接する面の一部を指し、例えばZ方向に延びる。半導体モジュール50は、第1方向X及び第2方向Yがなす平面において、例えば略長方形の形状を有する。
【0021】
1つの溝部56は、基板10の実装領域11上における半導体モジュール50の第2方向Yの移動を規制する一対の内壁56aを有する。一対の内壁56aは、第2方向Yにおいて離れて位置し、例えば、第1方向Xに平行である。なお、一対の内壁56aは、第1方向Xに平行であることに限らず、第1方向X及び第2方向Yに対して傾斜していてもよい。
【0022】
半導体モジュール50は、例えば、光伝送モジュールである。
図1に示すように、半導体モジュール50の第1方向Xに延びる一対の側面部のうちの一方の側面部(第2側面部とする)52において、例えば複数本の光ファイバ80が半導体モジュール50に接続されている。光ファイバ80は、半導体モジュール50との接続部から第2方向Yに延びている。
【0023】
半導体モジュール50は、光ファイバ80と光接続された光素子と、光素子と電気的に接続された半導体素子とを有することができる。光素子は、光ファイバ80からの光信号を電気信号に変換して半導体素子に伝送する受光素子である。または、光素子は、半導体素子からの電気信号を光信号に変換して光ファイバ80に伝送する発光素子である。半導体素子は、例えば、受光素子の光電流を電圧変換し、接続する別の半導体ロジック素子の論理レベルに適合するデジタル電気信号を出力する光受信IC(Integrated Circuit)チップである。または、別の半導体ロジック素子から送られてくるデジタル電気信号に応じ、発光素子の駆動電流を変化させてデジタル光信号を生成する光送信ICチップである。
【0024】
半導体モジュール50が、例えば、光伝送モジュールの場合、光ファイバ80を接続する面(第2側面部52)は光ファイバ保持部材が配置され、半導体モジュール50の外形精度が確実に確保可能とは限らなくなる。光ファイバ保持部材が第2側面部52に配置される場合においても、溝部56に第2位置決めチップ62を位置させて位置決めする構成であれば、半導体モジュール50の位置決めが有効に機能することができる。
【0025】
図1及び
図2に示すように、第1金属パッド31に第1位置決めチップ61が固定される。第1位置決めチップ61の材料として、例えば、シリコン、セラミック(Al
2O
3、AlNなど)、ガラス、金属などを用いることができる。例えば、第1位置決めチップ61における第1金属パッド31に向き合う面に金属膜65が設けられている。金属膜65は、例えば、最表面にAu膜またはSn膜を有し、Au膜の場合はAu膜と第1位置決めチップ61との間に少なくともNi膜を有し、また、Sn膜の場合はSn膜と第1位置決めチップ61との間に少なくともCu膜を有する。
【0026】
第1位置決めチップ61は、金属膜65と第1金属パッド31との間に設けられる半田90(例えばSnAgCu)によって、第1金属パッド31に固定される。金属膜65の外形は、第1金属パッド31の外形と同じである。または、
図2に示すように、半田90の溶融時の表面張力により、第1位置決めチップ61の金属膜65と第1金属パッド31の外形端同士が引き合って、第1位置決めチップ61と第1金属パッド31の中心位置が自己整合される範囲で、パターンの寸法差を持っていても構わない。この場合、金属膜65の外形が第1金属パッド31の外形より大きい、または、金属膜65の外形が第1金属パッド31の外形より小さい、の、いずれでも構わない。望ましくは、金属膜65の外形が第1金属パッド31の外形より半田90の溶融時の表面張力が有効に働く範囲で大きい方が良い。このように構成することで、第1金属パッド31の外形が金属膜65の外形からはみ出すことがなく、第1位置決めチップ61の最外面が半導体モジュール50の第1側面部51に最近接できるように構成できる。
【0027】
第2金属パッド32に第2位置決めチップ62が固定される。第2位置決めチップ62の材料として、第1位置決めチップ61と同じ材料を用いることができる。第1位置決めチップ61と同様、第2位置決めチップ62は、第2金属パッド32に向き合う面に設けられた金属膜65と第2金属パッド32との間に設けられる半田90によって、第2金属パッド32に固定される。第1位置決めチップ61と第2位置決めチップ62は、基板10の表面10a上で互いに異なる方向を向いて配置される。
【0028】
第2位置決めチップ62の第1方向Xの幅は、第1位置決めチップ61の第1方向Xの幅よりも大きい。例えば、第1位置決めチップ61と第2位置決めチップ62は、同種、同形、及び同サイズのチップの配置向きを互いに異ならせたものである。第2位置決めチップ62は、第1位置決めチップ61と同じチップを、基板10の表面10aに平行な面内において例えば90°回転させて配置したものである。第1位置決めチップ61と第2位置決めチップ62を同一材料、同一形状とすることで、複数種類の位置決めチップを用意する必要が無くなり、位置決めチップ全体の生産性と歩留まりが向上し、また、位置決めチップの品質、生産数などの管理が容易となる。更に、第1位置決めチップ61と第2位置決めチップ62の実装プロセス条件が一致するため、位置決めチップ全体の実装生産性も向上する。
【0029】
第1位置決めチップ61及び第2位置決めチップ62を基板10の位置決め領域12に固定した後、基板10の実装領域11に半導体モジュール50が搭載される。1つの実装領域11に1つの半導体モジュール50が搭載される。一対の第1位置決めチップ61が第1方向Xにおいて1つの半導体モジュール50を挟んで位置し、一対の第2位置決めチップ62が第1方向Xにおいて1つの半導体モジュール50を挟んで位置する。
【0030】
半導体モジュール50は、端子配置面55を実装領域11に向けて、実装領域11の上方から下方に移動され、実装領域11に搭載される。このとき、第1位置決めチップ61及び第2位置決めチップ62が半導体モジュール50の実装領域11への搭載を干渉しないように、半導体モジュール50の第1側面部51と第1位置決めチップ61の側面61aとの間、及び溝部56の内壁と第2位置決めチップ62の側面62aとの間にわずかな隙間が確保される。なお、半導体モジュール50の搭載後のわずかな位置ずれによっては、第1側面部51と第1位置決めチップ61の側面61aとが接する部分が生じる場合がある。同様に、溝部56の内壁と第2位置決めチップ62の側面62aとが接する部分が生じる場合がある。第1位置決めチップ61の側面61a及び第2位置決めチップ62の側面62aは、基板10の表面10aに対する法線方向(第3方向Z)の最外部である。
【0031】
半導体モジュール50の端子配置面55は実装領域11に対向する。例えば、半導体モジュール50の端子配置面55に配置されたモジュール端子40は、実装領域11に配置された電極パッド20に直接接し、電気的に接続される。半導体モジュール50は、押圧部材によって基板10に押し付けられ、モジュール端子40と電極パッド20とのコンタクト圧力が維持される。
【0032】
または、
図3に示すように、半導体モジュール50の端子配置面55と、基板10の実装領域11との間に、異方導電性部材70が配置される。押圧部材により、半導体モジュール50は、異方導電性部材70を介して基板10に押し付けられる。異方導電性部材70は、例えば、シリコーン樹脂などの絶縁部材71と、絶縁部材71の上下面を貫通接続する複数の導電芯線72とを含む。モジュール端子40と電極パッド20は、異方導電性部材70の導電芯線72を介して、電気的に接続される。モジュール端子40と電極パッド20との電気接続方向(第3方向Z)に対し導電芯線72を斜めに形成することで、異方導電性部材70へのモジュール端子40及び電極パッド20の押圧による弾性変形の許容と電気接続性の維持を実現できる。
【0033】
モジュール端子40と電極パッド20とを、直接コンタクトさせた場合、または異方導電性部材70を介して接続した場合のいずれにおいても、押圧部材による押圧力を解除することで、半導体モジュール50を実装領域11から取り外して、交換することができる。
【0034】
半導体モジュール50の一対の第1側面部51は、それぞれ、第1位置決めチップ61の側面61aに対向する。半導体モジュール50の第1側面部51と、第1位置決めチップ61の側面61aとの間には、わずかな隙間がある。または、半導体モジュール50の搭載後のわずかな位置ずれによって、半導体モジュール50の第1側面部51と、第1位置決めチップ61の側面61aとが接する場合がある。
【0035】
1つの半導体モジュール50を第1方向Xにおいて挟んで位置する一対の第1位置決めチップ61は、半導体モジュール50の第1方向Xの移動を規制する。また、1つの第1位置決めチップ61は、この第1位置決めチップ61を第1方向Xに挟んで位置する2つの半導体モジュール50の第1方向Xの移動を規制する。これにより、モジュール端子40と電極パッド20との第1方向Xの位置ずれが規制される。また、第1位置決めチップ61および第2位置決めチップ62は、半導体モジュール50の基板10の表面10aに平行な面内における回転を規制する。
【0036】
半導体モジュール50の一対の溝部56のそれぞれに、第2位置決めチップ62の一部が位置する。溝部56の内壁に、第2位置決めチップ62の側面62aが対向する。溝部56の内壁と、第2位置決めチップ62の側面62aとの間には、わずかな隙間がある。または、半導体モジュール50の搭載後のわずかな位置ずれによって、溝部56の内壁と、第2位置決めチップ62の側面62aとが接する場合がある。
【0037】
図5に示す、溝部56の第2方向Yにおいて離れて位置する一対の内壁56aによって、半導体モジュール50の第2方向Yの移動が規制される。また、1つの第2位置決めチップ62は、この第2位置決めチップ62を第1方向Xに挟んで位置する2つの半導体モジュール50の第2方向Yの移動を規制する。これにより、モジュール端子40と電極パッド20との第2方向Yの位置ずれが規制される。
【0038】
一対の第1側面部51の間に位置する第2側面部52から、光ファイバ80が第2方向Yに延びる。半導体モジュール50が基板10上に実装される際、光ファイバ80によって半導体モジュール50の基板10に対する姿勢が制限される。半導体モジュール50の第2方向Yの位置を決める構造が一対の溝部56のみであれば、半導体モジュール50が第1位置決めチップ61間に挿入されながら第2方向Yにスライドされ、第2位置決めチップ62に篏合されることで、第2方向Y及び第3方向Zがなす平面において半導体モジュール50が基板10に対し傾いた姿勢であっても、基板10の実装領域11に半導体モジュール50を正確に位置決めできる。その後、半導体モジュール50を押圧部材により基板10に押し付けることで、半導体モジュール50と基板10が平行且つ第1方向Xおよび第2方向Yの位置が正確に位置決めされた状態で固定化され、光ファイバ80にかかる外力で半導体モジュール50の位置ずれが起こることはなくなる。
【0039】
第1位置決めチップ61と第2位置決めチップ62は、略直方体の形状を有するが、角部を面取りした形状であってもよい。半導体モジュール50が基板10上に実装される際に、面取りされた第1位置決めチップ61と第2位置決めチップ62は半導体モジュール50に物理的に干渉しにくくなる。また、第1位置決めチップ61と第2位置決めチップ62は、同一形状で搭載する向きが異なるだけで
図1に示すように第1方向Xと第2方向Yの位置決めを行う。このためには、位置決めチップが基板10の表面10a上で第1方向Xと第2方向Yの寸法が非対称、例えば長方形である必要がある。同一形状の第1位置決めチップ61と第2位置決めチップ62で同様な機能を発揮させる形状として、例えば基板10の表面10a上で三角形や菱形となる位置決めチップでも同様な構成が可能である。
【0040】
本実施形態によれば、ソケットなどを用いずに、小型且つ簡単な構成の第1位置決めチップ61及び第2位置決めチップ62を用いることで、基板10の実装領域11に半導体モジュール50を正確に位置決めすることができ、モジュール端子40と電極パッド20とを高い信頼性で電気的に接続することができる。また、複数の半導体モジュール50を微細ピッチで第1方向Xに並べることができる。
【0041】
第1方向Xにおいて隣り合う2つの第1位置決めチップ61の側面61a間の第1方向Xの距離と、第1方向Xにおいて隣り合う2つの第2位置決めチップ62の側面62a間の第1方向Xの距離と、第2方向Yにおいて隣り合う第1位置決めチップ61の側面61aと第2位置決めチップ62の側面62aとの間の第2方向Yの距離は、互いに異なる。
【0042】
第1位置決めチップ61の側面61aと、半導体モジュール50の第1側面部51との第1方向Xの距離L1(
図2に示す)は、第1方向Xにおいて隣り合う2つのモジュール端子40の第1方向Xの距離L2(
図5に示す)よりも小さいことが好ましい。第1方向Xにおいて隣り合った2つの第1位置決めチップ61間の距離L3(
図1に示す)と、溝部56以外の部分における半導体モジュール50第1方向Xの長さL4(
図5に示す)と、の差(L3-L4)は距離L2よりも小さいことが好ましい。また、第2位置決めチップ62の側面62aと、半導体モジュール50の溝部56の内壁56aとの第2方向Yの距離L5(
図5に示す)は、第2方向Yにおいて隣り合う2つのモジュール端子40の第2方向Xの距離L6(
図5に示す)よりも小さいことが好ましい。一対の内壁56a間の第2方向Yにおける距離L7(
図5に示す)と、第2位置決めチップ62の第2方向Yの長さL8(
図1に示す)と、の差(L7-L8)は距離L6よりも小さいことが好ましい。これにより、複数のモジュール端子40の狭ピッチ化が進んでも高い信頼性での接続が可能となる。
【0043】
第1位置決めチップ61及び第2位置決めチップ62は、半田接続に限らず、樹脂接着または金属直接接合により、それぞれ第1金属パッド31と第2金属パッド32に固定されてもよい。ただし、半田を用いた場合、半田の溶融時の表面張力によるセルフアライメント効果によって、第1位置決めチップ61及び第2位置決めチップ62のそれぞれを第1金属パッド31及び第2金属パッド32に容易且つ正確に位置決めすることができる。
【0044】
第1位置決めチップ61と第2位置決めチップ62は、同種、同形、及び同サイズのチップの配置向きを互いに異ならせたものである。このような第1位置決めチップ61及び第2位置決めチップ62として、同じウェーハから切り出されたチップ(例えばセラミックチップ)を用いることができ、形状やサイズなどが異なる第1位置決めチップ61及び第2位置決めチップ62を用意する場合に比べて、生産性や歩留まりの点において低コストにできる。
【0045】
また、同サイズの長方形のチップを用意することで、配置向きを変えるだけで、第1位置決めチップ61と第2位置決めチップ62の両方に用いることができる。この長方形チップの短辺の長さは、第1方向Xにおいて隣り合う半導体モジュール50の第1側面部51の間の第1方向Xの距離よりもわずかに小さくする。また、長方形チップの短辺の長さは、溝部56の
図5に示す内壁56a間の第2方向Yの距離よりもわずかに小さくする。長方形チップの長辺の長さは、第1方向Xにおいて隣り合う半導体モジュール50の溝部56の内壁56aに、チップの長辺側の側面が対向可能な長さにする。
【0046】
半導体モジュール50は、光伝送モジュールに限らない。例えば、半導体モジュール50の第2側面部52において複数の電気配線が半導体モジュール50に接続する構成であってもよい。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1…半導体モジュールアレイ装置、10…基板、11…実装領域、12…位置決め領域、20…電極パッド、31…第1金属パッド、32…第2金属パッド、40…モジュール端子、50…半導体モジュール、51…第1側面部、52…第2側面部、55…端子配置面、56…溝部、61…第1位置決めチップ、62…第2位置決めチップ、70…異方導電性部材、80…光ファイバ、90…半田