(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-02
(45)【発行日】2024-12-10
(54)【発明の名称】バスバモジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/519 20210101AFI20241203BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20241203BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20241203BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20241203BHJP
【FI】
H01M50/519
H01M50/209
H01M50/284
H01M50/569
(21)【出願番号】P 2022104425
(22)【出願日】2022-06-29
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大阪 亮介
(72)【発明者】
【氏名】牧野 公利
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-49158(JP,A)
【文献】特開2019-32928(JP,A)
【文献】特開2020-57700(JP,A)
【文献】特開2020-205177(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0266823(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを有する電池モジュールの前記電池セルに対して固定される複数のバスバと、
複数の前記バスバに対応する複数の接続導体を有し、可撓性を有する板状の回路体と、
を備え、
前記回路体は、複数の前記電池セルが配列される第一方向に沿って延在する幹線部と、前記幹線部から分岐して前記バスバに接続される複数の枝部と、を有し、
複数の前記枝部は、二つの前記バスバに接続される連結枝部を含み、
二つの前記バスバは、前記第一方向において隣接する第一バスバおよび第二バスバを含み、
前記連結枝部は、前記第一バスバに対して固定される第一固定部と、前記第二バスバに対して固定される第二固定部と、第一延在部と、第二延在部と、を有し、
前記第一延在部は、前記幹線部と前記第一固定部との間で前記第一方向に沿って延在し、
前記第二延在部は、前記第一固定部と前記第二固定部との間で前記第一方向に沿って延在し、
前記第二延在部は、前記第二延在部を撓み変形させながら前記第一バスバおよび前記第二バスバを前記電池セルに対して固定可能な長さを有する
ことを特徴とするバスバモジュール。
【請求項2】
前記第一バスバおよび前記第二バスバは、前記第一延在部をS字形状に湾曲させ、かつ前記第二延在部を前記電池セルの側とは反対側に向けて湾曲させて前記電池セルに固定される
請求項1に記載のバスバモジュール。
【請求項3】
前記連結枝部として、前記第一延在部と前記第二延在部とが並列している並列枝部を有し、
前記並列枝部は、前記幹線部につながる基部を有し、
前記並列枝部の前記第一延在部は、前記基部から前記第一固定部まで、前記第一方向に沿った第一の側に向けて延在し、
前記並列枝部の前記第二延在部は、前記第一固定部から前記第二固定部まで、前記第一の側とは反対の第二の側に向けて延在している
請求項1に記載のバスバモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バスバモジュールがある。特許文献1には、本体と、該本体から延在する複数のL字型可撓性アームと、を含むフレキシブル回路基板を備えたバッテリ接続モジュールが開示されている。特許文献1のL字型可撓性アームは、本体から複数のバスバーに向かって外向きに延在する第1のセクションと、該第1のセクションと接続し、複数のバスバーと本体との間の方向に延在する、第2のセクションと、該第2のセクションの遠位端に位置付けられ、対応するバスバーと接続する、端部と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バスバモジュールにおける設計の自由度を向上させる点について、なお改良の余地がある。より詳しくは、回路体の幹線部から枝部を分岐させ、枝部をバスバに対して接続する構成において、設計の自由度を向上できることが望まれている。例えば、他部品と枝部との干渉を回避しつつ、電池セルに対するバスバの追従性を確保できることが好ましい。例えば、必要な枝部の数を減らすことができれば、回路体の設計における自由度が向上する。
【0005】
本発明の目的は、設計の自由度を向上させることが可能なバスバモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバスバモジュールは、複数の電池セルを有する電池モジュールの前記電池セルに対して固定される複数のバスバと、複数の前記バスバに対応する複数の接続導体を有し、可撓性を有する板状の回路体と、を備え、前記回路体は、複数の前記電池セルが配列される第一方向に沿って延在する幹線部と、前記幹線部から分岐して前記バスバに接続される複数の枝部と、を有し、複数の前記枝部は、二つの前記バスバに接続される連結枝部を含み、二つの前記バスバは、前記第一方向において隣接する第一バスバおよび第二バスバを含み、前記連結枝部は、前記第一バスバに対して固定される第一固定部と、前記第二バスバに対して固定される第二固定部と、第一延在部と、第二延在部と、を有し、前記第一延在部は、前記幹線部と前記第一固定部との間で前記第一方向に沿って延在し、前記第二延在部は、前記第一固定部と前記第二固定部との間で前記第一方向に沿って延在し、前記第二延在部は、前記第二延在部を撓み変形させながら前記第一バスバおよび前記第二バスバを前記電池セルに対して固定可能な長さを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るバスバモジュールの回路体は、二つのバスバに接続される連結枝部を有する。連結枝部は、第一バスバに対して固定される第一固定部と、第二バスバに対して固定される第二固定部と、第一延在部と、第二延在部と、を有する。第二延在部は、第二延在部を撓み変形させながら第一バスバおよび第二バスバを電池セルに対して固定可能な長さを有する。連結枝部は、例えば、他部品と枝部との干渉を回避しつつ、電池セルに対するバスバの追従性を確保できる。本発明に係るバスバモジュールによれば、設計の自由度を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電池パックの概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るバスバモジュールの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るバスバの斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る連結枝部の拡大図である。
【
図5】
図5は、ケースに収容される前の連結枝部を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、ケースに収容された連結枝部を示す平面図である。
【
図7】
図7は、ケースに収容された連結枝部を示す断面斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る並列枝部の斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る並列枝部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係るバスバモジュールにつき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図10を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、バスバモジュールに関する。
図1は、実施形態に係る電池パックの概略構成を示す斜視図、
図2は、実施形態に係るバスバモジュールの分解斜視図、
図3は、実施形態に係るバスバの斜視図、
図4は、実施形態に係る連結枝部の拡大図、
図5は、ケースに収容される前の連結枝部を示す斜視図、
図6は、ケースに収容された連結枝部を示す平面図、
図7は、ケースに収容された連結枝部を示す断面斜視図、
図8は、実施形態に係る並列枝部の斜視図、
図9は、実施形態に係る並列枝部の平面図、
図10は、実施形態に係る並列枝部の斜視図である。
図7には、
図6のVII-VII断面が示されている。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の電池パック100は、バスバモジュール1および電池モジュール110を有する。電池パック100は、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の車両に電源として搭載される。電池パック100は、複数のバスバモジュール1および複数の電池モジュール110を有していてもよい。
【0012】
電池モジュール110は、複数の電池セル120を有する。例示された電池セル120の形状は、直方体形状である。電池セル120の第一面120aには、二つの電極121が配置されている。第一面120aの形状は、略長方形である。
【0013】
複数の電池セル120は、第一方向Xに沿って配列されている。より詳しくは、複数の電池セル120は、第一面120aの長辺が隣接する他の第一面120aの長辺と第一方向Xにおいて対向するように配列されている。以下の説明では、第一面120aにおいて第一方向Xと直交する方向を「第二方向Y」と称する。第二方向Yは、第一面120aの長手方向である。第一方向Xおよび第二方向Yの何れとも直交する方向を「第三方向Z」と称する。第三方向Zは、電池セル120の高さ方向である。第一面120aは、第三方向Zと直交している。電池パック100は、例えば、第一面120aが車両上下方向の上側を向くように車両に搭載される。
【0014】
第一面120aの二つの電極121は、第二方向Yにおいて並んでいる。第一面120aの二つの電極121のうち、一方は正極であり、他方は負極である。第一面120aにおける長手方向の一端に配置されている電極121の集合体を「第一電極群121a」と称する。また、第一面120aにおける長手方向の他端に配置されている電極121の集合体を「第二電極群121b」と称する。本実施形態の電池モジュール110では、第一電極群121aにおいて、正極および負極が交互に並んでいる。また、第二電極群121bにおいて、正極および負極が交互に並んでいる。本実施形態のバスバモジュール1は、複数の電池セル120を直列に接続する。
【0015】
バスバモジュール1は、複数のバスバ2、板状の回路体3、ケース4、およびカバー5を有する。バスバ2は、銅やアルミニウム等の導電性の金属板から形成される。
図2に示すように、バスバモジュール1は、第一バスバ群2Aおよび第二バスバ群2Bを有する。第一バスバ群2Aおよび第二バスバ群2Bは、第一方向Xに沿って並ぶ複数のバスバ2を有する。第一バスバ群2Aのバスバ2は、電池モジュール110の第一電極群121aに対して固定される。第二バスバ群2Bのバスバ2は、第二電極群121bに対して固定される。
【0016】
図3に示すように、本実施形態のバスバ2は、本体21および枠部22を有する。本体21は、電極121に対して固定される部分であり、平板形状を有している。本体21には、一つまたは二つの貫通孔21aが設けられている。二つの貫通孔21aを有するバスバ2は、二つの電極121に対して固定され、二つの電極121を電気的に接続する。有する貫通孔21aが一つであるバスバ2は、一つの電極121に対して固定される。一つの貫通孔21aを有するバスバ2は、第一方向Xの端部に配置される。
【0017】
枠部22は、本体21と連続しており、本体21の側面から第二方向Yに沿って突出している。枠部22は、回路体3の枝部31に対して固定される部分である。例示された枠部22は、矩形の枠状に形成されている。
【0018】
回路体3は、板状の回路体であり、かつ可撓性を有している。本実施形態の回路体3は、フレキシブルプリント回路基板(FPC:Flexible Printed Circuits)である。回路体3は、複数のバスバ2に対応する複数の接続導体6(
図4参照)を有する。本実施形態の回路体3は、更に、サーミスタ8に対応する接続導体6を有する。
図2に示すように、回路体3は、幹線部30および複数の枝部31を有する。幹線部30および枝部31は、一体に形成されている。
【0019】
幹線部30は、平板形状を有しており、第一方向Xに沿って延在している。すなわち、幹線部30の長手方向は、第一方向Xである。幹線部30は、第一方向Xに沿う第一の辺30aおよび第二の辺30bを有する。第一の辺30aは、幹線部30における第二方向Yの一端の縁部である。第二の辺30bは、幹線部30における第二方向Yの他端の縁部である。枝部31は、幹線部30から分岐している。例示された回路体3は、第一の辺30aから分岐する複数の枝部31、および第二の辺30bから分岐する複数の枝部31を有する。第一の辺30aから分岐する枝部31は、第一バスバ群2Aのバスバ2に対して接続される。第二の辺30bから分岐する枝部31は、第二バスバ群2Bのバスバ2に対して接続される。
【0020】
ケース4およびカバー5は、回路体3および複数のバスバ2を収容する収容体を構成する。ケース4およびカバー5は、例えば、絶縁性の合成樹脂で成形される。ケース4は、バスバ2を収容する複数の収容部41、および回路体3を支持する複数の支持部42を有する。複数の収容部41は、第一方向Xに沿って並んでいる。一つの収容部41は、一つのバスバ2を収容する。支持部42は、第二方向Yに沿って延在しており、回路体3の幹線部30を下方から支持する。例示されたケース4は、平面視において略矩形の形状を有する。
【0021】
カバー5は、回路体3を覆い、ケース4とカバー5との間に回路体3の幹線部30を収容する。例示されたカバー5は、平面視において略矩形の平板形状を有する。カバー5は、ケース4と係合する係合部51を有しており、ケース4に対して固定される。
【0022】
本実施形態の複数の枝部31は、連結枝部32を有する。連結枝部32は、二つのバスバ2に接続される。連結枝部32に接続される二つのバスバ2は、第一バスバ23および第二バスバ24を有する。第一バスバ23および第二バスバ24は、第一方向Xにおいて互いに隣接している。本実施形態のバスバモジュール1は、複数の連結枝部32を有する。
【0023】
図4は、
図2における破線で囲まれた一つの連結枝部32の拡大斜視図である。連結枝部32は、基部33と、第一延在部34と、第一固定部35と、第二延在部36と、第二固定部37と、第三延在部38と、を有する。
【0024】
基部33は、幹線部30につながっており、幹線部30から第二方向Yに沿って延出している。第一固定部35は、第一バスバ23に対して固定される。第二固定部37は、第二バスバ24に対して固定される。第一延在部34は、基部33と第一固定部35との間で第一方向Xに沿って延在する。第二延在部36は、第一固定部35と第二固定部37との間で第一方向Xに沿って延在する。第三延在部38は、第二固定部37から第一方向Xに沿って延出している。
図4に示す連結枝部32では、第一延在部34、第一固定部35、第二延在部36、第二固定部37、および第三延在部38がこの順序で直線状に並んでいる。
【0025】
連結枝部32には、複数の接続導体6が配索されている。接続導体6は、銅などの導電性を有する金属で形成されており、例えば、金属箔である。接続導体6は、可撓性を有する絶縁性の二つの樹脂層で挟まれている。接続導体6は、例えば、電池パック100を監視する制御装置に対して接続される。
【0026】
連結枝部32の複数の接続導体6は、第一導体61、第二導体62、および第三導体63を有する。第一導体61は、幹線部30から第一固定部35まで配索されており、第一バスバ23に対して接続される。第二導体62は、幹線部30から第二固定部37まで配索されており、第二バスバ24に対して接続される。第一導体61および第二導体62は、電池セル120の電圧検出に用いられる検出線である。第三導体63は、幹線部30から第三延在部38の先端まで配索されており、サーミスタ8に接続される。サーミスタ8は、電池セル120の第一面120aに設置され、電池セル120の温度を検出する。第三導体63は、電池セル120の温度検出に用いられる検出線である。
【0027】
図5には、バスバ2がケース4に収容される前のバスバモジュール1が示されている。つまり、
図5には、バスバ2がケース4に収容される前の枝部31の形状が示されている。連結枝部32は、幹線部30に沿って直線状に延在している。第一バスバ23の枠部22は、第一固定部35に対して固定される。より詳しくは、第一固定部35では、金属箔で形成されたパッドが露出している。第一バスバ23の枠部22は、例えば、はんだによって第一固定部35のパッドに接続される。このパッドと第一導体61との間には、
図4に示すヒューズ7が介在している。つまり、第一導体61は、ヒューズ7を介して第一バスバ23に接続される。
【0028】
第二バスバ24の枠部22は、第二固定部37に対して固定される。第二固定部37では、パッドが露出している。第二バスバ24の枠部22は、例えば、はんだによって第二固定部37のパッドに接続される。このパッドと第二導体62との間には、ヒューズ7が介在している。つまり、第二導体62は、ヒューズ7を介して第二バスバ24に接続される。第三導体63は、第三延在部38の先端においてサーミスタ8に接続される。
【0029】
第二延在部36は、長さL1を有する。長さL1は、第一方向Xに沿った長さであり、かつ第二延在部36が湾曲していない状態での長さである。長さL1は、第一バスバ23および第二バスバ24が電池セル120に対して固定された状態で第二延在部36が第三方向Zに向けて撓み変形できるように定められている。
【0030】
図6には、ケース4に収容された連結枝部32の拡大図が示されている。バスバ2は、対応する収容部41に挿入され、収容部41によって保持される。収容部41には、バスバ2を係止する係止部43が配置されている。係止部43は、収容部41の側壁に設けられており、収容部41の内部空間に向けて突出している。係止部43は、収容部41の底面と係止部43との間にバスバ2を保持する。
【0031】
ケース4は、バスバ2が電池セル120の移動や電池セル120の公差に追従できるように構成されている。例えば、係止部43は、バスバ2が第三方向Zの一定の範囲で移動可能なように配置されている。また、ケース4は、隣接する二つの収容部41を連結する連結部44を有する。連結部44は、湾曲形状を有しており、弾性変形可能である。連結部44は、例えば、第一方向Xや第二方向Yに沿った収容部41の相対移動を許容する。
【0032】
図7には、ケース4に配置された連結枝部32の斜視図が示されている。
図7に示すように、バスバ2は、回路体3の幹線部30に対して第三方向Zにずれた位置で保持される。ケース4は、幹線部30に対して電池セル120に近い位置でバスバ2を保持する。連結枝部32の第一延在部34は、第二方向Yから見た場合に略S字形状に湾曲している。つまり、ケース4は、第一延在部34をS字状に湾曲させるようにして第一バスバ23を保持する。従って、第一バスバ23は、第一延在部34をS字形状に湾曲させて対応する電池セル120に固定される。
【0033】
第二延在部36は、連結枝部32がケース4に配置された状態で撓み変形している。より詳しくは、第二延在部36は、第一固定部35および第二固定部37に対して幹線部30の側に向けて湾曲している。つまり、ケース4は、第二延在部36を電池セル120の側とは反対側に向けて湾曲させるように第一バスバ23および第二バスバ24を保持する。また、第二延在部36は、第一バスバ23および第二バスバ24がケース4に保持された状態で撓み変形できる長さを有している。従って、第一バスバ23および第二バスバ24は、第二延在部36を撓み変形させたまま電池セル120に対して固定されることができる。
【0034】
第三延在部38は、第二方向Yから見た場合に略S字形状に湾曲している。サーミスタ8は、第一固定部35および第二固定部37に対して幹線部30の側とは反対側に位置している。従って、第三延在部38は、第三延在部38の先端へ向かうに従って電池セル120に近づくように湾曲している。サーミスタ8は、電池セル120の第一面120aに接触できるようにケース4によって保持されている。
【0035】
本実施形態のバスバモジュール1は、電池セル120に対して適切にバスバ2を追従させることができる。
図4に示すように、第一延在部34は、略S字形状に湾曲している。よって、第一バスバ23を対応する電池セル120に対して適切に追従させることが可能である。例えば、第一延在部34は、第一方向X、第二方向Y、および第三方向Zの何れに関しても第一バスバ23の追従動作を許容することができる。第一バスバ23が電池モジュール110の電極121に対して組み付けられる際に、作業者が第一バスバ23を容易に対応する電池セル120に位置付けることが可能である。また、熱膨張等によって電池セル120が幹線部30に対して相対移動した場合に、第一延在部34は第一バスバ23の追従動作を許容する。
【0036】
第二延在部36は、第一固定部35と第二固定部37との間で湾曲している。よって、第一バスバ23および第二バスバ24を対応する電池セル120に対して適切に追従させることが可能である。例えば、第二延在部36は、第一方向X、第二方向Y、および第三方向Zの何れに関しても第一バスバ23および第二バスバ24の追従動作を許容することができる。第一バスバ23および第二バスバ24が電池モジュール110の電極121に対して組み付けられる際に、作業者が第一バスバ23および第二バスバ24を容易に対応する電池セル120に位置付けることが可能である。また、熱膨張等によって電池セル120が幹線部30に対して相対移動した場合に、第二延在部36は第一バスバ23および第二バスバ24の追従動作を許容する。
【0037】
また、本実施形態によれば、バスバモジュール1における設計の自由度が向上する。例えば、本実施形態のバスバモジュール1では、サーミスタ8が第一バスバ23および第二バスバ24の枠部22と並んでいる。二つの枠部22およびサーミスタ8は、第一方向Xに沿って直線状に並んでいる。サーミスタ8は、第二バスバ24の本体21と幹線部30との間に位置している。すなわち、サーミスタ8は、第二方向Yにおいて第二バスバ24の本体21に隣接している。
【0038】
第二バスバ24の枠部22は、サーミスタ8と干渉しないように、本体21に対して第一バスバ23の側にずらされている。このような配置において、第二バスバ24に対して独立して一つの枝部31を設けようとしても、十分な長さの枝部31を確保できないことがある。
【0039】
本実施形態のバスバモジュール1では、一つの連結枝部32を第一バスバ23および第二バスバ24に対して接続することで、サーミスタ8や枠部22の配置における自由度が向上する。連結枝部32は、サーミスタ8と連結枝部32との干渉を回避しつつ、電池セル120に対する第一バスバ23および第二バスバ24の追従性を確保可能とする。また、例示された連結枝部32は、サーミスタ8に接続される第三延在部38を有する。このような配索構造により、サーミスタ8に対して独立した枝部31を設ける場合と比較して、回路体3が簡素化される。
【0040】
図8には、他の連結枝部32が示されている。
図8に示す連結枝部32は、平面視した場合に略U字形状またはJ字形状を有している。この連結枝部32は、第一延在部34と第二延在部36とが並列している並列枝部32Pである。並列枝部32Pでは、第一延在部34と第二延在部36とが第二方向Yにおいて並んでいる。
【0041】
並列枝部32Pでは、第一延在部34および第二延在部36が互いに逆の向きに延在している。第一延在部34は、基部33から第一固定部35まで、第一の側X1に向けて延在している。第二延在部36は、第一固定部35から第二固定部37まで、第二の側X2に向けて延在している。第二の側X2は、第一の側X1とは反対側である。なお、第一の側X1および第二の側X2は固定されたものではない。すなわち、第一方向Xにおいて、基部33に対して第一延在部34の位置する側が第一の側X1である。
【0042】
図8に示す並列枝部32Pは、第三延在部38を有している。第三延在部38は、第二固定部37から第二の側X2に向けて延びており、サーミスタ8に接続される。サーミスタ8は、第一バスバ23および第二バスバ24の枠部22に対して直線状に配置されている。このようなサーミスタ8の配置に対して、
図8に示す並列枝部32Pは、以下に説明するように、回路体3の設計自由度を向上させることができる。
【0043】
図9には、第二バスバ24に対して独立した枝部31を設けようとした場合の枝部31の配置が一点鎖線で示されている。第二バスバ24に対応する独立した枝部31は、サーミスタ8と干渉してしまう。
図8に示す並列枝部32Pは、サーミスタ8との干渉を回避しつつ第一バスバ23および第二バスバ24を幹線部30に接続することができる。
【0044】
図10には、他の並列枝部32Pが示されている。
図10に示す並列枝部32Pは、幹線部30における第一方向Xの端部30cにつながっている。
図10の並列枝部32Pは、
図8の並列枝部32Pと同様に、第一延在部34と第二延在部36とが並列している。第一延在部34は、基部33から第一固定部35まで、第一の側X1に向けて延在している。第一延在部34は、端部30cから遠ざかる側に向けて延在している。第二延在部36は、第一固定部35から第二固定部37まで、第二の側X2に向けて延在している。第二バスバ24は、幹線部30の端部30cに対して枠部22が第二の側X2に位置するように保持される。
【0045】
図10の第二バスバ24に対して独立して枝部31を設けようとする場合、回路体3が一点鎖線で示す延長部30xを有する必要がある。すなわち、回路体3の端部30cを第二の側X2に延長する必要がある。本実施形態のバスバモジュール1は、回路体3に並列枝部32Pが設けられることで、回路体3の全長を短縮することが可能である。
【0046】
なお、本実施形態の複数の枝部31は、単独の枝部31を有している。単独の枝部31は、一つのバスバ2に接続される。つまり、本実施形態のバスバモジュール1は、単独の枝部31と、ストレート形状の連結枝部32と、並列枝部32Pと、を有している。これらの枝部31,32,32Pの組み合わせにより、回路体3の設計自由度や配索自由度が向上する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のバスバモジュール1は、複数のバスバ2と、可撓性を有する板状の回路体3と、を有する。複数のバスバ2は、電池モジュール110の電池セル120に対して固定される。回路体3は、複数のバスバ2に対応する複数の接続導体6を有する。回路体3は、幹線部30と、複数の枝部31と、を有する。幹線部30は、複数の電池セル120が配列される第一方向Xに沿って延在する。枝部31は、幹線部30から分岐してバスバ2に接続される。
【0048】
複数の枝部31は、二つのバスバ2に接続される連結枝部32を含む。二つのバスバ2は、第一方向Xにおいて隣接する第一バスバ23および第二バスバ24を含む。連結枝部32は、第一バスバ23に対して固定される第一固定部35と、第二バスバ24に対して固定される第二固定部37と、第一延在部34と、第二延在部36と、を有する。第一延在部34は、幹線部30と第一固定部35との間で第一方向Xに沿って延在する。第二延在部36は、第一固定部35と第二固定部37との間で第一方向Xに沿って延在する。
【0049】
第二延在部36は、長さL1を有する。長さL1は、第二延在部36を撓み変形させながら第一バスバ23および第二バスバ24を電池セル120に対して固定可能な長さである。本実施形態のバスバモジュール1によれば、バスバモジュール1の設計の自由度を向上させることが可能である。例えば、サーミスタ8等の他部品と枝部31との干渉を回避しつつ、電池セル120に対するバスバ2の追従性を確保することができる。例えば、バスバ2の個数に対して必要な枝部31の数を減らすことが可能であり、回路体3の設計における自由度が向上する。
【0050】
本実施形態の第一バスバ23および第二バスバ24は、第一延在部34をS字形状に湾曲させ、かつ第二延在部36を電池セル120の側とは反対側に向けて湾曲させて電池セル120に固定される。このような湾曲形状により、電池セル120に対するバスバ2の追従性が確保される。
【0051】
本実施形態のバスバモジュール1は、連結枝部32として、並列枝部32Pを有する。並列枝部32Pは、第一延在部34と第二延在部36とが並列している連結枝部32である。並列枝部32Pは、幹線部30につながる基部33を有する。並列枝部32Pの第一延在部34は、基部33から第一固定部35まで、第一方向Xに沿った第一の側X1に向けて延在する。並列枝部32Pの第二延在部36は、第一固定部35から第二固定部37まで、第一の側X1とは反対の第二の側X2に向けて延在する。並列枝部32Pは、枝部31と他部品との干渉を回避するための設計の自由度を向上させる。また、並列枝部32Pは、第一方向Xにおける回路体3の小型化に有効である。
【0052】
なお、第一延在部34は、S字形状に湾曲していなくてもよい。例えば、電池モジュール110に取り付けられた連結枝部32において、基部33と第一固定部35とが第三方向Zにおいて略同じ位置にあってもよい。この場合、第一延在部34は、基部33から第一固定部35まで略直線状に延在していてもよい。第一延在部34は、第二延在部36と同様に第三方向Zに向けて湾曲していてもよい。
【0053】
連結枝部32は、三つ以上のバスバ2に対して接続されてもよい。例えば、
図5に示す連結枝部32において、第三延在部38の先端がサーミスタ8に代えて第三バスバに接続されてもよい。この場合、連結枝部32は、第三バスバに対して固定される第三固定部を有していてもよい。例えば、
図8に示す並列枝部32Pにおいて、第三延在部38の先端がサーミスタ8に代えて隣のバスバ2に接続されてもよい。
【0054】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 バスバモジュール
2:バスバ、 2A:第一バスバ群、 2B:第二バスバ群
3:回路体、 4:ケース、 5:カバー、 6:接続導体、 7:ヒューズ
8:サーミスタ
21:本体、 21a:貫通孔
22:枠部、 23:第一バスバ、 24:第二バスバ
30:幹線部、 30a:第一の辺、 30b:第二の辺、 30c:端部
31:枝部、 32:連結枝部、 32P:並列枝部
33:基部、 34:第一延在部、 35:第一固定部、 36:第二延在部
37:第二固定部、 38:第三延在部
41:収容部、 42:支持部、 43:係止部、 44:連結部
51:係合部
61:第一導体、 62:第二導体、 63:第三導体
100:電池パック、 110:電池モジュール
120:電池セル、 120a:第一面
121:電極、 121a:第一電極群、 121b:第二電極群
X:第一方向、 Y:第二方向、 Z:第三方向